説明

超軽量断熱ボード

【課題】高温耐性生体溶解性無機繊維、発泡パーライト、結合剤を含み、さらに必要により慣用の高温耐性無機繊維を含んでもよい繊維系軽量断熱パネルを提供する。
【解決手段】繊維系軽量高温断熱パネルの作製方法であって: (a)約15質量%から約90質量%までの高温耐性生体溶解性無機繊維、約10質量%から約80質量%までの発泡パーライト、0質量%から約50質量%までの有機結合剤または0質量%から約20質量%までの無機結合剤の少なくとも1つ、および必要により0%から約70%までの慣用の高温耐性無機繊維を含む水性スラリーを準備する工程; (b)前記水性スラリーを基体上に堆積させることによって繊維系軽量断熱パネルを形成する工程; (c)基体上のスラリーを部分的に脱水して、繊維層を形成する工程; および(d)繊維層を約5質量%以下の含水率に乾燥させる工程を含む、前記方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
繊維系軽量断熱パネルは、運輸、航空、船舶および建設工業を含む様々な産業において、車体、壁、フローリング、運転室のパネルや仕切り等の製造のための使用に提供される。
【背景技術】
【0002】
ある実施態様において、繊維系軽量断熱パネルは、かなりの軽量化およびアドオン質量を最小化することが重要である防火用途における使用、特に船舶、航空/宇宙および陸上/鉄道輸送産業における使用に提供され、この場合、政府および運輸産業界の規制が耐火性および不燃性の規格の遵守を命じている。例えば、高熱抵抗率および高耐炎性を有する軽量絶縁材料は、車両の内部、例えば、運転室や貨物室、仕切り、防火戸等の防火パネルおよび構成要素、または、可燃性材料を輸送するのに適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
運輸工業において、材料は、連邦交通局(FTA)の燃焼性と耐火性の等級を満たさなければならず、また、延焼火災を遅らせ、熱伝達を制限し、かつ出火時の発煙を最小限に抑えるために、ASTM E162、ASTM 662またはASTM E119試験に基づくFTA標準に従わなければならない。
航空/宇宙産業において、材料は、特に、連邦航空規則AC 20-135に基づく15分の耐火試験または5分の耐火試験に従わなければならない。したがって、薄い、軽量の、高温耐熱性、かつ不燃性である断熱パネルが求められている。
船舶用途において、政府機関は、防火地域および他の防火用船区画におけるバルクヘッド、デッキ、およびオーバーヘッドのための適切に評価された防火壁、防火構造用断熱材および耐火性パネルを要求している。アメリカ沿岸警備隊規定によって、防火加工は、バルクヘッドの位置によっては、構造が熱と炎に対する暴露に耐えかつ約1700oF(927℃)までの温度に60分までの暴露に耐えることができなければならないことを意味する。アメリカ沿岸警備隊や国際海事機関によって必要とされる基準は、IMO Resolution A.754(18)に見られる。
典型的には、船舶のバルクヘッドやオーバーヘッドは、バルクヘッドが取り付けられた後にバルクヘッドの側に固定される絶縁ブランケットまたは絶縁パネルを用いることにより防火する。これらのブランケットまたはパネルは、非実用的であるかまたは重い質量、厚み、耐久性および可燃最上層とかなりの追加費用を加えるコーティングまたは表面仕上げに必要なもののような種々の理由のために性能低下を欠点としている。スプレーオン耐火コーティングは、適用および検査するのにより難しくかつ時間がかかり、しばしば亀裂や剥離のために取り替えまたは修復されなければならない。これにより、取り付けと維持コストが増え、船舶のためのダウンタイムが必要とされる。
耐水性であり、取り付けが容易であり、追加のトップコート、ブランケットの設置または他のタイプの耐火材料が必要でなく、現在用いられている典型的な防火パネルと比較して安価であり、低有機結合剤含量を有し、かつ非毒性で環境的に安全である、IMO(国際海事機関)のSOLAS(海上生命安全確保) A60規則、FTP Code BookおよびIMO Res.A.754(18)で詳述されたIMO FTP Code火災試験規則、高速船の耐火仕切り(HSC A60)、B0およびN30耐火等級、ASTM E162、ASTM 662およびASTM E119試験、および/または米連邦航空局規則AC 20-135に従う、薄い、軽量の、高温耐性、かつ不燃性である断熱パネルが求められている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、FTP Code (1998) Resolution A.754(18)の時間温度加熱曲線に従って試験した8つの試験片に対する燃焼試験の結果を示すグラフである。
【図2】図2は、FTP Code (1998) Resolution A.754(18)の時間温度加熱曲線に従って試験した5つの試験片に対する燃焼試験の結果を示すグラフである。
【図3】図3は、FTP Code (1998) Resolution A.754(18)の時間温度加熱曲線に従って試験した7つの試験片の燃焼試験性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
高温耐性生体溶解性無機繊維、発泡パーライト、有機結合剤および/または無機結合剤を含み、さらに必要により慣用の高温耐性無機繊維を含んでもよい繊維系軽量断熱パネルを提供する。語句“高温断熱”は、繊維系軽量断熱パネルを示すために本明細書に用いられる場合、断熱パネルが約600℃から1200℃までの温度に耐えることができることを意味する。
ある実施態様によれば、繊維系軽量高温断熱パネルは、約15質量%から約90質量%までの高温耐性生体溶解性無機繊維、約10質量%から約80質量%までのパーライト、0質量%から約50質量%までの有機結合剤、および必要により0質量%から約70質量%までの慣用の高温耐性無機繊維を含む。
さらに他の実施態様によれば、繊維系軽量高温断熱パネルは、約15質量%から約90質量%までのケイ酸マグネシウム繊維、約10質量%から約80質量%までのパーライト、0質量%から約70質量%までのミネラルウール、および0質量%から約50質量%までのアクリルラテックス結合剤を含む。
ある実施態様によれば、繊維系軽量高温断熱パネルは、実質的に不燃性であり、約15質量%から約90質量%までの高温耐性生体溶解性無機繊維、約10質量%から約80質量%までのパーライト、必要により、0質量%から約70質量%までの慣用の高温耐性無機繊維、および0質量%から約6質量%までの有機結合剤および/または0質量%から約20質量%までの無機結合剤を含む。
