Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
超分散性を有する新規被覆粉体及びこれを配合した化粧料
説明

超分散性を有する新規被覆粉体及びこれを配合した化粧料

【課題】化粧料用粉体に表面処理を施したときに、粉体の分散性と粉体の持つ機能、特に親油性液体への親和性が良く分散性や分散安定性に優れ、化粧料やその他の分野の粉体にも適用可能な被覆粉体を提供する。
【解決手段】化粧料に使用可能な粉体と、その粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層とを含有し、当該粒子表面の少なくとも一部上において、A層が被覆され、更にその上にB層が被覆される表面処理粉体、A層:脂肪酸の中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、片末端官能基変性アルキルシラン及び分岐脂肪酸の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超分散性を有する新規被覆粉体、より詳しくは、化粧料に使用可能な粉体と、その粒子表面の少なくとも一部上に形成されたA、B2種類の層で、常温でそれぞれ固体層と液体層である表面処理剤被覆層とを含有する表面処理粉体、更に好ましくは粉体粒子表面の少なくとも一部上において、第1層としてA層である反応性オルガノポリシロキサン、ポリオレフィン、水添レシチン(その塩を含む。)、N−アシルアミノ酸(その塩を含む。)、脂肪酸(その塩を含む。)及びデキストリン脂肪酸エステルの中から選ばれた1種以上の化合物を含有し常温で固体状である表面処理剤被覆層を、更にその上に第2層としてB層である片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、片末端官能基変性アルキルシラン及び分岐脂肪酸の中から選ばれた1種以上の化合物を含有する常温で液体状である表面処理剤被覆層を形成する表面処理粉体、及びこれらを配合した化粧料に関するものである。但し、A層は、脂肪酸(その塩を含む。)及びN−アシルアミノ酸(その塩を含む。)の中から選ばれた1種以上の化合物を必須として含有する(以下、同様)。
【0002】
本発明の表面処理粉体は超分散性を有する。このため、本発明の表面処理粉体を、親油性液体を含有しない系(粉体のみの系)に配合したときには優れた分散性を示し、またこれを、親油性液体を含有する系に配合したときにはその液体に対する親和性に優れその結果極めて優れた分散性や分散安定性を示す。更に、本発明の表面処理粉体は、粉体粒子の分散状態によって大きく変わる粉体基剤の機能、例えば、皮膚への付着力(付着性)、感触(使用感)、隠蔽力、着色力、紫外線や赤外線の遮蔽能及び光学特性等を従来の表面処理粉体に比較して飛躍的に向上させることができる。
【0003】
従って、これら本発明による表面処理粉体を配合した化粧料は化粧料としての機能を大きく向上させることができる。
【0004】
更に、このようにして得られる粉体は、化粧料のみならずプラスチックの添加剤、インク、塗料、トナー(磁性粉)等の各種分野で広く使用される表面処理粉体にも適用可能である。
【背景技術】
【0005】
化粧料に配合される粉体は、粉っぽい感触の解消、皮膚に対する物理的な刺激の緩和、皮膚への付着性向上、親油性液体に対する親和性や分散性の向上、化粧持ち改善等の目的で親油化処理される。このように親油化された粉体は油性成分と混合されて剤型化されるのが一般的である。このとき、粉体粒子が1次粒子に近い状態で混合(分散)されている程、粉体の持つ機能は最大限に発揮される。即ち、付着性、感触(使用感)、隠蔽力、着色力、光学特性、紫外線や赤外線の吸収能や散乱能を最大限に発揮するためには、まず油性剤への親和性が良くかつ分散性が良いことが重要である。油性剤への分散性が悪いと粉体粒子は凝集して本来の性能を発揮できないからである。
【0006】
このような課題を解決するために、粉体粒子表面を親油性物質で被覆することが多く提案されている。この方法により粉体の皮膚への付着性や感触はある程度改善されるが、表面処理剤で粉体粒子が凝集してしまい分散性は未だ十分ではなく、特に親油性液体へ分散させるには界面活性剤等を多量に配合して分散化を行い分散安定化を得ているのが現状である。
【0007】
また、ポリエチレン粉末、ナイロン粉末、ポリスチレン粉末、メタアクリル酸メチルエステル粉末等に代表される有機粉体はそのもの自身親油性であり親油性液体への分散性は無機粉体に比較して良好である場合が多い。しかし、皮膚への付着性が極めて悪いことと、粉体粒子が静電気を帯びてフロキュレーションし易くその結果分散性が極めて悪いこと等の問題がある。これ等を改善するために各種の表面処理が提案されている。
【0008】
このような表面処理の方法としては、例えば、シリコーン類、有機シラン類、N−アシルアミノ酸類、脂肪酸類、水添レシチン、フッ素化合物類、ポリエチレン、エステル系油性剤等の有機表面処理剤で被覆するのが一般的である。具体的には、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理する方法(特開昭60−163973号、特開昭61−127767号、特開昭61−190567号、特開昭61−215216号、特開昭63−30407号、特開昭63−139015号、特開昭63−165461号、特開平1−110540号、特開平3−163172号、特開平4−246474号、特公平1−54379号、特公平1−54380号、特公平1−54381号公報等参照。)、各種シランカップリング剤で表面処理する方法(特開昭62―177070号、特開平2−218603号、特開平4−193816号公報等参照。)、その他のシリコーン類で処理する方法(特開平4−202109号、特開平4−202110号、特開平4−202111号、特開平5−86368号、特開平7−206637号、特開平7−206638号、特開平7−207187号、特開平11−80588号公報等参照。)、アルキルシランで表面処理する方法(特昭開61−204112号、特昭開64−90111号、特開平8−92052号、特開平8−104606号、特開平8−104612号公報等参照。)等が提案されている。
【0009】
また、N−アシルアミノ酸類で表面処理する方法としては、例えば特開昭61−737775号、特開昭61−69709号、特開平3−200879号、特開平5−186706号、特開平9−328413号、特開平10−226626号公報等に、脂肪酸類で被覆する方法としては、特開昭60−69011号公報等に、水添レシチンで表面処理する方法としては、特開昭60−184571号、特開昭60−190705号公報等に提案されている。
【0010】
更に、複数の表面処理剤を組み合わせて被覆することで粉体基剤を高機能化する方法が知られており、具体的には、メチルハイドロジェンポリシロキサンとトリメチルシロキシケイ酸で被覆した粉体(特開平7−62263号公報等参照。)、チタネート系カップリング剤やアルキルシラン化合物と官能基を持たない親油性物質で被覆した粉体(特開平11−29719号公報等参照。)、メチルハイドロジェンポリシロキサンとトリメチルシロキシケイ酸と架橋型メチルポリシロキサンを併用して被覆した粉体(特開平11−80588号公報等参照。)等が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来から知られている表面処理法には、尚解決すべき課題が残されている。
【0012】
まず、前記表面処理剤の殆どが粉体粒子表面上では固体状(常温で)であるため粉体粒子に被覆した場合、滑らかな感触や皮膚への付着性はある程度改善されるものの被覆時に粒子を凝集させ易い。その結果、粉体の混合時の分散性が悪く、特に親油性液体への親和性が悪く分散性や分散安定性が十分ではなく、満足できるものでなかった。例えば、メーキャップ化粧料等に配合される0.1〜0.3μmの粒子径を有する「顔料級」と呼ばれている酸化チタンや酸化鉄は油性剤への分散性が悪く、隠蔽力や着色力については最大限に機能が発揮されていない。隠蔽力や着色力についてのみ評価した場合には、寧ろ表面処理をしない粉体の方が良好である場合が多い。
【0013】
粉砕や分散の工程が繰り返されると、工程の複雑化やコスト高の面で課題が残る。また、界面活性剤等を分散安定化剤として配合した場合には処方の開発上の制約や配合量等の規制を受け易く好ましくない。更に、親油性液体への親和性が悪く分散性も十分ではなく、塗布色と外観色の相違が生じ易いので満足できるものではなかった。
【0014】
一方、マイカやセリサイト等薄片状の体質顔料の感触をより滑らかにする目的で、或いはより皮膚への付着性を向上させる目的で、表面処理剤の量を増やすと粒子の凝集が更に進み、かつ固体状表面処理層の被覆層が厚くなり感触が重くなり滑らかさが失われる。
【0015】
ネールラッカー等に配合される顔料級の酸化チタンや酸化鉄の場合には、有機溶剤への分散安定性が悪いため経時での色分かれや分離等を引き起こし易く、これを防止するための有効な表面被覆粉体は無く、チクソトロピー性が得られる有機変性粘土鉱物を配合して沈降や色分かれを防止しているのが現状である。
【0016】
紫外線や赤外線を遮蔽する微粒子の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、炭化珪素等は皮膚上での付着性や耐水性の向上、油相成分量が少ないO/W型タイプの乳液やクリーム等の高濃度配合や、微粒子粉体のハンドリングの改善のためにプレ分散ペーストを製造する際に親油性成分へより高濃度に高分散させ安定化を図る等、全ての課題を解決するにはこれまで提案されている被覆粉体のみでは達成できなかった。
【0017】
一方、本発明者等は、粉体基剤を直鎖状の片末端トリアルコキシ基変性ジメチルポリシロキサンで被覆すると粉体粒子の凝集が無く感触が滑らかで皮膚への付着性が良く着色顔料の展色性に優れた粉体が得られることを報告している(特開平5−339518号及び特開平7−196946号公報参照。)。この表面処理剤は粒子表面に被覆された後も常温で液体状の被覆層が形成されるため皮膚への付着性や感触(滑り性)、及び親油性液体への親和性や分散性はこれまでの表面処理粉体より良好であるが更なる粉体機能の向上を求めたとき、被覆量を増やしても親油性液体への分散は必ずしも良くならない。このため、粉体の持つ機能、例えば、皮膚への付着性、感触(使用感)、隠蔽力、着色力、紫外線や赤外線の遮蔽能及び光学特性等をより向上させることができ、かつ親油性液体への親和性が良く分散性に優れた被覆粉体の開発が強く望まれている。
【0018】
また、最近の化粧料は粉体の光学特性を生かした処方設計が行われている。粉体が有する粒子形状、粒度分布、屈折率等によってその粉体の光学特性が決定されるが、粉体粒子の分散性が悪いと、その粉体の持つ本来の光学特性が発現し難く過剰な配合を必要とする。従って、このためにも分散性に優れた粉体が求められる。
【0019】
本発明の目的は、化粧料用粉体に表面処理を施したときに、粉体の分散性と粉体の持つ機能、例えば、皮膚への付着性、感触(使用感)、隠蔽力、着色力、紫外線や赤外線の遮蔽能及び光学特性等をより向上させることができ、特に親油性液体への親和性が良く分散性や分散安定性に優れた、化粧料に使用可能な被覆粉体の開発にある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者等は、次のような考え方と実験に基づいて表面処理剤を2層被覆することにより超分散性を有する、特に親油性液体に対して著しく分散性の優れた表面処理粉体を完成した。即ち、粉体の粒子最表面上に形成される第一被覆層(A層)として強い撥水性や親油性が得られ、かつ均一で極めて強固な表面被覆層が得られ経時でも安定な表面処理剤とは何か、第二被覆層(B層)として第一被覆層を機械的な衝撃力より保護することができ、かつ親油性液体への優れた親和性を有しその結果極めて優れた分散性や分散安定性が得られる表面処理剤とは何かについて鋭意検討したところ、粉体(基剤)の第1層目を固体状を有する表面処理剤で被覆した後、更に第2層目を液体状を有する表面処理剤で被覆したところ、これまでにない高性能な表面処理粉体が得られることを見出した。
【0021】
