説明

走行進路生成装置および走行制御装置

【課題】 生成した走行進路に基づいて実進路の走行を行うにあたり、実進路をスムーズなものとし、車両の乗員に与える違和感を小さくすることができる走行進路生成装置および走行制御装置を提供する。
【解決手段】 走行進路生成ECU10における走行進路演算部13は、ルート算出部12で算出したルート12に含まれる今回目標通過点と、走行進路記憶部14に記憶された前回走行進路に含まれる前回目標通過点を用いて、今回走行進路を生成する。ここで、前回目標通過点には、車両の近傍における固定目標通過点と固定目標通過点以外の探索目標通過点が含まれており、今回走行進路を生成するにあたり、固定目標通過点は固定とし、探索目標通過点を適宜今回目標通過点に変更して今回走行進路を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行進路生成装置および走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動運転などを行う際には、車両の走行進路を生成することが多い。このような車両の走行進路を生成する走行進路生成装置を備えるものとして、従来、自車両が目的地に向かうための自車進路を取得し、取得した自車進路にしたがって各種運転支援を行う車両用走行支援装置がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この車両用走行支援装置では、自動運転の場合、予め決められた進路を自車進路として取得する。また自車進路が決められていない場合には、車速や操舵角などに基づいて自車進路を予測するようにしている。また、取得した自車進路に基づいて自車両の車速や操舵角といった走行条件を算出し、算出した走行条件を満たすように車両を制御するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−260217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された車両用走行支援装置において、自車進路を生成する場合、自車進路の生成と走行条件との算出との間にタイムラグが生じてしまい、通常は自車進路の生成に長い時間を要してしまう。このため、取得した自車進路(走行進路)に追従して走行制御を継続すると、自車両が実際に走行する実進路がスムーズにならず、自車両の乗員に違和感を与えるおそれがあるという問題があった。また、走行制御を行うことなく、生成した走行進路に追従してドライバに対して、加減速や操舵量を報知するなどの運転支援などによって実進路を走行する場合にも、同様の問題が生じるものである。
【0006】
そこで、本発明の課題は、生成した走行進路に基づいて実進路の走行を行うにあたり、実進路をスムーズなものとし、車両の乗員に与える違和感を小さくすることができる走行進路生成装置および走行制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明に係る走行進路生成装置は、車両の走行環境を検出する走行環境検出手段と、車両の走行環境に基づいて、車両が通過する目標となる点である目標通過点を複数算出し、複数の目標通過点に基づいて車両の走行進路を生成する走行進路生成手段と、を備え、走行進路生成手段は、前回に算出した走行進路を前回走行進路として記憶する前回走行進路記憶部を有しており、前回走行進路に含まれる前回目標通過点のうち、車両に近い位置から所定の範囲内に含まれる前回目標通過点を固定目標通過点とするとともに、前回目標通過点のうちのその他の目標通過点を探索目標通過点とし、目標通過点を今回算出した場合に、固定目標通過点と、新たに算出した目標通過点である今回目標通過点と、に基づいて今回走行進路を生成することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る走行進路生成装置においては、走行進路を生成するにあたり、目標通過点を今回算出した場合に、前回目標通過点に含まれる固定目標通過点と、新たに算出した目標通過点である今回目標通過点と、に基づいて今回走行進路を生成している。このため、車両の実進路を求める際に利用する走行進路について、実進路の生成に影響を及ぼす車両に近い固定目標通過点については維持されているので、前回走行進路に追従しようとしたハンチングを防止することができる。その結果、生成した走行進路に基づいて実進路の走行を行うにあたり、実進路をスムーズなものとし、車両の乗員に与える違和感を小さくすることができる。
【0009】
ここで、車両の走行環境が、車両が走行する道路の道路環境である走行道路環境であり、車両の走行道路環境に基づいて、車両が走行する領域である走行領域を取得する走行領域取得手段を備え、走行進路生成手段は、走行領域取得手段が取得した走行領域に基づいて、走行領域内における目標通過点を複数算出するようにすることができる。
【0010】
このように、車両の走行環境としての走行道路環境に基づいて車両の走行領域を取得し、走行領域に基づいて目標通過点を算出することにより、走行進路を精度よく生成することができる。なお、走行道路環境としては、たとえば車線を示す白線や路側に設けられた物体などを挙げることができる。
【0011】
また、車両の走行環境が、車両の走行位置であり、車両の走行位置を取得する走行位置取得手段と、車両の走行道路環境に基づいて、車両が走行する領域である走行領域を取得する走行領域取得手段と、走行領域取得手段が取得した走行領域に基づいて、車両が走行する進路の目標となる目標進路を生成する目標進路生成手段と、をさらに備え、走行進路生成手段は、走行位置取得手段で取得した車両の走行位置および目標進路生成手段で生成した目標進路に基づいて、目標通過点を算出するようにすることができる。
【0012】
