説明

超音波データを補正するための方法及びシステム

【課題】超音波データを補正する。
【解決手段】超音波データを収集し、チャンネルの導電経路(202)に沿って受信済み超音波信号として超音波データを伝送する。そして、チャンネルに沿った受信超音波信号の伝送とトランスジューサ素子(104)のうちの1つまたは幾つかの振動のうちの少なくとも一方によってチャンネルの中に発生するクロストーク信号を決定する。さらに、チャンネルに沿って伝送される続いて収集された超音波信号をクロストーク信号に基づいて修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題は、全般的には超音波システムに関し、またさらに詳細には超音波システム内部において超音波システムのフロントエンドから処理のためにバックエンドまで転送されるデータなどのデータを処理するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
診断用医学撮像システムは、走査部分とディスプレイを有する制御部分とを含むのが一般的である。例えば超音波撮像システムは通常、様々な超音波走査(例えば、ボリュームや身体の撮像)を実施することによって超音波データの収集を制御するような超音波システムに接続されたトランスジューサを有する超音波探触子などの超音波走査デバイスを含む。超音波システムは、異なる動作モードで動作すること及び異なる走査を実施することを行わせるように制御可能である。超音波システムのフロントエンドで受け取った信号は次いで、バックエンドに伝送されてここで処理される。
【0003】
周知の幾つかの超音波システムでは、同軸ケーブルによって探触子をシステムのフロント及びバックエンドに電気的に結合させている。この同軸ケーブルは、絶縁層内に該絶縁層の周りに追加的な導電シールドを共軸性に配置させて収容された導電ワイヤを含むことが可能である。このケーブルは、超音波画像の形成に用いられる超音波データを単独で送っている。同軸ケーブルは、近くのまたは近傍にあるケーブル同士の間に誘導されるクロストークやその他の信号を低下させるために用いられる。クロストークや誘導される信号は、超音波画像の品質を劣化させる可能性がある。例えば非同軸ケーブルの間でのクロストークは、撮像対象の身体の低エコー源性の領域を覆い隠すことになり得るスプリアスな超音波エコーを生成させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第20050061536号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在用いられている同軸ケーブルは多くの欠点を有する。例えばこれらのケーブルは、比較的重量が大きくかつ硬直的である可能性があり、このため音波検査者によるその操縦性が低い。音波検査者はさらに、ケーブルに連結された超音波探触子を動かすための労力も使わねばならない。この労力のために、音波検査者が反復酷使による負傷に至る可能性がある。
【0006】
さらに、探触子内のあるトランスジューサ素子の振動によって別のトランスジューサ素子上にクロストーク信号あるいは機械的クロストーク信号が誘導されることもある。この機械的クロストーク信号があると画質が劣化する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
超音波データを補正するための方法は、導電経路を含む複数のチャンネルに関連付けされた複数のトランスジューサ素子を有する超音波探触子を用いて超音波データを収集するステップと、該チャンネルの導電経路に沿って受信済み超音波信号として超音波データを伝送するステップと、を含む。本方法はさらに、チャンネルに沿った受信超音波信号の伝送とトランスジューサ素子のうちの1つまたは幾つかの振動のうちの少なくとも一方によってチャンネルのうちの1つまたは幾つかの中で発生するクロストーク信号を決定するステップを含む。一態様では本方法はさらに、該チャンネルによって伝送される続いて収集された1つまたは複数の超音波信号をクロストーク信号に基づいて修正するステップを含む。
【0008】
別の実施形態では、超音波システムを提供する。本システムは、超音波探触子と、該探触子と関連付けさせた複数のチャンネルと、プロセッサと、を含む。この探触子は、超音波エコーを収集し該超音波エコーに基づいて超音波信号を送信するように構成されている。このチャンネルは、超音波信号を伝送するように構成された導電経路を含む。このプロセッサは、該チャンネルと通信可能に結合されると共にチャンネルを監視し、導電経路に沿った超音波信号の伝送によってチャンネルの導電経路のうちの1つまたは幾つかの上に誘導されるクロストーク信号を決定している。一実施形態ではそのプロセッサは、続いて収集され導電経路に沿って伝送される1つまたは複数の超音波信号をクロストーク信号に基づいて修正する。
【0009】
別の実施形態では、プロセッサと、超音波信号がそれを介して伝送される複数のチャンネルと関連付けさせた超音波探触子と、を有する超音波システム向けの有形コンピュータ読み取り可能記憶媒体を提供する。本コンピュータ読み取り可能記憶媒体は超音波探触子に対して、超音波データを収集すること及び該超音波データをチャンネルに沿って超音波信号として伝送することを行うように指令している命令を含む。本媒体はさらに、プロセッサに対して導電経路に沿った超音波信号の伝送によってチャンネルと関連付けされた1つまたは複数の導電経路上に誘導されるクロストーク信号を決定するように指令している命令を含む。一態様ではこれらの命令はプロセッサに対して、導電経路に沿って伝送される超音波信号のうちの1つまたは幾つかをクロストーク信号に基づいて修正するように指令する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態による超音波システムの簡略ブロック図である。
【図2】一実施形態による超音波システムの詳細ブロック図である。
【図3】一実施形態による図1に示す超音波システムの動作特性を電気的に決定するための方法の流れ図である。
【図4】一実施形態による図1に示す超音波システムの幾つかのチャンネル及び幾つかのトランスジューサ素子の概要図である。
【図5】一実施形態による図1に示す超音波システムの動作特性を音響学的に決定するための方法の流れ図である。
【図6】一実施形態による図4に示すトランスジューサ素子に向けて第1の試験方向に沿って試験パルスを送信している外部超音波パルス源のブロック図である。
【図7】一実施形態による図4に示すトランスジューサ素子に向けて第2の試験方向に沿って別の試験パルスを送信している図6に示す外部超音波パルス源のブロック図である。
【図8】一実施形態による超音波プロセッサモジュールの例示的なブロック図である。
【図9】一実施形態による3D機能小型化超音波システムを表した図である。
【図10】一実施形態による携行式またはポケットサイズ超音波撮像システムを表した図である。
【図11】別の実施形態による超音波撮像システムを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述した要約並びにある種の実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読むことによってさらに十分な理解が得られよう。これらの図面が様々な実施形態の機能ブロックから成る図を表している場合も、必ずしもこれらの機能ブロックがハードウェア回路間で分割されることを意味するものではない。したがって例えば、1つまたは複数の機能ブロック(例えば、プロセッサやメモリ)を単一のハードウェア(例えば、汎用の信号プロセッサ、ランダムアクセスメモリの1ブロック、ハードディスク、その他)の形、あるいは複数のハードウェアの形で実現させることがある。同様にそのプログラムは、スタンドアロンのプログラムとすること、オペレーティングシステム内のサブルーチンとして組み込まれること、インストールしたソフトウェアパッケージの形で機能させること、その他とすることができる。こうした様々な実施形態は図面に示した配置や手段に限定されるものではないことを理解すべきである。
【0012】
本明細書で使用する場合、単数形で「a」や「an」の語を前に付けて記載した要素やステップは、これに関する複数の要素やステップも排除していない(こうした排除を明示的に記載している場合を除く)と理解すべきである。さらに、「一実施形態」に対する言及は、記載した特徴も組み込んでいる追加的な実施形態の存在を排除すると理解されるように意図したものではない。さらに特に明示的に否定する記述をしない限り、ある具体的な性状を有する1つまたは複数の構成要素を「備える(comprising)」または「有する(having)」実施形態は、当該性状を有しない追加的な構成要素も含むことがある。
【0013】
