超音波を用いる低周波数振動加振方法および装置
【課題】高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することのできる超音波センサを用いる加振方法およびその構造を提供する。
【解決手段】本発明の超音波を用いる低周波数振動加振方法は、対象構造物に複数の超音波発振器を取付けて超音波を発振させてビーティング現象を起こし、前記超音波発振器の周波数よりも低い周波数を抽出して前記対象構造物の物性値を測定する。これによって、高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することができ、比較的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いることによって、平板や配管などだけでなく、形状に関わらず自由に適用することができる。さらに、加速度領域の特定の周波数に加振できるため信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用できる。
【解決手段】本発明の超音波を用いる低周波数振動加振方法は、対象構造物に複数の超音波発振器を取付けて超音波を発振させてビーティング現象を起こし、前記超音波発振器の周波数よりも低い周波数を抽出して前記対象構造物の物性値を測定する。これによって、高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することができ、比較的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いることによって、平板や配管などだけでなく、形状に関わらず自由に適用することができる。さらに、加速度領域の特定の周波数に加振できるため信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いる低周波数振動加振方法および装置に関し、より詳しくは、高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することができるため、比較的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いることによって、平板や配管などの形状に関わらず自由に適用できる。だけでなく、加速度領域の特定の周波数に加振できるため、信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用可能な超音波を用いる低周波数振動加振方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、平板における分散カーブを示すグラフである。同図に示すように、高周波数であるほど多くのモードよって複雑に重複される。しかし、低周波領域では非対称のa0波のみが存在することから、この領域を用いると配管厚さの予測、欠陥探知および物性値の予測など、数多くの様々な情報を得ることができる。
【0003】
一例として、本出願人が出願して登録された大韓民国登録公報10−817617号、「構造物の厚さと物性値検査装置、検査方法および厚さ減少監視方法」によれば、対象構造物に低周波振動波を加振し、構造物の表面で進行方向に沿って一定の間隔をおいて設けられる一対の振動波測定ユニットによって遅延時間に基づく群速度を算出し、測定ユニットとの間の対象構造物の厚さを予測することができる。
また、対象構造物が平板や配管、その他の様々な形状の構造物もこのような方法で厚さまたは物性値を適用することができ、特に原子力発電所のタービン発電機系統に用いられる配管に適用し、配管の厚さ情報によって壁厚減少の程度を予測することもできる。
【0004】
しかし、振動波の加振には一般的に超音波センサを用いるが、一般的に低周波用超音波センサは構造の特性上、サイズが大きいという短所がある。したがって、小さい構造物、例えば平板や配管などに適用することが難しいという問題がある。したがって、相対的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いて低周波を加振する方法に対する研究が必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国登録公報10−817617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、前述の問題を解決するための本発明の目的は、高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することのできる超音波センサを用いる加振方法およびその構造を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、比較的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いることによって、平板や配管などの曲げ管をはじめ、形状に関わらず自由に適用できる超音波センサを用いる加振方法およびその構造を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、加速度領域の特定の周波数に加振することができるため、信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用可能な超音波センサを用いる加振方法およびその構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような本発明の目的を達成するために、本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法は、対象構造物に複数の超音波発振器を取付けて超音波を発振させてビーティング現象を起こし、前記超音波発振器の周波数よりも低い周波数を抽出して前記対象構造物の物性値を測定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の超音波を用いる低周波数振動加振方法は、2つの超音波発振器を用いてビーティング現象を誘導し、前記超音波発振器の周波数の差だけを加速度領域において抽出して対象構造物の物性値を測定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法は、対象構造物と、前記対象構造物に第1周波数の超音波を加振する第1超音波発振器と、前記対象構造物に前記第1超音波と類似の第2周波数の超音波を加振する第2超音波発振器と、を含み、ビーティング現象によって前記第1周波数と前記第2周波数との差を抽出して前記対象構造物の物性値を測定することを特徴とする。
