説明

超塑性マグネシウム合金材の製造方法

【課題】マグネシウム合金材の組織が微細結晶粒からなるマグネシウム合金材を簡便に得ることのできる超塑性マグネシウム合金材の製造方法を提供する。
【解決手段】マグネシウム合金を溶存気体濃度が0.01ml/ml以下の液体に浸漬し、その液体を伝達媒体としてマグネシウム合金に、好ましくは周波数18〜20KHz、振動振幅18〜42μmの超音波を印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用したマグネシウム合金の結晶粒微細化に係るものであり、超塑性特性を発現するマグネシウム合金材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料は、一般に結晶粒が小さくなるほど強度、靱性、振動減衰性および耐食性が大きくなることが知られている。その結晶粒を数μm以下にすると超塑性現象が発現し、常温では高強度を実現しながら特定の加熱条件下で延性が飛躍的に向上する。
超塑性の定義は、一般に、「多結晶材料の引張変形において、変形応力が高い歪み依存性を示し、局部収縮を生じることなく数百%以上の巨大な伸びを示す現象」とされており、具体的には、等軸状で10μm以下の小さな結晶粒を有する材料が絶対温度で表される融点の1/2以上の温度に加熱した条件下で歪み速度10−4/s程度で変形したとき、10MPa以下の低い変形応力で巨大な伸びを発現すると言われている。ただし、工業生産で要求される歪み速度は10−2/s程度であり、この歪み速度で300%以上の伸びを示す条件を満たす場合は高速超塑性と呼ばれる。
【0003】
鉄鋼材料および非鉄金属材料の結晶粒微細化方法としては、結晶粒の成長抑制元素を添加する方法、圧延加工と熱処理の組み合わせで変態、析出、再結晶を利用する方法、強せん断加工を加える方法、などが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
強せん断加工を加える方法は、加工後に熱処理を施して再結晶組織にする場合も多く、この場合には圧延加工と熱処理の組み合わせで変態、析出、再結晶を利用する方法と結晶粒微細化の原理が近似しており、同種の方法と見なすこともできる。なお、加熱下で強せん断加工を加えると加工後に熱処理を施さなくても再結晶組織が得られるが、そのような現象は動的再結晶と呼ぶ。
【0004】
鉄鋼材料は、圧延加工と熱処理の組み合わせで変態、析出、再結晶を利用する方法が有効で、実験室規模で1μm未満の微細結晶粒組織が得られているが、大量生産に対応するためには、如何に工程を簡素化できるかが課題となっている。
一方の非鉄金属材料、特にアルミニウムについては、従来、10μm以下の微細結晶粒組織を均一に作ることが難しく、日本においては3μm以下の微細結晶粒組織創製のため、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるプロジェクトとして平成9年から5年計画で技術開発が行われたが、その基本となる技術は材料に強せん断加工を加える方法である。
【0005】
最近、軽量かつ強靱で高い振動吸収性を有する特性を生かして、マグネシウム合金がノート型パーソナルコンピュータや携帯電話の筐体として多用されている。マグネシウム合金は結晶構造が六方最密充填構造であるため、室温での延性が低く、高速プレス成形が難しい。そこでダイキャストやチクソモールディングが主な成形方法として用いられているが、ダイキャストやチクソモールディングは歩留まりが悪く、仕上げ工程数も多いため、製造コストが高いという欠点があり、製造コスト低減の可能性がある高速プレス成形の実現が望まれている。
【0006】
この課題を解決するため、1μm以下の微細結晶粒組織を得るための技術開発が行なわれている。その主な手法は、アルミニウムと同様に強せん断加工を加える方法である。一般的には、押出し、特殊なロール圧延後に加熱処理を行ない、再結晶組織にするものであるが、最近ではECAP法(Equal Channel Angular Pressing法 )などが開発されている。
【0007】
押出しは、文字通りビレットまたはスラブを所定の形状の穴を有するダイスから押出す方法で、一般的にはダイスのオリフィスを通して押出す直接法が用いられる。たとえば、純マグネシウムは350〜400℃にビレットまたはスラブを加熱し押出すが、アルミニウムに較べるとビレット温度と押出し速度のバランスが難しく、温度が少しでも低いとダイスから押出されず、温度を上げると酸化してしまう欠点がある。Mg−Al−Zn合金(AZ合金)などは、さらに精密な制御が必要である。
【0008】
