説明

超電導コイルおよび超電導機器

【課題】並列化された超電導線材間において、電流の偏りを抑制することが可能な超電導コイルおよび超電導機器を提供する。
【解決手段】超電導コイルであるコイル100Sは、導電体部分(銀シース部22)を含む複数本の超電導線材である超電導テープ線材10、20と、複数本の当該超電導テープ線材10、20と並列に配置された絶縁材である絶縁テープ材30とを備える。複数本の超電導テープ線材10、20における導電体部分(銀シース部22)が直接接触した状態で、複数本の超電導テープ線材10、20と絶縁テープ材30とが中心軸を中心として巻回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超電導コイルおよび超電導機器に関し、より特定的には、複数の超電導線材を並列に巻回した超電導コイルおよび超電導機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超電導線材を用いた超電導コイルや、当該超電導コイルを用いた超電導機器が知られている。そして、このような超電導線材を用いた超電導コイルなどに大電流を流すため、当該超電導線材を並列接続することが検討されている(たとえば、特開2009−43910号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
特許文献1では、電動機などに代表される超電導回転機などの超電導機器に超電導線材を適用する場合、許容電流を増大させるために複数本の超電導線材を並列に接続して集合化することが示唆されている。また、特許文献2においては、このような超電導線材を並列化する場合に、超電導線材が水分と接触することで劣化したり、機械的強度が弱いといった点を改善するため銅など金属ケース中に複数本の超電導線材を配置し、当該金属ケースの開口部をはんだなどの封止材で封止した、集合導体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−43910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような超電導線材を並列化して超電導コイルなどを構成する場合、書く超電導線材のわずかなインダクタンスの相違によりそれぞれの超電導線材に流れる電流に偏りが生じる。特許文献1では、このような電流の偏りを、超電導線材と当該超電導線材に接続される電極との接触抵抗を制御することで抑制できるとしている。
【0006】
しかし、このように超電導線材と電極との接続部における接触抵抗を正確に制御するためには、当該電極と超電導線材との接続工程の作業条件を厳密に管理する必要があり、結果的に超電導コイルなどの超電導機器の製造工程を複雑化するとともに、超電導機器の製造コストの増大の一因ともなる。超電導機器の実用化のためには、製造コストをできるだけ低減することが必要であることから、並列化された超電導線材間での電流の偏りを抑制する、より簡便かつ確実な方法が求められている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、並列化された超電導線材間において、電流の偏りを抑制することが可能な超電導コイルおよび超電導機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従った超電導コイルは、導電体部分を含む複数本の超電導線材と、複数本の当該超電導線材と並列に配置された絶縁材とを備える。複数本の超電導線材における導電体部分が直接接触した状態で、複数本の前記超電導線材と絶縁材とが中心軸を中心として巻回されている。
【0009】
このようにすれば、並列化された複数本の超電導線材の電位は同じになるため、超電導線材間でのインダクタンスの相違は発生しない。そのため、結果的に超電導線材間で流れる電流の偏りを抑制できる。また、上記超電導コイルでは、複数本の超電導線材の導電体部分を直接接触させるという比較的簡単な構成により超電導線材間のインダクタンスの差を実質的に無くしているので、超電導コイルの製造工程が複雑化することを避けることができる。このため、超電導線材間で流れる電流の偏りを抑制するために超電導コイルや超電導機器の製造工程が複雑化することを避けることができる。この結果、製造コストの増大を抑制しながら、並列化された超電導線材間での電流の偏りを抑制できる。
【0010】
