走行支援装置
【課題】車両以外の設備から信号機の色を認識するための信号機情報を得ることなく、信号機を認識できないか認識の困難な車両であっても、信号待ちの停止状態からの発進を支援する走行支援装置を提供する。
【解決手段】車両が停止している場合、走行支援装置は、一定時間周期毎に撮像した画像データを画像認識する(S400)。信号機の色の認識確度が規定値以上であり(S404:Yes)、測定した自車両と信号機との距離の測定確度が規定値以上の場合(S408:Yes)、走行支援装置は、自車両の位置および方位を取得し(S410)、信号機の色および色の認識確度と、自車両と信号機との距離と、自車両の位置および方位とから生成した信号機情報を送信する(S414)。他車両から信号機情報を受信した車両では、自車両で生成した信号機情報と、受信した信号機情報とに基づいて、信号待ちしている車両の発進を支援する支援レベルを調整する。
【解決手段】車両が停止している場合、走行支援装置は、一定時間周期毎に撮像した画像データを画像認識する(S400)。信号機の色の認識確度が規定値以上であり(S404:Yes)、測定した自車両と信号機との距離の測定確度が規定値以上の場合(S408:Yes)、走行支援装置は、自車両の位置および方位を取得し(S410)、信号機の色および色の認識確度と、自車両と信号機との距離と、自車両の位置および方位とから生成した信号機情報を送信する(S414)。他車両から信号機情報を受信した車両では、自車両で生成した信号機情報と、受信した信号機情報とに基づいて、信号待ちしている車両の発進を支援する支援レベルを調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、信号待ちで停止している車両の発進を支援する走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号待ちで車両が停止している場合、信号機の色が赤から青に変化すると、運転者が信号機の色の変化を認識してブレーキペダルを解放し、アクセルペダルを踏み込むことにより車両は発進する。しかし、車両を発進させるためには運転者の操作が必要であるから、運転者の操作が遅れると、車両の発進が遅れるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために特許文献1では、アイドルストップ制御を行う車両において、青信号開始までの残り時間や、自車両と信号機が設置されている交差点の停止線との距離等の情報を路側機から取得し、エンジンを停止すべき時間を予測している。そして、予測された停止時間に基づいて、アイドルストップを解除しエンジンを自動的に始動させるか、音声等によりエンジンの始動タイミングを運転者に伝えることにより、信号待ちしている車両の発進を支援する。
【0004】
また、特許文献1では、エンジンを始動して車両を発進させるタイミングを設定するための情報を路側機から取得するので、信号待ちしている車列の後方に位置し信号機の認識が困難な車両であっても、路側機から取得する情報により発進タイミングを適切に設定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−56734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、エンジンを始動して車両を発進させるタイミングを設定するための情報を路側機から取得するので、路側機が設置されていない道路では発進を支援することができないという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、車両以外の設備から信号機の色を認識するための信号機情報を得ることなく、信号機を認識できないか認識の困難な車両であっても、信号待ちの停止状態からの発進を支援する走行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1から5に記載の発明によると、認識手段は、車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識し、情報生成手段は、認識手段の認識結果に基づいて、信号機の色を認識するための信号機情報を生成し、送信手段は、情報生成手段が生成した信号機情報を他車両に送信し、受信手段は、他車両が送信してきた信号機情報を受信する。
【0009】
また、請求項11に記載の発明によると、認識手段は、自車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識し、情報生成手段は、認識手段の認識結果に基づいて、信号機の色を認識するための信号機情報を生成し、受信手段は、他車両が送信してきた信号機情報を受信する。
【0010】
これにより、信号機の色を認識するための信号機情報を、路側機等の車両に搭載されていない設備からではなく、他車両から受信できる。したがって、路側機等が設置されていない道路であっても、自車両以外の車両から信号機情報を取得できる。
【0011】
そして、請求項1から5、および11に記載の発明によると、支援レベル調整手段は、自車両の情報生成手段が生成した信号機情報と、他車両が送信して受信手段が受信した信号機情報とに基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する。
【0012】
これにより、自車両の前方を他車両が塞いでいるために前方の信号機を自車両が認識できないか、自車両と信号機との距離が長いなどの理由により信号機を高精度に認識できない場合にも、信号機を高精度に認識している他車両から信号機情報を受信すれば、自車両の発進を支援する支援レベルを適切に調整できる。自車両が信号機を高精度に認識できるのであれば、自車両が認識した情報に基づいて、発進の支援レベルを適切に調整すればよい。
【0013】
ここで、発進の支援レベルを調整することは、信号機の色が青に変ったときに、例えばアイドルストップ制御を行う車両であれば、アイドルストップ状態からエンジンを自動的に始動させる高い支援レベルを選択するか、単に信号機の色をディスプレイに表示する低い支援レベルを選択するかを表している。
【0014】
請求項6に記載の発明によると、認識手段は、自車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識し、情報生成手段は、認識手段による信号機に対する認識結果である信号機の色と認識した色の確度とに、自車両が向いている方位と自車両の位置とを加えて、信号機の色を認識するための信号機情報を生成し、送信手段は、情報生成手段が生成した信号機情報を他車両に送信する。
【0015】
このように、信号機の色を認識できる車両が信号機情報を送信することにより、他車両が送信してきた信号機情報を受信した車両では、信号機の色を認識するための信号機情報を、路側機等の車両に搭載されていない設備からではなく、他車両から受信できる。したがって、路側機等が設置されていない道路であっても、自車両以外の車両から信号機情報を取得できる。
【0016】
また、路側機等の車両に搭載されていない設備から信号機情報を取得することなく、他車両が送信してきた信号機の色を認識するための信号機情報により、自車両前方の信号機の色を認識できる。その結果、自車両の前方を他車両が塞いでいるか、あるいは信号機を認識する手段を持たないために、自車両では前方の信号機を認識できない車両であっても、他車両からの信号機情報に基づいて自車両の発進を適切に支援できる。
【0017】
請求項2および6に記載の発明によると、情報生成手段は、信号機に対する認識手段の認識結果である信号機の色と、認識した色の確度とを信号機情報として生成し、送信手段から他車両に送信する。
【0018】
これにより、複数の車両からそれぞれ信号機情報を受信する車両では、信号機の色の認識確度を比較し、認識確度の高い信号機情報を自車両以外の車両が認識する信号機情報として採用できる。
【0019】
さらに、請求項2に記載の発明によると、他車両から採用した信号機情報と自車両で生成した信号機情報とのうち、信号機の色の認識確度の高い信号機情報を採用できる。その結果、発進の支援レベルをより高精度に調整できる。
【0020】
請求項3および6に記載の発明によると、情報生成手段は、信号機の色と認識した色の確度、ならびに、車両情報取得手段が取得する自車両が向いている方位と自車両の位置を、信号機情報として生成する。
【0021】
これにより、他車両が向いている方位と他車両の位置とを含む信号機情報を受信した車両では、信号機情報を送信してきた車両と自車両とがそれぞれ向いている方位情報に基づいて、同じ方向に位置する信号機で信号待ちしているか否かを容易に判定できる。
【0022】
また、信号機情報を送信してきた車両と自車両との位置情報に基づいて車両間の距離を算出できる。これにより、同じ方向に位置する信号機で信号待ちしていても、互いの距離が所定距離よりも離れている場合には、異なる信号機で信号待ちしていると判定できる。
【0023】
また、信号機の位置を取得できる地図情報を備えている場合には、自車両と信号機との距離を直接測定できない場合に、自車両の位置と信号機の位置とに基づいて自車両と信号機との距離を算出できる。自車両と信号機との距離が分かれば、信号機が青になっても、信号機と自車両との間で信号待ちしていた他車両が発進し、自車両が発進できるまでの待ち時間を推定できる。したがって、自車両と信号機との距離を算出することにより、信号機が青になってからの自車両の発進タイミングを推定できる。
【0024】
請求項4および7に記載の発明によると、距離測定手段が信号機と自車両との距離を測定し、情報生成手段は、信号機の色と、認識した色の確度と、自車両が向いている方位と、自車両の位置とに、距離測定手段が測定する信号機と自車両との距離をさらに加えて信号機情報を生成する。
【0025】
これにより、自車両と信号機との距離を測定できないか、あるいは地図情報がなく信号機の位置が分からないために自車両と信号機との距離を測定できない場合に、他車両が送信してきた信号機情報を受信する車両では、他車両と信号機との距離、ならびに他車両の位置と自車両の位置とに基づいて、自車両と信号機との距離を算出できる。
【0026】
請求項5および8に記載の発明によると、送信手段は、デジタル署名を付加して信号機情報を他車両に送信する。
このように、他車両が送信してきた信号機情報にデジタル署名が付加されている場合、その信号機情報の信頼度は高いと判断できる。
【0027】
したがって、請求項5に記載の発明のように、他車両が送信してきた信号機情報にデジタル署名が付加されており、他車両が送信してきた信号機情報を採用して自車両の発進の支援レベルを調整する場合、デジタル署名が付加されていない場合よりも支援レベルを上げることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明によると、送信手段は、信号機の色に対する認識手段の認識結果として信号機の色の変化状態を含む信号機情報を送信する。
これにより、信号機の色の変化状態を受信する車両では、今回受信した信号機情報だけで、信号機の色が変化したか否かを認識できる。したがって、前回に受信した信号機の色情報を記憶しておく必要がない。
【0029】
請求項10に記載の発明によると、送信手段は、信号機の色が赤から青に変化したときだけ、信号機の色の変化状態を含む信号機情報を送信する。
これにより、信号機の色が赤から青に変化したときだけ信号機情報を送信すればよいので、通信トラフィックを低減できる。
【0030】
請求項12に記載の発明によると、受信手段は、自車両が停止しているときに、自車両前方の信号機を他車両が撮像して送信してきた画像データを受信し、認識手段は、他車両が送信して受信手段が受信した画像データにより信号機を認識し、支援レベル調整手段は、認識手段による信号機の色を認識するための認識結果に基づいて、自車両の発進を支援する。
【0031】
このように、他車両が信号機を撮像した画像データを受信して信号機を認識することにより、路側機等の車両に搭載されていない設備からではなく、他車両が送信してきた画像データにより信号機を認識できる。したがって、路側機等が設置されていない道路であっても、他車両から信号機を認識するための情報を取得できる。
【0032】
また、自車両の前方を他車両が塞いでいるか、あるいは撮像装置等の信号機を検出する手段を持たないために、自車両では前方の信号機を認識できない車両であっても、路側機等の車両に搭載されていない設備から信号機情報を取得することなく、他車両が送信してきた画像データに基づいて、自車両前方の信号機の色を認識し、認識した信号機の色に基づいて自車両の発進を適切に支援できる。
【0033】
他車両から画像データを取得する場合、請求項13に記載の発明のように、自車両前方の信号機を他車両が撮像した画像データが必要なときに、他車両に画像データの送信を要求することが望ましい。
【0034】
これにより、画像データを送信する側の車両では、要求があるときだけ画像データを送信すればよいので、送信負荷を低減できる。さらに、車車間通信の通信トラフィックを低減できる。
【0035】
尚、本発明に備わる複数の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、またはそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態による走行支援システムを示すブロック図。
【図2】(A)は他車両からの信号機情報を蓄積するデータ構成図、(B)は前回と今回との信号機情報を記憶するデータ構成図。
