説明

超吸収体を穏やかに混合・被覆するための方法

【課題】大量の水性変性溶液を使用して超吸収体を製造することを可能とする。
【解決手段】超吸収体の製造方法であって、a)吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、b)前記吸水性ポリマー構造体を、変性剤、好ましくは水性変性剤と接触させる工程と、c)前記変性剤と接触させた前記吸水性ポリマー構造体をさらに処理する工程と、を含み、少なくとも前記工程c)における前記処理を少なくとも部分的に回転容器内において行う方法に関する。また、超吸収体製造装置、超吸収体、複合体、複合体の製造方法、上記方法によって得られる複合体、化学製品(発泡体、成型体、繊維等)及び超吸収体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超吸収体の製造方法、超吸収体製造装置、超吸収体、複合体、複合体の製造方法、上記方法によって得られる複合体、化学製品(発泡体、成型体、繊維等)及び超吸収体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は、膨潤してヒドロゲルを形成することにより、大量の水性液体(特に体液、好ましくは尿又は血液)を吸収し、圧力下で保持することができる非水溶性架橋ポリマーである。これらの特性のために、超吸収体は衛生用品(おむつ、失禁用品又は生理用ナプキン等)に主として使用されている。
【0003】
通常、超吸収体は、架橋剤の存在下で酸性基含有モノマーをフリーラジカル重合することにより製造される。モノマー組成、架橋剤、重合後に得られるヒドロゲルの重合条件及び加工条件を選択することにより、異なる吸収特性を有するポリマーを製造することができる。例えば、化学的に変性された澱粉、セルロース、ポリビニルアルコールを使用したグラフトポリマーの製造方法(ドイツ特許第26 12 846号)も異なる吸収特性を有するポリマーを製造するために使用することができる。
【0004】
衛生用品に使用する超吸収体の特性(特に吸収特性)を最適化するために、乾燥したポリマーゲルを粉砕することによって得られるポリマー粒子を変性(好ましくは表面変性)する。表面変性時に、特に超吸収体粒子に好ましいコア−シェル構造が形成される場合がある。変性によって、超吸収体に臭気結合性を与えたり、超吸収体のダスト性を改良したり、超吸収体粒子の凝固性を減少させたり、圧力荷重下での超吸収体の吸収性を改良したり、超吸収体の透過性に有利な影響を及ぼしたりすることができる。
【0005】
変性時には、超吸収剤ポリマー粒子を処理剤(溶液、分散液又は粉末)に接触させる。処理剤によって超吸収体の表面をできるだけ均一に処理するために、超吸収体粒子をミキサーに導入し、ポリマー粒子を十分に混合しながら処理剤を添加することによって処理剤を超吸収体に接触させる。表面変性として表面後架橋を行う場合には、従来の混合装置(例えば、パターソン・ケリー(Patterson−Kelley)ミキサー、Schugi垂直ミキサー(例えば、ホソカワミクロン株式会社製「Flexomix」)、DRAIS乱流ミキサー、ロディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー又は流動床ミキサー)を使用する。その他の好適な混合装置は、例えば、F.L.Buchholz及びA.T.Graham、「現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」、Wiley−VCH、1998年の第3.2.8.1章に記載されている。
【0006】
従来から使用されている混合装置では、処理剤として水溶液を使用すると、処理された超吸収体は混合装置から排出された直後に塊を形成する傾向がある。また、超吸収体内又は超吸収体上において処理剤が不均一に分散する場合も多い。塊の形成を防止すると共に処理剤を均一に分散させるために、混合装置から排出された超吸収体を、例えば、円錐サイロに貯蔵し、回転スクリュー(円錐ミキサー)によって撹拌する。超吸収体は、超吸収体が十分に解砕及び均一化され、特に湿潤状態(超吸収体が互いに付着する)から自由流動状態となるまで円錐サイロに貯蔵する。超吸収体が十分に解砕及び均一化されると、超吸収体は再び自由流動状態となる。この場合、超吸収体は水性処理剤の添加前に示した流動値とほぼ同一の流動値を示す。この時点において、添加された液体はほぼ均一に超吸収体粒子内に分散され、ポリマー粒子のコアの含水量と表面領域(水性処理剤を使用した場合)の含水量の差は補償される。
【0007】
しかしながら、このような方法の欠点は、十分な解砕と均一化には非常に時間がかかり、特に比較的多くの処理された超吸収体を処理することができないことである。これらの制約のために、変性時に超吸収体に添加することができる液体の最大量が制限されることになる。また、円錐ミキサー又は回転子−固定子原理を使用したミキサーにおける回転スクリューによって超吸収体へのかなりの機械的ダメージが容易に生じる場合があり、吸収特性が悪影響を受けると共に特にダスト含有量が増加することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ特許第26 12 846号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、全体として、従来技術によって生じる欠点を克服することにある。
【0010】
特に、本発明の目的は、吸収性ポリマーの製造方法であって、変性剤、特に水溶液である変性剤と接触させた超吸収体の特に迅速かつ穏やかな解砕と均一化を達成することができる方法を提供することにある。
【0011】
本発明の1つの目的は、大量の水性変性溶液を使用して超吸収体を製造することを可能とすることにある。
【0012】
本発明の別の目的は、吸水性ポリマー構造体間及び吸水性ポリマー構造体の内部における変性剤又は溶液の分散をできる限り迅速に達成することにある。
【0013】
また、本発明の目的は、できる限り低いダスト含有量を有する超吸収体の製造することを可能とする方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、変性時に大量の液体を使用して超吸収体を製造することができる装置を提供することにある。この装置は、所与の時間においてできる限り多くの超吸収体を製造することを可能とするものである。また、この装置によって製造された超吸収体のダスト含有量はできる限り低いものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
独立請求項は上記目的の少なくとも1つを達成するものであり、従属請求項は好適な実施形態を示すものである。
【0016】
上記目的の少なくとも1つは、超吸収体の製造方法であって、
a)吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
b)前記吸水性ポリマー構造体を、好ましくは水性の変性剤、好ましくは表面変性剤と接触させる工程と、
c)前記変性剤と接触させた前記吸水性ポリマー構造体をさらに処理する工程と、を含み、
少なくとも前記工程c)における前記処理を少なくとも部分的に回転容器内において行う方法によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る超吸収体製造装置の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る超吸収体製造装置の別の実施形態を示す断面図である。
【図3】回転板からなる堰の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る超吸収体の製造方法の実施形態を示す。
【図5】縦型堰の実施形態を示す断面図である。
【図6】複合堰の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る方法の工程a)では、吸水性ポリマー構造体を用意する。
【0019】
工程a)で用意する好ましい吸水性ポリマー構造体は繊維、発泡体又は粒子であり、繊維及び粒子であることが好ましく、粒子であることが特に好ましい。
【0020】
本発明において好ましいポリマー繊維は、織糸として織物に織り込むか、織物に直接織り込むことができる寸法を有する。本発明では、ポリマー繊維は、1〜500mm、好ましくは2〜500mm、特に好ましくは5〜100mmの長さを有し、1〜200デニール、好ましくは3〜100デニール、特に好ましくは5〜60デニールの直径を有することが好ましい。
【0021】
本発明において好ましいポリマー粒子は、10〜3,000μm、好ましくは20〜2,000μm、特に好ましくは150〜850μm又は150〜600μmのERT420.2−02に準拠して測定した平均粒径を有する。この場合、300〜600μmの粒径を有するポリマー粒子の含有量は、後架橋された吸水性ポリマー粒子の総重量に対して少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%であることが特に好ましい。
【0022】
工程a)で用意する吸水性ポリマー構造体の好適な実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、
(α1)20〜99.999重量%、好ましくは55〜98.99重量%、特に好ましくは70〜98.79重量%のエチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩、プロトン化又は四級化窒素を含むエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物(少なくともエチレン性不飽和酸性基含有モノマーを含む混合物、好ましくはアクリル酸が特に好ましい)と、
(α2)0〜80重量%、好ましくは0〜44.99重量%、特に好ましくは0.1〜44.89重量%の、成分(α1)と共重合可能な重合性モノエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.01〜2.5重量%の1種以上の架橋剤と、
(α4)0〜30重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0〜20重量%、好ましくは2.5〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%の水と、
(α6)0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.1〜8重量%の1種以上の添加剤と、を含むことが好ましい((α1)〜(α6)の合計重量は100重量%である)。