この発明に従った超電導機器は、上記超電導コイルを備える。この場合、製造コストの増大を抑制しながら、超電導コイルを構成する、並列化された超電導線材間での電流の偏りを抑制することが可能な超電導機器を実現できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造コストの増大を抑制しながら、並列化された超電導線材間での電流の偏りを抑制可能な超電導コイルおよび超電導機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に従った超電導コイルを示す平面模式図である。
【図2】図1に示す線分II−IIにおける部分断面模式図である。
【図3】図2に示した超電導コイルの断面の一部を説明するための拡大部分断面模式図である。
【図4】図1〜図3に示した超電導コイルの製造方法を説明するための模式図である。
【図5】図1〜図3に示した超電導コイルの第1の変形例を説明するための拡大部分断面模式図である。
【図6】図1〜図3に示した超電導コイルの第2の変形例を説明するための拡大部分断面模式図である。
【図7】本発明による超電導機器の実施の形態を示す断面模式図である。
【図8】図7に示した超電導機器のロータを示す斜視模式図である。
【図9】図7に示した超電導機器のステータを示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0014】
図1〜図3を参照して、本発明による超電導コイルを説明する。
図1〜図3を参照して、本発明によるコイル100Sは、超電導コイルであって、超電導線材である超電導テープ線材10、20と絶縁材としての絶縁テープ材30とが並列に巻回されることにより構成されている。具体的には、図2に示すように、コイル100Sの内周側から絶縁テープ材30、超電導テープ線材20および超電導テープ線材10が並列に配置された線材集合体が、コイル100Sの中心軸を中心に巻回されることにより、コイル100Sが構成されている。
【0015】
図3に示すように、超電導テープ線材10は、銀または銀合金からなる銀シース部12と、当該銀シース部12に周囲を囲まれた超電導フィラメント部13とからなる。超電導フィラメント部13は、銀または銀合金からなるマトリックス材と、当該マトリックス材の内部に分散配置された、複数本の超電導体からなるフィラメントとを含む。フィラメントは超電導テープ線材10の延在方向に沿うように配置されている。超電導テープ線材10と超電導テープ線材20とは、基本的に同じ構造を備えている。すなわち、超電導テープ線材20も図3に示すように銀シース部22の内部に超電導フィラメント部23が配置された構造となっている。そして、超電導テープ線材10と超電導テープ線材20との外周表面(銀シース部12、22の表面)は直接接触した状態となっている。このため、並列化された超電導テープ線材10、20の電位は同じになるため、超電導テープ線材10、20間でのインダクタンスの相違は発生しない。そのため、結果的に超電導テープ線材10、20間で流れる電流の偏りを抑制できる。なお、ここでは2本の超電導テープ線材10、20を並列化しているが、3本以上の超電導テープ線材を並列化してもよい。
【0016】
絶縁テープ材30としては、絶縁性の樹脂テープやその他の絶縁体からなるシート状の部材を用いることができる。絶縁テープ材30は、超電導テープ線材20の表面に接着剤などにより固定されていてもよいが、超電導テープ線材20の表面と接触してはいるが固着していない状態であってもよい。
【0017】
そして、このように超電導テープ線材10、20と絶縁テープ材30とが並列に巻回された状態で、これらの超電導テープ線材10、20および絶縁テープ材30の外周を覆うように絶縁被覆層としての樹脂層40が形成されている。樹脂層40の厚みは任意の厚みとすることができるが、超電導テープ線材10、20の幅よりも大きな幅を有する絶縁テープ材30の端面が樹脂層40から露出しない程度の厚みとすることが好ましい。異なる観点から言えば、樹脂層40の厚みを超電導テープ線材10または超電導テープ線材20の端面からの厚みと規定した場合に、当該樹脂層40の厚みが、超電導テープ線材10の端面から絶縁テープ材30の端面までの距離(絶縁テープ材の端面の突出高さ)よりも大きくなっていることが好ましい。このようにすれば、超電導テープ線材10、20の端面側における絶縁性をより高めることができる。
【0018】
次に、図4を参照して、図1〜図3に示したコイル100Sの製造方法を説明する。
