説明

走行風誘導ダクトおよびそれを適用したエンジンルーム構造

【課題】走行風だけでインタークーラーの性能を高効率化することができる走行風誘導ダクトおよびそれを適用したエンジンルーム構造を提供する。
【解決手段】エンジンルームの前側をなすフロントエンド部の上端部位に設けられたラジエータグリルを通過した走行風を導入し、エンジンルームに設けられたインテークシステムの相異なる2つの部位に各々排出するメインダクトと、フロントエンド部の下端部位に設けられたバンパー部位に流入する走行風を導入し、少なくとも1つ以上の位置から走行風を通過させるサブダクトと、メインダクトに導入された走行風がメインダクトを抜け出る前に一部を分岐させ、エアインテークに送るようにメインダクトの走行風通路に連結された分岐ダクトとから構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行風誘導ダクトおよびそれを適用したエンジンルーム構造に係り、より詳しくは、走行風の流入量を増大させてインタークーラーに対する冷却性能を大幅に向上させることができる走行風誘導ダクトおよびそれを適用したエンジンルームの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にエンジンルームに設けられたエンジンの周囲には、エアフィルターを経た外気を吸入するエアインテークと、燃焼室につながった吸気マニホールドで構成されたインテークシステム(Intake System)、冷房装置を構成するコンデンサ(Condenser)、およびエンジン冷却系を構成するラジエータ(Radiator)が設けられる。
【0003】
ガソリン車両とは異なり、ディーゼルおよびガソリンターボエンジンのインテークシステムには、エンジン出力を上げるために外気を圧縮するターボチャージャー(Turbo Charger)が共に構成され、さらに、ターボチャージャーを抜け出た過給エアを冷却するインタークーラー(Inter Cooler)も共に設けられる(例えば、引用文献1〜3参照)。
【0004】
通常、ターボチャージャーは、タービン(Turbine)側に排気ガス循環装置を連結し、圧縮機(Compressor)側にエアインテークを連結し、インタークーラーは、走行風による冷却性能を向上させるために走行風を円滑に受ける場所に位置される。
ディーゼルおよびガソリンターボエンジン車両においては、コンデンサおよびラジエータと共にインタークーラーがエンジンルームの前面部をなすフロントエンド部に近接して設けられることにより、走行時にエンジンルームに流入する走行風による冷却効率を向上させることができる。
【0005】
走行風による冷却効率が向上すれば、コンデンサは車両室内の冷房性能を向上させることができ、ラジエータはより円滑にエンジンの過熱を防止することができ、インタークーラーは高効率化でエンジンの出力と燃費を向上させることができる。
上記のように、走行風の効果的な流入はコンデンサとラジエータの冷却性能を向上させ、特にエンジン出力と燃費の改善のために非常に重要なインタークーラーの冷却性能を向上させることができる。
【0006】
コンデンサとラジエータおよびインタークーラーを冷却する走行風をより多く流入するためには、フロントエンド部により広い面積の開口部を形成しなければならない。
しかし、フロントエンド部位は、その前面にラジエータグリルとバンパーが設けられるので、車両の外観デザイン上で非常に重要な部位である。
【0007】
このため、走行風の流入量を増大させるためのフロントエンド部位の開口面積の拡張は、外観デザイン上から自由度に制約があり、このような制約は、特にインタークーラーの冷却性能を向上させる走行風取り入れのネックになっている。
しかし、性能が強化された高性能エンジンにおいては、それに相応する高効率の冷却設備が必ず必要であり、仕様のアップグレード(Upgrade)なしにインタークーラーの効率を向上させるためには、走行風を利用したインタークーラーの冷却性能の向上技術が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−081664号公報
