超臨界抽出物、その製造方法、その検出方法、並びにそれを含有する飲食品、化粧品、及び医薬品
【課題】プロポリス原塊より超臨界抽出法を用いて得られた新規なアルコール類からなる超臨界抽出物、その製造方法、その検出方法、並びにそれを含有する飲食品、化粧品、及び医薬品を提供する。
【解決手段】プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより得られるアルコール類からなる超臨界抽出物において、前記アルコール類は、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
【解決手段】プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより得られるアルコール類からなる超臨界抽出物において、前記アルコール類は、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロポリス原塊を原料として超臨界抽出法を用いて抽出される超臨界抽出物であって、詳しくは該超臨界抽出物は、特定のアルコール類からなる。さらに超臨界抽出物の製造方法、その検出方法、並びにそれを含有する飲食品、化粧品、及び医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
プロポリスは、巣の防御及び補強等を目的として、ミツバチが採取した植物の滲出液、新芽、及び樹脂等に唾液を混ぜて作られる膠状ないしは蝋状の物質である。このプロポリスは、ミツバチが原料として巣箱周辺の種々の植物を採取して生産されるため、多種多様な成分を含有している。
【0003】
プロポリスの主要な生理活性として、抗酸化作用及び免疫賦活作用が知られている。そのため、プロポリスは、ヨーロッパにおいては医薬品或いは健康食品の素材として古くから用いられてきたが、1985年以降から日本においても健康食品や化粧品の素材の他、疾病の予防や治療等の多くの製品に使用されるようになった。
【0004】
プロポリス原塊は、そのままの状態で摂取するのはなかなか困難であることから、従来より、例えば特許文献1に開示される方法によって、プロポリス原塊に含まれる有用成分が抽出されている。具体的には、親水性有機溶媒を用いた抽出方法、水を用いた抽出方法、及び超臨界抽出方法が用いられている。
【0005】
プロポリス中に含まれる有効成分としては、極性の高い有機酸、フラボノイド類、ポリフェノール類、さらには極性の低いテルペノイド類等の非常に多様な種類の有効成分が確認されている。これら多様な種類の有効成分の生理活性が複雑に作用しあって、プロポリスの優れた生理活性を形成しているものと考えられる。しかしながら、プロポリス原塊中には、上記以外にも有用な成分が多数含有されているものと考えられている。
【特許文献1】特開2003−61593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プロポリス原塊より特定の抽出方法を用いて得られたプロポリス抽出物において、プロポリス原塊中に含有されていることがこれまで知られていなかった新規な有効成分を発見したことに基づくものである。
【0007】
本発明の目的とするところは、プロポリス原塊より超臨界抽出法を用いて得られた新規なアルコール類からなる超臨界抽出物、その製造方法、その検出方法、並びにそれを含有する飲食品、化粧品、及び医薬品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の超臨界抽出物は、プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより得られるアルコール類からなる超臨界抽出物において、前記アルコール類は、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明の超臨界抽出物の製造方法は、プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、超臨界抽出法を用いて脂肪酸エステル化合物を抽出する工程、次に該脂肪酸エステル化合物を加水分解処理することにより1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を得る工程からなる。
【0010】
請求項3に記載の発明の超臨界抽出物の製造方法は、プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、該原料中に含まれるエステル化合物についてエステル結合を加水分解処理する工程、次に、超臨界抽出法を用いて抽出処理することにより1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を得る工程からなる。
【0011】
請求項4に記載の発明の超臨界抽出物の検出方法は、プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する工程、次に、前記抽出された成分についてエステル結合を加水分解処理する工程、次に、クロマトグラフィを用いて分離する工程、及び、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を検出する工程からなることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明の超臨界抽出物の検出方法は、プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、該原料中に含まれる成分についてエステル結合を加水分解処理する工程、次に、超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する工程、次に、前記抽出された成分について、クロマトグラフィを用いて分離する工程、及び、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を検出する工程からなることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明の飲食品、化粧品又は医薬品は、請求項1に記載の超臨界抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プロポリス原塊より超臨界抽出法を用いて得られた新規なアルコール類からなる超臨界抽出物、その製造方法、その検出方法、並びにそれを含有する飲食品、化粧品、及び医薬品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の超臨界抽出物を具体化した第1の実施形態を説明する。
第1の実施形態の超臨界抽出物は、プロポリス原塊等を抽出原料として、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより得られるアルコール類からなる。該アルコール類は、より具体的には、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールが挙げられる。これらのうちルペオールは、トリテルペンアルコールの一種であり、それ以外のアルコール類は、ポリコサノール(炭素数が24〜34の高級飽和一価アルコール)である。プロポリス中において、これらのアルコール類の多くは脂肪酸とのエステル化合物として存在する。ポリコサノールは、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸等の脂肪酸とエステル結合している。ルペオールは、例えばテトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸、及びドトリアコンタン酸等の脂肪酸とエステル結合している。プロポリス中に存在する上記アルコール類の脂肪酸エステル化合物は、プロポリス中においてロウ成分を構成する。上記アルコール類は、プロポリス原塊中に含有されていることがこれまで知られていなかった新規な有効成分である。
【0016】
原料となるプロポリスは、巣の防御及び補強等を目的として、セイヨウミツバチ等のミツバチが採取した植物の滲出液、新芽及び樹皮等に唾液を混ぜて作られる膠状ないしは蝋状の物質である。本実施形態において使用されるプロポリスの産地は、特に限定されず中国、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ等の南米諸国、ハンガリー、ブルガリア等のヨーロッパ、カナダ等の北米、オーストラリア、ニュージーランド等のオセアニア等を使用することができる。
【0017】
プロポリス原塊は、そのままの形態で抽出原料として使用することができる。また、プロポリス原塊の親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分(不溶性の残渣)を抽出原料として使用することもできる。ここで用いられる親水性有機溶媒としては、水に溶解する性質を有するエタノール、メタノール、イソプロパノール等の低級アルコールのほか、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類を適宜選択して使用することができる。これらの親水性有機溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、最終的に経口摂取することを考えればエタノール、水又はこれらの混合物が最も好ましい。エタノール以外のメタノール等を溶媒として用いる場合は、後処理工程において溶媒を完全除去することが好ましい。
【0018】
