説明

走行玩具

【課題】車体を伸長させたバギータイプの自動車形状からロボット形状へ、また、ロボット形状からバギータイプの自動車形状へと変形させることができる走行玩具を提供する。
【解決手段】前輪を備えた前方車台と、後輪を備えた後方車台と、前記前方車台と前記後方車台とを連結し、かつ車台を折り曲げるための車台折曲機構とから構成され、前記前輪と後輪の少なくとも一方を駆動する駆動手段を設け、さらに前記車台折曲機構は、前方部が前記前方車台の中間部に回動可能に嵌合され、かつ後方部が前記後方車台と回動可能に連結される車台折曲手段を含み、かつ前記前方車台の長さは少なくとも前記後方車台の長さよりも長いことにより、前記車台折曲手段を回動させて車台を折曲した際に、前記前方車台の後端部が前記後方車台よりも高い位置となるまで前記前方車台が起き上がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行玩具に関し、特に、車体を伸長させたバギータイプの自動車形状から頭部と両腕部を備えたロボット形状へ、またはその逆に、ロボット形状からバギータイプの自動車形状へと変形させることができる走行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、興趣に富んだ走行を行うことができるように構成された走行玩具が提案されている。特に車体の形態を変化させて面白みを感じさせる走行玩具も種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、後輪を備えた後部車体または前輪を備えた前部車体の一方を他方に伸縮自在に取り付けることにより全長を伸縮可能とした自動車玩具を開示する。
【0004】
また、特許文献2は、車高を変化させることのできる自動車玩具を開示する。特許文献2に記載の自動車玩具では、車体と前輪および後輪との距離を一定に保ち、前輪および後輪の横軸距離または前輪と後輪との縦軸距離を可変に構成することにより車高を変化させることができる。
【0005】
特許文献3には、さらに、車体を折り曲げた高床のピックアップスタイルと、車体を伸長させた低床のバギースタイルという2つの車両スタイルを得ることができる走行玩具が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−182869号公報
【特許文献2】特開平8−187366号公報
【特許文献3】国際公開第99/54014号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらこれらの走行玩具は、車体を伸長させ、または車高を変化させるのにとどまり、自動車形状を超えて形態を変更させるものではなかった。例えば、特許文献3では、車両スタイルを変更させることができるが、ピックアップスタイルにしてもバギースタイルにしても自動車の形状の一つに過ぎない。
【0008】
自動車形状だけでなく、その他の形状、例えばロボット形状に変形させて走行させることができれば、従来にはない興趣に富んだ走行が可能となる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、車体を伸長させたバギータイプの自動車形状からロボット形状へ、また、ロボット形状からバギータイプの自動車形状へと変形させることができる走行玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る走行玩具は、前輪を備えた前方車台と、後輪を備えた後方車台と、前記前方車台と前記後方車台とを連結し、かつ車台を折り曲げるための車台折曲機構とから構成され、前記前輪と後輪の少なくとも一方を駆動する駆動手段を設け、さらに前記車台折曲機構は、前方部が前記前方車台の中間部に回動可能に嵌合され、かつ後方部が前記後方車台と回動可能に連結される車台折曲手段を含み、かつ前記前方車台の長さは少なくとも前記後方車台の長さよりも長いことにより、前記車台折曲手段を回動させて車台を折曲した際に、前記前方車台の後端部が前記後方車台よりも高い位置となるまで前記前方車台が起き上がることを特徴とする。
【0011】
前記車台折曲機構は、前記前方車台内部に設けられたギアボックスと、前記車台折曲手段とから構成され、前記ギアボックスの内部には、モータと、モータ軸に圧入固定されたピニオンと、ピニオンに噛み合う歯車が設置され、前記車台折曲手段は、前記ギアボックス内部に設置された前記歯車と噛み合う扇状歯車と、前記扇状歯車を固定収納する収納ケースと、前記収納ケースに固定されるドーム状カバーとから構成されることを特徴とする。
