説明

超柔軟発泡体

【課題】超柔軟発泡体の提供。
【解決手段】任意選択として医用被覆材(200)として用いられる超柔軟発泡体材料が提供される。パッドは、脂肪族アルコールおよびアルキル多糖類を含む水相と組み合わされたNCO末端プレポリマーから調製した発泡体で作られる。発泡体は、任意選択として、少なくとも1つの薬剤を含んでよい。本開示は、ポリアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールと組み合わされた少なくとも1つのイソシアネートから形成された少なくとも1つのNCO末端親水性ウレタンプレポリマーと、多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸および亜リン酸などの少なくとも2つの活性水素原子を含む化合物とを含む発泡体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発泡体に関する。特定の実施態様によると、本発泡体は、創傷被覆材として用いるに適する。本発泡体は、優れた柔軟性特性と流体管理能力との両方を有する。
【背景技術】
【0002】
創傷被覆材における吸収材パッドの使用は既知である。そのようなパッドは、創傷を保護し、創傷部位への緩衝作用を提供すると同時に創傷からの滲出液の回収の助けとなる。そのような吸収材パッドは、おしめ、生理用ナプキン、包帯および類似品などの医療品としても用いてよい。
【0003】
吸収材パッドを形成させるために利用される発泡体も作られ、既知である。例えば、特許文献1にはそのような吸収材発泡体製品が開示されている。ポリウレタン発泡体も既知である。例えば、特許文献2および特許文献3を参照すること。特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7の発泡体も関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,394,930号明細書
【特許文献2】米国特許第3,586,648号明細書
【特許文献3】米国特許第3,903,232号明細書
【特許文献4】米国特許第3,961,629号明細書
【特許文献5】米国特許第4,664,662号明細書
【特許文献6】米国特許第4,339,550号明細書
【特許文献7】米国特許第5,065,752号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の吸収材パッドおよびポリウレタン発泡体組成物の広い多様性にもかかわらず、所望の柔軟性と液体管理特性とを有する吸収材発泡体組成物への求めは依然残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本開示は、ポリアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールと組み合わされた少なくとも1つのイソシアネートから形成された少なくとも1つのNCO末端親水性ウレタンプレポリマーと、多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸および亜リン酸などの少なくとも2つの活性水素原子を含む化合物とを含む発泡体を提供する。発泡体は、脱イオン水、少なくとも1つの脂肪族アルコール、および少なくとも1つのアルキル多糖類を含む水相も含む。
【0007】
本開示は、アルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールと組み合わされた、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネートおよびそれらの組み合わせなどの少なくとも1つのイソシアネートを含む少なくとも1つのNCO末端親水性ウレタンプレポリマーと、多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸および亜リン酸などの少なくとも2つの活性水素原子を含む化合物とを含む発泡体も提供する。発泡体は、脱イオン水と、カプロイックアルコール、カプリリックアルコール、2‐エチルヘキシルアルコール、カプリックアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エラエオステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコール、ココナッツオイル、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびそれらの組み合わせなどの少なくとも1つの脂肪族アルコールと、式
RO(C2nO)(Z) (1)
式中、Zはグルコースから誘導され、Rは約10から約18の炭素原子を有するアルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキルフェニルおよびそれらの混合物などの疎水性基であり、nは約2から約3であり、rは、約0から約10であり、xは約1.5から約8である、の少なくとも1つのアルキル多糖類とを含む水相も含む。
【0008】
本開示の発泡体は、おしめ、生理用ナプキンおよび創傷用被覆材などの医療品として利用してよい。実施態様によっては、発泡体は、被覆材として用いられる支持層に貼付してよい。本開示の発泡体が支持層とともに利用される場合、支持層および/または被覆材を貼付してよい任意の基材への発泡体の付着性を強めるために接着剤を存在させてよい。
【0009】
発泡体は、薬剤または他の添加剤も含んでよい。特定の実施態様では、発泡体は、抗菌剤を薬剤として含んでよい。いくつかの実施態様では、抗菌剤は、PHMB、あるいはPEHMBなどのその誘導体である。発泡体が被覆材として利用される場合、支持層および/または接着剤層などの被覆材の任意の他の層も薬剤または他の添加剤を含んでよい。
【0010】
本発明のさらに別の態様によると、1つ以上の病原体の計数値を減少させる方法が提供される。この方法は、1つ以上の病原体を含む滲出液の発生源を特定すること、本発明の発泡体を含む医療品を発生源に貼付すること、滲出液を発泡体中に吸収させること、および発泡体中に吸収された滲出液中に閉じ込められた病原体を殺し、それによって清浄化された滲出液を提供することを含む。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸および亜リン酸からなる群から選ばれた少なくとも2つの活性水素原子を含む化合物と組み合わされた、アルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールと組み合わされた少なくとも1つのイソシアネートを含む少なくとも1つのNCO末端親水性ウレタンプレポリマーと、
脱イオン水、少なくとも1つの脂肪族アルコールおよび少なくとも1つのアルキル多糖類を含む水相と、
を含む発泡体。
(項目2)
前記ポリエーテルポリオールはエチレンオキシドを含み、前記少なくとも1つのイソシアネートは芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネートおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、項目1に記載の発泡体。
(項目3)
前記ポリエーテルポリオールは、約50%から約90重量%のオキシエチレン含量率を有し、前記少なくとも1つのイソシアネートは、p‐フェニレンジイソシアネート、4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその位置異性体、2,4‐トルエンジイソシアネートおよびその位置異性体、3,4‐ジクロロフェニルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン‐4,4′‐ジイソシアネート、1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネートおよびその位置異性体、イソホロンジイソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、項目1に記載の発泡体。
(項目4)
前記脂肪族アルコールは、カプロイックアルコール、カプリリックアルコール、2‐エチルヘキシルアルコール、カプリックアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エラオステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコール、ココナッツオイル、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、項目1に記載の発泡体。
(項目5)
前記脂肪族アルコールは、エチレンオキシドと、カプロイックアルコール、カプリリックアルコール、2‐エチルヘキシルアルコール、カプリックアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エラオステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールおよびブラシジルアルコールおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれたアルコールとの反応生成物を含むエーテルをさらに含む、項目4に記載の発泡体。
(項目6)
前記アルキル多糖類は、約8から約20の炭素原子を有する疎水性基と、約1.5から約10の糖単位を有する多糖類親水性基とを含む、項目1に記載の発泡体。
(項目7)
前記アルキル多糖類は、グルコシド、ガラクトシド、ラクトシド、フルクトシド、フルクトシル、ラクトシル、グルコシル、ガラクトシルおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる、項目1に記載の発泡体。
(項目8)
前記水相は、脱イオン水、セテアリルアルコール、ポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルおよび式
RO(C2nO)(Z) (1)
のアルキルポリグルコシドを含み、
式中、Zはグルコースから誘導され、Rは約10から約18の炭素原子を有するアルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキルフェニルおよびそれらの混合物からなる群から選ばれた疎水性基であり、nは約2から約3であり、rは約0から約10であり、xは約1.5から約8である、項目1に記載の発泡体。
(項目9)
抗菌剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、抗てんかん薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、診断用薬剤、交感神経興奮剤、コリン様作用剤、抗ムスカリン剤、抗けいれん剤、ホルモン剤、成長因子、筋弛緩剤、抗新生物剤、免疫抑制剤、ステロイド、多糖類、酵素およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた薬剤をさらに含む、項目1に記載の発泡体。
