説明

超微粉化パルミトイル−エタノールアミドを含む組成物

本発明は、パルミトイルエタノールアミドを含む医薬または獣医学的使用のための組成物に関する。特に、本発明は、医薬的に受容可能な賦形剤と共に治療的に有効な量のパルミトイルエタノールアミドを超微粉化形態で含むヒトまたは獣医学的使用のための医薬組成物であって、90重量%を超えるパルミトイルエタノールアミドは、6ミクロン未満の粒子サイズを有する組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルミトイル-エタノールアミドを含む医薬または獣医学的使用のための組成物に関する。
【0002】
技術水準の説明
近年、「神経免疫原性炎症」という概念が広範に発展してきており、一次知覚神経末端による所与の物質の放出により主に誘発される、この広範にわたる型の組織炎症の背後にある生物学的メカニズムを理解することにおいて、重要な進歩がなされてきた。さらに、小直径の敏感な繊維が神経免疫原性炎症兆候に関与し、繊維は赤唐辛子中に存在する植物バニロイドであるカプサイシンに反応すること、また、上記神経繊維により放出される所与の神経ペプチド、特に、P物質(SP)とカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGPP)が、末梢神経免疫原性炎症の発生の原因である主なペプチドであることが示されてきた。
【0003】
知覚―痛み受容および痒み受容両方―神経の興奮可能性を規制する可能性は、ヒトと動物両者において、末梢器官の組織に作用する多くの疾患において、関連し増加する重要性を現在有している。
【0004】
ついで、直近の研究は、TRPVと称される特定のファミリーの受容体、特に、初期にカプサイシン受容体VR1として知られていた受容体TRPV1が神経原性炎症のプロセスに、また、特に、それに関連する痛覚過敏症に作用するという役割に焦点を絞ってきた。
【0005】
臨床的観点からは、神経免疫原性炎症メカニズムに関する新たな知識の成果は、過敏性腸症候群、間質性膀胱炎、外陰病変および前庭病変、外陰膣前庭炎、慢性無菌性前立腺炎、子宮内膜炎、重症筋無力症、関節に作用する外傷性または変性または免疫起源の関節症、軟骨組織および付加靱帯構造の新神経支配および新血管新生による椎間円板の疼痛性疾患、髄膜組織の炎症による頭痛症候群、口腔と歯髄の粘膜および粘膜皮膚の炎症状態、PFAPA型の自己炎症ベースの再発熱、特に、限定するものではないが小児年齢のPFAPA型の自己炎症ベースの再発熱、後ヘルペス性神経痛腹膜炎および/または開腹および/または開腹観察手術による癒着性症候群に大きな関心を有する。近年の生医学的研究により得られる展望は、皮膚レベルでの急性および慢性両方の神経免疫原性炎症に関してと同様に、脳と皮膚間に密接な関連をますます明確に構成するストレス等の病原性刺激への神経免疫原性皮膚炎間の意味に関して大きな関心をよせている。これは、痒み、炎症、局所過敏、皮膚発疹等により特徴付けられるヒトおよび獣医学分野での一連の紅班性鱗性皮膚炎(アトピー性皮膚炎、過敏性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎)においてと同様に、皮膚−表皮およびより一般的には結合組織のレベルでの肉芽腫型慢性炎症疾患において、革新的薬理的アプローチを計画する際に非常に重要である。
【0006】
脊髄の神経構造レベルでの神経炎症は、脊髄レベルでは通常休止状態で存在する小グリア細胞の活性化と増殖により特徴付けられ、慢性および/または神経障害性疼痛により主として引き起こされるこのような活性化は、末梢神経系から慢性的に由来する疼痛刺激の増幅に関連して、または、脳に局在化する損傷により、また、炎症伝達物質、特に、前炎症性サイトカイン、TNF−アルファ、インターロイキンIL−1ベータおよびNGFの小グリア細胞放出による神経変性の発達により、同時発生する。脊髄レベルでの小グリア細胞の活性化と増殖プロセスは、さらに、脊髄の同じ神経構造への損傷の結果として生じる神経障害性疼痛の傾向に尋常ではない重要な役割を果たし、実際に、活性化された小グリア細胞は、脊髄神経との強力なサイトカイン連絡を維持する。これらすべては、骨髄管狭窄および脊髄のフレキソ拡張からの外傷性損傷(むちうち症)等の主に脊髄の困難に由来する疾患において、また、脊髄に存在する細胞(特に、小グリア細胞)の活性化作用による神経損傷に依存するが、過敏症(中枢性疼痛症候群)および一定の状態で痙性の症状特性を誘発する疾患において、非常に重要である。特に、これらは、筋萎縮症(ALS)、卒中後多発性硬化症、パーキンソン病、フィブリン血症症候群等の疾患に関連する現象である。
【0007】
脳神経構造レベルでの神経性炎症は、今日では反応性グリオーシスとしてよりよく定義され、現在、神経科学の最も関心のある話題の一つである。特に、神経性炎症プロセスと神経変性損傷(neurodegenerazione)の因果関係は、ますます明確に定義され、脳中に存在する小グリア細胞と星状細胞等の非神経細胞の活性化と増殖による神経性炎症は神経に作用する変性損傷の真の原因である。さらに、グリア細胞と星状細胞やTNF−αとIL1β等のオートクライン由来の活性化が、いかに前炎症シグナルにより誘発され増幅されるかは明らかである。神経性炎症は、パーキンソン病、アルツハイマー症、後多発性硬化症、頭外傷等のCNSに作用する外傷性疾患における重要な原因となる因子であると認識されてきた。
【0008】