【図3】自車両から前方の信号機までの距離の測定方法を示す模式図。
【図4】信号待ちしている車両からの信号機の認識状態を示す模式図。
【図5】送信側での走行支援処理を示すフローチャート。
【図6】信号機情報の受信処理を示すフローチャート。
【図7】受信側での走行支援処理を示すフローチャート。
【図8】受信側での走行支援処理を示すフローチャート。
【図9】受信側での走行支援処理を示すフローチャート。
【図10】信号機の色の変化状態と対応するコードとを示す対応図。
【図11】送信側での他の走行支援処理を示すフローチャート。
【図12】信号機を撮像した画像データの送受信処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
本実施形態による走行支援システムを図1に示す。
(走行支援システム2)
走行支援システム2は、無線機4、車載カメラ6、GPS受信機8、方位センサ10、車速センサ12、車両制御ECU14、ディスプレイ16、スピーカ18、および走行支援装置30等から構成され、車両に搭載されている。
【0038】
走行支援システム2の走行支援装置30は、自車両が信号待ちで停止しているときに、信号機の色を認識するための自車両で生成した信号機情報と、他車両が生成して送信してきた信号機の色を認識するための信号機情報とに基づいて、信号機の色が赤から青に変わったときに、自車両の発進の支援レベルを調整し、発進を促す装置である。
【0039】
本実施形態の走行支援装置30は、予め設定した停止条件が成立するとエンジンを停止させ、予め設定した始動条件が成立するとエンジンを始動させるアイドルストップ制御を行う車両に適用される。
【0040】
まず、走行支援装置30に接続する各装置について説明する。
無線機4は、走行支援装置30から出力される送信パケットを変調、周波数変換および増幅してアンテナから送信するとともに、アンテナが受信する受信信号を増幅、周波数変換および復調して受信パケットを復元する。車載カメラ(以下、単に「カメラ」とも言う。)6は、車両の前方、後方等の所定位置に設置されており、対象物体を撮像した画像データを出力する。
【0041】
GPS受信機8は、GPS衛星からの測位信号に基づいて自車両の現在位置を測位するための装置である。方位センサ10は、例えばジャイロスコープにより自車両の角速度を検知し、そこから自車両の進行方位を検知する装置である。車速センサ12は、自車両の速度を検知するための装置である。
【0042】
車両制御ECU14は、車両におけるボディ系、パワートレイン系、シャーシ系の制御対象の挙動を制御する複数のECUの総称である。ボディ系の制御ECUは、ドア、パワーウィンドウ、シートベルト、ライト等を制御し、パワートレイン系の制御ECUは、インジェクタ、トランスミッション等を制御し、シャーシ系の制御ECUは、ブレーキ、ハンドル等を制御する。
【0043】
ディスプレイ16およびスピーカ18は、情報処理部38が表示または音で運転者に対して発進を通知するときに使用される。
走行支援装置30は、通信制御部32、物体認識部34、車両情報制御部36、情報処理部38、地図情報DB40、受信情報記憶部42、および認識情報記憶部44等から構成されている。
【0044】
通信制御部32、物体認識部34、車両情報制御部36、および情報処理部38の各機能を、各機能毎に構成されたCPU、RAM、ROM等を備えるマイクロコンピュータで実現してもよいし、複数の機能を一つのマイクロコンピュータで実現してもよい。マイクロコンピュータは、ROM等に記憶している制御プログラムをCPUが実行することにより、各種処理を実行する。
【0045】
通信制御部32は、情報処理部38が生成した送信データから送信パケットを生成して無線機4に出力するとともに、無線機4が復元した受信パケットから受信データを抽出する。
【0046】
物体認識部34は、車両の前方、後方等の所定位置に設置されたカメラ6が撮像した画像データを取得し、画像認識により対象物体を認識する。物体認識部34により、車両の前方に信号機が存在すること、そして信号機の色が認識される。本実施形態では、カメラ6が撮像した画像データに基づいて、物体認識部34が自車両と信号機との距離を測定する。
【0047】
車両情報制御部36は、GPS受信機8、方位センサ10、車速センサ12等から、車両の走行状態を表す車両情報を取得し、取得した車両情報を走行支援装置30の情報処理部38に出力するとともに、情報処理部38から車両挙動に対する指令がある場合、その指令を車両制御ECU14に出力する。
【0048】
情報処理部38は、車速センサ12から取得する車速情報により車両が停止していると判断すると、信号機の色を認識するための信号機情報を生成する。信号機情報については後述する。
【0049】
情報処理部38は、生成した信号機情報を通信制御部32を介して他車両に送信する。さらに、情報処理部38は、自身が生成した信号機情報と、同じ構成の走行支援装置30を有する他車両が送信してきた信号機情報とに基づき、自車両前方の信号機の色を認識し、信号機の色が赤から青に変わったときに、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する。そして、調整した支援レベルに応じて自車両の発進を支援する。
【0050】
地図情報DB40は、ハードディスク等で構成されており、車両が走行する道路情報、信号機の位置情報等を地図情報として格納している。車両がナビゲーション装置を備えている場合には、ナビゲーション装置と地図情報DB40を共用してもよい。
【0051】
受信情報記憶部42は、他車両から受信した信号機情報を記憶するために、RAM等の書き換え可能な記憶装置で構成されている。図2の(A)に、受信情報記憶部42に記憶されるデータの構成例を示す。各車両IDに対応する列データが、該当する車両IDを有する他車両から送信されてきた信号機情報を表すデータである。情報処理部38が生成する信号機情報の内容も、図2の(A)に示す車両IDに対応する列データと同じである。図2の(A)に示す例では、車両ID=1の方が、車両ID=2よりも信号機に近く、信号機の色の認識確度が高いことを表している。
【0052】
認識情報記憶部44は、前回採用した信号機情報と今回採用した信号機情報とを記憶するために、RAM等の書き換え可能な記憶装置で構成されている。
(信号機情報)
受信情報記憶部42に記憶される図2の(A)に示す信号機情報の各項目について以下に説明する。
(1)車両ID
車両毎に付与された車両毎に異なる識別番号。
(2)緯度、経度
GPS受信機8から取得する自車両の位置データ。
(3)方位
方位センサ10から取得され、自車両が向いている方位を、北を0とし、時計回りに360度の範囲で示す。
(4)距離
物体認識部34が画像データから信号機を認識するときに、図3の(A)に示すように、信号機100の道路との接点位置102を示す画像上の座標から推定して測定する自車両と信号機100との距離。画像上の各座標には、自車両との距離が対応づけられている。
【0053】
信号機100の道路との接点位置102が撮像できない場合には、物体認識部34は、図3の(B)に示すように、信号機100の表示部104を示す画像上の座標から、信号機の高さを考慮して自車両と信号機100との距離を測定してもよい。
【0054】
この場合、表示部104の座標は信号機100の接点位置102、つまり信号機100が設置されている座標とずれているので、接点位置102の座標から自車両と信号機100との距離を測定するよりも、自車両と信号機100との距離の測定確度は低下する。
【0055】
また、物体認識部34は、車両前方のルームミラー等にカメラが左右に離れて2台設置されている場合には、2台のカメラの視差により、自車両と信号機100との距離を測定してもよい。また、レーザレーダ等を備えている場合には、レーザの照射時刻と反射波の入射時刻との時間差に基づいて、自車両と信号機100との距離を測定してもよい。
【0056】
2台のカメラの視差、またはレーザレーダにより自車両と信号機100との距離を測定する場合、自車両と信号機100との距離の測定確度は、図3の(B)に示す信号機100の表示部104を示す画像上の座標から自車両と信号機100との距離を測定する場合よりも高くなる。
(5)信号認識結果
物体認識部34が画像データから認識した信号機の色。
(6)確度
物体認識部34が画像データから公知のアルゴリズムで信号機の色を認識するときに算出される、認識した色の確からしさ。100%を最大値として、数値が高いほど色の認識精度は高い。
(7)署名
信号機情報が信頼できる車両から送信されたことを証明するために、信号機情報に付加されるデジタル署名。
【0057】
情報処理部38は、自車両が停止しているときに、一定時間毎に、自身が生成した信号機情報と、他車両が送信してきた信号機情報とに基づいて走行支援処理を実行する。そのとき、前回の走行支援処理で最も色の認識確度が高かった信号機情報を前回情報とし、今回の走行支援処理で最も色の認識確度が高い信号機情報を今回情報として、図2の(B)に示すデータ構造で、認識情報記憶部44に記憶しておく。図2の(B)では、車両ID=1の車両が認識した色の認識確度が、前回および今回ともに最も高かったことを表している。認識情報記憶部44に記憶される信号機情報は、自車両または他車両のいずれが生成した情報でもよい。
【0058】
(支援レベル)
次に、走行支援装置30が自車両の発進を支援するときの支援レベルについて説明する。本実施形態では、支援レベルとして、次の「高」、「中」、「低」の3レベルを設定している。
(1)高レベル
車両制御ECU14に指令して、信号待ちでアイドルストップ状態のエンジンを再始動させ、アイドルストップを解除する。
(2)中レベル
スピーカ18から、「まもなく発進です。」といった音声を流し、運転者に発進を促す。
(3)低レベル
ディスプレイ16に信号機の色が青に変わったことを表示し、運転者に発進を促す。
【0059】
(車両からの信号機の認識状態)
次に、信号待ちしている車両からの信号機の認識状態について説明する。例えば、図4に示すように、信号機100が赤の状態で自車両200と他車両210、220とが信号待ちで停止している場合、走行支援装置30を搭載している自車両200および他車両210は、車両前方のカメラ6で前方の信号機100を撮像する。そして、自車両200および他車両210では、走行支援装置30の物体認識部34が、それぞれのカメラ6が撮像した画像データ202、212に基づいて、信号機100の画像認識を実行する。
【0060】
そして、信号機の画像認識の認識結果として、信号機100の色と、信号機100の色の認識確度とを含み、信号機100の色を認識するための信号機情報を周囲の車両に送信する。
【0061】
自車両200では、自車両200で生成した信号機情報と、他車両210が生成して送信してきた信号機情報とに基づいて、信号機100の色が赤から青に変わったときに、自車両200の発進の支援レベルを調整し、支援レベルに基づいて自車両の発進を支援する。
【0062】
ここで、図4に示す信号待ちの状態では、自車両200は信号機100から離れており、しかも前に車高の高いトラックのような他車両220が停止しているので、画像データに202による信号機100の色の認識確度は、先頭で信号待ちしている他車両210よりも低いと考えられる。このような場合は、信号機の色を認識するための信号機情報として、他車両210が送信してきた信号機情報を採用することになる。
【0063】
(走行支援処理)
次に、走行支援装置30が実行する走行支援処理を図5〜図9のフローチャートに基づいて説明する。各フローチャートにおいて、「S」はステップを表している。図5〜図9のフローチャートに示す処理は、走行支援装置30を構成するマイクロコンピュータにおいて実行される処理であり、走行支援装置30を構成する通信制御部32、物体認識部34、車両情報制御部36、情報処理部38としての機能は、マイクロコンピュータが図5〜図9に示す処理を実行することにより実現される。
【0064】
(送信側での走行支援処理)
図5は、送信側の走行支援装置30が実行する走行支援処理を示すフローチャートである。
【0065】
車両が停止している場合、走行支援装置30は、一定時間周期、例えば100ms毎に、車両前方のカメラ6が撮像した画像データを画像認識する(S400)。画像認識の結果、信号機を認識しなかったか(S402:No)、認識しても信号機の色の認識確度が規定値未満の場合(S404:No)、走行支援装置30はS400に処理を移行する。
【0066】
信号機を認識し(S402:Yes)、信号機の色の認識確度が規定値以上の場合(S404:Yes)、走行支援装置30は自車両と信号機との距離を、図3に示すいずれかの方法で画像上の信号機100の座標から測定する(S406)。自車両と信号機との距離の測定確度が規定値未満の場合(S408:No)、走行支援装置30は、S400に処理を移行する。
【0067】
自車両と信号機との距離の測定確度が規定値以上の場合(S408:Yes)、走行支援装置30は、GPS受信機8、方位センサ10から、自車両の位置を表す緯度および経度、自車両が向いている方位をそれぞれ取得する(S410)。そして、S400における画像認識結果から信号機の色および色の認識確度と、S406で測定した自車両と信号機との距離と、S410で取得した自車両の位置および方位とから信号機情報を生成する(S412)。
【0068】