このように、走行位置取得手段で取得した車両の走行位置および目標進路生成手段で生成した目標進路に基づいて、目標通過点を算出することにより、車両の走行位置を考慮した走行進路を生成することができる。したがって、生成した走行進路に基づいて実進路の走行を行うにあたり、実進路をさらにスムーズなものとし、車両の乗員に与える違和感をより小さくすることができる。
【0013】
さらに、車両に対して死角となる死角領域を取得する死角領域取得手段をさらに備え、走行進路生成手段は、死角領域取得手段で取得した死角領域から外れた領域における目標通過点の中から、固定目標通過点を算出するようにすることができる。
【0014】
このように、死角領域取得手段で取得した死角領域から外れた領域における目標通過点の中から、固定目標通過点を算出することにより、死角領域における障害物を検出した場合に、この障害物を避ける走行進路を容易に生成することができる。
【0015】
また、上記課題を解決した本発明に係る走行制御装置は、車両の走行状態を検出する車両走行状態検出手段と、上記走行進路生成装置で生成した走行進路および車両走行状態検出手段で検出し車両走行状態に基づいて、車両の走行を制御する走行制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る走行制御装置においては、上記の走行進路生成装置で生成した走行進路を利用して走行制御を行っている。このため、前回走行進路に追従しようとしたハンチングを防止することができる。その結果、生成した走行進路に基づいて実進路の走行を行う走行制御を行うにあたり、実進路をスムーズなものとし、車両の乗員に与える違和感を小さくすることができる。
【0017】
このとき、固定目標通過点における障害物を検出する障害物検出手段と、障害物検出手段が障害物を検出した際に、車両を停止させる停止手段と、をさらに備えるようにすることができる。
【0018】
このように、固定目標通過点に障害物がある場合でも、今回走行進路は、固定目標通過点を用いて生成されることから、障害物を避けた今回走行進路を生成することは難しくなる。そこで、固定目標通過点において障害物が検出された際に、車両を停止させる停止手段を備えることにより、障害物を避けた走行進路の生成が困難である場合でも、障害物との衝突を避けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る走行進路生成装置および走行制御装置によれば、生成した走行進路に基づいて実進路の走行を行うにあたり、実進路をスムーズなものとし、車両の乗員に与える違和感を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る走行制御装置のブロック構成図である。
【図2】第1実施形態に係る走行制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】目標通過点を算出する際の説明図である。
【図4】道路の曲率が大きく変わった目標通過点を算出する際の説明図である。
【図5】車両がハンチングを起こす理由の説明図である。
【図6】第2実施形態に係る走行制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】自車両の位置を考慮して目標通過点を算出する際の説明図である。
【図8】第3実施形態に係る走行制御装置のブロック構成図であるである。
【図9】第3実施形態に係る走行制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】死角領域を含む道路の目標通過点を算出する際の説明図である。
【図11】第4実施形態に係る走行制御装置のブロック構成図である。
【図12】第4実施形態に係る走行制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】緊急停止を考慮した走行制御を行う際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0022】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る走行制御装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る走行制御装置1は、走行進路生成ECU[Electronic Control Unit]10および走行制御ECU15を備えている。走行進路生成ECU10および走行制御ECU15は、いずれもCPU[Central ProcessingUnit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[RandomAccess Memory]などからなる電子制御ユニットである。また、走行制御装置1には、白線検出センサ2、GPS[Global PositioningSystem]装置3、および走行状態検出センサ4が接続されている。さらに、走行制御装置1には、走行制御アクチュエータ5が接続されている。
【0023】
走行進路生成ECU10は、走行領域演算部11、ルート算出部12、走行進路演算部13、および走行進路記憶部14を備えて構成されている。また、走行進路生成ECU10は、走行制御ECU15に接続されている。走行進路生成ECU10は、本発明の走行進路生成装置を構成する。
【0024】
白線検出センサ2は、たとえばCCD[Charge Coupled Device]カメラおよび画像処理装置などを備えている。CCDカメラは、たとえば自車両の前方や側方に取り付けられており、自車両の周囲における画像を撮像している。また、画像処理装置では、CCDカメラで撮像した画像に画像処理を施し、画像中における白線を自車両の走行道路環境として検出する。白線検出センサ2は、画像処理装置で検出した白線に関する白線情報を走行進路生成ECU10における走行領域演算部11に送信する。
【0025】