組織神経性免疫原性炎症または脊髄神経性炎症または脳神経構造の神経性炎症によりサポートされる疾患に薬理学的に介入するための高度に革新的なアプローチは、種々のメカニズムによる、神経細胞の末梢および中枢感作を制御する非神経細胞の活性化の転形に存し、神経に直接的に作用する必要はない。
【0009】
さらに、小グリア細胞のような免疫系に属する多くの非神経細胞は、適切に活性化されると、カンナビノイドCB2受容体を発現することができることに、特に考慮しなければならない。エンドカンナビノイド 2−アラキドン酸グリセロール(2−AG)は、真の内因性カンナビノイドCB2受容体リガンドとして、それゆえに、末梢および脊髄神経の感作プロセスに直接関連する免疫先祖細胞の活性化および増殖応答を転形することができる内因性物質として、近年認識されてきた。
【0010】
したがって、本発明の目的は、末梢器官および中枢器官の双方のレベルで、神経原性炎症または神経性炎症に関連する疾患の治療のための薬理学的組成物を提供することである。
【0011】
このような目的は、付属される特許請求の範囲で定義されるとおりのパルミトイルエタノールアミドを含む組成物により達成され、その定義は、本発明の詳細な説明の不可欠な部分を構成する。
【0012】
発明の説明
本発明の医薬組成物は、超微粉化形態でパルミトイルエタノールアミド(PEA)を含み、90重量%を超えるパルミトイルエタノールアミドは、6ミクロン未満の粒子サイズを有するものである。
【0013】
このような組成物は、微粉化形態でPEAを含む公知の組成物と比べて、神経原性または神経性炎症型炎症疾患に対して末梢にも中枢にも作用する高い能力を備えている。
【0014】
パルミトイルエタノールアミドは脂質性をもつ物質であり、容易に凝集を形成する傾向により微粉化方法をほとんど受け付けず、さらに、機械的エネルギーミルでの微粉化は粉砕される粒子を加熱する傾向にあり、それゆえに、実際には化合物の粒子をマイクロメーターレベルに減少する望ましい目的とは対照的に、そのような凝集を促進する。
【0015】
以前は、パルミトイルエタノールアミドの微粉化は、EP 1 207 870 B1に記載されているようにして、得られていた。微粉化PEAは、幾つかの特定の疾患の治療において、非微粉化物と比べて改善された特性を有していたが、本発明で治療される型の神経性炎症でも効果が得られるという期待はなかったし、得られる粒子サイズの閾値を超えて微粉化を進めるという動機付けも存在しなかった。というのは、特別の根拠も存在しなかったし、また、微粉化プロセスを受ける物質の脂質性を考慮すると、従来技術での成功の望みは信じられないほど低かったからである。初期に実施された試験では、実際、微粉化室での製品粒子の長い滞留時間での温度上昇による、蝋状凝集物を生成する製品の傾向が指摘されており、より効率的な微粉化を得る必要があった。
【0016】
したがって、本分野に存在する偏見にもかかわらず、驚くべきことに、本発明は流体ジェット微粉化プロセス(以後、「超微粉化」という。)で操作することによって、また、そのようなプロセスのパラメーターを適正に変更することによって、さらに、より効率的な微粉化、すなわち、通常の微粉化方法で獲得可能なものより統計的により小さい粒子サイズを有する粒子分布のPEAを獲得することが可能となった。
【0017】
超微粉化にしたがって得られる製品は、超微粉化プロセスにより引き起こされる可能な構造的変性を検出する目的で、a)MDSC(モジュレーテッド示差熱分析)およびb)XRD(X線回折)によって、元々の製品と比べてさらに特徴付けられた。驚くべきことに、本発明者は、超微粉化製品は、超微粉化後より高いエネルギー量を有する異なる結晶構造の外観を示すという、元々の製品とはまったく異なるMDSCとXRDを示すことを見出した。
【0018】
さらに、より、驚くべきことに、本発明者は、このような新たなPEAの粒子サイズプロフィルとより高いエネルギー量により特徴付けられる異なる結晶構造は、神経原性炎症または神経性炎症、それゆえ末梢および中枢の双方に関連する疾患において、EP 1 207 870 B1に記載された微粉化PEAと比べて指数関数的に増大した薬理活性に対応することを見出した。
【0019】
本発明の超微粉化プロセスは、パルミトイルエタノールアミドを粒子を粉砕するために、機械的エネルギーの代わりに力学的エネルギーを利用することができる圧縮空気ジェット「渦巻き技術」により作動する流体ジェットプラント(たとえば、プラントモデル ジェットミル(登録商標))で実施される。このような装置は通常のものであり、それゆえに、更には説明をしない。
【0020】
上記プラントでは、可動部分はなく、製品はごく短時間粉砕ディスク内に留まる。本発明者は、超微粉化プロセスの場合においては、より高いエネルギー量により特徴付けられる結晶外観を有する結晶構造の変性を引き起こすことを見出した。微粉化室内で生成される流体スレッドは、互いの非常に数多くの衝突を通じて十分なエネルギーを生成するように、特に高速度に達することができるように、粒子を加速することを可能とする。粒子速度が速ければ速いほど、生成されるエネルギーは大きくなるだろう。
【0021】
超微粉化プロセスでは、このような技術は、さらに、変形されてきており、以下が提供される。
【0022】
−200から300mmへの微粉化室内径の増加
−7÷8バールから10÷12バールへの流体ジェット(空気)圧の増加
−20÷25Kg/hから9÷12Kg/hへの製品供給の減少
具体例では、パルミトイルエタノールアミドは、超微粉化工程の前に、ビニルポリマーの存在下結晶化される。そのような具体例では、好ましいビニルポリマーは、ポリビニルピロリドンである。結晶化は種々の溶媒から生じることができるが、一般的に好まれる溶媒はエタノールである。好ましい状況では、PEAとポリビニルピロリドンの比は、約30:1である。