本明細書に記載した1つまたは複数の実施形態により、超音波システム内部においてデータを伝送するためかつ/またはこのデータを処理するためのシステム及び方法を提供する。一実施形態では本システム及び方法は、収集した超音波データにマイナスの影響を与えることがある超音波システムの電気的変則及び/または欠陥を決定し補正する。例えば本システム及び方法は、あるチャンネル(「誘導先チャンネル」)と関連付けされたある経路(「誘導先経路」)上に、異なる別のチャンネル(「誘導元チャンネル」)と関連付けされた異なる別の経路(「誘導元経路」)によって誘導されるクロストーク信号を決定することが可能である。このクロストーク信号は、電気的及び/または機械的クロストーク信号を含むことが可能である。例えば電気的クロストークに関しては、その誘導元チャンネルに関する誘導元経路に沿って電気的に伝達される超音波信号によって、誘導先チャンネルに関する誘導先経路上に電気的クロストーク信号が生成されることがある。機械的クロストークに関しては、誘導元経路及び誘導元チャンネルと関連付けされたあるトランスジューサ素子(「誘導元素子」)の振動によって、誘導先経路及び誘導先チャンネルと関連付けされた異なる別のトランスジューサ素子(「誘導先素子」)の上に機械的クロストーク信号が誘導されることがある。「チャンネル」という用語によって、単一のアナログ超音波信号を伝送する経路全体を意味させることができる。具体的なあるチャンネルに関する経路は、探触子内ではトランスジューサ素子、電気相互接続、アナログ信号処理(該当する場合)を、コンソール内では探触子とシステムコンソールを繋ぐ電気ケーブル引き回し、ケーブルコネクタ、受信アナログ回路を含むことがある。
【0014】
本システム及び方法は、誘導先チャンネルを用いて伝送される超音波データを補正するためにクロストーク信号を特定して超音波データから該クロストーク信号を除去し、これにより撮像品質その他の診断品質を改善している。一実施形態では、超音波データを含む超音波信号の決定及び補正は、収集されたものの処理を受けていないかつ/または追加の処理がなければ表示デバイス上に視覚的に提示不可能な超音波データなどの未処理アナログ超音波データに対して実施される。電気信号に対する決定及び補正は、ビーム形成用ハードウェアではなく1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションまたはモジュールによって実行することが可能である。
【0015】
少なくとも幾つかの実施形態の技術的効果は、超音波探触子を超音波システムと結合させるために扱いにくさがより少ない、より軽量であるかつ/またはより可撓性のあるケーブルの使用を可能とさせながら、収集した超音波データの撮像品質及び/または診断品質を改善できることを含む。例えば本明細書に記載した1つまたは複数の実施形態と連携することによって、ケーブル内のワイヤ及び/または探触子内のトランスジューサ素子間でのクロストークに由来した超音波データの大幅な劣化を回避しつつ探触子からの超音波データをコンピュータマイクロプロセッサなどのプロセッサに伝送するために非同軸ケーブルを用いることができる。
【0016】
画像を作成または形成する本明細書に記載した様々な実施形態は、幾つかの実施形態ではビーム形成を含みかつ別の実施形態ではビーム形成を含まないような画像形成のための処理を含むことがあることに留意すべきである。例えば、復調済みデータの行列に係数行列を乗算しその積が画像を成すようにするなどビーム形成を伴わずに画像を形成することが可能であり、またこの際の処理過程では「ビーム」を全く形成していない。さらに画像の形成は、複数の送信事象から生じ得るチャンネル合成を用いて実施することがある。
【0017】
図1は、一実施形態による超音波システム100の簡略ブロック図を表している。本明細書に記載した様々な実施形態では、画像を形成するための超音波処理は、ソフトウェア、ハードウェア、あるいはこれらの組み合わせの形で実行される。超音波システム100に関する図示した実施形態は、ソフトウェアベースのビーム形成器アーキテクチャを実現している。別法として超音波システム100は、少なくともその一部がハードウェアの形で実現されたビーム形成器を有することがある。超音波システム100は、複数のトランスジューサ素子104を有する超音波探触子102を用いて超音波データを収集する。超音波探触子102はトランスジューサ素子104を用いて、超音波パルスを送信し、かつ/または撮像対象から逸らされた超音波パルスの超音波エコーを受信している。一実施形態ではそのトランスジューサ素子104は個別のトランスジューサ素子を意味している。別法としてそのトランスジューサ素子104は、トランスジューサ素子のサブアパーチャなど個別のトランスジューサ素子から成る群または組を意味することがある。超音波システムのフロントエンド106は、トランスジューサ素子104によるパルスの送信及びエコーの受信を制御する。フロントエンド106は、受信したエコーに対する部分的または完全なビーム形成を実行するハードウェア実現による送信及び/または受信ビーム形成器(図示せず)を含むことがある。フロントエンド106は一般に、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)または現場プログラム可能ゲートアレイ(FPGA)の形で実現させ得る送信器/受信器108を含む。
【0018】
探触子102は、1つまたは複数のケーブル110によってフロントエンド106と結合させている。単に一例としてケーブル110は、互いに対するシールドが独立や単独でない幾つかの導電ワイヤなどの幾つかの非同軸ワイヤを含むことが可能である。探触子102により収集された超音波データは、複数のチャンネルを介して探触子102から超音波システム100の別の構成要素に伝達される。上述のようにチャンネルは、超音波信号が伝達される信号通路を意味することがある。チャンネルは、探触子102の異なるトランスジューサ素子104並びに探触子102からシステム100の別の構成要素への超音波信号の伝達に使用される異なるワイヤ、バスその他と関連付けさせることがある。ケーブル110はまた、フロントエンド106から探触子102に制御信号などの送信信号を伝送する。トランスジューサ素子104は、撮像する身体内に超音波パルスを放出するための送信信号によって制御される。
【0019】
超音波信号は、フロント106とバックエンド114を繋いでいるデータバス112を介してチャンネルを通りバックエンド114まで伝送される。バックエンド114は、ソフトウェア実現によるビーム形成器、IQ/RFプロセッサ、汎用のCPU及び/またはグラフィックス処理ユニット(GPU)を含む処理ユニットなどの1つまたは複数のプロセッサ116を含むのが一般的である。
【0020】
超音波システム100は、超音波画像データを収集するために様々な用途に関する様々な種類の超音波走査を実行するために用いられることがある。例えば幾つかの実施形態ではその超音波システム100は、複数のビームを同時にまたは並行式に収集するリアルタイム4次元(4D)走査を実行するように動作する。超音波システム100は、ケーブル110のチャンネルからデータを受け取る汎用のプロセッサ(例えば、CPUまたはGPU)を介して提供されるソフトウェア実現によるビーム形成器を含む。一実施形態では、適当な任意のビーム形成法を用いたビーム形成計算などのビーム形成処理を実行する汎用のプロセッサ116によって、ケーブル110のすべてのまたは実質的にすべてのチャンネルを介して超音波データが伝送されている。ソフトウェアビーム形成には、ハードウェアで実行可能なビーム形成技法をソフトウェアの形で実行することを含むような任意のタイプのビーム形成技法の実行を含むことが可能であることに留意すべきである。さらに、本明細書ではビーム形成技法に言及しているが、これは一般に超音波システムにより実行し得る任意のタイプの画像形成を指すことに留意すべきである。したがってビームを形成させるか否かによらず画像の形成に連携した様々な実施形態を実現することができる。
【0021】
図2は、一実施形態による超音波システム100の詳細ブロック図である。図1に示した超音波システム100に加えて、超音波システム100の追加の構成要素を表している。超音波システム100は、例えばプロセッサ116を用いて内部メモリ212などの有形の非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体上の命令を実行させることによってソフトウェアビーム形成を実行する。「非一時的(non−transitory)」という用語は、内部メモリ212が媒体内に保存される期間が全くない送信電気信号など過渡的な電気信号に関するものでないことを意味する。内部メモリ212は、揮発性及び/または不揮発性の記憶媒体を含むことがある。例えばメモリ212は、電気的に消去可能なプログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM)、単純な読出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読出し専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラム可能読出し専用メモリ(EPROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはコンピュータハードドライブを含むことがある。
【0022】
超音波システム100は、音響ビームを(例えば、3D空間内で)電気的または機械的にステアリングすることが可能であり、また対象または患者の関心領域(ROI)に関する複数の2D描出または画像(あるいは任意選択で、3D及び4D画像)に対応する情報を収集するように構成可能である(本明細書でより詳細に記載しているように規定または調整されることがある)。超音波システム100は、例えば1つまたは複数の方向の面内において2D画像を収集するように構成可能である。
【0023】
