説明

走行支援装置、走行支援方法及びコンピュータプログラム

【課題】走行予定経路の周辺環境に配慮した走行を行わせること可能とした走行支援装置、走行支援方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】車両2の走行予定経路の経路情報と車両情報を取得し、取得した走行予定経路の経路情報及び車両情報に基づいて、走行予定経路を走行する場合に必要な車両2の駆動力を区間毎に推定し、推定された区間毎の車両2の駆動力が閾値以上となる区間があるか否か判定し、推定された区間毎の車両2の駆動力が閾値以上となる区間が無いと判定された場合に、走行予定経路において走行予定経路の周辺環境から駆動モータ5を駆動源とする走行を推奨するモータ走行推奨区間を特定し、特定されたモータ走行推奨区間に基づいて制御スケジュール49を生成するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が走行予定経路を走行する際の駆動源の制御スケジュールを生成し、生成した制御スケジュールに基づいて制御を行う走行支援装置、走行支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、エンジンを駆動源とするガソリン車以外にもバッテリから供給される電力に基づいて駆動されるモータを駆動源とする電気自動車や、モータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両等が存在する。
【0003】
そして、従来では上記ハイブリッド車両において、走行予定経路に対してモータとエンジンの制御スケジュールを生成することが行われている。
ここで、従来において上記制御スケジュールを生成する技術としては、例えば特開2004−98726号公報に記載されているように、経路全体での燃料消費量を削減することを目的としたものがある。具体的には、エンジンを駆動源として走行した場合に運転効率が良い区間を、エンジンを駆動源として走行する区間に設定した制御スケジュールを生成する。
【特許文献1】特開2004−98726号公報(第9頁〜第12頁、図4、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、走行予定経路によっては経路全体での燃料消費量を削減するのに効果的な制御スケジュールを生成できない場合がある。例えば、生成した制御スケジュールに従って区間毎にモータとエンジンの制御を行いつつ走行した場合と、生成した制御スケジュールに従わずにモータ及びエンジンを駆動源として走行した場合(例えば、バッテリの残量が所定量以下となるまでモータのみを駆動源として走行し、その後はエンジンのみを駆動源として走行した場合)とで、燃料消費量にあまり差が生じない場合である。このような場合では、経路全体での燃料消費量を効果的に削減することができない。
【0005】
しかしながら、経路全体での燃料消費量を削減する効果的な制御スケジュールを生成できない場合であっても、走行予定経路において部分的には環境に貢献すべき区間が存在する場合がある。例えば、排出ガスの排出を抑制すべき区間やエンジン駆動音を減音すべき区間である。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、燃料消費量を削減する効果的な制御スケジュールが生成できない場合において、走行予定経路の周辺環境を考慮すべき区間、例えばエンジン駆動音や排出ガスの排出量を減らすべき区間を考慮した制御スケジュールを生成し、走行予定経路の周辺環境に配慮した走行を行わせることを可能とした走行支援装置、走行支援方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る走行支援装置(1)は、駆動源として駆動モータ(5)とエンジン(4)を備える車両(2)の走行予定経路を特定する走行予定経路特定手段(33)と、前記走行予定経路の経路情報を区間毎に取得する経路情報取得手段(33)と、前記走行予定経路の経路情報に基づいて、前記走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の前記車両の駆動力を推定する駆動力推定手段(33)と、前記駆動力推定手段によって推定された前記車両の駆動力が所定の閾値以上となる区間があるか否か判定する駆動力判定手段(33)と、前記駆動力判定手段によって前記車両の駆動力が所定の閾値以上となる区間がないと判定された場合に、前記走行予定経路において、前記走行予定経路の周辺環境から前記駆動モータを駆動源とする走行を推奨するモータ走行推奨区間を特定し、特定されたモータ走行推奨区間に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記駆動モータと前記エンジンの制御スケジュール(49)を生成する制御スケジュール生成手段(33)と、前記車両が前記走行予定経路を走行する場合に、前記制御スケジュールに基づいて前記駆動モータと前記エンジンを制御する駆動制御手段(9)と、を有することを特徴とする。
ここで、「区間」とは走行予定経路をリンク毎に区分した区間でも良いし、所定距離(例えば100m)毎に区分した区間でも良い。また、所定時間経過毎の通過地点の間の区間を定義したものであっても良い。
【0008】
また、請求項2に係る走行支援装置(1)は、請求項1に記載の走行支援装置であって、前記モータ走行推奨区間は、特定の施設の周辺にある区間であり、前記制御スケジュール生成手段(33)は、前記走行予定経路において前記特定の施設の周辺にある区間を特定し、特定された前記特定の施設の周辺にある区間において前記駆動モータ(5)を駆動源とした走行を優先する制御スケジュール(49)を生成することを特徴とする。
尚、「特定の施設の周辺にある区間」とは、例えば、特定の施設から所定距離以内の範囲に含まれる区間等が該当する。
【0009】
また、請求項3に係る走行支援装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の走行支援装置であって、前記モータ走行推奨区間は、大気汚染区間であり、前記制御スケジュール生成手段(33)は、前記走行予定経路において前記大気汚染区間を特定し、特定された前記大気汚染区間において前記駆動モータ(5)を駆動源とした走行を優先する制御スケジュール(49)を生成することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る走行支援方法は、駆動源として駆動モータ(5)とエンジン(4)を備える車両(2)の走行予定経路を特定する走行予定経路特定ステップと、前記走行予定経路の経路情報を区間毎に取得する経路情報取得ステップと、前記走行予定経路の経路情報に基づいて、必要な区間毎の前記車両の駆動力を推定する駆動力推定ステップと、前記駆動力推定ステップによって推定された前記車両の駆動力が所定の閾値を超える区間があるか否か判定する駆動力判定ステップと、前記駆動力判定ステップによって前記車両の駆動力が所定の閾値を超える区間がないと判定された場合に、前記走行予定経路において、前記走行予定経路の周辺環境から前記駆動モータを駆動源とする走行を推奨するモータ走行推奨区間を特定し、特定されたモータ走行推奨区間に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記駆動モータと前記エンジンの制御スケジュール(49)を生成する制御スケジュール生成ステップと、前記車両が前記走行予定経路を走行する場合に、前記制御スケジュールに基づいて前記駆動モータと前記エンジンを制御する駆動制御ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
更に、請求項5に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、駆動源として駆動モータ(5)とエンジン(4)を備える車両(2)の走行予定経路を特定する走行予定経路特定機能と、前記走行予定経路の経路情報を区間毎に取得する経路情報取得機能と、前記走行予定経路の経路情報に基づいて、必要な区間毎の前記車両の駆動力を推定する駆動力推定機能と、前記駆動力推定機能によって推定された前記車両の駆動力が所定の閾値を超える区間があるか否か判定する駆動力判定機能と、前記駆動力判定機能によって前記車両の駆動力が所定の閾値を超える区間がないと判定された場合に、前記走行予定経路において、前記走行予定経路の周辺環境から前記駆動モータを駆動源とする走行を推奨するモータ走行推奨区間を特定し、特定されたモータ走行推奨区間に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記駆動モータと前記エンジンの制御スケジュール(49)を生成する制御スケジュール生成機能と、前記車両が前記走行予定経路を走行する場合に、前記制御スケジュールに基づいて前記駆動モータと前記エンジンを制御する駆動制御機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記構成を有する請求項1に記載の走行支援装置によれば、燃料消費量を削減する効果的な制御スケジュールが生成できない場合において、走行予定経路の周辺環境を考慮すべき区間、例えばエンジン駆動音や排出ガスの排出量を減らすべき区間を考慮した制御スケジュールを生成することができる。従って、走行予定経路の周辺環境に配慮した走行を行わせることが可能となる。