一実施態様によれば、繊維系軽量高温断熱パネルは、約15質量%のケイ酸マグネシウム繊維、約40質量%のミネラルウール、約40質量%の発泡パーライト、および約3.5質量%のアクリルラテックスを含む。
また、繊維系軽量高温断熱パネルを作製する方法であって、高温耐性生体溶解性無機繊維、発泡パーライト、有機結合剤および/または無機結合剤を含み、さらに必要により慣用の高温耐性無機繊維を含んでもよい水性スラリーを準備する工程、および水性スラリーを基体上に堆積させ、基体上のスラリーを部分的に脱水して、繊維層を形成させ、繊維層を約0.5質量%以下の含水率に乾燥させる工程を含む、前記方法を提供する。
さらに、繊維系軽量高温断熱パネルの作製方法であって: (a)約15質量%から約90質量%までの高温耐性生体溶解性無機繊維、約10質量%から約80質量%までの発泡パーライト、0質量%から約50質量%までの有機結合剤または0質量%から約20質量%までの無機結合剤の少なくとも1つ、および必要により0%から約70%までの慣用の高温耐性無機繊維を含む水性スラリーを準備する工程; (b)前記水性スラリーを基体上に堆積させることによって繊維系軽量断熱パネルを形成する工程; (c)基体上のスラリーを部分的に脱水して、繊維層を形成する工程; および(d)繊維層を約5質量%以下の含水率に乾燥させる工程を含む、前記方法を提供する。
【0006】
繊維系計量高温断熱パネルのある実施態様は、国際海事機関SOLAS A60、B0またはN30耐火性等級規則、ASTM E162、ASTM 662、ASTM E119、ASTM D136、 ASTM E136、またはISO 1182試験、または米連邦航空局規則AC 20-135に従う耐火性等級を有し、これらのすべてが本願明細書に組み込まれるものとする。
繊維系軽量高温断熱パネルを調製するために用いることができる適切な高温耐性生体溶解性無機繊維としては、生体溶解性アルカリ土類ケイ酸塩繊維、例えば、カルシア-マグネシア-ケイ酸塩繊維またはマグネシア-ケイ酸塩繊維、カルシア-アルミン酸塩繊維、ポタシア-カルシア-アルミン酸塩繊維、ポタシア-アルミナ-ケイ酸塩繊維、またはソジア-アルミナ-ケイ酸塩繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
用語“生体溶解性”無機繊維は、生理学的媒体においてまたは擬似生理学的媒体、例えば擬似肺液において可溶なあるいは分解可能な無機繊維を意味する。繊維の溶解性は、擬似生理学的媒体における繊維の溶解性を経時測定することによって評価され得る。生理学的媒体における繊維の生体溶解性(すなわち、非耐久性)を測定する方法は、Unifrax I LLCに譲渡された米国特許第5,874,375号明細書に開示されており、この開示内容は本願明細書に組み込まれるものとする。他の方法は、無機繊維の生体溶解性を評価するのに適している。ある実施態様によれば、生体溶解性無機繊維は、0.1gの試料として37℃の擬似肺液の0.3ml/分の流量にさらされた場合、少なくとも30ng/cm2-時間の溶解性を示す。他の実施態様によれば、生体溶解性無機繊維は、0.1gの試料として37℃の擬似肺液の0.3ml/分の流量にさらされた場合、少なくとも50ng/cm2-時間、または少なくとも100ng/cm2-時間、または少なくとも1000ng/cm2-時間の溶解性を示すことになる。
【0007】
限定されるものではないが、断熱パネルを作製するために使用し得る生体溶解性アルカリ土類ケイ酸塩繊維の適切な例としては、米国特許第6,953,757号明細書、同第6,030,910号明細書、同第6,025,288号明細書、同第5,874,375号明細書、同第5,585,312号明細書、同第5,332,699号明細書、同第5,714,421号明細書、同第7,259,118号明細書、同第7,153,796号明細書、同第6,861,381号明細書、同第5,955,389号明細書、同第5,928,075号明細書、同第5,821,183号明細書および同第5,811,360号明細書に開示されているものが挙げられ、これらの明細書の記載は本願明細書に組み込まれるものとする。
高温耐性生体溶解性アルカリ土類ケイ酸塩繊維は、典型的には、溶融形成することができ、かつ約1μmから10μmまでの範囲にある、ある実施態様においては、約2μmから約4μmまでの範囲にある平均直径を有することができるアモルファス無機繊維である。特に必要とされないが、当業者によく知られるように、繊維は選鉱処理され得る。
ある実施態様によれば、生態溶解性アルカリ土類ケイ酸塩繊維は、マグネシアとシリカの混合物の繊維化生成物を含み得る。これらの繊維は、一般に、ケイ酸マグネシウム繊維と呼ばれる。ケイ酸マグネシウム繊維は、一般的には、約60から約90質量パーセントまでのシリカと0より多く約35質量パーセントまでのマグネシアと約5質量パーセント以下の不純物の繊維化生成物を含む。ある実施態様によれば、アルカリ土類ケイ酸塩繊維は、約65から約86質量パーセントまでのシリカと約14から約35質量パーセントまでのマグネシアと0から約7質量パーセントのジルコニアと5質量パーセント以下の不純物の繊維化生成物を含む。他の実施態様によれば、アルカリ土類ケイ酸塩繊維は、約70から約86質量パーセントまでのシリカと約14から約30質量パーセントまでのマグネシアと5質量パーセント以下の不純物の繊維化生成物を含む。適切なケイ酸マグネシウム繊維は、登録商標ISOFRAX(登録商標)としてUnifrax I LLC(ナイアガラフォールズ、ニューヨーク州)から市販されている。市販のISOFRAX(登録商標)繊維は、一般的には、約70から約80質量パーセントのシリカと約18から約27質量パーセントまでのマグネシアと4質量パーセント以下の不純物の繊維化生成物を含む。ISOFRAX(登録商標)アルカリ土類ケイ酸塩繊維は、約1μmから約3.5μmまで、いくつかの実施態様においては、約2μmから約2.5μmまでの平均直径を有することができる。
【0008】
