超臨界流体を使用する、基材上に分散された金属粒子の沈着
基材に分散された金属粒子を作製するための方法および作製された組成物が、開示される。粒子を作製するための方法は、流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属およびこの粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、この混合物を通気する工程、それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、および還元剤を用いて、この分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程を包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は概して、基材上に分散された粒子の沈着、およびそれによって得られる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
超臨界流体(SCF)は、その臨界温度(Tc)および臨界圧(Pc)を超える材料である。SCFは、多数の用途(例えば、エチレンの重合(非特許文献1)、コーヒーのカフェイン除去(非特許文献2)、有機化学反応のため(非特許文献3;非特許文献4)およびナノコンポジット(nanocomposite)合成(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8))における溶媒として使用されている。SCFの用途は、その特徴(例えば、圧力および/または温度を調整することによって、調節され得る広範囲の溶媒強度および溶媒濃度)のうちのいくつかに起因して生じる。
【0003】
多くのSCFが、ナノ粒子の作製およびミクロンサイズの粒子のための溶媒および共溶媒として使用されている(非特許文献9;非特許文献10)。粒子設計は、特に製薬産業において、SCFのために非常に重要な用途になってきている(非特許文献11)。
【0004】
超臨界溶液の急速膨張は、目的の材料がSCFに溶解して、ノズルを通して急速に減圧され、生成物の非常に急速な核生成を引き起こすプロセスである(非特許文献11)。ミクロンサイズの粒子を作製するための別の一般的な方法は、ガス飽和溶液からの粒子の形成である(非特許文献11)。このプロセスは、液体材料または溶液の材料を超臨界流体の中に溶解する工程からなる。次いで、この混合物は、ノズルを通過され、液滴の形成および粒子の増加を生じる。これらの方法は、結晶構造および粒子のサイズ(生物学的機能に対する大きな効果を有し得る結晶構造として重要である)の制御を可能にし得る(非特許文献12;非特許文献11)。SCF内に粒子を沈殿させるためのこれらの方法は、ポリマーに及んでいる。1つの例において、マイクロメーターサイズの粒子およびナイロン6/6の繊維は、SC−CO2の中へポリマー溶液を膨張させることによって、作製された。
【0005】
Murthyらによる特許文献1は、基材上に薄い金属またはポリマーのコーティングを沈着させるためのプロセスに関する。より具体的には、この発明のプロセスは、以下の工程を包含する:水または非極性有機溶媒に溶解された金属またはポリマーを含む溶液に、超臨界温度および超臨界圧力にて、基材を曝露する工程であって、該金属またはポリマーは、臨界未満の条件下で該溶媒に実質的に不溶性であり、そして超臨界条件下で該溶媒に実質的に溶解性である、工程;ならびに該圧力、または該温度および該圧力を臨界未満の値に減少させて、それによって、該基材上に該金属またはポリマーの薄いコーティングを沈着させる工程。この発明の要旨、第2欄、11−24行を参照のこと。
【0006】
Watkinsらによる特許文献2は、i)材料の前駆材料を超臨界溶媒または亜超臨界(near−supercritical)溶媒に溶解して、超臨界溶液または亜超臨界溶液を形成する工程;ii)該前駆材料が、該溶液中で安定する条件下で、該溶液に基材を曝露する工程;およびiii)該前駆材料に関する化学反応を開始する条件下で、反応試薬を該溶液の中で混合して、それによって、超臨界条件または亜超臨界条件を維持している間、該固体基材上に該材料を沈着させる工程によって、基材の表面上に材料のフィルムを沈着させるための方法に関する。この発明はまた、多孔質固体の中に材料粒子、および基材または多孔質固体に沈着された材料粒子を有する基材または多孔質固体上に材料のフィルムを沈着させるための同様の方法を包含する。要約を参照のこと。
【0007】
Waiらによる特許文献3は、金属−リガンド錯体を熱および/または記載されている還元剤もしくは酸化剤で処理する工程によって、超臨界流体における金属−リガンド錯体を解離するための方法に関する。一旦、金属−リガンド錯体が解離されると、その結果生じる金属および/または金属酸化物は、実質的に均一なサイズの微細な粒子を形成する。好ましい実施形態において、溶媒は超臨界の二酸化炭素であり、リガンドはβ−ジケトン(例えば、ヘキサフルオロアセチルアセトンまたはジブチルジアセトン)である。他の好ましい形態において、金属−リガンド錯体中の金属は、銅、銀、金、タングステン、チタン、タンタル、スズ、またはそれらの混合物である。好ましい実施形態において、還元剤は水素である。この方法は、金属−リガンド複合体を解離するための効果的なプロセスを提供し、炭化水素溶媒不純物を含まない容易に収集される金属粒子を作製する。リガンドおよび超臨界流体は、経済的、効果的なプロセスを提供するために再生利用され得る。要約を参照のこと。
【0008】
Pesseyらによる特許文献4は、このようにして達成される粒子をコーティングするための方法に関する。この発明の方法に従って、コーティングされる粒子およびコーティング材料のうちの少なくとも1つの有機金属錯体の前駆材料は、1種以上の溶媒を含む液体中で互いに接触され、それによって、該粒子は、温度条件および超臨界圧力条件またはわずかに臨界未満の圧力条件に供される液体中で分散を維持し;コーティング材料の前駆材料は、この粒子上に沈着されるような方法で変換され、それによって、この液体は、気態における溶媒を除去し得るような温度条件および圧力条件に置かれる。この発明は、特にナノメートルの粒子をコーティングするために使用され得る。要約を参照のこと。
【特許文献1】米国特許第4,737,384号明細書
【特許文献2】米国特許第5,789,027号明細書
【特許文献3】米国特許第6,132,491号明細書
【特許文献4】米国特許第6,592,938 B1号明細書
【非特許文献1】Odian、「G.G.Principles of Polymerization」、John Wiley & Sons、1991年
【非特許文献2】McHugh,M.およびKrukonis、「V.Supercritical Fluid Extraction」、第2版、Butterworth−Heinemann、Newton、1994年
【非特許文献3】Kaupp,G.、「Reactions in Supercritical Carbon Dioxide」、Angewandte Chemie、1994年、第33巻、p.1452−1455
【非特許文献4】Johnson,K.P.、「Safer Solutions for Chemists」、Nature、1994年、第368巻、p.187−188
【非特許文献5】Watkins,J.J.およびMcCarthy,T.、「Polymer/Metal Nanocomposites in Supercritical CO2」、Chemistry of Materials、1995年、第7巻、p.1991
【非特許文献6】Watkins,J.J.、「Chemistry in Supercritical Fluid−Swollen Polymers:Direct Synthesis of Polymer/Polymer and Polymer/Metal Composites」、Ph.D. in Polymer Science and Engineering、University of Massachusetts at Amherst、1997年
【非特許文献7】Watkins,J.J.およびMcCarthy,T.J.、「Polymerization of Styrene in Supercritical CO2−Swollen Poly(chlorotrifluoroethylene)」、Macromolecules、1995年、第28巻、p.4067−4074
【非特許文献8】Cansell,F.、Cheavlier,B.、Demourgues,A.、Etourneau,J.、Even,C.、Garrabos,Y.、Pessy,V.、Petit,S.、Tressaud,A.およびWeil,F.、「Supercritical Fluid Processing:A New Route for Material Synthesis」、Journal of Materials Chemistry、1999年、第9巻、p.67−75
【非特許文献9】Johnson,K.P.、「Safer Solutions for Chemists」、Nature、1994年、第368巻、p187−188
【非特許文献10】Cansell,F.ら、「J.of Mat’l Chem.」、1999年、第9巻、p.67−75
【非特許文献11】Park,Y.、Curtis,C.W.、およびRoberts,C.B.、「Formation of Nylon Particles and Fibers Using Precipitation with a Compressed Antisolvent」、Industrial & Eng.Chem.Res.、2002年、第41巻、p.1504−1510
【非特許文献12】Kordikowski,A.、York,P.、およびLatham,D.、「Resolution of Ephedrine in Supercritical CO2:A Novel Technique for the Separation of Chiral Drugs」、J.Pharm.Sci.、1999年、第88巻、p.786
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術文献は、本発明の特定の有利な工程または特徴を開示していない。他にも理由はあるが、先行技術文献は、還元反応、金属フィルムではなく形成される粒子状金属、粒子状基材の組み合わせ、および/または還元する工程の前の通気する工程を開示していない。
【0010】
上記の理由のために、特定の基材上に適切に粒子を分散する能力は、まだ満たされていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明の目的に従って、本明細書中に具体的および広範に記載されるように、本発明は、基材に分散された粒子の沈着およびそれによって得られる組成物に関する。
【0012】
1つの局面において、本発明は、粒子状基材に分散された金属粒子または混合された金属粒子を作製するための方法に関し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属およびこの粒子状基材を、超臨界流体または超臨界流体に近い流体に曝露する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで
e)還元剤を用いて、この分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程
を包含する。
【0013】
別の局面において、本発明は、粒子状基材に支持された分散された金属粒子を作製するための方法に関し、この方法は、以下
a)超臨界流体または亜超臨界流体において有機金属を混合して、混合物を形成する工程、
b)この基材に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この粒子状基材を、超臨界条件下または亜超臨界条件下で、a)の混合物に曝露する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで
e)還元剤を用いて、この有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程
を包含する。
【0014】
別の局面において、本発明は、粒子状基材に支持された分散された金属粒子を作製するための方法に関し、この方法は、以下
a)粒子状基材および有機金属をリアクターに添加する工程、
b)超臨界流体をこのリアクターに添加して、この有機金属を含む混合物を形成する工程、
c)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この有機金属とこの基材との接触を維持する工程、
d)このリアクターに通気口を与える工程、
e)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで
f)ガス状の還元剤をこのリアクターに添加する工程、および
g)この有機金属が分散された金属粒子に還元されるまで、この還元剤とこの有機金属とを接触させる工程
を包含する。
【0015】
別の局面において、本発明は、燃料電池における使用のための支持された粒子状の触媒を作製するための方法に関し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属および粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)還元剤を用いて、この分散された有機金属を分散された金属粒子に還元する工程であって、ここで、この支持された粒子状の触媒は、燃料電池における使用に適切である工程、
を包含する。
【0016】
別の局面において、本発明は、制御された触媒の粒子サイズを含む燃料電池における使用のための支持された粒子状の触媒を作製するための方法に関し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属および粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)所望の粒子サイズを形成するために効果的な圧力条件下で、還元剤を用いて、この分散された有機金属を分散された金属粒子に還元させ、それによって、制御された金属粒子サイズを含む支持された粒子状の触媒を形成する工程
を包含する。
【0017】
本発明は、粒子状基材材料(例えば、炭素性基材材料または無機質の基材材料)を含む組成物を含む。この組成物は、金属性化合物または金属の分散された粒子、好ましくは分散されたナノ粒子をさらに含み得る。1つの局面において、この所望の粒子は金属性ナノ粒子であり、この基材は炭素性である。
【0018】
本発明の粒子状組成物および本発明の方法によって作製される粒子状組成物もまた、本明細書中に提供される。
【0019】
本発明は、1つの局面において、金属性粒子または金属粒子あるいは金属性ナノ粒子または金属ナノ粒子を含む、粒子を基材(例えば、炭素性材料の基材)の表面に分散させるための方法、およびそれによって得られる組成物を包含する。
【0020】
本発明の粒子状組成物を含む触媒を備えるデバイス(例えば、触媒性燃料電池)が、開示される。このような燃料電池は、カソード、アノードおよび燃料電池の他の代表的な部分を備える。
【0021】
本発明はまた、触媒の適用(例えば、燃料電池の適用)における粒子状の炭素上に分散された金属性化合物または分散された金属の適用に関する。
【0022】
本発明のさらなる利点は、以下の説明の部分に記載され、この説明から部分的に明らかであるか、または本発明の実施によって理解され得る。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲に示した特定の要素および組み合わせの手段によって理解され、達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的で説明のためだけであり、特許請求の範囲のように、本発明を限定すると理解されるべきでない。
【0023】
添付の図面は本明細書中に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は本発明のいくつかの実施態様を例示し、説明と合わせて本発明の原理を説明するために使用される。
【0024】
(発明の説明)
本発明の化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法を開示および記載する前に、本発明は、特定の合成方法、特定の方法に限定されず、当然に変動し得ることが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、そして限定することを意図しないことが理解されるべきである。
【0025】
以下の本明細書および特許請求の範囲において、多数の用語に対して言及するが、これは、以下の意味を有すると定義される。
【0026】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確にそうではないと規定しない限り、複数形への言及をも含むことが留意されねばならない。従って、例えば、「有機金属(anorganometallic)」との言及は、有機金属の混合物を含み、「還元剤(a reducing agent)」との言及は、2つ以上の還元剤などの混合物を含む。
【0027】
本明細書において範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現され得る。このような範囲が表現されるとき、別の実施形態は、その1つの特定の値からおよび/またはその他の特定の値までを包含する。同様に、近似として値を表すとき、先行詞「約」との使用は、特定の値が別の実施形態を形成すると理解される。さらに、範囲の各々の端点は、他方の端点に関して双方、および他方の端点とは独立して意味があることが理解される。
【0028】
本明細書および結論としての特許請求の範囲において、組成物もしくは物品における重量部、特定の要素または成分に対する言及は、重量部が表されるその組成物または物品におけるその要素または成分、および任意の他の要素または成分の間の重量関係を示す。従って、2重量部の成分Xおよび5重量部の成分Yを含む組成物において、XおよびYが2:5の重量比で存在し、そしてさらなる成分がその組成物に含まれているか否かに関わりなく、その比率で存在する。
【0029】
成分の重量%は、そうではないと具体的に言及しない限り、成分が含まれる処方物または組成物の総重量に基づく。
【0030】
「任意」または「必要に応じて」とは、続いて記載される事象または環境が生じてもよく生じなくてもよく、そしてその記載がその事象または環境が生じる場合およびその事象または環境が生じない場合を包含する。
【0031】
本明細書において提供される組成物または特性の「有効量」とは、有効量が表現されるその組成物または特性の機能を発揮することができる様な量を意味する。以下に示すように、必要とされる正確な量は、使用される組成物および観察される処理条件などの認識される変数に応じてプロセスごとに変動する。従って、正確な「有効量」を特定することは可能ではない。しかし、おおよその有効量は、当業者により慣用的な実験のみを用いて決定され得る。
【0032】
「有機金属」とは、金属−炭素結合を含む化合物を意味する。「金属性前駆材料」とは、金属粒子を作製するために還元(すなわち、ゼロ価の金属状態に還元)され得る有機金属をいう。
【0033】
本明細書において使用される「金属」または「金属性」とは、例えば、貴金属(preciousmetal)、貴金属(noble metal)、白金族金属、白金、それらの合金および酸化物、ならびに遷移金属およびそれの酸化物を含む組成物であり得る。
【0034】
「カーボンブラック」とは、小葉形態(acinoform)の炭素であり、例えば、粒子状(以下に定義される)基材として利用されている。
【0035】
「炭素性」とは、実質的に元素状態で存在する炭素からなる固体材料をいう。「炭素性材料」とは、限定することなく、i)単一の規定された構造を有する炭素性化合物;あるいはii)炭素性粒子の凝集物であって、凝集物が、単一、反復および/または規定された構造もしくは凝集の程度を必ずしも有するとはいえない凝集物が挙げられることが意図される。
【0036】
「粒子状」とは、別個の粒子の材料を意味する。
【0037】
「X線回折(XRD)」とは、材料の結晶学的特性、特に、本明細書において使用される場合、分散された金属粒子の結晶子サイズを決定するための分析方法である。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「超臨界流体」とは、化学工業において使用される通常および慣例の意味を有する。すなわち、材料が、それらのそれぞれの臨界点を超える温度および圧力の両方(それぞれ、TcおよびPcの両方を超える)の下にある、材料の状態である。このようなTcおよびPcは、特定の材料に依存して異なり、当業者は、発行された文献から決定し得るか、または慣例の技術(例えば、所定の材料についてのTcおよびPc)を用いて決定し得る。
【0039】
