説明

超弾力性クッション

【課題】圧縮性の超弾力性のあるクッションとして用いる構造物の提供。
【解決手段】この発明の構造物は、いろいろなパターンで、軸方向および径方向に弾力性のある中空の部材と、比較的に非弾性的な糸とを含む。そのような構造物は、垂直方向の負荷を受けたときの大きな圧縮性と、その負荷を取り除いたときのすぐれたリカバリー(弾力性あるいはスプリングバック)との両方が非常に大きい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2008年12月29日出願の米国特許出願第12/345,215号(2007年12月28日出願の米国仮特許出願第61/017,447号の優先権を主張)の一部継続出願であり、それらが明らかにした内容の全体を参照によってここに組み入れる。
【技術分野】
【0002】
この発明は、すぐれた圧縮性および弾力性をもつ超圧縮性/弾力性の構造物に関する。その用途は、たとえば、競技シューズ、普通の靴、長靴(ブーツ)、床カーペット、カーペットクッション、スポーツフロアなど、いろいろである。構造物自体は、最終製品にもなるし、あるいは、他の構造物の部品にもなる。限定されるわけではないが、考えられる用途として、自動車部品および他のコンポジット、フローリング、特に競技場あるいは他のスポーツアリーナにおける下張り床(サブフロア)、圧縮クッション、防弾チョッキやハリケーン窓プロテクターのような弾道衣服、野球捕手の胸当てのようなスポーツ用品クッション、ランナー、レーサー、スケーター、バレーボール選手のためのひざ/ひじクッション、クリケットの向こうずね/ひざクッション、フットボールの腰クッション、スタジアム、競技場、アリーナにおける壁クッション、靴インサート(医用)、たとえばランニングシューズなどの競技シューズのヒール/ソール、ベッド、乗物の座席、枕のクッション層、さらには、厚さ方向の圧縮性や弾力性が求められる他の産業あるいは工業の分野がある。
【背景技術】
【0003】
コンポジットは、通常、繊維強化樹脂マトリックスであり、堅くて縦、横、高さのすべての方向に圧縮することができないが、たとえば、自動車のバンパーのような特定の用途では、衝撃が取り除かれれば元の形状に戻るという能力に加えて、ある程度のたわみ性と緩衝性が求められる。同様に、競技シューズ、床カーペット、カーペットクッション、体育館フロアなどに用いるクッションには、圧縮性と弾力性との両方について大きなものが求められる。それは、加えた負荷を取り除いたとき、それらが元の形状および大きさになるように弾性変形(スプリングバック)できる大きさである。
【0004】
スポーツ靴のヒール/ソール、それらは一般に粘弾性のある固体の材料であるが、たとえば「エアチャンネルあるいはポケット」を中に成型することにより、「クッション性」を改良しようとする試みがなされている。しかし、成型した材料の剛性では、クッション効果が制限される。関連技術の中にペチットの米国特許第3,553,857があり、熱可塑性ゴムとは別のエラストマーソール材料のソールユニットを示している。そのソールユニットは、ソールユニットのハロゲン処理した表面に、溶剤ベースのポリウレタンあるいはポリクロロプレン接着剤の乾燥フィルムを重ねている。
【0005】
クレメンスの米国特許第3,733,721は、弾力性のクッション、たとえば、靴などのような履物製品の底に据え付けるための形状としたクッションを伴う発泡エラストマー材料で構成したものを示す。そのクッションは、上側に感圧接着剤を備え、それにより、履物製品の底に接着し、クッション性を与える。同時に、そのクッションは、所望に応じて、履物製品から取り外すことができる。
【0006】
キャバナーの米国特許第4,608,768は、衝撃吸収性の靴底をもつ競技靴であり、靴底の主面にほぼ平行に広がる少なくとも一つの中間サポートを備えるものを示す。透かし模様のある中間サポートは、中底と靴底の間に設けた柔らかで弾力性のある中間靴底に配置されている。
【0007】
ブの米国特許第5,480,646は、薬剤を付けるためのクッション(パッド)に関し、たとえば、履物の中底であり、シナモン、アロエウッドおよびアニススターの混合物を保持し、皮膚に接触する透過面をもち、皮膚に内部の粉末を放出することができる。そのクッションは、内張りとして、粉末を入れ、中に粉末を平らに分布するように維持する複数の室を備える。また、この特許の背景技術中の多の特許についても参照されたい。
【0008】
しかし、これらの構造物は、必要とする厚さ方向の圧縮およびスプリングバック特性に欠ける。「弾力性のある」(厚さ方向あるいは径方向に)媒体を靴底に組み入れることによって、垂直の負荷を取り除いたとき、靴底の弾力性あるいはスプリングバックをある程度もたらすことができる。しかしまた、それらの媒体を用いることにより、圧縮性およびスプリングバックは、高々、その媒体の厚さのある部分に限定される。
【0009】
したがって、負荷を受けたときに大きな厚さ方向のリカバリーを伴うすぐれた弾力性があるクッションを提供することは、「クッション製造」分野の現状を進歩させることになるであろう。
【発明の概要】
【0010】
この発明は、ユニークな構造物を利用する「緩衝(衝撃吸収)クッション」であり、その構造物は負荷を受けたときに大きな厚さ方向のリカバリーを伴う非常に弾力的な作用を生じる。ここでの構造物は、中空でどのような方面にでも弾力性のある媒体を利用するものであり、受けた圧力に応じて変形するという、この媒体および構造物の弾性に主に応じて、それ自体が全体的に「つぶれる」ようになり、それによりユニークな働きをする。
【0011】
この発明の一実施例は、競技シューズ、ランニングシューズ、普通の靴、長靴(ブーツ)などに用いる超弾力性のクッションである。この構造物は、織ったファブリックあるいは不織のファブリックであり、横あるいは縦方向に層にした中空で弾力性の媒体の下だけでなく、上にも層にした縦あるいはシュート方向の機能性糸を含む。横方向に用いる中空で弾力性の媒体としては、ポリウレタン、ゴム、ライクラ(登録商標、デュポン社の商品名)、あるいはエステイン(登録商標、ルービリゾル社の商品名)、または構造物を圧縮およびリバウンド、あるいは「スプリングバック」することを許す強度だけでなく、圧縮および弾性エネルギーの下ですぐれた弾性をもつ変形可能な材料を用いることができる。構造物の全体について、「バインダーピック」、あるいは構造物を一緒に結んで前記構造物のさらなる処理をするために、構造物に織り込んだ糸を利用することにより、一緒に結ぶことができる。ここでバインダーピックに言及しているが、その代わりに横方向に、あるいは縦および横の両方向にバインダー糸を設けることができる。この結び機能を得るために、接着剤、溶接技術あるいはレーザー結合などの他の手段を利用することもできる。
【0012】