【0023】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的又は完全に(好ましくは部分的に)中和されていてもよい。好ましくは、モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、少なくとも25モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは50〜80モル%が中和されていることが好ましい。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーについては、ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号を参照する。ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号の開示内容は、この参照によって本願明細書の開示内容の一部として援用する。中和は、重合後に部分的又は完全に行うこともできる。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行うことができる。酸と共に水溶性塩を生成する塩基も使用することができる。異なる塩基による中和も可能である。アンモニア及びアルカリ金属水酸化物を使用した中和が好ましく、水酸化ナトリウム及びアンモニアを使用した中和が特に好ましい。
【0024】
また、遊離酸性基がポリマーに多く含まれるため、ポリマーは酸性領域のpHを有する。酸性の吸水性ポリマーは、遊離塩基性基、好ましくはアミン基を含有し、酸性ポリマーと比較して塩基性であるポリマーによって少なくとも部分的に中和されていてもよい。これらのポリマーは「混合床イオン交換吸収性ポリマー(MBIEAポリマー)」として文献に記載されており、特に国際公開第WO99/34843 A1号に開示されている。国際公開第WO99/34843 A1号の開示内容は、この参照によって本願明細書の開示内容の一部として援用する。通常、MBIEAポリマーは、アニオンを交換できる塩基性ポリマーと、塩基性ポリマーと比較して酸性であり、カチオンを交換できるポリマーと、からなる組成物である。塩基性ポリマーは塩基性基を含み、塩基性基又は塩基性基に変換することができる基を有するモノマーを重合することによって通常は得られる。これらのモノマーは、第一アミン、第二アミン、又は第三アミン又は対応するホスフィン又はこれらの官能基の少なくとも2つを含有する。これらのモノマーとしては、特に、エチレンアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、4−アミノブテン、アルキルオキシシクリン、ビニルホルムアミド、5−アミノペンテン、カルボジイミド、ホルマールダシン、メラミン、それらの第二又は第三アミン誘導体が挙げられる。
【0025】
好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、国際公開第WO2004/037903 A2号においてエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)として記載されている化合物である。国際公開第WO2004/037903 A2号の開示内容は、この参照によって本願明細書の開示内容の一部として援用する。特に好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)はアクリル酸及びメタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
【0026】
本発明に係る方法の一実施形態によれば、成分(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)がアクリルアミド、メタアクリルアミド又はビニルアミドである未処理の吸水性ポリマー構造体を使用する。
【0027】
アクリルアミド及びメタクリルアミド以外の好ましい(メタ)アクリルアミドは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体である。ビニルアミドとしては、例えば、N−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルピロリドンが挙げられる。これらのモノマーのうち、アクリルアミドが特に好ましい。
【0028】
本発明に係る方法の別の実施形態によれば、成分(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)が水溶性モノマーである吸水性ポリマー構造体を使用する。水溶性モノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0029】
成分(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、水分散性モノマーも好ましい。好ましい水分散性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリレート及び(メタ)アクリレートである。
【0030】
成分(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、メチルポリエチレングリコールアリルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、イソブチレンも挙げられる。
【0031】
架橋剤(α3)としては、国際公開第WO2004/037903 A2号において架橋剤(α3)として記載されている化合物を好ましくは使用する。これらの架橋剤のうち、水溶性架橋剤が特に好ましい。水溶性架橋剤としては、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、アクリル酸1モル当たり9モルのエチレンオキシドを使用して得られたアリルノナエチレングリコールアクリレートが最も好ましい。
【0032】
水溶性ポリマー(α4)としては、部分的または完全に加水分解したポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマーを、好ましくは重合前にポリマー構造体に添加することができる。これらのポリマーの分子量は、ポリマーが水溶性であれば限定されない。好ましい水溶性ポリマーは、デンプン、デンプン誘導体又はポリビニルアルコールである。水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコール等の合成ポリマーは、重合させるモノマーのグラフト基材としても使用することができる。
【0033】
添加剤(α6)としては、希釈剤、臭気結合剤、界面活性剤、酸化防止剤や、ポリマー構造体の製造に使用される添加剤(重合開始剤等)を好ましくはポリマー構造体に添加することができる。
【0034】
工程a)で用意する吸水性ポリマー構造体の一実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のカルボキシレート基含有モノマーを含む。また、本発明によれば、成分(α1)が、好ましくは少なくとも20モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは60〜85モル%が中和されたアクリル酸を、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%の量で含むことが好ましい。
【0035】
未処理の吸水性ポリマー構造体は、上記モノマー、コモノマー、架橋剤、水溶性ポリマー及び添加剤を各種重合法により重合することによって製造することができる。重合方法としては、例えば、好ましくは押出機等の混錬反応器内で行う塊状重合、溶液重合、噴霧重合、逆乳化重合、逆懸濁重合が挙げられる。
【0036】
溶液重合は水を溶媒として行うことが好ましい。溶液重合は連続的又は非連続的に行うことができる。開始剤及び反応溶液の温度、種類、量等の反応条件に関しては様々な条件が公知である。典型的な方法は、米国特許第4,286,082号、ドイツ特許第27 06 135号、米国特許第4,076,663号、ドイツ特許第35 03 458号、ドイツ特許第40 20 780号、ドイツ特許第42 44 548号、ドイツ特許第43 23 001号、ドイツ特許第43 33 056号、ドイツ特許第44 18 818号に記載されている。これらの文献の開示内容は、この参照によって本願明細書の開示内容の一部として援用する。
【0037】
通常、重合は開始剤によって開始させる。重合を開始させるための開始剤としては、重合条件下でフリーラジカルを生成し、従来から超吸収体の製造に使用されている開始剤を使用することができる。また、重合性水性混合物に対する電子線の作用によって重合を開始させることもできる。また、上述した開始剤を使用せずに、光開始剤の存在下における高エネルギー放射線の作用によって重合を開始させることもできる。重合開始剤は、本発明に係るモノマー溶液に溶解又は分散させることができる。開始剤としては、フリーラジカルに解離する当業者に公知の化合物が挙げられる。特に、国際公開第WO2004/037903 A2号に開始剤として記載されている開始剤が挙げられる。
【0038】
特に好ましくは、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、アスコルビン酸を含むレドックス系を吸水性ポリマー構造体を製造するために使用する。
【0039】
ポリマー構造体の製造には、逆懸濁重合及び乳化重合を使用することもできる。これらの方法では、保護コロイド及び/又は乳化剤を使用し、必要に応じて水溶性ポリマー及び添加剤を含むモノマー(α1)及び(α2)の部分的に中和された水溶液を疎水性有機溶媒中に分散させ、フリーラジカル開始剤によって重合を開始させる。架橋剤は、モノマー溶液に溶解するか、モノマー溶液と共に添加するか、重合時に必要に応じて個別に添加する。グラフト基材としての水溶性ポリマー(α4)は、必要に応じてモノマー溶液に添加するか、油相に直接添加する。次に、水を混合物から共沸除去し、ポリマーを濾別する。
【0040】
溶液重合、逆懸濁重合、乳化重合のいずれの場合にも、モノマー溶液に溶解した多官能架橋剤内での重合及び/又は重合工程時における適当な架橋剤とポリマーの官能基との反応によって架橋を行うことができる。このプロセスは、例えば米国特許第4,340,706号、ドイツ特許第37 13 601号、ドイツ特許第28 40 010号、国際公開第WO96/05234 A1号に記載されている。これらの文献の対応する開示内容は、この参照によって本願明細書の開示内容の一部として援用する。
【0041】
溶液重合又は逆懸濁重合及び乳化重合によって得られるヒドロゲルは、別の工程で乾燥させる。
【0042】
特に、溶液重合の場合には、乾燥前にヒドロゲルを粉砕することが好ましい。粉砕は公知の粉砕装置(例えば肉挽機)を使用して行う。
【0043】
ヒドロゲルの乾燥は、適当な乾燥機又はオーブン内で行うことが好ましい。例えば、回転式チューブ炉、流動床乾燥機、プレート乾燥機、パドル乾燥機、赤外線乾燥機が例として挙げられる。本発明では、ヒドロゲルの乾燥は、水分が0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%となるまで行うことが好ましく、乾燥温度は通常は100〜200℃である。
【0044】
乾燥によって得られた吸水性ポリマー構造体は、特に溶液重合によって得た場合には、別の工程で粉砕し、上述した所望の粒径に篩い分けることができる。乾燥した吸水性ポリマー構造体は、ロールミル又はカッティングミル等の適当な機械的粉砕装置内で粉砕することが好ましい。