本明細書中で使用される場合、「亜超臨界流体」とは、完全に超臨界状態ではないが、超臨界状態に近く、粒子状基材の有機金属の適切な沈着、好ましくは均一な沈着を提供することによって本発明において作用する任意の材料である。1つの局面において、この材料はTcを超え、Pcに近いが、Pc未満であり、そして別の局面において、この材料はPcを超え、Tcに近いが、Tc未満である。当業者は、本発明において作用するような亜超臨界流体の条件を容易に決定し得る。「近い」の他の局面においては、圧力がPcを超え、(絶対温度単位、すなわちK度における)温度が、その臨界点の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%である。他の局面において、温度はTcを超え、圧力は、その臨界点の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%である。
【0040】
本発明は、基材に分散された粒子を作製するための方法およびそれによって得られる組成物を包含する。
【0041】
本発明は、粒子状基材に支持された金属粒子または混合された金属粒子を作製するための方法を提供する。1つの局面において、この基材は、例えば、カーボンブラック、グラファイト、ナノカーボン、フラーレン、微細に粉砕された炭素、またはそれらの混合物を含む炭素材料である。
【0042】
1つの局面において、この方法は一般に、以下
a)超臨界流体(SCF)または亜超臨界流体において金属性前駆材料(有機金属)を混合するか、あるいは溶解して、混合物または溶液をそれぞれ形成する工程、
b)超臨界条件または亜超臨界条件下で、a)の混合物または溶液に基材を曝露する工程、
c)この混合物または溶液を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)この有機金属を還元させて、分散されて支持された金属粒子を作製する工程、
を包含する。
【0043】
別の局面において、本発明は、粒子状の基材に分散された金属粒子または混合された金属粒子を作製するための方法を提供し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属およびこの粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)還元剤を用いて、この分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程
を包含する。
【0044】
別の局面において、本発明は、粒子状基材に支持された分散された金属性粒子を作製するための方法を提供し、この方法は、以下
a)超臨界流体または亜超臨界流体において有機金属を混合して、混合物を形成する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、超臨界条件下または亜超臨界条件下で、a)の混合物に粒子状基材を曝露する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)還元剤を用いて、この有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程、
を包含する。
【0045】
別の局面において、本発明は、粒子状基材に支持された分散された金属性粒子を作製するための方法を提供し、この方法は、以下
a)粒子状基材および有機金属をリアクターに添加する工程、
b)超臨界流体をこのリアクターに添加して、この有機金属を含む混合物を形成する工程、
c)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この有機金属とこの基材との接触を維持する工程、
d)このリアクターに通気口を与える工程、
e)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
f)ガス状の還元剤をこのリアクターに添加する工程、および
g)この有機金属が分散された金属粒子に還元されるまで、この還元剤とこの有機金属とを接触させる工程、
を包含する。
【0046】
別の局面において、本発明は、燃料電池における使用のための支持された粒子状の触媒を作製するための方法を提供し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属およびこの粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)還元剤を用いて、この分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元して、それによって、支持された粒子状の触媒を形成する工程、
を包含する。
【0047】
別の局面において、本発明は、制御された触媒の粒子サイズを含む燃料電池において使用するための支持された粒子状の触媒を作製するための方法を提供し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属およびこの粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)所望の粒子サイズを形成するために効果的な圧力条件下で、還元剤を用いて、この分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元し、それによって、制御された金属粒子サイズを有する支持された粒子状の触媒を形成する工程、
を包含する。
【0048】
合成された生成物は、例えば、燃料電池の適用のためのカーボンブラックに沈着される白金または白金合金のような支持された触媒として使用され得る。合成プロセスの独特の特徴は、先行技術とは異なる特性および先行技術を超える利点を有する組成物(例えば、支持された触媒)の形成をもたらす。
【0049】
この組成物の合成は、基材および有機金属(単数または複数)を、高圧リアクターに添加することによって開始し得る。超臨界(または亜超臨界)流体は、金属性前駆材料を溶解するためにリアクターに添加され得、この金属性前記材料は、基材(例えば、カーボンブラック)の表面に吸着される。このリアクターは、実質的に通気口を与えられ、基材の表面上の有機金属の吸着に役立つ。還元剤、1つの局面において、ガス状の還元剤(例えば、水素)は、リアクターに添加され得、それによって、基材上に分散された有機金属を金属粒子(例えば、ナノ粒子)に還元する。
【0050】
本発明の驚くべき特徴は、金属の粒子サイズを制御する能力である。金属の粒子サイズを制御する能力は、触媒の合成において非常に望まれる。粒子サイズの制御は、触媒の適用(例えば、燃料電池、製油所、接触改質、水素添加、および脱水素、ならびに金属触媒を使用する他の触媒プロセス)において望まれる。
【0051】
本発明の方法の別の可能性のある利点は、混合された金属粒子(すなわち、複数の金属(2種以上の異なる金属))を作製するその能力である。本明細書中で使用される場合、このような混合された金属粒子の金属は、均一な状態(すなわち、合金)に完全に混合され得るか、または完全には混合され得ない(不均一)。湿式化学法を使用して、金属の還元電位は、同時に起こる沈着に注意深く適合されなければならないか、または別の工程において沈着するように調整されなければならないかのいずれかであり、それによって、(例えば、合金が所望される場合、加熱する工程による)別の合金化工程を必要とする。本発明における複数の金属種の同時に起こる沈着は、直接合金化することを可能にする有意なプロセスの利点を提供する。
【0052】
基材上に金属触媒材料を沈着させるための一般的な方法は、「湿式」化学法に由来する。この例としては、水溶性カーボンブラック懸濁液の調製、その後の塩化白金酸および水酸化ナトリウムの添加による、カーボンブラック上の白金の調製が挙げられる。還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)は、カーボンブラック上に白金ナノ粒子を沈着するために添加される。次いで、これは、支持された触媒を回収するために濾過される。混合された金属系は、同様の湿式化学法において調製され得る。
【0053】
本発明は、従来の湿式化学法とは有意に異なる。最も違いのある特徴は、4種の異なる型の試薬:1)有機金属、2)基材、3)還元剤、および4)SCFのみを必要とするため、より高度で純粋な生成物を作製する能力である。
【0054】
これは、代表的に、最終生成物を汚染し得る炭素支持体および金属前駆材料(例えば、溶媒、腐食剤、化学的還元剤、および他の添加物)に加えて数種類の試薬を必要とする湿式化学法とは対照的である。
【0055】
本発明の方法はまた、作製のための工程の数を減少させ、このことは、最終生成物の商業的な実行可能性および純度を増加させ得る。湿式化学法は、大きな廃棄物の流れを有し、(例えば、燃料電池における)最終触媒の性能に有害であり得る触媒上の不純物(例えば、塩化物、硝酸塩、および/または硫酸塩)をそのままにし得る。本発明の技術はまた、約100%の金属の収率を提供し得、それによって、従来の湿式化学法に関連する回収および再利用の問題を回避する。
【0056】
(組成物)
本発明は、基材および金属を含む組成物を含む。
【0057】
この基材は、以下に記載される。1つの局面において、この基材は、組成物の約0重量%より大きく、約100重量%未満であり、例えば、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%または約97%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。1つの局面において、この基材は、組成物の約1重量%〜約90重量%であり、例えば、約2%、約5%、約10%、約12%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%、約77%、約80%、約82%、約85%、約87%または約88%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。1つの局面において、この基材は、本発明の組成物の約30重量%〜約90重量%であり、例えば、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約44%、約46%、約50%、約51%、約54%、約56%、約60%、約61%、約64%、約66%、約70%、約71%、約74%、約76%、約80%、約81%、約84%、約86%、または約89%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、この基材は、組成物の約40重量%〜約80重量%であり、例えば、約43%、約47%、約48%、約49%、約53%、約54%、約55%、約57%、約58%、約60%、約63%、約65%、約67%、約68%、約70%、約73%、約75%、約77%、約78%、または約79%であり、ここで、任意の値は、本発明の適切なように、上限点または下限点を含み得る。
【0058】
この組成物は、さらに金属を含む。この金属は、以下に記載される。1つの局面において、この金属は、この組成物の約2%〜約80%であり、例えば、約3%、約5%、約7%、約8%、約10%、約12%、約13%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%または約78%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、この金属は、この組成物の約10%〜約70%であり、例えば、約11%、約12%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約57%、約58%、約59%、約61%、約63%、約64%、約66%、約68%または約69%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。さらに別の局面において、この金属は、この組成物の約20%〜約60%であり、例えば、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約28%、約29%、約30%、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約43%、約44%、約46%、約48%、約49%、約51%、約53%、約54%、約56%、または約59%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、この金属は、基材の100重量部に基づいて、0重量部より大きく100重量部またはそれ以上、別の局面において10重量部〜80重量部、およびさらに別の局面において20重量部〜60重量部の量で粒子状基材に装荷(loading)される。この金属は、金属、基材、および使用されるプロセス条件に依存して、異なる量で基材上に装荷され得る。この金属は、組成物の表面に、好ましくは均一に分布され得る。
【0059】
(基材)
1つの局面において、基材は、本質的に、超臨界/亜超臨界流体中で固体のままであり、そしてその流体中で適用可能ないずれの温度にも溶解しない、任意の材料である。1つの局面において、基材は、例えば、炭素性の材料、無機材料またはそれらの組合せを含む。当業者は、基材としての使用に適切な材料を決定し得る。
【0060】
基材は粒子状である。すなわち、非粒子状基材、例えば、平坦なフィルム、ウェハなどは、本明細書中で使用されない。基材の表面積は、十分に分散された条件における意図される適用のため、金属粒子の所望の装荷を提供するのに十分であるべきである。触媒適用のため、基材のサイズおよび表面積は、触媒のために十分である量であるべきである。種々の局面において、基材の表面積は、5〜2,000m2/gであるかまたはいくつかの局面においてはそれより大きく、50〜1,300 m2/g、または150〜1,300m2/gである。
【0061】
基材は粒子状の炭素性材料であり得る。炭素性材料は、任意の粒子状の実質的に炭素性の材料であり得る。この材料は、「適度に大きい」表面積を有することが好ましい。例えば、カーボンブラック、グラファイト、ナノカーボン、フラーレン、フラーレン性材料、微細に分離されたカーボン、またはそれらの組合せが、使用され得る。
【0062】
基材は無機材料であり得る。無機材料は、任意の粒子状の無機材料であり得る。この材料は、触媒支持体として慣用的に使用される材料のような、「適度に大きい」表面積を有することが好ましい。
【0063】
(カーボンブラック)
1つの局面において、炭素性材料は、カーボンブラックを含む。本発明において、カーボンブラックの選択は重要ではない。任意のカーボンブラックが本明細書中で使用され得る。例えば、種々の局面において、以下の表面積(表面積とは、窒素表面積(「NSA」)を意味し、そしてカーボンブラックに関して本明細書中で使用される場合、反対に述べられない限り、ASTM D6556によって測定された)を有するカーボンブラックが使用される:約5〜約2000m2/g、例えば、約5m2/g、約10m2/g、約50m2/g、約100m2/g、約200m2/g、約220m2/g、約240m2/g、約250m2/g、約300m2/g、約350m2/g、約400m2/g、約450m2/g、約500m2/g、約550m2/g、約600m2/g、約650m2/g、約700m2/g、約750m2/g、約800m2/g、約850m2/g、約950m2/g、約1,000m2/g、約1,300m2/g、約1,500m2/g、または約2,000m2/g。ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。他の局面において、200〜280m2/gまたは1,000〜1,500m2/gの表面積を有するカーボンブラックが使用される。他の局面において、230〜250、または1,100〜1,300の表面積を有するカーボンブラックが使用される。カーボンブラックは、金属の分散に効果的な表面積を有することが好ましい。カーボンブラックは、ガスの拡散に効果的な構造を有することが好ましい。
【0064】
1つの局面において、カーボンブラックは、本発明の組成物のうちの約0重量%より大きく、100重量%より小さい。例えば、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、または約97%である。ここで、任意の値は、適切なように上限点または下限点を含み得る。別の局面において、カーボンブラックは、組成物のうちの約1重量%〜約90重量%であり、例えば、約2%、約5%、約10%、約12%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%、約77%、約80%、約82%、約85%、約87%、または約88%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、カーボンブラックは、組成物のうちの約30重量%〜約90重量%であり、例えば、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約44%、約46%、約50%、約51%、約54%、約56%、約60%、約61%、約64%、約66%、約70%、約71%、約74%、約76%、約80%、約81%、約84%、約86%、または約89%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、カーボンブラックは、組成物のうちの約40重量%〜約80重量%であり、例えば、約43%、約47%、約48%、約49%、約53%、約54%、約55%、約57%、約58%、約60%、約63%、約65%、約67%、約68%、約70%、約73%、約75%、約77%、約78%、または約79%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。
【0065】
当業者は、カーボンブラック粒子は、基本的に、その粒子ならびにその粒子の凝集体(集合体)サイズ、凝集体形状、グラファイトの整列の程度、界面化学によって決定される特性を有することを理解する。
【0066】
当業者は、特定の適用のために、適切なカーボンブラックを容易に選択し得る。
【0067】
カーボンブラックは、市販される(例えば、Columbian Chemicals Company,Marietta,GA,USA)。
【0068】
(他の炭素性材料)
1つの局面において、粒子状の炭素性材料は、カーボンブラック以外の材料を含む。本発明において、他の炭素性材料の選択は、重要ではない。本発明において、任意の実質的に炭素性の材料が使用され得る。例えば、グラファイト、ナノカーボン、フラーレン、フラーレン性材料、微細に分離されたカーボン、またはそれらの混合物が、使用され得る。
【0069】
炭素性材料は、金属の分散に効果的な表面積を有することが好ましい。炭素性材料は、ガスの拡散に効果的な構造を有することが好ましい。
【0070】
当業者は、特定の適用のための炭素性材料を容易に選択し得る。これらの炭素性材料は、市販される。
【0071】
1つの局面において、炭素性材料は、本発明の組成物のうちの、約0重量%より大きく、約100重量%より小さい。例えば、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、または約97%であり、ここで、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、炭素性材料は、本発明の組成物のうちの約1重量%〜約90重量%である。例えば、約2%、約5%、約10%、約12%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%、約77%、約80%、約82%、約85%、約87%、または約88%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、炭素性材料は、本発明の組成物のうちの約30重量%〜約90重量%である。例えば、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約44%、約46%、約50%、約51%、約54%、約56%、約60%、約61%、約64%、約66%、約70%、約71%、約74%、約76%、約80%、約81%、約84%、約86%、または約89%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、炭素性材料は、本発明の組成物のうちの約40重量%〜約80重量%である。例えば、約43%、約47%、約48%、約49%、約53%、約54%、約55%、約57%、約58%、約60%、約63%、約65%、約67%、約68%、約70%、約73%、約75%、約77%、約78%、または約79%であり、ここで、任意の値は、適切なように、本発明の上限点または下限点を含み得る。
【0072】
(非炭素性基材)
他の粒子状基材が、本発明において使用され得る。例えば、触媒支持体として使用される材料(例えば、シリカ、アルミナ、クレイ、ゼオライト、酸化金属、またはそれらの組合せ)が使用され得る。
【0073】
無機材料は、金属の分散に効果的な表面積を有することが好ましい。無機材料は、ガスの拡散に効果的な構造を有することが好ましい。
【0074】
当業者は、特定の適用のための無機材料を容易に選択し得る。代表的に、これらの無機材料は市販される。
【0075】