また、前記溶媒を用いて抽出する場合、抽出処理前に採取時に混入するゴミ等の夾雑物を除去し、粉砕することが好ましい。前記溶媒としてエタノール又は水との混合物を使用する場合、抽出温度は5〜40℃であることが好ましい。抽出温度が5℃未満の場合には、溶解成分と不溶成分の分離効率が低下するため好ましくない。逆に抽出温度が40℃を超える場合には、抽出溶媒(エタノール)が蒸発するため抽出効率の低下を招く。また、前記溶媒として水を使用する場合、抽出温度は特に限定されない。なお、抽出操作は、前記抽出温度で攪拌しながら数時間程度行えばよい。そして、上記の抽出条件で溶解成分を抽出した後、濾過及び遠心分離などの公知の固液分離方法を適用することによりプロポリス原塊から各種溶媒に対する不溶性の画分を得ることができる。尚、本実施形態において、前記不溶性の画分は、各種溶媒を用いて所定抽出温度で抽出処理した際に得られる不溶性の画分のみならず、各種溶媒を用いて所定抽出温度で抽出処理した際に得られる可溶性画分を前記抽出温度以下で放置した場合、又は溶媒の凍結・融解後に析出する不溶性の成分も含むものとする。
【0019】
プロポリス原塊から上記アルコール類を得るための処理としては、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理が挙げられる。超臨界抽出法を用いた抽出処理及びエステル結合を加水分解する処理は、処理の順番として、いずれを先に実施してもよく、処理工程中において少なくとも一回実施すればよい。製造コストの観点より、まず原料中に含まれる成分についてエステル結合を加水分解処理する工程が行なわれ、次に、超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する処理工程が行なわれる方が好ましい。
【0020】
まず、超臨界抽出法について説明する。超臨界抽出法は、公知の超臨界流体抽出装置を用いることにより実施することができる。超臨界流体を臨界温度以上及び臨界圧力以上の条件下で超臨界状態にした超臨界流体と抽出原料とを接触させることにより、抽出原料から所定の成分を抽出するものである。超臨界流体として二酸化炭素を用いる場合は、31.1℃の臨界温度以上及び72.8気圧(7.4MPa)の臨界圧力以上として超臨界流体状態となった二酸化炭素によって抽出原料から溶解成分が抽出される。この二酸化炭素を用いた超臨界抽出物には、今までプロポリスに含有されていることが確認されていなかった上記アルコール類の脂肪酸と結合したエステル化合物(エステル結合の加水分解処理を先に行なった場合は、遊離したアルコール類)が含有されている。
【0021】
前記超臨界流体は、二酸化炭素以外にエタン、プロパン、二酸化炭素、亜酸化窒素等が使用可能であるが、二酸化炭素を用いるのが最も好ましい。この二酸化炭素は、臨界温度が常温に近いうえに極性がエタノールより低いという抽出対象化合物に適合する物理的、化学的性質を有している。二酸化炭素はこのように抽出工程での物性が優れているばかりでなく無味・無臭で超臨界抽出製品の味にも影響を及ぼさないことから本実施形態に用いる超臨界流体としては二酸化炭素が最も好ましい。
【0022】
超臨界流体抽出における操作には、超臨界流体が臨界点近傍において、わずかな温度差、圧力差に対して密度と溶解性が大きく変化する性質を利用するため処理の温度及び圧力には適切な上下幅が必要である。二酸化炭素を用いる場合の操作温度は、好ましくは32〜80℃、より好ましくは32〜50℃である。また、その操作圧力は、好ましくは73〜500気圧(7.4〜50.7MPa)、より好ましくは73〜400気圧(7.4〜40.5MPa)である。超臨界流体としての二酸化炭素の流量(流速)は、プロポリス原料1kgに対して、好ましくは1〜10kg/時間、より好ましくは3〜7kg/時間である。処理時間は、プロポリス原料の量や状態により異なるが、テスト又は処理実績から抽出が完了する時間を確認することで適宜に決定することが可能である。
【0023】
そして、上記の抽出条件で抽出されたプロポリスの超臨界抽出物の性状は、抽出の経過時間によっても変化する。多くはペースト状であるが一部は粉末ないし塊状の固体として得られることもある。エントレーナーとしてエタノールを用いるときは、エタノールを含んだ液状となる。超臨界抽出物は、抽出直後は抽出原料に含まれるエタノール、エントレーナーとしてのエタノール等が含まれるほか、断熱膨張で固体化した二酸化炭素が含まれる。さらに抽出経過時間によって異なる組成を持つ不均一な抽出物として得られるので、均一に攪拌しながらエタノールと二酸化炭素を除去して固形の超臨界抽出物とした後、粉砕すれば純粋な超臨界抽出物粉末となる。
【0024】
次に、エステル結合を加水分解する処理について説明する。上述したように目的とするポリコサノール類及びルペオールは、抽出原料中においてその多くは脂肪酸とエステル結合したエステル化合物として存在する。エステル結合を加水分解する処理は、前記エステル化合物のエステル結合を加水分解し、目的とするアルコール類を遊離させるために行なう。先に超臨界抽出処理を行なう場合、まず抽出原料から超臨界抽出処理により目的とするポリコサノール類及びルペオールと脂肪酸とが結合したエステル化合物が得られる。次に、該エステル化合物を加水分解処理することにより目的とするアルコール類が得られる。また、超臨界抽出処理の前にエステル結合を加水分解する処理を行なう場合、まず抽出原料中のエステル化合物(エステル結合)の加水分解物が得られる。次に、超臨界抽出法を用いて抽出処理することにより目的とする遊離したアルコール類が得られる。
【0025】
エステル結合の加水分解処理は、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、水を加えて加熱処理する方法が挙げられる。また、アルカリを加えてけん化処理する方法、並びに触媒として酸及び加水分解酵素を用いる方法が挙げられる。
【0026】
得られた遊離したアルコール類は、そのままの形態で各分野において適用してもよく、公知のクロマトグラフィ、例えばガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、超臨界流体クロマトグラフィ、及び薄層クロマトグラフィを用いてさらにアルコール類のみを分離・精製して使用してもよい。
【0027】
上記のように得られた特定のアルコール類からなる超臨界抽出物は、今までプロポリスに含有されていることが確認されていなかったものであり、各種用途に適用することができる。本実施形態の超臨界抽出物の適用分野としては、特に限定されず、例えば健康食品等の飲食品、医薬品(医薬部外品も含む)、及び化粧品等に配合されて利用される。例えば、健康食品に含有させて利用する場合、含有成分の生理活性を損なわない範囲内で、賦形剤、光沢剤、ゲル化剤、増粘剤、甘味剤、乳化剤、香味料、色素、pH調整剤等を添加してもよい。超臨界抽出物の適用形態としては、そのままドリンク剤及びチンキ剤のような液状の製品として適用してもよい。また、澱粉やデキストリン等の賦形剤を混合した後、熱風乾燥や凍結乾燥することにより、粉末状にしてもよい。粉末化されて粉末剤や顆粒剤等の剤形で供給されたり、粉末や顆粒を圧縮成形した錠剤として供給されたり、ゼラチン製のカプセルに充填されたカプセル剤として供給してもよい。また、上記アルコール類の水に対する溶解性又は粉末性を更に向上させるために、塩基性アミノ酸類、例えばアルギニン及びリジンを配合して各種用途に適用してもよい。
【0028】
上記アルコール類として、例えば、1−オクタコサノールは、運動時における持久力の向上作用、コレステロール低下作用、抗腫瘍作用等を有することが知られている。1−オクタコサノールを摂取することによりそれらの作用・効果の発揮が期待される。また、1−トリアコンタノールは、脂肪酸代謝改善作用、血管機能向上作用、動脈硬化予防作用等を有することが知られている。1−トリアコンタノールを摂取することによりそれらの作用・効果の発揮が期待される。したがって、本実施形態の超臨界抽出物はそれらの作用・効能の発揮を目的とした飲食品、医薬品等に好ましく適用することができる。トリテルペンアルコールとしてのルペオールは、抗腫瘍作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、メラニン産生促進作用等を有することが知られている。したがって、本実施形態の超臨界抽出物はそれらの作用・効能の発揮を目的とした飲食品、化粧品、医薬品等に好ましく適用することができる。
【0029】
第1の実施形態の超臨界抽出物によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、プロポリス原塊を原料として、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより、これまでプロポリス中に含有されていることが知られていなかったアルコール類が得られる。したがって、それらのアルコール類からなる超臨界抽出物を例えば飲食品、化粧品、及び医薬品等の各分野に容易に適用することができる。
【0030】
(2)本実施形態では、抽出原料としてプロポリス原塊の親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分(不溶性の残渣)について抽出原料として使用してもよい。プロポリス原塊の親水性有機溶媒等に対する不溶性の画分にも本実施形態のアルコール類と脂肪酸からなる脂肪酸エステル化合物が含有されている。したがって、不純物をある程度取り除いてから抽出処理することにより、より不純物の少ない抽出物を得ることができる。
【0031】
(3)本実施形態では、超臨界流体として二酸化炭素を好ましく使用することができる。したがって、抽出物を生体に安全に適用することができる。
(4)本実施形態において、1−テトラコサノール等の特定のアルコール類からなる超臨界抽出物をプロポリス原塊より超臨界抽出と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより入手した。したがって、他の抽出法に比べ効率よく得ることができる。
