説明

走行車線案内装置

【課題】 VICS情報が無くとも、車両が走行中の車線を認識するとともに、車両が走行すべき車線を案内することが可能な走行車線案内装置を提供すること。
【解決手段】ECU8は、車両が交差点を右折または左折すると、右折後または左折後の道路における複数の車線のうち、車両が進入した車線を操作スイッチ4またはリモコン5によって指定するよう、スピーカ9から案内音声を出力する。車両が進入した車線が指定されると、ECU8は、ディスプレイ3の左側に表示された複数の車線のうち、指定された車線上にマークを重畳表示させる。また、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点に車両が接近した場合、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう、スピーカ9から案内音声を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が走行中の車線を案内する走行車線案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が走行すべき車線を案内する装置が公知である。例えば、特許文献1の装置では、VICSセンタから送信されるVICS情報を、路上に設けられた電波ビーコンや光ビーコンによって取得するとともに、取得したVICS情報に基づいて、当該道路において車両が走行中の車線を検出して案内する。
【特許文献1】特開平10−89997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来装置では、VICS情報に基づいて車両が走行中の車線を検出するため、電波ビーコンや光ビーコンが設置されていない路上、すなわち、VICS情報が取得できない路上においては、当該車両が走行中の車線を検出して案内することができない。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、VICS情報が無くとも、車両が走行中の車線を認識するとともに、車両が走行すべき車線を案内することが可能な走行車線案内装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の走行車線案内装置では、複数の車線のうち、走行している車線を指定する指定手段と、車両が右側または左側の車線へと車線変更したことを検出する検出手段と、指定手段によって指定された車線、および、検出手段の検出結果に基づいて、車両が走行中の車線を認識するとともに、車両が走行すべき車線を案内する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
このように、本発明の走行車線案内装置では、複数の車線のうち、車両が走行している車線を指定手段によって指定する。制御手段は、指定手段によって指定された車線、および、車両が右側または左側の車線へと車線変更したことを検出する検出手段の検出結果に基づいて、車両が走行中の車線を認識するとともに、車両が走行すべき車線を案内する。これにより、本走行車線案内装置では、VICS情報が無くとも、車両が走行中の車線を認識するとともに、車両が走行すべき車線を案内することが可能となる。
【0007】
請求項2に記載のように、検出手段は、車線の分離標示を行う白線を認識するとともに、車両が白線を右側または左側に横断した場合に、車両が右側または左側の車線へと車線変更したと検出することが望ましい。これにより、車両が右側または左側の車線へと車線変更したことを確実に検出できる。
【0008】
請求項3に記載のように、車両の移動経路を設定する経路設定手段を設け、制御手段は、経路設定手段が設定した移動経路から、車両が右折または左折すべき交差点へと接近した場合には、車両が走行中の車線を右折車線または左折車線へと車線変更するよう案内することが望ましい。これにより、ユーザーは、車両が右折または左折すべき交差点へと接近した場合には、車両が走行中の車線を右折車線または左折車線へと確実に車線変更させることができる。
【0009】
請求項4に記載のように、制御手段は、経路設定手段が設定した移動経路に従って、車両が交差点を右折または左折する場合には、右折後または左折後に進入する道路における複数の車線のうち、進入すべき車線を案内することが望ましい。これにより、ユーザーは、車両が交差点を右折後または左折後に進入する道路の複数の車線のうち、進入すべき車線について把握することができる。
【0010】
請求項5に記載のように、制御手段は、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点に車両が接近した場合、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう案内することが望ましい。これにより、例えば車線の合流地点等、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点に車両が接近した場合でも、ユーザーは車両が走行中の車線を他の車線へと確実に車線変更できる。
【0011】