あるいは、ある実施態様によれば、生体溶解性アルカリ土類ケイ酸塩繊維は、カルシウム、マグネシウムおよびケイ素の酸化物の混合物の繊維化生成物を含み得る。これらの繊維は、一般に、カルシア-マグネシア-ケイ酸塩繊維と呼ばれる。ある実施態様によれば、カルシア-マグネシア-ケイ酸塩繊維は、約45から約90質量パーセントのシリカと、0より多く約45質量パーセントまでのカルシアと、0より多く約35質量パーセントまでのマグネシアと、10質量パーセント以下の不純物の繊維化生成物を含む。有効なカルシア-マグネシア-ケイ酸塩繊維は、登録商標INSULFRAX(登録商標)としてUnifrax I LLC(ナイアガラフォールズ、ニューヨーク州)から市販されている。INSULFRAX(登録商標)繊維は、一般的には、約61から約67質量パーセントのシリカと、約27から約33質量パーセントまでのカルシアと、約2から約7質量パーセントのマグネシアの繊維化生成物を含む。他の適切なカルシア-マグネシア-ケイ酸塩繊維は、登録商標SUPERWOOL(登録商標) 607、SUPERWOOL(登録商標) 607 MAXおよびSUPERWOOL(登録商標) HTとしてThermal Ceramics(オーガスタ、ジョージア州)から市販されている。SUPERWOOL(登録商標)607繊維は、約60から約70質量パーセントまでのシリカと、約25から約35質量パーセントまでのカルシアと、約4から約7質量パーセントのマグネシアと、微量のアルミナを含む。SUPERWOOL(登録商標)607 MAX繊維は、約60から約70質量パーセントまでのシリカと、約16から約22質量パーセントまでのカルシアと、約12から約19質量パーセントまでのマグネシアと、微量のアルミナを含む。SUPERWOOL(登録商標) HT繊維は、約74質量パーセントのシリカと、約24質量パーセントのカルシアと、微量のマグネシア、アルミナおよび酸化鉄を含む。
【0009】
ある実施態様によれば、繊維系軽量高温断熱パネルを作製するために用いることができる慣用の高温耐性無機繊維としては、耐火性セラミック繊維、例えば、アルミノケイ酸塩繊維、カオリン繊維、またはアルミナ-ジルコニア-シリカ繊維; ミネラルウール繊維; アルミナ-マグネシア-シリカファイバー、例えば、Sガラス繊維またはS2-ガラス繊維; Eガラス繊維; シリカ繊維; アルミナ繊維; ファイバーグラス; ガラス繊維; またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
耐火性セラミック繊維(RCF)は、典型的には、アルミナとシリカを含む。適切なアルミノケイ酸塩セラミック繊維は、登録商標FIBERFRAXとしてUnifrax I LLC(ナイアガラフォールズ、ニューヨーク州)から市販されている。FIBERFRAX(登録商標)セラミック繊維は、約45から約75質量パーセントまでのアルミナと約25から約55質量パーセントまでのシリカを含む溶融物の繊維化生成物を含む。FIBERFRAX(登録商標)繊維は、1540℃までの動作温度および1870℃までの融点を示す。ある実施態様において、アルミノ-ケイ酸塩繊維は、約40質量パーセントから約60質量パーセントまでのAl2O3と約60質量パーセントから約40質量パーセントまでのSiO2、いくつかの実施態様においては、約47から約53質量パーセントのアルミナと約47から約53質量パーセントまでのシリカを含むことができる。
RCF繊維は、成分材料の溶融物から吹き込みまたはスパンすることができる繊維化生成物である。RCFは、さらに、アルミナとシリカとジルコニアの繊維化生成物を、ある実施態様においては、約29から約31質量パーセントまでのアルミナと、約53から約55質量パーセントまでのシリカと、約15から約17質量パーセントまでのジルコニアの量で含み得る。RCF繊維長は、ある実施態様においては、約3mmから6.5mmまでの範囲にあり、典型的には約5mm未満であり、平均繊維径範囲は、約0.5μmから約14μmまでである。
【0010】
ある実施態様によれば、繊維系軽量断熱パネルを調製するために用いることができるミネラルウール繊維としては、ロックウール繊維、スラグウール繊維、グラスウール繊維、または輝緑岩状繊維の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。ミネラルウール繊維は、玄武岩、産業製錬スラグ等から形成することができ、典型的には、シリカ、カルシア、アルミナ、および/またはマグネシアを含む。ガラスウール繊維は、典型的には、砂とリサイクルガラス材料の溶融混合物から作成される。ミネラルウール繊維は、約1μmから約20μmまで、ある場合には、約5μmから約6μmまでの直径を有することができる。
高温耐性無機繊維は、アルミナ/シリカ/マグネシア繊維、例えば、Owens Corning、トレド、オハイオ州製のS-2 Glassを含み得る。アルミナ/シリカ/マグネシアS-2ガラス繊維は、典型的には、約64質量パーセントから約66質量パーセントまでのSiO2、約24質量パーセントから約25質量パーセントまでのAl2O3、および約9質量パーセントから約11質量パーセントまでのMgOを含む。S2ガラス繊維は、約5μmから約15μmまで、いくつかの実施態様においては、約9μmの平均直径を有することができる。
Eガラス繊維は、典型的には、約52質量パーセントから約56質量パーセントまでのSiO2、約16質量パーセントから約25質量パーセントまでのCaO、約12質量パーセントから約16質量パーセントまでのAl2O3、約5質量パーセントから約10質量パーセントまでのB2O3、約5質量パーセントまでのMgO、約2質量パーセントの酸化ナトリウムと酸化カリウムおよび微量の酸化鉄とフッ化鉄を含み、典型的な組成物が55質量パーセントのSiO2、約15質量パーセントのAl2O3、約7質量パーセントのB2O3、約3質量パーセントのMgO、約19質量パーセントのCaOおよび約0.3質量パーセントまでの微量のその他の上述した材料である。
【0011】
適切なシリカ繊維の例としては、商標BELCOTEX(登録商標)としてBelChem Fiber Materials GmbH、ドイツ、登録商標REFRASIL(登録商標)としてHitco Carbon Composites, Inc. Gardena、カリフォルニア州、呼称PS-23(登録商標)としてPolotsk-Steklovolokno、 ベラルーシ共和国から入手可能な溶出ガラス繊維が挙げられる。溶出ガラスシリカ繊維の製造方法は、米国特許第2,624,658号明細書や欧州特許出願公開第0973697号明細書に含まれている。
一般に、溶出ガラスシリカ繊維は、少なくとも約67質量パーセントのシリカ含有量を有する。ある実施態様において、シリカ繊維は、少なくとも約90質量パーセント、これらのある実施態様においては、約90質量パーセントから約99質量パーセント未満までのシリカを含有する。
