説明

超音波センサ

【課題】温度補償セラミックの上部電極と下部電極を分けるリード線を用いて部品を安定的に結合できる超音波センサを提供する。
【解決手段】本発明の超音波センサ100は、内部空間を区画するケース180と、センサの温度を一定に維持させる温度補償セラミック110と、温度補償セラミック110を収容するソケット120と、ソケット120に連結された(−)端子140及び(+)端子150と、(+)端子150に連結され、電源を印加する際に振動が発生する圧電セラミック170と、圧電セラミック170の振動を吸収する吸音材160と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサに関する。特に、車両の後方検知用超音波センサ、例えば、自動車が後退する際に障害物を検知して事故を予防する自動車用後退安全装置に用いられる超音波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、圧電物質に電圧を印加するに伴い、圧電物質が周期的に変形を起こすことにより発生した超音波が障害物に反射され、その反射されてくる超音波を再測定することにより実際距離を計算する。
【0003】
実際、自動車に後方センサが装着された場合、後方センサによって後方障害物を検知することができ、現在検知センサの性能は、大きく二つの要素により決定される。
【0004】
第一の要素は、どのくらい遠い距離まで測定できるかに関する測定距離であり、第二の要素は、どのくらい速い時間内に反射されてきた超音波を電圧に変換できるかに関する反応速度である。従って、超音波は、検知センサの性能を向上させて遠い距離を速い時間内に測定できるセンサを製造することを目的とする。
【0005】
また、車両用超音波センサの場合、夏と冬に温度差が激しく、このような温度差のため、圧電セラミックの特性が変化することにより、センサ特性が変化するという問題があり得る。
【0006】
従って、温度に関係なく一定のセンサ特性を示すように、超音波センサ内の温度補償セラミックを結合して、温度にあまり敏感にならないように製造することもまた重要である。
【0007】
このように超音波センサは、温度に敏感な場合があるため、これを補完するために温度補償セラミックを装着する場合がある。この場合、温度補償セラミックを装着するために、プリント回路基板(PCB)とはんだ付けする必要があるため、費用的、時間的に負担が大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するために導き出されたものであり、本発明は、温度補償セラミックの上部電極と下部電極を分けるリード線を用いて部品を安定的に結合できる超音波センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい一実施例による超音波センサは、内部空間を区画するケースと、センサの温度を一定に維持させる温度補償セラミックと、前記温度補償セラミックを収容するソケットと、前記ソケットに連結された(−)端子及び(+)端子と、前記(+)端子に連結され、電源を印加する際に振動が発生する圧電セラミックと、前記圧電セラミックの振動を吸収する吸音材と、を含むことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記ソケットは、トング状であり、前記ソケットの上部に前記吸音材が配置されることを特徴とする。
【0011】
また、前記(−)端子の他側は、前記ケースに連結されることを特徴とする。
【0012】
また、(+)端子の他側は、前記圧電セラミックに連結されることを特徴とする。
【0013】
また、前記吸音材の材質は、不織布とコルクであることを特徴とする。
【0014】
また、前記圧電セラミックは、圧電素子からなることを特徴とする。
【0015】
また、前記圧電セラミックは、前記ケースの底面に装着され、上側に振動が発生することを特徴とする。
【0016】
本発明の好ましい他の実施例による超音波センサは、センサの温度を一定に維持させる温度補償セラミックと、前記温度補償セラミックを収容するソケットと、前記ソケットに連結された(−)端子及び(+)端子と、前記(+)端子に連結され、電源を印加する際に振動が発生する圧電セラミックと、を含むことを特徴とする。
【0017】
ここで、前記(−)端子の他側は、センサを全体的に包むケースに連結されることを特徴とする。
【0018】
また、前記ソケットは、上部に、振動を吸収する吸音材をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
また、前記(+)端子の他側は、前記圧電セラミックに連結されることを特徴とする。
【0020】
また、前記吸音材の材質は、不織布とコルクであることを特徴とする。
【0021】
また、前記圧電セラミックは、圧電素子からなることを特徴とする。
【0022】
また、前記圧電セラミックは、前記ケースの底面に装着され、上側に振動が発生することを特徴とする。
【0023】
また、前記ソケットは、トング状であることを特徴とする。
【0024】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明らかになるであろう。
【0025】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の超音波センサは、既存のセンサセル製作に使用される回路基板によるケーブル及び温度補償セラミックのはんだ付けによる接合でなく、温度補償セラミックを(−)端子と(+)端子が両側で固定し、これによりケース(不図示)内に安定的に部品を挿入することができる。
【0027】
また、本発明の超音波センサは、温度補償セラミックの両側に固定された(−)端子と(+)端子の他側は、ケース(不図示)と圧電セラミック(不図示)の上部電極に結合されるため、既存の回路基板を用いた接合に比べ、作業性及び自動化において、はるかに優れており、製品の大量生産及び自動時間の短縮にも非常に有利である。
【0028】