【特許文献2】特開2002−266690号公報
【特許文献3】特開2008−190391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、インタークーラー仕様のアップグレード(Upgrade)なしに高性能エンジンに適するように走行風だけでインタークーラーの性能を高効率化することができる走行風誘導ダクトを提供することにある。
さらに、本発明の別の目的とするところは、コンデンサとラジエータおよびインテークシステムの設置のためのエンジンルームレイアウトも最適化できる走行風誘導ダクトを適用したエンジンルーム構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するためになされた本発明の走行風誘導ダクトは、エンジンルームの前側をなすフロントエンド部の上端部位に設けられたラジエータグリルを通過した走行風を導入し、エンジンルームに設けられたインテークシステムの相異なる2つの部位に各々排出し、フロントエンド部の下端部位に設けられたバンパー部位に流入する走行風を導入し、相異なる2つの部位中の1つの部位に排出することを特徴とする。
【0011】
インテークシステムの相異なる2つの部位中の1つの部位はターボチャージャーの過給エアを冷却するインタークーラーであり、残りの1つの部位は外気を導入するエアインテークであることが好ましい。
【0012】
走行風誘導ダクトは、ラジエータグリルを通過した走行風を導入するように、入口をラジエータグリルに近接させ、出口をインタークーラーの上端部位に位置させたメインダクトと、バンパー部位に流入する走行風を導入するように少なくとも1つ以上の位置から走行風を通過させるサブダクトと、メインダクトに導入された走行風がメインダクトを抜け出る前に一部を分岐させ、エアインテークに送るようにメインダクトの走行風通路に連結された分岐ダクトとから構成されることが好ましい。
【0013】
メインダクトは、開口された通路構造にするとともに、傾斜角を与えて、入口を出口に比べてより高くした構造をなし、サブダクトは、開口された通路構造にするとともに、バンパー部位に流入する走行風を導入する1対の下端流入ダクトと上端流入ダクトを一側面において互いに間隔をおいて突出させた構造をなし、分岐ダクトは、開口された通路構造にするとともに、メインダクトの走行風通路に連通して延びた構造をなすことが好ましい。
サブダクトの上端流入ダクトと分岐ダクトは、入口断面と出口断面を互いに異にし、全体的に漏斗の断面形状をなすことが好ましい。
サブダクトの下端流入ダクトと上端流入ダクトに各々導入された走行風は互いに合流して排出されることが好ましい。
【0014】
また、上記のような目的を達成するためになされた本発明のエンジンルーム構造は、外気を導入するエアインテークと、排気ガス循環装置に連結されたターボチャージャーと、過給エアを冷却して吸気マニホールドに送るインタークーラーとからなり、エンジンルームに設けられたインテークシステム、冷房装置を構成するコンデンサとエンジン冷却系を構成するラジエータとからなり、インテークシステムの側面に設けられた冷却モジュール、及び、エンジンルームの前側をなすフロントエンド部を通過した走行風を導入し、エアインテークとインタークーラーに各々排出するメインダクトと、フロントエンド部を通過した走行風を他の位置から導入し、インタークーラーに排出するサブダクトと、メインダクトに導入された走行風がメインダクトを抜け出る前に一部を分岐させ、エアインテークに送るようにメインダクトの走行風通路に連結された分岐ダクトとからなる走行風誘導ダクト、を含んで構成されることを特徴とする。
【0015】
冷却モジュールは、フロントエンド部に設けられたラジエータグリルを通過した走行風を直接受けて冷却され、走行風誘導ダクトは、冷却モジュールに直接行く走行風流れを干渉しないようにラジエータグリルの側面部位に設けられることが好ましい。
走行風誘導ダクトは、フロントエンド部に設けられたダクトフレームを利用して結合されることが好ましい。
【0016】