更に、前記課題を解決すべく研究を進めた結果、化粧料に使用可能な粉体の表面の少なくとも一部上に(その全表面又はその一部表面上に)、少なくとも二つの層、好ましくは粉体の粒子表面上にA層、A層の上にB層を配置し、A層には特定の反応性オルガノポリシロキサン(三次元に架橋反応して樹脂化したものを含む。)、ポリオレフィン、水添レシチン(金属塩等塩の形態にあるものを含む。)、N−アシルアミノ酸(金属塩等塩の形態にあるものを含む。)、脂肪酸(金属塩等塩の形態にあるものを含む。)及びデキストリン脂肪酸エステルの中から選択される化合物(1種又は複数)を含有し、常温で固体状態にある表面処理剤被覆層を、またB層には片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、片末端官能基変性アルキルシラン及び分岐脂肪酸の中から選択される化合物(1種又は複数)を含有し、常温で液体状態にある表面処理剤被覆層を構成することにより、得られる新規被覆粉体が前記課題を解決する粉体として極めて有効であること、特に親油性液体への親和性が極めて良く、その結果分散性に著しく優れていることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0022】
即ち、本発明は、第1の視点において、化粧料に使用可能な粉体と、その粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層とを含有し、当該粒子表面の少なくとも一部上において、A層が被覆され、更にその上にB層が被覆されることを特徴とする表面処理粉体、A層:脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、片末端官能基変性アルキルシラン及び分岐脂肪酸の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層(但し、メチルハイドロジェンポリシロキサン及びトリメチルシロキシケイ酸の中から選択される少なくとも1種の化合物を含有するものを除く。)に存する。
【0023】
また、本発明は、第2の視点において、化粧料に使用可能な粉体と、その粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層とを含有し、当該粒子表面の少なくとも一部上において、A層が被覆され、更にその上にB層が被覆されることを特徴とする表面処理粉体、A層:N−アシルアミノ酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:片末端官能基変性オルガノポリシロキサン及び片末端官能基変性アルキルシランの中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層(但し、メチルハイドロジェンポリシロキサン及びトリメチルシロキシケイ酸の中から選択される少なくとも1種の化合物を含有するものを除く。)に存する。
【0024】
更に、本発明には、このような表面処理粉体を含有することに特徴を有する化粧料にも存する。
【発明の効果】
【0025】
後述するように、本発明の被覆粉体(表面処理粉体)は、前記A、B2層を少なくとも含む被覆層により、分散性に富み、特に親油性液体への親和性が極めて優れている。更に、この粉体は粉体粒子の分散状態によって大きく変わる粉体基剤の機能、例えば皮膚への付着力、感触(使用感;滑り性)、隠蔽力、着色力、紫外線や赤外線の遮蔽能及び光学特性等を従来の表面処理粉体に比較して飛躍的に向上させることができる。また、これらの粉体を配合した本発明の化粧料は、化粧料としてこのように優れた粉体を含むので、その使用性や経時安定性に極めて優れている。
【0026】
本発明の被覆粉体(表面処理粉体)においては、化粧料に使用可能な粉体(基材)であれば、化粧料以外で使用する粉体(基材)に対しても同様に本発明で得られる優れた効果が得られるので、化粧料以外の分野でも同様に本発明の被覆粉体(表面処理粉体)を好適に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の特に好ましい形態として、粉体粒子表面をA層で被覆し、更にその表面をB層で被覆した表面処理粉体を中心に本発明の実施の形態について詳細に説明するが、この特に好ましい形態は本発明に含まれるが、これに本発明が限定されるものではない。
【0028】
本発明に使用する粉体(基材)は、化粧料に使用することができる粉体であり、その平均粒子径は、好ましくは500〜0.01μm程度、より好ましくは100〜0.01μm程度である。
【0029】
本発明に使用される表面処理すべき粉体(基材)としては、通常化粧料に用いられ得る粉体(基材)として使用可能であれば特に制限されない。従って、この粉体(基剤)は化粧料のみならずプラスチックの添加剤、インク、塗料、トナー(磁性粉)等の各種分野で広く使用される表面処理粉体にも適用可能な粉体(基材)である。その場合の平均粒子径は、好ましくは数十μm〜0.01μm程度である。
【0030】
尚、粒子径の測定法に関しては、0.1μm以上の粒子の場合レーザー回折法や、沈降法等が、また0.1μm以下の粒子の場合光子相関法や電子顕微鏡等が使用される。
【0031】
例えば、無機粉体としては、体質顔料として、マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、合成マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム、無水ケイ酸、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、窒化ホウ素、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等を挙げることができる。
【0032】
白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等を、着色顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、カーボンブラック、低次酸化チタン、マンゴバイオレット等を、パール顔料としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、魚鱗箔等を、微粒子粉体としては、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、微粒子酸化セリウム等を、その他の粉体としては、アルミニウムパウダー、ステンレスパウダー等を、それぞれ挙げることができる。これ等の粉体は単独でも複数混合した形態でも使用することができる。
【0033】
また、必要に応じてこれらの粉体を複合化したものを用いることができる。例えば、ベンガラ等の無機着色顔料を無水ケイ酸で被覆した粉体、体質顔料を微粒子白色顔料で被覆した粉体等が挙げられる。
【0034】
有機粉体としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体等や、これ等の単量体の2種以上から成る共重合体、セルロイド、アセチルセルロース、セルロース、多糖類、タンパク質、有機タール色素等を挙げることができる。
【0035】
本発明において、表面処理される粉体の表面が、その少なくとも一部上において少なくともA層とB層で被覆されている。代表的には、粉体粒子表面に接して先ずA層で、A層の上に更にA層の表面に接してB層で、それぞれ当該粒子表面が被覆されている。この場合、粉体粒子の全表面についてA層とB層による二重被覆層を形成するのが本発明の効果が十分に得られる点で望ましいが、粒子表面の一部上でA又はBの層の被覆層のみという場合もあるし、極まれには粉体粒子表面の僅かな一部についてA層、B層何れの被覆層も存在しないこともあり得る。
【0036】
本発明の特徴を害しない範囲で、必要により更に別の層を、例えばA層とB層の層間、A層と粉体(基材)表面との層間に有していてもよい。
【0037】
以下に、具体的に粉体の表面に接してA層、更にA層の表面に接してB層で被覆されている粉体を中心に説明するが、前述の通り本発明はこれに制限されるものではない。
【0038】
A層は粉体粒子表面に接して被覆される表面処理剤被覆層で、常温で固体状を呈しており、一方B層はA層を被覆した粉体粒子表面に接して被覆される表面処理剤被覆層で常温で液体状を呈している。常温で固体状とは、粉体粒子表面に被覆されている表面処理剤被覆層が常温で固体状を呈するものであり、常温で液体状とは、粉体粒子表面に被覆されている表面処理剤被覆層が常温で液体状を呈するものである。従って、粉体粒子表面に被覆された状態において常温で固体状(A層)又は液体状(B層)であればよい。この場合、粒子表面に被覆される前の表面処理剤の状態においては液体状でも、固体状でもよく被覆された状態でそのような目的とする状態をとることが望ましい。
【0039】
尚、常温で固体状或いは常温で液体状とは常温でそれぞれ固体状或いは液体状にあるものを意味するが、特に液体状の判定法として「オイリーな感触」をもって液体状と判定することができる。
【0040】
また、常温で固体状にあるものでもオイリーな感触を示すものがある。例えば、N−ラウロイル−L−リジン、窒化ホウ素、シリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー等は薄片状や球状の粒子形状であるのとそれらの化合物の性質上非常に滑らかな感触を有しているため、これらの化合物で被覆(B層)した粉体はオイリーな感触を示すことがあるが、本発明の効果は得られない。
【0041】
A層は、25℃で測定したときの粘度が0.5〜500csの反応性オルガノポリシロキサンが三次元に架橋反応して樹脂化したもの、トリオルガノシロキシケイ酸、両末端官能基変性オルガノポリシロキサン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、水添レシチン(塩の形態にあるものを含む。)、N−アシルアミノ酸(塩の形態にあるものを含む。)、脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)及びデキストリン脂肪酸エステルの中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層であり、脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)及びN−アシルアミノ酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を必須として含有する。B層は、片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、片末端官能基変性アルキルシラン及び分岐脂肪酸の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層である。
【0042】
本発明において粉体表面上に形成されるA層、B層の被覆層については、本発明のA層或いはB層にそれぞれ使用する前記成分が粉体上に付着しておれば本発明におけるA層或いはB層の表面処理剤被覆層に含まれる。
【0043】
(反応性オルガノポリシロキサン)
反応性オルガノポリシロキサンには、好ましくはオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ポリアルコキシオルガノポリシロキサン、トリオルガノシロキシケイ酸及び両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサン等が含まれる。
【0044】
本発明に使用する反応性オルガノポリシロキサンとしては、特に下記一般式(1)〜(6)の何れかで示される直鎖状又は環状の反応性オルガノポリシロキサンが好ましい。この一般式(1)〜(6)において好ましくは、複数存在する(一の一般式のみならず全ての一般式にわたって)R1は全て相互に独立していて、それぞれ炭素数1〜4の低級アルキル基を、複数存在するR2は全て同様に相互に独立していて、それぞれ水素原子、水酸基及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを、nは2以上の整数を、mは0又は整数を、それぞれ表し、n+mは2〜10000の整数を構成する。
【0045】
[化1]
(R13SiO)(R12SiO)n(R12SiO)m(SiR13) (1)
【0046】
[化2]


