説明

超小型空隙検査クローラ

【課題】空隙検査装置(100)を提供する。
【解決手段】本空隙検査装置(100)は、実質的に剛性のレール(110)と、レール(110)上に配置されたカート(150)と、レール(110)に沿ってカート(150)を操縦するための駆動システム(180)と、カート(150)上に配置された検査ヘッド(200)とを含むことができる。レール(110)は、5〜6ミリメートルの厚さ及び25〜76ミリメートルの幅を有することができる。駆動システム(180)は、レール(110)の周りに配置されたレール滑車輪(130)を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、総括的には小型ロボット装置に関し、より具体的には、ジェネレータフィールド及びステータコアの現場検査を行うための小型ロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジェネレータフィールド及びステータコアの目視検査は、定期的に行わなければならない。従来のジェネレータフィールド/ステータコア検査及び試験方法は一般的に、ユニットに対してあらゆる検査又は試験を行うことができる前に、ステータの完全な分解及びジェネレータフィールドの取外しを必要とする。ジェネレータフィールドの分解及び取外しの費用、この工程を完了するのに要する時間及びジェネレータフィールド取外しに固有の危険さ状態により、日常的運転休止整備計画からジェネレータフィールド及びステータコアの検査を省略する場合が生じていた。
【0003】
ジェネレータの現場検査は、ポール、トロリ及びフィールド回転法を使用して行われてきた。これらの方法は一般的に、満足な状態で検査作業を達成しなかった。
【0004】
小型空隙検査クローラ(「magic」)が、その開示内容を参考文献として本明細書に組み入れている本出願と同一出願人の米国特許第5,650,579号及び第6,100,711号に開示されている。これらのクローラは、ジェネレータフィールド及びステータコアの現場検査のためにコア鉄心と保持リングとの間の半径方向空隙を通過するように設計される。
【0005】
ビデオカメラ及び他の検査ツールは、ジェネレータフィールド及びステータコアの検査を行うために、クローラに取り付けることができる。例えば、高分解能ビデオカメラにより、ステータコア積層、コアウェッジ、フィールドウェッジ及び保持リングの内寄り端部のクリヤビューを得ることができる。従って、クローラは、ステータウェッジの緩み、振動バースパーキング、異物によるコア積層損傷、モータリング及びホットスポット、フィールドウェッジアーキング並びに表面加熱損傷に対する検出能力を備える。同様に、本出願と同一出願人の米国特許出願第11/163,196号、第11/306,600号及び第11/306,601号には、フィールド及びステータコアの超音波検査が記載されている。これらの特許出願は、参考文献として本明細書に組み入れている。ジェネレータの現場検査を通して、ジェネレータの全体状況に関して、フィールドの取外しが必要であるかどうかを決定するのに役立てることができる情報を収集することができる。
【0006】
これらの公知の装置は現場でのジェネレータ検査に適しているが、これら公知の装置は主として、0.5インチ(約12.7ミリメートル)よりも大きい入口間隙で使用することに限定される。入口間隙が、約0.5インチ(約12.7ミリメートル)よりも小さい場合には、フィールドは一般的に、検査のためにステータから引き出さなければならない。
【特許文献1】米国特許第5,650,579号
【特許文献2】米国特許第6,100,711号
【特許文献3】米国特許出願第11/163,196号
【特許文献4】米国特許出願第11/306,600号
【特許文献5】米国特許出願第11/306,601号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、約0.5インチ(約12.7ミリメートル)未満の小さい入口間隙に適応することができる検査装置に対する要望がある。検査装置は、目視検査、超音波検査、ウェッジ締付け度試験、電気的コア試験並びに他のタイプの検査及び試験を行うことができるのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本出願は、空隙検査装置について記述する。本空隙検査装置は、実質的に剛性のレールと、レール上に配置されたカートと、レールに沿ってカートを操縦するための駆動システムと、カート上に配置された検査ヘッドとを含むことができる。
【0009】
レールは、約0.2〜約0.25インチ(約5〜約6ミリメートル)の厚さ及び約1〜約3インチ(約25〜約76ミリメートル)の幅を有することができる。レールは、その上に端部フラップを含むことができる。駆動システムは、レールの周りに配置されたレール滑車輪とレール滑車輪と連動した幾つかのカート滑車輪とを含むことができる。レールは、幾つかの脚部を含むことができる。カートは、基部と取付けアームとを含むことができる。検査ヘッドは、カメラを含むことができる。カート及び検査ヘッドは、約1〜約3インチ(約25〜約76ミリメートル)の幅及び約0.2〜約0.25インチ(約5〜約6ミリメートル)の厚さを含むことができる。
【0010】
本出願はさらに、クローラ及び長レールを使用して入口間隙を通してジェネレータフィールドを検査する方法について記述することができる。本方法は、レール上にクローラを配置する段階と、入口間隙を通してレール及びクローラを挿入する段階と、レールに沿ってクローラを前進させる段階と、ジェネレータフィールドを検査する段階とを含むことができる。挿入する段階は、約0.25インチ(約6.35ミリメートル)未満の入口間隙を通してレール及びクローラを挿入する段階を含むことができる。
