説明

超音波センサ及びその製造方法

【課題】本発明は超音波センサ及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、一端は閉鎖され、他端は開放部からなるケース110と、前記ケース110内部の一端に固定して結合される圧電素子120と、前記圧電素子120の一部をカバーするように前記圧電素子120の上面に結合される吸音部材130と、一端は前記圧電素子120に連結され、他端は前記吸音部材130に連結される伝導性部材140と、前記伝導性部材140及びケース110に電気的に結合されるリード線150と、を含むことを特徴とする超音波センサ及びその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波センサ及びその製造方法において、前記超音波センサは、ケース、前記ケース内部に結合される圧電素子、前記ケースに電気的に連結されるリード線及び前記圧電素子に電気的に連結されるリード線で構成される。
【0003】
また、その製造方法において、前記ケース内部に前記圧電素子を固定して結合した後、前記ケースの内側面に前記リード線をはんだ付け工程によって固定して結合し、また他の前記リード線をはんだ付け工程によって前記圧電素子に固定して結合した。
【0004】
しかし、はんだ付け工程により前記リード線と圧電素子とを結合する方式は、はんだ付けによる熱応力が前記圧電素子に局所的に印加されるため、前記圧電素子固有の圧電特性が低下されるという問題点があった。
【0005】
そして、前記リード線とケースとをはんだ付けにより結合し、また他の前記リード線と圧電素子とをはんだ付けにより結合する従来の製造方法は作業者が直接行うため、はんだ付け領域が不均一であるだけでなく、製造工程の自動化が難しいという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために導き出されたものであり、本発明は、はんだ付け工程を行わずリード線と圧電素子とを電気的に連結する伝導性部材を含む超音波センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、超音波センサ及びその製造方法に関し、前記超音波センサは、一端は閉鎖され、他端は開放部からなるケースと、前記ケース内部の一端に固定して結合される圧電素子と、前記圧電素子の一部をカバーするように前記圧電素子の上面に結合される吸音部材と、一端は前記圧電素子に連結され、他端は前記吸音部材に連結される伝導性部材と、前記伝導性部材及びケースに電気的に結合されるリード線と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、前記伝導性部材は、前記圧電素子の上面に電気的に連結される接触部と、前記接触部から延長され、前記吸音部材の外周面の上部に固定されて前記リード線に電気的に連結されるリード線連結部と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、前記リード線連結部は、前記リード線に電気的に連結されるための固定溝部が形成されることを特徴とする。
【0010】
また、前記伝導性部材は、伝導性ワイヤまたは伝導性ゴムまたは伝導性フィルムから選択される何れか一つからなることを特徴とする。
【0011】
また、前記吸音部材は、前記圧電素子の上部面の一部を外部に開放するための中空孔と、前記リード線とケースの内側面とが電気的に連結されるために前記リード線を固定する固定溝部とが外周面に形成される円筒状からなることを特徴とする。
【0012】
また、前記ケースは、閉鎖された前記一端の内側に前記圧電素子が固定して結合されるための収容溝が形成されることを特徴とする。
【0013】
また、前記リード線は、前記伝導性部材に電気的に結合される陽極(+)リード線と、前記ケースの内側壁面に電気的に結合される陰極(−)リード線と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記圧電素子及び吸音部材を外部からカバーし、前記圧電素子から発生する超音波が前記ケースの開放部の方向に移動することを遮蔽するために前記ケース内部に充填される充填部材をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
そして、本発明の実施例による超音波センサの製造方法は、(a)閉鎖された一端の内側に収容溝が形成されたケース内部に圧電素子を固定して結合する段階と、(b)外周面に固定溝部が形成され、前記圧電素子の上部面の一部を開放するための中空孔が形成された円筒状の吸音部材を前記圧電素子の上部面に結合する段階と、(c)前記圧電素子及び吸音部材の上部面に伝導性部材を固定して結合する段階と、(d)前記吸音部材の固定溝部に陰極(−)リード線を固定して結合し、前記伝導性部材に陽極(+)リード線を固定して結合する段階と、を含む。
【0016】
また、前記(d)段階以降に、前記前記圧電素子及び吸音部材を外部からカバーし、前記圧電素子から発生する超音波が前記ケースの開放部の方向に移動することを遮蔽するために前記ケース内部に充填部材を充填する段階をさらに含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施例により伝導性部材を用いてリード線と圧電素子とを電気的に連結することにより、超音波センサの製造工程を自動化することができるという効果がある。
【0018】
