説明

超微細気泡発生装置

【課題】簡易な方法で粒径の小さな超微細気泡を発生させることができ、耐久性が高くメンテナンス費用を省くことを可能とする超微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】超微細気泡発生装置1は、モータ2と、モータ2と連結されており、中央部に回転軸内通路31を設けた回転軸3と、回転軸3の下部に回転軸3と相対回転不能に設けられた少なくとも一以上の回転体4と、回転体4の端部に設けられ、高密度複合体で構成された回転翼5と、回転軸3の回転運動を往復運動に変換するためのクランク機構6と、クランク機構6を介して回転軸3と連結されたエアシリンダ7と、を備え、前記モータは、回転速度を変化させるインバータ23を備え、エアシリンダ7の摺動速度と回転体4の回転速度とを対応させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液中において微細な気泡を発生させる超微細気泡発生装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水道水や湖沼・河川、海水等の液中において気泡のサイズ(直径)が数百nm〜数十μmの超微細気泡を使用する技術が注目されている。前記超微細気泡は、表面積が非常に大きい特性及び自己加圧効果などの物理化学的な特性を有しており、その特性を生かして、排水浄化、洗浄、浴槽内での身体ケア及び魚介類の養殖等に使用する技術が開発されている。特に排水浄化及び魚介類の養殖等の分野においては、空気を効率よく水中に溶存させる技術が求められており、その解決策として超微細気泡を使用する技術が注目されている。
【0003】
前記特性を持った超微細気泡の発生方法として、従来から、コンプレッサにより圧送された空気を放出する空気ノズルの周囲に液体ジェットノズルを配置し、液体ジェットノズルの噴流の力で空気ノズルより放出する気泡を引きちぎって微細化する方法は公知となっている。また、攪拌してできた気泡をメッシュ部材に当てて通しながら気泡を細分化する方法も公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
また、水中で露出した回転体を回転させて、回転体を支持する中空の回転軸の内部を通じて空気を送り込み、前記回転体から空気を放出させ、水中に気泡を拡散させる装置が公知となっている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3958346号公報
【特許文献2】特開2004−897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、空気ノズルの周囲に液体ジェットノズルを配置し、液体ジェットノズルの噴流の力で空気ノズルより噴出する気泡を引きちぎって微細化する方法は、ノズルの孔径に限界があり粒径を安定させることは困難である。また、回転体を回転させる方法については、回転体から空気を放出させる際に、微細気泡の直径が大きくなってしまい、攪拌して気泡を拡散させても均一に直径の小さな微細気泡を作るのは難しかった。
また、空気をコンプレッサにより圧送する方法では、コンプレッサの寿命が短いため、メンテナンスの費用がかかっていた。また、湖沼・河川、海水等の液中において超微細気泡装置を使用する場合には、コンプレッサの寿命がさらに短くなるため、メンテナンスの費用がさらに多くかかっていた。
さらに、特に排水浄化及び魚介類の養殖においては、深い場所にまで空気を送り、溶存する酸素量(空気量)を向上させるための技術が必要となっていた。
【0006】
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、簡易な方法で粒径の小さな超微細気泡を発生させることができ、耐久性が高くメンテナンス及び運用のための費用を省くことを可能とする超微細気泡発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、モータと、前記モータと連結されており、中央部に回転軸内通路を設けた回転軸と、前記回転軸の下部に回転軸と相対回転不能に設けられた少なくとも一以上の回転体と、前記回転体の端部に設けられ、高密度複合体で構成された回転翼と、前記回転軸の回転運動を往復運動に変換するためのクランク機構と、前記クランク機構を介して前記回転軸と連結されたエアシリンダと、を備え、前記モータは、回転速度を変化させる速度可変機構を備え、前記エアシリンダの摺動速度と前記回転体の回転速度とを対応させたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、回転翼を高密度複合体で構成したので、粒径の小さな超微細気泡を発生させることができ、回転翼を回転させることで、超微細気泡が発生した瞬間に回転翼から離間させることができる。