【0011】
本出願はさらに、空隙検査クローラについて記述する。本空隙検査クローラは、実質的に剛性のレールと、レール周りに配置されたレール滑車と、レール上に配置されたカートと、カートの周りに配置されかつレール滑車と連動した幾つかのカート輪と、カート上に配置された検査ヘッドとを含むことができる。
【0012】
レールは、約0.125〜約0.25インチ(約3〜約6ミリメートル)の厚さ及び約1〜約3インチ(約25〜約76ミリメートル)の幅を有することができる。レールは、幾つかの脚部を含むことができる。検査ヘッドは、カメラを含むことができる。カート及び検査ヘッドは、約1〜約3インチ(約25〜約76ミリメートル)の幅及び約0.2〜約0.25インチ(約5〜約6ミリメートル)の厚さを含むことができる。
【0013】
本出願のこれら及びその他の特徴は、図面及び特許請求の範囲と関連させて以下の詳細な説明を検討すると、当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、幾つかの図を通して、同じ参照符号が同様の要素を示す図面を参照すると、図1〜図4は、本明細書に記載した超小型空隙検査クローラ100を示す。超小型空隙検査クローラ100は、長レール110を含む。レール110は、アルミニウム、炭素繊維複合材、又は同様な種類の実質的に剛性の材料で製作することができる。一例として、レール110は、約0.125〜約0.25インチ(約3〜約6ミリメートル)の厚さ及び約1〜約3インチ(約25〜76ミリメートルの幅を有することができる。レール110は、長方形として示しているが、あらゆる所望の形状を使用することができる。レール110はまた、あらゆる所望の長さを有することができる。レール110は、適切な長さとなるように付加的セクションが追加又は除去された状態のセクションとなることができる。レール110の長さは、フィールド又はステータの長さに一致させることができる。この実施例では、レールは、約5〜約15フィート(約1.5〜約5メートル)の長さを有することができる。
【0015】
レール110は、その一端部上に端部フラップ120を有することができる。端部フラップ120は、下記により詳細に説明するように、入口間隙内にレール110を配置しまたレール上にカートを配置するためにヒンジで取り付けることができる。レール110は、実質的に中空とすることができる。レール110は、その中に配置されたレール滑車輪130を有することができる。レール滑車輪130は、下記により詳細に説明するように、駆動システムの一部である。同様に、レール滑車輪130及び駆動システムは、下記により詳細に説明するように、外部から駆動することができる。レール110はまた、その中に配置された幾つかの脚部140を有することができる。図5に示すように、脚部140は、所望の場合に広げるためにヒンジで取り付けることができる。空気シリンダ又はあらゆる同様なタイプの駆動装置により、所望に応じて脚部140を駆動することができる。脚部140は、フィールドとステータとの間にレール110を支持することができる。
【0016】
カート150は、レール110上に配置することができる。カート150は、基部160と取付けアーム170とを含むことができる。基部160は、アルミニウム、炭素繊維又は同様な種類の実質的に剛性の材料で製作することができる。基部160は、レール110の一側において該レール110の幅を横切って延びることができる。取付けアーム170は、基部160及びレール110の一側の周りで延びることができる。取付けアーム170は、約1〜3インチ(約25〜約76ミリメートル)にわたって延びることができる。基部160及び取付けアーム170は、単一の要素又は複数要素の部品とすることができる。
【0017】
カート150はさらに、その中に配置された駆動システム180の一部を含むことができる。駆動システム180は、幾つかのカート滑車輪190を含む。カート滑車輪190は、レール110の長さに沿ってカート150を操縦するために該レール110の端縁部沿いに乗って進む。滑車輪の代わりに、ダブテールスライドを使用することができる。駆動システム180は、滑車ワイヤ(図示せず)又は他のタイプの駆動手段を介してレール110のレール滑車輪130と連動した状態にすることができる。レール滑車輪130及びカート滑車輪190を備えた駆動システム180は、電気モータ、空気ピストン又は同様なタイプの駆動装置のような外部動力源によって駆動することができる。本明細書では、プッシュロッドもまた、使用することができる。
【0018】
検査ヘッド200は、基部160の取付けアーム170上に配置することができる。この実施例では、検査ヘッド200は、例示目的のために図ではカメラ210を含む。概説するならば、カメラ210は、運行及び探知のために使用する固定フォーカスの前方ビューカメラとステータ及びフィールド表面を観察するのを可能にするパワーフォーカス組立体及び直角プリズムを備えた可変ビューカメラとを含むことができる。本明細書では、あらゆる所望のタイプのカメラを使用することができる。
【0019】