ロール圧延は、マグネシウム合金を上下のロールで加圧しながら一方向に送り出すことで薄板を製造する方法である。特殊なロール圧延としては、繰り返し接合圧延(Accumulative Roll Bonding )、異周速圧延、溶湯圧延、温間圧延などが研究されている。
繰り返し接合圧延は、圧延された板を長さの方向に半割りし、脱脂等の表面処理を施した後、二枚の板を重ね合わせて再度圧延する方法である。この方法は板厚を変化させずに強せん断加工できる特徴を有するが、板の内部組織は板厚方向で疵が生じ、工程が多いため製造コストが高くなる。
【0009】
異周速圧延は、上下のロールの周速を変えて材料に強せん断加工を加える方法であるが、無潤滑で圧延するため不均一なせん断力を受けやすく、表面状態が粗くなる欠点がある。
溶湯圧延は、添加元素を過飽和に固溶させた溶湯を水冷したロールに流し込むなどで急速冷却する方法で、添加元素は再結晶核発生を促すと同時に大きな結晶粒成長を抑制する効果があるが、マグネシウム合金は酸化されやすいため、十分な雰囲気調整が必要で大量生産に向かない。
【0010】
温間圧延は、再結晶温度以上で圧延する熱間圧延と常温で圧延する冷間圧延の中間に相当する温度で圧延する方法で、例えばアルミニウム合金の一種であるAl−Zn−Mg−Cu合金に適当量のZrを添加した合金では、微細結晶粒組織が得られるなどマグネシウム合金以外で効果が確認されている。しかし、比熱容量の小さなマグネシウム合金では中間温度の制御は非常に難しく、明確な効果は確認されていない。
【0011】
ECAP法は、ある角度を持った穴を有するダイスの中にビレットまたはスラブを入れ、加圧、押出すことでビレットまたはスラブに強いせん断力を加える方法で、微細結晶粒組織を得る方法として非常に有効な方法であり、学術的な観点から注目を集めている。しかし、ビレットまたはスラブは加工硬化を受けるため繰り返し強せん断力を加えるには、非常に大きな押出し力を必要とし、工業生産規模で取り扱われる大きなビレットまたはスラブへの適用は非現実的である。
【0012】
なお、ECAP法の欠点を補う方法として、ECAP法を連続化した連続せん断変形加工法(Conshearing 法 )も提案されている(非特許文献1参照)。
何れの方法も溶製したビレット等を強せん断加工する方法であり、せん断加工に非常に大きな応力を必要とするか、または強せん断加工によってマグネシウム合金は必要以上に薄く、長く変形させられてしまので、適用できる製品が限定される欠点がある。
【0013】
【特許文献1】特開2003−041331号公報
【特許文献2】特開2002−194472号公報
【特許文献3】特開2002−105568号公報
【特許文献4】特開2000−271693号公報
【非特許文献1】Saitou外2名、「PROPOSAL OF NOVEL CONTINUOUS HIGH STRATINGPROCESS-DEVELOPMENT OF CONSHEARING PROCESS」、Advanced Technology of Plasticity 、Vol.III、Proceedings of the 6th International Conference on Technology of Plasticity 、Sept,19〜24, 1999、p.2459〜2464
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するものであって、微細結晶粒組織を有し超塑性特性を発現するマグネシウム合金材を簡便に得ることのできる超塑性マグネシウム合金材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る超塑性マグネシウム合金材の製造方法では、マグネシウム合金を溶存気体濃度が0.01ml/ml以下の液体に浸漬し、その液体を伝達媒体として該マグネシウム合金に超音波を印加することで上記課題を解決している。
金属材料に伝えられた振動は、時間の経過と共に減衰し、最終的に停止する。振動が減衰する機構は二つあり、一つは外部摩擦(external friction )と呼ばれ、振動している金属材料から外部へ空気等を介して振動エネルギーが放出される機構である。他の一つは内部摩擦(internal friction )で、金属材料内部で振動エネルギーが熱あるいは歪み等に変換される機構である。内部摩擦は減衰能( dampingcapacity )とも呼ばれる。
【0016】