【0012】
また、車台折曲手段は、前記収納ケース内部に設けられ、車台折曲手段と前記後方車台を回動可能に連結するための連結軸に固定される第1のアーム受けと、前記収納ケースの両内側部に設けられ、一端を前記前方車台の中間部に開口する前記車台折曲手段との嵌合部に設けられた突部と連結され、他端を前記第1のアーム受けに設けられる連結軸部と連結される第1のアームとを含む。
【0013】
さらに、本発明に係る走行玩具の前輪は、前記前方車台に回動可能に連結された前輪支持車台により支持され、前記前方車台に姿勢調整手段を備えて前記前輪支持車台を路面に対して平行状態となるように姿勢を調整する。
【0014】
この姿勢調整手段は、第2のアームと、前記前輪支持車台に固着し前記アームを連結する第2のアーム受けと、前記第2のアームを連結し、前記車台折曲手段に備えられた前記扇状歯車を固着する駆動軸に連動する第3のアーム受けとを備えてもよい。
【0015】
さらに本発明に係る走行玩具は、前記前方車台の両側部から水平方向に回転自在に一端が前方車台の湾曲部に嵌合される腕部と、前方車台の一端に起き上がり自在に嵌合される頭部とを備える。
【0016】
前記腕部は、肩部分を構成する筒状部品と、腕および手の部分を構成するL字型部品とから構成される。
【0017】
また、本発明に係る走行玩具は、前記前方車台に上半身形成手段を備え、前記車台が折曲される際に、この上半身形成手段により前記腕部および前記頭部が前記前方車台に対して略垂直となることを特徴とする。
【0018】
この上半身形成手段は、前記車体折曲手段の前記ドーム状カバーの両側端部に回動可能に接続されたスリーブと、前記ドーム状カバーと対向する前記スリーブの端部に前記車台の進行方向に対して垂直かつ水平方向に挿入された第1のシャフトと、前記第1のシャフトを挿入する挿入孔を一端に設け、前記スリーブから離れた他端に溝を設けた溝付きスライダーと、前記第1のシャフトに隣接して前記溝付きスライダーに平行に挿入された第2のシャフトと、前記溝付きスライダーの溝を摺動するピンを備え、前記前方車台の中央端部に設置される頭部に取り外し可能に嵌合される接続部品とから構成され、前記第1のシャフトは、前記腕部の前記筒状部品の外周部に設けられた第1の挿入孔に挿入され、前記第2のシャフトは、前記筒状部品の中央部に設けられた第2の挿入孔に挿入されるように構成される。
【0019】
前記腕部の前記筒状部品は、その側面に突部を備え、前記前方車台の前記腕部が嵌合する湾曲部に斜めに設けられた摺動溝を前記筒状部品の前記突部が摺動することで、前記腕部が左右に移動するように構成してもよい。
【0020】
そして、本発明に係る走行玩具は、ラジオコントロール装置により操縦することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の走行玩具によれば、車台を折り曲げてロボットの胴部を形成すると同時に腕部および頭部となる部分が胴部から突出してロボット形状を得ることができる。
【0022】
また、ロボット形状から車台折曲手段を伸長することによりバギータイプの自動車形状を得ることができるという効果がある。
【0023】
従って、本発明の走行玩具を用いることで、より興趣に富んだ走行を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
(構成)
図1は、本実施形態に係る走行玩具1の全体構成図を示す。図1に示すように、本発明に係る走行玩具1は、車両が伸長状態のバギータイプの自動車形状(図1a)と、胴部2、頭部40、腕部35を配したロボット形状(図1b)の形態をとることができる。
【0026】
図2は、本実施形態に係る走行玩具1がバギータイプの自動車形状である場合の車台10の内部構成を示す概略図である。なお、図2では、前方車台30の、後方車台80と重なる部分については省略してある。図2において、本発明に係る走行玩具1の車台10は、前輪支持車台20と、前方車台30と、後方車台80と、前方車台30と後方車台80とを折曲させる車台折曲機構50と、後輪駆動車台90とから構成される。また、前方車台30には、前方車台30と前輪支持車台20とを連結し、前輪支持車台20の姿勢を調整する姿勢調整手段70が設けられる。
【0027】
