超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置
【課題】 容易にセンサの分解能を変更することができる超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】 対向する面を有する圧電素子(630)の1つの面に第1の導電層(632、633、622)を形成し、前記圧電素子の他方の面に第2の導電層(632、633、622)を形成し、前記第1の導電層上にバッキング層(640)を形成し、検出対象物の大きさに応じた大きさのマッチング層(610)を前記第2の導電層上に形成し、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離する溝を、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設け、複数のチャネルを形成する。
【解決手段】 対向する面を有する圧電素子(630)の1つの面に第1の導電層(632、633、622)を形成し、前記圧電素子の他方の面に第2の導電層(632、633、622)を形成し、前記第1の導電層上にバッキング層(640)を形成し、検出対象物の大きさに応じた大きさのマッチング層(610)を前記第2の導電層上に形成し、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離する溝を、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設け、複数のチャネルを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を検出する超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば紙幣などの紙葉類の計数及び判別を行う紙葉類処理装置(紙幣処理装置)が実用化されている。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、紙葉類の検査装置に搬送する。検査装置は、紙葉類に対して種々の処理を行い紙葉類の状態を判別する。例えば、紙葉類処理装置は、検査装置の検査結果に基づいて、紙葉類の種類判定、及び真偽判定などを行う。
【0003】
また、紙葉類処理装置は、例えばテープなどの異物が貼付された紙葉類を再流通に適さない紙葉類であると判断する。例えば、検査装置は、紙葉類に超音波を照射し、透過波、または反射波を検出することにより、紙葉類に貼付されているテープなどの異物の有無を検出する。
【0004】
例えば、特許文献1には、対象に対して超音波を照射し、反射エコーを受信することにより対象の音響インピーダンスを検出する超音波プローブが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4118115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙葉類処理装置は、所定の搬送速度で紙葉類を搬送し、搬送される紙葉類から特徴を検出する。これにより、紙葉類処理装置は、紙葉類の検査を行う。この為、上記した超音波プローブなどを紙葉類処理装置に用いる場合、超音波プローブのセンサを紙葉類処理装置に適合させる必要がある。即ち、紙葉類処理装置の仕様に応じた分解能のセンサを有する超音波プローブを製造する必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1の記載に基づいて異なる分解能の超音波プローブを製造する場合、それぞれ個別に圧電素子、音響整合層、及び音響バッキング層を組み合わせる必要がある。この為、紙葉類処理装置に用いる超音波センサを製造する場合、コスト増になるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、容易にセンサの分解能を変更することができる超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態としての超音波センサの製造方法は、対向する面を有する圧電素子の1つの面に第1の導電層を形成し、前記圧電素子の他方の面に第2の導電層を形成し、前記第1の導電層上にバッキング層を形成し、検出対象物の大きさに応じた大きさのマッチング層を前記第2の導電層上に形成し、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離する溝を、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設け、複数のチャネルを形成する。
【0010】
また、本発明の一実施形態としての超音波センサは、対向する面を有する圧電素子と、前記圧電素子の1つの面に形成される第1の導電層と、前記圧電素子の他方の面に形成される第2の導電層と、前記第1の導電層上に形成されるバッキング層と、検出対象物の大きさに応じた大きさで前記第2の導電層上に形成されるマッチング層と、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設けられる溝により、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離して形成される複数のチャネルと、を具備する。
【0011】
また、本発明の一実施形態としての紙葉類処理装置は、紙葉類を搬送する搬送部と、対向する面を有する圧電素子と、前記圧電素子の1つの面に形成される第1の導電層と、前記圧電素子の他方の面に形成される第2の導電層と、前記第1の導電層上に形成されるバッキング層と、検出対象物の大きさに応じた大きさで前記第2の導電層上に形成されるマッチング層と、を具備し、前記搬送部により搬送される紙葉類に対して超音波を出力する送信センサと、前記送信センサの構成にさらに、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設けられる溝により、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離して形成される複数のチャネルを具備し、前記搬送部を挟んで前記送信センサと対向する位置に設けられ、前記紙葉類を透過する超音波を受信する受信センサと、前記受信センサの前記複数のチャネルにより検出する検出信号と、予め記憶される基準値とを比較し、比較結果に基づいて前記紙葉類に異物が付着しているか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、を具備する。
【発明の効果】
【0012】
この発明の一形態によれば、容易にセンサの分解能を変更することができる超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の外観について説明するための説明図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【図4】図4は、図2及び図3に示す異物検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図5】図5は、図4に示す異物検出装置のセンサの構成例について説明する為の部分断面図である。
【図6】図6は、図4に示す異物検出装置のセンサの構成例について説明する為の部分断面図である。
【図7】図7は、図4に示す異物検出装置のセンサの構成例について説明する為の説明図である。
【図8】図8は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図9】図9は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図10】図10は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図11】図11は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図12】図12は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図13】図13は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図14】図14は、図4に示す異物検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図15】図15は、図4に示す異物検出装置により検出する信号の例について説明するための説明図である。
【図16】図16は、図4に示す異物検出装置のセンサのダイシングの他の例について説明する為の説明図である。
【図17】図17は、図4に示す異物検出装置の送信センサと受信センサとの配置の関係について説明する為の説明図である。
【図18】図18は、図4に示す異物検出装置の送信センサの他の構成例について説明する為の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置について詳細に説明する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置(紙幣処理装置)100の外観について説明するための説明図である。
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作表示部137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0016】
投入部112は、例えば紙幣などの紙葉類7を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類7をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作表示部137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作表示部137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作表示部137に表示されるボタンと、操作表示部137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0017】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置100により再流通不可と判断された紙葉類7がスタックされる集積部から紙葉類7を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける入力部として機能する。
【0018】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置100の構成例について説明するための説明図である。
紙葉類処理装置100は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至131、裁断部133、及びスタッカ134を備える。また、紙葉類処理装置100は、主制御部151を備える。主制御部151は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する。
【0019】
取出部113は、投入部の上部に設けられる。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類7を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類7一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7は、搬送路115に導入される。
【0020】
搬送路115は、紙葉類7を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する搬送手段である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータ及び駆動プーリにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0021】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、異物検出装置135、及び厚み検査部119を備えている。検査部116は、紙葉類7の光学的特徴情報、機械的特徴、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の種類、汚棄損、表裏、及び真偽などを検査する。
【0022】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、Charge Coupled Device(CCD)カメラを備える。紙葉類処理装置100は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類7の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0023】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置100は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作表示部137に表示する。
