説明

超音波エタノール分離装置

【課題】 超音波霧化分留装置では、ケース1内に多数の圧電体振動子2で液体を霧化するために、大きなエネルギーを必要とし、霧化粒子を液体エタノールにしなければならず、液化するための効率非常に悪いという問題があった。
【解決手段】 容器6の側壁6aに先端に吐出口7aを設け、背部7bに広がった開口部7cを容器6の内部と連通する漏斗状ノズル7を取り付け、容器6の側壁6aと対向する側壁6bに圧電体振動子8を装着し、圧電体振動子8に発振器9を接続し、容器6に液体供給装置10からエタノールを含む液体11を供給し、漏斗状ノズル7の吐出口7aの対向部に漏斗状ノズル7から吐出される液柱11aの径より僅かに小径のカット穴12aを設けたカット部材12を漏斗状ノズル7から吐出される液柱11aから霧化が生じる寸前の液柱11aが通過する位置に装着し、このカット部材12の下方に回収容器13を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動でエタノールが含まれた液体を漏斗状ノズルから吐出して、吐出された液柱の周囲からエタノールを回収するようにした超音波エタノール分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の超音波霧化装置としては、図6に示すように、ケース1の側壁1aの上部に送風口1bを形成し、側壁1aの対向する側壁1cに吸引口1dを形成し、ケース1の底部に水平部1eより僅かに傾斜した複数の傾斜部1fを形成し、この傾斜部1fの下部にそれぞれ圧電体振動子2を装着し、又、傾斜部1fにそれぞれ圧電体振動子2より小径の孔1gを形成し、傾斜部1fの上部に、それぞれの傾斜と同方向に傾斜した円錐状のノズル3を装着し、さらに、ノズル3の上端より僅かに下側まで霧化液体4が常に一定のレベルになるように供給され、又、圧電体振動子2に発振器5から発振出力を印加したものを本出願人が提案している。
【0003】
このように構成された従来の超音波霧化分留装置では、発振器5から圧電体振動子2に発振出力が供給されると、圧電体振動子2から超音波が発生し、ノズル3と傾斜部1fの間に形成された霧化液体注入口3aから注入された霧化液体4はノズル3から噴出して、霧化粒子4aが発生し、この霧化粒子4aは送風口1bから供給された送風によって吸引口1dから吸引され、図示しない回収装置によって回収される。
【0004】
しかしながら、このように構成した従来の超音波霧化分留装置では、ケース1内に多数の圧電体振動子2で液体を霧化するために、大きなエネルギーを必要とし、霧化した後で、霧化粒子4aを液体エタノールにしなければならず、液化するための効率が非常に悪いという問題があった。
【特許文献1】特開2006−130393
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、従来の超音波霧化分留装置では、ケース1内に多数の圧電体振動子2で液体を霧化するために、大きなエネルギーを必要とし、霧化粒子を液体エタノールにしなければならず、液化するための効率が非常に悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、先端に吐出口を設け、背部が広がった開口部を有する漏斗状ノズルを取り付けた容器と、該容器内に入れたエタノールを含む液体と、前記漏斗状ノズルの背部に装着された圧電体振動子と、該圧電体振動子に発振出力を印加する発振器と、前記圧電体振動子によって前記漏斗状ノズルより吐出された液柱の径より小さい径のカット穴を設け、前記漏斗状ノズルの吐出口の前面に装着したカット部材とからなり、前記漏斗状ノズルより吐出された液柱を前記カット部材のカット穴を通過させることにより、前記液中の外側のエタノールを分離するものであり、又、前記カット部材はカット穴を設けた吸い取り部材である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の超音波分離装置では、漏斗状ノズルより吐出された液柱の径より小さい径のカット穴を設け、前記漏斗状ノズルの吐出口の前面に装着したカット部材装着することにより、表面過剰現象によって漏斗状ノズルから吐出されたエタノールを含む液体の表面をカット部材でカットすることにより、エタノールを含む液体から効率よくエタノール分を分離することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明では、先端に吐出口を設け、背部が広がった開口部を有する漏斗状ノズルを取り付けた容器にエタノールを含む液体入れ、漏斗状ノズルの背部に圧電体振動子を装着し、発振器から発振出力を圧電体振動子に印加することにより、圧電体振動子によって、漏斗状ノズルより吐出される液柱の径より小さい径のカット穴を設けたカット部材によって、漏斗状ノズルより吐出された液柱をカット部材のカット穴を通過させることにより、液柱の外側のエタノールを分離するものである。
【実施例】
【0009】
図1は本発明の実施例の超音波エタノール分離装置の側面図で、容器6の1つの側壁6aに先端に吐出口7aを設け、背部7bに広がった開口部7cを容器6の内部と連通する漏斗状ノズル7を取り付け、漏斗状ノズル7の背部7bの開口部7cと間隔を開けて、容器6の側壁6aと対向する側壁6bに圧電体振動子8を装着し、圧電体振動子8に発振器9を接続し、容器6に液体供給装置10からエタノールを含む液体11を供給し、漏斗状ノズル7の吐出口7aの対向部に漏斗状ノズル7から吐出される液柱11aの径より僅かに小径のカット穴12aを設けたカット部材12を漏斗状ノズル7から吐出される液柱11aから霧化が生じる寸前の液柱11aが通過する位置に装着し、このカット部材12の下方に回収容器13を装着し、又、カット部材12のカット穴12aを通過したエタノールが少なくなった液体12bは回収容器14で回収される。
【0010】
