説明

超低炭素鋼スラブ、ストリップ又はシートの製造方法

本発明は、超低炭素鋼ストリップ又はシートを製造する方法であって、‐取鍋処理を含んでなる製鋼工程で、重量で、・最大0.003%の炭素、・最大0.004%の窒素、・最大0.20%のリン、・最大0.020%の硫黄、・及び残部鉄及び不可避不純物を含んでなる真空脱ガスされた鋼溶融物を製造すること、‐その際、該溶融物の該取鍋処理の最後における該溶融物の狙いの酸素含有量は、該溶融物の実際の酸素含有量を測定した後、好適な形態にある適量のアルミニウムを該溶融物に添加して酸素を結合することにより得られ、その際、該取鍋処理の最後における該溶融物の狙いの酸素活性又は溶解酸素含有量は、最大80ppmである、‐こうして製造された該鋼を連続式鋳造法で鋳造し、スラブ又はストリップを形成することを含んでなり、‐該方法が、最大0.002%の酸可溶性アルミニウム及び最大0.004%のケイ素及び最大120ppmの総酸素含有量を含んでなる超低炭素鋼のスラブ、ストリップ又はシートを与える、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超低炭素鋼スラブ、ストリップ又はシートの製造方法、及びその方法により製造されたスラブ、ストリップ又はシートに関する。
【背景技術】
【0002】
DWI(引抜き加工及びしごき加工)又はDRD(引抜き加工及び再引抜き加工)製法による製缶は高速度で行われ、激しい塑性ひずみを伴う。従って、鋼は、最高品質を有することが必要であり、これらの製法を効率的に行うには、非金属介在物のレベルが非常に低いことが不可欠である。しかし、ラッカー塗装に対してオレンジピール効果や低品質表面を与えることがある、過度に大きなフェライト粒子は避けるように注意しなければならない。DWI缶は、例えばビールやソフトドリンク、ペットフード及び人の食品に使用されるが、バッテリー缶にも使用される。DRD缶は、例えばペットフードや人の食品に使用される。非金属介在物も低レベルであることが電気鋼には非常に重要である。
【0003】
現在製造されている鋼は、結晶粒が過大になるのを阻止するために、小さな析出物の使用に依存している。しかし、その欠点は、析出物の存在により成型性が悪影響を受けることがあることである。また、析出物の存在は、析出物が磁区壁の運動を妨げるので、変圧器鋼の磁気特性にも悪影響を及ぼす。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、製缶に好適な超低炭素鋼ストリップ又はシートの製造方法を提供することである。
【0005】
電気鋼又は変圧器鋼として好適な超低炭素鋼ストリップ又はシートの製造方法を提供することも本発明の目的である。
【0006】
第一の態様によれば、超低炭素鋼スラブ又はストリップを製造する方法であって、
‐取鍋処理を含んでなる製鋼工程で、重量で、
・最大0.008%の炭素、
・最大0.008%の窒素、
・最大0.20%のリン、
・最大0.020%の硫黄、
・及び残部鉄及び不可避不純物
を含んでなる真空脱ガスされた鋼溶融物を製造し、
‐その際、該溶融物の該取鍋処理の最後における該溶融物の狙いの酸素含有量が、該溶融物の実際の酸素含有量を測定した後、好適な形態にある適量のアルミニウムを該溶融物に添加して酸素を結合させることにより得られ、その際、該取鍋処理の最後における該溶融物の狙いの酸素活性又は溶解酸素含有量は最大80ppmであり、
‐こうして製造された該鋼を連続式鋳造法で鋳造してスラブ又はストリップを形成し、
‐該方法が、最大0.002%の酸可溶性アルミニウム及び最大0.004%のケイ素及び最大120ppmの総酸素含有量を有してなる超低炭素鋼のスラブ、ストリップ又はシートを与えること、
を含んでなる方法が提供される。
【0007】