図4を参照して、超電導テープ線材10、20を巻き取ったコイル15、25と、絶縁テープ材30を巻き取ったコイル35とを準備する。超電導テープ線材10、20および絶縁テープ材30の製造方法は従来周知の任意の方法を用いることができる。これらのコイル15、25、35を、超電導コイルを製造するための図4に示す製造装置における払出し部に配置する。具体的には、たとえば払出し部は各コイル15、25、35を保持するための3つのマンドレルを含み、コイル15、25、35の中央部の穴にマンドレルが挿入されることで、当該マンドレルにコイル15、25、35がそれぞれ保持される。マンドレルは回転可能になっており、マンドレルに保持されたコイル15、25、35を回転させることができる。コイル15、25、35が回転することで、それぞれのコイル15、25、35から超電導テープ線材10、20、および絶縁テープ材30を払出すことができる。
【0019】
各コイル15、25、35から矢印56に示す方向に払出された超電導テープ線材10、20および絶縁テープ材30は、ガイドローラであるローラ50、51、52により互いに積層して積層体を構成するようにまとめられる。そして、この積層体を超電導コイルの芯材55の周囲に巻付けていく。ここでは、芯材55を矢印57の示す方向に回転させながら、各コイル15、25、35から超電導テープ線材10、20および絶縁テープ材30を払出すことで、超電導テープ線材10、20および絶縁テープ材30の積層体をこの芯材55の周囲に巻付けていく。当該積層体では、芯材55に近い側に絶縁テープ材30が配置されている。
【0020】
芯材55の矢印57に示す方向の回転速度とコイル15、25、35の回転速度(すなわち矢印56に示す方向への超電導テープ線材10、20および絶縁テープ材30の払出し速度)を調節することで、芯材55に巻付ける積層体が緩んだりしない様に当該積層体に加えられる張力を調整することができる。この結果、芯材55の周囲に絶縁テープ材30、超電導テープ線材20および超電導テープ線材10が並列に巻かれた図1に示すようなコイル100Sを得ることができる。
【0021】
そして、このように超電導テープ線材10、20および絶縁テープ材30が巻回されることによって構成されたコイルの端面(図4の紙面に垂直な方向に延びる芯材55の回転中心軸方向での超電導テープ線材10、20の端面)上に樹脂層40を形成する。樹脂層40の形成方法としては任意の方法を用いることができるが、たとえば液状化している樹脂層40となるべき樹脂を内部に保持した容器に、上記コイルを浸漬するといった方法を用いてもよい。そして、当該容器から引上げたコイルに対して、当該コイルに付着した樹脂を固化する処理(たとえば熱処理など)を行なうことで、樹脂層40を形成する。このようにして、図1〜図3に示したコイル100Sを得ることができる。
【0022】
次に、図5を参照して、本発明による超電導コイルの第1の変形例を説明する。なお、図5は図3に対応する。
【0023】
図5に示すように、本発明による超電導コイルの第1の変形例は、基本的には図1〜図3に示したコイル100Sと同様の構造を備えるが、超電導テープ線材20の構造が異なっている。すなわち、図5に示したコイル100Sでは、超電導テープ線材20が、銀シース部22の対向する2つの表面上に配置された補強部材24、26と、当該補強部材24、26および銀シース部22の外周端面を覆うように配置されたはんだ27とを備えている。銀シース部22の内部には、図3に示した超電導テープ線材20と同様に超電導フィラメント部23が配置されている。補強部材24、26としては、銀シース部22より機械的強度の高い材料からなるテープ状部材であれば任意の材料を用いることができるが、たとえばステンレス鋼製のテープ状部材などを用いることができる。なお、もう一方の超電導テープ線材10の構造は、図3に示した超電導テープ線材10の構造と同様である。
【0024】
このような超電導テープ線材20を用いた場合であっても、図1〜図3に示したコイル100Sと同様の効果を得ることができる。なお、図5に示した構成では、2本の積層配置された超電導テープ線材10、20のうち一方のみを補強部材24、26が配置された構造としているが、超電導テープ線材10、20の両方について補強部材24、26を備える構成としてもよい。また、図5に示した超電導テープ線材20と同じ構成の超電導テープ線材を3本以上、並列化してもよい。
【0025】
図6を参照して、本発明による超電導コイルの第2の変形例を説明する。なお、図6は図2に対応する。
【0026】