マグネシウムは、金属の中で最大の減衰能を示し、その減衰能は固有減衰能( Specific Damping Capacity, S.D.C )として数値化されている。マグネシウムの固有減衰能は60%以上を示し、振動エネルギーの多くを歪として蓄積する。また、純マグネシウムほどではないが、強度と耐食性を改善したマグネシウム合金も大きな固有減衰能を示すことが知られている。
固有減衰能は、次式の通り、振動する物体の1サイクルあたりの振動エネルギー損失率で表される。
S.D.C(%)=(ΔW/W)×100
ここでWは振動エネルギー、ΔWは1サイクルに失われるエネルギーである。
【0017】
減衰能は、振動エネルギーの変換機構の違いによって、次の四つに分類される。
(1)母相と第2相との間の界面で粘性流動または塑性流動をおこすことによるもの。
(2)磁区壁の非可逆移動によるもの。
(3)不純物原子によってトラップされた転位が離脱、移動することによるもの。
(4)変形双晶の形成によるもの。
【0018】
マグネシウム合金に伝達された超音波振動エネルギーは、前記振動エネルギーの変換機構(3)の不純物原子によってトラップされた転位が離脱、移動することによって消費されるか、(4)の変形双晶の形成に消費されると考えられている。
このときマグネシウム合金には、機械的にせん断応力を加えるのと同様の大きな歪みが導入されるため、そのマグネシウム合金を絶対温度で表されるその融点に0.35乃至0.6を乗じた温度で加熱すると、転位や変形双晶が再配列または相互に合体消滅することによるエネルギー開放の過程で等軸状の微細結晶粒からなる再結晶組織に変化する。
【0019】
ところが、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、マグネシウム合金を溶存気体濃度が0.01ml/ml以下の液体に浸漬し、その液体を伝達媒体としてマグネシウム合金に超音波を印加すると、機械的なせん断応力を加えた場合と同様の大きな歪みの導入をマグネシウム合金が受けるだけでなく、転位や変形双晶の再配列または相互の合体消滅が起こり、微細結晶粒組織に変化する。すなわち超音波を印加するだけで従来の再結晶組織に相当する変化が起こり、結晶粒微細化の工程が大幅に短縮できることを見出した。
【0020】
この現象は、溶存気体濃度0.01ml/ml以下の液体中ではキャビテーション発生の閾値(W/cm)が高くなることに起因している。キャビテーションが抑制されると超音波の散乱が軽減され、大きな超音波振動エネルギーがマグネシウム合金に高効率で伝達可能となるためである。
溶存気体濃度0.01ml/ml以下を達成するための伝達媒体としては、マグネシウム合金を腐食せず、超音波の減衰が可能な限り小さな液体を選択する。例えば、水、クロロホルム、切削油、エチルアルコール、アセトン、炭化水素系洗浄剤、フルオロカーボン、フッ素系不活性液体(例えばフロリナート(登録商標))など超音波洗浄剤として使用される溶媒がある。
【0021】
ただし超音波洗浄に使用する各種液体への飽和溶存空気濃度を比較すると、水では0.017ml/ml(25℃)であるのに対し、エチルアルコールでは0.169ml/ml(25℃)、アセトンでは0.203ml/ml(25℃)で示されるように、有機系液体は高い飽和溶存気体濃度を示すため、溶存気体濃度を0.01ml/mlより低くすることが難しい。水の場合、マグネシウム合金表面が侵食(エロージョン)されやすい課題があるが、溶存気体濃度を0.01ml/ml以下にするとキャビテーションが抑制されるため、エロージョンは軽減される。したがって伝達媒体としての液体には、水が最適である。
【0022】
溶存気体濃度を0.004ml/ml以下にすることによってキャビテーションの発生が一層抑制され、超音波振動エネルギーの伝達効率が飛躍的に大きく向上する。溶存気体としては、マグネシウム合金に著しい腐食や酸化が発生し難く、発火の危険性を伴わず、飽和溶存気体濃度の小さい気体が好ましい。通常の作業環境での溶存気体は空気であるが、マグネシウム合金表面の酸化防止を強化するためには、溶存する空気をアルゴンまたは窒素に置換し、溶存気体をアルゴンまたは窒素とすることも可能である。
【0023】
溶存気体が空気、アルゴン、窒素の場合には、溶存気体濃度を0.004ml/ml以下まで低減することが可能であり、さらに空気、窒素については、溶存気体濃度を0.003ml/ml以下にすることができるため、溶存気体として適している。溶存気体濃度は、0ml/mlにすることが最良であるが、実用的な手段で0ml/mlを達成することは困難である。
【0024】
溶存空気濃度または溶存窒素濃度が0.004ml/ml以下の水中でマグネシウム合金に超音波を印加する場合、周波数が18〜20KHz、振動振幅が18μm〜42μmの超音波を用いると大きな超音波振動エネルギーをマグネシウム合金に最も高効率で伝達することができる。