【0032】
(5)本実施形態において、1−テトラコサノール等の特定のアルコール類からなる超臨界抽出物をプロポリス原塊より超臨界抽出と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより入手した。したがって、ワックス成分由来の味覚を抑制することができ、プロポリス抽出物の味覚を向上させることができる。
【0033】
(6)本実施形態において、エステル結合の加水分解処理について、触媒として酵素を用いた場合、より安全に飲食品等に適用することができる。
(7)加水分解処理されることにより得られたアルコール類は、脂肪酸とエステル結合した脂肪酸エステル化合物に比べ加水分解されているため、生体への吸収性をより向上させることができる。
【0034】
(8)加水分解処理されることにより得られたアルコール類は、脂肪酸とエステル結合した脂肪酸エステル化合物に比べ水分散性を著しく向上させることができる。したがって、飲料品等の水溶液の状態で提供される製品等に好ましく適用することができる。
【0035】
(9)本実施形態では、特定のアルコール類からなる超臨界抽出物は、天然素材であるプロポリス原塊が抽出原料として得られる。したがって、安全に各種用途に適用することができる。
【0036】
(10)超臨界抽出物を構成するアルコール類として1−オクタコサノールが適用される場合、摂取により運動時における持久力の向上作用、コレステロール低下作用、抗腫瘍作用等の発揮を期待することができる。
【0037】
(11)超臨界抽出物を構成するアルコール類として1−トリアコンタノールが適用される場合、摂取により脂肪酸代謝改善作用、血管機能向上作用、動脈硬化予防作用等の発揮を期待することができる。
【0038】
(12)超臨界抽出物を構成するアルコール類としてルペオールが適用される場合、摂取等により抗腫瘍作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、メラニン産生促進作用等を有することが知られている。
【0039】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態における超臨界抽出物は、ヒトが摂取する飲食品及び医薬品等に対して適用することができるのみならず、家畜等の飼養動物に対しサプリメント、栄養補助食品、医薬品等として適用してもよい。
【0040】
・抽出原料は、プロポリス原塊、と該プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分のいずれか一方のみを使用してもよく、混合したものを使用してもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
以下、本発明の超臨界抽出物の検出方法を具体化した第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態の超臨界抽出物の検出方法は、まずプロポリス原塊より超臨界抽出処理と、エステル結合を加水分解させる処理と、を組み合わせることにより遊離したアルコール類を得る工程が行なわれる。超臨界抽出法を用いた抽出処理及びエステル結合を加水分解する処理は、処理の順番として、いずれを先に実施してもよく、処理工程中において少なくとも一回実施すればよい。製造コストの観点より、最初に原料中に含まれる成分についてエステル結合を加水分解処理する工程が行なわれ、次に、超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する処理工程が行なわれる方が好ましい。
【0042】
最初に超臨界抽出処理が行なわれる場合、まず抽出原料より超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分の抽出が行なわれる。次に、該抽出された成分について、エステル結合の加水分解が行なわれ、次に、クロマトグラフィを用いて成分の分離が行なわれ、そして、第1の実施形態に記載される各アルコール類の検出が行なわれる。
【0043】
最初にエステル結合を加水分解する処理が行なわれる場合、まず抽出原料中に含まれる成分についてエステル結合を加水分解する処理が行なわれる。次に、超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する処理が行なわれ、次に、該抽出された成分について、クロマトグラフィを用いて分離する処理が行なわれ、そして、第1の実施形態に記載される各アルコール類の検出が行なわれる。
【0044】
超臨界抽出法は、原料から超臨界流体に溶解する成分を抽出するために行なわれ、第1の実施形態に記載される超臨界抽出法を適宜採用することができる。エステル結合を加水分解する処理は、原料中に含まれる脂肪酸エステル化合物又は超臨界抽出法を用いて抽出された脂肪酸エステル化合物のエステル結合を切断して、アルコール類を遊離させるために行われる。エステル結合を加水分解する処理は、第1の実施形態に記載される方法を適宜採用することができる。
【0045】
成分を分離するために用いられるクロマトグラフィとして、アルコール類を分離・検出することができる公知のクロマトグラフィを適宜採用することができ、具体的にガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、超臨界流体クロマトグラフィ、及び薄層クロマトグラフィ等を挙げることができる。各クロマトグラフィの使用方法としては、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、薄層クロマトグラフィでは、発色試薬として、例えば硫酸、ドラーゲンドルフ、トリテルペン発色試薬、塩化第二鉄、ブロモクレゾールグリーン等を使用することができる。各クロマトグラフィにより分離されたアルコール類は、各化合物の標準品等と比較することにより、又は核磁気共鳴装置等を用いて構造決定を行なうことにより検出することができる。
【0046】
第2の実施形態の超臨界抽出物の検出方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の超臨界抽出物の検出方法は、プロポリス由来の抽出原料より超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解させる処理と、を行なった後の成分を確認するために、第1の実施形態で得られたアルコール類を指標とするものである。
【0047】
一般に、例えば親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物を用いて抽出された抽出物の確認作業は、全ての抽出成分について分離し、定性及び定量することは困難又は煩雑であることから、主要抽出成分であるp−クマル酸、ケルセチン、又は桂皮酸誘導体等を指標として、その化合物を検出することにより確認が行なわれていた。従来、例えばプロポリス原塊より超臨界抽出法を用いて抽出された抽出物に対し、親水性有機溶媒や水を用いて抽出されるp−クマル酸及び桂皮酸誘導体等を指標となる化合物として使用していた。そのため、超臨界抽出法によって得られる抽出物の確認作業は、正確性の観点から決して十分なものとはいえなかった。つまり、抽出物の確認作業の正確性を向上させるためにはその抽出物特有の成分を指標とすることが好ましい。本実施形態において、超臨界抽出処理と、加水分解処理とを組み合わせて得られる超臨界抽出物について、単なる超臨界抽出法の適用のみでは得られない第1の実施形態に記載されるアルコール類を確認のための指標とすることにより最終生成物の確認作業の正確性を向上させることができる。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において用いられる各クロマトグラフィは、2種以上を組み合わせて実施してもよい。それにより、アルコール類の検出作業の正確性をより向上させることができる。
【0049】
・上記実施形態において、抽出原料は、第1の実施形態に記載されるプロポリス原塊の親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分が用いられてもよい。かかる不溶性の画分にも脂肪酸エステル化合物が含有されている。
【0050】
・上記実施形態において、クロマトグラフィにより分離された各アルコール類は、超臨界抽出物の主要成分として、例えば定量分析、及び抽出効率の確認にも使用してもよい。
【実施例】
【0051】
以下に実施例及び比較例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(試験例1:加水分解処理した超臨界抽出プロポリスの生成)
(a)超臨界抽出
ブラジル産グリーンプロポリスの原塊6kgを粉砕機で粉砕した後、95容量%エタノール30リットルを加えて室温で24時間攪拌抽出した。次に、プロポリス粉砕物を含む抽出液を遠心分離することによって、固液分離し、エタノールに不溶性の画分4.2kg(固形分50重量%)を得た。この不溶性画分を減圧下で乾固させた後、乳鉢で粉砕することによって粉末とした。かかる粉末1kgを超臨界流体処理装置(三菱化工機株式会社製)で2時間超臨界流体処理を行った。なおこのとき、超臨界ガスとして二酸化炭素を用い、流速28L/時間、最高圧力345気圧(35.0MPa)、温度50℃の条件で抽出した。抽出物を均一に混合することによって超臨界抽出物(以下、「超臨界プロポリス」という)114gが得られた。
(b)超臨界プロポリスの加水分解処理法の検討