走行風誘導ダクトのメインダクトがラジエータグリルの側面に位置し、メインダクトから分岐した分岐ダクトがエアインテークに直接連結され、サブダクトの下端流入ダクトはバンパー部位においてバンパーを設けるバンパーブラケット部位に位置する一方で、上端流入ダクトはバンパーブラケットに間隔をおいて設けられたインターブラケット部位に位置することが好ましい。
バンパーブラケットには、下端流入ダクトを囲み、走行風を通過させる開口空間であるエア流入口が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、コンデンサとラジエータおよびインタークーラー側に流れる走行風流入量の増大によって冷却性能を大幅に向上させ、特に高性能エンジンに要求される高効率のインタークーラー作動を走行風の冷却作用だけで実現できる効果がある。
また、本発明は、インタークーラーの仕様アップグレード(Upgrade)なしに、走行風によってインタークーラーの効率を増大させることは勿論、同一の条件にてインタークーラーを通過した過給エアの出口温度をより下げる効果もある。
なお、本発明は、エンジンに流入される走行風中の一部の走行風をエアインテークに直接送ることにより吸気性能を大幅に向上させることができ、コンデンサとラジエータおよびインテークシステムを、走行風誘導ダクトの走行風流れを利用する1つの統一されたシステムとして設計するため、エンジンルームレイアウトを最適化できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る走行風誘導ダクトの正面図である。
【図2】本発明に係る走行風誘導ダクトの斜視図に走行風の流れを加筆した説明図である。
【図3】本発明に係る走行風誘導ダクトを適用したコンデンサとラジエータおよびインテークシステムのエンジンルームレイアウトである。
【図4】フロントエンド部に取付けられた走行風誘導ダクトを含むインテークシステムの斜視図を示した。
【図5】図4に、走行風の流れを加筆した説明図である。
【図6】図3に、走行風の流れを加筆した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る走行風誘導ダクトを車輌の前方から見た時の正面図である。
図1に示したとおり、走行風誘導ダクト20は、少なくとも3ケ所の各々異なる位置から流入する走行風を少なくとも3ケ所の各々異なる経路を通じてエンジンルームに設けられたインテークシステム側に排出することができる構造である。
【0020】
このために、走行風誘導ダクト20は、走行風を通過させるメインダクト30と、メインダクト30の下側において、少なくとも1つ以上の位置から流入する走行風を通過させるサブダクト40と、メインダクト30を通過する走行風の一部を分岐させ、メインダクト30を抜け出る走行風流れとは異なる走行風流れを形成するためにメインダクト30の上側に連結された分岐ダクト50とから構成される。
【0021】
メインダクト30は、フロントエンド部の上端部位に設けられたラジエータグリルを通過した走行風の一部を吸い込み、エンジンルームに設けられたインテークシステム側に排出する開口された通路構造をなし、走行風を流入する入口が走行風を排出する出口に比べてより高い位置をなすように所定の傾斜角(K)を与えて全体的に傾斜した構造に形成される。
メインダクト30は、走行風誘導ダクト20の横幅長さに対してほぼ同一の横幅を有する略長方形状の断面を有する形状に形成されるが、走行風を流入する入口の断面は垂直した1辺と水平した1辺に各々傾斜を与えて歪んだ長方形状に作ることによって、ラジエータグリルがフロントエンド部の側部側端部の形状と一致させる。
【0022】
本実施形態において、メインダクト30から排出された走行風は、インテークシステムを構成するインタークーラーの上側部位に流れる流れ経路を形成する。
また、サブダクト40は、ラジエータグリルの下側に位置したバンパー部位に流入する走行風を相異なる2ケ所の位置から吸い込み、エンジンルームに設けられたインテークシステム側に排出するために開口された通路構造をなし、このために、サブダクト40は、下端流入ダクト41に対して離隔した上端流入ダクト42が1対で構成される。