超音波強度は、(1)式によって与えられる。
I=2πρc(fa) ‥‥‥(1)
ここで、Iは超音波強度(W/cm)、ρは媒質密度、cは媒質中における音波の速度(cm/s)、fは超音波周波数(1/s)、aは振動振幅を表す。
【0025】
(1)式から、大きな超音波強度を得るには、周波数が高く、振動振幅が大きいほど良いことが理解できる。しかし、高い周波数の振動に対して、マグネシウム合金の減衰能は小さいとされているため、大きな振動振幅の超音波をマグネシウム合金に印加することが重要である。振動振幅を単位発振面積基準で比較すると、周波数が低いほど振動振幅は大きくすることが可能であり、人間の一般的な可聴周波数下限を考慮すると18〜20KHzが最適であると考えられる。18〜20KHzより低い周波数は、大きな振動騒音を発生するため、作業環境を悪化させる原因になる。なお、超音波の周波数は同期させる際に数%から数十%の変動があるので、19KHzで発振するよう超音波印加装置を調整すると良い。
【0026】
ただし、最適な周波数はマグネシウム合金の種類によって変化する可能性があるため、すべてのマグネシウム合金に対して18〜20KHzの周波数に限定すべきものではない。
超音波の周波数が18〜20KHzで、振動振幅が18μm未満の場合には、溶存空気濃度が0.004ml/ml以下の水中でキャビテーションの発生は抑制されるが、超音波強度が弱いため、マグネシウム合金の結晶粒微細化には長時間を必要とする。一方、振動振幅が42μmより大きい場合には、キャビテーションの発生が激しくなるため、超音波振動エネルギーの伝達が阻害され、振動振幅が18μm未満の場合と同様にマグネシウム合金の結晶粒微細化に長時間を要するだけでなく、マグネシウム合金表面が著しいエロージョンを受けるため、表面状態の悪化が避けられない。
【0027】
本発明の条件でマグネシウム合金に超音波を印加すると、大きな超音波振動エネルギーがマグネシウム合金に高効率で伝達されるため、マグネシウム合金の結晶粒微細化は短時間で進行する。
なお、超音波振動エネルギーを高効率で伝達する方法には、伝達媒体として液体を使用せず、マグネシウム合金に超音波伝送体(コーン)を直接接続する方法もある。この方法は、マグネシウム合金内部に定在波が形成されるため、振動の節部分で結晶粒は微細化するが、振動の腹部分で微細化しないという問題が発生する。この問題は、複数の周波数の超音波印加あるいは周波数スイープなどの手段で若干改善される。しかし、大きな振動振幅の超音波を印加すると、振動の節部分で極めて大きな引張応力と圧縮応力を繰り返し受けるため、マグネシウム合金が破損する危険がある。
したがって本発明のように、液体を伝達媒体として超音波をマグネシウム合金に印加する方法が適している。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る超塑性マグネシウム合金材の製造方法によれば、マグネシウム合金の形状変化させることなく大きな歪みを導入することが可能となり、合金組織が微細結晶粒からなる超塑性マグネシウム合金材を簡便に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、代表的な超塑性マグネシウム合金材の製造方法について詳細に説明する。
マグネシウム合金材の外観形状や寸法には、特別な制限は設けない。たとえば、粉末固化成形体または溶製材である板材、棒材、パイプあるいは目的形状にプレス成形した成形体等を用いることができる。粉末固化成形体とは、粉末焼結体あるいは粉末の圧縮せん断によって作製した固化成形体などであり、溶製材とは、鋳造物あるいは溶製後固化したマグネシウム合金を目的の形状にプレス加工または押出し加工したものなどである。
【0030】
本発明では、溶存気体濃度が0.01ml/ml以下の液体にマグネシウム合金を浸漬する。液体中の溶存気体濃度を0.01ml/ml以下にするための一般的な手段としては、真空脱気方式、気体分離膜を使用する方式、加熱や沸騰による熱脱気方式、還元剤を添加することによる化学反応を利用する方式などが挙げられるが、手段の選択は液体および溶存気体の性質を考慮して決定する。
【0031】
たとえば、液体として水を使用し、その溶存気体濃度を0.01ml/ml以下に維持するには、水循環型の真空脱気方式が適している。水は真空系内に設置した気液分離膜製のチューブ内を通過した後、マグネシウム合金を浸漬した液槽内に入り、液槽から流出する水は再び気液分離膜製のチューブ内に戻る形式で循環する。この方式で液槽の水の溶存気体濃度を0.01ml/ml以下に維持できる。水は、純水が最適である。不純物イオンを含む地下水や水道水は、マグネシウム合金の腐食劣化を引き起こす原因となる。