【0047】
[化3]


【0048】
[化4]


【0049】
一般式(1)で示される化合物については、nが0や1の場合には粉体粒子表面での反応性が悪く、三次元の網目構造を取らず油状の滑らかな感触を示すようになるが、粉体の疎水化や親油化には寄与しないので好ましくない。
【0050】
一般式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンについては、nが3〜7の整数であることがより好ましい。
【0051】
一般式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンについては、nが2以上でn+mが3〜7の整数であることがより好ましい。上記環状のハイドロジェンポリシロキサンについては、粉体粒子表面で開環して三次元の網目構造を取る。
【0052】
一般式(4)で示されるポリアルコキシオルガノポリシロキサンについては、mが1〜100の整数で、n/mの値が0.5以上であることがより好ましい。
【0053】
本発明に用いる前記一般式(1)〜(4)に含まれる反応性オルガノポリシロキサンは、上記の如く環状、直鎖状等を問わず、三次元に架橋反応し樹脂化(固体化)するものであればよい。粘度については、25℃で測定したときに、好ましくは0.5〜500cs程度、より好ましくは0.5〜100cs程度、更に好ましくは1〜50cs程度の粘度を有する。粘度が0.5cs未満であるものは反応が極めて速いため粉体粒子を凝集させ易く粒子表面に形成される被覆層が物理的な衝撃に極めて弱くはがれ易い。また、500csを超えるものはオイル(油)の延びが悪く粉体粒子表面への均一な被覆が難しい。このような表面処理剤としては、信越化学工業製「KF―99」や「KF―9901」、東レ・ダウコーニング製「SH−1107」、東芝シリコーン製「TSF484」及び「TSF483」、日本ユニカー製「FZ3704」及び「AZ6200」等を使用することができる。
【0054】
下記一般式(5)で示される化合物はトリオルガノシロキシケイ酸である。
【0055】
[化5]
(R13SiO1/2n(SiO2m (5)
【0056】
m、nは整数で、m+nは2〜100の整数を構成し、n/m比率は1.0以下の数値を、それぞれ表すのがより好ましい。
【0057】
ここで、n/mの比率が1.0を超えると、粉体粒子表面の被覆層は固体状の硬い被覆層ではなく、油状の滑らかな被覆層になり、油状の被覆層では強い撥水性や親油性が得られないので好ましくない。
【0058】
本発明にトリメチルシロキシケイ酸を用いる場合、水ガラスのナトリウムをトリメチルシリル基で置換して得られたものを溶媒に溶解したものでM/Q比率(前記一般式(5)においてn/mに対応する比の値)によって硬化被覆層の硬さがコントロールされているものが多く市販されておりそれらを好適に使用できる。例えば、信越化学工業製「KF―7312F」、「KF−7312J」、「KF−7312K」、「KF―9001」、「KF―9002」、「X−21−5249」及び「X−21−5250」、東レ・ダウコーニング製「DC593」、「BY−11−015」、「BY−11−018」及び「BY−11−022」並びに東芝シリコーン製「TSF4600」等を使用することができる。
【0059】
下記一般式(6)で示される化合物は、両末端官能基変性オルガノポリシロキサンであり、両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサンを含む。
【0060】
[化6]
(R23SiO)(R12SiO)n(SiR23) (6)
【0061】
上記一般式中、nは1〜100の整数を表す化合物がより好ましい。
【0062】
本発明に用いる両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサンには、直鎖状又はT型鎖状がありシロキサンの繰り返し単位が1〜100のものが好ましく使用できる。前述の如く、n値が100を超えると粉体粒子表面との反応性が悪くなるのと、反応後の被覆層は半固体状(ゲル状)から液体状になり、その結果よれる感触となり本発明による好ましい効果は得られ難い。容易に入手可能な表面処理剤として、例えば、信越化学工業製「X−24−9817」及び「X−24−9221」等を購入、使用することができる。
【0063】
(ポリオレフィン)
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンとして好ましくは、カルボキシル基を少なくとも1個有するポリオレフィン樹脂を挙げることができる(例えば、本発明者等の提案による特開昭63−179972号公報参照。)。例えば、分子量500〜20000で融点が40℃以上の低分子ポリエチレンや、ポリプロピレンを酸化して得られる酸化ポリエチレン、マレイン化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン等の市販品を使用することができる。
【0064】
(水添レシチン)
水添レシチン(塩の形態にあるものを含む。)は、卵黄、大豆、コーン、菜種等から抽出された天然のレシチン、及び合成レシチンを水素添加したもので、ヨウ素価が好ましくは30以下、より好ましくは15以下の水添レシチンであり、リン酸基を有するグリセライドである。塩の形態にあるものとしては、Al、Mg、Ca、Zn、Zr、Ti等の水不溶性水添レシチン金属塩が好ましい。50℃以上の融点を有する水添レシチン(塩の形態にあるものを含む。)が特に好ましい(例えば、本発明者等の提案による特開昭60−184571号、特開昭60−190705号、特公平4−58443号公報等参照。)。簡便には、例えば、旭化成工業製「水添卵黄油No.5」や日清製油製水素添加大豆リン脂質(「ベイシスLS−60HR」)等の市販品を購入、使用することができる。
【0065】
(N−アシルアミノ酸)
N−アシルアミノ酸はアミノ酸のアミノ基及び/又はイミノ基がアシル化されたものである。N−アシルアミノ酸を構成するアミノ酸としては1種でも複数混合物でもよい。N−アシルアミノ酸を構成するアミノ酸については、L−体、D−体、DL−体が存在する場合、何れの異性体でもよいし、その複数混合物でもよい。天然に存在する異性体L−体がより好ましい。
【0066】
アミノ酸の種類としては、グリシン、アラニン、β−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、セリン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、チロシン、メチオニン、シスチン、システイン等を挙げることができる。
【0067】
N−アシル体を構成する脂肪酸は、好ましくは炭素数1〜23の、飽和又は不飽和の脂肪酸、或いは炭素数1〜23の、飽和又は不飽和の脂環式構造を有する脂肪酸を挙げることができる。例えば、N−アシル化グリシン、N−アシル化−N−メチル−β−アラニン、N−アシル化グルタミン酸やこれ等の塩を挙げることができる(本発明者等の提案による、特開昭61−73775号、特公平1−50202号公報等参照。)。
【0068】
構成する脂肪酸としては長鎖脂肪酸が好ましく、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、樹脂酸(アビエチン酸)等を挙げることができる。
【0069】
N−アシルアミノ酸はフリー体又は塩の形態で使用することができるが、塩の形態としてはNa、K、Ba、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al、Zr、Ti等の金属塩や、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリイソプロパノールアミン等の各種アルカノールアミン塩等を挙げることができる。
【0070】
簡便には購入、使用することができ、例えば、N−ヤシ油脂肪酸によるアシル化−又はN−ラウロイル−β−アラニン(川研ファインケミカル製)及びそのCa、Al塩、ミリストイルシルクアミノ酸(PHYTOCOS社:仏国)及びそのAl塩並びにN−ラウロイル−L−リジン及びN−ステアロイル−L−グルタミン酸(味の素製)等が好ましい。
【0071】
N−アシル化方法については公知の方法(例えば、特開平6−256274号公報や、特表平7−502010号公報等参照。)を利用して行うことができる。例えば、シルク、パール等動物や、小麦、大豆等の植物に由来するタンパク質を全加水分解して得られるアミノ酸に対して、例えば長鎖脂肪酸を使用してN−アシル化を行い、更に必要により塩を構成して得られるN−アシルアミノ酸を使用することもできる。このN−アシル体を調製するために使用するアミノ酸としては、グリシン、L−アラニン、L−バリン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−スレオニン、L−セリン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−リジン、L−アスパラギン酸及びL−グルタミン酸の少なくとも14種を含むものが好ましく、L−チロシン、L−メチオニン、L−シスチン、L−システイン等のN−アシル体を含んでもよい。
【0072】
(脂肪酸)
本発明に使用する脂肪酸については、前記N−アシルアミノ酸を構成する脂肪酸について説明した脂肪酸を採用することができる。塩の形態にあるものも含まれるが。その塩についても前記N−アシルアミノ酸が塩の形態にある場合に説明された塩の内容がそのまま採用される。特に、炭素数が12〜26までの直鎖状の飽和脂肪酸、例えば、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等の脂肪酸、或いはそのCa、Mg、Zn、Zr、Al、Ti等の金属塩が好ましい(例えば、本発明者等の提案による特開昭60−69011号公報参照。)。特に、40℃以上の融点を有する脂肪酸が適している。
【0073】
尚、炭素数が12より少ないと皮膚刺激の問題が生じ易く、一方、炭素数が26より大きいと反応性が悪くなり本発明で得られる効果が得られ難い。
【0074】
(デキストリン脂肪酸エステル)
本発明に使用するデキストリン脂肪酸エステルについては特に制限は無く、デキストリンと脂肪酸とで構成されるエステル或いはその誘導体から選択することができる。好ましくは、デキストリン1分子に対し、その水酸基の1つに炭素数8〜24の脂肪酸の1分子がエステル化した部分構造を少なくとも有するエステル体或いはその誘導体、例えばデキストリン1分子に対し炭素数8〜24の脂肪酸が1個又は複数個、その水酸基の1個又は複数個にエステル結合した構造を有するエステル体や当該エステル体において水酸基が更に別種の脂肪酸でエステル化された誘導体等を挙げることができる。
【0075】