超音波システム100は、探触子102を用いて超音波データを収集するように構成されている。探触子102は、超音波システム100のその他の電子構成要素に対して幾つかの導電経路202を含むケーブル110によって接続されている。収集された超音波データは、導電経路202を通って超音波信号として伝送される。探触子102のトランスジューサ素子104に対して超音波の励起及び様々な方向に沿った送信を指令する制御信号などのその他の信号も、導電経路202を通して伝送されることがある。上述のように、超音波信号をそれを介して伝達させるチャンネルは、導電経路202及び/または対応するトランスジューサ素子104から成る信号通路を含む。さらにこの信号通路は、トランスジューサ素子104からシステム100の1つまたは複数の処理構成要素までそれを介して超音波信号を伝達させている追加の構成要素または媒体を含むことがある。探触子102により収集されたアナログ超音波信号の処理のうちの少なくとも一部は、探触子102の内部及び/または探触子102の外部に配置させた構成要素によって実行されることがある。
【0024】
図示した実施形態では超音波システム100は、それを介して超音波信号が伝達されるチャンネルに電気的に結合させた信号発生器220を含む。例えば信号発生器220は、ケーブル110の導電経路202と電気的に相互接続させることがある。信号発生器220は、導電経路202間のクロストークを特定するために導電経路202に沿って送信される試験信号を発生させるデバイスである。信号発生器220は、プロセッサやマイクロコントローラなどの別の論理ベースのデバイスを含むこと、あるいはこれらから構成されることがある。信号発生器220は、身体や対象物の撮像に使用される超音波を放出させるようにトランスジューサ素子104を駆動する信号を信号発生器220が発生させないことがある点で送信器204やビーム形成器200と異なることがある。
【0025】
ケーブル110の導電経路202は一実施形態では、シールドのない非同軸のワイヤまたはファイラー(filar)である。例えば導電経路202は、(例えば、絶縁性の外側ジャケットによって)互いに電気的に絶縁されているが互いに対するシールドが独立でないワイヤとすることがある。「シールドが独立でない」とは、各導電経路202が他の導電経路202のシールドから分離された接地基準に電気的に結合されたシールドを有しないことを意味している。ケーブル110の例は、その内部に概ね共平面性関係で保持された幾つかの導電経路202を有するリボンケーブル、あるいは幾つかのワイヤを疎に装填して有するケーブルを含む。別法としてそのケーブル110は、同じまたは同様のゲージを有する同軸ケーブルのものより硬度や曲げ抵抗がより小さいか等しいような同軸ケーブルまたはワイヤを含むことがある。
【0026】
超音波システム100は、送信ビーム形成器(ソフトウェアベースのビーム形成器200やハードウェアベースのビーム形成器など)のガイド下で、身体内にパルス状及び/または連続性の超音波を送出するように探触子102のトランスジューサ素子104(例えば、圧電素子)のアレイを駆動している送信器204を含む。トランスジューサ素子104について多種多様な幾何学構成が用いられることがある。超音波は血球や筋肉組織など身体内の構造から後方散乱され、トランスジューサ素子104に戻されこれにより受信されるエコーが発生する。このエコーは、トランスジューサ素子104から受信器206に超音波データとして伝送される。一実施形態ではそのエコーは、受信器206にアナログ信号として伝送される。トランスジューサ素子104は、第1のトランスジューサ素子104の振動が第2のトランスジューサ素子104上に機械的クロストーク信号を誘導するように機械的に結合されている。
【0027】
超音波システム100は図示した実施形態では、アナログ対ディジタル変換器(ADC)208及び復調器210を含む。ADC208及び復調器210は、異なる構成要素とすることや、単一の構成要素(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))の形で実現させることがある。ADC208は、探触子102から収集された未処理アナログ超音波データを受け取り、この未処理アナログ超音波データを収集済み未処理ディジタル超音波データになるようにディジタル化する。復調器210は、未処理アナログ超音波データに対してディジタル復調、フィルタ除去及び/またはデシメーションを実行することがある。この超音波データは内部メモリ212に伝送されており、また内部メモリ212の中に保存されることがある。したがってこの未処理データはビーム形成に加えて修正や補償を受けることがある。
【0028】
プロセッサ116は、選択可能な複数の超音波モダリティに従って収集した超音波データに対して1つまたは複数の処理演算を実行するように適応させている。プロセッサ116はさらに、図示した実施形態ではソフトウェア実現ビーム形成器200を用いてビーム形成演算を実行する。プロセッサ116に接続されるように示したビーム形成器200は、プロセッサ116上で動作するソフトウェアとすることや、プロセッサ116の一部として設けられたハードウェアとすることがある。プロセッサ116は、収集した超音波データを処理し、表示デバイス214上に視覚表示するための超音波情報フレームを作成する。プロセッサ116はさらに、超音波データの動作特性(クロストーク信号)を決定すると共に、この動作特性(機械的及び/または電気的クロストーク信号)を超音波データからフィルタ除去、削除または低減するようにこの超音波データを修正する。
【0029】
表示デバイス214は、ユーザに対して診断及び解析のための診断超音波画像を含む患者情報を提示している1つまたは複数のモニタを含む。プロセッサ116は、プロセッサ116の動作を制御できる(マウス、キーボードその他を含むことがある)ユーザインタフェース216に接続されている。メモリ212と外部メモリ218のうちの一方または両方が超音波データの2次元(2D)または3次元(3D)データ組を保存することがあり、これらの2D及び3Dデータ組はビーム形成の別の状態とし得る2D(及び/または、3Dや4D画像)を提示するためにアクセスを受ける。ユーザインタフェース216を用いてこれらの画像が修正されることがあると共に、表示デバイス214の表示設定も手作業で調整されることがある。
【0030】
これらの様々な実施形態を超音波システムと関連して記載しているが、本方法及びシステムは超音波撮像やその具体的なある構成に限定されないことに留意すべきである。これらの様々な実施形態は、例えば超音波撮像システムと、X線撮像システム、磁気共鳴撮像(MRI)システム、コンピュータ断層撮像法(CT)撮像システム、陽電子放出断層(PET)撮像システム(ただし、これらに限らない)のうちの1つと、を有するマルチモダリティ撮像システムを含め別のタイプの撮像システムと連携して実現することができる。さらにこれらの様々な実施形態は、非医用撮像システム(例えば、超音波式溶接検査システムや空港の手荷物走査装置などの非破壊式の検査システム)の形でも実現することができる。
【0031】
図3は、一実施形態による超音波システム100(図1参照)の電気動作特性を電気的に決定するための方法300の流れ図である。方法300は、超音波システム100の電気動作特性を決定し超音波システム100により収集した超音波データを補正するために超音波システム100と連携して用いられることがある。単に一例として方法300は、収集した超音波データをそれを介して伝送させるチャンネル間の電気的及び/または機械的クロストーク信号を決定すると共に、チャンネル間のクロストークのフィルタ除去、補正、削除、消去あるいは緩和を行うために利用することが可能である。別法として方法300は、チャンネル間での時間スキュー(skew)の変動、収集済み信号に影響するトランスジューサ素子104(図1参照)間での製造差異、チャンネル間のバラツキ、その他といった超音波システム100の電気的欠陥を補正するために、そのチャンネルを介して伝送されるデータ信号の特性を決定することがある。
【0032】
302では、超音波探触子102(図1参照)のチャンネルのうちの少なくとも1つの中に試験信号が注入される。一実施形態ではその試験信号は、トランスジューサ素子104(図1参照)の方向に導かれる音響信号である。別の実施形態ではその試験信号は、探触子102内で生成されトランスジューサ素子104とケーブル110(図1参照)の間の信号通路内に注入されるアナログ電気信号である。この試験信号は信号発生器220(図2参照)によって発生させることがある。
【0033】
この試験信号は、チャンネルの各々に反復式で送信することが可能である。例えば試験信号は先ず、N個のチャンネル(ここでNは、超音波システム100(図1参照)の探触子102(図1参照)と処理構成要素との間のチャンネルまたは信号通路の総数)のうちの第n番目のチャンネルに沿って送信されることがある。上述のようにこれらのチャンネルは、トランスジューサ素子104(図1参照)、対応する導電経路202(図2参照)、及び超音波信号の送信に用いられる別の導電体部を含む様々な信号通路を意味することがある。一実施形態では異なるチャンネルは、異なるトランスジューサ素子104とこの異なるトランスジューサ素子104に結合された導電経路202とを意味している。例えば複数のチャンネルの各々は、異なるトランスジューサ素子104により収集され異なる導電経路202に沿って伝達される未処理アナログ超音波データを伝送することがある。
【0034】