このように構成された本実施例の超音波エタノール分離装置では、発振器9から発振出力を圧電体振動子8に印加すると、圧電体振動子8からの超音波振動によって容器6内のエタノールを含む液体11を漏斗状ノズル7の背面7bからから吐出口7aの方向に押し込むので、エタノールを含む液体11は吐出口7aから液柱11aとして吐出されるが、この液柱11aは図2に示すように、表面のギザギザAがキャピラリー波で、ギザギザAの部分に項エタノール濃度領域となり、液柱11aは表面のエタノール濃度が高くなる表面過剰現象が生じ、吐出される液柱11aが漏斗状ノズル7の吐出口から離れた位置で霧化が発生するので、この霧化が発生する前に高エタノール濃度領域Aを回収するために、液柱11aの径より僅かに小径のカット穴12aを設けた板状のカット部材12を液柱11aの通過位置に装着することにより、液柱11aの径より僅かに小径のカット穴12aによって、液柱11aのエタノールの濃度が高い表面をカットして回収容器13でカットすることにより、エタノールを効率よく回収することができる。
【0011】
図3は本発明の他の実施例の超音波エタノール分離装置の側面図で、6は容器、7は漏斗状ノズル、8は圧電体振動子、9は発振器、10は液体供給装置、11はエタノールを含む液体、12はカット部材であり、これらの構成は上記実施例と同じであるので、説明は省略するが、本実施例では、カット部材12は漏斗状ノズル7の吐出口7aに密接して装着され、又、カット部材12は吸い取り部材で構成されている。
【0012】
このように構成された本実施例の超音波エタノール分離装置では、液体11が漏斗状ノズル7の吐出口7aから吐出する位置にカット部材12を装着したので、表面過剰現象が生じる位置でエタノールを効率よく回収することができ、又、カット部材12を吸い取り部材で構成したので、エタノールを効率よく回収することができる。
【0013】
図4は本発明の他の実施例の超音波エタノール分離装置の側面図で、6は容器、7は漏斗状ノズル、8は圧電体振動子、9は発振器、10は液体供給装置、11はエタノールを含む液体、12はカット部材であり、これらの構成は上記実施例と同じであるので、説明は省略するが、本実施例では、カット部材12はカット穴12aの漏斗状ノズル7の吐出口7aに向けて、エタノールを含む液体11から霧化が発生する寸前に装着され、カット部材12はカット穴12aから徐々に広がって漏斗状に構成されている。
【0014】
このように構成された本実施例の超音波エタノール分離装置では、エタノールを含む液体11はカット部材12の外側に広がることなく、エタノールを効率よく回収することができる。
【0015】
図5は本発明の他の実施例の超音波エタノール分離装置の側面図で、6は容器、7は漏斗状ノズル、8は圧電体振動子、9は発振器、10は液体供給装置、11はエタノールを含む液体、12はカット部材であり、これらの構成は上記実施例と同じであるので、説明は省略するが、本実施例では、容器6は密閉されて漏斗状ノズル7は容器6より突出して形成され、漏斗状ノズル7の吐出口7aは下方に向けられ、吐出されたエタノールを含む液体11が通過するように装着されたカット部材12は漏斗状ノズル7に対向するカット穴12aと下部が徐々に広くなる漏斗状に構成され、漏斗状のカット部材12の周囲に形成された回収部材15は下端でカット部材12と一体に形成されている。
【0016】
このように構成された本実施例の超音波エタノール分離装置では、漏斗状のカット部材12のカット穴12aで表面をカットされた液柱11aは下方に落下して回収容器14で回収され、カット部材12のカット穴12aでカットされて回収部材15の回収口15aから回収されたエタノールを多く含む液体11bは回収部材15の下方に装着された取り出し口15bから回収容器13で回収されるので、エタノールを効率よく回収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
なお、上記実施例では、アルコールと水が含まれた液体からアルコールを除去する例を記載したが、水と水より比重の軽い物質を分離する場合に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例の超音波エタノール分離装置の側面断面図である。
【図2】図1の超音波エタノール分離装置から吐出されたエタノールを含む液体の断面構成図である。
【図3】本発明の他の実施例の超音波エタノール分離装置の側面断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例の超音波アルコール分離装置の側面断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施例の超音波アルコール分離装置の側面断面図である。
【図6】本出願人が提案した超音波霧化分流装置の側面断面図である。
【符号の説明】
【0019】
6 容器
7 漏斗状ノズル
8 圧電体振動子
9 発振器
10 液体供給装置
11 エタノールを含む液体
12 カット部材
13、14 回収容器
15 回収部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に吐出口を設け、背部が広がった開口部を有する漏斗状ノズルを取り付けた容器と、該容器内に入れたエタノールを含む液体と、前記漏斗状ノズルの背部に装着された圧電体振動子と、該圧電体振動子に発振出力を印加する発振器と、前記圧電体振動子によって前記漏斗状ノズルより吐出された液柱の径より小さい径のカット穴を設け、前記漏斗状ノズルの吐出口の前面に装着したカット部材とからなり、前記漏斗状ノズルより吐出された液柱を前記カット部材のカット穴を通過させることにより、前記液中の外側のエタノールを分離することを特徴とする超音波エタノール分離装置。
【請求項2】
前記カット部材は漏斗状ノズルの吐出口に固着することを特徴とする請求項1記載の超音波エタノール分離装置。
【請求項3】
前記カット部材はカット穴を設けた吸い取り部材であることを特徴とする請求項1又は2記載の超音波エタノール分離装置。
【請求項4】
前記カット部材はカット穴から後部に傾斜して広がった後部口を設けたものであることを特徴とする請求項1記載の超音波エタノール分離装置
【請求項5】
前記容器は密閉され、漏斗状ノズルは容器より突出され、前記カット部材の周囲に回収部材を装着し、該回収部材によってエタノールを回収することを特徴とする請求項4記載の超音波エタノール分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−285586(P2009−285586A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141739(P2008−141739)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)