(項目10)
トリクロサン、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリエチレンヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、硫酸クロルヘキシジン、銀、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、蛋白質銀、スルファジアジン銀、リン酸塩ガラス、ポリミキシン、テトラサイクリン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、ペニシリン、オキサシリン、ピプラシル、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン類、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシンBならびにそれらの組み合わせからなる群から選ばれた抗菌剤をさらに含む、項目1に記載の発泡体。
(項目11)
最大約20,000ppmの前記抗菌剤を含む、項目10に記載の発泡体。
(項目12)
最大約20,000ppmかつ少なくとも約5,000ppmのPHMBを含む、項目11に記載の発泡体。
(項目13)
最大約20,000ppmかつ少なくとも約7,500ppmのPHMBを含む、項目12に記載の発泡体。
(項目14)
最大約20,000ppmかつ少なくとも約9,000ppmのPHMBを含む、項目13に記載の発泡体。
(項目15)
最大約20,000ppmかつ少なくとも約10,000ppmのPHMBを含む、項目14に記載の発泡体。
(項目16)
最大約20,000ppmかつ少なくとも約15,000ppmのPHMBを含む、項目15に記載の発泡体。
(項目17)
最大約20,000ppmかつ少なくとも約17,500ppmのPHMBを含む、項目16に記載の発泡体。
(項目18)
少なくとも7日間の曝露期間にわたって1つ以上の一般的な創傷病原体の量を少なくとも2log減少させるように構築された、項目12に記載の発泡体。
(項目19)
少なくとも7日間の曝露期間にわたって1つ以上の一般的な創傷病原体の量を少なくとも6log減少させるように構築された、項目18に記載の発泡体。
(項目20)
前記1つ以上の創傷病原体は、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus auereus、Escherichia coli、Enterococcus faecalisおよびCandida albicansの1つ以上を含む、項目18または19に記載の発泡体。
(項目21)
約10分間を超えない曝露期間の後で1つ以上の一般的な創傷病原体の量を少なくとも2log減少させるように構築された、項目12に記載の発泡体。
(項目22)
約10分間を超えない曝露期間の後で1つ以上の一般的な創傷病原体の量を少なくとも6log減少させるように構築された、項目21に記載の発泡体。
(項目23)
約5分間を超えない曝露期間の後で1つ以上の一般的な創傷病原体の量を少なくとも2log減少させるように構築された、項目21に記載の発泡体。
(項目24)
前記1つ以上の創傷病原体は、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus auereus、Escherichia coli、Enterococcus faecalisおよびCandida albicansの1つ以上を含む、項目21から23の任意の1項に記載の発泡体。
(項目25)
1つ以上の一般的な創傷病原体に曝露されると少なくとも3日間の曝露期間の後で増大する阻害区域を提供するように構築された、項目12に記載の発泡体。
(項目26)
前記発泡体は、約1ポンドから約2ポンドのIFD25%、約3.5ポンドから約9ポンドのIFD65%、約3.5から約4.5の支持因子および約0.01N/cmから約0.1N/cmの共形性値を有する、項目1に記載の発泡体。
(項目27)
前記発泡体は、18mmHgに相当する圧縮下で、約4から約8cc/inの流体容量を有する、項目1に記載の発泡体。
(項目28)
前記発泡体は、40mmHgに相当する圧縮下で、約3から約7cc/inの流体容量を有する、項目1に記載の発泡体。
(項目29)
項目1から28の任意の1項に記載の発泡体を含む医療品。
(項目30)
前記医療品は、創傷被覆材を含む、項目29に記載の医療品。
(項目31)
ポリウレタン、アセテート繊維、アクリル繊維、セルロースエステル繊維、モドアクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、レーヨン繊維、ポリエチレン発泡体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた支持層をさらに含む、項目30に記載の被覆材。
(項目32)
任意選択として、アクリル接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ハイドロゲル接着剤、ポリウレタン接着剤およびシリコーン接着剤からなる群から選ばれた接着剤と組み合わされた、ポリウレタン、ポリエステル繊維、レーヨン繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた支持層をさらに含む、項目30に記載の被覆材。
(項目33)
前記被覆材内の任意の滲出液は、前記被覆材が貼付された創傷から移動して離れる、項目30に記載の被覆材。
(項目34)
前記少なくとも1つのNCO末端親水性ウレタンプレポリマーは、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネートおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれ、
前記少なくとも1つの脂肪族アルコールは、カプロイックアルコール、カプリリックアルコール、2‐エチルヘキシルアルコール、カプリックアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エラオステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコール、ココナッツオイル、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれ、
前記少なくとも1つのアルキル多糖類は、式
RO(C2nO)(Z) (1)
のものであり、
Zはグルコースから誘導され、Rは約10から約18の炭素原子を有するアルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキルフェニルおよびそれらの混合物からなる群から選ばれた疎水性基であり、nは約2から約3であり、rは約0から約10であり、xは約1.5から約8である、
項目1から28の任意の1項に記載の発泡体。
(項目35)
曝露された病原体の数を減少させることができる医療品の製造における項目10から25の任意の1項に記載の発泡体の使用。
(項目36)
1つ以上の病原体の計数値を減少させる方法であって、
1つ以上の病原体を含む滲出液の発生源を特定すること、
項目1から28の任意の1項に記載の発泡体を含む医療品を前記発生源に貼付すること、
滲出液を前記発泡体中に吸収させること、および
前記発泡体中に吸収された前記滲出液中に閉じ込められた病原体を殺し、それによって、清浄化された滲出液を提供すること
を含む方法。
(項目37)
清浄化された滲出液を前記発泡体の内部から放出して前記発生源中に戻すことをさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記放出するステップは、前記清浄化された滲出液とともに抗菌剤を放出して前記発生源中に戻すことをさらに含む、項目37に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは、発泡体に25%圧入させて発泡体の圧入力たわみ(IFD)を測定するために利用してよい装置の図である。
【図1B】図1Bは、発泡体に65%圧入させて発泡体の圧入力たわみ(IFD)を測定するために利用してよい装置の図である。
【図1C】図1Cは、本開示の発泡体の共形性、すなわち発泡体の曲げ剛性または曲げに対する抵抗性の指標を測定するために利用してよい装置の図である。
【図1D】図1Dは、使用中の図1Cの装置の図である。
【図2】図2は、腿の側面の創傷の上に置かれた、本開示の発泡体で作られた超柔軟パッド被覆材の図(矢状面)である。
【図3】図3は、図2に示した腿の上の超柔軟パッドの代替図である。この図では、患者は腹這いになっている。
【図4】図4は、図2に示した腿の上の超柔軟パッドの代替図である。この図では、患者は仰向けになっている。
【図5】図5は、図2に示した腿の上の超柔軟パッドの代替図である。この図では、患者は仰向けになり、脚を胴体とほぼ垂直になるように上げている。
【図6】図6は、図2に示した腿の上の超柔軟パッドの代替図である。この図では、患者は横臥し、発泡体パッド被覆材は横方向に露出されている。
【図7】図7は、第1の標的微生物に対する本発明の特定の実施態様の効力の例を示すグラフである。
【図8】図8は、第1の標的微生物に対する本発明の追加の実施態様の効力の例を示すグラフである。
【図9】図9は、第2の標的微生物に対する本発明の特定の実施態様の効力の例を示すグラフである。
【図10】図10は、第3の標的微生物に対する本発明の特定の実施態様の効力の例を示すグラフである。
【図11】図11は、第4の標的微生物に対する本発明の特定の実施態様の効力の例を示すグラフである。
【図12】図12は、第5の標的微生物に対する本発明の特定の実施態様の効力の例を示すグラフである。
【図13】図13は、第6の標的微生物に対する第1の接種間隔による本発明の追加の代替実施態様の効力の例を示すグラフである。
【図14】図14は、第6の標的微生物に対する第2の接種間隔による本発明の追加の代替実施態様の効力の例を示すグラフである。
【図15】図15は、第6の標的微生物に対する第3の接種間隔による本発明の追加の代替実施態様の効力の例を示すグラフである。
【図16】図16は、第1の標的微生物に対する何日間かの期間にわたる本発明の追加の代替実施態様の阻害領域挙動を比較する線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本開示の発泡体組成物は、アルコールおよび多糖類界面活性剤を有する水相と組み合わされたNCO末端ポリエーテルプレポリマーを含む。界面活性剤を含む水相中で少なくとも1つのNCO末端プレポリマーを急速に重合させ、結果として本開示の発泡体を形成させる。実施態様によっては、少なくとも1つとは、約1から約20、実施態様によっては約2から約10であってよい。本開示の発泡体の方は、創傷被覆材として用いるための超柔軟パッドを含む、創傷被覆材を形成させるために用いてよい。