【0024】
異物検出装置135は、搬送される紙葉類7に対して超音波を照射し、紙葉類7を透過する透過波を検出する。これにより、異物検出装置135は、例えば、紙葉類7に付着する異物の有無を検出する。異物検出装置135は、例えば、テープなどの貼付物を異物として検出する。
【0025】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の2枚取りを検出する。
【0026】
また、検査部116は、図示しない磁気センサなどを備えている。磁気センサは、紙葉類7の磁気的な特徴情報を検出する。
【0027】
主制御部151は、画像読取装置117、118、異物検出装置135、厚み検査部119、及び磁気センサなどによる検出結果に基づいて、紙葉類7が正券、損券、または排除権であるかを判定する。
【0028】
紙葉類処理装置100は、正券と判定した紙葉類7を集積・結束部128乃至131に搬送する。また、紙葉類処理装置100は、損券と判定した紙葉類7を裁断部133に搬送する。裁断部133は、搬送される損券を裁断する。なお、紙葉類処理装置100は、損券をスタッカ134に搬送し集積してもよい。スタッカ134は、集積した損券が例えば100枚に到達するごとに施封を行う。
【0029】
排除券は、正券及び損券に該当しない紙葉類7である。紙葉類処理装置100は、排除券と判定した紙葉類7を排除集積部127に搬送する。排除券は、例えば、2枚取り券などの搬送異常券、折れまたは破れなどが存在する不良券、及び適用外券種または偽券などの判別不能券を含む。
【0030】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類7を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0031】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、ゲート120は、検査部116による検査の結果、真券ではないと判定された排除券、または、検査部116による検査を行うことができない検査不能券等を排除搬送路126に搬送するように切り替えられる。
【0032】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、上記したような排除券、及び検査不能券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類7は、取出口139から取り出すことができる。
【0033】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類7が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類7を所定枚数毎に結束して格納する。また、紙葉類処理装置100は、図示しない大束結束部により、所定枚数毎で結束した紙葉類7を複数集積し、結束する。
【0034】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類7を裁断して収納する。ゲート125に搬送される紙葉類7は、正規の紙葉類7であり、且つ、再流通が不可能であると判定された紙葉類7(損券)である。
【0035】
また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、紙葉類7を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類7をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0036】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類7の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類7の枚数及び識別情報を逐次記憶する。
【0037】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置100の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【0038】
紙葉類処理装置100は、主制御部151、検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、裁断制御部156、操作表示部137、及びキーボード140などを備える。
【0039】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作表示部137により入力される操作、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0040】
例えば、操作員は、操作表示部137またはキーボード140により、処理する紙葉類7の券種、枚数、正損判別レベル、供給元の名称、及び処理方法などを入力する。
【0041】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、異物検出装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0042】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、例えばCCDなどの受光素子と光学系とを備える。画像読取装置117、及び118は、搬送される紙葉類7に対して光を投光し、反射光または透過光を光学系により受光する。画像読取装置117、及び118は、光学系により受光した光をCCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。
【0043】
主制御部151は、紙葉類7の基準となる画像(基準画像)を記憶部151aに予め記憶する。主制御部151は、紙葉類7から取得した画像と、記憶部151aに記憶される基準画像とを比較することにより、静養類の正損判定及び偽券判定を行う。
【0044】
異物検出装置135は、上記したように、搬送される紙葉類7に対して超音波を照射する。異物検出装置135は、紙葉類7を透過する音波を検出する。また、異物検出装置135は、予め設定される基準値を記憶する。
【0045】
紙葉類7に異物が付着している場合、紙葉類7を透過する超音波(透過波)の強度が減衰する。異物検出装置135は、検出した音波の強度と予め記憶される基準値とを比較する。異物検出装置135は、比較結果に基づいて、紙葉類7に異物が付着しているか否かを判定する。
【0046】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。その他のセンサ類154は、例えば、磁気センサなどである。磁気センサは、搬送路115を搬送される紙葉類7から磁気的な特徴情報を検出する。
【0047】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、異物検出装置135、及びその他のセンサ類154などによる検査の結果に基づいて、搬送路115を搬送される紙葉類7の種類、正損、表裏、及び真偽などを判別する。
【0048】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類7の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類7の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0049】
例えば、搬送制御部152は、異物検出装置135により紙葉類7に異物が付着していることを検出する場合、紙葉類7を排除集積部127、裁断部133、またはスタッカ134に搬送するようにゲート120乃至125を制御する。
【0050】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、排除集積部127及び集積・結束部128乃至131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類7の集積、及び結束の制御を行なう。
【0051】
裁断制御部156は、主制御部151の制御に基づき、裁断部133の動作を制御する。これにより、裁断部133は、搬送される紙葉類7の裁断を行う。
【0052】
図4は、図2及び図3に示す異物検出装置135の構成例について説明するための説明図である。
異物検出装置135は、紙葉類7に付着している例えばテープなどの異物を検出対象として検出処理を行う。これにより、異物検出装置135は、紙葉類7に付着する異物の有無を検出する。異物検出装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。
図4に示すように、異物検出装置135は、送信センサ50及び受信センサ60を備える。なお、図4に示す矢印Aは、紙葉類7の搬送方向を示す。また、矢印Bは、搬送される紙葉類7の短手方向(幅方向)を示す。また、矢印Cは、垂直方向を示す。
【0053】
送信センサ50は、搬送方向Aに一定の速度で搬送される紙葉類7に対して超音波を照射する送信部である。送信センサ50は、搬送路115を挟んで受信センサ60と対向する位置に設置される。送信センサ50は、圧電素子を備える。圧電素子は、圧電体と、圧電体を挟持するように設けられる1対の電極とを有する。
【0054】
送信センサ50は、圧電素子の電極に電圧を印加することにより、圧電体の形状を変化させる。これにより、送信センサ50の圧電素子は、垂直方向Cに伸縮する。送信センサ50は、圧電素子の電極にパルス信号を印加することにより、圧電体を振動させる。ここの結果、送信センサ50は、超音波を発生させることができる。
【0055】
受信センサ60は、送信センサ50から送信されて紙葉類7を透過した透過波を検出する受信部。受信センサ60は、搬送路115を挟んで送信センサ50と対向する位置に設置される。受信センサ60は、送信センサ50と同様に、圧電素子を備える。
【0056】
受信センサ60は、圧電体の形状の変化に応じて信号を生成する。受信センサ60に超音波が照射される場合、圧電体は、超音波の強度及び周期に応じて形状が変化する。即ち、受信センサ60は、超音波の強度及び周期に応じた信号を生成する。これにより、受信センサ60は、紙葉類7を透過した透過波を検出する。
【0057】
図5は、図4に示す異物検出装置135の送信センサ50及び受信センサ60の構成例について説明する為の部分断面図である。図5は、異物検出装置135を搬送方向Aから見た図である。図5は、送信センサ50、受信センサ60、紙葉類7、及び紙葉類7に付着する異物8をそれぞれ断面として示す。
【0058】
送信センサ50及び受信センサ60は、それぞれ幅方向Bにおいて所定のサイズ(センサ幅)をもって設けられている。送信センサ50及び受信センサ60は、少なくとも紙葉類7が搬送される幅以上のセンサ幅をもつ構成であれば、如何なるサイズであってもよい。
【0059】
送信センサ50は、マッチング層510、フレキシブルプリント基板(FPC)520、圧電素子530、及びバッキング層540を備える。
【0060】
また、受信センサ60は、マッチング層610、FPC620、圧電素子630、及びバッキング層640を備える。なお、送信センサ50の各構成は、受信センサ60の各構成と同様である為、受信センサ60の各構成を例に挙げて説明する。
【0061】
マッチング層610は、受信センサ60と空気中との間で効率的に超音波を伝播する為の構成である。通常、圧電体の音響インピーダンスと空気中の音響インピーダンスとの差が大きい。この為、境界面において反射する超音波が多くなる。
【0062】
マッチング層610は、圧電体の音響インピーダンスと空気中の音響インピーダンスとの中間的な音響インピーダンスを持つ構成である。マッチング層610を圧電素子630と空気との間に設けることにより、受信センサ60は、空気中を伝播する超音波を効率的に検出することができる。
【0063】
なお、マッチング層610は、圧電素子630とFPC620を介して接着されている。この為、マッチング層610は、圧電素子630と連動して振動する。
【0064】
FPC620は、回路などが銅箔として屈曲性のある電気絶縁フィルム上に形成されたものである。FPC620は、曲げ、重ね、おりたたみ、巻き付け、及びねじりなどが可能である。
【0065】
FPC620は、圧電素子630を挟持するように設けられる。この場合、FPC620の銅箔がプリントされた面と圧電素子630の電極とが電気的に接続される。
【0066】
なお、FPC620は、必須の構成ではなく、少なくとも圧電体の両側に外部から接続可能な電極が形成される構成であればよい。即ち、FPC620は、他の構成により置き換えられてもよいし、省略されてもよい。
【0067】
圧電素子630は、水晶、またはセラミックなどの圧電体と、圧電体の両側に設けられる電極とを備える。圧電体は、パルス信号を印加すると、印加したパルス信号の周期、及び強度に応じて振動する圧電効果を有する。これにより、圧電体は、電気信号を超音波に変換する。また、圧電体は、超音波を電気信号に変換する。
【0068】