したがって、簡易な方法で粒径の小さな超微細気泡を発生させることができる。また、回転翼の回転速度に比例して超微細気泡発生量が増減することにより、回転速度に適した超微細気泡を効率よく発生させることができる。また、回転翼を高密度複合体で構成したので、膨張及び収縮による劣化がなく、無機質の素材であるため経時変化による腐蝕がないことから、超微細気泡発生装置の損傷や劣化を防ぐことができる。また、エアシリンダは簡易な構造でありメンテナンスの必要性が小さい。したがって、耐久性が高くなりメンテナンス費用を省くことが可能となる。また、エアシリンダは、普及品であるから部品調達が容易であり、調達コストを省くことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る超微細気泡発生装置の全体的な構成を示した正面一部断面図。
【図2】回転体及び回転翼を示す斜視図。
【図3】回転体及び回転翼を示す平面一部断面図。
【図4】(a)回転翼のA−A線断面図。(b)回転翼の断面一部拡大図。
【図5】回転翼の側面図。
【図6】エアシリンダの側面断面図。
【図7】電気モータを用いた超微細気泡発生装置の全体的な構成を示した正面一部断面図。
【図8】第二実施形態に係る回転体及び回転翼を示す斜視図。
【図9】第二実施形態に係る回転体及び回転翼を示す正面一部断面図。
【図10】第三実施形態に係る回転体及び回転翼を示す斜視図。
【図11】第三実施形態に係る回転体及び回転翼を示す平面一部断面図。
【図12】第四実施形態に係る回転体及び回転翼を示す斜視図。
【図13】第五実施形態に係る回転体及び回転翼を示す斜視図。
【図14】第五実施形態に係る回転体及び回転翼を示す平面図。
【図15】第六実施形態に係る回転体及び回転翼を示す斜視図。
【図16】第七実施形態に係る回転体及び回転翼を示す斜視図。
【図17】第七実施形態に係る回転体及び回転翼を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の一実施形態にかかる超微細気泡発生装置1の全体構成について図1及び図2を用いて説明する。
超微細気泡発生装置1は、水中において超微細気泡を発生させるための装置である。ここで超微細気泡とは、サイズ(直径)が数百nm〜数十μmの気泡を意味する。超微細気泡発生装置は、特に、湖沼・河川、海水等の液中において超微細気泡を発生させて水質を浄化させるために使用される。
超微細気泡発生装置1は、モータ2と、モータ2と連結されており、中央部に回転軸内通路31を設けた回転軸3と、回転軸3の下部に設けられた少なくとも一以上の回転体4と、回転体4の端部に設けられた回転翼5と、回転軸3の回転運動を往復運動に変換するためのクランク機構6と、クランク機構6を介して回転軸3と連結されたエアシリンダ7と、を備える。超微細気泡発生装置1を水中で使用する場合には、回転軸3の中途部から下の部分が水中に配置される。
【0013】
モータ2は、電気をエネルギー源とし回転力を発生させる装置である。また、モータ2は、トルクを増加させるために回転数を減速させる減速装置としての歯車装置22と連結している。歯車装置22は、モータ2の図示せぬ出力軸に連結されており、ギアケース22aに格納されている。
また、モータ2は、出力軸の回転数を電気的に変化させるための速度可変機構としてのインバータ23に接続されている。インバータ23は、制御装置24に接続されている。これにより、制御装置24によってインバータ23を制御することでモータ2の回転数を変化させることができる。
モータ2、インバータ23及び制御装置24は、電源25と接続されている。モータ2を作動させて後述する回転体4を駆動するために必要とする電力は数十Wから多くても百W程度であるため、電源25は、太陽光発電装置を使用することもできる。また、バッテリや商用電源等から電力を供給してモータ2を作動させることも可能である。