【0013】
本開示の組成物を形成させるために利用してよいポリエーテルプレポリマーは、親水性ポリエーテルポリオールを含む。適当な親水性ポリエーテルポリオールの例は、エチレンオキシドまたはエチレンオキシドと他のアルキレンオキシド(単数または複数)との組み合わせと、多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸、亜リン酸および類似化合物を含む、少なくとも2つの活性水素原子を含む1つ以上の化合物との反応生成物を含む。多価アルコールの適当な例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3‐および1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルジオールおよびシラノール末端ポリシロキサンなどの二価アルコール;グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,3‐ブタントリオール、1,2,6‐ヘキサントリオールおよびポリエステルトリオールなどの三価アルコール;およびペンタエリスリトール、ジグリセロール、α‐メチルグルコシド、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、スクロースおよび類似物などの4から8以上のヒドロキシル基を有する多価アルコールを含む。適当な多価フェノールの例は、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロールおよびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよび類似物)などの単核および多核フェノール類、ならびにフェノール‐ホルムアルデヒド縮合生成物である。適当なアミンは、アンモニア;モノ‐、ジ‐およびトリ‐エタノールアミン、イソプロパノールアミンおよび類似物などのアルカノールアミン;CからC20アルキルアミン(メチル‐、エチル‐、イソプロピル‐、ブチル‐、オクチル‐およびラウリルアミン類および類似物)、アニリン、トルイジン、ナフチルアミン類、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミンおよび類似物などの脂肪族、芳香族、芳香脂肪族および脂環式モノアミン、CからCアルキレンジアミン類(エチレンジアミンなど)、ジエチレントリアミン、トリレンジアミン類、フェニレンジアミン類、キシリレンジアミン類、メチレンジアミン類、ジフェニルエーテルジアミン類、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン類、ジシクロヘキシルメタンジアミン類および類似物などの脂肪族、芳香族、脂環式および芳香脂肪族ポリアミン;およびピペラジン、N‐アミノエチル‐ピペラジンおよびその他の複素環ポリアミンなどの複素環ポリアミン類を含む。
【0014】
ポリエーテルポリオールを製造するためにエチレンオキシドと組み合わせて使用してよい適当なアルキレンオキシドは、例えば、プロピレンオキシド、1,2‐、2,3‐、1,3‐、および1,4‐ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよび類似化合物ならびにそれらの2つ以上のものの組み合わせを含む。
【0015】
エチレンオキシド、またはエチレンオキシドとアルキレンオキシドとの組み合わせの活性水素原子含有化合物への付加は、アルカリ触媒、アミン触媒または酸触媒などの触媒の存在下または非存在下、常圧下または加圧下、単一工程または複数工程プロセスで、任意の通常の方法で実行してよい。エチレンオキシドおよびアルキレンオキシドの付加は、ランダム付加、ブロック付加またはそれらの組み合わせ、例えばランダム付加とそれに続くブロック付加とによって実行してよい。いくつかの実施態様では、ランダム付加を利用してよい。
【0016】
実施態様によっては、NCO末端プレポリマーを製造するために用いられるポリオールは、適切には、少なくとも約30%、実施態様によっては約50%から約90重量%のオキシエチレン含量、約2から約8のヒドロキシル基(平均)、実施態様によっては約2から約4のヒドロキシル基を有するとよい。
【0017】
次に、上記に記載のポリエーテルポリオールを芳香族イソシアネートまたは脂肪族イソシアネートなどのイソシアネートでキャップする。適当な芳香族イソシアネートは、NCO基中の炭素原子を除いて約6から約20の炭素原子を含むものを含む。具体的な例は、p‐フェニレンジイソシアネート(PDI)、4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびその位置異性体、2,4‐および/または2,6‐トルエンジイソシアネート(全体としてTDI)およびそれらの位置異性体、3,4‐ジクロロフェニルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン‐4,4′‐ジイソシアネート(HMDI)、1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびそれらの位置異性体を含むがそれらに限定されない。適当な脂肪族イソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)および類似化合物を含む。
【0018】
イソシアネートを少なくとも1つの親水性ポリエーテルポリオールと反応させてNCO末端親水性ウレタンプレポリマーを形成させる際、NCO/OH比は約1.5から約5.0、実施態様によっては約1.7から約3.0にするとよい。プレポリマーを形成させるイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応は、任意の通常の方法で実行してよい。いくつかの実施態様では、この反応を触媒の存在下で実行してよい。
【0019】
NCO末端親水性プレポリマーのNCO含有率は、約1から約10重量%、実施態様によっては約2から約8重量%であってよい。
【0020】
本開示によって用いられる適当なNCO末端ポリエーテルプレポリマーは当業者に既知であり、例えば、米国特許第3,903,232号および第4,137,200号に開示されているプレポリマーを含む。そのようなプレポリマーは、2より大きい、実施態様によっては平均して約2から約10のイソシアネート官能基を有するとよい。実施態様によっては、適当なNCO末端ポリエーテルプレポリマーは、HYPOL 2000、HYPOL 2002、HYPOL 3000、HYPOL 4000、HYPOL 5000、HYPOL X6100およびHYPOLハイドロゲルなどの商標HYPOLで売られているものを含む。
【0021】
適当なNCO末端ポリエーテルプレポリマーは、約100から1,000ダルトン、実施態様によっては約500から約750ダルトンの当量(NCO基あたりの分子量)、約1.3meq/gから約1.8meq/g、実施態様によっては約1.5meq/gから約1.6meq/gのNCO含量、約16,000cpsから約21,000cps、実施態様によっては約18,000cpsから約20、000cpsの粘度、約3重量%未満の遊離TDI、実施態様によっては約0.1%から約3重量%の遊離TDI、約0.3から約1.7重量%の遊離MDI、実施態様によっては約0.5から約1.5重量%の遊離MDI、および約1g/cmから約1.3g/cm、実施態様によっては約1.1g/cmから約1.2g/cmの比重を有するとよい。
【0022】
いくつかの実施態様では、HYPOL 2002をNCO末端ポリエーテルプレポリマーとして利用してよい。HYPOL 2002は、約633ダルトンの当量(NCO基あたりの分子量)、約1.58meq/gのNCO含量、約19,000cpsの粘度、約3重量%未満の遊離TDI、約0.7から約1.3重量%の遊離MDI、および約1.19g/cmの比重を有する。
【0023】
次に、NCO末端ポリエーテルプレポリマーを水相と組み合わせて本開示の発泡体を作り出してよい。実施態様によっては、水相は、脱イオン水を含む水であってよい。水相は、アルコール、多糖類、それらの組み合わせおよび類似物を含むがそれらに限定されない界面活性剤も含んでよい。
【0024】
実施態様によっては、水相に加えてよい適当なアルコールは、脂肪族アルコールを含む。適当な脂肪族アルコールは、カプロイックアルコール、カプリリックアルコール、2‐エチルヘキシルアルコール、カプリックアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エラエオステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、エルシルアルコールおよびブラシジルアルコール、ならびに、例えば、脂肪およびオイルからの技術的メチルエステルまたはRoelenのオキソ合成からのアルデヒドの高圧水素化において、および不飽和脂肪族アルコールの二量化における単量体画分として得られるそれらの技術的混合物を含む。いくつかの実施態様では、脂肪族アルコールは、例えばココナッツオイル、セテアリルアルコールまたはベヘニルアルコールなどの技術的C12〜18脂肪族アルコールを含んでよい。単独の脂肪族アルコールを用いてよく、あるいは脂肪族アルコールの任意の組み合わせを用いてよい。
【0025】
実施態様によっては、界面活性剤として用いるためにエーテルも水相に加えてよい。存在させる場合、エーテルを他のエーテルまたは上記に記載の脂肪族アルコールと組み合わせて含んでよい。適当なエーテルは、アルコールポリグリコールエーテルを含む。アルコールポリグリコールエーテルは、平均して約5から約40モル、実施態様によっては約10から約30モルのエチレンオキシドとカプロイックアルコール、カプリリックアルコール、2‐エチルヘキシルアルコール、カプリックアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エラエオステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールおよびブラシジルアルコールならびにそれらの技術的混合物との付加体を含む。実施態様によっては、それぞれ約10から約12モルおよび約15から約20モルのエチレンオキシドとセテアリルアルコールとの付加体の混合物を利用してよい。
【0026】
実施態様によっては、Cognis Corporation (Ambler, PA)のEMULGADE(R) 1000 NIをアルコールとして利用してよい。EMULGADE(R) 1000 NIは、セテアリルアルコールとceteareth−20(ポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテル)との混合物である。
【0027】
