説明

超吸収性ポリマーの製造

本発明は、振動コンベアベルト上で酸基を有するポリマーゲルを、連続空気循環ベルト式乾燥器に移送することを含み、その際、コンベアベルトのベルト速度が少なくとも0.4m/sである、超吸収性ポリマーの製造に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアベルト上で酸基を有するポリマーゲルを移送することを含み、その際、コンベアベルトのベルト速度は、少なくとも0.4m/sである、超吸収性ポリマーの製造に関する。
【0002】
超吸収性ポリマーは、特に、(共)重合された親水性モノマーからなるポリマー、適したグラフトベース上の1個又はそれ以上の親水性モノマーからなるグラフト(コ)ポリマー、セルロース又は澱粉の架橋されたエーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分架橋されたポリアルキレンオキシド又は水性液体中で膨潤可能な天然産物、グアー(guar)誘導体等である。このようなポリマーは、オムツ、タンポン、サニタリーナプキン及び他の衛生製品を製造するための水性溶液を吸収することができる製品として、さらにはガーデニング市場における保水剤として使用されている。
【0003】
典型的には、超吸収性ポリマーは25〜60g/g、好ましくは少なくとも30g/g、より好ましくは少なくとも32g/g、さらに好ましくは少なくとも34g/g及び最も好ましくは少なくとも35g/gの範囲の遠心保持容量(CRC)を有する。遠心保持容量(CRC)は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)推奨試験方法No. WSP 241.2-05「遠心保持容量」によって測定される。
【0004】
その性能特性、たとえば浸透性を改善するために、超吸収性の重合性粒子は一般には後架橋される。この後架橋は、水性ゲル相中で実施することができる。しかしながら、好ましくは、ベースポリマーの乾燥、粉砕及び篩分けされた粒子は、後架橋剤で表面被覆され、乾燥及び熱的に後架橋される。この目的のための有用な架橋剤は、超吸収性ポリマー粒子のカルボキシラト基と共有結合を形成することができるか、あるいは、カルボキシル基又はベースポリマーの少なくとも2個の異なる重合性鎖の他の官能基と一緒になって架橋することができる、少なくとも2個の基を含有する化合物を含む。
【0005】
超吸収性ポリマーの製造は、たとえば研究論文"Modern Superabsorbent Polymer Technology", F.L. Buchholz and A.T. Graham, Wiley-VCH, 1998,第69頁〜第117頁に記載されている。
【0006】
混練式反応器又はベルト式反応器は、適した反応器である。混練機中で、水性モノマー溶液の重合の過程で製造されたポリマーゲルは、たとえば、WO2001/38402 A1に記載されたようにして反転撹拌シャフトによって連続的に微粉砕される。ベルト上の重合は、たとえばDE3825 366 A1及びUS 6,241,928中に記載されている。ベルト式反応器中での重合は、他の加工段階、たとえばミートグラインダ、押出機又は混練機中で微粉砕しなければならないポリマーゲルを生じる。
【0007】
通常は、形成されたポリマーゲルは、空気循環乾燥器上で乾燥する。ポリマーゲルは、均一にベルト上に分散されなければならない。不均一な分散は、生成物の減少した均一性を生じ、生成物の品質を損ない、かつ乾燥効率を減少させる。
【0008】
WO 2006/100300 A1は、空気循環ベルト式乾燥器上でのポリマーゲルの乾燥を記載している。
【0009】
EP 1 470 905 A1は、超吸収性ポリマーの製造方法を開示している。開示された方法において、振動ベルトコンベアは、押出機から空気循環ベルト式乾燥器に、崩壊したポリマーゲルを移送する。
【0010】
研究開示(Research Disclosure)RD37327及び研究開示RD37440では、空気循環ベルト式乾燥器上の分散手段を記載している。
【0011】
本発明の課題は、超吸収性ポリマーを製造するための改善された方法を提供する。
【0012】
本発明の課題は、
i)少なくとも1個のエチレン性不飽和酸官能性モノマーを含有するモノマー溶液を重合し、
ii)振動コンベアベルト上で形成されたポリマーゲルを、連続空気循環ベルト式乾燥器に移送し、かつ、
iii)ポリマーゲルを乾燥させる、
ことを含み、その際、コンベアベルトのベルト速度は少なくとも0.4m/sである、超吸収性ポリマーを製造する方法によって達成されることが見出された。
【0013】
コンベアベルトのベルト速度は好ましくは0.8m/s、より好ましくは少なくとも1.2m/s、最も好ましくは少なくとも1.6m/sである。
【0014】
本発明の好ましい実施態様において、60モル%又はそれ未満、より好ましくは55モル%又はそれ未満、最も好ましくは50モル%又はそれ未満の、少なくとも1個のエチレン性不飽和酸官能性モノマーの酸基が中和される。
【0015】
本発明のもう一つの実施態様において、少なくとも1個のエチレン性不飽和酸官能性モノマーの中和の度合いは40モル%又はそれ未満、より好ましくは30モル%又はそれ未満、最も好ましくは20モル%又はそれ未満であり、かつ、形成されたポリマーゲルの中和の度合いは50モル%、好ましくは少なくとも55モル%、より好ましくは少なくとも60モル%、最も好ましくは少なくとも65モル%まで上昇する。