【0045】
別の好適な実施形態では、工程a)で用意する吸水性ポリマー構造体は表面後架橋されている。表面後架橋では、乾燥したポリマー構造体又は乾燥しておらず、好ましくは粉砕したヒドロゲルを好ましくは有機化学表面後架橋剤と接触させる。特に、後架橋剤が後架橋条件において液体ではない場合には、後架橋剤と溶媒を含む流体Fとして後架橋剤をポリマー粒子又はヒドロゲルに接触させることが好ましい。溶媒としては、水、水混和性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール)又はそれらの少なくとも2種の混合物を使用することが好ましく、水が溶媒として最も好ましい。流体Fは、流体Fの総重量の5〜75重量%、特に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは15〜40重量%の量で後架橋剤を含むことが好ましい。
【0046】
本発明に係る方法では、ポリマー構造体又は粉砕したヒドロゲルは、後架橋剤を含む流体Fをポリマー構造体と十分に混合することによって流体Fと接触させる。
【0047】
流体Fを塗布するための適当なミキサーとしては、パターソン・ケリーミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジミキサー、ルベルクミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージミキサー)を挙げることができる。
【0048】
後架橋時には、ポリマー構造体を、20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の溶媒(好ましくは水)と接触させることが好ましい。
【0049】
本発明では、好ましくは球状粒子であるポリマー構造体を使用する場合には、粒子状ポリマー構造体の内部領域以外(すなわち、外部領域のみ)を流体F(後架橋剤)と接触させることが好ましい。
【0050】
本発明に係る方法で使用される後架橋剤としては、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応又は開環反応によってポリマー構造体の官能基と反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物が好ましい。本発明に係る方法において好ましい後架橋剤は、国際公開第WO2004/037903 A2号に架橋剤IIとして記載されている化合物である。
【0051】
これらの化合物のうち、後架橋剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン等の縮合後架橋剤が特に好ましい。
【0052】
後架橋剤又は後架橋剤を含む流体Fと接触させたポリマー構造体又はヒドロゲルは、50〜300℃、好ましくは75〜275℃、特に好ましくは150〜250℃に加熱し、ポリマー構造体の外部領域を内部領域よりも高度に架橋させる(後架橋)。加熱時間は、ポリマー構造体の所望の特性が熱によって損なわれる時間に応じて制限される。
【0053】
また、本発明では、本発明に係る工程a)で用意する吸水性ポリマー構造体は、以下の特性の少なくとも1つ、好ましくは全てを有することが好ましい。
(β1)ERT440.2−02に準拠して測定した0.9重量% NaCl水溶液の最大吸収量が少なくとも10〜1000g/g、好ましくは15〜500g/g、特に好ましくは20〜70g/g。
(β2)ERT470.2−02に準拠して測定した0.9重量% NaCl水溶液によって抽出可能な部分が吸収性ポリマーの30重量%未満、好ましくは20重量%未満、特に好ましくは10重量%未満。
(β3)ERT460.2−02に準拠して測定した嵩密度が300〜1000g/l、好ましくは310〜800g/l、特に好ましくは320〜700g/l。
(β4)ERT400.2−02に準拠して測定した吸収性ポリマー1gの1リットル水溶液のpHが4〜10、好ましくは5〜9、特に好ましくは5.5〜7.5。
(β5)ERT441.2−02に準拠して測定したCRC値が10〜100g/g、好ましくは15〜80g/g、特に好ましくは20〜60g/g。
(β6)ERT442.02に準拠して測定した20g/cmの圧力下におけるAAP値が10〜60g/g、好ましくは15〜50g/g、特に好ましくは20〜40g/g。
【0054】
上記特性の2つ以上の各組み合わせは、工程a)で用意する吸水性ポリマー構造体の好適な実施形態である。工程a)で用意する吸水性ポリマー構造体が以下の特性又は特性の組み合わせを有する方法が本発明の特に好適な実施形態である:(β1)、(β2)、(β3)、(β4)、(β5)、(β6)、(β1)(β2)(β3)(β4)(β5)(β6)。
【0055】
本発明に係る方法の工程b)では、工程a)で用意し、必要に応じて表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を、変性剤、好ましくは変性剤と接触させる。
【0056】
本発明に係る方法の好適な実施形態によれば、工程b)で使用する変性剤は、水等の純粋な溶媒、溶液、分散液、エマルション、粉末からなる群から選択され、純水、溶液、分散液又はエマルションを使用することが特に好ましく、溶液を使用することが最も好ましい。
【0057】
本発明では、変性剤が溶液、エマルション又は分散液である場合には、変性剤は、変性剤の重量の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも25重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%の水を含むことが好ましい。
【0058】
変性剤として使用する溶液は、変性作用を有する少なくとも1種の物質(溶質)と、溶媒と、を含む。変性剤として使用する分散液は、変性作用を有する少なくとも1種の分散成分(固体)と、分散媒と、必要に応じて分散剤と、を含む。変性剤として使用するエマルションは、変性作用を有する少なくとも1種のエマルション成分(液滴)と、液滴が分散された液相と、必要に応じて乳化剤と、を含む。
【0059】
溶媒、分散媒、液相としては、水、水混和性有機溶媒(メタノール、エタノール、1,2−プロパンジオール、1−プロパノール、2−プロパノール等)又は水と水混和性有機溶媒の混合物(水とメタノールの混合物、水とエタノールの混合物、水と1−プロパノールの混合物、水と2−プロパノールの混合物等)が好ましく、水が最も好ましい。
【0060】
表面変性剤として使用することができる変性作用を有する物質としては、特に吸水性ポリマー構造体の透過性、吸収率、保持率、ダスト又は流動特性に影響を及ぼすために好適な当業者に公知の化合物を使用することができる。
【0061】
表面後架橋されていない吸水性ポリマー構造体を本発明に係る方法の工程a)に使用する場合には、変性作用を有する物質は表面後架橋剤であってもよく、表面後架橋に関連して好ましい後架橋剤として上述した化合物が表面後架橋剤として好ましい。
【0062】
変性作用を有する物質は、2価以上の金属カチオンと、アニオンとして少なくとも1種の有機塩基とを含む有機塩であってもよい。好ましくは、2価以上の金属カチオンは、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Al3+、Fe2+、Fe3+、Ga3+、Ti4+、Zr4+、Cu2+、Zn2+からなる群から選択され、Al3+が最も好ましい。有機塩基は、少なくとも部分的に脱プロトン化された1価、2価又は3価のカルボン酸であることが好ましく、脱プロトン化された1価カルボン酸が特に好ましい。また、ヒドロキシカルボン酸も好ましく、少なくとも部分的に脱プロトン化された1価、2価又は3価のヒドロキシカルボン酸が好ましく、1価のヒドロキシカルボン酸が特に好ましい。
【0063】
特に好ましいアニオンは、アニス酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グリセリンリン酸、グルタル酸、クロロ酢酸、クロロプロピオン酸、けい皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、フマル酸、プロピオン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、マロン酸、マレイン酸、酪酸、イソ酪、イミジノ酢酸、リンゴ酸、イソチオン酸、メチルマレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、クロトン酸、シュウ酸、サリチル酸、グルコン酸、没食子酸、ソルビン酸、グルコン酸、脂肪酸、特にステアリン酸、アジピン酸、p−ヒドロキシ安息香酸の対応する塩基である。これらの塩基のうち、酒石酸塩及び乳酸塩が好ましく、乳酸塩が最も好ましい。最も好ましい有機塩は乳酸アルミニウムである。
【0064】
変性作用を有する物質は、2価以上の金属カチオンと、少なくとも1種の無機アニオンとを含む無機塩であってもよい。無機塩としては、当業者に公知の金属塩を使用することができ、水溶性金属塩が特に好ましい。「水溶性」とは、25℃において、好ましくは少なくとも1g、特に好ましくは少なくとも10g、より好ましくは少なくとも100g、最も好ましくは少なくとも500gが1リットルの蒸留水に溶解する金属塩を好ましくは意味する。
【0065】
水溶性金属塩としては、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物が好ましく、硫酸塩が最も好ましい。
【0066】
無機塩の金属カチオンは1価、2価又は3価金属カチオンであることが好ましく、3価金属カチオンが最も好ましい。好ましい金属カチオンは、Na、K、Mg2+、Ca2+、Fe2+、Fe3+、Ag、Cu、Cu2+、Zn2+、Al3+であり、Al3+が最も好ましい。
【0067】
変性作用を有する物質としては、AlCl・6HO、NaAl(SO・12HO、Al(NO・9HO、KAl(SO・12HO又はAl(SO・14〜18HO及び対応する無水塩、NaSO又はその水和物、MgSO・10HO又は無水硫酸マグネシウムが特に好ましい。
【0068】
金属塩(特に無機金属塩)を変性作用を有する物質として使用する場合には、さらなる変性剤としての金属酸化物と共に使用する。金属酸化物としてはあらゆる金属酸化物を使用することができる。本願明細書において使用する「金属酸化物」という用語は、ホウ素、ケイ素又はゲルマニウム等の半金属の酸化物は含まない。金属酸化物は、少なくとも50重量%が約10nm〜500μmの粒径を有する任意に凝集した粒子からなる微粒子状酸化亜鉛を含むことが特に好ましい。そのような微粒子状酸化亜鉛は、例えば、米国のElementis Specialties社から「Nanox(登録商標)」として入手することができる。
【0069】