実施態様によっては、水相に加えてよい適当な多糖類は、当業者に既知のアルキル多糖類界面活性剤を含む。用いることができるアルキル多糖類は、約8から約20の炭素原子、実施態様によっては約10から約16の炭素原子、典型的には約12から約14の炭素原子を含む疎水性基と、約1.5から約10、実施態様によっては約1.5から約4、典型的には約1.6から約2.7の糖類単位(例えば、ガラクトシド、グルコシド、フルクトシド、グルコシル、フルクトシルおよび/またはガラクトシル単位)を含む多糖類親水性基とを有してよい。アルキル多糖類界面活性剤中に糖類部分の混合物を用いてよい。
【0028】
適当なアルキル多糖類は、デシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシルおよびオクタデシル、ジ‐、トリ‐、テトラ‐、ペンタ‐およびヘキサ‐、グルコシド、ガラクトシド、ラクトシド、フルクトシド、フルクトシル、ラクトシル、グルコシルおよび/またはガラクトシルならびにそれらの混合物を含む。
【0029】
実施態様によっては、利用してよい適当なアルキルポリグルコシドは、以下の式
RO(C2nO)(Z) (I)
式中、Zはグルコースから誘導され、Rはアルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキルフェニルおよびそれらの混合物などの疎水性基であり、前記アルキル基は約10から約18、実施態様によっては約12から約14の炭素原子を含み、nは約2から約3であり、rは約0から約10であり、×は約1.5から約8、実施態様によっては約1.5から約4、典型的には約1.6から約2.7である、を有してよい。
【0030】
これらの化合物を調製するために、長鎖アルコール(ROH、Rは約C10から約C18のアルキル基)を酸触媒の存在下でグルコースと反応させて所望のグルコシドを形成させてよい。あるいは、短鎖アルコール(ROH、Rは約1から約6の炭素原子を有するアルキル)をグルコースまたはポリグルコシド(x=2から4)と反応させて短鎖アルキルグルコシド(x=1から4)を生成させ、今度はこれを長鎖アルコール(ROH)と反応させて短鎖アルコールを置き換え、所望のアルキルポリグルコシドを得る2段階手順によってアルキルポリグルコシドを調製してよい。この2段階手順を用いるなら、最終アルキルポリグルコシド材料の短鎖アルキルグルコシド含有率は、アルキルポリグルコシドの約50%未満、実施態様によっては約10%未満、典型的には約5%未満、実施態様によっては約0%とする必要がある。
【0031】
所望のアルキル多糖類界面活性剤中の未反応アルコールの量(遊離脂肪族アルコール含有率)は、アルキル多糖類の合計の約2%重量未満、実施態様によっては約0.5重量%未満であるとよい。使用法によっては、アルキル単糖類含有率を約10%未満とすることが望ましいことがある。
【0032】
本明細書で用いられる「アルキルポリグルコシド」は、合成反応時に糖部分の立体化学が変化するので、アルキルポリグリコシドを含む。
【0033】
いくつかの実施態様では、グリコシド界面活性剤は、Cognis Corporation (Ambler, PA)によって製造されているグルコポンGLUCOPON(R) 625などのアルキルポリグルコシドであってよい。
【0034】
水相のpHを所望のレベルに調節して本開示の発泡体の形成を促進させてよい。水相のpHは、約4から約8の範囲であってよく、特定の実施態様例では、約6から約7のpHを利用してよい。
【0035】
脂肪族アルコール、アルコールポリグリコールエーテルおよび/またはアルキル多糖類は、単独または任意の組み合わせで水相に加えてよい。実施態様によっては、水相を形成させたら上記に記載のNCO末端プレポリマーと接触させて本開示の発泡体を形成させてよい。
【0036】
さまざまな方法を利用して本開示の発泡体を形成させてよい。例えば、ワンショットプロセスまたはプレポリマープロセスのどちらを用いてもよい。ワンショットプロセスでは、すべての成分、すなわち本明細書に記載のポリエーテルポリオール、イソシアネート、任意の界面活性剤を含む水相、必要に応じて充填剤、添加剤および任意の他の成分を一度に組み合わせてよい。プレポリマープロセスでは、最初にNCO末端プレポリマーを上記に記載のように調製し、次に水相に加え、必要に応じて、充填剤および添加剤ならびにその他の任意の成分を一度に組み合わせてよい。本開示の発泡体の成分を組み合わせるための方法は、当業者に既知であって、例えば、混合、ブレンドおよび類似技法を含む。
【0037】
これらの手順では、当業者に既知の装置を用いて、個々の成分および他の成分または成分混合物の搬送、計量および混合ならびに発泡を行ってよい。
【0038】
結果として得られる本開示の発泡体の性質は、OH/NCO比、すなわちNCO末端プレポリマーに対する水相の比を変化させることによって変更してよい。NCO末端プレポリマーに対する水相の比は、約1:1から約3:1、実施態様によっては約1.3:1から約2:1であってよく、いくつかの実施態様では約1.5:1の比が用いられる。
【0039】
発泡体は、約0.5から約30分間、実施態様によっては約1分から約15分間混合するとよい。混合後、発泡体を注ぐかまたは塗り広げてシート状構造体を形成させてよい。こうすると約0.015mmから約15cmの発泡体厚さを容易に得ることができる。材料の厚さは、使用目的に依存する。すなわち、単位面積あたり大量の液体を吸収するのであれば、対応して厚い発泡体材料を塗り広げる必要がある。単位面積あたりほんの小さな体積の液体を管理するのであれば、非常に薄い層で十分なことがある。組成物の10g/mまでの薄い塗布は、展着法で容易に作り出すことができる。しかし、本開示による発泡体からシート状でなく、例えば通常のキャスト法プロセスによって著しく空間を満たす物品を作製することも可能であり、有利である。
【0040】
実施態様によっては、シート状構造体をパッドと呼んでよく、本開示の発泡体によって示される向上した性質によって、実施態様によっては、パッドを超柔軟パッドと呼んでよい。
【0041】
結果として得られた発泡体を次に乾燥させてよい。乾燥させるための方法は、当業者に既知であり、例えば、強制空気によるかまたはオーブン内などでの加熱、高周波放射の使用および類似技法などを含む。実施態様によっては、高周波放射を用いて本開示の発泡体を形成させると有利である。結果として得られる発泡体を、例えば、ガンマ線照射、電子ビーム殺菌、エチレンオキシド殺菌、それらの組み合わせおよび類似法を含む任意の適当な方法によって殺菌してよい。
【0042】
本開示による発泡体は、当業者に既知のプロセスによってシート状支持材、例えば織物、編物、不織布またはシートに貼付してよい。本開示は、結果として得られる生成物にも関する。一般的に、支持材の片面に本開示によるポリウレタンフォーム層を設ける。本開示の発泡体は、支持層と同一の広さを有してよい。他の実施態様では、本開示の発泡体は、パッドの外周より大きな支持層によって覆われたパッドであってよい。
【0043】
これらのシート状構造体中で利用される支持材料は、非常に多様な起源、すなわち天然、半合成または全合成原料による材料を有してよく、有機または無機起源の材料を用いてよい。例えば、プラスチックおよび金属シート、有機または無機繊維材料のマット、不織布、編物または織物、紙および発泡体シートを用いてよく、あるいはこれらの支持材料の組み合わせも用いてよい。空気および水分を透過させるシート状構造体、例えばマイクロ多孔質およびマクロ多孔質プラスチックシートおよび不織布、ならびに弾性織物支持材料、特に伸縮織物およびガーゼ包帯は、医療用途に適することがある。
【0044】
本開示は、本開示の発泡体で被覆した支持材料を利用するシート状構造体の製造のためのプロセスを含む。プロセスは、例えば、キャスト法またはナイフ塗布による直接プロセスまたは逆プロセスによって、上記で定義した発泡体あるいは発泡体を形成させることができる反応混合物を支持材料の表面に塗布し、適切な場合には、裏地材料表面を発泡体によって部分的にしか被覆しないことを特徴とする。発泡体の層厚さは、例えば、約0.015mmから約150mm、実施態様によっては約0.1mmから約50mm、典型的には約0.1mmから約6mmであるとよい。
【0045】
本開示によるシート状構造体は、連続法で製造してよく、あるいはバッチ法で製造してよい。手順は、提供される所定のシート状構造体に依存する。バッチ法手順は、多くの場合、切り出し済みの支持材料が入手できるときに有利である。連続法の手順は、支持材料が存在しない場合、または連続形、例えばロール材料として入手できる支持材料を被覆する場合に適することがある。支持材料への発泡体の塗布は、この場合、直接プロセスまたは逆プロセスによって行ってよい。前記プロセスにおいて、反応混合物が反応によって固化する前にナイフで塗布してもよい。
【0046】
実施態様によっては、ガンマ線による照射、コロナ処理または同様な処理によって本開示による発泡体および支持材料を処理して任意の支持材料に対する発泡体の凝集力を向上させると有用なことがある。
【0047】
実施態様によっては、支持層も感圧接着剤などの一般的な接着剤組成物で被覆して、支持層の発泡体に対する付着力と支持層の皮膚または塗布される相手である任意の他の基質に対する付着力との両方を強めてよい。アクリル系、ハイドロコロイド系、ハイドロゲル系、ポリウレタン系およびシリコーン系接着剤を含む任意の医学的に許容されている皮膚に友好的な接着剤が適している。
【0048】
他の実施態様では、本開示の被覆材は支持層上の発泡体の島を含んでよく、少なくとも支持層の外縁部分を接着剤で被覆する。接着剤は、支持層の外縁部分の上に連続的にまたは不連続的に塗布してよい。
【0049】
実施態様によっては、本開示による発泡体をポリウレタンシートで構成された支持材に塗布し、創傷被覆材として利用してよい。この種類の支持シートは、約5から約200μm、実施態様によっては約10から約100μm、典型的には約15から約70μmの厚さを有するとよい。水蒸気に対する透過性の値は、約500から約10,000g/m/24h、実施態様によっては約700から約7000g/m/24h、典型的には約1000から約5000g/m/24hであるとよい。
【0050】
実施態様によっては、支持層は、上記に記載のポリウレタンシートを含んでよく、任意選択として他の層と組み合わせてよい。例えば、追加の合成材料をポリウレタンと組み合わせて利用して本開示の発泡体とともに用いられる多層支持材料を形成させてよい。適当な追加の合成材料は、アセテート繊維、アクリル繊維、セルロースエステル繊維、モドアクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、レーヨン繊維、発泡ポリエチレンおよびそれらの組み合わせを含むが限定されない。実施態様によっては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維およびそれらの組み合わせなどの繊維を支持材料の追加の層として利用してよい。適当なポリオレフィン繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンならびにそれらの組み合わせおよび共重合体の繊維を含む。適当なポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートならびにそれらの組み合わせおよび共重合体を含む。
