説明

超微細気泡生成装置

【課題】機械的要素のみでナノバブルを生成すること。
【解決手段】液吸入口を備えた管状ケーシングの中央に、該ケーシングに平行してエアーガイド内管9を設け、該エアーガイド内管の中央に回転駆動軸11を挿通して軸支し、エアーガイド内管の下端部の下方に吸入フィン15を前記回転駆動軸に取着し、該吸入フィンを回転させて前記管状ケーシング内部に液流を生じせしめて前記エアーガイド管の下端部より気体を液流内に引き込み、気液混合の旋回流をポンプカバー14に設けた流水口22を通じて直進液流と成し、インペラ18の羽根に直角に当接させて気液混合液流を剪断して掻き込みながら攪拌と剪断を繰り返しマイクロバブルとナノバブルを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液体中に超微細な気泡(以下、ナノバブルと記載する)を発生させる超微細気泡生成装置、特に気泡を超微細化するインペラの構造に特徴のある超微細気泡生成装置に関し、さらに詳細には、バブル発生のための噴出ノズルや加圧ポンプ、バブルの大きさを超微細化する強制圧壊を惹き起こすために別途用意される超音波振動あるいは電気的刺激を必要とせずに、単一の装置にて簡素にナノバブルを生成することができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノバブルの生成は非常に難しく、従来では加圧ポンプからマイクロバブル発生ノズルに水流と気体を送り、加圧混入されて生成したマイクロバブルに別途装置例えば超音波により物理的刺激を与えることで圧壊を起こしてナノバブル水を生成している。水に空気を送り込んで滞留する池水等を浄化する要求は以前からあり、バブル発生装置の主たる構成は加圧水流に空気を送込みオリフィスを通過させて気泡を細分化し、さらに多孔板を通過させて微細化する方法である。また管状のケーシングを水中で鉛直方向に配置しその中央部に回転駆動軸をケーシングと平行に配置した例が提案されているが、ケーシング内部に気体を引き込むパイプを別途設けて気体の吸い込みを促進し、さらに旋回水流を直線的な水流に変換してこれに回転する羽根を直角方向に当接させる手法は見あたらない。バブルの径は通常目視される程度のものはミリ単位であるが、ミクロン単位のバブルをマイクロバブル、ナノミクロン単位のバブルをナノバブルと称している。近年では水、汚泥、スラリーに含まれたダイオキシン類、農薬等の難分解性有機物を分解する手段として微細な気泡を用いる研究が進められている。微細な気泡が崩壊するとき水素、酸素、ヒドロキシ、窒素などのラジカルが生成され、これらの化学反応を有効に利用する分野が広がっている。参照される主な先行技術を次に記載する。
【特許文献1】特許第3043315号公報
【特許文献2】特開2001−300522号公報
【特許文献3】特開2004−073953号公報
【特許文献4】特開2005−245817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の装置は、構造が比較的複雑で、しかもナノバブル生成のエネルギー効率が低く、満足できないものである。
【0004】
本発明は、構造を簡素化して実用化し易いナノバブルを生成する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、液体を取り込む複数の液吸入口を備えた管状ケーシングの中央に、該管状ケーシングの内径より小さい外径で所定の長さを有するエアーガイド内管を平行に支持固定し、該エアーガイド内管の中央に該エアーガイド管の内径より小さい径の回転駆動軸を回転可能に軸支し、該エアーガイド内管の下側端部の下方で吸入フィンを前記回転駆動軸に固定し、さらにその下方で複数の流水口を備えた円板状のポンプカバーを前記管状ケーシングの下側端部に固定するとともに、円基板に複数の羽根を備えたインペラを前記回転駆動軸に取着し、前記回転駆動軸の回転により液体と共に気体を吸引して管状ケーシング内に気体を含む液流を発生させるとともに、この液流を前記流水口を通過させて直進液流となし、該液流を前記インペラの羽根の回転面に直交する方向に流出させ、該インペラの羽根で直進液流を剪断し微細気泡を生成させることを特徴とする。本発明は、前記のようにして、前記微細気泡を繰り返し剪断するような機械的刺激をマイクロバブルに与えることで強制圧壊を起こし、ナノバブルを生成するようにしたものである。また本発明では、エアーガイド内管を管状ケーシング内の液流の中に開口するようにして、エアーガイド内管に負圧が発生し気体を引き込みやすくしている。液流の中に含まれる気体の量が増大し大量の微細気泡を生成することができる。
【0006】