図3に示す方法300に対する参照を続けると図4は、一実施形態による幾つかのトランスジューサ素子408、410、412、414及び幾つかの導電経路400、402、404、406から成る幾つかのチャンネル426、428、430、432の概要図である。導電経路400、402、404、406は、探触子102(図1参照)からの収集超音波データの伝送に用いられる異なる導電経路202(図2参照)を意味している。トランスジューサ素子408、410、412、414は、超音波探触子102(図1参照)の異なるトランスジューサ素子104(図1参照)を意味している。別法としてトランスジューサ素子408、410、412、414のうちの1つまたは幾つかは、複数の個別のトランスジューサ素子により形成される1つのサブアパーチャなど個別のトランスジューサ素子から成る1つの群または組を意味することがある。チャンネル426、428、430、432は一実施形態では、関連するトランスジューサ素子408、410、412、414を含む。4つのトランスジューサ素子408、410、412、414、4つの導電経路400、402、404、406並びに4つのチャンネル426、428、430、432だけしか図示していないが、別法としてトランスジューサ素子408、410、412、414、導電経路400、402、404、406及び/またはチャンネル426、428、430、432を別の数だけ設けることもできる。トランスジューサ素子408、410、412、414の各々は、トランスジューサ素子408、410、412、414が収集した超音波データを伝送する導電経路400、402、404、406の隣に図示している。
【0035】
上述のように、チャンネル426、428、430、432のうちの1つまたは幾つかに沿って試験信号416が送信されることがある。図示した実施形態では試験信号416はチャンネル430に沿って伝達されている。試験信号416がチャンネル430に沿って伝播する際に、試験信号416は別のチャンネル428、432内にクロストーク信号を誘導することがある。例えば試験信号416は、チャンネル428、432の導電経路402、406内に対応するクロストーク信号418、420を誘導することがある。
【0036】
方法300の304では、チャンネル426、428、430、432のうちの1つまたは幾つかの電気動作特性が決定される。電気動作特性は、試験信号をそれに沿って送信したチャンネル430以外の1つまたは複数のチャンネル426、428、432に関して決定されることがある。図示した実施形態では電気動作特性は、第n番目チャンネル以外のチャンネル426、428、430、432に関して決定される。この電気動作特性は、チャンネル426、428、430、432に沿って伝播する信号を示す1つまたは複数の計測値、パラメータまたは指標を含む。例えば電気動作特性は、チャンネル428、432に沿って伝播するクロストーク信号418、420のエネルギー、電圧、周波数または持続時間を意味することがある。別法として電気動作特性は、チャンネル426、428、432を通って伝播するクロストーク信号418、420の有無を意味することがある。例えば電気動作特性は、チャンネル426、428または432を通ってクロストーク信号418、420が伝達されたか否かに関するバイナリー表現とすることがある。
【0037】
別の実施形態ではその電気動作特性は、試験信号416とクロストーク信号418、420の間のタイムラグ422、424を含む。例えば電気動作特性は、チャンネル430上への試験信号416の注入とチャンネル428または432上でのクロストーク信号418、420の検出または出現との間の時間差または遅延を示すことが可能である。
【0038】
電気動作特性は、試験信号416の周波数及び/またはエネルギーに基づくことがある。例えば試験信号416の周波数及び/またはエネルギーが増大すると、クロストーク信号418、420のエネルギー、電圧、周波数、持続時間及び/またはタイムラグ422、424が変化することがある。クロストーク信号418、420はチャンネルごとに異なることがある。例えば試験信号416の周波数及び/またはエネルギーの変化によって、クロストーク信号418、420の各々に生じる変化は異なることがある。図4に示すように試験信号416は、異なるチャンネル428、432内に異なるクロストーク信号418、420を生成する。
【0039】
非超音波データ(クロストーク信号418、420など)を表す信号は、チャンネル426、428、430、432の異なる組み合わせと関連付けさせることがある。例えばクロストーク信号418は、チャンネル430に沿って試験信号416を送信したときのチャンネル428と関連付けさせることがあり、またクロストーク信号420はチャンネル430に沿って試験信号416を送信したときのチャンネル432と関連付けさせることがある。チャンネルと誘導される対応するクロストーク信号(または、別の電気動作特性)との追加の組み合わせが決定されることがある。チャンネル426、428、430、432の組み合わせと関連付けされた電気動作特性はメモリ212内で、電気動作特性(クロストーク信号418、420など)を対応するチャンネル426、428、430、432と関連付けしているデータベースまたはテーブルの形で保存されることがある。例えばある誘導元チャンネルに沿って試験信号を伝達したときに誘導先チャンネル上に生成されるクロストーク信号がメモリ212内に保存されることがある。誘導元と誘導先のチャンネル間の関連付けは、チャンネル426、428、430、432のうちの1つまたは幾つかに沿って後続の制御信号または別の信号が送信されたときに電気動作特性を補正するために後で用いられることがある。
【0040】
306では方法300は、N個のチャンネルのうちの繰り上げた次のチャンネルに進む。例えば方法300は、(n+1)番チャンネルに進むと共に、上述の処理過程が繰り返される。方法300は、チャンネルの各々に沿って試験信号を伝達したときに別のチャンネル上に生成されるクロストーク信号を決定するために繰り返されることがある。
【0041】
308では、N個のチャンネルのすべてに沿って試験信号を送信し終えたか否かの判定が実施される。例えば、現在のチャンネルが第N番目のチャンネルであるか否かの判定が実施される。現在のチャンネルが第N番目のチャンネルであれば、N個の全部のチャンネルに関して試験信号が送信済みであり方法300は310に進む。あるいは現在のチャンネルが第N番目のチャンネルでなければ、方法300は302に戻り現在のチャンネルに沿って試験信号を送信する。別の実施形態では、N個の全チャンネル数より少ない数のチャンネルに沿ってその試験信号が送信される。例えば試験信号は、N個のチャンネルのうちの幾つかのチャンネルに沿って送信されることがある。
【0042】
310では、超音波探触子によって1つまたは複数の撮像超音波パルスが送信される。超音波システム100(図1参照)は、導電経路202(図2参照)に沿ってトランスジューサ素子408、410、412、414に制御信号を送信する。この制御信号は、トランスジューサ素子408、410、412、414を励起させて探触子102(図1参照)から放出させる超音波パルスを生成している。この超音波パルスはエコーを生成するように撮像対象の身体内に向けられる。
【0043】
一実施形態では方法300は、超音波パルスが生成される前にN個のチャンネル内に試験信号が送信されるようにして302、304、306、308と関連して記載した動作を再帰的に繰り返す。別法として、第n番目チャンネルが生成させる超音波パルスは、第n番目のチャンネルに沿って試験信号が送信された後でありかつ1つまたは複数の別のチャンネルに沿って試験信号が送信される前に送信されている。例えば試験信号416がチャンネル426内に送信されることがあり、別のチャンネル428、430、432上でクロストーク信号が計測され、これに続いて超音波探触子102(図1参照)から放出させる超音波パルスを生成するようにチャンネル426、428、430、432の中に制御信号が送信され、これに続いてチャンネル428の中に試験信号416が送信され、これに続いて別のチャンネル426、430、432上に誘導されるクロストーク信号が計測され、これに続いて別の超音波パルスを生成するための制御信号が送信されており、以下同様に続く。試験信号416の送信は制御信号の送信よりごく僅か前(5マイクロ秒以下だけ前など)に実施することがある。試験信号416と制御信号を交代させることによれば、超音波パルスの送信及び/または対応するエコーの受信に要する時間を大幅に増大させることなく、単一の超音波フレーム内でまたは各超音波フレームの後に各チャンネル426、428、430、432に沿って試験信号416を送信することが可能となる。方法300は、画像収集手順中に超音波撮像フレーム間で電気動作特性(例えば、クロストーク信号やチャンネル間のバラツキ)を決定すると共に、超音波データを補正するまたは超音波データから電気動作特性を削除するような超音波システム100(図1参照)に対するリアルタイムの補正または較正を提供することができる。
【0044】
312では、探触子によってエコーを受信すると共に、このエコーに基づいて超音波データが生成される。トランスジューサ素子408、410、412、414はこのエコーを受け取りアナログ未処理超音波データを生成させる。このアナログ未処理超音波データは、チャンネル426、428、430、432に沿って電気超音波信号として伝達される。
【0045】
314では、チャンネル426、428、430、432のうちの1つまたは幾つかに沿って伝達された超音波信号が、以前に計測したクロストーク信号など決められた電気動作特性に基づいて修正される。この超音波信号は、超音波データを取得したのと同じトランスジューサ素子408、410、412、414と関連付けさせた電気動作特性に基づいて修正されることがある。チャンネル426、428、430、432に沿って伝達された超音波データは、その電気動作特性に基づいて超音波システム100(図1参照)のビーム形成器200(図2参照)によってクロストーク信号などの不用な成分を除去するようにフィルタ処理されることがあり、次いで補正済み超音波データから超音波画像が形成されている。