前記エステル体のエステル化度として、好ましくは30〜95%程度、より好ましくは50〜90%程度のエステル化度を採用することができる。エステル化度が30%未満の場合は親油性が不十分であり、一方95%より大きい場合は粉体粒子表面との固着性が悪くなるので、何れも好ましくない。具体的には、デキストリンミリスチン酸エステル、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリンヤシ油脂肪酸エステル、デキストリンベヘン酸エステル、デキストリンパルミチン酸2−エチルヘキサン酸エステル等が挙げられる。必要により、常法に基づいて調製することができるが、このような処理剤を簡便に入手するには、例えば「レオパールKL」、「レオパールMKL」、「レオパールTT」、「レオパールKE」及び「レオパールTL」(以上、何れも千葉製粉製)等の市販品を購入して、そのまま使用することもできる。
【0076】
以上に説明の各種表面処理剤を、本発明の表面処理剤被覆層(A層)の構成のために使用する場合、上記何れか1種のみ或いはその複数を混合して表面処理剤として使用し目的とする表面処理を行い被覆層(A層)を構成することができる。但し、A層は、脂肪酸(その塩を含む。)及びN−アシルアミノ酸(その塩を含む。)の中から選ばれた1種以上の化合物を必須として含有する。
【0077】
(片末端官能基変性オルガノポリシロキサン)
本発明でB層の表面処理剤被覆層として使用する片末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサン等片末端官能基変性オルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(7)で示される化合物が好ましい。
【0078】
[化7]
(R33SiO)(R32SiO)n(SiR43) (7)
【0079】
上記一般式中、好ましくは、複数存在するR3は全て相互に独立していて、それぞれ炭素数1〜10の、飽和若しくは不飽和の炭化水素基を、複数存在するR4は全て相互に独立していて、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子(Cl、Br、I等)、シラザン基、イソプロペノキシ基及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを、nは10〜100の整数を、それぞれ表す。
【0080】
n値が10未満のときは、反応が速過ぎるため粉体粒子表面に付着した微量の水分や粉体の酸点や塩基性点により加水分解が促進されて架橋重合してしまい、被覆層はゲル状(半固体状)を呈し、目的とする油状の被覆層が得られない。また、n値が100を超えると、反応性が極端に悪くなり粉体粒子表面の被覆層が不均一になるため親油液体への分散性は期待できず、疎水化及び親油化には寄与しない。
【0081】
このようなB層のための表面処理剤として簡便には、信越化学工業製「X−24−9826」、「X−24−9171」及び「X−24−9174」等があり、これを購入、使用することができる。
【0082】
(片末端官能基変性アルキルシラン)
片末端官能基変性アルキルシランには片末端官能基変性アルキルトリアルコキシシラン等の各種シラン誘導体が含まれ、下記一般式(8)で示される化合物を使用するのが特に好ましい。
【0083】
[化8]
5SiR63 (8)
【0084】
上記一般式中、好ましくは、R5は炭素数6〜30の直鎖若しくは側鎖を有するアルキル基を、複数存在するR6は全て相互に独立していて、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子(Cl、Br、I等)、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを、それぞれ表す。
【0085】
5の炭素数が6未満のときはオイリーな感触が得られず、一方30を超えると反応性が極端に悪くなり、粉体粒子表面の被覆層が不均一になり易い。その結果、親油性液体への分散性が得られ難く、処理する粉体の疎水化及び親油化に寄与しないばかりか、固体被覆層になってしまい本発明で得られる効果、オイリーな感触が得られ難い。
【0086】
簡便には、このような表面処理剤を市販品、例えば東芝シリコーン製「TSL8185」及び「TSL8186」、チッソ製「SIO6645.0」、信越化学製「KBM−3103」並びに日本ユニカー製「A−137」等を購入、使用することができる。
【0087】
(分岐脂肪酸)
本発明に使用する分岐脂肪酸については、分岐したアルキル基を有する脂肪酸であれば特に制限は無い。粉体に処理したときにオイリーな感触が得られかつ分散性に優れているものとしては、炭素数8〜22の分岐脂肪酸を使用するのが好ましい。具体的には、イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソベヘン酸等の市販品を購入、使用することができる。炭素数が8より小さい場合、また22より大きい場合には何れも本発明の効果が得られず好ましくない。
【0088】
以上に説明の各種表面処理剤を使用する場合、何れか1種のみでも或いは複数を混合して表面被覆処理をしてもよい。
【0089】
前記B層に使用する処理剤は粉体の最外層を覆っている化合物であり処理された粉体の分散性や感触等に大きく影響する。これらの処理剤は片末端にのみ官能基を有するため主鎖の分子であるオルガノポリシロキサン鎖、直鎖アルキル鎖や分岐アルキル鎖は自由に運動できる状態にあり親油性液体への分散性やオイリーな感触の性能はこの主鎖の長さによるところが大きい。片末端官能基変性オルガノポリシロキサンの場合、重合度が10〜100程度のもので、片末端官能基変性アルキルシランの場合、アルキル基の炭素数が6〜30程度のもので、分岐脂肪酸の場合、炭素数8〜22程度のもので、それぞれ被覆するとオイリーな感触で超分散性を有する表面処理粉体が得られる。
【0090】
片末端官能基変性オルガノポリシロキサンの場合、前記重合度が10未満のものを被覆するとオイリーな感触が少なくなり分散性がやや劣り、特に親油性液体に分散した場合には、本発明で特徴的な分散性及び分散安定性は得られない。その理由としては、オルガノシロキサン鎖が短いために親油性液体との親和性が不十分であることによるものと推測される。
【0091】
前記重合度範囲が高過ぎたり(100を超える場合)或いは一方片末端官能基変性アルキルシランや分岐脂肪酸のアルキル基の炭素数が多過ぎる場合(30を超えたり、或いは炭素数が24を超える場合)、極端に反応性が低下するため、疎水化や親油化度が低くなると共にべとつく重い感触になることが多い。
【0092】
(粉体への被覆量について)
粉体粒子表面に固体状被覆層(A層)を形成する表面処理剤の配合量については、粒子表面を均一に覆う一歩手前の量が好ましい。粉体表面を完全に被覆できる量で処理すると、粒子を凝集させ易くなるので、それを回避するためである。粒子表面を均一に覆う一歩手前の量とは、粉体にA層のみを被覆した粉体を評価したときに、本願明細書、実施例の評価項目の一つである被覆粉体の評価方法中被覆の均一性試験で乳化層を形成するような被覆量のことである。
【0093】
本発明においては、A層は常温で固体状であることが必要である。それは、常温で液体状の化合物よりも粉体粒子の最表面を必要最少限の量で均一な親油化膜として被覆することが容易なためである。また、B層は常温で液体状であることが必要である。それは、粉体粒子の最外層を液体の分子で覆うことによって、粒子表面の性質をリキッドライクにすることができるからである。また、外観は粉末状であるが、ミクロ的に観ると粉体粒子が液体に分散している様な状態になることが望ましく、そのために必要な被覆量が選択される。これらの液体分子が粒子表面に被覆されているために粉体粒子が接近しても凝集することなく優れた分散性が得られるものと考えられる。また、粉体粒子表面は既に濡れているいるために親油性液体への親和性に優れ分散性が極めて良好となる。特に、親油性液体中では被覆されたB層の液体分子が延びて分散し、また粒子同士の接触の障害になり分散安定化が達成されるものと考察される。これらA層とB層の化合物は被覆される粉体が配合される系や分散媒である親油性液体の種類によって適宜選択される。例えばバインダーを添加しないプレストパウダーを作りたいときは、A層をデキストリン脂肪酸エステルで被覆しB層を分岐脂肪酸で被覆する。シリコーンオイルへの分散性が必要なときにはA層をオルガノポリシロキサンで被覆しB層を片末端官能基変性オルガノポリシロキサンで被覆する。揮発性炭化水素への分散性が必要なときにはA層を脂肪酸で被覆しB層を片末端官能基変性アルキルシランで被覆する。エステル油への分散性が必要なときにはA層をN−アシルアミノ酸で被覆してB層を分岐脂肪酸で被覆する等の選択が可能である。
【0094】
本発明において「親油性液体」とは、化粧料に使用される水難溶性の常温で液体又は固体状の油性原料である。具体的には、サフラワー油、大豆油、月見草油、ブドウ種子油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、アルモンド油、ゴマ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ油、綿実油、アボガド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、ラッカセイ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、カカオ脂、シア脂、木ロウ、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、馬脂、ミンク油、乳脂、卵黄油、タートル油等の油脂類、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油等のロウ類、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸、ヒドロキシステアリン酸、ラノリン脂肪酸等の脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール、バチルアルコール、コレステロール、フィトステロール、ラノリンアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリカプリル酸グリセリル等のエステル類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロテトラシロキサン等のシリコーン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン等の有機溶剤、アニオン、カチオン、ノニオン、両性界面活性剤等が例示される。常温で固体状の親油性液体に本発明の被覆粉体を分散させる方法としては、その親油性液体を融点以上の温度に加熱して液化した状態で粉体を分散させるとよい。この方法は、例えば口紅等の常温で固体状のワックス等を多く配合する剤型に普通に行われている方法である。