図6に示した超電導コイルであるコイル100Sは、基本的には図1〜図3に示したコイル100Sと同様の構造を備えるが、少なくとも超電導テープ線材10、20の端面(コイル100Sの中心軸に沿った方向における超電導テープ線材10、20の端面)を覆うようにはんだ60が形成されている。当該はんだ60は、超電導テープ線材10、20の上記端面およびコイルの最外周部に位置する超電導テープ線材10の表面を覆うように形成されている。ただし、はんだ60は絶縁テープ材30の端面上には配置されていない。異なる観点から言えば、はんだ60の厚みは、超電導テープ線材10、20の端面と絶縁テープ材30の端面との間の距離よりも薄くなっている。また別の観点から言えば、絶縁テープ材30の端部ははんだ60の表面から突出している。絶縁テープ材30の端部は樹脂層40と直接接触している。
【0027】
また、コイル100Sの図6に示した断面においては、コイル100Sの径方向において隣接する超電導テープ線材10同士の間を絶縁テープ材30が隔離している。樹脂層40ははんだ60の外周表面および絶縁テープ材30の端面を覆うように形成されている。このような構造のコイル100Sによっても、図1〜図3に示したコイル100Sと同様の効果を得ることができる。また、図6に示したコイル100Sでは、はんだ60が超電導テープ線材10、20の端面を覆うように形成されているので、超電導テープ線材10、20をその端面においてはんだ60により確実に電気的に接続できる。
【0028】
次に図7〜図9を参照して、図1〜図6に示したコイル100Sを適用した超電導機器としての超電導モータの構造を説明する。
【0029】
図7に示すように、本発明による超電導機器の一例であるモータ100は、超電導モータであって、回転子であるロータ500と、ロータ500の周囲に配置された固定子であるステータ600とを備える。図7および図8に示すように、ロータ500は、本発明による超電導コイルであるコイル100Sと、回転軸518と、ロータコア513と、ロータ軸516と、冷媒617とを含んでいる。コイル100Sは、いわゆるレーストラック型のコイルであるが、一方面120Pが凸状となり、この一方面120Pと対向する他方面120Fが凹状となるように構成されている。つまりコイル100Sは鞍型の形状を有する。ロータ軸516は、回転軸518の長軸方向に延びる外周面の周囲に形成されている。ロータ軸516の外表面は円弧状である。ロータコア513は、ロータ軸516の、回転軸518に交差する断面における中央部分(回転軸518が配置されている領域)から放射状に、ロータ軸516の外周面から突出するように延びている。コイル100Sは、ロータコア513を囲むように、かつロータ軸516の円弧状の外表面に沿うように配置されている。冷媒617は、コイル100Sを冷却する。コイル100Sと冷媒617とは、断熱容器の内部に配置されている。
【0030】
図7および図9に示すように、ロータ500の周囲には、モータ100の固定子としてのステータ600が形成されている。ステータ600は、本発明による超電導コイルであるコイル100Sと、ステータヨーク623と、冷媒627と、ステータコア621とを含んでいる。
【0031】
ステータヨーク623は、ロータコア513の外周を取囲んでいる。ステータヨーク623の外表面は円弧状である。超電導コイルであるコイル100Sは、ステータヨーク623の円弧状の外表面に沿うように配置されている。冷媒627は、コイル100Sを冷却する。なお図9においてはステータコア621は記載されていない。
【0032】
以下、上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
【0033】
この発明に従った超電導コイルであるコイル100Sは、導電体部分(図3の銀シース部22または図5のはんだ27および銀シース部22)を含む複数本の超電導線材である超電導テープ線材10、20と、複数本の当該超電導テープ線材10、20と並列に配置された絶縁材である絶縁テープ材30とを備える。複数本の超電導テープ線材10、20における導電体部分(図3の銀シース部22または図5のはんだ27および銀シース部22)が直接接触した状態で、複数本の超電導テープ線材10、20と絶縁テープ材30とが中心軸を中心として巻回されている。
【0034】