【0032】
マグネシウム合金に超音波を印加する手段としては、(a)超音波振動子を接着した液槽内にマグネシウム合金を入れ、液槽内の伝達媒体を介して超音波をマグネシウム合金に印加する方法、もしくは(b)伝達媒体である液体が満たされた液槽内にマグネシウム合金を入れ、液面下に挿入された超音波ホーンを介して超音波をマグネシウム合金に印加する方法を用いると良い。
【0033】
(a)の方法は、大面積のマグネシウム合金に超音波を印加する場合に適しているが、
超音波振動子が接着された液槽を大きな振動振幅で振動させることが難しいため、マグネシウム合金に歪みを導入するのに長時間を必要とする。(b)の方法は、比較的低い周波数の超音波を大きな振動振幅でマグネシウム合金に印加することが可能であり、マグネシウム合金に歪みを短時間で導入するのに最も適した方法と考えられる。液体を伝達媒体としてマグネシウム合金に大きな超音波振動エネルギーを高効率で安全に伝達できる方法があれば、前記以外の方法を用いても差し支えない。
【0034】
マグネシウム合金としては、Mg−Al合金、Mg−Al−Zn合金、Mg−Zr合金、Mg−Zn−Zr合金、Mg−MgNi合金、Mg−RE−Zn合金(REはレアース)、Mg−Ag−RE合金、Mg−Y−RE合金、Mg−Al−Ca合金、Mg−Al−Ca−REなどが実用合金として知られている。しかし、Mg−Al合金、Mg−Al−Zn合金、Mg−Al−Ca合金またはMg−Al−Ca−REの中でもAl添加量の多いマグネシウム合金は固有減衰能が小さい。たとえば、Mg−10%Al合金(AM100)、Mg−9%Al−1%Zn合金(AZ91)、Mg−6%Al−3%Zn合金(AZ63)などは固有減衰能が10%未満である。
【0035】
固有減衰能が10%未満では、超音波振動エネルギーの多くは外部摩擦としてマグネシウム合金の外部に放出されるため、マグネシウム合金に歪みを導入するためのエネルギー効率が著しく低下する。したがって、マグネシウム合金は、固有減衰能10%以上のマグネシウム合金が最適である。ただし、固有減衰能は、合金種以外に結晶方位、結晶粒径によっても変化するので注意が必要であり、同一合金であれば結晶の(0001)面と超音波照射方向のなす角が90°以外で大きく、結晶粒径は小さいほど大きい。また、集合組織の場合、長時間の超音波印加で二次再結晶を生じるので注意しなければならない。
【0036】
超音波の周波数と出力および印加時間は、マグネシウム合金の種類、対象物の大きさなどを十分考慮に入れて最適値を決定する。また、振動振幅値の大きさは、超音波出力やホーンの材質、形状、断面積によって変化し、所定の計算式から求めることが可能である。ホーンの材質としては、実用金属材料の中で最も減衰能が小さい材質の一つであるチタン合金が18〜43μmの振動振幅を得るのに適している。
【0037】
一例としてMg−3%Al−1%Zn合金(AZ31)圧延材(50mm×50mm×1.25mm)に対しては、水循環型の真空脱気装置を通すことにより得られる溶存空気濃度0.004ml/mlの純水で満たされたポリプロピレン製水槽にAZ31圧延材試験片を浸漬し、AZ31圧延材との距離が19mmになるように超音波ホモジナイザーのチタン合金製ホーン(直径22mm)を液面下に挿入し、周波数19KHz、出力300W、ホーン振動振幅42μmの超音波を1分間印加する。
【0038】
超音波を加えられた後のマグネシウム合金は、初期形状を維持したまま、その結晶粒径が超音波を加える前の約1/3となる。たとえばAZ31圧延材(50mm×50mm×1.25mm)の場合、材料の大きさは変化せず、平均結晶粒径が9.8μmであった結晶組織は等軸状の3.0μmの結晶組織となり、超塑性を発現するAZ31圧延材に改質することが可能である。
【0039】
以上に示すような本発明に係る超塑性マグネシウム合金材の製造方法によれば、マグネシウム合金材の形状を変化させることなく、均一な微細結晶粒組織からなる超塑性マグネシウム合金材を短時間で得ることができる。
なお、本発明による超塑性マグネシウム合金材の製造方法は、純マグネシウムにも適用可能である。さらに、マグネシウム合金ビレットの圧延前あるいは押出し前に行うと結晶粒微細化によって流動応力が低下するため、圧延や押出し工程の時間短縮が可能となる。
【実施例】
【0040】
[実施例1]