そして、走行支援装置30は、S412で生成した信号機情報に自車両の車両IDおよびデジタル署名を加えて信号機情報とし、無線機4を介して他車両に送信し(S414)、S400に処理を移行する。
【0069】
(信号機情報の受信処理)
図6は、受信側の走行支援装置30が実行する、他車両が送信してきたパケットの受信処理を示すフローチャートである。図6に示す受信処理は、後述する図7〜図9に示す走行支援処理とは独立しており、並列して実行される。
【0070】
走行支援装置30は、他車両から受信したパケットの有無を確認し(S420)、受信パケットが存在する場合(S422:Yes)、受信パケットから抽出した信号機情報を受信情報記憶部42に新規に記憶、あるいは受信パケットから抽出した信号機情報により受信情報記憶部42に記憶されている信号機情報を更新する(S424)。
【0071】
具体的には、受信情報記憶部42に記憶されている信号機情報の車両IDと、受信した受信パケットから抽出した信号機情報の車両IDとを比較し、受信した信号機情報の車両IDが受信情報記憶部42に格納されている信号機情報の車両IDと一致しない場合には、受信した信号機情報を受信情報記憶部42に新規に記憶する。
【0072】
一方、受信した信号機情報の車両IDが受信情報記憶部42に記憶されている信号機情報の車両IDと一致する場合には、受信した信号機情報で既に記憶されている信号機情報を更新する。尚、一定時間更新されていない車両IDの信号機情報は削除される。
【0073】
(受信側での走行支援処理)
図7〜図9は、受信側の走行支援装置30が実行する走行支援処理を示すフローチャートである。
【0074】
図7のフローチャートにおいて、車両が停止している場合、走行支援装置30は、一定時間周期、例えば100ms毎に、車両前方のカメラ6が撮像した画像データを画像認識する(S430)。画像認識の結果、信号機を認識しなかった場合(S432:No)、走行支援装置30はS430に処理を移行する。
【0075】
尚、S432において信号機を認識しなかった場合(S432:No)、前方に実際に信号機がないのか、あるいは、車両に前方を塞がれているためにカメラ6が信号機を撮像できないのかを判別できるのであれば、前方に実際に信号機がない場合には、S430に処理を移行し、車両に前方を塞がれているためにカメラ6が信号機を撮像できない場合には、図8のS450に処理を移行してもよい。
【0076】
車両に前方を塞がれているためにカメラ6が信号機を撮像できないためにS450に処理を移行する場合、図8の処理において、S452の判定は「No」、S462の判定は「Yes」の側になされるものとする。
【0077】
信号機を認識すると(S432:Yes)、走行支援装置30は、S430の画像認識処理の結果に基づいて自車両と信号機との距離を測定するとともに、自車両の位置をGPS受信機8から取得する(S434)。
【0078】
そして、走行支援装置30は、前回の走行支援処理において今回の信号機の色として採用し認識情報記憶部44に記憶していた信号機の色の認識結果を前回の認識結果とし、S430の画像認識処理において認識した信号機の色の認識結果を今回の信号機の色の認識結果とし、S434で測定した自車両と信号機との距離と、S434で取得した自車両の位置と、自車両の車両IDとを加えて、認識情報記憶部44に仮に記憶し、認識情報記憶部44を更新する(S436)。
【0079】
次に、走行支援装置30は、自車両による信号機の色の認識確度が規定値以上であるか否かを判定し、自車両による信号機の色の認識確度が規定値未満であれば(S438:No)、図8のS450に処理を移行する。
【0080】
自車両による信号機の色の認識確度が規定値以上であり(S438:Yes)、自車両と信号機との距離の測定確度が規定値以上であれば(S440:Yes)、色および距離の確度がともに規定値以上であるから、走行支援装置30は、信号機に対する認識精度を「高」に設定し(S442)、図9のS468に処理を移行する。
【0081】
自車両による信号機の色の認識確度は規定値以上であるが(S438:Yes)、自車両と信号機との距離の測定確度が規定値未満であれば(S440:No)、走行支援装置30は、他車両から信号機情報を含んだパケットを受信しており、受信パケットから抽出した他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されているか否かを判定する(S444)。
【0082】
他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されていない場合(S444:No)、走行支援装置30は、信号機に対する認識精度を「中」に設定し(S448)、図9のS468に処理を移行する。
【0083】
他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されている場合(S444:Yes)、走行支援装置30は、受信情報記憶部42に記憶されている信号機情報の中で色の認識確度が最も高い信号機情報を参照し、その信号機情報の方位から、該当する信号機情報を送信してきた他車両と自車両とが同じ方向にある信号機、つまり同じ信号機を認識しているか否かを判定する(S446)。このとき、該当する信号機情報の車両位置と自車両の位置とから車両間の距離を算出し、所定距離以上離れている場合には、同じ方向の信号機であっても、異なる信号機を認識していると判断してもよい。
【0084】
同じ信号機を認識している場合(S446:Yes)、走行支援装置30は、信号機に対する認識精度を「高」に設定し(S442)、図9のS468に処理を移行する。異なる信号機を認識している場合(S446:No)、信号機に対する認識精度を「中」に設定し(S448)、図9のS468に処理を移行する。
【0085】
図7においてS438の判定が「No」の場合、図8のS450において、走行支援装置30は、他車両から信号機情報を含んだパケットを受信しており、受信パケットから抽出した他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されているか否かを判定する。他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されている場合(S450:Yes)、走行支援装置30は、図7のS446と同様に、色の認識確度が最も高い信号機情報を送信してきた他車両と自車両とが同じ信号機を認識しているか否かを判定する。
【0086】
同じ信号機を認識している場合(S452:Yes)、走行支援装置30は、該当する信号機情報を受信した受信パケットにデジタル署名が付加されているか否かを判定する(S454)。
【0087】
デジタル署名が付加されている場合(S454:Yes)、走行支援装置30は、他車両から送信された信号機情報は信頼できると判断し、信号機に対する認識精度を「高」に設定し(S456)、図9のS468に処理を移行する。デジタル署名が付加されていない場合(S454:No)、走行支援装置30は、信号機に対する認識精度を「中」に設定し(S460)、図9のS468に処理を移行する。
【0088】
異なる信号機を認識している場合(S452:No)、走行支援装置30は、今回の信号機に対する認識結果として他車両が送信してきた認識結果を採用し、採用した認識結果で認識情報記憶部44の今回の認識結果を更新する。そして、走行支援装置30は、信号機に対する認識精度を「中」に設定し(S460)、図9のS468に処理を移行する。
【0089】
他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されていない場合(S450:No)、走行支援装置30は、自車両による色の認識確度が、S438で判定に使用した規定値よりも低い所定値未満か否かを判定する(S462)。規定値よりも低い所定値としては、これよりも認識確度が低い場合には信号機の色の認識結果の信頼性が低すぎるため、自車両による認識結果に基づいて自車両の発進の支援をできないと判断できる値を設定する。
【0090】
自車両による色の認識確度が所定値以上の場合(S462:No)、走行支援装置30は、自車両による色の認識確度は規定値未満であり(S438:No)、他車両からパケットも受信していないが(S450:No)、自車両の発進を支援することはできると判断し、信号機に対する認識精度を「低」に設定し(S464)、図9のS468に処理を移行する。
【0091】
自車両による色の認識確度が所定値未満の場合(S462:Yes)、走行支援装置30は、発進を支援できないと判断し、図7のS430に処理を移行する。
図9のS468において、走行支援装置30は、今回採用された信号機の色の認識結果を認識情報記憶部44から取得し、信号機の今回の色と前回の色とを比較する(S470)。信号機の色が赤から青に変わっていない場合(S472:No)、走行支援装置30は支援処理を終了する。
【0092】
信号機の色が赤から青に変わった場合(S472:Yes)、走行支援装置30は、「高」、「中」、「低」のいずれかに設定した認識精度に応じて支援レベルを割り当てる(S474)。
【0093】
続くS476、S480で用いる自車両と信号機との距離としては、認識情報記憶部44に記憶された今回の信号機情報が自車両によるものであれば、自車両が測定した距離が採用される。一方、認識情報記憶部44に記憶された今回の信号機情報が他車両によるものであれば、他車両が測定した他車両と信号機との距離と、自車両の位置と、他車両の位置とに基づいて、自車両と信号機との距離が算出される。認識情報記憶部44に記憶された今回の信号機情報が自車両または他車両のいずれのものかは、車両IDで判別する。
【0094】
認識精度が「高」の場合、走行支援装置30は、自車両と信号機との距離に基づいて、信号機が赤から青になってから、エンジンを再始動しアイドルストップを解除する時刻を算出する(S476)。
【0095】
信号機が赤から青に変わっても、信号待ちの車列において自車両の前の車両がすべて発進するまで自車両は発進できない。したがって、自車両と信号機との距離が長いほど、つまり自車両の前に信号待ちしている車の台数が多いほど、信号機が赤から青に変わってから、自車両が発進できるまでの時間は長くなる。そこで、信号機が赤から青に変わってもすぐにエンジンを再始動させるのではなく、自車両と信号機との距離に応じて再始動時刻を遅らせることが望ましい。これにより、アイドルストップしている時間を極力長くし、燃費を低減できる。
【0096】
S476で算出したアイドルストップの解除時刻になると、走行支援装置30は、車両制御ECU14にアイドルストップの解除を指令して(S478)、走行支援処理を終了する。アイドルストップの解除は、走行支援装置30がアイドルストップの解除時刻になってから車両制御ECU14に指令してもよいし、走行支援装置30がアイドルストップの解除時刻を車両制御ECU14に通知し、車両制御ECU14で解除時刻になるまで待ってから実行してもよい。
【0097】
認識精度が「中」の場合、S476で算出したアイドルストップ解除時刻と同様に、走行支援装置30は、自車両と信号機との距離から、信号機が赤から青になってからエンジンを再始動して車両を発進させる時刻を算出する(S480)。そして、走行支援装置30は、発進時刻になると、スピーカ18から「まもなく発進です。」のように、音声で運転者に発進を通知し(S482)、走行支援処理を終了する。
【0098】
認識精度が「低」の場合、走行支援装置30は、信号機の色が赤から青に変わったことをディスプレイ16に表示し(S484)、走行支援処理を終了する。ディスプレイ16には、例えば、信号機の色状態を示す絵や、文字が表示される。
【0099】
以上説明した上記実施形態では、信号機の色を認識するための信号機情報を、路側機等の車両に搭載されていない設備からではなく、他車両から取得できる。したがって、路側機等が設置されていない道路であっても、自車両以外の車両から信号機情報を取得できる。
【0100】
そして、自車両の前方を他車両が塞いでいるために前方の信号機を自車両が認識できないか、自車両と信号機との距離が長いなどの理由により信号機を高精度に認識できない場合にも、信号機を高精度に認識している他車両から信号機情報を受信することにより、自車両で信号機の色を高精度に認識できる。これにより、自車両の発進を支援する支援レベルを適切に調整できる。
【0101】
当然のことながら、自車両が信号機に近い位置で信号待ちしており、自車両が他車両よりも信号機を高精度に認識できるのであれば、他車両から受信する信号機情報に関係なく、自車両の認識結果に基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを適切に調整できる。
【0102】
このように、自車両または他車両の一方が信号機を認識して生成する信号機情報ではなく、自車両と他車両とがそれぞれ信号機を認識して生成した信号機情報のうち認識精度の高い方を採用できるので、信号機の色が赤から青に変ったときに、自車両の発進を支援する支援レベルを適切に調整できる。
【0103】
本実施形態では、走行支援装置30が本発明の走行支援装置に相当し、物体認識部34が本発明の認識手段および距離測定手段に相当し、情報処理部38が本発明の情報生成手段および支援レベル調整手段に相当し、車両情報制御部36が本発明の車両情報取得手段に相当し、通信制御部32が本発明の送信手段および受信手段に相当する。
【0104】