前輪支持車台20は、既知の構成により懸架装置21を介して前輪22を支持しており、前方車台30に回動自在に連結される。前輪支持車台20内には操舵手段(図示せず)が収納され、この操舵手段によりタイロッド23を介して前輪22を操舵することができる。また、前輪支持車台20の進行方向前方にはフロントバンパー24が取り付けられている。
【0028】
図2に示すように、本実施形態に係る走行玩具1は、前方車台ケース31内部に設置されたギアボックス51と、前方車台ケース31に嵌合された車台折曲手段52を備え、これらが車台折曲機構50を構成する。
【0029】
図3は、ギアボックス内部を示す概略図である。図3に示すように、ギアボックス51内部には、モータ53、モータ軸に圧入固定されたピニオン54、ピニオン54に噛み合う歯車である1番車55、1番車55と同軸に隣接して配置された2番車56、2番車56に噛み合う3番車57、3番車57に噛み合う4番車58、4番車58と同軸に配置される5番車59が設置される。5番車59は、扇状歯車60と噛み合い、扇状歯車60にモータの回転を伝える。扇状歯車60の中心には駆動軸が設けられ、駆動軸63の両端部にそれぞれ固定板74を備えた6角軸部64が挿入される。
【0030】
4番車58および5番車59と同軸上に、クラッチ機構65が設けられる。クラッチ機構65は、4番車58と5番車59との間に連結歯部66を設け、この連結歯部66同士をクラッチばね67が軸方向に押圧して連結させ、過大トルクが加わったときに連結状態を解除するものである。
【0031】
車台折曲手段52につき、図3および図4を参照して説明する。図4において、車台折曲手段52は、ギアボックス51内の5番車59に噛み合う歯を一方に備える扇状歯車60と、この扇状歯車60の歯と反対側を固定して収納する収納ケース61と、収納ケース61に固定されるドーム状カバー62とを備えている。
【0032】
車台折曲手段52は、収納ケース61およびドーム状カバー62が、前方車台ケース31中間部に開口する嵌合部68に嵌合して、前方車台30に回動可能に連結される。さらに、車台折曲手段52は、後方車台80と回動可能に連結される。
【0033】
車台折曲手段52は、例えば図4aに示すバギータイプの自動車形状の場合において、モータ53によって駆動される5番車59の回転により、扇状歯車60が駆動軸63を中心にして回転し、扇状歯車60に固定される収納ケース61も扇状歯車60の駆動軸63を中心に回転するため、前方車台30と収納ケース61とのなす角度が略水平から鋭角へと変化すると共に、5番車59の回転軸と扇状歯車60の駆動軸63とが鉛直方向に上昇する(図4b)。これにより、後方車台80も車台折曲手段30に対して連結軸13(図2参照)を中心にして回動する。図2に示すように、車台折曲手段52と後方車台80とを連結する連結軸13には、中央に固定部品82が設置され、後方車台80の回動方向を規制するため、図4を正面から見て、後方車台80は、車台折曲手段52に対して反時計回りには回動することがない。従って、後方車台80は立ち上がる。
【0034】
車台折曲手段52の収納ケース61内の両側面に、それぞれアーム76が設けられ、各アーム76は、前方車台30中間部に開口する嵌合部68に設けられた突部77と、車台折曲手段52と後方車台80とを回動可能に連結するための連結軸13に設けられたアーム受け78の連結軸部78aとに連結される。連結軸13に設けられたアーム受け78には緩衝ばねから構成される既知の緩衝装置(図示せず)が設置され、後方車台80の回動を規制すると共に、車台折曲時に衝撃が発生した場合に、緩衝ばねを広げて衝撃を吸収する。
【0035】
図5および図6において、前方車台30は、前方車台ケース31内にギアボックス51と車台折曲手段52の一部を配置し、車台折曲手段52のドーム状カバー62には上半身形成手段33の一部を構成するスリーブ34を回動可能に連結し、また、ギアボックス51の両側に姿勢調整手段70をそれぞれ設置する。前方車台30には、進行方向に向かって後端部に頭部40、後方両側に両腕部35がそれぞれ設置され、下部に電源120が収納される。さらに、前方車台30の長さは後述の後方車台80の長さよりも長く構成される。
【0036】
上半身形成手段33は、図6bに示されるように、車台折曲手段52のドーム状カバー62の両側端部に回動可能に取り付けられたスリーブ34と、このスリーブ34のドーム状カバー62に接続される二股端とは反対側の端部に車台10の進行方向に対して垂直かつ水平方向に挿入されたシャフト36と、このシャフト36を挿入する挿入孔を一端に設け、スリーブ34から離れた他端に溝38aを設けた溝付きスライダー38と、シャフト36に平行かつ隣接して溝付きスライダー38に挿入されたシャフト37と、溝付きスライダー38の溝38aを摺動するピン39’を備え、頭部40に取り外し可能に嵌合される接続部品39とからなる。シャフト36および37は、両腕部35に設けられた挿入孔11、12(図7a、b参照)にそれぞれ挿入され、両腕部35を固定する。