【0023】
下端流入ダクト41と上端流入ダクト42の入口部位は互いに間隔をおいて開口され、それぞれ通路構造をなすようにサブダクト40の一側面から車両前方に突出されて形成される。
下端流入ダクト41はサブダクト40の下側に、上端流入ダクト42はサブダクト40の上側に形成される。
下端流入ダクト41と上端流入ダクト42に吸入された走行風は、エンジンルーム側の開口部に排出され、エンジンルームに設けられたインテークシステムに送られる。
【0024】
下端流入ダクト41と上端流入ダクト42の入口部位は台形の断面形状をなし、下端流入ダクト41の入口部位はサブダクト40の出口部位の横幅とほぼ同一の大きさを有し、均一な断面を有する構造であるのに対し、上端流入ダクト42は入口部位において窄まっており、出口部位においてサブダクト40の幅大きさに合うように漸進的に広くなる断面構造に形成される。
【0025】
すなわち、下端流入ダクト41は入口と出口がほぼ均一な断面大きさであるのに対し、上端流入ダクト42は出口断面に比べて入口断面を狭く形成して全体的に漏斗状の断面形状をなす。
本実施形態において、サブダクト40から排出された走行風は、インテークシステムを構成するインタークーラーの下側部位に流れる流れ経路を形成する。
【0026】
また、分岐ダクト50は、メインダクト30の走行風経路に連通した入口から延びて開口された通路構造をなすことにより、メインダクト30を通過する走行風の一部を取り出して他の所に供給する。
メインダクト30の走行風経路に連通した分岐ダクト50の入口は水平な1辺を傾けて歪んだ四角の断面形状に形成され、分岐ダクト50はメインダクト30の走行風経路に連通した入口から出口にかけて次第に横幅が広くなる断面構造に形成され、全体的に漏斗状の水平断面形状をなす。
分岐ダクト50から排出された走行風は、分岐ダクト50に連結されたエアインテーク2に直接送られることにより、エアインテーク2の吸気性能を大幅に向上させることができる。
【0027】
図2は、本発明に係る走行風誘導ダクトの斜視図に走行風の流れを加筆した説明図である。
図2に示したとおり、走行風誘導ダクト20は同時により多くの走行風を吸入し、より多くの走行風を排出することによってインテークシステムの冷却効率を上げ、特にインタークーラーに対する冷却効率を大幅に向上させることによって、インタークーラーの仕様アップグレード(Upgrade)なしに高性能エンジンに要求される性能を満足させることができる。
【0028】
このために、走行風誘導ダクト20は、メインダクト30を通過した1個の走行風流入流れ(C)とサブダクト40を通過した2個の走行風流入流れ(A、B)を共に形成させることにより、少なくとも3ケ所の各々異なる位置から走行風を同時に吸い込むことができる。
メインダクト30の走行風流入流れ(C)は、エンジンルームの前側をなすフロントエンド部の上端部位に設けられたラジエータグリルを通過した走行風を吸い込んで形成される。
【0029】
サブダクト40においては、下端流入ダクト41において、エンジンルームの前側をなすフロントエンド部の下端部位に設けられたバンパー部位を通過した走行風を吸い込む走行風流入流れ(A)と、下端流入ダクト41に間隔をおいた上端流入ダクト42において、バンパー部位を通過した走行風を吸い込む走行風流入流れ(B)が形成される。
一方、走行風誘導ダクト20において実現される走行風の排出は、メインダクト30を通じた1個の走行風排出流れ(Ca)と、サブダクト40を通じた1個の他の走行風排出流れ(ab)と共に分岐ダクト50を通じた他の走行風排出流れ(Cb)を形成することにより、走行風誘導ダクト20は少なくとも3ケ所の各々異なる経路を通して走行風を同時に排出することができる。
【0030】
メインダクト30の走行風排出流れ(Ca)は、メインダクト30の入口に入ってきた走行風流入流れ(C)が出口に直ちに抜け出る流れであり、このような走行風排出流れ(Ca)は、インテークシステムを構成するインタークーラーの上側部位に集中する流れ経路を形成する。