【0095】
また、固体状被覆層を形成する表面処理剤量は、重量比較で液体状の表面処理剤量と同じかそれ以下が好ましい(A≦B)。従って、これら常温で固体状の被覆層を形成する表面処理剤、及び常温で液体状の被覆層を形成する表面処理剤でそれぞれ粉体表面を被覆処理するが、それらの粉体への配合比率については、液体状被覆層用の表面処理剤量(B層)が固体状被覆層用の表面処理剤量(A層)以上(重量)となるように配合することが好ましい。
【0096】
固体状被覆層用の表面処理剤量の方が液体状被覆層用の表面処理剤量よりも多い(重量)と、得られる表面処理粉体の親油性液体への分散性がやや悪い傾向にある。
【0097】
前述の如く、固体状被覆層用の表面処理剤量は粉体粒子を均一に被覆することができる必要最少量であることが好ましく、必要最少量より多いと粉体粒子を凝集させるだけであり常温で液体状を有する被覆層のための表面処理剤で被覆しても、得られる表面処理粉体について親油性液体への優れた分散性は得られない。必要最少量は粉体の種類や処理の方法によって変化するので予め実験を行って適当な被覆量をチェックすることが必要である。
【0098】
これらの常温で固体状を有するA層の表面処理剤の被覆量については、本発明において処理する粉体の種類やその比表面積により異なるが、表面処理する前の粉体に対して好ましくは0.1〜15重量部程度、より好ましくは0.1〜10重量部程度、更に好ましくは0.5〜6重量部程度である。被覆量が0.1重量部より少ないと粉体粒子表面の均一な被覆層が得られず、一方15重量部より多いと粉体粒子を凝集させるだけであり常温で液体状を有する被覆層用の表面処理剤で被覆しても、得られる表面処理粉体の親油性液体への優れた分散性は得られ難い。
【0099】
同様に、B層の表面処理剤の被覆量については、表面処理する前の粉体に対して好ましくは0.1〜30重量部程度、より好ましくは0.5〜20重量部程度、更に好ましくは0.5〜15重量部程度である。上記範囲未満の場合、感触、皮膚への付着性、分散性が悪く、一方上記範囲を超えると粉体粒子表面と反応しないフリーの処理剤が多くなるだけで、得られる表面処理粉体の親油性液体への分散性は向上しないので、それぞれ好ましくない。
【0100】
(被覆方法)
本発明で、処理すべき粉体の第1層目にA層、好ましくは常温で固体状被覆層形成のための表面処理剤を、第2層目にB層、好ましくは常温で液体状被覆層形成のための表面処理剤を被覆する方法としては、表面処理剤の被覆方法として知られている方法を適宜採用することができる。例えば、
1.ヘンシルミキサーやスーパーミキサー等で、例えば固体状の表面処理剤を混合後、液体状の表面処理剤を混合し乾燥する乾式法;
2.ボールミルやサンドグラインダー等のメカノケミカル型のミルで水や有機溶媒中に処理すべき粉体を分散させた後、例えば固体状の表面処理剤を混合固着し、例えば液体状の表面処理剤を混合した後、溶媒を除去して乾燥する方法;及び
3.発明者等が提案した特公平6−59379号公報に記載のJETミルのような高速気流中で処理すべき粉体と、例えば固体状の表面処理剤を接触させ被覆後更に、例えば液体状の表面処理剤を接触させて被覆する方法等が挙げられる。特に、サブミクロン以下の一次粒子径を有する微粒子粉体にはジェット(JET)法による処理方法を採用するのが好ましい。
【0101】
ここで使用する「処理方法」とは、一般に粉体(基剤)の表面処理に適用できる疎水化の処理方法であればよく親油性液体への分散性はやや劣るが、A層、好ましくは常温で固体状の表面処理剤と、B層、好ましくは常温で液体状の表面処理剤とを混合して同時に被覆することも可能である。
【0102】
更に、本発明において表面処理される粉体は、表面処理剤との親和性や固着性の向上を図るべく、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、セリウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル及びスズの少なくとも1種の酸化物又は含水酸化物で被覆されていてもよい。このような場合、このように被覆された粉体が本発明において被覆処理される粉体や処理すべき粉体等の、本発明のA層を被覆する前の粉体(基材)に該当する。
【0103】
このようにして得られる被覆粉体の化粧料への配合量については、化粧料の性質に応じて任意に選択されるが、全組成中に好ましくは0.1〜100重量%程度、より好ましくは1〜100%程度、更に好ましくは1〜99重量%程度である。このときの全組成中には親油性液体を含有していてもよい。例えば、化粧水に収斂剤として微量の微粒子酸化亜鉛を0.1重量%程度配合する場合もある。一方、処方全体に油性剤が数重量%配合される粉白粉や固形白粉等についてはその油性剤を配合しないで処方化が可能である。
【0104】
また、これらの被覆粉体には必要に応じて、本発明で得られる被覆粉体の1種又は2種以上を配合することができる。
【0105】
更に、本発明の被覆粉体は他の従来から使用されている粉体を使用することなく単独で化粧料等に配合するのが、本発明の効果をより発現する点で好ましいが、本発明の効果を害しない範囲で従来から使用される粉体を一部混合使用することもできる。
【0106】
本発明で得られる2層被覆した粉体を配合する化粧料としては、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、スティックファンデーション、プレストパウダー、フェイスパウダー、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、水性ネイルエナメル、油性ネイルエナメル、乳化型ネイルエナメル、エナメルトップコート、エナメルベースコート等の仕上用化粧品、エモリエントクリーム、コールドクリーム、美白クリーム、乳液、化粧水、美容液、カーマインローション、液状洗顔料、洗顔フォーム、洗顔クリーム、洗顔パウダー、メイククレンジング、ボディグロス等の皮膚用化粧品、ヘアーグロス、ヘアクリーム、ヘアーシャンプー、ヘアリンス、ヘアカラー、ヘアブラッシング剤等の頭髪用化粧品、その他として日焼け止め又は日焼け用クリームや乳液、石鹸、浴用剤、香水等を挙げることができる。
【0107】
本発明において表面処理剤を2層(A層とB層)被覆した粉体を配合する化粧料には、発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料等に用いられる顔料分散剤、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、保湿剤、増粘剤、染料、顔料、香料等を適宜配合することができる。
【0108】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。尚、本発明の被覆粉体(表面処理粉体)を以後「マイブリッド処理粉体」と称する。当然のことながら、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0109】
(実施例1)
以下、本発明のマイブリッド処理粉体の製造例を示す。
【0110】
[実施例1−1]マイブリッド処理マイカ
「マイカM―102」(三好化成製)100重量部に、トリメチルシロキシケイ酸50重量%液(信越化学工業製「KF―9002」)3重量部及び50%イソプロパノール水溶液10重量部を加え、ジャケット付き高速ヘンシルを用いて減圧下80℃で30分混合した。更に、重合度が20で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「X−24−9174」)3重量部及び50%イソプロパノール水溶液5重量部を加えジャケット付き高速ヘンシルを用いて減圧下100℃で60分間混合してマイブリッド処理マイカを得た。
【0111】
[実施例1−2]マイブリッド処理セリサイト
実施例1−1において「マイカM―102」をセリサイト(三信鉱工製「FSE」)に代えて、同様の処理を行い、マイブリッド処理セリサイトを得た。
【0112】
[実施例1−3]マイブリッド処理タルク
実施例1−1においてマイカをタルク(浅田製粉製「JA−46R」)に代えて、同様の処理を行い、マイブリッド処理タルクを得た。
【0113】
[参考例1−4]マイブリッド処理マイカ:同時被覆
「マイカM―102」(三好化成製)100重量部にトリメチルシロキシケイ酸50重量%液(信越化学工業製「KF―9002」)を3重量部と重合度が10で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「X−24−9174」)を1.5重量部加え更に50%イソプロパノール水溶液を15重量部加えジャケット付き高速ヘンシルを用いて減圧下100℃で60分間混合してマイブリッド処理マイカを得た。なお、後述の表1(A)、(B)、(C)及び表2に「実施例1−4」とあるのは、「参考例1−4」であるものとする。
【0114】
[実施例1−5]マイブリッド処理雲母チタン
実施例1−1においてマイカを雲母チタン(マールコーポレーション製「クロイゾネオレンジ(Cloisonne orange)」に代えて、同様の処理を行い、マイブリッド処理雲母チタンを得た。
【0115】
[実施例1−6]マイブリッド処理シリカビーズ
実施例1−1においてマイカをシリカビーズ(触媒化成工業製「P−1500」)に代えて同様に処理を行い、マイブリッド処理シリカビーズを得た。
【0116】
(比較例1)
以下、比較のために固体状表面処理剤のみ、或いは液体状表面処理剤のみを被覆した粉体の製造例を示す。
【0117】
[比較例1−1]トリメチルシロキシケイ酸処理マイカ:固体状
「マイカM―102」(三好化成製)100重量部にトリメチルシロキシケイ酸50重量%液(信越化学工業製「KF―9002」)6重量部及び50%イソプロパノール水溶液15重量部を加えジャケット付き高速ヘンシルを用いて減圧下100℃で60分間混合してトリメチルシロキシケイ酸処理マイカを得た。
【0118】
[比較例1−2]ジメチルポリシロキサン処理マイカ:液体状
「マイカM―102」(三好化成製)100重量部に重合度が20で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「X−24−9174」)3重量部を加え、更に50%イソプロパノール水溶液を15重量部加え減圧下100℃で60分間混合してジメチルポリシロキサン処理マイカを得た。
【0119】
[比較例1−3]ジメチルポリシロキサン処理雲母チタン:液体状
比較例1−2においてマイカを雲母チタン(マールコーポレーション製「クロイゾネオレンジ(Cloisonne orange))に代えて同様に処理しジメチルポリシロキサン処理雲母チタンを得た。
【0120】