【0046】
ビーム形成器200は、チャンネル426、428、430、432の各々に沿って伝達された超音波データを単独で補正することが可能である。例えばチャンネル426、428、430、432の各対(この「対」は誘導元チャンネル430と誘導先チャンネル428または432とを含む)ごとにクロストーク信号418、420が決定された後に、収集超音波データからクロストーク信号418、420をフィルタ除去することが可能である。図示した実施形態ではビーム形成器200は、チャンネル430に沿って伝達された超音波信号によってチャンネル428上に誘導されたクロストーク信号418(あるいは、これに基づく関数から導出される信号)を削除またはフィルタ除去している。ビーム形成器200は、別のチャンネル426、428、430、432に関してもこの補正を繰り返す。ビーム形成器200は、クロストーク信号418、420の伝達関数に換算係数を乗算しかつ収集した超音波データからこの積を減算することによって収集超音波データからクロストーク信号418、420を削除またはフィルタ除去することがある。
【0047】
超音波システム100(図1参照)がN個のチャンネルを含みかつビーム形成器200がN個のディジタル化超音波データ信号を受け取る場合、ビーム形成器200は第n番目チャンネルに沿って伝達されるデータの補正を、第i番目チャンネルのデータに由来して第n番目チャンネル上に第i番目チャンネルによって誘導されるクロストーク信号の減算、(i+1)番のチャンネルによって第n番目チャンネル上に誘導されるクロストーク信号の減算、(i+2)番のチャンネルによって第n番目チャンネル上に誘導されるクロストーク信号の減算、さらに続けて(N−1)番チャンネルまで減算することに拠っている。この処理過程はN個すべてのチャンネルに関して繰り返すことが可能である。例えば上述の補正は、次に(n+1)番のチャンネルに関して実行、次いで(n+2)番のチャンネルに関して実行、以下同様に実行とするように、N個のチャンネルのすべてまたはその部分組について実行することが可能である。N個すべてのチャンネルが別のチャンネル上にクロストーク信号を誘導していれば、可能性としては各フレームごとに取得した超音波データに対する補正は(N2−N)回となり得る。第n番目チャンネル上にクロストーク信号を誘導するチャンネルが(N−1)個未満であれば、この(N−1)個未満の数のチャンネルにより生成されるクロストーク信号を第n番目チャンネルのデータからフィルタ除去することがある。
【0048】
上述のように、チャンネルの電気動作特性の計測とチャンネルに沿って伝達された超音波データの補正は画像収集中に実行することができる。チャンネルに沿った試験信号の注入と、試験信号に基づいたチャンネルの電気動作特性の計測と、チャンネルに沿って伝達された超音波データの電気動作特性に基づいたフィルタ除去とは、探触子102(図1参照)からの超音波パルスの送信の間に繰り返すことが可能である。超音波データに対するこの反復式または半連続式の補正によって、画像収集と同時または並行式など画像収集中における超音波データの補正が可能となる。画像収集中にケーブル110(図1参照)が曲げられるまたは湾曲するような状況では、ケーブル110の位置が変化し導電経路202(図2参照)間のクロストーク信号または相互インピーダンスが変化するに従って半連続式の補正処理によって超音波データを繰り返し補正することが可能である。
【0049】
図5は、一実施形態による超音波システム100(図1参照)の電気動作特性を音響学的に決定するための方法500の流れ図である。方法500は、超音波システム100の動作特性を決定すると共に該決定した動作特性に基づいて超音波システム100が収集した超音波データを補正するために超音波システム100(図1参照)と連携して用いることができる。方法300(図3参照)と同様に方法500は、超音波システム100のチャンネル間のクロストーク信号の決定及び補正、かつ/またはチャンネル間の時間スキューの変動、収集信号に影響を及ぼすトランスジューサ素子104(図1参照)間の製造差異、チャンネル間のバラツキ、その他など超音波システム100の電気的欠陥の補正のために利用することが可能である。決定されるクロストーク信号は、電気的クロストーク信号(ある経路上に別の経路上での超音波信号の送信によって誘導されるクロストーク信号など)及び/または機械的クロストーク信号(あるトランスジューサ素子104上に別のトランスジューサ素子104の振動によって誘導されるクロストーク信号)を含むことがある。この超音波信号は例えば、電気的及び/または機械的クロストーク信号を超音波信号から減算するあるいはフィルタ除去することによって補正されることがある。
【0050】
方法500は、方法300(図3参照)の代わりに用いられることも、方法300と連携して用いられることもある。例えば方法500は、超音波システム100(図1参照)を用いた画像の収集の前または後(例えば、超音波システム100の製造、修理または再構築の際に)あるいは画像収集の中間においてチャンネルの電気的及び/または機械的な動作特性を決定するために用いられることがある。これと異なり方法300は、上述のように画像収集手順中に用いられることがある。
【0051】
502では、超音波探触子102(図1参照)のトランスジューサ素子104(図1参照)に向けて試験方向に沿って試験超音波パルスが送信される。トランスジューサ素子104に向けて試験パルスを所定の角度で送信するために外部の超音波パルス源が用いられる。一実施形態ではこのパルスは身体の視覚画像の作成に使用されないため、このパルスのことを非撮像試験パルスと呼んでいる。
【0052】
図5を続けて参照すると、図6は一実施形態による外部超音波パルス源600及びトランスジューサ素子408、410、412、414のブロック図である。パルス源600は、トランスジューサ素子408、410、412、414に向けて様々な角度で試験パルス602を送信することが可能な別の超音波探触子や別のデバイスとすることがある。図示した実施形態ではパルス源600は、トランスジューサ素子408、410、412、414を基準とした斜めの角度604でトランスジューサ素子408、410、412、414に向けて試験パルス602を送信している。パルス源600とトランスジューサ素子408、410、412、414とは、方法500に関連して記載した動作のうちの少なくとも幾つかを実行するために水タンク内など周知の雰囲気内部に位置決めされることがある。
【0053】
504では、トランスジューサ素子408、410、412、414によって試験パルス602が受信される。トランスジューサ素子408、410、412、414の配置及び/または角度604に応じて、トランスジューサ素子408、410、412、414は試験パルス602を異なる時点で受信すなわち検出することがある。例えばパルス源600のより近くに配置されたトランスジューサ素子412、414は、パルス源600からより遠くに配置されたトランスジューサ素子408、410より前に試験パルス602を受信することがある。
【0054】
トランスジューサ素子408、410、412、414は、試験パルス602の受信中に振動することがある。トランスジューサ素子408、410、412、414は、トランスジューサ素子408、410、412、414のうちの1つの振動が1つまたは複数の別の隣接するまたは近傍のトランスジューサ素子408、410、412、414に振動を生じさせるように機械的に結合されている。隣接するまたは近傍のトランスジューサ素子408、410、412、414の振動は、この隣接するまたは近傍のトランスジューサ素子408、410、412、414の経路及びチャンネル上に機械的クロストーク信号を生成する可能性がある。
【0055】
トランスジューサ素子408、410、412、414は、試験パルス602に基づいて未処理アナログ超音波データ606、608、610、612を発生させる。超音波データ606、608、610、612は、上述のようにチャンネル426、428、430、432に沿って伝達される。チャンネル426、428、430、432を通した超音波データ606、608、610、612の送信及び/または1つまたは複数のトランスジューサ素子408、410、412、414の振動によって、別のチャンネル426、428、430、432上に信号が誘導される。例えばチャンネル430に沿って送信された超音波データ610は、チャンネル432上に電気的クロストーク信号614を誘導する。チャンネル432に沿って送信された超音波データ612は、チャンネル426、428、430上に電気的クロストーク信号616、618、620を誘導する。一実施形態では、クロストーク信号616、618、620のうちの1つまたは幾つかは電気的及び/または機械的な成分を含む。例えば、クロストーク信号616、618、620のうちの1つまたは幾つかは、電気的クロストーク信号及び/または機械的クロストーク信号を含むことがある。
【0056】
506では、チャンネル426、428、430、432に沿って伝達された信号は超音波システム100(図1参照)によって受信される。例えばプロセッサ116(図1参照)は、チャンネル426、428、430、432に沿った受信アナログ超音波データから成る超音波信号を受け取ることがある。