そして、従来のはんだ付けによりリード線と圧電素子とを連結するはんだ付け工程を行わず前記リード線と圧電素子とが伝導性部材によって電気的に連結されることにより、前記圧電素子の設計特性が常に一定に維持されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例による超音波センサの概略的な結合断面図である。
【図2】図1に図示された超音波センサの製造方法を説明するための製造工程の斜視図である。
【図3】図1に図示された超音波センサの製造方法を説明するための製造工程の斜視図である。
【図4】図1に図示された超音波センサを構成する吸音部材及び伝導性部材の結合状態を概略的に図示した斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、係わる公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。本明細書において、第1、第2などの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、前記構成要素が前記用語によって限定されるものではない。
【0021】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施例による超音波センサの概略的な結合断面図である。図示されたように、前記超音波センサ100は、ケース110、圧電素子120、吸音部材130、伝導性部材140、リード線150及び充填部材(不図示)を含む。
【0023】
前記ケース110は、底面に形成されるように一端が閉鎖され、他端は開放された円筒のシリンダー状からなることが好ましい。
【0024】
また、底面が形成された閉鎖された前記一端の内側には、前記圧電素子120が固定して結合されるための収容溝111が形成される。
【0025】
前記圧電素子120は、電圧の印加有無により収縮と伸長を繰り返して超音波を発生するものであって、前記ケース110の底面に対向する面に伝導性エポキシ(epoxy)を塗布して前記ケース110の収容溝111に固定して結合される。
【0026】
前記吸音部材130は、前記ケース110の開放部に前記圧電素子120から発生する超音波が移動することを一部遮蔽するためのものであり、円筒状からなることが好ましい。
【0027】
より具体的に、前記吸音部材130は、前記圧電素子120の上部面の一部を外部に開放するための中空孔131と前記リード線150のうち後述する陰極(−)リード線151を固定する固定溝部133を含む。
【0028】
そして、前記固定溝部133は、前記ケース110の内側面に対向する方向に開放面が形成される。
【0029】
これにより、前記陰極リード線151は、前記ケース110の内側面に電気的に連結される。
【0030】
前記伝導性部材140は、超音波センサを構成する吸音部材及び伝導性部材の結合状態を概略的に図示した図4に図示されたように、一端は前記圧電素子120に連結され、他端は前記吸音部材130に連結される。
【0031】
より具体的に、前記伝導性部材140は、前記圧電素子120の上面に電気的に連結される接触部141と前記接触部141から延長されて前記吸音部材130の外周面の上部に固定され、後述する前記リード線150の陽極(+)リード線153に電気的に連結されるリード線連結部143を含む。
【0032】
また、前記リード線連結部143は、前記陽極リード線153に電気的に連結されるための固定溝部133が形成される。
【0033】
そして、前記伝導性部材140は、前記陽極リード線153と前記圧電素子120とを電気的に連結するために伝導性ワイヤまたは伝導性ゴムまたは伝導性フィルムから選択される何れか一つからなることが好ましい。
【0034】
これにより、前記伝導性部材140により前記圧電素子120と前記リード線150を構成する陽極リード線153が電気的に連結され、前記陰極リード線151は、前記ケース110の内側面に電気的に連結されることにより、前記圧電素子120に電源を印加することで超音波が発生する。
【0035】
前記リード線150は、前記のように、陰極リード線151と陽極リード線153とからなる。
【0036】
より具体的に、前記陰極リード線151は、前記ケース110の内側面に対向する方向に開放面が形成された固定溝部133に固定して結合され、前記ケース110の内側面に電気的に連結される。
【0037】
また、前記陽極リード線153は、前記伝導性部材140に固定して結合されることにより、前記圧電素子120に電気的に連結される。
【0038】
前記充填部材(不図示)は、前記圧電素子120及び吸音部材130を外部からカバーするために前記ケース110の内部に充填される。
【0039】
これにより、前記圧電素子120から発生する超音波が前記ケース110の開放部の方向に移動することを完全に遮蔽する。
【0040】
従って、前記超音波センサ100が外部物体を検知することにおいて、不要な残響信号や受信信号の振動漏れの影響が減少される。
【0041】
図2〜図4は、図1に図示された超音波センサの製造方法を説明するための製造工程の斜視図である。
【0042】
より具体的に、図2は、ケースと圧電素子との結合状態を示す斜視図であり、図3は、図2から吸音部材及び伝導性部材の結合状態を示す斜視図である。図示されたように、本発明の実施例による超音波センサの製造方法は、先ず、(a)閉鎖された一端の内側に収容溝111が形成されたケース110の内部に伝導性エポキシが塗布された圧電素子120を固定して結合する。