本発明の方法により、非常に清浄な粒界を有する鋼スラブ又はストリップを製造することができる。その結果、この鋼の再結晶温度は従来の超低炭素鋼より遙かに低い。この現象は、最終的な鋼ストリップ又はシートにおける極めて低いレベルのケイ素及び酸可溶性アルミニウム、及び細かく分散したマンガン及び/又は酸化鉄粒子の存在に起因すると考えられる。鋼の再結晶温度が低い結果、焼きなまし温度も同様に低くすることができ、より経済的な製法が得られると共に、製品中の粒子成長傾向も下げることができる。焼きなまし温度が下がることにより、バッチ焼きなまし工程における粘着が防止され、連続式焼きなましにおける破裂の危険性も低下する。非常に清浄な粒界のさらなる利点は、粒界上の腐食に対する感受性が大きく低下することである。これは、バッテリーケースの製造における鋼の使用に特に関連している。耐食性が優れた基材を使用する場合、バッテリーの製造に使用するコーティング系は、薄くする(例えばコーティング層を薄くするか、又はコーティング層をより少なくする)ことができる。非常に清浄な鋼は、変圧器又は他の電気用途にも有益である。変圧器鋼には、リン含有量が0.2%であるので、打抜き加工性が重要である。リンに好適な最大値は0.15%である。スラブ又はストリップから冷間圧延軟鋼を製造するには、リン含有量は0.025重量%を超えないように、好ましくは最大0.020%になるように選択すべきである。ケイ素に好適な最大は0.003%である。
【0008】
超低炭素鋼ストリップ又はシートを製造するための従来方法との実質的な違いは、例えばRH製法において、真空脱ガス工程中における溶融物の取鍋処理が、過剰のアルミニウムを添加してアルミナ粒子を形成することにより、酸素を除去することを目的としているのではなく、酸可溶性アルミニウムとして(すなわち、アルミナではなく、金属アルミニウムの形態で)最終的な鋼の中に存在することになる過剰のアルミニウムの添加を回避するために、溶融物の酸素含有量を監視及び制御し、所定量のアルミニウムを添加することである。従って、これは、EN10130の意味におけるアルミニウムを除去した鋼ではない。取鍋処理の際に形成されたアルミナはスラグに浮上し、過剰アルミニウムの濃度は、存在する場合、いわゆるアルミニウム減衰の結果として急速に低下する。精確な量のアルミニウムを添加することにより、取鍋処理で形成されたアルミナの全てが連続式鋳造中の凝固の前に溶融物から確実に除去されるので、得られる鋼は、酸化アルミニウムを実質的に含まない。溶融鋼の脱ガスは、いずれかの従来方法、例えばRH法又はRH−OB法、により行うことができる。液体鋼の酸素含有量は、消耗型酸素センサーを使用して測定し、溶融物の酸素活性を測定することができる。
【0009】
金属アルミニウムが存在しないので、製法の後の段階における窒化アルミニウム析出物の形成が防止され、従って、清浄な粒界が得られる。その上、AlNが存在しないので、熱間ストリップ製法におけるAlNの溶解及び析出特性に関連する多くの問題、例えばコイル巻きされた形態における熱間圧延ストリップの様々な位置の熱経路に差がある結果として生じる、ストリップの長さ及び幅全体にわたる微小構造及び特性の不均質性、も防止される。AlNをホットストリップミルの再加熱炉中で溶解させる必要はないので、より低い炉温度を使用することができ、AlNをコイル中に析出させるために高いコイル化温度を使用する必要もない。これによって、酸洗能力を改良することができる。スラブ又はストリップの化学成分により、主としてマンガン酸化物を含んでなる、細かく分散した酸化物が形成される。これらの介在物の中で、比較的大きいサイズの介在物は、冷間圧延鋼を焼きなましする際に再結晶化のための核として作用し、一方、比較的小さいサイズの含有成分は、再結晶化後に引き起こされる粗粒化に対する適切なバリヤーになり、それによって、鋼の結晶粒度を制御するように作用することができる。
【0010】
鋼溶融物の炭素含有量は最大0.008%に制限するが、これは、より高い炭素含有量を使用すると、鋼が溶融される製造段階で炭素が一酸化炭素を形成し、そのCOが、凝固した鋼中でブロー−ホール欠陥として残るためである。その上、沸騰効果が、鋳造中に操作上の問題を引き起こすことがある。凝固した鋼中のケイ素は、酸化ケイ素及び/又は金属ケイ素として存在し得ることに注意すべきである。
【0011】