モータ2には図示せぬ出力軸が設けられており、該出力軸に歯車装置22が接続されている。歯車装置22は、複数の歯車から構成されており、前記出力軸の回転速度を減速させてトルクを向上させる。歯車装置22の最も下流側の歯車は回転軸3に固設された図示せぬ伝動歯車と噛合している。
【0014】
回転軸3は、ギアケース22aを上下方向に貫通するように設けられており、モータ2から歯車装置22を介して動力が伝達される。回転軸3は、中空に構成されており、その中空となっている中心部は空気を通すための回転軸内通路31として構成されている。回転軸3の中途部であってギアケース22a内部に位置する部分には、歯車装置22の最も下流の歯車と噛合する前記図示せぬ伝動歯車が固設されている。回転軸3の下部には回転体4が回転軸3と相対回転不能に設けられている。本実施形態においては、回転体4は回転軸3の下端に設けられている。
【0015】
回転体4は、図3に示すように、回転軸3の下端に設けられており、回転軸3の下端と回転体4の平面中心に設けられた連結孔41とが一致するように設けられている。連結孔41はその下面が閉じられており、その側面に複数の連通孔42が穿設されている。連通孔42の数は、後述する回転体内通路43の数と同じとなるように設けられており、本実施形態においては2個設けられている。
回転体内通路43は、回転体4の中心から半径方向外側へ突設されており、一端が連通孔42と連結されている。また、回転体内通路43の半径方向外側の他端は、回転翼5に設けられた回転翼内通路51と連結されている。
【0016】
回転翼5は高密度複合体で構成されており、図4(a)及び(b)に示すように、直径数μm〜数十μmの細かな孔を多数有している。また、前記高密度複合体は導電体であり、回転翼5から発生する気泡は負の電荷が帯電される。言い換えれば、導電体である回転翼5を通過する際に超微細気泡に自由電子が付加されることにより、負の電荷が帯電するものである。この負の電荷により、気泡同士が互いに反発し、合体して大きな気泡になることを防ぐことができる。
【0017】
また、回転翼5は、回転方向(図2の矢印方向)先頭部の肉厚が厚く、回転方向終端部の肉厚が薄くなるように板状(断面視略流線型)に形成されている。回転翼5は回転体4他端部を中心として上下方向へ回転させて固定することができ、これにより、回転翼の傾斜角を自由に変更することができるよう構成されている。
例えば、図5に示すように、回転翼5を下方に傾斜させた場合には、回転翼5下側においては、回転翼5下面と接触した水が下側に流れることにより、下向きの水流が起こり、回転翼5上側においては、回転翼5の上面に沿って水が流れることにより、下向きの水流が発生する。これにより、回転翼5を回転させることで下向きの水流を起こし、水を攪拌することもできる。
下向きの水流を起こした場合であっても、通常の気泡であれば一旦下方へ沈んだ後再び上方へ浮上するため、大きな圧力をかけて気泡を下方へ送る必要があった。しかし、本実施形態によれば、超微細気泡の浮力の小さい性質を利用して、下向きの水流を起こすだけで超微細気泡を容易に下方まで送ることができる。
【0018】
回転翼5には回転翼内通路51が設けられている。回転翼内通路51は、回転翼5の内部に設けられ、回転翼5の短手方向中途部から屈曲して、回転翼5の長手方向の中途部まで設けられている。回転翼内通路51の一端は回転体内通路43と連結されている。回転軸内通路31、連結孔41、連通孔42、回転体内通路43、及び回転翼内通路51の各接続部分は密閉されており、液体の内部への侵入を防ぐ。
【0019】
また、図1に示すように、回転軸3の上部にはクランク機構6が設けられている。本実施形態においては、回転軸3の上端にクランク機構6が設けられている。クランク機構6は、回転軸3の上端に固定された回転板61と、該回転板61に回転中心から偏心して固定された連結部材62とから構成されている。連結部材62は後述するシリンダロッド72にベアリング等を介して接続されている。
【0020】
エアシリンダ7は、図1に示すように、シリンダ本体71とシリンダロッド72とから構成されている。シリンダ本体71は筒状に構成されており、シリンダロッド72挿入側と反対側の端部は閉塞されている。シリンダ本体71の閉塞部にはシリンダ回動軸73が設けられており、シリンダ回動軸73は固定部材74に固定されている。これにより、シリンダ本体71はシリンダ回動軸73を中心として回動可能に固定されている。また、シリンダロッド72の一端は連結部材62とベアリング等を介して連結しており、連結部材62の揺動に合わせてシリンダ本体71長手方向に平行な方向に摺動する。この際、シリンダロッド72のシリンダ本体71長手方向と垂直な方向への移動はシリンダ本体71が回動することにより吸収される。