また、図5のS400の処理が本発明の認識手段が実行する機能に相当し、S406の処理が本発明の距離測定手段が実行する機能に相当し、S410の処理が本発明の車両情報取得手段が実行する機能に相当し、S412の処理が本発明の情報生成手段が実行する機能に相当し、S414の処理が本発明の送信手段が実行する機能に相当する。
【0105】
また、図6のS420の処理が本発明の受信手段が実行する機能に相当する。
また、図7〜図9のS430の処理が本発明の認識手段が実行する機能に相当し、S434の自車両と信号機との距離を測定する処理が本発明の距離測定手段が実行する機能に相当し、S436の処理が本発明の情報生成手段が実行する機能に相当し、S440〜S466の処理が本発明の支援レベル調整手段が実行する機能に相当する。
【0106】
[送信側での他の走行支援処理]
上記実施形態では、送信側において、現在認識している信号機の色を送信している。これに対し、送信側において、前回認識したときの信号機の色と今回認識した色との変化状態を、図10に示すように数値データとして送信してもよい。これにより、受信側では、前回受信した色の認識結果を記憶しておく必要がない。
【0107】
[送信側での他の走行支援処理]
図11に、送信側での他の走行支援処理のフローチャートを示す。図11のフローチャートでは、図5のフローチャートのS412とS414との間に、信号機の色が赤から青に変わったか否かを判定するS490が追加されている。そして、信号機の色が赤から青に変わったときに(S490:Yes)、信号機情報をパケット送信する(S414)。
【0108】
これにより、自車両が停止しているときに、一定時間間隔で常時信号機情報を送信する必要がないので、車車間通信の通信トラフィックを低減できる。
図11のフローチャートにおいて、S490処理が本発明の送信手段が実行する機能に相当する。
【0109】
[他の走行支援処理]
図12に、他の走行支援処理のフローチャートを示す。図12の走行支援処理では、送信側は、撮像した画像データを画像認識することなく、送信要求が他車両からあったときに画像データをそのまま送信する。受信側では、他車両から送信されてきた画像データに基づいて信号機を認識する。
【0110】
以下に、受信側および送信側における走行支援処理について説明する。
(受信側)
受信側の走行支援装置では、自車両が停止しているときに、一定時間待機してから、画像データ送信要求を周囲の車両に送信する(S500)。他車両から、画像データとともに該当する他車両の位置、方位情報等の車両情報を受信すると(S502)、走行支援装置は、自車両と、画像データを送信してきた他車両との位置情報から、自車両に対する他車両の相対位置、つまり前後左右のいずれであるかを算出する(S504)。画像データを送信してきた他車両が自車両の前方に存在していない場合(S506:No)、走行支援装置は、画像データによる画像認識の精度は低いと判断し、S500に処理を移行する。
【0111】
画像データを送信してきた他車両が自車両の前方に存在している場合(S506:Yes)、走行支援装置は、受信した画像データに基づいて信号機を認識し(S508)、認識結果である信号機の色と、色の認識確度と、画像データから測定した他車両と信号機との距離と、他車両の方位および位置とを、信号機の色を認識するための信号機情報として受信情報記憶部42に記憶して(S510)、S500に処理を移行する。
【0112】
受信側の走行支援装置では、受信した画像データを認識した信号機の認識結果に基づいて、信号機の色が赤から青に変わったときに、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する。
【0113】
(送信側)
送信側の走行支援装置では、自車両が停止しているときに、他車両から画像データの送信要求があるまで待機する(S520)。画像データの送信要求があると、カメラで前方を撮像する(S522)。そして、走行支援装置は、自車両の位置、方位情報等を取得し(S524)、画像データともに送信し(S526)、S510に処理を移行する。
【0114】
図12に示す走行支援処理では、画像データを送信する側の車両では、要求があるときだけ画像データを送信すればよいので、送信負荷を低減できる。これにより、車車間通信の通信トラフィックを低減できる。
【0115】
また、送信側では、撮像した画像データを画像認識することなく、画像データ自体をそのまま送信するので、送信側において画像認識処理が不要である。一方、受信側では、信号機を撮像するためのカメラが不要である。
【0116】
また、図12に示す走行支援処理では、他車両が信号機を撮像した画像データを受信して信号機を認識することにより、他車両が送信してきた画像データにより信号機を認識できる。したがって、路側機等が設置されていない道路であっても、他車両から信号機を認識するための情報を取得できる。
【0117】
また、自車両の前方を他車両が塞いでいるか、あるいは撮像装置等の信号機を検出する手段を持たないために、自車両では前方の信号機を認識できない車両であっても、路側機等の車両以外の設備から信号機情報を取得することなく、他車両が送信してきた画像データに基づいて、自車両前方の信号機の色を認識し、認識した信号機の色に基づいて自車両の発進を適切に支援できる。
【0118】
図12のフローチャートにおいて、S502の処理が本発明の受信手段が実行する機能に相当し、S508の処理が本発明の認識手段が実行する機能に相当し、S510の処理が本発明の情報生成手段が実行する機能に相当し、S524の処理が本発明の車両情報取得手段が実行する機能に相当し、S526の処理が本発明の送信手段が実行する機能に相当する。
【0119】
[他の実施形態]
図5〜図9および図11に示す走行支援処理では、信号機情報の送信処理と、他車両から信号機情報を受信し、受信した信号機情報に基づいて走行支援レベルを調整する処理との両方を、走行支援装置が備えている。
【0120】
これに対し、信号機の色の認識結果、および認識確度とともに、自車両の位置と自車両が向いている方位とを信号機情報として送信するのであれば、走行支援装置として、送信処理だけを実行してもよい。信号機の色の認識結果、および認識確度とともに、自車両の位置と自車両が向いている方位とを有する信号機情報を他車両から受信した車両は、自車両では信号機の認識処理を行うことなく、受信した信号機情報に基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを調整できる。
【0121】
また、他車両から信号機情報を受信し、自車両が生成した信号機情報と、他車両が生成して送信してきた信号機情報とに基づいて自車両の発進を支援する支援レベルを調整する機能を備えているのであれば、自車両が生成した信号機情報を他車両に送信する機能がない走行支援装置であってもよい。
【0122】
図12に示す走行支援処理では、画像データの送信側は、送信要求を受信すると画像データを送信した。これに対し、画像データの送信側は、送信要求がなくても、自車両が停止しているときに、撮像した車両前方の画像データを一定時間間隔で送信してもよい。
【0123】
また、画像データの送信側では、画像データの送信要求を受信しても、自車両よりも前方の車両からの送信要求であれば画像データを送信しなくてもよい。
上記実施形態では、アイドルストップ制御を行う車両に本発明の走行支援装置を適用した。これに対し、アイドルストップ制御を行わない車両に本発明の走行支援装置を適用してもよい。この場合、信号待ちで停止している車両に対し、エンジンを自動的に再始動する支援レベルの「高」の支援処理は実行しない。
【0124】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0125】
2:走行支援システム、6:カメラ(撮像装置)、8:GPS受信機、10:方位センサ、12:車速センサ、14:車両制御ECU、30:走行支援装置(認識手段、情報生成手段、車両情報取得手段、距離測定手段、送信手段、受信手段、支援レベル調整手段)、32:通信制御部(送信手段、受信手段)、34:物体認識部(認識手段、距離測定手段)、36:車両情報制御部(車両情報取得手段)、38:情報処理部(情報生成手段、支援レベル調整手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、信号待ちで停止している車両の発進を支援する走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号待ちで車両が停止している場合、信号機の色が赤から青に変化すると、運転者が信号機の色の変化を認識してブレーキペダルを解放し、アクセルペダルを踏み込むことにより車両は発進する。しかし、車両を発進させるためには運転者の操作が必要であるから、運転者の操作が遅れると、車両の発進が遅れるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために特許文献1では、アイドルストップ制御を行う車両において、青信号開始までの残り時間や、自車両と信号機が設置されている交差点の停止線との距離等の情報を路側機から取得し、エンジンを停止すべき時間を予測している。そして、予測された停止時間に基づいて、アイドルストップを解除しエンジンを自動的に始動させるか、音声等によりエンジンの始動タイミングを運転者に伝えることにより、信号待ちしている車両の発進を支援する。
【0004】
また、特許文献1では、エンジンを始動して車両を発進させるタイミングを設定するための情報を路側機から取得するので、信号待ちしている車列の後方に位置し信号機の認識が困難な車両であっても、路側機から取得する情報により発進タイミングを適切に設定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−56734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、エンジンを始動して車両を発進させるタイミングを設定するための情報を路側機から取得するので、路側機が設置されていない道路では発進を支援することができないという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、車両以外の設備から信号機の色を認識するための信号機情報を得ることなく、信号機を認識できないか認識の困難な車両であっても、信号待ちの停止状態からの発進を支援する走行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1から5に記載の発明によると、認識手段は、車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識し、情報生成手段は、認識手段の認識結果に基づいて、信号機の色を認識するための信号機情報を生成し、送信手段は、情報生成手段が生成した信号機情報を他車両に送信し、受信手段は、他車両が送信してきた信号機情報を受信する。
【0009】
また、請求項11に記載の発明によると、認識手段は、自車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識し、情報生成手段は、認識手段の認識結果に基づいて、信号機の色を認識するための信号機情報を生成し、受信手段は、他車両が送信してきた信号機情報を受信する。
【0010】
これにより、信号機の色を認識するための信号機情報を、路側機等の車両に搭載されていない設備からではなく、他車両から受信できる。したがって、路側機等が設置されていない道路であっても、自車両以外の車両から信号機情報を取得できる。
【0011】
そして、請求項1から5、および11に記載の発明によると、支援レベル調整手段は、自車両の情報生成手段が生成した信号機情報と、他車両が送信して受信手段が受信した信号機情報とに基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する。
【0012】
これにより、自車両の前方を他車両が塞いでいるために前方の信号機を自車両が認識できないか、自車両と信号機との距離が長いなどの理由により信号機を高精度に認識できない場合にも、信号機を高精度に認識している他車両から信号機情報を受信すれば、自車両の発進を支援する支援レベルを適切に調整できる。自車両が信号機を高精度に認識できるのであれば、自車両が認識した情報に基づいて、発進の支援レベルを適切に調整すればよい。
【0013】
ここで、発進の支援レベルを調整することは、信号機の色が青に変ったときに、例えばアイドルストップ制御を行う車両であれば、アイドルストップ状態からエンジンを自動的に始動させる高い支援レベルを選択するか、単に信号機の色をディスプレイに表示する低い支援レベルを選択するかを表している。
【0014】
請求項6に記載の発明によると、認識手段は、自車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識し、情報生成手段は、認識手段による信号機に対する認識結果である信号機の色と認識した色の確度とに、自車両が向いている方位と自車両の位置とを加えて、信号機の色を認識するための信号機情報を生成し、送信手段は、情報生成手段が生成した信号機情報を他車両に送信する。
【0015】
このように、信号機の色を認識できる車両が信号機情報を送信することにより、他車両が送信してきた信号機情報を受信した車両では、信号機の色を認識するための信号機情報を、路側機等の車両に搭載されていない設備からではなく、他車両から受信できる。したがって、路側機等が設置されていない道路であっても、自車両以外の車両から信号機情報を取得できる。