マグネシウム合金として、AZ31圧延材から50mm×50mm×1.25mmの試験片を外周刃カッターで切り出し、切り出されたAZ31圧延材試験片の表面をエタノールで速やかに洗浄した後、ポリプロピレン製液槽(内溶液8リットル)内の台座上にAZ31圧延材試験片を載置した。次に、AZ31圧延材試験片との間隔が19mmとなるように超音波ホモジナイザーのチタン合金製ステップ型ホーン(直径22mm)をAZ31圧延材試験片に近づけ、さらに液槽内を純水で満たした後、気液分離膜製チューブ内を通過させる水循環型の真空脱気装置を使用して、液槽内の純水を真空脱気装置とポリプロピレン製液槽の間で循環させ、純水中の溶存空気濃度を0.004ml/mlまで低減させた。そして、超音波ホモジナイザーのホーンから周波数19KHz、出力300Wの超音波をAZ31圧延材試験片に1分間印加した。このときのホーンの振動振幅は42μmであった。
【0041】
以上の処理によるAZ31圧延材試験片の変形および寸法の変化はほとんど認められなかった。超音波印加後のAZ31圧延材試験片の破断伸びを、JIS H7501に従いS18試験片を使用し、絶対温度573K、歪み速度10−2/sで調べた。さらに、AZ31圧延材試験片から10mm×10mm×1.25mmの組織観察試験片を切り出し、5%ピクリン酸エタノール液でエッチングした後、光学顕微鏡で組織観察を行い、JIS G0551に準じてマグネシウム合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表1に示すように、超音波印加前の約30%の2.9μmとなり、破断伸びは188%で超塑性を発現することを確認した。
【0042】
【表1】

【0043】
[実施例2]
純水中の溶存空気濃度を0.003ml/mlに調整した以外は、実施例1と同様の超音波印加操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表1に示すように、超音波印加前の約26%の2.5μmとなり、破断伸びは200%で超塑性を発現することを確認した。
【0044】
[実施例3]
マグネシウム合金として、AZ31圧延材から50mm×50mm×1.25mmの試験片を外周刃カッターで切り出し、切り出されたAZ31圧延材試験片の表面をエタノールで速やかに洗浄した後、ポリプロピレン製液槽(内溶液8リットル)内の台座上にAZ31圧延材試験片を載置した。次に、AZ31圧延材試験片との間隔が19mmとなるように超音波ホモジナイザーのチタン合金製ステップ型ホーン(直径22mm)をAZ31圧延材試験片に近づけ、さらに液槽内を純水で満した後、毎分500リットルの窒素を液槽内に30分間吹き込み、純水中の溶存空気を窒素と置換した。そして、気液分離膜製チューブ内を通過させる水循環型の真空脱気装置を使用して、液槽内の純水を真空脱気装置とポリプロピレン製液槽の間で循環させ、純水中の溶存窒素濃度を0.004ml/mlまで低減した後、超音波ホモジナイザーのホーンから周波数19KHz、出力300Wの超音波をAZ31圧延材試験片に1分間印加した。このときのホーンの振動振幅は42μmであった。
【0045】
以上の処理によるAZ31圧延材試験片の変形および寸法の変化はほとんど認められなかった。超音波印加後のAZ31圧延材試験片の破断伸びおよび平均結晶粒径を、実施例1と同様の方法で調べた。
このときの平均結晶粒径は、表1に示すように、超音波印加前の約29%の2.8μmとなり、破断伸びは193%で超塑性を発現することを確認した。また、マグネシウム合金表面は、酸化による白濁が実施例1よりも軽減された。
【0046】
[実施例4]
純水中の溶存窒素濃度を0.003ml/mlに調整した以外は、実施例3と同様の超音波印加操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表1に示すように、超音波印加前の約23%の2.3μmとなり、破断伸びは220%で超塑性を発現することを確認した。また、マグネシウム合金表面は、酸化による白濁が実施例1よりも軽減された。
【0047】
[実施例5]
マグネシウム合金として、AZ31圧延材から50mm×50mm×1.25mmの試験片を外周刃カッターで切り出し、切り出されたAZ31圧延材試験片の表面をエタノールで速やかに洗浄した後、ポリプロピレン製液槽(内溶液8リットル)内の台座上にAZ31圧延材試験片を載置した。次に、AZ31圧延材試験片との間隔が19mmとなるように超音波ホモジナイザーのチタン合金製ステップ型ホーン(直径22mm)をAZ31圧延材試験片に近づけ、さらに液槽内を純水で満した後、毎分500リットルのアルゴンを液槽内に30分間吹き込み、純水中の溶存空気をアルゴンと置換した。そして、実施例3と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。純水中の溶存アルゴン濃度は、0.004ml/mlまで低減した。