この発明の他の実施例は、床カーペット、スポーツフロア、床の被覆などに用いる超弾力性の「カーペットクッション」である。その構造物は、織ったファブリックあるいは不織のファブリックであり、CDあるいは縦糸方向に層にした中空で弾力性のある媒体の下だけでなく、上にも層にした縦あるいはシュート方向の機能性糸を含む。縦糸方向に用いる弾力性の媒体としては、ポリウレタン、ゴム、ライクラ(米国デュポン社の商品名/登録商標)、あるいはエステイン(登録商標、ルービリゾル社の商品名)、または構造物を圧縮およびリバウンド、あるいは「スプリングバック」することを許す強度だけでなく、充分な弾性をもつだけの変形可能な材料を用いることができる。構造物の全体について、「バインダーピック」、あるいは構造物を一緒に結んで前記構造物のさらなる処理をするために、構造物に織り込んだ糸を利用することにより、一緒に結ぶことができる。ここでバインダーピックに言及しているが、その代わりに横方向に、あるいは縦および横の両方向にバインダー糸を設けることができる。この機能を得るために、接着剤、溶接技術あるいはレーザー結合などの他の手段を利用することもできる。
【0013】
この発明の目的は、メモリーフォーム、ゲル、スプリングシステムなどを超える、改良されたリカバリー特性をもつ構造物を提供することである。
【0014】
この発明の他の目的は、靴および足のサポートを改良するために、クッション上に滑らかで均一な表面を形成することである。
【0015】
この発明のさらに他の目的は、カーペット/スポーツフロア/床材料のサポートを改良した、「平ら」で非交差の構造物を形成することである。
【0016】
この発明のさらに他の目的は、材料の直線的な圧縮に対立するものとして、構造物内部の中空で弾力性のある材料の「フル」リカバリーを利用することにより、リカバリー/ダンパー特性のすぐれた保持力を生じることである。これが達成されるのは、構造物が中空で弾力性のある材料の部分間にサポートを与え、それが材料の「オーバーストレス」を避け、それを「生かし」長い有用な寿命をもたらすからである。
【0017】
この発明のさらに他の目的は、圧縮およびそれに続くリカバリーによる自浄化効果によって、水を保持する適用における水蒸気のダメージあるいは問題に対するすぐれた抵抗性を与えることである。
【0018】
この発明のさらに他の目的は、すぐれた圧縮リカバリー対重量比を与え、構造物上に軽い重みがあるときにすぐれたダンパー能力を許容するようにすることである。
【0019】
この発明のさらに他の目的は、緩衝(衝撃吸収)構造物にすぐれた通気性を与え、圧縮段階の間に発汗作用をし、他の湿気を蒸発させおよび/または除去するようにすることである。
【0020】
それで、開示する内容は、圧縮性の弾力性のクッションであり、そのクッションは、特定の構成を備える構造物である。すなわち、クッションは、複数の平行な横方向あるいは縦の糸および複数の平行な縦あるいはシュート糸を備え、それらシュート糸あるいは縦糸のいずれか一方、あるいは両方が中空で弾力性(厚さ方向あるいは径方向に、および縦あるいは軸方向に)のある材料部材からなり、すぐれた圧縮性と弾力とを伴う。その構造物は、縦糸あるいはシュート糸の方向のいずれかに走る平行な糸からなる第1の層と、その第1の層の一方の側の平行な糸からなる第2の層であり、その第2の層の糸は第1の層の方向と異なる縦糸あるいはシュート糸の方向に走り、中空で弾力性のある部材からなる層と、第1の層のように第2の層の反対側に位置し、第1の層のそれらと同じ方向に走る平行な糸からなる第3の層とを備える。第3の層の平行な糸は、それらが第1の層の平行な糸間に作られるスペース間に巣を作るように整列される。言い換えると、このデザインは、糸および部材が縦糸およびシュート糸あるいはシュート方向に互いに織り込むことがない「クロスレス(非交差)」に分類することができる。しかし、それらは、互いに直交するように重なり、別の面に位置している。その構造物は、バインダー糸系をさらに備える。バインダー糸は、縦糸あるいはシュート方向に、あるいはそれらの両方向に設けることができる。クッションにおいて、第3の層の糸数は、第1の層の糸数よりも少ない。第2の層の糸は、第1および第3の層のそれらに対して直交している。第2の層は、第1および第3の層の90°よりも小さな角度、たとえば45°の角度にすることができる。
【0021】
クッションの構造物は、第2の層と同じ方向に走り、糸が中空で弾力性のある部材からなる平行な部材からなる第4の層、および、第1の層と同じ方向であり、糸が第1の層のそれと同様に厚さ方向に垂直面に整列した平行な糸からなる第5の層を備えることができる。
【0022】
さらに他の実施例では、圧縮性の弾力性のクッションであり、そのクッションは、特定の構成を備える構造物である。すなわち、クッションは、複数の縦糸および複数のシュート糸を備え、それらシュート糸および縦糸のいくつかの数が織り交ざって織り構造物を形成し、しかもまた、糸のいくつかの数が軸方向および径方向に弾力性のある中空の部材から構成されている。クッションには、バインダー糸をさらに備えることができる。一つの実施例において、クッションは2−8−ひ口パターンを備える。
【0023】
ここに述べる各実施例で留意すべきは、中空で弾力性のある部材を縦糸およびシュート糸のどちらかあるいは両方に組み入れることによって、圧縮性と弾力性の必要な特性を与えることである。また、最終の構造物の少なくとも一つの層を全体的に中空で弾力性のある部材で構成することを条件として、層のいくつかには中空で弾力性のある部材のいくつかの数を含むようにすることができる。その中空で弾力性のある部材は、適用する上でふさわしい形態にすることができ、たとえば、単一のモノフィラメント、もろよりモノフィラメントあるいはマルチフィラメント、多構成部材として異なる材料からなる被覆部材、編み部材、より部材、および組み部材などにすることができる。中空で弾力性のある部材については、一部分を弾力性のある材料で構成すること、たとえば多構成部材の一つの構成部分を弾力性のある材料にすることができるし、あるいは、中空で弾力性のある部材の全体を弾力性のある材料で構成することができる。中空で弾力性のある部材は、断面が円形、あるいは非円形の断面形状にすることができる。非円形の断面形状として、限定するわけではないが、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、多角形、および葉形がある。中空で弾力性のある部材は、その長さあるいは軸の方向に走る1または2以上の孔をもち、その(それらの)孔自体の形状は、円形あるいは非円形であり、非円形には、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、多角形、および葉形を含み、孔はいろいろな大きさにすることができる。弾力性のある材料として、限定するわけではないが、好適なものは、ポリウレタン、インヴィスタ販売のゴムライクラ(登録商標)あるいはルービリゾル販売のエステイン(登録商標)である。