【0016】
また、路側機等の車両に搭載されていない設備から信号機情報を取得することなく、他車両が送信してきた信号機の色を認識するための信号機情報により、自車両前方の信号機の色を認識できる。その結果、自車両の前方を他車両が塞いでいるか、あるいは信号機を認識する手段を持たないために、自車両では前方の信号機を認識できない車両であっても、他車両からの信号機情報に基づいて自車両の発進を適切に支援できる。
【0017】
請求項2および6に記載の発明によると、情報生成手段は、信号機に対する認識手段の認識結果である信号機の色と、認識した色の確度とを信号機情報として生成し、送信手段から他車両に送信する。
【0018】
これにより、複数の車両からそれぞれ信号機情報を受信する車両では、信号機の色の認識確度を比較し、認識確度の高い信号機情報を自車両以外の車両が認識する信号機情報として採用できる。
【0019】
さらに、請求項2に記載の発明によると、他車両から採用した信号機情報と自車両で生成した信号機情報とのうち、信号機の色の認識確度の高い信号機情報を採用できる。その結果、発進の支援レベルをより高精度に調整できる。
【0020】
請求項3および6に記載の発明によると、情報生成手段は、信号機の色と認識した色の確度、ならびに、車両情報取得手段が取得する自車両が向いている方位と自車両の位置を、信号機情報として生成する。
【0021】
これにより、他車両が向いている方位と他車両の位置とを含む信号機情報を受信した車両では、信号機情報を送信してきた車両と自車両とがそれぞれ向いている方位情報に基づいて、同じ方向に位置する信号機で信号待ちしているか否かを容易に判定できる。
【0022】
また、信号機情報を送信してきた車両と自車両との位置情報に基づいて車両間の距離を算出できる。これにより、同じ方向に位置する信号機で信号待ちしていても、互いの距離が所定距離よりも離れている場合には、異なる信号機で信号待ちしていると判定できる。
【0023】
また、信号機の位置を取得できる地図情報を備えている場合には、自車両と信号機との距離を直接測定できない場合に、自車両の位置と信号機の位置とに基づいて自車両と信号機との距離を算出できる。自車両と信号機との距離が分かれば、信号機が青になっても、信号機と自車両との間で信号待ちしていた他車両が発進し、自車両が発進できるまでの待ち時間を推定できる。したがって、自車両と信号機との距離を算出することにより、信号機が青になってからの自車両の発進タイミングを推定できる。
【0024】
請求項4および7に記載の発明によると、距離測定手段が信号機と自車両との距離を測定し、情報生成手段は、信号機の色と、認識した色の確度と、自車両が向いている方位と、自車両の位置とに、距離測定手段が測定する信号機と自車両との距離をさらに加えて信号機情報を生成する。
【0025】
これにより、自車両と信号機との距離を測定できないか、あるいは地図情報がなく信号機の位置が分からないために自車両と信号機との距離を測定できない場合に、他車両が送信してきた信号機情報を受信する車両では、他車両と信号機との距離、ならびに他車両の位置と自車両の位置とに基づいて、自車両と信号機との距離を算出できる。
【0026】
請求項5および8に記載の発明によると、送信手段は、デジタル署名を付加して信号機情報を他車両に送信する。
このように、他車両が送信してきた信号機情報にデジタル署名が付加されている場合、その信号機情報の信頼度は高いと判断できる。
【0027】
したがって、請求項5に記載の発明のように、他車両が送信してきた信号機情報にデジタル署名が付加されており、他車両が送信してきた信号機情報を採用して自車両の発進の支援レベルを調整する場合、デジタル署名が付加されていない場合よりも支援レベルを上げることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明によると、送信手段は、信号機の色に対する認識手段の認識結果として信号機の色の変化状態を含む信号機情報を送信する。
これにより、信号機の色の変化状態を受信する車両では、今回受信した信号機情報だけで、信号機の色が変化したか否かを認識できる。したがって、前回に受信した信号機の色情報を記憶しておく必要がない。
【0029】
請求項10に記載の発明によると、送信手段は、信号機の色が赤から青に変化したときだけ、信号機の色の変化状態を含む信号機情報を送信する。
これにより、信号機の色が赤から青に変化したときだけ信号機情報を送信すればよいので、通信トラフィックを低減できる。
【0030】
請求項12に記載の発明によると、受信手段は、自車両が停止しているときに、自車両前方の信号機を他車両が撮像して送信してきた画像データを受信し、認識手段は、他車両が送信して受信手段が受信した画像データにより信号機を認識し、支援レベル調整手段は、認識手段による信号機の色を認識するための認識結果に基づいて、自車両の発進を支援する。
【0031】
このように、他車両が信号機を撮像した画像データを受信して信号機を認識することにより、路側機等の車両に搭載されていない設備からではなく、他車両が送信してきた画像データにより信号機を認識できる。したがって、路側機等が設置されていない道路であっても、他車両から信号機を認識するための情報を取得できる。
【0032】
また、自車両の前方を他車両が塞いでいるか、あるいは撮像装置等の信号機を検出する手段を持たないために、自車両では前方の信号機を認識できない車両であっても、路側機等の車両に搭載されていない設備から信号機情報を取得することなく、他車両が送信してきた画像データに基づいて、自車両前方の信号機の色を認識し、認識した信号機の色に基づいて自車両の発進を適切に支援できる。
【0033】
他車両から画像データを取得する場合、請求項13に記載の発明のように、自車両前方の信号機を他車両が撮像した画像データが必要なときに、他車両に画像データの送信を要求することが望ましい。
【0034】
これにより、画像データを送信する側の車両では、要求があるときだけ画像データを送信すればよいので、送信負荷を低減できる。さらに、車車間通信の通信トラフィックを低減できる。
【0035】
尚、本発明に備わる複数の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、またはそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態による走行支援システムを示すブロック図。
【図2】(A)は他車両からの信号機情報を蓄積するデータ構成図、(B)は前回と今回との信号機情報を記憶するデータ構成図。
【図3】自車両から前方の信号機までの距離の測定方法を示す模式図。
【図4】信号待ちしている車両からの信号機の認識状態を示す模式図。
【図5】送信側での走行支援処理を示すフローチャート。
【図6】信号機情報の受信処理を示すフローチャート。
【図7】受信側での走行支援処理を示すフローチャート。
【図8】受信側での走行支援処理を示すフローチャート。
【図9】受信側での走行支援処理を示すフローチャート。
【図10】信号機の色の変化状態と対応するコードとを示す対応図。
【図11】送信側での他の走行支援処理を示すフローチャート。
【図12】信号機を撮像した画像データの送受信処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
本実施形態による走行支援システムを図1に示す。
(走行支援システム2)
走行支援システム2は、無線機4、車載カメラ6、GPS受信機8、方位センサ10、車速センサ12、車両制御ECU14、ディスプレイ16、スピーカ18、および走行支援装置30等から構成され、車両に搭載されている。
【0038】
走行支援システム2の走行支援装置30は、自車両が信号待ちで停止しているときに、信号機の色を認識するための自車両で生成した信号機情報と、他車両が生成して送信してきた信号機の色を認識するための信号機情報とに基づいて、信号機の色が赤から青に変わったときに、自車両の発進の支援レベルを調整し、発進を促す装置である。
【0039】
本実施形態の走行支援装置30は、予め設定した停止条件が成立するとエンジンを停止させ、予め設定した始動条件が成立するとエンジンを始動させるアイドルストップ制御を行う車両に適用される。
【0040】
まず、走行支援装置30に接続する各装置について説明する。
無線機4は、走行支援装置30から出力される送信パケットを変調、周波数変換および増幅してアンテナから送信するとともに、アンテナが受信する受信信号を増幅、周波数変換および復調して受信パケットを復元する。車載カメラ(以下、単に「カメラ」とも言う。)6は、車両の前方、後方等の所定位置に設置されており、対象物体を撮像した画像データを出力する。
【0041】
GPS受信機8は、GPS衛星からの測位信号に基づいて自車両の現在位置を測位するための装置である。方位センサ10は、例えばジャイロスコープにより自車両の角速度を検知し、そこから自車両の進行方位を検知する装置である。車速センサ12は、自車両の速度を検知するための装置である。
【0042】
車両制御ECU14は、車両におけるボディ系、パワートレイン系、シャーシ系の制御対象の挙動を制御する複数のECUの総称である。ボディ系の制御ECUは、ドア、パワーウィンドウ、シートベルト、ライト等を制御し、パワートレイン系の制御ECUは、インジェクタ、トランスミッション等を制御し、シャーシ系の制御ECUは、ブレーキ、ハンドル等を制御する。
【0043】
ディスプレイ16およびスピーカ18は、情報処理部38が表示または音で運転者に対して発進を通知するときに使用される。
走行支援装置30は、通信制御部32、物体認識部34、車両情報制御部36、情報処理部38、地図情報DB40、受信情報記憶部42、および認識情報記憶部44等から構成されている。
【0044】
通信制御部32、物体認識部34、車両情報制御部36、および情報処理部38の各機能を、各機能毎に構成されたCPU、RAM、ROM等を備えるマイクロコンピュータで実現してもよいし、複数の機能を一つのマイクロコンピュータで実現してもよい。マイクロコンピュータは、ROM等に記憶している制御プログラムをCPUが実行することにより、各種処理を実行する。
【0045】
通信制御部32は、情報処理部38が生成した送信データから送信パケットを生成して無線機4に出力するとともに、無線機4が復元した受信パケットから受信データを抽出する。
【0046】
物体認識部34は、車両の前方、後方等の所定位置に設置されたカメラ6が撮像した画像データを取得し、画像認識により対象物体を認識する。物体認識部34により、車両の前方に信号機が存在すること、そして信号機の色が認識される。本実施形態では、カメラ6が撮像した画像データに基づいて、物体認識部34が自車両と信号機との距離を測定する。
【0047】
車両情報制御部36は、GPS受信機8、方位センサ10、車速センサ12等から、車両の走行状態を表す車両情報を取得し、取得した車両情報を走行支援装置30の情報処理部38に出力するとともに、情報処理部38から車両挙動に対する指令がある場合、その指令を車両制御ECU14に出力する。
【0048】
情報処理部38は、車速センサ12から取得する車速情報により車両が停止していると判断すると、信号機の色を認識するための信号機情報を生成する。信号機情報については後述する。
【0049】
情報処理部38は、生成した信号機情報を通信制御部32を介して他車両に送信する。さらに、情報処理部38は、自身が生成した信号機情報と、同じ構成の走行支援装置30を有する他車両が送信してきた信号機情報とに基づき、自車両前方の信号機の色を認識し、信号機の色が赤から青に変わったときに、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する。そして、調整した支援レベルに応じて自車両の発進を支援する。
【0050】
地図情報DB40は、ハードディスク等で構成されており、車両が走行する道路情報、信号機の位置情報等を地図情報として格納している。車両がナビゲーション装置を備えている場合には、ナビゲーション装置と地図情報DB40を共用してもよい。
【0051】
受信情報記憶部42は、他車両から受信した信号機情報を記憶するために、RAM等の書き換え可能な記憶装置で構成されている。図2の(A)に、受信情報記憶部42に記憶されるデータの構成例を示す。各車両IDに対応する列データが、該当する車両IDを有する他車両から送信されてきた信号機情報を表すデータである。情報処理部38が生成する信号機情報の内容も、図2の(A)に示す車両IDに対応する列データと同じである。図2の(A)に示す例では、車両ID=1の方が、車両ID=2よりも信号機に近く、信号機の色の認識確度が高いことを表している。
【0052】
認識情報記憶部44は、前回採用した信号機情報と今回採用した信号機情報とを記憶するために、RAM等の書き換え可能な記憶装置で構成されている。
(信号機情報)
受信情報記憶部42に記憶される図2の(A)に示す信号機情報の各項目について以下に説明する。
(1)車両ID
車両毎に付与された車両毎に異なる識別番号。
(2)緯度、経度
GPS受信機8から取得する自車両の位置データ。
(3)方位
方位センサ10から取得され、自車両が向いている方位を、北を0とし、時計回りに360度の範囲で示す。
(4)距離
物体認識部34が画像データから信号機を認識するときに、図3の(A)に示すように、信号機100の道路との接点位置102を示す画像上の座標から推定して測定する自車両と信号機100との距離。画像上の各座標には、自車両との距離が対応づけられている。
