説明

走行支援装置

【課題】自車両が走行車線を離れる際に警報を行うことで安全走行を支援する走行支援装置において、車線変更時の安全性を向上させること。
【解決手段】後続車両が存在するか否かを判定する(S110)。後続車両が存在すると判定された場合には(S110:YES)、運転者に車線変更の意図があるか否かを判定する(S120)。具体的には、ドライバ操作判定部が、ステアリングセンサから入力された自車両のステアリングホイールの操作状態からステアリングホイール操作の有無を判定する。運転者に車線変更の意図があると判定された場合には(S120:YES)、自動ウインカをONに設定するとともに警報ACTによる報知警報をONに設定する(S130)。なお、自動ウインカがONに設定されると作動機能調停部が自動ウインカを作動させ、警報ACTによる報知警報がONに設定されると作動機能調停部が警報ACTを作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両が走行車線を離れる際に警報を行うことで安全走行を支援する走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載カメラにより撮像される画像データに画像認識処理を施すことで、自車両に対する走行車線上の車線境界を認識して、この車線境界と自車両との距離が所定の距離閾値以下であるときに、後述の抑制要求がなければ、運転者の意思によらずに自車両が車線境界を逸脱してしまう可能性が高いと判定して直ちに警報を行う車線逸脱警報(Lane Departure Warning;以下、LDWと略す)装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、抑制要求とは、運転者による意図的な運転操作(以下、意図的操作という)を検出した場合に、運転者の意思によって自車両が走行車線を離れようとしている(又は、車線逸脱を回避しようとしている)ものとみなして、LDWの発動を禁止するための制御指令である。また、具体的に意図的操作は、ステアリングホイールの操作と、ウインカをオンにする車線変更操作とを総称する。
【0004】
一方、運転者による車線変更操作(即ち、ウインカ操作)を検出したときに、車載レーダ装置から得られるターゲット情報に基づき、ウインカ操作によって指示される側の隣接車線上に後方から所定距離内に接近する他車両(以下、後続車両という)が検出された場合に、直ちに警報を行う車線変更警報(Lane Change Warning;以下、LCWと略す)装置が知られている。
【0005】
例えば、特許文献2に開示される技術では、車両周辺の障害物の存在を検知するとともに車両の進路を検出し、車両の進路に関係する障害物が存在するか否かを判定し、進路に関係する障害物が存在する場合には、警報を発するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3738709号公報(第5〜7頁、図2)
【特許文献2】特開2002−216299号公報(第4頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、LDW装置とLCW装置とを連携させることにより構成される走行支援システムを車両に実装した場合、これら装置の両方の機能が実現されるため、運転者の不注意により自車両が走行車線を離れる際に、確実に車線逸脱警報(LDW)又は車線変更警報(LCW)のいずれかが発生し、安全性を飛躍的に向上させることが期待される。
【0008】
しかし、このような走行支援システムでは、次のような問題があった。すなわち、最近、交差点通過する際の車線変更や緩いカーブ路での車線変更において、ウインカ操作せずに車線変更するドライバが増えている。そして、駐車車両や障害物を避けるため、ウインカ操作を行わずに急に車線変更するケースも少なくない。このように車線変更をする旨の意思表示が不十分なまま車線変更を行うと、後続車両の反応が遅れ、場合によっては後続車両と急接近するに至るという問題があった。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、車線変更時の安全性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る走行支援装置(1:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための形態」欄で用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、「自車両の斜め後方を走行する後続車両が存在する場合に、後続車両が走行する隣接車線への車線変更を自車両の運転者が意図するときには、後続車両に対する警報を行う」ことを特徴とする。
【0011】