【0051】
上記に記載のポリウレタン支持層と組み合わせて利用してよい他の層は、ランダム繊維と梳毛繊維との層の組み合わせなどの不織材料を含む。繊維は、天然起源であってよく、あるいは合成起源であってよい。不織材料に利用してよい天然繊維は、絹繊維と、羊毛繊維、ラクダ毛繊維および類似物などのケラチン繊維と、木材パルプ繊維、綿繊維、麻繊維、ジュート繊維、亜麻繊維を含むセルロース系材料繊維、ならびにそれらの混合物を含む。不織材料に利用してよい合成繊維は、アセテート繊維、アクリル繊維、セルロースエステル繊維、モドアクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、レーヨン繊維およびそれらの混合物を含む。
【0052】
不織布層は、水流絡合法、空気絡合法、熱的に結合させる方法すなわち熱結合法およびこれらのプロセスの組み合わせを含むさまざまなプロセスによって調製してよい。
【0053】
実施態様によっては、支持層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む他の材料と組み合わされた、Dow Chemical Co. (Midland, MI)のPELLETHANE(R)熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性ポリウレタンと、Veratec, Inc. (Walpole, Mass.)によって商品名HEFで販売されている約50%レーヨンと50%ポリエステルとを含む水流絡合材料を含む織布層材料とを含むがそれらに限定されない多層構成を有してよい。そのような多層構成を形成する諸層は、任意の順序であってよい。
【0054】
本開示は、本開示による発泡体の医療における使用、例えば、創傷の治療またはその予防のための使用、特に、創傷被覆材、包帯または支持材として、ならびに特に予防のための保護および充填材料としての使用にも関する。
【0055】
本開示の発泡体を含む創傷被覆材は、優れた機械的および創傷治癒特性を有する。例えば、実施態様によっては、本開示の発泡体は優れた圧入力たわみ値を有する。圧入力たわみ値(IFD)は、発泡体の硬さまたは柔軟性の測定値であり、発泡体の表面触感を示す。それは、発泡体を元の高さの25%まで圧入することによって測定される。IFDを測定するために利用される装置の図を図1Aに示す。図1Aで分るように、圧入器下部10を用いて被検試料20の厚さTの25%にあたるD25だけ圧入させる。25%圧入を実現するために必要な力F25を測定し、試料の厚さTで除してその柔軟性値を得る。この力の値が低いほど発泡体は柔軟であり、表面触感はしなやかである。
【0056】
厚さの異なるパッドの比較を容易にするために、25%IFD値を試験したパッド試料の厚さで除してIFDデータを規格化すると望ましいことがある。
【0057】
元の厚さTの65%のD65まで発泡体に圧入させることによって、第2のIFD測定を行ってよい。この第2のIFD測定を用いて発泡体が支持を提供する能力を測定するのを助ける。そのような試験の図を図1Bに示す。図1Bに示したように、圧入器下部10を用いて被検試料20の厚さTの65%のD65だけ圧入させる。65%圧入を実現するために必要な力F65を測定し、25%たわみを実現するために必要な力F25で除して被検試料の支持因子値を得る。一般的に、25%IFDと65%IFDとの間の差が大きなほど、発泡体が重量を支える能力が高い。25%IFDに対する65%IFDの比を発泡体の支持因子と呼ぶ。現在入手することができる発泡体の支持因子は約1.5から約2.6であってよい。この数が高いほど、支持を提供する発泡体の能力が高い。
【0058】
現在入手することができる超柔軟発泡体は、一般的に、10ポンド前後のIFD25%を有する。10ポンド未満のIFD25%を有する発泡体は、許容範囲の下端(約1.5)前後、場合によっては約1.5未満の低い支持因子を有する傾向がある。
【0059】
これと異なり、本開示の発泡体を利用して約1ポンド(4.4N)から約2ポンド(8.9N)のIFD25%と約3.5ポンド(16N)から約9ポンド(40N)のIFD65%とを有する超柔軟重合体被覆材パッド、実施態様によってはポリウレタン発泡体パッドを形成させることができる。本開示の発泡体パッドは、約3.5から約4.5の支持因子も有する。これは、上記に記載のように約1.5から約2.6の現在入手可能なパッドの支持因子より著しく高い。
【0060】
本開示の発泡体は、優れた共形性を有する被覆材として用いられるパッドを形成させるために利用してもよい。本明細書では、共形性は、材料の曲げ剛性または曲げに対する抵抗性の指標として用いられる。それは、図1Cに示される装置を利用して測定してよい。試験試料100を試料ホルダ110の中に置き、4つの側すべてを試験試料ホルダ110中で支える。力アーム120を用いて試験試料の中心を通って導かれる未知の力(F)を試験試料の表面に垂直な方向に加える。試験試料を1cmのd距離だけ折るかまたは曲げるのに必要な最大の力を測定する。図1Dは使用中の装置を示し、試験試料は1cmのd距離だけ曲げられている。次に、測定された力を試験した試料の体積で除して力/単位体積を求める。これは、試験した被検試料の共形性の指標である。
【0061】
現在入手可能な発泡体被覆材パッドは、約0.1N/cmから約0.3N/cmの共形性値を有する。これと異なり、本開示の発泡体で調製した発泡体パッドは、約0.01N/cmから約0.1N/cm、実施態様によっては約0.03N/cmから約0.05N/cmであってよいはるかに低い共形性値を有する。
【0062】
本開示の発泡体は、被覆材として用いられる超柔軟パッドを形成させるために利用してよい高密度小胞ネットワークを有する。高密度小胞ネットワークは、パッド内に流体の流れのための蛇行通路を作り出し、これによって人工的に加えられる力が存在しない場合、パッドマトリックス中に吸収された流体はその構造体中に保持される。これと異なり、現在入手可能な発泡体パッドは、パッドの片側または両側へのフィルムのラミネーションなどの二次的な方法を用いて同じ特徴を実現させている。
【0063】
人工的に加えられる力が存在しない場合に漏れを回避するために、パッドマトリックス内の流体保持を容易にする一方向膜を利用することが望ましいことがある。そのような一方向膜は、上記に記載の支持層/膜を含む。
【0064】
本開示の発泡体は、望ましい流体管理特性も有する。
【0065】
以下の表1は、本発明の発泡材料の有利な性質のいくつかを要約し、これらの性質を同様に測定した市販の創傷ケア製品が有する性質と比較する。この表に含まれる値は、測定した各パラメータについて10回の試験の平均値を表す。
【0066】
【表1】

柔軟性、支持因子および共形性特性の測定については上記に記載した。流体容量(fc)は、材料の試料がその飽和点において吸収する流体の総量の指標である。飽和後流体保持(frs)は、飽和点に達した後の、重力応力を加えられたとき吸収した流体をその構造内に保持する材料の能力の指標である。表1に報告する流体容量および飽和後流体保持の値は、以下のプロトコルに従って測定する。最初に、乾燥発泡体試料の長さ(l)および幅(w)の寸法をインチで測定する。試料の乾燥重量(dw)をグラムで測定する。浴を食塩水溶液で満たし、試料のそれぞれを食塩水浴中に置く。プレートを用いて、塩浴内で試料を3回続けて圧縮し、解放して、試料内に捕捉されている可能性のある気泡をすべて除去し、流体を試料のマトリックス中に吸引させる。試料を少なくとも12時間食塩水浴中で静置させる。ペトリ皿を天秤上に置き、風袋を差し引く。試料を食塩水浴からペトリ皿へ手早く移し、含水重量(ww)を測定し、記録する。次に、試料を元のペトリ皿とは別のペトリ皿へ移した後、試料から流体が滴り落ちなくなるまで、または試料から滴り落ちる流体が10秒に1滴未満になるまで、試料を含む皿を手のひらにはさんで揺り動かす。次に、再び試料の重さ(rw)を秤量し、その重量を記録する。式 fc=ww−dw/(lxw) のように流体容量(fc)を計算する。式 frs=(rw−dw)/dw ×100 のように飽和後流体保持率(frs)を計算する。使用時流体保持率(fru)値は、重力応力を加えられたとき、飽和点に到達する前の構造内に吸収された流体を保持する材料の能力の指標である。表1に報告した使用時流体保持率の値は、以下のプロトコルに従って測定する。
【0067】
材料の試料をペトリ皿の中に置き、5mlの食塩水をピペットで採取し、分注した液滴を試料の上に置く。食塩水を試料中に吸収させ、その重量(B)を記録する。次に、ピンセットで試料を皿から持ち上げ、滴下が止まるまで皿の上に保持する。次に、天秤上で皿の風袋を差し引き、被検試料を皿に戻し、再び重量(C)を量る。次に、使用時流体保持率(fru)を次式 fru=(C−B)/B×100 によって計算する。
【0068】
圧縮時流体容量(fc)値は、被覆材を圧縮治療システムにおいて用いるときに重要な、他の市販の発泡体被覆材と比較した本発明の発泡体被覆材の流体取り扱い特性の特徴を定性的に示す。そのような圧縮治療システムは、例えば、静脈不全などのある種の状態ならびに変動および浮腫などの関連病態の管理および治療のために利用される。表1に報告した圧縮時流体容量値は、以下のプロトコルによって測定する。最初に、乾燥被覆材試料の長さ(l)と幅(w)との寸法をインチで測定する。試料の乾燥重量(dw)をグラムで測定する。浴を食塩水溶液で満たし、試料のそれぞれを食塩水浴の中に置く。プレートを用いて食塩水浴中で試料を3回続けて圧縮し、解放して試料中に捕捉されることがある気泡を完全に除去し、流体を包帯試料のマトリックス中に吸引する。食塩水浴中に24時間置いた後、試料を浴から取り出す。排液することができる開口部を有するペトリ皿の中に各試料を置き、約4″×4″の寸法のステンレス鋼プレートを、同じく4″×4″の被覆材試料の上に置いて所望の圧縮力を刺激する。約5.6ポンドの重さのプレートを用いて18mmHgの圧力をシミュレーションし、約12.4ポンドの重さのプレートを用いて40mmHgの圧力をシミュレーションする。該当する鋼板を30分後に被覆材から取り除いた後、湿重量(ww)試料を測定する。圧縮後、湿重量から乾重量を減じ、この量を試験した試料の乾燥面積で除し、fc=(ww−dw)/(l×w)=cc/in 試料の単位面積あたりの流体容量を計算する。本発明の原理によって形成されたポリウレタン発泡体材料は、18mmHgに相当する圧縮時に約4から約8cc/inの流体容量値および/または40mmHgに相当する圧縮時に約3から約7cc/inの流体容量値を有するとよい。代替物実施態様によると、本発明の原理によって形成されたポリウレタン発泡体材料は、18mmHgに相当する圧縮時に約4.5から約6.5cc/inの流体容量値および/または40mmHgに相当する圧縮時に約4.0から約6.0cd/inの流体容量値を有するとよい。
