説明

起立補助装置及びトイレ装置

【課題】使用者の体重を身体保持部に乗せやすくして、便座などから起立しやすくすることができる身体保持装置及びこれを備えたトイレ装置を提供する。
【解決手段】使用者が着座するための座部と、使用者が前方に配置して使用するものであって、上肢部分を保持する身体保持部と、前記座部に上昇移動を含む移動を行わせるための第1の駆動手段と、前記身体保持部を移動させるための第2の駆動手段と、を備え、前記座部に着座した使用者を立位に導く際に、前記第1の駆動手段が前記座部の移動を開始させた後に、前記第2の駆動手段が身体保持部の移動を開始させることを特徴とする起立補助装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、起立補助装置及びトイレ装置に関し、具体的には足腰の弱った高齢者等が便座などから起立する動作を補助する起立補助装置及びこれを備えたトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便座などから起立する時、および便座などに着座する時、使用者は足腰の筋肉および関節を利用しつつ、中腰体勢をとって起立および着座を行う。したがって、足腰の弱った高齢者等にとって、便座などから起立すること、および便座などに着座すること、は容易ではない。そこで、便座と肘掛けとが連動して昇降することで、足腰の弱った高齢者等が、便座から起立する動作、または便座に着座する動作、を補助する装置がある(例えば、特許文献1および2)。
【0003】
しかし、特許文献1および2に記載された装置のように、便座と肘掛けとを連動して昇降させただけでは、起立時の使用者の身体を起立動作に誘導することが困難であるため、使用者は楽に起立することができないという問題がある。さらに、使用者は前傾姿勢を取りつつ、起立動作を行うにも関わらず、肘掛けが使用者の側方から後方にかけて延在しているため、使用者の体重を肘掛けに乗せづらいという問題がある。
【特許文献1】特公第2765106号公報
【特許文献2】特公平6−61350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、使用者の体重を身体保持部に乗せやすくして、便座などから起立しやすくすることができる身体保持装置及びこれを備えたトイレ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、使用者が着座するための座部と、使用者が前方に配置して使用するものであって、上肢部分を保持する身体保持部と、前記座部に上昇移動を含む移動を行わせるための第1の駆動手段と、前記身体保持部を移動させるための第2の駆動手段と、を備え、前記座部に着座した使用者を立位に導く際に、前記第1の駆動手段が前記座部の移動を開始させた後に、前記第2の駆動手段が身体保持部の移動を開始させることを特徴とする起立補助装置が提供される。
【0006】
また、本発明の他の一態様によれば、使用者が着座するための座部と、使用者の前方に配置して使用するものであって、上肢部分を保持する身体保持部と、前記座部に上昇移動を含む移動を行わせるための第1の駆動手段と、前記身体保持部を移動させるための第2の駆動手段と、を備え、前記座部に着座した使用者を立位に導く際に、前記第2の駆動手段が前記身体保持部の下降移動を開始させ、適宜設定された最下点に到達させて停止させた後に、前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させた後に、前記第2の駆動手段が前記身体保持部の上昇移動を開始させることを特徴とする起立補助装置が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、便器と、前記便器に付設された請求項1〜14のいずれか1つに記載の起立補助装置と、を備えたことを特徴とするトイレ装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、使用者の体重を身体保持部に乗せやすくして、便座などから起立しやすくすることができる身体保持装置及びこれを備えたトイレ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、使用者が着座するための座部と、使用者が前方に配置して使用するものであって、上肢部分を保持する身体保持部と、前記座部に上昇移動を含む移動を行わせるための第1の駆動手段と、前記身体保持部を移動させるための第2の駆動手段と、を備え、前記座部に着座した使用者を立位に導く際に、前記第1の駆動手段が前記座部の移動を開始させた後に、前記第2の駆動手段が身体保持部の移動を開始させることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、使用者は体重を身体保持部に乗せやすく、座部から起立しやすくなる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させた後に、前記第2の駆動手段が身体保持部の上昇移動を開始させることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、使用者は前傾姿勢となった状態で身体保持部が上昇移動を開始するため、使用者は楽に離座動作を行うことができる。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させる前に、前記第2の駆動手段が身体保持部の上昇移動を開始させることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、座部が完全に停止する前に身体保持部が上昇移動を開始するため、使用者はより自然に離座動作へ移行することができる。
【0012】
第4の発明は、第3の発明において、前記身体保持部の上昇移動の速さよりも、前記座部の上昇移動の速さの方が、速いことを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、便座と身体保持部とを同時に移動させた場合であっても、使用者は体重をより確実に身体保持部に乗せることができる。
【0013】
第5の発明は、第1の発明において、前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させた後に、前記第2の駆動手段が身体保持部の下降移動を開始させ、適宜設定された最下点に到達させた後に、上昇移動を開始させることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、使用者は体重を身体保持部に乗せつつ、膝を屈曲状態から伸展状態へ移行するといった前傾姿勢を取ることができる。そのため、使用者は体重を身体保持部に乗せやすく、楽に離座動作を行うことができる。
【0014】
第6の発明は、第1の発明において、前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させる前に、前記第2の駆動手段が前記身体保持部の下降移動を開始させ、前記第1の駆動手段が前記停止位置で前記座部を停止させた後に、前記第2の駆動手段が前記身体保持部を適宜設定された最下点に到達させて、上昇移動へ移行させることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、便座が上昇移動を行うと共に、身体保持部は下降移動を行うため、使用者は自然な動作で前傾姿勢へ移行することができる。そのため、使用者は足腰への負担を低減しつつ、離座動作および起立動作を行うことができる。
【0015】
第7の発明は、第6の発明において、前記身体保持部の下降移動の速さよりも、前記座部の上昇移動の速さの方が、速いことを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、便座と身体保持部とを同時に移動させた場合であっても、使用者は体重をより確実に身体保持部に乗せることができる。さらに、身体保持部が一旦下降移動を行うことで、使用者は体重をより身体保持部に乗せやすくなる。
【0016】
第8の発明は、第2〜第7のいずれか1つの発明において、前記停止位置は、前記使用者の身長と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された位置であることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、使用者の身長に合わせて座部を停止させることができるため、使用者はより楽な姿勢で離座動作を行うことができる。