1つの局面において、無機材料は、本発明の組成物のうちの、約0重量%より大きく、約100重量%より小さい。例えば、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、または約97%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、無機材料は、組成物のうちの約1重量%〜約90重量%である。例えば、約2%、約5%、約10%、約12%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%、約77%、約80%、約82%、約85%、約87%、または約88%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、無機材料は、組成物のうちの約30重量%〜約90重量%である。例えば、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約44%、約46%、約50%、約51%、約54%、約56%、約60%、約61%、約64%、約66%、約70%、約71%、約74%、約76%、約80%、約81%、約84%、約86%、または約89%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、無機材料は、組成物のうちの約40重量%〜約80重量%である。例えば、約43%、約47%、約48%、約49%、約53%、約54%、約55%、約57%、約58%、約60%、約63%、約65%、約67%、約68%、約70%、約73%、約75%、約77%、約78%、または約79%であり、ここで、任意の値は、適切なように、本発明の上限点または下限点を含み得る。
【0076】
(有機金属/金属)
有機金属(金属前駆体)が、本発明の方法において使用される。例えば、有機金属は、1,5−シクロオクタジエンジメチル白金[Pt(COD)Me2]、(1,5−シクロオクタジエン)(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)銀[Ag(COD)hfac]、ルテニウムアセチルアセトネート[Ru(acac)3]もしくはAg(acac)、またはその混合物であり得る。有機金属のさらなる例としては、以下が挙げられる:ジエチル亜鉛またはジエチルニッケル;グリニャール化合物(例えば、ヨウ化メチルマグネシウム);アルキル金属(例えば、ブチルリチウム、テトラエチル鉛、トリエチルアルミニウム、テトラブチルチタネートおよびナトリウムメトキシド);フタロシアニン(例えば、銅フタロシアニン);およびメタロセン。有機金属は、代表的に、超臨界流体に溶解性であり、そして金属に対して容易に還元可能である。
【0077】
本発明の組成物は、さらに、上記の金属を含み得る。有機金属は、金属を含む。1つの局面において、この金属は、貴金属、不活性金属、白金類金属、白金、その合金もしくは酸化物であるか、または遷移金属もしくはその酸化物を含む組成物である。1つの局面において、金属は、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、クロム、金、銀、ニッケル、コバルト、またはそれらの組合せ、またはそれらの合金である。1つの局面において、金属は白金または銀である。
【0078】
上記のように、金属は、合金または不均質混合物(例えば、触媒として効果的なもの)であり得る。
【0079】
最終組成物中の金属は、代表的に、基材上に分散した粒子の形態で存在する。従って、本発明は、粒子状基材上に分散された金属粒子を作製する。1つの局面において、金属は、ナノ粒子形態である。例えば、1つの局面において、金属粒子は、約20nm以下の平均直径である。別の局面において、金属粒子は、約0.5nm〜約10nmの平均直径であり、別の局面において、約1nm〜約10nmの平均直径であり、そして別の局面において、約0.5nm〜約5nmの平均直径である。本発明のプロセスによって作製される金属粒子のサイズは、代表的に20nm以下の平均直径である。しかしながら、高い有機金属の装荷が、より大きい金属粒子サイズを導き得る。触媒適用に関して、ナノメートルにサイズ化された金属粒子の沈着は、特に、増強した触媒活性および金属材料のより少ない消費のため、金属フィルムよりも好ましい。
【0080】
理論に束縛されることは望まないが、本発明は、基材の特定の性質に少なくとも部分的に起因して、基材上で連続した金属フィルムよりも、基材上で実質的に不連続の粒子の、分散した粒子状金属を作製することが考えられる。より具体的には、粒子状基材の大きな表面積が原因となって、金属はフィルムよりも粒子として形状をなすことが考えられる。理論上、粒子状金属を非粒子状基材上で潜在的に作製するための非粒子状基材のプロセスにおける条件が操作され得るが、このうような非粒子状基材プロセスは、基材上での金属フィルムの形成に有利に働く。逆に、本発明において、金属粒子は、代表的な反応条件および特定の基材の使用によって、有利にされる。
【0081】
金属の量は、任意の量であり得る。金属の量は、効果的な触媒量であり得る。
【0082】
有機金属材料の量は、還元後に所望の最終金属装荷を達成する量であり得る。当業者は、意図される適用において所望の性能に効果的な有機金属材料(および対応する金属)の量を決定し得る。1つの局面において、有機金属は、超臨界または亜超臨界流体中での有機金属溶解度レベルの飽和度0%より大きく100%までの量で添加され、別の局面において、飽和度60%〜100%で添加される。別の局面において、有機金属の量は、その流体中での有機金属溶解度レベルの飽和度100%より大きい量、例えば、101%〜150%、またはそれより大きい量で、添加される。
【0083】
1つの局面において、金属は、組成物のうちの約2%〜約80%であり、例えば、約3%、約5%、約7%、約8%、約10%、約12%、約13%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%、または約78%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、金属は、組成物のうちの約10%〜約70%であり、例えば、約11%、約12%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約57%、約58%、約59%、約61%、約63%、約64%、約66%、約68%、または約69%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、金属は、組成物のうちの約20%〜約60%であり、例えば、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約28%、約29%、約30%、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約43%、約44%、約46%、約48%、約49%、約51%、約53%、約54%、約56%、または約59%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。金属は、組成物において(例えば、組成物の表面上で)、均一に分散され得る。
【0084】
当業者は、特定の適用のための組成物において使用されるための有機金属(および対応する金属)を容易に選択し得る。有機金属は、市販されるか、または当業者に容易に調製される。
【0085】
金属は、基材上で分散される。金属は本質的に基材上で均一に分散されることが好ましい。
【0086】
(超臨界流体/亜超臨界流体)
超臨界流体(SCF)は、臨界温度(TC)および臨界圧力(PC)より高い材料である。SCFは、多くの適用において溶媒として使用されている。SCFの適用は、それらのいくつかの特徴(例えば、圧力および/または温度のチューニングによって調整され得る、溶媒強度および密度の幅の広さ)に起因して生じる。
【0087】
二酸化炭素(CO2)は、最も広範に使用されるSCFである。なぜなら、この溶媒は、高価でなく、無毒性であり、非可燃性であり、かつ環境上無害であるからである。この二酸化炭素は、容易に達成可能な臨界温度および臨界圧力を有する(TC=31.06℃およびPC=1070psi)(NIST,NIST Chemistry WebBook,2003,http://webbook.nist.gov/chemistry/)。SCFの特性は、密度と関係しており、そして温度および圧力における変動によって制御される。CO2の密度等温線は、McHugh,M.およびKrukonis,V.,Supercritical Fluid Extraction,第2版,Butterworth−Heinemann,Newton(1994)におけるデータより作成され得る。TCより低い温度で、界面が観察されるにつれて密度の不均一が生じる。ここで、TCより高い温度で、連続した密度変化が観察される。液性の有機溶媒密度(約0.7〜0.9g/mL)に近づく密度またはこれを超える密度は、気体としての所望の特性(例えば、高い分散速度、および表面張力0)を維持しながら、超臨界CO2(SC−CO2)を用いて達成され得、これらの特性は基材表面上の有機金属の沈着を促進する。SCFの代表的な範囲は、表1に要約され、一方、特定の例は表2に示される。
【0088】
【表1】
超臨界流体または亜超臨界流体が本発明の方法において使用される。超臨界流体または亜超臨界流体は、有機金属と混合して、有機金属とその流体との混合物を形成する。別の局面において、この混合物は、その流体中の有機金属の分散物である。別の局面において、少なくともいくらかの有機金属はその流体中に溶解して、部分的な液体を形成する。別の局面において、全てまたは実質的に全ての有機金属は上記流体中に溶解して、溶液を形成する。なお別の局面において、系に加えられる有機金属の量は、上記流体の溶解度の限界を超える量である。このような場合、平衡状態が確立され、これによって有機金属は、溶液中に入ったり、または溶液外に出たりする。この場合において、溶液外に出る少なくとも一部の有機金属は、通気工程よりも前であっても、粒子状基材上に直接吸着されることが期待される。なお別の局面において、有機金属の量は、系を過装荷する量で系に添加される。この場合、溶解しない有機金属は、好ましくは、上記流体と機械的に混合される。有機金属は、上記流体中では個々の分子として溶解し得ないが、有機金属の凝集体または凝集塊(clump)として溶解し得ることが理解されるべきである。超臨界流体または亜超臨界流体は、好ましくは、有機金属を溶解するが、好ましくはあらゆる適用可能な温度で基材を溶解しない。
【0089】
超臨界流体または亜超臨界流体はまた、代表的に、粒子状基材上に有機金属粒子を分散させ、そして湿潤溶媒方法よりも均一な有機金属の沈着を提供する。当業者は、特定の適用において使用するための超臨界流体または亜超臨界流体を容易に選択し得る。超臨界流体または亜超臨界流体は、単一の組成物または1つより多くの組成物(例えば、混合物)を含み得る。超臨界流体または亜超臨界流体に有用なこのような組成物は、市販されるか、または当業者に容易に調製される。
【0090】
本発明の方法において使用される超臨界流体の量または亜超臨界流体の量は、有機金属と混合するかまたは有機金属を溶解するのに十分な量である。超臨界流体の量または亜超臨界流体の量は、効果的な量である。1つの局面において、超臨界流体の量は、例えば、約97重量%〜約100重量%未満の超臨界流体であり、固形物+超臨界流体の全重量に基づき約0%超〜約3%までの固形物である。別の局面において、全固形物は、1%〜3%である。いくつかの局面において、全固形物は、より多く存在し得、例えば、5%、10%、またはさらに大きくあり得、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。超臨界流体と固形物との量は、溶質および溶媒の溶解度の限界、ならびに撹拌可能な粘度を考慮に入れて、使用される特定の試薬および条件により変動し得る。当業者は、成分および条件の特定の組合せに対して使用する超臨界流体または亜超臨界流体の量を決定し得る。
【0091】
(組成物適用)
本発明の組成物は、支持触媒として利用され得る。例えば、この組成物は、電極(例えば、燃料電池)として使用される、支持触媒であり得る。
【0092】
本発明の組成物を作製する方法は、以下(例えば、支持触媒)に示される。
【0093】
本発明において、本発明の方法は、基材上の金属の沈着を均一にするのを助ける。
【0094】
本発明は、組成物を利用する種々のデバイス(例えば、電極または電極を備える燃料電池)を含む。
【0095】
(方法)
基材、有機金属、および超臨界流体または亜超臨界流体は、上記「組成物」の節で詳細に記載される。還元は、以下に詳細に記載される。
【0096】
超臨界条件(または亜超臨界条件)は、超臨界流体または亜超臨界流体に対して使用される組成物によって決定される。なぜなら、異なる流体は、超臨界状態(または亜超臨界状態)にあるために、異なる圧力条件および/または温度条件を必要とするからである。流体の選択は、方法を実施するための基材、有機金属、またはリアクターに不利に影響しない圧力および/または温度において、超臨界状態(または亜超臨界状態)に達する流体である。
【0097】
各々の成分量は、上に記載されるかまたは以下の「還元」の節において記載される。
【0098】
有機金属、超臨界流体または亜超臨界流体、および基材が接触する順序は、重要ではない。添加順序の変更が使用されるいずれからも、または3つの成分が同時に添加される場合であっても、同じ組成物が期待される。従って、「流体と有機金属との混合物を形成する条件下で有機金属および粒子状基材を超臨界流体または亜超臨界流体に曝すこと」は、有機金属、粒子状基材および超臨界流体または亜超臨界の添加のいずれの順序をも意図する。
【0099】
有機金属、超臨界流体または亜超臨界流体、および基材との間の接触に必要とされる時間は、変動する。溶液が形状をなす時間および分散物が生じる時間は、当業者により容易に決定され得る。例えば、時間は、少なくとも溶解度および分配係数に部分的に基づき得る。
【0100】
これらの成分は、撹拌され得る。例えば、このことは、機械的撹拌によるか、反転によるか、液体の流動によるか、または他のデバイスもしくは他のプロセスのいずれかにせよ、成分の移動により達成され得る。
【0101】
成分の形成のための最適な反応条件および最適な反応時間は、無論、使用されるために選択される特定の流体、有機金属、および/または特定の基材材料に依存して、変動することが、当業者に理解される。このような最適な条件および時間の決定は、当業者により容易に達成され得るか、またはそれ以外に、慣用的な範囲内の実験を通して取得され得る。
【0102】
基材上への有機金属の吸着は、代表的に、系が通気されている場合または両方の場合、最初に有機金属が基材との接触に導かれる場合に生じる。代表的に、この接触工程においていくらかの吸着が生じるが、大部分は、系を通気する際に生じる。このことは、有機金属を、超臨界流体中で、より低い混合性、より低い分散性、より低い溶解性またはより低い非溶解性にさせ、そして基材上に吸着させる。吸着は、金属と基材との結合(代表的には化学的吸着、物理的吸着すなわち物理吸着)を形成する。
【0103】
通気工程は、例えば、リアクターに通気口を開けることによって実行され得る。通気工程は、系の圧力を低下させる。通気工程は、好ましくは、有機金属が流体中にそれ以上混合可能でも分散可能でも溶解可能でもない圧力、またはそれ未満で、実施されるべきである。1つの局面において、この系は、大気圧または大気圧付近に通気される。通気速度は、重要でないと考えられる。
【0104】
通気工程は、還元工程の前に実施され、その結果、有機金属は、還元反応前に基材上に吸着される。理論に束縛されることは望まないが、従来技術のプロセスにおいて、還元工程が最初に実施され、続いて通気工程が実施されることが考えられる。この結果、有機金属が還元剤と反応して、シード(seed)を形成する。この工程は、他の移動性が低減された有機金属粒子を、そのシードに移動させるかまたはそのシード付近に移動させて、連続したフィルムを形成する。逆に、本発明のプロセスにおいて、通気工程が最初に実施され、次いで還元工程が実施される。このプロセスによって、連続した金属フィルムよりも、実質的に不連続な金属粒子が形成される。なぜなら、通気工程は、基材上への有機金属粒子を最初に吸着させることによって、粒子の移動性を排除するからであり、このように、粒子が非移動性にされて、次いで還元される。従って、連続したフィルムは、本発明のプロセスによって形成されない。従って、繰り返すと、理論に束縛されることは望まないが、還元工程前の通気工程は、少なくともある程度まで、粒子状基材の使用(これは代表的に大きな表面積を有する)が、基材上に金属フィルムを形成するよりも、粒子状基材上で金属粒子を形成することが、考えられる。
【0105】
本発明の方法は、リアクター(例えば、ステンレス鋼リアクター)において実行され得る。装置は、使用される材料および反応条件に適合性であるべきである。この容器は、撹拌装置を備え得る。
【0106】
本発明の方法は、連続プロセスまたはバッチプロセスで実行され得る。特定の局面において、本発明の反応時間は、以下の実施例に示される反応時間よりも少なくされ得る。このプロセスは、容易にスケール変更可能であり、そして連続プロセスにおいて使用されて、商業的実行可能性を増大させ得る。
【0107】
本発明のプロセスの1つの可能性のある局面は、連続スプレープロセス(continuous spraying process)における局面である。バッチプロセスの場合、有機金属(単数または複数)がその混合物または溶液から外に出ることを可能にするため、圧力が低下され、そしてカーボンブラックに吸着される。連続プロセスにおいて、1つの局面において、圧力は、溶解した有機金属を含むSCF中の、粒子状基材(例えば1つの局面において、カーボンブラック)のスラリーをスプレーすることを介して、低下される。この急速の圧力低下は、基材上の有機金属の急速な吸着を可能にする。次いで、これは、収集され、そしてさらに還元剤(例えば、水素)を用いて処理されて、最終生成物(例えば、触媒)を作製する。
【0108】
(還元)
有機金属を金属に還元する工程は、還元剤の添加によって達成され得る。還元剤は、ガス性であることが好ましい。
【0109】
還元剤は、金属を金属性形態に還元するために使用され得る。種々の還元剤が当該分野で公知である。これらの還元剤は、容易に入手可能であるか、または当業者に公知の方法によって容易に合成される。適切な還元剤の選択は、所望される適用に対して、当業者によって容易に決定される。使用され得る還元剤の例としては、水素、硫化水素、ホルムアルデヒド、ホウ化水素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドロキシルアミンまたは還元剤の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本方法のための還元剤の量は、代表的に、有機金属に対して過剰なモル濃度である。
【0111】
特定の局面において、圧力条件は、還元される金属の粒子サイズを制御するために変動され得る。代表的に、圧力が上昇されるにつれて、粒子サイズは低下され得る。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は、本明細書中で特許請求される化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法が作製されそして評価される方法についての完全な開示または記載を当業者に提供するために記載され、そして本発明の単なる例示であることが意図され、そして本発明者らが本発明として考えることの範囲を限定するようには意図されない。数値(例えば、量、温度など)に関する精度を開示するために労力をかけたが、いくらかの誤差または偏差が、考慮に入れられるべきである。他に示されない限り、部分は重量部分であり、温度は摂氏(℃)であるかまたは周囲温度であり、そして圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0113】
(実施例1)
(カーボンブラックの白金化)
54.6mgのCDX−975カーボンブラック(Columbian Chemicals Company,Marietta,GA,USA)(このCDX−975の代表的な特性を下表に示す)および27.7mgの1,5−シクロオクタジエンジメチル白金(Pt(COD)Me2)(Aldrich Chemicals,Milwaukee,Wl)を、ステンレス鋼リアクターに加え、そして密封した。
【0114】
【表2】
次いで、このリアクターを60℃の定温バッチに入れた。このリアクターに、コンピューター制御式シリンジポンプ(ISCO,Lincoln,NE)を介して、11.51gのColemanグレードの二酸化炭素(Holox,Norcross,GA)を最終圧力2000psiまで添加し、0.24重量%のPt(COD)Me2の溶液を生じた。
【0115】
同じサンプルを撹拌しながら23時間浸漬させ、その後この溶液を活性炭ベッドを通じて大気圧に通気させた。
【0116】
次いで、効果的な圧力600psiへの高圧力マニホールドの圧力低下によって60℃で1時間、水素をリアクターに添加した。系を通気させる際、このリアクターを開口し、そして広角X線回折(wide angle X−ray diffraction)、透過型電子顕微鏡(TEM)、および灰分析(ash analysis)によって、サンプルを分析した。
【0117】
広角X線回折の結果を、図1に示す。これは、白金(111)のピークが40°2θであり、そして3.1nmの平均の白金結晶サイズを生じたことを示す。
【0118】
図2〜図4において、このサンプル由来の3つのTEMの異なる倍率の写真を示す。
【0119】
熱量分析による灰化(ashing)より、15.9%のカーボンブラック上の最終白金装荷を得た。
【0120】
(実施例2)
(Ptナノ粒子サイズに対する水素還元圧力の影響)