また、前記インペラは、円基板の上側面に平面形状が円弧状の羽根を突出させて複数箇所に備え、同裏側面にも円弧の向きが前記上側面の羽根と同方向に円弧を描く羽根を複数備えてなることを特徴としている。これにより、上側の羽根は前記直進液流を掻き込むようにして微細気泡すなわちマイクロバブルを生成し、さらに繰り返し剪断することでナノバブルが生成されるが、下側面の羽根は円弧の向きが同方向に設定されており、回転による液体に対する掻き込み角度は浅く、羽根枚数を少なくして間隔を広げ取り込んだ外部液体の放出を促すようにしている。通常の水中ターボファンの回転方向とは逆回転であり、円周方向へ直接放出する作用を成さず、回転中心部近傍の圧力を高めて吐出し、上側面に生成されたナノバブルに刺激を与えることなく併せて搬出する。
【0007】
前記インペラの作用を安定に維持するために、前記インペラを覆う凹部を形成したポンプハウジングを前記ポンプカバーの下側面に密着固定し、前記凹部の壁面に吐出口を設けると共に該凹部の底面に開口部を設けて、外部液体を前記ポンプハウジングの内部に取り込みながら、前記インペラ上側面に発生するナノバブルを併せて前記吐出口から放出する構成とする。ポンプカバーから流入する液量と吐出する液量を一定に保つため凹部の底面に開口部を設けて外部の液体を取り込むようにしている。これによりナノバブル及びマイクロバブルを含む比率の変動を防止し、ナノバブルが生成される条件を維持している。
【0008】
そして、前記インペラの上側面に設けた円弧状の羽根の個数と前記流水口の個数を同数及び同間隔に設定したことで直進する液流全体を同じ条件下で剪断することを可能にしている。これにより、径の異なるバブルの分布が定量化され、ナノバブルの生成が安定する。
【0009】
本発明で最も特徴的なところは、前記インペラの上側面に設けた円弧状の羽根の円弧を形成する曲率半径の中心点方向に羽根が移動するようにインペラを回転させることであり、一般的な水中ターボファンの羽根車の回転方向とは逆方向に回転させている点である。気液混合の前記直進液流を羽根が剪断しながら掻き込むように作用するから、羽根内に留まる時間が長くなり、微細気泡を繰り返し種々の方向から剪断するような機械的刺激が与えられて強制圧壊が誘起され、ナノバブルの生成を可能にしている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の超微細気泡すなわちナノバブルの生成装置によれば、マイクロバブルの発生から圧壊、ナノバブルの生成までが単一の装置により直列した連続行程で行われるため、ナノバブル生成のエネルギー効率が非常に良くなる。また装置の構造も簡素化され設営が簡単に行えるようになるため、ナノバブルを含む液体を実用的に利用できる範囲が拡大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の超微細気泡生成装置は、一つの駆動モータの動力を利用して液流を作り気体を吸引することから、マイクロバブル発生、圧壊によるナノバブル生成までを一連の直結した連続行程で行うものであり、単純な各行程はほどよいバランスを保つようにしている。
【0012】
先ず、円筒状の本体でもある管状ケーシング内への吸入フィンによる液体の引き込みから始まるが、本発明の一つの特徴である、管状ケーシングの中央にエアーガイド管を設けたことで、引き込まれた液流により気体の吸引力が得られる構造になっている。液流を発生させる吸入フィンを内蔵する管状ケーシングより小径のエアーガイド管に負圧を発生させることで、消費電力が少なくても安定した気体吸引量を確保することが可能となった。
【0013】
また、前記管状ケーシングにおける上部ケーシングに設定されている液吸入口の大きさは、液流の引き込みによる気体吸入の負圧発生、及びインペラによるポンプハウジング下側からの液吸入量に影響を受ける。液吸入量が多すぎると吸入フィンによる引き込みは液量の比率が多くなり、エアーガイド管への負圧が低下し、気体吸引量が下がる上、少ない気体量に対して、多大な液量が流れ、インペラの高速剪断効果も薄まり、マイクロバブルの発生効率が低下する。反対に液吸入量が少なすぎても、気体の比率が多くなることで液流が低下し、同様にマイクロバブルの生成効率が低下する。よって、液吸入口の設定値は、使用する駆動モータの出力による吸入フィンの吸引力、ケーシングの径による負圧及びインペラの吸入液量・吐出量によって設定する。
【0014】
次に引き込まれた液流が気体と混合され、旋回流となった状態を瞬時に直線的な液流に整流することで効率的に気体の気泡化が図れる。このため旋回流が流れ込むポンプカバーには複数の流水口が環状に等間隔に配置され、旋回液流の旋回を止めて直線的な液流にする所要の距離を作る厚みを設定し、整列化された流水口を設定する。
【0015】