【0012】
このような対象構造物は平板や配管、または様々な形の構造物がすべて可能であり、測定される前記物性値は厚さなどが様々であってもよい。
【0013】
これによって、高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することができるため、比較的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いることによって平板や配管などの曲げ管をはじめ、その形状に関わらず自由に適用することができるだけでなく、加速度領域の特定の周波数に加振することができるため、信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することができる効果がある。
【0015】
また、比較的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いることによって、平板や配管などの曲げ管をはじめ、その形状に関わらず自由に適用することができる。
【0016】
また、加速度領域の特定の周波数に加振できるため、信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】平板における分散カーブを示すグラフである。
【図2】本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法を平板に適用した実験装置の概略図である。
【図3】平板で測定点における加速度信号と超音波信号を示すグラフである。
【図4】超音波信号のスペクトルを示すグラフである。
【図5】加速度信号のスペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法を配管に適用した実験装置の概略図である。
【図7】配管で測定点における加速度信号と超音波信号を示すグラフである。
【図8】超音波信号および加速度信号のスペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明するが、本発明が実施形態によって制限されたり限定されることはない。
【0019】
近接の周波数を有する2つのサイン波を同時に発生すると、ビーティング(beating)現象が現れることは公知の事実である。これは2つの波動による一種の干渉による現象であって、ビーティングによって発生する波動は以前2つの波動周波数の中間値を有する周波数で進行し、相対的に遅い新しい周期に振幅が変化する。
【0020】
より詳細に説明すれば次の通りである。2つのサイン波を数式1および数式2のように定義する。
【0021】
【数1】
【0022】
【数2】
【0023】
2つのサイン波を同時に発生させて和すれば、数式3のように導き出される。
【0024】
【数3】
【0025】
ここで、kは波数(wave number)、wは周波数、tは時間を示す。
【0026】
数式3に表すように、2つのサイン波を合成すれば中心周波数は2つの周波数の平均となるが、全体的な波の形状は2つの周波数の差の半分の周期を有して振動することが分かる。すなわち、2つのサイン波の周波数を適切に調整すれば、低い周波数に加振させ得ることが分かる。
【0027】
上記の記載から超音波センサは数百KHzの高周波を生成するが、2つの超音波センサを用いて周波数を適切に調整すれば、加速度界領域である数KHzのサイン波を発生させる可能性があることを暗示するものである。
【0028】
このような方法を検証するために次のような実験を行った。図2は、本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法を平板に適用した実験装置の概略図である。
【0029】
2つの高周波を加振する超音波発振器のビーティング現象を用いて低周波が加振されることを確認するために、本実験では平板10に2つの高周波超音波発振器110,120を装着して各400kHzと430kHzのサイン波を加振した。超音波発振器110,120は、各発振装置130に接続されている。測定点では超音波センサ150と加速度界140を同じ位置に設けて信号を取得した。超音波センサ150と加速度界140は、各信号を取得するためのデータ取得モジュール160,170が接続されている。超音波発振器110,120、超音波センサ150および加速度界140の間の距離(L)は、本実験において0.1mとして実験を行った。
【0030】
このような結果を図3〜図5に示す。図3は、平板で測定点における加速度信号と超音波信号を示すグラフであり、図4は、超音波信号のスペクトルを示すグラフであり、図5は、加速度信号のスペクトルを示すグラフである。
【0031】
図3に示すように、400kHz、430kHzとして類似の周波数の高周波信号はビーティング現象が発生することが確認でき、数式3を参照すれば、中心周波数は415kHzを有し、2つの周波数の大きさの差の半分の周期を有して振動することが確認できる。
【0032】
図4に示すように、超音波は400kHzと430kHzの高周波数を発生させるが、図5に示すように、加速界の信号は2つの周波数の差に該当する30kHzだけを検出されていることが分かる。すなわち、このような実験によって、平板で2つの高周波を加振する超音波センサを用いてビーティング現象を発生させ、加速度領域において低周波信号を発生させ得ることが分かる。
【0033】
次に、本発明に係る加振方法が配管にも適用されるか否かに関して次のような実験を行った。図6は、本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法を配管に適用した実験装置の概略図である。
【0034】
平板実験と同じ実験を行い、図2と同じ装置は図6において同じ図面符号を付与し、説明の簡略化のため省略することにする。ただし、配管20に適用される実験においては各超音波センサの加振周波数は300kHzと308kHzにした。
【0035】
配管に適用した実験結果を図7および図8に示す。図7は、配管で測定点における加速度信号と超音波信号を示すグラフであり、図8は、超音波信号および加速度信号のスペクトルを示すグラフである。
【0036】