【0021】
シリンダ本体71内はシリンダロッド72先端に設けたピストンによって二つの部屋に分けられており、それぞれの部屋に空気管75・75と吸入弁76・76が連通されている。各空気管75の一端は吐出弁78を介してシリンダ本体71の各部屋と連通し、他端は合流管77に連通されており、合流管77の他端は回動軸内通路31と連結している。吸入弁76・76は一端を前記シリンダ本体71の各部屋と連通し、他端はエアフィルタ79を介して外部(外気側)と連通している。エアフィルタ79は、空気中のゴミ等を取り除くためのフィルタである。合流管77は回転軸3の上部に設けられており、回転軸3と相対回転可能に嵌設されており、回転軸3と連通されている。
【0022】
次に、超微細気泡発生装置1による微細気泡の発生方法について説明する。
まず、モータ2を駆動させる。モータ2の駆動力はギアケース22a内の歯車装置22に伝わり、歯車装置22から図示せぬ伝動歯車に伝わる。そして当該伝動歯車が回転することにより回転軸3を回動させる。ここで、回転軸3の回動する方向は、図2の矢印方向であり、平面視反時計回りに回動する。
【0023】
回転軸3が回動すると回転軸3の上端に設けられたクランク機構6の回転板61が回転する。回転板61が回転すると、回転板61に設けられた連結部材62が平面視円形状に移動し、連結部材62と連結されたシリンダロッド72が連動して往復移動する。シリンダロッド72が往復移動する際、シリンダ本体71の長手方向と平行な方向以外の移動は、シリンダ本体71がシリンダ回動軸73を中心に回動するため吸収される。そのため、シリンダロッド72はシリンダ本体71内をシリンダ本体71長手方向に平行な方向に往復摺動する。
【0024】
シリンダロッド72が縮小方向(図1における左方向)へ摺動すると、図1における左側の部屋内の空気が空気管75から合流管77へと圧送される。また、図1における右側(反対側)の部屋の空気管75は吐出弁78により閉じられ、吸入弁76を介して空気が流入する。
逆に、シリンダロッド72が伸長方向(前記と反対側)へ摺動すると、図1における右側の部屋内の空気が空気管75から合流管77へと圧送される。また、図1における左側の部屋の空気管75は吐出弁78により閉じられ、吸入弁76を介して空気が流入する。このように構成することにより、クランク機構6によりピストンロッド72が往復摺動されて、エアシリンダ7から空気が合流管77へ送られ、さらに回転軸内通路31へと送られる。
【0025】
シリンダ本体71から圧送される空気の圧力は、図6に示すように、シリンダ本体71内の圧縮時の部屋の容積V1とシリンダ本体71の出口と吸入弁76と吐出弁78とによって囲まれた空気管75の容積V2との比率によって決定される。そこで、クランク機構6の連結部材62の回転中心からの偏心距離を変更することにより、シリンダ本体71内の圧縮時の部屋の容積V1を変更することができ、シリンダ本体71から圧送される空気の圧力を変更することができる。
また、エアシリンダ7の口径を変更することにより、一回の摺動によって圧送される空気の量及び圧送される空気の圧力を変更することができる。
【0026】
また、回転軸3が回動すると回転軸3の下端に設けられた回転体4が回転する。回動軸内通路31へと送られた空気は、回動軸内通路31を通り、連結孔41及び連通孔42を介して回転体内通路43へと送られる。回転体内通路43へと送られた空気は、回転翼内通路51へと送られ、回転翼内通路51から回転翼5に設けられた直径数μm〜数十μmの細かな孔を通って、超微細気泡となり水中へ放出される。水中へ放出される超微細気泡は、回転翼表面に放出された瞬間に、回転する回転翼と周りの水との間に生まれた流れ(図4矢印方向の流れ)によって、表面から離間される。このように構成することにより、後から発生する超微細気泡や周辺の孔から発生する超微細気泡と合体することなく単独で液中へ移動することとなる。
【0027】
回転軸3の回転速度を調節することにより、超微細気泡の発生量を調節することができる。回転軸3の回転速度を低下させると、シリンダロッド72の摺動速度が低下するためエアシリンダ7から圧送される空気の量は減少する。同時に回転体4及び回転翼5の回転速度も低下し、少ない量の超微細気泡を効率よく放出することができる。