このような構成により効率よく気泡を含んだ液流がインペラに対して概ね直交する方向に押し出され、インペラの上面側に形成された羽根による高速剪断効果からマイクロバブルの安定発生を可能としている。さらに後述するような羽根の形状を有するインペラにより、マイクロバブルの発生から攪拌回転による機械的刺激を与えることで強制圧壊を引き出し、ナノバブルの生成を可能にしている。インペラの構造は従来のターボファンの形状と異なり、円弧状の羽根の曲率半径の中心点をインペラの円基板内に設定したものであり、回転方向を逆回転で使用することで掻き込む力が非常に強く気泡液流に強い剪断を発生させる。これにより効率よく気泡液流を垂直に高速剪断したのち気泡に強い遠心力をかけ、その圧力が物理的刺激として強制圧壊を引き起こすことを意図している。
【0016】
マイクロバブルの圧壊によりナノバブルが生成されるため、大量のマイクロバブルの発生が必要であり、マイクロバブルは蒸留水のような純水よりも海水のような電解質イオンを含む水溶液の方が発生させやすい。その理由は電解質イオンが基本となる無機質の殻ができることで気泡がマイクロレベルにて発生し易くなるからである。また圧壊により生成されたナノバブルの安定化にも電解質イオンの静電気的な反発力が必要なため、実施においても硫酸ナトリウム・ミネラル類の電解質イオンを混入した水溶液を使用することが望ましい。
【0017】
(実施例1)
図1は本発明の超微細気泡生成装置1の構成を示す側面図であり、断面で示した部分はハッチングで表示している。駆動モータは図示していないがAC200V、出力50W/60Hz、無負荷回転数3500回/分を使用した一例を説明する。
【0018】
先ず、図1に基づき各部材の配置状態を説明する。2はモータブラケットで駆動モータフランジを固定する。該モータの駆動軸30は鉛直方向に配置され、カップリング4を介して鉛直方向に延びる回転駆動軸11を駆動する。本発明装置の本体は、モータブラケット2に嵌合固定される管状の上部ケーシング7及びこれに嵌合される下部ケーシング13により外殻としての管状ケーシングが形成されている。6は軸受ホルダーであり、上部軸受5を備えており、下面側にエアガイドチーズ8が嵌合される。該エアガイドチーズ8は、側方に外気を吸入するためのエアーガイド外管10を有し、下方にはエアーガイド内管9が鉛直方向に接続される。エアーガイド内管9は外気を液中に挿通させる通路を確保し、下端部は上部ケーシング7の下端部に嵌着されたエアーガイド管ホルダー12を用いて上部ケーシング7の中央に同一軸心をなすように固定配置される。前記下部ケーシング13はこの部分で離間できるように上部ケーシング7に対して嵌合構造を形成しており、液体を下方に押し流すための吸入フィン15が回転駆動軸11に固定される。下部ケーシングの下端部にはポンプカバー14が取着されるが、該ポンプカバー14は、後述するように複数の流水口22を環状に等間隔で配置している。前記流水口を通り下方に直進する液流を直角もしくはほぼ直角に剪断する羽根を備えたインペラ18が前記ポンプカバー14の下方で前記回転駆動軸11に取着されており、該インペラを覆うようにポンプハウジング19が前記ポンプカバー14の下側面に取着されている。該ポンプハウジング19は凹部を形成しており、周囲の壁面には1方向あるいは2方向に吐出口を設けており、凹部底面には浴液を流入させる開口部を備えている。上部ケーシング7はエアーガイド外管10の取着位置より下方部分を液槽の液面下に沈めるが、液中に浸漬された適宜箇所に液吸入口21を複数箇所に設けている。上部ケーシング下端部からの液吸入口21の高さ及び口径はバブル発生量に関係し、液の種類とバブル液の利用目的により決定される。
【0019】
本実施例に用いた装置の概略寸法は、上部及び下部ケーシングに外径48mm、内径40mmの管で、上部と下部ケーシングを嵌合した全長370mmの樹脂管を用いており、下部ケーシング下端部から118mmの高さに直径12mmの液吸入口3個を等配している。エアーガイド内管9は外径が18mm、内径13mmの樹脂管で、下部ケーシングの下端部から上部ケーシングと平行に中央部に延長しており、エアーガイド外管を240mmの高さに設けている。インペラ18の外径は46mmで円基板の板厚は2mmであり、上側面の羽根の高さは4.5mm、下側面の羽根の高さは3mmである。回転駆動軸は直径8mmであり、エアーガイド内管の内部に十分な気体流入空間を設けている。
【0020】
図中の3は、モータブラケット2と前記インペラ18を備えるポンプのポンプカバー14及びポンプハウジング19とを管状ケーシングの周囲複数個所(例えば3個所)で連結する連結部材である。
【0021】