この時、メインダクト30は、入口より出口がより低くなるように傾斜角(K)をもって設けることにより、走行風排出流れ(Ca)が走行風流入流れ(C)に比べてさらに低い位置を流れる経路を形成する。
また、サブダクト40の走行風排出流れ(ab)は、下端流入ダクト41の入口に入ってきた走行風流入流れ(A)と上端流入ダクト42の入口に入ってきた走行風流入流れ(B)が各々の出口を抜け出て直ちに1つに合流する流れであり、この走行風排出流れ(ab)は、インテークシステムを構成するインタークーラーの下側部位に集中する流れ経路を形成する。
【0031】
一方、分岐ダクト50の走行風排出流れ(Cb)は、メインダクト30の走行風流入流れ(C)がメインダクト30を抜け出る前に走行風流入流れ(C)の一部が分岐して他側に抜け出る流れであり、この走行風排出流れ(Cb)は、分岐ダクト50に連結されたエアインテーク2に直接送られる。
上記のように、走行風排出流れ(Cb)がエアインテーク2に直接送られることによって、エアインテーク2の吸気性能を大幅に向上させることができる。
【0032】
図3に本発明に係る走行風誘導ダクトを適用したコンデンサとラジエータおよびインテークシステムのエンジンルームレイアウトを示した。
図3に示したとおり、エンジンルームにはインテークシステム1と共に冷却モジュール6が設けられ、インテークシステム1を構成するインタークーラー4は、冷却モジュール6に隣接して、エンジンルームの前側をなすフロントエンド部位に近接するように位置し、インタークーラー4の前側にはフロントエンド部を通過した走行風を引き込んでインテークシステム1に排出する走行風誘導ダクト20が設けられる。
これにより、フロントエンド部位を通過する走行風は、冷却モジュール6に直接流れる流れと共に走行風誘導ダクト20に吸い込まれてインタークーラー4とインテークシステム1に流れる流れを同時に形成させることにより、走行風を利用したエンジンルームの冷却効率を大幅に向上させることができる。
【0033】
インテークシステム1は、エアフィルターを経て外気を流入するエアインテーク2と、排気ガス循環装置を通じてエアインテーク2から流入する外気を圧縮するターボチャージャー3と、ターボチャージャー3を抜け出た過給エアを冷却するインタークーラー4と、インタークーラー4を経た圧縮エアをエンジンに供給する吸気マニホールド5の一般的な構成要素からなる。
しかしながら、本実施形態においては、エアインテーク2が走行風誘導ダクト20の一部走行風を分取する分岐ダクト50と直接連結されることにより、走行風誘導ダクト20から外気を直接導入できることに特徴がある。
【0034】
本発明のターボチャージャー3は、タービン(Turbine)側に排気ガス循環装置を連結し、圧縮機(Compressor)側にエアインテーク2を連結する一般的な構造である。ターボチャージャー3と共に設置されるインタークーラー4は、ターボチャージャー3から吸気マニホールド5に流れる経路に設けられ、ターボチャージャー3から過給された圧縮空気を冷却する。
一方、冷却モジュール6は、冷房装置を構成するコンデンサ6aとエンジン冷却系を構成し、冷却ファン6cを備えたラジエータ6bであり、一般的な構成要素からなる。冷却モジュール6は、エンジンルームの前面部に設けられたフロントエンド部側より、コンデンサ6aとラジエータ6bおよび冷却ファン6cの順に配列される。
【0035】
図4にフロントエンド部に取付けられた走行風誘導ダクトを含むインテークシステムの斜視図を示した。
図4に示すとおり、フロントエンド部は、下端部位にバンパーブラケット11と共にインターブラケット12を設けてバンパーを結合し、その上端部位にラジエータグリル13を設けてエンジンルーム側に走行風を流入させる。フロントエンド部は、その側面部位にダクトフレーム10を設け、ダクトフレーム10を介して走行風誘導ダクト20が設けられ、バンパー部位とラジエータグリル13を通過した走行風を引き込む。
本実施形態において、ダクトフレーム10は、フロントエンド部の高さとほぼ同じ高さを有し、走行風誘導ダクト20を嵌めて組み立てできる幅を有する構造である。
【0036】