これらの溶出ガラスシリカ繊維の平均繊維径は、少なくとも約3.5μmより大きく、しばしば少なくとも約5μmより大きいことがあり得る。平均して、シリカ繊維は、典型的には、約9μm、約14μmまでの直径を有し、吸入可能ではない。
BELCOTEX(登録商標)繊維は、標準タイプのステープル繊維プレヤーンである。これらの繊維は、約550テックスの平均繊度を有し、一般にアルミナによって変性されたケイ酸から作成される。BELCOTEX(登録商標)繊維は、アモルファスであり、一般的には、約94.5質量パーセントのシリカ、約4.5質量パーセントのアルミナ、0.5質量パーセント未満の酸化物、および0.5質量パーセント未満の他の成分を含有する。これらの繊維は、約9μmの平均繊維径および1500℃〜1550℃の範囲の融点を有する。これらの繊維は、1100℃までの耐熱性がある。
【0012】
REFRASIL(登録商標)繊維、同様にBELCOTEX(登録商標)繊維は、1000℃〜1100℃の温度範囲での用途に断熱をもたらすシリカ含有量の高いアモルファスの溶出ガラス繊維である。これらの繊維は、直径が約6μmと約13μmの間であり、約1700℃の融点を有する。溶出後、繊維は、典型的には約95質量パーセントのシリカ含有量を有する。アルミナは、約4質量パーセントの量で存在することができ、他の成分が1パーセント以下の量で存在する。
Polotsk-Steklovolokno製のPS-23(登録商標)繊維は、シリカ含有量が高いアモルファスガラス繊維であり、少なくとも約1000℃に対する耐性を必要とする用途のための断熱に適している。これらの繊維は、約5mm〜約20mmの範囲の繊維長および約9μmの繊維の直径を有する。REFRASIL(登録商標)繊維のようなこれらの繊維は、約1700℃の融点を有する。
パーライトは、典型的には、約70-75%のSiO2、約12-15%のAl2O3、それぞれ約5%未満のNa2O、K2O、MgOおよびCaOおよび約2-5%の結合水を含む天然に存在する火山鉱物である。未精製のパーライトは、約850℃〜900℃に加熱することによって最初の体積を約4から約20倍まで発泡させ、本題の軽量パネルの配合におけるその使用の前に、約10μmから約50μmまでの粒径に、または325メッシュより小さいメッシュにすりつぶしてもよいが、これは重要でない。典型的には、発泡後、パーライト粒子の少なくとも約0%から約31%までを+70メッシュスクリーンによって保持し、パーライト粒子の少なくとも約0%から約51%までを+140メッシュスクリーンによって保持し、パーライト粒子の少なくとも約1%から約77%までを+325メッシュスクリーンによって保持する。
パーライトは、多数の商業的な供給源から入手することができ、立方メートル当たりのキログラム(kg/m3)の密度によって計量的であり得る。ある実施態様によれば、繊維系軽量断熱パネルを調製するために用いられるパーライトは、約30kg/m3から約150kg/m3までの密度を有する発泡パーライトである。ある実施態様において、パーライトは55kg/m3〜146kg/m3の範囲にある密度を有する。
【0013】
繊維系軽量高温断熱パネルは、1つ以上の有機結合剤をさらに含むことができる。1つ以上の有機結合剤は、固体、液体、溶液、分散液、ラテックス、または相似の形態として供給することができる。適切な有機結合剤の例としては、アクリルラテックス、(メタ)アクリルラテックス、フェノール樹脂、スチレンとブタジエン、ビニルピリジン、アクリルニトリルの共重合体、アクリルニトリルとスチレン、塩化ビニルの共重合体、塩化ビニル、ポリウレタン、酢酸ビニルとエチレンの共重合体、ポリアミド、シリコーン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルブチレートのラテックス)等が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様によれば、繊維系軽量断熱パネルは、アクリルラテックス結合剤を用いる。
有機結合剤は、パネルの全質量に基づき、0から約50質量パーセントまで、ある実施態様においては、0から約20質量パーセントまで、いくつかの実施態様においては、0から約10質量パーセントまでの量で断熱パネルに含まれ得る。断熱パネルが不燃性である実施態様において、有機結合剤は、0から6質量パーセントまでの量で含まれ得る。
パネルは、樹脂結合剤または液体結合剤の代わりに、またはそれに加えて、ポリマー結合剤繊維が含まれ得る。これらのポリマー結合剤繊維は、存在する場合には、100質量パーセントの組成物全体に基づき、0より多く約5質量パーセントまで、他の実施態様においては、0から約2質量パーセントまでの範囲にある量で用いて、繊維を一緒に結合するのに援助することができる。結合剤繊維の適切な例としては、ポリビニルアルコール繊維、ポリオレフィン系繊維、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、アクリル繊維、ポリエステル系繊維、エチル酢酸ビニル繊維、ナイロン繊維およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0014】
結合剤のための溶媒は、必要とされる場合には、水または用いられる結合剤に適切な有機溶媒、例えばアセトンが含まれ得る。溶媒(用いられる場合)中の結合剤の溶液濃度は、望ましい結合剤負荷および結合剤系のワーカビリティー(粘度、固形分含量等)に基づく慣用の方法によって求めることができる。
パネルには、無機結合剤が含まれてもよい。限定されるものではないが、適切な無機結合剤としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、およびこれらの混合物のコロイド分散液が挙げられる。無機結合剤は、存在する場合には、組成物の全質量に基づき、0から約20質量パーセントまでの範囲にある量で用いることができる。
繊維系軽量断熱パネルを作製する方法は、高温耐性生体溶解性無機繊維、発泡パーライト、有機結合剤および/または無機結合剤、および必要により慣用の高温耐性無機繊維を含むマットまたはシートを作製する工程を含む。繊維系軽量高温断熱パネルは、シート状材料を形成する技術において既知の方法で得ることができる。例えば、慣用の製紙プロセス(ハンドレイドまたはマシンレイド)は、シート材料を作製するために用いることができる。ハンドシート型、長網抄紙機、ロトフォーマー抄紙機または既知の製紙機または他の装置のいずれかを、繊維材料のスラブ、ボードまたはシートを形成するための成分のスラリーからシート材料を作成するために使うことができる。
