説明

超微細粉末又はナノサイズ粉末を組み込んだ不織媒体

【課題】超微細粉末又はナノサイズ粉末を組み込んだ不織媒体の提供。
【解決手段】本発明は、流体流の繊維構造体であり、該流体流は、非対称の細孔を生成す
るようにマトリクスに配列されているナノアルミナ繊維と第2繊維の混合物であって、結
合剤を使わずに、粉末活性炭のような微粒子、超微粒子又はナノサイズ粒子が付着されて
いる。粉末活性炭を含有する繊維構造体は、流体流からの汚染物質を阻止する。本発明は
、繊維構造体の製造及び使用する方法でもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
この出願は、2005年9月12日に出願され、「静電気エアフィルタ」と題された米
国仮特許出願第60/716,218号の優先権を主張する、2006年9月12日に出
願され、「静電気エアフィルタ」と題された米国特許出願第11/531,107号の一
部継続出願である。この出願は、2006年3月31日に出願され、「金属含浸ナノアル
ミナ繊維組成物」と題された米国仮特許出願第60/744,043号の優先権も主張す
る。
【0002】
<政府権利の陳述>
本発明は、米空軍契約FA8650−0−05−Ms5822により支援されている研
究プロジェクトの結果によって作られた。したがって、政府は、本発明に一定の権利を有
する。
【0003】
<発明の分野>
本発明は、ナノ粒子に関し、特に、不織構造用に接着剤を使うことなく不織フィルタ媒
体にナノ粉末を使用して、水、空気及びガスから汚染物質を濾過するものである。
【背景技術】
【0004】
<背景>
ナノテクノロジーの分野及びナノサイズ粒子の使用は、急速に伸びている。特に、ナノ
粉末は、研磨材(例えばタングステンカーバイド)や、紫外線吸収材(例えばチタニウムや
酸化亜鉛)として開発されている。さらに、生物学的機能をナノ構造中で設計すること(ナ
ノバイオテクノロジー)に、より大きな関心及び投資が行なわれている。小粒子、特に超
微細ナノ粒子は、粗粒子に比べて、優れた、予期せぬ吸着作用を有している。この改良さ
れた反応性は、一層高い表面積と、より活性な表面によるものである。膜のような基材上
又は繊維上にナノ粉末を構成することは、先進的な用途へ、これらを最良に利用するため
に必要とされることがある。したがって、ナノ粒子を不織繊維の構成媒体に固定すること
が望まれており、高速方法によるナノ複合材料の製造が実用的である。
【0005】
残念なことに、ナノ粒子は、小さすぎて通常の織布(web)では捕獲できない。なぜなら
、ナノ粒子は、凝集する傾向があり、流体を濃くすると、ナノ粒子が支持する織布を通り
抜け難くなり、それによって、ナノ粒子が失われることとなるためである。このため、例
えば従来の高速で低コストの製紙技術によって、ナノ粒子を含有する媒体を製造すること
は不可能である。結合剤を使ってナノ粒子を媒体中の繊維構造体に付着させることは可能
であるが、結合剤は、ナノ粒子を容易に覆い、それによって、ナノ粒子が部分的又は完全
に非活性化され、意図された機能が大きく損なわれる。
【0006】
従来技術では、ガス流(fluid streams)から汚染物質を除去、濾過又は捕獲する多種類
の材料が提示されている。これらのフィルタは、設計された用途ではかなりの効果がある
が、高性能用途に必要なレベルの効果を提供しない。現在、フィルタ媒体は、高濾過率、
高い汚れ保持力、低い圧力降下、低コスト、より大きな耐久性、改良された耐化学性、粉
塵(即ち、濾過流へのフィルタ媒体粒子の放出)発生ゼロ(noparticulation)、及び圧力振
れに対処する機械的強度を提供するが期待されている。吸収剤粒子がより小さくなると、
より優れた吸着効率を提供するが、フィルタ内の圧力降下は犠牲にされる。
【0007】
粒状触媒は、液体及びガスの浄化に使用される。それらの反応性は、液体又はガス流に
曝される触媒の外部表面積に大きな影響を受ける。サイズが僅かナノメートルのプラチナ
や他の貴金属触媒は、一般的に、セラミックビード、ハニカム状セラミック構造を含むこ
とがある吸着媒体上や、活性炭や活性アルミナのような粗い顆粒上に分散される。
【0008】
活性炭は、よく知られている吸収材粒子である。それは、直径が約0.2〜20nmの
細孔を有している。活性炭が吸収材粒子として有用であるのは、その小孔寸法が、粒子内
外に連繋した多数の活性吸着部位を有しており、単位重量当たりの大きな表面積をもたら
すからである。同時に、細孔の寸法は、顆粒を通る種々の流体(fluid species)の拡散率
への影響が大きい。概して、吸着剤媒体内の様々な流体の拡散率は、そのような吸収媒体
によって吸着される流体分子の平均自由行程によって決定される。そのような吸着剤中の
細孔が小さければ小さいほど、平均自由行程が長くなり、拡散速度が遅くなる。それゆえ
に、活性炭中の小孔は、多孔性の小サイズの極めて曲がりくねった通路へ様々な流体が侵
入することを抑制する。粒径が小さくなると、実質的に経路長は短くなり、それによって
、何れかの吸着物が構造内の吸収部位に到達するために必要となる時間が低減される。こ
れは、流体流から汚染物質を除去する濾過効率を大きくする結果をもたらす。
【0009】
粒状活性炭(GAC)の使用は、飲料水を含む浄水用途と、製薬産業や飲料製造を含む多
くの産業用途で知られている。飲料水では、GACは、溶解された有機物(その多くは中
毒性又は発癌性である)と塩素を吸収するために使用される。空気浄化では、GACは、
病院、研究室レストラン、動物施設、図書館、空港、商業ビル及び呼吸装置内の臭気、ガ
ス状汚染物質及び蒸気状汚染物質をコントロールするために使用される。GACは、空気
流から揮発性有機化合物を除去するために含まれることが多い。このアプローチの不利点
は、これらのフィルタが大きな格子間空間を有しており、フィルタにより、極めて低い圧
力降下を呈することになることである。その結果として、これらのフィルタは、揮発性汚
染物質と同様に、小粒子の捕獲に全く役に立たない。これらのフィルタの細孔径を、フィ
ルタを通り抜ける空気中の粒子の大部分(計算による)を捕獲するために十分に小さくする
と、フィルタは、圧力降下が極めて高くなる(即ち、非常に高い流れ抵抗を示す)から、強
制的に空気を加熱するユニットと併用することができない。さらに、非常に小さい細孔径
を有するフィルタは、上流の表面上の残屑が堆積することで、容易に且つ急速に詰まり、
極めて高い勾配圧力を与えていない空気を通すと、フィルタ能力の急激な減退を引き起こ
す。GACは、充填層中で、ルーズな状態の顆粒として使用されることが多い。しかしな
がら、炭素層は、ルーズな粒子が移動して、層のチャネリング及び目詰まり(clogging)を
引き起こすから、有用なフィルタ構造に設計することは困難である。
【0010】
繊維構造の媒体は、フィルタとして幅広く利用されている。GACのような粒状層と比
べて、繊維構造体は、チャネリングを最小限にし、フィルタ設計に有意な変更を許容して
おり、製紙などの低コストな組立法によって製造することができる。
【0011】
粉末活性炭(PAC)は、一般的にGACより優れた吸着反応速度を有すると認識されて
いるが、高い外部表面積を有し、ほぼ同等のヨウ素価(iodine numbers)を有している。し
かしながら、PACを不織マトリクスに組み入れるには、それを繊維マトリクスに接着す
るために接着剤が必要であり、粒子の表面の一部が接着剤によって汚染されるため、少な
くとも幾つかの粒子は濾過効果がなくなるから困難であることが先行技術で報告されてい
る。この汚染を最小限にするために、接着剤とPACの粒子との間の接点を最小にするた
めに大きい粒子が使用されることがある。例えば、ガス用途では、約100ミクロン以上
の粒径を有するPACの使用が知られている。液体用途へのPACの使用は、大抵、脱色
用途に限定される。活性炭素に、炭素には容易に物理的に吸着しない汚染物質を除去又は
変更するような、触媒や化学吸着剤を含む様々な化合物を含浸させることが当該分野で知
られている。例として、ASC Whetleriteは、塩化シアン、シアン化水素及びアルシン
のような化学兵器剤を吸収及び破壊する、銅、クロム及び銀塩を含浸した活性炭素から構
成される。銅及びクロム(現在はトリエチレンジアミン(TEDA)と置換されている)は、
塩化シアンとシアン化水素に対しては化学吸着剤として作用し、銀は、触媒作用により、
アルシンを酸化物にする。その他の実施例において、活性炭素には、活性炭素の能力を高
め、アンモニアを吸着するためにクエン酸を含浸させたり、硫化水素を除去するために、
水酸化ナトリウムや他の苛性化合物のような水酸化物を含浸させている。原子核場では、
活性炭素の幾つかの層を有するフィルタに、ヨウ化カリウム(KI)を含浸させ、アイソト
ープが空気への偶発的な放出した場合に、放射性ヨードに変換することが知られている。
【0012】
触媒寿命は、顆粒又は粉末の表面に沈着している有害物によって制限を受ける。体積に
対する表面積比が顆粒触媒より高い粉末触媒は、汚染され難い。さらに、粉末触媒のサポ
ートとして使用される不織媒体は、高い反応度と、低減された層深さと、可撓性構造をも
たらし、自由設計を許容する。したがって、粉末触媒を、結合剤を使用せずに、十分な強
度を有する繊維構造体に結合し、流体流(fluid stream)又はガス流に入る触媒の損失を最
小限にする必要がある。
【0013】
フィルタ能力は、吸着剤のパッキング又はチャネリングによって、吸着剤顆粒が互いに
対して摩擦する結果低下する。不織フィルタは、吸着剤が、結合剤を使用せずに、構造内
で分散及び収容されており、濾過機能を向上させる。上記のことから、消費者や個人ユー
ザの間では、超微粒子及びナノサイズ粒子を保持する不織繊維構造体への要請がある。不
織構造を含む媒体は、小粒子、可溶性水質汚染物質、及び揮発性空気汚染物質を保持する
ための高い効率を有することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
<発明の要旨>
本発明は、これらの要請に対応するものである。一実施例において、本発明は、ガス状
媒質のための新規な粒子フィルタ又はフィルタ媒体であって、液体エアロゾル化された粒
状物質を含み、空気流又はガス流からの病原体及び他の粒状物質を阻止する一方、圧力降
下が低い、高効率で高容量の粒子フィルタへの要請を満足させるものである。
【0015】
別の実施例において、本発明は、結合剤又は接着剤を使用せずに、微粒子又はナノ粒子
を保持する不織繊維媒体への要請を満足させるものである。
したがって、本発明の一実施例における目的は、少なくとも従来のHEPAフィルタと
同じくらい高いものであり、液体エアロゾルの目詰まりが起き難い、フィルタ効率を提供
することである。
【0016】
本発明の一実施例における別の目的は、エアロゾル化された細菌及びウイルスを濾過す
る媒体を提供することである。
本発明の一実施例におけるさらなる目的は、高い空隙率を有し、これにより、従来のフ
ィルタ材料より水性ミストの吸収への耐性が高いエアフィルタを製造することである。
本発明の一実施例におけるさらなる目的は、少なくとも従来のULPA又はスーパーU
LPAフィルタと同じくらい高いフィルタ効率を有する媒体を提供することである。
【0017】
本発明の一実施例におけるさらなる目的は、圧力降下が、従来のフィルタで起きる低下
より低いフィルタ媒体を提供することである。
本発明の一実施例におけるさらなる目的は、HEPAフィルタより細孔径が大きく、空
隙率が高いフィルタ媒体を提供することであって、これにより、冠水する前に水滴に対し
て高い収容力を提供するものである。
本発明の一実施例におけるさらなる目的は、エネルギー効率の良いフィルタ媒体を提供
することである。
【0018】
本発明の一実施例におけるさらに別の目的は、従来のフィルタと比べて長いフィルタ寿
命を有するフィルタ媒体を提供することである。
本発明の一実施例におけるさらなる目的は、メンテナンスコストが低いフィルタ媒体を
提供することである。
本発明の一実施例におけるさらに別の目的は、有害廃棄物質を濾過し、それに関連する
コストが最小限である、フィルタ媒体を提供することである。
本発明の一実施例におけるさらに別の目的は、プリーツ加工に耐えられるほど強いフィ
ルタ媒体を提供することである。
【0019】
本発明の一実施例における別の目的は、少なくとも従来のHEPAフィルタと同じくら
い高いものであり、液体エアロゾルの目詰まりが起きにくいフィルタ効率で、ガス状媒質
を濾過するフィルタ又はフィルタ媒体の製造方法を提供することである。
本発明の一実施例におけるさらに別の目的は、ガス状媒質から微粒子とエーロゾルを除
去するために、フィルタ又はフィルタ媒体を使用する方法提供することである。
本発明の一実施例における別の目的は、低製造コストで製造されたナノ構造中に、不織
繊維マトリクスを提供することである。
【0020】
本発明の一実施例におけるさらなる目的は、高効率、高容量で圧力降下の低い状況で、
流体流及びガス流から、可溶性及び揮発性の有機物及びハロゲンを除去する不織媒体を提
供することである。
本発明の一実施例におけるさらに別の目的は、流状媒体から、微生物病原体を含む微粒
子も濾過する化学吸着媒体を提供することである。
本発明の一実施例におけるさらなる目的は、触媒又は粉末活性炭を不織構造の骨格(sca
ffold)に付着させることによって、不織媒体に、光触媒、酸化触媒又は、触媒が含浸され
た粉末活性炭を含む粉末状ナノサイズ触媒を組み入れることである。