【0023】
以下の表1は、EP 1 207 870 B1に従う微粉化により得られる粒子サイズプロフィルと比べた超微粉化PEAの粒子サイズプロフィルを示す。
【0024】
表1
【表1】

【0025】
粒子サイズを測定するために、フラウンホーファー理論計算を使用するLALLS(低角度レーザー光散乱)技術によるレーザー粒子サイズ分析器(モールヴァンマスターサイザー)が使用される。
【0026】
モジュレーテッド示差熱分析(MDSC)とXRD(X線回折)試験がこうして得られた製品に実施された。
【0027】
MDSC技術は公知のものであり、その原理と応用は、たとえば、S.R. Rabel et al., Journal of Pharmaceuticalおよび Biomedical Analysis, 21 (1999) 339-345.に記載されている。本特許出願に記載された試験は、TA DSC Q200装置で実施された。
【0028】
このようなMDSC技術で実施された示差熱測定は、当初製品と微粉化製品との間の顕著な差を示したが、その差は外観にあり、超微粉化を受けた製品には、高エネルギーを有する構造特有のものである101℃〜103℃での発熱転移のプラスのピークがあり、元々の製品には、反対にそのようなピークはマイナスとなる(図3および4参照。)。プラスの発熱転移ピークは、(超微粉化プロセス間に形成された)より高いエネルギー量形態の、より低いエネルギー量の未変性結晶形態への変形により発生した熱のシグナルとして解釈する必要がある。
【0029】
超微粉化PEAのMDSCスペクトル分析は、本発明の超微粉化プロセスを介して得られた高エネルギー結晶形態が、製品の融点に近い温度でのみ元々の低いエネルギー形態に変え戻されることから、室温で実質的に安定であることを示唆しているようである。図4の101℃〜103℃でのプラスのピークを特徴付ける正味のエネルギー転移は、そのような安定性を表わしている。それとは別に、より低い温度での進行性転移が留意されねばならない。
【0030】
製品の固体状態を調査する目的でのXRD技術(XPERT−PRO装置が使用された)によりなされるX線回折測定は、得られた回折スペクトル間で顕著な相違をしめす。超微粉化を受けた製品のスペクトルは、元々の製品と比べて異なる結晶構造を確証させる(図5および6参照。)。
【0031】
二つの製品の個々のピークの位置と強度は、以下に報告される。
【表2】

【0032】
生物学的部分
生物学的試験
2−アラキドン酸グリセロール(2−AG)、カンナビノイドCB2受容体を発現することのできる細胞の活性化調節に大きな重要性を有するエンドカンナビノイドの血中投与試験が実施されたが、これは、小グリア細胞のような免疫系に属する多くの細胞の場合である。
【0033】
試験は、0.5%カルボキシメチルセルロース中のパルミトイルエタノールアミドの水性懸濁液を空腹状態下で投与することによりビーグル犬で実施された。動物は単回投与で、15mg/Kgの微粉化パルミトイルエタノールアミドと超微粉化パルミトイルエタノールアミドを夫々投与された。時間0(パルミトイルエタノールアミド投与直前)と時間1h、2h、3hでの血液試料が採取された。血液は遠心分離され、即座に−80℃で凍結された。
【0034】
パルミトイルエタノールアミド(PEA)と2−アラキドン酸グリセロール(2−AG)の投与測定は、Darmani et al., Neuropharmacology (2005);48: 1154-1163.に記載された質量スペクトル法で実施された。
【0035】
データは、表IIで報告される。
【0036】
表II
【表3】

【0037】
驚くべきことに、本発明者は、超微粉化形態でのパルミトイルエタノールアミドの経口投与は、血中での急速で大量の2−AGを定量する(その増加は基礎レベルと比べて40%より高い)ことを見出した。このような増加は、同一条件下で微粉化パルミトイルエタノールアミドの投与により得られるものと比べてはるかにより高い結果である(約70%の増加)。如何なる理論にも束縛されるものではないが、投与に続くパルミトイルエタノールアミドの血中の通過力学は、微粉化形態と超微粉化形態との間で実質的に結果として同一であるという観察は、超微粉化パルミトイルエタノールアミドの投与に続く2−AGの莫大な増加は、投与された製品により誘発された血液脳関門および/または血液脊髄関門により保護される神経構造のレベルで2−AG合成の増加に依存すると考えさせるかもしれない。
【0038】
本発明の説明で以下に詳細に述べられるように、本発明者は、このような増加が、超微粉化パルミトイルエタノールアミドの投与後に脊髄レベルでそのときに観察された薬理学的効果が原因であるか補助的原因であり得るという仮説を設定した。
【0039】
薬理活性
神経原性疼痛の生起を伴う末梢神経の慢性炎症
坐骨神経結紮−CCI(Costa et al., Pain 2008;139:541-550に記載されるとおりに実施された)後、一連の変更脊髄パラメータが、末梢損傷に続く末梢慢性疾患により誘発される小グリア細胞の活性化に関して、マウスで評価された。特に、Costa et al. (上記参照。)に記載された方法によるTNF−アルファ、NGF、NF−kBとFiorentino et al., 2008; 58(10):3100-3109に記載された方法によるIL−1アルファが測定された。
【0040】