具体的には、後続車両認識手段(11)が、自車両が走行する走行車線に隣接する隣接車線上を走行して自車両の斜め後方に位置する後続車両を認識する。また、操作検出手段(12)が、自車両の運転者によって行われたステアリングホイール操作を検出する。そして、後続車両認識手段によって後続車両が認識された場合に、運転者意図判断手段(12)が、操作検出手段により検出されたステアリングホイール操作に基づき、後続車両が走行する前記隣接車線への車線変更を自車両の運転者が意図するか否かを判断する。運転者意図判断手段によって隣接車線への車線変更を自車両の運転者が意図すると判断された場合には、制御手段(13)が警報手段(42)を制御して警報を行わせる。
【0012】
なお、警報の実行方法としては、例えば自車両のウインカー(42)を点灯させることが考えられる(請求項6)。
このことにより、車線変更時に後続車両の急接近を防止することができ、したがって、車線変更時の安全性を向上させることができる。
【0013】
この場合、警報を行うのは、自車両が移動中である場合または自車両の運転者が自車両を移動させようとする意図がある場合に限定してもよい(請求項2)。
なお、自車両が移動中であるか否かについては、自車両の走行速度から判断することが考えられる(請求項3)。また、自車両の運転者が自車両を移動させようとする意図があるか否かについては、自車両のブレーキ装置が作動中であるか否かによって判断することが考えられる(請求項4)。また、上記意図を、自車両のスロットル装置が作動中であるか否か(請求項5)によって判断してもよい。
【0014】
ところで、警報を実行中に所定条件を満たす場合には警報を終了するようにしてもよい(請求項7)。
この場合、(イ)車線変更が終了した場合(請求項8)や、(ロ)運転者が警報をキャンセルした場合(請求項9)、(ハ)運転者が車線変更する隣接車線とは反対側へステアリングホイール操作を行った場合(請求項10)などに所定条件を満たすとみなすことが考えられる。
【0015】
また、警報が実行されている旨を運転者に報知するようにしてもよい(請求項11)。例えば、音による報知(請求項12)や表示による報知(請求項13)が挙げられる。
さらに、後続車両が存在しない場合に車線変更するときには、警報を行わないようにするとよい(請求項14)。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】自動ウインカシステム1の構成図(a)および機能説明図(b)
【図2】自動ウインカ判定処理を示すフローチャート
【図3】ウインカ終了判定処理を示すフローチャート
【図4】自動ウインカ判定処理の説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[実施形態]
図1は自動ウインカシステム1の構成図(a)および機能説明図(b)である。
【0018】
[1.1.自動ウインカシステム1の構成の説明]
まず、自動ウインカシステム1の構成について図1(a)を参照して説明する。
走行支援装置としての自動ウインカシステム1は、CPU,ROM,RAM,I/O及びバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、このうちCPUが、後側方車両有無判定部11(詳細は後述)、ドライバ操作判定部12(詳細は後述)および作動機能調停部13(詳細は後述)として機能し、RAMを作業エリアとして、ROMに記憶されたプログラムに基づき自動ウインカ判定処理(詳細は後述)を実行する。
【0019】
[1.2.自動ウインカシステム1の周辺構成の説明]
次に、自動ウインカシステム1の周辺構成について説明する。
自動ウインカシステム1には、車線変更警報装置21、車線変更警報装置22、車輪速センサ23、ステアリングセンサ24、ブレーキSW25、スロットルセンサ26およびウインカSW27から出力される各種情報が入力される。
【0020】
車線変更警報装置21は、レーダセンサ31から取得した情報に基づき後続車両を検知し、その検知結果を自動ウインカシステム1に出力することにより、車線変更時に警報を発生させる装置である。なお、レーダセンサ31は、例えばFMCW方式のいわゆる「ミリ波レーダ」として構成されたものである。具体的には、周波数変調されたミリ波帯のレーダ波を送受信することにより、自車両の走行車線に対して隣接車線上を走行する他車両(後続車両)を検出し、この検出結果に基づき、後続車両に関するターゲット情報を作成して、そのターゲット情報を車線変更警報装置21に出力する。そして、車線変更警報装置21は、ターゲット情報がレーダセンサ31から入力された場合には後続車両が存在すると判定し、その旨を検知結果として自動ウインカシステム1に出力する。
【0021】
車線逸脱警報装置22は、画像センサ32から取得した情報に基づき走行道路上の白線を検知し、その検知結果を自動ウインカシステム1に出力することにより、車線変更時に警報を発生させる装置である。なお、作動機能調停部13は、車線逸脱警報装置22の出力を利用して、車線変更が終了したか否かを判定し、車線変更が終了した場合に、自動ウインカ42が点灯中であるときには点灯を終了する。なお、画像センサ32は、自車両の例えば中央前方側に装着されて、その車両前方の走行車線を含む風景を撮像した画像データを出力する。そして、車線変更警報装置22は、画像データが画像センサ32から入力された場合には、画像データを画像処理して白線を検知し、検知結果を自動ウインカシステム1に出力する。