請求項6に記載のように、車両が走行中の道路における道路情報を取得する取得手段を設け、制御手段は、取得手段が取得した道路情報にも基づいて、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう案内することが望ましい。これにより、例えば道路工事や通行規制等、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点へと車両が接近した場合でも、ユーザーは車両が走行中の車線を他の車線へと確実に車線変更できる。
【0012】
請求項7に記載のように、表示機器を設け、制御手段は、表示機器の表示画面を2分割し、一方に車両周辺の地図画像を表示させるとともに、もう一方には、車両が走行中の道路における複数の車線および車両の走行位置を表示させることが望ましい。これにより、ユーザーは車両周辺の地図画像と共に、車両が走行中の道路における複数の車線および車両の走行位置を確実に把握することができる。
【0013】
請求項8に記載のように、制御手段は、車両が交差点を右折または左折した後、車両が進入した道路における複数の車線を表示機器に表示させ、指定手段は、表示機器に表示された複数の車線のうち、車両が進入した車線を指定することが望ましい。これにより、ユーザーは表示機器に表示された、車両が進入した道路における複数の車線を見ながら、当該車両が進入した車線を指定手段によって確実に指定することができる。
【0014】
請求項9に記載のように、車両が進入した道路における複数の車線を表示機器に再表示させるよう指示する指示手段を設け、制御手段は、車両が交差点を右折または左折した後、所定時間経過しても、指定手段によって車線の指定が行われない場合、車両が進入した道路における複数の車線の表示を表示機器から消去させ、指示手段によって再表示が指示された場合に、車両が進入した道路における複数の車線を表示機器に再表示させることが望ましい。これにより、例えばユーザーが進入車線の指定を忘れた場合等、車両が交差点を右折または左折した後、所定時間経過しても、指定手段によって車線の指定が行われなかった場合、本装置が行う他の表示動作を妨げないよう、車両が進入した道路における複数の車線の表示を表示機器から消去することができる。また、指示手段によって再表示を指示し、前述した複数の車線を表示機器に再表示させることにより、ユーザーは表示機器に再表示された、前述の複数の車線を見ながら、当該車両が進入した車線を指定手段によって後ほど指定することもできる。
【0015】
請求項10に記載のように、制御手段は、車両が右折または左折する交差点に接近した場合、車両が右折または左折した後に進入する道路における複数の車線を表示機器に表示させ、指定手段は、表示機器に表示された複数の車線のうち、車両が進入する予定の車線を指定することが望ましい。これにより、ユーザーは、車両が右折または左折する交差点に接近した段階、すなわち、車両が交差点を右折または左折する前の段階で、前述した複数の車線を見ながら、当該車両が進入する予定の車線を指定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における走行車線案内装置の全体構成を示すブロック図である。本走行車線案内装置は、カーナビゲーション装置に組み込まれて動作する。
【0017】
図1に示すように、位置検出器1は、地磁気センサ11、ジャイロスコープ12、距離センサ13、GPS受信機14から構成され、車両の現在位置および進行方向の検出を行う。
【0018】
地磁気センサ11は、例えばパーマロイ等の環状の強磁性体に、これを励磁するための励磁巻線と、方向検出用の直交する2つの検出巻線とが巻かれた構成を持つ。そして、励磁巻線に交流電圧を印加することによって2つの検出巻線に発生する電圧を計測し、これに基づいて車両の進行方向を絶対方位として検出する。
【0019】
ジャイロスコープ12は、例えば水晶振動子を備え、当該振動子を振動させた際に発生する、コリオリ力に基づく振動から、車両のヨー角速度(ヨーレート)を検出する。
【0020】
距離センサ13は、例えば車両に搭載された図示しない車輪や車軸の回転信号に基づいて、車両の移動距離を検出する。
【0021】
GPS受信機14は、人工衛星である図示しないGPS衛星から送信される位置測定用のGPS信号を受信し、車両が現在走行している地点の緯度や経度、高度を検出する。
【0022】
位置検出器1は、前述した4つの機器の検出結果を相互に補間することによって精度の高い位置検出を行う。もちろん、要求される検出精度によっては、前述の4つの機器を全て備える必要はない。なお、車両の現在位置および進行方向の検出に関しては、ステアリングセンサ等、他のセンサによる検出信号に基づいて行うこととしてもよい。
【0023】
地図データ入力器2は、例えば記憶媒体としてハードディスクを有し、道路情報、車線情報、建造物情報、各地域の住所情報や郵便番号情報などを含む地図データと、地図画像および車両が走行中の道路の車線を表示する画像の画像データとを記憶する。地図データおよび画像データに関しては、CD−ROMやDVD−ROM等に記憶することとしても良い。