また、回転軸3の回転速度を上昇させると、シリンダロッド72の摺動速度が上昇するためエアシリンダ7から圧送される空気の量は増加する。同時に回転体4及び回転翼5の回転速度も上昇するため、多量の超微細気泡を効率よく放出することができる。
【0028】
なお、本実施形態においてはモータ2の回転速度を減速させる機構として歯車装置22を用いたが、これに限定するものではなく、例えば、図7に示すように、モータ2の出力軸82に設けた歯車と、回転軸3に設けた伝動歯車との間にチェーンを巻回することによりモータ2の回転速度を減速させてもよい。これにより、モータ2と回転軸3とを別の位置に配置することができ、配置の自由度が向上する。
なお、モータ2の出力軸82に設けたプーリと回転軸3に設けたプーリとの間にタイミングベルトを巻回することによりモータ2の回転速度を減速させることも可能である。また、出力軸82及び回転軸3に数枚の薄い円錐形の摩擦板を設け、互いにかみ合わせて動力を伝達する無断変速方式を採用することも可能である。
また、回転体内通路43及び回転翼5の数は本実施形態に示した数に限定するものではなく、回転体内通路43及び回転翼5の数を各3個以上とすることも可能である。
また、本実施形態では往復動式のエアシリンダ7、つまり、往復動式のエアポンプにより空気を圧送する構成としたが、回転式(ギア式やトロコイド式やベーン式)のエアポンプとすることも可能である。
【0029】
<第二実施形態>
また、別の実施形態として、回転体104を上下に複数個設けることも可能である。図8及び図9に示すように、第一実施形態と比較して、回転軸3に延長軸35を接続して延長し、回転軸3及び延長軸35に複数個の回転体104・104を設けたものである。ここで、下端に配置された回転体104の構成は第一実施形態の回転体4の構成と同一であるので説明を省略する。また、第一実施形態と同一の番号を付した部分は第一実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。
【0030】
回転軸3の下端には延長軸35と接続するための接続部が設けられており、本実施形態においては、接続部は螺子で構成されている。
中途部に配置された回転体104の連結孔141は上下が開放されている。また、連結孔141の側面に複数の連通孔142・142が穿設されている。連通孔142の数は、後述する回転体内通路143の数と同じとなるように設けられており、本実施形態においては2個設けられている。回転体内通路143は、回転体104の中心から半径方向外側へ突設されており、一端が連通孔142と連結されている。また、回転体内通路143の半径方向外側の他端は、回転翼5に設けられた回転翼内通路51と連結されている。
【0031】
また、連通孔の下側の開口部から下方へ延長軸が突設されており、延長軸35の下端部には回転体104が設けられている。このようにして複数個の回転体104を回転軸3と延長軸35との間、延長軸35と延長軸35との間、及び延長軸35の下端に設けることができる。
【0032】
<第三実施形態>
また、別の実施形態として、回転体204を平面視円盤状に形成することも可能である。図10及び図11に示すように、第一実施形態と比較して回転体204の構造が異なる。ここで、第一実施形態と同一の番号を付した部分は第一実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。
【0033】
回転体204は、平面視円盤状に構成されており、回転軸3の下端に設けられている。回転体204の平面中心には、回転軸3の下端と一致するように連結孔241が設けられている。連結孔241はその下面が閉じられており、その側面に複数の連通孔242が穿設されている。連通孔242の数は、後述する回転体内通路243の数と同じとなるように設けられており、本実施形態においては2個設けられている。回転体204の中心から半径方向外側へ複数の回転体内通路243が設けられており、一端が連通孔242と連結されている。また、回転体内通路243の半径方向外側の他端は、回転翼5に設けられた回転翼内通路51と連結されている。
【0034】
また、回転体204の半径方向外側であって、回転翼5の回転方向前方には、防護部材260が設けられている。防護部材260は、回転体204の外周に固定されており、回転体204と略同じ厚さで形成されている。また、防護部材260は平面視略扇形状に形成されており、回転方向と対向する面が円弧状に形成されている。