また、組成物の防火性と耐熱性に影響しない限り、分散剤、歩留向上剤、凝集剤、染料、色素、酸化防止剤、界面活性剤、撥水剤、充填剤、難燃剤等の他の成分をスラリー中に存在させることができる。成分は一緒にいかなる順序で混合されてもよいが、充分ブレンドが達成されるまで混合される。
【0015】
例えば、多くの成分を含有する凝結スラリーを調製することができる。スラリーには、高温耐性生体溶解性繊維、慣用の高温耐性無機繊維、発泡パーライト、有機結合剤およびキャリア液、例えば水が含まれ得る。スラリーを、凝集剤と濾水歩留まり向上剤の化学薬品によって凝結させることができる。凝結した混合物またはスラリーを製紙機に配置して、繊維含有マットまたは紙のプライまたはシートに形成させることができる。シートは、自然乾燥またはオーブン乾燥によって乾燥させることができる。使われる標準製紙技術のより詳細な説明については、米国特許第3,458,329号明細書を参照のこと、この開示内容は、本願明細書に組み込まれるものとする。
あるいは、プライまたはシートは、スラリーを減圧注型することによって形成され得る。この方法によれば、成分のスラリーは、浸透性ウェブに湿式撚糸される。ウェブを減圧して、スラリーから水分の大部分を抽出し、それによって、湿式のシートが形成される。次に、湿式プライまたはシートを、典型的にはオーブンで乾燥する。シートを一組のローラーに通過させて、乾燥の前にシートを圧縮させることができる。組成物を圧縮させて、火炎または高温から物体を保護するために使用し得る薄い軽量の低密度シートを形成させることができる。
約1/8インチ(0.3cm)から約2インチ(5.1cm)以上まで、いくつかの実施態様においては約1インチ(2.5cm)の種々のパネル厚が形成され得る。約100グラム/平方メートル(g/m2または“gsm”)から約5000gsm、いくつかの実施態様においては、約1000gsmから約3000gsmまでの範囲にある基本質量を有するパネル製品が形成され得る。
上記のプロセスはパネルを作成することに関するが、所望される場合には、形成された形状が上記の配合物から作成され得ることは理解されるであろう。この場合には、基本的な形状は、最初の操作の間に乾燥機に入る前に形成され得る。そのプロセスは、形状製品を形成する技術において周知である。
下記の実施例は、さらに、繊維系軽量高温断熱パネルおよびパネルを作製する方法の例示的実施例態様を例示するためだけのものである。これらの実施例が例示だけのためにあり、主題の繊維系軽量高温断熱パネル、繊維系軽量高温断熱パネルの作製方法、繊維系軽量高温断熱パネルを組み込んでいる製品および繊維系軽量高温断熱パネルの使用方法を制限するものとしてみなしてはならないことは理解すべきである。
【0016】
試験シリーズ1
繊維系高温断熱パネルの試験片を、表Iに示される配合物を含むパネルを用いて、FTP Code (1998) Resolution A.754(18)の時間温度加熱曲線に従って試験するために作製し、以下に記載されるように得た。
【0017】
表1



Isofrax生体溶解性繊維は、Unifrax 1 LLC(ナイアガラフォールズ、ニューヨーク州)から市販されている。
約93kg/m3の密度を有する「高い」密度パーライトは、Harborlite Corporation(Lompoc、カリフォルニア州)から市販されている。
約72kg/m3の密度を有する「中」密度パーライト。
約56kg/m3の密度を有する「低」密度パーライト。
ミネラルウールは、Fibrox Technology, Ltd.(セットフォードマインズ、ケベック、カナダ)から入手可能なFibrox 030ミネラルウールとした。
結合剤は、アクリル樹脂とした。
【0018】
低密度パネルのための配合成分を合わせ、混合し、研究室キャスターにおいて手でパネルに形成した。低密度ボードはすべて、2000gsmの基本質量規格に作成した。しかしながら、主題の繊維系軽量高温断熱パネルは、約500gsmから約6000gsmまでの基本質量を有することができる。試験シリーズ1のパネルの全てが、約4lb/ft3から約10lb/ft3まで(約60kg/m3から約160kg/m3まで)の密度範囲に、特に約4.5lb/ft3から約6lb/ft3(約72kg/m3から約96kg/m3まで)の範囲に入った。比較すると、Duraboard(登録商標) LD材料の密度は、一般的には約14-21lb/ft3、典型的には14-18lb/ft3である。
上記の成分から約1質量%固形分を含有する水中で混合しながら水性スラリーを形成した。次に、スラリーを15インチ(38cm)のHgの真空を用いて60メッシュスクリーンを通過させた。スラリーからマットの真空成形後、実質的に全ての水が除去されるまで、マットを120℃において対流式オーブンで乾燥させ、剛性パネルを得た。
得られたボードは、4-10lb/ft3(60 - 160kg/m3)の密度および約15-20psi(103-138kPa)の曲げ強さを有した。板の厚みは、0.5-1.2インチ(1.3-3.1cm)の範囲にあった。
【0019】
試験プロトコール: 燃焼試験
断熱パネルを国際海事機関の(“IMO”) SOLAS A60規則に取り入れられるFTP Code FTP Code(1998)Resolution A.754(18)の時間温度加熱曲線に従って試験し、この記載は本願明細書に組み込まれるものとする。
IMO SOLAS A60は、関連部分で以下を示す:
SOLAS A60は証明される(60分の耐火区画パネル) -、A60バルクヘッドに対するFTP Codeに示される火災試験(制限的)、FTP Code BookおよびIMO Resolution A.754.(18)に詳述されるA60 Deck Fire試験基準
この試験法についての合格/不合格の基準は、以下の通りである:
最高平均低温面温度:
周囲にわたって140℃(284oF)(所定の評価の時間の終わりに)。
シングル低温面温度:
周囲にわたって180℃(256oF)(所定の評価の時間の終わりに)。
アルミニウム構造コアの最高温度:
周囲にわたって200℃(392oF)(所定の評価の時間の終わりに)。
SOLAS A60燃焼試験プロトコールは、関連部分で、以下を示す:
パネル試料を製造し、11.5"×11.5"平方に切断し、0.5から1.2"厚さの範囲にある。
試験材料を取り付け、13ゲージ(0.089")、12"×12"アルミニウムプレートに4本の溶接点ピンと4つの1 1/2"直径丸座を用いてピンで留めることにより位置決めする。