【0024】
この中の開示内容および実施例において、クッションの構造物は、積層構造を備えることができる。積層構造には、その間に中空で弾力性のある部材を伴う、2つの独立の織り層を含むことができる。積層構造は、また、層間を織るバインダー糸系を含むことができる。
【0025】
この中の開示内容および実施例において、クッションは、また、バインダー糸系および中空で弾力性のある部材が同じ方向になった構造物を含むことができる。中空で弾力性のある部材とバインダー糸の方向は、縦糸あるいはシュート方向にすることができる。そのような構造物は、二重層構造内にある中空で弾力性のある部材の層を含むことができる。クッションにおいて、構造物は、粗い(太い)縦糸からなる中空で弾力性のある部材、およびその中空で弾力性のある部材よりも細い縦糸からなるバインダー糸を含むことができる。
【0026】
この中の開示内容および実施例において、クッションの構造物は、最終製品にもなるし、あるいは、他の構造物の部品にもなる。クッションは、次に示すグループの中の製品中に含まれるか、その中の製品となることができる。すなわち、履物、靴、競技シューズ、長靴、フローリング、カーペット、カーペットクッション、スポーツフロア、自動車部品、コンポジット、サブフロア、競技場のサブフロア、スポーツアリーナのサブフロア、圧縮クッション、弾道衣服、防弾チョッキ、ハリケーン窓プロテクター、パッド、スポーツ用品クッション、野球捕手の胸当て、ひざ/ひじクッション、腰クッション、壁クッション、靴インサートおよび医用支持具、競技シューズのヒール/ソール、ベッドおよび乗物座席のクッション層のグループである。構造物は、また、表面を交換できる材料を含むことができる。たとえば、その材料は、フックドわな糸である。
【0027】
たとえば、この発明の構造物を層として備える自動車バンパーでは、その構造物の層が内部の樹脂から解放されて必要な動きをすることができ、一般に用いられているものの改良となる。この発明は、また、靴インサートあるいは医用支持具としても用いることができる。それらは、通常、成型した樹脂である。この発明の超弾力性のクッション層を組み入れることにより、そのクッションあるいは衝撃緩和作用を向上させることができる。この発明の超弾力性のクッション層を組み入れる際、形のある構造物中に層として入れることにより、「樹脂」の動きを解放し、ランニング/競技シューズのクッション作用を大いに改善することができる。
【0028】
この中の開示内容および実施例において、構造物の層は、中空で弾力性のある材料からなる隣接層を複数備えることができる。
【0029】
この発明の内容、ならびに、それを用いることにより得るその作用効果および具体的な目的をより良く理解するため、この発明の好ましい実施例(それらに限定されるわけではない)を示す、引き続く説明事項を参照されたい。
【0030】
ここで開示する中で、「備えている(comprising)」および「備える(comrises)」の用語は、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」という意味になるし、あるいは米国特許法におけるそれらの意味にもなる。さらに、「本質的に有している(consisting essentially of)」および「本質的に有する(consists
essentially of)」の用語は、クレームで用いるときには、美国特許法におけるそれらの意味である。この発明の他の考え方(形態)については、以下の説明に記載されているか、その記載(この発明の範囲内)から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施例による超弾力性の靴クッションを示す。
【図2】この発明の一実施例による超弾力性の靴クッションを靴の内部に取り付けた例を示す。
【図3】この発明の一実施例による織り構造物を示す。
【図4】この発明の一実施例による構造物の構成を示す。
【図5A】この発明の他の実施例によるクッションの側面図を示す。
【図5B】この発明の他の実施例によるクッションの外形(輪郭)図を示す。
【図6】この発明の一実施例による構造物の構成におけるさらに他の工程を示す。
【図7】この発明の一実施例による織り構造物を示す。
【図8】この発明の他の実施例による他の構造物を示す。
【図9】中空で弾力性のある部材からなる糸を巻いた複合糸を含む、この発明の一実施例を示す。
【図10A】積層構造物の一実施例を示す。
【図10B】織りによる「クロスレス(非交差)の」構造物を示す。
【図11】縦糸バインダーを備える5層の圧縮性かつ弾力性のファブリックを含む、この発明の実施例を示す。
【図12】縦糸のくねりを含むこの発明の実施例を示す。
【図13A】一体化ファブリックの他の織り込み例を示す。
【図13B】一体化ファブリックの他の織り込み例を示す。
【図13C】一体化ファブリックの他の織り込み例を示す。
【図13D】一体化ファブリックの他の織り込み例を示す。
【図13E】一体化ファブリックの他の織り込み例を示す。
【図14】この発明の中空で弾力性のある部材のいろいろな断面を示す。
【発明の詳細な内容】
【0032】
この発明の一実施例は、「緩衝(衝撃吸収)」クッションであり、ユニークな構造物を利用するものであり、垂直負荷を受けるとき厚さ方向の大きなリカバリーを伴う、非常に弾性的な作用をする。すぐれた圧縮性および弾力性をもつ、この超弾力性の構造物は、たとえば、競技シューズ、普通の靴、長靴(ブーツ)、床カーペット、カーペットクッション、スポーツフロアなど、いろいろな用途に適用することができる。構造物自体は、最終製品にもなるし、あるいは、他の構造物の部品にもなる。限定されるわけではないが、考えられる用途として、自動車部品および他のコンポジット、フローリング、特に競技場あるいは他のスポーツアリーナにおける下張り床(サブフロア)、圧縮クッション、防弾チョッキやハリケーン窓プロテクターのような弾道衣服、野球捕手の胸当てのようなスポーツ用品クッション、ランナー、レーサー、スケーター、バレーボール選手のためのひざ/ひじクッション、クリケットの向こうずね/ひざクッション、フットボールの腰クッション、スタジアム、競技場、アリーナにおける壁クッション、靴インサート(医用)、たとえばランニングシューズなどの競技シューズのヒール/ソール、ベッド、乗物の座席、枕のクッション層、さらには、厚さ方向の圧縮性や弾力性が求められる他の産業あるいは工業の分野がある。
【0033】