回転体204を平面視円盤状に構成することにより、回転体204が回転した場合であっても、回転体204にゴミなどの固体物が絡まりにくくなり、耐久性が向上し、メンテナンス費用を省くことが可能となる。また、防護部材260を回転翼5の回転方向前方に設けたことにより、図11に示すように、回転翼5に向かう水流が回転体204の半径方向外側へ方向を変えるため、回転翼5にゴミなどの固体物が絡まりにくくなり、耐久性が向上し、メンテナンス費用を省くことが可能となる。
【0035】
<第四実施形態>
また、別の実施形態として回転体304を平面視略正方形状に形成し、回転翼305を平面視略三角形状に形成することも可能である。図12に示すように、第一実施形態と比較して回転体304及び回転翼305の構造が異なる。ここで、第一実施形態と同一の番号を付した部分は第一実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。
【0036】
回転体304は、平面視略正方形状に構成されており、回転軸3の下端に設けられている。回転体304の平面中心から正方形の各辺中心方向に回転体内通路343が設けられており、図示せぬ連結孔と連結されている。
【0037】
回転翼305は平面視略三角形状に設けられている。
また、回転翼305は高密度複合体で構成されており、直径数μm〜数十μmの細かな孔を多数有している。また、前記高密度複合体は導電体であり、回転翼305から発生する気泡は負の電荷が帯電される。言い換えれば、導電体である回転翼305を通過する際に超微細気泡に自由電子が付加されることにより、負の電荷が帯電するものである。この負の電荷により、気泡同士が互いに反発し、合体して大きな気泡になることを防ぐことができる。
【0038】
また、回転翼305は、回転体304の周囲に4枚設けられており、各回転翼305の一辺が前記回転体304の各辺と一致するように設けられている。
また、回転翼305には回転翼内通路351が設けられている。回転翼内通路351は、回転翼305の内部に設けられ、回転翼305の中途部まで設けられている。回転翼内通路351の一端は回転体内通路343と連結されている。回転軸内通路31、回転体内通路343、及び回転翼内通路351の各接続部分は密閉されており、液体の内部への侵入を防ぐ。
このように構成することにより、回転体304が回転した場合であっても、回転体304にゴミなどの固体物が絡まりにくくなり、耐久性が向上し、メンテナンス費用を省くことが可能となる。
【0039】
<第五実施形態>
また、別の実施形態として回転体404を平面視略円盤状に形成し、複数の回転翼405を平面視略直方体状に形成して、回転体404の上面から垂直に立設することも可能である。図13及び図14に示すように、第一実施形態と比較して回転体404及び回転翼405の構造が異なる。ここで、第一実施形態と同一の番号を付した部分は第一実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。
【0040】
回転体404は、平面視略円盤状に構成されており、回転軸3の下端に設けられている。回転体404の平面中心から半径方向外側に回転体内通路443が設けられており、図示せぬ連結孔と連結されている。回転体内通路443は、半径方向中途部まで設けられている。また、回転体内通路443は、本実施形態においては中心から6方向に6つ設けられている。回転体内通路443の半径方向外側の端部は、回転翼405に設けられた後述する回転翼内通路451と連結されている。
【0041】
また、回転翼405は高密度複合体で構成されており、直径数μm〜数十μmの細かな孔を多数有している。また、前記高密度複合体は導電体であり、回転翼405から発生する気泡は負の電荷が帯電される。言い換えれば、導電体である回転翼405を通過する際に超微細気泡に自由電子が付加されることにより、負の電荷が帯電するものである。この負の電荷により、気泡同士が互いに反発し、合体して大きな気泡になることを防ぐことができる。
【0042】
また、6つの回転翼405は、回転体404の上面に、回転体404の上面と垂直に立設されている。前記各回転翼405は、回転体404の半径方向内側の肉厚が薄く、半径方向外側の肉厚が厚くなるように板状(平面断面視略流線型)に形成されている。