賦形剤中に懸濁された微粉化パルミトイルエタノールアミドと媒体中に懸濁された超微粉化パルミトイルエタノールアミドの両者を使用してチューブによる経口治療が実施された。結果は、賦形剤だけで治療された対照動物と賦形剤だけで治療された坐骨神経結紮動物と比較された。カルボキシメチルセルロース中の0.5%溶液が賦形剤として使用された。
【0041】
賦形剤とパルミトイルエタノールアミドを含む二種の異なる懸濁液の投与は、坐骨神経結紮の日から出発して一日一回実施された。
【0042】
上記パラメータの測定は、試験動物の屠殺と脊髄領域のサンプリング後、坐骨神経結紮から10日後に実施された。
【0043】
結果は、表IIIで報告される。
【0044】
表III
【表4】

【0045】
データは、超微粉化PEAの投与は、微粉化PEAとは異なり、調査中のすべての生化学的パラメータの実質的正規化を引き起こすことを示している。
【0046】
犬における神経原性刺激による皮膚―表皮組織の急性炎症
Ascaris suumにより突発的に感作されたビーグル犬が使用された。動物は、パルミトイルエタノールアミドの経口投与前に、一晩空腹状態下に置かれた。
【0047】
動物は、夫々、6動物の2群に分けられた。第1群(グループA)は、0.5%カルボキシメチルセルロース、10mg/Kgの微粉化パルミトイルエタノールアミドの経口粘性懸濁液の形態で投与された。第2群(グループB)は、同一の賦形剤中に懸濁された10mg/Kgの超微粉化パルミトイルエタノールアミドが投与された。
【0048】
パルミトイルエタノールアミドの投与前後に、皮膚反応が、側方胸郭領域でのAsc S1抗原(100μg/mL)の皮内注射により引き起こされた。皮膚反応領域を可視化することができるように、塩水中の2%のエバンスブルー溶液がAsc S1抗原の皮内注射前に、30分間静脈内投与された(0.4mL/Kg)。
【0049】
Asc S1抗原による皮膚反応は、パルミトイルエタノールアミド投与後、前(時間0)1、2、4、8および24時間で両群の動物に引き起こされた。皮膚反応領域は、Asc S1抗原注射後10分間測定された。
【0050】
データは、表IVで報告される。
【0051】
表IV
【表5】

【0052】
データは、超微粉化PEAは、微粉化PEAにより得られる殆ど0の阻害と比べて、治療後1〜4時間の時間範囲で約20%の皮膚反応阻害を引き起こすことを示している。
【0053】
ラットにおけるカラギ−ナン誘導性肉芽腫発生による連結組織の慢性炎症に関するパルミトイルエタノールアミドの作用
カラギーナン浸漬スポンジの皮下組織への導入によるラットにおける肉芽腫誘導薬理学的モデルが使用された。モデルは、De Filippis et al., J Cell Mol Med. 2009;13(6):1086-1095に記載されている。
【0054】
パルミトイルエタノールアミドは、微粉化および超微粉化形態で、経口経路と賦形剤として0.5%カルボキシメチルセルロース中(賦形剤)を胃管により二種の異なる動物群に投与され、第3の動物群は賦形剤のみが同様の態様で投与された。投与は時間0(スポンジ導入直前)と3連続日に12時間ごとに実施された。単位投与量は10mg/Kgであった。
【0055】
スポンジ導入から96時間後の動物の屠殺後に、肉芽腫組織(NGFたんぱく質の発現)においてと脊髄神経節(RDG)(TNF−アルファたんぱく質とNGFたんぱく質の発現)レベルの両者において前アレルギー伝達物質に対する生化学的パラメータが検査された。
【0056】
データは、表Vで報告される。
【0057】
表V
【表6】

【0058】
この場合も、超微粉化PEAは、微粉化PEAと比べると、NGFレベルのはるかにより多い顕著な減少を引き起こす。
【0059】
マウスの急性および慢性腸管炎症に関するパルミトイルエタノールアミドの作用
神経原性変性および多くの腸神経での疾患等の腸神経系の異常が、過敏性バウエル症候群等の胃腸管疾患における病原メカニズムにおける重要な要素であることが最近示された。
【0060】
急性炎症はLPS(リポ多糖)の腹膜内注射により動物に引き起こされた。動物はLPS投与から18時間後に屠殺された。一方、結腸レベルの慢性炎症は、DNBS(2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸)を動物に投与することにより引き起こされた。この場合、動物はDNBS投与から96時間後に屠殺された。
【0061】
急性モデルでは、パルミトイルエタノールアミドがLPS投与の15分前と2時間後に投与された。一方、慢性モデルでは、パルミトイルエタノールアミドはDNBS投与96時間後に毎日投与された。
【0062】
TNF−アルファレベルと肥満細胞数の変化パーセントが腸組織で評価された。
【0063】
データは、表VIで報告される。
【0064】
表VI
【表7】

【0065】
このモデルも、微粉化PEAよりも超微粉化PEAがはるかにより顕著に活性であることを目立たせる。
【0066】
マウスのベータアミロイド誘発性神経性炎症に関するパルミトイルエタノールアミドのインビボ作用
マウスにおけるベータアミロイドのインビボ投与がアルツハイマー疾患で指摘されるものに対応する発現を有する反応性グリオーシスをいかに誘発するかが示された。
【0067】
3〜5月齢範囲のC57BL/6マウスが使用され、三種の異なる群(群につき20動物)に分けられた。二群は、管により経口で、賦形剤として0.5%カルボキシメチルセルロース溶液を有する、微粉化および超微粉化パルミトイルエタノールアミドを夫々投与された。投与は、ベータアミロイドの接種から連続して8日間毎日実施された。第三群は賦形剤のみが投与された。動物の屠殺後にIL−1ベータおよびNO投与レベルが、免疫蛍光法を介して海馬ホモジネートで測定された。
