説明

走行玩具

【課題】走行玩具をより高く跳躍させると共に1回転させ、高く跳躍させた場合においても激しくリバウンドすることがなく、正常な姿勢を維持した綺麗な着地をする走行玩具を提供する。
【解決手段】ロックレバー18と、車輪を備えた脚部と、脚部を係止する跳躍開始機構と、ロックレバーの押下状態を解放するロック解除機構と、を有し、跳躍開始機構は車輪の回転によって脚部の係止を外して初期状態に戻り、ロック解除機構は脚部の伸張によりロックレバーの押下状態を解放し、跳躍時に脚部を再び係止する走行玩具であって、車体に1個又は複数個の重りを備えて車体の重心が前後方向中心軸の位置から右又は左に偏心した走行玩具とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、跳躍する走行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、跳躍する走行玩具の跳躍機構として、走行玩具の後部を支点とするアームで前輪軸を支え、また走行玩具の前部を支点とするアームで後輪軸を支え、その双方からのアームをX字型に下方に展開して跳躍させる機構、または走行玩具中央付近の支点から短めの前輪軸アームと後輪軸アームを各々下方に押し下げて跳躍させる機構や、車輪軸は移動させずに走行玩具内部で重量物を上方へ急激に移動させて走行玩具を跳躍させる機構などがあった。
【0003】
いずれの跳躍機構の場合でもコイルスプリング・ヒゲ(カモメ)スプリング等の弾性部材を圧縮したり撓めたりしてスプリングの復元力を貯えておき、スプリングを一挙に解放して地面を急激に押圧したり、走行玩具の上方に重量物を急激に上昇させたりして走行玩具を空中に跳躍させるものである。
【0004】
しかし、跳躍機構に使用される弾性部材は跳躍後伸長状態となり、跳躍機構に取り付けられた車輪が車体から離れた下方に位置させられ、着地時の重心が高くなり、又、跳躍後の着地の際の衝撃により、再度圧縮されたり撓められたりされ、再び弾性部材が復元するパワーが着地後の走行玩具をリバウンドさせることになる。従って、走行玩具の転倒に繋がる不安定な姿勢をもたらす原因となっていた。
【0005】
更に、タイヤの素材として用いられるゴム材やエラストマー材も同様に、走行玩具の着地の衝撃により圧縮され、復元するパワーが着地後の走行玩具をリバウンドさせることによって、転倒に繋がる不安定な姿勢をもたらす原因となる。
【0006】
例えば、実公昭47−35908号公報「ジャンピングカー玩具」の如く、走行玩具の中央近傍を支点とする前輪軸を支持するアームと、同様に中央近傍を支点とする後輪軸を支持するアームを備え、両アームを板バネによって、下方へと押し下げ、跳躍させる走行玩具がある。この走行玩具でも、着地時には、重心が高く、且つ、該板バネが路面との接触により再圧縮され、リバウンドしてしまうものである。
【特許文献1】実公昭47−35908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の重量物を急激に移動させる玩具は高く跳躍させることは困難であった。また車輪を軸支したアームを下方に押し下げる手法を用いると、走行玩具をより高く跳躍させられるが、着地時の衝撃により、跳躍させるための弾性部材が再び圧縮されたり撓められたりしてリバウンドし、これにより走行玩具の着地時の姿勢が崩れることがある。
【0008】
そして、この走行玩具では、着地時の重心が高く不安定な着地とならざるを得なかった。このため、やはり高く跳躍させることは困難であった。
したがって、走行玩具を高く跳躍させた場合においても、跳躍させるための弾性部材が着地の衝撃により、再び圧縮されたり撓められたりして、着地後の走行玩具をリバウンドさせないようにすることによって、高く跳躍し、且つ、着地時に車体が正常な姿勢を維持でき、着地後に転倒しない走行玩具が求められている。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に斯かる実情に鑑みなされたもので、走行玩具をより高く跳躍させると共に、高く跳躍させた場合においても激しくリバウンドすることがなく、正常な姿勢を維持した綺麗な着地をする走行玩具を提供することを課題とする。
更に、高く跳躍させると共に、回転着地などの変化のある跳躍により、一層の面白味を備えた走行玩具を提供することも課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、ロックレバーと、車輪を備えた脚部と、脚部を係止する跳躍開始機構と、ロックレバーの押下状態を解放するロック解除機構と、を有し、前記ロックレバーは押下状態で脚部を伸張させる弾性部材を圧縮し、前記跳躍開始機構は車輪の回転によって前記脚部の係止を外し、係止を外した後再び脚部を係止する初期状態に戻り、前記ロック解除機構は脚部の伸張により前記ロックレバーの押下状態を解放するものであって、所定距離の走行により前記脚部を伸張して跳躍し、跳躍時に前記脚部を再び前記跳躍開始機構により係止することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1において、伸縮自在の脚部と、前記脚部の先端に回転自在に軸支された車輪と、前記ロックレバーと前記脚部に当接し前記脚部を伸張させる弾性部材とを備えた車台を有し、前記ロックレバーを押下状態とした時、弾性部材が圧縮され、前記ロックレバーの押下状態を解放した時、弾性部材が解放されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2において、前記車輪は、低反発構造として形成されたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