GPS装置3は、GPS衛星との間で無線通信によるGPS通信を行っている。また、GPS装置3は、地図情報を記憶しており、GPS衛星との間におけるGPS通信と記憶している地図情報に基づいて、自車両の周囲の走行道路環境および自車両の位置や道路に対する向きといった自車両の走行状態を検出している。GPS装置3は、検出した自車両の走行道路環境に関する自車両位置情報および記憶している地図情報をGPS情報として走行進路生成ECU10における走行領域演算部11および走行進路演算部13に送信する。白線検出センサ2およびGPS装置3は、本発明の走行環境検出手段を構成する。さら、GPS装置3は、自車両走行位置を取得する走行位置取得手段を構成する。
【0026】
走行状態検出センサ4は、たとえば自車両の車輪に設けられた車輪速センサを有する車速センサ備えており、車輪速を計測し、計測した車輪速から車速を検出する。また、走行状態検出センサ4は、車両の操舵角を検出する操舵角センサを備えており、操舵角を検出する。走行状態検出センサ4は、検出した車速に関する車速情報および操舵角に関する操舵角情報を含む走行状態情報を走行制御ECU13に送信する。走行状態検出センサ4およびGPS装置3は、本発明の車両走行状態検出手段を構成する。
【0027】
走行進路生成ECU10における走行領域演算部11は、白線検出センサ2から送信された白線情報およびGPS装置3から送信されたGPS情報に基づいて、自車両が走行可能となる走行領域を演算によって算出して取得する。走行領域演算部11は、算出して取得した走行領域に関する走行領域情報をルート算出部12に出力する。走行領域演算部11は、本発明の走行領域取得手段を構成する。
【0028】
ルート算出部12は、走行領域演算部11から出力された走行領域情報に基づいて、自車両が走行する際の通過目標となる複数の目標通過点を算出する。また、ルート算出部12は、目標通過点の位置情報のほか、走行状態検出センサ4から送信された車速情報を用いて、目標通過点に自車両が到達する際の時刻の目標である目標時刻を算出している。また、算出した目標通過点をつなぎ合わせてルートを算出している。
【0029】
ルート算出部12は、ルートに関するルート情報を走行進路演算部13に出力する。このルート情報には、算出した目標通過点である算出目標通過点に関する算出目標通過点情報が含まれており、算出目標通過点には目標時刻が付加されている。ここで、算出される目標通過点が今回目標通過点となる。
【0030】
走行進路演算部13は、ルート算出部12からルート情報が出力された場合に、走行進路記憶部14に記憶されている前回走行進路を読み出す。走行進路演算部13は、出力されたルート情報および読み出した前回走行進路に基づいて、自車両の走行進路を生成する。ここで、走行進路演算部13は、生成した走行進路のうち、自車両に近い所定の領域内にある目標通過点を固定目標通過点とし、固定目標通過点以外の目標通過点を探索目標通過点と設定する。走行進路演算部13は、算出した走行進路に関する走行進路情報を走行進路記憶部14に出力して記憶させる。このため、走行進路記憶部14に記憶される走行進路情報における記憶目標通過点としては、固定目標通過点と探索目標通過点とが含まれることとまる。また、走行進路情報を走行制御ECU15に送信する。さらに、走行進路演算部13は、走行状態検出センサ4から送信された車速情報およびGPS装置3から送信された自車両の向きを含む車両情報などの自車両の走行に関する走行状態情報を走行制御ECU15に送信する。
【0031】
走行進路記憶部14は、走行進路演算部13から出力された走行進路情報に基づく走行進路を前回走行進路として記憶している。走行進路記憶部14は、走行進路演算部13の読み出しに応じて、前回走行進路に関する前回走行進路情報を走行進路演算部13に出力する。走行進路記憶部14は、本発明の前回走行進路記憶部を構成する。また、前回走行進路には、複数の前回目標通過点が含まれている。
【0032】
さらに、走行進路演算部13から走行進路情報が出力された場合には、走行進路記憶部14から前回走行進路における過去となった目標通過点が消去される。ルート算出部12、走行進路演算部13、および走行進路記憶部14は、本発明の走行進路生成手段を構成する。
【0033】
また、走行制御ECU15は、走行進路演算部13から出力された走行進路情報および走行状態情報に基づいて、自車両の加減速度、向き、操舵角などの走行制御量を演算によって算出する。走行制御ECU15は、算出した走行制御量に関する走行制御量情報を走行制御アクチュエータ5に送信する。走行制御ECU15は、本発明の走行制御手段を構成する。
【0034】
走行制御アクチュエータ5は、自車両を加減速させるための加減速アクチュエータおよび操舵角を調整する操舵アクチュエータを備えている。走行制御アクチュエータ5は、走行制御ECU15から送信された走行制御量情報に基づいて加減速アクチュエータおよび操舵アクチュエータを作動させて、自車両の走行を制御する。
【0035】
次に、本実施形態に係る走行制御装置の動作について説明する。図2は、本実施形態に係る走行制御装置の処理手順を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態に係る走行制御装置においては、まず、白線検出センサ2、GPS装置3、および走行状態検出センサ4などの各種センサから送信されたセンサ信号に応じた各種情報を読み込む(S1)。
【0036】
次に、走行領域演算部11において、走行領域の算出を行う(S2)。走行領域の算出は、白線検出センサ2から送信された白線情報に基づいて行われる。たとえば、図3(a)に示すように、道路の両側に描かれた2本の白線Wを検出した場合に、両側の白線内を走行領域として算出する。
【0037】