【0068】
Esposito et al., Br J Pharmacol. 2007;151:1272-1279に記載された実験方法が使用された。
【0069】
データは、表VIIで報告される。
【0070】
表VII
【表8】

【0071】
この場合でも、超微粉化PEAは、考慮すべき生化学的パラメータレベルの高い減少を目立たせるが、微粉化PEAはほんの僅かの活性を示すだけである。
【0072】
臨床結果
多発性硬化症により発症した客体における末梢神経原性疼痛の制御に関するパルミトイルエタノールアミドの作用
多発性硬化症における末梢神経原性疼痛の制御に関するパルミトイルエタノールアミドの作用を評価するために、微粉化および超微粉化パルミトイルエタノールアミドが、夫々、同一の組成の賦形剤を有する錠剤の形態で、適切にランダム化され(一群につき10患者)、すべて多発性硬化症を発症し、下肢に神経原性疼痛を有し(中心疼痛症候群)、知覚不全、異痛、感覚異常、疼痛様痙攣および足燃焼感覚により特徴付けられる二種の群の患者に投与された。使用された投与量は60日間で一日あたり600mgであった。疼痛強度はパルミトイルエタノールアミドによる治療以前と最後の両方でVAS(視覚アナログ尺度)により測定された。
【0073】
超微粉化PEAにより治療された患者では顕著な疼痛の減少が明らかである。統計分析が対データに対するウイルコクソンテストにより実施された。得られた結果は有意な統計的意義を示した(p=0.001)。
【0074】
データは、表VIIIで報告される。
【0075】
表VIII
【表9】

【0076】
したがって、本発明の目的は、医薬的に受容可能な賦形剤と共に上記のとおりの超微粉化パルミトイルエタノールアミドを含むヒトまたは獣医学的使用のための医薬処方である。
【0077】
一つの具体例においては、99重量%を超える、または、約99.9重量%を超える、パルミトイルエタノールアミドは、6ミクロン未満の粒子サイズを有する。
【0078】
一つの具体例においては、55〜65重量%、または、59〜60重量%の、パルミトイルエタノールアミドは、2ミクロン未満の粒子サイズを有する。
【0079】
一つの具体例においては、13〜17重量%、または、14〜15重量%の、パルミトイルエタノールアミドは、1ミクロン未満の粒子サイズを有する。
【0080】
一つの具体例においては、1〜3重量%、または、約2重量%の、パルミトイルエタノールアミドは、0.6ミクロン未満の粒子サイズを有する。
【0081】
本発明の処方は、経口、舌下、非経口、直腸または経皮投与に適合性であることができ、吸入またはガス注入(経口または経鼻双方)による投与に適合性であることができる。
【0082】
経口投与に対しては、医薬組成物は、結合剤(たとえば、アルファ化トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)等の医薬的に受容可能な賦形剤、充填剤(たとえば、ラクトース、微結晶性セルロースまたは燐酸水素カルシウム)、潤滑剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、脱凝集化剤(たとえば、ジャガイモ澱粉またはグリコ−ル酸澱粉ナトリウム)または膨潤剤(たとえば、ラルリル硫酸ナトリウム)と共に通常の方法で調製される錠剤またはカプセルの形態であり得る。錠剤は当分野の周知の方法により被覆される。経口投与のための水性調剤は、たとえば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形態があり得るか、または、水若しくは他の適切な媒体により使用前に戻される凍結乾燥製品の形態があり得る。このような水性調剤は、懸濁剤(たとえば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または可食性水添脂肪)、乳化剤(たとえば、レクチンまたはアラビアゴム)、非水性媒体(たとえば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画野菜油)および保存剤(たとえば、メチル-若しくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)等の医薬的に受容可能な添加剤による通常の方法によって、調製することができる。調剤は、香料、着色剤および甘味料をも適切に含むことができる。
【0083】
経口投与のための水性調剤は、活性成分の制御された放出を可能とする適切な方法で処方することができる。
【0084】
舌下投与処方のためには、組成物は舌下粘膜レベルでの吸収のために適切な通常の方法で処方される錠剤の形態があり得る。典型的な舌下処方は副舌投与のための錠剤である。
【0085】
本発明は、注射による非経口投与のために適応することができる。注射のための処方は、保存剤を添加して、たとえば、アンプル中の単回投与形態で存在し得る。組成物は、懸濁液、溶液または油性若しくは水性媒体中の乳濁液等の形態があり得、懸濁剤、安定剤および/または分散剤等の前記剤を含んでもよい。一方、活性成分は、適切な媒体たとえば、滅菌水と共に使用前に、戻される粉末の形態があり得る。
【0086】
本発明によれば、組成物はたとえば、ココアバターまたは他のグリセリド等の典型的な座剤の基本成分を含む座剤または保持浣腸等の直腸組成物により処方することもできる。