バッキング層640は、圧電素子630から、マッチング層610と逆側(背面)に放射される音響エネルギー(振動)を吸収する。また、バッキング層640は、圧電素子630の自由震動を抑制する。
【0069】
なお、受信センサ60のマッチング層610、FPC620、及び圧電素子630は、後述するダイシング処理により複数のチャネルに切り分けられている。これにより、受信センサ60は、各チャネル毎に異なる領域から超音波を検出することができる。
【0070】
図6は、図4に示す異物検出装置135の送信センサ50及び受信センサ60の構成例について説明する為の部分断面図である。図6は、異物検出装置135を幅方向Bから見た図である。
【0071】
図6に示すように、送信センサ50は、同軸ケーブル550が接続される。即ち、送信センサ50のFPC520の銅箔がプリントされた面は、接続部560において、同軸ケーブル550の+端子、または−端子が接続される。これにより、送信センサ50は、例えばパルス信号を生成する送信パルサなどと電気的に接続される。
【0072】
即ち、同軸ケーブル550を介してパルス信号が送信センサ50に入力される場合、パルス信号に応じた電圧が、圧電素子530の圧電体に印加される。
【0073】
受信センサ60も同様に、同軸ケーブル650が接続される。即ち、受信センサ60のFPC620の銅箔がプリントされた面は、接続部660において、同軸ケーブル650の+端子、または−端子が接続される。これにより、受信センサ60は、例えば圧電素子630により生成される検出信号を読み取る読み取り回路などと電気的に接続される。
【0074】
即ち、受信センサ60に超音波が入射する場合、圧電素子630により生成される信号が、同軸ケーブル650を介して読み取り回路に入力される。
【0075】
なお、受信センサ60には、上記した切り分けられた各チャネル毎に同軸ケーブル650が接続される。これにより、受信センサ60は、各チャネル毎に検出する信号を読み取り回路に送信することができる。
【0076】
図7は、図4に示す異物検出装置135のセンサの構成例について説明する為の説明図である。
【0077】
図7に示すように、受信センサ60は、幅方向Bにセンサ幅Waの幅を有する。受信センサ60の各チャネルは、幅方向BにWsの幅を持って切り分けられる。また、上記したように、受信センサ60を複数のチャネルに切り分けることにより、各チャネルは、それぞれ異なる領域から超音波を検出する事ができる。
【0078】
例えば、受信センサ60は、所定間隔毎に連続して超音波を検出する。これにより、受信センサ60は、搬送される紙葉類7を透過する超音波を所定領域毎に検出することができる。
【0079】
なお、受信センサ60のマッチング層610の搬送方向Aにおける長さ(センサ長Ls)は、検出する異物(テープ)8の搬送方向Aにおける長さ(テープ長Lt)の1/2未満の長さであることが望ましい。
【0080】
また、受信センサ60のマッチング層610の幅方向Bにおける長さ(センサ幅Ws)は、検出する異物(テープ)8の幅方向Bにおける長さ(テープ幅Wt)の1/2未満の長さであることが望ましい。
【0081】
センサ長Lsがテープ長Ltの1/2以上、または、センサ幅Wsがテープ幅Wtの1/2以上である場合、受信センサ60の各チャネルの検出範囲が、紙葉類7上のテープ8の付着範囲のエッジと重なる可能性がある。この場合、受信センサ60は、テープ8が貼付しているか否かを判別する為に十分な超音波の減衰を検出する事ができない可能性がある。
【0082】
センサ長Lsがテープ長Ltの1/2未満であり、且つ、センサ幅Wsがテープ幅Wtの1/2未満である場合、連続する2タイミングの何れかにおいて、チャネルの検出範囲がテープ8が貼り付けられている貼付範囲内に納まる。これにより、受信センサ60は、テープ8が貼付しているか否かを判別する為に十分な超音波の減衰を検出する事ができる。
【0083】
なお、センサ長Lsがテープ長Ltの1/2未満であり、且つ、センサ幅Wsがテープ幅Wtの1/2未満であるとして説明したが、これに限定されない。テープ8が貼付しているか否かを判別する為に十分な超音波の減衰を検出する事ができるサイズであれば、マッチング層610のサイズは如何なるサイズであってもよい。
【0084】
次に、送信センサ50及び受信センサ60の製造工程について説明する。
図8乃至図12は、図4に示す異物検出装置135の送信センサ50及び受信センサ60の製造方法について説明する為の部分断面図である。なお、送信センサ50の製造工程は、受信センサ60の製造工程と重複する為、受信センサ60の製造工程を例に挙げて説明する。
【0085】
図8は、圧電素子630を上面、正面、及び側面から見た図である。圧電素子630が受信センサ60として設置される場合、この上面図は、垂直方向Bから見た図に対応する。また、正面図は、搬送方向Aから見た図に対応する。またさらに、側面図は、幅方向Bから見た図に対応する。ここでは、上面図及び側面図を断面図として示す。
【0086】
図8に示すように、圧電素子630は、圧電体631と、圧電体631の表面に設けられる銅箔層632とを備える。圧電体631は、水晶、またはセラミックなどにより構成される。銅箔層632は、例えば、圧電体631の表面に塗布される銅箔などにより構成される。圧電体631は、1対の銅箔層632により狭持される。
【0087】
次に、図9に示すように、銅箔層632の表面に、エポキシ樹脂を薄く塗布する。これにより、接着層633が形成される。エポキシ樹脂は、導電性の樹脂接着剤である。
【0088】
次に、図10に示すように、接着層633にFPC620が接着される。FPC620と圧電素子630とが接着層633を挟んで適度にプレスされる。これにより、エポキシ樹脂が硬化する。なお、FPC620は、同軸ケーブル650を接続する為に、搬送方向Aに圧電素子630より長く形成されている。
【0089】
FPC620は、基板621と銅箔層622とを備える。FPC620は、銅箔層622が形成されている面が接着層633に面するように接着される。これにより、導電性の接着層633を介してFPC620の銅箔層622と圧電素子630の銅箔層632とが電気的に接続される。この結果、圧電体631を狭持するように、導電層が形成される。この導電層は、圧電体631を駆動する為の電極として機能する。
【0090】
次に、図11に示すように、FPC620の基板621の表面に、エポキシ樹脂を薄く塗布する。これにより、接着層623、及び接着層624が形成される。なお、接着層623及び624は、接着されるマッチング層610及びバッキング層の搬送方向Aにおけるサイズに応じて形成される。
【0091】
次に、図12に示すように、接着層623にマッチング層610が接着される。また、接着層624にバッキング層640が接着される。即ち、マッチング層610とFPC620とが接着層623を挟んで適度にプレスされる。また、バッキング層640とFPC620とが接着層624を挟んで適度にプレスされる。これにより、エポキシ樹脂が硬化する。
【0092】
マッチング層610の搬送方向Aにおける長さ(センサ長Ls)は、上記したように、検出する異物の搬送方向Aにおける長さに応じて決定される。
【0093】
マッチング層610を製造する場合、まず、液状エポキシ樹脂を攪拌及び脱泡する。液状エポキシ樹脂は、型に流し込まれる。これにより、液状エポキシ樹脂は、平板形状に硬化する。硬化したエポキシ樹脂は、所定の厚さDになるようラップ(厚み出し磨き)が行われ、サブストレートに加工される。サブストレートは、上記した方法により決定したセンサ長Lsと、センサ幅Waとに基づいて切り出される。これにより、幅がWaであり、長さがLsであり、厚さがDであるマッチング層610が形成される。
【0094】
上記したように、マッチング層610は、一般工業用のエポキシ樹脂を用いているため材料が安価であり、受信センサも安価に製造することができる。
【0095】
上記した工程により、マッチング層610、FPC620、圧電素子630、及びバッキング層640が積層されたセンサ(積層体)が形成される。なお、この構成は、送信センサ50と同様の構成である。
【0096】
次に、ダイシング処理について説明する。
図13は、図4に示す異物検出装置135のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【0097】
図8乃至図12に示す工程により製造した厚さDaのセンサ(積層体)に対して、センサの長さ方向(設置時における搬送方向A)と平行に所定の深さDcでダイシングブレード700により切り込みを入れる。この場合、図7において説明したセンサ幅Wsの間隔でマッチング層610側から切り込みを入れる。
【0098】
深さDcは、センサの厚さDa未満であり、且つ、バッキング層640側のFPC620の銅箔層622からマッチング層610までの厚さDb以上である。上記したように切り込みを入れることにより形成される各チャネルが、電気的に分離される。上記した処理により、複数のチャネルを備える受信センサ60を製造することが出来る。
【0099】
図14は、図4に示す異物検出装置135の制御系の構成例について説明するための説明図である。
【0100】
図14に示すように、異物検出装置135は、制御部10、送信センサ50、受信センサ60、送信パルサ70、読み取り回路80、及び判定回路90を備える。制御部10、送信センサ50、受信センサ60、送信パルサ70、読み取り回路80、及び判定回路90は、それぞれバスを介して互いに接続されている。
【0101】
制御部10は、異物検出装置135の全体の制御を司るものである。制御部10は、CPU、バッファメモリ、プログラムメモリ、及び不揮発性メモリなどを備えている。
【0102】
CPUは、種々の演算処理を行う。バッファメモリは、CPUにより演算結果を一時的に記憶する。プログラムメモリ及び不揮発性メモリは、CPUが実行する種々のプログラム及び制御データなどを記憶する。
【0103】
制御部10は、CPUによりプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の処理を行うことができる。例えば、制御部10は、送信センサ50及び受信センサ60の動作タイミングを制御する。
【0104】
また、制御部10は、図3に示す検査部116のCPU155及び主制御部151と接続されている。例えば、制御部10は、処理結果を主制御部151またはCPU155に通知することができる。また、主制御部151またはCPU155から送信される制御信号に基づいて、異物検出装置135の動作を制御することが出来る。
【0105】
送信パルサ70は、制御部10の制御に基づいてパルス信号を生成する。送信パルサ70は、生成したパルス信号を送信センサ50に入力する。
【0106】
送信センサ50は、入力されるパルス信号に基づいて圧電素子530に電圧を印加する。これにより、送信センサ50は、超音波を射出する。
【0107】
受信センサ60は、マッチング層610の振動に連動する圧電素子630の動作に基づいて、超音波の検出信号を生成する。受信センサ60は、複数のチャネル60a乃至60hを備える。受信センサ60は、各チャネル毎に超音波を検出し、検出信号を生成する。なお、このチャネル数は一例であり、チャネル数及び各チャネルのサイズは、受信センサ60の分解能に応じて決定される。
【0108】
送信センサ50と受信センサとの間に紙葉類7が存在する場合、受信センサ60は、送信センサ50から射出されて紙葉類7を透過した透過波を検出する。またさらに、紙葉類7上に異物8が存在する場合、受信センサ60は、送信センサ50から射出されて紙葉類7及び異物8を透過した透過波を検出する。
【0109】
読み取り回路80は、複数のチャネル60a乃至60hにより検出する検出信号を読み取る。読み取り回路80は、所定間隔毎に受信センサ60から受信する検出信号を読み取る。これにより、読み取り回路80は、搬送される紙葉類7の全体から検出信号を取得することができる。例えば、読み取り回路80は、図15に示す検出信号を取得する。
【0110】
図15は、図4に示す異物検出装置135により検出する信号の例について説明するための説明図である。
図15に示すグラフは、縦軸が各チャネルにより検出する信号の強度(センサ出力)を示し、横軸が紙葉類7の搬送距離(紙葉類7上における検出範囲)を示す。
【0111】
異物検出装置135は、搬送路115により搬送される紙葉類7に対して送信センサ50により超音波を照射する。受信センサ60の各チャネルは、それぞれ所定範囲から紙葉類7を透過する透過波を検出する。これにより、受信センサ60の各チャネルは、センサ出力を読み取り回路80に出力する。
【0112】
グラフAは、紙葉類7の搬送範囲外を走査範囲とするチャネルAにより検出する検出信号を示す。グラフBは、紙葉類7の搬送範囲内であり、テープ8が貼付されていない範囲を走査範囲とするチャネルBにより検出する検出信号を示す。グラフCは、紙葉類7の搬送範囲内であり、走査範囲がテープ8の貼付範囲に含まれるチャネルCにより検出する検出信号を示す。グラフDは、紙葉類7の搬送範囲内であり、テープ8のエッジ部分を走査範囲に含むチャネルDにより検出する検出信号を示す。
【0113】