更に、本発明の超音波センサは、ソケットによって吸音材が圧電セラミックに直接当接して振動を妨害することを防止することができるため、振動の強化においてもはるかに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の好ましい実施例による超音波センサの分解斜視図である。
【図2】本発明の好ましい実施例による超音波センサの一部断面図である。
【図3】本発明の好ましい実施例による超音波センサの一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、係わる公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0031】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の好ましい実施例による超音波センサの分解斜視図であり、図2は、本発明の好ましい実施例による超音波センサの一部断面図である。
【0033】
また、図3は、本発明の好ましい実施例による超音波センサの一部斜視図である。
【0034】
図1は、本発明の好ましい実施例による超音波センサの分解斜視図である。超音波センサ100は、温度補償セラミック110、ソケット120、支持台130、(−)端子140、(+)端子150、吸音材160、圧電セラミック170、ケース180からなる。
【0035】
本発明の超音波センサは、自動車が後退する際に障害物を検知して事故を予防する自動車用後退安全装置に用いられるセンサである。
【0036】
温度補償セラミック110は、温度補償が可能なセラミックであって、分極(polarized)しないことを特徴とする。超音波センサの場合、夏と冬に温度差が激しく、このような温度差のため、セラミックの特性が変化することにより、センサ特性が変化する場合があるため、これを補完するために装着される。
【0037】
従って、温度に関係なく一定のセンサ特性を示すように、超音波センサ内の温度補償セラミック110を結合して、温度にあまり敏感にならないように製造する。
【0038】
ソケット120は、温度補償セラミック110の両側に圧入装着され、両側には(−)端子140と(+)端子150が連結される。両側に(−)端子140と(+)端子150が連結されたソケット120は、トング状に形成されることが好ましく、温度補償セラミック110の両側を固定する。
【0039】
ここで、温度補償セラミック110の一側に固定された(−)端子140の端部は、ケース180に固定され、温度補償セラミック110の他側に固定された(+)端子150の端部は、圧電セラミック170に固定される。
【0040】
(−)端子140と(+)端子150との上部には、支持台130が連結されている。
【0041】
超音波センサを用いて被検出物までの距離を測定する場合、端子140,150に駆動電圧を印加することにより、圧電セラミック170が励振される。圧電セラミック170の振動によって、ケース180の底面も振動して、底面に直交する方向に超音波が放射される。
【0042】
超音波センサから放射された超音波が、被検出物から反射されて超音波センサに到逹すると、圧電セラミック170が振動して電気信号に変換され、端子140,150から電気信号が出力される。
【0043】
従って、駆動電圧を印加してから電気信号が出力されるまでの時間を測定することにより、超音波センサから被検出物までの距離を測定することができる。
【0044】
吸音材160は、ケース180に内蔵されて振動を吸収及び減衰させるものであり、ソケット120の上部に配置される。吸音材160の材質は、不織布とコルクがメイン材質であることが好ましい。
【0045】
また、吸音材160は、ソケット120によって、圧電セラミック170に直接当接しないため、圧電セラミック170が自由に振動するようにする。
【0046】
圧電セラミック170は、圧電素子からなり、ケース180の内部全面で超音波を発生させるためのものであり、電源を印加する際に超音波が発生して上下に振動する。
【0047】
即ち、端子140,150から印加される電圧により、収縮または膨張されて振動が発生し、圧電セラミック170の振動によって、ケース180の底面も振動して、底面に直交する方向に超音波が放射される。
【0048】
ケース180は、超音波センサ100を外側から保護して内部空間を区画する機能を行う。
【0049】
ケース180の内部には、吸音材160が内蔵され、吸音材160の下部には、ソケット120によって固定される温度補償セラミック110が配置される。
【0050】
ケース180の材質及び形状は、特に限定されず、一般的に、吸音材160、温度補償セラミック110及び圧電セラミック170が容易に内蔵されるように、外部衝撃に強い材質が好ましい。
【0051】
前記温度補償セラミック110と圧電セラミック170は、分極されないセラミックである。即ち、電圧が印加されても大きさの変化はない。
【0052】
図2、図3は、本発明の好ましい実施例による超音波センサの一部断面図と斜視図である。図2、図3に図示されたように、温度補償セラミック110は、ソケット120によって圧入固定される。
【0053】
温度補償セラミック110は、トング状または匚状のソケット120によって、容易に圧入されるように四角形状であることが好ましいが、その形状は、特に限定されない。
【0054】
ソケット120の両側には、(−)端子140と(+)端子150が連結されており、(−)端子140と(+)端子150の他側は、それぞれケース(不図示)と圧電セラミック(不図示)に連結される。
【0055】
(−)端子140と(+)端子150は、超音波センサを利用して被検出物までの距離を測定する場合、駆動電圧を印加して(+)端子150の他側に連結された圧電セラミック(不図示)を振動させる。
【0056】
圧電セラミック(不図示)の振動によって、ケース(不図示)の底面も振動され、底面に直交する方向に超音波が放射される。
【0057】
既存の後方検知型超音波センサは、伝導性金属ケースに圧電セラミックを取り付けた後、リード線によって電圧を印加することにより、超音波を発生させる原理を用いた。
【0058】