次に本発明の特徴となる各部材を抽出してその機能を説明する。図2は各部材の配置を分解した斜視図であり、一部は半断面斜視図で示している。符号は図1の符号と一致させている。上部ケーシング7を液面下に浸漬させ、回転駆動軸11を回転して吸入フィン15を矢印Aの方向に回転させると、浴液は液吸入口21から流入して矢印Bの方向に液流が発生する。下方向の液流の中央に位置するエアーガイド内管9の下端部では、ベルヌーイの法則によりエアーガイド内管の内部に負圧を発生させて気体吸引を行い液流内に気体が引き込まれ、さらにベンチュリー効果が生じて、吸引された気体の流速が速まり、液体との混合効率化及び吸引量の安定を図る機能が生じる。
【0022】
実測においても、このエアーガイド内管9を設置した構造では、気体吸引量は4L/minで安定しているが、設置しない場合では液体流のある上部ケーシング7に直接気体吸引口を設置することになり、エアーガイド内管9より大径の管内での引き込みとなるため、負圧は前述の場合より低下し、気体吸引量は1.5L/minとなる上、液体流が上部ケーシング7を移動することで液面が変化し負圧が変化するため気体吸入量が安定しない。エアーガイド内管9を設置した場合では気体吸引口は水中にあり、液面の上下には影響されない利点がある。
【0023】
液体流と気体流は回転する吸引フィン15の部分で混合攪拌され液体と気体が混合されることになるが、これは矢印C方向の旋回流となっているため、強い遠心力の中で気体と液体の質量差から分離されてしまう。実測においては下部ケーシング13内において旋回流が起こり、管状の下部ケーシング中央に気体が集まる渦流現象が確認された。折角のベンチュリー効果による気体の液中拡散も効率が悪くなるため、渦流を直線的に進む直進液流に整流し気泡の拡散を促すこととした。そのため、下部ケーシング13の下端部にポンプカバー14を密着設置し、該ポンプカバーに直径10mmの流水口22を環状に8個並べ、該流水口を通過する際に渦流を直進液流に整流して、インペラ18の羽根18aの回転面に対し交差する方向、特には直交する方向もしくはほぼ直交する方向(直角に近い傾斜をなして交差する方向)に流出させることとした。この整流のためには、所定の距離が必要であり、これをふまえてポンプカバー14の厚みを10mmとした結果、インペラ18に接触する前の液流内に気泡の拡散を均一にすることに成功した。矢印D方向に整流された液流内の気泡は直角もしくはほぼ直角にインペラ18の上側面に設けられた矢印E方向に回転する複数の羽根18aに衝突し、且つ該インペラにより高速剪断されることでマイクロバブルとなるが、このインペラ18は、従来の水中ターボファンと異なり液流の効率化ではなく前述のマイクロバブル発生から圧壊作用をおこすことが必要とされるので、次のような構造にしている。
【0024】
インペラ18の構造は、円基板18bの上側及び下側面共に羽根を備えており、上側面の8枚の羽根18aは曲率半径10〜12mmの円弧を形成して曲率半径の中心を前記円基板内に置き、円弧の長さは前記円基板の外周から駆動軸セットハブ18dの部分の近くまで伸びる。これらの羽根は、従来のターボファンとは異なり、逆方向に回転させて使用すると非常に強い掻き込み力を受ける一方、遠心力が作用する。高速剪断されて発生したマイクロバブルは羽根の円弧内側に掻き込まれるが、高速回転による遠心力による圧力を受けることで強制圧壊が起こり、ナノバブルが生成される。羽根の高さは十分な掻き込みを見込んで4.5mmとした。
【0025】
インペラ18の円基板18bの下側面に設けた羽根18cは同様に円弧を形成するが、上側面の羽根と同じ方向に湾曲しており、曲率半径をより大きくして回転時に液体に対する掻き込み角を浅くし枚数を少なくして円周方向への吐出流路を確保している。従って、上側面の羽根は液流を掻き込むように作用するが、下側面の羽根18cは、回転中心部近傍の圧力を高め円周方向へ液流を放出するように作用し、ポンプハウジング19の底部に設けた開口部19aより槽内の液体を吸い込み、上側面の羽根18a部分で生成されたマイクロ及びナノバブルを吐出口19bから吐出するためのものであり、羽根4枚で構成している。羽根の高さは3mmとした。インペラの円基板の上側と下側面の羽根の構成が異なるのは、下側面については上述の目的があり、またポンプハウジング底部の開口部19aは上部ケーシングの液吸入口21の総計より大きくして、液吸入量及び吐出液量のバランスを調整しているためである。なおポンプハウジングの吐出口19bは用途により1方向又は2方向あるいはさらにそれ以上の方向に設けることができる。
【0026】