[比較例1−4]トリメチルシロキシケイ酸処理セリサイト:固体状
比較例1−1においてマイカをセリサイトに代えて同様に処理を行い、トリメチルシロキシケイ酸処理セリサイトを得た。
【0121】
[比較例1−5]トリメチルシロキシケイ酸処理タルク:固体状
比較例1−1においてマイカをタルクに代えて同様に処理を行い、トリメチルシロキシケイ酸処理タルクを得た。
【0122】
[比較例1−6]トリメチルシロキシケイ酸処理シリカビーズ:固体状
比較例1−1においてマイカをシリカビーズに代えて同様に処理を行い、トリメチルシロキシケイ酸処理シリカビーズを得た。
【0123】
[比較例1−7]ステアリン酸とN−ラウロイル−L−リジン処理マイカ:固体状
「マイカM−102」(三好化成製)100重量部にステアリン酸(日本油脂製「SK−1」)1.5重量部を加え高速ヒーターヘンシルを用いて80℃で15分間混合した。次に、これにN−ラウロイル−L−リジン(味の素製「アミホープLL」)を4重量部加えて高速ヒーターヘンシルを用いて80℃で15分間混合した後、105℃に昇温して3分間混合してステアリン酸とN−ラウロイル−L−リジン処理マイカを得た。
【0124】
(実施例2及び参考例2)
以下、別種の粉体について、本発明及び参考例のマイブリッド処理粉体の製造例を示す。
【0125】
[実施例2−1]マイブリッド処理二酸化チタン
二酸化チタン(石原産業製「CR―50」)100重量部にミリスチン酸(花王製「LUNAC MY―98」)を2重量部と「IPソルベント」(出光石油化学製)20重量部を加え減圧ニーダーで減圧下50℃で60分混練した。更に、重合度が50で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「X−24−9826」)を3重量部とイソプロピルアルコール30重量部減圧下100℃で60分間混練した後アトマイザーを通してマイブリッド処理二酸化チタンを得た。
【0126】
[参考例2−2]マイブリッド処理黄酸化鉄
実施例2−1において二酸化チタンを黄酸化鉄(チタン工業製「マピコイエローレモン」)に代えて、また固体状の表面処理剤としてミリスチン酸をミリスチン酸デキストリン(千葉製粉製「レオパールMKL」)に代えて、実施例2−1と同様の処理を行い、マイブリッド処理黄酸化鉄を得た。なお、後述の表1(A)、(B)、(C)、表2〜表4、表6〜表8及び表12に関する記載において、「実施例2−2」の記載は、「参考例2−2」であるものとする。
【0127】
[実施例2−3]マイブリッド処理ベンガラ
実施例2−1において二酸化チタンをベンガラ(森下弁柄製「ベンガラ七宝」)に代えて、また液体状の表面処理剤として片末端トリメトキシシリルジメチルポリシロキサンをイソステアリン酸(ヘンケルジャパン製「イソステアリン酸871」)に代えて、実施例2−1と同様の処理を行い、マイブリッド処理ベンガラを得た。
【0128】
[実施例2−4]マイブリッド処理黒酸化鉄
実施例2−1において二酸化チタンを黒酸化鉄(チタン工業製「BL―100」)に代えて、実施例2−1と同様の処理を行い、マイブリッド処理黒酸化鉄を得た。
【0129】
(比較例2)
以下、比較のために固体状表面処理剤のみ、或いは液体状表面処理剤のみを多量に処理被覆した粉体等の製造例を示す。
【0130】
[比較例2−1](固体状表面処理剤を多量被覆)ミリスチン処理二酸化チタン
二酸化チタン(石原産業製「CR―50」)100重量部にミリスチン酸(花王製「LUNAC MY―98」)を6重量部とメチルエチルケトン20重量部を加え減圧ニーダーで減圧下100℃で60分間混練した後アトマイザーを通してミリスチン処理二酸化チタンを得た。
【0131】
[比較例2−2](液体状表面処理剤を多量被覆)ジメチルポリシロキサン処理二酸化チタン
二酸化チタン(石原産業製「CR―50」)100重量部に重合度が50で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「X−24−9826」)を6重量部とイソプロピルアルコール30重量部を加え減圧ニーダーで減圧下100℃で60分間混練した後アトマイザーを通してジメチルポリシロキサン処理二酸化チタンを得た。
【0132】
[比較例2−3](第2層目に液体状油性剤を被覆)ミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理二酸化チタン
実施例2−1の二酸化チタンをミリスチン酸の固体状表面処理剤で被覆処理後、非反応性の重合度が約50の直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「KF―96」(100cs))を3重量部とイソプロピルアルコール30重量部を加え減圧ニーダーで減圧下100℃で60分間混練し、アトマイザーを通してミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理二酸化チタンを得た。
【0133】
[比較例2−4]ミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理黄酸化鉄
比較例2−2において二酸化チタンを黄酸化鉄(チタン工業製「マピコイエローレモン」)に代えて、比較例2−2と同様の処理を行い、ミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理黄酸化鉄を得た。
【0134】
[比較例2−5]ミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理ベンガラ
比較例2−2において二酸化チタンをベンガラ(森下弁柄製「ベンガラ七宝」)に代えて、比較例2−2と同様の処理を行い、ミリスチン酸とジメチルポリシロキサン処理ベンガラを得た。
【0135】
(参考例3)
以下、一次粒子径がサブミクロン以下の微粒子粉体について参考例のマイブリッド処理
粉体の製造例を示す。
【0136】
[参考例3−1]マイブリッド処理微粒子酸化チタン
微粒子酸化チタン(石原産業製「TTO−55A」)100重量部に80℃の熱湯水3重量部とレシチン(旭化成製「レシチン5」)2重量部の溶解物を加えヘンシルミキサーで5分間混合した。これらの混合物をJETミル(ドイツ、アルピネ社製100AFG型)を用いて粉砕同時処理をした後、更にアルキル基の炭素数が18のオクタデシルトリメトキシシラン(東芝シリコン製「TSL8186」)4重量部を加えヘンシルミキサーで5分間混合した。更に、JETミルを用いて粉砕同時処理をした後130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化チタンを得た。
【0137】
[参考例3−2]マイブリッド処理微粒子酸化亜鉛
微粒子酸化亜鉛(堺化学製「FINEX−50」)100重量部とマレイン化ポリエチレン(日本石油製「POWAX S−30」)3重量部をヒーターヘンシルで品温が60℃になってから5分間混合した。これらの混合物をJETミル(ドイツ、アルピネ社製100AFG型)を用いて粉砕同時処理をした後、更にアルキル基の炭素数が18のオクタデシルトリメトキシシラン(東芝シリコン製「TSL8186」)4重量部を加えヘンシルミキサーで5分間混合した。更に、JETミルを用いて粉砕同時処理をした後130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化亜鉛を得た。
【0138】
[参考例3−3](固体状表面処理剤量が液体状表面処理剤量より多い場合)マイブリッド処理微粒子酸化チタン
参考例3−1においてレシチンを4重量部に増加し同様の処理を行い、更にオクタデシルトリメトキシシラン2重量部を加え同様の処理を行いマイブリッド処理微粒子酸化チタンを得た。
【0139】
[参考例3−4]マイブリッド処理微粒子酸化亜鉛
微粒子酸化亜鉛(堺化学製「FINEX−50」)100重量部とマレイン化ポリエチレン(日本石油製「POWAX S−30」)3重量部をヒーターヘンシルで品温が60℃になってから5分間混合した。これらの混合物をJETミルで粉砕同時処理をした後、更にアルキル基の炭素数が18のオクタデシルトリメトキシシラン5重量部と重合度が50で片末端トリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン5重量部を加えヘンシルミキサーで5分間混合した。更に、JETミルを用いて粉砕同時処理をした後130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化亜鉛を得た。
【0140】
[参考例3−5]マイブリッド処理微粒子酸化亜鉛
微粒子酸化亜鉛(堺化学製「FINEX−50」)100重量部とマレイン化ポリエチレン(日本石油製「POWAX S−30」)3重量部をヒーターヘンシルで品温が60℃になってから5分間混合した。更に、アルキル基の炭素数が18のオクタデシルトリメトキシシラン5重量部と重合度が50で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン5重量部を加えヘンシルミキサーで5分間混合した。更に、JETミルを用いて粉砕同時処理をした後130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化亜鉛を得た。なお、後述の表1(A)、(B)、(C)、表2、表12及び表15に関する記載における、「実施例3−1」、「実施例3−2」、「実施例3−3」、「実施例3−4」及び「実施例3−5」の各記載は、それぞれ「参考例3−1」、「参考例3−2」、「参考例3−3」、「参考例3−4」及び「参考例3−5」であるものとする。
【0141】
(比較例3)
以下、上記アルキルシランの重合度が8の表面処理剤で被覆した粉体の製造例を示す。
【0142】
[比較例3−1]アルキルシラン処理微粒子酸化チタン
特開平8−92052号公報記載の製造例1.の方法で微粒子酸化チタン(石原産業製「TTO−55A」)をアルキル基の炭素数が8のオクチルトリメトキシシラン6重量部で表面処理を行いアルキルシラン処理微粒子酸化チタンを得た。
【0143】
[比較例3−2]アルキルシラン処理微粒子酸化チタン
参考例3−1においてアルキル基の炭素数が18のオクタデシルトリメトキシシランを炭素数4のブチルトリメトキシシラン(チッソ製「SIB1988.0」)に代えて同様の処理を行いアルキルシラン処理微粒子酸化チタンを得た。
【0144】
[比較例3−3]アルキルシラン処理微粒子酸化亜鉛
参考例3−2においてオクタデシルトリメトキシシランをブチルトリメトキシシランに代えて同様の処理を行いアルキルシラン処理微粒子酸化亜鉛を得た。
【0145】
上記の如く得られた本発明のマイブリッド処理粉体と参考例と比較例の処理粉体について下記の試験方法による評価を行った。結果を表1、(A)〜(C)と表2に示した。
【0146】
[表1]
(A)