この場合、圧電セラミックは、単層型セラミックを使用し、伝導性エポキシを用いてアルミニウムケース底面に接合された。アルミニウムケース底面に、エポキシによって圧電セラミックが接合され、その上に超音波の振動エネルギーを吸収して励振時間を短縮し、内蔵部品を保護するための不織布が充填された。
【0059】
その上に、ケーブルとワイヤを連結するための端子の機能をする回路基板が位置するが、一般的に、外部温度による感度変化を低下させるために、温度補償キャパシターが回路基板の中央に位置する。
【0060】
不織布と回路基板を除いた空間は、部品保護及び振動遮蔽のために、シリコン材質で、モールディングするが、このような回路基板と温度補償セラミックの位置のため、装備的に取り扱いにくく、量産化及び自動化が極めて難しい場合が多かった。
【0061】
また、全ての工程で、温度補償セラミックを装着することにより、量産化及び自動化が最も難しいはんだ付け工程が計5回にわたってさらに行われた。
【0062】
本発明は、既存のセンサセル製作に用いられる回路基板によるケーブル及び温度補償セラミックのはんだ付けによる接合でなく、温度補償セラミック110を、(−)端子140と(+)端子150が両側で固定し、これにより、ケース(不図示)内に安定的に部品を挿入することができる。
【0063】
温度補償セラミック110の両側に固定された(−)端子140と(+)端子150の他側は、ケース(不図示)と圧電セラミック(不図示)の上部電極に結合される。
【0064】
これにより、既存の回路基板を用いた接合に比べ、作業性及び自動化においてはるかに優れており、製品の大量生産及び自動時間の短縮においても非常に有利である。
【0065】
また、ソケット120によって、吸音材が圧電セラミックに直接当接して振動を妨害することを防止することができるため、振動の強化においてもはるかに有利である。
【0066】
以上、本発明を好ましい実施例に基づいて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明による超音波センサは、これに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0067】
本発明の単純な変形乃至変更は、いずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、温度補償セラミックの上部電極と下部電極を分けるリード線を用いて部品を安定的に結合できる超音波センサに適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
100 超音波センサ
110 温度補償セラミック
120 ソケット
130 支持台
140 (−)端子
150 (+)端子
160 吸音材
170 圧電セラミック
180 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を区画するケースと、
センサの温度を一定に維持させる温度補償セラミックと、
前記温度補償セラミックを収容するソケットと、
前記ソケットに連結された(−)端子及び(+)端子と、
前記(+)端子に連結され、電源を印加する際に振動が発生する圧電セラミックと、
前記圧電セラミックの振動を吸収する吸音材と、を含むことを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
前記ソケットはトング状であり、前記ソケットの上部に前記吸音材が配置されることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記(−)端子の他側は前記ケースに連結されることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記(+)端子の他側は前記圧電セラミックに連結されることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記吸音材の材質は不織布とコルクであることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記圧電セラミックは圧電素子からなることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項7】
前記圧電セラミックは前記ケースの底面に装着され、上側に振動が発生することを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項8】
センサの温度を一定に維持させる温度補償セラミックと、
前記温度補償セラミックを収容するソケットと、
前記ソケットに連結された(−)端子及び(+)端子と、
前記(+)端子に連結され、電源を印加する際に振動が発生する圧電セラミックと、を含むことを特徴とする超音波センサ。
【請求項9】
前記(−)端子の他側はセンサを全体的に包むケースに連結されることを特徴とする請求項8に記載の超音波センサ。
【請求項10】
前記ソケットは、上部に、振動を吸収する吸音材をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の超音波センサ。
【請求項11】
前記(+)端子の他側は前記圧電セラミックに連結されることを特徴とする請求項8に記載の超音波センサ。
【請求項12】
前記吸音材の材質は不織布とコルクであることを特徴とする請求項10に記載の超音波センサ。
【請求項13】
前記圧電セラミックは圧電素子からなることを特徴とする請求項8に記載の超音波センサ。
【請求項14】
前記圧電セラミックは前記ケースの底面に装着され、上側に振動が発生することを特徴とする請求項8に記載の超音波センサ。
【請求項15】
前記ソケットはトング状であることを特徴とする請求項8に記載の超音波センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−102410(P2013−102410A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−4718(P2012−4718)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】