鋳造の際、鋼の中にはAlが非常に僅かしか、好ましくは全く残留せず、その結果、Al含有量が低いために、通常は下記の反応Al+SiO→Al+Si)に従って起こるSiの取り込みが起こらない。
【0012】
アルミニウム除去された超低炭素鋼ストリップ又はシートを製造するための従来方法では、溶融物の取鍋処理の最後、すなわち鋳造の直前、に、酸素活性又は溶解酸素含有量が約3〜5ppmになる。本発明の方法では、溶融物の取鍋処理の最後における溶融物の狙いの酸素含有量は少なくとも20ppmである。溶融物の酸素含有量は、取鍋処理の最後と鋳造工程との間の時間中に増加し得ることがあることに注意すべきである。従って、スラブ又はストリップの総酸素含有量は、最大120ppm、好ましくは最大100ppmでよい。総酸素含有量は、酸化物並びに溶液中の酸素を含んでなる。
【0013】
一態様において、溶融物の取鍋処理の最後における溶融物の狙いの酸素含有量は少なくとも10ppmである。この最小値により、十分なマンガン酸化物が確実に形成される。大きな酸化物が多くなりすぎないように、狙いの酸素含有量は最大60ppmであるのが好ましい。本発明者らは、取鍋処理の最後における狙いの酸素含有量は10〜40ppmであるのが妥当なところであることを見出した。溶融物の取鍋処理の最後における溶融物の狙いの最小酸素含有量は、少なくとも20ppmであるのが好適である。鋳造前の鋼溶融物の酸素含有量が比較的高い場合、溶融物の酸素ポテンシャルが高いために、粘度が低くなると考えられる。
【0014】
製法を、アルミニウム含有量ではなく、酸素含有量に適合させることにより、酸可溶性アルミニウムの量及びケイ素の量をできるだけ低くすることができる。本発明により製造される超低炭素鋼のストリップ又はシートは、最大0.001%の酸可溶性アルミニウム及び/又は最大0.002%のケイ素を含んでなるのが好ましい。より好ましくは、ケイ素含有量は最大0.001%である。凝固した鋼中には、酸可溶性アルミニウム及びケイ素が存在しないのが理想的である。
【0015】
一態様において、スラブ又はストリップを製造する方法であって、
該スラブ、ストリップ又はシートが、
・最大0.006%の炭素、
・0.05〜0.35%のマンガン、
・最大0.006%の窒素、
・最大0.025%のリン、
・最大0.020%の硫黄、
・最大40ppmのB、
・最大0.005%のチタン、最大0.005%のニオブ、最大0.005%のジルコニウム、最大0.005%のバナジウム、
・総量で最大0.10%の、銅、ニッケル、クロム、スズ及びモリブデンの元素、
並びに残部鉄及び不可避不純物
を含んでなる。
【0016】
本方法は、DWI−又はDRD−製缶のような用途に使用する冷間圧延軟鋼の製造に好適なスラブ又はストリップを製造する。鋼がホウ素で合金化されるか、否かに応じて、この方法は、低い再結晶温度600〜630℃を有する超低炭素鋼の実質的にホウ素を含まないストリップ又はシート、あるいは再結晶温度660〜690℃を有する超低炭素鋼のホウ素を含むストリップ又はシートを提供する。しかし、再結晶温度は、鋼が受ける焼きなまし処理及び変形の量によっても異なることに注意すべきである。
【0017】
一態様において、鋼スラブ又はストリップは、
‐最大5ppmのB、又は鋼が10〜30ppmのBを含んでなる、及び/又は
‐最大0.004%の炭素、好ましくは最大0.003%、0.0028%、0.0025%、もしくはさらに0.002%の炭素及び/又は
‐最大0.005%の窒素、好ましくは最大0.004、及び/又は、より好ましくは0.0012〜0.0030%の窒素
を含んでなる。窒素に関する好適な上限0.0030%である。
【0018】
好ましくは、ホウ素を含まない鋼は、最大1ppmBを含んでなる。好ましくは、ホウ素を含む鋼は、10〜25ppmのB、好ましくは12〜22ppmのBを含んでなる。最大0.004%、好ましくは最大0.002%の炭素含有量は、CO形成、炭化物形成及び炭素エージング問題の危険性を最少に抑えることを意図している。
【0019】
好ましくは、硫黄含有量は最大0.010%、より好ましくは最大0.005%である。
【0020】
一態様において、鋼スラブ又はストリップを、