図7に示すように、300kHz、308kHzとして類似の周波数の高周波信号はビーティング現象が発生することが確認でき、図8において300kHz、308kHzのように示す部分は超音波信号を、8kHzのように示す部分は加速度信号を表す。すなわち、2つの高周波の差分の8kHzだけを加速度領域において検出可能であることが確認できる。結論的に平板実験と同様に、類似の周波数を有する高周波数を加振すれば、ビーティング現象によって加速度領域において低周波信号を発生させ得ることが分かる。さらに本発明に係る加振方法を利用すれば、加速度領域の特定の周波数に加振できるため、信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用できるという長所がある。
【0037】
すなわち、比較的にサイズの大きい低周波発振用超音波センサを用いることなくても、サイズの小さい高周波センサを用いて低周波を発振させることができ、平板や配管、その他の様々な形状の構造物に適用して使うことができる。このような加振方法を用いて対象構造物の厚さなどの物性値や構造特性などの測定のために使用できることは前述したとおりである。
【0038】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【符号の説明】
【0039】
10:平板
20:配管
110、120:超音波発振器
130:発振装置
140:加速度界
150:超音波センサ
160、170:データ取得モジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いる低周波数振動加振方法および装置に関し、より詳しくは、高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することができるため、比較的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いることによって、平板や配管などの形状に関わらず自由に適用できる。だけでなく、加速度領域の特定の周波数に加振できるため、信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用可能な超音波を用いる低周波数振動加振方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、平板における分散カーブを示すグラフである。同図に示すように、高周波数であるほど多くのモードよって複雑に重複される。しかし、低周波領域では非対称のa0波のみが存在することから、この領域を用いると配管厚さの予測、欠陥探知および物性値の予測など、数多くの様々な情報を得ることができる。
【0003】
一例として、本出願人が出願して登録された大韓民国登録公報10−817617号、「構造物の厚さと物性値検査装置、検査方法および厚さ減少監視方法」によれば、対象構造物に低周波振動波を加振し、構造物の表面で進行方向に沿って一定の間隔をおいて設けられる一対の振動波測定ユニットによって遅延時間に基づく群速度を算出し、測定ユニットとの間の対象構造物の厚さを予測することができる。
また、対象構造物が平板や配管、その他の様々な形状の構造物もこのような方法で厚さまたは物性値を適用することができ、特に原子力発電所のタービン発電機系統に用いられる配管に適用し、配管の厚さ情報によって壁厚減少の程度を予測することもできる。
【0004】
しかし、振動波の加振には一般的に超音波センサを用いるが、一般的に低周波用超音波センサは構造の特性上、サイズが大きいという短所がある。したがって、小さい構造物、例えば平板や配管などに適用することが難しいという問題がある。したがって、相対的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いて低周波を加振する方法に対する研究が必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国登録公報10−817617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、前述の問題を解決するための本発明の目的は、高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することのできる超音波センサを用いる加振方法およびその構造を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、比較的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いることによって、平板や配管などの曲げ管をはじめ、形状に関わらず自由に適用できる超音波センサを用いる加振方法およびその構造を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、加速度領域の特定の周波数に加振することができるため、信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用可能な超音波センサを用いる加振方法およびその構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような本発明の目的を達成するために、本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法は、対象構造物に複数の超音波発振器を取付けて超音波を発振させてビーティング現象を起こし、前記超音波発振器の周波数よりも低い周波数を抽出して前記対象構造物の物性値を測定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の超音波を用いる低周波数振動加振方法は、2つの超音波発振器を用いてビーティング現象を誘導し、前記超音波発振器の周波数の差だけを加速度領域において抽出して対象構造物の物性値を測定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法は、対象構造物と、前記対象構造物に第1周波数の超音波を加振する第1超音波発振器と、前記対象構造物に前記第1超音波と類似の第2周波数の超音波を加振する第2超音波発振器と、を含み、ビーティング現象によって前記第1周波数と前記第2周波数との差を抽出して前記対象構造物の物性値を測定することを特徴とする。
【0012】
このような対象構造物は平板や配管、または様々な形の構造物がすべて可能であり、測定される前記物性値は厚さなどが様々であってもよい。
【0013】