【0013】
また、請求項2に記載の走行支援装置によれば、車両等による排出ガスの排出や騒音の発生を避けるように推奨されている特定の施設(例えば、病院、学校等)の周辺等のエンジン駆動音を低減すべき或いは排出ガスの排出量を減らすべき区間において、モータ走行を優先する制御スケジュールを生成することができる。従って、特定施設に配慮した走行を行わせることが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の走行支援装置によれば、大気汚染区間等の排出ガスの排出量を減らすべき区間において、モータ走行を優先する制御スケジュールを生成することができる。従って、大気汚染の深刻な地域に配慮した走行を行わせることが可能となる。
【0015】
また、請求項4に記載の走行支援方法によれば、燃料消費量を削減する効果的な制御スケジュールが生成できない場合において、走行予定経路の周辺環境を考慮すべき区間、例えばエンジン駆動音や排出ガスの排出量を減らすべき区間を考慮した制御スケジュールを生成することができる。従って、走行予定経路の周辺環境に配慮した走行を行わせることが可能となる。
【0016】
更に、請求項5に記載のコンピュータプログラムによれば、燃料消費量を削減する効果的な制御スケジュールが生成できない場合において、走行予定経路の周辺環境を考慮すべき区間、例えばエンジン駆動音や排出ガスの排出量を減らすべき区間を考慮した制御スケジュールを生成することができる。従って、走行予定経路の周辺環境に配慮した走行を行わせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る走行支援装置について具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1を車載機として搭載した車両2の車両制御システム3の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車両制御システム3の概略構成図、図2は本実施形態に係る車両制御システム3の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、車両2はモータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両である。特に、以下に説明する実施形態では外部電源からバッテリを充電することができるプラグインハイブリッド車両を用いることとする。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る車両制御システム3は、車両2に対して設置されたナビゲーション装置1と、エンジン4と、駆動モータ5と、発電機6と、バッテリ7と、プラネタリギヤユニット8と、車両制御ECU9と、エンジン制御ECU10と、駆動モータ制御ECU11と、発電機制御ECU12と、充電制御ECU13とから基本的に構成されている。
【0019】
ここで、ナビゲーション装置1は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、車両周辺の地図や目的地までの走行予定経路を表示する液晶ディスプレイ15や、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16等を備えている。そして、GPS等によって車両2の現在位置を特定するととともに、目的地が設定された場合においては目的地までの経路の探索、並びに設定された走行予定経路に従った案内を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて行う。また、ナビゲーション装置1は、後述するように、車両2の走行予定経路の経路情報や周辺環境に基づいて、走行予定経路を走行する際における車両2の駆動源(エンジン4及び駆動モータ5)を制御する制御スケジュールを生成する。そして、生成した制御スケジュールに従って、エンジン4及び駆動モータ5を車両制御ECU9、エンジン制御ECU10及び駆動モータ制御ECU11を介して制御する。尚、ナビゲーション装置1の詳細な構成については後述する。
【0020】
また、エンジン4はガソリン、軽油、エタノール等の燃料によって駆動される内燃機関等のエンジンであり、車両2の第1の駆動源として用いられる。そして、エンジン4の駆動力であるエンジントルクはプラネタリギヤユニット8に伝達され、プラネタリギヤユニット8により分配されたエンジントルクの一部により駆動輪17が回転させられ、車両2が駆動される。
【0021】
また、駆動モータ5はバッテリ7から供給される電力に基づいて回転運動するモータであり、車両2の第2の駆動源として用いられる。駆動モータはバッテリ7から供給された電力により駆動され、駆動モータ5のトルクである駆動モータトルクを発生する。そして、発生した駆動モータトルクにより駆動輪17が回転させられ、車両2が駆動される。
特に、本実施形態に係るプラグインハイブリッド車両では、ナビゲーション装置1において後述の制御スケジュール49が設定されている場合には、基本的に設定されている制御スケジュール49に基づいてエンジン4及び駆動モータ5が制御される。具体的には、制御スケジュール49において指定されたEV走行区間では、駆動モータ5のみを駆動源として走行する所謂EV走行を行う。また、制御スケジュール49において指定されたHV走行区間では、エンジン4と駆動モータ5とを駆動源として併用して走行する所謂HV走行を行う。
一方、ナビゲーション装置1において制御スケジュール49が設定されていない場合には、基本的にバッテリの残量が所定値以下となるまではEV走行を行う。そして、バッテリの残量が所定値以下となった後はHV走行を行う。
更に、エンジンブレーキ必要時及び制動停止時において、駆動モータ5は回生ブレーキとして機能し、車両慣性エネルギーを電気エネルギーとして回生する。
【0022】
また、発電機6はプラネタリギヤユニット8により分配されたエンジントルクの一部により駆動され、電力を発生させる発電装置である。そして、発電機6は図示されない発電機用インバータを介してバッテリ7に接続されており、発生した交流電流を直流電流に変換し、バッテリ7に供給する。尚、駆動モータ5と発電機6を一体的に構成しても良い。
【0023】
また、バッテリ7は充電と放電とを繰り返すことができる蓄電手段としての二次電池であり、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等が用いられる。更に、バッテリ7は車両2の側壁に設けられた充電コネクタ18と接続されている。そして、自宅や所定の充電設備を備えた充電施設において、充電コネクタ18をコンセント等の電力供給源に接続することにより、バッテリ7の充電を行うことが可能となる。更に、バッテリ7は上記駆動モータで発生した回生電力や発電機6で発電された電力によっても充電される。
【0024】
また、プラネタリギヤユニット8はサンギヤ、ピニオン、リングギヤ、キャリア等によって構成され、エンジン4の駆動力の一部を発電機6へと分配し、残りの駆動力を駆動輪17へと伝達する。
【0025】
また、車両制御ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)9は、車両2の全体の制御を行う電子制御ユニットである。また、車両制御ECU(駆動制御手段)9には、エンジン4の制御を行う為のエンジン制御ECU10、駆動モータ5の制御を行う為の駆動モータ制御ECU11、発電機6の制御を行う為の発電機制御ECU12、バッテリ7の制御を行う為の充電制御ECU13が接続されるとともに、ナビゲーション装置1が備える後述のナビゲーションECU33に接続されている。
そして、車両制御ECU9は、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラム等が記録されたROM23等の内部記憶装置を備えている。
【0026】
また、エンジン制御ECU10、駆動モータ制御ECU11、発電機制御ECU12及び充電制御ECU13は、図示しないCPU、RAM、ROM等からなり、それぞれエンジン4、駆動モータ5、発電機6、バッテリ7の制御を行う。