【0024】
ディスプレイ3は、車載用の小型ディスプレイであり、地図画像の表示を含む、各種ナビゲーション表示を行う。また、車両が走行中の道路における複数の車線を表示することも行う。前述の表示は、ディスプレイ3が左右に2分割され、右側に地図画像を含む各種ナビゲーション表示が行われるとともに、左側に車両が走行中の道路における複数の車線および自車位置の表示が行われる(図2参照:▲印が車両)。前述した各種ナビゲーション表示および車線表示に関しては、車載用のヘッドアップディスプレイ等を用いることとしても良い。
【0025】
操作スイッチ4は、複数のメカニカルなスイッチから構成され、カーナビゲーション装置に対して、各種ナビゲーション動作の開始や終了を指示する。また、車両が交差点を右折または左折した時などに、当該車両が進入した道路における複数の車線のうち、いずれの車線へ進入したかを指定する。前述の指定は、車両が直進している場合でも行うことができる。前述の各種ナビゲーション指示および進入車線の指定に関しては、操作キーを表示する表示パネルと、当該表示パネルに表示された操作キーを押したことを検出するタッチパネルを備えたタッチスイッチによって構成しても良い。また、音声認識を利用して行うこととしても良い。
【0026】
リモコン5は、例えば各種機能スイッチを備えた多機能リモコンであり、リモコンセンサ6を介して、上述した操作スイッチ4とほぼ同様の操作を行うことができる。
【0027】
白線検出センサ7は、CMOSカメラおよび画像処理回路を備え、車両が走行中の車線を分離標示する白線を認識するとともに、車両が左側または右側の車線へと車線変更したことを検出する。具体的には、白線検出センサ7は、車両の左右両脇の路面をCMOSカメラによって撮影し、画像処理回路を利用して画像認識処理を行うことにより、車両が走行中の車線を分離標示する左右の白線を認識する。前述の処理を所定時間毎に行い、認識された白線を車両が左右に横断した場合、車両が左側または右側の車線へと車線変更したことを検出する。なお、路面の撮影に関しては、CCDカメラ等を利用しても良い。
【0028】
ECU8は、ナビゲーション用ECUであり、操作スイッチ4またはリモコン5からの指示に従って、地図画像表示を含む各種ナビゲーション動作を実行する。具体的には、ECU8は、位置検出器1が検出した車両の現在位置および進行方向に基づいて、地図データ入力器2から車両の現在位置周辺の地図画像データを読み出し、車両の現在位置を示すマーク(▲印)を重畳した地図画像をディスプレイ3に表示させ、スピーカ9から各種音声案内を行わせる。
【0029】
さらに、ECU8は、操作スイッチ4またはリモコン5の図示しない車線選択スイッチが押されると、ディスプレイ3の右側に前述の地図画像表示を行うとともに、ディスプレイ3の左側に、車両が走行中の道路における複数の車線を表示し、表示された複数の車線のうち、車両が走行中の車線上にマーク(▲印)を重畳させる(図2参照)。白線検出センサ7によって、車線を分離標示する白線を車両が横断したことが検出された場合、すなわち、車両が走行中の車線を変更した場合には、ECU8は、当該マークの位置を変更後の車線上の位置へと移動させる。また、車両が交差点を右折または左折すると、ECU8は右折後または左折後の道路における複数の車線をディスプレイ3の左側に表示させると共に、当該車両が進入した道路における複数の車線のうち、車両が進入した車線を操作スイッチ4またはリモコン5によって指定するよう、スピーカ9から案内音声を出力する。操作スイッチ4またはリモコン5によって、車両が進入した車線が指定されると、ECU8は、当該車線上にマークを重畳表示させる。その後、再度操作スイッチ4またはリモコン5の図示しない車線選択スイッチが押されると、ECU8は、ディスプレイ3の表示画面全体に地図画像表示に戻す。なお、前述した車線の指定に関しては、音声入力によって行うこととしても良い。
【0030】
また、ECU8は、地図データ入力器2に記憶されている地図データから、例えば車線の合流地点等、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点に車両が接近した場合、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう、スピーカ9から案内音声を出力させる。
【0031】
図3は、本実施形態の走行車線案内装置において、車両が進入した車線にマークを重畳表示する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、所定時間毎に実行される。
【0032】
ステップ301では、ECU8は、車両が右折または左折したかを判定する。車両が右折または左折した場合は、ステップ302へ進む。そうでない場合は、処理を終了する。ステップ302では、車両が右折または左折して進入した道路における複数の車線のうち、いずれの車線へ進入したかを指定するよう要求する案内音声をスピーカ9から出力する。
【0033】