【0021】
本発明の一実施例におけるさらなる目的は、ダスティング(dusting)を最小限にするた
めに媒体を持つ、超微細又はナノサイズ粉末を含む不織媒体をすることである。
本発明の一実施例におけるさらに別の目的は、微粉状又はナノサイズイオン交換樹脂と
マクロ多孔性ポリマーを不織媒体に組み入れることである。
本発明の一実施例におけるさらなる目的は、DNA又はRNAのような生物活性成分を
不織媒体に組み入れることである。
本発明の一実施例における別の目的は、ナノサイズ色素と、色素反応化学薬品と、微細
な研磨剤を、不織媒体に組み入れることである。
【0022】
一般的に、本発明は、流体用のフィルタ又は繊維構造体であって、流体から粒子を吸収
するナノアルミナ繊維と、ナノアルミナ繊維に対してマトリクスとなり、非対称の細孔を
生成する複数の第2繊維とを含んでいる。一実施例において、第2繊維は、小さい側の寸
法(小寸法:minordimension)が、ナノアルミナ繊維の小寸法より約1けた大きい繊維か
ら構成される。第2繊維は、ナノアルミナ繊維が分散する細孔又は大きい繊維間スペース
を生成する骨格を提供するために、ナノアルミナ繊維とともに含まれている。一例におい
て、非対称の細孔のサイズは、約5mm以上である。一実施例において、複数の微粒子、
超微粒子及びナノサイズ粒子は、ナノアルミナ繊維上に沈着され、流状媒体からの汚染物
質の除去を改善する。
【0023】
粗繊維は、大きな細孔が提供又は形成され、その中又は上にナノアルミナ繊維が分散さ
れる。しかしながら、粗繊維は、単位体積又は質量当たりの表面積が少ないから、細孔中
又は上に分散されるナノアルミナの量は有意に低減する。それゆえに、別の実施例におい
て、第2繊維は、粗繊維と細繊維の組み合わせから成っている。細繊維を含めることで、
表面積を追加でき、より多くのナノアルミナ繊維を媒体に装着できる。
【0024】
理論により縛られることを望むものではないが、フィルタ媒体の平均細孔径より小さい
直径を有する超微粒子とナノサイズ粒子は、ナノアルミナ繊維に作用する電気吸着力によ
って保持される。媒体の細孔径より大きい粒子は、主として機械的エントレインメントに
よって保持される。ナノアルミナ繊維上に沈着した粒子を包む、或いは鈍感にする繊維構
造体には、結合剤を使用していない。
【0025】
別の実施例において、本発明は、フィルタ媒体又は繊維構造体を製造する方法に関する
ものである。
別の実施例において、本発明は、ナノアルミナフィルタ媒体を使用し、流体流から毒性
汚染物質やその他の粒状物質を除去する方法に関するものである。
【0026】
本発明のこれら及びその他の詳細、目的及び利点は、下記の説明、実施例及びその実施
例を示す図から、よりよく理解され、明白になるであろう。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
流体フィルタであって、
a.ナノアルミナ繊維、及び
b.該ナノアルミナ繊維と混合された第2繊維であって、非対称の細孔を生成するよう
に配列されている第2繊維、
を含んでいる流体フィルタ。
(項目2)
第2ナノ繊維は、粗繊維と細繊維の組み合わせからなる項目1に記載のフィルタ。
(項目3)
非対称の細孔は、平均細孔径約が5μmより大きい項目1に記載のフィルタ。
(項目4)
第2繊維は、マイクロガラス繊維、セルロース繊維、繊維状構造のセルロース繊維及び
リヨセル繊維からなる群から選択される項目1に記載のフィルタ。
(項目5)
繊維構造体であって、
a.ナノアルミナ繊維、
b.該ナノアルミナ繊維と混合された第2繊維であって、非対称の細孔を生成するよう
に配列されている第2繊維、及び
c.前記ナノアルミナ繊維上に配置された複数の粒子、
とを含んでいる繊維構造体。
(項目6)
ナノアルミナ繊維は、アスペクト比が約5より大きく、小さい側の寸法が約50nm未
満である項目5に記載の繊維構造体。
(項目7)
第2繊維は、マイクロガラス繊維、セルロース繊維、繊維状構造のセルロース繊維及び
リヨセルからなる群から選択される項目5に記載の繊維構造体。
(項目8)
第2繊維は、夫々ナノアルミナ繊維の平均直径の約10倍以上の直径を有している請求
項5に記載の繊維構造体。
(項目9)
前記各粒子は、約50μm未満の直径を有している項目5に記載の繊維構造体。
(項目10)
粒子は、微粒子、超微粒子及びナノサイズ粒子からなる群から選択される項目5に記
載の繊維構造体。
(項目11)
粒子は、吸着剤、イオン交換樹脂、触媒及び金属酸化物からなる群から選択される請求
項5に記載の繊維構造体。
(項目12)
吸着剤粒子は、粉末活性炭、貴金属、高分子有機物、生体化合物及び抗菌剤からなる群
から選択される項目11に記載の繊維構造体。
(項目13)
金属酸化物粒子は、ヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、ナノ酸化亜鉛及びナノ酸
化チタンからなる群から選択される項目11に記載の繊維構造体。
(項目14)
粒子は粉末活性炭である項目5に記載の繊維構造体。
(項目15)
粉末活性炭は含浸される項目14に記載の繊維構造体。
(項目16)
含浸材は触媒である項目15に記載の繊維構造体。
(項目17)
触媒は酸化触媒である項目11に記載の繊維構造体。
(項目18)
金属酸化物はサブミクロンサイズである項目11に記載の繊維構造体。
(項目19)
繊維構造体は、液体、ガス又は空気媒体から汚染物質を除去するために使用される請求
項5に記載の繊維構造体。
(項目20)
汚染物質は、少なくとも1の粒子状物質を含んでいる項目19に記載の繊維構造体。
(項目21)
少なくとも1の粒子状物質は、サブミクロン粒子を含んでいる項目20に記載の繊維
構造体。
(項目22)
繊維構造体を製造する方法であって、
a.ナノアルミナ繊維を形成するステップ、
b.複数の第2繊維を、第2繊維の存在下でナノアルミナ繊維と混合するステップ、
c.複数の非対称の細孔を形成するステップ、及び
d.複数の粒子を該混合物に加えるステップ、
を含んでいる、繊維構造体の製造方法。
(項目23)
方法は、混合物から水を除去し、不織構造を形成するステップをさらに含んでいる請求
項22に記載の方法。
(項目24)
繊維構造体を使用する方法であって、該構造は、複数のアルミナ繊維が、複数の第2繊
維と混合され、これらの間に非対称の細孔が生成されており、アルミナ繊維上に複数の粒
子が配置されたものであって、該使用方法は、
a.流状媒体を該繊維構造体に通すステップ、及び
b.流状媒体から汚染物質を除去するステップ、
を含んでいる繊維構造体の使用方法。
(項目25)
汚染物質は、ハロゲン及び少なくとも1つの微生物病原体からなる群から選択される請
求項24に記載の使用方法。
(項目26)
医療用構造体であって、
a.ナノアルミナ繊維、
b.該ナノアルミナ繊維と混合された第2繊維であって、非対称の細孔を生成するよう
に配列されている第2繊維、及び
c.該ナノアルミナ繊維上に配置された複数の粒子、
を含んでいる医療用構造体。
(項目27)
粒子は、微粒子、超微粒子及びナノサイズ粒子からなる群から選択される項目26に
記載の医療用構造体。
(項目28)
粒子は、吸着剤、薬剤及び抗菌剤からなる群から選択される項目26に記載の医療用
構造体。
(項目29)
粒子は粉末活性炭を含んでいる項目26に記載の医療用構造体。
(項目30)
医療用構造体は創傷被覆材である項目26に記載の医療用構造体。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】フィルタを横切る圧力降下の関数として、特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタ及びHEPAフィルタを通る気流速度を示すグラフ図である。
【図2】特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタ及びHEPAフィルタを通る水中に懸濁している0.2μmラテックス球の濾過中に体積の関数として、濁度を示すグラフ図である。
【図3】特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタ及びHEPAフィルタを、0.3μmNaClエアロゾルで連続的に試行する際の透過を示すグラフ図である。
【図4】特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタ及びHEPAフィルタを、0.3μmNaClエアロゾルで連続的に試行する際の空気抵抗を示すグラフ図である。
【図5】0.5及び1μmラテックス球で前処理されている、特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタを通る気流速度対圧力降下を示すグラフ図である。
【図6】0.3μmNaClエアロゾルで透過された場合における、ラテックスビーズで前処理された特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタの透過と、前処理なしのナノアルミナフィルタ及びHEPAフィルタとの透過を比較するグラフ図である。
【図7】ラテックスビーズで前処理された特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタの空気抵抗と、前処理なしのナノアルミナフィルタ及びHEPAフィルタの透過を示すグラフ図である。
【図8】特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタ及びHEPAフィルタへの0.3μmNaClエアロゾルの透過を示すグラフ図である。
【図9】NaClエアロゾル性能テストにおける特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタ及びHEPAフィルタの空気抵抗を示すグラフ図である。
【図10】エアロゾル化されたKCl液滴の粒径の関数として、特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタの分別効率を示すグラフ図である。
【図11】特許請求の範囲に記載されている銀を含浸するナノアルミナフィルタが、細菌増殖に及ぼす抗菌効果を示すグラフ図である。
【図12】特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタを、水媒介性細菌エアロゾルで連続的に試行する際の透過をグラフで描いた図である。
【図13】圧力降下と細孔径の間の関係を、繊維径の関数として示すグラフ図である。
【図14】特許請求の範囲に記載されているナノアルミナフィルタ媒体とサブHEPAフィルタの圧力降下を比較する図である。
【図15】シリカのナノ粒子によって包まれたマイクロガラス繊維上のナノアルミナ繊維の透過型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図16】特許請求の範囲に記載されているナノアルミナ繊維による可溶性ヨウ素の吸着と、活性炭を含有する市販の媒体による吸着を比較するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<詳細な説明>
<定義>
特許請求の範囲に記載されている発明の開示を適切に理解するために、ここで使用され
る特定の用語について以下の段落で説明する。発明者は、以下の用語を記載しているが、
発明者は、これらの用語の一般的且つ慣用的な意味を否定することを意図するものではな
い。
【0029】
ここで使用される用語「静電気」は、電荷又はそれに関するものと規定される。
ここで使用される用語「アスペクト比」は、繊維の長手方向長さと繊維の断面直径の比
と規定される。
【0030】
ここで使用される用語「ナノアルミナ」は、アスペクト比が約5以上で、最小寸法が約
50nm未満である繊維と規定される。繊維の断面は、円形(円筒形繊維)でも矩形(プレ
ートレット)でもよい。繊維は、アルミナと、様々な量のAl(OH)3を含むAlOOHを
主とする組成物を生じる様々な内容の化合水と、ガンマ及びアルファアルミナの予想され
る不純物から成っている。
ここで使用される用語「リヨセル」は、ヒドロキシル基の置換が行われず、化学中間物
が形成されない有機溶液から沈殿した、繊維状構造のセルロース繊維(Courtaulds, Ltd.)
を意味する。
【0031】
用語「超高性能濾過空気」(HEPA)は、0.3μm粒子>99.97%を保持すること
ができるフィルタ媒体の品質等級を意味する。
用語「ウルトラ低透過空気」(ULPA)は、特定の媒体速度において特定の粒径>99
.99%を保持できるフィルタ媒体の品質等級を意味する。
用語「スーパーULPA」は、特定の媒体速度において特定の粒径>99.9999%
を保持できるフィルタ媒体の品質等級を意味する。
【0032】
ここで使用される用語「吸着剤」は、主に物理吸着によって不純物を吸着できる任意の
材料であると規定される。
用語「吸収剤」は、その内部構造に材料を引き込むことができる任意の物質であると規
定される。
用語「汚染物質の削減」は、流体中の不純物の減衰であると規定され、流体をヒト用に
より安全にし、産業上の利用により有用にすることなどによって、流体の統一性を改善す
るために、不純物は、阻止され、除去され、化学的又は生物学的に不活性にされる。
用語「ナノセラム(NanoCeram)」は、ナノアルミナ繊維と粗繊維の混合物を意味し、粗
繊維は、非対称の細孔を有するアレイを生成するために、ナノアルミナ繊維の足場を担う