それに代えて或いはそれに加えて、検査ヘッド200はまた、従来設計の超音波変換器を含むことができる。変換器は、約0.025インチ(約0.635ミリメートル)ほどの小さなクラックを検出することができる。検査ヘッド200はまた、変換器の前方に接触触媒(couplant)を拡散配置するための手段を含むことができる。(接触触媒は、変換器からの超音波エネルギーが試験試料内に透過するのを可能にする物質(通常は液体)である。)検査ヘッド200はまた、ウェッジタッピング試験を行うためのウェッジ締付け度モジュールを含むことができる。同様に、検査ヘッド200はまた、短絡ステータパンチングを検査するためのELCIDコイル(電磁コア欠陥検出器)を有することができる。
【0020】
カート150及び検査ヘッド200は、約2〜約6インチ(約50〜約150ミリメートル)の幅及び約0.2〜約0.25インチ(約5〜約6ミリメートル)の厚さを有することができる。これらの寸法は、所望に応じて、検査装置の性質に基づいて変化させることができる。
【0021】
使用中、カート150の取付けアーム170上に、所望の検査ヘッド200を配置することができる。次に、レール110の端部フラップ120上に、カート150を配置することができる。次に、空隙内に、レール110を配置することができる。次に、レール110の長さに沿ってカート150を操縦するように、駆動装置180を接続することができる。従って、カート150は、検査ヘッド200が所望の検査を行いながらジェネレータフィールド及びステータコアの長さに沿ってレールを進む。カート150が、レール110の全長を完了すると、レール110は回転させることができ、超小型空隙検査クローラ100は別の経路を取ることができる。
【0022】
超小型空隙検査クローラ100は、該超小型空隙検査クローラ100をフィールドの周りで円周方向に移動させるためにトラクタセクションと共に使用することができる。トラクタセクションは、本出願と同一出願人の上記の米国特許第6,100,711号に記載されたものと同様にすることができる。レール110は、トラクタセクションに取り付けて、該トラクタセクションと共に操作するようにすることができる。本明細書では、あらゆる所望のタイプの駆動手段を使用することができる。同様に、駆動システム180のための外部駆動装置は、トラクタセクション上に取り付けて、該トラクタセクションと共に操作するようにすることができる。
【0023】
以上の説明は、本出願の好ましい実施形態のみに関するものであり、特許請求の範囲及びその均等物によって定まる本発明の全体的な技術思想及び技術的範囲から逸脱することなく、当業者が本明細書において様々な変更及び改良を加えることができることは明らかな筈である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本明細書に記載した超小型空隙検査クローラの上面図。
【図2】図1の超小型空隙検査クローラの底面図。
【図3】図1の超小型空隙検査クローラの上面斜視図。
【図4】図1の超小型空隙検査クローラの底面斜視図。
【図5】脚部を延ばした状態での図1の超小型空隙検査クローラの側面図。
【符号の説明】
【0025】
100 超小型空隙検査クローラ
110 レール
120 端部フラップ
130 レール滑車輪
140 脚部
150 カート
160 基部
170 取付けアーム
180 駆動システム
190 カート滑車輪
200 検査ヘッド
210 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に剛性のレール(110)と、
前記レール(110)上に配置されたカート(150)と、
前記レール(110)に沿って前記カート(150)を操縦するための駆動システム(180)と、
前記カート(150)上に配置された検査ヘッド(200)と、
を含む空隙検査装置(100)。
【請求項2】
前記レール(110)が、5〜6ミリメートル(0.2〜0.25インチ)の厚さ及び25〜76ミリメートル(1〜3インチ)の幅を有することができる、請求項1記載の空隙検査装置(100)。
【請求項3】
前記駆動システム(180)が、前記レール(110)の周りに配置されたレール滑車輪(130)を含む、請求項1記載の空隙検査装置(100)。
【請求項4】
前記駆動システム(180)が、前記レール滑車輪(130)と連動した複数のカート滑車輪(190)を含む、請求項3記載の空隙検査装置(100)。
【請求項5】
前記カート(150)が、基部(160)と取付けアーム(170)とを含む、請求項1記載の空隙検査装置(100)。
【請求項6】
前記検査ヘッド(200)が、カメラ(210)を含む、請求項1記載の空隙検査装置(100)。
【請求項7】
前記カート(150)及び検査ヘッド(200)が、25〜76ミリメートル(1〜3インチ)の幅及び5〜6ミリメートル(0.2〜0.25インチ)の厚さを含む、請求項1記載の空隙検査装置(100)。
【請求項8】
クローラ(100)及び長レール(110)を使用して入口間隙を通してジェネレータフィールドを検査する方法であって、
前記レール(110)上に前記クローラ(100)を配置する段階と、
前記入口間隙を通して前記レール(110)及びクローラ(100)を挿入する段階と、
前記レール(110)に沿って前記クローラ(100)を前進させる段階と、
前記ジェネレータフィールドを検査する段階と、
を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−322426(P2007−322426A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141330(P2007−141330)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】