記跳躍開始機構は、前記車輪が所定数の回転を行うと前記脚部の係止を外して伸張させることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、車体に1個又は複数個の重りを備えて重心位置の調整がされていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5において、車体の重心が前後方向中心線の位置から右又は左に偏心していることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6において、前記前輪及び後輪の車輪は、左右の車輪重量が異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、ロックレバーと、車輪を備えた脚部と、脚部を係止する跳躍開始機構と、ロックレバーの押下状態を解放するロック解除機構とを有し、ロックレバーは押下状態で脚部を伸張させる弾性部材を圧縮し、跳躍開始機構は車輪の回転によって脚部の係止を外し、係止を外した後再び脚部を係止する初期状態に戻り、ロック解除機構は脚部の伸張によりロックレバー押下状態を解放するものであって、所定距離の走行により脚部を伸張して跳躍し、跳躍時に脚部を再度跳躍開始機構により係止される。これにより、跳躍時に伸張され車輪を備えた脚部は、跳躍した直後に該脚部が縮退し跳躍開始機構により係止されることによって、該脚部が縮退した分だけ走行玩具の跳躍する高さをより高めることができる走行玩具を提供できる。また所定距離の走行により脚部を伸張させることによって、不意に走行玩具が跳躍することを防止できる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、伸縮自在の脚部と、前記脚部の先端に回転自在に軸支された車輪と、前記ロックレバーと前記脚部に当接し前記脚部を伸張させる弾性部材とを備えた車台を有し、前記ロックレバーが押下状態とした時、弾性部材が圧縮され、前記ロックレバーの押下状態を解放した時、弾性部材が解放されることにより、走行玩具を跳躍させる際に脚部を伸張させた弾性部材が、走行玩具の着地時に加わる衝撃によって再圧縮しないようにでき、走行玩具を着地による力により再び跳躍することを防止し、正常な姿勢を維持した綺麗な着地をさせることを可能としている。
【0016】
これにより、跳躍する走行玩具は、高く跳躍させた場合でも、激しくリバウンドすることがなく、正常な姿勢を維持した綺麗な着地をする確率を高めることを可能とし、例えば、従来の走行玩具の跳躍の高さはホイールベースと等しい程度あったが、本発明の走行玩具ではホイールベースの2倍〜3倍のハイジャンプをしても、正常な姿勢を維持した綺麗な着地をする確率が飛躍的に高めることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、車輪を低反発構造としていることによって、走行玩具が着地する際に発生する反発力を小さくし、走行玩具が再び跳躍することを防止できる
【0018】
請求項4記載の発明によれば、跳躍開始機構は、車輪が所定数の回転を行うと脚部の係止を外して伸張させことによって、不意に走行玩具が跳躍することを防止すると共に、車輪が所定数の回転をすることにより、走行玩具を所定の距離を走行させた後、跳躍させることができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、重りにより重心位置を調整するものであるから、重心を車体の中央付近に位置させて車体を水平に保つ跳躍を行わせ、重心を左右に偏心させて横回転を行う跳躍を行わせ、重心を前後に偏心させて前方又は後方に回転する跳躍を行わせ、左右の横回転又は前後の縦回転により1回転させて着地させることもできる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、車体の重心を右又は左に偏心させているため、跳躍時に横回転を行って跳躍し、重りの位置及び重量を定めることにより1回転して車輪から着地する跳躍を行うことができる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、伸縮する脚部の下方に配置する車輪の左右に重量差を設けるため、跳躍時の横方向の回転調整を一層容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る走行玩具の最良の形態は、弾性部材を押圧するロックレバーと、伸縮自在とされた脚部と、前記脚部に形成された長穴を貫通する軸に軸支され且つ外周を低反発部材で形成されている車輪と、前記ロックレバーと前記脚部に当接し前記脚部を伸張させる弾性部材とを備える車台を有している。また、ロックレバーの押下状態を解放するロック解除機構と、前記車輪が所定数の回転を行うと前記脚部の係止を外して伸張させる跳躍開始機構を備え、前記跳躍開始機構として、前記車輪が軸止された軸に軸着されたウォームギア又は係合歯車によりカム付歯車又はカムピン付き歯車板に回転を伝達し、前記カム付歯車又はカムピン付き歯車板によって作動するリンクと、前記リンクの先端に形成された前記係止部と掛止するフックとを備えた走行玩具とする。
【0023】
さらに、車台の側方に重りであるバランスウエイトを取り付け、バランスウエイトを設けた逆側の前輪及び後輪にも重りを組み込んで左右の車輪の重さを異ならせると共に、車体の重心を中心線から偏心した位置とし、跳躍時に1回転して車輪から着地するように重りを調整した走行玩具とするものである。
【実施例】
【0024】
以下、図を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。図1は、走行玩具10の車台と外装カバーを示す図である。