変性作用を有する物質は熱可塑性ポリマーであってもよく、熱可塑性ポリマーはポリマー分散液として使用することが好ましい。好ましい熱可塑性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸コポリマー(例えば、エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマー)、(メタ)アクリレートコポリマー、マレイン酸コポリマー(例えば、マレイン酸/プロピレンコポリマー)、ポリウレタン、酢酸ビニルコポリマー(例えば、エチレン/酢酸ビニルコポリマー又は酢酸ビニル/アクリル酸ブチルコポリマー)、スチレンコポリマー(例えば、ブチルアクリレート/スチレンコポリマー)、ポリカーボネートからなる群から選択されるポリマーが挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル酸」という用語はメタクリル酸及びアクリル酸を意味し、アクリル酸が特に好ましい。本発明においてポリマーの化学組成に関して好ましい熱可塑性ポリマーは、ドイツ特許出願公開第103 34 286号及び国際公開第WO2005/044900号に熱可塑性ポリマーとして記載された熱可塑性ポリマーである。ドイツ特許出願公開第103 34 286号及び国際公開第WO2005/044900号の熱可塑性ポリマーに関する開示内容は、この参照によって本願明細書の開示内容の一部として援用する。
【0070】
変性作用を有する物質は、プロトン化有機酸であってもよい。特に好ましいプロトン化有機酸は、アニス酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グリセリンリン酸、グルタル酸、クロロ酢酸、クロロプロピオン酸、けい皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、フマル酸、プロピオン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、マロン酸、マレイン酸、酪酸、イソ酪、イミジノ酢酸、リンゴ酸、イソチオン酸、メチルマレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、クロトン酸、シュウ酸、サリチル酸、グルコン酸、没食子酸、ソルビン酸、グルコン酸、脂肪酸、特にステアリン酸、アジピン酸、p−ヒドロキシ安息香酸であり、クエン酸が最も好ましい。
【0071】
変性作用を有する物質として使用することができる化合物としては、少なくとも1種のアニオンとポリカチオンとを含み、ポリカチオンが以下の構造Iを有する化合物も挙げられる。
【0072】
【化1】

(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素原子数が1〜10、好ましくは1〜7、特に好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2、最も好ましくはメチル基である炭化水素基を示し、nは、少なくとも25、好ましくは少なくとも31、さらに好ましくは少なくとも100、さらに好ましくは少なくとも1,000、さらに好ましくは少なくとも2,000、さらに好ましくは少なくとも2,500、さらに好ましくは少なくとも3,000、最も好ましくは少なくとも5,000である。)
【0073】
構造Iで表される特に好ましいポリカチオンはポリジアリルジメチルアミンである。好ましいアニオンは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫化物イオン、硫酸塩イオン、亜硫酸塩イオン、硝酸塩イオン、亜硝酸塩イオン、酢酸塩イオン、乳酸塩イオン、炭酸塩イオン、重炭酸塩イオン、リン酸塩イオン、亜リン酸塩イオン、水酸化物イオンである。化合物は、これらの1価又は2価アニオンに加えて多価アニオンも含むことができる。少なくとも1種のアニオンとポリカチオンとを含む特に好ましい化合物は、nが少なくとも25、好ましくは少なくとも31、さらに好ましくは少なくとも100、さらに好ましくは少なくとも1,000、さらに好ましくは少なくとも2,500、最も好ましくは少なくとも5,000である塩化ジアリルジメチルアンモニウムのポリマーである。このような化合物としては、ポリアリルアミンとポリビニルアミンからなる化合物が特に好ましい。
【0074】
変性作用を有する物質は無機又は有機微粒子であってもよい。この場合、変性作用を有する物質は分散液として使用することが好ましい。本発明の別の実施形態では、微粒子はそのままの状態で別途添加する。この場合、微粒子の添加前、添加後又は添加前及び添加後にバインダーを使用することができる。バインダーとしては、例えば上述した物質又は後述する物質が好適である。有機又は無機微粒子としては、国際公開第WO2005/011860 A1号において好ましい有機又は無機微粒子として記載された微粒子が好ましい。SiO化合物、例えば「Aerosil(登録商標)」として入手可能な発熱性シリカ、例えば「Sipernat(登録商標)」として市販されている沈降シリカ、例えば「Levasil(登録商標)」として入手可能なシリカゾルが無機微粒子として特に好ましい。好ましい有機微粒子は、例えばセルロース又はセルロース誘導体の微粒子、澱粉又は澱粉誘導体の微粒子又はシクロデキストリン微粒子等の多糖類からなる粉末である。
【0075】
水溶性ポリマーも変性作用を有する物質として使用することができる。好ましい水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール又は水溶性ポリエチレングリコールである。これらの水溶性ポリマーの分子量は、好ましくは200〜100,000g/モル、特に好ましくは300〜50,000g/モル、最も好ましくは350〜350,000g/モルである。
【0076】
特に「New Approach to Odor and pH Control in Personal Care」、Jacek K.Dutklewicz、Insight 2006、国際会議、2006年10月29日〜11月2日及び米国特許出願公開第2006/0029567 A1号に記載されているような臭気の形成を抑制する1種以上の物質に加えて、以下の構造IIで表される化合物を変性作用を有する物質として使用することができる。
【0077】
【化2】

(式中、R1は、C〜C20、好ましくはC〜C15、より好ましくはC〜C10の炭化水素であり、Xは、存在しないか(この場合、[]nの炭素と[]mの炭素との間に炭素−炭素結合が存在する)、1〜5個、好ましくは1〜3個、特に好ましくは1個の二重結合を含む二重結合系(少なくとも2個の二重結合を含む場合には、好ましくは共役二重結合系)であり、Mは、荷電又は非荷電、好ましくは荷電金属であり、mは、1〜15、好ましくは3〜12、より好ましくは5〜9であり、nは、1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは1であり、oは1〜4、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2、より好ましくは2である。)
【0078】
構造IIで表される化合物は、アミノ酸、好ましくはメチオニン、アルギニン又はシステイン、特に好ましくはシステイン又はアルギニンと組み合わせて変性作用を有する物質として有利に使用することができる。
【0079】
例えば、吸水性ポリマー構造体を湿潤させるために、変性剤として純水を使用することもできる。
【0080】
変性作用を有する物質又は上述した変性剤の2、3又は4種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0081】
本発明において特に好ましく、特に表面変性剤として使用することができる変性剤は、以下の群から選択される1種又は2種以上の変性剤である。
i)水と、水に溶解した少なくとも1種の表面後架橋剤と、を含む水溶液
ii)水と、水に溶解した少なくとも1種の水溶性ポリマー、特に好ましくは300〜15,000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコールと、を含む水溶液
iii)水と、プロトン化有機酸、好ましくクエン酸と、無機微粒子、好ましくはSiO化合物、特に好ましくは沈殿シリカと、を含む水性懸濁液
iv)水と、少なくとも1種の有機金属塩、好ましくは乳酸アルミニウムと、を含む水溶液
v)水と、水に溶解した少なくとも1種の表面後架橋剤と、有機金属塩、好ましくは乳酸アルミニウムと、を含む水溶液
vi)水と、無機金属塩、好ましくは硫酸アルミニウムと、を含む水溶液
vii)水と、少なくとも1種の表面後架橋剤と、無機金属塩、好ましくは硫酸アルミニウムと、を含む水溶液
viii)無機粉末、好ましくは無機金属塩、特に好ましくは硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム又はリン酸アルミニウム又はSiO化合物、好ましくは発熱性シリカ又は沈降シリカ
ix)有機粉末、好ましくは多糖類からなる粉末、例えばカルボキシセルロース粒子又はシクロデキストリン粒子
x)水と、少なくとも1種の無機又は有機金属塩、好ましくは硫酸アルミニウム又は乳酸アルミニウムと、少なくとも1種の金属酸化物、好ましくは酸化亜鉛と、を含む水系分散液
xi)水と、少なくとも1種の表面後架橋剤と、少なくとも1種の無機又は有機金属塩、好ましくは硫酸アルミニウム又は乳酸アルミニウムと、少なくとも1種の金属酸化物、好ましくは酸化亜鉛と、を含む水系分散液
xii)水と、少なくとも1種のポリカチオン、好ましくは塩化ポリジアリルジメチルアンモニウムと、を含む水溶液
xiii)水と、少なくとも1種の表面後架橋剤と、少なくとも1種のポリカチオン、好ましくは塩化ポリジアリルジメチルアンモニウムと、を含む水溶液
xiv)水と、水に分散された熱可塑性ポリマーと、を含む水系分散液
xv)水と、水に溶解した少なくとも1種の表面後架橋剤と、水に分散された熱可塑性ポリマーと、を含む水系分散液
xvi)構造IIで表される化合物、好ましくは「Tegosorb(登録商標)」としてGoldschmidt社から入手できる製品と、水と、任意の無機微粒子、好ましくはSiO化合物、特に好ましくは沈降シリカと、を含む水溶液
xvii)水、特に蒸留水、イオン交換体によって脱イオン化された水又は水道水
xviii)有機固体、好ましくは多糖類からなる粉末、例えばカルボキシセルロース粒子又はシクロデキストリン粒子の水溶液又は水性懸濁液
【0082】
本発明では、工程b)において、変性作用を有する物質を、吸水性ポリマー構造体の重量に対して0.001〜20重量%、特に好ましくは0.001〜10重量%、最も好ましくは0.01〜5重量%の量で吸水性ポリマー構造体と接触させることが好ましい。なお、使用する変性作用を有する物質の量は物質の性質に応じて異なる。工程b)において、吸水性ポリマー構造体は、吸水性ポリマー構造体の重量に対して0.5〜30重量%、特に好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは1.5〜10重量%の水と接触させることが好ましい。
【0083】