‐スラブをAr3より高い温度で熱間圧延して、熱間圧延ストリップを得ること、
‐熱間圧延ストリップをコイル巻きすること、
‐熱間圧延ストリップを冷間圧下率40〜95%で冷間圧延し、中間冷間圧延ストリップを得ること、
‐中間冷間圧延ストリップを焼きなましすること、
‐所望により、中間冷間圧延ストリップを、最終的なシート厚さに第二冷間圧延すること、
‐所望により、ストリップをシート又はブランクに切断すること
に付する。
【0021】
所望により行う第二冷間圧延は、好ましくは圧下率0.5〜10%における、従来の焼きもどし圧延工程でよい。しかし、第二冷間圧延は、好ましくは5〜50%の実質的に高い冷間圧下率で行い、降伏強度がより高い鋼を製造することもできる。スラブは、通常の様式で加熱及び熱間圧延することができる。あるいは、温スラブを加熱するか、又は高温スラブを直接熱間圧延することができる。エネルギーを節約し、それによってより大きな経済性を達成するために、熱間圧延前に鋼の予備加熱を1150℃以下の比較的低い温度で行うが、本発明は、より高い予備加熱温度の使用も排除しない。
【0022】
一態様において、中間冷間圧延鋼ストリップ又はシートを、600℃又は620℃の最低温度、好ましくは620℃〜720℃、より好ましくは630℃〜700℃で連続的焼きなましによるか、又は550℃〜680℃、好ましくは600℃〜680℃でバッチ焼きなましによる再結晶処理に付する。
【0023】
本発明の特徴の一つは、コイル巻き温度を高温にも低温にも制限しないことである。すなわち、本発明により、鋼を温度500〜700℃でコイル巻きすることができる。コイル巻き温度が上記の温度範囲より高い場合、スケール厚さが大きくなりすぎるために酸洗が遅くなる。一態様において、コイル巻き温度は530〜700℃、好ましくは、550〜650℃である。好適な最低コイル巻き温度は570℃であり、好適な最高は640℃である。温度により調整すべきAlN析出が無いので、より低いコイル巻き温度を選択することもできる。その結果、ストリップ上の酸化物層はより薄くなり、酸洗により容易に除去することができる。
【0024】
一態様において、熱間圧延シートは厚さが2.0〜3.5mmであり、熱間圧延ストリップを85〜96%、好ましくは85〜95%の圧下率で冷間圧延し、その際、第二冷間圧下率は0.5〜10%である。好ましくは、圧下率は87〜93%である。二重冷間圧延シートでは、第二冷間圧下率が好ましくは5〜50%である。
【0025】
一態様において、マンガン含有量が0.10〜0.35%である。凝固した鋼中のP及びSに好適な最大値は、それぞれ0.020及び0.010である。
【0026】
一態様において、本発明の超低炭素鋼ストリップ又はシートは、重量で最大0.001%のチタン、最大0.001%のニオブ、及び最大0.001%のジルコニウムを含んでなる。脱酸を引き起こす元素の量は最少に抑えることが重要である。従って、溶融物のケイ素含有量は、好ましくは最少0.030,さらには0.020%に抑える。Ti、Nb、Zr、及びVも脱酸を引き起こし、従ってそれらの値は好ましくは0.005未満、より好ましくは0.001%未満である。他の脱酸元素、例えばREM、もできるだけ低い方が好ましい。
【0027】
第二の態様により、上に記載した本発明の方法により製造した超低炭素鋼スラブ、ストリップ又はシートを提供する。
【0028】
一態様において、本発明の超低炭素鋼ストリップ又はシートは、平均結晶粒度が8〜12ASTM、好ましくは9〜11ASTMである、及び/又はr値が少なくとも1.4、好ましくは少なくとも1.6である。
【0029】
一態様において、本発明の超低炭素鋼ストリップ又はシートは、面内異方性係数値(Δr)が−0.2〜0.2である。
【0030】
鋼は、金属及び/又は重合体コーティング系で被覆することができる。
【0031】
第三の態様により、本発明の超低炭素鋼シートは、食品又は飲料を包装するための缶のような包装用途において、若しくはバッテリーのような包装用途において、又は電磁石のような用途のための電気鋼として、使用される。