【0025】
走行玩具10は、前輪44及び後輪54を有する車台12と、該車台12を覆う外装カバー11で構成されている。方形状に形成された車台12の上面には、車台12の前後方向と平行に板状とされた2つの突条13が形成され、両突条13の前方近傍に、ロックレバー18を軸支するロックレバー支持軸24が軸架され、ロックレバー18は、ロックレバー支持軸24に回動自在に軸支されて、回動自在となっている。また、該突条13の前方近傍の内側には、ロックレバー18を回転止めするレバーストッパー19が形成されている。
【0026】
また車台12の下方に位置する前輪44及び後輪54の外周には、走行玩具10のタイヤとなるゴム材で外周を覆っている。実施例のゴム材は、走行玩具10にかかる衝撃を吸収するために低反発素材である低反発ゴムで形成されている。
【0027】
外装カバー11は、車を模して軽量に形成されている。また外装カバー11には、ロックレバー18の先端を突出させる開口が形成され、車台12を外装カバー11で覆うと、該穴よりロックレバー18の先端が、走行玩具10の後方斜上方に突出される。
【0028】
次に主に図2〜図5及び図6を用いて走行玩具10の内部となる車台12の説明を行う。車台12は、脚部を急激に伸張させる第一弾性部材14と、第一弾性部材14を圧縮させるロックレバー部のロックレバー18を掛止してロックレバー18の押下状態を維持する係合フック28、X字状アームで形成されて第一弾性部材14によって伸張される脚部、前輪44を回転させるフライホイール部、縮退状態で係止された脚部の係止を外して該脚部を伸張させる跳躍開始機構、脚部の伸張に伴って摺動し係合フック28とロックレバー18との掛止を外してロックレバー18を解放する摺動体60などで構成されている。
【0029】
まず、図1及び図3を用いてロックレバー部の説明を行う。ロックレバー部は、ロックレバー18と、図6などに示されるように第二弾性部材26で構成されている。ロックレバー18は、断面を方形状とした略棒状体である。棒状体の端部の両側面には、ロックレバー支持軸24を貫通させる軸穴が形成され、上述した突条13に軸架されたロックレバー支持軸24に回動自在に軸支されている。
【0030】
またロックレバー18のロックレバー支持軸24の近傍且つ下方に、圧縮バネとなる第二弾性部材26が位置しており、この第二弾性部材26は、ロックレバー18のロックレバー支持軸24近傍の下面と、車台12の上面と当接し、ロックレバー18が押下されると圧縮されるようになっている。つまり、この第二弾性部材26は、ロックレバー18を解放する方向となる上方にロックレバー18を押圧している。
【0031】
そしてロックレバー18には、図5及び図6などに示すように、ロックレバー支持軸24と対向した端部近傍の下面に、カム付歯車70を下方へと摺動させる凸部22が形成されている。また、該凸部22が挿通する穴が、車台12の上面に形成されている。さらにロックレバー18には、係合フック28と係合する係合穴20が、ロックレバー18上面の中央近傍に形成されている。
【0032】
また図6に示すように、ロックレバー18の略中央の下面が、第一弾性部材14と当接し、ロックレバー18を押し下げて押下状態にすると、ロック解除機構の係合フック28に掛止され、第一弾性部材14を圧縮するものである。そしてロックレバー18の押下状態を解放した状態では、第一弾性部材14は解放されて非圧縮状態となる。
【0033】
この第一弾性部材14は、後述する脚部の脚軸34とロックレバー18の下面間に位置している。第一弾性部材14は、ロックレバー18を押し下げて押下状態にした時にのみ圧縮され、跳躍開始機構によって脚部が解放された時には、第一弾性部材14の復元力により脚部を伸張させ、走行玩具10は、跳躍する。
【0034】
また第一弾性部材14は、ロックレバー18の押下状態を解放している時には、脚部の脚軸34及びロックレバー18からの力が加わらない状態で支持されている。つまり、走行玩具10が着地時に加わる衝撃によって、第一弾性部材14は、圧縮することがない。
【0035】
次に、係合フック28、脚部、摺動体60からなるロック解除機構の説明を行う。まず、図3及び図5や図6を用いてロックレバーを押下した状態で掛止する係合フック28の説明を行う。係合フック28は、厚肉に略方形状に形成され、一方の端部は鉤状に形成され、他方の端部には、車台12の中央近傍で軸架されている係合フック軸32を挿通する軸穴が形成され、係合フック軸32に回動自在に軸支されている。この軸穴が形成されている端部から、さらに弾性部材係合突起30が突設されている。
【0036】
係合フック28に形成された鉤状の端部は、ロックレバー18を押下状態にした時に、ロックレバー18に形成された係合穴20と鉤状の端部が掛止されようになる。また、弾性部材係合突起30と後述するカム付歯車70間は、引張バネとなる第三弾性部材78で接続されており、係合フック28とロックレバー18との掛止状態を維持する方向に、第三弾性部材78の復元力を加えている。
【0037】
また、後述する摺動体60の摺動によって、係合フック28とロックレバー18のとの掛止状態を解除する方向に押圧され、ロックレバー18は、掛止状態を解除されるものである。
【0038】
次に、図2及び図3や図5並びに図7(B)を用いて脚部の説明を行う。脚部は、前輪44を回動自在に軸支する第一脚部材36と後輪54を回動自在に軸支する第二脚部材46で構成され、両脚部材の中央に形成された穴に脚軸34が軸支され、X字型の脚部となる。このX字型が変位することによって脚部は、伸縮自在とされている。
【0039】