【0033】
「微粉」は、平均粒径がおよそ100メッシュ未満、望ましくは325メッシュ(44
μm)未満の粉末と規定される。
「超微粉」は、平均粒径が0.1〜10μmである粒子と規定される。
「ナノ粒子」は、平均粒径が0.1μm未満の粒子であると規定され、例として、核酸(
例えばDNAやRNA)、タンパク質、低溶解度又は半揮発性薬剤、高分子粒子、機能性
高分子、改変された官能性を含むリガンド、カーボンチューブが挙げられるが、それらに
限定されるものではない。
「微生物」は、流体中に懸濁されている可能性がある任意の生体であると規定され、例
として、細菌、ウイルス、菌類、原生動物、それら生殖型、例えば嚢胞や胞子が挙げられ
るが、それらに限定されるものではない。
【0034】
「紙」又は「紙状」は、概ね平らな、繊維層又は、ウエットレイド法(wet laid proces
s)によって形成されたマット材料であると規定される。
「粒子」は、固体又はマイクロカプセル化した液体であり、コロイドからマクロまでの
範囲のサイズを有するものと規定される。
「吸着剤」は、流体流から汚染物質を除去できる任意の粉末粒子であると規定され、汚
染物質を、有害性が低い別の形態に変換できる触媒を含んでいる。用語「吸着剤」は、粉
末触媒又は、活性炭素のような固体粉末又は顆粒サポート上に含浸された触媒も含んでい
る。
「医療用構造体」は、感染、創傷保護などのような医療用途に有用な不織媒体であると
規定される。
【0035】
一実施例において、本発明は、流状媒体から、液体及び特に水性エアロゾル化された粒
子を含む粒子を除去するフィルタ媒体を提供するものであり、流状媒体がフィルタ媒体を
通過することで、流状媒体に含まれる汚染物質を低減するものである。実施例において、
粒子は、病原体、例えば、細菌、ウイルス、菌類、うどん粉菌、有機物、無機物、微生物
、炭素質粒子、金属加工流体ミスト、塗料ミスト、殺虫剤、インクミスト又は酸性ミスト
である。例えば、流状流は、水性エアロゾル化された粒子のような液状エアロゾルかされ
た粒子を有している。実施例において、フィルタ媒体は、不織静電気媒体である。フィル
タ媒体は、第2繊維と混合されたナノアルミナ繊維を含んでいる。一実施例において、ナ
ノアルミナは非球形である。第2繊維は、非対称細孔を生成するように、縦横に配列され
ている。一実施例において、微細金属アルミニウム粉末は、第2繊維と反応し、静電気媒
体を形成する。反応は、アンモニアを、アルミニウムと第2繊維の混合物に添加すること
によって行なわれる。混合物は、水の沸点まで加熱される。別の実施例において、アルミ
ニウムは、第2繊維の存在下で、高温及び高圧の条件の下で加熱され、静電気媒体が形成
される。反応は、約175℃及びおよそ5バールで、約30分間行なわれる。
【0036】
第2繊維は、プリーツ加工に耐えられるほど強い繊維であって、例えば、マイクロガラ
ス、セルロース、繊維状セルロースがある。一実施例において、第2繊維は、小寸法が、
ナノアルミナ繊維の小寸法より少なくとも約1けた大きい。空気又はガスフィルタの実施
例において、平均細孔径は、約4〜約48μmの範囲である。平均細孔径は、約10μm
より大きいことが望ましい。平均細孔径は、約20μmより大きいことがより望ましい。
通常、細孔径は、第2繊維の直径と関係がある。それゆえに、小直径を有する複数の第2
繊維は、小さな細孔径を有する複数の非対称細孔を生成する一方、大直径を有する複数の
第2繊維は、比較的大きな細孔径を有する複数の非対称細孔を生成することとなる。例え
ば、表1及び図13を参照のこと。しかしながら、第2繊維の直径が大きくなるにつれ、
単位体積に対する表面積は減少し、結果として、第2繊維上及び/又は細孔内に分散され
るナノアルミナ繊維は、非常に少なくなる。したがって、望ましい実施例では、複数の第
2繊維は、複数の粗繊維と複数の細繊維の組み合わせを包含する。細繊維は、全てがほぼ
同様の平均直径を有することもできるし、幾つかの細繊維が、異なった直径を有すること
もできる。細繊維を含めることにより、対応する細孔径の低減がもたらされる。例として
、表1及び図13を参照のこと。
【0037】
細孔径により、フィルタ媒体を横切る圧力降下が決定される。望ましい実施例では、圧
力降下は、最終複合フィルター又は濾過ユニットについて、流速約3.2m/分にて、約
35mmH2Oより小さい。
一実施例において、請求項に記載のフィルタ媒体は、粒子状吸着剤、望ましくは、フィ
ルタ媒体に添加されるコロイド状粒子をさらに含む。揮発性有機体、神経系に作用する物
質又はマスタードガスを吸着するには、活性炭を、微粉(例えば、約1μm程度に小さい
サイズを有し、平均サイズが約28μmである粒子)として添加することで、一般的な大
きな顆粒炭素より速い吸着をもたらす。
一実施例において、請求項に記載のフィルタ媒体は、結合剤をさらに含んでいる。結合
剤は、繊維形状(InvistaT104)を有するか、Rohm又はHaas Rhoplex HA-16のような樹脂と
することができる。結合剤は、粒子を構造体に接着するために必要不可欠ではないが、結
合剤を含めることにより、フィルタ媒体の強度及び/又はプリーツ加工性が向上する。
【0038】
一実施例において、フィルタ媒体は、複数のナノアルミナ及び第2繊維と混合される抗
菌薬剤をさらに含んでいる。製造中、スラリーが作られた後、混合物がスクリーン上に濾
過される前に、抗菌薬剤が、ナノアルミナ繊維に添加及び吸着され、該繊維が抗菌薬剤と
して利用可能となる。一実施例において、抗菌薬剤は銀である。他の実施例において、銅
や亜鉛のようなイオンは、何れも抗菌薬剤として銀と相乗して作用する。さらに別の実施
例において、銅や亜鉛のようなイオンは、抗菌薬剤として単独で作用する。
本発明の一実施例において、フィルタ媒体は、ナノアルミナ繊維が病原体やその他の材
料などの粒子を捕獲するように帯電される。一実施例において、フィルタ媒体は、均質な
不織フィルタである。
【0039】
一実施例において、流状媒体は、流状媒体に複数の粒子を通って流すことによって、前
処理又は前調整される。粒子は、約0.3〜約1.5μmの範囲の直径を有することができ
る。これらの粒子を含めることにより、複数の非対称細孔のうち最も大きな細孔のいくつ
かが少なくともブロックされ、フィルタ媒体を通る初期の漏れを低減する。さらに、前調
整は、フィルタ使用中、HEPA及びULPA機能を生成又は製造する助けとなる。一実
施例において、複数の粒子は、複数のラテックス球としているが、複数の粒子は、最も大
きな細孔の少なくともいくつかをブロックすることができれば、如何なる物質で作られて
もよい。
一実施例において、請求項に記載のナノアルミナフィルタ媒体は、少なくともHEPA
と同等にすぐれた保持効率を有している。別の実施例において、請求項に記載のナノアル
ミナフィルタ媒体は、少なくともULPAと同等にすぐれた保持効率を有している。
【0040】
別の実施例において、請求項に記載の発明は、ナノアルミナ流体フィルタを製造する方
法である。製造方法は、複数の第2繊維の存在下でナノアルミナ繊維を形成するステップ
を含んでいる。第2繊維は、複数の非対称の細孔を形成するように配置される。一実施例
において、ナノアルミナフィルタ媒体は、均質な単一層に形成される。別の実施例におい
て、ナノアルミナフィルタ媒体は、1層以上に形成される。さらに別の実施例において、
ナノアルミナフィルタ媒体は、プリーツ加工される。
【0041】
フィルタ媒体は濾過システムで使用することができる。使用中、空気流又はガス流は、
フィルタ媒体を通り抜け、粒子状物質は、フィルタ媒体中に粒子が保持されることで、空
気流又はガス流から除去される。一実施例において、流状媒体は、懸濁した水滴を含んで
いる。限定されるものではないが、フィルタの使用例として、室内空気濾過での使用、呼
吸器又は顔マスクでの使用、自動車用エアフィルタでの使用、無菌室での使用、手術室で
の使用又は、工業ミストに含まれる塗料又は他の特定物質を除去するためなど、工業環境
での使用が挙げられる。一実施例において、フィルタ媒体は、約75%RHより多い湿度
を有する環境で使用される。
【0042】
別の実施例において、本発明は、ナノテクノロジーで幅広い用途を有しており、繊維織
布内で分散及び含有が非常に困難な粒子を保持するための繊維構造体を提供する。実施例
において、分散した粒子は、流体流から汚染物質を除去することのできる吸着剤又は触媒
である。汚染物質の例として、ハロゲン化有機物のような有機化合物、殺菌剤及び揮発性
有機化合物が挙げられる。他の実施例において、汚染物質は、細菌及びウイルス、カビ、
菌類、うどん粉菌、有機物、無機物、微生物、炭素質粒子、金属加工流体ミスト、塗料ミ
スト、殺虫剤、インクミスト又は酸性ミストである。
【0043】
繊維構造体は、織布若しくは織物、又は、個々の繊維が不規則な様式で中間に配置され
た構造の媒体である。望ましくは、繊維構造体は、ウエットレイ(wet laying)によって作
成されるが、エアレイ(air laying)、メルトブロー(meltblowing)、スパンボンド(spumbo
nding)及びカーディング(carding)を含む当該分野でよく知られている他の方法によって
作成することもできる。繊維構造体は、上記のように第2繊維と混合し、第2繊維に付着
したナノアルミナ繊維を含み、ナノアルミナ繊維上に配置された複数の微粒子、超微粒子
又はナノサイズ粒子(下記でより詳細に説明する)をさらに含んでいる。第2繊維は、非対
称の細孔を生成するために、マトリクスに配列されている。上記の如く、微細金属アルミ
ニウム粉末は、第2繊維と反応し、繊維構造体を形成する。反応は、アンモニアをアルミ
ニウムと第2繊維の混合物に添加することによって行われる。混合物は、水の沸点まで加
熱される。微粒子、超微粒子又はナノサイズ粒子は、アルミニウム・水反応の前、沸点で
の水反応中、又は混合物が室温まで冷却された後の何れかに、混合物に添加される。得ら
れたファーニッシュ(フォーミュレーション)は、紙ハンドシート(apaper handsheet)を
形成する際、又は、湿式処理を介して不織媒体を形成することにおいてよく知られている
製紙機械や方法で、スクリーンの裏面に吸引力を与えることによって、繊維構造体に変換
される。
【0044】
複数の微粒子、超微粒子又はナノサイズ粒子は、ナノアルミナ繊維上に配置される。実
施例において、複数の粒子は、化学吸着剤、高表面積吸着剤、又は汚染物質を有害性が少
ない化合物に変換する触媒である。吸着剤の例として、活性炭;シリカ、シリケート、ア
ルミナシリケート、チタニウムシリケート鉛吸着剤、シリカゲル;ゼオライト;活性アル
ミナ;酸化チタンを含む金属及び金属酸化物;貴金属及び遷移金属触媒、例えばプラチナ
、パラジウム、銀及び銀酸化物、イリジウム、ロジウム及び金、銅活性二酸化マンガンの
ような触媒;骨炭;カルシウムヒドロキシアパタイト;マグネシア;パーライト;タルク
;高分子微粒子;クレー;イオン交換樹脂;セラミックス;及びそれらの組み合わせがあ
る。
【0045】
別の実施例において、複数の微粒子、超微粒子又はナノサイズ粒子は、RNA、マイク
ロポリマー又はナノサイズポリマー、DNAのような生物活性巨大分子、機能化巨大分子
又は、マイクロカプセル化染料のような、包まれた材料の放出を制御する物質のカプセル
の材料、不織創傷被覆材から放出される可能性がある薬剤、蒸発して吸息流になる可能性
がある薬剤、化学兵器のような毒剤を中和することができる薬剤である。
【0046】
別の実施例において、複数の超微粒子又はナノサイズ粒子は、活性炭である。粉末活性
炭を含む請求項に記載の繊維構造体は、市販の活性炭充填媒体に比べて、汚染物質のより
速い吸着をもたらす。粉末活性炭を含む請求項に記載の繊維構造体の例は、エアロゾルと
して又は給水の汚染物質を通じて送達される生物攻撃及び化学攻撃から、軍人と文官を保
護するために有用である。
一実施例において、繊維構造体は、創傷被覆材又は吸入器のような医療用途に使用され
る。
【0047】
別の実施例において、請求項に記載の発明は、繊維構造体を製造する方法である。製造
方法は、複数の第2繊維の存在下でナノアルミナ繊維を形成するステップを含んでいる。
第2繊維は、複数の非対称の細孔を形成するように配置される。複数の微粒子、超微粒子
又はナノサイズ粒子は、ナノ繊維上への処理用の混合物に添加される。一実施例において
、水は、混合物から除去される。一実施例において、繊維構造は、均質な単一層に形成さ
れる。別の実施例において、ナノアルミナフィルタ媒体は、1層以上に形成される。さら
に別の実施例において、ナノアルミナフィルタ媒体は、プリーツ加工される。
【0048】
使用中、流体流は、繊維構造を通過し、汚染物質は、汚染物質を繊維構造体内に保持す
ることによって、そこから除去される。請求項に記載の繊維構造体の使用の実施例は、飲
料水又は供給空気の精製を含むが、これらに限定されるものではない。特定の実施例とし
て、室内空気濾過システム内、呼吸器内、自動車用エアフィルタ内、無菌室内、手術室内
及び、工業ミスト中に含まれる塗料又は他の特定物質を除去するためなど、工業環境での
使用が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、請求項に記載の繊維構
造体は、生物学的作用物質、例えば、炭疽菌ウイルス、天然痘ウイルス、神経ガスのよう
な化学剤又は、放射能で汚染された爆発物、飲料水又は供給空気から送達される可能性の
ある物質などの放射線剤を除去するために有用である。核生物化学剤(NBC)を除去する
能力は、個人的な呼吸器や保護シェルター及び、薬剤の吸収作用から着用者を保護するこ
とができるNBCスーツに要求される。
【0049】
別の使用例において、ナノアルミナ/粗繊維複合体の層は、使用中に逃れる粒子又は汚
染物質を回収するために、請求項に記載の繊維構造体の下流に配置される。
【0050】
<本発明の実施例>
<エアフィルタ媒体の例>
下記の例は、本発明の幾つかの実施例を示している。これらの例は、限定するものと解
釈されてはならない。割合はすべて重量%である。細孔径を決定するための計算は、以下
の例で説明する。
【0051】
<例1>
以下に概略を説明する実験の目的は、HEPAとほぼ同等の圧力降下と、HEPAより
実質的に高い濾過効率を有するナノアルミナ媒体を開発することである。ナノアルミナフ
ィルタ媒体の水吸着性能と、公知のHEPAフィルタ媒体(以下「ドナルドソン(Donaldso
n)HEPAフィルタ」)の水吸着性を関連づけ、水吸着データを用いて空気濾過作用を最
適化するることも、実験の目的である。
【0052】
マイクロガラス混合物上のナノアルミナの24のスラリーは、ランダムな長さのマルチ
ホウケイ酸塩ガラス繊維ウール(Lauscha)の存在下で、100℃の水中で直径5μmのア
ルミナ粉末(ValimetCorp. #H-5)を反応させて製造した。ナノアルミナを含む不織繊維媒
体は、1×1フィートのシート型に形成し、結合剤としての役割を果たす17〜23%(I
nvista T104, 直径20μm、長さ1/2'')で強化した。Rhoplex結合剤も、液状で約2
重量%添加した。シートには、AF1〜AF24のラベルを付した。
【0053】
フィルタは、単一層とし、約5.6〜約23m/分の範囲の流速を有する空気流を用い
てテストした。濾過に利用できる表面積は、約8.2cm2であった。フィルタは、本発明
のナノアルミナ空気又はガスフィルタの特性を、浄水フィルタ及び従来のHEPAフィル
タと比較するために、ナノセラム(NanoCeram:登録商標)浄水フィルタ及びドナルドソン
HEPAフィルタと比較した。
【0054】
表1は、各ハンドシートとナノセラム及びHEPA媒体についての組成、孔隙率、圧力
降下及び平均細孔径を示している。図13も、テストしたナノアルミナフィルタの幾つか
についての細孔径及び圧力降下を示している。表1及び図13に示した各フィルタ媒体は
、単一層としてテストした。しかしながら、使用に際し、性能は、1層以上を積み重ねる
ことによって向上できる。
【0055】
表1に示すように、フィルタAF1〜AF12は、単一の平均直径、約0.6μm、約
1.5μm又は約2.5μmのマイクロガラス繊維と混合したナノアルミナ繊維からなる。
フィルタAF13〜AF24は、粗マイクロガラス繊維と細マイクロガラス繊維の組み合
わせ(約0.6μm+約1.5μm;約0.6μm+約2.5μm;又は約1.5μm+約2.
5μm)と混合したナノアルミナ繊維からなる。所定のナノアルミナフィルタ媒体を含む
各繊維サイズの割合を表1に示している。
【0056】
【表1】