工程b)において、変性剤は、好ましくはパターソン・ケリーミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジミキサー、ルベルクミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高回転数でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージミキサー)である当業者に公知の混合装置内において変性剤と吸水性ポリマー構造体を混合することによって吸水性ポリマー構造体と接触させることが好ましい。。変性剤と接触させた吸水性ポリマー構造体の混合装置内における平均滞留時間は、好ましくは0.01〜240秒、特に好ましくは0.05〜180秒、最も好ましくは0.1〜120秒である。
【0084】
本発明に係る方法の工程c)では、変性剤と接触させた吸水性ポリマー構造体をさらに処理する。工程c)における処理は、少なくとも部分的に回転容器内において行われる。工程c)における処理は、好ましくは、変性剤と接触させた吸水性ポリマー構造体を混合することである。
【0085】
本発明に係る方法の好適な実施形態によれば、変性剤と接触させ、工程c)において使用される吸水性ポリマー構造体は、吸水性ポリマー構造体の重量に対して30重量%以下、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、最も好ましくは15重量%以下のERT430.2−02に準拠して測定した含水量を有する。
【0086】
工程b)において吸水性ポリマー構造体と変性剤を回転容器内において接触させていない場合には、変性剤と接触させた吸水性ポリマー構造体を最初に回転容器に入れる。
【0087】
回転容器は、適当なモーターによって容器の中央を水平に延びる軸を中心として回転させることができ、筒状に形成されると共に水平に設置された容器を好ましくは含む。容器は、後方領域と、前方領域と、後方領域及び前方領域を接続するジャケット領域と、を軸に沿って含む。原則として、容器はプラスチック又は鋼からなることができるが、好ましくは高級鋼からなる。吸水性ポリマー構造体と接触する容器の内面は、ポリプロピレン又はポリ(テトラフルオロエチレン)ポリマー等の適当なポリマーによって任意に被覆することができる。容器は好ましくは円筒形状を有し、後方領域及び前方領域は必要に応じてドーム形状を有していてもよい。円筒形状は、ジャケット領域が厳密に円筒状ではない(例えば、膨らんだ形状又は湾曲した形状又は砂時計状)形状も含む。
【0088】
容器の直径は、好ましくは1〜15m、特に好ましくは2〜10m、最も好ましくは2.5〜5mであり、容器の長さは、好ましくは1〜20m、特に好ましくは2〜10m、最も好ましくは3〜7mである。回転容器の充填容積は、好ましくは100〜250,000リットル、特に好ましくは1,000〜100,000リットル、最も好ましくは5,000〜50,000リットルである。
【0089】
好ましくは、プラスチック又は金属(好ましくは高級鋼)からなり、ポリプロピレン又はポリ(テトラフルオロエチレン)ポリマー等の適当なポリマーによって任意に被覆されていてもよく、へら状に形成された混合補助器具が、吸水性ポリマー構造体と接触する容器の内部に取り付けられている。また、混合補助器具は容器の内部に固定されていることが好ましく、容器のジャケット領域に固定されていることが最も好ましい。また、混合補助器具は皿状に形成されていることが好ましい。容器内の混合補助器具の数は、好ましくは1〜50、特に好ましくは2〜25、最も好ましくは3〜6である。
【0090】
上述した回転容器を使用する利点は、混合補助器具によって容器の内容物を移動させ、層状にすることができ、吸水性ポリマー構造体をループ状の経路に沿って容器内を移動させることができることである。容器内には可動式の入口及び出口装置以外には可動又は逆回転部品が好ましくは存在しないため、容器の回転時に吸水性ポリマー構造体はほとんど又は全く摩擦を受けることはない。通常使用される円錐ミキサー又はその他の固定子−回転子ミキサーにおいて観察される場合が多い粉砕作用はほとんど又は全く生じない。
【0091】
本発明の別の実施形態によれば、回転容器は、前方領域に、導入補助器具(例えば、スクリュー、スライド弁、シェーカー、セルラーホイールスルース(cellular wheel sluice)、圧縮空気供給源又はこれらの少なくとも2つの組み合わせ)を任意に備えることができ、変性剤と接触させた吸水性ポリマー構造体を回転容器に導入するための製品入口と、回転容器内で処理された吸水性ポリマー構造体を回転容器から排出するための好ましくは調節可能な製品出口と、をさらに含む。容器は適当な電動モーターによって回転させることができ、回転速度は、好ましくは1〜100rpm、特に好ましくは2〜50rpm、最も好ましくは3〜15rpmである。
【0092】
好ましくは、回転容器は、好ましくは回転容器の回転軸に沿って後方領域の中央に挿入することができるランスを出口ユニットとしてさらに含む。ランスはプラスチック又は金属からなることができるが、好ましくは高級鋼からなる。ランスは回転容器に固定されていない(すなわち、容器を回転させた時に長手軸を中心として回転しない)ことが好ましい。好ましくは物質を収容又は案内する凹部が形成され、吸水性ポリマー構造体を出口方向に通過させる排出部材を、容器内においてランスに取り付けることができる。排出部材を可動ランスに固定することにより、排出部材も容器内において移動させることができる。
【0093】
回転容器は、変性剤供給部を入口ユニットの1つとしてさらに含むことができ、供給部は好ましくは前方領域に取り付けられている。供給部は、好ましくは回転容器の内部(好ましくは前方領域に固定)に配置され、液体(特に溶液、分散液又はエマルション)及び場合によっては固体(粉末等)を吸水性ポリマー構造体に噴霧することができるスプレーノズルである。
【0094】
本発明に係る方法の特に好適な実施形態では、Lindor社(ドルドレヒト、オランダ)製の混合装置を工程c)において使用し、混合装置は好ましくはLindor 70、Lindor 200、Lindor 500、Lindor 750、Lindor 1000、Lindor 1500、Lindor 2000、Lindor 2300、Lindor 4000、Lindor 7000、Lindor 8000、Lindor 12000、Lindor 14000、Lindor 25000からなる群から選択される。上述した混合装置は、入口及び出口装置に関して連続運転を行うように設計することができる。本発明では、始動及び停止時に加え、始動時(通常は充填)から少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間、特に好ましくは少なくとも10時間にわたって容器への導入と容器からの排出を連続して行うことによって連続運転を行うことが好ましい。
【0095】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態では、工程c)で使用する回転容器は、回転容器内の吸水性ポリマー構造体を少なくとも部分的に加熱又は冷却することができる加熱装置又は冷却装置を含むことができる。この場合、加熱装置又は冷却装置が回転容器のジャケット領域の少なくとも一部を加熱又は冷却し、加熱又は冷却されたジャケット領域が吸水性ポリマー構造体に熱を伝えるか、吸水性ポリマー構造体から熱を吸収することが有利な場合がある。加熱装置の場合には、赤外線ランプ等の加熱源を回転容器の内部に使用するか、加熱空気等の加熱気体を導入することができる。この場合、吸水性ポリマー構造体の加熱又は冷却を回転容器の前方領域と後方領域との間の所定領域に制限することが有利な場合がある。
【0096】
吸水性ポリマー構造体の回転容器内における平均滞留時間(回転容器の容積と流入量の商から計算)は、好ましくは5〜300分、特に好ましくは10〜180分、最も好ましくは15〜140分である。工程c)では、容器の最大断面積(回転軸に垂直な断面積)の80%、特に好ましくは70%、より好ましくは60%、最も好ましくは50%、さらに好ましくは40%まで容器に吸水性ポリマー構造体を充填することが好ましい。すなわち、容器の内容積の60体積%、好ましくは55体積%、好ましくは50体積%、より好ましくは40体積%まで吸水性ポリマー構造体を充填する。
【0097】
本発明に係る方法の特に好適な実施形態では、工程c)における処理を少なくとも部分的に連続的に行う。例えば、変性剤と接触させた吸水性ポリマー構造体を回転容器の前方領域にある入口から導入し、回転容器内を流動させ、所定の滞留時間後に回転容器の後方領域にある出口から排出する。この場合、吸水性ポリマー粒子の平均滞留時間は、変性剤と接触させた吸水性ポリマー構造体の単位時間当たりの入口からの供給量、回転容器の容積、単位時間当たりの処理された吸水性ポリマー構造体の出口からの排出量に応じて異なる。比較的少量の変性剤と接触させた比較的大量の吸水性ポリマー構造体の処理のために回転ミキサーを連続運転することの利点は、吸水性ポリマー構造体内において変性剤の非常に迅速な分散が生じることである。これは、特に、吸水性ポリマー構造体又は変性剤と吸水性ポリマー構造体の混合物が湿潤しており、付着性を示したり、塊を形成する傾向がある場合に当てはまる。容器への導入量は、調節可能な入口装置に加えて調節可能な出口装置を使用することによって調節することができる。好ましくは、出口装置は調節可能な出口開口部を有する。出口装置としては、堰(好ましくは垂直方向に調節可能な堰)、セルラーホイールスルース(cellular wheel sluice)、排出スクリュー(特に周波数を調節することができる排出スクリュー)又はこれらの少なくとも2つの組み合わせが挙げられる。
【0098】
特に、工程c)における処理を連続的に行う場合には、好ましくは堰状に形成された可変出口開口部を有する出口装置を後方領域における出口領域に設けることが有利である。この場合、断面積が出口の断面積に対応する堰を出口開口部に設けることが好ましく、堰の断面積は機械的又は電気機械的に減少させることができる。堰の断面積が出口の断面積に対応する場合には、出口を閉じると吸水性ポリマー構造体は回転容器から排出されない。そして、堰の断面積を減少させると(例えば、円形の出口に取り付けられた円形の堰の場合には、円形の堰の中央を延びる軸を中心として円の上半分を回転させる)、このようにして形成された隙間を介して吸水性ポリマー構造体を回転容器から排出することができる。従って、出口を堰によって調節することができる。特に工程c)において吸水性ポリマー構造体を連続的に処理する場合には、断面積を調節することにより、回転容器内の吸水性ポリマー構造体の平均滞留時間を変更することができる。
【0099】
本発明に係る方法の特定の実施形態では、工程b)において吸水性ポリマー構造体を変性剤と少なくとも部分的に回転容器内において接触させることができる。変性剤と接触させていない吸水性ポリマー構造体又は部分的に変性剤と接触させた吸水性ポリマー構造体を入口から回転容器に導入することによって工程b)及び工程c)を少なくとも部分的に同時に行う場合には、好ましくは前方領域において、好ましくはノズル又は容器内の供給部によって吸水性ポリマー構造体に変性剤を噴霧し、変性剤を噴霧した吸水性ポリマー構造体を回転容器内で混合することによってさらに処理する。
【0100】