【0017】
第9の発明は、第2〜第7のいずれか1つの発明において、前記停止位置は、前記使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値に、前記座部に掛かる荷重が略一致した位置であることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、使用者の体重に合わせて座部を停止させることができるため、使用者はより楽な姿勢で離座動作を行うことができる。
【0018】
第10の発明は、第2〜第7のいずれか1つの発明において、前記停止位置は、前記使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値まで、前記座部に掛かる荷重が減少した位置であることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、使用者の体重に合わせて座部を停止させることができるため、使用者はより楽な姿勢で離座動作を行うことができる。
【0019】
第11の発明は、第2〜第7のいずれか1つの発明において、前記停止位置は、前記使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値まで、前記身体保持部に掛かる荷重が増加した位置であることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、身体保持部への体重の乗り具合に合わせて座部を停止させることができるため、使用者はより確実に体重を身体保持部に乗せることができる。
【0020】
第12の発明は、第2〜第7のいずれか1つの発明において、前記停止位置は、前記使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値まで、床面に掛かる荷重が変化した位置であることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、臀部の座部からの離座状態、あるいは身体保持部への体重の乗り具合に合わせて座部を停止させることができるため、使用者はより楽に離座動作を行うことでき、またより確実に体重を身体保持部に乗せることができる。
【0021】
第13の発明は、第1〜第12のいずれか1つの発明において、前記身体保持部は、座位および立位にあるときにおいて、高さが調整可能とされたことを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、使用者は、座位時および立位時において、姿勢を安定させることできる。
【0022】
第14の発明は、使用者が着座するための座部と、使用者の前方に配置して使用するものであって、上肢部分を保持する身体保持部と、前記座部に上昇移動を含む移動を行わせるための第1の駆動手段と、前記身体保持部を移動させるための第2の駆動手段と、を備え、前記座部に着座した使用者を立位に導く際に、前記第2の駆動手段が前記身体保持部の下降移動を開始させ、適宜設定された最下点に到達させて停止させた後に、前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させた後に、前記第2の駆動手段が前記身体保持部の上昇移動を開始させることを特徴とする起立補助装置である。
これによれば、起立動作の早いタイミングで体重を身体保持部に乗せることできる。つまり、使用者はより落ち着いた状態で、体重を身体保持部に乗せることができる。
【0023】
第15の発明は、便器と、前記便器に付設された第1〜第14のいずれか1つの発明による起立補助装置と、を備えたことを特徴とするトイレ装置である。
これによれば、使用者は便器に付設された便座から立ち上がる際に、体重を身体保持部に乗せやすく、その便座から起立しやすくなる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる起立補助装置が設置されたトイレ室を例示する模式図である。
【0025】
図1に表したトイレ室は、起立補助装置1を備えている。起立補助装置1は、身体保持装置10と、便座装置20と、を有している。便座装置20は便器21と座部22(以下、「便座」という。)とを有しており、便座22の下部に便器21が設置されている。便座22は、便座装置20に設けられ後に詳述する駆動機構(第1の駆動手段)によって、上昇移動や前方移動などを行うことができる。また、身体保持装置10は、トイレ室の壁面30に設置されている。但し、身体保持装置10の設置位置は、壁面30だけに限られず、後に詳述するように例えば便座22の前方であってもよいし、壁面30に対向した壁面であってもよい。
【0026】
身体保持装置10は、身体保持部100とアーム部110とを有している。身体保持部100は、便座22に着座した使用者の前方に位置するように設けられており、アーム部110を介して、身体保持装置10に設けられ後に詳述する駆動機構(第2の駆動手段)に連結されている。また、身体保持部100は、後に詳述する駆動機構(第2の駆動手段)によって、着座した使用者から見て、上下方向と前後方向とに移動することができる。身体保持部100は、使用者の手、肘、あるいは腕などの上肢部分を保持するものであって、膝などの下肢部分を保持するものではない。
【0027】
使用者は、着座した状態から起立補助装置1を使用して起立しようとする場合、まず身体保持部100の上面に腕を乗せる。次に、上昇移動する便座22、または昇降移動する身体保持部100を利用しつつ、起立動作を行う。
【0028】
図2は、座位から立位へ移動する身体保持部中心の移動経路を例示する模式図である。 身体保持部100が上昇移動する際の身体保持部中心の移動経路は、種々考えられる。移動経路102は、身体保持部100が座位にある時の身体保持部中心100aと、身体保持部100が立位にある時の身体保持部中心100bと、を直線で結んだ移動経路である。
【0029】
また、移動経路104、105、106は、身体保持部100が身体保持部中心100aから一旦斜め前方へ下降移動を行い、適宜設定された最下点に到達した後、身体保持部中心100bに向かって上昇移動する移動経路である。移動経路104は、上昇移動するときに斜め前方へ上昇していく移動経路であり、移動経路105は、上昇移動するときに略鉛直上方へ上昇していく移動経路であり、移動経路106は、上昇移動するときに斜め後方へ上昇していく移動経路である。
【0030】
移動経路108は、身体保持部100が身体保持部中心100aから一旦斜め前方へ上昇移動を行い、身体保持部中心100bと略同じ高さになった後、身体保持部中心100bに向かって略水平移動する移動経路である。以下、本発明の実施の形態においては、移動経路102および104を例に挙げて説明する。
【0031】
図3は、本発明の第1の実施の形態にかかる起立補助装置の動作を例示する模式図である。
図3(a)に表した動作のように、使用者40が起立補助装置1を使用して起立動作を始める際、まず身体保持部100の上面に使用者40の腕42を乗せる。次に図3(b)に表した動作のように、便座22は、前方よりも後方が高い前傾状態となるような傾動24(以下、「前方傾動」という。)を行いつつ、前方移動25を行う。このとき、使用者40の膝44は、便座22が座位にある状態と同様に、屈曲した状態となっている。
【0032】
次に、便座22は、図3(c)に表した動作のように、上昇移動26を行いつつ、斜め後方移動27を行う。このとき、使用者40の膝44は、図3(a)および(b)に表した状態よりも伸展した状態となり、より前傾姿勢となっている。したがって、使用者40の体重は、図3(a)および(b)に表した状態よりも身体保持部100に乗っている。なお、便座22は上昇移動26を行っているため、便座22の高さは変化しているが、便座22の傾斜角度は略一定となっている。但し、これに限定されるわけではなく、例えば、便座22はさらに前方傾動を行い、傾斜角度が大きくなりつつ斜め後方移動27を行ってもよい。
【0033】
次に、図3(d)に表した動作のように、便座22の動作が停止した後、身体保持部100は、斜め前方へ上昇移動102を行う。このとき、使用者40の身体は、身体保持部100と共に上昇し、膝44はさらに伸展した状態となる。また、臀部46は便座22から離れた状態、すなわち離座状態となる。図3(c)に表した状態において、使用者40の体重が身体保持部100に乗っているため、使用者40は楽に離座動作を行うことができる。