【0057】
<マイクロガラス繊維の直径と媒体孔隙率の関係>
表1のデータは、小直径を有するマイクロガラス繊維から成る媒体は、低孔隙率と小さ
い細孔径も有していることを示している。これらの関係をさらに図13で示している。例
えば、約0.6μmのマイクロガラス繊維から成る媒体は、孔隙率が約90%で、細孔径
が約4.2〜10μmの間であった。約1.5μmのマイクロガラス繊維から成る媒体は、
孔隙率が約92.3%で、細孔径が約16〜21μmの間であった。最後に、約2.5μm
のマイクロガラス繊維から成る媒体は、孔隙率が約95.3%で、細孔径が約35〜38
μmの間であった。
【0058】
表1及び図13のデータも、最大細孔径又は孔隙率を有する媒体は、圧力降下が最も小
さいことを示している。例えば、孔隙率が約95%の媒体は、圧力降下が約3.4〜約4.
3mmH2Oであったのに対して、孔隙率約90%については、圧力降下が約125〜2
04mmH2Oであった。
【0059】
フィルタ媒体が粗繊維と細繊維の組み合わせから成っている場合の例では、細孔径は、
粗繊維だけが存在する場合のように劇的には増大しなかった。表1及び図13を参照。例
えば、1.5μm繊維と組み合わされた2.5μm繊維は、細孔径が約22〜28μm、孔
隙率が約94%、それに対応する圧力降下は約5.7〜約9.2mmH2Oであった。
【0060】
特に、試料AF1〜AF24の大部分の細孔径は、ドナルドソンHEPAフィルタの細
孔径より大きかった。例えば、AF6の細孔径は、ドナルドソンHEPAフィルタの細孔
径より6倍大きかった。
【0061】
<エアフロー濾過特性>
テストフィルタAF1〜AF24のセットからなるフィルタは、エアーフロー性能に基
づいて分けた。3.2m/分で圧力降下が10mmH2O未満のフィルタのデータを図1に
示している。実線は、流速3.2m/分に相当する。結果は、HEPAフィルタより圧力
降下の低い請求項に記載のナノアルミナ繊維材料には、幾つかのフォーミュレーションの
変化があることを示している。これらの結果は、新しいフィルター媒体のより大きな孔径
によるものと考えられる。
【0062】
<単分散ラテックステストを用いた粒状物質の濾過の評価>
従来よりDOP(ジ-オクチルフタレート)のようなオイルベースのエアロゾルは、液体
エアロゾルをシミュレートするために使用されており、塩化ナトリウム(Nacl)又はカ
リウム(KCl)エアロゾルは、エアフィルタ材料を評価する際に、固体粒子をシミュレー
トするために使用されてきた。発明者は、水中の超微細単分散ラテックス球の吸着を、H
EPAフィルタと比較し、その後、DOP及びNaClテストからのデータに基づいて、
相関関係の確立を試みた。具体的には、エアフィルタAF3(平均細孔径16μm、表1
参照)と、AF6(平均細孔径38μm、表1参照)と、直径約25mm及び有効表面積約
3.7cm2のドナルドソンHEPAフィルタは、約0.1m/分の一定流量で、1μmの
ラテックス球を有する清浄水の流体流(RO)で試行した。表1は、単一層に構成されたフ
ィルタ媒体を記載しているが、空気及び水での応用でフィルタ媒体の性能を最適化するた
めに、この実験では1〜4層の積み重ねを使用した。水中の流入及び流出濁度は(NTU
又はネフェロ濁度単位で)、濁度計LaMotte Model 2020を用いて測定した。
【0063】
図2は、ナノアルミナとマイクロガラス繊維を含む、流出液放出フィルタ(effluent le
aving filters)中の濁度を、従来のHEPAフィルタと比較したグラフ図を示している。
図示の如く、ナノアルミナとマイクロガラス繊維を含む本発明のフィルタは、HEPAフ
ィルタと比べて、流出液中の濁度がほとんど検出できなかったことを示している。
【0064】
本発明のフィルタは、フィルタAF3及びAF16の平均細孔径がそれぞれ約16及び
38μmであっても、0.2μmの粒子を保持したから、この実験の結果は意外であった
。そのような大きな平均細孔径を有するフィルタは、かなり小さかった粒子を保持するこ
とができないと予想されていた。水溶媒でのHEPAフィルタの保持率が極めて悪かった
ことも意外であって、HEPAフィルタは、空気中より水中での粒子保持率が非常に悪く
、したがって、2つの環境ではかなり異なって作用することを示している。
水吸着データと空気性能を関連付ける目的は、成功しなかったので、エアフィルタテス
トデータは、次の実験を頼みにした。
【0065】
<例2〜10>
例2〜10において、ドナルドソンHEPAフィルタと比較して、本発明のナノアルミ
ナフィルタ媒体をさらに特徴付けるために、AF3、AF6、AF11及びAF16とラ
ベル付けされたナノアルミナフィルタ媒体を使用した。表1に開示したように、AF3は
、1.5μmのマイクロガラス繊維から成り、AF6及びAF11は、2.5μmのマイク
ロガラス繊維から成り、AF16は、1.5μmと2.5μmのマイクロガラス繊維の組み
合わせから成っている。
【0066】
<例2>
<初期DOP及びNaClの初期粒子透過>
例1で製造したフィルタAF3(平均細孔径16μm)、フィルタAF6(平均細孔径3
8μm)、フィルタAF11(平均細孔径37μm)及びフィルタAF16(平均細孔径28
μm)とHEPAフィルタを、DOPと、中和された単分散NaClエアロゾルテストの
ために、ユタ州ソルトレークシティのNelson Laboratoriesに送った。試行濃度は、10
0cm2のフィルタを通し、32L/分で1.5×106粒子/cm3であった。エアロゾル
は、平均粒径が0.3μmであり、これは、最も透過性のある粒径範囲と考えられた。テ
スト試料は、10×10cmの正方形又は直径約4〜5''のディスク形状に作成した。3
プライ又は3層の平たいシートは、テストデバイスに固定し、32L/分にて空気流で試
行した。データを表2に示している。
【0067】
【表2】