上記超臨界プロポリス1gに、0%、25容量%、50容量%及び75容量%のエタノールをそれぞれ加えた1mol/L水酸化ナトリウムを50mL加え、還流冷却管をつけたフラスコを水浴で2時間穏やかに加熱してけん化処理することによりエステル結合の加水分解を行った。冷却後3mol/L塩酸溶液で中和し、ろ過を行った。その結果ろ過性はエタノール添加量0%が最も良く、エタノール添加量が50容量%及び75容量%ではろ過性は不良であった。また、TLCによるポリコサノール類及びルペオールの確認試験を行ったところ、エタノール添加量0%では、ポリコサノール類及びルペオールのスポットが確認されず、エタノールを添加したものは何れもポリコサノール類及びルペオールのスポットが確認できた。以上の結果から、加水分解処理におけるアルコール添加量は25容量%が良いことが判明した。
(c)超臨界プロポリスの加水分解処理
超臨界プロポリス100gに1mol/L水酸化ナトリウム25容量%エタノール溶液1Lを加え、還流冷却管をつけたフラスコを水浴で2時間穏やかに加熱してけん化処理することによりエステル結合の加水分解処理を行った。冷却後3mol/L塩酸溶液で中和し、ろ過を行い加水分解処理した超臨界抽出プロポリスを70g得た。
【0052】
(試験例2:ポリコサノール類及びルペオールの分析)
(a)加水分解処理した超臨界プロポリスの分析
加水分解処理した超臨界プロポリス1gにヘキサン15mLを加え撹拌した後、遠心分離を行いヘキサン層を分離した。この操作を3回行い得られたヘキサン層にヘキサンを加え50mLに定容した。この液2mLを取り、内部標準溶液(ヘプタコサノールヘキサン溶液)を加え、ヘキサンを留去した。次に0.2mLのTMSI−Hを加え、TMS化させることにより分析試料を調製し、ガスクロマトグラフィ質量分析計(GC−MS;Automass system II、JOEL製)にて測定を行なった。測定条件は、カラム(DB−5:(5%Phenyl)-methylpolysiloxane、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)、条件(イニシャル200℃(3分保持)→5℃/分昇温→300℃(17分保持)、40分測定)で行った。
【0053】
その結果、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール、ドトリアコンタノール、テトラトリアコンタノール、及びルペオールに相当する分子イオンピークが観測された。尚、また市販の標準品との比較において、保持時間や開裂パターンが一致し、ピーク面積を指標に定量演算を行ったところテトラコサノールが7.5%、ヘキサコサノールが7.6%、オクタコサノール酸が8.1%、トリアコンタノールが12.6%、ルペオール5.4%含まれることが判明した。
(b)超臨界プロポリスの分析
加水分解処理を行っていない超臨界プロポリスについて前述の分析条件でポリコサノール類の分析を行った。その結果、ポリコサノール類及びルペオールは検出されなかった。
(c)アルコール抽出プロポリスの分析
アルコール抽出プロポリスについて、前述の分析条件でポリコサノール類及びルペオールの分析を行った。その結果、ポリコサノール類及びルペオールは検出されなかった。また、アルコール抽出プロポリスを加水分解処理し、同様に分析を行ったが、ポリコサノール類及びルペオールは検出されなかった。上記結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
表1に示される結果から、加水分解処理した超臨界プロポリスにのみポリコサノール類及びルペオールが含有されることが判明した。
【0055】
尚、加水分解処理した超臨界抽出プロポリスの生成方法において、先に加水分解処理を行ない、次に超臨界抽出処理を行なった場合にも、上記と同様にポリコサノール類とルペオールが検出されることを確認している。
【0056】
(試験例3:加水分解処理した超臨界プロポリスの水分散性)
加水分解処理した超臨界プロポリス30mgを50mLの水に分散させ、一昼夜静置し、目視で水分散性を確認した。その結果、加水分解処理した超臨界プロポリスの水分散性は良好であり、分散直後及び一昼夜静置後の分散性に差は認められなかった。また、加水分解処理をしていない超臨界プロポリスは水に分散しないことから、加水分解処理を行うことにより超臨界プロポリスに水分散性を付与することが可能であり、加水分解処理した超臨界プロポリスは飲料等の用途に適していることが判明した。
【0057】
(試験例4:抗炎症試験(カラゲニン足浮腫試験))
Wistar/STラット(オス)5匹を1群として、コントロール群(蒸留水)、加水分解処理した超臨界プロポロリス300mg/kg投与群、超臨界プロポリス300mg/kg投与群、陽性対照としてインドメタシン30mg/kg投与群の3群で試験を行った。尚、各投与群の試料は5%アラビアガムに懸濁させて調整した。
【0058】
試験開始24時間前に絶食させたラットを用い、各試験サンプルを1回経口投与した。経口投与1時間後に、各群のラット右後足肢に1%λ−カラゲニン溶液0.1mLを皮下注射し浮腫を惹起させ、カラゲニン注射後1,2,3,4及び5時間目のラット右足の容積の測定を行い、浮腫率及び浮腫抑制率を算出し、抗炎症作用の評価を行った。
【0059】
その結果、加水分解処理した超臨界プロポリス300mg/kg投与群、超臨界プロポリス300mg/kg投与群ともに、浮腫抑制率において1,2,3及び4時間に有意差が認められ、加水分解処理した超臨界プロポリス投与群では5時間にも有意差が認められた。次いで足浮腫が最大となる皮下注射4時間後の浮腫抑制率については、加水分解処理した超臨界プロポリス300mg/kg投与群で38.5%、超臨界プロポリス300mg/kg投与群で32.1%、インドメタシン30mg/kg投与群で74.1%であった。本試験結果から加水分解処理した超臨界プロポリスは、超臨界プロポリスよりも優れた抗炎症作用があることが確認された。これは、加水分解処理によりアルコール類としてルペオールが遊離したことによるものと思料される。
【0060】
(試験例5:持久力向上試験(マウス強制水泳試験))
10週齢のddyマウス(オス)6匹を1群として、コントロール群(蒸留水)、超臨界プロポリス300mg/kg投与群、加水分解処理した超臨界プロポロリス300mg/kg投与群の3群で試験を行った。尚、各投与群の試料は5%アラビアガムに懸濁させて調整した。
【0061】
試料投与前の各マウスに体重あたり約7%の重りを負荷し、強制的に水泳させ、遊泳時間(鼻先が完全に水中に沈むまでの時間)を測定した。各試験サンプルを1回経口投与し、投与20分後に、投与前と同様に遊泳時間を測定した。投与前と投与後の遊泳時間の差を算出し、持久力向上作用の評価を行った。
【0062】
その結果、超臨界プロポリス300mg/kg投与群において、有為に差はつかなかったが、コントロール群と比較して遊泳時間が延長され、更に加水分解処理した超臨界プロポリス300mg/kg投与群おいてはコントロール群と比較して有為に遊泳時間が延長された(p<0.05)(尚、データ不添付)。
【0063】
以上の結果から、加水分解処理した超臨界プロポリスは、超臨界プロポリスに比べて優れた持久力向上作用があることが確認された。これは、加水分解処理によりアルコール類として1−オクタコサノールが遊離したことによるものと思料される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロポリス原塊を原料として超臨界抽出法を用いて抽出される超臨界抽出物であって、詳しくは該超臨界抽出物は、特定のアルコール類からなる。さらに超臨界抽出物の製造方法、その検出方法、並びにそれを含有する飲食品、化粧品、及び医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
プロポリスは、巣の防御及び補強等を目的として、ミツバチが採取した植物の滲出液、新芽、及び樹脂等に唾液を混ぜて作られる膠状ないしは蝋状の物質である。このプロポリスは、ミツバチが原料として巣箱周辺の種々の植物を採取して生産されるため、多種多様な成分を含有している。
【0003】
プロポリスの主要な生理活性として、抗酸化作用及び免疫賦活作用が知られている。そのため、プロポリスは、ヨーロッパにおいては医薬品或いは健康食品の素材として古くから用いられてきたが、1985年以降から日本においても健康食品や化粧品の素材の他、疾病の予防や治療等の多くの製品に使用されるようになった。
【0004】
プロポリス原塊は、そのままの状態で摂取するのはなかなか困難であることから、従来より、例えば特許文献1に開示される方法によって、プロポリス原塊に含まれる有用成分が抽出されている。具体的には、親水性有機溶媒を用いた抽出方法、水を用いた抽出方法、及び超臨界抽出方法が用いられている。
【0005】
プロポリス中に含まれる有効成分としては、極性の高い有機酸、フラボノイド類、ポリフェノール類、さらには極性の低いテルペノイド類等の非常に多様な種類の有効成分が確認されている。これら多様な種類の有効成分の生理活性が複雑に作用しあって、プロポリスの優れた生理活性を形成しているものと考えられる。しかしながら、プロポリス原塊中には、上記以外にも有用な成分が多数含有されているものと考えられている。
【特許文献1】特開2003−61593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プロポリス原塊より特定の抽出方法を用いて得られたプロポリス抽出物において、プロポリス原塊中に含有されていることがこれまで知られていなかった新規な有効成分を発見したことに基づくものである。
【0007】