ステップ303では、操作スイッチ4またはリモコン5から、進入した車線が指定されたか否かを判定する。指定された場合は、ステップ304へ進む。未だ指定されていない場合は、進入した車線の指定が行われるまで、上述の判定を繰り返す。ステップ304では、車両が進入した道路における複数の車線を、ディスプレイ3の左側に表示させると共に、操作スイッチ4またはリモコン5から指定された車線上にマークを重畳表示し、処理を終了する。
【0034】
図4は、本実施形態の走行車線案内装置において、車両が車線変更した際にマークを移動させる処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述した図3のフローチャートとは独立して、所定時間毎に実行される。
【0035】
ステップ401では、ECU8は、白線検出センサ7によって車両が走行中の車線を分離標示する左右の白線を横断したことが検出されたか、すなわち、車両が走行中の車線を変更したか否かを判定する。前述の白線を車両が横断したことが検出された場合、すなわち、車両が走行中の車線を変更した場合には、ステップ402へ進み、変更後の車線上の位置へマークを移動して表示させる。そうでない場合は、処理を終了する。
【0036】
図5は、本実施形態の走行車線案内装置において、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう案内する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述した図3、4のフローチャートとは独立して、所定時間毎に実行される。
【0037】
ステップ501では、ECU8は、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点に車両が接近したか否かを判定する。接近した場合は、ステップ502へ進む。そうでない場合は、処理を終了する。
【0038】
ステップ502では、車両が走行中の車線を変更するよう、スピーカ9から案内音声を出力させて処理を終了する。これにより、例えば車線の合流地点等、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点に車両が接近した場合でも、ユーザーは車両が走行中の車線を他の車線へと確実に車線変更できる。
【0039】
このように、本実施形態の走行車線案内装置では、ECU8は、車両が交差点を右折または左折すると、右折後または左折後の道路における複数の車線のうち、車両が進入した車線を操作スイッチ4またはリモコン5によって指定するよう、スピーカ9から案内音声を出力する。車両が進入した車線が指定されると、ECU8は、ディスプレイ3の左側に表示された複数の車線のうち、指定された車線上にマークを重畳表示させる。また、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点に車両が接近した場合、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう、スピーカ9から案内音声を出力させる。これにより、本走行車線案内装置では、VICS情報が無くとも、車両が走行中の車線を認識するとともに、車両が走行すべき車線を案内することが可能となる。
【0040】
次に、本実施形態の変形例について説明する。本変形例の走行車線案内装置では、ECU8は、車両が交差点を右折または左折した後、ディスプレイ3の右側に地図画像表示を行うとともに、ディスプレイ3の左側に車両が右折または左折した後の道路における複数の車線を表示し、当該車両が進入した車線を指定するよう音声案内を行う(図9参照)。所定時間以内に、車両の進入した車線が指定されなかった場合、ECU8は、前述した複数の車線の表示を消去し、ディスプレイ3全体に地図画像表示を行う。その際、ディスプレイ3の右下に、車両の進入した車線が未だ指定されていないことを示す「車線指定」マークを表示する(図10参照)。その後、操作スイッチ4またはリモコン5の車線選択スイッチが押されると、ディスプレイ3の右側に地図画像表示を行うとともに、ディスプレイ3の左側に前述した複数の車線を再表示し、車両が進入した車線を指定するよう音声案内を行う(図9参照)。
【0041】
これにより、ユーザーはディスプレイ3の左側に表示された、車両が進入した道路における複数の車線を見ながら、当該車両が交差点を右折または左折した後に進入した車線を確実に指定できる。さらに、例えばユーザーが進入車線の指定を忘れた場合等、車両が交差点を右折または左折した後、所定時間経過しても車線の指定が行われなかった場合、本装置が行う他の表示動作を妨げないよう、前述した複数の車線の表示をディスプレイ3から消去することができる。また、前述した複数の車線をディスプレイ3に再表示させることにより、ユーザーは当該車両が進入した車線を後ほど指定することもできる。
【0042】