【0068】
AF16の初期NaCl及びDOPエアロゾル透過は最も低かったが、この透過であっ
ても、HEPAフィルタとは比べものにならなかった。この試料は、1.5ミクロンと2.
5ミクロンのマイクロガラスから成っており、僅か7.7%のナノアルミナを含有してい
る。その細孔径はおよそ28μmである。結果は、ナノアルミナフォーミュレーションの
多くは、初期透過がHEPA仕様より高かったことを示している。
【0069】
<例3>
<NaClエアロゾル性能テスト>
フィルタAF3、AF6、AF11及びAF16と、HEPAフィルタ(テスト面積1
00cm2)は、それぞれ、およそ3時間、流速32リットル/分にてNaClエアロゾル
で試行した。約0.0037mg/分/cm2のNaCl(約40mg/時に相当)を各フィ
ルタに送り込んだ。上記の如く、一般的に、AF16の3層(各1.2mm、全体で3.6
mm)は、HEPAと等しい圧力降下を実現するために必要であったので、テストは、3
層体HEPAで行なった。
【0070】
図3は、NaClエアロゾルによってテストされた各フィルタの透過を、時間の関数と
して表したグラフ図を示している。図示の如く、フィルタAF16は、初期NaCl及び
DOPエアロゾル透過が最も低かったが、それでも、HEPAよりかなり高かった。AF
16は、初期透過が最も低かったため、さらなる評価のために使用した。
【0071】
図4は、フィルタの空気抵抗を、時間の関数として表したグラフ図を示している。この
例における性能(又はフィルタ寿命)は、50mmH2Oの圧力降下(ΔP)に達するために
必要とされる時間(分)として規定される。図4に示すように、テストした本発明のナノア
ルミナフィルタは、HEPAフィルタの少なくとも10倍の性能を有していた。フィルタ
AF6及びAF11は、HEPAより約30倍を超える性能を有している。これらのデー
タが重要なのは、フィルタの「寿命」は、一般的に、フィルタの選択された限界圧力降下
によると規定されるからである。フィルタの圧力上昇は、用途又は設計のために定められ
たレベルで寿命を規定する。圧力の上昇は、等しい効率のシステムについての負荷の結果
であるから、より長い寿命は、一般的に、性能の高さと直接的に関係する。効率は、粒子
を通すのではなく捕獲するという媒体の性質である。一般的に、より効率良くフィルタ媒
体がガス流から粒子を除去する状態であれば、概して、より急速にフィルタ媒体は「寿命
」圧力差に近づき、他の変数を確実に一定に保つこととなる。
【0072】
向上した性能を有するフィルタは、頻繁なフィルタ交換のコストを低減するから、かな
りの利点がある。さらに、細菌やウイルス又は核物質を阻止するフィルタを含む多くのフ
ィルタは、有害廃棄物として廃棄されなければならない。それゆえに、有害廃棄物フィル
タを交換及び廃棄する頻度を低減することは、さらなる経済的利益になる。
【0073】
表3は、Kohlbaughの米国特許第6,872,431号(「'431特許」)に開示されたフ
ィルタと、0.3μm粒子の除去のための「プレHEPA」レベルのナノアルミナ繊維と
マイクロガラス繊維を含む本発明の繊維について、気流速度約3.2m/分でのNaCl
エアロゾルテストの結果を示しており、「プレHEPA」は、約98.9%〜約99.6%
の範囲の媒体効率と規定される。表3は、発明のフィルタの1つ(フィルタAF16の単
一層)を、流速約4.6m/分にて、0.33〜0.40μmの中和されたKClの最も透過
された粒径で試行した結果も示している。
【0074】
【表3】

【0075】
表3に示した結果は、「プレHEPA」レベルでは、以下の通りであることを示してい
る。
1.AF6媒体は、プリーツ加工可能であり、10、14又は25層を組み入れている
'431特許に開示された媒体と比べて、約125mmH2OとH2O約50mmH2Oの圧
力降下に達する素晴らしい性能を有している。125mmH2Oと50mmH2Oにおける
推定寿命は、それぞれに約40%、28%及び20%向上する。
2.AF6媒体の単一層は、最も透過する粒子(KCl、0.33〜0.4μm)の推定寿
命及び除去効率を有しており、それは、10及び14層複合材についての'431特許に
開示されたフィルタを超えている。
【0076】
これらのデータが重要であるのは、ナノアルミナ繊維媒体が、'431特許と比較して
向上した推定寿命を有するから、そして、粒子の除去効率が'431特許を超えるからで
ある。したがって、請求の範囲に記載のナノアルミナフィルタは、費用効率が高いだけで
なく、性能も優れている。さらに、単一媒体は、10〜14の異なった層を有する媒体よ
り製造が極めて安価であり、後者の場合、層間剥離の懸念がある。
【0077】
表4は、'431特許に開示されたフィルタと、0.3μm粒子の除去のための「プレH
EPA」レベルのナノアルミナ繊維とマイクロガラス繊維を含む本発明の繊維について、
気流速度約3.2m/分でのNaClエアロゾルテストの結果を示している。
【0078】
【表4】

【0079】
表4に示したデータは、AF6及びAF11媒体は、16又は25層を有する'431
特許に開示された媒体と比べて、125又は50mmH2Oの圧力降下に達する素晴らし
い性能を有している。本発明の媒体は、フィルタの推定寿命を、'431特許の媒体に対
して、終圧125mmH2Oまで少なくとも80%改善されている一方、25層を有する'
431特許の媒体は、50mmH2Oの圧力降下までの同程度の推定寿命を有する。
【0080】
<例4>
<前調整>
この例の目的は、HEPAプロトコルをテストする時に、初期漏れを排除することであ
った。(非対称の繊維構成のために幅広い細孔径を含んでいる)フィルタ媒体の最大細孔径
が、初期漏れの原因であると仮定した。使用前のフィルタを調整するために、外来微粒子
をフィルタへの注入すると、最大の細孔内に流入し、それらをブロックし、それにより、
この漏れが低減し、フィルタの効率を向上させるであろうとさらに仮定した。
【0081】
この仮定をテストするために、フィルタは、使用前に細孔が塞がれるように、品質改良
剤を前負荷した(pre-loaded)。このテストには、試料AF16(直径25mmのフィルタ)
を使用した。フィルタを調整するために単分散ラテックス球(Duke Scientific)を使用し
たのは、これらの球は、空気中で安定しており、湿った空気流によって影響を受けないか
らである。ラテックス球の直径が0.2、0.5又は1μmである実験を行った。球は、フ
ィルタ上に負荷し、空気抵抗を測定した。
通気抵抗は上記のように測定した。0.2μmの前負荷は、本発明におけるフィルタの
圧力降下への影響が最小限であり、いくらかの前負荷の後、流出液の濁度を測定した。
【0082】
図5は、本発明のフィルタに0.5及び1μmラテックス球で前負荷した後の、気流速
度と圧力変化を示すグラフ図である。前負荷中、流出液の濁度は、検出限界の0.01N
TU未満であり、フィルタ媒体によるこれらの大型粒子の定量的吸着を示唆することに注
目した。データは、0.5及び1μmラテックス球が、フィルタを球で前処理するために
適することを示唆している。
【0083】
要約すると、例4の結果は以下のことを示している。
1.単分散粒子のような外来微粒子は、ナノアルミナフィルタ媒体を調節するために使
用されることができる。
2.前負荷中の濁度の測定は、前負荷プロセスをモニター及び制御するために有効な方
法である。
3.試料には、NaClエアロゾルテスト中に生じる圧力降下(ΔP)を映し出すために
、0.5及び1μmラテックスビーズを負荷させることができる。
4.0.2μmのラテックス粒子は、小さすぎて所望のΔPを達成することができない

高価なラテックス粒子に代えて、安価且つ所望のサブミクロンサイズの粒子(例えば、
超微粒炭素、ヒュームドシリカ凝集体(Cab-O-Sil)、又は金属酸化物)をフィルターの前調
整に用いることもできる。
【0084】
<例5>
<AF16試料についての前負荷NaCl透過及び性能テスト>
テスト試料は、3層からなるフィルタAF16媒体上に0.5μmラテックス球を前負
荷することによって作成した。該媒体は、面積175cm2の円板状に作成した。試料(テ
スト面積100cm2)を、それぞれ、およそ3時間、流速32リットル/分にてNaCl
エアロゾルで試行した。フィルタに送達されたNaClのおよその質量は、約0.006
7mg/分/cm2であるか、フィルタの露出した質量が40mg/時又は0.5%/時で
あった。流速32リットル/分の時、速度は3.2m/分であった。3層のAF16のフ
ィルタ厚さは約0.36cmであり、約0.07秒という計算された滞留時間を生じた。
【0085】
図6は、NaCl負荷中にラテックス球で前処理した、ナノアルミナフィルタの空気抵
抗を示すグラフ図である。図示の如く、テストの3時間以上にわたって、ナノアルミナテ
スト試料の全ての空気抵抗は、HEPAより遙かに低かった。HEPAフィルタは、約4
分で50mmH2OのΔPに達したが、ナノアルミナ試料は、同じΔPに達するまでに約
40分掛かった(ラテックス9重量%を含むナノアルミナフィルタは、約30分で50m
mH2OのΔPに達した)。フィルタ寿命におけるこの改良は、HEPAより約7〜10倍
優れており、高効率フィルタ、例えば、病院、集団軍事防護、国土防衛、自動車用及び呼
吸用保護具のフィルタを使用する用途に有用である。
【0086】
図7は、ラテックスビーズで前処理したナノアルミナフィルタのNaCl透過を示すグ
ラフ図である。初期透過は0.03%まで低減されなかったが、保持率は、NaCl粒子
の連続負荷で向上した。前処理したAF16試料はすべて、AF16自体より初期NaC
l透過が低かった。0.5μmラテックスビーズの増大した前処理で、より良い性能に向
かう傾向があり、HEPAを規定する透過率0.03%と比べて、9重量%ラテックスに
ついては透過率が0.047%という最も低い値であった。
【0087】
<例6>
フィルタ媒体は、例2と同様に、Nelson Laboratoriesにて、NaClエアロゾル保持
率についてテストした。図8は、0.3μmNaClエアロゾルがテスト媒体を通る透過
率を示すグラフ図である。この例において、以下の試料、即ちHEPAと;HEPAフィ
ルタ用の前置フィルタとして使用した、前負荷なしのAF16の単一層と;ラテックス粒
子で前処理したAF16の3層とを比較した。図示の如く、HEPAだけのフィルタは、
ULPAと評価できなかった。対照的に、前処理したAF16フィルタは、初期及び連続
保持率が>99.99%であり、それゆえに、ULPAフィルタと見なした。さらに、図
8に示すように、AF16の単一層(前処理せず)を、前置フィルタとしてHEPAに加え
ることは、ULPA評価をもたらした。これらのデータは、請求の範囲に記載のナノアル
ミナフィルタ媒体は、ドナルドソンHEPAフィルタのような従来のHEPAフィルタを
超える保持率を有していることと、ナノアルミナを前置フィルタとして使用することは、
HEPA評価からULPA評価に上げることを示している。
【0088】
図9は、上記の試料に関するNaClエアロゾル性能テスト中の、テストフィルタの空
気抵抗を示すグラフ図である。前処理なしのAF16の単一層の添加は、HEPAフィル
タの寿命を約700%延ばし、ΔP閾値を50mmにしたが、これは、実際に使用される
場合、相当の節約をもたらすであろう。
【0089】
したがって、請求の範囲に記載のフィルタは、従来のHEPAフィルタより、粒子の保
持がより効果的であり、推定寿命が大きくなっており、それゆえに、これらの請求の範囲
に記載のナノアルミナフィルタ媒体は、より費用効果が高い。
【0090】
<例7>
AF16媒体の試料は、航空宇宙産業における、塗料スプレーしぶき捕集(paint overs
prayarrestance)のための濾過システムの測定に特異的なEPA Method 319規則に基づいて
、LMSTechnologies, Inc. (Edina, MN)でテストした。米国産業最終操作において、スプ
レーされる塗料の30%である9千万ガロンは、大気中に分散されるこの大部分を上塗り
する。
【0091】
AF16媒体の1層は、流速15fpmでテストした。初期圧力降下は、22mmH2
Oであった。図10は、テストフィルタの保持率又は分別効率を粒径の関数として示すグ
ラフ図である。これら同じデータは、表5に示している。
【0092】
フィルタは、市販のサブHEPAフィルタ(Ahlstromによって製造されたTrinitex K903
-70)と比較もした。図14は、TrinitexフィルタとフィルタAF16の圧力降下を比較し
ている。図示の如く、2つのフィルタの圧力降下は、極めて似ている。重要なことには、
AF16による保持率は、比較の全ての粒径範囲に対して、Ahlstrom媒体と同様に、EP
A仕様より非常に優れていた。データは、新規な媒体が、前処理を必要とせずに、サブH
EPA媒体の性能を実質的に向上させることができることを示している。
【0093】
【表5】