【0016】
乾燥前のポリマーゲルの含水量は、好ましくは30〜80質量%、より好ましくは40〜70質量%、最も好ましくは50〜60質量%である。
【0017】
ポリマーゲルの粘着性が中和の度合いに依存し、かつ、ポリマーゲルの粘着性が、乾燥ベルト上の不均一な分散を引き起こすことが見出された。
【0018】
特に、低い中和の度合いを有するポリマーゲルは、コンベアベルト上で粘着する。高いベルト速度は、粘着性のポリマーゲルをコンベアベルトから均一に剥離し、したがって、乾燥器ベルト上の均一なポリマーゲルの分散を生じる。
【0019】
驚くべきことに、重合後の中和(後中和)によって形成されたポリマーゲルは、中和されたモノマー溶液の重合(前中和)によって形成されたポリマーゲルよりも、より粘着性である。これは、後中和ポリマーゲルが、同じ中和の度合いを有する前中和されたポリマーゲルよりもより粘着性であることを意味する。
【0020】
コンベアベルトは種々の材料からなっていてもよいが、これらは、良好な引張り強さ及び良好な可とう性、反復曲げ応力下での良好な疲れ強さ、良好な変形性及び重合条件下における個々の反応成分に対して良好な耐薬品性の要求を満たすものでなければならない。
【0021】
機械的要求は、たとえば天然及び/又は合成繊維又はガラス繊維又はスチールコードの布挿入物から成るカーカスによって充足させることができる。
【0022】
耐薬品性は、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ハロゲン化ポリオレフィン、たとえばポリ塩化ビニル又はポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、天然又は合成ゴム、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂から成るカバーによって達成することができる。好ましいカバー材料はシリコーンゴムである。
【0023】
ベルトコンベアの長さは、好ましくは2〜10m、より好ましくは4〜8m、最も好ましくは5〜7mである。
【0024】
ベルトコンベアの幅は、好ましくは0.2〜1m、より好ましくは0.4〜0.8m、最も好ましくは0.5〜0.7mである。
【0025】
振動ベルトコンベアの最大こう配は、乾燥器の運搬方向に対して好ましくは10〜50゜、より好ましくは15〜40゜、最も好ましくは20〜30゜である。
【0026】
供給高さ、すなわち、振動コンベアベルトと連続空気循環ベルト式乾燥器との間の垂直距離は好ましくは10〜200cm、より好ましくは20〜120cm、最も好ましくは30〜40cmである。
【0027】
乾燥器ベルト上で乾燥されるべきポリマーゲルの厚さは、好ましくは1〜20cm、より好ましくは2〜15cm、最も好ましくは4〜12cmである。
【0028】
乾燥器ベルトのベルト速度は、好ましくは0.005〜0.05m/s、より好ましくは0.01〜0.03m/s、最も好ましくは0.015〜0.025m/sである。
【0029】
乾燥器ベルトの幅は好ましくは少なくとも2m、より好ましくは少なくとも3m、最も好ましくは4mである。
【0030】
本発明の好ましい実施態様において、コンベアベルトは、少なくとも1個の界面活性剤で被覆されている。有用な界面活性剤の例は、ソルビタンモノエステル、たとえばソルビタンモノココエート及びソルビタンモノラウレート、又はこれらのエトキシ化化合物である。極めて有用な界面活性剤はさらに2−プロピルヘプタノールのエトキシ化及びアルコキシ化誘導体を含み、この場合、これらは、Lutensol XL(R)及びLutensol XP(R)のブランド名で、ドイツのBASF AGによって市販されている。界面活性剤は、ポリマーゲルに添加することができる。好ましくは界面活性剤は、ポリマーゲルを装入する前に、コンベアベルト上で噴霧される。
【0031】
本発明の方法において有用なモノマー溶液は、
a)少なくとも1個のエチレン性不飽和酸官能性モノマー
b)少なくとも1個の架橋剤
c)適切な場合には、a)と重合可能な1個又はそれ以上のエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマー、及び
d)適切な場合には、モノマーa)、b)及び適切な場合にはc)がその上に少なくとも部分的にグラフトされていてもよい、1個又はそれ以上の水溶性ポリマー、
を含む。
【0032】
適切なモノマーa)は、たとえばエチレン性不飽和カルボン酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸及び/又はこれら酸の塩である。アクリル酸及びメタクリル酸は、特に好ましいモノマーである。アクリル酸は最も好ましい。
【0033】
有用なモノマーa)はさらにスチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートである。
【0034】
アクリル酸及び/又はその塩に寄与するモノマーa)の全量の割合は、好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは少なくとも90モル%及び最も好ましくは少なくとも95モル%である。