なお、本変形例では、車両が交差点を右折または左折した後、ディスプレイ3の右側に地図画像表示を行うとともに、ディスプレイ3の左側に車両が進入した道路における複数の車線を表示した。しかしながら、車両が右折または左折する交差点に接近した時点で、当該車両が交差点を右折または左折した後に進入する道路における複数の車線を、ディスプレイ3の左側に表示することとしても良い。これにより、ユーザーは、車両が右折または左折する交差点に接近した段階、すなわち、車両が交差点を右折または左折する前の段階で、前述した複数の車線を見ながら、当該車両が進入する予定の車線を指定することができる。また、これらの機能を組み合わせても良い。すなわち、車両が右折または左折する交差点に接近した時点で、当該車両が交差点を右折または左折した後に進入する道路における複数の車線をディスプレイ3の左側に表示するとともに、車両が右折または左折を終了するまでに、当該車両が進入する予定の車線が指定されなかった場合には、車両が交差点を右折または左折した後に、車両が進入した道路における複数の車線を、ディスプレイ3の左側に表示することとしても良い。なお、この場合においても、所定時間経過後に車線の指定が行われなかった場合、本装置が行う他の表示動作を妨げないよう、前述した複数の車線の表示をディスプレイ3から消去することとなる。その後、車線選択スイッチが押されると、ディスプレイ3の左側に前述した複数の車線を再表示する。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における走行車線案内装置について説明する。本実施形態の走行車線案内装置では、前述した第1の実施形態の機能に加え、設定された移動経路に沿って車両が走行する場合において、車両が右折および左折する交差点へ接近した場合には、右折車線および左折車線へと車線変更するよう案内するとともに、右折後および左折後に進入すべき車線を案内する。上述した点が、本実施形態のポイントである。
【0044】
図6は、本発明の第2の実施形態における走行車線案内装置の全体構成を示すブロック図である。
【0045】
図6に示すように、VICS通信機10は、車載用の小型通信機であり、路上に設置された図示しない電波ビーコンや光ビーコンと通信を行うことにより、図示しないVICSセンタから送信される、市中の各道路における通行規制情報を受信する。
【0046】
本実施形態のECU8は、前述の実施形態の機能に加え、設定された目的地までの移動経路を設定し、ディスプレイ3の右側に表示された地図画像上に重畳表示させる。
【0047】
さらに、ECU8は、設定された移動経路に沿って車両が走行する場合において、車両が右折および左折する交差点へ接近した場合には、右折車線および左折車線へと車線変更するよう案内する案内音声をスピーカ9から出力させるとともに、右折後および左折後に進入すべき車線(以下、推奨車線とする)を案内する案内音声をスピーカ9から出力させる。この推奨車線は、車両が右折または左折した後に進入する道路の次の交差点における、設定された移動経路に従った車両の進行方向によって決定されるものであり、前述した次の交差点を車両が直進する場合には、直進車線が推奨車線となる。また、前述した次の交差点を車両が右折または左折する場合には、右折車線または左折車線が推奨車線となる。車両が右折または左折した後、操作スイッチ4の図示しないOKスイッチが押された場合、すなわち、車両が推奨車線へと進入できた場合には、ECU8は、ディスプレイ3の左側に表示された、車両が進入した道路の複数の車線のうち、推奨車線上にマークを重畳表示させる。一方、車両が右折または左折した後、操作スイッチ4の図示しないNGスイッチが押された場合、すなわち、車両が推奨車線へと進入できなかった場合には、ECU8は、当該車両が進入した道路における複数の車線のうち、車両が進入した車線を操作スイッチ4またはリモコン5によって指定するよう、スピーカ9から案内音声を出力する。操作スイッチ4またはリモコン5によって、車両が進入した車線が指定されると、ECU8は、当該車線上にマークを重畳表示させる。
【0048】
また、ECU8は、VICS通信機10が受信した通行規制情報から、例えば道路工事等、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点に車両が接近した場合、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう、スピーカ9から案内音声を出力させることも行う。
【0049】
図7は、本実施形態の走行車線案内装置において、移動経路に従って車両が右折または左折する場合に行われる処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、移動経路に従って車両が右折または左折する交差点に接近すると実行される。
【0050】
ステップ701では、ECU8は、車両が走行する車線を右折車線または左折車線へと車線変更するよう案内する案内音声をスピーカ9から出力させる。これにより、ユーザーは、車両が交差点を右折または左折する必要がある場合には、車両が走行中の車線を右折車線または左折車線に確実に変更することができる。
【0051】
ステップ702では、右折後または左折後に進入する道路における複数の車線のうち、推奨車線の案内を行う。これにより、ユーザーは、車両が交差点を右折後または左折後に進入する道路の複数の車線のうち、進入すべき車線について把握することができる。
【0052】