【0094】
<例8>
同時継続特許出願は、細菌の増殖を制御するのに銀の使用を取り上げている。それゆえ
に、空気濾過媒体に銀を含めることをテストした。3枚のナノアルミナハンドシートは、
硝酸銀(スラリーの乾燥重量に対して銀が0.1%、0.3%及び1重量%)をスラリーに添
加したことを別として、例1の試料HF0404について記載したように、アルミニウム
粉末から作成した。試料(直径25mm)は、フィルタホルダに取り付け、Klebsiella ter
rigena懸濁8×107CFU/mlの10ml緩衝水溶液をロードした。細菌は、負荷直
後と、1、5及び18時間の放置後に、3%牛肉エキスを含有する3mlの溶液と、Ph
7.5の0.35%グリシン溶液とフィルタから逆方向に溶出させた。
【0095】
図11は、フィルタへの露出時間の関数として、イオン化銀をナノアルミナフィルタに
含めることによる抗菌効果を示すグラフ図である。図示の如く、銀が含浸されたナノアル
ミナフィルタは、硝酸銀の割合が増加するよう変えられた対照で、細胞増殖が制御されて
いる。
テストは、1%銀が、MS2ウイルスを濾過することに対しては認識できるほどの影響
を示しておらず、フィルタ媒体のウイルス効率が、1%銀の吸着後に影響を受けなかった
ことも示している。
【0096】
これらの結果は、フィルタへの硝酸塩の添加、抗菌薬剤として作用するから、フィルタ
から引きずられる細菌又はウイルスを最小限にすることを示している。含浸されたフィル
タからの銀の溶出は、約30μg/Lであって、飲料水用にEPAに要求される100μ
g/L未満である。一旦使用されると、フィルタは、コストの掛かる有害廃棄物ではなく
、衛生廃棄物として廃棄可能である。
【0097】
<例9>
<エアロゾル化された大腸菌を含む媒体試料のテスト>
Hendersonが最初に開発した装置[1]を組み立て、大腸菌でテストした。図12に概略
的に示した装置において、大腸菌懸濁1.4×109CFU/mlの5ml緩衝液を、DeVi
lbiss PulmoMateNeblizer (Model SR4650D)によって噴霧した。第2のネブライザは、同
量の緩衝液で操作した。生成したエアロゾルは、直径5cm、長さ90cmのチューブに
注入した。相対湿度は、スプレーチューブに入る前に、空調装置の湿ったアームと乾燥し
たアームを通る空気を混合することによって調節した。チューブの端部付近の相対湿度及
び温度は、湿度計によって測定した。エアロゾルチューブの出口からの流れのおよそ1/
3は、AGI-30インピンジャ(impinger)を通過した。残りの流れは、内径12mmのチュー
ビングを通過し、次に、インピンジャから逃げる空気と混合した。エアフローは、HEP
Aフィルタ(Whatman,Poly Vent-1000 Cat #6713-1075)を通過した。
【0098】
総流量は、1分当たりエア38リットルであった。2つのネブライザは、エアフロー1
2L/分(各6L/分)を生成し、26L/分のエアフローは、空気圧縮機によって供給さ
れた。インピンジャのエアフローは、12L/分であった。
【0099】
濾過効率は、以下のように計算した。
%効率=(上流大腸菌濃度−下流大腸菌濃度)×100%/上流大腸菌濃度[1]
但し、上流大腸菌濃度は、大腸菌を含んだ空気流中、フィルタを用いずに決定した。下流
大腸菌濃度は、相対湿度100%又はほぼ100%にて、大腸菌を含んだ空気流中、フィ
ルタを用いて決定した。
【0100】
第1の実験において、3層のAFフィルタ媒体(粒子で前処理されていない)は、直径9
0mmのフィルタホルダへと組み立てた。第2の実験において、1層のドナルドソンHE
PAは、同じフィルタホルダへと組み立てた。図6に示すように、AF16フィルタ媒体
は、HEPAフィルタの50倍の細菌を保持した。
【0101】
【表6】

【0102】
各AF試料は、従来のHEPAエアフィルタの細孔径より実質的に大きい細孔径を有し
ている。濾過で一般的に知られているように、細孔径が大きい媒体は、目詰まりの傾向が
少ない。この目詰まり許容度は、本発明のフィルタが、水滴によるフラッディングに対す
る耐久性を乏しくする能力にまでも及ぶ。
【0103】
例示したナノアルミナ繊維が高濃度の細菌を除去する能力は、驚くべき結果であって、
特にフィルタが、免疫を含む患者が治療される病院での集団防護や、生物攻撃戦争中の保
護に使用される場合に、主要な利益がある。そのような媒体は、細菌保持を向上させるた
めに、改良された呼吸フィルタに対しても有効である。さらなる利点は、HEPAと比べ
て、特にフィルタ負荷の際、本発明の圧力降下はより低い。最後に、別の利点は、ナノア
ルミナフィルタ媒体の細孔径は、さらに大きいことであって、一層多孔性のフィルタを生
じ、水滴又はミストによって連続負荷が施される場合、一層多くの水を保持することがで
きる。
【0104】
エアロゾルがMS2ウイルス(2.5nm径)を含有することを除いて、例9で記載した
ように2つの実験を行った。テストは、2つの異なった相対湿度にて行った。この場合、
テストした試料は、小さな細孔径(〜2μm)と、厚さ0.4mmを有していた。
【0105】
【表7】

【0106】
表7は、フィルタが、エアロゾル化されたウイルスについて高い収集効率を有したこと
を示している。これらの結果が重要なのは、細菌より概して1又は2けた大きいウイルス
は、深さのあるフィルタ媒体によって保持することが極めて難しいからである。HEPA
によるウイルスの保持が問題でもあるのは、多くの病原性ウイルスは、粒径が0.1μm
より小さく、HEPAを画定するのに使用される0.3μmのテスト粒子より実質的に小
さいからである。単分散ウイルスの有効な濾過は、極めて非能率的である。ウイルスが水
エアロゾルに覆われるならば、概して疎水性であるHEPAフィルタは、水が蓄積するに
つれ、効率性を失う。請求項に記載のナノアルミナフィルタ媒体は、より高い効率及び能
力を提供し、それゆえに、病院内や生物兵器防衛用のフィルタマスク及び集団防護システ
ムで有用である。
【0107】
<例11:リヨセル/NC及びセルロース/NCハンドシート>
FiberInnovation Technologyから購入した8グラムの精製リヨセル(20%固体)は、
キッチンスタイルのブレンダー(12段変速のオスタライザー・ブレンダー)を「高砕氷(h
igh-ice crush)」設定で2分間使用し、0.75LのRO水に分散させた。混合物(1g)
に添加したアルミニウム粉末の量は、反応後、固体が、12部のAlOOHと、88部の
リヨセル繊維(表16aの試料AF34)で構成されるような量であった。同様に、アルミ
ニウム・水反応の前、混合物(2g)と1gのヒュームドシリカ乾燥粉末に添加したアルミ
ニウム粉末の量は、反応後、固体が、20部のAlOOHと、5部のヒュームドシリカと
、75部のリヨセル繊維(表8の試料AF35)で構成されるような量であった。対照とし
て、純リヨセル(AF33)、セルロース(AF28)及び、72%セルロースと28%Al
OOH(AF32)の混合物を調製した。
【0108】
【表8】

【0109】
ディスク(25mm)は、上記の如く、試料から切り取り、投入濃度2.0×107PFU
/mlと、流速40ml/分で、MS2ウイルスで試行した。表8は、純セルロース、マ
イクロフィブリル化されたセルロース(リヨセル)又は、72%セルロース/28%NC混
合物から作られ、MS2ウイルス除去効率が無い又は非常に少ないハンドシートを示して
いる。88%リヨセル/12%NCと、75%リヨセル/5%Cab-O-sil/20%
NC混合物は、単一層のNCよりも大きい効率を有しており(99.5%、表16参照)、
リヨセルは、ナノアルミナのための優れた繊維支持体(fiber support)であることを示し
ている。
【0110】
<例−繊維構造>
以下の例は、微粒子、超微粒子又はナノサイズ粒子の不織構造への組み入れを示す。例
は、溶媒、触媒、粉末活性炭、ナノサイズ炭素、RNA、TiO2粒子(50nm)及びヒ
ュームドシリカ(一次粒径およそ15nm、凝集体としての大きさ数百ナノメートル)を含
んでいる。各ケースにおいて、形成時間は、ナノアルミナが使用されるとき、実質的に少
なく、湿式成形(製紙)法による新しい媒体の製造を現実的にする。
【0111】
例は、粉末活性炭を含有する請求の範囲に記載の繊維構造と、市販の活性炭媒体の繊維
構造を、それぞれの媒体への可溶性ヨウ素のブレークスルー(突き破ること)により比べる
ことによって比較をしたものである。市販媒体とほぼ同じ基本重量の単一層へのブレーク
スルーは、殆ど即時であるが、請求の範囲に記載の濾過媒体は、約800倍大きい寿命を
有している。
【0112】
<例12:出発原料>
マイクロガラスやリヨセルのような粗繊維上のナノアルミナのスラリーは、アルミニウ
ム粉末から調製した。簡単に言うと、2グラムのマイクロガラス繊維(Lauscha Fiber Int
ernational、ホウケイ酸ガラス、等級B-06-F、直径0.6μm)は、キッチンスタイル
のブレンダー(12段変速のオスタライザー・ブレンダー)を「低洗浄(low-clean)」設定
で2分間使用し、逆浸透水発生器からの浸透の0.75Lに分散させた。アルミニウム粉
末(AtlanticfEquipment Engineers, grade AL-100, 1〜5μm)の1.36gと0.61
gの量はそれぞれ、反応後、それぞれにAlOOH60部/40部マイクロガラスと、A
lOOH40部/60部マイクロガラスを生成するように、ガラスマイクロ繊維に添加し
た。
【0113】
水酸化アンモニウム(マルチの750ml当たり36%の8ml)を添加して、アルミニ
ウムと水の反応を開始し、AlOOH及び水素を形成した。混合物は、沸騰するまで加熱
し、(添加した粒子が黒色でない限り)混合物が白色に変わるまで、10分間沸騰したまま
維持し、その後、冷却し、塩酸を使用しておよそpH7になるまで中和した。その結果は
、マイクロガラス又はリヨセルのような粗繊維上に形成されたナノアルミナ(以下「NC
」混合物)となり、これは次の例で説明する。
【0114】
次に、溶媒粒子は、アルミニウム反応の前又は後に、乾燥粉末又は粉末の水への懸濁液
(例えばTiO2)として、ナノ繊維や粗繊維のスラリーに添加する。その後、スラリーを
手動で混合した。
【0115】
以下の例は、請求の範囲に記載されたナノサイズ粒子を含む繊維構造を示しており、非
晶質ヒュームドシリカ(平均粒径(APS)〜15nm、Cabot Corp., Cab-O-Sil, grade M
5)と、ロシアで生産され、アルゴナイドコーポレイションによって販売されているAPS
〜50nmのTiO2粉末と、リボ核酸(RNA)とを含み、最小径は約1ナノメートル未
満である。その他の例では、粒子は、Calgon Carbonから入手した溶媒(PAC)(WPH g
rade、99%−100メッシュ、95%−200メッシュ及び90%−325メッシュ、
APS〜28μm)と、Aldrichから入手した30ナノメートルのカーボンナノ粉末(Ca
t.#633100)である。
【0116】
その他の例において、主にシリカから成るアリゾナテストダスト(Arizona test dusts)
は、NC混合物に添加した。PTI Powder Technology Inc.から入手可能な0〜3μm(A
PS1.13μm)と0〜5μm(APS〜2μm)という、2つの異なった等級のアリゾナ
テストダストを使用した。
例は、NC混合物に添加した触媒として、Carus Chemical Companyから入手可能な、粒
径3〜8μmの銅活性二酸化マンガン粉末(Hopcalite type)であるCarulite−400(typ
e C)も示している。
【0117】
粒子と、ナノアルミナ/粗繊維(「NC」)ネットワークとの比率は、媒体の所望の性能
特性に依存している。例えば、PAC−NC複合材料が、有機物を除去する能力と、選択
されたPAC含有物を変化させるであろう粒子状成分を除去するための能力との対比にお
けるトレードオフがある。低減された量のPACを有するPAC−NC複合材料は、繊維
構造が、流体流から細菌、ウイルス及びその他の汚染物質を除去する能力を増大させ、し
たがって、例えば、塩素、ハロゲン化炭化水素及び有毒溶解性金属を含む可溶性汚染物質
の除去と同様に、微生物が実質的に除菌されている飲料水をもたらす。
セルロース又はポリエステルバイオコンポーネント(biocomponent)は、繊維構造を強化
し、一層可撓性にする目的で添加されることができる。
【0118】
<例13:ファーニッシュ(Furnishes)の形成>
この実施例において、例12において記載したような、2グラム又は1.3グラムの粒
子(すなわち、非晶質ヒュームドシリカと、RNAと、カロライト(Carulite)と、微細テ
ストダストと、ナノカーボン及びPACと、TiO2)は、例12で記載したように調製し
た60/40又は40/60NCスラリーに添加し、28〜wt%の粒子状粉末を含有す
るNCスラリーを生成した。スラリーは手動で混合した。同様に、上記に掲げた5gと3
.33gの粉末は、60/40と40/60スラリーに添加し、50〜wt%の粒子状粉
末負荷を生成した。NC構造へのTiO2の負荷を除けば(以下参照)、粉末は、反応が開
始された後に添加された。すべての例において、実験は、粒子を混合物に添加するのに最
適な時間を評価するために、反応の開始の前後に粒子を添加して行った。しかしながら、
粒子が、微細ダスト(表9)、カロライト(表11)又はRNA(表13)を含む場合、粒子は
、粒子の変性を避けるために、反応の開始後に添加される。PACの場合(表14、15)
、粒子は、反応の開始前又は後に添加される。
【0119】
混合物は、その後、2000:1の割合でRO水で希釈した。スラリーの500mlア
リコートを、47mmの真空フィルタホルダに注入した。ファーニッシュは、フィルタホ
ルダ上に配置された織テフロン(登録商標)媒体(70メッシュサイズ)から打ち抜かれた直
径47mmのフィルタディスクを通じて濾過した。ロータリーポンプによる真空は、水回
収容器に加え、形成時間(濾過ステップの開始から、形成されたディスクをすべての流体
が通過するまでの時間)は、形成時間として記録した。完成したディスクは、オーブン乾
燥し、冷却後と、周囲温度と平衡した後に計量した。場合によっては、後者の重量を記録
し、NC構造における粒子の収率を予測するために、総重量を元の成分の重量と比較した