【0034】
なお、便座22が離座位置に達したときの位置は、図3(a)に表した座位よりも後方に位置してもよいし、座位よりも前方に位置してもよい。次に、図3(e)に表した動作のように、身体保持部100はさらに斜め前方へ上昇移動を行い、この動作と共に使用者40は膝44を伸展させて、完全に起立することができる。使用者40は、起立動作時だけではなく、座位時および立位時において姿勢を安定させるための高さ調整可能な身体保持部として、身体保持部100を利用することもできる。
【0035】
図4は、本実施形態にかかる起立補助装置の詳細な動作を例示するフローチャート図である。
まず、使用者40が起立動作を開始するとき、例えば壁面30(図1参照)に設けられた図示しないリモコンなどが有する開始操作スイッチを介護者が押すことで、起立補助装置1の動作が開始される(ステップS70)。なお、起立補助装置1の開始は、例えば身体保持部100が有する図示しない開始操作スイッチを、使用者40自身が押すことによるものであってもよい。さらに、例えば身体保持部100が有する図示しない開始操作スイッチを、使用者40自身が押している間だけ起立補助装置1が動作し、開始操作スイッチから手を離すと起立補助装置1の動作が停止するようにしてもよい。
【0036】
次に、便座22が前方傾動24を行いつつ、前方移動25を行う(ステップS71)。便座22が適宜設定された位置に到達すると、次に、便座22は上昇移動26を行いつつ、斜め後方移動27を行う(ステップS72)。その後、便座22は適宜設定された位置に到達すると、動作を停止する(ステップS73)。
【0037】
ここで、便座22が動作を停止する(ステップS73)位置は、起立補助装置1に入力した使用者の身長と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された便座位置であってもよい。また、便座22が動作停止する位置は、起立補助装置1に入力した使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値に、便座22に掛かる荷重が略一致した位置であってもよい。また、便座22が動作停止する位置は、起立補助装置1に入力した使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値まで、便座22に掛かる荷重が減少した位置であってもよい。また、便座22が動作停止する位置は、起立補助装置1に入力した使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出される値まで、身体保持部100に掛かる荷重が増加した位置であってもよい。さらに、起立補助装置1に入力した使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値まで、トイレ室の床面に掛かる荷重が変化した位置であってもよい。
【0038】
次に、身体保持部100が斜め前方へ上昇移動する(ステップS74)。なお、ステップS73とステップS74との間において、身体保持部100が斜め前方へ上昇移動することを、図示しない音声発生手段の音や音声案内によって報知してもよい。また、図示しない発光手段の光によって報知してもよい。このようにすれば、使用者40は、これらの報知後、身体保持部100の上昇移動が始まることを知ることができるため、より安全に離座動作へ移行することができる。次に、身体保持部100は立位に到達して動作が停止し(ステップS75)、起立補助装置1の一連の動作が終了する(ステップS76)。
【0039】
図5は、本実施形態にかかる便座装置を例示する模式図であり、図5(a)は、便座が座位にあるときの模式図であり、図5(b)は、便座移動の前半の動作を表す模式図であり、図5(c)は、便座移動の後半の動作を表す模式図である。
図5に表した便座装置20は、便座22と、便座22を昇降させるための昇降駆動手段305と、昇降駆動手段325と、便座22を前後方向に移動させるための前後駆動手段335と、スライドレール340と、を備えている。つまり、便座装置20は、前述したように、便座22を移動させるための駆動手段(第1の駆動手段)を備えている。便座22は、孔22aを有している。昇降駆動手段305は、便器21に付設されている。さらに、昇降駆動手段305は、軸305aを有しており、軸305aと孔22aとにおいて、便座22と連結されている。つまり、便座22は、孔22aの長手方向の幅だけ自由に移動することができる。
【0040】
昇降駆動手段325は、軸325a、325bを有している。昇降駆動手段325は、軸325aを介して回動自在に便器21に軸支されており、さらに軸325bを介して回動自在にスライドレール340に軸支されている。また、前後駆動手段335は、軸335a、335bを有している。前後駆動手段335は、軸335aを介して回動自在に便座22に軸支されており、さらに軸335bを介して回動自在にスライドレール340に軸支されている。
【0041】
図5に表した便座装置が動作を始めると、昇降駆動手段305、325はそれぞれ上昇移動306、326の動作を行う。このとき、上昇移動326の速さの方が、上昇移動306の速さよりも速いため、便座22は、前方よりも後方が高くなった前傾状態となる。また、上昇移動306の上昇移動量は、便座22が前傾状態となることによって便座22と便器21とが干渉することを回避する程度の上昇移動量である。
【0042】
昇降駆動手段305、325のそれぞれの上昇移動306、326と同時に、前後駆動手段335は、軸335aの前方移動336の動作を行う。前後駆動手段335は、軸335aを介して回動自在に便座22に軸支されているため、軸335aが前方移動336の動作を行うと、便座22はスライドレール340に沿って前方に押し出されることになる。つまり、昇降駆動手段305、325のそれぞれの上昇移動306、326、および前後駆動手段335の前方移動336の動作によって、図5(b)に表したように、便座22は前方傾動24および前方移動25の動作を行うことになる。
【0043】
次に、前後駆動手段335は、軸335aの後方移動337の動作を行う。前後駆動手段335は、軸335aを介して回動自在に便座22に軸支されているため、軸335aが後方移動337の動作を行うと、便座22はスライドレール340に沿って斜め後方に持ち上げられることになる。これと同時に、昇降駆動手段305、325は、それぞれの上昇移動306の速さと、上昇移動326の速さと、を略同じにしつつ、上昇移動の動作を行う。つまり、前後駆動手段335の後方移動337、および昇降駆動手段305、325のそれぞれの上昇移動306、326の動作によって、図5(c)に表したように、便座22は斜め後方移動27および上昇移動26の動作を行うことになる。そのため、便座22が斜め後方移動27の動作を行っているときには、便座22の傾斜角度は略一定となる。便座22は適宜設定された位置に到達すると、動作が停止する。
【0044】
図6は、本実施形態にかかる身体保持装置を例示する模式正面図である。
また、図7は、図6に表した身体保持装置を側面から眺めた模式側面図である。
本実施形態にかかる身体保持装置10は、身体保持部100と、アーム部110と、アーム受け部120と、台形ねじ130と、キャビネット200と、を備えている。つまり、身体保持装置10は、前述したように、身体保持部100を移動させるための駆動手段(第2の駆動手段)を備えている。身体保持装置10は、便座22に着座した使用者40の前方に位置するように設置されている。
【0045】
アーム部110は、一端に回動駆動手段160を有しており、この回動駆動手段160を介して身体保持部100と連結されている。また、アーム部110は、他端に回動駆動手段170を有しており、この回動駆動手段170を介してアーム受け部120と連結されている。
【0046】
アーム受け部120は、キャビネット200内部の左側と右側にそれぞれ設けられた台形ねじ130に螺合されている。つまり、台形ねじ130を回動させることで、アーム受け部120は上下方向に自在に移動することができる。また、キャビネット200は、下部に回動駆動手段140と、上部に台形ねじ受け部150と、をそれぞれ有している。回動駆動手段140は、台形ねじ130に連結されており、台形ねじ130を自在に回動させることができる。すなわち、回動駆動手段140は、台形ねじ130を駆動することで、アーム受け部120を上下方向に自在に移動させることができる。