【0053】
信号機100の道路との接点位置102が撮像できない場合には、物体認識部34は、図3の(B)に示すように、信号機100の表示部104を示す画像上の座標から、信号機の高さを考慮して自車両と信号機100との距離を測定してもよい。
【0054】
この場合、表示部104の座標は信号機100の接点位置102、つまり信号機100が設置されている座標とずれているので、接点位置102の座標から自車両と信号機100との距離を測定するよりも、自車両と信号機100との距離の測定確度は低下する。
【0055】
また、物体認識部34は、車両前方のルームミラー等にカメラが左右に離れて2台設置されている場合には、2台のカメラの視差により、自車両と信号機100との距離を測定してもよい。また、レーザレーダ等を備えている場合には、レーザの照射時刻と反射波の入射時刻との時間差に基づいて、自車両と信号機100との距離を測定してもよい。
【0056】
2台のカメラの視差、またはレーザレーダにより自車両と信号機100との距離を測定する場合、自車両と信号機100との距離の測定確度は、図3の(B)に示す信号機100の表示部104を示す画像上の座標から自車両と信号機100との距離を測定する場合よりも高くなる。
(5)信号認識結果
物体認識部34が画像データから認識した信号機の色。
(6)確度
物体認識部34が画像データから公知のアルゴリズムで信号機の色を認識するときに算出される、認識した色の確からしさ。100%を最大値として、数値が高いほど色の認識精度は高い。
(7)署名
信号機情報が信頼できる車両から送信されたことを証明するために、信号機情報に付加されるデジタル署名。
【0057】
情報処理部38は、自車両が停止しているときに、一定時間毎に、自身が生成した信号機情報と、他車両が送信してきた信号機情報とに基づいて走行支援処理を実行する。そのとき、前回の走行支援処理で最も色の認識確度が高かった信号機情報を前回情報とし、今回の走行支援処理で最も色の認識確度が高い信号機情報を今回情報として、図2の(B)に示すデータ構造で、認識情報記憶部44に記憶しておく。図2の(B)では、車両ID=1の車両が認識した色の認識確度が、前回および今回ともに最も高かったことを表している。認識情報記憶部44に記憶される信号機情報は、自車両または他車両のいずれが生成した情報でもよい。
【0058】
(支援レベル)
次に、走行支援装置30が自車両の発進を支援するときの支援レベルについて説明する。本実施形態では、支援レベルとして、次の「高」、「中」、「低」の3レベルを設定している。
(1)高レベル
車両制御ECU14に指令して、信号待ちでアイドルストップ状態のエンジンを再始動させ、アイドルストップを解除する。
(2)中レベル
スピーカ18から、「まもなく発進です。」といった音声を流し、運転者に発進を促す。
(3)低レベル
ディスプレイ16に信号機の色が青に変わったことを表示し、運転者に発進を促す。
【0059】
(車両からの信号機の認識状態)
次に、信号待ちしている車両からの信号機の認識状態について説明する。例えば、図4に示すように、信号機100が赤の状態で自車両200と他車両210、220とが信号待ちで停止している場合、走行支援装置30を搭載している自車両200および他車両210は、車両前方のカメラ6で前方の信号機100を撮像する。そして、自車両200および他車両210では、走行支援装置30の物体認識部34が、それぞれのカメラ6が撮像した画像データ202、212に基づいて、信号機100の画像認識を実行する。
【0060】
そして、信号機の画像認識の認識結果として、信号機100の色と、信号機100の色の認識確度とを含み、信号機100の色を認識するための信号機情報を周囲の車両に送信する。
【0061】
自車両200では、自車両200で生成した信号機情報と、他車両210が生成して送信してきた信号機情報とに基づいて、信号機100の色が赤から青に変わったときに、自車両200の発進の支援レベルを調整し、支援レベルに基づいて自車両の発進を支援する。
【0062】
ここで、図4に示す信号待ちの状態では、自車両200は信号機100から離れており、しかも前に車高の高いトラックのような他車両220が停止しているので、画像データに202による信号機100の色の認識確度は、先頭で信号待ちしている他車両210よりも低いと考えられる。このような場合は、信号機の色を認識するための信号機情報として、他車両210が送信してきた信号機情報を採用することになる。
【0063】
(走行支援処理)
次に、走行支援装置30が実行する走行支援処理を図5〜図9のフローチャートに基づいて説明する。各フローチャートにおいて、「S」はステップを表している。図5〜図9のフローチャートに示す処理は、走行支援装置30を構成するマイクロコンピュータにおいて実行される処理であり、走行支援装置30を構成する通信制御部32、物体認識部34、車両情報制御部36、情報処理部38としての機能は、マイクロコンピュータが図5〜図9に示す処理を実行することにより実現される。
【0064】
(送信側での走行支援処理)
図5は、送信側の走行支援装置30が実行する走行支援処理を示すフローチャートである。
【0065】
車両が停止している場合、走行支援装置30は、一定時間周期、例えば100ms毎に、車両前方のカメラ6が撮像した画像データを画像認識する(S400)。画像認識の結果、信号機を認識しなかったか(S402:No)、認識しても信号機の色の認識確度が規定値未満の場合(S404:No)、走行支援装置30はS400に処理を移行する。
【0066】
信号機を認識し(S402:Yes)、信号機の色の認識確度が規定値以上の場合(S404:Yes)、走行支援装置30は自車両と信号機との距離を、図3に示すいずれかの方法で画像上の信号機100の座標から測定する(S406)。自車両と信号機との距離の測定確度が規定値未満の場合(S408:No)、走行支援装置30は、S400に処理を移行する。
【0067】
自車両と信号機との距離の測定確度が規定値以上の場合(S408:Yes)、走行支援装置30は、GPS受信機8、方位センサ10から、自車両の位置を表す緯度および経度、自車両が向いている方位をそれぞれ取得する(S410)。そして、S400における画像認識結果から信号機の色および色の認識確度と、S406で測定した自車両と信号機との距離と、S410で取得した自車両の位置および方位とから信号機情報を生成する(S412)。
【0068】
そして、走行支援装置30は、S412で生成した信号機情報に自車両の車両IDおよびデジタル署名を加えて信号機情報とし、無線機4を介して他車両に送信し(S414)、S400に処理を移行する。
【0069】
(信号機情報の受信処理)
図6は、受信側の走行支援装置30が実行する、他車両が送信してきたパケットの受信処理を示すフローチャートである。図6に示す受信処理は、後述する図7〜図9に示す走行支援処理とは独立しており、並列して実行される。
【0070】
走行支援装置30は、他車両から受信したパケットの有無を確認し(S420)、受信パケットが存在する場合(S422:Yes)、受信パケットから抽出した信号機情報を受信情報記憶部42に新規に記憶、あるいは受信パケットから抽出した信号機情報により受信情報記憶部42に記憶されている信号機情報を更新する(S424)。
【0071】
具体的には、受信情報記憶部42に記憶されている信号機情報の車両IDと、受信した受信パケットから抽出した信号機情報の車両IDとを比較し、受信した信号機情報の車両IDが受信情報記憶部42に格納されている信号機情報の車両IDと一致しない場合には、受信した信号機情報を受信情報記憶部42に新規に記憶する。
【0072】
一方、受信した信号機情報の車両IDが受信情報記憶部42に記憶されている信号機情報の車両IDと一致する場合には、受信した信号機情報で既に記憶されている信号機情報を更新する。尚、一定時間更新されていない車両IDの信号機情報は削除される。
【0073】
(受信側での走行支援処理)
図7〜図9は、受信側の走行支援装置30が実行する走行支援処理を示すフローチャートである。
【0074】
図7のフローチャートにおいて、車両が停止している場合、走行支援装置30は、一定時間周期、例えば100ms毎に、車両前方のカメラ6が撮像した画像データを画像認識する(S430)。画像認識の結果、信号機を認識しなかった場合(S432:No)、走行支援装置30はS430に処理を移行する。
【0075】
尚、S432において信号機を認識しなかった場合(S432:No)、前方に実際に信号機がないのか、あるいは、車両に前方を塞がれているためにカメラ6が信号機を撮像できないのかを判別できるのであれば、前方に実際に信号機がない場合には、S430に処理を移行し、車両に前方を塞がれているためにカメラ6が信号機を撮像できない場合には、図8のS450に処理を移行してもよい。
【0076】
車両に前方を塞がれているためにカメラ6が信号機を撮像できないためにS450に処理を移行する場合、図8の処理において、S452の判定は「No」、S462の判定は「Yes」の側になされるものとする。
【0077】
信号機を認識すると(S432:Yes)、走行支援装置30は、S430の画像認識処理の結果に基づいて自車両と信号機との距離を測定するとともに、自車両の位置をGPS受信機8から取得する(S434)。
【0078】
そして、走行支援装置30は、前回の走行支援処理において今回の信号機の色として採用し認識情報記憶部44に記憶していた信号機の色の認識結果を前回の認識結果とし、S430の画像認識処理において認識した信号機の色の認識結果を今回の信号機の色の認識結果とし、S434で測定した自車両と信号機との距離と、S434で取得した自車両の位置と、自車両の車両IDとを加えて、認識情報記憶部44に仮に記憶し、認識情報記憶部44を更新する(S436)。
【0079】
次に、走行支援装置30は、自車両による信号機の色の認識確度が規定値以上であるか否かを判定し、自車両による信号機の色の認識確度が規定値未満であれば(S438:No)、図8のS450に処理を移行する。
【0080】
自車両による信号機の色の認識確度が規定値以上であり(S438:Yes)、自車両と信号機との距離の測定確度が規定値以上であれば(S440:Yes)、色および距離の確度がともに規定値以上であるから、走行支援装置30は、信号機に対する認識精度を「高」に設定し(S442)、図9のS468に処理を移行する。
【0081】
自車両による信号機の色の認識確度は規定値以上であるが(S438:Yes)、自車両と信号機との距離の測定確度が規定値未満であれば(S440:No)、走行支援装置30は、他車両から信号機情報を含んだパケットを受信しており、受信パケットから抽出した他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されているか否かを判定する(S444)。
【0082】
他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されていない場合(S444:No)、走行支援装置30は、信号機に対する認識精度を「中」に設定し(S448)、図9のS468に処理を移行する。
【0083】
他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されている場合(S444:Yes)、走行支援装置30は、受信情報記憶部42に記憶されている信号機情報の中で色の認識確度が最も高い信号機情報を参照し、その信号機情報の方位から、該当する信号機情報を送信してきた他車両と自車両とが同じ方向にある信号機、つまり同じ信号機を認識しているか否かを判定する(S446)。このとき、該当する信号機情報の車両位置と自車両の位置とから車両間の距離を算出し、所定距離以上離れている場合には、同じ方向の信号機であっても、異なる信号機を認識していると判断してもよい。
【0084】
同じ信号機を認識している場合(S446:Yes)、走行支援装置30は、信号機に対する認識精度を「高」に設定し(S442)、図9のS468に処理を移行する。異なる信号機を認識している場合(S446:No)、信号機に対する認識精度を「中」に設定し(S448)、図9のS468に処理を移行する。
【0085】
図7においてS438の判定が「No」の場合、図8のS450において、走行支援装置30は、他車両から信号機情報を含んだパケットを受信しており、受信パケットから抽出した他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されているか否かを判定する。他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されている場合(S450:Yes)、走行支援装置30は、図7のS446と同様に、色の認識確度が最も高い信号機情報を送信してきた他車両と自車両とが同じ信号機を認識しているか否かを判定する。
【0086】
同じ信号機を認識している場合(S452:Yes)、走行支援装置30は、該当する信号機情報を受信した受信パケットにデジタル署名が付加されているか否かを判定する(S454)。
【0087】
デジタル署名が付加されている場合(S454:Yes)、走行支援装置30は、他車両から送信された信号機情報は信頼できると判断し、信号機に対する認識精度を「高」に設定し(S456)、図9のS468に処理を移行する。デジタル署名が付加されていない場合(S454:No)、走行支援装置30は、信号機に対する認識精度を「中」に設定し(S460)、図9のS468に処理を移行する。
