説明

超音波センサ

【課題】 バンパーに取り付けられた状態での見栄えの改善が可能な超音波センサを提供する。
【解決手段】 それぞれバンパー1の内面(図1での上面)に接着固定される2個の取付台2と、超音波を送受信する送受信手段を保持したセンサ本体3とを備える。各取付台2とセンサ本体3とはそれぞれ凹凸係合により互いに着脱自在に結合する結合部22,32を有する。超音波センサを2個のブロックで構成するとともにバンパー1を内外から挟む形で該2個のブロックを互いに結合させる場合と違い、超音波センサの一部をバンパー1の外側に突出させる必要がないから見栄えの改善が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波を送信するとともに障害物で反射された超音波を受信する超音波センサが提供されている。この種の超音波センサとしては、例えば、受信された超音波におけるドップラーシフトに基づいて障害物の有無を判定するドップラーセンサなどがある。
【0003】
さらに、上記の超音波センサとして、図5に示すように、自動車のバンパー1に取り付けて用いられるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
詳しく説明すると、図5の超音波センサは、バンパー1に設けられた露出穴11に挿通される形でバンパー1に固定されるものであって、バンパー1の外面側から露出穴11に挿入される外側ブロック41と、バンパー1の内面側から外側ブロック41に結合する内側ブロック42とを備える。すなわち、外側ブロック41と内側ブロック42とが間にバンパー1を挟む形で結合することで、上記の超音波センサはバンパー1に対して固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−194441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図5のように外側ブロック41と内側ブロック42との間にバンパー1を挟む構造では、外側ブロック41の一部がバンパー1の外面側(図5での左側)に突出してしまうため、バンパー1に取り付けられた状態での見栄えが悪かった。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、バンパーに取り付けられた状態での見栄えの改善が可能な超音波センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、バンパーに取り付けられる超音波センサであって、それぞれ前記バンパーの内面に固定される固定部を有する複数個の取付台と、超音波を送信する送信手段と超音波を受信する受信手段との少なくとも一方を保持したセンサ本体とを備え、各前記取付台はそれぞれ結合部を有し、前記センサ本体はそれぞれ前記取付台の前記結合部に対して着脱自在に結合する複数個の結合部を有することを特徴とする。
【0009】
この超音波センサにおいて、前記固定部に溝とスリットとの少なくとも一方が設けられた前記取付台を少なくとも1個備えることが望ましい。
【0010】
また、この超音波センサにおいて、前記センサ本体に当接することで各前記取付台に対する前記センサ本体の回転を禁止する回転禁止部を有する前記取付台を少なくとも1個備えることが望ましい。
【0011】
さらに、この超音波センサにおいて、それぞれ前記バンパーに固定された各前記取付台に前記センサ本体が結合した状態では、各前記取付台と前記センサ本体との少なくともいずれか1個は、前記センサ本体を前記バンパーの内面に押し付ける弾性力が生じるように弾性変形することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、超音波センサを2個のブロックで構成するとともにバンパーを内外から挟む形で該2個のブロックを互いに結合させる場合と違って超音波センサの一部をバンパーの外側に突出させる必要がないから、上記の場合に比べて見栄えの改善が可能である。また、センサ本体に複数個の結合部を設けているから、結合部を1個しか設けない場合に比べてバンパーからセンサ本体が外れにくい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)(b)はそれぞれ本発明の実施形態を示す、バンパーの内面側から見た斜視図であり、(a)はセンサ本体が各取付台から分離された状態を示し、(b)はセンサ本体が各取付台に結合した状態を示す。
【図2】同上のセンサ本体が取付台に結合した状態の要部を示す断面図である。
【図3】同上がバンパーに取り付けられた状態の要部を示す断面図である。
【図4】同上がバンパーに取り付けられた状態を示す、バンパーの外面側から見た斜視図である。
【図5】従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
本実施形態は、図1に示すように、円形状の露出穴11が貫設されたバンパー1に対して固定されるものであって、露出穴11を挟む配置でそれぞれバンパー1の内面(図1での上面)に接着固定される2個の取付台2と、各取付台2に対しそれぞれ凹凸係合により着脱自在に結合するセンサ本体3とを備える。
【0016】
以下、図1のABCDEFの方向をそれぞれ上下左右前後と呼ぶ。つまり、バンパー1の厚さ方向の内面側となる方向及びバンパー1に取り付けられた状態で該方向に向けられる方向を上方と呼び、取付台2が並ぶ方向を左右方向と呼ぶ。なお、上記の方向はあくまで説明の便宜上定義するものであって、実際の使用状態での方向には必ずしも一致せず、本実施形態は通常は上記表現でいうところの下方を車両の前方又は後方へ向けて用いられる。