【0047】
便座22の動作が停止した後、身体保持装置10の動作が開始し、回動駆動手段140は台形ねじ130を回動させて、アーム受け部120を上昇移動させる。この動作と同時に、回動駆動手段170は、図7に表した身体保持装置10の方向から見て、反時計回りにアーム部110を回動させ、斜め前方に身体保持部100を移動させる。さらに、この動作と同時に、回動駆動手段160は、図7に表した身体保持装置10の方向から見て、時計回りに身体保持部100を回動させて略水平方向に維持する。身体保持部100は立位に到達すると、動作が停止する。
【0048】
図8(a)は、通常の身体保持部を表す模式図であり、図8(b)は、身体保持部に使用者の膝が接触した場合を例示する模式図である。
身体保持部100は、前述のように、身体保持部100が斜め前方へ上昇移動しつつ、略水平方向に維持される。
【0049】
一方、使用者40の膝44などが身体保持部100に接触した場合には、回動駆動手段160の駆動状態に関わらず、身体保持部100は、図8(b)に表した身体保持部100の方向から見て、時計回りに回動できる。つまり、使用者40の身体の一部が、身体保持部100の下面に接触した場合には、身体保持部100は上方へ回動し、接触の衝撃を緩和することができる。こうすることで、使用者40が身体保持部100に接触して怪我することを防止することができる。
【0050】
図9は、身長と身体保持部の高さとの関係を調査した結果を表すグラフ図である。
本発明者は、使用者の身長と、座位に適した身体保持部100の高さ、および立位に適した身体保持部100と、の関係を事前に調査している。その調査結果を表すグラフ図は、図9に表した如くである。
【0051】
横軸は、使用者の身長を表しており、縦軸は、床面から身体保持部100の上面までの高さを表している。菱形で表したプロットは、立位に適した身体保持部100上面の床面からの高さを表しており、三角で表したプロットは、座位に適した身体保持部100上面の床面からの高さを表している。つまり、例えば身長が1600mmの使用者にとって、立位に適した身体保持部100上面の床面からの高さは960mmとなり、座位に適した身体保持部100上面の床面からの高さは725mmとなる。すなわち、身体保持部100は、960mmと725mmとの差分である235mmだけ上昇移動することが適していることになる。
【0052】
なお、別途、高齢者男性および高齢者女性の身長を調査した結果によれば、高齢者男性95%の範囲内の身長は、約1710mm程度以下であり、高齢者女性95%の範囲内の身長は、約1350mm程度以上である。
【0053】
本実施形態にかかる起立補助装置1においては、起立補助装置1を使用する前に使用者40の身長を入力し、その入力された身長から、立位に適した身体保持部100上面の床面からの高さ、および座位に適した身体保持部100上面の床面からの高さ、を図9に表したデータを参照して算出することができる。このように、予め設定されたデータテーブルを参照することで、使用者に合わせて身体保持部100を動作させることができる。このとき、前述したように、身長が約1350mm程度以上から約1710mm程度以下までのデータを予め身体保持装置10に設定しておけば、高齢者の約95%程度の範囲内の身長を包括できることになる。
【0054】
なお、図9は、身長と身体保持部の高さとの関係を表しているが、これだけに限られるわけではなく、身長または体重と、便座の高さと、の関係を調査することもできる。これによれば、前述のように、便座22の動作が停止するときの高さを、入力された身長または体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照することで、使用者に合わせることができる。
【0055】
図10は、本実施形態にかかる起立補助装置の起立動作の実験結果を例示した模式図である。
本発明者は、本実施形態にかかる起立補助装置の試作を行い、本発明者自身が使用者40となり、起立動作の実験を行った。その起立動作を模式的に表した実験結果は、図10(a)〜(i)の如くである。
【0056】
図10(a)に表した状態のように、使用者40は起立補助装置1を使用して起立動作を始める際、まず身体保持部100の上面に使用者40の腕を乗せている。次に、図10(b)に表した動作のように、便座22は前方傾動24(図3参照)を行いつつ、前方移動25(図3参照)を行う。このとき、使用者40の膝44は、便座22が座位にある状態よりも屈曲した状態となっている。
【0057】
次に、図10(c)に表した動作のように、便座22は上昇移動26(図3参照)を行いつつ、斜め後方移動27(図3参照)を行う。このとき、使用者40の膝44は、図10(a)および(b)に表した状態よりも伸展した状態となり、より前傾姿勢となっている。つまり、使用者40の体重が図10(a)および(b)に表した状態よりも身体保持部100に乗っていることが分かる。
【0058】
次に、図10(d)に表した動作のように、便座22の動作が停止した後、身体保持部100は、斜め前方へ上昇移動102(図3参照)を行う。このとき、使用者40の身体は、身体保持部100と共に上昇し、膝44はさらに伸展した状態となる。また、臀部46は便座22から離れた状態、すなわち離座状態となる。図10(c)に表した状態において、使用者40の体重が身体保持部100に乗っているため、使用者40は楽に離座動作を行うことができる。
【0059】
次に、図10(e)〜(i)に表した動作のように、身体保持部100はさらに上昇移動102を続ける。使用者40の身体は身体保持部100の上昇移動102と共に上昇し、使用者40は膝44を伸展させて、完全に起立することができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、便座22が前方傾動24と前方移動25とを同時に行い、さらに上昇移動26と斜め後方移動27とを同時に行い、便座22が停止した後で、身体保持部100が上昇移動102を行う。つまり、使用者40の体重が身体保持部100に乗り、便座22からの離座動作の体勢が整った後に、身体保持部100が上昇移動102を行うため、足腰の弱った高齢者等であっても楽に便座22から起立することができる。さらに、使用者40の起立動作が安定するため、起立動作中の転倒を防止することができる。
【0061】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図11は、本発明の第2の実施の形態にかかる起立補助装置の動作を例示する模式図である。
図11(a)および(b)に表した動作は、図3(a)および(b)に表した動作とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。次に、図11(c)に表した動作のように、便座22は上昇移動26を行いつつ、斜め後方移動27を行う。さらに、これらの動作と同時に、身体保持部100は、斜め前方へ上昇移動102を行う。但し、便座22の上昇移動26および斜め後方移動27の速さは、身体保持部100の上昇移動102の速さよりも速い。
【0062】
このように、便座22と身体保持部100とを同時に移動させた場合であっても、便座22の移動の速さを身体保持部100の移動の速さよりも速くすることで、使用者40の体重をより確実に身体保持部100に乗せることができる。さらに、便座22の動作が停止する前に身体保持部100の動作を開始させるため、使用者40は離座動作へ自然に移行することができる。
【0063】
図11(d)および(e)に表した動作は、図3(d)および(e)に表した動作とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。
【0064】
図12は、本実施形態にかかる起立補助装置の詳細な動作を例示するフローチャート図である。
図12に表したステップS70およびステップS71は、図4に表したステップS70およびステップS71とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。
【0065】
次に、便座22が上昇移動26と斜め後方移動27とを行いつつ、身体保持部100は斜め前方へ上昇移動102を行う(ステップS77)。但し、便座22の上昇移動26および斜め後方移動27の速さは、身体保持部100の上昇移動102の速さよりも速い。このようにすることで、図11を参照しつつ説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0066】