本発明において特に好ましい超吸収体の製造方法の実施形態は以下の方法から選択される。
(γ1)使用する1種又は2種以上の変性剤の25重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満と接触させた吸水性ポリマー構造体又は好ましくは変性剤と接触させていない吸水性ポリマー構造体を回転ミキサーに導入し、好ましくは前方領域において変性剤と接触させ、回転容器内において混合することによってさらに処理する。変性剤が後架橋剤を含む場合には、回転容器内で吸水性ポリマー構造体を加熱することができる。本発明に係る方法の本実施形態では、変性剤として、上述した変性剤i)〜xvii)の1種又はこれらの少なくとも2種の組み合わせを使用することができる。
(γ2)(γ1)において、表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を使用する。本発明に係る方法の本実施形態では、変性剤として、上述した変性剤ii)、iii)、iv)、vi)、viii)、ix)、x)、xii)、xiv)、xvi)、xvii)の1種又はこれらの少なくとも2種の組み合わせを使用することができる。
(γ3)使用する1種又は2種以上の変性剤の25重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満と接触させた吸水性ポリマー構造体又は好ましくは変性剤と接触させていない吸水性ポリマー構造体を、回転ミキサーに導入する前に混合することによって変性剤と接触させる。本発明に係る方法の本実施形態では、変性剤として、上述した変性剤i)〜xvii)の1種又はこれらの少なくとも2種の組み合わせを使用することができる。
(γ4)(γ3)において、表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を使用する。本発明に係る方法の本実施形態では、変性剤として、上述した変性剤ii)、iii)、iv)、vi)、viii)、ix)、x)、xii)、xiv)、xvi)、xvii)の1種又はこれらの少なくとも2種の組み合わせを使用することができる。
(γ5)変性剤と接触させていない吸水性ポリマー構造体を回転ミキサーに導入し、好ましくは前方領域において第1の変性剤と接触させ、回転容器内において混合することによってさらに処理する。第1の変性剤が後架橋剤を含む場合には、回転容器内で吸水性ポリマー構造体を加熱することができる。第1の変性剤を添加した領域の下流の領域において、吸水性ポリマー構造体を第2の変性剤と接触させ、さらに処理する。この場合、吸水性ポリマー構造体と第1及び第2の変性剤の接触及びその後の処理は、同一の回転容器において行うことができる。ただし、直列に接続された2以上の回転容器を使用することもできる。本発明に係る方法の本実施形態では、上述した変性剤i)〜xvii)の1種又はこれらの少なくとも2種の組み合わせを第1の変性剤として使用することができ、上述した変性剤ii)、iii)、iv)、vi)、viii)、ix)、x)、xii)、xiv)、xvi)、xvii)の1種又はこれらの少なくとも2種の組み合わせを第2の変性剤として好ましく使用することができる。
(γ6)(γ5)において、表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を使用する。本発明に係る方法の本実施形態では、第1及び第2の変性剤として、上述した変性剤ii)、iii)、iv)、vi)、viii)、ix)、x)、xii)、xiv)、xvi)、xvii)の1種又はこれらの少なくとも2種の組み合わせを使用することができる。
【0101】
本発明に係る超吸収体は、8以下、好ましくは6以下、より好ましくは4以下、最も好ましくは2以下の、本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したダスト含有量を有する。
【0102】
本発明に係る超吸収体は、2〜10重量%、特に好ましくは2〜8重量%、より好ましくは2〜6重量%、最も好ましくは2〜5重量%の、ERT430.2−02に準拠して測定した含水量を有することが好ましい。含水量が2〜10重量%の範囲外である場合には、超吸収体の吸収率と輸送特性が悪影響を受ける。ここで、超吸収体の含水量は、製造後に超吸収体が有する含水量、特に衛生用品への導入前の含水量であってもよい。ただし、超吸収体の含水量は、衛生用品(例えばおむつ)から分離した際に超吸収体が有する含水量であってもよい。衛生用品に導入した超吸収体は(水蒸気として大気に含まれる)水を既に吸収している場合があるため、衛生用品における超吸収体は10重量%の上限値を超える含水量を有する場合がある。
【0103】
また、上記目的の少なくとも1つは、超吸収体製造装置であって、
重合領域と、
前記重合領域に続く乾燥領域と、
前記乾燥領域に続く処理領域と、を含み、
前記重合領域と、前記乾燥領域と、前記処理領域とが流体ラインによって相互に接続され、
前記処理領域が回転容器を含む装置によって達成される。
【0104】
重合領域は好ましくは重合装置を含み、ポリアクリレートからポリマーゲルを製造するために使用することができる当業者に公知の装置を重合装置として使用することができ、重合ベルト等の連続的に動作する重合装置が特に好ましい。好適な重合装置は、例えば、F.L.Buchholz及びA.T.Graham、「現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」、Wiley−VCH、1998年の第3.2.3章に記載されている。
【0105】
乾燥領域は好ましくは乾燥装置を含み、当業者に公知の乾燥装置を使用することができる。好ましい乾燥装置としては、回転管オーブン、流動床乾燥機、プレート乾燥機、パドル乾燥機、赤外線乾燥機が挙げられる。
【0106】
または、乾燥前にゲルを粉砕することができるように、重合領域が肉挽機又は切刃等のゲル粉砕装置を含むゲル粉砕領域を含むことが有利である。これにより、ポリマーゲルをより効率的に乾燥することができる。好適なゲル粉砕装置は、例えば、F.L.Buchholz及びA.T.Graham、「現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」、Wiley−VCH、1998年の第3.2.4章に記載されている。また、乾燥領域が乾燥装置に加えて粉砕装置及び/又は篩い分け装置を含むことも有利である。この場合、吸水性ポリマー構造体が処理領域に入る前に、吸水性ポリマー構造体を粉砕及び/又は特定の粒径(好ましくは150〜850μm)に篩い分けることができる。好適な粉砕装置及び篩い分け装置は、例えば、F.L.Buchholz及びA.T.Graham、「現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」、Wiley−VCH、1998年の第3.2.6章に記載されている。
【0107】
また、後架橋反応器を処理領域と乾燥領域との間に配置することも有利であり、吸水性ポリマー構造体が処理領域に入る前に吸水性ポリマー構造体を表面後架橋させることができる。好適な後架橋反応器は、例えば、F.L.Buchholz及びA.T.Graham、「現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」、Wiley−VCH、1998年の第3.2.8.1章に記載されている。
【0108】
処理領域は、好ましくは回転容器を含み、本発明に係る方法に関して上述した容器が回転容器として好ましい。
【0109】
本発明に係る装置の特に好適な実施形態では、処理領域は回転容器の上流に少なくとも1つのさらなるミキサーを含み、さらなるミキサーとしては、ケリー(Kelley)ミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージ(Schugi)ミキサー)が挙げられる。この上流のミキサーでは、回転容器に導入する前に吸水性ポリマー構造体を変性剤と接触させることができる。
【0110】
また、上記目的は、上述した装置を使用する超吸収体の製造方法によって達成される。
【0111】
また、上述した目的は、上述した本発明に係る方法によって得られる超吸収体によって達成される。
【0112】
また、上述した目的は、本発明に係る超吸収体又は本発明に係る方法によって得られる超吸収体と、基材と、を含む複合体によって達成される。本発明に係る超吸収体と基材とは強固に結合されていることが好ましい。好ましい基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリアミド等のポリマーのフィルム、金属、不織布、綿毛、織物、織布、天然又は合成繊維又は発泡体である。本発明では、複合体は、複合体の総重量の約15〜100重量%、好ましくは約30〜100重量%、特に好ましくは約50〜99.99重量%、より好ましくは約60〜99.99重量%、さらに好ましくは約70〜99重量%の量で本発明に係る超吸収体を含む少なくとも1つの領域を含み、該領域は少なくとも0.01cm3、好ましくは少なくとも0.1cm3、最も好ましくは少なくとも0.5cm3の体積を有することが好ましい。
【0113】
本発明に係る複合体の特に好適な実施形態では、複合体は「吸収性材料」として国際公開第WO02/056812 A1号に記載されているようなシート状複合体である。国際公開第02/056812 A1号の複合体の構造、構成要素の単位面積当たりの重量及び厚みに関する開示内容は、この参照によって本願明細書の開示内容の一部として援用する。
【0114】
また、上述した目的の少なくとも1つは、本発明に係る超吸収体又は本発明に係る方法によって得られる超吸収体と、基材と、必要に応じて添加剤と、を接触させる複合体の製造方法によって達成される。基材としては、本発明に係る複合体に関連して述べた基材を使用することが好ましい。
【0115】
また、上述した目的の少なくとも1つは、上記方法によって得られ、上述した本発明に係る複合体と同一の特性を好ましくは有する複合体によって達成される。
【0116】
また、上述した目的の少なくとも1つは、本発明に係る超吸収体又は本発明に係る複合体を含む化学製品によって達成される。好ましい化学製品は、発泡体、成形体、繊維、フィルム、シート、ケーブル、シール材、液体吸液性衛生用品(特におむつ及び生理用ナプキン)、植物・菌類生育調節剤・植物保護活性化合物の担体、建設材料の添加剤、包装材料、土壌添加剤である。
【0117】
また、上述した目的の少なくとも1つは、本発明に係る超吸収体又は本発明に係る複合体の、化学製品、好ましくは上述した化学製品、特におむつ及び生理用ナプキン等の衛生用品における使用及び超吸収体粒子の植物、菌類生育調節剤又は植物保護活性化合物の担体における使用によって達成される。植物、菌類生育調節剤又は植物保護活性物質の担体として使用する場合には、植物、菌類生育調節剤又は植物保護活性物質は、担体によって制御される時間が経過した後に放出できることが好ましい。
【0118】