第一脚部材36は、2つの略方形状の板を平行に並べ、その板の間を接続する板で形成されている。また、一方の端部近傍の両側面には、前輪44を軸支する軸穴が形成され、前輪44を軸着した前輪軸40が軸支されている。また、他方の端部近傍の両側面には軸穴が形成され、車台12の裏面後方に軸架された第一支持軸38に回動自在に軸支されている。
【0040】
また、第一脚部材36の中央両側面には、第二脚部材46と共に軸支される軸穴が形成されている。また、前輪軸40には、走行歯車42が軸着している。また、この前輪軸40の両端には、前輪44となる車輪が軸着している。
そして、第二脚部材46は、第一脚部材36と同様に2つの略方形状の板を平行に並べ、その板間を接続する板で形成されている。また、第二脚部材46は、第一脚部材36より大きく形成され、第一脚部材36の外側に位置するようになる。
【0041】
また、一方の端部近傍の両側面には、後輪54を軸支する長穴59が形成され、後輪54を軸着した後輪軸50が遊架されている。また、他方の端部近傍の両側面には軸穴が形成され、車台12の前方で両側面に形成された長穴の間を摺動可能に軸架された第二支持軸48に回動自在に軸支されている。また、第二脚部材46の中央両側面には、第一脚部材36と共に軸支される軸穴が形成されている。また、後輪軸50は、ウォームギヤ52を軸着し、この後輪軸50の両端には、後輪54となる車輪を軸着している。
【0042】
そして、第二脚部材46の車輪側の端部には、凸状に形成された係合部56を設けている。さらに、第二脚部材46の車台12側に端部の両側面の内側には、摺動体60と当接する摺動体押圧部58を各々形成している。実施例は、この摺動体押圧部58は、円柱状に形成されている。
【0043】
次に、図4及び図5や図7(B)を用いて摺動体60の説明を行う。摺動体60は、方形状に形成された薄板形状に形成され、その中央部には、フライホイール部が貫通する開口を形成している。また摺動体60の下面には、脚部に形成された円柱状の摺動体押圧部58によって押圧される板状に形成された凸部である係合凸部62を2つ形成している。また、摺動体60の端部は、係合フック28と当接した状態となっている。
【0044】
この摺動体60は、車台12の裏面の中央近傍に位置し、脚部に形成された摺動体押圧部58や、係合フック28による押圧によって、車台12の前後方向に摺動するものである。詳細には、前方から後方への摺動体60の摺動は、第二脚部材46の摺動体押圧部58からの押圧によって行われる。また後方から前方への摺動は、係合フック28に係合した第三弾性部材78の作用によって、押圧されることにより行われる。この摺動体60が摺動を行うことによって、摺動体60の端部が係合フック28を押圧し、係合フック軸32を中心に回転させ、ロックレバー18と係合フック28の係合の状態を解除するものである。
【0045】
次に、図2及び図4や図6を用いてフライホイール部を説明する。フライホイール部は、フライホイール66と、中間歯車68で構成され、走行玩具10前方側に位置している。フライホイール66は、厚肉円板状に金属素材で形成され、車台12の裏面に形成された2つの平行な板状に形成された突条に回転自在に軸支されている。
【0046】
また、フライホールを軸着し、該突条に回転自在に軸架された軸(図示しない)には、中間歯車68と歯合するピニオンギア(図示しない)を軸着している。また、フライホイール66が軸支された2つの平行な突条には、フライホイール66より、やや前方側に、ピニオンギアと歯合する中間歯車68を回転自在に軸支されている。中間歯車68は、2つの平歯車を重ねた歯車であり、一方の平歯車は、フライホイール66のピニオンギアと歯合し、他方の平歯車は、脚部を縮退している時に、第一脚部材14に軸支された走行歯車42と歯合される。
【0047】
走行玩具10の脚部を縮退時に、走行歯車42と中間歯車68は歯合し、前輪44と同軸となる走行歯車42は、該前輪44の回転に伴って走行歯車42も回転し、その回転力は、中間歯車68を介して伝達されフライホイール66を回転されるものである。フライホイール66が回転を行うと、フライホイール66の慣性力によって回転は持続され、走行玩具10の駆動力となる。
【0048】
次に、図2乃至図4と、図6を用いて跳躍開始機構の説明を行う。跳躍開始機構は、L字形継手82と、カム付歯車70で構成されている。カム付歯車70は、軸の一方に、平歯車74が形成され、軸の他方には、内側方向に高さの変位するカム72が形成されている。ロックレバー18を押下状態である時には、カム付歯車70のカム72とL字形継手82の凸部85が当接している。このカム付歯車70の回転によるカム72の内側方向に対する高さの変位に伴って、当接されている凸部85がカム72に押圧され、L字形継手82は、継手支持軸86を中心に回転される。
【0049】
車台12の後方近傍に、車台12の上面に対して垂直方向に軸止されたカム付歯車軸76が形成され、該カム付歯車軸76の先端は、リベット形状に形成されている。このカム付歯車軸76に対して上下方向に摺動自在、回動自在に、カム付歯車70は軸支されている。また、カム付歯車70には、圧縮バネとなる第四弾性部材80が内設され、第四弾性部材80は、一方はカム付歯車軸76の先端であるリベットと当接し、他方はカム付歯車70内で当接している。この第四弾性部材80は、カム付歯車70を常に上方へ摺動させるように押圧している。そしてカム付歯車70は、ロックレバー18を押し下げて押下状態にした際に、ロックレバー18に形成された凸部22によって、下方へと摺動させるように押圧されるものである。
【0050】