上記のようにフロントエンド部に走行風誘導ダクト20が設置され、走行風誘導ダクト20のメインダクト30はラジエータグリル13の側面側端部に位置し、メインダクト30から分岐した分岐ダクト50はエアインテーク2に直接連結される。
このために、ラジエータグリル13は走行風を通過させられるグリル構造に形成される。
分岐ダクト50またはエアインテーク2はいずれか一方の構造体を利用して互いに連結する連結構造をなす。
【0037】
一方、走行風誘導ダクト20のサブダクト40は、下端流入ダクト41をバンパーブラケット11側に位置させ、上端流入ダクト42をインターブラケット12側に位置させる。
このために、バンパーブラケット11は、下端流入ダクト41を囲み、走行風を通過させる開口空間であるエア流入口11aをさらに形成させ、一方、インターブラケット12は、走行風が通過できる単純な格子構造に形成される。
【0038】
図5及び図6に、走行風誘導ダクトとラジエータグリルを通過した走行風が作るエンジンルーム内部の走行風の流れを示した。
図5及び図6に示したとおり、フロントエンド部を通過した走行風は、ラジエータグリル13を通過して、直接冷却モジュール6に流れる経路を有する走行風排出流れ(d)と、走行風誘導ダクト20がラジエータグリル13とバンパーから引き込んで、インテークシステム1のインタークーラー4側に流れる経路を有する他の走行風排出流れ(ab、Ca)と、走行風誘導ダクト20から分岐して、エアインテーク2側に直ちに流れる経路を有するまた他の走行風排出流れ(Cb)に分けられてエンジンルームに流入される。
【0039】
本実施形態において、走行風排出流れ(d)は、ラジエータグリル13を通過した走行風が走行風誘導ダクト20に引き込まれる干渉現象なしに冷却モジュール6に直接入ることにより、冷却モジュール6を構成するコンデンサ6aとラジエータ6bを集中的に冷却することができる。
一方、本実施形態において、走行風誘導ダクト20を抜け出る走行風排出流れ(ab)は、バンパーブラケット11のエア流入口11aを通じてサブダクト40の下端流入ダクト41に吸い込まれてきた走行風流入流れ(A)と、インターブラケット12を通じてサブダクト40の上端流入ダクト42に吸い込まれてきた走行風流入流れ(B)が、サブダクト40を抜け出た直後に合流して形成される。
【0040】
走行風排出流れ(ab)は、インタークーラー4の中間下側部位を通過しながらインタークーラー4を集中的に冷却した後、インテークシステム1側に流れる。
また、走行風誘導ダクト20を抜け出る他の走行風排出流れ(Ca)は、ラジエータグリル13を通過してメインダクト30に吸い込まれてきた走行風流入流れ(C)がメインダクト30をそのまま抜け出て形成される。
走行風排出流れ(Ca)は、インタークーラー4の中間上側部位を通過しながらインタークーラー4を集中的に冷却した後、インテークシステム1側に流れる。
【0041】
上記のように走行風誘導ダクト20を適用することにより、サブダクト40を抜け出た走行風排出流れ(ab)がインタークーラー4の下側部位を集中的に冷却すると同時に、メインダクト30を抜け出た走行風排出流れ(Ca)がインタークーラー4の上側部位を集中的に冷却する。
これにより、より多い走行風を集中的に受けるインタークーラー4は、高性能および高出力エンジンで要求される高効率を達成することができ、このようなインタークーラー4の高効率の実現は、より多い走行風を流入するために求められていた車両外観デザインの設計自由度の制限を緩和する。
【0042】
一方、本実施形態において、走行風誘導ダクト20を抜け出るもう一つの走行風排出流れ(Cb)は、メインダクト30に吸い込まれてきた走行風流入流れ(C)が抜け出る前に分岐ダクト50側に流入され、分岐ダクト50を通過することにより形成される。
走行風排出流れ(Cb)は、エアインテーク2に直接送られることによって、エアインテーク2の吸気性能を大幅に向上させることができる。
【0043】