【0057】
508では、チャンネル426、428、430、432に沿って伝達された超音波信号の動作特性を検査し、その超音波信号が試験パルス602から収集した超音波データを表すか超音波システム100(図1参照)内の欠陥を表すかが判定される。例えばその超音波信号が超音波エコーであるか、ケーブル110(図1参照)内の屈曲、チャンネル426、428、430、432間の時間スキュー、トランスジューサ素子408、410、412、414内の不完全性、その他などのクロストーク信号(電気的及び/または機械的クロストーク信号)であるかを判定するために超音波信号が検査されている。これらの動作特性は、チャンネルに沿って伝達される信号と予測信号または所定の信号との差とすることが可能である。例えば、トランスジューサ素子408、410、412、414で送信される超音波パルスは、所定の角度で送信される所定のパルスとすることがある。この所定のパルスは、トランスジューサ素子408、410、412、414が受信すると予測される信号と関連付けさせることがある。
【0058】
図示した実施形態では、動作特性はクロストーク信号614、616、618、620を示している。例えば動作特性は、エネルギー、電圧、周波数、持続時間などクロストーク信号614、616、618、620を示す1つまたは複数の計測値、パラメータまたは指標、あるいはクロストーク信号614、616、618、620の有無を含む。クロストーク信号614、616、618、620は、チャンネル426、428、430、432に沿って送信された超音波データ606、608、610、612及び/または1つまたは複数のトランスジューサ素子の振動によってチャンネル426、428、430、432内に誘導される可能性がある。例えばチャンネル432の超音波データ612は、チャンネル426、428、430のクロストーク信号616、618、620を誘導しており、またチャンネル430の超音波データ610はチャンネル432のクロストーク信号614を誘導している。
【0059】
510では、チャンネル426、428、430、432によって伝送される信号が超音波データを示すか別の電気的欠陥を示すかの判定が実施される。例えば、その信号及び/またはデータが欠陥(電気的及び/または機械的クロストークなど)を示すか超音波データを示すかを判定するためにクロストーク信号、超音波データ及び/またはチャンネルに沿って伝達される別の信号が1つまたは複数の所定の波形属性と比較される。この波形属性は、試験パルス602に基づいて予測される超音波信号と関連付けさせている。例えばその波形属性は、超音波データを含む予測信号と関連付けさせた波形セグメントに関する振幅、周波数、エネルギー、持続時間、冒頭または開始時刻、終止または終了時刻、及び/または形状を含むことがある。この波形属性は、受信した信号の波形と比較するために内部メモリ212(図2参照)内に保存しておくことが可能である。
【0060】
信号616の振幅とメモリ212内に保存しておいた所定の波形振幅との比較に基づいて、信号616が超音波データであるかクロストークであるかが特定されることがある。チャンネル426に関して、波形属性はクロストーク信号616の振幅を超えるが、超音波データ606より小さいか少なくとも同程度の大きさの振幅を含むことがある。そのため、クロストーク信号616の振幅がより小さいことは、クロストーク信号616が試験パルス602と関連付けされた超音波データを示さないことを指摘し、また超音波データ606の振幅がより大きいことは超音波データ606が試験パルス602と関連付けさせた超音波データを示すことを指摘することがある。別法として、クロストーク信号616と超音波データ606の各々に対して1つまたは複数の別の波形属性が比較されることがある。クロストーク信号616と超音波データ606の差に基づいて、クロストーク信号616がクロストークを表していると特定される一方、超音波データ606が試験パルス602を表すと特定されている。チャンネル426、428、430、432に沿って伝達される信号が電気的欠陥を示すか超音波データを示すかの判定は、チャンネル426、428、430、432のすべてまたはその部分組に関して繰り返すことが可能である。
【0061】
非超音波データ(クロストーク信号614、616、618、620など)を示す信号は、トランスジューサ素子408、410、412、414に向けて試験パルス602を導く角度604と関連付けさせることがある。例えばクロストーク信号614、616、618、620は、試験パルス602及び/またはトランスジューサ素子408、410、412、414に向けて試験パルス602を送信する角度604に対してクロストーク信号614、616、618、620を関連付けしているメモリ212(図2参照)内にデータベースまたはテーブルの形で保存されることがある。
【0062】
512では、超音波探触子102(図1参照)に向けて追加の試験パルスを送信すべきか否かの判定が実施される。追加の超音波パルスは、トランスジューサ素子408、410、412、414に向けて超音波パルスを別の角度で送信したときにどんな電気的欠陥(例えば、クロストーク信号)が生じるかを特定するために、超音波探触子102及びトランスジューサ素子408、410、412、414に向けて送信されることがある。
【0063】
探触子102(図1参照)に向けて全く追加の超音波パルスの送信を要しない場合、方法500のフローは514に進む。一方、探触子102(図1参照)に向けて1つまたは複数の超音波パルスを送信すべき場合は、方法500のフローは502に戻り、探触子102に向けて超音波パルスが送信された以前の1つまたは複数の角度と異なる角度で探触子102に向けて別の超音波パルスが送信される。
【0064】
図7は、一実施形態による外部超音波パルス源600及びトランスジューサ素子408、410、412、414のブロック図である。図7に示すようにパルス源600は、トランスジューサ素子408、410、412、414に向けて角度704により規定される試験方向に沿って別の非撮像試験パルス702を送信することがある。この追加の試験パルス702は、試験パルス602が送信された角度604(図6参照)と異なる角度704で送信される。
【0065】
試験パルス702はトランスジューサ素子408、410、412、414によって受信されると共に、このトランスジューサ素子408、410、412、414は超音波データ706、708、710、712を包含した信号を作成する。超音波データ706、708、710、712はチャンネル426、428、430、432に沿って超音波信号として伝達される。試験パルス602と関連して上述したのと同様に、超音波データ706、708、710、712によってかつ/または1つまたは複数のトランスジューサ素子408、410、412、414の振動によってチャンネル426、428、430、432内にクロストーク信号714、716、718、720など超音波データ信号以外の信号が誘導される可能性がある。上述のように、試験パルス702の受信がクロストーク信号714、716、718、720を生成したと判定するために、クロストーク信号714、716、718、720及び/または超音波データ706、708、710、712の1つまたは複数の波形属性が解析される。クロストーク信号714、716、718、720は、試験パルス702及び/または試験パルス702を送信させる角度704と関連付けさせてメモリ212(図2参照)内に保存されることがある。
【0066】
図5に示した方法500の検討に戻ると方法500は、異なる角度で超音波パルスを受信したときにトランスジューサ素子408、410、412、414により受信、生成または検知される動作特性(クロストーク信号など)に関する情報を収集するためにループ方式で進行させることがある。異なる角度で受信した超音波パルスと関連付けさせた動作特性の組は、将来の超音波パルスの受信の際にチャンネル426、428、430、432により伝達される非超音波データ信号をフィルタ除去または削除するために使用される(これについては以下で説明する)。
【0067】
514では、超音波探触子によって1つまたは複数の撮像超音波パルスが送信される。超音波システム100(図1参照)はチャンネル426、428、430、432に沿ってトランスジューサ素子408、410、412、414に制御信号を送信する。この制御信号はトランスジューサ素子408、410、412、414を励起して探触子102から放出される超音波パルスを発生させている。この超音波パルスはエコーを発生させるために撮像対象の身体内に導かれる。
【0068】
516では、探触子によってエコーが受信されると共に、このエコーに基づいて超音波データが生成される。トランスジューサ素子408、410、412、414はこのエコーを受け取ってアナログ未処理超音波データを生成する。このアナログ未処理超音波データはチャンネル426、428、430、432に沿って伝達される。
【0069】
518では、チャンネル426、428、430、432のうちの1つまたは幾つかに沿って伝達された超音波データが試験パルス602、702に基づいて計測された動作特性に基づいて修正される。一実施形態では、試験パルス(複数のこともある)が撮像超音波パルスと同じまたは同様の角度で探触子102(図1参照)に向けられたときに決定した動作特性が超音波データから減算あるいはフィルタ除去される。例えばエコーがあるステアリング角で取得された場合、このステアリング角と同じまたは概ね同じ角度で試験パルスを探触子102に向けたときに決定したクロストーク信号が、トランスジューサ素子408、410、412、414によって生成された超音波データから減算あるいはフィルタ除去されることがある。