走行領域を算出したら、ルート算出部12において、ルートの更新を行う(S3)。ルートの更新では、大まかなルートの算出を行う。大まかなルートの算出を行う際には、図3(a)に示すように、自車両Mが走行する車線の周囲で検出した2本の白線Wをその延在方向に対してそれぞれ所定の長さで複数に分割し、それぞれの白線Wにおける向かい合う2点同士を繋いだ線分Lの中心点Tを複数求める。これらの複数の中心点Tを繋いでルートを生成する。また、これらの線分の中心点が目標通過点となり、ここで算出された目標通過点が算出目標通過点となる。ルート算出部12は、生成したルートに関するルート情報を走行進路演算部13に出力する。
【0038】
次に、走行進路演算部13において、走行進路記憶部14に前回生成した前回走行進路が記憶されているか否かを判断する(S4)。その結果、前回走行進路が記憶されていないと判断した場合には、目標軌跡を生成する(S5)。走行進路演算部13は、図3(b)に示すように、ルート算出部12から出力されたルート情報に含まれる大まかなルートについて、予め設定された粒度で複数の目標通過点T(1)、T(2)、・・・T(N)を生成し、これらの目標通過点を繋ぐことによって大まかなルートを補間して目標軌跡を生成する。
【0039】
こうして目標軌跡を生成したら、走行制御ECU15において、目標走行条件を算出する(S6)。ここでの目標走行条件としては、自車両が目標軌跡を目標時間に通過するための車速および操舵角などを算出する。それから、各目標通過点について、自車両が通過する目標となる時刻である目標時刻を付与する(S7)。目標時刻は、ルート算出部12から出力されるルート情報および走行状態検出センサ4から送信される車速情報に基づいて算出される。
【0040】
各目標通過点に対して目標時刻を付与したら、目標通過点を固定部に含まれる固定目標通過点および探索部に含まれる探索目標通過点に分割する(S8)。ここで、自車両に近い所定領域内の目標通過点を固定目標通過点とし、それ以外の目標通過点を探索目標通過点とする。固定目標通過点とするか探索目標通過点とするかは、次のようにして決められる。
【0041】
固定目標通過点とするか探索目標通過点とするかを判断するにあたり、予め進路を生成する時間である進路生成時間、走行制御ECU15が走行進路生成ECU10から走行進路情報を受信するまでの時間である走行進路情報受信時間、および走行制御ECU15で先読みする時間である先読み時間が予め想定されている。
【0042】
これらの進路生成時間、走行進路情報受信時間、および先読み時間を現在時刻に加算して得られる時刻を固定時刻とする。このとき、固定時刻よりも目標時刻が早い目標通過点を固定目標通過点とし、固定目標通過点以外の目標通過点、言い換えれば、固定時刻と目標時刻が同じであるか、固定時刻よりも目標時刻が遅い目標通過点を探索通過点とする。たとえば、図3(c)に示すように、自車両Mに近い領域に含まれる記憶目標通過点T(1)、T(2)、・・・T(n)が固定目標通過点となり、T(n+1)、T(n+2)、・・・T(N)が探索目標通過点となる。
【0043】
こうして、固定目標通過点と探索目標通過点とを設定したら、生成した目標軌跡が滑らかかつ白線の外にはみ出していない(逸脱していない)か否かを判断する(S9)。その結果、目標軌跡が滑らかかつ白線を逸脱していないと判断した場合には、目標軌跡を走行進路として走行進路記憶部14に書き込んで記憶させて格納(S10)する。一方、目標軌跡が滑らかでない、または白線を逸脱すると判断した場合には、停止用の走行進路を生成する(S11)。その後、走行進路記憶部14の記憶情報を消去する(S12)。
【0044】
それから、生成した走行進路情報を走行制御ECU15に送信する(S13)。また、走行進路演算部13は、自車両の走行状態情報を合わせて走行制御ECU15に送信する。走行制御ECU15は、出力された走行進路情報および車速や自車両の向きなどの走行状態情報に基づいて、走行制御アクチュエータ5の操作量を算出する。走行制御ECU15は、算出した操作量に応じた走行制御アクチュエータ5の制御を行う(S14)。こうして、走行制御装置における処理を終了する。
【0045】
また、走行進路記憶部14に前回生成された走行進路が記憶されている場合、ルート算出部12において、今回の走行進路を生成するために新たにルートを算出する(S1〜S3)。その後、ステップS4において、走行進路記憶部14に前回生成された走行進路が記憶されていると判断した場合、前回走行進路における記憶目標通過点のうち、目標時刻が過去となっている記憶目標通過点を削除する(S15)。
【0046】
続いて、走行進路記憶部14に記憶されている前回生成された走行進路に含まれる記憶目標通過点の中から、探索目標通過点を抽出する(S16)。その後、前回生成された走行進路に含まれる探索目標通過点および新たに算出したルートに基づいて目標軌跡を生成し、前回生成された走行進路における固定目標通過点と結合する(S17)。目標軌跡を生成する際には、前回生成した走行進路に含まれる目標通過点を、新たに算出したルートに含まれる目標通過点のうち、探索目標通過点に最も近い目標通過点に変更する。
【0047】
たとえば、図3(c)に示す経路を前回走行進路として生成した後、白線Wの曲率に大きな変化が無ければ、探索目標通過点と新たに算出される目標通過点とでは、大きな差が生じないこととなる。ところが、図4(a)に示すように、前回走行進路を生成した場合と比較して白線Wの曲率が大きく変化することがある。この場合、ルート算出部12で算出されたルートに含まれる目標通過点は、前回生成した走行進路に含まれる目標通過点とずれてくることとなる。
【0048】
このとき、図4(a)に示す前回生成した走行進路における固定目標通過点T(1)、T(2)、・・・T(n)については、ルート算出部12で算出したルートに含まれる目標通過点とずれていた場合でも、前回生成した走行進路における固定目標通過点をそのまま今回生成する走行進路の目標通過点として用いる。また、前回生成した走行進路に含まれる目標通過点のうち、探索目標通過点T(n+1)、T(n+2)、・・・T(N)については、ルート算出部12で算出したルートをもとに、最終的に今回生成した走行進路の目標通過点T(N−1)、T(N)・・・に変更し、図4(b)に示す走行進路を生成する。その後、ステップS6に進み、同様の処理を繰り返す。