別の興味深い特徴は、白金ナノ粒子サイズに対する水素還元圧力の影響であった。
【0121】
耐圧リアクターに、50.0±2mgのCDX−975および10.0±1mgのPt(COD)Me2を入れ、そして密封した。次いで、このリアクターを60℃の定温バスに入れた。
【0122】
このリアクターに、コンピューター制御式シリンジポンプを介して、最終圧力2000psiまで二酸化炭素を加えた。
【0123】
このリアクターを24時間浸漬させ、その後溶液を、活性炭ベッドを通して大気圧に通気させた。
【0124】
水素(Holox)をリアクターに、異なる圧力への高圧マニホールドの圧力低下によって25℃で添加し、そして1時間浸漬させた。
【0125】
系を通気させる際、このリアクターを開口させ、そしてそして広角X線回折によってサンプルを分析して、結晶サイズを測定した。このことを、図5および図6に示す。図6は、白金粒子の平均サイズ 対 還元圧(約3000psiまで)の反比例を示す。このような白金粒子サイズを制御する能力は、触媒合成において非常に所望される。
【0126】
(実施例3)
(従来の溶媒の沈着と超臨界流体の沈着との比較)
有機金属を沈着させるために、超臨界流体を使用する方法を、従来の溶媒を使用する方法と比較した。
【0127】
2つの方法を比較するため、白金有機金属を、アセトンを使用してカーボンブラック上に沈着させた。405.3mgのCDX−975カーボンブラック(Columbian Chemicals Company,Marietta,GA)、113.5mgのPt(COD)Me2(Aldrich Chemicals)、および100mLのアセトン(Fisher Scientific)を撹拌しながら混合することによって、この反応を実施した。
【0128】
アセトンをゆっくりとエバポレートし、そして得られた材料を、上記のように異なる圧力の水素で25℃で還元した。実施例2と比較して、本実施例3のアセトンプロセスは、同じH2還元圧に対して、約1〜2nm大きい白金粒子サイズをもたらした。
【0129】
(実施例4)
(白金の回収率)
1例において、異なる量のCDX−975カーボンブラック(Columbian Chemicals Company)および1,5−シクロオクタジエンジメチル白金(Aldrich Chemicals)(Pt(COD)Me2)をステンレス鋼のリアクターに加え、そして密封した。次いで、このリアクターを60℃の定温バスに入れた。このリアクターにColemanグレードの二酸化炭素(Holox)をコンピューター制御式シリンジポンプ(ISCO)によって最終圧力2000psiまで添加した。このサンプルを、70時間、撹拌しながら浸漬させ、その後、溶液を、活性炭ベッドを通じて大気圧に通気させた。次いで、水素(Holox)をリアクターに、効果的な圧力600psiへの高圧マニホールドの低下によって60℃で1時間添加した。系を通気させる際、このリアクターを開口し、そして広角X線回折、透過型電子顕微鏡(TEM)、および灰分析によって、サンプルを分析した。
【0130】
以下の表は、使用したカーボンブラックの量および有機金属の量を示す。理論上の白金のパーセントを、有機金属の還元において、100%転換と仮定して計算した。灰残渣を、TGAによって測定した。使用した少量の材料について、この仮定(agreement)は良好である。なぜなら、これら少量のものに対して決定した灰レベルは特定の量のノイズを有するからである。
【0131】
【表3】
(実施例5)
(カーボンブラックに対する白金−ルテニウム沈着)
混合した金属系に対する可能性の例を、ここに提供する。この実施例において、52.7mgのCDX−975カーボンブラック(Columbian Chemicals Company)、 25.0mgの1,5−シクロオクタジエンジメチル白金(Strem Chemicals,Newburyport,MA)[Pt(COD)Me2]、およびルテニウムアセチルアセトネート(Strem Chemicals)[Ru(acac)3]を、ステンレス鋼のリアクターに加え、そして密封した。次いで、このリアクターを、60℃の等温バスに入れた。このリアクターに、コンピューター制御式シリンジポンプ(ISCO)を介して、Colemanグレードの二酸化炭素(Holox)を最終圧力3000psiまで添加した。
【0132】
このサンプルを20時間撹拌しながら浸漬し、その後、この溶液を、活性炭ベッドを通じて大気圧に通気させた。次いで、効果的な圧力3800psiへの高圧マニホールドの圧力低下によって80℃で1時間、水素(Holox)をリアクターに添加した。系を通気させる際、このリアクターを開口し、そして広角X線回折、および灰分析によって、サンプルを分析した。
【0133】
X線分析の結果は、2つの異なる金属ピークを示す。1つは白金(111)に対するものであり、そして40°2θであり、そして1つはルテニウム(111)に対するピークであり、44°2θである(図7に示すとおり)。理論上の金属は、28.5%であり、TGAによって決定された灰の金属は、25.08%であった。
【0134】
(実施例6)
(カーボンブラック上の銀の沈着)
粒子上に沈着した、非貴金属ナノ粒子を用いた方法の例として、銀をカーボンブラック上に沈着させた。この例において、52.5mgのCDX−975カーボンブラック(Columbian Chemicals Company)および40.3mgの(1,5−シクロオクタジエン)(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)銀[Ag(COD)hfac](Aldrich Chemicals)を、ステンレス鋼のリアクターに加え、そして密封した。次いで、このリアクターを60℃の定温バスに入れた。このリアクターに、コンピューター制御式シリンジポンプ(ISCO)を介して、Colemanグレードの二酸化炭素(Holox)を最終圧力2000psiまで添加した。このサンプルを24時間浸漬させ、その後、この溶液を、活性炭ベッドを通じて大気圧に通気させた。次いで、効果的な圧力2300psiへの高圧マニホールドの圧力低下によって水素(Holox)をリアクターに添加し、そして25℃で1時間浸漬させた。系を通気させる際、リアクターを開口し、そしてして広角X線回折、および透過型電子顕微鏡(TEM)によって、サンプルを分析した。
【0135】
広角X線回折の結果を、図8に示す。これは、38.3°2θにおける銀(111)ピークによって、銀金属の証拠を示す。TEMマイクログラフを図9に示す。
【0136】
(実施例7)
(アルミナおよび二酸化シリコンに対するPtの沈着)
他の2つの例において、白金ナノ粒子を非カーボンブラック材料である二酸化シリコン(SiO2)上およびアルミナ(Al2O3)上に沈着させた。供給された(powered)基材および白金前駆体(Pt(COD)Me2)を別々のステンレス鋼リアクターに加え、そして密封した。使用した材料の量を表4に示す。次いで、このリアクターを60℃の定温バスに入れた。このリアクターに、コンピューター制御式シリンジポンプ(ISCO)を介して、Colemanグレードの二酸化炭素(Holox)を最終圧力2000psiまで添加した。これらのサンプルを24時間浸漬させ、その後、この溶液を、活性炭ベッドを通じて大気圧に通気させた。次いで、効果的な圧力2300psiへの高圧マニホールドの圧力低下によって水素(Holox)をリアクターに添加し、そして25℃で1時間浸漬させた。系を通気させる際、リアクターを開口し、そしてして広角X線回折、および透過型電子顕微鏡(TEM)によって、サンプルを分析した(図10〜図12に示すとおり)。図10は、それぞれ、アルミナ基材上およびシリカ基材上の白金の存在の確認する。図11および図12は、得れらた分散物を例示する。
【0137】
【表4】
(実施例8)
(材料の電気化学的に活性な表面領域)
実施例1に相同な手順を使用して本発明に従って調製したカーボンサンプル上の約40mgの白金を、Nafion1100(Aldrich)およびトリエチルホスフェート(Aldrich)と混合した。得られた混合物を、ガラス状炭素電極の表面上に塗布(滴下(drop cast))した。ボルタンメトリーを、1.0M H2SO4中で、Ag/AgCl参照電極に対して25mV/秒で実施した。一酸化炭素に曝す前後の両方でボルタモグラム(voltammogram)を取得した。曝した後、COストリッピングの間に通過した電荷を積算した。この値を使用して、47.3m2/gの電気化学的に活性な表面積を計算した。このことは、この生成物が電気化学的適用に有益であることを示す。
【0138】
本出願全体にわたって、種々の刊行物が参照される。これら刊行物の開示は、本発明の属する技術分野の状況をより完全に記載するため、その全体が参考として本明細書中で援用される。
【0139】
種々の変更および改変が本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明中でなされ得ることは、当業者に明らかである。本発明の他の実施形態は、本明細書中に開示された本発明の明細書および実施を考慮することより、当業者に明らかである。本明細書および実施例は単なる例示としてみなされ、本発明の真なる範囲および精神は添付の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1は、実施例1から得られるカーボンブラック上の白金ナノ粒子を含む組成物のX線回折パターンである。
【図2】図2は、実施例1から得られる組成物の透過型電子顕微鏡(TEM)画像であり、100nmスケールでのカーボンブラック上の白金ナノ粒子を示す。
【図3】図3は、実施例1から得られる組成物のTEM画像であり、50nmスケールでのカーボンブラック上の白金ナノ粒子を示す。
【図4】図4は、実施例1から得られる組成物のTEM画像であり、10nmスケールでのカーボンブラック上の白金ナノ粒子を示す。
【図5】図5は、異なる水素圧力下で還元される実施例2から得られる組成物のX線回折パターンである。
【0141】
a=2000psi水素還元圧力、粒子サイズ2.4nm
b=1000psi水素還元圧力、粒子サイズ2.9nm
c=500psi水素還元圧力、粒子サイズ3.0nm
d=100psi水素還元圧力、粒子サイズ3.3nm
【図6】図6は、実施例2から得られる組成物のナノ粒子サイズに対する還元圧力の効果を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例5から得られるカーボンブラック上の白金およびルテニウムを含む組成物のX線回折パターンである。
【図8】図8は、実施例6から得られるカーボンブラック上の銀のナノ粒子を含む組成物のX線回折パターンである。
【図9】図9は、50nmスケールでのカーボンブラック上に銀のナノ粒子を含む、実施例6から得られる組成物のTEM画像である。
【図10】図10は、実施例7から得られる、2つの粉末化された基材である、酸化アルミニウム(Al2O3)および二酸化シリコン(SiO2)に支持される白金のX線回折パターンである。
【図11】図11は、実施例7から得られる、20nmスケールでの二酸化ケイ素上の白金のナノ粒子を含む組成物のTEM画像である。
【図12】図12は、実施例7から得られる50nmスケールでのアルミナ上の白金のナノ粒子を含む組成物のTEM画像である。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は概して、基材上に分散された粒子の沈着、およびそれによって得られる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
超臨界流体(SCF)は、その臨界温度(Tc)および臨界圧(Pc)を超える材料である。SCFは、多数の用途(例えば、エチレンの重合(非特許文献1)、コーヒーのカフェイン除去(非特許文献2)、有機化学反応のため(非特許文献3;非特許文献4)およびナノコンポジット(nanocomposite)合成(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8))における溶媒として使用されている。SCFの用途は、その特徴(例えば、圧力および/または温度を調整することによって、調節され得る広範囲の溶媒強度および溶媒濃度)のうちのいくつかに起因して生じる。
【0003】
多くのSCFが、ナノ粒子の作製およびミクロンサイズの粒子のための溶媒および共溶媒として使用されている(非特許文献9;非特許文献10)。粒子設計は、特に製薬産業において、SCFのために非常に重要な用途になってきている(非特許文献11)。
【0004】
超臨界溶液の急速膨張は、目的の材料がSCFに溶解して、ノズルを通して急速に減圧され、生成物の非常に急速な核生成を引き起こすプロセスである(非特許文献11)。ミクロンサイズの粒子を作製するための別の一般的な方法は、ガス飽和溶液からの粒子の形成である(非特許文献11)。このプロセスは、液体材料または溶液の材料を超臨界流体の中に溶解する工程からなる。次いで、この混合物は、ノズルを通過され、液滴の形成および粒子の増加を生じる。これらの方法は、結晶構造および粒子のサイズ(生物学的機能に対する大きな効果を有し得る結晶構造として重要である)の制御を可能にし得る(非特許文献12;非特許文献11)。SCF内に粒子を沈殿させるためのこれらの方法は、ポリマーに及んでいる。1つの例において、マイクロメーターサイズの粒子およびナイロン6/6の繊維は、SC−CO2の中へポリマー溶液を膨張させることによって、作製された。
【0005】
Murthyらによる特許文献1は、基材上に薄い金属またはポリマーのコーティングを沈着させるためのプロセスに関する。より具体的には、この発明のプロセスは、以下の工程を包含する:水または非極性有機溶媒に溶解された金属またはポリマーを含む溶液に、超臨界温度および超臨界圧力にて、基材を曝露する工程であって、該金属またはポリマーは、臨界未満の条件下で該溶媒に実質的に不溶性であり、そして超臨界条件下で該溶媒に実質的に溶解性である、工程;ならびに該圧力、または該温度および該圧力を臨界未満の値に減少させて、それによって、該基材上に該金属またはポリマーの薄いコーティングを沈着させる工程。この発明の要旨、第2欄、11−24行を参照のこと。
【0006】
Watkinsらによる特許文献2は、i)材料の前駆材料を超臨界溶媒または亜超臨界(near−supercritical)溶媒に溶解して、超臨界溶液または亜超臨界溶液を形成する工程;ii)該前駆材料が、該溶液中で安定する条件下で、該溶液に基材を曝露する工程;およびiii)該前駆材料に関する化学反応を開始する条件下で、反応試薬を該溶液の中で混合して、それによって、超臨界条件または亜超臨界条件を維持している間、該固体基材上に該材料を沈着させる工程によって、基材の表面上に材料のフィルムを沈着させるための方法に関する。この発明はまた、多孔質固体の中に材料粒子、および基材または多孔質固体に沈着された材料粒子を有する基材または多孔質固体上に材料のフィルムを沈着させるための同様の方法を包含する。要約を参照のこと。
【0007】
Waiらによる特許文献3は、金属−リガンド錯体を熱および/または記載されている還元剤もしくは酸化剤で処理する工程によって、超臨界流体における金属−リガンド錯体を解離するための方法に関する。一旦、金属−リガンド錯体が解離されると、その結果生じる金属および/または金属酸化物は、実質的に均一なサイズの微細な粒子を形成する。好ましい実施形態において、溶媒は超臨界の二酸化炭素であり、リガンドはβ−ジケトン(例えば、ヘキサフルオロアセチルアセトンまたはジブチルジアセトン)である。他の好ましい形態において、金属−リガンド錯体中の金属は、銅、銀、金、タングステン、チタン、タンタル、スズ、またはそれらの混合物である。好ましい実施形態において、還元剤は水素である。この方法は、金属−リガンド複合体を解離するための効果的なプロセスを提供し、炭化水素溶媒不純物を含まない容易に収集される金属粒子を作製する。リガンドおよび超臨界流体は、経済的、効果的なプロセスを提供するために再生利用され得る。要約を参照のこと。
【0008】
Pesseyらによる特許文献4は、このようにして達成される粒子をコーティングするための方法に関する。この発明の方法に従って、コーティングされる粒子およびコーティング材料のうちの少なくとも1つの有機金属錯体の前駆材料は、1種以上の溶媒を含む液体中で互いに接触され、それによって、該粒子は、温度条件および超臨界圧力条件またはわずかに臨界未満の圧力条件に供される液体中で分散を維持し;コーティング材料の前駆材料は、この粒子上に沈着されるような方法で変換され、それによって、この液体は、気態における溶媒を除去し得るような温度条件および圧力条件に置かれる。この発明は、特にナノメートルの粒子をコーティングするために使用され得る。要約を参照のこと。
【特許文献1】米国特許第4,737,384号明細書
【特許文献2】米国特許第5,789,027号明細書
【特許文献3】米国特許第6,132,491号明細書
【特許文献4】米国特許第6,592,938 B1号明細書
【非特許文献1】Odian、「G.G.Principles of Polymerization」、John Wiley & Sons、1991年
【非特許文献2】McHugh,M.およびKrukonis、「V.Supercritical Fluid Extraction」、第2版、Butterworth−Heinemann、Newton、1994年
【非特許文献3】Kaupp,G.、「Reactions in Supercritical Carbon Dioxide」、Angewandte Chemie、1994年、第33巻、p.1452−1455
【非特許文献4】Johnson,K.P.、「Safer Solutions for Chemists」、Nature、1994年、第368巻、p.187−188
【非特許文献5】Watkins,J.J.およびMcCarthy,T.、「Polymer/Metal Nanocomposites in Supercritical CO2」、Chemistry of Materials、1995年、第7巻、p.1991
【非特許文献6】Watkins,J.J.、「Chemistry in Supercritical Fluid−Swollen Polymers:Direct Synthesis of Polymer/Polymer and Polymer/Metal Composites」、Ph.D. in Polymer Science and Engineering、University of Massachusetts at Amherst、1997年
【非特許文献7】Watkins,J.J.およびMcCarthy,T.J.、「Polymerization of Styrene in Supercritical CO2−Swollen Poly(chlorotrifluoroethylene)」、Macromolecules、1995年、第28巻、p.4067−4074
【非特許文献8】Cansell,F.、Cheavlier,B.、Demourgues,A.、Etourneau,J.、Even,C.、Garrabos,Y.、Pessy,V.、Petit,S.、Tressaud,A.およびWeil,F.、「Supercritical Fluid Processing:A New Route for Material Synthesis」、Journal of Materials Chemistry、1999年、第9巻、p.67−75
【非特許文献9】Johnson,K.P.、「Safer Solutions for Chemists」、Nature、1994年、第368巻、p187−188
【非特許文献10】Cansell,F.ら、「J.of Mat’l Chem.」、1999年、第9巻、p.67−75
【非特許文献11】Park,Y.、Curtis,C.W.、およびRoberts,C.B.、「Formation of Nylon Particles and Fibers Using Precipitation with a Compressed Antisolvent」、Industrial & Eng.Chem.Res.、2002年、第41巻、p.1504−1510
【非特許文献12】Kordikowski,A.、York,P.、およびLatham,D.、「Resolution of Ephedrine in Supercritical CO2:A Novel Technique for the Separation of Chiral Drugs」、J.Pharm.Sci.、1999年、第88巻、p.786
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術文献は、本発明の特定の有利な工程または特徴を開示していない。他にも理由はあるが、先行技術文献は、還元反応、金属フィルムではなく形成される粒子状金属、粒子状基材の組み合わせ、および/または還元する工程の前の通気する工程を開示していない。
【0010】
上記の理由のために、特定の基材上に適切に粒子を分散する能力は、まだ満たされていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明の目的に従って、本明細書中に具体的および広範に記載されるように、本発明は、基材に分散された粒子の沈着およびそれによって得られる組成物に関する。
【0012】