【0032】
一態様において、本発明の超低炭素鋼シートは、ほうろう用鋼として使用される。細かく分散した酸化マンガン粒子及び清浄なマトリックスの存在により、ほうろう加工工程の際に水素を保存する能力が得られ、例えばほうろう加工した製品上の爪飛びのような表面欠陥が回避される。
【0033】
ここで本発明を、本発明を制限しない例により説明する。表1に示す鋼等級の連続的に鋳造したスラブを製造した。
【0034】
表1 組成を1/1000重量%で、ただしC、N及びBはppmで示す。
【表1】

【0035】
鋼2AAはホウ素を含まない鋼であり、鋼2ACは、本発明によるホウ素含有鋼である。酸可溶性アルミニウム含有量(Alas)は、両方の場合に0.001重量%であり、ケイ素含有量の測定により、0に近い値が得られた。スラブ中の総酸素含有量は、両方の鋼で98であった。熱間圧延ストリップを590℃でコイル巻きした後、90%圧下率で冷間圧延した。鋼の再結晶温度は、500m/分の線速度における連続的焼きなましに対してそれぞれ625及び675℃であった。これらの値は、アルミニウム及びケイ素含有量がより従来の高い超低炭素鋼に対する値より大幅に低かった。冷間圧延後、2AA材料を660及び680℃で連続的に焼きなましし、680℃における焼きなましの後、結晶粒がやや大きい、十分に再結晶した構造が得られた。2AC材料は、680℃で連続的に焼きなましした。第二冷間圧延は、1及び6%で行った。650℃におけるバッチ焼きなましによっても、十分に再結晶した構造が得られた。
【0036】
再結晶後の鋼2AAの処理により、図1に示す加工硬化曲線が得られた。この曲線は、DR550が、第二冷間圧延の際に28%厚下(すなわち38%伸長)で得られることを明らかに示している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超低炭素鋼ストリップ又はシートを製造する方法であって、
‐取鍋処理を含んでなる製鋼工程で、重量で、
・最大0.003%の炭素、
・最大0.004%の窒素、
・最大0.20%のリン、
・最大0.020%の硫黄、
・及び残部鉄及び不可避不純物
を含んでなる真空脱ガスされた鋼溶融物を製造し、
‐その際、前記溶融物の前記取鍋処理の最後における前記溶融物の狙いの酸素含有量が、前記溶融物の実際の酸素含有量を測定した後、好適な形態にある適量のアルミニウムを前記溶融物に添加して酸素を結合させることにより得られ、その際、前記取鍋処理の最後における前記溶融物の狙いの酸素活性又は溶解酸素含有量が最大80ppmであり、
‐こうして製造された前記鋼を連続式鋳造法で鋳造してスラブ又はストリップを形成し、
‐該方法が、最大0.002%の酸可溶性アルミニウム及び最大0.004%のケイ素及び最大120ppmの総酸素含有量を有してなる超低炭素鋼のスラブ、ストリップ又はシートを与えること、
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記鋼溶融物が0.002%の炭素及び/又は最大0.003%のケイ素を含んでなる、及び/又は前記スラブ、ストリップ又はシートが最大100ppmの総酸素含有量を有してなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶融物の前記取鍋処理の最後における前記溶融物の狙いの酸素含有量が少なくとも10ppmである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶融物の前記取鍋処理の最後における前記溶融物の狙いの酸素含有量が最大60ppm、好ましくは最大40ppmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、最大0.001%の酸可溶性アルミニウム及び/又は最大0.002%のケイ素を含んでなる超低炭素鋼のストリップ又はシートを与える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スラブ、ストリップ又はシートが、
・最大0.003%の炭素、
・0.05〜0.35%のマンガン、