【0049】
このように、本実施形態に係る走行制御装置1においては、走行進路を生成する際に、前回生成した走行進路がある場合、前回生成した走行進路における目標通過点を固定目標通過点または探索目標通過点としている。また、今回の走行進路を生成する際に、固定目標通過点をそのまま利用し、探索目標通過点を適宜変更するようにしている。
【0050】
このため、図4(a)に示すように、自車両Mが走行する車線の曲率が大きく変化した場合、前回走行進路における固定目標通過点となっている目標通過点T(n)については、目標通過点の変更の対象とはならない。また、探索目標通過点となっている目標通過点T(N−1)〜T(N+1)については、変更の対象となる。
【0051】
ここで、走行進路生成ECU10で生成される走行進路と走行制御ECU15によって自車両が走行する際の実進路のスムーズさとの関係について説明する。たとえば、走行進路を新たに生成するとともに、図5(a)に示すように、5つの目標通過点T(1)〜T(5)を含む走行進路に沿って走行するように走行制御ECU15によって走行制御を行う場合について想定する。
【0052】
このとき、走行制御ECUI5は、図5(b)に示すように、自車両Mが走行進路Lから外れているため、走行進路Lとの間の誤差をなくすように車速および操舵力の調整を行って走行制御する。その一方、走行進路生成ECU10では、図5(c)に示すように、旧走行進路OLに対して、誤差を無くすように新たな走行進路である新走行進路NLを生成する。ここで、走行制御における制御タイミングは、走行進路が生成されるタイミングとずれている。したがって、図5(d)に示すように、走行制御ECU15における走行制御を行う際には、旧走行進路OLが消滅して新走行進路NLを用いた制御と行っていることがある。この場合の走行制御では、走行制御において、新走行進路NLに追従しようとすることにより、ハンチングが生じてしまうこととなる。
【0053】
この点、本実施形態に係る走行制御装置では、走行進路を生成する際に、前回走行進路がある場合には、前回走行進路に含まれる目標通過点のうち、自車両に近い固定目標通過点は変更することなく今回走行進路を生成している。図4(a)に示す例では、固定目標通過点T(n)を固定とし、図4(b)に示すように、ここから探索目標通過点に代えて新たな目標通過点T(N−1)、T(N)・・・を算出し、目標通過点T(N−1)、T(N)・・・と入れ代える。図4(b)に示す例では、目標通過点T(N−1)、T(N)と目標通過点T(N−1)、T(N)とは一致しており、目標通過点T(N+1)以降の目標通過点が、新たな目標通過点T(N+1)・・・と変更されて走行経路が生成される。
【0054】
このため、走行制御に影響を及ぼす自車両に近い固定目標通過点については維持されているので、前回走行進路に追従しようとしたハンチングを防止することができる。その結果、生成した走行進路に基づいて車両の走行制御を行うにあたり、実進路をスムーズなものとし、車両の乗員に与える違和感を小さくすることができる。
【0055】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る走行制御装置は、上記第1実施形態に係る走行制御装置と比較して、走行進路を生成するにあたり、自車両の位置を考慮する点において主に異なっている。
【0056】
以下、本実施形態に係る走行制御装置における走行制御装置の動作について説明する。図6は、本実施形態に係る走行制御装置の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、本実施形態に係る走行制御装置では、まず、各種センサから送信されたセンサ信号に応じた各種情報を読み込み(S21)、走行領域の算出を行い(S22)、さらにルートの更新を行う(S23)。ここまでは、上記第1実施形態と同様である。さらに、更新したルートを補間することにより、目標進路を生成する。本実施形態において、走行進路演算部13は、目標進路生成手段を構成する。
【0057】
続いて、自車両の予測軌跡(以下、単に「予測軌跡」という)を生成する(S24)。予測軌跡の生成は、走行進路演算部13において、走行状態検出センサ4から送信された車速情報および操舵角情報に基づいて行う。予測軌跡は、目標通過予測点を繋ぐことによって生成されており、目標通過予測点には、目標時刻が付加されている。
【0058】
続いて、予測軌跡における目標通過予測点の中から、固定目標通過予測点を抽出する(S25)。ここで、予測軌跡を構成する目標通過予測点のうち、自車両に近い所定の領域内にある目標通過予測点を固定目標通過予測点とし、その他の目標通過予測点を探索目標通過予測点とする。
【0059】
固定目標通過点とするか探索目標通過点とするかを判断するにあたり、上記第1実施形態と同様にして求められる固定時刻を用いる。この固定時刻が目標時刻よりも大きい目標通過予測点が固定目標通過予測点として抽出され、それ以外の目標通過予測点が探索目標通過予測点とする。
【0060】
たとえば、図7(a)に示すように、ステップS23で更新したルートから生成した目標進路ORと、ステップS24で生成した予測軌跡MCとがある場合、図7(b)に示すように、予測軌跡MCにおける目標通過予測点のうち、自車両Mに近い目標通過予測点を固定目標通過予測点とし、その他の目標通過予測点を探索目標通過予測点とする。また、目標進路ORにおける目標通過点のうち、予測軌跡MCにおける固定目標通過予測点に最も目標時刻が近い目標通過点を固定目標通過点とし、予測軌跡MCにおける探索目標通過予測点最も近い目標通過点を探索目標通過点とする。
【0061】