【0035】
モノマーa)及び特にアクリル酸は、好ましくは0.025質量%までのヒドロキノン半エーテルを含有する。好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はトコフェロールである。
【0036】
トコフェロールは、以下の式:
【化1】

[式中、Rは水素又はメチル、Rは水素又はメチル、Rは水素又はメチル及びRは水素又は1〜20個の炭素原子の酸基である]の化合物に関する。
【0037】
好ましいR基はアセチル、アスコルビル、スクシニル、ニコチニル及び他の生理学的許容性のカルボン酸である。カルボン酸は、モノ−、ジ−又はトリカルボン酸であってもよい。
【0038】
好ましくは、α−トコフェロールであり、その際、R=R=Rはメチル、特にラセミ体α−トコフェロールである。Rはより好ましくは水素又はアセチルである。RRR−α−トコフェロールは特に好ましい。
【0039】
モノマー溶液は、好ましくは130質量ppmを上廻ることなく、より好ましくは70質量ppmを上廻ることなく、好ましくは10質量ppmを下廻ることなく、より好ましくは30質量ppmを下廻ることなく、かつ、特に約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、すべてはアクリル酸に基づくものであって、その際、アクリル酸塩は、計算上アクリル酸として計算されている。たとえば、モノマー溶液は、適切なヒドロキノン半エーテル含量を有するアクリル酸を使用して製造することができる。
【0040】
超吸収性ポリマーは架橋された状態、すなわち、ポリマー網状構造中に、ラジカル共重合されていてもよい1個又はそれ以上の重合可能な基を有する化合物の存在下で、重合を実施する。有用な架橋剤b)は、たとえばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン(EP 530 438 A1に記載されているように)、ジ−及びトリアクリレート(EP 547 847 A1,EP 559 476 A1, EP 632 068 A1, WO 93/21237 A1, WO 2003/104299 A1, WO 2003/104300 A1, WO 2003/104301 A1及びDE 103 31 450 A1に記載されているように)、混合されたアクリレート、この場合、これは、アクリレート基と同様にさらにエチレン性不飽和基を含有するもの(DE 103 31 456 A1及びDE 103 55 401 A1に記載されているように)又は架橋剤混合物(DE 195 43 368 A1, DE 196 46 484 A1, WO 90/15830 A1及びWO 2002/32962 A2に記載されているように)を含む。
【0041】
有用な架橋剤b)は、特にN,N’−メチレンビスアクリルアミド及びN,N’−メチレンビスメタクリルアミド、ポリオールの不飽和モノ−又はポリカルボン酸のエステル、たとえばジアクリレート又はトリアクリレート、たとえばブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート及びさらにはトリメチロールプロパントリアクリレート及びアリル化合物、たとえばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステル及びさらにはビニルホスホン酸誘導体(たとえばEP343427 A2に記載されたように)を含む。有用な架橋剤b)は、さらにペンタエリトリットジアリルエーテル、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、ペンタエリトリットテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル、グリセロールトリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテル、さらにはこれらのエトキシ化化合物を含む。本願発明の方法は、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートを使用し、その際、使用されたポリエチレングリコールは300〜1000の分子量を有する。
【0042】
しかしながら、特に有利な架橋剤b)は、3〜20個エトキシ化されたグリセロール、3〜20個エトキシ化されたトリメチロールプロパン、3〜20個エトキシ化されたトリメチロールエタンのジ−及びトリアクリレート、特に2〜6個エトキシ化されたグリセロール又は2〜6個エトキシ化されたトリメチロールプロパン、3個プロポキシ化されたグリセロール、3個プロポキシ化されたトリメチロールプロパンさらには3個混合してエトキシ化又はプロポキシ化されたグリセロール、3個混合してエトキシ化又はプロポキシ化されたトリメチロールプロパン、15個エトキシ化されたグリセロール、15個エトキシ化されたトリメチロールプロパン、少なくとも40個エトキシ化されたグリセロール、少なくとも40個エトキシ化されたトリメチロールエタン及びさらには少なくとも40個エトキシ化されたトリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレートである。