本発明の目的とするところは、プロポリス原塊より超臨界抽出法を用いて得られた新規なアルコール類からなる超臨界抽出物、その製造方法、その検出方法、並びにそれを含有する飲食品、化粧品、及び医薬品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の超臨界抽出物は、プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより得られるアルコール類からなる超臨界抽出物において、前記アルコール類は、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明の超臨界抽出物の製造方法は、プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、超臨界抽出法を用いて脂肪酸エステル化合物を抽出する工程、次に該脂肪酸エステル化合物を加水分解処理することにより1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を得る工程からなる。
【0010】
請求項3に記載の発明の超臨界抽出物の製造方法は、プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、該原料中に含まれるエステル化合物についてエステル結合を加水分解処理する工程、次に、超臨界抽出法を用いて抽出処理することにより1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を得る工程からなる。
【0011】
請求項4に記載の発明の超臨界抽出物の検出方法は、プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する工程、次に、前記抽出された成分についてエステル結合を加水分解処理する工程、次に、クロマトグラフィを用いて分離する工程、及び、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を検出する工程からなることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明の超臨界抽出物の検出方法は、プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、該原料中に含まれる成分についてエステル結合を加水分解処理する工程、次に、超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する工程、次に、前記抽出された成分について、クロマトグラフィを用いて分離する工程、及び、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を検出する工程からなることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明の飲食品、化粧品又は医薬品は、請求項1に記載の超臨界抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プロポリス原塊より超臨界抽出法を用いて得られた新規なアルコール類からなる超臨界抽出物、その製造方法、その検出方法、並びにそれを含有する飲食品、化粧品、及び医薬品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の超臨界抽出物を具体化した第1の実施形態を説明する。
第1の実施形態の超臨界抽出物は、プロポリス原塊等を抽出原料として、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより得られるアルコール類からなる。該アルコール類は、より具体的には、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールが挙げられる。これらのうちルペオールは、トリテルペンアルコールの一種であり、それ以外のアルコール類は、ポリコサノール(炭素数が24〜34の高級飽和一価アルコール)である。プロポリス中において、これらのアルコール類の多くは脂肪酸とのエステル化合物として存在する。ポリコサノールは、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸等の脂肪酸とエステル結合している。ルペオールは、例えばテトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸、及びドトリアコンタン酸等の脂肪酸とエステル結合している。プロポリス中に存在する上記アルコール類の脂肪酸エステル化合物は、プロポリス中においてロウ成分を構成する。上記アルコール類は、プロポリス原塊中に含有されていることがこれまで知られていなかった新規な有効成分である。
【0016】
原料となるプロポリスは、巣の防御及び補強等を目的として、セイヨウミツバチ等のミツバチが採取した植物の滲出液、新芽及び樹皮等に唾液を混ぜて作られる膠状ないしは蝋状の物質である。本実施形態において使用されるプロポリスの産地は、特に限定されず中国、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ等の南米諸国、ハンガリー、ブルガリア等のヨーロッパ、カナダ等の北米、オーストラリア、ニュージーランド等のオセアニア等を使用することができる。
【0017】
プロポリス原塊は、そのままの形態で抽出原料として使用することができる。また、プロポリス原塊の親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分(不溶性の残渣)を抽出原料として使用することもできる。ここで用いられる親水性有機溶媒としては、水に溶解する性質を有するエタノール、メタノール、イソプロパノール等の低級アルコールのほか、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類を適宜選択して使用することができる。これらの親水性有機溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、最終的に経口摂取することを考えればエタノール、水又はこれらの混合物が最も好ましい。エタノール以外のメタノール等を溶媒として用いる場合は、後処理工程において溶媒を完全除去することが好ましい。
【0018】
また、前記溶媒を用いて抽出する場合、抽出処理前に採取時に混入するゴミ等の夾雑物を除去し、粉砕することが好ましい。前記溶媒としてエタノール又は水との混合物を使用する場合、抽出温度は5〜40℃であることが好ましい。抽出温度が5℃未満の場合には、溶解成分と不溶成分の分離効率が低下するため好ましくない。逆に抽出温度が40℃を超える場合には、抽出溶媒(エタノール)が蒸発するため抽出効率の低下を招く。また、前記溶媒として水を使用する場合、抽出温度は特に限定されない。なお、抽出操作は、前記抽出温度で攪拌しながら数時間程度行えばよい。そして、上記の抽出条件で溶解成分を抽出した後、濾過及び遠心分離などの公知の固液分離方法を適用することによりプロポリス原塊から各種溶媒に対する不溶性の画分を得ることができる。尚、本実施形態において、前記不溶性の画分は、各種溶媒を用いて所定抽出温度で抽出処理した際に得られる不溶性の画分のみならず、各種溶媒を用いて所定抽出温度で抽出処理した際に得られる可溶性画分を前記抽出温度以下で放置した場合、又は溶媒の凍結・融解後に析出する不溶性の成分も含むものとする。
【0019】
プロポリス原塊から上記アルコール類を得るための処理としては、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理が挙げられる。超臨界抽出法を用いた抽出処理及びエステル結合を加水分解する処理は、処理の順番として、いずれを先に実施してもよく、処理工程中において少なくとも一回実施すればよい。製造コストの観点より、まず原料中に含まれる成分についてエステル結合を加水分解処理する工程が行なわれ、次に、超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する処理工程が行なわれる方が好ましい。
【0020】
まず、超臨界抽出法について説明する。超臨界抽出法は、公知の超臨界流体抽出装置を用いることにより実施することができる。超臨界流体を臨界温度以上及び臨界圧力以上の条件下で超臨界状態にした超臨界流体と抽出原料とを接触させることにより、抽出原料から所定の成分を抽出するものである。超臨界流体として二酸化炭素を用いる場合は、31.1℃の臨界温度以上及び72.8気圧(7.4MPa)の臨界圧力以上として超臨界流体状態となった二酸化炭素によって抽出原料から溶解成分が抽出される。この二酸化炭素を用いた超臨界抽出物には、今までプロポリスに含有されていることが確認されていなかった上記アルコール類の脂肪酸と結合したエステル化合物(エステル結合の加水分解処理を先に行なった場合は、遊離したアルコール類)が含有されている。
【0021】
前記超臨界流体は、二酸化炭素以外にエタン、プロパン、二酸化炭素、亜酸化窒素等が使用可能であるが、二酸化炭素を用いるのが最も好ましい。この二酸化炭素は、臨界温度が常温に近いうえに極性がエタノールより低いという抽出対象化合物に適合する物理的、化学的性質を有している。二酸化炭素はこのように抽出工程での物性が優れているばかりでなく無味・無臭で超臨界抽出製品の味にも影響を及ぼさないことから本実施形態に用いる超臨界流体としては二酸化炭素が最も好ましい。
【0022】
超臨界流体抽出における操作には、超臨界流体が臨界点近傍において、わずかな温度差、圧力差に対して密度と溶解性が大きく変化する性質を利用するため処理の温度及び圧力には適切な上下幅が必要である。二酸化炭素を用いる場合の操作温度は、好ましくは32〜80℃、より好ましくは32〜50℃である。また、その操作圧力は、好ましくは73〜500気圧(7.4〜50.7MPa)、より好ましくは73〜400気圧(7.4〜40.5MPa)である。超臨界流体としての二酸化炭素の流量(流速)は、プロポリス原料1kgに対して、好ましくは1〜10kg/時間、より好ましくは3〜7kg/時間である。処理時間は、プロポリス原料の量や状態により異なるが、テスト又は処理実績から抽出が完了する時間を確認することで適宜に決定することが可能である。