【0022】
車輪速センサ23は、自車両の車輪の回転速度を検出し、その検出結果を自動ウインカシステム1に出力する。
ステアリングセンサ24は、自車両のステアリングホイールの操作状態を検出し、その検出結果を自動ウインカシステム1に出力する。
【0023】
ブレーキSW25は、自車両のブレーキの操作状態を検出し、その検出結果を自動ウインカシステム1に出力する。
スロットルセンサ26は、自車両のスロットルの操作状態を検出し、その検出結果を自動ウインカシステム1に出力する。
【0024】
ウインカSW27は、ウインカの操作状態を検出し、その検出結果を自動ウインカシステム1に出力する。
自動ウインカシステム1は、警報アクチュエータ(以下、アクチュエータのことをACTという)41を制御して後続車両に対する警報を発生させる機能および自動ウインカ42を制御して点灯させる機能を有する。
【0025】
警報ACT41は、後述する自動ウインカ42の作動時に警報ブザーを発生することにより自動ウインカ42の作動を運転者に報知する。なお、自動ウインカ42が作動中である旨をモニタなどに表示することで運転者に報知するようにしてもよい。
【0026】
自動ウインカ42は、自車両の例えば後部右側および後部左側に装着され、点灯することにより後続車両に自車両の進行方向を知らせる。
[1.3.自動ウインカシステム1の機能の説明]
次に、自動ウインカシステム1の機能について、図1(a)および図1(b)を参照して説明する。
【0027】
まず、後側方車両有無判定部11は、自動ウインカシステム1に入力される各種情報に基づき後続車両の有無を判定する機能を有する。
また、ドライバ操作判定部12は、自動ウインカシステム1に入力される各種情報に基づき運転者が車線変更の意図を有するか否かを判定する機能を有する。
【0028】
また、作動機能調停部13は、自動ウインカシステム1に入力される各種情報、後側方車両有無判定部11による判定結果およびドライバ操作判定部12による判定結果に基づき、警報ACT41および自動ウインカ42を作動させる作動機能を調停する機能を有する。
【0029】
なお、後側方車両有無判定部11は後続車両認識手段に該当する。また、ドライバ操作判定部12は操作検出手段および運転者意図判断手段に該当する。また、作動機能調停部13は警報ACT41とともに報知手段に該当する。また、作動機能調停部13は制御手段に該当する。また、自動ウインカ42は警報手段に該当する。また、作動機能調停部13はウインカSW27とともに入力手段に該当する。
【0030】
[2.1.自動ウインカ判定処理の説明]
次に、自動ウインカシステム1が実行する自動ウインカ判定処理を、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0031】
本処理は、図示しないアクセサリ電源がオンとなり自動ウインカシステム1に電源供給された場合に他の処理からは独立して繰り返し実行される。
なお、初期状態では、自動ウインカ42がOFFに設定され、警報ACT41による報知警報もOFFに設定されている。なお、自動ウインカ42がOFFに設定されているときには作動機能調停部13は自動ウインカ42を作動させず、警報ACT41による報知警報がOFFに設定されているときには作動機能調停部13は警報ACT41による報知警報を作動させない。そして、自動ウインカ42がOFFからONに設定された場合には作動機能調停部13が自動ウインカ42を作動させ、自動ウインカ42がONからOFFに設定された場合には作動機能調停部13が自動ウインカ42を停止させる。また、警報ACT41による報知警報がOFFからONに設定された場合には作動機能調停部13が警報ACT41による報知警報を作動させ、警報ACT41による報知警報がONからOFFに設定された場合には作動機能調停部13が警報ACT41による報知警報を停止させる。
【0032】
まず、後続車両が存在するか否かを判定する(S110)。具体的には、後側方車両有無判定部11が、車線変更警報装置21から後続車両を検知した旨の検知結果が入力された場合には後続車両が存在すると判定し、一方、車線変更警報装置21から前記検知結果が入力されていない場合には後続車両が存在しないと判定する。
【0033】
後続車両が存在しないと判定された場合には(S110:NO)、車線変更時にも何もせずに本処理を終了する。なお、この場合、自動ウインカ42がOFFに設定されているととともに警報ACT41による報知警報もOFFに設定されているため、自動ウインカ42の点灯および警報ACT41による報知警報は行われない(図4(b)参照)。
【0034】
一方、後続車両が存在すると判定された場合には(S110:YES)、運転者に車線変更の意図があるか否かを判定する(S120)。具体的には、ドライバ操作判定部12が、ステアリングセンサ24から入力された自車両のステアリングホイールの操作状態からステアリングホイール操作の有無を判定する。そして、ドライバ操作判定部12が、ステアリングホイール操作が行われた場合には運転者に車線変更の意図があると判定し、一方、ステアリングホイール操作が行われなかった場合には運転者に車線変更の意図がないと判定する。