またカム付歯車70の平歯車74の端面の軸の中心からやや離れた位置に突起を形成されている。そして引張バネとなる第三弾性部材78は、係合フック28の形成された弾性部材係合突起30と該突起間を接続し、カム付歯車70の回転に伴って第三弾性部材78は伸張される。またカム付歯車70の平歯車74とウォームギヤ52との歯合が解除されると、第三弾性部材78の復元力によって、カム付歯車70は元の回転位置へと復帰するようになる。この第三弾性部材78の復元力は、上述した係合フック28の復帰と、カム付歯車70の回転の復帰の2つに用いられている。
【0051】
そしてカム付歯車70の平歯車74とウォームギヤ52が歯合する状態は、3つの状態を満たしている時に歯合される。状態の一つは、ロックレバー18は押下状態であること。もう一つの状態として、走行玩具10を路面に接地させるなどして後輪軸50が第二脚部材46に形成された長穴59の上方に位置する状態であること。そして、もう一つの状態として、脚部を縮退していることである。つまり、カム付歯車70の平歯車74とウォームギヤ52の歯合しない状態は、上述した3つの状態のいずれか1つを満たしていない時には、歯合しないものである。
【0052】
また、カム付歯車70のカム72とL字形継手82の凸部85と当接する状態は、ロックレバー18を押下し、ロックレバー18に形成された凸部22がカム付歯車70を下方へと摺動させている時に、当接状態となり、ロックレバー18の押下状態を解放している時には、当接しないものである。
【0053】
次にL字形継手82は、車台12の後方に軸架された継手支持軸86に回動自在に、軸支されている。L字形継手82の一方の先端は鉤状に形成され、他方の端部には、カム付歯車70のカム72と当接する凸部85が形成されている。L字形継手82の一方に形成された鉤84は、脚部を縮退時に、第二脚部材46の係合部56と係合する。その後、L字形継手82は、カム付歯車70が略半回転をすると、脚部の係合部56との係合状態は解除されるものである。つまり、走行玩具10の後輪54が回転をすると、ウォームギヤ52を介してカム付歯車70は、ゆっくりと回転し、カム付歯車70が略半回転した時に、脚部との係合状態は解除されることによって走行玩具10は跳躍するものである。
【0054】
またL字形継手82の鉤84の近傍と、車台12の裏面に対して垂直に形成された棒81(図2参照)を接続する引張バネとなる第五弾性部材88を設け、該L字形継手82の鉤84と脚部の係合部56との当接状態を維持する方向に復元力を作用させている。また、カム付歯車70の平歯車74の直径の大きさを可変させることによって、走行玩具10の跳躍までの距離を可変させることを可能としている。
【0055】
次に図6〜図9を用いて、走行玩具10の跳躍開始機構の動作例を説明する。図6(A)は、ロックレバー18の押下状態を解放した状態であり、脚部は、縮退された状態である。また、脚部が縮退状態であるため、走行歯車42と中間歯車68は、歯合された状態となっている。また、カム付歯車70は上方に位置し、ウォームギヤ52は歯合されていない。
【0056】
図6(A)から図6(B)への移行を説明する。ロックレバー18の端部を押下すると、ロックレバー支持軸24を中心に回転し、ロックレバー18は、係合フック28と係合し、押下状態となる。ロックレバー18を押下状態にすることによって、ロックレバー18に形成された凸部22によりカム付歯車70が押圧され、カム付歯車軸76の下方へと摺動し、ウォームギヤ52と歯合される。
【0057】
またロックレバー18を押下状態にすると、脚部とロックレバー18と当接する第一弾性部材14は、ロックレバー18によって押圧され、圧縮状態となる。
【0058】
図6(B)に示す走行玩具10の状態で、走行玩具10を路面に接地させ、使用者が走行玩具10を前進方向へと押圧し、前輪44を回転させると、前輪軸40に軸支された走行歯車42が回転し、該走行歯車42と歯合状態にある中間歯車68を介してフライホイール66へ回転が伝達され、フライホイール66を回転させる。このフライホイール66の回転による効果によって前輪44は、長時間回転を行う。
【0059】
また、図6(B)に示す走行玩具10の状態で、走行玩具10を持ち上げると、第二脚部材46に形成された長穴59に遊挿された後輪54を軸着した後輪軸50は、その自重よって下方へと落下する。これにより、カム付歯車70の平歯車74とウォームギヤ52の歯合状態は解除され、ウォームギヤ52との歯合が解除されたカム付歯車70は、このカム付歯車70と係合する第三弾性部材78の復元力の作用によって、カム付歯車70を元の回転位置へと復帰させる。
【0060】
したがって、フライホイール66を高速に回転させるために走行玩具10を路面に接地させて前方方向へ押圧する行為を繰り返しても、走行玩具10を持ち上げる毎に、カム付歯車70は元の位置に復帰することになり、走行玩具10は、常に一定の距離を走行した後に跳躍開始機構は作動し、跳躍を行うようにすることを可能としている。
【0061】
また、跳躍する前の走行玩具10を走行中に持ち上げた場合にも同様に、後輪54が路面から離れることによって、カム付歯車70の平歯車74とウォームギヤ52の歯合は解除され、カム付歯車70は、元の回転位置へと復帰することになる。つまり、走行玩具10を走行中に持ち上げ、後輪54が回転している状態であっても跳躍開始機構は作動しないものである。
【0062】
図6(B)から図7(A)への移行を説明する。フライホイール66が高速に回転されると、そのフライホイール66の慣性力によって前輪44は、回転した状態を維持される。その状態で走行玩具10を路面に接地させると前輪44の回転による駆動力によって走行玩具10は、走行状態となる。その後、走行玩具10が走行状態となることにより、路面との摩擦力によって後輪54も回転される。この後輪54の回転により、後輪54と同軸となるウォームギヤ52を介してカム付歯車70は回転をする。また、カム付歯車70の回転に伴ってカム72も回転をする。このカム付歯車70が略半回転をすることによって、L字形継手82の凸部85は、カム72により押圧される。凸部85が押圧されることにより、L字形継手82は、継手支持軸86を中心に回転し、L字形継手82の先端に形成されている鉤84と脚部の係合部56の係合状態は解除される。