【0043】
架橋剤b)として使用するのに特に好ましいのは、たとえばWO 2003/104301 A1で記載されたようなジアクリル化、ジメタクリル化、トリアクリル化又はトリメタクリル化された複数個エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセロールである。3〜10個エトキシ化されたグリセロールのジ−及び/又はトリアクリレートは特に有利である。特に好ましくは、1〜5個エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセロールのジ−又はトリアクリレートである。3〜5個エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセロールのトリアクリレートは最も好ましい。これらは、吸水性ポリマー中の、特に低い残留物量(典型的には10質量ppmを下廻る)に関して顕著であり、かつ、それとともに生じる吸水性ポリマーの水性抽出物は、同じ温度での水と比較した場合のほとんど変わらない表面張力(典型的には 0.068N/mを下廻ることのない)を有する。
【0044】
架橋剤b)の量は、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%及び最も好ましくは0.1〜2質量%であり、この場合、すべてはモノマーa)に基づく。
【0045】
モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーc)の例はアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレート及びジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0046】
有用な水溶性ポリマーd)は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、澱粉誘導体、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはポリビニルアルコール及び澱粉を含む。
【0047】
吸水性ポリマーは、典型的には、後続のヒドロゲルの微粉砕でか、又は微粉砕なしで、水性モノマー溶液の付加的な重合によって得られる。適した製造方法は、文献中に記載されている。吸水性ポリマーは、たとえば、
−バッチ工程又は管状反応器中のゲル重合及び引き続いてのミートグラインダ、押出機又は混練機中での微粉砕(EP 445 619 A2,DE 19 846 413 A1)、
−たとえば、反転撹拌シャフトによる連続微粉砕を含む混練機中での付加的な重合(WO 2001/38402 A1)
−ベルト上の付加的な重合及び引き続いてのミートグラインダ、押出機又は混練機中での微粉砕(DE 38 25 366 A1, US 6,241,928)、
によって得ることが可能である。
【0048】
反応は、好ましくはWO2001/38402 A1中に記載されたようにして混練機中でか、あるいは、EP 955 086 A2中に記載されたようにしてベルト式反応器中で実施する。
【0049】
モノマー溶液の固体含量は、少なくとも30質量%、より好ましくは少なくとも35質量%、最も好ましくは少なくとも40質量%である。固体含量は、モノマーa)、架橋剤b)、モノマーc)及びポリマーd)の合計である。高い固体含量を有する水性モノマー懸濁液の使用もまた可能である。
【0050】
得られたポリマーゲルの酸基は、典型的には、部分的に中和された状態であり、その際、中和の範囲は20〜80モル%、より好ましくは30〜70モル%及びさらに好ましくは40〜60モル%であり、これに関して、通常の中和剤、たとえばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属重炭酸塩及びさらにはこれらの混合物を使用することができる。さらにアンモニウム塩は、アルカリ金属塩の代わりに使用することができる。ナトリウム及びカリウムはアルカリ金属塩として特に好ましいが、しかしながら水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム及びさらにはこれらの混合物が最も好ましい。
【0051】
中和は、好ましくはモノマー段階で実施する。これは、通常は、中和剤を水性溶液、溶融液又はその他のもの、好ましくは固体材料として混合することによって達成する。たとえば、明らかに50質量%を下廻る水分量を有する水酸化ナトリウムは、23℃を上廻る融点を有するワックス様の塊として存在していてもよい。この場合において、高められた温度で小片物(piece goods)又は溶融物としての計量が可能である。
【0052】
さらに中和は、ポリマーゲル段階において重合後に実施することができる。しかしながら、さらにはポリマーゲル段階において、中和剤の一部分をモノマー溶液に添加し、かつ専ら重合後に中和の好ましい最終的な度合いを調整することによって、重合前に40モル%まで、好ましくは10〜30モル%及びより好ましくは15〜25モル%の酸基に中和することが可能である。ポリマーゲルが、少なくとも部分的に重合後に中和される場合には、ポリマーゲルは好ましくは機械的に、たとえばミートグラインダを用いて微粉砕し、この場合、中和剤は噴霧、散水又は注ぎ入れをし、かつその後に注意深く混合導入する。この目的のために、得られたゲル塊を、繰り返してホモジナイズのために粉砕することができる。