グラフAに示すように、紙葉類7の搬送範囲外から超音波を検出する場合、チャネルAは、送信センサ50から出力される超音波を直接検出する。この場合、超音波を減衰させる物体が存在しない。この為、チャネルAは、常に高いレベルの超音波を検出する。
【0114】
また、グラフBに示すように、紙葉類7の搬送範囲内であり、テープ8が貼付されていない範囲から超音波を検出する場合、チャネルBは、紙葉類7を透過する透過波を検出する。即ち、送信センサ50から出力される超音波は、紙葉類7を透過し、チャネルBに入射する。この場合、チャネルBは、紙葉類7による超音波の減衰率に応じたレベルの超音波を検出する。
【0115】
また、グラフCに示すように、紙葉類7の搬送範囲内であり、テープ8が貼付されている範囲内から超音波を検出する場合、チャネルCは、紙葉類7及びテープ8を透過する透過波を検出する。即ち、送信センサ50から出力される超音波は、紙葉類7及びテープ8を透過し、チャネルCに入射する。この場合、チャネルCは、紙葉類7及びテープ8による超音波の減衰率に応じたレベルの超音波を検出する。
【0116】
また、グラフDに示すように、紙葉類7の搬送範囲内であり、テープ8のエッジを含む範囲から超音波を検出する場合、チャネルDは、紙葉類7を透過する透過波と、紙葉類7及びテープ8を透過する透過波との合成波を検出する。即ち、チャネルDには、送信センサ50から出力され、紙葉類7を透過した透過波と、紙葉類7とテープ8との両方を透過した透過波とが入射する。この場合、チャネルDは、グラフBとグラフCとの中間のレベルの超音波を検出する。
【0117】
判定回路90は、予め基準値を記憶する基準値メモリ90aを備える。判定回路90は、読み取り回路80により取得する信号と、基準値メモリ90aに記憶されている基準値とを比較する。判定回路90は、比較結果に基づいて紙葉類7に異物8が貼付されているか否かを判定する。
【0118】
即ち、判定回路90は、読み取り回路80により各チャネルから取得する検出信号が基準値メモリ90aに記憶されている基準値以上の値である場合、異物8が存在しないと判定する。また、判定回路90は、読み取り回路80により各チャネルから取得する検出信号が基準値メモリ90aに記憶されている基準値未満の値である場合、異物8が存在すると判定する。
【0119】
さらに、判定回路90は、判定に用いた検出信号を検出した位置に基づいて、紙葉類7上において異物8が付着している範囲を特定することができる。
【0120】
上記したように、本実施形態に係る超音波センサの製造方法は、圧電素子630の両面に1対のFPC620を接着する。これにより、圧電素子630の銅箔層632とFPC620の銅箔層622とを電気的に接続し、電極を形成する。また、1方のFPC620にバッキング層640を接着する。さらに、所望の検出範囲に応じたセンサ長とセンサ幅とに基づいて、マッチング層610を形成する。即ち、マッチング層610のサブストレートをセンサ長及びセンサ幅に基づいて切り出す。切り出したマッチング層610を、他方のFPC620に接着する。上記の処理により、送信センサ50を製造することが出来る。
【0121】
さらに、上記の処理により製造される積層体に対して、マッチング層610側から少なくともバッキング層640側のFPC620の銅箔層622まで達する深さで搬送方向Aと平行に切り込みを入れる。これにより、共通のバッキング層640上に圧電素子630とマッチング層610とを備えるチャネルを複数形成することができる。この結果、複数のチャネルを備える受信センサ60を製造することができる。
【0122】
上記した方法によると、サブストレートから切り出すマッチング層610のサイズを変えることにより、受信センサ60のセンサ長を変える事が出来る。これにより、所望の分解能に応じた検出範囲を有する受信センサを製造することができる。この結果、容易にセンサの分解能を変更することができる超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【0123】
また、上記した方法によると、マッチング層610を除く他の部品を共通化することができる。即ち、FPC620、圧電素子630、及びバッキング層640を仕様毎に異なるサイズのものをそろえる必要がなくなる。これにより、複数の異なる分解能を有する超音波センサを製造する場合のコストを抑えることができる。
【0124】
なお、上記した実施形態では、積層体に対して、マッチング層610側から少なくともバッキング層640側のFPC620の銅箔層622まで達する深さで搬送方向Aと平行に切り込みを入れるとして説明したが、この方法に限定されない。例えば、搬送方向Aと平行な方向に対して角度をつけて切り込みを入れてもよい。
【0125】
図16は、異物検出装置135の受信センサ60のダイシングの他の例について説明する為の説明図である。図16は、ダイシングを行う前の段階の受信センサ60をマッチング層610側から見た図である。
【0126】
図16の(A)は、搬送方向Aと平行な方向でダイシングを行う例を示す。ダイシング処理を行う場合、ダイシングブレード700の厚みにより切しろが生じる。この結果、形成される幅Wsの各チャネルの間に、幅方向Bに切りしろ幅Wgの検知不能領域が生じる。そこで、図16の(B)に示すように、搬送方向Aと平行な方向に対して角度θwをつけてダイシングを行う。
【0127】
切り出し角度θwは、少なくとも幅方向Bに検知不能領域が無くなり、且つ、隣り合うチャネルの走査範囲が重ならない角度であることが望ましい。この場合、幅方向Bに検知不能領域が生じることを防ぎ、且つ、各チャネルによる検出結果に影響を与えることを防ぐことが出来る。
【0128】
また、上記した実施形態において、送信センサ50のマッチング層510の搬送方向Aにおける長さ(センサ長)に応じて、送信センサ50から出力される超音波の回折量が変化する。即ち、センサ長が小さい場合、送信センサ50から出力される超音波が回折しやすくなる。この為、送信センサ50から出力された超音波は広がりやすくなる。
【0129】
この結果、送信センサ50及び受信センサ60の設置位置の誤差が、受信センサ60により検出する超音波にロスを生じさせる可能性がある。この為、設置誤差が受信センサ60の検出結果に影響を与える可能性がある。
【0130】
そこで、例えば、送信センサ50のマッチング層510の搬送方向Aにおける長さと、受信センサ60のマッチング層610の長さとの関係を調整することにより、送信センサ50及び受信センサ60の設置位置の誤差が受信センサ60の検出結果に影響を与えることを防ぐことが出来る。
【0131】
図17は、図4に示す異物検出装置135の送信センサ50及び受信センサ60の他の例について説明する為の部分断面図である。図17は、異物検出装置135を幅方向Bから見た図である。図17は、送信センサ50と受信センサ60とを断面図として示す。
【0132】
図17に示すように、送信センサ50のマッチング層510の搬送方向Aにおける長さは、受信センサ60のマッチング層610の長さより長い。この場合、送信センサ50の設置位置と受信センサ60の設置位置とが搬送方向Aにおいてずれたとしても、受信センサ60の検出結果に影響を与えることを防ぐことが出来る。
【0133】
即ち、送信センサ50のマッチング層510に、搬送方向Aにおいてマージンが存在する。このように送信センサ50及び受信センサ60を製造することにより、送信センサ50及び受信センサ60の設置を容易にすることができる。
【0134】
また、上記した実施形態では、送信センサ50は、分割されていないマッチング層510及び圧電素子530を用いて超音波を発生させる構成として説明した。しかし、この場合、大きなサイズの圧電素子530を駆動させる為に、送信パルサ70のアンプを大容量にする必要がある。この為、コストが嵩む可能性がある。
【0135】
しかし、異物検出装置135は、送信センサ50のマッチング層510及び圧電素子530をダイシング処理により分割し、複数のアンプを用いることにより分割された圧電素子530駆動する構成であってもよい。
【0136】
図18は、図4に示す異物検出装置135の送信センサ50の他の構成例について説明する為の説明図である。図18は、送信センサ50をマッチング層510側から見た図である。
【0137】
図18の(A)に示す送信センサ50を駆動するために必要な送信パルサ70のアンプの容量は、図18の(B)に示す分割された送信センサ50の各チャネル50a、50b、50c、及び50dをそれぞれ駆動するために必要なアンプの容量の和とほぼ等しい。
【0138】
即ち、この構成によると、送信センサ50の分割数に応じて、各チャネルを駆動する為のアンプの容量を抑えることができる。この結果、異物検出装置135のコストを抑えることができる。
【0139】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0140】
7…紙葉類、8…異物(テープ)、10…制御部、50…送信センサ、60…受信センサ、70…送信パルサ、80…読み取り回路、90…判定回路、90a…基準値メモリ、100…紙葉類処理装置、112…投入部、113…取出部、114…吸着ローラ、115…搬送路、116…検査部、117…画像読取装置、118…画像読取装置、119…厚み検査部、151…主制御部、151a…記憶部、152…搬送制御部、153…集積・結束制御部、154…他のセンサ類、155…CPU、156…裁断制御部、510…マッチング層、520…フレキシブルプリント基板、530…圧電素子、540…バッキング層、550…同軸ケーブル、560…接続部、610…マッチング層、620…フレキシブルプリント基板、621…基板、622…銅箔層、623…接着層、624…接着層、630…圧電素子、631…圧電体、632…銅箔層、633…接着層、640…バッキング層、650…同軸ケーブル、660…接続部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を検出する超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば紙幣などの紙葉類の計数及び判別を行う紙葉類処理装置(紙幣処理装置)が実用化されている。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、紙葉類の検査装置に搬送する。検査装置は、紙葉類に対して種々の処理を行い紙葉類の状態を判別する。例えば、紙葉類処理装置は、検査装置の検査結果に基づいて、紙葉類の種類判定、及び真偽判定などを行う。
【0003】
また、紙葉類処理装置は、例えばテープなどの異物が貼付された紙葉類を再流通に適さない紙葉類であると判断する。例えば、検査装置は、紙葉類に超音波を照射し、透過波、または反射波を検出することにより、紙葉類に貼付されているテープなどの異物の有無を検出する。
【0004】
例えば、特許文献1には、対象に対して超音波を照射し、反射エコーを受信することにより対象の音響インピーダンスを検出する超音波プローブが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4118115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙葉類処理装置は、所定の搬送速度で紙葉類を搬送し、搬送される紙葉類から特徴を検出する。これにより、紙葉類処理装置は、紙葉類の検査を行う。この為、上記した超音波プローブなどを紙葉類処理装置に用いる場合、超音波プローブのセンサを紙葉類処理装置に適合させる必要がある。即ち、紙葉類処理装置の仕様に応じた分解能のセンサを有する超音波プローブを製造する必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1の記載に基づいて異なる分解能の超音波プローブを製造する場合、それぞれ個別に圧電素子、音響整合層、及び音響バッキング層を組み合わせる必要がある。この為、紙葉類処理装置に用いる超音波センサを製造する場合、コスト増になるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、容易にセンサの分解能を変更することができる超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態としての超音波センサの製造方法は、対向する面を有する圧電素子の1つの面に第1の導電層を形成し、前記圧電素子の他方の面に第2の導電層を形成し、前記第1の導電層上にバッキング層を形成し、検出対象物の大きさに応じた大きさのマッチング層を前記第2の導電層上に形成し、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離する溝を、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設け、複数のチャネルを形成する。
【0010】
また、本発明の一実施形態としての超音波センサは、対向する面を有する圧電素子と、前記圧電素子の1つの面に形成される第1の導電層と、前記圧電素子の他方の面に形成される第2の導電層と、前記第1の導電層上に形成されるバッキング層と、検出対象物の大きさに応じた大きさで前記第2の導電層上に形成されるマッチング層と、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設けられる溝により、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離して形成される複数のチャネルと、を具備する。