【0069】
上の表1から明らかなように、本発明のポリウレタン発泡体材料は、被覆材材料として用いるのに特に適している性質の独自の組み合わせを有する。特に、本発明のポリウレタン発泡体材料は、柔軟性、支持性および共形性の優れた組み合わせを有する一方で、非常に良好な流体容量および流体管理特性も併せ持つ。
【0070】
本発明の発泡体材料は、追加の流体管理挙動を有する。例えば、本発明の発泡体材料を利用して被覆材として用いられるパッドを形成させる場合、本開示の発泡体中に吸収された流体の最大約75%が重力Fの方向および作用線によってパッドの一端へ移動し、貯まることがある。例えば、図2に示すように、本開示の発泡体で作られたパッド200を腿の側部(矢状面)上の創傷300の上に配置してよい。患者が直立姿勢の(すなわち立っている)とき、パッド200中の流体400の最大約75%が漏れずに移動し、パッド200の位置Pに貯まってよい。同様に、図3では、同じ患者が同じ創傷300の上に同じパッド200を配置して、腹這いになっているが、パッド200中の流体400の最大約75%が漏れずにパッド200の位置Pに貯まってよい。図4は、同じ創傷300の上に同じパッド200を配置して仰向けになっている同じ患者を示し、パッド200中の流体400の最大約75%が位置Pに貯まってよい。図5は、同じ創傷300の上に同じパッド200を配置し、脚を胴に対して直角に上げて仰向けになっている同じ患者を示し、吸収された流体400はパッド200の区画Pに移動する。図6は、同じ創傷300の上に同じパッド200を配置し、発泡体パッド200が横方向に露出されるように横臥している同じ患者を示す。この患者の姿勢では、発泡体マトリックス中に吸収された流体400は、パッド200の中に一様に分布することになる。
【0071】
望むなら、本開示の発泡体は、1つ以上の薬剤を含んでよい。本明細書で用いられる「薬剤」は、最も広義に用いられ、臨床用途を有する任意の物質または物質混合物を含む。従って、薬剤は、それ自体薬理活性を有してよく、あるいは、例えば染料のようにそれ自体薬理活性を有しなくてよい。本開示の発泡体中で組み合わせるかまたは混合してよい種類の薬剤の例は、抗菌剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、診断用薬剤、交感神経興奮剤、コリン様作用剤、抗ムスカリン剤、抗けいれん剤、ホルモン剤、成長因子、筋肉弛緩剤、抗新生物剤、免疫抑制剤、ステロイド、多糖類および酵素を含む。薬剤の組み合わせも用いてよいものとする。
【0072】
本開示の発泡体中に薬剤として含んでよい適当な抗菌剤は、2,4,4′‐トリクロロ‐2′‐ヒドロキシジフェニルエーテルとしても知られているトリクロサン、クロルヘキシジンおよび酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)、塩酸クロルヘキシジンおよび硫酸クロルヘキシジンを含むその塩、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を含むビグアニド、ポリエチレンヘキサメチレンビグアニド(PEHMB)などのPHMB誘導体、銀および酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀蛋白質およびスルファジアジン銀を含むその塩、リン酸塩ガラス(任意選択としてビーズ形)、ポリミキシン、テトラサイクリン、トブラマイシンおよびゲンタマイシンなどのアミノグリコシド、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン、エノキサシンおよびシプロフロキサシンなどのキノロン、オキサシリンおよびピプラシルなどのペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン類およびそれらの組み合わせを含む。さらに、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシンBなどの抗菌性蛋白質およびペプチドを本開示の発泡体中に薬剤として含んでよい。
【0073】
本開示の発泡体中に薬剤として含んでよい他の薬剤は、局所麻酔剤;副交感神経興奮剤;精神安定剤;スルホンアミド;ワクチン;ビタミン;抗マラリア剤;抗片頭痛剤;L‐ドーパなどの抗パーキンソン病剤;鎮痙剤;抗コリン剤(例えばオキシブチニン);冠拡張剤およびニトログリセリンなどの心臓血管作動薬;アルカロイド;鎮痛剤;コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネおよび類似化合物などの麻薬性鎮痛剤;サリチル酸エステル類、アスピリン、アセトアミノフェン、d‐プロポキシフェンおよび類似化合物などの非麻薬性鎮痛剤;ナルトレキソンおよびナロキソンなどのオピオイド受容体拮抗剤;抗癌剤;抗けいれん剤;制吐剤;抗ヒスタミン剤;ホルモン剤、ハイドロコーチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンおよび類似化合物などの抗炎症剤;プロスタグランジン類および細胞毒;エストロゲン類;抗菌剤;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝血剤;抗けいれん剤;抗うつ剤;抗ヒスタミン剤;免疫剤;ホルモンおよびホルモン類似体(例えば成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモンおよび黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH);ワクチン(例えば腫瘍、細菌およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;成長因子(例えば神経成長因子、インスリン様成長因子);蛋白質阻害剤、蛋白質拮抗剤および蛋白質作用薬;アンチセンス分子、DNAおよびRNAなどの核酸;オリゴヌクレオチド;およびリボザイムを含む。
【0074】
存在させる薬剤の量は、選ばれた特定の薬剤に依存することになるが、任意の適当な量存在させてよい。「適当な量」とは、受け入れることができる水準の効力を示すが細胞毒性ではない任意の量(単数または複数)を包含すると考えられる。例を示すためでしかないが、薬剤の量は、約10パーツパーミリオン(ppm)から約20,000ppmの範囲であるとよい。
【0075】
薬剤がPHMBまたはPHMB誘導体のとき、発泡体に加えられる量は、最大約20,000ppm、最大約17,500ppm、最大約15,000ppm、最大約12,500ppm、最大約10,000ppm、最大約9,000ppm、最大約7,500ppmまたは最大約5,000ppmであるとよい。追加の代替実施態様によると、発泡体に加えられるPHMBまたはPHMB誘導体の量は、最大約20,000ppmかつ少なくとも約5,000ppm、最大約20,000ppmかつ少なくとも約7,500ppm、最大約20,000ppmかつ少なくとも約9,000ppm、最大約20,000ppmかつ少なくとも約10,000ppm、最大約20,000ppmかつ少なくとも約12,500ppm、最大約20,000ppmかつ少なくとも約15,000ppm、または最大約20,000ppmかつ少なくとも約17,500ppmであるとよい。
【0076】
他の添加剤は、チンキ剤;充填材、例えば、カーボンブラック、赤色酸化鉄および二酸化チタンなどの金属酸化物、ケイ酸カルシウムおよびケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩、アクリル樹脂粉体、さまざまなセラミック粉体および類似物;DBP(リン酸ジブチル)、DOP(リン酸ジオクチル)、TCP(リン酸トリクレジル)、リン酸トリブトキシエチルおよびさまざまな種類の他のエステルなどの柔軟剤;およびトリメチルジヒドロキノン、フェニル‐β‐ナフチルアミン、p‐イソプロポキシジフェニルアミン、ジフェニル‐p‐フェニレンジアミンおよび類似物などの安定剤を含む。これらの添加物は、最大20%、実施態様によっては発泡体の約0.1%から約10重量%、典型的には発泡体の約0.5%から約5重量%の量を用いるとよい。
【0077】
本開示の発泡体へ組み込むことに加えて、本明細書に記載の薬剤(単数または複数)または他の添加剤を本開示の発泡体を含む被覆材の任意の他の層に組み込んでよい。そのような追加の層は、本明細書に記載の支持層および/または接着剤層を含むがそれらに限定されない。
【0078】
薬剤(単数または複数)または他の添加剤は、当業者に既知の任意の方法によって、本開示の発泡体を含む発泡体または被覆材の任意の他の層に組み込んでよい。実施態様によっては、反応させ、発泡体を形成させる前に剤(単数または複数)または他の添加剤を水相中へ添加するか、剤(単数または複数)または添加剤を別々に混合界面へ導入するか、あるいは発泡体が硬化した後または乾燥した後の充填プロセスによって剤(単数または複数)または他の添加剤を発泡体中に組み込んでよい。発泡体が硬化した後または乾燥した後の充填プロセスでは、例えば、桶または類似の槽中で発泡体を飽和させた後、圧力ローラーを通して飽和発泡体を絞って均一な剤(単数または複数)または添加剤の塗布、ならびに発泡体の表面上と発泡体自体の小胞内との両方の剤(単数または複数)または添加剤の組み込みを実現することによって、剤(単数または複数)および/または添加剤を発泡体に塗布してよい。同様な方法を利用して、支持層および/または接着剤層など、発泡体を含む被覆材の他の層の中に薬剤(単数または複数)または他の添加剤を組み込んでよい。
【0079】
説明のための例として、プレポリマーと混合する前にPHMBを水相混合物に加えることによって、PHMBを発泡体マトリックスに加えて発泡体を作り出してよい。あるいは、別の供給ラインを通してPHMBを混合ヘッドに直接圧送し、そこで水相およびプレポリマーとともに混合して発泡体を作り出してよい。別の代替によれば、プロセス中の任意の時点でPHMBをスパッタ被覆し、この時点から発泡体の乾燥前または乾燥後の任意の時点までの間に、水系およびプレポリマーを混合してよい。さらに別の選択肢として、プロセス中の任意の時点で、計量型アプリケータ、好ましくはスロットアプリケータを用いてPHMBを発泡体に塗布して発泡体マトリックスの上および中のPHMBを正確に計量し、この時点から発泡体の乾燥前または後の任意の時点までの間に、水性およびプレポリマーを混合してよい。追加の代替によると、PHMBは、任意の時点で浸漬および絞り(充填装置/はさみロール)プロセスを用いて発泡体に加えてよく、この時点から発泡体の乾燥の前または後の任意の時点までの間に、水相およびプレポリマーを混合してよい。
【0080】