【0053】
その後にポリマーゲルを、空気循環ベルト式乾燥器を用いて、残留湿分が好ましくは15質量%未満、かつ、特に10質量%未満になるまで乾燥させ、その際、含水量は EDANA (European Disposables and Nonwovens Association)推奨試験方法No. WSP 230.2-05 "湿分"によって測定されている。選択的に、さらに乾燥を、流動床乾燥器又は加熱型プラウシェアミキサを用いて実施することができる。特に白色の生成物を得るために、蒸発する水の急速な除去を確実にすることによってこのゲルを乾燥させることが可能である。この目的のために、乾燥器温度は最適化されなければならず、空気供給及び除去は監視しなければならず、かつ常に十分な通気を保証しなければならない。ゲルの固体含量が可能な限り高い場合には、ゲルの乾燥は当然のことながらより簡単であり、かつ生成物はより一層白い。したがって、乾燥前のゲルの固体含量は、好ましくは30〜80質量%である。乾燥器を、窒素又は任意の他の非酸化不活性ガスで通気することは特に有利である。しかしながら選択的に、簡単に、酸素の部分圧のみを乾燥中に低下させ、酸化的黄変プロセスを防止することができる。しかしながら一般的には、水蒸気の適切な通気及び除去も同様に、なおも許容可能な生成物を導きうる。極めて短い乾燥時間は、色及び生成物の質に関して一般的に有利である。
【0054】
ゲルを乾燥させる他の重要な機能は、超吸収剤の残留モノマー含量の継続的な減少である。なぜならこれは、任意の残留開始剤が乾燥中に分解し、これによって任意の残留モノマーが共重合するようになるのを導くためである。さらに、水の蒸発量は、なおも存在する任意の遊離水−蒸気−揮発性モノマー、たとえばアクリル酸を一緒に連行し、かつこれによって同様に、超吸収剤の残留モノマー含量が低下する。
【0055】
その後に、乾燥したポリマーゲルは粉砕及び分級され、その際、有用な粉砕装置は、典型的には一段式又は多段式ロールミル、好ましくは2又は3段式ロールミル、ピンミル、ハンマーミル又は振動ミルを含む。
【0056】
得られたポリマーは、その後に後架橋されていてもよい。有用な後架橋剤は、ポリマーのカルボキシラト基と共有結合を形成することができる2個又はそれ以上の基を含有する化合物である。有用な化合物は、たとえばアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジ−又はポリグリシジル化合物( EP 083 022 A2, EP 543 303 A1及びEP 937 736 A2に記載されたもの)、多価アルコール(DE 33 14 019 A1, DE 35 23 617 A1及びEP 450 922 A2)又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(DE 102 04 938 A1 及びUS 6,239,230)である。さらに、混合された官能性を有する化合物、たとえばグリシドール、3−エチル−3−オキセタンメタノール(トリメチロールプロパンオキセタン)(EP 1 199 327 A2に記載されたもの)、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又は最初の反応後に他の官能性を生じる化合物、たとえば酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化イソブチレン、アジリジン、アゼチジン又はオキセタンを使用することが可能である。
【0057】
有用な後架橋剤は、さらに言われるようにDE 40 20 780 C1による環状カーボネート、DE 198 07 502 A1による2−オキサゾリドン及びその誘導体、たとえばN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、DE198 07 992 A1によるビス−及びポリ−2−オキサゾリジノン、DE198 54 573 A2による2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体、DE198 54 574 A1によるN−アシル−2−オキサゾリジドン、DE102 04 937 A1による環式尿素、DE 103 34 584 A1による二環式アミドアセタール、EP 1 199 327 A2によるオキセタン及び環式尿素及びWO2003/31482 A1によるモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体を含む。
【0058】
好ましい後架橋剤はオキサゾリドン及びその誘導体、特にN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、グリシジル化合物、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオール、特にグリセロール及びエチレンカーボネートである。
【0059】