【0087】
前記組成物に加えて、PEAは貯留製剤として処方することもできる。このような長期に作用する処方はインプラント(たとえば、皮下、経皮または筋肉内)を介してまたは筋肉内注射により投与することができる。したがって、たとえば、それは、適当なポリマーまたは疎水性材料(たとえば、適切な油中エマルジョンの形態で)またはイオン交換樹脂または最小限の可溶性誘導体、たとえば、最小限の可溶性塩を含むことができる。
【0088】
本発明によれば、(約70Kgの体重を有する)ヒトへの投与のために提案されるパルミトイルエタノールアミド投与量は投与量単位あたり0.1mg〜2g、好ましくは50mg〜1000mgの活性成分の範囲である。投与単位はたとえば、1日1〜4回投与することができる。投与量は、選択される投与経路に依存する。投与量は、患者の年齢と体重およびまた治療される臨床症状の厳しさにより投与量を連続的に変化させる必要があることを考慮すべきである。正確な投与量と投与経路は、担当する医師または獣医の裁量に、最大限よるべきである。
【0089】
具体例では、超微粉化PEAは、好ましくは、ケルセチン、レスベラトロール、ポリダチン、ルテオリン、トコフェロールおよびチオクト酸から選択される抗酸化性物質と治療的に有効な量で併用される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】は、PEAまたは本発明による超微粉化PEAにより治療された動物の血清中のPEA濃度を時間の関数として示すグラフである。
【図2】は、PEAまたは本発明による超微粉化PEAにより治療された動物の血清中の2−AG(2−アラキドン酸グリセロール)濃度を時間の関数として示すグラフである。
【図3】は、元のPEAのMDSC(モジュレーテッド示差熱分析)グラフを示す。
【図4】は、本発明による超微粉化PEAのMDSC(モジュレーテッド示差熱分析)グラフを示す。
【図5】は、元のPEAのXRD(X線回折)グラフを示す。
【図6】は、本発明による超微粉化PEAのXRD(X線回折)グラフを示す。
【0091】
本発明による超微粉化PEA(PEA UM)を含む処方例が以下にここに報告される。
【0092】
処方例
例1
各錠剤は、以下を含む。
【0093】
−UM PEA 300.00mg
−微結晶性セルロース 78.47mg
−クロスカラメロースナトリウム 45.00mg
−ポリビニルピロリドン 10.00mg
−ステアリン酸マグネシウム 4.00mg
−ポリソルベート80 2.00mg
例2
各錠剤は、以下を含む。
【0094】
−UM PEA 600.00mg
−微結晶性セルロース 156.94mg
−クロスカラメロースナトリウム 90.00mg
−ポリビニルピロリドン 20.00mg
−ステアリン酸マグネシウム 8.00mg
−ポリソルベート80 4.00mg
例3
各二層錠剤は、以下を含む。
【0095】
層a
−UM PEA 400.00mg
−医薬的に受容可能な賦形剤 200.00mg
層b
−トランス−ポリダチン 40.00mg
−医薬的に受容可能な賦形剤 25.00mg
例4
各二層錠剤は、以下を含む。
【0096】
層a
−UM PEA 600.00mg
−医薬的に受容可能な賦形剤 280.00mg
層b
−ルテオリン 80.00mg
−医薬的に受容可能な賦形剤 46.00mg
例5
各三層錠剤は、以下を含む。
【0097】
層a
−ヒアルロン酸ナトリウム塩 20.00mg
−医薬的に受容可能な賦形剤 15.00mg
層b
−UM PEA 300.00mg
−医薬的に受容可能な賦形剤 152.00mg
層c
−ヒアルロン酸ナトリウム塩 20.00mg
−医薬的に受容可能な賦形剤 15.00mg
例6
小児用経口非凝集微粒剤5g投与は、以下を含む。
【0098】
−UM PEA 50.00mg
−非う蝕原性糖 200.00mg
−医薬的に受容可能な賦形剤 適量〜5.00g
例7
小児用滅菌懸濁液5l投与は、以下を含む。
【0099】
−UM PEA 80.00mg
−カルボキシメチルセルロース 25.00mg
−2回蒸留水 適量〜5.00mL
例8
経口非凝集微粒剤5g投与は、以下を含む。
【0100】
−UM PEA 600.00mg
−ルテオリン 100.00mg
−非う蝕原性糖 200.00mg
−医薬的に受容可能な賦形剤 適量〜5.00g
例9
各5mLの滅菌単回投与二層容器は、以下を含む。
【0101】
水性ゲル中
−ヒアルロン酸ナトリウム塩 20.00mg
−2回蒸留水 適量〜2.50mL
油状ゲル中
−UM PEA 600.00mg
−グリセリルモノステアレート(ゲレオール) 40.00mg
−野菜油 適量〜2.50mL
例10
各100mLの腹腔内用滅菌ボトルは、以下を含む。
【0102】
−UM PEA 2.00g
−ヒアルロン酸ナトリウム塩 2.00g
−2回蒸留水 適量〜100.00mL
例11
獣医学用(犬と猫)用各ソフトゼラチンカプセルは、以下を含む。
【0103】
−UM PEA 100.00mg
−ホスファチジルセリン 50.00mg
−レスベラトロール 60.00mg
−医薬的に受容可能な賦形剤 300.00mg
上記処方は、Remington's Pharmaceutical Sciences Handbook, Mack Pub. Co., N.Y., USA, 17th edition, 1985.に記載されたもののような当業者に周知の方法により調製することができる。
【0104】