図3(a)図は、インペラ18の上側面に設けた羽根18aの平面形状とポンプカバー14に設けた流水口22の位置を重ねて図示したものであり、本例ではそれぞれ同数であり等間隔に配置されている。羽根の円弧の曲率半径rの中心点をPで示した。インペラの回転方向は図中に記載したが、羽根18aの曲率半径の中心点方向に該羽根が移動するように回転する。図3(b)図はインペラの下側面の下方から見た平面図であり、羽根18cの曲率半径は上側面の羽根より大きく、回転時に液体を掻き込む角度は浅くしており、羽根数も4枚で円周方向への吐出流路を確保している。羽根の形状や高さなど本例に記載した各部材の数値はこれに限定されるものではなく、その機能を果たしうる形状は本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の超微細気泡生成装置は移動が簡単であり、構造も各機能を発揮する部材が直列に配置され、通常は液面に対して鉛直方向に設置できるから占有面積が少ない。また重力に左右される構成は含まないから回転駆動軸を駆動するための経路を防水構造にすれば装置を横方向に設置することも可能である。ナノバブルの他にマイクロバブルも同時に発生するから、ナノバブルによるラジカル反応及びマイクロバブルによる所望の気体の拡散と不純物をバブルに付着させて浮上させるなど、汚染池水の浄化、海産物の養殖あるいは殺菌など用途は広い。気体にオゾンあるいは酸素といった活性ガスも利用できるから動植物の育成にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の超微細気泡生成装置の側面図である(実施例1)。
【図2】本発明の主要部を示す分解斜視図である(実施例1)。
【図3】(a)図はインペラの上側面、(b)図は下側面の平面図である(実施例1)。
【符号の説明】
【0029】
1 超微細気泡生成装置
7 上部ケーシング
8 エアーガイドチーズ
9 エアーガイド内管
10 エアーガイド外管
11 回転駆動軸
13 下部ケーシング
14 ポンプカバー
15 吸入フィン
18 インペラ
19 ポンプハウジング
21 液吸入口
22 流水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を取り込む複数の液吸入口を備えた管状ケーシングの中央に、該管状ケーシングの内径より小さい外径で所定の長さを有するエアーガイド内管を平行に支持固定し、該エアーガイド内管の中央に該エアーガイド管の内径より小さい径の回転駆動軸を回転可能に軸支し、該エアーガイド内管の下側端部の下方で吸入フィンを前記回転駆動軸に固定し、さらにその下方で複数の流水口を備えた円板状のポンプカバーを前記管状ケーシングの下側端部に固定するとともに、円基板に複数の羽根を備えたインペラを前記回転駆動軸に取着し、前記回転駆動軸の回転により液体と共に気体を吸引して管状ケーシング内に気体を含む液流を発生させるとともに、この液流を前記流水口を通過させて直進液流となし、該液流を前記インペラの羽根の回転面に直交する方向に流出させ、該インペラの羽根で直進液流を剪断し微細気泡を発生させることを特徴とする超微細気泡生成装置。
【請求項2】
前記インペラは、円基板の上側面に平面形状が円弧状の羽根を突出させて複数箇所に備え、同裏側面にも円弧の向きが同方向の羽根を複数備えてなることを特徴とする請求項1に記載の超微細気泡生成装置。
【請求項3】
前記インペラを覆う凹部を形成したポンプハウジングを前記ポンプカバーの下側面に密着固定し、前記凹部の壁面に吐出口を設けると共に該凹部の底面に開口部を設けて、外部液体を前記ポンプハウジングの内部に取り込みながら、前記インペラの上側面に発生するナノバブルを前記吐出口から放出する構成とした請求項1又は2に記載の超微細気泡生成装置。
【請求項4】
前記インペラの上側面に設けた円弧状の羽根の個数と前記流水口の個数を同数に設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超微細気泡生成装置。
【請求項5】
前記インペラの上側面に設けた円弧状の羽根の円弧を形成する曲率半径の中心点方向に羽根が移動するようにインペラを回転させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超微細気泡生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−39600(P2009−39600A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204599(P2007−204599)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(503357735)株式会社REO研究所 (21)
【出願人】(507265649)ローヤル電機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】