上記のように、本発明の実施形態によると、冷却モジュール6に集中する走行風流れを利用して冷却モジュール6の冷却性能を大幅に向上させると同時に、走行風誘導ダクト20がインタークーラー4の上部部位と下部部位に集中する走行風流れを形成して、インタークーラー4を通過する空気流動の不均一性を改善し、冷却性能を大幅に向上させることにより、フロントエンド部の走行風流動効率を改善することができ、エンジンルーム内の熱流動も最適化される。
これにより、エンジン性能の強化時にインタークーラー4の性能改善と共に求められる冷暖房性能および吸気性能の改善にも有利に作用する。
【0044】
一例として、エンジン性能の強化に応じた冷暖房性能および吸気性能の改良時に、従来は、インタークーラー4と冷却モジュール6およびインテークシステム1を各々独立に取り扱って個別的な性能だけを改良する断片的な対応方式で行なっていたのに対し、本発明においては、冷却モジュール6およびインタークーラー4を備えたインテークシステム1を1つの統一されたシステムとして結び付け、相互作用と寄与度によって全体性能を改善する総合的な対応方式が適用された。
【0045】
上記のような総合的な対応方式は、統一されたシステムに必要な出力要素を空気量と差圧および吸圧と吸気温などで多様化することができるので、実験結果の正確度を大幅に向上させることができる。
実験の結果では、インタークーラー4の出口温度の性能試験で、エンジン種類別に多様であるが、インタークーラー4の冷却性能を約10%〜20%程度向上することが確認され、また、インタークーラー4の容量試験でもエンジン種類別に多様であるが、同一仕様のインタークーラーに対して約35%〜55%程度の容量増大をもたらすことを確認することができた。
また、本実施形態において、走行風誘導ダクト20が吸い込んだ走行風をエアインテーク2に直接送って外気導入流れを形成させることにより、走行時の吸圧を低減して吸気流量を増大させることができ、アイドル(IDLE)時の吸気逆流を防止して吸気温度を改善させることができた。
【0046】
以上、説明したように、本実施形態においては、走行風誘導ダクト20において、より多い走行風流量を確保しつつ、フロントエンド部の開口面積の最適化によって車両外観デザインの設計自由度を低下させず、また、走行風誘導ダクト20を適用することにより、冷却モジュール6とインテークシステム1を1つの統一されたシステムとして結び付けて最適に設計するため、エンジンルームレイアウトも最適化することができた。
【符号の説明】
【0047】
1 インテークシステム
2 エアインテーク
3 ターボチャージャー
4 インタークーラー
5 吸気マニホールド
6 冷却モジュール
6a コンデンサ
6b ラジエータ
6c 冷却ファン
10 ダクトフレーム
11 バンパーブラケット
11a エア流入口
12 インターブラケット
13 ラジエータグリル
20 走行風誘導ダクト
30 メインダクト
40 サブダクト
41 下端流入ダクト
42 上端流入ダクト
50 分岐ダクト
A (下端流入ダクトから流入する)走行風流入流れ
ab (サブダクトを通過した)走行風排出流れ
B (上端流入ダクトから流入する)走行風流入流れ
C (メインダクト流入する)走行風流入流れ
Ca (メインダクトを通過した)走行風排出流れ
Cb (分岐ダクトを通過した)走行風排出流れ
D (ラジエータグリルを通過して、直接冷却モジュール6に流れる)走行風流入流れ
d (ラジエータグリルを通過して、直接冷却モジュール6に流れる)走行風排出流れ
K (メインダクトの)傾斜角


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームの前側をなすフロントエンド部の上端部位に設けられたラジエータグリルを通過した走行風を導入し、前記エンジンルームに設けられたインテークシステムの相異なる2つの部位に各々排出し、
前記フロントエンド部の下端部位に設けられたバンパー部位に流入する走行風を導入し、前記相異なる2つの部位中の1つの部位に排出することを特徴とする走行風誘導ダクト。
【請求項2】
前記インテークシステムの相異なる2つの部位中の1つの部位はターボチャージャーの過給エアを冷却するインタークーラーであり、残りの1つの部位は外気を導入するエアインテークであることを特徴とする請求項1に記載の走行風誘導ダクト。