【0037】
両腕部35は、それぞれ、肩部を構成する筒状部品35aと腕および手の部分を構成するL字型部品35bとからなる。図7aおよびbに示すように、各腕部35の筒状部品35aは、前方車台ケース31の上側端部に設けられた湾曲部31aに接触して嵌合される。各腕部35には、筒状部品35aの外周部および中央部に挿入孔11、12がそれぞれ設けられ(図7a)、この挿入孔11、12に上半身形成手段33の2本のシャフト36、37がそれぞれ挿入される。
【0038】
図7aないしdに示すように、前方車台ケース31の湾曲部31aには、進行方向後方から前方に向かって前方車台ケース31の内側から外側へと摺動溝31a’が斜めに設けられる。また、腕部35の筒状部品35aは、L字型部品35bが設置される反対側の側面に突部35a’を備えており、この突部35a’が摺動溝31a’を摺動する。
【0039】
また、図6aにおいて、頭部40は、頭部カバー41、電源がオンかオフかを示すLED42、LED42を収納するLED収納部43、頭部支台44とから構成される。頭部支台44の中央に設けられた凹部に接続部品39が嵌合し、接続部品39が前方車台30に回動可能に接続される(図示せず)。
【0040】
図9に示すように、前方車台ケース31内部に配置される姿勢調整手段70は、アーム71と、前輪支持車台20に固定され、アーム71の一端部と連結する連結軸部72aを有する従動側のアーム受け72と、車台折曲手段52の駆動軸63の6角軸部64に嵌合し、アーム71の他端部と連結する連結軸部73aを有する駆動側のアーム受け73とから構成される。連結軸部72a、73aは、アーム受け72、73の回動中心より所定の間隔を持って突設されており、車台折曲機構50により車台10が折り曲げられるときに、連結軸部72aを中心としてアーム71を回動させて前輪支持車台20が路面に対して平行状態となるように前輪支持車台20の姿勢が調整される。姿勢調整手段70の駆動側のアーム受け73には、既知の緩衝装置が備えてある。
【0041】
図5および図9において、前方車台ケース31の側部にはさらに、姿勢調整手段70の後方にスイッチ機構75を設ける。このスイッチ機構75は、車台折曲手段52の駆動軸63に連動して車台折曲機構50の折曲角の範囲を電気的に規制するものである。スイッチ機構75は、駆動軸63に固定された固定板74に設けられた突部74a、74bが駆動軸63の回転と共に回転することにより、スイッチ片75aが突部74aおよび74bと接触して前方車台ケース31に対して垂直方向に上下動されてスイッチを開閉する。このスイッチ機構75は、車台折曲機構50のモータ53と接続しており、スイッチ片75aがスイッチ機構75の両端部に位置するときに閉成して車台折曲機構50のモータ53の回転を停止させ、両端部以外に位置するときに開成して車台折曲機構50のモータ53を回転させる。
【0042】
図9において、前方車台ケース31には、前方車台ケース31の上方全体を覆う前方車台カバー32が止めねじによりねじ止めされる。この前方車台カバー32が取り付けられることにより、前輪支持車台20と前方車台30、並びに前方車台ケース31内部が固定され、さらに、後述する頭部40並びに両腕部35の動作を可能とする。また、前方車台カバー32の鉛直方向上方には後述するラジオコントロール装置を含む回路基板15が設けられる。
【0043】
前方車台カバー32のさらに上方に、電気回路を覆うプロテクターの役割をする車体200がねじ止めされる。
【0044】
図2において、後方車台80には後輪91を駆動する後輪駆動車台90が回動可能に取り付けられている。後方車台80にはまた、車台折曲手段52、後方車台80および後輪駆動車台90を回動可能に連結するアーム81が取り付けられる。各アーム81は、一端を車台折曲手段52の収納ケース61後端外部に設けられた突部18に連結し、他端を後輪駆動車台90の前端に固定されたアーム受け92の連結軸部92aに連結する。
【0045】
後輪駆動車台90はモータ96により駆動され、左右の後輪91は周知の差動機構により連結される。また、後輪駆動車台90は、上方に向かったテールウィング93を有する。
【0046】