説明のための1つの例によると、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を含む水溶液を、特定の界面活性剤、具体的にGLUCOPON(R) 625(非イオン性アルキルポリグルコシドである)およびEMULGADE(R) 1000NI(セトステアリルアルコールとポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルとの混合物である)ならびに脱イオン水と混合する。重合体混合段階の間にPHMBを発泡体マトリックス前駆体材料中に直接組み込み、水相中の水によって発泡させる。PHMBは、例えばArch
ChemicalからCosmocil(R) CQとして市販されている。
【0081】
いかなる特定の理論にもこだわらないが、発泡体成分の反応時のPHMB、またはPEHMBなどその誘導体の添加は、結果として、アミン、グアニジンまたはシアノグアニジンなどの反応性末端基を介する共有結合連結を生じることがある。特定の条件下で、ビグアニド分子は、架橋ポリウレタン発泡体ネットワークの創出において架橋剤として作用してよい。他の条件下で、ビグアニド分子は、一方の側だけでポリウレタンネットワークに結合してよい。反応時に存在する条件に依存して、結果として得られるネットワークは、ポリウレタンとポリ尿素との組み合わせであってよい。
【0082】
さらにまた他の実施態様では、剤(単数または複数)または他の添加剤は、溶媒中の前記剤(単数または複数)または他の添加物を別個に塗布した後で溶媒を蒸発させるか、または本開示の創傷被覆材として用いられる超柔軟パッドを形成させるために利用される追加の層の中へ含ませるかのどちらかによって、本開示の発泡体への被覆物として塗布してよい。そのような層は、ポリウレタン支持層を含む支持層として上記に記載したもの、または被覆材として用いられる超柔軟パッドを作り出すために本開示の発泡体と組み合わせて利用される任意の追加の不織布層、繊維層または接着剤を含む。実施態様によっては、パッドを含む医療用被覆材の成分として用いるとき、剤(単数または複数)または添加剤を、本開示の発泡体に塗布する別々の被覆物中に含ませてよい。そのような被覆物は、天然と合成との両方の重合体、共重合体、ハイドロゲルおよび類似物を含む任意の生物適合性材料で作ってよい。そのような被覆物は、任意の支持層、接着剤層または本開示の発泡体を含む被覆材の任意の他の層に塗布してよい。
【0083】
実施態様によっては、被覆材料は、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、エラスチンおよび類似物を含むがそれらに限定されないペプチドまたは蛋白質を含んでよい。利用してよい他の被覆物材料は、キトサン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸および類似化合物などの多糖類を含む。他の実施態様では、合成重合体を被覆物材料として利用してよい。そのような重合体は、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネートおよびポリ無水物を含む。利用してよい適当なポリエステルは、当業者に既知であり、例えば、炭酸トリメチレン、ε‐カプロラクトン、p‐ジオキサノン、グリコリド、ラクチド、1,5‐ジオキセパン‐2‐オン、アジピン酸ポリブチレン、アジピン酸ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびそれらの単独重合体および共重合体を含む。利用してよい適当なポリエーテルは、当業者に既知であり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、それらの単独重合体およびそれらの共重合体を含む。適当なポリカーボネートは、例えば、炭酸テトラメチレン、炭酸トリメチレン、炭酸ペンタメチレン、それらの単独重合体、それらの共重合体、および類似物を含む。
【0084】
本開示の発泡体と、被覆材とともに利用される超柔軟パッドを含む被覆材を形成させる際の本開示の発泡体の使用とは、現在入手可能な被覆材と、それとともに利用されるパッドとに対していくつかの利点を有する。多くの現在入手可能な発泡体被覆材は、過度に堅固および/または固く、そのため全体としての創傷痛一因となり、場合によっては患者への痛みの唯一の原因となることがある。これとは異なり、被覆材などの超柔軟医療品を形成するために利用される本開示の発泡体は、皮膚への快適な感覚を作り出す柔軟性と豊かでしなやかな表面触感とを有する。従って、超柔軟パッドまたは被覆材としての本開示の発泡体を含む被覆材を創傷上で用いると全体としての創傷痛の一因とならないことによって、患者の快適性を高め、創傷痛を最小限にする助けとなる。
【0085】
さらに、被覆材中の超柔軟パッドとして利用すると、本開示の発泡体の高い支持因子によって、指の間など体の部分の間に配置されるときまたは充填物として用いられるときに創傷部位における患者の快適性がさらに高められる。本開示の発泡体の高い支持因子によって、患者の体重などの力が繰り返し加わってもパッドが限界までつぶれないことも確実になる。
【0086】
本開示の発泡体の高い支持因子によって創傷部位における圧力が軽減し、それによって創傷が治癒することが可能となるので、被覆材中に使用すると床ずれの治療に理想的なものともなる。さらに、寝たきりの患者の場合に無傷の皮膚を骨ばった隆起部分からのピーク圧力へ長期間曝露することによる床ずれの発生を予防する。
【0087】
本開示の発泡体の高い支持因子によって、本発泡体パッドは、かかとの下または相互逐次勾配空気圧縮法(SCD)および類似法によって提供される多層包帯圧縮システム、機械圧縮システムなどの圧縮システム下で着用するために用いるのに最も理想的になる。
【0088】
発泡体マトリックス中に吸収された流体が、患者の姿勢および重力の作用線によって、パッドの種々の区画に移動し、貯まる能力は、過剰量の流体への長期にわたる創傷の曝露を最小限にする。吸収された創傷流体が発泡体マトリックス内で移動する能力は、創傷端近傍の無傷の皮膚の浸軟によると考えられる創傷周辺のさらに別の罹患を最小限にし、および/または改善することがある。
【0089】
特定の実施態様では、本開示の発泡体を利用する本明細書に記載の被覆材の優れた共形性によって、他の方法では通常の被覆材および現在入手可能な被覆材で保護するのが難しいことがある人体の諸区域中に位置する創傷を保護するのに特に有用なものとなる。
【0090】
1つ以上の薬剤と組み合わせると、被覆材として用いられる発泡体が感染制御と創傷治癒特性との促進という追加の利点を有する。
【実施例】
【0091】
次の表2は、説明のための本発明のさまざまな実施態様の非限定的実施例によって、さまざまな微生物のレベルを減少させる上でのPHMBを含む上記に記載した本発明の発泡材料の効力を要約する。
【0092】
【表2】

最長7日間の少なくとも2logの微生物数の減少(2log以上の減少は望ましい効力の指標と考えられる)
** 最長7日間の少なくとも5logの微生物数の減少
*** 最長7日間の少なくとも6logの微生物数の減少
〜 理論的に導いた。
【0093】
表2の第3列は、本発明の発泡材料を作り上げるために利用した構成成分の組み合わせの間に加えたPHMBの量を表す。表に示すように、表2に報告した量はパーツパーミリオン(ppm)である。表2の第4列および第5列は、被覆材の滅菌のそれぞれ前および後に、発泡体被覆材から回収することができるPHMBの量を表わす。
【0094】
発泡体中のPHMBを測定し定量するために、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いることができる。PHMBは、水および熱を用いて発泡体から抽出する。約1グラムの発泡体材料を秤量し、150mlおよび100mlの蒸留/脱イオン水を用いて65℃で30分間2回抽出した。これらの溶液を併せた後、以下のHPLC条件を用いてHPLCによって分析した。移動相:40%0.02M HCl/20%メタノール/40%水、カラム:ウルトラハイドロゲル250A、注入量:50μL、検出器:215nmダイオードアレイ検出器。
【0095】
第5列に含まれる値は、被覆材料を殺菌手順に付した後で、発泡体被覆材から回収することができるPHMBの量を表わす。第5列の値によって示すように、被覆材を殺菌すると、標的微生物に作用させるために利用可能な被覆材中のPHMBの量を減少させることができる。第4列および第5列に報告した低くなったPHMBの値によって示されるように、最初に加えたPHMBの一定量が発泡体の構成成分間の化学反応において用いられてしまい、従って、標的微生物(単数または複数)に作用させるのにはおそらく利用可能でない。
【0096】
被覆材試料を、2つの異なる効力試験法に付した。
【0097】
抗菌性効力試験方法1 直接接種試験 7点接種
7日間にわたって(日別試験を繰り返した)PHMBを含む本発明の発泡体被覆材試料について3重法で抗菌活性を評価した。PHMBを含まない発泡体被覆材を陽性対照として用いた。アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)#27853のPseudomonas aeruginosa(Pseudomonas aeruginosa)、ATCC#12228のStaphylococcus epidermidis(Staphylococcus epidermidis)、ATCC#25923のStaphylococcus auereus(Staphylococcus aureus)、ATCC#25922のEscherichia coli(Escherichia coli)、ATCC#29212のEnterococcus faecalis(Enterococcus faecalis)およびATCC#10231のCandida albicans(Candida albicans)の6つの一般的な創傷病原体に対して別々に被覆材を試験した。各試験生物の懸濁液を調製した。直径が25mmの被覆材試料をトリプシン大豆寒天(TSA)床上に置いて水分および構造を保持した(被覆材を反らせない)。被覆材試料に体積0.5mlの試験微生物または標的微生物の懸濁液(6‐log cfu/ml)を接種し、37℃でインキュベーションした。接種後24時間のインキュベーションの後、3つの被覆材試料の1組を取り出し、15mlのDey−Engley (DE)中和ブロス中でボーテクス混合した。各試験管から1.0mlの試料を取り出し、DEブロスを希釈剤として用いて標準逐次希釈液を調製した。逐次希釈プレートを調製し、37℃で24時間からインキュベーションし、その時点から全生菌数の定量化プレート計数を実行した。試験試料と対照試料との生菌数を比較し、微生物の数のlog減少によって効力を評価し、記録した。表2および作図中に報告する値は、毎日微生物活性を分析した3つの試料の計数値の平均を表す。残っている被覆材試料に試験生物を再接種し、24時間インキュベーションし、次の組の3つの被覆材試料を引き上げ、ボーテクス混合し、上記で説明したように計数した。この手順を7日間繰り返した。