【0063】
次に図7(A)から図7(B)への移行を説明する。脚部の係合部56とL字形継手82の係合が解除されたことによって、第一弾性部材14の復元力により脚部を伸張させる。これにより、カム付歯車70とウォームギヤ52との歯合及び、走行歯車42と中間歯車68の歯合は解除される。また脚部が伸張することによって、前輪44は、走行玩具10のやや後方へと移動する。また、カム付歯車70とウォームギヤ52の歯合が解除され、カム付歯車70は、元の回転位置に復帰し、これにより跳躍開始機構は、初期状態に戻る。
【0064】
次に、図7(B)から図8(A)への移行を説明する。この図7(B)から図8(A)への移行は、瞬時に行われる。第一弾性部材14の復元力によって、前輪44及び後輪54が地面を激しく押圧することで、走行玩具10は跳躍する。このときに、脚部の伸張によって、走行玩具10の後輪54を軸支した第二脚部材46に形成された摺動体押圧部58と当接した摺動体60が、車台12の後方へと摺動し、係合フック28を押圧する。係合フック28は、押圧されたことによって係合フック軸32を中心に回動し、ロックレバー18のとの係合状態が解除される。ロックレバー18は、車台12とロックレバー18の裏面に当接する第二弾性部材26によって押し上げられる。また、ロックレバー18が解放されたことによって、カム付歯車70は、第四弾性部材80の復元力により上方へと摺動し、復動する。
【0065】
次に図8(A)から図8(B)への移行を説明する。脚部の伸張により路面を押圧し、この走行玩具10は跳躍する。そして脚部が急激に伸びきると、その反動で脚部は、車台12側に戻ることになる。これにより脚部が復帰位置まで縮退を行うと、L字形継手82の鉤84と脚部の係合部56が係合され、縮退状態で保持されるようになる。
【0066】
そして脚部の縮退によって、走行歯車42と中間歯車68とは再び歯合状態となり、フライホイール66からの回転は前輪44へと伝達されるようになる。また、この状態では、脚部とロックレバー18に当接する第一弾性部材14は、各々の部材から圧力が加わらない解放状態で支持されている。このように脚部を縮退し格納されるため、従来の跳躍する玩具より、高く跳躍できるものである。
【0067】
またロックレバー18は解放されているために、ウォームギヤ52とカム付歯車70の歯合は、解除状態で維持されている。
【0068】
図9は、着地時及び着地後、路面を走行する走行玩具10の状態を示している。走行玩具10の前輪44及び後輪54の外周面は、低反発素材となる低反発ゴムで形成した低反発構造としているため、着地時の衝撃は、この低反発部材によって吸収される。また、脚部とロックレバー18と当接されている第一弾性部材14は、各々部材から圧力の加わらない解放状態で支持されているため、着地時の衝撃によって第一弾性部材14は、再圧縮することはない。これにより、リバウンドすることなく、図9の状態を維持しつつ走行玩具10は走行を続けることを可能としている。
【0069】
以上説明したように構成することにより、走行玩具をより高く跳躍させると共に、高く跳躍させた場合においても激しくリバウンドすることがなく、正常な姿勢を維持した綺麗な着地をする走行玩具を提供することができる。
尚、車体を水平に保って跳躍させ、車輪から確実に着地させるため、車台12や車輪の形状や重さに合わせ、車台12に金属製の重りを取り付けて重心位置を調整することがある。
【0070】
又、上記実施例は、フライホイール66により高く跳躍して着地した後も確実に走行するようにしているも、このフライホイール66を省略し、走行玩具10を手で勢い良く押して走行させ、一定距離の走行をしたら高く跳躍させて楽しむこともできる。
【0071】
更に、前記実施例では、低反発ゴムにより前輪44や後輪54の外周を覆うことによって低反発構造の車輪としているも、合成樹脂により車輪のリムと共にタイヤの形状を形成し、通常のゴム材を薄く形成して合成樹脂製の車輪に被せ、ゴム材による反発力を小さくした低反発構造とすることもある。
【0072】
そして、この走行玩具10としては、通常の乗用車タイプとする場合に限るものでなく、車輪の大きなオフロードタイプなどの自動車の形とすることもある。
又、他の実施例として、車輪や走行玩具の車台12における左右の重量バランスに差異を設け、跳躍時に横方向に一回転して着地させることもできる。
【0073】
この横方向に回転させる第2実施例は、図10に示すように、オフロードタイプとするようにタイヤ径の大きな前輪44及び後輪54を備えるものであり、前輪軸40に取り付ける中空円筒状のホイール部の外周から板状円形の前輪ハブ45を外周に広げ、この前輪ハブ45によりタイヤ形状の薄肉のゴム材を固定して外観をオフロードタイヤに似せた前輪44とし、後輪54も同様に中空円筒状のホイール部の外周に板状円形の後輪ハブ55を形成してタイヤ形状のゴム材を取り付けるものとする。
【0074】
このように、中空のホイール部の外周に板状のハブを設けて薄肉のゴム材を取り付けてタイヤ形状とするものであるから、車体に対して通常の車輪よりも極めて大きく形成する車輪であっても、軽量とすることができ、第一弾性部材14により車台12等を上方に跳ね上げた後、前輪44や後輪54を車台12に収納するように引き上げる際、車台12等の跳躍力を減衰させることが少なく、走行玩具10を高く跳躍させることができる。
【0075】