【0027】
続いて、ナビゲーション装置1の構成について図2を用いて説明する。
図2に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、車両2の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(走行予定経路特定手段、経路情報取得手段、駆動力推定手段、駆動力判定手段、制御スケジュール生成手段)33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して車両周辺の地図や設定された走行予定経路を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37、プローブセンタやVICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール38と、から構成されている。
【0028】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、車速センサ42、ステアリングセンサ43、ジャイロセンサ44等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ42は、車両2の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両2の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0029】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された車両パラメータDB46、地図情報DB47、優先順位テーブル48、制御スケジュール49、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0030】
ここで、車両パラメータDB46は、車両2に関する各種パラメータを記憶するDBである。具体的には、前面投影面積A[m]、駆動機構慣性重量Wr[kN]、車重M[kg]、駆動輪の転がり抵抗係数μr、空気抵抗係数μl、コーナリング抵抗Rc[kN]等が記憶される。また、車両2の走行履歴(具体的には、過去に車両2が走行したリンクのリンク番号とそのリンク走行時の地点毎の車両2の車速データ及び加速度データ)についても記憶される。
尚、各車両パラメータ及び走行履歴は後述するようにナビゲーションECU33によって、“車両2が走行予定経路を走行する際に必要な区間毎の駆動力”を推定するのに用いられる。
【0031】
ここで、地図情報DB47は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。尚、リンクデータには傾斜区間に関する情報(傾斜角度に関する情報(勾配等)を含む)、カーブに関する情報(開始点、終了点、旋回半径に関する情報を含む)も含まれる。
【0032】
また、施設データには排出ガス抑制推奨施設に関する情報や大気汚染エリアに関する情報についても含まれる。
ここで、排出ガス抑制推奨施設とは、その施設周辺での車両等による排出ガスの排出を避けるように推奨されている施設であり、例えば、病院、学校、幼稚園、保育園、公園等が該当する。そして、地図情報DB47に記憶される排出ガス抑制推奨施設に関する情報としては、排出ガス抑制推奨施設の施設種別(病院、学校、幼稚園、保育園、公園等)、位置座標等がある。
一方、大気汚染エリアとはとは人間の経済的、社会的活動によって大気が有害物質で汚染され、人の健康(呼吸器に悪い影響を与える)や生活環境、動植物に悪影響が生じる可能性がある状態にあるエリアをいう。そして、地図情報DB47に記憶される大気汚染エリアに関する情報としては、大気汚染エリアの範囲を特定する座標、リンク、行政区画等がある。
尚、走行予定経路の内、排出ガス抑制推奨施設の周辺(例えば半径300m以内)エリアに含まれる区間や大気汚染エリアに含まれる区間(大気汚染区間)は、駆動モータ5を駆動源とする走行を推奨する後述のモータ走行推奨区間に該当する。
【0033】
また、優先順位テーブル48は、排出ガス抑制推奨施設について施設種別毎に排出ガスの排出抑制を優先する優先順位を設定したテーブルである。ここで、図3は優先順位テーブル48の一例を示した図である。図3に示すように、優先順位テーブル48では、施設種別と施設種別に対応付けられた優先順位とから構成される。例えば、図3に示す優先順位テーブル48では、病院、学校、幼稚園、保育園、公園の順に優先順位が対応付けられている。そして、ナビゲーションECU33は後述のように制御スケジュールを生成する際に、走行予定経路の周辺に2以上の排出ガス抑制推奨施設が位置する場合には、優先順位テーブル48を参照して制御スケジュールを生成する。具体的には、優先順位の高い排出ガス抑制推奨施設の周辺区間を優先順位の低い排出ガス抑制推奨施設の周辺区間より駆動モータ5による走行を優先する制御スケジュールを生成する。
【0034】
また、制御スケジュール49は、車両2が走行予定経路を走行する前においてナビゲーションECU33により生成され、走行予定経路を車両2が走行する際に、エンジン4及び駆動モータ5をどのように制御するかを決定する制御スケジュールである。
ここで、図4は車両2が出発地61から目的地62までの走行予定経路63を走行する際に形成される制御スケジュール49の一例を示した図である。図4に示すように制御スケジュール49は、走行予定経路63の区間毎にEV走行を行うEV走行区間と、HV走行を行うHV走行区間とを設定する。例えば、図4に示す例では、走行予定経路63の内、区間A、区間C、区間EをEV走行に設定し、区間B、区間DをHV走行に設定する。
そして、車両2が走行予定経路63を走行する際に、ナビゲーションECU33は車両2の現在位置と、制御スケジュール49とに基づいて、走行制御を変更(EV走行→HV走行、又は、HV走行→EV走行)するタイミングとなったか否かを判定する。そして、走行制御を変更するタイミングであると判定された場合に、車両制御ECU9に対してEV走行又はHV走行を指示する制御指示を送信する。そして、EV走行を指示する制御指示を受信した車両制御ECU9は、駆動モータ制御ECU11を介して駆動モータ5を制御し、駆動モータ5のみを駆動源とするEV走行を開始する。また、HV走行を指示する制御指示を受信した車両制御ECU9は、エンジン制御ECU10及び駆動モータ制御ECU11を介してエンジン4及び駆動モータ5を制御し、エンジン4と駆動モータ5とを駆動源として併用して走行するHV走行を開始する。また、HV走行時には所定区間(例えば、車両2が高速で定常走行する区間)において発電機6を駆動することによって、バッテリ7の充電も行われる。
【0035】
そして、本実施形態に係るナビゲーション装置1は、車両2が走行予定経路を走行する際に必要な区間毎の駆動力、走行予定経路沿いにある排出ガス抑制推奨施設、及び走行予定経路を含む大気汚染エリアなどに基づいて制御スケジュール49を生成する。また、制御スケジュール49の生成処理の詳細については後に説明する。
【0036】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの走行予定経路を設定する誘導経路設定処理、車両2の走行予定経路の経路情報や周辺環境に基づいて、走行予定経路を走行する際における車両2の駆動源(エンジン4及び駆動モータ5)を制御する制御スケジュール49を生成する制御スケジュール生成処理、生成した制御スケジュール49に基づいてエンジン4及び駆動モータ5を制御する駆動制御処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、制御スケジュール生成処理プログラム(図5、図6参照)、走行制御プログラム(図14)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0037】
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0038】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、本実施形態では、制御スケジュール49が生成された際に、生成された制御スケジュール49に基づいて駆動源の制御を行う旨の案内を出力する。また、走行予定経路の走行中に車両2が排出ガス抑制推奨施設の周辺エリアや大気汚染エリアに進入した場合に、排出ガスの排出を抑制すべき区間へと進入した旨の案内を出力する。