【0098】
抗菌性効力試験方法2 浸漬試験 2、4および7点接種
PHMBを含む本発明の発泡材料の25mmの円板、およびPHMBを含まない本発明の発泡体から作られた円板を無菌法で調製した。適切にラベルを貼ったキャップ付きの滅菌50ml試験管中に被覆材を無菌法によって移した。アッセイを3重法で7日間行った。
【0099】
ATCC#27853のPseudomonas aeruginosaを試験生物として用いた。一夜インキュベーション後、寒天プレート上で新しいコロニーからPseudomonas aeruginosaを有する懸濁液を調製し、濁度を0.5McFarland標準(〜1.0×10cfu/ml)に調節した。懸濁液をリン酸塩緩衝溶液(PBS)中で希釈して最終濃度1.0×10cfu/mlを得た。試料被覆材を有する各試験管に20mlのPBS植菌を加えた。陽性対照は、植菌懸濁液を有する上記で言及したPHMBのない発泡体円板であった。陰性対照は、PBSだけを有しPHMBを有しない上記で言及した発泡体円板であった(植菌なし)。試験管を穏やかにボーテクス混合して試験試料被覆材および対照試料被覆材の飽和を確実にした。試料を35℃で24時間インキューベートした。24時間毎に100μlのPBS植菌の被検試料を試験管からサンプリングし、DE中和ブロス中で中和し、逐次希釈し、TSAプレート上に置いた。細菌計数を行い、平均した。被検試料を取り出した後、残っている試験試料および陽性対照試料に200μlの10cfu/mlの元の植菌を再接種した。PBSだけを用いて同様に陰性対照に再接種した。(i)2点、初期接種1点および48時間後1点);(ii)4点(初期接種およびその後一日おき);および(iii)7点(毎日接種)の3つの異なる接種間隔を設けた。アッセイの残り時点(7日)の間、記載されているように細菌定量手順を24時間毎に繰り返した。表2および図面に報告した値は、それぞれの日に微生物活性を分析した3つの試料の計数値の平均を表す。殺菌効力は、平均した陽性対照log計数値と比較したとき少なくとも2‐logの減少であるとして測定した。
【0100】
表2の右端の区画に示すように、抗菌剤PHMBを含む本発明の発泡材料から作られた被覆材材料は、少なくとも7日間にわたってそれに曝露された微生物の数を減少させる上で有効性を示す。
【0101】
表2に報告した試行のより具体的な詳細は図7〜15に含まれる。
【0102】
試行1、2および4は、上記に記載の直接接種法を利用して行った。試行1および2では、5,000ppmのPHMBを発泡体成分に加えた。試行4では、9,000ppmのPHMBを加えた。非滅菌被覆材を用い、ATCC#25923のStaphylococcus auereusを標的微生物として利用した。図7に示したように、試行のそれぞれにおける試料は、7日間の試験期間にわたってStaphylococcus auereusの計数値の少なくとも5log減少を示した。
【0103】
試行5、6および7は、上記に記載の直接接種法も利用して実行した。試行5では、7,500ppmのPHMBを発泡体成分に加えた。試行6および7では、それぞれの試行で10,000ppmを加えた。非滅菌被覆材を用い、ATCC#25923のStaphylococcus auereusを標的微生物の1つとして用いた。図8に示すように、試行5、6および7における試料はすべて、7日間にわたってStaphylococcus auereusの計数値を2log強減少させる上で有効であった。
【0104】
試行6および7は、さらに、標的微生物ATCC#25922のEscherichia coli、ATCC#10231のCandida albicans、ATCC#29212のEnterococcus faecalisおよびATCC#12228のStaphylococcus epidermidisを接種した試料を含んでいた。図9〜12に例を示すように、試料は、7日間の間日々の陽性対照に対して測定した上記に記載の微生物のそれぞれの計数値の6log減少を実現する上で有効であった。
【0105】
試行11〜13は、上記に記載の浸漬法を利用して行った。試行11では、12,500ppmのPHMBを発泡体成分に加え、試行12では、15,000ppmのPHMBを加え、試行13では、17,500ppmのPHMBを加えた。滅菌被覆材を用い、ATCC#27853のPseudomonas aeruginosaを標的微生物として用いた。試験11、12および13は、異なる間隔で接種した試料を含んでいた。すなわち、2、4および7接種点を有する試料を含んでいた。図13に示したように、2接種点を有する試料は、7日間にわたって少なくとも6logのPseudomonas aeruginosaの計数値の減少を示した。図14は、4接種点を有する試料も、7日間にわたって6logのPseudomonas aeruginosaの計数値の減少を示したことを例示している。最後に、図15は、7接種点を有する試料も7日間にわたって(日1の後)少なくとも6logのPseudomonas aeruginosaの計数値の減少を示したことを例示している。
【0106】
従って、上記から、本発明の特定の実施態様すなわちさまざまな量の抗菌性剤PHMBを含むポリウレタン系発泡体が本明細書に記載され、長期間(すなわち少なくとも7日間)標的微生物を殺す上で有効であることは明らかである。しかし、PHMBを含むそのようなポリウレタン系発泡体被覆材は、広い範囲の標的微生物に対して速効性抗菌性挙動を提供することも観測された。以下の表3は、本発明のさまざまな実施態様の非限定的な説明用の実施例によってさまざまな微生物のレベルを急速に減少させる上でのPHMBを含む本発明の上記に記載の発泡材料の効力を要約する。
【0107】
【表3】

〜理論的に導いた。
【0108】
表3に報告した試行のさらに具体的な詳細を、表2の考察と関連させて上記で考察している。主な差異は、標的微生物の計数値の減少が初期接種後迅速に(10分以内)測定されることである。
【0109】
本発明の特定の実施態様の効力は、阻害ゾーン(ZOI)試験法と普通呼ばれる代替方法論によっても検証した。この試験技法によると、直接接種技法と関連して上記に記載したように、標的微生物の懸濁液を調製した。詳しくは、例を示した実施例の場合、Staphylococcus auereusの懸濁液を調製した。しかし、被覆材自体に懸濁液を接種する代わりに、TSA表面に懸濁液を接種し、PHMBを含む発泡体被覆材試料をその上に置く。被覆材がTSA床から流体を吸収するにつれて被覆材の下の抗菌活性の区域の境界は増大し、被覆材の境界を越えて拡大する。この区域の寸法を定期的に測定する。ZOIは、時間とともにサイズが増大することが観測された。いかなる特定の理論にもこだわるものではないが、この増大する区域の背後にある機構は、TSA床(または創傷床)から最初に吸収された水分(例えば滲出液)が、特定の飽和レベル(例えば約3日から5日)の後に発泡体から放出されて最終的に戻り、それとともに発泡体内からTSA床上へPHMBを運び、それによって増大した阻害区域にわたって観測された抗菌活性を付与すると考えられる。
【0110】
図16は、基本的に上記に記載のように実行した阻害区域試験の結果の例を示す。この分析の検体である試料は、滅菌被覆材材料と1,874ppmのPHMB濃度(表1、試行11、滅菌試料を参照する)とを含む。図16に例を示した試料は、時間の経過とともに観測される阻害区域の増大に関して上記で説明したと同じ挙動を示す。
【0111】
いかなる特定の理論にもこだわらないが、本発明の原理によって形成された被覆材材料によって増大するZOIを作り出すことができる上記に記載の機構は、長期間、すなわち少なくとも7日間にわたって標的微生物を除去および/または管理する上で観測された高度の効力を説明する助けとなると考えられる。
【0112】
再び、いかなる特定の理論にもこだわらないが、PHMBなどの抗菌剤を含む、本発明の実施態様によって構築された創傷被覆材は、複数の異なる機構によって創傷治癒を容易にすると考えられる。第1に、本明細書に記載されている抗菌剤を含む発泡体被覆材は、外部病原体が創傷部位に到達することを妨げるバリアとして作用する。第2に、被覆材が病原体で汚染された創傷部位から流体を吸収するにつれて抗菌剤は被覆材材料内のこれらの病原体を顕著な数殺す。これは創傷部位において創傷病原体による感染を予防および/または減少あるいは除去する環境を作り出す助けとなる。第3に、特に被覆材がその飽和点に達すると、創傷部位から吸収され、続いてその中に含まれていた病原体の数の減少によって「清浄化された」滲出液は、続いて被覆材から溶出され、創傷区域に戻されることができることが可能である。この溶出液は、PHMBなどの抗菌剤を被覆材材料の内部から浸出させ、それを運んで創傷部位に戻り、それによって被覆材の外にある創傷の表面における創傷病原体の減少を促進することができる。
【0113】
繰り返すと、本発明の被覆材料は、コロニーが形成された創傷流体中の病原体を吸収する。創傷流体中の病原体計数値は、10分以内に2log以上減少する。被覆材は、被覆材内の病原体コロニー形成および増殖へのバリアとして作用する。発泡体被覆材は、患者がベッドの中で動き回るかまたは正常な日々の活動を行う間に動き回るときに1日に数回起るように、圧縮力が被覆材に加えられると、吸収された流体を吐き出すことができる。従って、コロニーが形成された創傷流体の内部への吸収と、臨床的に顕著でない病原体計数値を有する創傷流体の創傷への脱着が繰り返される。実際には、「清浄な」創傷流体が創傷中に戻され、汚染流体が除去される。このようにして、本発明の被覆材は、創傷生物負荷および関連感染のレベルを低下させることによって、創傷感染の治療を容易にする。
【0114】
本明細書中で用いられた量またはパラメータを表すすべての数は、すべての場合に用語「約」で修飾されていると理解すべきである。示された数値範囲およびパラメータ、広範にわたる本明細書に示した主題は近似ではあるが、提示した数値はできるだけ正確に示してある。例えば、いかなる数値定量化も、それぞれの測定技法における不正確さを示す標準偏差の結果として生じる特定の誤差を本来的に含むことがある。
【0115】
本明細書に開示されている実施態様にさまざまな変更を施してよいことが理解される。従って、上記の記載は限定的であると解釈すべきでなく、有用な実施態様の例にすぎないと解釈すべきである。当業者には、本明細書に添付した請求項の範囲および技術思想の範囲内にある他の改変は自明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−82945(P2013−82945A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−21320(P2013−21320)
【出願日】平成25年2月6日(2013.2.6)
【分割の表示】特願2008−553304(P2008−553304)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】