この構造物10は、織りあるいは不織の構造物またはファブリックの一方向に、中空で弾力性のある媒体を利用する。その媒体は、圧力に応じた形になるというこの媒体および基材ファブリックの弾性に基づいて、それ自体が全体的に「つぶれる」ようになる。そして、それからすぐに実質的に元の形および厚さと同じにリカバリーし、それによりユニークな働きをする。
【0034】
中空で弾力性のある部材は、その厚さあるいは径方向、およびその長さあるいは軸の方向に弾力性のあるものと定義される。その中空部材は、ここで述べるすべての実施例に必要である。その中空で弾力性のある部材は、適用する上でふさわしい形態にすることができ、たとえば、単一のモノフィラメント、もろよりモノフィラメントあるいはマルチフィラメント、多構成部材として異なる材料からなる被覆部材、編み部材、より部材、および組み部材などにすることができる。中空で弾力性のある部材については、一部分を弾力性のある材料で構成すること、たとえば多構成部材の一つの構成部分を弾力性のある材料にすることができるし、あるいは、中空で弾力性のある部材の全体を弾力性のある材料で構成することができる。中空で弾力性のある部材は、断面が円形、あるいは非円形の断面形状にすることができる。非円形の断面形状として、限定するわけではないが、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、多角形、および葉形がある。中空で弾力性のある部材は、その長さあるいは軸の方向に走る1または2以上の孔をもち、その(それらの)孔自体の形状は、円形あるいは非円形であり、非円形には、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、多角形、および葉形を含み、孔はいろいろな大きさにすることができる。中空で弾力性のある部材の断面形状について、図14にいくつかの例(それらに限定されるわけではない)を示す。この発明の中空で弾力性のある部材は、重さがより軽く、しかもまた、その長さあるいは軸方向に沿って走る孔をもたない同じ外径の弾力性の部材よりも大きく(厚さ方向に)圧縮することに留意されたい。弾力性のある材料として、限定するわけではないが、好適なポリマーを少し挙げると、ポリウレタン、インヴィスタ販売のゴムライクラ(登録商標)あるいはルービリゾル販売のエステイン(登録商標)がある。
【0035】
この発明の一実施例を図1に示す。その実施例は、たとえば競技シューズ、ランニングシューズ、普通の靴、長靴などの靴に用いる靴クッション10である。
図2は、たとえば靴などの履物に入れた靴クッション10を示す。図3は、この発明の一実施例による構造物の「上面図」であり、ファブリックの上方から見た基材ファブリックを示す。図3が示すように、一つの方向(たとえば、ファブリックの縦方向あるいはシュート方向)の機能性糸20,30があり、それらは中空で弾力性のある部材40の層の下側だけでなく上の両方に横方向に重なっている。ここで、中空で弾力性のある部材40は、機能性糸20,30の巣の形にならい、機能性糸20,30の周囲に曲がり、平らになり/伸びる。機能性糸には、当業者に知られているように、いろいろな糸(たとえば、単一のモノフィラメント、マルチフィラメント、加工マルチフィラメントなど)あるいは、複合構造のもの(より、もろより、編み、編組、材料のいくつかの組み、など)を含む。
【0036】
中空で弾力性のある部材40としては、たとえば、ポリウレタン、ゴム、ライクラ(デュポン社の商品名/登録商標)、あるいはルービリゾル販売のエステイン(登録商標)などのポリマー、または構造物をリバウンド、あるいは「スプリングバック」することを許す強度だけでなく、充分な弾性をもつだけの変形可能な材料を用いることができる。構造物10は、縦方向および横方向の糸を交互に入れた90°型にすることができる。注意すべきことは、糸/材料/バンド(帯)/ひも/媒体が構造物の10全体においてずれている点である。これは、縦方向の部分が互いに干渉することなくほとんど完全に圧縮することができるようにするためであり、平坦な構造物を形作るときに開口部分を伴って通気ができるようにするためである。構造物10の全体について、「基材ファブリック」の次の処理をするために、図3に示す「バインダーピック(横糸)」50、あるいは構造物に織り込んだ他の糸を利用することによって、一緒に「くくる」ことができる。ここでバインダーピックに言及しているが、その代わりに横方向に、あるいは縦および横の両方向にバインダー糸を設けることができる。また、構造物の糸を保持するこの機能を得るために、たとえば接着剤、溶接技術あるいはレーザー結合などの他の手段を利用することもできる。
【0037】
圧縮性の負荷を受けると、中空で弾力性のある部材40が伸び、図6に示すように、事実上ほとんど同じ面の中で糸20および30を互いに向けて動かし、互いの間を「巣を作るように包み込む」。この時点で、中空で弾力性のある部材40は、この巣を整い、最上層および最下層の糸20,30の周囲に曲げて平らにし/伸ばす。その負荷が解放されると、部材40の弾性作用により、それらは糸層20と糸層30とを互いに離すように動かし、あるいは「スプリングバック」し、ファブリックを図4に示すような必要な厚さおよび開放度に戻す。したがって、垂直方向の圧縮がない状態における、糸20の厚さ、糸30の厚さおよび中空で弾力性のある部材40の厚さを加えたトータルの厚さをもつクッションは、ほとんど糸の太さ全体までの圧縮性および弾性を示す。すなわち、失う厚さは中空で弾力性のある部材40のいくらかの部分であり、ファブリックは、圧縮状態において、糸20あるいは30の径の大きさとほとんど同様の厚さになる。いくつかの図において、機能性糸20,30を四角形状の断面で示しているが、それらは、目的に合うようなどのような大きさ、形状、材料あるいは形態にすることができる。
【0038】
上に述べたものと同様の別の実施例において、糸層20および30は上のものと同じ位置および配列/間隔であるが、中空で弾力性のある部材40の層を上層および/または下層に対して90°よりも小さい角度、好ましくは45°の角度に配列している。
【0039】
さらにまた、図5Aに示すように、機能性糸を二層よりも多く、しかも中空で弾力性のある部材を一層よりも多くすることができる。MD糸がたとえば3層のとき、3つの糸層のうち二つは互いに間隔を開けて巣を作るように包み込むことができるようにしなければならない。たとえば、最上部および真ん中の層を配列するとき、二つの隣接する最上部の糸と最下部の糸との間に入った真ん中の糸が、最上部あるいは真ん中の層のいずれかに直角となるように積み重ねなければならない。さらにまた、CD方向の両方の層に中空で弾性力のある部材を含ませることができるし、あるいはまた、一方の層だけに中空で弾性力のある部材を含ませることができ、他方の層は機能性の糸層とすることができる。また、最上部、真ん中および最下部の糸は、形態、材料、形などを互いに同じにすることができるし、異ならせることもできる。