【0043】
その後、(b)外周面に固定溝部133が形成され、前記圧電素子120の上部面の一部を開放するための中空孔131が形成された円筒状の吸音部材130を前記圧電素子120の上部面に結合する。
【0044】
その後、(c)前記圧電素子120及び吸音部材130の上部面に伝導性部材140を固定して結合する。
【0045】
その後、(d)前記吸音部材130の固定溝部133に陰極(−)リード線151を固定して結合し、前記伝導性部材140の固定溝部133に陽極(+)リード線153を固定して結合する。
【0046】
その後、前記前記圧電素子120及び吸音部材130を外部からカバーし、前記圧電素子120から発生する超音波が前記ケースの開放部の方向に移動することを遮蔽するための充填部材(不図示)を前記ケース110内部に充填する。
【0047】
以上、本発明を好ましい実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明による超音波センサ及びその製造方法はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0048】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【符号の説明】
【0049】
100 超音波センサ
110 ケース
120 圧電素子
130 吸音部材
140 伝導性部材
150 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端は閉鎖され、他端は開放部からなるケースと、
前記ケース内部の一端に固定して結合される圧電素子と、
前記圧電素子の一部をカバーするように前記圧電素子の上面に結合される吸音部材と、
一端は前記圧電素子に連結され、他端は前記吸音部材に連結される伝導性部材と、
前記伝導性部材及びケースに電気的に結合されるリード線と、を含むことを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
前記伝導性部材は、
前記圧電素子の上面に電気的に連結される接触部と、
前記接触部から延長され、前記吸音部材の外周面の上部に固定されて前記リード線に電気的に連結されるリード線連結部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記リード線連結部は、
前記リード線に電気的に連結されるための固定溝部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記伝導性部材は、
伝導性ワイヤまたは伝導性ゴムまたは伝導性フィルムから選択される何れか一つからなることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記吸音部材は、
前記圧電素子の上部面の一部を外部に開放するための中空孔と、
前記リード線とケースの内側面とが電気的に連結されるために前記リード線を固定する固定溝部とが外周面に形成される円筒状からなることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記ケースは、
閉鎖された前記一端の内側に前記圧電素子が固定して結合されるための収容溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項7】
前記リード線は、
前記伝導性部材に電気的に結合される陽極(+)リード線と、
前記ケースの内側壁面に電気的に結合される陰極(−)リード線と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項8】
前記圧電素子及び吸音部材を外部からカバーし、前記圧電素子から発生する超音波が前記ケースの開放部の方向に移動することを遮蔽するために、前記ケース内部に充填される充填部材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項9】
(a)閉鎖された一端の内側に収容溝が形成されたケース内部に圧電素子を固定して結合する段階と、
(b)外周面に固定溝部が形成され、前記圧電素子の上部面の一部を開放するための中空孔が形成された円筒状の吸音部材を前記圧電素子の上部面に結合する段階と、
(c)前記圧電素子及び吸音部材の上部面に伝導性部材を固定して結合する段階と、
(d)前記吸音部材の固定溝部に陰極(−)リード線を固定して結合し、前記伝導性部材に陽極(+)リード線を固定して結合する段階と、を含むことを特徴とする超音波センサの製造方法。
【請求項10】
前記(d)段階以降に、前記前記圧電素子及び吸音部材を外部からカバーし、前記圧電素子から発生する超音波が前記ケースの開放部の方向に移動することを遮蔽するために、前記ケース内部に充填部材を充填する段階をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の超音波センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−115813(P2013−115813A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11846(P2012−11846)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】