本実施形態に係る走行玩具は、ラジオコントロール装置により操縦される。以下、図10および図11を参照してラジオコントロール装置の構成を詳細に説明する。図10は、ラジオコントロール装置の送信機100の電気回路のブロック図である。また、図11はラジオコントロール装置の受信機110の電気回路のブロック図である。ラジオコントロール装置は、送信機100と受信機110とから構成され、送信機100からの操作信号により操作される。
【0047】
送信機100は、電源109から電源を得て、制御スイッチ101により制御IC102に信号を供給し、制御IC102からの信号を変調器103で変調した後に増幅部104で供給された信号を増幅させて送信アンテナ107から受信アンテナ111に向けて信号を送信する。変調器103には、既知の発振器105および水晶発振子106が設置してある。
【0048】
受信機110は、超再生型受信部112に送信機100の送信アンテナ107からの信号を受信する受信アンテナ111を備えており、超再生型受信部112からの信号は、制御IC113に供給される。制御IC113の操舵用の出力端子114aは、モータ駆動増幅部114を介して操舵装置25のモータ26に接続される。制御IC113の走行用の出力端子115aは、モータ駆動増幅部115を介して後輪駆動装置95のモータ96に接続される。また、制御IC113の車台折曲用の出力端子116aは、モータ駆動増幅部116およびスイッチ75を介して車台折曲機構50のモータ53に接続される。そして、電気回路の各要素に電源を供給する電源120が設けられる。
【0049】
(動作)
本実施形態の走行玩具は、以上の構成であり、以下に動作について説明する。
【0050】
本実施形態に係る走行玩具は、図10のブロック図に示す送信機100を用いて制御を行う。まず、送信機100により操舵操作を行うと、操舵操作信号が送信アンテナ107を介して送信機100から送信され、受信機110の受信アンテナ111により受信され、超再生型受信部112を介して制御IC113から操舵装置25に接続されたモータ駆動増幅部114に信号が供給されて、操舵装置25のモータ26を回転させる。これにより、タイロッド23が左右に移動され、前輪22が操舵される。
【0051】
送信機100により走行操作を行うと、走行操作信号が送信アンテナ107を介して送信機100から送信され、受信機110の受信アンテナ111により受信され、超再生型受信部112を介して制御IC113から後輪駆動装置95に接続されたモータ駆動増幅部115に信号が供給されて、後輪駆動装置95のモータ96を回転させる。これにより、後輪91が駆動して走行玩具1を前進、又は後退させることができる。
【0052】
送信機100によりバギータイプの自動車形状からロボット形状への変形操作を行うと、変形操作信号が送信アンテナ107を介して送信機100から送信され、受信機110の受信アンテナ111により受信され、超再生型受信部112を介して制御IC113から車台折曲機構50に接続されたモータ駆動増幅部116に信号が供給されて、車台折曲機構50のモータ53を正転させる。
【0053】
図3および図4において、車台折曲機構50のモータ53が正転駆動すると、その回転がピニオン54、1番車55、2番車56、3番車57、4番車58、5番車59を正転させる。なお、ここでモータの正転とは、図4を正面からみて5番車59が反時計回りに回転するような回転をいう。5番車59の回転により、扇状歯車60が駆動軸63を中心にして回転する。同時に、扇状歯車60に固定される収納ケース61も扇状歯車60の駆動軸63を中心に回転するため、前方車台30と収納ケース61とのなす角度が略水平から鋭角へと変化すると共に、5番車59の回転軸と扇状歯車60の駆動軸63とが鉛直方向に上昇する(図4b)。駆動軸63が鉛直方向に上昇することにより、車台10が折り曲げられ、前方車台30が起き上がる。
【0054】
この時、後方車台80も車台折曲手段30に対して連結軸13(図2)を中心にして回動する。図2において、車台折曲手段52と後方車台80とを連結する連結軸13に設置される固定部品82が、後方車台80の回動方向を規制するため、図4を正面から見て、後方車台80は、車台折曲手段52に対して反時計回りには回動することがない。従って、後方車台80も起き上がる。
【0055】
前方車台30の長さは後方車台80の長さよりも長く構成され、かつ車台折曲手段52が前方車台30の中間に設けられるため、車台10が折曲されて前方車台30が起き上った時に、前方車台30が後方車台80よりも高くなり、ロボット形状の胴部2に相当する部分が形成される。