【0035】
運転者に車線変更の意図がないと判定された場合には(S120:NO)、自動ウインカ42をOFFに設定するとともに警報ACT41による報知警報をOFFに設定し(S150)、本処理を終了する。
【0036】
一方、運転者に車線変更の意図があると判定された場合には(S120:YES)、自動ウインカ42をONに設定するとともに警報ACT41による報知警報をONに設定し(S130)、ウインカ終了判定処理(S140、後述)を実行した後に、本処理を終了する。なお、自動ウインカ42がONに設定されると、作動機能調停部13が自動ウインカ42を作動させる。また、警報ACT41による報知警報がONに設定されると、作動機能調停部13が警報ACT41を作動させる(図4(a)参照)。
【0037】
[2.2.ウインカ終了判定処理の説明]
次に、自動ウインカシステム1が実行するウインカ終了判定処理を、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
本処理は、自動ウインカ判定処理の実行中にS140に移行した際にサブルーチンとして実行される。
まず、運転者がウインカをキャンセルしたか否かを判定する(S210)。具体的には、ドライバ操作判定部12が、ウインカSW27から入力されたウインカの操作状態から運転者がウインカをキャンセルしたか否かを判定する。
【0039】
運転者がウインカをキャンセルしたと判定された場合には(S210:YES)、作動機能調停部13が自動ウインカをOFFに設定し(S240)、本サブルーチンを終了する。なお、このときに自動ウインカ42がONからOFFに設定された場合には、作動機能調停部13が自動ウインカ42を停止させる。
【0040】
一方、運転者がウインカをキャンセルしなかったと判定された場合には(S210:NO)、車線変更する側とは反対側へのステアリングホイール操作が行われたか否かを判定する(S220)。具体的には、ドライバ操作判定部12が、ステアリングセンサ24から入力された自車両のステアリングホイールの操作状態からステアリングホイールが操作された方向を判定する。続いて、作動機能調停部13が、判定されたステアリングホイールが操作された方向と自車両の走行車線に対して後続車両が走行する隣接車線が存在する側とが一致するか否かを判定する。そして、作動機能調停部13が、一致する場合には車線変更する側とは反対側へのステアリングホイール操作が行われなかったと判定し、一方、不一致である場合には車線変更する側とは反対側へのステアリングホイール操作が行われたと判定する。
【0041】
車線変更する側とは反対側へのステアリングホイール操作が行われたと判定された場合には(S220:YES)、車線変更が途中で中止されたと判定して、作動機能調停部13が、自動ウインカ42をOFFに設定し(S240)、本サブルーチンを終了する。なお、自動ウインカ42がONからOFFに設定されると、作動機能調停部13が自動ウインカ42を停止させる。
【0042】
一方、車線変更する側とは反対側へのステアリングホイール操作が行われなかったと判定された場合には(S220:NO)、車線変更が終了したか否かを判定するため、車両が走行車線の中央に位置するか否かを判定する(S230)。具体的には、ドライバ操作判定部12が、画像センサ32から入力された画像データに基づき、自車両に対する走行車線上の車線区分線や道路の端を示す特徴物等の相対位置を認識する処理(画像認識処理)を行う。なお、画像認識処理には、エッジ検出やパターン検出などの周知の画像処理手法が用いられる。続いて、ドライバ操作判定部12が、認識された車線区分線や特徴物等の相対位置に基づいて、走行車線の境界線を表す車線境界を決定し、この車線境界と自車両との距離(Distance To Lane Boundary;以下、DTLBと略す)を特定する。なお、車線境界とは、例えば車線区分線の中心線や、車線区分線以外の特徴物により決定される境界線をいう。また、具体的にDTLBには、自車両における車線境界側の前輪外側部と車線境界との距離が用いられる。そして、ドライバ操作判定部12が、特定されたDTLBが両側の車線境界の間の距離の半値から乖離する値を算出する。ドライバ操作判定部12が、算出した値が予め設定される閾値以上である場合には、車両が走行車線の中央に位置しないと判定し、一方、算出した値が閾値未満である場合には、車両が走行車線の中央に位置すると判定する。
【0043】
車両が走行車線の中央に位置しないと判定される場合には(S230:NO)、車線変更が終了していないと判定して、作動機能調停部13が、自動ウインカ42の点灯が継続する時間が一定時間を越えたか否かを判定する(S250)。自動ウインカ42の点灯が継続する時間が一定時間を越えたと判定される場合には(S250:YES)、作動機能調停部13が自動ウインカ42をOFFに設定し(S240)、本サブルーチンを終了する。なお、自動ウインカ42がONからOFFに設定されると、作動機能調停部13が自動ウインカ42を停止させる。一方、自動ウインカ42の点灯が継続する時間が一定時間を越えていないと判定される場合には(S250:NO)、そのままS210に戻り、S210以降の処理を再び実行する。