このときの平均結晶粒径は、表1に示すように、超音波印加前の約33%の3.2μmとなり、破断伸びは180%で超塑性を発現することを確認した。また、マグネシウム合金表面は、酸化による白濁が実施例1よりも軽減された。
【0048】
[実施例6]
マグネシウム合金として、AZ31圧延材から50mm×50mm×1.25mmの試験片を外周刃カッターで切り出し、切り出されたAZ31圧延材試験片の表面をエタノールで速やかに洗浄した後、ポリプロピレン製液槽(内溶液8リットル)内の台座上にAZ31圧延材試験片を載置した。次に、AZ31圧延材試験片との間隔が19mmとなるように超音波ホモジナイザーのチタン合金製ステップ型ホーン(直径22mm)をAZ31圧延材試験片に近づけ、さらにポリプロピレン製液槽内をエチルアルコール溶液で満した後、エチルアルコール溶液を真空脱気装置と液槽の間で循環させ、エチルアルコール溶液中の溶存空気濃度を0.01ml/mlまで低減した。そして、実施例1と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表1に示すように、超音波印加前の約59%の5.8μmとなり、破断伸びは130%で超塑性を発現することを確認した。
【0049】
[実施例7]
マグネシウム合金として、AZ31圧延材から50mm×50mm×1.25mmの試験片を外周刃カッターで切り出し、切り出されたAZ31圧延材試験片の表面をエタノールで速やかに洗浄した後、ポリプロピレン製液槽(内溶液8リットル)内の台座上にAZ31圧延材試験片を載置した。次に、AZ31圧延材試験片との間隔が19mmとなるように超音波ホモジナイザーのチタン合金製ステップ型ホーン(直径22mm)をAZ31圧延材試験片に近づけ、さらにポリプロピレン製液槽内をエチルアルコール溶液で満した後、毎分500リットルの窒素を液槽内に30分間吹き込み、エチルアルコール溶液の溶存空気を窒素と置換した。そして、エチルアルコール溶液を真空脱気装置と液槽の間で循環させ、エチルアルコール溶液中の溶存窒素濃度を0.01ml/mlまで低減した後、実施例6と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表1に示すように、超音波印加前の約59%の5.8μmとなり、破断伸びは135%で超塑性を発現することを確認した。
【0050】
[実施例8]
液槽内をエチルアルコール溶液で満した後、毎分500リットルのアルゴンを液槽内に30分間吹き込み、エチルアルコール溶液の溶存空気をアルゴンと置換した以外は、実施例7と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。このときの平均結晶粒径は、表1に示すように、超音波印加前の約61%の6.0μmとなり、破断伸びは125%で超塑性を発現することを確認した。
【0051】
[実施例9]
マグネシウム合金として、AZ31圧延材から50mm×50mm×1.25mmの試験片を外周刃カッターで切り出し、切り出されたAZ31圧延材試験片の表面をエタノールで速やかに洗浄した後、ポリプロピレン製液槽(内溶液8リットル)内の台座上にAZ31圧延材試験片を載置した。次に、AZ31圧延材試験片との間隔が19mmとなるように超音波ホモジナイザーのチタン合金製ステップ型ホーン(直径22mm)をAZ31圧延材試験片に近づけ、さらにポリプロピレン製液槽内を純水で満した後、気液分離膜製チューブ内を通過させる水循環型の真空脱気装置を使用して、液槽内の純水を真空脱気装置とポリプロピレン製液槽の間で循環させ、純水中の溶存空気濃度を0.003ml/mlまで低減した。そして、超音波ホモジナイザーのホーンから周波数15KHz、出力300Wの超音波をAZ31圧延材試験片に1分間印加した。このときのホーンの振動振幅は5μmであった。
【0052】
以上の処理によるAZ31圧延材試験片の変形および寸法の変化はほとんど認められなかった。超音波印加後のAZ31圧延材試験片の破断伸びを、JIS H7501に従いS18試験片を使用し、絶対温度573K、歪み速度10−2/sで調べた。さらに、AZ31圧延材試験片から10mm×10mm×1.25mmの組織観察試験片を切り出し、5%ピクリン酸エタノール液でエッチングした後、光学顕微鏡で組織観察を行い、JIS G0551に準じてマグネシウム合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約30%の4.8μmとなり、破断伸びは148%で超塑性を発現することを確認した。
【0053】