ステップ703では、OKスイッチまたはNGスイッチが押されたか否かを判定する。OKスイッチまたはNGスイッチが押された場合は、ステップ704へ進む。OKスイッチおよびNGスイッチのいずれも押されていない場合は、いずれかのスイッチが押されるまで、上述の判定を繰り返す。
【0053】
ステップ704では、OKスイッチまたはNGスイッチのいずれが押されたかを判定する。OKスイッチが押された場合は、ステップ705へ進み、車両が進入した道路における複数の車線を、ディスプレイ3の左側に表示させると共に、推奨車線上にマークを重畳表示して処理を終了する。NGスイッチが押された場合は、ステップ706へ進む。
【0054】
ステップ706では、車両が右折または左折して進入した道路における複数の車線のうち、いずれの車線へ進入したかを指定するよう要求する案内音声をスピーカ9から出力する。ステップ707では、操作スイッチ4またはリモコン5から、進入した車線が指定されたか否かを判定する。指定された場合は、ステップ708へ進む。未だ指定されていない場合は、進入した車線の指定が行われるまで、上述の判定を繰り返す。
【0055】
ステップ708では、車両が進入した道路における複数の車線を、ディスプレイ3の左側に表示させると共に、操作スイッチ4またはリモコン5から指定された車線上にマークを重畳表示し、処理を終了する。
【0056】
図8は、本実施形態の走行車線案内装置において、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう案内する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、所定時間毎に実行される。
【0057】
ステップ801では、ECU8は、VICS通信機10が受信した通行規制情報を取得する。ステップ802では、ステップ801で取得した交通規制情報から、例えば道路工事等、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点に車両が接近したか否かを判定する。接近した場合は、ステップ803へ進む。そうでない場合は、処理を終了する。
【0058】
ステップ803では、車両が走行中の車線を変更するよう、スピーカ9から案内音声を出力させて処理を終了する。これにより、例えば道路工事や通行規制等、車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点へと車両が接近した場合でも、ユーザーは車両が走行中の車線を他の車線へと確実に車線変更できる。
【0059】
このように、本実施形態の走行車線案内装置では、ECU8は、車両が右折および左折する場合には、右折後および左折後に進入すべき車線を案内する案内音声をスピーカ9から出力させる。また、VICS通信機10が受信した通行規制情報に基づいて、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう、スピーカ9から案内音声を出力させることも行う。このようにしても、本走行車線案内装置は、車両が走行中の車線を認識するとともに、車両が走行すべき車線を案内することができる。
【0060】
前述した各実施形態では、本装置はカーナビゲーション装置に組み込まれて動作したが、これに限定されるものではなく、道路表示機能を備えた機器であれば好適に利用できる。しかしながら、最も好適なのは、カーナビゲーション装置に組み込まれて動作した場合であることを言及しておく。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態における走行車線案内装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における走行車線案内装置において、ディスプレイの表示例を示す図である。
【図3】第1の実施形態における走行車線案内装置において、車両が進入した車線にマークを重畳表示する処理に関するフローチャートである。
【図4】第1の実施形態における走行車線案内装置において、車両が車線変更した際にマークを移動させる処理に関するフローチャートである。
【図5】第1の実施形態における走行車線案内装置において、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう案内する処理に関するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態における走行車線案内装置の全体構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態における走行車線案内装置において、移動経路に従って車両が右折または左折する場合に行われる処理に関するフローチャートである。
【図8】第2の実施形態における走行車線案内装置において、車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう案内する処理に関するフローチャートである。
【図9】第1の実施形態の変形例の走行車線案内装置において、車両が交差点を右左折した後のディスプレイの表示例を示す図である。