なお、身体保持部100が上昇移動102を行う前に、図示しない音声発生手段からの音や音声案内、または図示しない発光手段からの光によって、身体保持部100の上昇移動102を報知してもよい。このようにすれば、図4を参照しつつ説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0067】
次に、便座22は適宜設定された位置に到達すると、動作を停止する(ステップS73)。便座22が動作を停止する(ステップS73)位置は、図4を参照しつつ説明した位置と同様に、使用者40の身長または体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された位置であってもよい。ステップS75およびステップS76は、図4に表したステップS75およびステップS76とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。
【0068】
なお、身体保持装置10および便座装置20は、図5〜8を参照しつつ説明した装置を使用することができ、また、使用者40の身長および体重と、身体保持部100および便座22の高さと、の関係は図9を参照しつつ説明したデータを使用することができるため、その説明は省略する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、便座22が前方傾動24と前方移動25とを同時に行った後、上昇移動26と斜め後方移動27とを同時に行いつつ、身体保持部100が便座22よりも遅い速さで斜め前方へ上昇移動102を行う。これによって、使用者40は体重をより確実に身体保持部100に乗せつつ、離座動作へ自然に移行することができる。
【0070】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図13は、本発明の第3の実施の形態にかかる起立補助装置の動作を例示する模式図である。
図13(a)〜(c)に表した動作は、図3(a)〜(c)に表した動作とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。次に、図13(d)に表した動作のように、身体保持部100は斜め前方へ下降移動104(図2参照)を行う。このとき、使用者40の腕42は身体保持部100と共に下方へ下がり、使用者40は前傾姿勢となる。つまり、図13(a)〜(c)に表した状態よりも、使用者40の体重がより身体保持部100に乗っていることになる。
【0071】
図13(d)に表した状態においては、使用者40の膝44は屈曲状態から伸展状態へと移行しているため、使用者40は、体重を身体保持部100に乗せつつ、膝44を屈曲状態から伸展状態へ移行するといった前傾姿勢を取ることができる。つまり、身体保持部100が一旦斜め前方へ下降移動104を行うことで、使用者40は体重をより身体保持部100に乗せやすくなる。
【0072】
次に、身体保持部100が適宜設定された最下点に到達し、一旦停止した後、図13(e)に表した動作のように、身体保持部100は斜め前方へ上昇移動104(図2参照)を行う。このとき、使用者40は身体保持部100に体重を乗せつつ、さらに膝44を伸展させた中腰姿勢となる。この状態においては、起立状態に近い状態となっており、膝44をさらに伸展させることで、図13(f)に表した動作のように、完全に起立することができる。このとき、身体保持部100は立位にある。
【0073】
図14は、本実施形態にかかる起立補助装置の詳細な動作を例示するフローチャート図である。
図14に表したステップS70〜S73は、図4に表したステップS70〜S73とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。なお、便座22が動作を停止する(ステップS73)位置は、図4を参照しつつ説明した位置と同様に、使用者40の身長または体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された位置であってもよい。
【0074】
次に、身体保持部100は、斜め前方へ下降移動104を行う(ステップS78)。次に、身体保持部100は、適宜設定された最下点に到達し、一旦停止する(ステップS79)。このように、身体保持部100が最下点において一旦停止することによって、身体保持部100が最下点に到達し、この後、上昇移動が始まるということを、使用者40は知ることができる。つまり、使用者40は、より安全に上昇移動へと移行することができる。
【0075】
なお、身体保持部100の最下点の位置は、図4を参照しつつ説明した位置と同様に、使用者40の身長または体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された位置であってもよい。さらに、身体保持部100が最下点において一旦停止した後、図示しない音声発生手段からの音や音声案内、または図示しない発光手段からの光によって、身体保持部100の上昇移動102を報知してもよい。このようにすれば、図4を参照しつつ説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0076】
次に、身体保持部100は、斜め前方へ上昇移動104を行う(ステップS80)。このとき、使用者40の体重は、前述のように身体保持部100に乗っているため、使用者40は身体保持部100と共に上昇し、楽に起立動作を行うことができる。ステップS75およびステップS76は、図4に表したステップS75およびステップS76とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。
【0077】
なお、身体保持装置10および便座装置20は、図5〜8を参照しつつ説明した装置を使用することができ、また、使用者40の身長および体重と、身体保持部100および便座22の高さと、の関係は図9を参照しつつ説明したデータを使用することができるため、その説明は省略する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によれば、便座22が前方傾動24と前方移動25とを同時に行い、さらに上昇移動26と斜め後方移動27とを同時に行い、便座22が停止した後で、身体保持部100が一旦斜め前方へ下降移動104を行う。これによって、使用者40は体重をより身体保持部100に乗せやすくなり、楽に起立動作を行うことができる。
【0079】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図15は、本発明の第4の実施の形態にかかる起立補助装置の動作を例示する模式図である。
図15(a)および(b)に表した動作は、図3(a)および(b)に表した動作とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。次に、図15(c)に表した動作のように、便座22は上昇移動26を行いつつ、斜め後方移動27を行う。さらに、これらの動作と同時に、身体保持部100は、斜め前方へ下降移動104を行う。但し、便座22の上昇移動26および斜め後方移動27の速さは、身体保持部100の下降移動104の速さよりも速い。
【0080】
このように、便座22と身体保持部100とを同時に移動させた場合であっても、便座22の移動の速さを身体保持部100の移動の速さよりも速くすることで、図11を参照しつつ説明した効果と同様の効果を得ることができる。さらに、身体保持部100が一旦斜め前方へ下降移動104を行うことで、使用者40は体重をより身体保持部100に乗せやすくなる。
【0081】
本実施形態にかかる起立補助装置の動作においては、便座22が上昇移動26を行うと共に、身体保持部100が斜め前方へ下降移動104を行うため、使用者40は、自然な動作で前傾姿勢へ移行することができる。こうすることで、起立時の足腰への負担を低減することもできる。
【0082】
次に、便座22の動作が停止した後、身体保持部100は適宜設定された最下点に到達し、一旦停止した後、図15(d)に表した動作のように、身体保持部100は斜め前方へ上昇移動104を行う。図15(e)および(f)に表した動作は、図3(d)および(e)に表した動作とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。
【0083】