【0040】
図5Bは構造物35の外形(輪郭)図を示す。その構造物35は、5層であり、各層が平行な複数の糸/部材を含み、大体において平行な面となっている。第1、第3および第5の層(すなわち、層12、16および22)の糸は、たとえば、縦方向に配列されているのに対し、第2および第4の層(すなわち、層14および18)の中空で弾力性のある部材は、たとえば、横方向に配列されている。そこに示すように、第3層16の機能性糸30は、上に述べたやり方で第1層12および第5層22の糸20間に落ちるように間隔が開いている。それによって、上述した「巣を作ること」の原因になっている。第2層14および第4層18は、中空で弾力性のある部材40を含む。バインダー糸50は、縦方向にも配置することもできるが、たとえば、横方向に配置する。ここに述べるいくつかの実施例では、第1、第3および第5の層を縦方向に配列し、第2および第4の層の中空で弾性力のある部材を横方向に配列しているが、中空で弾力性のある部材の層が少なくとも一層あるならば、それらの層について、入れ換えるようにすることができる。たとえば、第1および第5の層を横方向に配列し、そして、第3層の機能性糸と組み合う、第2および第4の層の中空で弾力性のある部材を縦方向に配列することができる。同様に、バインダー糸50は、必要に応じて、縦横の一方向、あるいは両方向に配列することができる。
【0041】
図5に示すように、層12,14,16,18および22は、織り込まない。その代わりに、相対的に細い糸あるいはバインダー糸50を一本あるいはそれ以上用いて、層を垂直方向に一緒に結びつける。このタイプの構造によれば、各層の個々の糸が横方向に位置を変えることがなくなる。バインダー糸は、一列ごとに互い違いにすることができ、各列は、たとえば横方向に伸びる。
【0042】
また、圧縮性/弾性の度合いについては、必要な弾力性の部材の弾性、弾力性の部材の層数、大きさおよび形、ならびに、弾性力のある部材の各層における弾性力のある部材の数、そして勿論、構造物自体の全体によってコントロールする。この発明の構造物は、また、そこに取り付けられる他の糸配列あるいはベースファブリックとの積層物の部分になることができる。構造物は、その一面あるいは両面に被覆層を塗布することができ、その塗布は、構造物の全体を部分的にあるいは完全に包むか含ませるようにすることができる。塗布/包含は、網状あるいはそうでない形態にすることができる。
【0043】
どの縦方向糸についても、事実上単一(単一のモノフィラメント、マルチフィラメント、加工マルチフィラメントなどとして)にすることができるし、あるいは、複合構造(より、もろより、編み、材料のいくつかを組み、ファブリック、コンポジットなど)にすることができる。その点は、当業者に知られていることである。それらの糸は、流体を透過するものでも、透過しないものでも良い。それらの糸は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィンなどのポリマー、あるいは金属、ゴムなど、または、それらの組合せで構成することができる。
【0044】
なめらかな表面を生み出すために、必要なら、ファブリックを繊維で針縫いすることができ、そして、発泡体(フォーム)、塗料、あるいは微粒子で被覆することができる。他の形態として、膜(メンブレン)、糸配列、あるいは他の糸ファブリックをファブリックに対して積層するものを含む。これらの中空で弾力性のある部材を含む構造物は、構造物を圧縮およびリバウンド、あるいは「スプリングバック」することを許す強度だけでなく、充分な弾性をもつだけの変形可能な材料を用いて構成すべきである。構造物がもつ圧縮性およびリバウンド性によって、次のような利益がある。
1)メモリーフォーム、ゲル、スプリングシステムなどを超える、改良されたリカバリー特性。
2)たとえば、「平ら」で糸が非交差の構造物がもつ滑らかで均一な表面特性(たとえば、靴および足のサポートを改良するため)。
3)構造物内部の中空で弾力性のある部材の「フル」リカバリーにより、リカバリー/ダンパー特性のすぐれた保持力(材料の直線的な圧縮に対立するものとして)。これが達成されるのは、構造物が中空で弾力性のある部材の部分間にサポートを与え、それが材料の「オーバーストレス」を避け、それを「生かす」(たとえば、長い有用な寿命のため)。
4)圧縮およびそれに続くリカバリーによる自浄化効果によって、水を保持する適用における水蒸気のダメージあるいは問題に対するすぐれた抵抗性。
5)すぐれた圧縮リカバリー対重量比を与え、構造物上に軽い重みがあるときにすぐれたダンパー能力を許容。
6)緩衝構造物にすぐれた通気性を与え、圧縮段階の間に発汗作用をし、他の湿気を蒸発および/または除去。
【0045】
構造物35は、平らに、無端に、あるいはその分野で知られた他の内容でコンパイルして織ることができる。前記縦方向の層(あるいは、他の方向に方向付けされているなら、横方向の層)を割り出すことは重要である。なぜなら、構造物について間隔を置いて配列することによって、ある層の糸を別の層の糸へと均一に圧縮し、それによって、構造物の全体の長さおよび幅にわたって均一な作用を生じるからである。注意すべきは、図4および図5に示すように、前記糸/部材を互いに直角になるように次に置き、最終的な構造物を生じるように適正に割り出すことにより、織ることなく構造物を作ることができることである。それらの糸/部材は、接着剤、溶接技術(たとえば、レーザーおよび/または超音波)で決まった場所に固定することができ、または、他の溶接および/または接着技術で接着することができる。また、多数の層を互いに直角あるいは角度をもって積み重ねて、より厚く、より圧縮性の構造物を作ることができる。
【0046】
この発明の一実施例は、「カーペットクッション」であり、ユニークな構造物60を利用するものであり、負荷を受けたとき厚さ方向の大きなリカバリーを伴う非常に弾性的な作用を生じる。この構造物60は、たとえば図7に示すように、織りファブリックの一方向に走る中空で弾力性のある部材140を利用する。その部材は、圧力に応じた形になるというこの中空で弾力性のある部材140および基材ファブリックの弾性に基づいて、それ自体が全体的に「つぶれる」ようになり、しかも、圧力が解放されると元に戻り、それによりユニークな働きをする。
【0047】