試料を炉開口部に垂直に定置させ、絶縁側は炉に面している。
4つの熱電対をアルミニウムプレートの露出されていない面上に配置され、1/4"の厚い絶縁紙でおおい、プレートにテープでとめる。
標準IMO加熱曲線に示されるようにIMO Resolution A.754(18)の規則に従って天然ガスバーナで炉を加熱する:
T = 345 log(8t + 1)+20
ここで、Tは、平均炉温度(℃)であり、tは、時間(分)である。
時間、炉温、および露出されていない面温度を記録する。
露出されていない面温度が初期温度より高い500oF(260℃)に達する時間(分)としてデータを示す。
算出データは、4つの露出されていない面の熱電対の表示の平均に基づく。
【0020】
図1: 燃焼試験結果
表1に記載されている繊維系断熱パネルの8つの試験片を上記の方法に示されるように試験した。図1は、8つのパネル試験片、すなわち、実施例1-8について露出されていない面温度が初期温度より高い500oF(260℃)に達する時間を分で示す棒グラフである。
図1に示されるように、燃焼試験は繊維系パネルに発泡パーライトを加えるとその熱抵抗が増加することを示している。さらにまた、パーライト装填レベルを上げるとパネルの性能がさらに高くなる。発泡パーライトの密度を低下させると熱抵抗性能が高くなる。高温耐性繊維および約56kg/m3の密度を有する“低”密度パーライトで作成されたパネルによって最良の性能結果が得られた。
一般に、ミネラルウールのレベルを低下させつつ生体溶解性繊維のレベルを上昇させると、表2に示されるように、パネルの性能が高くなる。表2に示されるミネラルウール質量%に従って、Isofrax(登録商標)生体溶解性繊維とミネラルウールを一連の7lb/ft3ブランケットに合わせた。試料を、500oF(260℃)で3時間燃焼試験し、続いて2000oF(1093℃)まで高速昇温させた。周囲温度より高い250oF(121℃)に達する時間を、2000oF(1093℃)昇温を開始する時間とともに表2に示す。
【0021】
表2


【0022】
試験シリーズ2
燃焼試験結果
さらに、標準密度を有する市販の断熱パネルの4つの試験片を、製造ロットから用い、SOLAS A60規則に基づく国際海事機関によって命じられたプロトコールに従って試験のためのサイズに切断した。特に、比較のパネルは、以下を含んだ:
a. Fiberfrax(登録商標) DURABOARD(登録商標)セラミック繊維パネル-2000gsm、1/4インチ(0.6cm)
b. Fiberfrax(登録商標) DURABOARD(登録商標)セラミック繊維パネル-4000gsm、1/2インチ(1.3cm)
c. Fiberfrax(登録商標) DURABOARD(登録商標)セラミック繊維パネル-6000gsm、3/4インチ(1.9cm)
d. Fiberfrax(登録商標) DURABOARD(登録商標)セラミック繊維パネル-8000gsm、1インチ(2.5cm)
これらの4枚の市販のパネルに対する燃焼結果を、本題の超軽量パネルに比較して図2に示す。図2は、露出されていない面温度が5枚のパネル試験片、すなわち、種々の密度と厚みでの4つの市販の断熱パネルと、2000gsmの密度を有する1インチ超軽量パネル(試験シリーズ1の実施例8)の初期温度より高い500oF(260℃)に達する時間を分で示す棒グラフである。
図2に示されるように、燃焼試験結果は、市販の標準密度ボード製品と比較した場合に、実施例8(2000gsm、1")の超軽量パネルは同じ質量のボード(すなわち、Duraboard、2000gsm 1")より非常に優れ、そして、3倍重い(すなわち、Duraboard 6000gsm、3/4")パネルより著しく優れたことを示している。
【0023】
試験シリーズ3
燃焼試験結果
図3は、下記の組成物を有する7枚のパネルの燃焼試験性能を示すグラフである:
a. 1平方メートルにつき1800グラムの基本質量を有するFiberfrax(登録商標) Duraboard(登録商標) LD1セラミック繊維ボード。
b. 1平方メートルにつき2000グラムの基本質量を有する生体溶解性繊維および30%のバーミキュライト紙を含むパネル。
c. RCFを含みかつ1平方メートルにつき1456グラムの基本重質量を有する慣用の高温無機繊維を含有する1層の非膨張性絶縁マット。
d. 1平方メートルにつき1860グラムの基本質量を有する生体溶解性繊維、非吸入性無機繊維、および有機結合剤および無機結合剤を含有する2層のIsofrax QSP2紙。
e. パーライトを含有せず、1平方メートルにつき2000グラムの基本質量を有する試験シリーズ1からの実施例1の紙。
f. 1平方メートルにつき2000グラムの基本重量を有する試験シリーズ1からの実施例4のパネル。
g. 1平方メートルにつき2000グラムの基本重量および約4.5lb/ft2の密度を有する、試験シリーズ1から実施例8のパネル。
1 Fiberfrax(登録商標) Duraboard(登録商標) LDは、Unifrax I LLCから入手可能な、Fiberfrax(登録商標)アルミナ-シリカ繊維および結合剤を含む剛性高温セラミック繊維パネルである。
2 Isofrax(登録商標) QSP Insulationは、Unifrax I LLCから入手可能なIsofrax(登録商標) 1260℃繊維を含む薄く柔軟な不織絶縁材料である。
それぞれの紙とパネル(ボード)を、アルミニウムプレートにピンで留め、試験シリーズ1に記載されるように燃焼試験した。
【0024】
まとめると、このデータから、高温耐性生体溶解性繊維、発泡パーライト、高温耐性無機繊維および5%以下の有機結合剤を含む繊維系軽量断熱パネルが他の市販の材料と比較して耐火性が増加したことが証明される。繊維系軽量断熱パネルは、実質的に不燃性であり、国際海事機関SOLAS A60耐火性等級試験またはB0またはN30耐火試験を合格する。
ISO 1182試験装置は、耐火性管状炉、直径75mm、高さ150mmからなる。管は最上部と最下部で開放し、自然対流のために炉に空気が流れ込む。空気流を安定化するために、円錐状トランジションピースが炉の底部に設けられている。炉内部の空気温度は、試験の前に750℃に安定化される。円筒状試験片、直径45mm、高さ50mmを試験の開始時に炉に挿入する。シース熱電対を用いて、炉空気(Tf)、試験片の表面(Ts)、および試験片の内部(Tc)の温度を測定する。FTP Code(2000年5月付のIMP FP 44/18に対するAnnex 3)のIMO解釈に従って、30分の一定の時間試験が行われる。発炎時間を試験の間記録し、試験前と炉から取り出しデシケータ内で冷却後に質量測定に基づいて試験片の減量を定量する。ISO 1182:1990は、各試料について一連の5つの試験が行われることが必要である。