【0017】
詳しく説明すると、各取付台2はそれぞれ例えば合成樹脂からなり、各取付台2は互いに共通の寸法形状となっている。各取付台2は、それぞれ、全体として厚さ方向を上下方向とし長手方向を前後方向とする長方形の平板状の固定部21と、固定部21の上面において前後方向の中央部から突設され厚さ方向を前後方向に向けた平板状の結合部22とを有する。各取付台2の固定部21の下面は、例えば周知の粘着シート5を用いてバンパー1の内面に接着固定される。なお、各取付台2をバンパー1の内面に固定する方法としては、上記のような粘着シート5を用いた接着固定に代えて、例えば、接着剤を用いた接着固定や、溶着や、ねじ止めなどの、他の方法を用いてもよい。
【0018】
ここで、バンパー1は車両の外観を構成するものであるので、車両のデザインによっては曲面形状とされる。そこで、本実施形態では、取付台2の固定部21において結合部22の前後両側には、それぞれ、上面に複数個の溝211が設けられるとともに、上下に開放されたスリット212,213が複数個設けられている。すなわち、固定部21において上記の溝211によって薄肉となった部位を適宜曲げることや、上記のスリット212,213の幅を変えるように固定部21を変形させることで、ある程度の曲面にも固定部21を接着可能となっている。さらに、取付台2の結合部22の厚さ方向の一方の面(左側の取付台2では前面、右側の取付台2では後面)には係合凸部221が突設されており、この係合凸部221は全体として上端に向かって(つまり固定部21から離れるほど)突出寸法が小さくなるように傾斜している。本実施形態における具体的な配置としては、係合凸部221は上記の面の中央よりも向かってやや右下寄りに設けられている。また、スリット212,213としては、係合凸部221の前後の一方ずつの近傍から前後方向の外向きに端まで延長された2個のスリット(以下、「第1スリット」と呼ぶ。)212と、係合凹部221の左右の一方ずつにおいて左右方向の外側に解放されて結合部22の前後両側で固定部21と結合部22とを分離する2個のスリット(以下、「第2スリット」と呼ぶ。)213とが設けられている。さらに、溝211は結合部22の前後に2個ずつ設けられ、それぞれ、結合部21の左右の一方ずつの端付近から、第1スリット212の開放端(つまり前後方向の外側の端)まで延長されている。なお、溝211やスリット212,213の個数や形状は、想定されるバンパー1の形状に応じて適宜変更することができる。
【0019】
また、センサ本体3は、軸方向を上下方向に向けた円柱形状の本体部31と、本体部31の外周面において本体部31を挟んで互いに反対側となる左右2箇所からそれぞれ本体部31の径方向(左右方向の外向き)に突設された結合部32と、本体部31の上端から本体部31の後方へ延長されたコネクタ部33とを有する。センサ本体3の本体部31には超音波を送信する送信手段と超音波を受信する受信手段とを兼ねた送受信手段(図示せず)が保持されている。そして、センタ本体3の本体部31の下端面は、超音波が入射及び出射する入出射面311となっている。上記の送受信手段は超音波と電気信号との相互の変換を行うものであって、このような送受信手段は例えば圧電素子を用いて周知技術で実現することができる。また、コネクタ部33には外部回路との電気的接続のためのコネクタが保持される。さらに、上記の送受信手段と上記の外部回路との間で増幅やノイズ除去などの信号処理を行う信号処理回路を構成する回路部品が、本体部31やコネクタ部33に収納及び保持されていてもよい。
【0020】
センサ本体3の各結合部32は、それぞれ、厚さ方向を前後方向とした扁平な形状であって間に隙間を空けて対向する2個の挟み片321,322を有する。センサ本体3において少なくとも各結合部32はそれぞれ例えば合成樹脂のように弾性変形可能な材料で構成されており、各結合部32はそれぞれ挟み片321,322の下端部間の距離を大きくするように弾性変形可能となっている。また、各結合部32において、入出射面311側から見て時計回り方向側の一方の挟み片321には取付台2の係合凸部221が係入する係合穴323が設けられている。さらに、上記の弾性変形を発生させやすくするために、各結合部32の上記の挟み片321においては係合穴323の周囲には適宜のスリット324が設けられている。
【0021】
本実施形態をバンパー1に固定する際には、まず、2個の取付台2を、露出穴11を挟む配置でバンパー1の内面に接着固定する。このとき、結合部22を露出穴11の近傍に位置させ、且つ、係合凸部221の突出方向は2個の取付台2で互いに逆向きとする。
【0022】
さらに、センサ本体3の各結合部32の挟み片321,322間に、それぞれ1個ずつの取付台2の結合部22を導入するとともに、センサ本体3を下方(すなわちバンパー1側)へ押し込む。すると、係合凸部221の傾斜面上を挟み片321が摺動することで各結合部32がそれぞれ挟み片321,322の下端部間の距離を大きくするように弾性変形する。やがて、各結合部32の係合穴323がそれぞれ係合凸部221に達すると、各結合部32の弾性復帰とともに図2に示すように各係合凸部221がそれぞれ係合穴323に係入する。ここにおいて、センサ本体3は、上方(すなわちバンパー1から離れる方向)への変位を係合穴323の内面と取付台2の係合凸部221との当接により禁止される。また、本体部31の軸周りでのセンサ本体3の回転は、挟み片321,322と取付台2の結合部22との当接により禁止される。つまり、取付台2の結合部22は回転禁止部でもある。上記の状態では、係合穴323を有する挟み片321の上端部は取付台2の結合部22の上端よりも上側に位置する。