1つの局面において、本発明は、粒子状基材に分散された金属粒子または混合された金属粒子を作製するための方法に関し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属およびこの粒子状基材を、超臨界流体または超臨界流体に近い流体に曝露する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで
e)還元剤を用いて、この分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程
を包含する。
【0013】
別の局面において、本発明は、粒子状基材に支持された分散された金属粒子を作製するための方法に関し、この方法は、以下
a)超臨界流体または亜超臨界流体において有機金属を混合して、混合物を形成する工程、
b)この基材に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この粒子状基材を、超臨界条件下または亜超臨界条件下で、a)の混合物に曝露する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで
e)還元剤を用いて、この有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程
を包含する。
【0014】
別の局面において、本発明は、粒子状基材に支持された分散された金属粒子を作製するための方法に関し、この方法は、以下
a)粒子状基材および有機金属をリアクターに添加する工程、
b)超臨界流体をこのリアクターに添加して、この有機金属を含む混合物を形成する工程、
c)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この有機金属とこの基材との接触を維持する工程、
d)このリアクターに通気口を与える工程、
e)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで
f)ガス状の還元剤をこのリアクターに添加する工程、および
g)この有機金属が分散された金属粒子に還元されるまで、この還元剤とこの有機金属とを接触させる工程
を包含する。
【0015】
別の局面において、本発明は、燃料電池における使用のための支持された粒子状の触媒を作製するための方法に関し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属および粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)還元剤を用いて、この分散された有機金属を分散された金属粒子に還元する工程であって、ここで、この支持された粒子状の触媒は、燃料電池における使用に適切である工程、
を包含する。
【0016】
別の局面において、本発明は、制御された触媒の粒子サイズを含む燃料電池における使用のための支持された粒子状の触媒を作製するための方法に関し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属および粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)所望の粒子サイズを形成するために効果的な圧力条件下で、還元剤を用いて、この分散された有機金属を分散された金属粒子に還元させ、それによって、制御された金属粒子サイズを含む支持された粒子状の触媒を形成する工程
を包含する。
【0017】
本発明は、粒子状基材材料(例えば、炭素性基材材料または無機質の基材材料)を含む組成物を含む。この組成物は、金属性化合物または金属の分散された粒子、好ましくは分散されたナノ粒子をさらに含み得る。1つの局面において、この所望の粒子は金属性ナノ粒子であり、この基材は炭素性である。
【0018】
本発明の粒子状組成物および本発明の方法によって作製される粒子状組成物もまた、本明細書中に提供される。
【0019】
本発明は、1つの局面において、金属性粒子または金属粒子あるいは金属性ナノ粒子または金属ナノ粒子を含む、粒子を基材(例えば、炭素性材料の基材)の表面に分散させるための方法、およびそれによって得られる組成物を包含する。
【0020】
本発明の粒子状組成物を含む触媒を備えるデバイス(例えば、触媒性燃料電池)が、開示される。このような燃料電池は、カソード、アノードおよび燃料電池の他の代表的な部分を備える。
【0021】
本発明はまた、触媒の適用(例えば、燃料電池の適用)における粒子状の炭素上に分散された金属性化合物または分散された金属の適用に関する。
【0022】
本発明のさらなる利点は、以下の説明の部分に記載され、この説明から部分的に明らかであるか、または本発明の実施によって理解され得る。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲に示した特定の要素および組み合わせの手段によって理解され、達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的で説明のためだけであり、特許請求の範囲のように、本発明を限定すると理解されるべきでない。
【0023】
添付の図面は本明細書中に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は本発明のいくつかの実施態様を例示し、説明と合わせて本発明の原理を説明するために使用される。
【0024】
(発明の説明)
本発明の化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法を開示および記載する前に、本発明は、特定の合成方法、特定の方法に限定されず、当然に変動し得ることが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、そして限定することを意図しないことが理解されるべきである。
【0025】
以下の本明細書および特許請求の範囲において、多数の用語に対して言及するが、これは、以下の意味を有すると定義される。
【0026】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確にそうではないと規定しない限り、複数形への言及をも含むことが留意されねばならない。従って、例えば、「有機金属(anorganometallic)」との言及は、有機金属の混合物を含み、「還元剤(a reducing agent)」との言及は、2つ以上の還元剤などの混合物を含む。
【0027】
本明細書において範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現され得る。このような範囲が表現されるとき、別の実施形態は、その1つの特定の値からおよび/またはその他の特定の値までを包含する。同様に、近似として値を表すとき、先行詞「約」との使用は、特定の値が別の実施形態を形成すると理解される。さらに、範囲の各々の端点は、他方の端点に関して双方、および他方の端点とは独立して意味があることが理解される。
【0028】
本明細書および結論としての特許請求の範囲において、組成物もしくは物品における重量部、特定の要素または成分に対する言及は、重量部が表されるその組成物または物品におけるその要素または成分、および任意の他の要素または成分の間の重量関係を示す。従って、2重量部の成分Xおよび5重量部の成分Yを含む組成物において、XおよびYが2:5の重量比で存在し、そしてさらなる成分がその組成物に含まれているか否かに関わりなく、その比率で存在する。
【0029】
成分の重量%は、そうではないと具体的に言及しない限り、成分が含まれる処方物または組成物の総重量に基づく。
【0030】
「任意」または「必要に応じて」とは、続いて記載される事象または環境が生じてもよく生じなくてもよく、そしてその記載がその事象または環境が生じる場合およびその事象または環境が生じない場合を包含する。
【0031】
本明細書において提供される組成物または特性の「有効量」とは、有効量が表現されるその組成物または特性の機能を発揮することができる様な量を意味する。以下に示すように、必要とされる正確な量は、使用される組成物および観察される処理条件などの認識される変数に応じてプロセスごとに変動する。従って、正確な「有効量」を特定することは可能ではない。しかし、おおよその有効量は、当業者により慣用的な実験のみを用いて決定され得る。
【0032】
「有機金属」とは、金属−炭素結合を含む化合物を意味する。「金属性前駆材料」とは、金属粒子を作製するために還元(すなわち、ゼロ価の金属状態に還元)され得る有機金属をいう。
【0033】
本明細書において使用される「金属」または「金属性」とは、例えば、貴金属(preciousmetal)、貴金属(noble metal)、白金族金属、白金、それらの合金および酸化物、ならびに遷移金属およびそれの酸化物を含む組成物であり得る。
【0034】
「カーボンブラック」とは、小葉形態(acinoform)の炭素であり、例えば、粒子状(以下に定義される)基材として利用されている。
【0035】
「炭素性」とは、実質的に元素状態で存在する炭素からなる固体材料をいう。「炭素性材料」とは、限定することなく、i)単一の規定された構造を有する炭素性化合物;あるいはii)炭素性粒子の凝集物であって、凝集物が、単一、反復および/または規定された構造もしくは凝集の程度を必ずしも有するとはいえない凝集物が挙げられることが意図される。
【0036】
「粒子状」とは、別個の粒子の材料を意味する。
【0037】
「X線回折(XRD)」とは、材料の結晶学的特性、特に、本明細書において使用される場合、分散された金属粒子の結晶子サイズを決定するための分析方法である。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「超臨界流体」とは、化学工業において使用される通常および慣例の意味を有する。すなわち、材料が、それらのそれぞれの臨界点を超える温度および圧力の両方(それぞれ、TcおよびPcの両方を超える)の下にある、材料の状態である。このようなTcおよびPcは、特定の材料に依存して異なり、当業者は、発行された文献から決定し得るか、または慣例の技術(例えば、所定の材料についてのTcおよびPc)を用いて決定し得る。
【0039】
本明細書中で使用される場合、「亜超臨界流体」とは、完全に超臨界状態ではないが、超臨界状態に近く、粒子状基材の有機金属の適切な沈着、好ましくは均一な沈着を提供することによって本発明において作用する任意の材料である。1つの局面において、この材料はTcを超え、Pcに近いが、Pc未満であり、そして別の局面において、この材料はPcを超え、Tcに近いが、Tc未満である。当業者は、本発明において作用するような亜超臨界流体の条件を容易に決定し得る。「近い」の他の局面においては、圧力がPcを超え、(絶対温度単位、すなわちK度における)温度が、その臨界点の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%である。他の局面において、温度はTcを超え、圧力は、その臨界点の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%である。
【0040】
本発明は、基材に分散された粒子を作製するための方法およびそれによって得られる組成物を包含する。
【0041】
本発明は、粒子状基材に支持された金属粒子または混合された金属粒子を作製するための方法を提供する。1つの局面において、この基材は、例えば、カーボンブラック、グラファイト、ナノカーボン、フラーレン、微細に粉砕された炭素、またはそれらの混合物を含む炭素材料である。
【0042】
1つの局面において、この方法は一般に、以下
a)超臨界流体(SCF)または亜超臨界流体において金属性前駆材料(有機金属)を混合するか、あるいは溶解して、混合物または溶液をそれぞれ形成する工程、
b)超臨界条件または亜超臨界条件下で、a)の混合物または溶液に基材を曝露する工程、
c)この混合物または溶液を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)この有機金属を還元させて、分散されて支持された金属粒子を作製する工程、
を包含する。
【0043】
別の局面において、本発明は、粒子状の基材に分散された金属粒子または混合された金属粒子を作製するための方法を提供し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属およびこの粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)還元剤を用いて、この分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程
を包含する。
【0044】
別の局面において、本発明は、粒子状基材に支持された分散された金属性粒子を作製するための方法を提供し、この方法は、以下
a)超臨界流体または亜超臨界流体において有機金属を混合して、混合物を形成する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、超臨界条件下または亜超臨界条件下で、a)の混合物に粒子状基材を曝露する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)還元剤を用いて、この有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程、
を包含する。
【0045】
別の局面において、本発明は、粒子状基材に支持された分散された金属性粒子を作製するための方法を提供し、この方法は、以下
a)粒子状基材および有機金属をリアクターに添加する工程、
b)超臨界流体をこのリアクターに添加して、この有機金属を含む混合物を形成する工程、
c)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この有機金属とこの基材との接触を維持する工程、
d)このリアクターに通気口を与える工程、
e)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
f)ガス状の還元剤をこのリアクターに添加する工程、および
g)この有機金属が分散された金属粒子に還元されるまで、この還元剤とこの有機金属とを接触させる工程、
を包含する。
【0046】
別の局面において、本発明は、燃料電池における使用のための支持された粒子状の触媒を作製するための方法を提供し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属およびこの粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)還元剤を用いて、この分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元して、それによって、支持された粒子状の触媒を形成する工程、
を包含する。
【0047】
別の局面において、本発明は、制御された触媒の粒子サイズを含む燃料電池において使用するための支持された粒子状の触媒を作製するための方法を提供し、この方法は、以下
a)流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、この有機金属およびこの粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b)この基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、この混合物とこの基材との接触を維持する工程、
c)この混合物を通気する工程、
d)それによって、この基材上にこの有機金属を吸着させる工程、次いで、
e)所望の粒子サイズを形成するために効果的な圧力条件下で、還元剤を用いて、この分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元し、それによって、制御された金属粒子サイズを有する支持された粒子状の触媒を形成する工程、
を包含する。
【0048】
合成された生成物は、例えば、燃料電池の適用のためのカーボンブラックに沈着される白金または白金合金のような支持された触媒として使用され得る。合成プロセスの独特の特徴は、先行技術とは異なる特性および先行技術を超える利点を有する組成物(例えば、支持された触媒)の形成をもたらす。
【0049】
この組成物の合成は、基材および有機金属(単数または複数)を、高圧リアクターに添加することによって開始し得る。超臨界(または亜超臨界)流体は、金属性前駆材料を溶解するためにリアクターに添加され得、この金属性前記材料は、基材(例えば、カーボンブラック)の表面に吸着される。このリアクターは、実質的に通気口を与えられ、基材の表面上の有機金属の吸着に役立つ。還元剤、1つの局面において、ガス状の還元剤(例えば、水素)は、リアクターに添加され得、それによって、基材上に分散された有機金属を金属粒子(例えば、ナノ粒子)に還元する。
【0050】
本発明の驚くべき特徴は、金属の粒子サイズを制御する能力である。金属の粒子サイズを制御する能力は、触媒の合成において非常に望まれる。粒子サイズの制御は、触媒の適用(例えば、燃料電池、製油所、接触改質、水素添加、および脱水素、ならびに金属触媒を使用する他の触媒プロセス)において望まれる。
【0051】
本発明の方法の別の可能性のある利点は、混合された金属粒子(すなわち、複数の金属(2種以上の異なる金属))を作製するその能力である。本明細書中で使用される場合、このような混合された金属粒子の金属は、均一な状態(すなわち、合金)に完全に混合され得るか、または完全には混合され得ない(不均一)。湿式化学法を使用して、金属の還元電位は、同時に起こる沈着に注意深く適合されなければならないか、または別の工程において沈着するように調整されなければならないかのいずれかであり、それによって、(例えば、合金が所望される場合、加熱する工程による)別の合金化工程を必要とする。本発明における複数の金属種の同時に起こる沈着は、直接合金化することを可能にする有意なプロセスの利点を提供する。
【0052】
基材上に金属触媒材料を沈着させるための一般的な方法は、「湿式」化学法に由来する。この例としては、水溶性カーボンブラック懸濁液の調製、その後の塩化白金酸および水酸化ナトリウムの添加による、カーボンブラック上の白金の調製が挙げられる。還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)は、カーボンブラック上に白金ナノ粒子を沈着するために添加される。次いで、これは、支持された触媒を回収するために濾過される。混合された金属系は、同様の湿式化学法において調製され得る。
【0053】
本発明は、従来の湿式化学法とは有意に異なる。最も違いのある特徴は、4種の異なる型の試薬:1)有機金属、2)基材、3)還元剤、および4)SCFのみを必要とするため、より高度で純粋な生成物を作製する能力である。
【0054】
これは、代表的に、最終生成物を汚染し得る炭素支持体および金属前駆材料(例えば、溶媒、腐食剤、化学的還元剤、および他の添加物)に加えて数種類の試薬を必要とする湿式化学法とは対照的である。
【0055】
本発明の方法はまた、作製のための工程の数を減少させ、このことは、最終生成物の商業的な実行可能性および純度を増加させ得る。湿式化学法は、大きな廃棄物の流れを有し、(例えば、燃料電池における)最終触媒の性能に有害であり得る触媒上の不純物(例えば、塩化物、硝酸塩、および/または硫酸塩)をそのままにし得る。本発明の技術はまた、約100%の金属の収率を提供し得、それによって、従来の湿式化学法に関連する回収および再利用の問題を回避する。
【0056】
(組成物)
本発明は、基材および金属を含む組成物を含む。
【0057】
この基材は、以下に記載される。1つの局面において、この基材は、組成物の約0重量%より大きく、約100重量%未満であり、例えば、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%または約97%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。1つの局面において、この基材は、組成物の約1重量%〜約90重量%であり、例えば、約2%、約5%、約10%、約12%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%、約77%、約80%、約82%、約85%、約87%または約88%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。1つの局面において、この基材は、本発明の組成物の約30重量%〜約90重量%であり、例えば、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約44%、約46%、約50%、約51%、約54%、約56%、約60%、約61%、約64%、約66%、約70%、約71%、約74%、約76%、約80%、約81%、約84%、約86%、または約89%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、この基材は、組成物の約40重量%〜約80重量%であり、例えば、約43%、約47%、約48%、約49%、約53%、約54%、約55%、約57%、約58%、約60%、約63%、約65%、約67%、約68%、約70%、約73%、約75%、約77%、約78%、または約79%であり、ここで、任意の値は、本発明の適切なように、上限点または下限点を含み得る。
【0058】