【0011】
また、本発明の一実施形態としての紙葉類処理装置は、紙葉類を搬送する搬送部と、対向する面を有する圧電素子と、前記圧電素子の1つの面に形成される第1の導電層と、前記圧電素子の他方の面に形成される第2の導電層と、前記第1の導電層上に形成されるバッキング層と、検出対象物の大きさに応じた大きさで前記第2の導電層上に形成されるマッチング層と、を具備し、前記搬送部により搬送される紙葉類に対して超音波を出力する送信センサと、前記送信センサの構成にさらに、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設けられる溝により、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離して形成される複数のチャネルを具備し、前記搬送部を挟んで前記送信センサと対向する位置に設けられ、前記紙葉類を透過する超音波を受信する受信センサと、前記受信センサの前記複数のチャネルにより検出する検出信号と、予め記憶される基準値とを比較し、比較結果に基づいて前記紙葉類に異物が付着しているか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、を具備する。
【発明の効果】
【0012】
この発明の一形態によれば、容易にセンサの分解能を変更することができる超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の外観について説明するための説明図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【図4】図4は、図2及び図3に示す異物検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図5】図5は、図4に示す異物検出装置のセンサの構成例について説明する為の部分断面図である。
【図6】図6は、図4に示す異物検出装置のセンサの構成例について説明する為の部分断面図である。
【図7】図7は、図4に示す異物検出装置のセンサの構成例について説明する為の説明図である。
【図8】図8は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図9】図9は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図10】図10は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図11】図11は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図12】図12は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図13】図13は、図4に示す異物検出装置のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【図14】図14は、図4に示す異物検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図15】図15は、図4に示す異物検出装置により検出する信号の例について説明するための説明図である。
【図16】図16は、図4に示す異物検出装置のセンサのダイシングの他の例について説明する為の説明図である。
【図17】図17は、図4に示す異物検出装置の送信センサと受信センサとの配置の関係について説明する為の説明図である。
【図18】図18は、図4に示す異物検出装置の送信センサの他の構成例について説明する為の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置について詳細に説明する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置(紙幣処理装置)100の外観について説明するための説明図である。
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作表示部137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0016】
投入部112は、例えば紙幣などの紙葉類7を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類7をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作表示部137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作表示部137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作表示部137に表示されるボタンと、操作表示部137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0017】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置100により再流通不可と判断された紙葉類7がスタックされる集積部から紙葉類7を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける入力部として機能する。
【0018】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置100の構成例について説明するための説明図である。
紙葉類処理装置100は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至131、裁断部133、及びスタッカ134を備える。また、紙葉類処理装置100は、主制御部151を備える。主制御部151は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する。
【0019】
取出部113は、投入部の上部に設けられる。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類7を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類7一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7は、搬送路115に導入される。
【0020】
搬送路115は、紙葉類7を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する搬送手段である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータ及び駆動プーリにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0021】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、異物検出装置135、及び厚み検査部119を備えている。検査部116は、紙葉類7の光学的特徴情報、機械的特徴、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の種類、汚棄損、表裏、及び真偽などを検査する。
【0022】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、Charge Coupled Device(CCD)カメラを備える。紙葉類処理装置100は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類7の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0023】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置100は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作表示部137に表示する。
【0024】
異物検出装置135は、搬送される紙葉類7に対して超音波を照射し、紙葉類7を透過する透過波を検出する。これにより、異物検出装置135は、例えば、紙葉類7に付着する異物の有無を検出する。異物検出装置135は、例えば、テープなどの貼付物を異物として検出する。
【0025】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の2枚取りを検出する。
【0026】
また、検査部116は、図示しない磁気センサなどを備えている。磁気センサは、紙葉類7の磁気的な特徴情報を検出する。
【0027】
主制御部151は、画像読取装置117、118、異物検出装置135、厚み検査部119、及び磁気センサなどによる検出結果に基づいて、紙葉類7が正券、損券、または排除権であるかを判定する。
【0028】
紙葉類処理装置100は、正券と判定した紙葉類7を集積・結束部128乃至131に搬送する。また、紙葉類処理装置100は、損券と判定した紙葉類7を裁断部133に搬送する。裁断部133は、搬送される損券を裁断する。なお、紙葉類処理装置100は、損券をスタッカ134に搬送し集積してもよい。スタッカ134は、集積した損券が例えば100枚に到達するごとに施封を行う。
【0029】
排除券は、正券及び損券に該当しない紙葉類7である。紙葉類処理装置100は、排除券と判定した紙葉類7を排除集積部127に搬送する。排除券は、例えば、2枚取り券などの搬送異常券、折れまたは破れなどが存在する不良券、及び適用外券種または偽券などの判別不能券を含む。
【0030】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類7を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0031】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、ゲート120は、検査部116による検査の結果、真券ではないと判定された排除券、または、検査部116による検査を行うことができない検査不能券等を排除搬送路126に搬送するように切り替えられる。
【0032】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、上記したような排除券、及び検査不能券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類7は、取出口139から取り出すことができる。
【0033】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類7が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類7を所定枚数毎に結束して格納する。また、紙葉類処理装置100は、図示しない大束結束部により、所定枚数毎で結束した紙葉類7を複数集積し、結束する。
【0034】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類7を裁断して収納する。ゲート125に搬送される紙葉類7は、正規の紙葉類7であり、且つ、再流通が不可能であると判定された紙葉類7(損券)である。
【0035】
また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、紙葉類7を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類7をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0036】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類7の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類7の枚数及び識別情報を逐次記憶する。
【0037】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置100の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【0038】
紙葉類処理装置100は、主制御部151、検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、裁断制御部156、操作表示部137、及びキーボード140などを備える。
【0039】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作表示部137により入力される操作、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0040】
例えば、操作員は、操作表示部137またはキーボード140により、処理する紙葉類7の券種、枚数、正損判別レベル、供給元の名称、及び処理方法などを入力する。