図7は、この発明による構造物の「上面図」であり、ファブリックの上方から見たものであり、基材ファブリックにも関連する。糸120,130は、一方向、たとえばファブリックの縦方向に用いられ、横方向の中空で弾力性のある部材140の下だけでなく上の両方に置かれている。中空で弾力性のある部材140は、ポリウレタン、ゴムあるいはライクラ(登録商標、デュポン社の商品名)、あるいはエステイン(登録商標、ルービリゾル社の商品名)、または構造物をリバウンド、あるいは「スプリングバック」することを許す強度だけでなく、充分な弾性をもつだけの変形可能な材料を用いることができる。構造物10は、縦方向および横方向の糸を交互に入れた90°型にすることができる。注意すべきことは、糸/バンド(帯)/ひも120,130が構造物の10全体においてずれている点である。これは、縦方向の部分が互いに干渉することなく全体的にぎっしり詰まることができるようにするためであり、平坦な構造物を形作るときに開口部分を伴って通気ができるようにするためである。構造物10の全体について、「基材ファブリック」の次の処理をするために、図7に示す「バインダーピック(横糸)」150、あるいは構造物に織り込んだ他の糸を利用することによって、一緒に「くくる」ことができる。ここでバインダーピックに言及しているが、その代わりに横方向に、あるいは縦および横の両方向にバインダー糸を設けることができる。また、この機能を得るために、たとえば接着剤、溶接技術あるいはレーザー結合などの他の手段を利用することもできる。
【0048】
どの縦方向糸についても、事実上単一(単一のモノフィラメント、マルチフィラメント、加工マルチフィラメントなどとして)にすることができるし、あるいは、複合構造(より、もろより、編みなど)にすることができる。それらの糸は、流体を透過するものでも、透過しないものでも良い。それらの糸は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、金属、ゴム、ライクラ(米国デュポン社の商品名/登録商標)あるいはエステイン(登録商標、ルービリゾル社の商品名)など、または、それらの組合せで構成することができる。なめらかな表面を生み出すために、必要なら、繊維でファブリックを針縫いすることができ、そして/または、発泡体(フォーム)、樹脂あるいはラテックス塗料、または微粒子で被覆することができる。中空で弾力性のある部材を含む構造物は、構造物を圧縮およびリバウンド、あるいは「スプリングバック」しなければならない。構造物がもつリバウンド性によって、次のような利益がある。
1)メモリーフォーム、ゲル、スプリングシステムなどを超える、改良されたリカバリー特性。
2)たとえば、「平ら」で糸が非交差の構造物がもつ滑らかで均一な表面特性(たとえば、カーペット/スポーツフロア/床材料のサポートを改良するため)。
3)構造物内部の中空で弾力性のある部材の「フル」リカバリーにより、リカバリー/ダンパー特性のすぐれた保持力(材料の直線的な圧縮に対立するものとして)。これが達成されるのは、構造物が中空で弾力性のある部材の部分間にサポートを与え、それが材料の「オーバーストレス」を避け、それを「生かす」からである。これは、特に、長い有用な寿命をもたらす。
4)圧縮による自浄化効果によって、水を保持する適用における水蒸気のダメージあるいは問題に対するすぐれた抵抗性。
【0049】
構造物10は、平らに、無端に、あるいはその分野で知られた他の内容でコンパイルして織ることができる。前記縦方向の層(あるいは、他の方向に織られているなら、横方向の層)を割り出すことは重要である。なぜなら、構造物について間隔を置いて配列することによって、互いに糸の圧縮を均一にし、それによって、構造物の全体の長さおよび幅にわたって均一な作用を生じるからである。注意すべきは、前記糸/部材を互いに直角にあるいは角度をもって次に置き、最終的な構造物を生じるように適正に割り出すことにより、織ることなく構造物を作ることができることである。それらの糸/部材は、接着剤、溶接技術(たとえば、レーザーおよび/または超音波)で決まった場所に固定することができ、または、他の溶接および/または接着技術で接着することができる。また、多数の層を互いに直角あるいは角度をもって積み重ねて、より厚く、より圧縮性の構造物を作ることができる。
【0050】
さらに他の実施例において、異なる織りリピートあるいはひ口パターンを混ぜることにより、ファブリックの層をそれぞれ構成することができる。背景として、浮き織りにおいて、縦糸はヘルド(そうこう)を通して糸通しされ、縦糸方向の各糸に対するヘルドの位置を上げたり下げたりすることにより織りパターンが作られる。それから、縦糸を上げ下げすることにより作られるひ口の中にシュートあるいはピックが挿入される。織りパターンが再び現れるまでに交差する糸数が、ひ口として知られている。この理解の下で、平織りが、縦糸の位置を変える織り機で、たとえば二つのひ口を利用するとき、2ひ口の織りパターンと称する。したがって、ファブリックは、2,4、6,8ひ口パターンなどで構成される。
【0051】
図8は、0.35mmシュート糸による2−ひ口パターンを示し、図は中空で弾力性のある部材40およびバインダー糸50に対する二つの異なる密度を示している。たとえば、中空で弾力性のある部材18を伴う5−層ファブリックに2−ひ口表面を織るため、16ハーネス(16/4=4、4/2=2ひ口)パターンを用いることができる。別の例では、2−層4/8−ひ口織りでは、シュートとして4プライライクラ(登録商標)あるいはエステイン(登録商標)糸を伴う。
【0052】
図9に示す他の例の構造物は、2−層構造の多層ファブリック用の中空で弾力性のある部材40を含む複合巻き糸である。図10Aおよび10Bに示すものは、ファブリックの積層構造物の例である。図10Aは、中空で弾力性のある部材40と、二つのファブリック間に積層した機能性糸20,30を伴う基材構造を示す。
【0053】
図10Bは、「クロスレス(非交差)」の織り基材(ベース)を示す。基材は、バインダー糸50だけでなく、中空で弾力性のある部材40、および機能性糸20,30を備える。また、他の実施例として、中空で弾力性のある部材を編み糸、プライ/より、あるいはフックドわな糸にすることができる。
【0054】
フックドわな糸を含む実施例の場合、クッションおよび構造物が受ける圧力によって、すり切れたファブリック表面をすぐに取り付けおよび取り替えるなどすることができる。別の例では、ファブリックの表面が交換可能であり、それにより、同じファブリックを異なる用途に用いることができる。たとえば、スポーツフロアについて、異なるスポーツに必要とされる異なる表面を用いることができる。
【0055】