この組成物は、さらに金属を含む。この金属は、以下に記載される。1つの局面において、この金属は、この組成物の約2%〜約80%であり、例えば、約3%、約5%、約7%、約8%、約10%、約12%、約13%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%または約78%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、この金属は、この組成物の約10%〜約70%であり、例えば、約11%、約12%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約57%、約58%、約59%、約61%、約63%、約64%、約66%、約68%または約69%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。さらに別の局面において、この金属は、この組成物の約20%〜約60%であり、例えば、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約28%、約29%、約30%、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約43%、約44%、約46%、約48%、約49%、約51%、約53%、約54%、約56%、または約59%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、この金属は、基材の100重量部に基づいて、0重量部より大きく100重量部またはそれ以上、別の局面において10重量部〜80重量部、およびさらに別の局面において20重量部〜60重量部の量で粒子状基材に装荷(loading)される。この金属は、金属、基材、および使用されるプロセス条件に依存して、異なる量で基材上に装荷され得る。この金属は、組成物の表面に、好ましくは均一に分布され得る。
【0059】
(基材)
1つの局面において、基材は、本質的に、超臨界/亜超臨界流体中で固体のままであり、そしてその流体中で適用可能ないずれの温度にも溶解しない、任意の材料である。1つの局面において、基材は、例えば、炭素性の材料、無機材料またはそれらの組合せを含む。当業者は、基材としての使用に適切な材料を決定し得る。
【0060】
基材は粒子状である。すなわち、非粒子状基材、例えば、平坦なフィルム、ウェハなどは、本明細書中で使用されない。基材の表面積は、十分に分散された条件における意図される適用のため、金属粒子の所望の装荷を提供するのに十分であるべきである。触媒適用のため、基材のサイズおよび表面積は、触媒のために十分である量であるべきである。種々の局面において、基材の表面積は、5〜2,000m2/gであるかまたはいくつかの局面においてはそれより大きく、50〜1,300 m2/g、または150〜1,300m2/gである。
【0061】
基材は粒子状の炭素性材料であり得る。炭素性材料は、任意の粒子状の実質的に炭素性の材料であり得る。この材料は、「適度に大きい」表面積を有することが好ましい。例えば、カーボンブラック、グラファイト、ナノカーボン、フラーレン、フラーレン性材料、微細に分離されたカーボン、またはそれらの組合せが、使用され得る。
【0062】
基材は無機材料であり得る。無機材料は、任意の粒子状の無機材料であり得る。この材料は、触媒支持体として慣用的に使用される材料のような、「適度に大きい」表面積を有することが好ましい。
【0063】
(カーボンブラック)
1つの局面において、炭素性材料は、カーボンブラックを含む。本発明において、カーボンブラックの選択は重要ではない。任意のカーボンブラックが本明細書中で使用され得る。例えば、種々の局面において、以下の表面積(表面積とは、窒素表面積(「NSA」)を意味し、そしてカーボンブラックに関して本明細書中で使用される場合、反対に述べられない限り、ASTM D6556によって測定された)を有するカーボンブラックが使用される:約5〜約2000m2/g、例えば、約5m2/g、約10m2/g、約50m2/g、約100m2/g、約200m2/g、約220m2/g、約240m2/g、約250m2/g、約300m2/g、約350m2/g、約400m2/g、約450m2/g、約500m2/g、約550m2/g、約600m2/g、約650m2/g、約700m2/g、約750m2/g、約800m2/g、約850m2/g、約950m2/g、約1,000m2/g、約1,300m2/g、約1,500m2/g、または約2,000m2/g。ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。他の局面において、200〜280m2/gまたは1,000〜1,500m2/gの表面積を有するカーボンブラックが使用される。他の局面において、230〜250、または1,100〜1,300の表面積を有するカーボンブラックが使用される。カーボンブラックは、金属の分散に効果的な表面積を有することが好ましい。カーボンブラックは、ガスの拡散に効果的な構造を有することが好ましい。
【0064】
1つの局面において、カーボンブラックは、本発明の組成物のうちの約0重量%より大きく、100重量%より小さい。例えば、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、または約97%である。ここで、任意の値は、適切なように上限点または下限点を含み得る。別の局面において、カーボンブラックは、組成物のうちの約1重量%〜約90重量%であり、例えば、約2%、約5%、約10%、約12%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%、約77%、約80%、約82%、約85%、約87%、または約88%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、カーボンブラックは、組成物のうちの約30重量%〜約90重量%であり、例えば、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約44%、約46%、約50%、約51%、約54%、約56%、約60%、約61%、約64%、約66%、約70%、約71%、約74%、約76%、約80%、約81%、約84%、約86%、または約89%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、カーボンブラックは、組成物のうちの約40重量%〜約80重量%であり、例えば、約43%、約47%、約48%、約49%、約53%、約54%、約55%、約57%、約58%、約60%、約63%、約65%、約67%、約68%、約70%、約73%、約75%、約77%、約78%、または約79%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。
【0065】
当業者は、カーボンブラック粒子は、基本的に、その粒子ならびにその粒子の凝集体(集合体)サイズ、凝集体形状、グラファイトの整列の程度、界面化学によって決定される特性を有することを理解する。
【0066】
当業者は、特定の適用のために、適切なカーボンブラックを容易に選択し得る。
【0067】
カーボンブラックは、市販される(例えば、Columbian Chemicals Company,Marietta,GA,USA)。
【0068】
(他の炭素性材料)
1つの局面において、粒子状の炭素性材料は、カーボンブラック以外の材料を含む。本発明において、他の炭素性材料の選択は、重要ではない。本発明において、任意の実質的に炭素性の材料が使用され得る。例えば、グラファイト、ナノカーボン、フラーレン、フラーレン性材料、微細に分離されたカーボン、またはそれらの混合物が、使用され得る。
【0069】
炭素性材料は、金属の分散に効果的な表面積を有することが好ましい。炭素性材料は、ガスの拡散に効果的な構造を有することが好ましい。
【0070】
当業者は、特定の適用のための炭素性材料を容易に選択し得る。これらの炭素性材料は、市販される。
【0071】
1つの局面において、炭素性材料は、本発明の組成物のうちの、約0重量%より大きく、約100重量%より小さい。例えば、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、または約97%であり、ここで、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、炭素性材料は、本発明の組成物のうちの約1重量%〜約90重量%である。例えば、約2%、約5%、約10%、約12%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%、約77%、約80%、約82%、約85%、約87%、または約88%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、炭素性材料は、本発明の組成物のうちの約30重量%〜約90重量%である。例えば、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約44%、約46%、約50%、約51%、約54%、約56%、約60%、約61%、約64%、約66%、約70%、約71%、約74%、約76%、約80%、約81%、約84%、約86%、または約89%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、炭素性材料は、本発明の組成物のうちの約40重量%〜約80重量%である。例えば、約43%、約47%、約48%、約49%、約53%、約54%、約55%、約57%、約58%、約60%、約63%、約65%、約67%、約68%、約70%、約73%、約75%、約77%、約78%、または約79%であり、ここで、任意の値は、適切なように、本発明の上限点または下限点を含み得る。
【0072】
(非炭素性基材)
他の粒子状基材が、本発明において使用され得る。例えば、触媒支持体として使用される材料(例えば、シリカ、アルミナ、クレイ、ゼオライト、酸化金属、またはそれらの組合せ)が使用され得る。
【0073】
無機材料は、金属の分散に効果的な表面積を有することが好ましい。無機材料は、ガスの拡散に効果的な構造を有することが好ましい。
【0074】
当業者は、特定の適用のための無機材料を容易に選択し得る。代表的に、これらの無機材料は市販される。
【0075】
1つの局面において、無機材料は、本発明の組成物のうちの、約0重量%より大きく、約100重量%より小さい。例えば、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、または約97%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、無機材料は、組成物のうちの約1重量%〜約90重量%である。例えば、約2%、約5%、約10%、約12%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%、約77%、約80%、約82%、約85%、約87%、または約88%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、無機材料は、組成物のうちの約30重量%〜約90重量%である。例えば、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約44%、約46%、約50%、約51%、約54%、約56%、約60%、約61%、約64%、約66%、約70%、約71%、約74%、約76%、約80%、約81%、約84%、約86%、または約89%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、無機材料は、組成物のうちの約40重量%〜約80重量%である。例えば、約43%、約47%、約48%、約49%、約53%、約54%、約55%、約57%、約58%、約60%、約63%、約65%、約67%、約68%、約70%、約73%、約75%、約77%、約78%、または約79%であり、ここで、任意の値は、適切なように、本発明の上限点または下限点を含み得る。
【0076】
(有機金属/金属)
有機金属(金属前駆体)が、本発明の方法において使用される。例えば、有機金属は、1,5−シクロオクタジエンジメチル白金[Pt(COD)Me2]、(1,5−シクロオクタジエン)(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)銀[Ag(COD)hfac]、ルテニウムアセチルアセトネート[Ru(acac)3]もしくはAg(acac)、またはその混合物であり得る。有機金属のさらなる例としては、以下が挙げられる:ジエチル亜鉛またはジエチルニッケル;グリニャール化合物(例えば、ヨウ化メチルマグネシウム);アルキル金属(例えば、ブチルリチウム、テトラエチル鉛、トリエチルアルミニウム、テトラブチルチタネートおよびナトリウムメトキシド);フタロシアニン(例えば、銅フタロシアニン);およびメタロセン。有機金属は、代表的に、超臨界流体に溶解性であり、そして金属に対して容易に還元可能である。
【0077】
本発明の組成物は、さらに、上記の金属を含み得る。有機金属は、金属を含む。1つの局面において、この金属は、貴金属、不活性金属、白金類金属、白金、その合金もしくは酸化物であるか、または遷移金属もしくはその酸化物を含む組成物である。1つの局面において、金属は、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、クロム、金、銀、ニッケル、コバルト、またはそれらの組合せ、またはそれらの合金である。1つの局面において、金属は白金または銀である。
【0078】
上記のように、金属は、合金または不均質混合物(例えば、触媒として効果的なもの)であり得る。
【0079】
最終組成物中の金属は、代表的に、基材上に分散した粒子の形態で存在する。従って、本発明は、粒子状基材上に分散された金属粒子を作製する。1つの局面において、金属は、ナノ粒子形態である。例えば、1つの局面において、金属粒子は、約20nm以下の平均直径である。別の局面において、金属粒子は、約0.5nm〜約10nmの平均直径であり、別の局面において、約1nm〜約10nmの平均直径であり、そして別の局面において、約0.5nm〜約5nmの平均直径である。本発明のプロセスによって作製される金属粒子のサイズは、代表的に20nm以下の平均直径である。しかしながら、高い有機金属の装荷が、より大きい金属粒子サイズを導き得る。触媒適用に関して、ナノメートルにサイズ化された金属粒子の沈着は、特に、増強した触媒活性および金属材料のより少ない消費のため、金属フィルムよりも好ましい。
【0080】
理論に束縛されることは望まないが、本発明は、基材の特定の性質に少なくとも部分的に起因して、基材上で連続した金属フィルムよりも、基材上で実質的に不連続の粒子の、分散した粒子状金属を作製することが考えられる。より具体的には、粒子状基材の大きな表面積が原因となって、金属はフィルムよりも粒子として形状をなすことが考えられる。理論上、粒子状金属を非粒子状基材上で潜在的に作製するための非粒子状基材のプロセスにおける条件が操作され得るが、このうような非粒子状基材プロセスは、基材上での金属フィルムの形成に有利に働く。逆に、本発明において、金属粒子は、代表的な反応条件および特定の基材の使用によって、有利にされる。
【0081】
金属の量は、任意の量であり得る。金属の量は、効果的な触媒量であり得る。
【0082】
有機金属材料の量は、還元後に所望の最終金属装荷を達成する量であり得る。当業者は、意図される適用において所望の性能に効果的な有機金属材料(および対応する金属)の量を決定し得る。1つの局面において、有機金属は、超臨界または亜超臨界流体中での有機金属溶解度レベルの飽和度0%より大きく100%までの量で添加され、別の局面において、飽和度60%〜100%で添加される。別の局面において、有機金属の量は、その流体中での有機金属溶解度レベルの飽和度100%より大きい量、例えば、101%〜150%、またはそれより大きい量で、添加される。
【0083】
1つの局面において、金属は、組成物のうちの約2%〜約80%であり、例えば、約3%、約5%、約7%、約8%、約10%、約12%、約13%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約32%、約35%、約37%、約40%、約42%、約45%、約47%、約50%、約52%、約55%、約57%、約60%、約62%、約65%、約67%、約70%、約72%、約75%、または約78%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、金属は、組成物のうちの約10%〜約70%であり、例えば、約11%、約12%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約57%、約58%、約59%、約61%、約63%、約64%、約66%、約68%、または約69%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。別の局面において、金属は、組成物のうちの約20%〜約60%であり、例えば、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約28%、約29%、約30%、約31%、約33%、約34%、約36%、約38%、約39%、約41%、約43%、約44%、約46%、約48%、約49%、約51%、約53%、約54%、約56%、または約59%であり、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。金属は、組成物において(例えば、組成物の表面上で)、均一に分散され得る。
【0084】
当業者は、特定の適用のための組成物において使用されるための有機金属(および対応する金属)を容易に選択し得る。有機金属は、市販されるか、または当業者に容易に調製される。
【0085】
金属は、基材上で分散される。金属は本質的に基材上で均一に分散されることが好ましい。
【0086】
(超臨界流体/亜超臨界流体)
超臨界流体(SCF)は、臨界温度(TC)および臨界圧力(PC)より高い材料である。SCFは、多くの適用において溶媒として使用されている。SCFの適用は、それらのいくつかの特徴(例えば、圧力および/または温度のチューニングによって調整され得る、溶媒強度および密度の幅の広さ)に起因して生じる。
【0087】
二酸化炭素(CO2)は、最も広範に使用されるSCFである。なぜなら、この溶媒は、高価でなく、無毒性であり、非可燃性であり、かつ環境上無害であるからである。この二酸化炭素は、容易に達成可能な臨界温度および臨界圧力を有する(TC=31.06℃およびPC=1070psi)(NIST,NIST Chemistry WebBook,2003,http://webbook.nist.gov/chemistry/)。SCFの特性は、密度と関係しており、そして温度および圧力における変動によって制御される。CO2の密度等温線は、McHugh,M.およびKrukonis,V.,Supercritical Fluid Extraction,第2版,Butterworth−Heinemann,Newton(1994)におけるデータより作成され得る。TCより低い温度で、界面が観察されるにつれて密度の不均一が生じる。ここで、TCより高い温度で、連続した密度変化が観察される。液性の有機溶媒密度(約0.7〜0.9g/mL)に近づく密度またはこれを超える密度は、気体としての所望の特性(例えば、高い分散速度、および表面張力0)を維持しながら、超臨界CO2(SC−CO2)を用いて達成され得、これらの特性は基材表面上の有機金属の沈着を促進する。SCFの代表的な範囲は、表1に要約され、一方、特定の例は表2に示される。
【0088】
【表1】
超臨界流体または亜超臨界流体が本発明の方法において使用される。超臨界流体または亜超臨界流体は、有機金属と混合して、有機金属とその流体との混合物を形成する。別の局面において、この混合物は、その流体中の有機金属の分散物である。別の局面において、少なくともいくらかの有機金属はその流体中に溶解して、部分的な液体を形成する。別の局面において、全てまたは実質的に全ての有機金属は上記流体中に溶解して、溶液を形成する。なお別の局面において、系に加えられる有機金属の量は、上記流体の溶解度の限界を超える量である。このような場合、平衡状態が確立され、これによって有機金属は、溶液中に入ったり、または溶液外に出たりする。この場合において、溶液外に出る少なくとも一部の有機金属は、通気工程よりも前であっても、粒子状基材上に直接吸着されることが期待される。なお別の局面において、有機金属の量は、系を過装荷する量で系に添加される。この場合、溶解しない有機金属は、好ましくは、上記流体と機械的に混合される。有機金属は、上記流体中では個々の分子として溶解し得ないが、有機金属の凝集体または凝集塊(clump)として溶解し得ることが理解されるべきである。超臨界流体または亜超臨界流体は、好ましくは、有機金属を溶解するが、好ましくはあらゆる適用可能な温度で基材を溶解しない。
【0089】
超臨界流体または亜超臨界流体はまた、代表的に、粒子状基材上に有機金属粒子を分散させ、そして湿潤溶媒方法よりも均一な有機金属の沈着を提供する。当業者は、特定の適用において使用するための超臨界流体または亜超臨界流体を容易に選択し得る。超臨界流体または亜超臨界流体は、単一の組成物または1つより多くの組成物(例えば、混合物)を含み得る。超臨界流体または亜超臨界流体に有用なこのような組成物は、市販されるか、または当業者に容易に調製される。