【0041】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、異物検出装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0042】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、例えばCCDなどの受光素子と光学系とを備える。画像読取装置117、及び118は、搬送される紙葉類7に対して光を投光し、反射光または透過光を光学系により受光する。画像読取装置117、及び118は、光学系により受光した光をCCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。
【0043】
主制御部151は、紙葉類7の基準となる画像(基準画像)を記憶部151aに予め記憶する。主制御部151は、紙葉類7から取得した画像と、記憶部151aに記憶される基準画像とを比較することにより、静養類の正損判定及び偽券判定を行う。
【0044】
異物検出装置135は、上記したように、搬送される紙葉類7に対して超音波を照射する。異物検出装置135は、紙葉類7を透過する音波を検出する。また、異物検出装置135は、予め設定される基準値を記憶する。
【0045】
紙葉類7に異物が付着している場合、紙葉類7を透過する超音波(透過波)の強度が減衰する。異物検出装置135は、検出した音波の強度と予め記憶される基準値とを比較する。異物検出装置135は、比較結果に基づいて、紙葉類7に異物が付着しているか否かを判定する。
【0046】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。その他のセンサ類154は、例えば、磁気センサなどである。磁気センサは、搬送路115を搬送される紙葉類7から磁気的な特徴情報を検出する。
【0047】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、異物検出装置135、及びその他のセンサ類154などによる検査の結果に基づいて、搬送路115を搬送される紙葉類7の種類、正損、表裏、及び真偽などを判別する。
【0048】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類7の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類7の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0049】
例えば、搬送制御部152は、異物検出装置135により紙葉類7に異物が付着していることを検出する場合、紙葉類7を排除集積部127、裁断部133、またはスタッカ134に搬送するようにゲート120乃至125を制御する。
【0050】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、排除集積部127及び集積・結束部128乃至131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類7の集積、及び結束の制御を行なう。
【0051】
裁断制御部156は、主制御部151の制御に基づき、裁断部133の動作を制御する。これにより、裁断部133は、搬送される紙葉類7の裁断を行う。
【0052】
図4は、図2及び図3に示す異物検出装置135の構成例について説明するための説明図である。
異物検出装置135は、紙葉類7に付着している例えばテープなどの異物を検出対象として検出処理を行う。これにより、異物検出装置135は、紙葉類7に付着する異物の有無を検出する。異物検出装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。
図4に示すように、異物検出装置135は、送信センサ50及び受信センサ60を備える。なお、図4に示す矢印Aは、紙葉類7の搬送方向を示す。また、矢印Bは、搬送される紙葉類7の短手方向(幅方向)を示す。また、矢印Cは、垂直方向を示す。
【0053】
送信センサ50は、搬送方向Aに一定の速度で搬送される紙葉類7に対して超音波を照射する送信部である。送信センサ50は、搬送路115を挟んで受信センサ60と対向する位置に設置される。送信センサ50は、圧電素子を備える。圧電素子は、圧電体と、圧電体を挟持するように設けられる1対の電極とを有する。
【0054】
送信センサ50は、圧電素子の電極に電圧を印加することにより、圧電体の形状を変化させる。これにより、送信センサ50の圧電素子は、垂直方向Cに伸縮する。送信センサ50は、圧電素子の電極にパルス信号を印加することにより、圧電体を振動させる。ここの結果、送信センサ50は、超音波を発生させることができる。
【0055】
受信センサ60は、送信センサ50から送信されて紙葉類7を透過した透過波を検出する受信部。受信センサ60は、搬送路115を挟んで送信センサ50と対向する位置に設置される。受信センサ60は、送信センサ50と同様に、圧電素子を備える。
【0056】
受信センサ60は、圧電体の形状の変化に応じて信号を生成する。受信センサ60に超音波が照射される場合、圧電体は、超音波の強度及び周期に応じて形状が変化する。即ち、受信センサ60は、超音波の強度及び周期に応じた信号を生成する。これにより、受信センサ60は、紙葉類7を透過した透過波を検出する。
【0057】
図5は、図4に示す異物検出装置135の送信センサ50及び受信センサ60の構成例について説明する為の部分断面図である。図5は、異物検出装置135を搬送方向Aから見た図である。図5は、送信センサ50、受信センサ60、紙葉類7、及び紙葉類7に付着する異物8をそれぞれ断面として示す。
【0058】
送信センサ50及び受信センサ60は、それぞれ幅方向Bにおいて所定のサイズ(センサ幅)をもって設けられている。送信センサ50及び受信センサ60は、少なくとも紙葉類7が搬送される幅以上のセンサ幅をもつ構成であれば、如何なるサイズであってもよい。
【0059】
送信センサ50は、マッチング層510、フレキシブルプリント基板(FPC)520、圧電素子530、及びバッキング層540を備える。
【0060】
また、受信センサ60は、マッチング層610、FPC620、圧電素子630、及びバッキング層640を備える。なお、送信センサ50の各構成は、受信センサ60の各構成と同様である為、受信センサ60の各構成を例に挙げて説明する。
【0061】
マッチング層610は、受信センサ60と空気中との間で効率的に超音波を伝播する為の構成である。通常、圧電体の音響インピーダンスと空気中の音響インピーダンスとの差が大きい。この為、境界面において反射する超音波が多くなる。
【0062】
マッチング層610は、圧電体の音響インピーダンスと空気中の音響インピーダンスとの中間的な音響インピーダンスを持つ構成である。マッチング層610を圧電素子630と空気との間に設けることにより、受信センサ60は、空気中を伝播する超音波を効率的に検出することができる。
【0063】
なお、マッチング層610は、圧電素子630とFPC620を介して接着されている。この為、マッチング層610は、圧電素子630と連動して振動する。
【0064】
FPC620は、回路などが銅箔として屈曲性のある電気絶縁フィルム上に形成されたものである。FPC620は、曲げ、重ね、おりたたみ、巻き付け、及びねじりなどが可能である。
【0065】
FPC620は、圧電素子630を挟持するように設けられる。この場合、FPC620の銅箔がプリントされた面と圧電素子630の電極とが電気的に接続される。
【0066】
なお、FPC620は、必須の構成ではなく、少なくとも圧電体の両側に外部から接続可能な電極が形成される構成であればよい。即ち、FPC620は、他の構成により置き換えられてもよいし、省略されてもよい。
【0067】
圧電素子630は、水晶、またはセラミックなどの圧電体と、圧電体の両側に設けられる電極とを備える。圧電体は、パルス信号を印加すると、印加したパルス信号の周期、及び強度に応じて振動する圧電効果を有する。これにより、圧電体は、電気信号を超音波に変換する。また、圧電体は、超音波を電気信号に変換する。
【0068】
バッキング層640は、圧電素子630から、マッチング層610と逆側(背面)に放射される音響エネルギー(振動)を吸収する。また、バッキング層640は、圧電素子630の自由震動を抑制する。
【0069】
なお、受信センサ60のマッチング層610、FPC620、及び圧電素子630は、後述するダイシング処理により複数のチャネルに切り分けられている。これにより、受信センサ60は、各チャネル毎に異なる領域から超音波を検出することができる。
【0070】
図6は、図4に示す異物検出装置135の送信センサ50及び受信センサ60の構成例について説明する為の部分断面図である。図6は、異物検出装置135を幅方向Bから見た図である。
【0071】
図6に示すように、送信センサ50は、同軸ケーブル550が接続される。即ち、送信センサ50のFPC520の銅箔がプリントされた面は、接続部560において、同軸ケーブル550の+端子、または−端子が接続される。これにより、送信センサ50は、例えばパルス信号を生成する送信パルサなどと電気的に接続される。
【0072】
即ち、同軸ケーブル550を介してパルス信号が送信センサ50に入力される場合、パルス信号に応じた電圧が、圧電素子530の圧電体に印加される。
【0073】
受信センサ60も同様に、同軸ケーブル650が接続される。即ち、受信センサ60のFPC620の銅箔がプリントされた面は、接続部660において、同軸ケーブル650の+端子、または−端子が接続される。これにより、受信センサ60は、例えば圧電素子630により生成される検出信号を読み取る読み取り回路などと電気的に接続される。
【0074】
即ち、受信センサ60に超音波が入射する場合、圧電素子630により生成される信号が、同軸ケーブル650を介して読み取り回路に入力される。
【0075】
なお、受信センサ60には、上記した切り分けられた各チャネル毎に同軸ケーブル650が接続される。これにより、受信センサ60は、各チャネル毎に検出する信号を読み取り回路に送信することができる。
【0076】
図7は、図4に示す異物検出装置135のセンサの構成例について説明する為の説明図である。
【0077】
図7に示すように、受信センサ60は、幅方向Bにセンサ幅Waの幅を有する。受信センサ60の各チャネルは、幅方向BにWsの幅を持って切り分けられる。また、上記したように、受信センサ60を複数のチャネルに切り分けることにより、各チャネルは、それぞれ異なる領域から超音波を検出する事ができる。
【0078】
例えば、受信センサ60は、所定間隔毎に連続して超音波を検出する。これにより、受信センサ60は、搬送される紙葉類7を透過する超音波を所定領域毎に検出することができる。
【0079】
なお、受信センサ60のマッチング層610の搬送方向Aにおける長さ(センサ長Ls)は、検出する異物(テープ)8の搬送方向Aにおける長さ(テープ長Lt)の1/2未満の長さであることが望ましい。
【0080】
また、受信センサ60のマッチング層610の幅方向Bにおける長さ(センサ幅Ws)は、検出する異物(テープ)8の幅方向Bにおける長さ(テープ幅Wt)の1/2未満の長さであることが望ましい。
【0081】
センサ長Lsがテープ長Ltの1/2以上、または、センサ幅Wsがテープ幅Wtの1/2以上である場合、受信センサ60の各チャネルの検出範囲が、紙葉類7上のテープ8の付着範囲のエッジと重なる可能性がある。この場合、受信センサ60は、テープ8が貼付しているか否かを判別する為に十分な超音波の減衰を検出する事ができない可能性がある。
【0082】
センサ長Lsがテープ長Ltの1/2未満であり、且つ、センサ幅Wsがテープ幅Wtの1/2未満である場合、連続する2タイミングの何れかにおいて、チャネルの検出範囲がテープ8が貼り付けられている貼付範囲内に納まる。これにより、受信センサ60は、テープ8が貼付しているか否かを判別する為に十分な超音波の減衰を検出する事ができる。
【0083】
なお、センサ長Lsがテープ長Ltの1/2未満であり、且つ、センサ幅Wsがテープ幅Wtの1/2未満であるとして説明したが、これに限定されない。テープ8が貼付しているか否かを判別する為に十分な超音波の減衰を検出する事ができるサイズであれば、マッチング層610のサイズは如何なるサイズであってもよい。
【0084】
次に、送信センサ50及び受信センサ60の製造工程について説明する。
図8乃至図12は、図4に示す異物検出装置135の送信センサ50及び受信センサ60の製造方法について説明する為の部分断面図である。なお、送信センサ50の製造工程は、受信センサ60の製造工程と重複する為、受信センサ60の製造工程を例に挙げて説明する。
【0085】
図8は、圧電素子630を上面、正面、及び側面から見た図である。圧電素子630が受信センサ60として設置される場合、この上面図は、垂直方向Bから見た図に対応する。また、正面図は、搬送方向Aから見た図に対応する。またさらに、側面図は、幅方向Bから見た図に対応する。ここでは、上面図及び側面図を断面図として示す。
【0086】