【0044】
一方、車両が走行車線の中央に位置すると判定される場合には(S230:YES)、車線変更が終了したと判定して、作動機能調停部13が自動ウインカ42をOFFに設定し(S240)、本サブルーチンを終了する。なお、自動ウインカ42がONからOFFに設定されると、作動機能調停部13が自動ウインカ42を停止させる。
【0045】
[3.実施形態の効果]
このように本実施形態の自動ウインカシステム1によれば、自車両の斜め後方を走行する後続車両が存在する場合に、後続車両が走行する隣接車線への車線変更を自車両の運転者が意図するときには、後続車両に対する警報を行うので、車線変更時に後続車両の急接近を防止することができ、したがって、車線変更時の安全性を向上させることができる。
【0046】
[4.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0047】
例えば、自動ウインカ42を作動させるのは、自車両が移動中である場合または自車両の運転者が自車両を移動させようとする意図がある場合に限定してもよい。
なお、自車両が移動中であるか否かについては、自車両の走行速度から判断することが考えられる。例えば、車輪速センサが検出した自車両の車輪の回転速度がゼロである場合には、ドライバ操作判定部12が、自車両が停止中であって移動中でないと判定し、作動機能調停部13が、自動ウインカ42がONである場合にはOFFに設定する。一方、車輪速センサが検出した自車両の車輪の回転速度がゼロではない場合には、ドライバ操作判定部12が、自車両が移動中であると判定し、作動機能調停部13が、自動ウインカ42がONである場合にはそのままの設定内容とする。
【0048】
また、自車両の運転者が自車両を移動させようとする意図があるか否かについては、次のようにすることが考えられる。
すなわち、自車両のブレーキ装置が作動中であるか否かによって判断することが考えられる。例えば、ブレーキSW25が検出した自車両のブレーキの操作状態が操作中でないことを示す場合には、ドライバ操作判定部12が、自車両の運転者が自車両を移動させようとする意図がないと判定し、作動機能調停部13が、自動ウインカ42がONである場合にはOFFに設定する。また、ブレーキSW25が検出した自車両のブレーキの操作状態が操作中であることを示す場合には、ドライバ操作判定部12が、自車両の運転者が自車両を移動させようとする意図があると判定し、作動機能調停部13が、自動ウインカ42がONである場合にはそのままの設定内容とする。
【0049】
また、自車両の運転者が自車両を移動させようとする意図を、自車両のスロットル装置が作動中であるか否かによって判断してもよい。例えば、スロットルセンサ26が検出した自車両のスロットルの操作状態が操作中でないことを示す場合には、ドライバ操作判定部12が、自車両の運転者が自車両を移動させようとする意図がないと判定し、作動機能調停部13が、自動ウインカ42がONである場合にはOFFに設定する。また、スロットルセンサ26が検出した自車両のスロットルの操作状態が操作中であることを示す場合には、ドライバ操作判定部12が、自車両の運転者が自車両を移動させようとする意図があると判定し、作動機能調停部13が、自動ウインカ42がONである場合にはそのままの設定内容とする。
【0050】
なお、上述のような自車両のブレーキの操作状態または自車両のスロットルの操作状態に基づく運転者の意図の判定結果と、上記実施形態の車線変更する側とは反対側へのステアリングホイール操作に基づく運転者の意図の判定結果とが相違する場合には後者を優先させるとよい。
【符号の説明】
【0051】
1…自動ウインカシステム、11…後側方車両有無判定部、12…ドライバ操作判定部、13…作動機能調停部、21…車線変更警報装置、22…車線逸脱警報装置、23…車輪速センサ、24…ステアリングセンサ、25…ブレーキSW、26…スロットルセンサ、27…ウインカSW、31…レーダセンサ、32…画像センサ、41…警報ACT、42…自動ウインカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する走行車線に隣接する隣接車線上を走行して自車両の斜め後方に位置する後続車両を認識する後続車両認識手段と、
前記自車両の運転者によって行われたステアリングホイール操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段により検出されたステアリングホイール操作に基づき、前記後続車両が走行する前記隣接車線への車線変更を前記自車両の運転者が意図するか否かを判断する運転者意図判断手段と、
前記後続車両認識手段によって後続車両が認識された場合に、前記運転者意図判断手段によって前記隣接車線への車線変更を前記自車両の運転者が意図すると判断されたときに、警報手段を制御して警報を行わせる制御手段と、
を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走行支援装置において、