【0023】
そして、上記の抽出条件で抽出されたプロポリスの超臨界抽出物の性状は、抽出の経過時間によっても変化する。多くはペースト状であるが一部は粉末ないし塊状の固体として得られることもある。エントレーナーとしてエタノールを用いるときは、エタノールを含んだ液状となる。超臨界抽出物は、抽出直後は抽出原料に含まれるエタノール、エントレーナーとしてのエタノール等が含まれるほか、断熱膨張で固体化した二酸化炭素が含まれる。さらに抽出経過時間によって異なる組成を持つ不均一な抽出物として得られるので、均一に攪拌しながらエタノールと二酸化炭素を除去して固形の超臨界抽出物とした後、粉砕すれば純粋な超臨界抽出物粉末となる。
【0024】
次に、エステル結合を加水分解する処理について説明する。上述したように目的とするポリコサノール類及びルペオールは、抽出原料中においてその多くは脂肪酸とエステル結合したエステル化合物として存在する。エステル結合を加水分解する処理は、前記エステル化合物のエステル結合を加水分解し、目的とするアルコール類を遊離させるために行なう。先に超臨界抽出処理を行なう場合、まず抽出原料から超臨界抽出処理により目的とするポリコサノール類及びルペオールと脂肪酸とが結合したエステル化合物が得られる。次に、該エステル化合物を加水分解処理することにより目的とするアルコール類が得られる。また、超臨界抽出処理の前にエステル結合を加水分解する処理を行なう場合、まず抽出原料中のエステル化合物(エステル結合)の加水分解物が得られる。次に、超臨界抽出法を用いて抽出処理することにより目的とする遊離したアルコール類が得られる。
【0025】
エステル結合の加水分解処理は、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、水を加えて加熱処理する方法が挙げられる。また、アルカリを加えてけん化処理する方法、並びに触媒として酸及び加水分解酵素を用いる方法が挙げられる。
【0026】
得られた遊離したアルコール類は、そのままの形態で各分野において適用してもよく、公知のクロマトグラフィ、例えばガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、超臨界流体クロマトグラフィ、及び薄層クロマトグラフィを用いてさらにアルコール類のみを分離・精製して使用してもよい。
【0027】
上記のように得られた特定のアルコール類からなる超臨界抽出物は、今までプロポリスに含有されていることが確認されていなかったものであり、各種用途に適用することができる。本実施形態の超臨界抽出物の適用分野としては、特に限定されず、例えば健康食品等の飲食品、医薬品(医薬部外品も含む)、及び化粧品等に配合されて利用される。例えば、健康食品に含有させて利用する場合、含有成分の生理活性を損なわない範囲内で、賦形剤、光沢剤、ゲル化剤、増粘剤、甘味剤、乳化剤、香味料、色素、pH調整剤等を添加してもよい。超臨界抽出物の適用形態としては、そのままドリンク剤及びチンキ剤のような液状の製品として適用してもよい。また、澱粉やデキストリン等の賦形剤を混合した後、熱風乾燥や凍結乾燥することにより、粉末状にしてもよい。粉末化されて粉末剤や顆粒剤等の剤形で供給されたり、粉末や顆粒を圧縮成形した錠剤として供給されたり、ゼラチン製のカプセルに充填されたカプセル剤として供給してもよい。また、上記アルコール類の水に対する溶解性又は粉末性を更に向上させるために、塩基性アミノ酸類、例えばアルギニン及びリジンを配合して各種用途に適用してもよい。
【0028】
上記アルコール類として、例えば、1−オクタコサノールは、運動時における持久力の向上作用、コレステロール低下作用、抗腫瘍作用等を有することが知られている。1−オクタコサノールを摂取することによりそれらの作用・効果の発揮が期待される。また、1−トリアコンタノールは、脂肪酸代謝改善作用、血管機能向上作用、動脈硬化予防作用等を有することが知られている。1−トリアコンタノールを摂取することによりそれらの作用・効果の発揮が期待される。したがって、本実施形態の超臨界抽出物はそれらの作用・効能の発揮を目的とした飲食品、医薬品等に好ましく適用することができる。トリテルペンアルコールとしてのルペオールは、抗腫瘍作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、メラニン産生促進作用等を有することが知られている。したがって、本実施形態の超臨界抽出物はそれらの作用・効能の発揮を目的とした飲食品、化粧品、医薬品等に好ましく適用することができる。
【0029】
第1の実施形態の超臨界抽出物によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、プロポリス原塊を原料として、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより、これまでプロポリス中に含有されていることが知られていなかったアルコール類が得られる。したがって、それらのアルコール類からなる超臨界抽出物を例えば飲食品、化粧品、及び医薬品等の各分野に容易に適用することができる。
【0030】
(2)本実施形態では、抽出原料としてプロポリス原塊の親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分(不溶性の残渣)について抽出原料として使用してもよい。プロポリス原塊の親水性有機溶媒等に対する不溶性の画分にも本実施形態のアルコール類と脂肪酸からなる脂肪酸エステル化合物が含有されている。したがって、不純物をある程度取り除いてから抽出処理することにより、より不純物の少ない抽出物を得ることができる。
【0031】
(3)本実施形態では、超臨界流体として二酸化炭素を好ましく使用することができる。したがって、抽出物を生体に安全に適用することができる。
(4)本実施形態において、1−テトラコサノール等の特定のアルコール類からなる超臨界抽出物をプロポリス原塊より超臨界抽出と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより入手した。したがって、他の抽出法に比べ効率よく得ることができる。
【0032】
(5)本実施形態において、1−テトラコサノール等の特定のアルコール類からなる超臨界抽出物をプロポリス原塊より超臨界抽出と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより入手した。したがって、ワックス成分由来の味覚を抑制することができ、プロポリス抽出物の味覚を向上させることができる。
【0033】
(6)本実施形態において、エステル結合の加水分解処理について、触媒として酵素を用いた場合、より安全に飲食品等に適用することができる。
(7)加水分解処理されることにより得られたアルコール類は、脂肪酸とエステル結合した脂肪酸エステル化合物に比べ加水分解されているため、生体への吸収性をより向上させることができる。
【0034】
(8)加水分解処理されることにより得られたアルコール類は、脂肪酸とエステル結合した脂肪酸エステル化合物に比べ水分散性を著しく向上させることができる。したがって、飲料品等の水溶液の状態で提供される製品等に好ましく適用することができる。
【0035】
(9)本実施形態では、特定のアルコール類からなる超臨界抽出物は、天然素材であるプロポリス原塊が抽出原料として得られる。したがって、安全に各種用途に適用することができる。
【0036】
(10)超臨界抽出物を構成するアルコール類として1−オクタコサノールが適用される場合、摂取により運動時における持久力の向上作用、コレステロール低下作用、抗腫瘍作用等の発揮を期待することができる。
【0037】
(11)超臨界抽出物を構成するアルコール類として1−トリアコンタノールが適用される場合、摂取により脂肪酸代謝改善作用、血管機能向上作用、動脈硬化予防作用等の発揮を期待することができる。
【0038】
(12)超臨界抽出物を構成するアルコール類としてルペオールが適用される場合、摂取等により抗腫瘍作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、メラニン産生促進作用等を有することが知られている。
【0039】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態における超臨界抽出物は、ヒトが摂取する飲食品及び医薬品等に対して適用することができるのみならず、家畜等の飼養動物に対しサプリメント、栄養補助食品、医薬品等として適用してもよい。
【0040】
・抽出原料は、プロポリス原塊、と該プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分のいずれか一方のみを使用してもよく、混合したものを使用してもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
以下、本発明の超臨界抽出物の検出方法を具体化した第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態の超臨界抽出物の検出方法は、まずプロポリス原塊より超臨界抽出処理と、エステル結合を加水分解させる処理と、を組み合わせることにより遊離したアルコール類を得る工程が行なわれる。超臨界抽出法を用いた抽出処理及びエステル結合を加水分解する処理は、処理の順番として、いずれを先に実施してもよく、処理工程中において少なくとも一回実施すればよい。製造コストの観点より、最初に原料中に含まれる成分についてエステル結合を加水分解処理する工程が行なわれ、次に、超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する処理工程が行なわれる方が好ましい。