図8に示すように、圧電素子630は、圧電体631と、圧電体631の表面に設けられる銅箔層632とを備える。圧電体631は、水晶、またはセラミックなどにより構成される。銅箔層632は、例えば、圧電体631の表面に塗布される銅箔などにより構成される。圧電体631は、1対の銅箔層632により狭持される。
【0087】
次に、図9に示すように、銅箔層632の表面に、エポキシ樹脂を薄く塗布する。これにより、接着層633が形成される。エポキシ樹脂は、導電性の樹脂接着剤である。
【0088】
次に、図10に示すように、接着層633にFPC620が接着される。FPC620と圧電素子630とが接着層633を挟んで適度にプレスされる。これにより、エポキシ樹脂が硬化する。なお、FPC620は、同軸ケーブル650を接続する為に、搬送方向Aに圧電素子630より長く形成されている。
【0089】
FPC620は、基板621と銅箔層622とを備える。FPC620は、銅箔層622が形成されている面が接着層633に面するように接着される。これにより、導電性の接着層633を介してFPC620の銅箔層622と圧電素子630の銅箔層632とが電気的に接続される。この結果、圧電体631を狭持するように、導電層が形成される。この導電層は、圧電体631を駆動する為の電極として機能する。
【0090】
次に、図11に示すように、FPC620の基板621の表面に、エポキシ樹脂を薄く塗布する。これにより、接着層623、及び接着層624が形成される。なお、接着層623及び624は、接着されるマッチング層610及びバッキング層の搬送方向Aにおけるサイズに応じて形成される。
【0091】
次に、図12に示すように、接着層623にマッチング層610が接着される。また、接着層624にバッキング層640が接着される。即ち、マッチング層610とFPC620とが接着層623を挟んで適度にプレスされる。また、バッキング層640とFPC620とが接着層624を挟んで適度にプレスされる。これにより、エポキシ樹脂が硬化する。
【0092】
マッチング層610の搬送方向Aにおける長さ(センサ長Ls)は、上記したように、検出する異物の搬送方向Aにおける長さに応じて決定される。
【0093】
マッチング層610を製造する場合、まず、液状エポキシ樹脂を攪拌及び脱泡する。液状エポキシ樹脂は、型に流し込まれる。これにより、液状エポキシ樹脂は、平板形状に硬化する。硬化したエポキシ樹脂は、所定の厚さDになるようラップ(厚み出し磨き)が行われ、サブストレートに加工される。サブストレートは、上記した方法により決定したセンサ長Lsと、センサ幅Waとに基づいて切り出される。これにより、幅がWaであり、長さがLsであり、厚さがDであるマッチング層610が形成される。
【0094】
上記したように、マッチング層610は、一般工業用のエポキシ樹脂を用いているため材料が安価であり、受信センサも安価に製造することができる。
【0095】
上記した工程により、マッチング層610、FPC620、圧電素子630、及びバッキング層640が積層されたセンサ(積層体)が形成される。なお、この構成は、送信センサ50と同様の構成である。
【0096】
次に、ダイシング処理について説明する。
図13は、図4に示す異物検出装置135のセンサの製造方法について説明する為の部分断面図である。
【0097】
図8乃至図12に示す工程により製造した厚さDaのセンサ(積層体)に対して、センサの長さ方向(設置時における搬送方向A)と平行に所定の深さDcでダイシングブレード700により切り込みを入れる。この場合、図7において説明したセンサ幅Wsの間隔でマッチング層610側から切り込みを入れる。
【0098】
深さDcは、センサの厚さDa未満であり、且つ、バッキング層640側のFPC620の銅箔層622からマッチング層610までの厚さDb以上である。上記したように切り込みを入れることにより形成される各チャネルが、電気的に分離される。上記した処理により、複数のチャネルを備える受信センサ60を製造することが出来る。
【0099】
図14は、図4に示す異物検出装置135の制御系の構成例について説明するための説明図である。
【0100】
図14に示すように、異物検出装置135は、制御部10、送信センサ50、受信センサ60、送信パルサ70、読み取り回路80、及び判定回路90を備える。制御部10、送信センサ50、受信センサ60、送信パルサ70、読み取り回路80、及び判定回路90は、それぞれバスを介して互いに接続されている。
【0101】
制御部10は、異物検出装置135の全体の制御を司るものである。制御部10は、CPU、バッファメモリ、プログラムメモリ、及び不揮発性メモリなどを備えている。
【0102】
CPUは、種々の演算処理を行う。バッファメモリは、CPUにより演算結果を一時的に記憶する。プログラムメモリ及び不揮発性メモリは、CPUが実行する種々のプログラム及び制御データなどを記憶する。
【0103】
制御部10は、CPUによりプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の処理を行うことができる。例えば、制御部10は、送信センサ50及び受信センサ60の動作タイミングを制御する。
【0104】
また、制御部10は、図3に示す検査部116のCPU155及び主制御部151と接続されている。例えば、制御部10は、処理結果を主制御部151またはCPU155に通知することができる。また、主制御部151またはCPU155から送信される制御信号に基づいて、異物検出装置135の動作を制御することが出来る。
【0105】
送信パルサ70は、制御部10の制御に基づいてパルス信号を生成する。送信パルサ70は、生成したパルス信号を送信センサ50に入力する。
【0106】
送信センサ50は、入力されるパルス信号に基づいて圧電素子530に電圧を印加する。これにより、送信センサ50は、超音波を射出する。
【0107】
受信センサ60は、マッチング層610の振動に連動する圧電素子630の動作に基づいて、超音波の検出信号を生成する。受信センサ60は、複数のチャネル60a乃至60hを備える。受信センサ60は、各チャネル毎に超音波を検出し、検出信号を生成する。なお、このチャネル数は一例であり、チャネル数及び各チャネルのサイズは、受信センサ60の分解能に応じて決定される。
【0108】
送信センサ50と受信センサとの間に紙葉類7が存在する場合、受信センサ60は、送信センサ50から射出されて紙葉類7を透過した透過波を検出する。またさらに、紙葉類7上に異物8が存在する場合、受信センサ60は、送信センサ50から射出されて紙葉類7及び異物8を透過した透過波を検出する。
【0109】
読み取り回路80は、複数のチャネル60a乃至60hにより検出する検出信号を読み取る。読み取り回路80は、所定間隔毎に受信センサ60から受信する検出信号を読み取る。これにより、読み取り回路80は、搬送される紙葉類7の全体から検出信号を取得することができる。例えば、読み取り回路80は、図15に示す検出信号を取得する。
【0110】
図15は、図4に示す異物検出装置135により検出する信号の例について説明するための説明図である。
図15に示すグラフは、縦軸が各チャネルにより検出する信号の強度(センサ出力)を示し、横軸が紙葉類7の搬送距離(紙葉類7上における検出範囲)を示す。
【0111】
異物検出装置135は、搬送路115により搬送される紙葉類7に対して送信センサ50により超音波を照射する。受信センサ60の各チャネルは、それぞれ所定範囲から紙葉類7を透過する透過波を検出する。これにより、受信センサ60の各チャネルは、センサ出力を読み取り回路80に出力する。
【0112】
グラフAは、紙葉類7の搬送範囲外を走査範囲とするチャネルAにより検出する検出信号を示す。グラフBは、紙葉類7の搬送範囲内であり、テープ8が貼付されていない範囲を走査範囲とするチャネルBにより検出する検出信号を示す。グラフCは、紙葉類7の搬送範囲内であり、走査範囲がテープ8の貼付範囲に含まれるチャネルCにより検出する検出信号を示す。グラフDは、紙葉類7の搬送範囲内であり、テープ8のエッジ部分を走査範囲に含むチャネルDにより検出する検出信号を示す。
【0113】
グラフAに示すように、紙葉類7の搬送範囲外から超音波を検出する場合、チャネルAは、送信センサ50から出力される超音波を直接検出する。この場合、超音波を減衰させる物体が存在しない。この為、チャネルAは、常に高いレベルの超音波を検出する。
【0114】
また、グラフBに示すように、紙葉類7の搬送範囲内であり、テープ8が貼付されていない範囲から超音波を検出する場合、チャネルBは、紙葉類7を透過する透過波を検出する。即ち、送信センサ50から出力される超音波は、紙葉類7を透過し、チャネルBに入射する。この場合、チャネルBは、紙葉類7による超音波の減衰率に応じたレベルの超音波を検出する。
【0115】
また、グラフCに示すように、紙葉類7の搬送範囲内であり、テープ8が貼付されている範囲内から超音波を検出する場合、チャネルCは、紙葉類7及びテープ8を透過する透過波を検出する。即ち、送信センサ50から出力される超音波は、紙葉類7及びテープ8を透過し、チャネルCに入射する。この場合、チャネルCは、紙葉類7及びテープ8による超音波の減衰率に応じたレベルの超音波を検出する。
【0116】
また、グラフDに示すように、紙葉類7の搬送範囲内であり、テープ8のエッジを含む範囲から超音波を検出する場合、チャネルDは、紙葉類7を透過する透過波と、紙葉類7及びテープ8を透過する透過波との合成波を検出する。即ち、チャネルDには、送信センサ50から出力され、紙葉類7を透過した透過波と、紙葉類7とテープ8との両方を透過した透過波とが入射する。この場合、チャネルDは、グラフBとグラフCとの中間のレベルの超音波を検出する。
【0117】
判定回路90は、予め基準値を記憶する基準値メモリ90aを備える。判定回路90は、読み取り回路80により取得する信号と、基準値メモリ90aに記憶されている基準値とを比較する。判定回路90は、比較結果に基づいて紙葉類7に異物8が貼付されているか否かを判定する。
【0118】
即ち、判定回路90は、読み取り回路80により各チャネルから取得する検出信号が基準値メモリ90aに記憶されている基準値以上の値である場合、異物8が存在しないと判定する。また、判定回路90は、読み取り回路80により各チャネルから取得する検出信号が基準値メモリ90aに記憶されている基準値未満の値である場合、異物8が存在すると判定する。
【0119】
さらに、判定回路90は、判定に用いた検出信号を検出した位置に基づいて、紙葉類7上において異物8が付着している範囲を特定することができる。
【0120】
上記したように、本実施形態に係る超音波センサの製造方法は、圧電素子630の両面に1対のFPC620を接着する。これにより、圧電素子630の銅箔層632とFPC620の銅箔層622とを電気的に接続し、電極を形成する。また、1方のFPC620にバッキング層640を接着する。さらに、所望の検出範囲に応じたセンサ長とセンサ幅とに基づいて、マッチング層610を形成する。即ち、マッチング層610のサブストレートをセンサ長及びセンサ幅に基づいて切り出す。切り出したマッチング層610を、他方のFPC620に接着する。上記の処理により、送信センサ50を製造することが出来る。
【0121】
さらに、上記の処理により製造される積層体に対して、マッチング層610側から少なくともバッキング層640側のFPC620の銅箔層622まで達する深さで搬送方向Aと平行に切り込みを入れる。これにより、共通のバッキング層640上に圧電素子630とマッチング層610とを備えるチャネルを複数形成することができる。この結果、複数のチャネルを備える受信センサ60を製造することができる。
【0122】
上記した方法によると、サブストレートから切り出すマッチング層610のサイズを変えることにより、受信センサ60のセンサ長を変える事が出来る。これにより、所望の分解能に応じた検出範囲を有する受信センサを製造することができる。この結果、容易にセンサの分解能を変更することができる超音波センサの製造方法、超音波センサ、及び超音波センサを備える紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【0123】
また、上記した方法によると、マッチング層610を除く他の部品を共通化することができる。即ち、FPC620、圧電素子630、及びバッキング層640を仕様毎に異なるサイズのものをそろえる必要がなくなる。これにより、複数の異なる分解能を有する超音波センサを製造する場合のコストを抑えることができる。
【0124】
なお、上記した実施形態では、積層体に対して、マッチング層610側から少なくともバッキング層640側のFPC620の銅箔層622まで達する深さで搬送方向Aと平行に切り込みを入れるとして説明したが、この方法に限定されない。例えば、搬送方向Aと平行な方向に対して角度をつけて切り込みを入れてもよい。
【0125】
図16は、異物検出装置135の受信センサ60のダイシングの他の例について説明する為の説明図である。図16は、ダイシングを行う前の段階の受信センサ60をマッチング層610側から見た図である。
【0126】
図16の(A)は、搬送方向Aと平行な方向でダイシングを行う例を示す。ダイシング処理を行う場合、ダイシングブレード700の厚みにより切しろが生じる。この結果、形成される幅Wsの各チャネルの間に、幅方向Bに切りしろ幅Wgの検知不能領域が生じる。そこで、図16の(B)に示すように、搬送方向Aと平行な方向に対して角度θwをつけてダイシングを行う。