前記制御手段は、前記運転者意図判断手段によって前記隣接車線への車線変更を前記自車両の運転者が意図すると判断された場合に、さらに、前記自車両が移動中である場合または前記自車両の運転者が前記自車両を移動させようとする意図があると判断されるときに、前記警報手段を制御して警報を行わせることを特徴とする走行支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の走行支援装置において、
前記制御手段は、前記自車両の走行速度を検出可能な車速検出手段によって検出された検出結果である前記自車両の走行速度に基づき、前記自車両が移動中であるか否かを判断することを特徴とする走行支援装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3の何れか1項に記載の走行支援装置において、
前記制御手段は、前記自車両のブレーキ装置が作動中であることを検出可能なブレーキ作動検出手段によって検出された検知結果に基づき、前記ブレーキ装置が作動中であるか否かを判断し、前記ブレーキ装置が作動中である場合に前記自車両の運転者が前記自車両を移動させようとする意図があると判断することを特徴とする走行支援装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の走行支援装置において、
前記制御手段は、前記自車両のスロットル装置が作動中であることを検出可能なスロットル作動検出手段によって検出された検知結果に基づき、前記スロットル装置が作動中であるか否かを判断し、前記スロットル装置が作動中である場合に前記自車両の運転者が前記自車両を移動させようとする意図があると判断することを特徴とする走行支援装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の走行支援装置において、
前記制御手段は、前記警報手段を制御して警報を行わせる場合には前記自車両のウインカを点灯させることを特徴とする走行支援装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の走行支援装置において、
前記制御手段は、前記警報を実行中に所定条件を満たす場合には前記警報手段を制御して警報を終了させることを特徴とする走行支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の走行支援装置において、
前記制御手段は、前記隣接車線への車線変更が終了したか否かを判断し、前記隣接車線への車線変更が終了したと判断する場合に、前記所定条件を満たすと判断して前記警報手段を制御して警報を終了させることを特徴とする走行支援装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8の何れか1項に記載の走行支援装置において、
前記制御手段は、前記警報を終了する旨の操作が前記自車両の運転者によって入力手段に入力された場合に、前記所定条件を満たすと判断して前記警報手段を制御して警報を終了させることを特徴とする走行支援装置。
【請求項10】
請求項7〜請求項9の何れか1項に記載の走行支援装置において、
前記制御手段は、前記操作検出手段により検出されたステアリングホイール操作に基づき、車線変更を行う隣接車線とは異なる隣接車線が存在する方向へ前記自車両の運転者がステアリングホイール操作を行ったと判断する場合に、前記所定条件を満たすと判断して前記警報手段を制御して警報を終了させることを特徴とする走行支援装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の走行支援装置において、
前記制御手段によって前記警報が実行されている際にその旨を前記自車両の運転者に報知する報知手段を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項12】
請求項11に記載の走行支援装置において、
前記報知手段は、前記警報手段によって前記警報が実行されている旨を放音することを特徴とする走行支援装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12の何れか1項に記載の走行支援装置において、
前記報知手段は、前記警報手段によって前記警報が実行されている旨を表示することを特徴とする走行支援装置。
【請求項14】
請求項1〜請求項13の何れか1項に記載の走行支援装置において、
前記制御手段は、前記後続車両認識手段によって後続車両が認識されなかった場合に、前記運転者意図判断手段によって前記隣接車線への車線変更を前記自車両の運転者が意図すると判断されたときには、前記警報手段による警報を行わないことを特徴とする走行支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−133965(P2011−133965A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290582(P2009−290582)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】