図1は、本発明に係る超吸収体製造装置の実施形態を示す断面図である。重合領域1において、部分的に中和されたアクリル酸と、少なくとも1種の架橋剤と、開始剤とを含むモノマー水溶液からフリーラジカル重合によってポリマーゲルを形成し、ゲルを必要に応じて粉砕した後、乾燥領域2において好ましくは含水量が10重量%未満となるまでポリマーゲルを乾燥させる。このようにして得られた吸水性前駆体を、必要に応じて粉砕し、特定の粒径に篩い分けた後に、後架橋反応器3内において後架橋させる。ただし、吸水性生成物を処理領域に直接供給することもできる。
【0119】
処理領域4は、吸水性前駆体と変性剤(純粋な物質として添加されない場合には好ましくは水溶液、水系分散液又は水性エマルション)を混合する好ましくは加熱可能なミキサー5を含むことができる。ただし、変性剤を供給部13を介して回転容器6に最初に添加することもできる。変性剤は、必要に応じて上流のミキサー5に一部を添加し、供給部13を介して一部を添加することもできる。
【0120】
回転容器6内において、変性剤と接触させた吸水性ポリマー構造体を混合して処理する。回転容器は、製品入口10が位置する前方領域7と、ジャケット領域8と、製品出口11が位置する後方領域9と、を含む。回転容器内には、容器6の横回転(図1の矢印を参照)時に吸水性ポリマー構造体を十分に混合することができるへら状の混合補助器具12が回転容器の内部に固定されている。容器は、モーター14からの力の作用によって回転させることができる。
【0121】
本発明に係る装置の特に好適な実施形態では、装置は出口領域10に断面積は調節することができる堰15を出口ユニットの一部として含む(図4も参照)。
【0122】
図2は、本発明に係る超吸収体製造装置の別の実施形態を示す断面図である。本実施形態では、処理領域は、サーボモーター17によって回転容器6の回転軸に沿って容器6に出し入れすることができるランス16をさらに含む。例えば、出口11からの製品の排出を促進することができる排出部材18をランス16に取り付けることができる。製品入口10は、傾斜した案内手段(例えば、チューブ又はシュート)として構成されている。製品入口10の傾斜角は、回転容器6に導入される材料の付着又は塊の形成をできるだけ防止するように選択する。また、できるだけデッドスペースが生じないように入口10を設計する。シェーカー、コンベヤベルト、スライド弁又はこれらの少なくとも2つの組み合わせ等の輸送部材101を入口10に設けることができる。
【0123】
図3は、堰15の実施形態を示す断面図である。本実施形態では、堰は下部及び上部円形部(151,152)を含み、上部円形部152は、上部円形部151と下部円形部152によって形成された円の中心部を中心として回転させることができる。上部円形部152は、例えば、サーボモーター154によって移動させることができるランス153によって回転させることができる。上部円形部152を回転させると隙間155が形成され、隙間155を介して回転容器から吸水性製品を排出することができる。そのため、排出される材料の量を隙間の幅によって調節することができる。
【0124】
図4は、本発明に係る超吸収体の製造方法の実施形態を示す。本実施形態によれば、吸水性ポリマー構造体を回転容器4に導入し、回転容器4の上部領域において第1の供給部12から供給される第1の変性剤と接触させる。第1の変性剤が表面後架橋剤である場合には、回転容器4が、吸水性ポリマー構造体を後架橋させるために加熱する加熱領域19を表面後架橋剤の供給部の下流に含むことが有利である。後架橋させた吸水性ポリマー構造体は、別の変性剤を添加することができる供給部20を通過し、容器を回転させ、別の変性剤と接触させた超吸収体を混合することにより、吸水性ポリマー構造体の通過中に対応する処理を行うことができる。
【0125】
図5は、本発明に係る堰15の別の実施形態としての縦型堰を示す。回転容器6の出口開口領域に設けられた出口開口形成部21には、矩形の出口開口部25を有する出口プレート22が回転可能に取り付けられている。堰15は、移動可能に取り付けられ、出口プレート22の表面の1つに隣接する矩形の出口スライド弁23を有する。出口スライド弁23を移動させるために、出口スライド弁駆動部24が設けられている。a.では出口スライド弁23は出口開口部25を閉じているが、b.では出口スライド弁23が移動して出口開口部25を開き、回転容器26を出口開口部25の下部まで空にすることができる。
【0126】
図6は、本発明に係る堰15の別の実施形態としての2つの縦型堰を有する複合縦型堰を示す。図5に示す単一の堰の説明は2つの縦型堰にも当てはまり、第2の堰はアポストロフィを付した参照番号によって示している。図5に示す縦型堰と同様に、複合縦型堰の場合も、出口プレート22の最大直径に対応する堰高さ線26に基づく、出口開口部25の上端に対応する堰高さ27は、堰高さ線26の高さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%であることが好ましい。
【実施例】
【0127】
本発明を、本発明を限定するものではない図面及び実施例を参照してさらに詳細に説明する。
【0128】
試験方法
一般事項
以下の説明では、試験方法について別段の記載がない場合には、当業者に通常知られており、従来から使用されていると思われる試験方法を使用し、特に「ERT法」として知られている欧州不織布協会(European Diaper and Nonwoven Association(EDANA))の試験方法を使用する。
【0129】
自由膨張率(free swell rate(FSR))の測定
自由膨張率(FSR)は吸収率を示すものであり、米国特許第5,149,335号(Kellenberger他)に記載された方法に準拠して測定した。
【0130】
ダスト含有量の測定
ダスト含有量は、AnaTec Deutschland社(ドイツ)製「Dust MON L」を使用して測定した。すなわち、30gの試料を漏斗管に入れた。測定開始時に、漏斗弁が自動的に開き、試料がダスト貯槽に落下した。ダストの形成によるレーザービームの減少(伝導の減少)を測定した。測定された値からダスト含有量を決定した。ダスト含有量(STZ)は、測定開始時の最大値と浮遊量を測定するために30秒後に測定したダスト値とから得られる。すなわち、ダスト含有量は最大値とダスト値の合計によって与えられる。
【0131】
含水量の測定
Sartorius社製「WDS 400システム239」を含水量の測定に使用した。WDS 400測定装置はコンピュータプログラム(WDS 400バージョン2.1.8)によって動作させた。タングステン酸ナトリウム二水和物を標準として使用した。装置の気体流量は、目盛りによって確認した後に2ccm/minに調節した。WDS 400システムは測定前に十分に加熱した。十分に加熱する前に、オーブン内の試料容器をピンセットを使用して取り出した。加熱操作はコンピュータプログラムによって制御した。400℃まで加熱し、40℃まで冷却した後、重量及び標準測定を行った。すなわち、試料容器をピンセットを使用して装置に挿入し、標準について容器の重量を測定した。測定操作はコンピュータプログラムによって制御し、温度の上昇が生じた。測定操作後、WDS 400システムを40℃未満まで冷却し、容器を取り出した。分析対象の製品の正確な重量(約20mg)をコンピュータプログラムに入力した。ピンセットを使用して容器を装置に挿入した後、測定を開始した。コンピュータプログラムによって、所定の時間に所定の温度となるように制御した。t=0からt=2分までの第1の区間では、温度を80℃とした。t=2分からt=4分までの第2の区間では、温度を80℃から200℃に一定の上昇率で上昇させた。t=4分からt=7分までの第3の区間では、温度を200℃に維持した。t=7分からt=8分までの第4の区間では、温度を200℃から300℃に一定の上昇率で上昇させた。その後、測定終了(t=25分)までの第5の区間では、温度を300℃に維持した。測定結果をコンピュータプログラムによって評価し、電流/時間のグラフに曲線によってプロットした。曲線はある時点において蒸発した水の量を示し、当該時点で測定された電流に比例する。t=0からt=tまでの曲線未満の積分は表面水に比例し、tは曲線全体の最後の最大値の前の極小値である。コアの水はtから測定終了(25分後)までの曲線の積分から得、最初の温度上昇Tから算出した。
【0132】
FFC値の測定
FFC値は、サイロ内のバルク製品の流動特性に関する情報である。測定では、リング剪断試験機「RST−01.01」(Dr.−Ing. Dietmar Schulze Schuttgutmesstechnik製、D−38302 Wolfenbuttel)を使用した。RST装置は、RST Control 95ソフトウェアでプログラムされたコンピュータと測定結果を印刷するためのプリンタに接続した。リング剪断試験機の標準製品分析設定は以下の通りである。初期剪断時には、500Paの圧力を使用した。切断時には、100Pa、250Pa、400Pa、100Paの圧力を使用した。装置の標準剪断セルをカバーを有する装置に取り付けられた際には、力測定のゼロ値の試験を行った。所望の製品の測定法はコンピュータプログラムによって選択する。最初に、標準測定(上述した条件)を行った。次に、剪断セルに吸水性ポリマー構造体(バルク製品)を充填した。表面は平滑だった。次に、バルク製品を充填した剪断セルの重量を測定した。そして、バルク製品を含む剪断セルの重量をコンピュータプログラムに入力した。標準測定時には、初期剪断用に500Paの圧力を使用した。切断には、100Pa、250Pa、400Pa、100Paの圧力を使用した。測定後、測定結果をコンピュータプログラムによって決定し、Dr,Tug.Dietmar Schuize(www.dietmar−schulze.de)、2004年3月12日の5及び6頁に準拠して評価した。
【0133】
壁面摩擦角度
壁面摩擦は、バルク製品と壁面材料との間の摩擦を意味する。測定は室温(18〜23℃)で行った。壁面摩擦の測定では、リング剪断試験機(Dr.−Ing. Dietmar Schulze Schuttgutmesstechnik製、D−38302 Wolfenbuttel)を使用した。剪断試験機のベースリングを測定対象の壁面材料と取り替えた。次に、剪断試験機内で測定セルに吸水性ポリマー構造体(バルク材料)を充填した。リング剪断試験機によって生成され、測定対象の壁面材料に垂直に作用する力によって法線応力σが生じた。法線応力の作用下でバルク製品を移動させるために必要であり、法線力に垂直に作用し、剪断応力τを発生させる剪断力を測定した。剪断応力は、測定された剪断力を剪断力が作用する壁面積によって除算することによって求めた。所与の法線応力σに対する剪断応力τは以上の通りである。壁面摩擦角度φは、パラメータをtan(φ)=τ/σに代入し、Dr,Tug.Dietmar Schuize(www.dietmar−schulze.de)、2004年3月12日の11及び12頁に準拠して評価することによって決定することができる。
【実施例1】
【0134】