【0127】
切り出し角度θwは、少なくとも幅方向Bに検知不能領域が無くなり、且つ、隣り合うチャネルの走査範囲が重ならない角度であることが望ましい。この場合、幅方向Bに検知不能領域が生じることを防ぎ、且つ、各チャネルによる検出結果に影響を与えることを防ぐことが出来る。
【0128】
また、上記した実施形態において、送信センサ50のマッチング層510の搬送方向Aにおける長さ(センサ長)に応じて、送信センサ50から出力される超音波の回折量が変化する。即ち、センサ長が小さい場合、送信センサ50から出力される超音波が回折しやすくなる。この為、送信センサ50から出力された超音波は広がりやすくなる。
【0129】
この結果、送信センサ50及び受信センサ60の設置位置の誤差が、受信センサ60により検出する超音波にロスを生じさせる可能性がある。この為、設置誤差が受信センサ60の検出結果に影響を与える可能性がある。
【0130】
そこで、例えば、送信センサ50のマッチング層510の搬送方向Aにおける長さと、受信センサ60のマッチング層610の長さとの関係を調整することにより、送信センサ50及び受信センサ60の設置位置の誤差が受信センサ60の検出結果に影響を与えることを防ぐことが出来る。
【0131】
図17は、図4に示す異物検出装置135の送信センサ50及び受信センサ60の他の例について説明する為の部分断面図である。図17は、異物検出装置135を幅方向Bから見た図である。図17は、送信センサ50と受信センサ60とを断面図として示す。
【0132】
図17に示すように、送信センサ50のマッチング層510の搬送方向Aにおける長さは、受信センサ60のマッチング層610の長さより長い。この場合、送信センサ50の設置位置と受信センサ60の設置位置とが搬送方向Aにおいてずれたとしても、受信センサ60の検出結果に影響を与えることを防ぐことが出来る。
【0133】
即ち、送信センサ50のマッチング層510に、搬送方向Aにおいてマージンが存在する。このように送信センサ50及び受信センサ60を製造することにより、送信センサ50及び受信センサ60の設置を容易にすることができる。
【0134】
また、上記した実施形態では、送信センサ50は、分割されていないマッチング層510及び圧電素子530を用いて超音波を発生させる構成として説明した。しかし、この場合、大きなサイズの圧電素子530を駆動させる為に、送信パルサ70のアンプを大容量にする必要がある。この為、コストが嵩む可能性がある。
【0135】
しかし、異物検出装置135は、送信センサ50のマッチング層510及び圧電素子530をダイシング処理により分割し、複数のアンプを用いることにより分割された圧電素子530駆動する構成であってもよい。
【0136】
図18は、図4に示す異物検出装置135の送信センサ50の他の構成例について説明する為の説明図である。図18は、送信センサ50をマッチング層510側から見た図である。
【0137】
図18の(A)に示す送信センサ50を駆動するために必要な送信パルサ70のアンプの容量は、図18の(B)に示す分割された送信センサ50の各チャネル50a、50b、50c、及び50dをそれぞれ駆動するために必要なアンプの容量の和とほぼ等しい。
【0138】
即ち、この構成によると、送信センサ50の分割数に応じて、各チャネルを駆動する為のアンプの容量を抑えることができる。この結果、異物検出装置135のコストを抑えることができる。
【0139】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0140】
7…紙葉類、8…異物(テープ)、10…制御部、50…送信センサ、60…受信センサ、70…送信パルサ、80…読み取り回路、90…判定回路、90a…基準値メモリ、100…紙葉類処理装置、112…投入部、113…取出部、114…吸着ローラ、115…搬送路、116…検査部、117…画像読取装置、118…画像読取装置、119…厚み検査部、151…主制御部、151a…記憶部、152…搬送制御部、153…集積・結束制御部、154…他のセンサ類、155…CPU、156…裁断制御部、510…マッチング層、520…フレキシブルプリント基板、530…圧電素子、540…バッキング層、550…同軸ケーブル、560…接続部、610…マッチング層、620…フレキシブルプリント基板、621…基板、622…銅箔層、623…接着層、624…接着層、630…圧電素子、631…圧電体、632…銅箔層、633…接着層、640…バッキング層、650…同軸ケーブル、660…接続部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する面を有する圧電素子の1つの面に第1の導電層を形成し、
前記圧電素子の他方の面に第2の導電層を形成し、
前記第1の導電層上にバッキング層を形成し、
検出対象物の大きさに応じた大きさのマッチング層を前記第2の導電層上に形成し、
前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離する溝を、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設け、複数のチャネルを形成する、
ことを特徴とする超音波センサの製造方法。
【請求項2】
検出対象物の搬送方向における検出対象物の大きさに基づいて、検出対象物の搬送方向におけるマッチング層の大きさを決定することを特徴とする請求項1に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項3】
検出対象物の搬送方向におけるマッチング層の大きさは、検出対象物の搬送方向における検出対象物の長さの1/2未満であることを特徴とする請求項2に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項4】
検出対象物の搬送方向に対して所定の切り出し角度を持つ方向で前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで溝を設けることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項5】
対向する面を有する圧電素子と、
前記圧電素子の1つの面に形成される第1の導電層と、
前記圧電素子の他方の面に形成される第2の導電層と、
前記第1の導電層上に形成されるバッキング層と、
検出対象物の大きさに応じた大きさで前記第2の導電層上に形成されるマッチング層と、
前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設けられる溝により、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離して形成される複数のチャネルと、
を具備することを特徴とする超音波センサ。
【請求項6】
紙葉類を搬送する搬送部と、
対向する面を有する圧電素子と、前記圧電素子の1つの面に形成される第1の導電層と、前記圧電素子の他方の面に形成される第2の導電層と、前記第1の導電層上に形成されるバッキング層と、検出対象物の大きさに応じた大きさで前記第2の導電層上に形成されるマッチング層と、を具備し、前記搬送部により搬送される紙葉類に対して超音波を出力する送信部と、
前記送信部の構成にさらに、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設けられる溝により、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離して形成される複数のチャネルを具備し、前記搬送部を挟んで前記送信部と対向する位置に設けられ、前記紙葉類を透過する超音波を受信する受信部と、
前記受信部の前記複数のチャネルにより検出する検出信号と、予め記憶される基準値とを比較し、比較結果に基づいて前記紙葉類に異物が付着しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記紙葉類の搬送方向における前記送信部の前記マッチング層の大きさは、前記紙葉類の搬送方向における前記受信部のマッチング層の大きさ以上であることを特徴とする請求項6に記載の紙葉類処理装置。
【請求項8】
前記送信部は、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設けられる溝により、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離して形成される複数のチャネルをさらに具備し、
前記送信部の各チャネルを駆動する為の複数のアンプをさらに具備することを特徴とする請求項6に記載の紙葉類処理装置。
【請求項1】
対向する面を有する圧電素子の1つの面に第1の導電層を形成し、
前記圧電素子の他方の面に第2の導電層を形成し、
前記第1の導電層上にバッキング層を形成し、
検出対象物の大きさに応じた大きさのマッチング層を前記第2の導電層上に形成し、
前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離する溝を、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設け、複数のチャネルを形成する、
ことを特徴とする超音波センサの製造方法。
【請求項2】
検出対象物の搬送方向における検出対象物の大きさに基づいて、検出対象物の搬送方向におけるマッチング層の大きさを決定することを特徴とする請求項1に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項3】
検出対象物の搬送方向におけるマッチング層の大きさは、検出対象物の搬送方向における検出対象物の長さの1/2未満であることを特徴とする請求項2に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項4】
検出対象物の搬送方向に対して所定の切り出し角度を持つ方向で前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで溝を設けることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項5】
対向する面を有する圧電素子と、
前記圧電素子の1つの面に形成される第1の導電層と、
前記圧電素子の他方の面に形成される第2の導電層と、
前記第1の導電層上に形成されるバッキング層と、
検出対象物の大きさに応じた大きさで前記第2の導電層上に形成されるマッチング層と、
前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設けられる溝により、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離して形成される複数のチャネルと、
を具備することを特徴とする超音波センサ。
【請求項6】
紙葉類を搬送する搬送部と、
対向する面を有する圧電素子と、前記圧電素子の1つの面に形成される第1の導電層と、前記圧電素子の他方の面に形成される第2の導電層と、前記第1の導電層上に形成されるバッキング層と、検出対象物の大きさに応じた大きさで前記第2の導電層上に形成されるマッチング層と、を具備し、前記搬送部により搬送される紙葉類に対して超音波を出力する送信部と、
前記送信部の構成にさらに、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設けられる溝により、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離して形成される複数のチャネルを具備し、前記搬送部を挟んで前記送信部と対向する位置に設けられ、前記紙葉類を透過する超音波を受信する受信部と、
前記受信部の前記複数のチャネルにより検出する検出信号と、予め記憶される基準値とを比較し、比較結果に基づいて前記紙葉類に異物が付着しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記紙葉類の搬送方向における前記送信部の前記マッチング層の大きさは、前記紙葉類の搬送方向における前記受信部のマッチング層の大きさ以上であることを特徴とする請求項6に記載の紙葉類処理装置。
【請求項8】
前記送信部は、前記マッチング層側から前記第1の導電層までの深さで設けられる溝により、前記第1の導電層、前記圧電素子、前記第2の導電層、及び前記マッチング層が分離して形成される複数のチャネルをさらに具備し、
前記送信部の各チャネルを駆動する為の複数のアンプをさらに具備することを特徴とする請求項6に記載の紙葉類処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−199529(P2011−199529A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63325(P2010−63325)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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