別の実施例において、図11は、縦糸バインダー50を備える5−層の圧縮弾力性のファブリックを示す。縦糸方向に走る中空で弾力性のある部材40を含む配列116は、第1の配列112と第3の配列122との間に位置する。中空で弾力性のある部材40を含む第4の層126の糸は、第2の層16の平行となった中空で弾力性のある部材と上下(垂直)面に交互にスペースを空けて現れるように位置する部材がある。第5の層128の糸20は、第1の層112の糸20と同じ上下(垂直)面に位置する。図に示すように、縦方向の各バインダー糸50は、第1および第2の層中、3つの平行な糸の下および上を交互に織られ、シュート方向に間隔を置いて並び、第1の層112および第5の層128の各糸20によって、長い浮織りを形成している。図に示すように、中空で弾力性のある部材は、二重層織り構造の内部に位置し、無端織りの16ハーネスあるいは平織りの8ハーネスに用いることができる。実施例に沿って織ったファブリックでは、単一のモノフィラメント縦糸、あるいは4プライ糸、または他のタイプの糸を用いることができる。また、二つの異なる縦糸、すなわち、中空で弾力性のある部材40を含む粗い(太い)糸と、バインダー糸50としてより短くより細い縦糸を用いることもできる。図11に示すファブリック構造物は、二つの別々の縦糸ビームを用いて構成することもできる。たとえば、一方のビーム上の中空で弾力性のある部材40を含む太い縦糸と、もう一方のビーム上のバインダー糸50を含む細い縦糸とである。しかし、もし二つの縦糸ビームを望まないなら、同じビーム上に、細いバインダー糸を中空で弾力性のある部材と互い違いに設けることもできる。しかし、織りについては、中空で弾力性のある部材が伸び縮みをし、ベースが垂直方向の負荷を受けて圧縮し、負荷を取り除いた際に「スプリングバック」するようにすべきである。
【0056】
図12は、他の実施例を示す。そこに示すように、第1の層112の糸20の4つの端部が、中空で弾力性のある部材40の層116,122,126の上に織られ、それらは第2の繰り返しごとに2−層バインダーに変わり、そして、層116,122,126の下に織られた糸20の4つの端部は、第2の繰り返しごとに2−層バインダーに変わる。各層は、中空で弾力性のある部材で構成する必要はない。しかし、ファブリック構造物の少なくとも一層に、中空で弾力性のある部材を含ませ、求められる「スプリングバック」特性を示すようにすべきである。
【0057】
図13A〜13Eには、具体化したファブリックの他の変形例を示す。変形例は、多少縦のけん縮を伴うファブリックであり、内部の層内に中空で弾力性のある部材を含んでいる。図は、中空で弾力性のある部材40の3つの層212,216,220を示し、最上部の層212と最下部の層220とが横方向に走り、真ん中の層216が長手の向の縦に配列されている。バインダー糸50が、構造物を通して図示するように走りあるいは織られている。一番上の面上、糸50は最上部の横方向の層212(中空で弾性力のある部材40)の二本の上に広がり、そして、最下部の層220(中空で弾力性のある部材の配列)の一本の横方向の部材40の下にループを作るように通り、再び上に縫われる。図に示すように、バインダー糸50は、けん縮230を伴って形成され、その結果、ファブリックの表面に長い浮織り、そして、ファブリックの下部側に小さなナックルを生じている。しかし、中空で弾性力のある部材の織りおよび配置について、ベースファブリックが垂直方向の負荷を受けて圧縮し、負荷を取り除いた際に「スプリングバック」するようにすべきである。
【0058】
当業者は、ここに示した内容を考慮して、この発明について、いろいろな変更を行うことができることは自明である。しかし、そのような変更は、特許請求の範囲に定めた考え方の範囲を超えることはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮性の弾力性のクッションであり、そのクッションは、
複数の平行な縦方向糸と、
複数の平行な横方向糸と、
複数の中空で弾力性のある平行な部材とを含む構造物からなり、
それら中空で弾力性のある部材は、厚さあるいは径の方向、および長さあるいは軸の方向に弾性がある、クッション。
【請求項2】
前記構造物は、
縦方向あるいは横方向のいずれかに走る、平行な糸からなる第1の層と、
その第1の層の一方の側の中空で弾力性のある平行な部材からなる第2の層であり、その第2の層の中空で弾力性のある部材は、第1の層の方向と異なる縦方向あるいは横方向に走る層と、
第1の層のように第2の層の反対側に位置し、第1の層のそれらと同じ方向に走る平行な糸からなる第3の層とを備え、
第3の層の平行な糸は、それらが第1の層の平行な糸間に作られるスペース間に巣を作るように整列される、請求項1のクッション。
【請求項3】
前記構造物は、バインダー糸が前記第1、第2、および第3の層を結び付けるバインダー糸系を備える、請求項1のクッション。
【請求項4】
前記第3の層の糸数は、前記第1の層の糸数よりも少ない、請求項2のクッション。
【請求項5】
前記第2の層の中空で弾力性のある部材は、第1および第3の層のそれらに対して直交する、請求項2のクッション。
【請求項6】
前記第2の層の中空で弾力性のある部材は、前記第1および第3の層の90°よりも小さな角度で走る、請求項2のクッション。
【請求項7】
前記第2の層の中空で弾力性のある部材は、45°の角度で走る、請求項6のクッション。
【請求項8】
前記構造物は、
第2の層と同じ方向に走り、中空で弾力性のある平行な部材からなる第4の層、および
第1の層と同じ方向であり、糸が第1の層のそれと同様に厚さ方向に垂直面に整列した平行な糸からなる第5の層を備える、請求項1のクッション。
【請求項9】
中空で弾力性のある部材は、モノフィラメント、マルチフィラメント、もろよりモノフィラメントあるいはマルチフィラメント、異なる材料からなる被覆部材、編み部材、より部材、複合部材、およびブレード部材のグループの中から選択する、請求項1のクッション。
【請求項10】
中空で弾力性のある部材は、ポリウレタン、ゴム、ライクラ(登録商標)、およびエステイン(登録商標)の中から選択する、請求項1のクッション。
【請求項11】
中空で弾力性のある部材は、異なる幾何学的形状の断面をもつ部材から選択する、請求項1のクッション。
【請求項12】
弾性のある高分子材料を含む糸は、円形、非円形、正方形、長方形、三角形、楕円形、多角形、台形、および葉形のグループから選択する、請求項11のクッション。
【請求項13】
中空で弾力性のある部材は、その長さあるいは軸の方向に走る1または2以上の孔をもつ、請求項1のクッション。
【請求項14】
前記1または2以上の孔は、円形、非円形、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、多角形、および葉形のグループから選択する、請求項13のクッション。
【請求項15】
前記構造物は、積層構造を備える、請求項1のクッション。
【請求項16】
前記構造物は、その間に中空で弾力性のある部材の層を伴う二つの織り層を備える、請求項15のクッション。
【請求項17】
前記構造物は、複数の層間を織るバインダー糸系を備える、請求項15のクッション。
【請求項18】
前記バインダー糸と中空で弾力性のある部材とは、同じ方向である、請求項3のクッション。
【請求項19】