尚、前輪44や後輪54は、中空のホイール部の外周にハブを形成して軽量且つゴムによる弾性力の極めて小さな前輪44や後輪54とする場合のみでなく、合成樹脂により大径の中空ホイール部又は中空のタイヤ形状に形成し、ゴム層を塗布又は張り付けて外周がゴム製のタイヤ形状であって反発力の小さな前輪44や後輪54とすることもある。
【0076】
そして、図10に示した実施例では、跳躍開始機構として、前述のウォームギヤ52に変えて平歯車を係合歯車53として用いているものであり、この係合歯車53を後輪軸50に取り付け、車台12の後方下側には減速歯車73とカムピン付き歯車板71を取り付けている。
【0077】
このカムピン付き歯車板71や減速歯車73は、その回転軸を水平方向として回転可能としており、走行玩具10を床などに載置したとき、係合歯車53と減速歯車73とが噛合し、走行玩具10を持ち上げると後輪軸50が自重によって僅かに下がり、係合歯車53と減速歯車73との噛合が外れるものであることは前述の実施例と同様である。
【0078】
又、カムピン付き歯車板71はその回転軸を僅かに上下移動可能として支持しているものであり、ロックレバー18をセットするように押し下げたとき、ロックレバー18の下面に設けた凸部22により回転軸が押し下げられてカムピン付き歯車板71の外周に形成した歯部を減速歯車73の歯部と噛合させる。
【0079】
従って、ロックレバー18が押し下げられていないときやロックレバー18を押し下げた状態であっても走行玩具10を持ち上げて後輪54を空中に浮かしているときは、カムピン付き歯車板71が減速歯車73から外れ、又、減速歯車73と係合歯車53とが外れることにより、カムピン付き歯車板71は第三弾性部材78によりカムピンを初期位置とする回転位置に位置決めされる。
【0080】
そして、ロックレバー18を押し下げてセット状態として後輪54を接地させて係合歯車53と減速歯車73とを噛合させた状態でこの走行玩具10を走行させると、後輪54の回転に合わせて係合歯車53が回転し、係合歯車53の回転は減速歯車73を介してカムピン付き歯車板71に伝達されることになる。
【0081】
このため、走行玩具10の走行によりカムピン付き歯車板71が所定角度だけ回転すると、カムピン付き歯車板71の側面に設けたピンによりL字形継手82の継手支持軸86よりも前方に突出されている延設部83の先端に設けた突出部を第五弾性部材88の張力に抗して押し下げ、継手支持軸86を中心にL字形継手82を回動させることにより、L字形継手82の鉤84と後輪54の係合部56との係合を外すことができる。
【0082】
更に、この車台12の中央両側には、前輪44と後輪54との中間上方に突出する略逆三角形の突出部91を形成し、一方の突出部91は鉛合金などの金属製のバランスウエイトとし、他方は中空樹脂製のダミーウエイトとしている。
【0083】
このように、車台12の一方に金属製の突出部91を重りであるバランスウエイトとして設け、車台12の左右の重心位置をこの金属製突出部91であるバランスウエイトの側に偏らせることにより、この走行玩具10を跳躍させたとき、横方向に回転させるようにしている。
尚、一方のみを金属製の突出部91とする場合に限ることなく、左右に大きさの異なる金属製の突出部91を取り付け、小さい金属製の突出部91には樹脂製の突出部91を被せて外観を整えることもある。
【0084】
そして、走行玩具10の全体重量や前輪44及び後輪54の重量に合わせ、金属製突出部91の大きさ、即ち金属製突出部91の重量を調整し、この走行玩具10の跳躍時に横方向に一回転させて前輪44及び後輪54により正しく着地させるようにしている。
【0085】
又、車台12の一方に金属製の突出部91を形成するのみでなく、この金属製突出部91を車台12の左側に設けた場合は右側の前輪44及び後輪54に円板状の金属板などの重りを取り付けるようにして前輪44や後輪54の左右の重量にも差異を設け、車台12へ金属製突出部91を設けた逆側の前輪44及び後輪54を重くすることもある。
【0086】
このように、車台12にバランスウエイトを取り付けて車体の重心を車台12の前後方向中心線から右又は左に偏心させることにより、第一弾性部材14により脚部を伸張させて車体を上昇させ、脚部を縮退させて車輪を車台12に引き込むとき、車台12の上昇慣性力が左右で崩れ、横方向に回転する。
【0087】
又、前輪44や後輪54の左右の車輪重量を金属板などの重りにより異ならせた場合も、車台12が上昇して脚部を縮退させるとき、車輪を引き上げる際に車台12が受ける力が左右で異なり、車台12の上昇慣性力が崩れて横方向に回転することになる。
【0088】
そして、車台12に重りとしてのバランスウエイトを取り付け、このバランスウエイトと逆側の車輪を金属板などの重りにより重くすることによって、走行玩具10全体の重量増加を小さくしつつ一層確実に跳躍時に横方向に一回転させて車輪から着地させることが可能となる。
【0089】
尚、車台12にバランスウエイトやダミーウエイトを取り付けることなく前輪44及び後輪54における左右どちらか一方に金属性の円板などの重りを組み込むことによっても跳躍時に横回転をさせることができるものであって、車輪のみに重りを組み込む場合や車台12のみにバランスウエイトを取り付ける場合、更に、車輪に重りを組み込むと共に逆側の車台12にバランスウエイトを取り付ける場合など、走行玩具10全体の重量や前輪44及び後輪54の重量バランスに合わせ、適宜、横に一回転しつつ跳躍高さが極力低くならないように重りとしての金属板や金属製突出部の重量や位置を決定するものとしている。
【0090】