続いて、走行進路記憶部14に前回走行進路が記憶されているか否かを判断する(S26)。その結果、前回走行進路が記憶されていないと判断した場合には、目標軌跡を生成する(S27)。目標軌跡は、予測軌跡MCにおける固定目標通過予測点と、目標進路ORにおける探索目標通過点とを用いて生成する。たとえば、図7(c)に示すよう、予測軌跡MCにおける固定目標通過予測点を通る条件下で、目標進路ORにおける探索目標通過点に近づく軌跡を目標軌跡として生成する。この目標軌跡を仮目標進路SRとする。
【0062】
こうして仮目標進路SRを生成したら、上記第1実施形態と同様に走行制御ECU15において、目標走行条件を算出し(S28)、目標時刻を付与する(S29)。その後、仮目標進路SRが滑らかであるか否かを判断し(S30)、仮目標進路SRが滑らかであると判断した場合には、仮目標進路SRを走行進路として走行進路記憶部14に書き込んで記憶させて格納する(S31)。
【0063】
一方、仮目標進路SRが滑らかでないと判断した場合には、停止用の走行進路を生成する(S32)。その後、走行進路記憶部14の記憶情報を消去する(S33)。それから、生成した走行進路情報および走行状態情報を走行制御ECU15に送信する(S34)。走行制御ECU15では、出力された走行進路情報および走行状態情報に基づいて、走行状態制御アクチュエータ5の操作量を算出し、走行制御アクチュエータ5の制御を行う(S35)。こうして、走行制御装置における処理を終了する。
【0064】
また、走行進路記憶部14に前回走行進路が記憶されている場合、ルート算出部12において、今回の走行進路を生成するために新たにルートを算出する(S21〜S23)。さらに、自車両の予測軌跡を今回予測軌跡として生成し、今回予測軌跡の中から、今回固定目標通過予測点および今回探索目標通過予測点を抽出する(S24、S25)。また、前回生成した予測軌跡における前回固定目標通過予測点および前回探索目標通過予測点は走行進路記憶部14に記憶されている。
【0065】
その後、ステップS26において、前回走行進路が生成されていると判断した場合には、前回走行進路における目標通過点のうち、目標時刻が過去となった目標通過点を削除する(S36)。続いて、ステップS23で更新したルートから生成される目標進路である今回目標進路と前回走行進路に基づいて今回の目標軌跡である今回目標軌跡を生成する(S37)。
【0066】
ここで生成した今回目標軌跡における目標通過点の中から、今回予測軌跡における探索目標通過予測点に対応する探索目標通過点を抽出する(S38)。その後、前回予測軌跡における前回固定目標通過予測点と、今回目標軌跡における探索目標通過点とに基づいて、仮目標進路SRを生成する(S39)。その後、ステップS28に進み、同様の処理を繰り返す。
【0067】
このように、本実施形態に係る走行制御装置においては、自車の予測軌跡に固定目標通過予測点を定めて目標進路を生成している。たとえば、図7(b)に示す状態において、自車両Mが走行すると予測される予測軌跡MCの目標通過予測点C(1)・・・C(n)・・・(Cn+L)について、固定目標通過予測点C(1)〜C(n)および探索目標通過予測点C(n+1)〜C(n+L)を定めている。
【0068】
さらに、ルートに基づいて生成される目標進路ORの目標通過点T(1)〜T(n)〜T(n+L)について、固定目標通過予測点C(n+1)〜C(n+L)に対応する探索目標通過点T(n+1)〜T(n+L)を定めている。そして、予測軌跡MCにおける固定目標通過予測点C(1)〜C(n)を用いて自車両の位置を固定し、探索目標通過予測点C(n+1)〜C(n+L)を用いて走行進路を生成している。このため、走行制御を行う際、走行制御の開始時に現状の動きを維持するに制御を行い、その後に制御誤差を修正するように動くこととなる。このため、生成した走行進路に基づいて実進路の走行を行うにあたり、実進路をさらにスムーズなものとし、車両の乗員に与える違和感をより小さくすることができる。走行制御を行った走行における実進路をスムーズなものとし、車両の乗員に与える違和感を小さくすることができる。
【0069】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態について説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係る走行制御装置のブロック構成図である。本実施形態では、障害物検出装置6および衝突位置予測装置7が直接的または間接的に走行制御装置1に接続されている点で、上記第1実施形態と主に異なっている。また、衝突位置予測装置7から送信される情報に基づく処理が走行進路演算部13等において若干異なっている。その他の点については、上記第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態との相違点を中心として、本実施形態について説明する。
【0070】
図8に示すように、本実施形態に係る走行制御装置1には、障害物検出装置6および衝突位置予測装置7が接続されている。障害物検出装置6は、たとえば自車両の外側に取り付けられたCCDカメラおよびこのCCDカメラで撮像した画像に対して画像処理を行う画像処理装置を備えている。障害物検出装置6は、CCDカメラで撮像した画像に画像処理を施すことにより、自車両の周囲における障害物を検出している。障害物検出装置6は、検出した障害物の大きさや位置に関する障害物情報を衝突位置予測装置7に送信する。
【0071】
衝突位置予測装置7は、障害物検出装置6から送信される障害物情報および走行状態検出センサ4から送信される車速情報および操舵角情報などに基づいて、自車両が障害物と衝突する可能性がある位置である衝突位置を予測する。衝突位置予測装置7は、衝突位置を予測するにあたり、自車両からみて死角となる死角領域を検出しており、死角領域に含まれる位置は、ほぼ衝突位置として予測する。衝突位置予測装置7は、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合に、衝突予測情報を走行進路演算部13に送信する。衝突予測情報には、自車両の死角となる死角領域に関する死角領域情報が含まれる。