【0088】
異なる信号機を認識している場合(S452:No)、走行支援装置30は、今回の信号機に対する認識結果として他車両が送信してきた認識結果を採用し、採用した認識結果で認識情報記憶部44の今回の認識結果を更新する。そして、走行支援装置30は、信号機に対する認識精度を「中」に設定し(S460)、図9のS468に処理を移行する。
【0089】
他車両の信号機情報が受信情報記憶部42に記憶されていない場合(S450:No)、走行支援装置30は、自車両による色の認識確度が、S438で判定に使用した規定値よりも低い所定値未満か否かを判定する(S462)。規定値よりも低い所定値としては、これよりも認識確度が低い場合には信号機の色の認識結果の信頼性が低すぎるため、自車両による認識結果に基づいて自車両の発進の支援をできないと判断できる値を設定する。
【0090】
自車両による色の認識確度が所定値以上の場合(S462:No)、走行支援装置30は、自車両による色の認識確度は規定値未満であり(S438:No)、他車両からパケットも受信していないが(S450:No)、自車両の発進を支援することはできると判断し、信号機に対する認識精度を「低」に設定し(S464)、図9のS468に処理を移行する。
【0091】
自車両による色の認識確度が所定値未満の場合(S462:Yes)、走行支援装置30は、発進を支援できないと判断し、図7のS430に処理を移行する。
図9のS468において、走行支援装置30は、今回採用された信号機の色の認識結果を認識情報記憶部44から取得し、信号機の今回の色と前回の色とを比較する(S470)。信号機の色が赤から青に変わっていない場合(S472:No)、走行支援装置30は支援処理を終了する。
【0092】
信号機の色が赤から青に変わった場合(S472:Yes)、走行支援装置30は、「高」、「中」、「低」のいずれかに設定した認識精度に応じて支援レベルを割り当てる(S474)。
【0093】
続くS476、S480で用いる自車両と信号機との距離としては、認識情報記憶部44に記憶された今回の信号機情報が自車両によるものであれば、自車両が測定した距離が採用される。一方、認識情報記憶部44に記憶された今回の信号機情報が他車両によるものであれば、他車両が測定した他車両と信号機との距離と、自車両の位置と、他車両の位置とに基づいて、自車両と信号機との距離が算出される。認識情報記憶部44に記憶された今回の信号機情報が自車両または他車両のいずれのものかは、車両IDで判別する。
【0094】
認識精度が「高」の場合、走行支援装置30は、自車両と信号機との距離に基づいて、信号機が赤から青になってから、エンジンを再始動しアイドルストップを解除する時刻を算出する(S476)。
【0095】
信号機が赤から青に変わっても、信号待ちの車列において自車両の前の車両がすべて発進するまで自車両は発進できない。したがって、自車両と信号機との距離が長いほど、つまり自車両の前に信号待ちしている車の台数が多いほど、信号機が赤から青に変わってから、自車両が発進できるまでの時間は長くなる。そこで、信号機が赤から青に変わってもすぐにエンジンを再始動させるのではなく、自車両と信号機との距離に応じて再始動時刻を遅らせることが望ましい。これにより、アイドルストップしている時間を極力長くし、燃費を低減できる。
【0096】
S476で算出したアイドルストップの解除時刻になると、走行支援装置30は、車両制御ECU14にアイドルストップの解除を指令して(S478)、走行支援処理を終了する。アイドルストップの解除は、走行支援装置30がアイドルストップの解除時刻になってから車両制御ECU14に指令してもよいし、走行支援装置30がアイドルストップの解除時刻を車両制御ECU14に通知し、車両制御ECU14で解除時刻になるまで待ってから実行してもよい。
【0097】
認識精度が「中」の場合、S476で算出したアイドルストップ解除時刻と同様に、走行支援装置30は、自車両と信号機との距離から、信号機が赤から青になってからエンジンを再始動して車両を発進させる時刻を算出する(S480)。そして、走行支援装置30は、発進時刻になると、スピーカ18から「まもなく発進です。」のように、音声で運転者に発進を通知し(S482)、走行支援処理を終了する。
【0098】
認識精度が「低」の場合、走行支援装置30は、信号機の色が赤から青に変わったことをディスプレイ16に表示し(S484)、走行支援処理を終了する。ディスプレイ16には、例えば、信号機の色状態を示す絵や、文字が表示される。
【0099】
以上説明した上記実施形態では、信号機の色を認識するための信号機情報を、路側機等の車両に搭載されていない設備からではなく、他車両から取得できる。したがって、路側機等が設置されていない道路であっても、自車両以外の車両から信号機情報を取得できる。
【0100】
そして、自車両の前方を他車両が塞いでいるために前方の信号機を自車両が認識できないか、自車両と信号機との距離が長いなどの理由により信号機を高精度に認識できない場合にも、信号機を高精度に認識している他車両から信号機情報を受信することにより、自車両で信号機の色を高精度に認識できる。これにより、自車両の発進を支援する支援レベルを適切に調整できる。
【0101】
当然のことながら、自車両が信号機に近い位置で信号待ちしており、自車両が他車両よりも信号機を高精度に認識できるのであれば、他車両から受信する信号機情報に関係なく、自車両の認識結果に基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを適切に調整できる。
【0102】
このように、自車両または他車両の一方が信号機を認識して生成する信号機情報ではなく、自車両と他車両とがそれぞれ信号機を認識して生成した信号機情報のうち認識精度の高い方を採用できるので、信号機の色が赤から青に変ったときに、自車両の発進を支援する支援レベルを適切に調整できる。
【0103】
本実施形態では、走行支援装置30が本発明の走行支援装置に相当し、物体認識部34が本発明の認識手段および距離測定手段に相当し、情報処理部38が本発明の情報生成手段および支援レベル調整手段に相当し、車両情報制御部36が本発明の車両情報取得手段に相当し、通信制御部32が本発明の送信手段および受信手段に相当する。
【0104】
また、図5のS400の処理が本発明の認識手段が実行する機能に相当し、S406の処理が本発明の距離測定手段が実行する機能に相当し、S410の処理が本発明の車両情報取得手段が実行する機能に相当し、S412の処理が本発明の情報生成手段が実行する機能に相当し、S414の処理が本発明の送信手段が実行する機能に相当する。
【0105】
また、図6のS420の処理が本発明の受信手段が実行する機能に相当する。
また、図7〜図9のS430の処理が本発明の認識手段が実行する機能に相当し、S434の自車両と信号機との距離を測定する処理が本発明の距離測定手段が実行する機能に相当し、S436の処理が本発明の情報生成手段が実行する機能に相当し、S440〜S466の処理が本発明の支援レベル調整手段が実行する機能に相当する。
【0106】
[送信側での他の走行支援処理]
上記実施形態では、送信側において、現在認識している信号機の色を送信している。これに対し、送信側において、前回認識したときの信号機の色と今回認識した色との変化状態を、図10に示すように数値データとして送信してもよい。これにより、受信側では、前回受信した色の認識結果を記憶しておく必要がない。
【0107】
[送信側での他の走行支援処理]
図11に、送信側での他の走行支援処理のフローチャートを示す。図11のフローチャートでは、図5のフローチャートのS412とS414との間に、信号機の色が赤から青に変わったか否かを判定するS490が追加されている。そして、信号機の色が赤から青に変わったときに(S490:Yes)、信号機情報をパケット送信する(S414)。
【0108】
これにより、自車両が停止しているときに、一定時間間隔で常時信号機情報を送信する必要がないので、車車間通信の通信トラフィックを低減できる。
図11のフローチャートにおいて、S490処理が本発明の送信手段が実行する機能に相当する。
【0109】
[他の走行支援処理]
図12に、他の走行支援処理のフローチャートを示す。図12の走行支援処理では、送信側は、撮像した画像データを画像認識することなく、送信要求が他車両からあったときに画像データをそのまま送信する。受信側では、他車両から送信されてきた画像データに基づいて信号機を認識する。
【0110】
以下に、受信側および送信側における走行支援処理について説明する。
(受信側)
受信側の走行支援装置では、自車両が停止しているときに、一定時間待機してから、画像データ送信要求を周囲の車両に送信する(S500)。他車両から、画像データとともに該当する他車両の位置、方位情報等の車両情報を受信すると(S502)、走行支援装置は、自車両と、画像データを送信してきた他車両との位置情報から、自車両に対する他車両の相対位置、つまり前後左右のいずれであるかを算出する(S504)。画像データを送信してきた他車両が自車両の前方に存在していない場合(S506:No)、走行支援装置は、画像データによる画像認識の精度は低いと判断し、S500に処理を移行する。
【0111】
画像データを送信してきた他車両が自車両の前方に存在している場合(S506:Yes)、走行支援装置は、受信した画像データに基づいて信号機を認識し(S508)、認識結果である信号機の色と、色の認識確度と、画像データから測定した他車両と信号機との距離と、他車両の方位および位置とを、信号機の色を認識するための信号機情報として受信情報記憶部42に記憶して(S510)、S500に処理を移行する。
【0112】
受信側の走行支援装置では、受信した画像データを認識した信号機の認識結果に基づいて、信号機の色が赤から青に変わったときに、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する。
【0113】
(送信側)
送信側の走行支援装置では、自車両が停止しているときに、他車両から画像データの送信要求があるまで待機する(S520)。画像データの送信要求があると、カメラで前方を撮像する(S522)。そして、走行支援装置は、自車両の位置、方位情報等を取得し(S524)、画像データともに送信し(S526)、S510に処理を移行する。
【0114】
図12に示す走行支援処理では、画像データを送信する側の車両では、要求があるときだけ画像データを送信すればよいので、送信負荷を低減できる。これにより、車車間通信の通信トラフィックを低減できる。
【0115】
また、送信側では、撮像した画像データを画像認識することなく、画像データ自体をそのまま送信するので、送信側において画像認識処理が不要である。一方、受信側では、信号機を撮像するためのカメラが不要である。
【0116】
また、図12に示す走行支援処理では、他車両が信号機を撮像した画像データを受信して信号機を認識することにより、他車両が送信してきた画像データにより信号機を認識できる。したがって、路側機等が設置されていない道路であっても、他車両から信号機を認識するための情報を取得できる。
【0117】
また、自車両の前方を他車両が塞いでいるか、あるいは撮像装置等の信号機を検出する手段を持たないために、自車両では前方の信号機を認識できない車両であっても、路側機等の車両以外の設備から信号機情報を取得することなく、他車両が送信してきた画像データに基づいて、自車両前方の信号機の色を認識し、認識した信号機の色に基づいて自車両の発進を適切に支援できる。
【0118】
図12のフローチャートにおいて、S502の処理が本発明の受信手段が実行する機能に相当し、S508の処理が本発明の認識手段が実行する機能に相当し、S510の処理が本発明の情報生成手段が実行する機能に相当し、S524の処理が本発明の車両情報取得手段が実行する機能に相当し、S526の処理が本発明の送信手段が実行する機能に相当する。
【0119】
[他の実施形態]
図5〜図9および図11に示す走行支援処理では、信号機情報の送信処理と、他車両から信号機情報を受信し、受信した信号機情報に基づいて走行支援レベルを調整する処理との両方を、走行支援装置が備えている。
【0120】
これに対し、信号機の色の認識結果、および認識確度とともに、自車両の位置と自車両が向いている方位とを信号機情報として送信するのであれば、走行支援装置として、送信処理だけを実行してもよい。信号機の色の認識結果、および認識確度とともに、自車両の位置と自車両が向いている方位とを有する信号機情報を他車両から受信した車両は、自車両では信号機の認識処理を行うことなく、受信した信号機情報に基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを調整できる。
【0121】
また、他車両から信号機情報を受信し、自車両が生成した信号機情報と、他車両が生成して送信してきた信号機情報とに基づいて自車両の発進を支援する支援レベルを調整する機能を備えているのであれば、自車両が生成した信号機情報を他車両に送信する機能がない走行支援装置であってもよい。
【0122】
図12に示す走行支援処理では、画像データの送信側は、送信要求を受信すると画像データを送信した。これに対し、画像データの送信側は、送信要求がなくても、自車両が停止しているときに、撮像した車両前方の画像データを一定時間間隔で送信してもよい。