一連の5つの試験について、下記の基準が満たされる場合には、材料はFTP Codeのパート1に従って「不燃性」と分類される:
1. 平均最高炉温度上昇、ΔTf(参照として最終温度)は、30℃を超えない;
2. 平均最高表面温度上昇、ΔTs(参照として最終温度)は、30℃を超えない;
3. 持続する有炎燃焼の平均時間は、10sを超えない;および
4. 平均質量減少(最初の試料片質量に対して)は、50パーセントを超えない。
表3は、試験シリーズ1の実施例4の5つの試料について上記の通り行われた試験の結果を示すものである。全5つの試料は、不燃性のための基準を合格した
【0025】
表3


【0026】
本題の繊維系軽量高温断熱パネルの例示的実施態様は、高温耐性生体溶解性無機繊維、発泡パーライト、結合剤、および必要により慣用の高温耐性無機繊維を含む。
ある実施態様において、例示的実施態様の繊維系軽量高温断熱パネルは、約15質量%から約90質量%までの高温耐性生体溶解性無機繊維、約10質量%から約80質量%までのパーライト、0質量%を超え約50質量%までの有機結合剤、および必要により0質量%から約70質量%までの慣用の高温耐性無機繊維を含むことができる。
ある実施態様において、上記実施態様のいずれかの繊維系軽量高温断熱パネルは、約0質量%から約70質量%までのミネラルウール、約10質量%から約80質量%までの発泡パーライト、15質量%から約90質量%までのケイ酸マグネシウム繊維、および0質量%より多く約50質量%までのアクリルラテックス結合剤を含むことができる。
ある実施態様において、上記実施態様の繊維系軽量高温断熱パネルは、0質量%から約6質量%までの有機結合剤および/または0質量%から約20質量%までの無機結合剤を含むことができ、ここで、絶縁体パネルは不燃性である。
ある実施態様において、直前の実施態様の繊維系軽量高温断熱パネルは、0質量%から約70質量%までのミネラルウール、約10質量%から約80質量%までの発泡パーライト、約15質量%から約90質量%までのケイ酸マグネシウム繊維、および0質量%より多く約6質量%までのアクリルラテックス結合剤を含むことができる。
ある実施態様において、直前の実施態様の繊維系軽量高温断熱パネルは: ミネラルウールを0質量%から約40質量%までの量で; 発泡パーライトを約20質量%から約60質量%までの量で; ケイ酸マグネシウム繊維を30質量%から約70質量%までの量で; アクリルラテックス結合剤を2質量%から約4質量%までの量で; およびポリビニルアルコールを0質量%から1質量%までの量で含むことができる。
【0027】
ある実施態様において、上記実施態様のいずれかの繊維系軽量高温断熱パネルには、慣用の高温耐性無機繊維が耐火性セラミック繊維、アルミナ-シリカ繊維、ミネラルウール繊維、溶出ガラスシリカ繊維、ファイバーグラス、ガラス繊維の少なくとも1つまたはこれらの混合物を含み; さらに/または高温耐性生体溶解性繊維がアルカリ土類ケイ酸塩繊維、カルシア-アルミン酸塩繊維、ポタシア-カルシア-アルミン酸塩繊維、ポタシア-アルミナ-ケイ酸塩繊維、またはソジア-アルミナ-ケイ酸塩繊維を含み、ここで、必要により、アルカリ土類ケイ酸塩繊維がカルシウム-マグネシア-がケイ酸塩繊維またはマグネシウム-ケイ酸塩繊維の少なくとも1つを含んでもよいことが含まれ得る。
ある実施態様において、上記実施態様のいずれかの繊維系高温断熱パネルには、結合剤が約1質量%から約5質量%までアクリルラテックスを含む有機結合剤を含み、ここで、必要により、有機結合剤が約1質量%から約10質量%までのアクリルラテックスを含んでもよいことが含まれ得る。
ある実施態様において、上記実施態様のいずれかの繊維系軽量高温断熱パネルには、結合剤が5質量%までの有機結合剤繊維を含むことが含まれ得る。
ある実施態様において、上記実施態様のいずれかの繊維系軽量高温断熱パネルには、発泡パーライトが約30kg/m3から約150kg/m3までの範囲にある密度を有し、ここで、必要により、発泡パーライトが約55kg/m3から約146kg/m3までの範囲にある密度を有してもよいことが含まれ得る。
ある実施態様において、上記実施例のいずれかの繊維系軽量高温断熱パネルが約72kg/m3から約96kg/m3までの密度を有することができる。
【0028】
ある実施態様において、上記実施態様のいずれかの繊維系軽量高温断熱パネルが約500gsmから約6,000gsmまでの基本重量を有することができる。
繊維系軽量高温断熱パネルを作製する方法の例示的実施態様は: (a)約15質量%から約90質量%までの高温耐性生体溶解性無機繊維、約10質量%から約80質量%までの発泡パーライト、0質量%から約50質量%までの有機結合剤または0質量%から約20質量%までの無機結合剤の少なくとも1つ、および必要により0%から約70%までの慣用の高温耐性繊維を含む結合剤を含み、さらに、必要により、分散剤、歩留向上剤、凝集剤、染料、色素、酸化防止剤、界面活性剤、撥水剤、充填剤または難燃剤の少なくとも1つを含んでもよい水性スラリーを準備する工程; (b)前記水性スラリーを基体上に堆積させることによって繊維系軽量断熱パネルを形成する工程; (c)基体上のスラリーを部分的に脱水して、繊維層を形成する工程; (d)繊維層を約5質量%以下の含水率に乾燥させる工程を含むことができる。
ある実施態様において、上記の例示的実施態様の上記の方法には、さらに、結合剤が0質量%より多く約6質量%までの有機結合剤または0質量%より多く約20質量%までの無機結合剤の少なくとも1つであり、ここで、断熱パネルが不燃性であることが含まれ得る。
ある実施態様において、上記の例示的実施態様の上記の方法は、さらに、基体上のスラリーに異なる減圧をかけて、スラリーから水を除去する工程を含むことができる。
繊維系軽量断熱パネルおよびその調製方法が種々の例示的実施態様と共に記載してきたが、本明細書に記載されている実施態様が単に例示的であり、当業者が本発明の精神と範囲から逸脱することなく変形および変更を行うことができることは理解されるであろう。すべてのその変形および変更は、本明細書において特許請求の範囲内に包含されるものである。さらに、種々の実施態様が所望の結果を得るように組み合わせることができるので、開示されたすべての実施態様が必ずしも変形例ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温耐性生体溶解性無機繊維、発泡パーライト、結合剤、および必要により慣用の高温耐性無機繊維を含む繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項2】