これによって、高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することができるため、比較的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いることによって平板や配管などの曲げ管をはじめ、その形状に関わらず自由に適用することができるだけでなく、加速度領域の特定の周波数に加振することができるため、信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高周波用超音波センサを複数用いて低周波を発振することができる効果がある。
【0015】
また、比較的にサイズの小さい高周波用超音波センサを用いることによって、平板や配管などの曲げ管をはじめ、その形状に関わらず自由に適用することができる。
【0016】
また、加速度領域の特定の周波数に加振できるため、信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】平板における分散カーブを示すグラフである。
【図2】本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法を平板に適用した実験装置の概略図である。
【図3】平板で測定点における加速度信号と超音波信号を示すグラフである。
【図4】超音波信号のスペクトルを示すグラフである。
【図5】加速度信号のスペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法を配管に適用した実験装置の概略図である。
【図7】配管で測定点における加速度信号と超音波信号を示すグラフである。
【図8】超音波信号および加速度信号のスペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明するが、本発明が実施形態によって制限されたり限定されることはない。
【0019】
近接の周波数を有する2つのサイン波を同時に発生すると、ビーティング(beating)現象が現れることは公知の事実である。これは2つの波動による一種の干渉による現象であって、ビーティングによって発生する波動は以前2つの波動周波数の中間値を有する周波数で進行し、相対的に遅い新しい周期に振幅が変化する。
【0020】
より詳細に説明すれば次の通りである。2つのサイン波を数式1および数式2のように定義する。
【0021】
【数1】
【0022】
【数2】
【0023】
2つのサイン波を同時に発生させて和すれば、数式3のように導き出される。
【0024】
【数3】
【0025】
ここで、kは波数(wave number)、wは周波数、tは時間を示す。
【0026】
数式3に表すように、2つのサイン波を合成すれば中心周波数は2つの周波数の平均となるが、全体的な波の形状は2つの周波数の差の半分の周期を有して振動することが分かる。すなわち、2つのサイン波の周波数を適切に調整すれば、低い周波数に加振させ得ることが分かる。
【0027】
上記の記載から超音波センサは数百KHzの高周波を生成するが、2つの超音波センサを用いて周波数を適切に調整すれば、加速度界領域である数KHzのサイン波を発生させる可能性があることを暗示するものである。
【0028】
このような方法を検証するために次のような実験を行った。図2は、本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法を平板に適用した実験装置の概略図である。
【0029】
2つの高周波を加振する超音波発振器のビーティング現象を用いて低周波が加振されることを確認するために、本実験では平板10に2つの高周波超音波発振器110,120を装着して各400kHzと430kHzのサイン波を加振した。超音波発振器110,120は、各発振装置130に接続されている。測定点では超音波センサ150と加速度界140を同じ位置に設けて信号を取得した。超音波センサ150と加速度界140は、各信号を取得するためのデータ取得モジュール160,170が接続されている。超音波発振器110,120、超音波センサ150および加速度界140の間の距離(L)は、本実験において0.1mとして実験を行った。
【0030】
このような結果を図3〜図5に示す。図3は、平板で測定点における加速度信号と超音波信号を示すグラフであり、図4は、超音波信号のスペクトルを示すグラフであり、図5は、加速度信号のスペクトルを示すグラフである。
【0031】
図3に示すように、400kHz、430kHzとして類似の周波数の高周波信号はビーティング現象が発生することが確認でき、数式3を参照すれば、中心周波数は415kHzを有し、2つの周波数の大きさの差の半分の周期を有して振動することが確認できる。
【0032】
図4に示すように、超音波は400kHzと430kHzの高周波数を発生させるが、図5に示すように、加速界の信号は2つの周波数の差に該当する30kHzだけを検出されていることが分かる。すなわち、このような実験によって、平板で2つの高周波を加振する超音波センサを用いてビーティング現象を発生させ、加速度領域において低周波信号を発生させ得ることが分かる。
【0033】
次に、本発明に係る加振方法が配管にも適用されるか否かに関して次のような実験を行った。図6は、本発明に係る超音波を用いる低周波数振動加振方法を配管に適用した実験装置の概略図である。
【0034】
平板実験と同じ実験を行い、図2と同じ装置は図6において同じ図面符号を付与し、説明の簡略化のため省略することにする。ただし、配管20に適用される実験においては各超音波センサの加振周波数は300kHzと308kHzにした。
【0035】
配管に適用した実験結果を図7および図8に示す。図7は、配管で測定点における加速度信号と超音波信号を示すグラフであり、図8は、超音波信号および加速度信号のスペクトルを示すグラフである。
【0036】
図7に示すように、300kHz、308kHzとして類似の周波数の高周波信号はビーティング現象が発生することが確認でき、図8において300kHz、308kHzのように示す部分は超音波信号を、8kHzのように示す部分は加速度信号を表す。すなわち、2つの高周波の差分の8kHzだけを加速度領域において検出可能であることが確認できる。結論的に平板実験と同様に、類似の周波数を有する高周波数を加振すれば、ビーティング現象によって加速度領域において低周波信号を発生させ得ることが分かる。さらに本発明に係る加振方法を利用すれば、加速度領域の特定の周波数に加振できるため、信号対ノイズ比が良好でない領域においても適用できるという長所がある。