【0042】
最初に超臨界抽出処理が行なわれる場合、まず抽出原料より超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分の抽出が行なわれる。次に、該抽出された成分について、エステル結合の加水分解が行なわれ、次に、クロマトグラフィを用いて成分の分離が行なわれ、そして、第1の実施形態に記載される各アルコール類の検出が行なわれる。
【0043】
最初にエステル結合を加水分解する処理が行なわれる場合、まず抽出原料中に含まれる成分についてエステル結合を加水分解する処理が行なわれる。次に、超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する処理が行なわれ、次に、該抽出された成分について、クロマトグラフィを用いて分離する処理が行なわれ、そして、第1の実施形態に記載される各アルコール類の検出が行なわれる。
【0044】
超臨界抽出法は、原料から超臨界流体に溶解する成分を抽出するために行なわれ、第1の実施形態に記載される超臨界抽出法を適宜採用することができる。エステル結合を加水分解する処理は、原料中に含まれる脂肪酸エステル化合物又は超臨界抽出法を用いて抽出された脂肪酸エステル化合物のエステル結合を切断して、アルコール類を遊離させるために行われる。エステル結合を加水分解する処理は、第1の実施形態に記載される方法を適宜採用することができる。
【0045】
成分を分離するために用いられるクロマトグラフィとして、アルコール類を分離・検出することができる公知のクロマトグラフィを適宜採用することができ、具体的にガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、超臨界流体クロマトグラフィ、及び薄層クロマトグラフィ等を挙げることができる。各クロマトグラフィの使用方法としては、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、薄層クロマトグラフィでは、発色試薬として、例えば硫酸、ドラーゲンドルフ、トリテルペン発色試薬、塩化第二鉄、ブロモクレゾールグリーン等を使用することができる。各クロマトグラフィにより分離されたアルコール類は、各化合物の標準品等と比較することにより、又は核磁気共鳴装置等を用いて構造決定を行なうことにより検出することができる。
【0046】
第2の実施形態の超臨界抽出物の検出方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の超臨界抽出物の検出方法は、プロポリス由来の抽出原料より超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解させる処理と、を行なった後の成分を確認するために、第1の実施形態で得られたアルコール類を指標とするものである。
【0047】
一般に、例えば親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物を用いて抽出された抽出物の確認作業は、全ての抽出成分について分離し、定性及び定量することは困難又は煩雑であることから、主要抽出成分であるp−クマル酸、ケルセチン、又は桂皮酸誘導体等を指標として、その化合物を検出することにより確認が行なわれていた。従来、例えばプロポリス原塊より超臨界抽出法を用いて抽出された抽出物に対し、親水性有機溶媒や水を用いて抽出されるp−クマル酸及び桂皮酸誘導体等を指標となる化合物として使用していた。そのため、超臨界抽出法によって得られる抽出物の確認作業は、正確性の観点から決して十分なものとはいえなかった。つまり、抽出物の確認作業の正確性を向上させるためにはその抽出物特有の成分を指標とすることが好ましい。本実施形態において、超臨界抽出処理と、加水分解処理とを組み合わせて得られる超臨界抽出物について、単なる超臨界抽出法の適用のみでは得られない第1の実施形態に記載されるアルコール類を確認のための指標とすることにより最終生成物の確認作業の正確性を向上させることができる。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において用いられる各クロマトグラフィは、2種以上を組み合わせて実施してもよい。それにより、アルコール類の検出作業の正確性をより向上させることができる。
【0049】
・上記実施形態において、抽出原料は、第1の実施形態に記載されるプロポリス原塊の親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分が用いられてもよい。かかる不溶性の画分にも脂肪酸エステル化合物が含有されている。
【0050】
・上記実施形態において、クロマトグラフィにより分離された各アルコール類は、超臨界抽出物の主要成分として、例えば定量分析、及び抽出効率の確認にも使用してもよい。
【実施例】
【0051】
以下に実施例及び比較例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(試験例1:加水分解処理した超臨界抽出プロポリスの生成)
(a)超臨界抽出
ブラジル産グリーンプロポリスの原塊6kgを粉砕機で粉砕した後、95容量%エタノール30リットルを加えて室温で24時間攪拌抽出した。次に、プロポリス粉砕物を含む抽出液を遠心分離することによって、固液分離し、エタノールに不溶性の画分4.2kg(固形分50重量%)を得た。この不溶性画分を減圧下で乾固させた後、乳鉢で粉砕することによって粉末とした。かかる粉末1kgを超臨界流体処理装置(三菱化工機株式会社製)で2時間超臨界流体処理を行った。なおこのとき、超臨界ガスとして二酸化炭素を用い、流速28L/時間、最高圧力345気圧(35.0MPa)、温度50℃の条件で抽出した。抽出物を均一に混合することによって超臨界抽出物(以下、「超臨界プロポリス」という)114gが得られた。
(b)超臨界プロポリスの加水分解処理法の検討
上記超臨界プロポリス1gに、0%、25容量%、50容量%及び75容量%のエタノールをそれぞれ加えた1mol/L水酸化ナトリウムを50mL加え、還流冷却管をつけたフラスコを水浴で2時間穏やかに加熱してけん化処理することによりエステル結合の加水分解を行った。冷却後3mol/L塩酸溶液で中和し、ろ過を行った。その結果ろ過性はエタノール添加量0%が最も良く、エタノール添加量が50容量%及び75容量%ではろ過性は不良であった。また、TLCによるポリコサノール類及びルペオールの確認試験を行ったところ、エタノール添加量0%では、ポリコサノール類及びルペオールのスポットが確認されず、エタノールを添加したものは何れもポリコサノール類及びルペオールのスポットが確認できた。以上の結果から、加水分解処理におけるアルコール添加量は25容量%が良いことが判明した。
(c)超臨界プロポリスの加水分解処理
超臨界プロポリス100gに1mol/L水酸化ナトリウム25容量%エタノール溶液1Lを加え、還流冷却管をつけたフラスコを水浴で2時間穏やかに加熱してけん化処理することによりエステル結合の加水分解処理を行った。冷却後3mol/L塩酸溶液で中和し、ろ過を行い加水分解処理した超臨界抽出プロポリスを70g得た。
【0052】
(試験例2:ポリコサノール類及びルペオールの分析)
(a)加水分解処理した超臨界プロポリスの分析
加水分解処理した超臨界プロポリス1gにヘキサン15mLを加え撹拌した後、遠心分離を行いヘキサン層を分離した。この操作を3回行い得られたヘキサン層にヘキサンを加え50mLに定容した。この液2mLを取り、内部標準溶液(ヘプタコサノールヘキサン溶液)を加え、ヘキサンを留去した。次に0.2mLのTMSI−Hを加え、TMS化させることにより分析試料を調製し、ガスクロマトグラフィ質量分析計(GC−MS;Automass system II、JOEL製)にて測定を行なった。測定条件は、カラム(DB−5:(5%Phenyl)-methylpolysiloxane、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)、条件(イニシャル200℃(3分保持)→5℃/分昇温→300℃(17分保持)、40分測定)で行った。
【0053】
その結果、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール、ドトリアコンタノール、テトラトリアコンタノール、及びルペオールに相当する分子イオンピークが観測された。尚、また市販の標準品との比較において、保持時間や開裂パターンが一致し、ピーク面積を指標に定量演算を行ったところテトラコサノールが7.5%、ヘキサコサノールが7.6%、オクタコサノール酸が8.1%、トリアコンタノールが12.6%、ルペオール5.4%含まれることが判明した。
(b)超臨界プロポリスの分析
加水分解処理を行っていない超臨界プロポリスについて前述の分析条件でポリコサノール類の分析を行った。その結果、ポリコサノール類及びルペオールは検出されなかった。
(c)アルコール抽出プロポリスの分析
アルコール抽出プロポリスについて、前述の分析条件でポリコサノール類及びルペオールの分析を行った。その結果、ポリコサノール類及びルペオールは検出されなかった。また、アルコール抽出プロポリスを加水分解処理し、同様に分析を行ったが、ポリコサノール類及びルペオールは検出されなかった。上記結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
表1に示される結果から、加水分解処理した超臨界プロポリスにのみポリコサノール類及びルペオールが含有されることが判明した。