【0039】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、本実施形態では、制御スケジュール49が生成された際に、生成された制御スケジュール49に基づいて駆動源の制御を行う旨の案内を出力する。また、走行予定経路の走行中に車両2が排出ガス抑制推奨施設の周辺エリアや大気汚染エリアに進入した場合に、排出ガスの排出を抑制すべき区間へと進入した旨の案内を出力する。
【0040】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB47の更新等が行われる。
【0041】
また、通信モジュール38は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0042】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU33が実行する制御スケジュール生成処理プログラムについて図5及び図6に基づき説明する。図5及び図6は本実施形態に係る制御スケジュール生成処理プログラムのフローチャートである。ここで、制御スケジュール生成処理プログラムは、ナビゲーション装置1において走行予定経路が設定された場合に実行され、車両2がナビゲーション装置1で設定された走行予定経路を走行する際の駆動モータとエンジンの制御スケジュールを生成するプログラムである。尚、以下の図5、図6及び図14にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM52やROM53に記憶されており、CPU51により実行される。
【0043】
先ず、制御スケジュール生成処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU51はナビゲーション装置1において設定された走行予定経路を車両2の走行予定経路として特定する。ここで、走行予定経路は、例えば、操作部34の操作により目的地が入力された場合において、経路探索の結果により設定された出発地(例えば車両2の現在位置)から目的地までの走行予定経路がある。尚、経路探索の処理に関しては既に公知であるのでその説明は省略する。
【0044】
次に、S2でCPU51は、車両パラメータDB46を読み出し、車両2に関する各種パラメータ情報を取得する。具体的には、前面投影面積A[m]、駆動機構慣性重量Wr[kN]、車重M[kg]、駆動輪の転がり抵抗係数μr、空気抵抗係数μl、コーナリング抵抗Rc[kN]等である。また、車両2の走行履歴(具体的には、過去に車両2が走行したリンクとそのリンク走行時の地点毎の車両2の車速データ及び加速度データ)についても車両パラメータDB46から取得される。
【0045】
続いて、S3においてCPU51は、前記S1で特定された走行予定経路全体の経路情報を取得する。ここで、取得される経路情報としては、走行予定経路中にある、交差点に関する情報(位置、信号の有無、車線数に関する情報を含む)、傾斜区間に関する情報(傾斜角度に関する情報を含む)、カーブに関する情報(開始点、終了点、旋回半径に関する情報を含む)、渋滞情報(渋滞の開始点、渋滞長、渋滞度、走行予定経路を構成する各リンクの平均車速に関する情報を含む)、規制情報(通行止めや車線規制に関する情報を含む)がある。そして、これらの経路情報は、地図情報DB47から読み出すこと、又は通信モジュール38を介してプローブセンタやVICSセンタと通信を行うことにより取得する。
【0046】
次に、S4においてCPU51は、前記S2で取得した車両2の走行履歴や前記S3で取得した走行予定経路の経路情報に基づいて、前記S1で特定された走行予定経路を車両が走行する際の区間毎の車速及び加速度を推定する。
具体的にCPU51は、走行予定経路を構成するリンクを車両2が過去に走行していた場合には、そのリンクの区間については過去の走行時の車速データ及び加速度データを適用する。
【0047】
その後、S5においてCPU51は、前記S4で推定された車速及び加速度に基づいて、前記S1で特定された走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の車両2の駆動力を推定する。
ここで、車両2の走行に必要な駆動力は、車両2に生じる空気抵抗、転がり抵抗、勾配抵抗、加速抵抗等の各種走行抵抗に依存することが一般に知られている。図7は車両に生じる各種走行抵抗を示した模式図である。
【0048】
図7に示すように、走行中の車両に生じる走行抵抗R[kN]は、加速抵抗Ro[kN]、転がり抵抗Rr[kN]、空気抵抗Rl[kN]、勾配抵抗Ri[kN]からなる。そして、各種走行抵抗Ro、Rr、Rl、Riに基づく駆動力P[W]は、各種走行抵抗Ro、Rr、Rl、Riを加算した値に車速V[km/h]を乗じた値となり、以下の式(1)で表される。
P=(Ro+Rr+Rl+Ri)×V・・・・(1)
【0049】
そして、加速抵抗Roは、車重(乗員や燃料の重量も含める)M[kg]の抗力W(=M×g)[kN]と駆動機構慣性重量Wrと加速度α[m/s]と重力加速度g[m/s]を用いて、以下の式(2)で表される。
Ro=(W+Wr)×α/g・・・・(2)
また、転がり抵抗Rrは、転がり抵抗係数μrと車重M[kg]の抗力W[kN]の積であり、以下の式(3)で表される。
Rr=μr×W・・・・(3)
また、空気抵抗Rlは、空気抵抗係数μlと前面投影面積A[m]、車速V[km/h]の積であり、以下の式(4)で表される。
Rl=μl×A×V・・・・(4)
また、勾配抵抗Riは、車両の走行する道路の勾配をφ(deg)とすると、以下の式(5)で表される。
Ri=W×sinφ・・・・(5)
【0050】
そして、CPU51は、前記S2で取得した車両2の各種パラメータ情報と前記S3で取得した走行予定経路の経路情報に基づいて、車両2の車速及び加速度を推定できる区間については、上記式(1)〜(5)より走行予定経路中の地点毎(例えば、0.5sec経過毎の車両の予測地点)の駆動力Pを算出(推定)する。更に、図8に示すように、算出した地点毎の駆動力Pを、走行予定経路を構成する区間毎に平均化する。その結果、走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の車両2の駆動力Paveが算出される。
具体的には、その区間を走行するのに必要な時間をΔtとすると、区間毎に必要な車両2の駆動力Paveは以下の式(6)により算出される。
ave=∫Pdt/Δt・・・・(6)
【0051】
一方、車両2の車速及び加速度を推定できない区間、即ち、車両2の走行履歴の無い区間については、プローブセンタからその区間を走行するのに必要な駆動力Paveを取得する。尚、プローブセンタから取得する駆動力Paveは、例えば車両2と同じ規格のプローブカーから収集した該当区間の駆動力Paveの平均値である。
【0052】
また、図9には、前記S5で推定された区間毎の車両2の駆動力Paveを、走行予定経路63全体について表した一例を示す。尚、区間とは走行予定経路をリンク毎に区分した区間でも良いし、所定距離(例えば100m)毎に区分した区間でも良い。また、前記S4で推定された区間毎の車両2の駆動力Paveについては、RAM52等に記憶される。
【0053】
尚、上記S2〜S5の処理に代えて、過去の走行時に測定した駆動輪の車軸に生じるトルクT[N・m]及び車軸の回転数Nに基づいて、車両の走行に必要な駆動力を推定する処理を実行しても良い。以下に、その具体例について説明する。
【0054】
具体的には、駆動力P[W]は、駆動輪の車軸に生じるトルクT[N・m]に車軸の回転数Nを乗じた値となり、以下の式(7)で表される。
P=T×N・・・・(7)
【0055】
ここで、駆動輪の車軸に生じるトルクTの計測手段には例えば以下に示す方法がある。
(a)ひずみゲージにより計測する方法
ひずみが生じる測定対象物(本実施形態では車軸)に電気絶縁物を介して金属(抵抗体)を接着することで、測定対象物の伸縮に比例してこれが伸縮し抵抗値が変化する。これを電圧値に変換することでトルク量を測定する。
(b)磁歪式により計測する方法
回転軸にトルクが加わり歪みが発生したとき、透磁率が増加する張力方向に磁束が透過するようにコイルを設置することで、透磁率の減少側と増加側にあるコイルの差動電圧を測定し、トルク量を算出する。
(c)光学式により計測する方法
軸継ぎ手にテクスチャを貼り、レーザ光線を当てたときにできる複屈折による色彩パターンを画像処理で認識、トルク量に変換する。
(d)位相差検出式により計測する方法
車軸の両端に等速ジョイントを具備し、各等速ジョイントの外輪に取り付けたリングから発生する回転信号を検出、車軸に生じたねじれに対応する回転信号の位相差よりトルク量を算出する。
【0056】
そして、CPU51は、過去の走行において上記(a)〜(d)のいずれかの方法により計測したトルクTの値を用いて、上記式(7)より走行した経路の地点毎(例えば、0.5sec経過毎の車両の予測地点)の駆動力Pを算出する。