PEAは市販の化合物であるか、当業者に周知の方法によりとにかく調製することができる。
【0105】
本発明の処方は、末梢組織レベルでの神経免疫原性炎症疾患および/または脊髄および/または脳レベルでの神経原性にも関連する神経性炎症疾患の治療または予防のために使用することができる。
【0106】
特に、本発明は以下の治療のための前記処方に関連する。
【0107】
1−以下の疾患をサポートし、急性および慢性両方の神経性炎症プロセスにより特徴付けられる末梢組織および体器官レベルでの神経免疫原性炎症プロセス;a)過敏性腸症候群;b)間質性膀胱炎および再発性膀胱炎;c)外陰病変および前庭病変:d)外陰膣前庭炎;e)子宮内膜炎;f)重症筋無力症;g)IIIAおよびIIIB型慢性無菌性前立腺炎;h)可動および/または半可動関節に作用する外傷性または変性または免疫起源の関節症;i)軟骨組織および付加靱帯構造−髄質様核(髄核)および/または輪繊維(輪繊維)、前および後縦靱帯、脊髄靱帯の新神経支配および新血管新生による椎間円板の疼痛性疾患;l)髄膜組織の炎症による頭痛症候群;m)口腔と歯髄の粘膜および粘膜組織の炎症;n)小児年齢のPFAPA型の自己炎症ベースの再発性発熱;o)後ヘルペス性神経痛、糖尿病関連神経痛、HIV感染による神経痛、神経障害性および/または病原性かゆみ等の神経障害性基礎を持つ痛み受容および/または痒み受容小繊維の真皮表皮神経痛;p)真皮表皮組織に作用する肉芽腫;q)腹膜炎および/または開腹および/または開腹観察手術による癒着性症候群;r)免疫起源でもある皮膚疾患等
2−以下の、脊髄の神経構造で発生し作用する神経変性にも関連する神経性炎症プロセス:a)脊椎症等の骨髄管狭窄および脊髄のフレキソ拡張からの脊椎すべり症または外傷性損傷等の外傷性、非代謝性または変性病毒;b)「中枢性疼痛症候群」として現在分類される末梢疼痛の結果として起こる脳神経構造に作用する炎症疾患(卒中、多発性硬化症、パーキンソン病、フィブリン血症症候群);c)慢性および/または神経障害性疼痛により主として特徴付けられる骨関節系および末梢神経系の慢性炎症疾患;
3−以下の、所与の脳領域の神経構造で発生し作用する神経変性にも関連する神経性炎症プロセス:低酸素症状態(卒中、一過性脳虚血性卒中)、アルツハイマー型の老人性または前老人性痴呆症、頭蓋脳損傷、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症等の外傷性、神経毒性、非代謝性または変性病毒。
【0108】
前記したとおり、如何なる理論にも束縛されるものではないが、このような薬理効果は、エンドカンナビノイド 2−アラキドン酸グリセロール(2−AG)の放出を顕著に増加する超微粉化PEAの能力により仲介されているようである。
【0109】
したがって、治療後1〜3時間の被治療客体の血清中で2−アラキドン酸グリセロールの濃度が治療前の濃度より好ましくは3〜5倍高くなるようにするために、末梢組織レベルでの神経免疫原性炎症疾患および/または脊髄および/または脳レベルでの神経原性にも関連する神経性炎症疾患の治療または予防のための上記定義のとおりの超微粉化PEAを含む処方が、本発明のさらなる目的である。
【0110】
当業者が付随する特定のニーズを満足する目的で、以下の特許請求の範囲で定義されるとおりの本発明の保護範囲内で、さらなる変更と変形をすることができるであろうことは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬的に受容可能な賦形剤と共に治療的に有効な量の超微粉化パルミトイルエタノールアミドを含むヒトまたは獣医学的使用のための医薬組成物であって、90重量%を超えるパルミトイルエタノールアミドは、6ミクロン未満の粒子サイズを有する組成物。
【請求項2】
99重量%を超える、または、約99.9重量%を超える、パルミトイルエタノールアミドは、6ミクロン未満の粒子サイズを有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
55〜65重量%、または、59〜60重量%の、パルミトイルエタノールアミドは、2ミクロン未満の粒子サイズを有する、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
13〜17重量%、または、14〜15重量%の、パルミトイルエタノールアミドは、1ミクロン未満の粒子サイズを有する、請求項1〜3いずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
1〜3重量%、または、約2重量%の、パルミトイルエタノールアミドは、0.6ミクロン未満の粒子サイズを有する、請求項1〜4いずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
前記パルミトイルエタノールアミドは、101〜103℃の範囲の温度で発熱転移を有するMDSCスペクトルを有する、請求項1〜5いずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
前記パルミトイルエタノールアミドは、以下の表で報告されるとおりのXRDスペクトルを有する、請求項1〜6いずれか一項記載の組成物。
【表1】

【請求項8】
前記パルミトイルエタノールアミドは、抗酸化性化合物と併用される、請求項1〜7いずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
前記抗酸化性化合物が、ケルセチン、レスベラトロール、ポリダチン、ルテオリン、トコフェロールおよびチオクト酸から選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