【0090】
本発明の方法において使用される超臨界流体の量または亜超臨界流体の量は、有機金属と混合するかまたは有機金属を溶解するのに十分な量である。超臨界流体の量または亜超臨界流体の量は、効果的な量である。1つの局面において、超臨界流体の量は、例えば、約97重量%〜約100重量%未満の超臨界流体であり、固形物+超臨界流体の全重量に基づき約0%超〜約3%までの固形物である。別の局面において、全固形物は、1%〜3%である。いくつかの局面において、全固形物は、より多く存在し得、例えば、5%、10%、またはさらに大きくあり得、ここで、任意の値は、適切なように、上限点または下限点を含み得る。超臨界流体と固形物との量は、溶質および溶媒の溶解度の限界、ならびに撹拌可能な粘度を考慮に入れて、使用される特定の試薬および条件により変動し得る。当業者は、成分および条件の特定の組合せに対して使用する超臨界流体または亜超臨界流体の量を決定し得る。
【0091】
(組成物適用)
本発明の組成物は、支持触媒として利用され得る。例えば、この組成物は、電極(例えば、燃料電池)として使用される、支持触媒であり得る。
【0092】
本発明の組成物を作製する方法は、以下(例えば、支持触媒)に示される。
【0093】
本発明において、本発明の方法は、基材上の金属の沈着を均一にするのを助ける。
【0094】
本発明は、組成物を利用する種々のデバイス(例えば、電極または電極を備える燃料電池)を含む。
【0095】
(方法)
基材、有機金属、および超臨界流体または亜超臨界流体は、上記「組成物」の節で詳細に記載される。還元は、以下に詳細に記載される。
【0096】
超臨界条件(または亜超臨界条件)は、超臨界流体または亜超臨界流体に対して使用される組成物によって決定される。なぜなら、異なる流体は、超臨界状態(または亜超臨界状態)にあるために、異なる圧力条件および/または温度条件を必要とするからである。流体の選択は、方法を実施するための基材、有機金属、またはリアクターに不利に影響しない圧力および/または温度において、超臨界状態(または亜超臨界状態)に達する流体である。
【0097】
各々の成分量は、上に記載されるかまたは以下の「還元」の節において記載される。
【0098】
有機金属、超臨界流体または亜超臨界流体、および基材が接触する順序は、重要ではない。添加順序の変更が使用されるいずれからも、または3つの成分が同時に添加される場合であっても、同じ組成物が期待される。従って、「流体と有機金属との混合物を形成する条件下で有機金属および粒子状基材を超臨界流体または亜超臨界流体に曝すこと」は、有機金属、粒子状基材および超臨界流体または亜超臨界の添加のいずれの順序をも意図する。
【0099】
有機金属、超臨界流体または亜超臨界流体、および基材との間の接触に必要とされる時間は、変動する。溶液が形状をなす時間および分散物が生じる時間は、当業者により容易に決定され得る。例えば、時間は、少なくとも溶解度および分配係数に部分的に基づき得る。
【0100】
これらの成分は、撹拌され得る。例えば、このことは、機械的撹拌によるか、反転によるか、液体の流動によるか、または他のデバイスもしくは他のプロセスのいずれかにせよ、成分の移動により達成され得る。
【0101】
成分の形成のための最適な反応条件および最適な反応時間は、無論、使用されるために選択される特定の流体、有機金属、および/または特定の基材材料に依存して、変動することが、当業者に理解される。このような最適な条件および時間の決定は、当業者により容易に達成され得るか、またはそれ以外に、慣用的な範囲内の実験を通して取得され得る。
【0102】
基材上への有機金属の吸着は、代表的に、系が通気されている場合または両方の場合、最初に有機金属が基材との接触に導かれる場合に生じる。代表的に、この接触工程においていくらかの吸着が生じるが、大部分は、系を通気する際に生じる。このことは、有機金属を、超臨界流体中で、より低い混合性、より低い分散性、より低い溶解性またはより低い非溶解性にさせ、そして基材上に吸着させる。吸着は、金属と基材との結合(代表的には化学的吸着、物理的吸着すなわち物理吸着)を形成する。
【0103】
通気工程は、例えば、リアクターに通気口を開けることによって実行され得る。通気工程は、系の圧力を低下させる。通気工程は、好ましくは、有機金属が流体中にそれ以上混合可能でも分散可能でも溶解可能でもない圧力、またはそれ未満で、実施されるべきである。1つの局面において、この系は、大気圧または大気圧付近に通気される。通気速度は、重要でないと考えられる。
【0104】
通気工程は、還元工程の前に実施され、その結果、有機金属は、還元反応前に基材上に吸着される。理論に束縛されることは望まないが、従来技術のプロセスにおいて、還元工程が最初に実施され、続いて通気工程が実施されることが考えられる。この結果、有機金属が還元剤と反応して、シード(seed)を形成する。この工程は、他の移動性が低減された有機金属粒子を、そのシードに移動させるかまたはそのシード付近に移動させて、連続したフィルムを形成する。逆に、本発明のプロセスにおいて、通気工程が最初に実施され、次いで還元工程が実施される。このプロセスによって、連続した金属フィルムよりも、実質的に不連続な金属粒子が形成される。なぜなら、通気工程は、基材上への有機金属粒子を最初に吸着させることによって、粒子の移動性を排除するからであり、このように、粒子が非移動性にされて、次いで還元される。従って、連続したフィルムは、本発明のプロセスによって形成されない。従って、繰り返すと、理論に束縛されることは望まないが、還元工程前の通気工程は、少なくともある程度まで、粒子状基材の使用(これは代表的に大きな表面積を有する)が、基材上に金属フィルムを形成するよりも、粒子状基材上で金属粒子を形成することが、考えられる。
【0105】
本発明の方法は、リアクター(例えば、ステンレス鋼リアクター)において実行され得る。装置は、使用される材料および反応条件に適合性であるべきである。この容器は、撹拌装置を備え得る。
【0106】
本発明の方法は、連続プロセスまたはバッチプロセスで実行され得る。特定の局面において、本発明の反応時間は、以下の実施例に示される反応時間よりも少なくされ得る。このプロセスは、容易にスケール変更可能であり、そして連続プロセスにおいて使用されて、商業的実行可能性を増大させ得る。
【0107】
本発明のプロセスの1つの可能性のある局面は、連続スプレープロセス(continuous spraying process)における局面である。バッチプロセスの場合、有機金属(単数または複数)がその混合物または溶液から外に出ることを可能にするため、圧力が低下され、そしてカーボンブラックに吸着される。連続プロセスにおいて、1つの局面において、圧力は、溶解した有機金属を含むSCF中の、粒子状基材(例えば1つの局面において、カーボンブラック)のスラリーをスプレーすることを介して、低下される。この急速の圧力低下は、基材上の有機金属の急速な吸着を可能にする。次いで、これは、収集され、そしてさらに還元剤(例えば、水素)を用いて処理されて、最終生成物(例えば、触媒)を作製する。
【0108】
(還元)
有機金属を金属に還元する工程は、還元剤の添加によって達成され得る。還元剤は、ガス性であることが好ましい。
【0109】
還元剤は、金属を金属性形態に還元するために使用され得る。種々の還元剤が当該分野で公知である。これらの還元剤は、容易に入手可能であるか、または当業者に公知の方法によって容易に合成される。適切な還元剤の選択は、所望される適用に対して、当業者によって容易に決定される。使用され得る還元剤の例としては、水素、硫化水素、ホルムアルデヒド、ホウ化水素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドロキシルアミンまたは還元剤の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本方法のための還元剤の量は、代表的に、有機金属に対して過剰なモル濃度である。
【0111】
特定の局面において、圧力条件は、還元される金属の粒子サイズを制御するために変動され得る。代表的に、圧力が上昇されるにつれて、粒子サイズは低下され得る。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は、本明細書中で特許請求される化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法が作製されそして評価される方法についての完全な開示または記載を当業者に提供するために記載され、そして本発明の単なる例示であることが意図され、そして本発明者らが本発明として考えることの範囲を限定するようには意図されない。数値(例えば、量、温度など)に関する精度を開示するために労力をかけたが、いくらかの誤差または偏差が、考慮に入れられるべきである。他に示されない限り、部分は重量部分であり、温度は摂氏(℃)であるかまたは周囲温度であり、そして圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0113】
(実施例1)
(カーボンブラックの白金化)
54.6mgのCDX−975カーボンブラック(Columbian Chemicals Company,Marietta,GA,USA)(このCDX−975の代表的な特性を下表に示す)および27.7mgの1,5−シクロオクタジエンジメチル白金(Pt(COD)Me2)(Aldrich Chemicals,Milwaukee,Wl)を、ステンレス鋼リアクターに加え、そして密封した。
【0114】
【表2】
次いで、このリアクターを60℃の定温バッチに入れた。このリアクターに、コンピューター制御式シリンジポンプ(ISCO,Lincoln,NE)を介して、11.51gのColemanグレードの二酸化炭素(Holox,Norcross,GA)を最終圧力2000psiまで添加し、0.24重量%のPt(COD)Me2の溶液を生じた。
【0115】
同じサンプルを撹拌しながら23時間浸漬させ、その後この溶液を活性炭ベッドを通じて大気圧に通気させた。
【0116】
次いで、効果的な圧力600psiへの高圧力マニホールドの圧力低下によって60℃で1時間、水素をリアクターに添加した。系を通気させる際、このリアクターを開口し、そして広角X線回折(wide angle X−ray diffraction)、透過型電子顕微鏡(TEM)、および灰分析(ash analysis)によって、サンプルを分析した。
【0117】
広角X線回折の結果を、図1に示す。これは、白金(111)のピークが40°2θであり、そして3.1nmの平均の白金結晶サイズを生じたことを示す。
【0118】
図2〜図4において、このサンプル由来の3つのTEMの異なる倍率の写真を示す。
【0119】
熱量分析による灰化(ashing)より、15.9%のカーボンブラック上の最終白金装荷を得た。
【0120】
(実施例2)
(Ptナノ粒子サイズに対する水素還元圧力の影響)
別の興味深い特徴は、白金ナノ粒子サイズに対する水素還元圧力の影響であった。
【0121】
耐圧リアクターに、50.0±2mgのCDX−975および10.0±1mgのPt(COD)Me2を入れ、そして密封した。次いで、このリアクターを60℃の定温バスに入れた。
【0122】
このリアクターに、コンピューター制御式シリンジポンプを介して、最終圧力2000psiまで二酸化炭素を加えた。
【0123】
このリアクターを24時間浸漬させ、その後溶液を、活性炭ベッドを通して大気圧に通気させた。
【0124】
水素(Holox)をリアクターに、異なる圧力への高圧マニホールドの圧力低下によって25℃で添加し、そして1時間浸漬させた。
【0125】
系を通気させる際、このリアクターを開口させ、そしてそして広角X線回折によってサンプルを分析して、結晶サイズを測定した。このことを、図5および図6に示す。図6は、白金粒子の平均サイズ 対 還元圧(約3000psiまで)の反比例を示す。このような白金粒子サイズを制御する能力は、触媒合成において非常に所望される。
【0126】
(実施例3)
(従来の溶媒の沈着と超臨界流体の沈着との比較)
有機金属を沈着させるために、超臨界流体を使用する方法を、従来の溶媒を使用する方法と比較した。
【0127】
2つの方法を比較するため、白金有機金属を、アセトンを使用してカーボンブラック上に沈着させた。405.3mgのCDX−975カーボンブラック(Columbian Chemicals Company,Marietta,GA)、113.5mgのPt(COD)Me2(Aldrich Chemicals)、および100mLのアセトン(Fisher Scientific)を撹拌しながら混合することによって、この反応を実施した。
【0128】
アセトンをゆっくりとエバポレートし、そして得られた材料を、上記のように異なる圧力の水素で25℃で還元した。実施例2と比較して、本実施例3のアセトンプロセスは、同じH2還元圧に対して、約1〜2nm大きい白金粒子サイズをもたらした。
【0129】
(実施例4)
(白金の回収率)
1例において、異なる量のCDX−975カーボンブラック(Columbian Chemicals Company)および1,5−シクロオクタジエンジメチル白金(Aldrich Chemicals)(Pt(COD)Me2)をステンレス鋼のリアクターに加え、そして密封した。次いで、このリアクターを60℃の定温バスに入れた。このリアクターにColemanグレードの二酸化炭素(Holox)をコンピューター制御式シリンジポンプ(ISCO)によって最終圧力2000psiまで添加した。このサンプルを、70時間、撹拌しながら浸漬させ、その後、溶液を、活性炭ベッドを通じて大気圧に通気させた。次いで、水素(Holox)をリアクターに、効果的な圧力600psiへの高圧マニホールドの低下によって60℃で1時間添加した。系を通気させる際、このリアクターを開口し、そして広角X線回折、透過型電子顕微鏡(TEM)、および灰分析によって、サンプルを分析した。
【0130】
以下の表は、使用したカーボンブラックの量および有機金属の量を示す。理論上の白金のパーセントを、有機金属の還元において、100%転換と仮定して計算した。灰残渣を、TGAによって測定した。使用した少量の材料について、この仮定(agreement)は良好である。なぜなら、これら少量のものに対して決定した灰レベルは特定の量のノイズを有するからである。
【0131】
【表3】
(実施例5)
(カーボンブラックに対する白金−ルテニウム沈着)
混合した金属系に対する可能性の例を、ここに提供する。この実施例において、52.7mgのCDX−975カーボンブラック(Columbian Chemicals Company)、 25.0mgの1,5−シクロオクタジエンジメチル白金(Strem Chemicals,Newburyport,MA)[Pt(COD)Me2]、およびルテニウムアセチルアセトネート(Strem Chemicals)[Ru(acac)3]を、ステンレス鋼のリアクターに加え、そして密封した。次いで、このリアクターを、60℃の等温バスに入れた。このリアクターに、コンピューター制御式シリンジポンプ(ISCO)を介して、Colemanグレードの二酸化炭素(Holox)を最終圧力3000psiまで添加した。
【0132】
このサンプルを20時間撹拌しながら浸漬し、その後、この溶液を、活性炭ベッドを通じて大気圧に通気させた。次いで、効果的な圧力3800psiへの高圧マニホールドの圧力低下によって80℃で1時間、水素(Holox)をリアクターに添加した。系を通気させる際、このリアクターを開口し、そして広角X線回折、および灰分析によって、サンプルを分析した。
【0133】
X線分析の結果は、2つの異なる金属ピークを示す。1つは白金(111)に対するものであり、そして40°2θであり、そして1つはルテニウム(111)に対するピークであり、44°2θである(図7に示すとおり)。理論上の金属は、28.5%であり、TGAによって決定された灰の金属は、25.08%であった。
【0134】
(実施例6)
(カーボンブラック上の銀の沈着)
粒子上に沈着した、非貴金属ナノ粒子を用いた方法の例として、銀をカーボンブラック上に沈着させた。この例において、52.5mgのCDX−975カーボンブラック(Columbian Chemicals Company)および40.3mgの(1,5−シクロオクタジエン)(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)銀[Ag(COD)hfac](Aldrich Chemicals)を、ステンレス鋼のリアクターに加え、そして密封した。次いで、このリアクターを60℃の定温バスに入れた。このリアクターに、コンピューター制御式シリンジポンプ(ISCO)を介して、Colemanグレードの二酸化炭素(Holox)を最終圧力2000psiまで添加した。このサンプルを24時間浸漬させ、その後、この溶液を、活性炭ベッドを通じて大気圧に通気させた。次いで、効果的な圧力2300psiへの高圧マニホールドの圧力低下によって水素(Holox)をリアクターに添加し、そして25℃で1時間浸漬させた。系を通気させる際、リアクターを開口し、そしてして広角X線回折、および透過型電子顕微鏡(TEM)によって、サンプルを分析した。
【0135】
広角X線回折の結果を、図8に示す。これは、38.3°2θにおける銀(111)ピークによって、銀金属の証拠を示す。TEMマイクログラフを図9に示す。
【0136】
(実施例7)
(アルミナおよび二酸化シリコンに対するPtの沈着)
他の2つの例において、白金ナノ粒子を非カーボンブラック材料である二酸化シリコン(SiO2)上およびアルミナ(Al2O3)上に沈着させた。供給された(powered)基材および白金前駆体(Pt(COD)Me2)を別々のステンレス鋼リアクターに加え、そして密封した。使用した材料の量を表4に示す。次いで、このリアクターを60℃の定温バスに入れた。このリアクターに、コンピューター制御式シリンジポンプ(ISCO)を介して、Colemanグレードの二酸化炭素(Holox)を最終圧力2000psiまで添加した。これらのサンプルを24時間浸漬させ、その後、この溶液を、活性炭ベッドを通じて大気圧に通気させた。次いで、効果的な圧力2300psiへの高圧マニホールドの圧力低下によって水素(Holox)をリアクターに添加し、そして25℃で1時間浸漬させた。系を通気させる際、リアクターを開口し、そしてして広角X線回折、および透過型電子顕微鏡(TEM)によって、サンプルを分析した(図10〜図12に示すとおり)。図10は、それぞれ、アルミナ基材上およびシリカ基材上の白金の存在の確認する。図11および図12は、得れらた分散物を例示する。
【0137】
【表4】
(実施例8)
(材料の電気化学的に活性な表面領域)
実施例1に相同な手順を使用して本発明に従って調製したカーボンサンプル上の約40mgの白金を、Nafion1100(Aldrich)およびトリエチルホスフェート(Aldrich)と混合した。得られた混合物を、ガラス状炭素電極の表面上に塗布(滴下(drop cast))した。ボルタンメトリーを、1.0M H2SO4中で、Ag/AgCl参照電極に対して25mV/秒で実施した。一酸化炭素に曝す前後の両方でボルタモグラム(voltammogram)を取得した。曝した後、COストリッピングの間に通過した電荷を積算した。この値を使用して、47.3m2/gの電気化学的に活性な表面積を計算した。このことは、この生成物が電気化学的適用に有益であることを示す。
【0138】
本出願全体にわたって、種々の刊行物が参照される。これら刊行物の開示は、本発明の属する技術分野の状況をより完全に記載するため、その全体が参考として本明細書中で援用される。
【0139】
種々の変更および改変が本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明中でなされ得ることは、当業者に明らかである。本発明の他の実施形態は、本明細書中に開示された本発明の明細書および実施を考慮することより、当業者に明らかである。本明細書および実施例は単なる例示としてみなされ、本発明の真なる範囲および精神は添付の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1は、実施例1から得られるカーボンブラック上の白金ナノ粒子を含む組成物のX線回折パターンである。
【図2】図2は、実施例1から得られる組成物の透過型電子顕微鏡(TEM)画像であり、100nmスケールでのカーボンブラック上の白金ナノ粒子を示す。
【図3】図3は、実施例1から得られる組成物のTEM画像であり、50nmスケールでのカーボンブラック上の白金ナノ粒子を示す。
【図4】図4は、実施例1から得られる組成物のTEM画像であり、10nmスケールでのカーボンブラック上の白金ナノ粒子を示す。
【図5】図5は、異なる水素圧力下で還元される実施例2から得られる組成物のX線回折パターンである。
【0141】
a=2000psi水素還元圧力、粒子サイズ2.4nm
b=1000psi水素還元圧力、粒子サイズ2.9nm
c=500psi水素還元圧力、粒子サイズ3.0nm
d=100psi水素還元圧力、粒子サイズ3.3nm
【図6】図6は、実施例2から得られる組成物のナノ粒子サイズに対する還元圧力の効果を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例5から得られるカーボンブラック上の白金およびルテニウムを含む組成物のX線回折パターンである。