その後、CPU51は、算出した地点毎の駆動力Pを、走行した経路を構成する区間毎に平均化し、走行した経路における区間毎の車両2の平均の駆動力Paveを算出する。
続いて、算出した駆動力Paveを車両パラメータDB46に走行履歴として記憶する。
【0057】
そして、過去の走行で走行履歴として記憶された区間毎の車両2の駆動力Paveを用いて、前記S1で特定された走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の車両2の駆動力を推定する。
また、車両2の走行履歴の無い区間については、前述した例と同様にプローブセンタから駆動力Paveを取得する。
【0058】
次に、S6においてCPU51は、車両2に搭載されたバッテリ7のSOC値(バッテリ7のエネルギー残量)を充電制御ECU13から取得する。
【0059】
更に、S7においてCPU51は、前記S1で特定された走行予定経路の全区間を車両2がEV走行のみで走行する場合に、駆動モータ5の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する。
ここで、車両2の走行に基づいて駆動源(駆動モータ5)で消費される消費エネルギー量は、車両2の走行に必要な駆動力にその駆動力が生じた時間を乗じた値となる。
そして、ある区間nを走行するのに消費されるエネルギー量Enは、区間nの走行に必要な車両2の駆動力Pave(n)に区間nを走行するのに必要な時間Δtnを乗じた値となる。従って、走行予定経路の全区間を走行した場合に消費される消費エネルギー量Eexは走行予定経路の各区間を走行するのに消費されるエネルギー量Enを合計した値であり、以下の式(8)で表される。
ex=ΣE=Σ(Pave(n)×Δtn)・・・・(8)
そして、走行予定経路の全区間を車両2がEV走行のみで走行する場合に、駆動モータ5の駆動に必要なトータルの必要エネルギー量Etotalは、走行予定経路の走行中にバッテリ7に蓄えられると推定される回生エネルギーのエネルギー量Ereを考慮すると、以下の式(9)で表される。
total=Eex−Ere・・・・(9)
尚、回生エネルギーのエネルギー量Ereは、前記S3で取得した走行予定経路の経路情報に基づいて、走行予定経路中にある降坂路や制動が予測される地点(交差点、カーブ、渋滞エリア)を考慮して算出される。
【0060】
その後、S8でCPU51は、前記S6で推定したトータルの必要エネルギー量Etotalと、前記S6で取得したバッテリのSOC値を比較して、現在のバッテリ7のSOC値で車両2がEV走行のみによって目的地まで走行可能か否か判定する。具体的には、トータルの必要エネルギー量EtotalがバッテリのSOC値より小さい場合に、車両2がEV走行のみで目的地まで走行可能であると判定する。
【0061】
そして、現在のバッテリ7のSOC値で車両2がEV走行のみで目的地まで走行可能と判定された場合(S8:YES)には、制御スケジュールを生成することなく、当該制御スケジュール生成処理プログラムを終了する。その後、車両2が走行予定経路を走行する際には、EV走行のみで目的地まで走行する。一方、現在のバッテリ7のSOC値で車両2がEV走行のみで目的地まで走行できないと判定された場合(S8:NO)には、S9へと移行する。
【0062】
S9においてCPU51は、前記S4で推定された走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の車両2の駆動力Paveが、所定の閾値P0以上となる区間があるか否か判定する。尚、閾値P0は、その値以上の駆動力を必要とする区間でHV走行を行うことによって、車両2の燃料消費量を効果的に削減できる場合の駆動力の基準値である。
【0063】
その結果、区間毎の車両2の駆動力Paveが所定の閾値P0以上となる区間があると判定された場合(S9:YES)には、推定された区間毎の車両2の駆動力Paveに基づいて制御スケジュールを生成することにより燃料消費量の抑制が達成できると判定し、S10へと移行する。後述のS10以降では、区間毎の車両2の駆動力Paveに基づいて制御スケジュールが生成される。具体的には、後述のように駆動力Paveが所定の閾値以上となる区間を、HV走行を行う区間として優先する制御スケジュールを生成する。
【0064】
一方、区間毎の車両2の駆動力Paveが所定の閾値P0以上となる区間が無いと判定された場合(S9:NO)には、推定された区間毎の車両2の駆動力Paveに基づいて制御スケジュールを生成したとしても燃料消費量の抑制が達成できないと判定し、S12へと移行する。後述のS12以降では、走行予定経路において走行予定経路の周辺環境から前記駆動モータを駆動源とする走行を推奨するモータ走行推奨区間を特定し、特定されたモータ走行推奨区間に基づいて制御スケジュールが生成される。具体的には、後述のように排出ガス抑制推奨施設の周辺(例えば半径300m以内)エリアに含まれる区画や大気汚染エリアに含まれる区画を、EV走行を行う区間として優先する制御スケジュールを生成する。
【0065】
そして、S10においてCPU51は、区間毎の車両2の駆動力Paveに基づいて制御スケジュールを生成する。具体的には以下の(A1)〜(C1)の条件を満たすように制御スケジュールが生成される。
(A1)駆動力Paveが所定の閾値以上となる区間を、HV走行を行う区間として優先する。
(B1)目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下(例えば3%以下)となるようにする。
具体的には、駆動力Paveが所定の閾値以上となる全ての区間をHV走行区間とし、それ以外の区間をEV走行区間とした場合において、目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下(例えば3%以下)とならない場合には、目的地に到着した時のバッテリ7のSOC値が所定値以下となるまで、出発地から近いHV走行区間から順にEV走行区間に置き換える。
(C1)駆動力Paveが所定の閾値以上となる全ての区間をHV走行区間とし、それ以外の区間をEV走行区間とした場合において、走行予定経路の走行中にバッテリ7のSOC値が所定値以下(例えば3%以下)となる場合には、駆動力Paveが大きいEV走行区間から順にHV走行区間に置き換える。
【0066】
例えば、図9は車両2が出発地61から目的地62までの走行予定経路63を走行する際の区間毎の車両2の駆動力Pave、バッテリ7のSOC値及び前記S9で生成される制御スケジュール49の一例を示した図である。
図9に示すように、走行予定経路63の内、区間B、区間D、区間Fにおける駆動力Paveが所定の閾値P0以上となる。従って、上記条件(A1)に従い、区間B、区間D、区間FをHV走行を行う区間として優先する。但し、区間B、区間D、区間Fを全てHV走行区間とすると、目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下とならないので、上記条件(B1)に従い、出発地に最も近い区間BはHV走行区間からEV走行区間に置き換える。
その結果、図9に示す制御スケジュール49が生成される。図9に示す制御スケジュール49は、走行予定経路63の内、区間A〜区間C、区間E、区間GをEV走行に設定し、区間D、区間FをHV走行に設定する。
尚、生成された制御スケジュール49はデータ記録部32に記憶される(即ち、ナビゲーション装置1に設定される)。
【0067】
次に、S11においてCPU51は、車両2が今後に走行予定経路を走行する際に、生成された制御スケジュール49に基づいて駆動源の制御を行うことを液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて案内する。尚、走行予定経路を走行中に走行制御を変更(EV走行→HV走行、又は、HV走行→EV走行)するタイミングで案内を行うように構成しても良い。その後、当該制御スケジュール生成処理プログラムを終了する。
【0068】
一方、S12においてCPU51は、走行予定経路沿い(例えば、走行予定経路から300m以内)にある排出ガス抑制推奨施設に関する情報を地図情報DB47から取得する。尚、前記S12で取得される排出ガス抑制推奨施設に関する情報としては、排出ガス抑制推奨施設の施設種別(病院、学校、幼稚園、保育園、公園等)、位置座標等がある。尚、排出ガス抑制推奨施設に関する情報は通信モジュール38を介して情報センタから取得する構成としても良い。
【0069】