【0070】
上述のように、チャンネルの動作特性の計測は画像収集の前に実行されることがある。次いでこの動作特性(クロストーク信号など)は、画像収集中に生成した超音波データからフィルタ除去されることがある。別の実施形態ではその動作特性を撮像収集中に決定することがある。例えば、画像収集前に非撮像試験パルスを送信して動作特性を決定するのではなく、撮像超音波パルスを用いて動作特性を決定することがある。超音波パルスは、トランスジューサ素子408、410、412、414によって撮像対象の身体に向けて送信される。超音波探触子102(図1参照)を基準とした撮像対象身体の概ねの箇所及び/または向きが既知であれば、超音波エコーがそれに沿って受信される概ねの帰還通路を既知とすることができる。例えば、超音波エコーが受信される角度(複数のこともある)が既知となり、第1の撮像超音波パルスに関してクロストーク信号が決定され、これを第1の撮像パルスと同じまたは概ね同じ角度に沿って送信される後続の撮像超音波パルスから取得される超音波データに対するフィルタ除去に用いることができる。
【0071】
一実施形態では、方法300及び/または500(図3及び5)の選択及び利用は、探触子(図1参照)102の動作特性がどの程度の頻度で変化するかかつ/またはどの程度の速さで変化するかに基づくことがある。例えば、トランスジューサ素子408、410、412、414(図4参照)に関するまた1つまたは複数の角度604、704と関連付けさせた動作特性が比較的固定的であるかシステム100(図1参照)の使用中に大きく変化しなければ、方法500を用いて動作特性を最初に決定し、続いて取得される超音波データを補正することがある。システム100の使用中に(例えば、ケーブル110(図1参照)の屈曲によって)動作特性が変化する場合は、画像収集中に方法300を繰り返し使用することがある。別の実施形態では、方法300と方法500の両方を用いて不用な動作特性が削除されるように超音波データを補正している。
【0072】
一実施形態では、あるタイプまたは種別の超音波探触子のチャンネルと関連付けさせた動作特性から成るデータベースを取得するために方法500(図5参照)を用いることがある。このデータベースは、同じまたは同様のタイプの超音波探触子である1組の探触子の各々に関してメモリ212(図2参照)に複製されアップロードされることがある。このデータベースは、同じタイプの探触子の較正ために用いられることがある。例えば、データベースを構築した後に、別の同様のタイプの探触子102に関して内部メモリ212にこのデータベースをダウンロードし、この同様の探触子102によるクロストーク信号の補正に用いられることがある。超音波探触子102は、探触子102の幾何学構成、サイズ、組成その他に基づいて同様のタイプや同じタイプとすることがある。別法として方法500は、幾つかの探触子の各々に関してデータベースを取得するために用いられることがある。例えば、探触子を用いて身体を撮像するよりさらに前に(または、探触子の実用寿命中に定期的に)、方法500を用いてデータベースを作成または更新することがある。次いで探触子は、受信超音波データから不用な動作特性(クロストーク信号など)をフィルタ除去または削除するためにこのデータベースを参照することがある。
【0073】
別の実施形態では、クロストーク信号に関するシミュレーションモデルが作成されることがある。例えば、チャンネル上に別のチャンネルに沿って伝達された超音波信号によって誘導されるクロストーク信号は、どれかのチャンネルに沿って伝達されるクロストーク信号を物理的に計測することなくモデル化されることがある。このシミュレーションモデルは、超音波システムのチャンネルに沿って超音波信号を伝達したときにそのチャンネル上に誘導される予測クロストーク信号を関連付けしているコンピュータ生成によるモデルとすることがある。このモデルは、超音波システム100の(図1参照)のメモリ212(図2参照)にダウンロードされ、続いて収集される超音波信号からクロストーク信号を減算または削除するために使用される。
【0074】
一実施形態では、チャンネルのうちの1つまたは幾つかに関して決定したクロストーク信号を、制御または送信信号を修正するために用いることがある。例えばクロストーク信号は、トランスジューサ素子に1つまたは複数の超音波パルスを送出させるために超音波探触子のトランスジューサ素子に伝達される制御信号を修正するために用いられることがある。1つまたは複数のチャンネルに関する制御信号が決定されることがあり、また該1つまたは複数のチャンネルに関して以前に決定したクロストーク信号(複数のこともある)をそのチャンネルに沿って制御信号を伝送する前に制御信号から削除、フィルタ除去または減算することがある。
【0075】
図8は、図1のプロセッサ116またはその一部分として具現化し得る超音波プロセッサモジュール800の例示的なブロック図を表している。超音波プロセッサモジュール800は、概念的にサブモジュールの集合体として図示しているが、専用のハードウェア基板、DSP、プロセッサ、その他の任意の組み合わせを利用して実現することもできる。別法として図8のサブモジュールは、単一のプロセッサやプロセッサ間で機能動作を分散させた複数のプロセッサを備えた市販のPCを利用して実現することもできる。別の選択肢として図8のサブモジュールは、あるモジュール型機能は専用のハードウェアを利用して実行させる一方、残りのモジュール型機能は市販のPCその他を利用して実行させるような混成構成を利用して実現することもできる。これらのサブモジュールはさらに、処理ユニット内部のソフトウェアモジュールの形で実現することもできる。
【0076】
図8に示したサブモジュールの動作は、ローカルの超音波制御器802によって制御されることやプロセッサモジュール800によって制御されることがある。超音波プロセッサモジュール800は超音波データ804を幾つかの形態のうちの1つの形態で受け取ることがある。超音波データ804は、超音波データ606、608、610、612、706、708、710、712(図4、6及び7参照)を含むことがある。図8の実施形態では、受け取った超音波データ804は、各データサンプルと関連付けされた実数成分と虚数成分を表すI、Qのデータ対から成る。このI、Qデータ対は、カラーフローモジュールまたはサブモジュール806、パワードプラモジュールまたはサブモジュール808、Bモードモジュールまたはサブモジュール810、スペクトルドプラモジュールまたはサブモジュール812及びMモードモジュールまたはサブモジュール814のうちの1つまたは幾つかに提供される。任意選択では、音響放射力インパルス(Acoustic Radiation Force Impulse:ARFI)モジュールまたはサブモジュール816及び組織ドプラ(TDE)モジュールまたはサブモジュール818(ただし、これらに限らない)などの別のサブモジュールを含むこともある。
【0077】
サブモジュール806、808、810、812、814、816、818のそれぞれは、カラーフローデータ820、パワードプラデータ822、Bモードデータ824、スペクトルドプラデータ826、Mモードデータ828、ARFIデータ830及び組織ドプラデータ832を作成するような対応する方式によってI、Qのデータ対を処理するように構成させており、これらのデータはすべて後続の処理の前に一時的にメモリ834(例えば、図2に示したメモリ212及び/またはメモリ218など)内に保存されることがある。例えばBモードサブモジュール810は、本明細書でより詳細に記載しているような2面式や3面式(triplane)画像収集の場合などで複数のBモード画像面を含むBモードデータ824を作成することがある。データ820、822、824、826、828、830、832は例えば、その各組が個々の1つの超音波画像フレームを規定しているようなベクトルデータ値の組として保存されることがある。これらのベクトルデータ値は一般に、極座標系に基づいて整理される。別法として超音波データ804は、サブモジュール806、808、810、812、814、816、818のうちの1つまたは幾つかによって処理される前に、ソフトウェアビーム形成器200(図2参照)などのビーム形成器に送られることがある。
【0078】
走査変換器モジュールまたはサブモジュール836は、メモリ834にアクセスしてここから画像フレームと関連付けされたベクトルデータ値を取得すると共に、このベクトルデータ値の組をデカルト座標に変換し表示向けに形式変換した超音波画像フレーム838を作成する。走査変換器サブモジュール836が作成した超音波画像フレーム838は、後続の処理のためにメモリ834に戻すように提供されることがある。走査変換器サブモジュール836が、例えばBモード画像データその他に関連付けされた超音波画像フレーム838を作成した後、この画像フレームはメモリ834内に再保存されることや、バス840を介してデータベース(図示せず)、メモリ834及び/または別のプロセッサに伝達されることがある。
【0079】