図16は、本実施形態にかかる起立補助装置の詳細な動作を例示するフローチャート図である。
図16に表したステップS70およびステップS71は、図4に表したステップS70およびステップS71とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。
【0084】
次に、便座22が上昇移動26と斜め後方移動27とを行いつつ、身体保持部100は斜め前方へ下降移動104を行う(ステップS81)。但し、便座22の上昇移動26および斜め後方移動27の速さは、身体保持部100の下降移動104の速さよりも速い。このようにすることで、図15を参照しつつ説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0085】
図16に表したステップS73、S75、S76は、図4に表したステップS73、S75、S76と同様であり、図16に表したステップS79、S80は、図14に表したステップS79、S80と同様であるため、その説明は省略する。なお、身体保持装置10および便座装置20は、図5〜8を参照しつつ説明した装置を使用することができ、また、使用者40の身長および体重と、身体保持部100および便座22の高さと、の関係は図9を参照しつつ説明したデータを使用することができるため、その説明は省略する。
【0086】
以上説明したように、本実施形態によれば、便座22が前方傾動24と前方移動25とを同時に行った後、上昇移動26と斜め後方移動27とを同時に行いつつ、身体保持部100が便座22よりも遅い速さで斜め前方へ下降移動104を行う。これによって、使用者40は、体重をより身体保持部100に乗せやすくなり、自然な動作で前傾姿勢へ移行することができる。さらに、起立時の足腰への負担を低減することもできる。
【0087】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図17は、本発明の第5の実施の形態にかかる起立補助装置の動作を例示する模式図である。
図17(a)に表した動作は、図3(a)に表した動作と同様であるため、その説明は省略する。次に、図17(b)に表した動作のように、身体保持部100は斜め前方へ下降移動104を行う。こうすることで、起立動作の早いタイミングで体重を身体保持部100に乗せることができる。つまり、使用者40はより落ち着いた状態で、体重を身体保持部100に乗せることができる。
【0088】
次に、図17(c)に表した動作のように、身体保持部100が適宜設定された最下点に到達し、動作が停止した後、便座22は前方傾動24と、上昇移動26と、斜め後方移動27と、を同時に行う。このときには、すでに使用者40の体重は身体保持部100に乗っているため、膝44を屈曲状態から伸展状態へと楽に移行することができる。
【0089】
次に、図17(d)に表した動作のように、便座22の動作が停止した後、身体保持部100は斜め前方へ上昇移動104を行う。図17(c)において、体重が乗った状態で膝44を伸展状態へと移行させることができているため、図17(d)においても楽に離座状態へと移行することができる。図17(e)および(f)に表した動作は、図3(d)および(e)に表した動作とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。
【0090】
図18は、本実施形態にかかる起立補助装置の詳細な動作を例示するフローチャート図である。
図18に表したステップS70は、図4に表したステップS70と同様であるため、その説明は省略する。次に、身体保持部100は、斜め前方へ下降移動104を行う(ステップS78)。この状態において、前述のように、早いタイミングで体重を身体保持部100に乗せることができる。
【0091】
次に、身体保持部100は、適宜設定された最下点に到達し、一旦停止する(ステップS79)。このように、身体保持部100が最下点において一旦停止することによって、身体保持部100が最下点に到達し、この後、上昇移動が始まるということを、使用者40は知ることができる。つまり、使用者40は、より安全に上昇移動へと移行することができる。
【0092】
なお、身体保持部100の最下点の位置は、図4を参照しつつ説明した位置と同様に、使用者40の身長または体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された位置であってもよい。さらに、身体保持部100が最下点において一旦停止した後、図示しない音声発生手段からの音や音声案内、または図示しない発光手段からの光によって、身体保持部100の上昇移動102を報知してもよい。このようにすれば、図4を参照しつつ説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0093】
次に、便座22は、前方傾動24と上昇移動26とを同時に行う(ステップS82)。このとき、前述のように、すでに使用者40の体重は身体保持部100に乗っているため、膝44を屈曲状態から伸展状態へと楽に移行することができる。次に、ステップS73、S75、S76は、図4に表したステップS73、S75、S76と同様であり、ステップS80は、図14に表したステップS80と同様であるため、その説明は省略する。
【0094】
なお、身体保持装置10および便座装置20は、図5〜8を参照しつつ説明した装置を使用することができ、また、使用者40の身長および体重と、身体保持部100および便座22の高さと、の関係は図9を参照しつつ説明したデータを使用することができるため、その説明は省略する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態によれば、まず身体保持部100は斜め前方へ下降移動104を行い、動作が停止した後で、便座22が前方傾動24と上昇移動26とを同時に行う。さらに、便座22の動作が停止した後で、身体保持部100が斜め前方へ上昇移動104を行う。こうすることで、使用者40は起立動作の早いタイミングで体重を身体保持部100に乗せることができる。つまり、使用者40はより落ち着いた状態で、体重をより確実に身体保持部100に乗せることができる。
【0096】
なお、以上説明した本発明の実施の形態にかかる便座装置20の動作、および身体保持部100の動作は、これらの動作だけに限られず、他の動作であってもよい。
図19は、便座装置の起立動作の変形例を例示する模式図である。
図19(a)に表した動作は、図3(a)に表した動作と同様であるため、その説明は省略する。次に、図19(b)に表した動作のように、便座22は前方移動25のみを行う。これにより、使用者40の膝44は、図3(a)に表した状態よりも屈曲した状態となる。便座22は上昇移動26を伴わないため、使用者40のかかとは床面から浮くことがなく、さらに、臀部46が便座22に対して前方へ滑り落ちることもない。
【0097】
次に、便座22は、図19(c)に表した動作のように、斜め後方移動27の動作と、上昇移動26の動作と、前方傾動24の動作と、を同時に行う。このとき、便座22は上昇移動26の動作と、前方傾動24の動作と、を同時に行っているため、便座22の高さは変化しつつ、傾斜角度も変化している。また、使用者40の膝44は、図19(b)に表した状態よりも伸展した状態となっている。したがって、図19(b)から図19(c)に表した動作にかけて、膝44は屈曲状態から伸展状態へと移行し、前傾姿勢への自然な動きとなるため、使用者40の体重は自然に身体保持部100に乗る。次に、図19(d)および(e)に表した動作は、図3(d)および(e)に表した動作と同様であるため、その説明は省略する。
【0098】
図20は、便座装置の変形例を例示する模式図であり、図20(a)は、便座が座位にあるときの模式図であり、図20(b)は、便座移動の前半の動作を表す模式図であり、図20(c)は、便座移動の後半の動作を表す模式図である。
【0099】
図20に表した便座装置の構造は、図5に表した便座装置の構造と同様であるため、その説明は省略する。
図20に表した便座装置が動作を始めると、前後駆動手段335は、軸335aの前方移動336の動作を行う。前後駆動手段335は、軸335aを介して回動自在に便座22に軸支されているため、軸335aが前方移動336の動作を行うと、便座22はスライドレール340に沿って前方に押し出されることになる。つまり、前後駆動手段335の前方移動336の動作によって、図20(b)に表したように、便座22は前方移動25の動作を行うことになる。前後駆動手段335が前方移動336の動作を引き続き行うと、軸305aが孔22aの後端部に接触するようになる。軸305aが孔22aの後端部に接触すると、便座22は、これ以上前方へ移動することはできないため、前方移動25の動作は停止する。