【0056】
さらに、図4に示すように、車台折曲手段52の連結アーム76が、前方車台ケース31の中央部に設けられた突部77を中心として揺動し、後方車台80側に設けられたアーム受け78を、図4を正面から見て時計回りに回転させる。アーム受け78は、ばねにより付勢されているため、車台折曲時に発生する衝撃が吸収される。
【0057】
前方車台30と収納ケース61のなす角度が略水平から鋭角へと変化するのと連動して、前方車台30と車台折曲手段52のドーム状カバー62のなす角度も略水平から鋭角へと変化し、ドーム状カバー62の両側端部に取り付けられた上半身形成手段33のスリーブ34が立ち上がる。図6および図8に示すように、スリーブ34が立ち上がると共に溝付きスライダー38がシャフト36を中心として回動し、頭部40に接続される接続部品39のピン39’が溝付きスライダー38の溝を進行方向後端の位置から前方に摺動することにより、頭部40が前方車台30に対して略平行から略垂直へと変化して頭部40が起き上がる。
【0058】
同時に、溝付きスライダー38の回動により、シャフト36とシャフト37とを含む平面が前方車台30に対して略平行から略垂直へと変化する。これと共に、シャフト36および37に挿入固定された両腕部35の筒状部品35aがシャフト37を中心として回転し、両腕部35が前方車台30に対して略平行から略垂直となる。
【0059】
図7に示すように、筒状部品35aの回転と共に、筒状部品35aの突部35a’が、前方車台ケース31の湾曲部31aの摺動溝31a’に沿って前方車台ケース31の内側から外側に向かって摺動する。こうして、両腕部35は、前方車台30に対して略垂直となると共に外側に移動する。
【0060】
さらに、図9に示すように、アーム71は従動側のアーム受け72の連結軸部72aを中心として回動する。アーム71の他端を連結する連結軸部73aを備えたアーム受け73がばねにより付勢されていることにより、前輪支持車台20が路面に対して平行状態となるように走行玩具1の姿勢が調整される。
【0061】
また、駆動軸63が回転することにより、固定板74の突部74aおよび74bが駆動軸63を中心として回転し、突部74bがスイッチ片75aと接触してスイッチ片75aを前方車台30の背面方向に移動させる。スイッチ片75aがスイッチ機構75の端部まで移動するとスイッチ機構75が作動して車台折曲機構50用モータ53の回転を停止させる。こうして、バギータイプの自動車形状からロボット形状への変形動作が終了する。
【0062】
送信機100によりロボット形状からバギータイプの自動車形状への変形操作を行うと、変形操作信号が受信アンテナ111、超再生型受信部112、制御IC113、モータ駆動増幅部116を介して、車台折曲機構50のモータ53を逆転させる。図4において、車台折曲機構50のモータ53が逆転駆動すると、5番車59に噛み合う扇状歯車60は、駆動軸63を中心にして回転する。同時に、扇状歯車60に固定される収納ケース61が扇状歯車60の駆動軸63を中心に回転して、前方車台30と収納ケース61とのなす角度が鋭角から略水平へと変化する。こうして、5番車59の回転軸と扇状歯車60の駆動軸63とが鉛直方向に下降して(図4a)、車台10が伸長し、前方車台30が後方車台80の方に倒れる。
【0063】
この時、前方車台30と車台折曲手段52のドーム状カバー62のなす角度が鋭角から略水平へと変化し、上半身形成手段33のスリーブ34が後方に倒れる。それと共に、溝付きスライダー38がシャフト36を中心として回動して頭部40に接続される接続部品39のピン39’が溝付きスライダー38の溝を進行方向前端から後方に摺動することにより、頭部40が前方車台30に対して略垂直から略平行へと変化して頭部40が収容される。また、溝付きスライダー38が回動することにより、シャフト36とシャフト37とを含む平面が前方車台30に対して略垂直から略平行へと変化し、両腕部35の筒状部品35aがシャフト37を中心として回転して両腕部35は前方車台30に対して略平行から略垂直となる(図6および図8)。同時に、筒状部品35aの突部35a’が前方車台ケース31の湾曲部31aの摺動溝31a’を摺動し、両腕部35は、前方車台30の外側から内側に移動する(図7)。
【0064】