また、図14に示すように、回転体404の回転方向に対して回転翼405の前方部分が後方部分よりも半径方向外側になるように配置されている。このように構成することにより、回転体404及び回転翼405を回転させることで下向きの水流を作ることができる。
【0043】
回転翼405の肉厚の部分には回転翼内通路451が設けられている。回転翼内通路451は、回転翼405下端から回転翼405中途部まで回転体404の上面と垂直に設けられている。回転翼内通路451の下端は回転体内通路443と連結されている。回転軸内通路31、回転体内通路443、及び回転翼内通路451の各接続部分は密閉されており、液体の内部への侵入を防ぐ。
【0044】
<第六実施形態>
また、別の実施形態として回転体504を平面視略円盤状に形成し、回転翼505をプロペラ状に形成して、回転体504の外周に設けることも可能である。図15に示すように、第一実施形態と比較して回転体504及び回転翼505の構造が異なる。ここで、第一実施形態と同一の番号を付した部分は第一実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。
【0045】
回転体504は、平面視略円盤状に構成されており、回転軸3の下端に設けられている。回転体504の平面中心から半径方向に回転体内通路543が設けられており、図示せぬ連結孔と連結されている。回転体内通路543の断面は円形状になるように構成されている。また、回転体内通路543は、本実施形態においては2本設けられている。回転体内通路543の半径方向外側の端部は、回転翼505に設けられた後述する回転翼内通路551と連結されている。
【0046】
また、回転翼505は高密度複合体で構成されており、直径数μm〜数十μmの細かな孔を多数有している。また、前記高密度複合体は導電体であり、回転翼505から発生する気泡は負の電荷が帯電される。言い換えれば、導電体である回転翼505を通過する際に超微細気泡に自由電子が付加されることにより、負の電荷が帯電するものである。この負の電荷により、気泡同士が互いに反発し、合体して大きな気泡になることを防ぐことができる。
【0047】
また、2つの回転翼505は、プロペラ状に形成されている。回転翼505の内部には回転翼内通路551が設けられている。回転翼内通路551は、断面が円形状となるように形成されている。回転翼内通路551の一端は回転体内通路543と連結されている。回転軸内通路31、回転体内通路543、及び回転翼内通路551の各接続部分は密閉されており、液体の内部への侵入を防ぐ。
このように構成することにより、プロペラ状に形成した回転翼505によって水流を効率的に起こすことができ、超微細気泡を下方に送ることができる。
【0048】
<第七実施形態>
また、別の実施形態として回転体604を平面視略矩形状に形成し、回転翼605を直方体状に形成して、回転体604の半径方向外側両端部から下方に向けて延びるように設けることも可能である。図16及び図17に示すように、第一実施形態と比較して回転体604及び回転翼605の構造が異なる。ここで、第一実施形態と同一の番号を付した部分は第一実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。
【0049】
回転体604は、平面視略矩形状に構成されており、回転軸3の下端に設けられている。回転体604の平面中心から長手方向に回転体内通路643が設けられており、図示せぬ連結孔と連結されている。回転体内通路643の半径方向外側の端部は、回転翼605に設けられた後述する回転翼内通路651と連結されている。
【0050】
また、回転翼605は高密度複合体で構成されており、直径数μm〜数十μmの細かな孔を多数有している。また、前記高密度複合体は導電体であり、回転翼605から発生する気泡は負の電荷が帯電される。言い換えれば、導電体である回転翼605を通過する際に超微細気泡に自由電子が付加されることにより、負の電荷が帯電するものである。この負の電荷により、気泡同士が互いに反発し、合体して大きな気泡になることを防ぐことができる。
【0051】
また、2つの回転翼605は、直方体状に形成されており、その上端が回転体604の下面に連結されている。回転翼605の内部には回転翼内通路651が設けられている。回転翼内通路651の一端は回転体内通路643と連結されている。回転軸内通路31、回転体内通路643、及び回転翼内通路651の各接続部分は密閉されており、液体の内部への侵入を防ぐ。