【0120】
<例14:ナノTiO2/ナノアルミナ/マイクロガラス繊維構造>
5gの50nmTiO2ナノ粉末は、1LのRO水で満たされたガラスのビーカーに分
散し、それから、超音波発生装置(Fisher Scientific, Model F20)で30分間攪拌した。
24時間の静置した後、上清の上部分(〜0.6L)を、ゆっくりとデカントし、沈殿して
いる凝集体から懸濁粒子を分離した。
【0121】
上記TiO2懸濁液の100mlアリコートを、例12と同様に先に形成されたナノセ
ラム60/40の0.75Lに添加した。0.85LのTiO2水(測定重量に対して)を含
有する第1混合物と、0.85Lにマイクロガラスを含有する(ナノアルミナを含まない)
第2混合物である、2つの対照混合物を使用した。TiO2ナノ粉末の濃度は、水を蒸発
させ、残渣を計量することによって決定した。同様に、上記TiO2懸濁液の200ml
アリコートを、アルミニウム−水反応の前に、60/40ファーニッシュの0.75Lに
添加した。0.95LのTiO2水(測定重量に対して)と、0.95Lにマイクロガラスを
含有する(ナノアルミナを含まない)第2混合物である、対照混合物を使用した。TiO2
ナノ粉末の濃度はまた、水を蒸発させ、残渣を計量することによって決定した。
表9は、ファーニッシュの組成と、形成時間と、回収した流出液の濁度を示している。
【0122】
【表9】

【0123】
混合物中にナノアルミナを含有した試料628及び643は、混合物中にナノアルミナ
が添加されなかった試料629及び644より形成時間が遙かに速かった。それぞれの流
出液の濁度の比較は、ナノアルミナが存在する場合、より多くのナノ粒子を繊維構造に保
持することを示している。
【0124】
繊維構造を含む二酸化チタンの平均細孔径は、上記の例1〜10に示したような水流測
定値に基づいて、約3μmと推測した。さらに、粒子の基本重量の約7〜12%を含むこ
とができ、それは、完成した媒体の細孔径よりほぼ2けた小さい。理論に縛られないで、
ナノ粒子は、NC構造にしっかりと結合されていて流れを妨げないから、形成時間が低減
されるが、ナノアルミナが存在しない場合、ナノ粒子は、細孔構造内で自由に凝集して混
合物を密にし、流れを妨げる。
【0125】
その他のナノサイズ酸化物と、炭化物、窒化物又はナノダイヤモンドのような耐火性化
合物とは、そのような構造内に同様に保持されることができる。例えば、色素酸化物や、
光感受性ナノ材料は、そのような繊維構造に組み入れられることができ、ナノダイヤモン
ド又はナノタングステンカーバイドを含む繊維構造は、高精度表面処理用の磨き布として
使用できる。その構造は、研磨剤を分配及び浮遊させるのに役立つだけでなく、研磨中に
現れる残屑の捕集器としても有用である。
【0126】
<例15:シリカ/NC/マイクロガラスフィルタ繊維構造>
シリカを含む繊維構造(表10)は、例13で記載したように調製し、ヒュームドシリカ
をファーニッシュに添加した。ヒュームドシリカは、濾過するのが非常に困難なコロイド
懸濁液を形成することが知られている。それは、増粘剤として広範囲に使用される。
【0127】
試料630は、反応前に添加した。およそ200gm/m2に等しい初期固体のうち、
わずか63g/m2がフィルタで回収された。その量は、元のアルミナ及びヒュームドシ
リカのおよそ90%となり、70メッシュフィルタに保持されるべきマイクロガラス繊維
だけを残している。我々は、開始時におけるヒュームドシリカの添加は、形成されるとき
にナノアルミナとの結合をもたらし、ナノアルミナは、マイクロガラスに殆ど又は全く付
着しない結果となり、流出液にシリカとアルミナの損失を生じる、と仮定する。
【0128】
【表10】

【0129】
試料642において、ヒュームドシリカは、アルミナ・水反応の後に添加した。この場
合、形成時間は、非常に速く、重量の損失がなかった。これは、超高表面積(200±2
5m2/g)で、ヒュームドシリカを繊維構造に保持するための方法を例示している。図1
5は、同じ642の透過型電子顕微鏡図である。ナノ繊維は、これと、長さが数百ナノメ
ートルで、直径が2〜3ナノメートルである他の顕微鏡写真から推定した僅差として現れ
る。ナノシリカの球体は、軸に沿って現れ、ナノアルミナ/マイクロガラス複合材料を完
全に包み込んでいる。
ナノアルミナを含まない対照である試料631において、ヒュームドシリカは、メッシ
ュを詰まらせたコロイドを形成し、形成時間を大幅に100分以上延ばした。
【0130】
試料632〜636は、フィルタ開発において幅広く使用され、殆どがミクロンサイズ
のシリカからなるテストダストの添加によって製造された媒体を表している。テストダス
トは、アルミニウム反応の前に添加した。混合物にダストが添加されなかった場合、流出
液に入る粒子の損失は、ほぼ全部であり、サイズが0〜3又は0〜5μmのダストが混合
物に添加された場合、流出液に入る粒子の損失は、ほぼゼロであった。さらに、ナノアル
ミナを含まない0〜3μm及び0〜5μmのダストについて、形成時間は、ファーニッシ
ュに存在するものより、それぞれ35倍及び22倍大きかった。
付着したヒュームドシリカは、溶媒として機能することができ又は、有機配位子を付着
させる反応によって、化学的に操作されることができる。
【0131】
<例16:触媒>
上記の例15で示した試料634のテストを、銅活性MnO2触媒であるカロライトを
シリカと置換したことを除いて、この例で繰り返した。表11に示した形成時間は、カロ
ライト触媒のNCファーニッシュへの添加は、ナノアルミナを含まないファーニッシュの
フラクションである形成時間を有することを示している。短い形成時間は、自由度に関係
しており、湿式形成法による不織媒体の連続製造には不可欠である。
【0132】
生じた触媒は、顆粒状より有効であり、より浅い層深さで、一酸化炭素又はオゾンの酸
化を実現するであろう。これは、大きな顆粒の表面積と比べて、それより大きな触媒の表
面積は、例えばガス相成分について速い反応をもたらすからである。
【0133】
触媒は、ナノアルミナに付着したナノサイズのプラチナのような貴金属であるかもしれ
ない。構造を支持するナノアルミナとマイクロガラスは、およそ150℃以上で安定する
から、NC/プラチナ触媒構造も安定する。約150℃で始まる温度において、ナノサイ
ズのプラチナは、自動車の排気を含むガスからの一酸化炭素及び未燃炭化水素のような、
汚染物質を酸化させることができる。
【0134】
【表11】

【0135】
<例17:ナノカーボン>
上記の例15で示した試料634のテストを、ナノカーボン粒子をシリカと置換したこ
とを除いて、この例で繰り返して行なった。表12は、ナノカーボンを負荷したNCファ
ーニッシュは、ナノアルミナを含まないファーニッシュのフラクションである形成時間を
有することを示している。NC形成の前又は後にナノカーボンが添加された場合、形成時
間に差異がないことに注目した。
不織布に保留されたカーボンのそのような形状は、GACと、恐らくPACも超える吸
着特性を有するであろう。
【0136】
【表12】

【0137】
<例18:RNA>
上記の例15で示した試料634のテストを、RNA(Sigmaより入手可能なトルラ酵母
からのリボ核酸、Cat# R6625)をシリカと置換したことを除いて、この例で繰り返した。
表13は、RNAを負荷したNCファーニッシュは、ナノアルミナを含まないファーニッ
シュの約8%の形成時間であることを示している。
【0138】
【表13】

【0139】
この例は、ナノアルミナ繊維は、生物学的機能を提供するために、繊維構造に組み入れ
られることができる生物学的素粒子を付着できることを示している。一実施例において、
成長因子のような生物学的に活性の成分は、治療を向上させるために不織創傷被覆材のよ
うな医療構造体に組み入れられる。さらなる例において、ナノ銀粒子は、そのような被覆
材に加えられて、抗菌薬としての機能を果たす。別の例において、繊維構造は、栄養食品
や薬剤を表皮に浸透させるように送達するために使用される。さらに別の例において、繊
維構造は、不織布に付着した特定の核酸又はタンパク質が、特定の生物剤又は化学薬品と
相互作用できる。
【0140】
さらに別の例において、例えば、特定の官能基を有するポリマー粒子を含む、人工の高
分子粒子は、さらに不織フォーマットに分散及び固定される。例において、細菌は、生体
触媒として機能するように付着される。不織布に保留された細菌が生存率を維持するのは
、酸素、二酸化炭素及び廃棄物が、容易に媒体を通って潅流するからである。
【0141】
<例19:粉末活性炭>
上記の例14で示した試料634のテストを、粉末活性炭(PAC)をシリカと置換した
ことを除いて、この例で繰り返した。表12に示すように、PACを含む繊維構造は、ナ
ノアルミナを含まないファーニッシュの5%未満の形成時間である。
【0142】
【表14】