【図10】第1の実施形態の変形例の走行車線案内装置において、車両の走行中におけるディスプレイの表示例(車線未指定)を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1…位置検出器
11…地磁気センサ
12…ジャイロスコープ
13…距離センサ
14…GPS受信機
2…地図データ入力器
3…ディスプレイ
4…操作スイッチ
5…リモコン
6…リモコンセンサ
7…白線検出センサ
8…ECU
9…スピーカ
10…VICS通信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車線のうち、走行している車線を指定する指定手段と、
前記車両が右側または左側の車線へと車線変更したことを検出する検出手段と、
前記指定手段によって指定された車線、および、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記車両が走行中の車線を認識するとともに、前記車両が走行すべき車線を案内する制御手段とを備えることを特徴とする走行車線案内装置。
【請求項2】
前記検出手段は、車線の分離標示を行う白線を認識するとともに、前記車両が前記白線を右側または左側に横断した場合に、前記車両が右側または左側の車線へと車線変更したと検出することを特徴とする請求項1記載の走行車線案内装置。
【請求項3】
車両の移動経路を設定する経路設定手段を設け、
前記制御手段は、前記経路設定手段が設定した移動経路から、前記車両が右折または左折すべき交差点へと接近した場合には、前記車両が走行中の車線を右折車線または左折車線へと車線変更するよう案内することを特徴とする請求項1または請求項2記載の走行車線案内装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記経路設定手段が設定した移動経路に従って、前記車両が交差点を右折または左折する場合には、右折後または左折後に進入する道路における複数の車線のうち、進入すべき車線を案内することを特徴とする請求項3記載の走行車線案内装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記車両が走行中の車線において、当該車線が通行不可となる地点に前記車両が接近した場合、前記車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう案内することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の走行車線案内装置。
【請求項6】
前記車両が走行中の道路における道路情報を取得する取得手段を設け、
前記制御手段は、前記取得手段が取得した道路情報にも基づいて、前記車両が走行中の車線を他の車線へと車線変更するよう案内することを特徴とする請求項5のいずれかに記載の走行車線案内装置。
【請求項7】
表示機器を設け、
前記制御手段は、前記表示機器の表示画面を2分割し、一方に前記車両周辺の地図画像を表示させるとともに、もう一方には、前記車両が走行中の道路における複数の車線および前記車両の走行位置を表示させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の走行車線案内装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記車両が交差点を右折または左折した後、前記車両が進入した道路における複数の車線を前記表示機器に表示させ、
前記指定手段は、前記表示機器に表示された前記複数の車線のうち、前記車両が進入した車線を指定することを特徴とする請求項7記載の走行車線案内装置。
【請求項9】
前記車両が進入した道路における複数の車線を前記表示機器に再表示させるよう指示する指示手段を設け、
前記制御手段は、前記車両が前記交差点を右折または左折した後、所定時間経過しても、前記指定手段によって車線の指定が行われない場合、前記車両が進入した道路における複数の車線の表示を前記表示機器から消去させ、前記指示手段によって前記再表示が指示された場合に、前記車両が進入した道路における複数の車線を前記表示機器に再表示させることを特徴とする請求項8記載の走行車線案内装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記車両が右折または左折する交差点に接近した場合、前記車両が右折または左折した後に進入する道路における複数の車線を前記表示機器に表示させ、
前記指定手段は、前記表示機器に表示された前記複数の車線のうち、前記車両が進入する予定の車線を指定することを特徴とする請求項7記載の走行車線案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−329832(P2006−329832A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−154487(P2005−154487)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】