このようにすれば、並列化された複数本の超電導テープ線材10、20の電位は同じになるため、超電導テープ線材10、20間でのインダクタンスの相違は発生しない。そのため、結果的に超電導テープ線材10、20間で流れる電流の偏りを抑制できる。また、上記コイル100Sでは、複数本の超電導テープ線材10、20の導電体部分(銀シース部22またははんだ27)を直接接触させるという比較的簡単な構成により超電導テープ線材10、20間のインダクタンスの差を実質的に無くしているので、コイル100Sの製造工程が複雑化することを避けることができる。このため、超電導テープ線材10、20間で流れる電流の偏りを抑制するためにコイル100Sや超電導機器(モータ100)の製造工程が複雑化することを避けることができる。この結果、製造コストの増大を抑制しながら、並列化された超電導テープ線材10、20間での電流の偏りを抑制できる。
【0035】
上記コイル100Sは、中心軸に沿った方向において、超電導テープ線材10、20および絶縁テープ材30の端面を覆うように配置された絶縁被覆層としての樹脂層40を備えていてもよい。この場合、超電導テープ線材10、20の端面側において、絶縁テープ材30を跨いで内周側の超電導テープ線材10、20の部分と外周側の超電導テープ線材10、20の部分とに外部の導電体が接触する(絶縁テープ材30を跨いで内周側の超電導テープ線材10、20の部分と外周側の超電導テープ線材10、20の部分とが短絡することによりコイル100Sのターン数が減少する)といった事故の発生を防止できる。
【0036】
上記コイル100Sは、図6に示すように複数本の超電導テープ線材10、20の端面に接触するとともに当該端面を覆う導電部材の一例であるはんだ60を備えていてもよい。この場合、並列に配置された複数の超電導テープ線材10、20を、その端面側においても確実に電気的に接続できる。
【0037】
上記コイル100Sにおいては、図2や図6に示すように、中心軸に沿った方向において、超電導テープ線材10、20の幅より絶縁材の幅が広くなっていてもよい。この場合、コイル100Sの径方向において、絶縁テープ材30を跨いで内周側の超電導テープ線材10、20の部分と外周側の超電導テープ線材10、20の部分とに外部の導電体などが接触する(短絡する)といった事故の発生をより確実に防止できる。
【0038】
この発明に従った超電導機器としてのモータ100は、上記コイル100Sを備える。この場合、製造コストの増大を抑制しながら、コイル100Sを構成する、並列化された超電導テープ線材10、20間での電流の偏りを抑制することが可能なモータ100を実現できる。
【0039】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、複数の超電導線材を並列化して構成される超電導コイルおよび当該超電導コイルを用いた超電導機器に有利に適用される。
【符号の説明】
【0041】
10,20 超電導テープ線材、12,22 銀シース部、13,23 超電導フィラメント部、15、25、35、100S コイル、24,26 補強部材、27,60 はんだ、30 絶縁テープ材、40 樹脂層、50,51,52 ローラ、55 芯材、56,57 矢印、100 モータ、120F 他方面、120P 一方面、500 ロータ、513 ロータコア、516 ロータ軸、518 回転軸、600 ステータ、617,627 冷媒、621 ステータコア、623 ステータヨーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体部分を含む複数本の超電導線材と、
複数本の前記超電導線材と並列に配置された絶縁材とを備え、
複数本の前記超電導線材における前記導電体部分が直接接触した状態で、複数本の前記超電導線材と前記絶縁材とが中心軸を中心として巻回されている、超電導コイル。
【請求項2】
前記中心軸に沿った方向において、前記超電導線材および前記絶縁材の端面を覆うように配置された絶縁被覆層を備える、請求項1に記載の超電導コイル。
【請求項3】
複数本の前記超電導線材の前記端面に接触するとともに前記端面を覆う導電部材を備える、請求項2に記載の超電導コイル。
【請求項4】
前記中心軸に沿った方向において、
前記超電導線材の幅より前記絶縁材の幅が広くなっている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導コイル。
【請求項5】
請求項1に記載の超電導コイルを備えた、超電導機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−256684(P2012−256684A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128349(P2011−128349)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)