K−TT 4E Draisミキサー(平均滞留時間:約30〜60秒、回転数:900rpm)内において、2重量%の水を変性剤として吸水性ポリマー構造体(Stockhausen社(クレーフェルト)製「Favor(登録商標) SXM 9300」)に添加した。変性剤と接触させたポリマー構造体は湿潤していた。このように処理したポリマー構造体を、80kg/hでLindorミキサー(回転数:4.75rpm)に導入した。充填時には堰を閉じた状態とした。次に、製品の排出量が1.82kg/分となるまで堰を徐々に開いた。このようにして得られた変性ポリマー構造体は自由に流動し、外観は開始物質と同じだった。処理前後の特性(3つの試料の平均値)を表1に示す。
【0135】
【表1】

【0136】
本発明に係る方法による処理により、ダストの形成を比較的抑制すると共に膨潤性を一定に維持しながら、変性剤を非常に均一に分散させることができた。
【実施例2】
【0137】
実施例1と同様にして、Draisミキサー内において、吸水性ポリマー構造体(Stockhausen社(クレーフェルト)製「Favor(登録商標) SXM 9155」)を変性剤としての2重量%の水で処理し、混合物をLindorミキサーに導入した。充填後、Lindorミキサーへの流入量とLindorミキサーからの流出量が約80kg/hとなるように堰を調節した。表2は、篩い分け分析による処理前後の粒径分布における小粒径範囲を示す。
【0138】
【表2】

【0139】
表2に示すように、小さな粒径を有する粒子の量は実質的に一定だった。本発明に係る方法の混合が特に穏やかであることは、この結果から明らかである。
【実施例3】
【0140】
Lindorミキサー内において、ノズルから2重量%の水を変性剤として吸水性ポリマー構造体(Stockhausen社(クレーフェルト)製「Favor(登録商標) SXM 9155」)に添加した。充填後、Lindorミキサーへの流入量とLindorミキサーからの流出量が約80kg/hとなるように堰を調節した。表3は、篩い分け分析による処理前後の粒径分布における小粒径範囲を示す。
【0141】
【表3】

【0142】
表3に示すように、小さな粒径を有する粒子の量は実質的に一定だった。本発明に係る方法の混合が特に穏やかであることは、この結果から明らかである。
【実施例4】
【0143】
実施例1と同様にして、Draisミキサー内において、吸水性ポリマー構造体(Stockhausen社(クレーフェルト)製「Favor(登録商標) SXM 9155」)を変性剤としての10重量%の50%クエン酸溶液及び1.0%の沈降シリカ(「Sipernat」)で処理し、混合物をLindorミキサーに導入した。充填後、Lindorミキサーへの流入量とLindorミキサーからの流出量が約80kg/hとなるように堰を調節した。このようにして得られた変性超吸収体は自由に流動した。液体の量が多く、クエン酸が粘着性を有しているため、Lindorミキサーにおいて非常に十分に混合しない場合には、凝集性が高く、水分量が多く、粘着性が高く、工業的な規模では従来のミキサーで処理することができない僅かに膨張したポリマー構造体が得られた。
【実施例5】
【0144】
実施例1と同様にして、Draisミキサー内において、吸水性ポリマー構造体(Stockhausen社(クレーフェルト)製「Favor(登録商標) SXM 9155」)を変性剤としての5重量%の33%Tegosorb(登録商標)A30溶液及び0.5%の沈降シリカ(「Sipernat」)で処理し、混合物をLindorミキサーに導入した。充填後、Lindorミキサーへの流入量とLindorミキサーからの流出量が約80kg/hとなるように堰を調節した。Lindorミキサーへの導入前後で以下の特性データが得られた。僅かに粘度の高い液体の量が多いため、Lindorミキサーにおいて非常に十分に混合しない場合には、凝集性が高く、水分量が多く、粘着性が高く、工業的な規模では従来のミキサーで処理することができない僅かに膨張したポリマー構造体が得られた。得られた超吸収体の特性を表4に示す。
【0145】
【表4】

【0146】
表4に示すように、壁面摩擦を良好に維持しながら、明らかに改善された自由流動性(FFC値)を達成することができた。
【符号の説明】
【0147】
1 重合領域
2 乾燥領域
3 表面後架橋反応器
4 処理領域
5 ミキサー
6 回転容器
7 回転容器の前方領域
8 回転容器のジャケット領域
9 回転容器の後方領域
10 製品入口
101 輸送部材
11 製品出口
12 へら
13 変性剤の供給部
14 モーター
15 堰
151 堰の下部円形部
152 堰の上部円形部
153 堰調節用ランス
154 ランス143の水平移動のためのモーター
155 超吸収体を回転容器から排出させる堰の隙間
16 回転容器内で排出部材を移動させるためのランス
17 ランス15の水平移動のためのモーター
18 排出部材
19 加熱又は冷却領域
20 変性剤の供給部
21 出口開口形成部
22 出口プレート
23 出口スライド弁
24 出口スライド弁駆動部
25 出口開口部
26 堰高さ線
27 堰高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超吸収体の製造方法であって、
a)吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
b)前記吸水性ポリマー構造体を、変性剤、好ましくは水性変性剤と接触させる工程と、
c)前記変性剤と接触させた前記吸水性ポリマー構造体をさらに処理する工程と、を含み、
少なくとも前記工程c)における前記処理を少なくとも部分的に回転容器内において行う方法。
【請求項2】
前記工程a)で用意する前記吸水性ポリマー構造体が、前記吸水性ポリマー構造体の全重量に対して20重量%以下の本願明細書に記載した方法によって測定した含水量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも前記工程c)における前記処理を連続的に行う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程b)で使用する前記変性剤が、溶液、分散液、エマルション、粉末からなる群から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記工程a)で用意する前記吸水性ポリマー構造体が表面後架橋されている、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記吸水性ポリマー構造体が前記回転容器内を流動する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記容器に前記吸水性ポリマー構造体を前記容器の最大断面積の80%まで充填する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記容器が少なくとも部分的に筒状に形成されている、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
超吸収体の製造装置(1)であって、
重合領域(2)と、
前記重合領域に続く乾燥領域(3)と、
前記乾燥領域に続く処理領域(4)と、を含み、
前記重合領域と、前記乾燥領域と、前記処理領域とが流体ラインによって相互に接続され、
前記処理領域(4)が回転容器(5)を含む装置。
【請求項10】
前記処理領域(4)が、前記回転容器(5)の上流に少なくとも1つのミキサー(6)を含む装置。
【請求項11】
前記回転容器(5)が少なくとも部分的に筒状に形成されている、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記回転容器(5)が調節可能な出口(7)を有する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記出口(7)が堰状の可動閉鎖部(8)を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記回転容器(5)が可動排出部材(9)を含む、請求項9〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記排出部材(9)が移動可能なランス(10)に取り付けられている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
請求項9〜15のいずれか1項に記載の装置を使用する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜8及び16のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収体であって、内部領域と、前記内部領域を取り囲む外部領域とを有し、前記外部領域が処理剤を含む超吸収体。
【請求項18】
請求項1〜8及び16のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収体及び/又は請求項17に記載の超吸収体と、基材と、を含む複合体。
【請求項19】
請求項1〜8及び16のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収体及び/又は請求項17に記載の超吸収体と、基材と、必要に応じて添加剤と、を接触させることを含む、複合体の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法によって得られる複合体。
【請求項21】
衛生用品又は創傷包帯である、請求項18又は20に記載の複合体。
【請求項22】
請求項1〜8及び16のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収体及び/又は請求項17に記載の超吸収体又は請求項21に記載の複合体を含む、発泡体、成形品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、土壌添加剤又は建設材料。
【請求項23】
請求項1〜8及び16のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収体及び/又は請求項17に記載の超吸収体又は請求項21に記載の複合体の、発泡体、成形品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸収性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、活性化合物の制御放出のための土壌添加剤又は建設材料における使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2010−528128(P2010−528128A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508738(P2010−508738)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004085
【国際公開番号】WO2008/141821
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(308007985)エフォニック ストックハウゼン ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】