【0100】
次に、昇降駆動手段305、325はそれぞれ上昇移動306、326の動作を行う。このとき、上昇移動326の速さの方が、上昇移動306の速さよりも速いため、便座22は、前方よりも後方が高くなった前傾状態となる。そのため、便座22が斜め後方移動27の動作を行っているときには、便座22は傾斜角度が大きくなる方向へ変化していることになる。この動作と同時に、前後駆動手段335は、軸335aの後方移動337の動作を行う。前後駆動手段335は、軸335aを介して回動自在に便座22に軸支されているため、軸335aが後方移動337の動作を行うと、便座22はスライドレール340に沿って斜め後方に持ち上げられることになる。つまり、昇降駆動手段305、325のそれぞれの上昇移動306、326、および前後駆動手段335の後方移動337の動作によって、図20(c)に表したように、便座22は、斜め後方移動27の動作と、上昇移動26の動作と、前方傾動24の動作と、を同時に行う。
【0101】
以上説明したように、本変形例によれば、便座22は、前方移動25のみを行った後、斜め後方移動27の動作と、上昇移動26の動作と、前方傾動24の動作と、を同時に行う。このようにすることで、使用者40の膝44は屈曲状態から伸展状態へと移行し、前傾姿勢への自然な動きとなる。そのため、使用者40は体重を自然に身体保持部100に乗せることができる。
【0102】
図21は、身体保持部の起立動作の変形例を例示する模式図である。
図21(a)に表した動作は、図3(a)に表した動作と同様であるため、その説明は省略する。次に、図21(b)に表した動作のように、身体保持部100は斜め前方へ下降移動を始める。このとき、身体保持部100は、身体保持部100の後端部100dよりも前端部100cの方が低くなるような前傾状態となる方向への傾動(前方傾動)の動作を行う。また、使用者40の腕42は身体保持部100と共に下方へ下がり、使用者40は前傾姿勢となる。つまり、図21(a)に表した状態よりも、図21(b)に表した状態の方が、使用者40の体重がより身体保持部100に乗っていることになる。
【0103】
次に、図21(c)に表した動作のように、身体保持部100は、さらに斜め前方へ下降移動を行う。このとき、身体保持部100は、さらに前方傾動の動作を行う。また、使用者40は、図21(b)に表した状態よりもさらに前傾姿勢となり、身体保持部100の後端部100dよりも使用者40の肩48の方が前方に位置している。このため、本変形例にかかる身体保持部100の動作は、身体保持部100に使用者40の体重をより乗せやすい動作となっている。つまり、使用者40の腕42だけが上方へ持ち上げられることを低減することができる。また、使用者40の膝44は、屈曲状態から伸展状態へと移行する。つまり、使用者40は、体重を身体保持部100に乗せつつ、膝44を屈曲状態から伸展状態へ移行するといった前傾姿勢を取ることができる。
【0104】
次に、図21(d)に表した動作のように、身体保持部100は斜め前方へ上昇移動を行う。このとき、身体保持部100は、身体保持部100の前端部100cよりも後端部100dの方が低くなるような後傾状態となる方向への傾動(後方傾動)の動作を行う。また、使用者40は、身体保持部100に体重を乗せつつ、さらに膝44を伸展させた中腰姿勢となる。
【0105】
次に、図21(e)に表した動作のように、身体保持部100は後方傾動を行いつつ、斜め前方へ上昇移動をさらに続ける。この状態においては、使用者40は起立状態に近い状態となっており、膝44をさらに伸展させることで、図21(f)に表した動作のように、完全に起立することができる。この時、身体保持部100は立位にあり、身体保持部100の傾きは略水平の状態に戻っている。
【0106】
図22は、身体保持装置の変形例を例示する模式図である。
図22に表した身体保持装置の構造は、図6〜8に表した身体保持装置の構造と同様であるため、その説明は省略する。
身体保持装置10の動作を開始させると、回動駆動手段140は台形ねじ130を回動させて、アーム受け部120を上昇移動させる。この動作と同時に、回動駆動手段170は、図22に表した身体保持装置10の方向から見て、反時計回りにアーム部110を回動させ、斜め前方に身体保持部100を移動させる。さらに、この動作と同時に、回動駆動手段160は、図22に表した身体保持装置10の方向から見て、時計回りに身体保持部100を回動(前方傾動)させて、前端部100cよりも後端部100dの方が高くなるような前傾状態とする。
【0107】
次に、身体保持部100が適宜設定された高さに到達すると、回動駆動手段160は、図22に表した身体保持装置10の方向から見て、反時計回りに身体保持部100を回動(後方傾動)させて略水平方向に戻す。なお、身体保持部100の中心100aの軌跡は、実線の曲線で表した如くである。
【0108】
以上説明したように、本変形例によれば、身体保持部100は、前方傾動の動作を行いつつ上昇移動を行い、適宜設定された高さまで上昇した後、後方傾動を行いつつ上昇移動を行う。このようにすることで、身体保持部100の後端部100dよりも使用者40の肩48の方が前方に位置するため、使用者40は体重をより身体保持部100に乗せやすくなる。
【0109】
以上説明した本発明の実施の形態において、起立補助装置1はトイレ室に設置された場合を例に挙げて説明したが、これだけに限られず、例えば浴室やベッド室などで使用されてもよい。
図23は、起立補助装置の変形例を表す模式図である。
図23に表した起立補助装置1は、身体保持装置10と、座部装置20と、を備えている。身体保持装置10は、身体保持部100とアーム部110とを有している。身体保持部100は、座部22に着座した使用者の前方に位置するように設けられており、アーム部110を介して、身体保持装置10に設けられた図示しない駆動機構に連結されている。また、身体保持部100は、身体保持装置10の内部に設けられた図示しない駆動機構によって、着座した使用者から見て、上下方向と前後方向とに移動することができる。
【0110】
座部装置20は、台座21と、座部22と、車輪28と、手すり29と、を有している。座部22は、台座21の上部に設けられており、使用者は、この座部22に着座することができる。また、座部22は、座部装置20に設けられた図示しない駆動機構によって、上昇移動や前方移動などを行うことができる。
【0111】
座部装置20は車輪28を有しているため、使用者は手すり29を手で持ち、押したり引いたりすることで、座部装置20を自由に移動させることもできる。すなわち、使用者は、図23に表した起立補助装置を例えば浴室やベッド室などにおいて使用することもできる。また、座部22および身体保持部100は、図1〜22を参照しつつ説明した動作を行うことができる。したがって、足腰の弱った高齢者等であっても起立補助装置1を利用することによって、ベッドなどから楽に起立することができる。
【0112】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、起立補助装置1などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや身体保持装置10や便座装置20の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態にかかる起立補助装置が設置されたトイレ室を例示する模式図である。
【図2】座位から立位へ移動する身体保持部中心の移動経路を例示する模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかる起立補助装置の動作を例示する模式図である。
【図4】本実施形態にかかる起立補助装置の詳細な動作を例示するフローチャート図である。
【図5】本実施形態にかかる便座装置を例示する模式図であり、図5(a)は、便座が座位にあるときの模式図であり、図5(b)は、便座移動の前半の動作を表す模式図であり、図5(c)は、便座移動の後半の動作を表す模式図である。
【図6】本実施形態にかかる身体保持装置を例示する模式正面図である。
【図7】図6に表した身体保持装置を側面から眺めた模式側面図である。