【0147】
(B)

【0148】
(C)

【0149】
[表2]

【0150】
(1)被覆の均一性試験
水50ccとヘキサン50ccを100ccの透明硝子瓶に入れ更に粉体試料を0.5gを加え栓をする。手で強く20回振とう後50℃で1週間放置して、更に手で強く20回振とうし静置した後、粉体を観察し3段階評価を行った。
【0151】
水層に移行していない ―――― ○
乳化層ができた ―――― △
水層に移行した ―――― ×
【0152】
(2)吸油量
粉体試料20gを採り油性剤A:ジメチルポリシロキサン(信越化学工業製:KF―96(20cs))、油性剤B:イソノナン酸イソトリデシル(日本エマルジョン製:INTD−139)及び油性剤C:流動パラフィン(エッソスタンダード石油製:クリストール72)の各油性剤を100ccのビューレットに満たし少量ずつ滴下しながらヘラで練り合わせ粉体試料が各油性剤で均一に濡れた塊になった油性剤量(%)を湿潤点とする。更に、油性剤を滴下して粉体試料が油性剤とともに流動し始める油性剤量を流動点とする。
【0153】
(3)粒度
前記(2)の吸油量試験で調製した流動点の試料をレーザー回折式粒度測定装置(島津製作所製:SALD−2000J)の高濃度粒度測定装置を用いてD50とD95を測定した。
【0154】
(4)感触(使用感;滑り性)
8cm×5cm片のコラーゲンペーパー(出光化学社製、商品名:サプラーレ)上に粉体を1mg/cm2の条件で塗布し往復動摩擦係数測定試験器(カトーテック社製)にセットし無塗布のコラーゲンペーパーを載せ、更に50g/cm2の荷重をかけて5回の往復運動を行い動摩擦係数(MIU)の平均値を求めた。
【0155】
(5)隠蔽力
前記実施例及び比較例で得られた顔料級酸化チタンを10gとカーボンブラック(三菱化学製)0.5gと「タルクJA−46R」(浅田製粉製)79.5gを混合しアトマイザーで粉砕後、ジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「KF―96」(100cs))10gを混合しアトマイザーで粉砕した。各試料について色差計(日本電色工業(株):SZ−Σ90)にて白色度を測定した。
【0156】
(6)着色力
前記実施例、参考例及び比較例で得られたベンガラと黄酸化鉄を3gと酸化チタン(石原産業製「CR―50」)10gと「タルクJA−46R」(浅田製粉製)77.0gを混合しアトマイザーで粉砕後、ジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「KF―96」(100cs))10gを混合しアトマイザーで粉砕した。各試料について色差計(日本電色工業(株):SZ−Σ90)にてL,a,b値を測定した。
【0157】
(7)in−vitro SPF値測定
参考例及び比較例の微粒子酸化チタン及び微粒子酸化亜鉛の試料を、各々1g採りポリブテン(日本油脂製)9gを加えヘラで混ぜ合わせた後、フーバーマーラーで25回転×1回(荷重22.68kg)の条件で分散しSPFアナライザー(OPTOMETORICS社:米国)でSPF値を測定した。
【0158】
(8)光学特性
被覆粉体90gにイソノナン酸イソトリデシル10gを加えホームミキサーで1分間混合後、アトマイザーで粉砕したものを光学特性の測定試料に用いた。8cm×5cm片のコラーゲンペーパー(出光化学社製、商品名:サプラーレ)上に測定試料を2mg/cm2の条件で塗布しこの塗膜について変角光沢計(日本電色工業社製:VGS−300A)で−45°入射時の0°と+45°の反射率を測定した。
【0159】
尚、測定試料には実施例、参考例及び比較例で製造したマイカ、セリサイト及びシリカビーズを用いた。
【0160】
表1及び表2より明らかな如く、本発明の被覆粉体(表面処理粉体)は親油性液体への親和性が良好かつ分散性に優れ、粉体基剤の有する機能、例えば感触(使用感;滑り性)、隠蔽力、着色力、紫外線遮蔽能及び光学特性等を飛躍的に向上させることができる。
【0161】
尚、吸油量評価での湿潤点と流動点が小さい程、その油性剤に対して親和性が良いこと、即ち吸油量が小さい程その油性剤に対する親和性が良いことを示す。また、同一粉体の場合吸油量測定での流動点時の試料の粒度を測定した時、吸油量が同じ試料でも吸油量が異なる試料でも粒度が小さい程、分散性が良いことを示す。評価項目中、感触(使用感)、隠蔽力、着色力及びSPF値については、数値が高い程優れた粉体の機能が発現していることを示す。光学特性については、マイカ、セリサイト及びタルクの薄片状の粒子形状を有する粉体と球状のシリカビーズについて試験を行った。薄片状粉体は鏡面反射を評価することで粉体粒子の分散状態を評価することができ、球状粉体はマット感を評価することで粉体粒子の分散状態を評価することができる。
【0162】
薄片状粉体の場合、同一粉体で比較したとき45°の反射率(鏡面反射率)が高く、かつ45°−0°の反射率値が大きい程その粉体粒子は分散していることを示す。
【0163】
球状粉体の場合、0°の反射率が高い程、その粉体粒子は凝集しており45°−0°の反射率値が低い程マット調でありその粉体粒子は分散していることを示す。
【0164】
実施例4(2WAYパウダーファンデーションの製造)
表3に示す組成の2WAYパウダーファンデーションを下記の方法により製造した。
【0165】
[表3]


【0166】
(製法)
上記成分(1)〜(7)を混合し粉砕機を通して粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、成分(8)〜(12)を加熱混合し均一にしたものを加えて更に混合し均一にした。これを粉砕機に通し、フルイをかけ粒度を揃えた後、圧縮成形して2WAYファンデーションを製造した。
【0167】
実施例5(乳化型ファンデーションの製造)
表4に示す組成の乳化型ファンデーションを下記の方法により製造した。
【0168】
[表4]

【0169】
(製法)
上記成分(7)〜(11)を予め混合し粉砕した。70℃にて成分(1)〜(6)を均一に溶解混合した油相に予め粉砕した成分(7)〜(11)の混合物を加えホモディスパーで均一に分散した。成分(12)〜(16)を70℃で均一に混合溶解した水相を前記油相に徐添し、ホモミキサーで均一分散後、冷却し成分(17)を加え乳化粒子を整えリキッドファンデーションを製造した。
【0170】
実施例6(固形白粉の製造)
表5に示す組成の固形白粉を下記の方法により製造した。
【0171】
[表5]

【0172】
(製法)
上記成分(1)〜(5)を均一に混合して、粉末化粧料基剤とした。これにエタノールを粉末化粧基剤に対して、55重量%加え、均一混合した。これを中皿に充填し吸引圧縮成形し、成形物を40℃で24時間乾燥後、固形白粉を製造した。
【0173】
実施例7(パウダーアイシャドウの製造)
表6に示す組成のパウダーアイシャドウを下記の方法により製造した。
【0174】
[表6]


*:精製エステルガム/ミリスチン酸オクチルドデシル = 50/50の混合物(進栄化学(株))
【0175】
(製法)
上記成分のうち、雲母チタン以外の成分(1)〜(4)をヘンシルミキサーで混合した後、アトマイザーで粉砕した。これに成分(3)の雲母チタンを混合し成分(5)〜(10)を均一にしたものを加え均一に混合した。これをアトマイザーで粉砕した後、フルイを通し、中皿に圧縮成形してパウダーアイシャドウを製造した。
【0176】
実施例8(ほほ紅の製造)
表7に示す組成のほほ紅を下記の方法により製造した。
【0177】
[表7]


*:無処理品
【0178】
(製法)
上記成分(1)〜(7)を混合し粉砕機を通して粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、成分(8)〜(12)を加熱混合し均一にしたものを加えて、更に混合し均一にした。これを粉砕機に通し、フルイをかけ粒度を揃えた後、圧縮成形してほほ紅を製造した。
【0179】
実施例9(油性ファンデーションの製造)
表8に示す組成の油性ファンデーションを下記の方法により製造した。
【0180】
[表8]

【0181】
(製法)
上記成分(8)〜(10)を予め混合し粉砕した。成分(1)〜(7)を85℃にて混合溶解した油相に予め粉砕した成分(8)〜(10)を加え均一にホモディスパーで分散した。これに香料を加えて、金皿に充填、冷却して油性ファンデーションを製造した。
【0182】
実施例10(乳液の製造)
表9に示す組成の乳液を下記の方法により製造した。
【0183】
[表9]