【0072】
次に、本実施形態に係る走行制御装置の動作について説明する。図9は、本実施形態に係る走行制御装置の処理手順を示すフローチャートである。図9に示すように、本実施形態に係る走行制御装置では、まず、目標走行条件算出前工程が行われる(S41)。目標走行条件算出前工程では、図2に示すステップS1〜ステップS5、ステップS15〜ステップS17と同様の処理が行われる。
【0073】
次に、目標走行条件の算出が行われる(S42)。ここでの目標走行条件としては、自車両が目標軌跡を目標時間に通過するための車速および操舵角などを算出する。続いて、算出した目標軌跡および衝突予測装置から送信された衝突予測情報に含まれる死角情報に基づいて、目標軌跡が死角領域に含まれているか否かを判断する(S43)。
【0074】
その結果、目標軌跡が死角領域に含まれていると判断した場合には、走行進路演算部13において、自車両から死角領域までの距離を算出する(S44)。自車両から死角領域までの距離は、白線検出センサ2から送信された白線情報およびGPS装置3から送信されたGPS情報に基づいて算出される。
【0075】
続いて、ステップS42で算出した目標走行条件のうちの目標車速と走行制御ECU15における制御遅れ時間とを乗じた値を算出し、目標車速と制御遅れ時間とを乗じた値が死角領域までの距離よりも短いか否かを判断する(S45)。その結果、一方、目標車速と制御遅れ時間とを乗じた値が死角領域までの距離よりも短くないと判断した場合には、目標走行条件を修正する(S46)。ここでの目標走行条件の修正としては、目標車速を遅くしたり、目標加速度を小さくしたりなど、死角領域に到達するまでの時間が長くなる修正を行い、目標車速と制御遅れ時間とを乗じた値が死角領域までの距離よりも短くなるようにする。こうして、固定目標通過点が死角領域に生成されることがなく、死角領域には探索目標通過点のみが生成されるようにする。
【0076】
その後、目標走行条件算出後工程(S47)に移行する。目標走行条件算出後工程では、図2に示すステップS7〜ステップS14までの処理が行われる。一方、目標車速と制御遅れ時間とを乗じた値が死角領域までの距離よりも短いと判断した場合には、目標走行条件を維持して、目標走行条件算出後工程(S47)に移行する。こうして、走行制御装置における処理を終了する。
【0077】
たとえば、走行進路を生成した後に死角領域に隠れていた障害物を検出することがある。このとき、死角領域に固定目標通過点が設定されていると、固定目標通過点を用いて今回走行進路を生成することから、障害物を避けるための走行進路の変更を行うことが困難となってしまうことが考えられる。
【0078】
この点、本実施形態に係る走行制御装置においては、図10に示すように、目標走行条件を算出する際、自車両Mから死角領域DAまでの距離に基づいて目標走行条件を修正し、目標車速と制御遅れ時間とを乗じた値が死角領域DAまでの距離よりも短くなるようにしている。このため、死角領域DAには、探索目標通過点T(N)のみが設定され、死角領域DAを外れた領域に固定目標通過点T(1)〜T(n+1)が設定される。したがって、今回走行進路を生成する際に、死角領域DAに含まれる固定目標通過点を用いることがないようにすることができる。よって、死角領域の障害物が存在する場合でも、今回走行進路を生成する際に、障害物を避けた今回走行進路を容易に生成することができる。
【0079】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図11は、本発明の第4実施形態に係る走行制御装置のブロック構成図である。本実施形態では、走行制御装置1に衝突確認部16が設けられている点で、上記第3実施形態と主に異なっている。衝突確認部16は、衝突位置予測装置7から送信される衝突予測情報を受信し、衝突予測情報に基づいて、自車両がこのまま走行を継続した場合に、障害物に衝突することを確認する。
【0080】
衝突確認部16では、このまま走行を継続した場合に、障害物に衝突することを確認した場合に、衝突情報を走行制御ECU15に送信する。走行制御ECU15は、衝突情報を受信した場合に、緊急停止制御を行う。衝突確認部16は、本発明の障害物検出手段および停止手段を構成する。
【0081】
また、走行領域演算部11では、白線検出センサ2およびGPS装置3から送信される情報等に基づいて、自車両の走行領域とともに、自車両の走行領域における自車両から死角となる領域である死角領域を算出して取得する。走行領域演算部11は、本発明の死角領域取得手段を構成する。
【0082】
次に、本実施形態に係る走行制御装置の動作について説明する。図12は、本実施形態に係る走行制御装置の処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、本実施形態に係る走行制御装置においては、死角領域を考慮した死角領域考慮目標走行条件を算出する(S51)。死角領域考慮目標走行条件は、図9に示す第3実施形態におけるステップS41〜ステップS46の工程と同様の処理で算出される。
【0083】
死角領域考慮目標倉庫条件を算出したら、目標通過点に目標時刻を付与し(S32)、続いて、固定目標通過点と探索目標通過点とを分割する(S33)。目標時刻の付与および固定目標通過点と探索目標通過点との分割は、図2に示す第1実施形態におけるステップS7およびステップS8の工程と同様の処理で行われる。
【0084】
続いて、衝突確認部16において、固定目標通過点を繋ぐ軌跡において、自車両と衝突する障害物があるか否かを判断する(S54)。その結果、固定目標通過点を繋ぐ軌跡において、自車両と衝突する障害物があると判断した場合には、走行制御ECU15に衝突情報を送信し、走行制御ECU15において、緊急停止制御を行って(S55)走行制御を終了する。一方、固定目標通過点を繋ぐ軌跡において、自車両と衝突する障害物がないと判断した場合には、目標時刻付与後工程を経て(S56)、走行制御を終了する。目標時刻付与後工程では、図2に示すステップS8〜ステップS14までの工程と同様の処理を行う。