【図8】図8は、実施例6から得られるカーボンブラック上の銀のナノ粒子を含む組成物のX線回折パターンである。
【図9】図9は、50nmスケールでのカーボンブラック上に銀のナノ粒子を含む、実施例6から得られる組成物のTEM画像である。
【図10】図10は、実施例7から得られる、2つの粉末化された基材である、酸化アルミニウム(Al2O3)および二酸化シリコン(SiO2)に支持される白金のX線回折パターンである。
【図11】図11は、実施例7から得られる、20nmスケールでの二酸化ケイ素上の白金のナノ粒子を含む組成物のTEM画像である。
【図12】図12は、実施例7から得られる50nmスケールでのアルミナ上の白金のナノ粒子を含む組成物のTEM画像である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状基材に分散された金属粒子または混合された金属粒子を作製するための方法であって、該方法は、以下
a.流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、該有機金属および該粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b.該基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、該混合物と該基材との接触を維持する工程、
c.該混合物を通気する工程、
d.それによって、該基材上に該有機金属を吸着させる工程、次いで
e.還元剤を用いて、該分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記基材が炭素性材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭素性基材が、カーボンブラック、グラファイト、ナノカーボン、フラーレン、微細に粉砕された炭素、またはそれらの混合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭素性基材が、カーボンブラックを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記有機金属が、1,5−シクロオクタジエンジメチル白金[Pt(COD)Me2]、(1,5−シクロオクタジエン)(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)銀[Ag(COD)hfac]、ルテニウムアセチルアセトネート[Ru(acac)3]、またはAg(acac)、あるいはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属粒子がナノ粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属粒子がナノ粒子である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ナノ粒子が10nm未満の平均直径である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノ粒子が、約0.5nm〜約10nmの平均直径である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ナノ粒子が、約0.5nm〜約5nmの平均直径である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記金属粒子が、貴金属粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記金属粒子が、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、クロム、金、銀、ニッケル、コバルト、またはそれらの混合物、あるいはそれらの合金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記金属粒子が白金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記金属粒子が銀を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記金属粒子がルテニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記金属粒子が混合された金属粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記流体が二酸化炭素、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、クロロトリフルオロメタン、またはアンモニアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記流体が二酸化炭素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記還元する工程が、還元剤の添加による、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記還元剤が、水素、硫化水素、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記還元剤が、ガス状の水素を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記還元する工程が、圧力下である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記圧力が、前記金属粒子サイズを制御する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記有機金属が、前記混合物中に存在する間に吸着される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記有機金属が、前記混合物が通気されるときに吸着される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
工程(a)において、前記有機金属のうちの少なくともいくつかが、前記流体に溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
工程(a)において、前記有機金属の全てまたは実質的に全てが、前記流体に溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
粒子状基材に支持された分散された金属粒子を作製するための方法であって、該方法は、以下
a.超臨界流体または亜超臨界流体において有機金属を混合して、混合物を形成する工程、
b.該基材に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、粒子状基材を、超臨界条件下または亜超臨界条件下で、a)の混合物に曝露する工程、
c.該混合物を通気する工程、
d.それによって、該基材上に該有機金属を吸着させる工程、次いで
e.還元剤を用いて、該有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程
を包含する、方法。
【請求項29】
粒子状基材に支持された分散された金属粒子を作製するための方法であって、該方法は、以下
a.粒子状基材および有機金属をリアクターに添加する工程、
b.超臨界流体を該リアクターに添加して、該有機金属を含む混合物を形成する工程、
c.該基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、該有機金属と該基材との接触を維持する工程、
d.該リアクターに通気口を与える工程、
e.それによって、該基材上に該有機金属を吸着させる工程、次いで、
f.ガス状の還元剤を該リアクターに添加する工程、および
g.該有機金属が分散された金属粒子に還元されるまで、該還元剤と該有機金属とを接触させる工程
を包含する、方法。
【請求項30】
燃料電池における使用のための支持された粒子状の触媒を作製するための方法であって、該方法は、以下
a.流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、該有機金属および粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b.該基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、該混合物と該基材との接触を維持する工程、
c.該混合物を通気する工程、
d.それによって、該基材上に該有機金属を吸着させる工程、次いで、
e.還元剤を用いて、該分散された有機金属を分散された金属粒子に還元させ、それによって、支持された粒子状の触媒を形成する工程であって、ここで、該支持された粒子状の触媒は、燃料電池における使用に適切である工程
を包含する、方法。
【請求項31】
制御された触媒の粒子サイズを含む燃料電池における使用のための支持された粒子状の触媒を作製するための方法であって、該方法は、以下
a.流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、該有機金属および粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程
b.該基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、該混合物と該基材との接触を維持する工程、
c.該混合物を通気する工程、
d.それによって、該基材上に該有機金属を吸着させる工程、次いで、
e.所望の粒子サイズを形成するために効果的な圧力条件下で、還元剤を用いて、該分散された有機金属を分散された金属粒子に還元させ、それによって、制御された金属粒子サイズを含む支持された粒子状の触媒を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項32】
請求項1に記載の方法によって作製される、粒子状組成物。
【請求項33】
請求項28に記載の方法によって作製される、粒子組成物。
【請求項34】
請求項29に記載の方法によって作製される、粒子組成物。
【請求項35】
請求項30に記載の方法によって作製される、粒子組成物。
【請求項36】
請求項31に記載の方法によって作製される、粒子組成物。
【請求項37】
触媒性燃料電池であって、該触媒は、請求項32に記載の粒子組成物を含む、触媒性燃料電池。
【請求項38】
触媒性燃料電池であって、該触媒は、請求項35に記載の粒子組成物を含む、触媒性燃料電池。
【請求項1】
粒子状基材に分散された金属粒子または混合された金属粒子を作製するための方法であって、該方法は、以下
a.流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、該有機金属および該粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b.該基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、該混合物と該基材との接触を維持する工程、
c.該混合物を通気する工程、
d.それによって、該基材上に該有機金属を吸着させる工程、次いで
e.還元剤を用いて、該分散された有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記基材が炭素性材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭素性基材が、カーボンブラック、グラファイト、ナノカーボン、フラーレン、微細に粉砕された炭素、またはそれらの混合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭素性基材が、カーボンブラックを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記有機金属が、1,5−シクロオクタジエンジメチル白金[Pt(COD)Me2]、(1,5−シクロオクタジエン)(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)銀[Ag(COD)hfac]、ルテニウムアセチルアセトネート[Ru(acac)3]、またはAg(acac)、あるいはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属粒子がナノ粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属粒子がナノ粒子である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ナノ粒子が10nm未満の平均直径である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノ粒子が、約0.5nm〜約10nmの平均直径である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ナノ粒子が、約0.5nm〜約5nmの平均直径である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記金属粒子が、貴金属粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記金属粒子が、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、クロム、金、銀、ニッケル、コバルト、またはそれらの混合物、あるいはそれらの合金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記金属粒子が白金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記金属粒子が銀を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記金属粒子がルテニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記金属粒子が混合された金属粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記流体が二酸化炭素、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、クロロトリフルオロメタン、またはアンモニアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記流体が二酸化炭素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記還元する工程が、還元剤の添加による、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記還元剤が、水素、硫化水素、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記還元剤が、ガス状の水素を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記還元する工程が、圧力下である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記圧力が、前記金属粒子サイズを制御する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記有機金属が、前記混合物中に存在する間に吸着される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記有機金属が、前記混合物が通気されるときに吸着される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
工程(a)において、前記有機金属のうちの少なくともいくつかが、前記流体に溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
工程(a)において、前記有機金属の全てまたは実質的に全てが、前記流体に溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
粒子状基材に支持された分散された金属粒子を作製するための方法であって、該方法は、以下
a.超臨界流体または亜超臨界流体において有機金属を混合して、混合物を形成する工程、
b.該基材に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、粒子状基材を、超臨界条件下または亜超臨界条件下で、a)の混合物に曝露する工程、
c.該混合物を通気する工程、
d.それによって、該基材上に該有機金属を吸着させる工程、次いで
e.還元剤を用いて、該有機金属を、分散された金属粒子に還元する工程
を包含する、方法。
【請求項29】
粒子状基材に支持された分散された金属粒子を作製するための方法であって、該方法は、以下
a.粒子状基材および有機金属をリアクターに添加する工程、
b.超臨界流体を該リアクターに添加して、該有機金属を含む混合物を形成する工程、
c.該基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、該有機金属と該基材との接触を維持する工程、
d.該リアクターに通気口を与える工程、
e.それによって、該基材上に該有機金属を吸着させる工程、次いで、
f.ガス状の還元剤を該リアクターに添加する工程、および
g.該有機金属が分散された金属粒子に還元されるまで、該還元剤と該有機金属とを接触させる工程
を包含する、方法。
【請求項30】
燃料電池における使用のための支持された粒子状の触媒を作製するための方法であって、該方法は、以下
a.流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、該有機金属および粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程、
b.該基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、該混合物と該基材との接触を維持する工程、
c.該混合物を通気する工程、
d.それによって、該基材上に該有機金属を吸着させる工程、次いで、
e.還元剤を用いて、該分散された有機金属を分散された金属粒子に還元させ、それによって、支持された粒子状の触媒を形成する工程であって、ここで、該支持された粒子状の触媒は、燃料電池における使用に適切である工程
を包含する、方法。
【請求項31】
制御された触媒の粒子サイズを含む燃料電池における使用のための支持された粒子状の触媒を作製するための方法であって、該方法は、以下
a.流体と有機金属との混合物を形成するための条件下で、該有機金属および粒子状基材を、超臨界流体または亜超臨界流体に曝露する工程
b.該基材上に分散された有機金属を沈着させるのに十分な時間、該混合物と該基材との接触を維持する工程、
c.該混合物を通気する工程、
d.それによって、該基材上に該有機金属を吸着させる工程、次いで、
e.所望の粒子サイズを形成するために効果的な圧力条件下で、還元剤を用いて、該分散された有機金属を分散された金属粒子に還元させ、それによって、制御された金属粒子サイズを含む支持された粒子状の触媒を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項32】
請求項1に記載の方法によって作製される、粒子状組成物。
【請求項33】
請求項28に記載の方法によって作製される、粒子組成物。
【請求項34】
請求項29に記載の方法によって作製される、粒子組成物。
【請求項35】
請求項30に記載の方法によって作製される、粒子組成物。
【請求項36】
請求項31に記載の方法によって作製される、粒子組成物。
【請求項37】
触媒性燃料電池であって、該触媒は、請求項32に記載の粒子組成物を含む、触媒性燃料電池。
【請求項38】
触媒性燃料電池であって、該触媒は、請求項35に記載の粒子組成物を含む、触媒性燃料電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−529627(P2007−529627A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503961(P2007−503961)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/007746
【国際公開番号】WO2005/089935
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(506093430)コロンビアン ケミカルズ カンパニー (6)
【氏名又は名称原語表記】COLUMBIAN CHEMICALS COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/007746
【国際公開番号】WO2005/089935
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(506093430)コロンビアン ケミカルズ カンパニー (6)
【氏名又は名称原語表記】COLUMBIAN CHEMICALS COMPANY
【Fターム(参考)】
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