中空で弾力性のある部材およびバインダー糸の方向は、横方向である、請求項3のクッション。
【請求項20】
中空で弾力性のある部材の層は、二重層構造の内部である、請求項19のクッション。
【請求項21】
前記構造物は、バインダー糸よりも粗い(太い)、中空で弾力性のある部材を含む、請求項19のクッション。
【請求項22】
前記構造物は、中空で弾力性のある部材の層の上を織り、二層バインダーに変わる4つの端部と、中空で弾力性のある部材の層の下を織り、第2の繰り返しごとに上を通って二層バインダーにまで行く4つの端部とを備える、請求項1のクッション。
【請求項23】
前記構造物は、最終製品、あるいは、他の構造物の部品のいずれかになる、請求項1のクッション。
【請求項24】
前記クッションは、次に示すグループの中の製品中に含まれるか、その中の製品となることができる、請求項1のクッション。すなわち、そのグループとは、履物、靴、競技シューズ、長靴、フローリング、カーペット、カーペットクッション、スポーツフロア、自動車部品、コンポジット、サブフロア、競技場のサブフロア、スポーツアリーナのサブフロア、圧縮クッション、弾道衣服、防弾チョッキ、ハリケーン窓プロテクター、パッド、スポーツ用品クッション、野球捕手の胸当て、ひざ/ひじクッション、腰クッション、壁クッション、靴インサートおよび医用支持具、競技シューズのヒール/ソール、ベッドおよび乗物座席のクッション層のグループである。
【請求項25】
前記構造物は、表面を交換可能である材料を含む、請求項1あるいは24のクッション。
【請求項26】
前記材料は、フックドわな糸である、請求項25のクッション。
【請求項27】
前記構造物の層は、中空で弾力性のある部材からなる隣接層を複数備える、請求項2あるいは8のクッション。
【請求項28】
圧縮性の弾力性のクッションであり、そのクッションは、
複数の縦糸と、
複数のシュート糸と、
複数の中空で弾力性のある部材とを含む構造物からなり、
それらシュート糸、縦糸、および中空で弾力性のある部材のいくつかの数のものは織り込まれ、織り構造を形成し、しかも、
それら中空で弾力性のある部材は、厚さあるいは径の方向、および長さあるいは軸の方向に弾性があり、そして、中空で弾力性のある部材が伸び縮みをし、クッションが垂直方向の負荷を受けて圧縮し、負荷を取り除いた際にスプリングバックする、クッション。
【請求項29】
前記構造物は、バインダー糸をさらに備える、請求項28のクッション。
【請求項30】
中空で弾力性のある部材は、モノフィラメント、マルチフィラメント、もろよりモノフィラメントあるいはマルチフィラメント、被覆部材、編み部材、より部材、複合部材、およびブレード部材のグループの中から選択する、請求項28のクッション。
【請求項31】
中空で弾力性のある部材は、ポリウレタン、ゴム、ライクラ(登録商標)およびエステイン(登録商標)の中から選択する、請求項28のクッション。
【請求項32】
中空で弾力性のある部材は、異なる幾何学的形状の断面をもつ糸から選択する、請求項28のクッション。
【請求項33】
中空で弾力性のある部材は、円形、非円形、正方形、長方形、三角形、楕円形、多角形、台形および葉形のグループから選択する、請求項32のクッション。
【請求項34】
中空で弾力性のある部材は、その長さあるいは軸の方向に走る1または2以上の孔をもつ、請求項28のクッション。
【請求項35】
前記1または2以上の孔は、円形、非円形、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、多角形、および葉形のグループから選択する、請求項34のクッション。
【請求項36】
前記構造物は、2−8−ひ口パターンを備える、請求項28のクッション。
【請求項37】
前記構造物は、積層構造を備える、請求項28のクッション。
【請求項38】
前記構造物は、その間に中空で弾力性のある部材の層を伴う二つの織り層を備える、請求項37のクッション。
【請求項39】
前記構造物は、積層した層の間を織るバインダー糸を備える、請求項37のクッション。
【請求項40】
前記バインダー糸および中空で弾力性のある部材は、同じ方向に走る、請求項29のクッション。
【請求項41】
中空で弾力性のある部材および前記バインダー糸は、縦糸の方向に走り、しかも互い違いである、請求項40のクッション。
【請求項42】
中空で弾力性のある部材の層は、二重層構造の内部にある、請求項41のクッション。
【請求項43】
前記構造物は、粗い(太い)縦糸からなる中空で弾力性のある部材、およびその中空で弾力性のある部材よりも細い縦糸からなるバインダー糸を含む、請求項29のクッション。
【請求項44】
前記構造物は、中空で弾力性のある部材の層の上を織り、第2の繰り返しごとに二層バインダーに変わる4つの端部と、中空で弾力性のある部材の層の下を織り、第2の繰り返しごとに二層バインダーに変わる4つの端部とを備える、請求項28のクッション。
【請求項45】
前記クッションは、次に示すグループの中の製品中に含まれるか、その中の製品となることができる、請求項28のクッション。すなわち、そのグループとは、履物、靴、競技シューズ、長靴、フローリング、カーペット、カーペットクッション、スポーツフロア、自動車部品、コンポジット、サブフロア、競技場のサブフロア、スポーツアリーナのサブフロア、圧縮クッション、弾道衣服、防弾チョッキ、ハリケーン窓プロテクター、パッド、スポーツ用品クッション、野球捕手の胸当て、ひざ/ひじクッション、腰クッション、壁クッション、靴インサートおよび医用支持具、競技シューズのヒール/ソール、ベッドおよび乗物座席のクッション層のグループである。
【請求項46】
前記構造物は、表面を交換可能である材料を含む、請求項28あるいは45のクッション。
【請求項47】
前記材料は、フックドわな糸である、請求項46のクッション。
【請求項48】
前記構造物の層は、中空で弾力性のある部材からなる隣接層を複数備える、請求項28のクッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13A−13E】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−528951(P2012−528951A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513993(P2012−513993)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/036385
【国際公開番号】WO2010/141315
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(597098947)オルバニー インターナショナル コーポレイション (31)
【Fターム(参考)】