駆動軸63の回転により固定板74が回転し、固定板74の突部74aおよび74bが駆動軸63を中心として回転する。突部74aがスイッチ片75aと接触してスイッチ片75aを前方車台30の前方車台カバー32の方に移動させる。スイッチ片35aがスイッチ機構75の端部まで移動するとスイッチ機構75が作動して車台折曲機構50用モータ53の回転を停止させる。こうして、ロボット形状からバギータイプの自動車形状への変形動作が終了する。
【0065】
なお、本実施形態では後輪のみを駆動するように構成したが、前輪も駆動する4輪駆動方式を採用してもよい。また、前輪を前輪支持車台20により支持するのではなく、直接前方車台30により前輪を支持するようにしてもよい。また、本実施形態における走行玩具は、ラジオコントロール装置により操縦するように構成したが、周知のワイヤリモートコントロール装置により操縦するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る走行玩具によれば、無線操縦によってバギータイプの自動車形状からロボット形状へと変形させることができ、より興趣に富んだ走行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】(a)は、本発明に係る走行玩具のバギータイプの自動車形状の概略斜視図である。(b)は、本発明に係る走行玩具のロボット形状の概略斜視図である。
【図2】本発明に係る走行玩具をバギータイプの自動車形状とした状態での前方車台の一部を省略し、車台の内部構成を示す概略図である。
【図3】本発明に係る走行玩具のギアボックス内部および車台折曲手段内部の一部の概略図である。
【図4】(a)〜(b)は、本発明に係る走行玩具の車台折曲手段の構成および動作を示す図である。
【図5】本発明に係る走行玩具の前方車台の内部構成の概略図である。
【図6】(a)〜(b)は、本発明に係る走行玩具の車台折曲手段および上半身形成手段の構成および動作を示す概略図である。
【図7】(a)〜(d)は、本発明に係る走行玩具の肩部を構成する筒状部品および前方車台の一部の内部構成を示す図である。
【図8】(a)〜(b)は、本発明に係る走行玩具の上半身形成手段の動作を示す概略図である。
【図9】(a)〜(b)は、本発明に係る走行玩具の姿勢調整手段の構成および動作を示す概略図である。
【図10】ラジオコントロール装置の送信機の電気回路のブロック図である。
【図11】ラジオコントロール装置の受信機の電気回路のブロック図である
【符号の説明】
【0068】
1 走行玩具
2 胴部
10 車台
11、12 挿入孔
13 連結軸
20 前輪支持車台
21 懸架装置
22 前輪
23 タイロッド
24 フロントバンパー
25 操舵装置
26 モータ
30 前方車台
31 前方車台ケース
31a 湾曲部
31a’摺動溝
32 前方車台カバー
33 上半身形成手段
34 スリーブ
35 腕部
35a 筒状部品
35a’突部
35b L字型部品
36、37 シャフト
38 溝付きスライダー
38a 溝
39 接続部品
39’ ピン
40 頭部
41 頭部カバー
42 LED
43 LED収納部
44 頭部支台
50 車台折曲機構
51 ギアボックス
52 車台折曲手段
53 モータ
54 ピニオン
55 1番車
56 2番車
57 3番車
58 4番車
59 5番車
60 扇状歯車
61 収納ケース
62 ドーム状カバー
63 駆動軸
64 6角軸部
65 クラッチ機構
66 連結歯部
67 クラッチばね
68 嵌合部
70 姿勢調整手段
71 アーム
72、73 アーム受け
72a、73a 連結軸部
74 固定板
74a、74b 突部
75 スイッチ機構
75a スイッチ片
76 アーム
77 突部
78 アーム受け
78a 連結軸部
80 後方車台
81 アーム
82 固定部品
90 後輪駆動車台
91 後輪
92 アーム受け
93 テールウィング
95 後輪駆動装置
96 モータ
100 送信機
101 制御スイッチ
102 制御IC
103 変調器
104 増幅部
105 発振器
106 水晶発振子
107 送信アンテナ
109 電源
110 受信機
111 受信アンテナ
112 超再生受信部
113 制御IC
114、115、116 モータ駆動増幅部
114a 操舵用出力端子
115a 走行用出力端子
116a 車台折曲用出力端子
120 電源
200 車体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪を備えた前方車台と、
後輪を備えた後方車台と、