後架橋剤の量は、好ましくは0.001%〜5質量%、より好ましくは0.01〜2.5質量%及び最も好ましくは0.1〜1質量%であり、すべてはポリマーに基づく。
【0060】
後架橋は、ポリマーゲル又は乾燥重合性粒子に、後架橋剤の溶液、好ましくは水性溶液を噴霧することによって通常通りに実施する。噴霧は熱的乾燥によって実施され、かつ後架橋反応は、乾燥前のみならず乾燥中においても実施することができる。
【0061】
後架橋剤は、有利には、本発明の方法によってポリマーと一緒に混合し、引き続いて熱的に乾燥させる。
【0062】
熱的乾燥を実施する装置として、接触乾燥器は好ましく、ショベル式乾燥器はより好ましく、かつディスク式乾燥器は最も好ましい。適した乾燥器は、たとえばBepex(R)ドライヤ及び Nara(R)ドライヤを含む。同様に、流動床乾燥器を使用することができる。
【0063】
乾燥は、ケーシング(shell)を加熱することによってか、あるいは、ミキサに温かい空気を吹き込むことによって、ミキサ自体で実施することができる。同様に、下降流(downstream)乾燥器、たとえば棚型乾燥器、ロータリーチューブオーブン又は加熱可能なスクリューを使用することが可能である。しかしながら、たとえば乾燥プロセスとして共沸蒸留を利用することも可能である。
【0064】
好ましい乾燥温度は50〜250℃、好ましくは50〜200℃及びより好ましくは50〜150℃の範囲である。反応ミキサ又は乾燥器中のこの温度での好ましい滞留時間は、30分を下廻り、かつより好ましくは10分を下廻る。
【0065】
本発明は、乾燥ベルト上で、付加的な装置又は離型剤を必要とすることなしに、ポリマーゲルの改善された分散を含む、超吸収性ポリマーを製造するための方法を提供する。
【0066】
実施例
例1(比較例)
アクリル酸、架橋剤、水及び重合開始剤の混合物を、連続ベルト式反応器上で重合した。形成されたポリマーゲルを、炭酸ナトリウムで中和した。中和したポリマーゲルを、振動ベルトコンベアを用いて、空気循環ベルト式乾燥器のベルト上に移送した。ポリマーゲルの含水量は55質量%であり、かつ、ポリマーゲルの酸基の72モル%を中和した。
【0067】
コンベアベルトのベルト速度は0.3m/sであった。ポリマーゲル一部は、振動ベルトコンベアの末端で、コンベアベルトから剥がれなかった。
【0068】
例2(本発明による例)
例1を繰り返すが、しかしながらコンベアベルトのベルト速度は1.8m/sであった。ポリマーゲルは、振動ベルトコンベアの末端で、コンベアベルトから完全に剥がれた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)少なくとも1個のエチレン性不飽和酸官能性モノマーを含有するモノマー溶液を重合し、
ii)振動コンベアベルト上で形成されたポリマーゲルを、連続空気循環ベルト式乾燥器上に移送し、かつ、
iii)ポリマーゲルを乾燥させる、
ことを含み、その際、コンベアベルトのベルト速度が少なくとも0.4m/sである、超吸収性ポリマーを製造する方法。
【請求項2】
少なくとも1個のエチレン性不飽和酸官能性モノマーの60モル%又はそれ未満の酸基が中和されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1個のエチレン性不飽和酸官能性モノマーの40モル%又はそれ未満の酸基が中和されており、かつ形成されたポリマーゲルの中和度合いが少なくとも50モル%まで上昇する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
乾燥前のポリマーゲルの含水量が、少なくとも30質量%である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
重合反応器が連続ベルト式反応器である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
重合反応器が連続混練機である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
連続空気循環ベルト式乾燥器の幅が少なくとも2mである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
モノマーが少なくとも50質量%のアクリル酸である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
方法が、乾燥したポリマーゲルの分級を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
方法が、分級したポリマーゲルの表面架橋を含む、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2010−515816(P2010−515816A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545899(P2009−545899)
【出願日】平成20年1月14日(2008.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050340
【国際公開番号】WO2008/087114
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】