末梢組織レベルでの神経免疫原性炎症疾患および/または脊髄および/または脳レベルでの神経原性に関連する神経性炎症の治療または予防のための、請求項1〜9いずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
前記疾患が、以下のものを含む、請求項10記載の組成物。
1−以下の疾患をサポートし、急性および慢性両方の神経性炎症プロセスにより特徴付けられる末梢組織および体器官レベルでの神経免疫原性炎症プロセス;a)過敏性腸症候群;b)間質性膀胱炎および再発性膀胱炎;c)外陰病変および前庭病変;d)外陰膣前庭炎;e)子宮内膜炎;f)重症筋無力症;g)IIIAおよびIIIB型慢性無菌性前立腺炎;h)可動および/または半可動関節に作用する外傷性または変性または免疫起源の関節症;i)軟骨組織および付加靱帯構造−髄質様核(髄核)および/または輪繊維(輪繊維)、前および後縦靱帯、脊髄靱帯の新神経支配および新血管新生による椎間円板の疼痛性疾患;l)髄膜組織の炎症による頭痛症候群;m)口腔と歯髄の粘膜および粘膜組織の炎症;n)小児年齢のPFAPA型の自己炎症ベースの再発生発熱;o)後ヘルペス性神経痛、糖尿病関連神経痛、HIV感染による神経痛、神経障害性および/または病原性かゆみ等の神経障害性基礎を持つ痛み受容および/または痒み受容小繊維の真皮表皮神経痛;p)真皮表皮組織に作用する肉芽腫;q)腹膜炎および/または開腹および/または開腹観察手術による癒着性症候群;r)免疫起源でもある皮膚疾患等
2−以下の、脊髄の神経構造で発生し作用する神経変性にも関連する神経性炎症プロセス:a)脊椎症等の骨髄管狭窄および脊髄のフレキソ拡張からの脊椎すべり症または外傷性損傷等の外傷性、非代謝性または変性病毒;b)「中枢性疼痛症候群」として現在分類される末梢疼痛の結果として起こる脳神経構造に作用する炎症疾患(卒中、多発性硬化症、パーキンソン病、フィブリン血症症候群);c)慢性および/または神経障害性疼痛により主として特徴付けられる骨関節系および末梢神経系の慢性炎症疾患
3−以下の、所与の脳領域の神経構造で発生し作用する神経変性にも関連する神経性炎症プロセス:低酸素症状態(卒中、一過性脳虚血性卒中)、アルツハイマー型の老人性または前老人性痴呆症、頭蓋脳損傷、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症等の外傷性、神経毒性、非代謝性または変性病毒。
【請求項12】
治療は、前記治療後1〜3時間内に、治療前の濃度より3〜5倍高い治療客体の血清中の2−アラキドン酸グリセロール濃度が得られるように実行される、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
流体ジェットプラントで実行されるパルミトイルエタノールアミドの微粉化方法。
【請求項14】
前記流体ジェットプラントが、圧縮空気ジェットによる「渦巻き技術」により作動する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、10〜12バールの流体ジェットにより、9〜12Kg/hの製品供給で作動する、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
前記プラントが、約300mm直径の微粉化室を含む、請求項13〜15いずれか一項記載の方法。
【請求項17】
前記パルミトイルエタノールアミドが、超微粉化工程の前に、ビニルポリマーの存在下結晶化される、請求項13〜16いずれか一項記載の方法。
【請求項18】
前記ビニルポリマーが、ポリビニルピロリドンである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記結晶化が、エタノール中で実行される、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
パルミトイルエタノールアミドとポリビニルピロリドンの比が、約30:1である、請求項17〜19いずれか一項記載の方法。
【請求項21】
請求項13〜20いずれか一項記載の方法により得ることができる超微粉化パルミトイルエタノールアミド。
【請求項22】
101〜103℃の範囲の温度で発熱転移を有するMDSCスペクトルと以下の表で報告されるとおりのXRDスペクトルを有する、パルミトイルエタノールアミドの結晶多形。
【表2】

【請求項23】
90重量%を超えるパルミトイルエタノールアミドは、6ミクロン未満の粒子サイズを有し、13〜17重量%、または、14〜15重量%の、パルミトイルエタノールアミドは、1ミクロン未満の粒子サイズを有する、請求項22記載の結晶多形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−503855(P2013−503855A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527452(P2012−527452)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【国際出願番号】PCT/IT2009/000399
【国際公開番号】WO2011/027373
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(507098184)エピテック・グループ・エス.アール.エル. (3)
【Fターム(参考)】