【0143】
<例20:リヨセル>
FiberInnovation Technologyから購入した2グラムの精製されたリヨセルは、例12
で説明したブレンダーを「高砕氷」設定で2分間使用し、0.75LのRO水に分散させ
た。混合物(0.61g)に添加したアルミニウム粉末の量は、反応後、固体が、40部の
AlOOHと、60部のリヨセル繊維で構成されるような量であった。乾燥PAC粉末は
、アルミニウム・水反応の前に添加し、次に、スラリーは、1Lのビーカー内で混合し、
アルミニウム・水反応は、例12と同様に行なった。
【0144】
表15は、PAC含有ファーニッシュの組成と、ナノアルミナを含まない組成を示して
いる。PACバージョンの形成時間は、ナノアルミナを含有する場合、16%である。P
ACファーニッシュの流入濁度は、PACと他の繊維とも急速な一体化の結果として、1
0NTUであるのに対し、ナノアルミナを含まない場合の流入濁度が360NTUである
。マクロ繊維凝集体は、ナノアルミナが存在する場合、原液中に目に見えるほど形成され
た。注目したのは、PAC−NCの原液の1/2リットルが750mlのビーカー内で混
合された場合、沈殿は極めて急速であり、沈殿は、30〜40秒内にビーカー内で起こり
、最終的には、上清の量の約80%を清浄して濁度を10NTU未満にするが、PAC/
リヨセル(ナノアルミナを含まない)混合物は、数時間は沈殿しなかったことである。さら
に注目したのは、PAC−NCの場合の流出濁度は、ナノアルミナが存在しなかった場合
のおよそ12分の1であり、活性炭粒子の大きなフラクションがドレーンに入るという結
果を生じたことである。これらは、粒子の最小であり、急速な吸着速度の一因となる可能
性が最も高いと考えられる。NCがPACと凝集体を形成する能力は、複合材料の高収率
をもたらし、リヨセルをマイクロガラスの置換物として用いて明示された。
【0145】
【表15】

【0146】
<例20:PACハンドシート>
この例において、複合材料をより広い面積のテスト試料のために増やしたことを除いて
、様々なハンドシートを、例23と同様に作成した。さらに、この例において、複合繊維
(Invista T105)とセルロースは、可撓性と強度を向上させるために添加した。セルロース
は、アルミニウム・水反応が開始される前に添加し、複合繊維は、ファーニッシュが冷却
され、約pH7まで中和された後に添加した。最終的に、この例において、ファーニッシ
ュは、2000:1ではなく500:1に希釈された。
【0147】
12"×12"のハンドシートは、シート状の紙を形成するために、ヘッドボックスを使
用し、スクリーンを通じて吸水して作成した。ハンドシートは、室温で空気乾燥させた。
複合繊維のようなのような高分子繊維が使用された例では、ハンドシートは、オーブン乾
燥し、160℃で20分間硬化した。表16でNCとして示される、ナノセラム媒体を含
み、炭素を含まないハンドシートは、同様な方法で作成した。
【0148】
【表16】

【0149】
細孔径は、例1〜10で上述したように決定される。全てのテスト試料の細孔径は、ナ
ノアルミナ/マイクロガラス繊維の細孔径より大きく、少ない圧力降下と高い流速能力を
もたらした。
【0150】
<例22>
このシリーズの目的は、繊維構造による微生物の保持力を測定することと、それを、ナ
ノアルミナ/マイクロガラス繊維のみから成るフィルタと比較することである。25mm
のディスクは、例21及び上記の表16に記載したように、試料番号617から切り取っ
た。別の25mmディスクは、NC媒体から切り取った。ディスクは、ブレバンディモナ
スディミヌタ(Brevundimonasdiminuta)(ATCCから入手可能、Cat. No 11568)の溶液
で試行した。B.ディミヌタ(B. diminuta)は、最小の培養可能な細菌であって、小寸法
が僅か0.3μmである。両方の種類の試料は、40ml/分の速度にて、細菌の10m
lアリコートで試行し、無菌バイアルに回収し、B.ディミヌタの測定を行った。PAC
−NC0は99%を保持できたが(表17)、PACを含まないNCはより優れていた。P
ACをその高レベル(58%)から低減することにより、細菌保持が高められる。両方の種
類のフィルタは、サイズが25ナノメートルであるMS2ウイルス(ATCCから入手可
能、Cat. No15597-B1)でも試行した。表18は、PAC−NCが、NCと殆ど同じウイ
ルス保持力を持つことを示している。
【0151】
【表17】

【0152】
【表18】

【0153】
<例22>
このシリーズの目的は、水流からの可溶性汚染物質の動的吸着効率を測定することであ
る。ヨウ素がサロゲート(代理)として使用されるのは、活性炭の能力が、GAC及びPA
C炭素の製造者によってヨウ素価で示されるからである。ヨウ素は、殺菌剤として水流へ
意図的に添加される、塩素の適したサロゲートでもあるが、飲料水の不味い味と悪臭の一
因となる。飲料水フィルタは、活性炭を使用し、塩素を除去する。
【0154】
この例において、20ppmのヨウ素溶液は、PAC−NCの幾つかのファーニッシュ
の25mmディスクである単一層を通過した。2mlのアリコートは、キュベットに回収
した(通過長1cm)。原液と流出液の吸収値は、Genesys-10UV/VISスペクトロメーを使
用し、290nmの波長にて測定した。該方法の検出限界は、およそ0.3ppmである

【0155】
表19のデータは、流出量が0.5ppm(0.5ppm以上で、ヨウ素の味が平均的な
人々に分かる)と、10ppm(流入量20ppmの50%)に達することを示している。
PAC/NC構造がヨウ素をそのような動的条件下に保持する効率を、3社の製造者(
A、B及びC)からの媒体と比較している。媒体は、市販のカートリッジ(直径2.5"×長
さ10")から選択した。
【0156】
ブレークスルーは、市販のフィルタ媒体では、PAC−NC構造がヨウ素に対する広範
囲の能力を有する場合、ほぼ即時である。図16は、試料617と、3社の製造者の媒体
を比較したブレークスルー曲線を示している。片対数プロットは、特に市販のフィルタ媒
体に関するブレークスルー曲線の詳細を強調するために使用している。
【0157】
そのデータは、市販の媒体の単一層は、ヨウ素が直ちに流出液に入ることを許容し、そ
れが、味や臭いによって検出可能であることを示している。対照的に、新しいPAC−N
C構造は、ヨウ素が0.5ppmに達する前に、20ppmのヨウ素を含有する約800
mlの溶液を通過することができる。市販の媒体と比べてそのように急速な吸着反応を有
する(800倍大きい)、この非常に動的な能力は、予期されなかった。理論にとらわれた
くないが、粉末活性炭のの微粒子は、構造内に保持され、洗浄されないと思われる。
【0158】
表19は、ヨウ素を濃度0.5と10ppmに精製した溶液の量を示している。10p
pmまで吸着されたヨウ素の量は、ヨウ素能力の計算された値とともに示されており、動
的条件下で除去されたヨウ素の質量と、製造者のヨウ素数値の界面吸着能を比較している
。PAC/NC試料はすべて、同様なブレークスルー曲線を有しており、ヨウ素漏れの検
出前、それぞれヨウ素の界面容量のおよそ55%〜72%を保持するが、市販の媒体によ
って利用される容量は、最大限で3.4%であった。これらのデータは、流体から汚染物
質を物理的に吸着又は化学的に吸着するために、構造内に保持されている極微細な粒子を
利用する利点を浮き彫りにしている。
【0159】
【表19】

【0160】
<例24>
例23にあるような試料のテストを、流入が200ppmと対比して500ppmだっ
たことを除いて、この例で繰り返した。2つの異なった波長は、検出限界を増大するため
に使用した。即ち、検出限界がおよそ3ppmである場合、低濃度流出液については29
0nm、高濃度については450nmであった。より高い利用特性(76%から147%)
は、達成可能であり(表20)、ヨウ素数によって画定される静止限界の低値に近づき超え
る。より高い試行濃度での一層高度な利用は、高濃度のソルベートの高い保持率を予測す
るラングミュア又はフロイントリヒ吸着等温線によって説明することができる[C. Tien,
AdsorptionCalculations and Modeling, Butterworth-Heinemann, Boston, 2001]。10
0%以上の界面容量値が説明されるのは、製造者であるカルゴンカーボンによって画定さ
れるヨウ素数が800mg/gを超えるからである。800mg/gの値は、計算で想定
された。
【0161】
【表20】

【0162】
可溶性汚染物質についてのPAC−NCの高吸着容量は、揮発性有機分子が、エアフィ
ルタに取り込まれるPACによって吸着されることができる場合、エアフィルタに直接的
に転写可能である。
【0163】
さらに、空気中又は水中で動作するPAC−NC媒体は、ヨウ素を除去する急速な速度
で、塩化物及び臭素を除去することができる。このフィルタ媒体は、塩化物が反応物質で
ある場合、化学処理で使用されることができる。特に、排出ガスを介してのように、大気
へ漏れからの塩化物の保持は、約30万分の1以上で、人の嗅覚によって検出可能であり
、約50万分の1の刺激閾値(irritation threshold)を有する際、極めて重要である。さ
らに、請求の範囲に記載のPAC−NC媒体は、移送中に塩素ガスの漏れを防止するのに
有用である。
【0164】
<例25:ダート保持力>
A2微細テストダスト(PTI,Inc.)のための試料PAC−NC(試料621)のダ
ート保持力を測定し、NC媒体と比較した(表21)。テストは、圧力降下が40psiに
到達するまで、直径2.5mmのディスクを、RO水中、A2微細ダストが入った250
NTU懸濁液に試行することを含んだ。流出濁度は、各ケースにおいて、テスト中、検出
限界の0.01NTU未満であって、流出液に入る粉末が最小限であることを示した。こ
れが驚くべき結果であるのは、従来、PACが、NC媒体が粒子を吸着する能力を減少さ
せると推測されていたからである。
【0165】
【表21】

【0166】
<計算式>
表1に示したデータから、試料の透気度はB(m2)は、以下のように決定された。
B=vμz/ΔP [2]
但し、
v−所定ΔPにおける流速、m/s
μ−気流速度。空気について−μ=18.6×10-6Pas
z−媒体の厚さ
ΔP−媒体の圧力降下、Paである。
【0167】
等式2は、フィルタを通る流れは、粘性範囲内であることを想定している。さらに、ガ
スフロー測定の場合、2つの追加条件[2]を要求する。(i)細孔径が1ミクロンより大き
い、(ii)上流面への絶対圧力が、下流面への絶対圧力の1.1倍を超えない、即ち、上流
ゲージ圧は、下流ゲージ圧がゼロ(即ち、400インチH2O絶対値)である場合、40イ
ンチH2O未満でなければならない。それら2つの条件が合う場合、等式2は、浸透性を
推測するために使用することができる。
【0168】
等式[2]と図1から、フィルタ媒体の浸透性を決定した、浸透値と多孔率から、流量を
平均化した流れ直径dを次の通り決定した。
2=32B/ε2 [3]
但し、ε−多孔率である。
流れ直径dは、表1に示している。ナノアルミナ媒体の平均細孔径は、4.2〜38μ
mの範囲であった。
【0169】
図1と、他の試料に関する同様なグラフから、媒体を通る直線速度の依存度と、与えら
れる圧力降下を比較し、表1に示している。これらの等式から、3.2m/分の直線流に
おける空気ΔP(mm水量、ゲージ)を、HEPAと比較している。
【0170】
以上は、かなり詳細に開示してきたが、例及び詳細な実施例は、説明のために示したも
のであり、制限するものではないと理解されるべきである。特に、形状、サイズ及び配置
についての設計変更は、発明の原理の範囲内であればなし得ることができる。当該分野の
専門家であれば、発明や、要素の組み合わせのそのような変化又は変更、バリエーション
、同等物、又は改良は、添付の特許請求の範囲に規定されるような発明の範囲内にあり、
本発明は、この文書中に明示されていない制限がない限り、適当に実践されることができ
ると理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−63439(P2013−63439A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−278025(P2012−278025)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2009−503115(P2009−503115)の分割
【原出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(508262102)アルゴナイド コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】ARGONIDE CORPORATION
【Fターム(参考)】