次に、S13においてCPU51は、走行予定経路にある大気汚染エリアに関する情報を地図情報DB47から取得する。尚、前記S13で取得される大気汚染エリアに関する情報としては、大気汚染エリアの範囲を特定する座標、リンク、行政区画等がある。尚、大気汚染エリアに関する情報は通信モジュール38を介して情報センタから取得する構成としても良い。また、大気汚染状態を検出するセンサを車両2に設置し、過去走行時のセンサの検出結果から大気汚染エリアを特定しても良い。
【0070】
続いて、S14においてCPU51は、前記S12で取得した排出ガス抑制推奨施設に関する情報に基づいて、走行予定経路沿いに排出ガス抑制推奨施設があるか否か判定する。そして、走行予定経路沿いに排出ガス抑制推奨施設があると判定された場合(S14:YES)には、S15へと移行する。それに対して、走行予定経路沿いに排出ガス抑制推奨施設がないと判定された場合(S14:NO)には、S20へと移行する。
【0071】
また、S15においてCPU51は、前記S12で取得した排出ガス抑制推奨施設に関する情報に基づいて排出ガス抑制推奨施設から半径300m以内のエリアに含まれる区間を特定し、特定された区間に基づいて制御スケジュール49を生成する。具体的には以下の(A2)、(B2)の条件を満たすように制御スケジュール49が生成される。
(A2)排出ガス抑制推奨施設から半径300m以内のエリアに含まれる区間を、EV走行を行う区間として優先する。
(B2)排出ガス抑制推奨施設から半径300m以内のエリアに含まれる全ての区間をEV走行区間とし、それ以外の区間をHV走行区間とした場合において、走行予定経路の走行中にバッテリ7のSOC値が所定値以下(例えば3%以下)となる場合には、優先順位テーブル48(図3)を参照し、優先順位の低い排出ガス抑制推奨施設の周辺で、且つ出発地から遠いEV走行区間から順にHV走行区間に置き換える。
【0072】
例えば、図10は車両2が出発地71から目的地72までの走行予定経路73を走行する際の区間毎の車両2の駆動力Pave、バッテリ7のSOC値及び前記S15で生成される制御スケジュール49の一例を示した図である。
図10に示すように、走行予定経路73沿いには排出ガス抑制推奨施設である学校74と病院75が位置する。そして、走行予定経路73には、学校74から半径300m以内のエリア76に含まれる区間B、区間Cと病院75から半径300m以内のエリア77に含まれる区間Eがある。従って、上記条件(A2)に従い、区間B、区間C、区間EをEV走行を行う区間として優先する。但し、区間B、区間C、区間Eを全てEV走行区間とすると、走行予定経路の走行中にバッテリ7のSOC値が所定値以下となるので、上記条件(B2)に従い、優先順位の低い学校74から半径300m以内のエリア76に含まれ、且つ出発地から最も遠い区間CはEV走行区間からHV走行区間に置き換える。
その結果、図10に示す制御スケジュール49が生成される。図10に示す制御スケジュール49は、走行予定経路73の内、区間B、区間EをEV走行に設定し、区間A、区間C、区間D、区間FをHV走行に設定する。
【0073】
その後、S16においてCPU51は、前記S15で生成された制御スケジュール49が、目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下(例えば3%以下)となる制御スケジュールであるか否か判定する。
例えば、図11は車両2が出発地81から目的地82までの走行予定経路83を走行する際の区間毎の車両2の駆動力Pave、バッテリ7のSOC値及び前記S15で生成される制御スケジュール49の一例を示した図である。
図11に示すように、走行予定経路83には、モータ走行推奨区間として、病院84から半径300m以内のエリア85に含まれる区間Bがある。従って、上記条件(A2)に従い、区間BをEV走行を行う区間として優先する。但し、区間B以外の区間を全てHV走行区間とすると、目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下とならない。
即ち、図11に示す制御スケジュール49は、目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下とならない制御スケジュールである。
【0074】
そして、前記S16において前記S15で生成された制御スケジュールが、目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下となる制御スケジュール49(図10参照)であると判定された場合(S16:YES)には、S11へと移行する。そして、生成された制御スケジュール49に基づいて駆動源の制御を行うことを液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて案内した後に、当該制御スケジュール生成処理プログラムを終了する。
【0075】
一方、前記S16において前記S15で生成された制御スケジュールが、目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下とならない制御スケジュール49(図11参照)であると判定された場合(S16:NO)には、S17へと移行する。
【0076】
S17においてCPU51は、前記S13で取得した大気汚染エリアに関する情報に基づいて、走行予定経路内に大気汚染区間(大気汚染エリアに含まれる区間)があるか否か判定する。そして、走行予定経路内に大気汚染区間があると判定された場合(S17:YES)には、S18へと移行する。それに対して、走行予定経路内に大気汚染区間がないと判定された場合(S17:NO)には、S19へと移行する。
【0077】
S18においてCPU51は、前記S13で取得した大気汚染エリアに関する情報に基づいて走行予定経路内の大気汚染区間を特定し、特定された大気汚染区間に基づいて前記S15で生成された制御スケジュール49を修正する。具体的には以下の(A3)〜(C3)の条件を満たすように制御スケジュールが修正される。
(A3)大気汚染区間を、EV走行を行う区間として優先する。
(B3)目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下(例えば3%以下)となるようにする。
具体的には、大気汚染エリアを含む区間を新たにEV走行区間として追加し、それ以外の区間をHV走行区間とした場合において、目的地に到着した時のバッテリ7のSOC値が所定値以下(例えば3%以下)とならない場合には、目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下となるまで、出発地から近いHV走行区間から順にEV走行区間に置き換える。
(C3)大気汚染エリアを含む区間を新たにEV走行区間として追加し、それ以外の区間をHV走行区間とした場合において、走行予定経路の走行中にバッテリ7のSOC値が所定値以下(例えば3%以下)となる場合には、大気汚染区間の内、出発地から遠いEV走行区間から順にHV走行区間に置き換える。
その後、S11へと移行する。
【0078】
例えば、図12は図11に示す走行予定経路83において更に大気汚染エリアを考慮した場合に、走行予定経路83を走行する際の区間毎の車両2の駆動力Pave、バッテリ7のSOC値及び前記S18の修正後の制御スケジュール49の一例を示した図である。
図12に示すように、走行予定経路83沿いには排出ガス抑制推奨施設である病院84が位置する。また、走行予定経路83内に大気汚染エリア86が存在する。そして、走行予定経路83には、モータ走行推奨区間として、病院84から半径300m以内のエリア85に含まれる区間Eと大気汚染エリア86に含まれる区間B、区間Cがある。従って、上記条件(A3)に従い、新たに区間B、区間CをEV走行を行う区間として優先する。但し、区間B、区間Cを全てEV走行区間とすると、走行予定経路の走行中にバッテリ7のSOC値が所定値以下となるので、上記条件(C3)に従い、大気汚染エリア86に含まれ、且つ出発地から最も遠い区間CはEV走行区間からHV走行区間に置き換える。
その結果、図11に示す制御スケジュール49は、図12に示す制御スケジュール49へと修正される。図12に示す制御スケジュール49は、走行予定経路83の内、区間B、区間EをEV走行に設定し、区間A、区間C、区間D、区間FをHV走行に設定する。
【0079】
一方、S19においてCPU51は、出発地からの距離に基づいて、前記S15で生成された制御スケジュール49を修正する。具体的には、目的地に到着した時のバッテリ7のSOC値が所定値以下となるまで、出発地から近いHV走行区間から順にEV走行区間に置き換える。その後、S11へと移行する。
【0080】