【表2】

【0054】
[実施例10]
ホーンの振動振幅を18μmにした以外は、実施例9と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約34%の3.3μmとなり、破断伸びは180%で超塑性を発現することを確認した。
【0055】
[実施例11]
ホーンの振動振幅を50μmにした以外は、実施例9と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約48%の4.7μmとなり、破断伸びは151%で超塑性を発現することを確認した。
【0056】
[実施例12]
超音波ホモジナイザーのホーンからAZ31圧延材試験片に周波数19KHz、出力300W、ホーン振動振幅5μmの超音波を1分間印加した以外は、実施例9と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約48%の4.7μmとなり、破断伸びは152%で超塑性を発現することを確認した。
【0057】
[実施例13]
ホーンの振動振幅を18μmにした以外は、実施例12と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約31%の3.0μmとなり、破断伸びは188%で超塑性を発現することを確認した。
【0058】
[実施例14]
ホーンの振動振幅を42μmにした以外は、実施例12と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約30%の2.9μmとなり、破断伸びは190%で超塑性を発現することを確認した。
【0059】
[実施例15]
ホーンの振動振幅を50μmにした以外は、実施例12と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約47%の4.6μmとなり、破断伸びは153%で超塑性を発現することを確認した。
【0060】
[実施例16]
超音波ホモジナイザーのホーンからAZ31圧延材試験片に周波数300KHz、出力300W、ホーン振動振幅5μmの超音波を1分間印加した以外は、実施例9と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約54%の5.3μmとなり、破断伸びは130%で超塑性を発現することを確認した。
【0061】
[実施例17]
ホーンの振動振幅を18μmにした以外は、実施例16と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約46%の4.5μmとなり、破断伸びは156%で超塑性を発現することを確認した。
【0062】
[実施例18]
ホーンの振動振幅を42μmにした以外は、実施例16と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約44%の4.3μmとなり、破断伸びは160%で超塑性を発現することを確認した。
【0063】
[実施例19]
ホーンの振動振幅を50μmにした以外は、実施例16と同様の操作を行ってAZ31圧延材試験片の破断伸びを計測し、さらに合金組織の平均結晶粒径を求めた。
このときの平均結晶粒径は、表2に示すように、超音波印加前の約53%の5.2μmとなり、破断伸びは131%で超塑性を発現することを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム合金を溶存気体濃度が0.01ml/ml以下の液体に浸漬し、その液体を伝達媒体として該マグネシウム合金に超音波を印加することを特徴とする超塑性マグネシウム合金材の製造方法。
【請求項2】
液体が水であることを特徴とする請求項1記載の超塑性マグネシウム合金材の製造方法。
【請求項3】
溶存気体濃度が0.004ml/ml以下であることを特徴とする請求項2記載の超塑性マグネシウム合金材の製造方法。
【請求項4】
溶存窒素濃度または溶存アルゴン濃度が0.004ml/ml以下の水であることを特徴とする請求項2記載の超塑性マグネシウム合金材の製造方法。
【請求項5】
超音波が周波数18〜20KHz、振動振幅18〜42μmであることを特徴とする請求項3または請求項4記載の超塑性マグネシウム合金材の製造方法。

【公開番号】特開2007−169674(P2007−169674A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364979(P2005−364979)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)