【0184】
(製法)
上記成分(1)〜(6)を75℃にて混合溶解した油相に成分(7)を加え均一にホモディスパーで分散した。成分(8)〜(12)を均一に75℃で混合溶解した水相を前記油相に徐添し、ホモミキサーで均一分散後、乳化粒子を整えた後、成分(13)を加え乳液を製造した。
【0185】
本発明の上記実施例について、専門パネラー20名により化粧料の官能評価を行った。評価項目として使用時の滑らかさ、皮膚に対する付着性、皮膚上での伸び、仕上り感の4項目を選択し、5段階で評価した。尚、比較例として、それぞれ実施例4と5についてはメチルハイドロジェンポリシロキサンを同量で被覆した粉体を代替として配合し(比較例4と5)、実施例6〜8についてはオクチルトリメトキシシランとトリメチルシロキシケイ酸を1:1で混合したものを同量で被覆した粉体を代替として配合し(比較例6〜8)、更に実施例9及び10についてはレシチンを同量で被覆した粉体を代替として配合し(比較例9及び10)た。その結果を表10に示す。
【0186】
(評価基準)
5:良い;
4:やや良い;
3:普通;
2:やや悪い;及び
1:悪い。
【0187】
[表10]


*:成形不可
【0188】
表10より明らかな如く、本発明の被覆粉体を配合した化粧料においては、使用時の滑らかさ、皮膚に対する付着性、皮膚上での伸び及び仕上り感等の官能値が大きく向上した。また、固形白粉は通常数%の油性剤を配合して成形するが、本発明の被覆粉体については、粒子の最外層がオイルの被覆層(膜)で覆われているため油性剤を配合しなくとも成形が可能である。
【0189】
参考例11(オイル分散ペーストの製造)
参考例3−1及び2の試料と比較例3−1及び2の試料をスクワランと混合後サンドグラインダー(ビーズ径1mmφ)に3回通し分散させてスクワラン分散体を調製した。この時、各分散体の調製直後の粘度(25℃)が2000±500cp(ビスメトロン粘度計VDA:芝浦システム(株))になるように粉体試料の配合量を調整した。これらの分散体について粒度(D50,D95)と経時安定性(50℃で1ケ月間放置)を観察した。各被覆粉体の配合量と試験結果を表11に示す。なお、表11における「実施例3−1の微粒子酸化チタン」の記載は、「参考例3−1の微粒子酸化チタン」であるものとし、「実施例3−1の微粒子酸化亜鉛」の記載は、「参考例3−2の微粒子酸化亜鉛」であるものとする。また、表13及び表14に関する記載における「実施例13−1」、「実施例の被覆粉体」及び「実施例11の分散体」の記載は、それぞれ「参考例13−1」、「参考例の被覆粉体」及び「参考例11の分散体」であるものとする。
【0190】
[表11]

【0191】
表11より明らかな如く、参考例3−1及び参考例3−2の被覆粉体を配合したオイル分散ペーストは、油性剤への親和性や分散性に優れているため微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛の粉体の配合量を大幅に上げることができ、かつ分散している粉体の粒子径も非常に細かい状態に保つことができる。また、このようにして得られた分散ペーストは経時安定性にも優れている。
【0192】
実施例12(UVカットパウダーファンデーションの製造)
表12に示す組成のパウダーファンデーションを下記の方法により製造した。なお、表12における実施例12−1、比較例12−1、実施例12−2及び比較例12−2のUVカットパウダーファンデーションは、いずれも本発明の表面処理粉体を含有するので、本発明の化粧料であるが、比較例12−1及び比較例12−2の場合は、参考例3−1(出願時の実施例3−1)の微粒子酸化チタンを配合していないという点で「比較例」と表記している。
【0193】
[表12]


*1:実施例3−1で得られた被覆粉体の分散体。
*2:比較例3−1で得られた被覆粉体の分散体。
【0194】
(製法)
上記成分(1)〜(8)を混合し粉砕機を通して粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、これに成分(9)〜(13)を混合し均一にしたものを加えて、更に混合し均一にした。このようにして得られた均一な混合物を粉砕機に通し、フルイをかけ粒度を揃えた後、これを圧縮成形してUVカットファンデーションを製造した。
【0195】
参考例13及び比較例13(日焼け止め用W/Oクリームの製造)
表13に示す組成の日焼け止めクリームを下記の方法により製造した。
【0196】
[表13]


*:実施例11の分散体を配合した。
【0197】
(製法)
上記成分(1)〜(9)の油相成分を75℃で溶解した。成分(10)〜(14)の水相成分を75℃で溶解し、均一化したものを油相成分に添加しホモミキサーで乳化して、これに成分(15)を加え冷却し日焼け止めクリームを製造した。
【0198】
本発明の実施例12について、in-vitroPA値及びin-vitroSPF値(SPFアナライザー)を測定し、参考例13及び比較例13について、可視部の透過率、in-vitroPA値、in-vitroSPF値及び経時安定性を評価した。その結果を表14に示す。
【0199】
(可視部透過率の測定)
試料をトランスポアサージカルテープ(住友3M社製)の4.5×4.5cmの面に2mg/cm2の条件でスポンジで塗布した。その塗布面について分光光度計(島津製作所社製:UV−160)で560nmの透過率を10スポット測定し平均値を求めた。
【0200】
(in-vitroPA値とin-vitroSPF値の測定)
前記可視部透過率で調整した試料をSPFアナライザーで12スポットを測定し平均値を求めた。
【0201】
[表14]

【0202】
表14より明らかなように、参考例3−1及び参考例3−2の被覆粉体を配合した化粧
料は、油性剤への親和性や分散性に優れているため微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛の
可視部の透明性や紫外線遮蔽能を大きく向上させることができる。更に、このようにして
得られる化粧料の経時安定性にも優れている。
【0203】
実施例14(エマルジョン型マスカラの製造)
表15に示す組成のマスカラを下記の方法により製造した。
【0204】
[表15]



*:実施例14には実施例3−1の方法で被覆した粉体を、比較例14には比較例3−1の方法で被覆した粉体を、それぞれ配合した。
【0205】
(製法)
上記成分(6)に成分(2)〜(5)を加え予め均一に溶解した。次に、成分(7)〜(9)を混合し粉砕した。成分(1)に成分(7)〜(9)を添加し均一に分散して予め調製した成分(2)〜(6)の均一混合物を加えホモミキサーで均一に分散してエマルジョン型マスカラを製造した。
【0206】
実施例15(ネイルエナメルの製造)
表16に示す組成のネイルエナメルを下記の方法により製造した。
【0207】
[表16]


【0208】
(製法)
上記成分(5)〜(8)を混合し、成分(1)〜(4)を加え均一に溶解した。更に、成分(9)〜(11)を添加し分散させてネイルエナメルを製造した。
【0209】
本発明の実施例14と15で得られた化粧料について、光学特性と分散安定性、及びパネラー20名による使用性と光学特性(ツヤ感)についての官能試験を行った。官能試験は5段階評価で行った。その結果を表17に示す。
【0210】
(官能評価の評価基準)
5:良い;
4:やや良い;
3:普通;
2:やや悪い;及び
1:悪い。
【0211】
(光学特性)
試料をガラス板状に垂らしドクターブレードで10μm厚の塗膜を作製した。この塗膜について変角光沢計(日本電色工業社製:VGS−300A)で20°−20°と60°−60°の光沢値を測定した。
【0212】
(分散安定性)
試料を−10℃〜50℃の48時間サイクルで1ケ月間保存し色分かれの有無を観察した。
【0213】
[表17]


【0214】
表17より明らかな如く、本発明の被覆粉体を配合した化粧料は、親油性液体への親和性や分散性に特に優れており粉体の機能を大きく向上させることができる。更に、その化粧料の使用性や経時での分散安定性にも極めて優れている。特に、ネイルエナメルには粘度向上剤や分散安定化剤として通常、有機変性粘土鉱物が配合されるが、本発明の被覆粉体を配合したネイルエナメルについては粘度向上剤や分散安定化剤を配合しないで剤型の安定化が十分可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料に使用可能な粉体と、その粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層とを含有し、
当該粒子表面の少なくとも一部上において、A層が被覆され、更にその上にB層が被覆されることを特徴とする表面処理粉体、
A層:脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及び
B層:片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、片末端官能基変性アルキルシラン及び分岐脂肪酸の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層(但し、メチルハイドロジェンポリシロキサン及びトリメチルシロキシケイ酸の中から選択される少なくとも1種の化合物を含有する場合を除く。)。
【請求項2】
化粧料に使用可能な粉体と、その粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層とを含有し、
当該粒子表面の少なくとも一部上において、A層が被覆され、更にその上にB層が被覆されることを特徴とする表面処理粉体、
A層:N−アシルアミノ酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及び
B層:片末端官能基変性オルガノポリシロキサン及び片末端官能基変性アルキルシランの中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層(但し、メチルハイドロジェンポリシロキサン及びトリメチルシロキシケイ酸の中から選択される少なくとも1種の化合物を含有する場合を除く。)。
【請求項3】
片末端官能基変性オルガノポリシロキサンが直鎖状でその重合度が10〜100であり、片末端官能基変性アルキルシランが炭素数6〜30のアルキル基を有し、分岐脂肪酸の炭素数が8〜22である請求項1〜2何れか記載の表面処理粉体。
【請求項4】
A層とB層とが、重量比較でA≦Bの関係にある請求項1〜3何れか記載の表面処理粉体。
【請求項5】
被覆処理される粉体に対し、A層の重量比が100対0.1〜10であり、B層の重量比が100対0.1〜30である請求項1〜4何れか記載の表面処理粉体。
【請求項6】
ジェット法により処理された請求項1〜5何れか記載の表面処理粉体。
【請求項7】
請求項1〜6何れか記載の表面処理粉体を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項8】
当該表面処理粉体を1〜100重量%含有する請求項7記載の化粧料。

【公開番号】特開2013−79264(P2013−79264A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−273199(P2012−273199)
【出願日】平成24年12月14日(2012.12.14)
【分割の表示】特願2010−197873(P2010−197873)の分割
【原出願日】平成12年3月16日(2000.3.16)
【出願人】(391024700)三好化成株式会社 (17)
【Fターム(参考)】