また、S20においてCPU51は、前記S13で取得した大気汚染エリアに関する情報に基づいて、走行予定経路内に大気汚染区間があるか否か判定する。そして、走行予定経路内に大気汚染区間があると判定された場合(S20:YES)には、S21へと移行する。それに対して、走行予定経路内に大気汚染区間がないと判定された場合(S20:NO)には、制御スケジュールを生成することなく、当該制御スケジュール生成処理プログラムを終了する。その後、車両2が走行予定経路を走行する際には、出発地からバッテリ7のSOC値が所定値以下となるまではEV走行のみで走行し、バッテリ7のSOC値が所定値以下となった後はHV走行のみで目的地まで走行する。
【0081】
S21においてCPU51は、前記S13で取得した大気汚染エリアに関する情報に基づいて走行予定経路内の大気汚染区間を特定し、特定された大気汚染区間に基づいて制御スケジュール49を生成する。具体的には上記した(A3)〜(C3)の条件を満たすように制御スケジュール49が生成される。その後、S11へと移行する。
【0082】
例えば、図13は車両2が出発地91から目的地92までの走行予定経路93を走行する際の区間毎の車両2の駆動力Pave、バッテリ7のSOC値及び前記S20で生成される制御スケジュール49の一例を示した図である。
図13に示すように、走行予定経路93内に大気汚染エリア94、95が存在する。そして、走行予定経路93には、モータ走行推奨区間として、大気汚染エリア94に含まれる区間B、大気汚染エリア95に含まれる区間D、区間Eがある。従って、上記条件(A4)に従い区間B、区間D、区間EをEV走行を行う区間として優先する。但し、区間B、区間D、区間Eを全てEV走行区間とすると、走行予定経路の走行中にバッテリ7のSOC値が所定値以下となるので、上記条件(C3)に従い、出発地から最も遠い区間EはEV走行区間からHV走行区間に置き換える。
その結果、図13に示す制御スケジュール49が生成される。図13に示す制御スケジュール49は、走行予定経路93の内、区間B、区間DをEV走行に設定し、区間A、区間C、区間D、区間EをHV走行に設定する。
【0083】
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置1においてナビゲーションECU33が実行する走行制御処理プログラムについて図14に基づき説明する。図14は本実施形態に係る走行制御処理プログラムのフローチャートである。ここで、走行制御処理プログラムは、制御スケジュール生成処理プログラム(図5、図6)が実行された後であって、車両2が走行予定経路の走行を開始した時点で実行され、車両2の走行を制御するプログラムである。
【0084】
走行制御処理プログラムでは、先ず、S31においてCPU51は、データ記録部32に制御スケジュール49が記憶されている(即ち、制御スケジュールが設定されている)か否か判定する。尚、制御スケジュール49は前記した制御スケジュール生成処理プログラムにおいて生成され、データ記録部32に記憶される(即ち、ナビゲーション装置1に設定される)。また、走行予定経路の目的地に到着した後には、制御スケジュール49はデータ記録部32から削除される。
【0085】
そして、データ記録部32に制御スケジュール49が記憶されている(即ち、制御スケジュールが設定されている)と判定された場合(S31:YES)には、S33へと移行する。それに対して、データ記録部32に制御スケジュール49が記憶されていない(即ち、制御スケジュールが設定されていない)と判定された場合(S31:NO)には、S32へと移行する。
【0086】
S32においてCPU51は、制御スケジュール49に依らない駆動源(エンジン4及び駆動モータ5)の制御を行う。具体的には、出発地からバッテリ7のSOC値が所定値以下となるまではEV走行のみで走行し、バッテリ7のSOC値が所定値以下となった後はHV走行のみで目的地まで走行する駆動源の制御を実行する。その後、S38へと移行する。
【0087】
一方、S33においてCPU51は、現在位置検出部31により車両2の現在位置を取得する。更に、車両2に搭載されたバッテリ7のSOC値を充電制御ECU13から取得する。また、取得した車両2の現在位置を地図上で特定するマップマッチング処理も行われる。
【0088】
次に、S34においてCPU51は、データ記録部32に記憶された制御スケジュール49に基づくバッテリの消費計画と、現在のSOC値とを比較することにより、バッテリの消費計画と現在のSOC値との間にズレが生じているか否か判定する。
【0089】
そして、バッテリの消費計画と現在のSOC値との間にズレが生じていると判定された場合(S34:YES)には、S35へと移行する。それに対して、バッテリの消費計画と現在のSOC値との間にズレが生じていないと判定された場合(S34:NO)には、S36へと移行する。
【0090】
S35においてCPU51は、バッテリの消費計画と現在のSOC値との間のズレ量を算出し、算出したズレ量に基づいて、データ記録部32に記憶されている制御スケジュール49を修正する。具体的には以下の(A4)、(B4)の条件を満たすように制御スケジュールが修正される。
(A4)目的地に到着した時にバッテリ7のSOC値が所定値以下とならない場合には、目的地に到着した時のバッテリ7のSOC値が所定値以下となるまで、出発地から近いHV走行区間から順にEV走行区間に置き換える。
(B4)走行予定経路の走行中にバッテリ7のSOC値が所定値以下となる場合には、出発地から遠いEV走行区間から順にHV走行区間に置き換える。但し、大気汚染エリアに基づくEV走行区間がある場合には、先ず大気汚染エリアに基づくEV走行区間をHV走行区間に置き換える。
その後、S36へと移行する。
【0091】
次に、S36においてCPU51は、前記S33で算出した車両2の現在位置と、制御スケジュール49とに基づいて、走行制御を変更(EV走行→HV走行、又は、HV走行→EV走行)するタイミングとなったか否かを判定する。
【0092】
そして、走行制御を変更するタイミングとなったと判定された場合(S36:YES)には、S37へと移行する。S37においてCPU51は、制御スケジュール49に基づく駆動源(エンジン4及び駆動モータ5)の制御を行う。具体的には、走行制御を変更するタイミングであると判定された場合に、車両制御ECU9に対してEV走行又はHV走行を指示する制御指示を送信する。そして、EV走行を指示する制御指示を受信した車両制御ECU9は、駆動モータ制御ECU11を介して駆動モータ5を制御し、駆動モータ5のみを駆動源とするEV走行を開始する。また、HV走行を指示する制御指示を受信した車両制御ECU9は、エンジン制御ECU10及び駆動モータ制御ECU11を介してエンジン4及び駆動モータ5を制御し、エンジン4と駆動モータ5とを駆動源として併用して走行するHV走行を開始する。また、HV走行時には所定区間(例えば、車両2が高速で定常走行する区間)において発電機6を駆動することによって、バッテリ7の充電も行われる。その後、S38へと移行する。
【0093】
一方、走行制御を変更するタイミングでないと判定された場合(S36:NO)には、S38へと移行する。
【0094】
その後、S38においてCPU51は、車両2が走行予定経路の目的地に到着したか否か判定する。そして、目的地に到着したと判定された場合(S38:YES)には、当該走行制御処理プログラムを終了する。一方、目的地に到着していないと判定された場合(S38:NO)には、S33へと戻り、継続して処理を行う。
【0095】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による走行支援方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、車両2の走行予定経路の経路情報と車両情報を取得し(S2、S3)、取得した走行予定経路の経路情報及び車両情報に基づいて、走行予定経路を走行する場合に必要な車両2の駆動力を区間毎に推定し(S4)、推定された区間毎の車両2の駆動力が閾値以上となる区間があるか否か判定し(S9)、推定された区間毎の車両2の駆動力が閾値以上となる区間が無いと判定された場合に、走行予定経路において走行予定経路の周辺環境から駆動モータ5を駆動源とする走行を推奨するモータ走行推奨区間を特定し、特定されたモータ走行推奨区間に基づいて制御スケジュール49を生成する(S15、S19、S21)ので、燃料消費量を削減する効果的な制御スケジュール49が生成できない場合において、走行予定経路の周辺環境を考慮すべき区間、例えばエンジン駆動音や排出ガスの排出量を減らすべき区間を考慮した制御スケジュール49を生成することができる。従って、走行予定経路の周辺環境に配慮した走行を行わせるこが可能となる。
車両等による排出ガスの排出や騒音の発生を避けるように推奨されている特定の施設(例えば、病院、学校等)の周辺等のエンジン駆動音を低減すべき或いは排出ガスの排出量を減らすべき区間において、モータ走行を優先する制御スケジュール49を生成することができる。従って、特定施設に配慮した走行を行わせることが可能となる。