このように、この実施例では、重りとしてのバランスウエイトを車台12に設けたり円板などの重りを前輪44や後輪54に組み込んだりして車体に重りを取り付けることにより、跳躍時に車輪を車台12に収納して高く安定した跳躍を行うと共に、車台12や車輪の左右の重量配分に差を設けることにより跳躍時に横回転を行い、且つ低反発構造とした反発力の小さな車輪によって確実に安定した着地を行い、変化のある走行を楽しむことのできる走行玩具10とすることができる。
【0091】
又、車台12に設けるバランスウエイトを車台12の前端又は後端に設け、左右の前輪44又は左右の後輪54に金属板などの重りを取り付けて前後の重量バランスを変化させ、跳躍時に前方宙返り又は後方宙返りをさせることもある。
更に、低反発構造の車輪を形成するに際し、合成樹脂により成形するホイール部やハブの厚みが異なる車輪を形成し、ホイール部などの厚みを厚くする車輪は比重の大きな樹脂材料を重りとして用いてホイール部などを形成するものとして重量の異なる車輪とし、重量の重い車輪を左側前輪44や左側後輪54又は右側前輪44や右側後輪54とすることにより左右の車輪重量を異ならせる場合、又、重量の重い車輪を左右の前輪44又は左右の後輪54として前後の車輪の重量を異ならせる場合などもある。
【0092】
このように、好ましい実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々に改変できる。
例えば、実施例では、外装カバー11の形状は、車を模して形成しているが、これに限定されることなく、他の乗り物やロボット・人形・動物などの形に模して形成してもよい。
【0093】
また、前記実施例では、動力を用いる場合としてフライホイールを用いる場合があるとしたが、これに限定するものではなく、ゼンマイ式、電動式動力とする場合や、手押し式の無動力とすることもあることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る走行玩具の外観を示す図である。
【図2】本発明に係る走行玩具の分解斜視図面である。
【図3】本発明に係る走行玩具の分解斜視図面である。
【図4】本発明に係る走行玩具の分解斜視図面である。
【図5】本発明に係る走行玩具の分解斜視図面である。
【図6】本発明に係る走行玩具の跳躍の流れを示す断面図である。
【図7】本発明に係る走行玩具の跳躍の流れを示す断面図である。
【図8】本発明に係る走行玩具の跳躍の流れを示す断面図である。
【図9】本発明に係る走行玩具の跳躍の流れを示す断面図である。
【図10】本発明に係る走行玩具の他の実施例の主要部を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0095】
10 走行玩具
11 外装カバー
12 車台
13 突条
14 第一弾性部材
16 錘
18 ロックレバー
19 レバーストッパー
20 係合穴
22 凸部
24 ロックレバー支持軸
26 第二弾性部材
28 係合フック
30 弾性部材係合突起
32 係合フック軸
34 脚軸
36 第一脚部材
38 第一支持軸
40 前輪軸
42 走行歯車
44 前輪
45 前輪ハブ
46 第二脚部材
48 第二支持軸
50 後輪軸
52 ウォームギア
53 係合歯車
54 後輪
55 後輪ハブ
56 係合部
58 摺動体押圧部
59 長穴
60 摺動体
62 係合凸部
66 フライホイール
68 中間歯車
70 カム付歯車
71 カムピン付き歯車板
72 カム
73 減速歯車
74 平歯車
76 カム付歯車軸
78 第三弾性部材
80 第四弾性部材
81 棒
82 L字形継手
83 延設部
84 鉤
85 凸部
86 継手支持軸
88 第五弾性部材
91 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックレバーと、車輪を備えた脚部と、脚部を係止する跳躍開始機構と、ロックレバーの押下状態を解放するロック解除機構と、を有し、前記ロックレバーは押下状態で脚部を伸張させる弾性部材を圧縮し、前記跳躍開始機構は車輪の回転によって前記脚部の係止を外し、係止を外した後再び脚部を係止する初期状態に戻り、前記ロック解除機構は脚部の伸張により前記ロックレバーの押下状態を解放するものであって、所定距離の走行により前記脚部を伸張して跳躍し、跳躍時に前記脚部を再び前記跳躍開始機構により係止することを特徴とする走行玩具。
【請求項2】
請求項1において、伸縮自在の脚部と、前記脚部の先端に回転自在に軸支された車輪と、前記ロックレバーと前記脚部に当接し前記脚部を伸張させる弾性部材とを備えた車台を有し、前記ロックレバーを押下状態とした時、弾性部材が圧縮され、前記ロックレバーの押下状態を解放した時、弾性部材が解放されることを特徴とする走行玩具。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記車輪は、低反発構造として形成されていることを特徴とする走行玩具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、前記跳躍開始機構は、前記車輪が所定数の回転を行うと前記脚部の係止を外して伸張させることを特徴とする走行玩具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、車体に1個又は複数個の重りを備えて重心位置の調整がされていることを特徴とする走行玩具。
【請求項6】
請求項5において、車体の重心が前後方向中心線の位置から右又は左に偏心していることを特徴とする走行玩具。
【請求項7】
請求項5又は請求項6において、前記前輪及び後輪の車輪は、左右の車輪重量が異なることを特徴とする走行玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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