【0023】
なお、実際には、各取付台2をそれぞれバンパー1に接着固定する作業は、各取付台2をそれぞれセンサ本体3に結合させる作業の後であってもよい。
【0024】
ここで、図3に示すように、センサ本体3が上記のように取付台2に取り付けられた状態での、取付台2の固定部21からのセンサ本体3の突出寸法であって結合部22の反対側(図3での下方)への突出寸法は、取付が想定されているバンパー1の厚さ寸法と略同じとされている。これにより、バンパー1への本実施形態の取付が完了した状態では、入出射面311はバンパー1の外面(図3での下面)に略面一となる。バンパー1の露出穴の内径がセンサ本体3の本体部31の外径と略同じとされた場合、図4に示すように、バンパー1の外面側から見ると入出射面311のみが露出穴11から露出する。
【0025】
センサ本体3を各取付台2から取り外す際には、係合穴323を有する挟み片321において取付台2の結合部22よりも上側の部位を他方の挟み片322に近づける方向(図2での右方)に押圧する。すると、取付台2の結合部22との接点を支点として上記の挟み片321が回転するように結合部32が弾性変形して係合穴323と係合凸部221との係合が解除されるから、そのままセンサ本体3を上方(すなわち取付台2の固定部21から離す方向)に変位させればよい。
【0026】
上記構成によれば、センサ本体3がバンパー1の外側に突出する場合に比べて見栄えが改善される。また、センサ本体3に複数個の結合部32を設けているから、結合部32を1個しか設けない場合に比べてバンパー1からセンサ本体3が外れにくい。
【0027】
また、センサ本体3をバンパー1の上面(すなわち内面)に当接させるとともに、各取付台2において係合凸部221の下面と固定部21の下面との間の上下の幅を、センサ本体3においてバンパー1の上面に当接する面と係合穴323の下端との間の上下の幅よりも僅かに小さくしてもよい。すなわち、取付台2を用いてセンサ本体3がバンパー1に取り付けられた状態では、センサ本体3と各取付台2とがそれぞれ弾性変形し、この弾性力によってセンサ本体3がバンパー1の上面に押し付けられる。上記構成を採用すれば、取付台2において係合凸部221の下面と固定部21の下面との間の上下の幅を、センサ本体3においてバンパー1の上面に当接する面と係合穴323の下端との間の上下の幅よりも大きくする場合に比べ、バンパー1に取り付けられた状態でのセンサ本体3のがたつきが抑えられる。
【0028】
なお、細部は適宜変更可能である。例えば、結合部22,32の個数や取付台2の個数は2個に限られず、それぞれ3個以上としてもよい。また、1個の取付台2に2個以上の結合部22を設けることも可能である。具体的には例えば本実施形態における2個の取付台2の固定部21の前端部間と後端部間との少なくとも一方が互いに連結されたような、全体として環形状又はコ字形状の構造とする。ただし、本実施形態のようにセンサ本体3の複数個の結合部32に一対一に対応する複数個の取付台2を用いたほうが、上記複数個の結合部32に結合する各結合部22を1個の取付台2に設ける場合に比べて曲面形状のバンパー1に対応させやすい。
【0029】
また、結合部22,32の構造としては、例えば、本実施形態とは逆に、取付台2の結合部22がセンサ本体3の結合部32を挟むような構造としてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 バンパー
2 取付台
3 センサ本体
21 固定部
22 結合部(回転禁止部を兼ねる)
32 結合部
211 溝
212,213 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパーに取り付けられる超音波センサであって、
それぞれ前記バンパーの内面に固定される固定部を有する複数個の取付台と、
超音波を送信する送信手段と超音波を受信する受信手段との少なくとも一方を保持したセンサ本体とを備え、
各前記取付台はそれぞれ結合部を有し、前記センサ本体はそれぞれ前記取付台の前記結合部に対して着脱自在に結合する複数個の結合部を有することを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
前記固定部に溝とスリットとの少なくとも一方が設けられた前記取付台を少なくとも1個備えることを特徴とする請求項1記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記センサ本体に当接することで各前記取付台に対する前記センサ本体の回転を禁止する回転禁止部を有する前記取付台を少なくとも1個備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の超音波センサ。
【請求項4】
それぞれ前記バンパーに固定された各前記取付台に前記センサ本体が結合した状態では、各前記取付台と前記センサ本体との少なくともいずれか1個は、前記センサ本体を前記バンパーの内面に押し付ける弾性力が生じるように弾性変形することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−122936(P2012−122936A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275646(P2010−275646)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】