また、大気汚染区間等の排出ガスの排出量を減らすべき区間において、モータ走行を優先する制御スケジュール49を生成することができる。従って、大気汚染の深刻な地域に配慮した走行を行わせることが可能となる。
【0096】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではS15において施設周辺での車両等による排出ガスの排出を避けるように推奨されている排出ガス抑制推奨施設に基づいて制御スケジュールを生成するように構成されているが、施設周辺での騒音の発生を避けるように推奨されている騒音抑制推奨施設に基づいて制御スケジュールを生成するように構成しても良い。その際には、騒音抑制推奨施設の周辺(例えば半径300m以内)が、駆動モータ5を駆動源とする走行を推奨するモータ走行推奨区間に該当する。それによって、施設周辺での騒音の発生を避けるように推奨されている施設の周辺において、車両2のエンジン音を低減する制御スケジュール49を生成することができる。従って、特定の施設の周辺環境に配慮した走行を行わせるこが可能となる。
【0097】
また、本実施形態では、制御スケジュールにおいて走行予定経路の区間毎にEV走行を行うEV走行区間と、HV走行を行うHV走行区間とを設定しているが、走行予定経路の区間毎に駆動モータ5のみを駆動源として走行するモータ走行区間と、エンジン4のみを駆動源として走行するエンジン走行区間とを設定しても良い。また、発電機6を駆動することによって、バッテリ7の充電を行う区間も設定しても良い。
【0098】
また、本実施形態では、走行予定経路の経路情報や車両情報に基づいて走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の車両2の駆動力を推定しているが、車両の走行履歴に基づいて推定しても良い。また、プローブセンタから取得する構成としても良い。例えば、過去に同一のリンクを走行した走行履歴がある場合には、過去の走行時における駆動力を用いる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施形態に係る車両及び車両制御システムの概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る車両制御システムの制御系を模式的に示すブロック図である。
【図3】優先順位テーブルの一例を示した図である。
【図4】制御スケジュールの一例を示した図である。
【図5】本実施形態に係る制御スケジュール生成処理プログラムのフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る制御スケジュール生成処理プログラムのフローチャートである。
【図7】走行中の車両に生じる走行抵抗の一例について示した図である。
【図8】区間毎に必要となる車両の駆動力の算出例を示した図である。
【図9】車両の区間毎の駆動力に基づいて生成される制御スケジュールの一例を示した図である。
【図10】排出ガス抑制推奨施設に基づいて生成される制御スケジュールの一例を示した図である。
【図11】ステップ18の修正前の制御スケジュールの一例を示した図である。
【図12】ステップ18の修正後の制御スケジュールの一例を示した図である。
【図13】大気汚染区間に基づいて生成される制御スケジュールの一例を示した図である。
【図14】本実施形態に係る走行制御処理プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1 ナビゲーション装置
2 車両
3 車両制御システム
4 エンジン
5 駆動モータ
33 ナビゲーションECU
49 制御スケジュール
51 CPU
52 RAM
53 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源として駆動モータとエンジンを備える車両の走行予定経路を特定する走行予定経路特定手段と、
前記走行予定経路の経路情報を区間毎に取得する経路情報取得手段と、
前記走行予定経路の経路情報に基づいて、前記走行予定経路を走行する場合に必要な区間毎の前記車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、
前記駆動力推定手段によって推定された前記車両の駆動力が所定の閾値以上となる区間があるか否か判定する駆動力判定手段と、
前記駆動力判定手段によって前記車両の駆動力が所定の閾値以上となる区間がないと判定された場合に、前記走行予定経路において、前記走行予定経路の周辺環境から前記駆動モータを駆動源とする走行を推奨するモータ走行推奨区間を特定し、特定されたモータ走行推奨区間に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記駆動モータと前記エンジンの制御スケジュールを生成する制御スケジュール生成手段と、
前記車両が前記走行予定経路を走行する場合に、前記制御スケジュールに基づいて前記駆動モータと前記エンジンを制御する駆動制御手段と、を有することを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記モータ走行推奨区間は、特定の施設の周辺にある区間であり、
前記制御スケジュール生成手段は、
前記走行予定経路において前記特定の施設の周辺にある区間を特定し、
特定された前記特定の施設の周辺にある区間において前記駆動モータを駆動源とした走行を優先する制御スケジュールを生成することを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記モータ走行推奨区間は、大気汚染区間であり、
前記制御スケジュール生成手段は、
前記走行予定経路において前記大気汚染区間を特定し、
特定された前記大気汚染区間において前記駆動モータを駆動源とした走行を優先する制御スケジュールを生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
駆動源として駆動モータとエンジンを備える車両の走行予定経路を特定する走行予定経路特定ステップと、
前記走行予定経路の経路情報を区間毎に取得する経路情報取得ステップと、
前記走行予定経路の経路情報に基づいて、必要な区間毎の前記車両の駆動力を推定する駆動力推定ステップと、
前記駆動力推定ステップによって推定された前記車両の駆動力が所定の閾値を超える区間があるか否か判定する駆動力判定ステップと、
前記駆動力判定ステップによって前記車両の駆動力が所定の閾値を超える区間がないと判定された場合に、前記走行予定経路において、前記走行予定経路の周辺環境から前記駆動モータを駆動源とする走行を推奨するモータ走行推奨区間を特定し、特定されたモータ走行推奨区間に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記駆動モータと前記エンジンの制御スケジュールを生成する制御スケジュール生成ステップと、
前記車両が前記走行予定経路を走行する場合に、前記制御スケジュールに基づいて前記駆動モータと前記エンジンを制御する駆動制御ステップと、を有することを特徴とする走行支援方法。
【請求項5】
コンピュータに搭載され、
駆動源として駆動モータとエンジンを備える車両の走行予定経路を特定する走行予定経路特定機能と、
前記走行予定経路の経路情報を区間毎に取得する経路情報取得機能と、
前記走行予定経路の経路情報に基づいて、必要な区間毎の前記車両の駆動力を推定する駆動力推定機能と、
前記駆動力推定機能によって推定された前記車両の駆動力が所定の閾値を超える区間があるか否か判定する駆動力判定機能と、
前記駆動力判定機能によって前記車両の駆動力が所定の閾値を超える区間がないと判定された場合に、前記走行予定経路において、前記走行予定経路の周辺環境から前記駆動モータを駆動源とする走行を推奨するモータ走行推奨区間を特定し、特定されたモータ走行推奨区間に基づいて、前記車両が前記走行予定経路を走行する際における前記駆動モータと前記エンジンの制御スケジュールを生成する制御スケジュール生成機能と、
前記車両が前記走行予定経路を走行する場合に、前記制御スケジュールに基づいて前記駆動モータと前記エンジンを制御する駆動制御機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−132240(P2010−132240A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312506(P2008−312506)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】