【0123】
また、画像データの送信側では、画像データの送信要求を受信しても、自車両よりも前方の車両からの送信要求であれば画像データを送信しなくてもよい。
上記実施形態では、アイドルストップ制御を行う車両に本発明の走行支援装置を適用した。これに対し、アイドルストップ制御を行わない車両に本発明の走行支援装置を適用してもよい。この場合、信号待ちで停止している車両に対し、エンジンを自動的に再始動する支援レベルの「高」の支援処理は実行しない。
【0124】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0125】
2:走行支援システム、6:カメラ(撮像装置)、8:GPS受信機、10:方位センサ、12:車速センサ、14:車両制御ECU、30:走行支援装置(認識手段、情報生成手段、車両情報取得手段、距離測定手段、送信手段、受信手段、支援レベル調整手段)、32:通信制御部(送信手段、受信手段)、34:物体認識部(認識手段、距離測定手段)、36:車両情報制御部(車両情報取得手段)、38:情報処理部(情報生成手段、支援レベル調整手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、信号待ちで停止している車両の発進を支援する走行支援装置において、
自車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識する認識手段と、
前記認識手段の認識結果に基づいて、前記信号機の色を認識するための信号機情報を生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段が生成した前記信号機情報を他車両に送信する送信手段と、
他車両が送信してきた前記信号機情報を受信する受信手段と、
自車両の前記情報生成手段が生成した前記信号機情報と、他車両が送信して前記受信手段が受信した前記信号機情報とに基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する支援レベル調整手段と、
を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記情報生成手段は、前記信号機に対する前記認識手段の認識結果である前記信号機の色と認識した色の確度とを前記信号機情報として生成することを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
自車両が向いている方位と自車両の位置とを取得する車両情報取得手段をさらに備え、
前記情報生成手段は、前記車両情報取得手段が取得する自車両の方位および位置をさらに加えて前記信号機情報を生成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
前記信号機と自車両との距離を測定する距離測定手段をさらに備え、
前記情報生成手段は、前記距離測定手段が測定する前記信号機と自車両との距離をさらに加えて前記信号機情報を生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の走行支援装置。
【請求項5】
前記送信手段は、デジタル署名を付加して前記信号機情報を他車両に送信し、
前記支援レベル調整手段は、他車両が送信してきた前記信号機情報にデジタル署名が付加されており、他車両が送信してきた前記信号機情報を採用して前記支援レベルを調整する場合、デジタル署名が付加されていない場合よりも前記支援レベルを上げる、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項6】
車両に搭載され、信号待ちで停止している車両の発進を支援する走行支援装置において、
自車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識する認識手段と、
自車両が向いている方位と自車両の位置とを取得する車両情報取得手段と、
前記信号機に対する前記認識手段の認識結果である前記信号機の色と認識した色の確度、ならびに、前記車両情報取得手段が取得する自車両の方位および位置を、前記信号機の色を認識するための信号機情報として生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段が生成した前記信号機情報を他車両に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項7】
前記信号機と自車両との距離を測定する距離測定手段をさらに備え、
前記情報生成手段は、前記距離測定手段が測定する前記信号機と自車両との距離をさらに加えて前記信号機情報を生成する、
ことを特徴とする請求項6に記載の走行支援装置。
【請求項8】
前記送信手段は、デジタル署名を付加して前記信号機情報を他車両に送信することを特徴とする請求項6または7に記載の走行支援装置。
【請求項9】
前記送信手段は、前記信号機の色に対する前記認識手段の認識結果として前記信号機の色の変化状態を含む前記信号機情報を送信することを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項10】
前記送信手段は、前記信号機の色が赤から青に変化したときだけ、前記信号機の色の変化状態を含む信号機情報を送信することを特徴とする請求項9に記載の走行支援装置。
【請求項11】
車両に搭載され、信号待ちで停止している車両の発進を支援する走行支援装置において、
自車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識する認識手段と、
前記認識手段の認識結果に基づいて、前記信号機の色を認識するための信号機情報を生成する情報生成手段と、
他車両が送信してきた前記信号機情報を受信する受信手段と、
自車両の前記情報生成手段が生成した前記信号機情報と、他車両が送信して前記受信手段が受信した前記信号機情報とに基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する支援レベル調整手段と、
を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項12】
車両に搭載され、信号待ちで停止している車両の発進を支援する走行支援装置において、
自車両が停止しているときに、自車両前方の信号機を他車両が撮像して送信してきた画像データを受信する受信手段と、
他車両が送信して前記受信手段が受信した前記画像データにより前記信号機を認識する認識手段と、
前記認識手段による前記信号機の色を認識するための認識結果に基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する支援レベル調整手段と、
を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項13】
自車両が停止しているときに、自車両前方の信号機を他車両が撮像した画像データが必要なときに、他車両に画像データの送信を要求する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の走行支援装置。
【請求項1】
車両に搭載され、信号待ちで停止している車両の発進を支援する走行支援装置において、
自車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識する認識手段と、
前記認識手段の認識結果に基づいて、前記信号機の色を認識するための信号機情報を生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段が生成した前記信号機情報を他車両に送信する送信手段と、
他車両が送信してきた前記信号機情報を受信する受信手段と、
自車両の前記情報生成手段が生成した前記信号機情報と、他車両が送信して前記受信手段が受信した前記信号機情報とに基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する支援レベル調整手段と、
を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記情報生成手段は、前記信号機に対する前記認識手段の認識結果である前記信号機の色と認識した色の確度とを前記信号機情報として生成することを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
自車両が向いている方位と自車両の位置とを取得する車両情報取得手段をさらに備え、
前記情報生成手段は、前記車両情報取得手段が取得する自車両の方位および位置をさらに加えて前記信号機情報を生成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
前記信号機と自車両との距離を測定する距離測定手段をさらに備え、
前記情報生成手段は、前記距離測定手段が測定する前記信号機と自車両との距離をさらに加えて前記信号機情報を生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の走行支援装置。
【請求項5】
前記送信手段は、デジタル署名を付加して前記信号機情報を他車両に送信し、
前記支援レベル調整手段は、他車両が送信してきた前記信号機情報にデジタル署名が付加されており、他車両が送信してきた前記信号機情報を採用して前記支援レベルを調整する場合、デジタル署名が付加されていない場合よりも前記支援レベルを上げる、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項6】
車両に搭載され、信号待ちで停止している車両の発進を支援する走行支援装置において、
自車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識する認識手段と、
自車両が向いている方位と自車両の位置とを取得する車両情報取得手段と、
前記信号機に対する前記認識手段の認識結果である前記信号機の色と認識した色の確度、ならびに、前記車両情報取得手段が取得する自車両の方位および位置を、前記信号機の色を認識するための信号機情報として生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段が生成した前記信号機情報を他車両に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項7】
前記信号機と自車両との距離を測定する距離測定手段をさらに備え、
前記情報生成手段は、前記距離測定手段が測定する前記信号機と自車両との距離をさらに加えて前記信号機情報を生成する、
ことを特徴とする請求項6に記載の走行支援装置。
【請求項8】
前記送信手段は、デジタル署名を付加して前記信号機情報を他車両に送信することを特徴とする請求項6または7に記載の走行支援装置。
【請求項9】
前記送信手段は、前記信号機の色に対する前記認識手段の認識結果として前記信号機の色の変化状態を含む前記信号機情報を送信することを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項10】
前記送信手段は、前記信号機の色が赤から青に変化したときだけ、前記信号機の色の変化状態を含む信号機情報を送信することを特徴とする請求項9に記載の走行支援装置。
【請求項11】
車両に搭載され、信号待ちで停止している車両の発進を支援する走行支援装置において、
自車両が停止しているときに自車両前方の信号機を認識する認識手段と、
前記認識手段の認識結果に基づいて、前記信号機の色を認識するための信号機情報を生成する情報生成手段と、
他車両が送信してきた前記信号機情報を受信する受信手段と、
自車両の前記情報生成手段が生成した前記信号機情報と、他車両が送信して前記受信手段が受信した前記信号機情報とに基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する支援レベル調整手段と、
を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項12】
車両に搭載され、信号待ちで停止している車両の発進を支援する走行支援装置において、
自車両が停止しているときに、自車両前方の信号機を他車両が撮像して送信してきた画像データを受信する受信手段と、
他車両が送信して前記受信手段が受信した前記画像データにより前記信号機を認識する認識手段と、
前記認識手段による前記信号機の色を認識するための認識結果に基づいて、自車両の発進を支援する支援レベルを調整する支援レベル調整手段と、
を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項13】
自車両が停止しているときに、自車両前方の信号機を他車両が撮像した画像データが必要なときに、他車両に画像データの送信を要求する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の走行支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−89075(P2012−89075A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237552(P2010−237552)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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