【請求項3】
前記ラジエータグリルを通過した走行風を導入するように、入口を前記ラジエータグリルに近接させ、出口を前記インタークーラーの上端部位に位置させたメインダクトと、
前記バンパー部位に流入する走行風を導入するように少なくとも1つ以上の位置から走行風を通過させるサブダクトと、
前記メインダクトに導入された走行風が前記メインダクトを抜け出る前に一部を分岐させ、前記エアインテークに送るように前記メインダクトの走行風通路に連結された分岐ダクトとから構成されたことを特徴とする請求項2に記載の走行風誘導ダクト。
【請求項4】
前記メインダクトは、開口された通路構造にするとともに、傾斜角を与えて、入口を出口に比べてより高くした構造をなし、
前記サブダクトは、開口された通路構造にするとともに、バンパー部位に流入する走行風を導入する1対の下端流入ダクトと上端流入ダクトを一側面において互いに間隔をおいて突出させた構造をなし、
前記分岐ダクトは、開口された通路構造にするとともに、前記メインダクトの走行風通路に連通して延びた構造をなすことを特徴とする請求項3に記載の走行風誘導ダクト。
【請求項5】
前記サブダクトの上端流入ダクトと前記分岐ダクトは、入口断面と出口断面を互いに異にし、全体的に漏斗の断面形状をなすことを特徴とする請求項4に記載の走行風誘導ダクト。
【請求項6】
前記サブダクトの下端流入ダクトと上端流入ダクトに各々導入された走行風は互いに合流して排出されることを特徴とする、請求項4に記載の走行風誘導ダクト。
【請求項7】
外気を導入するエアインテークと、排気ガス循環装置に連結されたターボチャージャーと、過給エアを冷却して吸気マニホールドに送るインタークーラーとからなり、エンジンルームに設けられたインテークシステム、
冷房装置を構成するコンデンサとエンジン冷却系を構成するラジエータとからなり、前記インテークシステムの側面に設けられた冷却モジュール、及び、
前記エンジンルームの前側をなすフロントエンド部を通過した走行風を導入し、前記エアインテークと前記インタークーラーに各々排出するメインダクトと、前記フロントエンド部を通過した走行風を他の位置から導入し、前記インタークーラーに排出するサブダクトと、前記メインダクトに導入された走行風が前記メインダクトを抜け出る前に一部を分岐させ、前記エアインテークに送るように前記メインダクトの走行風通路に連結された分岐ダクトとからなる走行風誘導ダクト、
を含んで構成されたことを特徴とする走行風誘導ダクトを適用したエンジンルーム構造。
【請求項8】
前記冷却モジュールは、前記フロントエンド部に設けられたラジエータグリルを通過した走行風を直接受けて冷却され、前記走行風誘導ダクトは、前記冷却モジュールに直接行く走行風流れを干渉しないように前記ラジエータグリルの側面部位に設けられたことを特徴とする請求項7に記載の走行風誘導ダクトを適用したエンジンルーム構造。
【請求項9】
前記走行風誘導ダクトは、前記フロントエンド部に設けられたダクトフレームを利用して結合されたことを特徴とする請求項8に記載の走行風誘導ダクトを適用したエンジンルーム構造。
【請求項10】
前記走行風誘導ダクトの前記メインダクトが前記ラジエータグリルの側面に位置し、前記メインダクトから分岐した前記分岐ダクトが前記エアインテークに直接連結され、前記サブダクトの下端流入ダクトはバンパー部位においてバンパーを設けるバンパーブラケット部位に位置する一方で、前記上端流入ダクトは前記バンパーブラケットに間隔をおいて設けられたインターブラケット部位に位置することを特徴とする請求項9に記載の走行風誘導ダクトを適用したエンジンルーム構造。
【請求項11】
前記バンパーブラケットには、前記下端流入ダクトを囲み、走行風を通過させる開口空間であるエア流入口が形成されたことを特徴とする請求項10に記載の走行風誘導ダクトを適用したエンジンルーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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