【0085】
固定目標通過点に障害物がある場合でも、今回走行進路は、固定目標通過点を用いて生成されることから、障害物を避けた今回走行進路を生成することは難しくなる。このため、今回走行進路を生成するにあたり、たとえば図13に示すように、固定目標通過点T(1)〜T(3)を含む軌跡に歩行者Hなどの障害物がある場合でも、探索目標通過点T(N)〜T(N+2)を含む走行進路しか変更することができない。仮に固定目標通過点T(1)〜T(3)を含む走行進路について変更すると、走行進路がスムーズにならず、乗員に与える違和感が大きくなってしまうとともに、走行制御を行う際のハンチングの原因となってしまう。
【0086】
この点、本実施形態に係る走行制御装置においては、固定目標通過点を繋ぐ軌跡において、自車両と衝突する障害物があると判断した場合には、緊急停止制御を行うことによって車両を停止させるようにしている。このため、固定目標通過点を用いて走行進路を生成する場合でも、乗員に与える違和感を大きくすることなく、障害物との衝突を好適に避けることができる。
【0087】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態においては、走行制御ECU15による走行制御を行っているが、走行進路生成ECU10によって生成した走行進路をドライバに報知する走行進路報知手段を設けることもできるし、生成した走行進路を達成するための走行条件をドライバに報知する走行条件報知手段を設けたりすることもできる。これらの場合、走行制御に代えて、ドライバの運転を支援する運転支援を行うこととなる。また、完全な走行制御を行わなくとも、走行制御装置によって加減速したり操舵トルクアシストしたりするなどして運転支援を行うこともできる。
【符号の説明】
【0088】
1…走行制御装置、2…白線検出センサ、3…GPS装置、4…走行状態検出センサ、5…走行制御アクチュエータ、6…障害物検出装置、7…衝突位置予測装置、10…走行進路生成ECU、11…走行領域演算部、12…ルート算出部、13…走行進路演算部、14…走行進路記憶部、15…走行制御ECU、16…衝突確認部、W…白線、M…自車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行環境を検出する走行環境検出手段と、
前記車両の走行環境に基づいて、前記車両が通過する目標となる点である目標通過点を複数算出し、複数の前記目標通過点に基づいて前記車両の走行進路を生成する走行進路生成手段と、を備え、
前記走行進路生成手段は、
前回に算出した走行進路を前回走行進路として記憶する前回走行進路記憶部を有しており、
前回走行進路に含まれる前回目標通過点のうち、前記車両に近い位置から所定の範囲内に含まれる前回目標通過点を固定目標通過点とするとともに、前記前回目標通過点のうちのその他の目標通過点を探索目標通過点とし、
前記目標通過点を今回算出した場合に、前記固定目標通過点と、新たに算出した目標通過点である今回目標通過点と、に基づいて今回走行進路を生成することを特徴とする走行進路生成装置。
【請求項2】
前記車両の走行環境が、前記車両が走行する道路の道路環境である走行道路環境であり、
前記車両の走行道路環境に基づいて、前記車両が走行する領域である走行領域を取得する走行領域取得手段を備え、
前記走行進路生成手段は、前記走行領域取得手段が取得した前記走行領域に基づいて、前記走行領域内における目標通過点を複数算出する請求項1に記載の走行進路生成装置。
【請求項3】
前記車両の走行環境が、前記車両の走行位置であり、
前記車両の走行位置を取得する走行位置取得手段と、
前記車両の走行道路環境に基づいて、前記車両が走行する領域である走行領域を取得する走行領域取得手段と、
前記走行領域取得手段が取得した前記走行領域に基づいて、前記車両が走行する進路の目標となる目標進路を生成する目標進路生成手段と、をさらに備え、
前記走行進路生成手段は、前記走行位置取得手段で取得した前記車両の走行位置および前記目標進路生成手段で生成した前記目標進路に基づいて、前記目標通過点を算出する請求項1に記載の走行進路生成装置。
【請求項4】
前記車両に対して死角となる死角領域を取得する死角領域取得手段をさらに備え、
前記走行進路生成手段は、前記死角領域取得手段で取得した前記死角領域から外れた領域における目標通過点の中から、前記固定目標通過点を算出する請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の走行進路生成装置。
【請求項5】
前記車両の走行状態を検出する車両走行状態検出手段と、
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載された走行進路生成装置で生成した走行進路および前記車両走行状態検出手段で検出し車両走行状態に基づいて、前記車両の走行を制御する走行制御手段と、
を備えることを特徴とする走行制御装置。
【請求項6】
前記固定目標通過点における障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段が障害物を検出した際に、前記車両を停止させる停止手段と、をさらに備える請求項5に記載の走行制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−112067(P2013−112067A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258036(P2011−258036)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】