【0055】
尚、加水分解処理した超臨界抽出プロポリスの生成方法において、先に加水分解処理を行ない、次に超臨界抽出処理を行なった場合にも、上記と同様にポリコサノール類とルペオールが検出されることを確認している。
【0056】
(試験例3:加水分解処理した超臨界プロポリスの水分散性)
加水分解処理した超臨界プロポリス30mgを50mLの水に分散させ、一昼夜静置し、目視で水分散性を確認した。その結果、加水分解処理した超臨界プロポリスの水分散性は良好であり、分散直後及び一昼夜静置後の分散性に差は認められなかった。また、加水分解処理をしていない超臨界プロポリスは水に分散しないことから、加水分解処理を行うことにより超臨界プロポリスに水分散性を付与することが可能であり、加水分解処理した超臨界プロポリスは飲料等の用途に適していることが判明した。
【0057】
(試験例4:抗炎症試験(カラゲニン足浮腫試験))
Wistar/STラット(オス)5匹を1群として、コントロール群(蒸留水)、加水分解処理した超臨界プロポロリス300mg/kg投与群、超臨界プロポリス300mg/kg投与群、陽性対照としてインドメタシン30mg/kg投与群の3群で試験を行った。尚、各投与群の試料は5%アラビアガムに懸濁させて調整した。
【0058】
試験開始24時間前に絶食させたラットを用い、各試験サンプルを1回経口投与した。経口投与1時間後に、各群のラット右後足肢に1%λ−カラゲニン溶液0.1mLを皮下注射し浮腫を惹起させ、カラゲニン注射後1,2,3,4及び5時間目のラット右足の容積の測定を行い、浮腫率及び浮腫抑制率を算出し、抗炎症作用の評価を行った。
【0059】
その結果、加水分解処理した超臨界プロポリス300mg/kg投与群、超臨界プロポリス300mg/kg投与群ともに、浮腫抑制率において1,2,3及び4時間に有意差が認められ、加水分解処理した超臨界プロポリス投与群では5時間にも有意差が認められた。次いで足浮腫が最大となる皮下注射4時間後の浮腫抑制率については、加水分解処理した超臨界プロポリス300mg/kg投与群で38.5%、超臨界プロポリス300mg/kg投与群で32.1%、インドメタシン30mg/kg投与群で74.1%であった。本試験結果から加水分解処理した超臨界プロポリスは、超臨界プロポリスよりも優れた抗炎症作用があることが確認された。これは、加水分解処理によりアルコール類としてルペオールが遊離したことによるものと思料される。
【0060】
(試験例5:持久力向上試験(マウス強制水泳試験))
10週齢のddyマウス(オス)6匹を1群として、コントロール群(蒸留水)、超臨界プロポリス300mg/kg投与群、加水分解処理した超臨界プロポロリス300mg/kg投与群の3群で試験を行った。尚、各投与群の試料は5%アラビアガムに懸濁させて調整した。
【0061】
試料投与前の各マウスに体重あたり約7%の重りを負荷し、強制的に水泳させ、遊泳時間(鼻先が完全に水中に沈むまでの時間)を測定した。各試験サンプルを1回経口投与し、投与20分後に、投与前と同様に遊泳時間を測定した。投与前と投与後の遊泳時間の差を算出し、持久力向上作用の評価を行った。
【0062】
その結果、超臨界プロポリス300mg/kg投与群において、有為に差はつかなかったが、コントロール群と比較して遊泳時間が延長され、更に加水分解処理した超臨界プロポリス300mg/kg投与群おいてはコントロール群と比較して有為に遊泳時間が延長された(p<0.05)(尚、データ不添付)。
【0063】
以上の結果から、加水分解処理した超臨界プロポリスは、超臨界プロポリスに比べて優れた持久力向上作用があることが確認された。これは、加水分解処理によりアルコール類として1−オクタコサノールが遊離したことによるものと思料される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより得られるアルコール類からなる超臨界抽出物において、前記アルコール類は、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする超臨界抽出物。
【請求項2】
プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、超臨界抽出法を用いて脂肪酸エステル化合物を抽出する工程、次に該脂肪酸エステル化合物を加水分解処理することにより1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を得る工程からなる超臨界抽出物の製造方法。
【請求項3】
プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、該原料中に含まれるエステル化合物についてエステル結合を加水分解処理する工程、次に、超臨界抽出法を用いて抽出処理することにより1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を得る工程からなる超臨界抽出物の製造方法。
【請求項4】
超臨界抽出物の検出方法において、
プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する工程、
次に、前記抽出された成分についてエステル結合を加水分解処理する工程、
次に、クロマトグラフィを用いて分離する工程、及び、
1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を検出する工程からなることを特徴とする超臨界抽出物の検出方法。
【請求項5】
超臨界抽出物の検出方法において、
プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、該原料中に含まれる成分についてエステル結合を加水分解処理する工程、
次に、超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する工程、
次に、前記抽出された成分について、クロマトグラフィを用いて分離する工程、及び、
1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を検出する工程からなることを特徴とする超臨界抽出物の検出方法。
【請求項6】
請求項1に記載の超臨界抽出物を有効成分として含有することを特徴とする飲食品、化粧品、又は医薬品。
【請求項1】
プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、超臨界抽出法を用いた抽出処理と、エステル結合を加水分解する処理と、を組み合わせることにより得られるアルコール類からなる超臨界抽出物において、前記アルコール類は、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする超臨界抽出物。
【請求項2】
プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、超臨界抽出法を用いて脂肪酸エステル化合物を抽出する工程、次に該脂肪酸エステル化合物を加水分解処理することにより1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を得る工程からなる超臨界抽出物の製造方法。
【請求項3】
プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、該原料中に含まれるエステル化合物についてエステル結合を加水分解処理する工程、次に、超臨界抽出法を用いて抽出処理することにより1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を得る工程からなる超臨界抽出物の製造方法。
【請求項4】
超臨界抽出物の検出方法において、
プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する工程、
次に、前記抽出された成分についてエステル結合を加水分解処理する工程、
次に、クロマトグラフィを用いて分離する工程、及び、
1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を検出する工程からなることを特徴とする超臨界抽出物の検出方法。
【請求項5】
超臨界抽出物の検出方法において、
プロポリス原塊、もしくは前記プロポリス原塊から親水性有機溶媒、水又はそれらの混合物に対する不溶性の画分を抽出原料として、該原料中に含まれる成分についてエステル結合を加水分解処理する工程、
次に、超臨界抽出法を用いて超臨界流体に溶解する成分を抽出する工程、
次に、前記抽出された成分について、クロマトグラフィを用いて分離する工程、及び、
1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、1−テトラトリアコンタノール、及びルペオールから選ばれる少なくとも一種のアルコール類を検出する工程からなることを特徴とする超臨界抽出物の検出方法。
【請求項6】
請求項1に記載の超臨界抽出物を有効成分として含有することを特徴とする飲食品、化粧品、又は医薬品。
【公開番号】特開2009−184929(P2009−184929A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23176(P2008−23176)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(591045471)アピ株式会社 (59)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(591045471)アピ株式会社 (59)
【Fターム(参考)】
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