また、各回転翼605は、回転翼605の平面視中心を回転中心として角度を変更することができる。このように構成することにより、回転翼605を回転させて角度を変更することで、回転翼605の作り出す水流の方向を調整することができる。
また、回転翼605同士が、その下端に設けられた固定具606により固定されている。このように構成することにより、回転翼605が揺動するのを防止することができる。
このように構成することにより、回転翼605によって水流を効率的に起こすことができ、超微細気泡を下方に送ることができる。
【0052】
以上のように、超微細気泡発生装置1は、モータ2と、モータ2と連結されており、中央部に回転軸内通路31を設けた回転軸3と、回転軸3の下部に回転軸3と相対回転不能に設けられた少なくとも一以上の回転体4と、回転体4の端部に設けられ、高密度複合体で構成された回転翼5と、回転軸3の回転運動を往復運動に変換するためのクランク機構6と、クランク機構6を介して回転軸3と連結されたエアシリンダ7と、を備え、前記モータは、回転速度を変化させるインバータ23を備え、エアシリンダ7の摺動速度と回転体4の回転速度とを対応させたものである。
このように構成することにより、回転翼5を高密度複合体で構成したので、粒径の小さな超微細気泡を発生させることができ、回転翼5を回転させることで、超微細気泡が発生した瞬間に回転翼5から離間させることができる。したがって、簡易な方法で粒径の小さな超微細気泡を発生させることができる。また、回転翼5の回転速度に比例して超微細気泡発生量が増減することにより、回転速度に適した超微細気泡を効率よく発生させることができる。また、回転翼5を高密度複合体で構成したので、膨張及び収縮による劣化がなく、無機質の素材であるため経時変化による腐蝕がないことから、超微細気泡発生装置1の損傷や劣化を防ぐことができる。また、エアシリンダ7は簡易な構造でありメンテナンスの必要性が小さい。したがって、耐久性が高くなりメンテナンス費用を省くことが可能となる。また、エアシリンダ7は、普及品であるから部品調達が容易であり、調達コストを省くことが可能である。また、回転体4及び回転翼5を回転させることにより、下向きの水流を起こし、超微細気泡の浮力の小さい性質を利用して、超微細気泡を容易に下方まで送ることができる。したがって、簡易な方法で粒径の小さな超微細気泡を発生させることができる。
【0053】
また、クランク機構6は、回転板61と連結部材62とを備え、連結部材62の回転中心からの偏心量を調整可能に構成したものである。
このように構成することにより、エアシリンダ7内の圧縮時の部屋の容積を変更することができ、エアシリンダ7から圧送される空気の圧力を変更することができる。したがって、簡易な方法で粒径の小さな超微細気泡を発生させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 超微細気泡発生装置
2 モータ
3 回転軸
4 回転体
5 回転翼
6 クランク機構
7 エアシリンダ
23 インバータ
61 回転板
62 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータと連結されており、中央部に回転軸内通路を設けた回転軸と、
前記回転軸の下部に回転軸と相対回転不能に設けられた少なくとも一以上の回転体と、
前記回転体の端部に設けられ、高密度複合体で構成された回転翼と、
前記回転軸の回転運動を往復運動に変換するためのクランク機構と、
前記クランク機構を介して前記回転軸と連結されたエアシリンダと、
を備え、
前記モータは、回転速度を変化させる速度可変機構を備え、
前記エアシリンダの摺動速度と前記回転体の回転速度とを対応させた、
超微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−11355(P2012−11355A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152323(P2010−152323)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(508231256)株式会社西研デバイズ (8)
【出願人】(504077308)
【Fターム(参考)】