【0037】
すなわち、比較的にサイズの大きい低周波発振用超音波センサを用いることなくても、サイズの小さい高周波センサを用いて低周波を発振させることができ、平板や配管、その他の様々な形状の構造物に適用して使うことができる。このような加振方法を用いて対象構造物の厚さなどの物性値や構造特性などの測定のために使用できることは前述したとおりである。
【0038】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【符号の説明】
【0039】
10:平板
20:配管
110、120:超音波発振器
130:発振装置
140:加速度界
150:超音波センサ
160、170:データ取得モジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象構造物に複数の超音波発振器を取付けて超音波を発振させてビーティング現象を起こし、前記超音波発振器の周波数よりも低い周波数を抽出して前記対象構造物の物性値を測定することを特徴とする超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項2】
前記対象構造物は、平板または配管のうちの1つであることを特徴とする請求項1に記載の超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項3】
前記物性値は、前記対象構造物の厚さであることを特徴とする請求項1に記載の超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項4】
対象構造物と、
前記対象構造物に第1周波数の超音波を加振する第1超音波発振器と、
前記対象構造物に前記第1超音波と類似の第2周波数の超音波を加振する第2超音波発振器と、を含み、
ビーティング現象によって前記第1周波数と前記第2周波数との差を抽出して前記対象構造物の物性値を測定することを特徴とする超音波を用いる低周波数振動加振装置。
【請求項5】
前記対象構造物は、平板または配管のうちの1つであることを特徴とする請求項4に記載の超音波を用いる低周波数振動加振装置。
【請求項6】
前記物性値は、前記対象構造物の厚さであることを特徴とする請求項4に記載の超音波を用いる低周波数振動加振装置。
【請求項7】
2つの超音波発振器を用いてビーティング現象を誘導し、前記超音波発振器の周波数の差だけを加速度領域において抽出して対象構造物の物性値を測定することを特徴とする超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項8】
前記対象構造物は、平板または配管のうちの1つであることを特徴とする請求項7に記載の超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項9】
前記物性値は、前記対象構造物の厚さであることを特徴とする請求項7に記載の超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項1】
対象構造物に複数の超音波発振器を取付けて超音波を発振させてビーティング現象を起こし、前記超音波発振器の周波数よりも低い周波数を抽出して前記対象構造物の物性値を測定することを特徴とする超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項2】
前記対象構造物は、平板または配管のうちの1つであることを特徴とする請求項1に記載の超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項3】
前記物性値は、前記対象構造物の厚さであることを特徴とする請求項1に記載の超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項4】
対象構造物と、
前記対象構造物に第1周波数の超音波を加振する第1超音波発振器と、
前記対象構造物に前記第1超音波と類似の第2周波数の超音波を加振する第2超音波発振器と、を含み、
ビーティング現象によって前記第1周波数と前記第2周波数との差を抽出して前記対象構造物の物性値を測定することを特徴とする超音波を用いる低周波数振動加振装置。
【請求項5】
前記対象構造物は、平板または配管のうちの1つであることを特徴とする請求項4に記載の超音波を用いる低周波数振動加振装置。
【請求項6】
前記物性値は、前記対象構造物の厚さであることを特徴とする請求項4に記載の超音波を用いる低周波数振動加振装置。
【請求項7】
2つの超音波発振器を用いてビーティング現象を誘導し、前記超音波発振器の周波数の差だけを加速度領域において抽出して対象構造物の物性値を測定することを特徴とする超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項8】
前記対象構造物は、平板または配管のうちの1つであることを特徴とする請求項7に記載の超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【請求項9】
前記物性値は、前記対象構造物の厚さであることを特徴とする請求項7に記載の超音波を用いる低周波数振動加振方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−13522(P2012−13522A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149843(P2010−149843)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(500002490)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート (20)
【出願人】(502043352)コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(500002490)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート (20)
【出願人】(502043352)コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド (23)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]