・最大0.004%の窒素、
・最大0.025%のリン、
・最大0.020%の硫黄、
・最大40ppmのB、
・最大0.005%のチタン、最大0.005%のニオブ、最大0.005%のジルコニウム、最大0.005%のバナジウム、
・総量で最大0.10%の、銅、ニッケル、クロム、スズ及びモリブデンの元素、
・並びに残部鉄及び不可避不純物
を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記鋼スラブ又はストリップが、
‐最大5ppmのB、又は前記鋼が10〜30ppmのBを含んでなる、及び/又は
‐最大0.002%の炭素、及び/又は
‐0.0012〜0.0030%の窒素
を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記鋼スラブ又はストリップが、
‐前記スラブをAr3より高い温度で熱間圧延して、熱間圧延ストリップを得ること、
‐前記熱間圧延ストリップをコイル巻きすること、
‐前記熱間圧延ストリップを冷間圧下率40〜95%で冷間圧延し、中間冷間圧延ストリップを得ること、
‐前記中間冷間圧延ストリップを焼きなましすること、
‐所望により、前記中間冷間圧延ストリップを、最終的なシート厚さに第二冷間圧延すること、
‐所望により、前記ストリップをシート又はブランクに切断すること
を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記中間冷間圧延鋼ストリップ又はシートを、600℃〜720℃、好ましくは630℃〜700℃で連続的焼きなましによるか、又は550℃〜680℃、好ましくは600℃〜680℃でバッチ焼きなましによる再結晶処理に付する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記コイル巻き温度が530〜700℃、好ましくは550〜650℃である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱間圧延ストリップの厚さが2.0〜3.5mmであり、前記熱間圧延ストリップが85〜96%の圧下率で冷間圧延され、その際、前記第二冷間圧下率が0.5〜10%である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法により製造された超低炭素鋼スラブ、ストリップ又はシート。
【請求項13】
8〜12ASTM、好ましくは9〜11ASTMの平均結晶粒度、
及び/又は少なくとも1.4、好ましくは少なくとも1.6であるr値、
を有し、及び/又は
面内異方性係数値(Δr)が−0.2〜0.2である、請求項12に記載の超低炭素鋼ストリップ又はシート。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の超低炭素鋼シートの、食品又は飲料を包装するための缶のような包装用途における、若しくはバッテリーのような包装用途における、又は電磁石若しくは変圧器のような用途に使用されるための電気鋼若しくは変圧器鋼としての、使用。
【請求項15】
請求項12又は13に記載の超低炭素鋼シートのほうろう加工用途における使用。

【図1】
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【公表番号】特表2013−500391(P2013−500391A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522001(P2012−522001)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004429
【国際公開番号】WO2011/012242
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(500252006)タタ、スティール、アイモイデン、ベスローテン、フェンノートシャップ (16)
【氏名又は名称原語表記】TATA STEEL IJMUIDEN BV
【Fターム(参考)】