パネルが、約15質量%から約90質量%までの高温耐性生体溶解性無機繊維、約10質量%から約80質量%までのパーライト、0質量%より多く約50質量%までの有機結合剤、および必要により0質量%から約70質量%までの慣用の高温耐性無機繊維を含む、請求項1に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項3】
パネルが、0質量%から約70質量%までのミネラルウール、約10質量%から約80質量%までの発泡パーライト、約15質量%から約90質量%までのケイ酸マグネシウム繊維、および0質量%より多く約50質量%までのアクリルラテックス結合剤を含む、請求項1または2に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項4】
結合剤が、0質量%から約6質量%までの有機結合剤および/または0質量%から約20質量%までの無機結合剤を含み、ここで、断熱パネルが不燃性である、請求項1または2に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項5】
パネルが、0質量%から約70質量%までのミネラルウール、約10質量%から約80質量%までの発泡パーライト、約15質量%から約90質量%までのケイ酸マグネシウム繊維、約15質量%から約90質量%までのケイ酸マグネシウム繊維、および0質量%より多く約6質量%までのアクリルラテックス結合剤を含む、請求項4に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項6】
ミネラルウールを0質量%から約40質量%までの量で;
発泡パーライトを約20質量%から約60質量%までの量で;
ケイ酸マグネシウム繊維を約30質量%から約70質量%までの量で;
アクリルラテックス結合剤を2質量%から約4質量%までの量で; および
ポリビニルアルコールを0質量%から約1質量%までの量で
含む、請求項5に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項7】
慣用の高温耐性無機繊維が、耐火性セラミック繊維、アルミナ-シリカ繊維、ミネラルウール繊維、溶出ガラスシリカ繊維、ファイバーグラス、ガラス繊維の少なくとも1つまたはこれらの混合物を含み; さらに/または高温耐性生体溶解性繊維が、アルカリ土類ケイ酸塩繊維、カルシア-アルミン酸塩繊維、ポタシア-カルシア-アルミン酸塩繊維、ポタシア-アルミナ-ケイ酸塩繊維、またはソジア-アルミナ-ケイ酸塩繊維を含み、ここで、必要により、アルカリ土類ケイ酸塩繊維が、カルシウム-マグネシア-ケイ酸塩繊維またはマグネシウム-ケイ酸塩繊維の少なくとも1つを含んでもよい、請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項8】
結合剤が、約1質量%から約10質量%までのアクリルラテックスを含む有機結合剤を含み、ここで、必要により、有機結合剤が、約1質量%から約5質量%までのアクリルラテックスを含んでもよい、請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項9】
結合剤が、5質量%までの有機結合剤繊維を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項10】
発泡パーライトが、30kg/m3から約150kg/m3までの範囲にある密度を有し、ここで、必要により、発泡パーライトが、約55kg/m3から約146kg/m3までの範囲にある密度を有してもよい、請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項11】
約72kg/m3から約96kg/m3までの密度を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項12】
約500gsmから約6,000gsmまでの基本重量を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の繊維系軽量高温断熱パネル。
【請求項13】
繊維系軽量高温断熱パネルを作製する方法であって、
(a)約15質量%から約90質量%までの高温耐性生体溶解性無機繊維、
約10質量%から約80質量%までの発泡パーライト、
0質量%から約50質量%までの有機結合剤または0質量%から約20質量%までの無機結合剤の少なくとも1つ、および
必要により0%から約70%までの慣用の高温耐性繊維を含む結合剤を含み、さらに、必要により、分散剤、歩留向上剤、凝集剤、染料、色素、酸化防止剤、界面活性剤、撥水剤、充填剤または難燃剤の少なくとも1つを含んでもよい水性スラリーを準備する工程;
(b)前記水性スラリーを基体上に堆積させることによって繊維系軽量断熱パネルを形成する工程;
(c)基体上のスラリーを部分的に脱水して、繊維層を形成する工程;
(d)繊維層を約5質量%以下の含水率に乾燥させる工程
を含む、前記方法。
【請求項14】
結合剤が、0質量%より多く約6質量%までの有機結合剤または0質量%より多く約20質量%までの無機結合剤の少なくとも1つであり、ここで、断熱パネルが不燃性である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
基体上のスラリーに異なる減圧をかけて、スラリーから水を除去する工程をさらに含む、請求項13または14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−509539(P2013−509539A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532066(P2012−532066)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/002654
【国際公開番号】WO2011/040968
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(500421462)ユニフラックス ワン リミテッド ライアビリティ カンパニー (19)
【Fターム(参考)】