【図8】図8(a)は、通常の身体保持部を表す模式図であり、図8(b)は、身体保持部に使用者の膝が接触した場合を例示する模式図である。
【図9】身長と身体保持部の高さとの関係を調査した結果を表すグラフ図である。
【図10】本実施形態にかかる起立補助装置の起立動作の実験結果を例示した模式図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態にかかる起立補助装置の動作を例示する模式図である。
【図12】本実施形態にかかる起立補助装置の詳細な動作を例示するフローチャート図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態にかかる起立補助装置の動作を例示する模式図である。
【図14】本実施形態にかかる起立補助装置の詳細な動作を例示するフローチャート図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態にかかる起立補助装置の動作を例示する模式図である。
【図16】本実施形態にかかる起立補助装置の詳細な動作を例示するフローチャート図である。
【図17】本発明の第5の実施の形態にかかる起立補助装置の動作を例示する模式図である。
【図18】本実施形態にかかる起立補助装置の詳細な動作を例示するフローチャート図である。
【図19】便座装置の起立動作の変形例を例示する模式図である。
【図20】便座装置の変形例を例示する模式図であり、図20(a)は、便座が座位にあるときの模式図であり、図20(b)は、便座移動の前半の動作を表す模式図であり、図20(c)は、便座移動の後半の動作を表す模式図である。
【図21】身体保持部の起立動作の変形例を例示する模式図である。
【図22】身体保持装置の変形例を例示する模式図である。
【図23】起立補助装置の変形例を表す模式図である。
【符号の説明】
【0114】
1 起立補助装置、 10 身体保持装置、 20 便座装置(座部装置)、 21 便器(台座)、 22 便座(座部)、 22a 孔、 24 前方傾動、 25 前方移動、 26 上昇移動、 27 後方移動、 28 車輪、 29 手すり、 30 壁面、 40 使用者、 42 腕、 44 膝、 46 臀部、 48 肩、 100 身体保持部、 100a、100b 身体保持部中心、 100c 前端部、 100d 後端部、 102 上昇移動(移動経路)、 104 上昇移動(下降移動、移動経路)、 105 移動経路、 106 移動経路、 108 移動経路、 110 アーム部、 120 アーム受け部、 130 台形ねじ、 140 回動駆動手段、 150 台形ねじ受け部、 160 回動駆動手段、 170 回動駆動手段、 200 キャビネット、 305 昇降駆動手段、 305a 軸、 306 上昇移動、 325 昇降駆動手段、 325a 軸、 325b 軸、 326 上昇移動、 335 前後駆動手段、 335a 軸、 335b 軸
336 前方移動、 337 後方移動、 340 スライドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座するための座部と、
使用者が前方に配置して使用するものであって、上肢部分を保持する身体保持部と、
前記座部に上昇移動を含む移動を行わせるための第1の駆動手段と、
前記身体保持部を移動させるための第2の駆動手段と、
を備え、
前記座部に着座した使用者を立位に導く際に、前記第1の駆動手段が前記座部の移動を開始させた後に、前記第2の駆動手段が身体保持部の移動を開始させることを特徴とする起立補助装置。
【請求項2】
前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させた後に、前記第2の駆動手段が身体保持部の上昇移動を開始させることを特徴とする請求項1記載の起立補助装置。
【請求項3】
前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させる前に、前記第2の駆動手段が身体保持部の上昇移動を開始させることを特徴とする請求項1記載の起立補助装置。
【請求項4】
前記身体保持部の上昇移動の速さよりも、前記座部の上昇移動の速さの方が、速いことを特徴とする請求項3記載の起立補助装置。
【請求項5】
前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させた後に、前記第2の駆動手段が身体保持部の下降移動を開始させ、適宜設定された最下点に到達させた後に、上昇移動を開始させることを特徴とする請求項1記載の起立補助装置。
【請求項6】
前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させる前に、前記第2の駆動手段が前記身体保持部の下降移動を開始させ、前記第1の駆動手段が前記停止位置で前記座部を停止させた後に、前記第2の駆動手段が前記身体保持部を適宜設定された最下点に到達させて、上昇移動へ移行させることを特徴とする請求項1記載の起立補助装置。
【請求項7】
前記身体保持部の下降移動の速さよりも、前記座部の上昇移動の速さの方が、速いことを特徴とする請求項6記載の起立補助装置。
【請求項8】
前記停止位置は、前記使用者の身長と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された位置であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載の起立補助装置。
【請求項9】
前記停止位置は、前記使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値に、前記座部に掛かる荷重が略一致した位置であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載の起立補助装置。
【請求項10】
前記停止位置は、前記使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値まで、前記座部に掛かる荷重が減少した位置であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載の起立補助装置。
【請求項11】
前記停止位置は、前記使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値まで、前記身体保持部に掛かる荷重が増加した位置であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載の起立補助装置。
【請求項12】
前記停止位置は、前記使用者の体重と、予め設定されたデータテーブルと、を参照して算出された値まで、床面に掛かる荷重が変化した位置であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載の起立補助装置。
【請求項13】
前記身体保持部は、座位および立位にあるときにおいて、高さが調整可能とされたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の起立補助装置。
【請求項14】
使用者が着座するための座部と、
使用者の前方に配置して使用するものであって、上肢部分を保持する身体保持部と、
前記座部に上昇移動を含む移動を行わせるための第1の駆動手段と、
前記身体保持部を移動させるための第2の駆動手段と、
を備え、
前記座部に着座した使用者を立位に導く際に、前記第2の駆動手段が前記身体保持部の下降移動を開始させ、適宜設定された最下点に到達させて停止させた後に、前記第1の駆動手段が前記座部の上昇移動を開始させ、適宜設定された停止位置で停止させた後に、前記第2の駆動手段が前記身体保持部の上昇移動を開始させることを特徴とする起立補助装置。
【請求項15】
便器と、
前記便器に付設された請求項1〜14のいずれか1つに記載の起立補助装置と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−297463(P2009−297463A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158484(P2008−158484)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「人間支援型ロボット実用化基盤技術開発介護動作支援ロボット及び実用化技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】