前記前方車台と前記後方車台とを連結し、かつ車台を折り曲げるための車台折曲機構とから構成され、
前記前輪と後輪の少なくとも一方を駆動する駆動手段を設け、
さらに前記車台折曲機構は、前方部が前記前方車台の中間部に回動可能に嵌合され、かつ後方部が前記後方車台と回動可能に連結される車台折曲手段を含み、
かつ前記前方車台の長さは少なくとも前記後方車台の長さよりも長いことにより、前記車台折曲手段を回動させて車台を折曲した際に、前記前方車台の後端部が前記後方車台よりも高い位置となるまで前記前方車台が起き上がることを特徴とする走行玩具。
【請求項2】
前記車台折曲機構は、前記前方車台内部に設けられたギアボックスと、前記車台折曲手段とから構成され、
前記ギアボックスの内部には、モータと、モータ軸に圧入固定されたピニオンと、ピニオンに噛み合う歯車が設置され、
前記車台折曲手段は、前記ギアボックス内部に設置された前記歯車と噛み合う扇状歯車と、前記扇状歯車を固定収納する収納ケースと、前記収納ケースに固定されるドーム状カバーとから構成されることを特徴とする請求項1に記載の走行玩具。
【請求項3】
前記車台折曲手段は、前記収納ケース内部に設けられ、車台折曲手段と前記後方車台を回動可能に連結するための連結軸に固定される第1のアーム受けと、
前記収納ケースの両内側部に設けられ、一端を前記前方車台の中間部に開口する前記車台折曲手段との嵌合部に設けられた突部と連結され、他端を前記第1のアーム受けに設けられる連結軸部と連結される第1のアームとを含むことを特徴とする請求項2に記載の走行玩具。
【請求項4】
前記前輪は、前記前方車台に回動可能に連結された前輪支持車台により支持され、前記前方車台に姿勢調整手段を備えて前記前輪支持車台を路面に対して平行状態となるように姿勢を調整することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の走行玩具。
【請求項5】
前記姿勢調整手段は、第2のアームと、前記前輪支持車台に固着し前記アームを連結する第2のアーム受けと、前記第2のアームを連結し、前記車台折曲手段に備えられた前記扇状歯車を固着する駆動軸に連動する第3のアーム受けとを備えることを特徴とする請求項4に記載の走行玩具。
【請求項6】
前記前方車台の両側部から水平方向に回転自在に一端が前方車台の湾曲部に嵌合される腕部と、
前方車台の一端に起き上がり自在に嵌合される頭部とを備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の走行玩具。
【請求項7】
前記腕部は、肩部分を構成する筒状部品と、腕および手の部分を構成するL字型部品とから構成されることを特徴とする請求項6に記載の走行玩具。
【請求項8】
前記前方車台に上半身形成手段を備え、
前記車台が折曲される際に、この上半身形成手段により前記腕部および前記頭部が前記前方車台に対して略垂直となることを特徴とする請求項6または7に記載の走行玩具。
【請求項9】
前記上半身形成手段は、前記車体折曲手段の前記ドーム状カバーの両側端部に回動可能に接続されたスリーブと、
前記ドーム状カバーと対向する前記スリーブの端部に前記車台の進行方向に対して垂直かつ水平方向に挿入された第1のシャフトと、
前記第1のシャフトを挿入する挿入孔を一端に設け、前記スリーブから離れた他端に溝を設けた溝付きスライダーと、
前記第1のシャフトに隣接して前記溝付きスライダーに平行に挿入された第2のシャフトと、
前記溝付きスライダーの溝を摺動するピンを備え、前記前方車台の中央端部に設置される頭部に取り外し可能に嵌合される接続部品とから構成され、
前記第1のシャフトは、前記腕部の前記筒状部品の外周部に設けられた第1の挿入孔に挿入され、
前記第2のシャフトは、前記筒状部品の中央部に設けられた第2の挿入孔に挿入されることを特徴とする請求項8に記載の走行玩具。
【請求項10】
前記腕部の前記筒状部品は、その側面に突部を備え、
前記前方車台の前記腕部が嵌合する湾曲部に斜めに設けられた摺動溝を前記筒状部品の前記突部が摺動することで、前記腕部が左右に移動することを特徴とする請求項9に記載の走行玩具。
【請求項11】
ラジオコントロール装置により操縦することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の走行玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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