走査変換されたデータは、超音波画像フレームを作成するために映像表示向けのX、Y形式に変換されることがある。走査変換した超音波画像フレームは、映像表示向けのグレイスケールマッピングに対して映像をマッピングする映像プロセッサを含むことがある表示制御器(図示せず)に提供される。このグレイスケールマップは、表示グレイレベルに対する未処理画像データの伝達関数を表すことがある。この映像データをグレイスケール値にマッピングした後に表示制御器は、画像フレームを表示するために1つまたは複数のモニタまたは表示ウィンドウを含むことがある表示デバイス214(図2参照)を制御する。表示デバイス214に表示される画像は、その各データがディスプレイ内のそれぞれの画素の強度または輝度を示している画像データフレームから作成される。
【0080】
2D映像プロセッサモジュールまたはサブモジュール842は異なるタイプの超音波情報から作成されたフレームの1つまたは幾つかを合成する。例えば2D映像プロセッササブモジュール842は、あるタイプのデータをグレイマップに対してマッピングしかつ別のタイプのデータはカラーマップに対してマッピングして映像表示することによって異なる画像フレームを合成することがある。表示させる最終画像では、カラー画素データがグレイスケール画素データ上に重ね合わせられて単一の多重モード画像フレーム844(例えば、機能画像)を形成しており、この画像フレーム844は再度メモリ834内に再保存されるか、バス840を介して伝達されている。連続した画像フレームがメモリ834内にシネループとして保存されることがある。このシネループは、ユーザに対して表示させる画像データを取り込むための先入れ先出し式の循環画像バッファを意味している。ユーザは、ユーザインタフェース216でフリーズコマンドを入力することによってこのシネループをフリーズさせることがある。ユーザインタフェース216は例えば、超音波システム100(図1参照)内への情報入力に関連付けさせたキーボード及びマウス、並びに別のすべての入力制御子を含むことがある。
【0081】
3Dプロセッサモジュールまたはサブモジュール846はさらに、ユーザインタフェース216によって制御を受けてメモリ834にアクセスし、3D超音波画像データを取得すると共に周知のボリュームレンダリングやサーフェスレンダリングアルゴリズムを介するなどによって3次元画像を作成する。この3次元画像は、レイキャスティング(ray−casting)、最大強度画素投影、その他などの様々な撮像技法を利用して作成されることがある。
【0082】
図1の超音波システム100は、ラップトップコンピュータやポケットサイズシステムなどの小型のシステム内や、より大型のコンソールタイプのシステムの形で具現化させることがある。図9及び10は小型システムを表しており、また図11はより大型のシステムを表している。
【0083】
図9は、3D超音波データまたは多重面超音波データを収集するように構成し得る探触子902を有する3D機能小型化超音波システム900を表している。例えば探触子902は、図1の探触子102に関連して上で検討したようなトランスジューサ素子904と、図4に示したトランスジューサ素子408、410、412、414と、から成る2Dアレイを有することがある。オペレータからコマンドを受け取るためにユーザインタフェース906(一体型表示デバイス908を含むこともあり得る)が設けられている。本明細書で使用する場合に「小型化」とは、超音波システム900がハンドヘルド型または携行式のデバイスであるか、あるいはスタッフの手中、ポケット、書類カバンサイズのケースあるいはリュックサックで持ち運べるように構成されていることを意味している。例えば超音波システム900は、典型的なラップトップコンピュータのサイズを有する携行式デバイスとすることがある。超音波システム900はオペレータにより容易に運搬することができる。一体型表示デバイス908(例えば、内部ディスプレイ)は例えば、1つまたは複数の医用画像を表示するように構成されている。
【0084】
超音波データは、有線式またはワイヤレス式のネットワーク912(または、例えばシリアルケーブルやパラレルケーブルあるいはUSBポートを介した直接接続)によって外部デバイス910に送られることがある。幾つかの実施形態では、外部デバイス910はディスプレイを有するコンピュータまたはワークステーションとすることや、様々な実施形態のDVRとすることがある。別法として外部デバイス910は、携行式超音波システム900からの画像データの受け取り並びに一体型表示デバイス908を超える分解能を有することがある画像の表示またはプリントアウトが可能な単独の外部ディスプレイまたはプリンタとすることがある。
【0085】
図10は、表示デバイス1002及びユーザインタフェース1004が単一の体部またはユニットを形成するような携行式またはポケットサイズの超音波撮像システム1000を表している。一例として、ポケットサイズ超音波撮像システム1000は、幅が概ね2インチ、長さが概ね4インチ及び奥行が概ね0.5インチのポケットサイズや掌サイズの超音波システムとすることがあり、かつ重さは3オンス未満である。ポケットサイズ撮像システム1000は一般に表示デバイス1002及びユーザインタフェース1004を含んでおり、これらはキーボードタイプのインタフェース及び走査用デバイス(例えば、超音波探触子1006)に接続するための入力/出力(I/O)ポートを含むことや含まないことがある。表示デバイス1002は例えば、320×320画素のカラーLCDディスプレイ(この上に医用画像1008を表示することができる)とすることがある。ユーザインタフェース1004内には任意選択で、ボタン1012から成るタイプライター様のキーボード1010が含まれることがある。
【0086】
マルチ機能制御子1014にはそれぞれ、システムの動作モードに従った機能(例えば、異なるビューの表示)を割り当てることができる。したがってマルチ機能制御子1014のそれぞれは、複数の異なる操作を提供するように構成されることがある。表示デバイス1002上には、必要に応じてマルチ機能制御子1014に関連付けされたラベル表示エリア1016が含まれることがある。システム1000はさらに、「フリーズ」、「深度制御子」、「利得制御子」、「カラーモード」、「プリントアウト」及び「保存」(ただし、これらに限らない)を含み得る特殊目的の機能のために追加的なキー及び/または制御子1018を有することがある。
【0087】
1つまたは複数のラベル表示エリア1016は、表示させるビューを指示するため、あるいはユーザが表示する撮像対象の異なるビューを選択できるようにするためのラベル1020を含むことがある。異なるビューの選択はまた、関連するマルチ機能制御子1014を介して提供されることがある。表示デバイス1002はまた、表示させた画像ビューに関する情報を表示するためのテキスト表示エリア1022(例えば、表示させた画像に関連するラベル)を有することがある。
【0088】
寸法、重量及び電力消費が異なる小型化超音波システムや小型超音波システムと連係して様々な実施形態を実現できることに留意すべきである。例えばポケットサイズ超音波撮像システム1000と小型化超音波システム900はシステム100(図1参照)と同じ走査機能及び処理機能を提供することができる。
【0089】
図11は、移動式台座1102上に設けられた超音波撮像システム1100を表している。可搬式超音波撮像システム1100のことを、カート式システムと呼ぶこともある。表示デバイス1104及びユーザインタフェース1106が設けられると共に、この表示デバイス1104はユーザインタフェース1106と分離されていることや分離可能とさせることがあることを理解されたい。ユーザインタフェース1106は任意選択ではタッチ式画面であり、これによってオペレータは表示されたグラフィックス、アイコン、その他に触れることによってオプションを選択することが可能となる。
【0090】
ユーザインタフェース1106はさらに、可搬式超音波撮像システム1100を(希望または必要に応じかつ/または典型的な提供形態で)制御するために使用できる制御ボタン1108を含む。ユーザインタフェース1106はユーザに対して、超音波データや表示可能なその他のデータとの対話並びに情報の入力及び走査パラメータ、観察角度その他の設定や変更のための物理的な取扱いを可能にさせる複数のインタフェースオプションを提供する。例えばキーボード1110、トラックボール1112及び/またはマルチ機能制御子1114が設けられることがある。
【0091】
この様々な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェアあるいはこれらの組み合わせの形で実現し得ることに留意すべきである。さらに、様々な実施形態及び/または構成要素(例えば、モジュール、あるいはこれらの内部にある構成要素や制御器)は、1つまたは複数のコンピュータまたはプロセッサの一部として実現させることができる。このコンピュータやプロセッサは、コンピュータ処理デバイス、入力デバイス、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェースを含むことがある。このコンピュータやプロセッサは、マイクロプロセッサを含むことがある。このマイクロプロセッサは、通信バスと接続させることがある。このコンピュータやプロセッサはさらにメモリを含むことがある。このメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)や読出し専用メモリ(ROM)を含むことがある。このコンピュータやプロセッサはさらに、ハードディスクドライブ、あるいはフロッピー(商標)ディスクドライブ、光ディスクドライブその他などの取外し可能な記憶ドライブとし得る記憶デバイスを含むことがある。この記憶デバイスはさらに、コンピュータプログラムその他の命令をコンピュータやプロセッサにロードするための別の同様の手段とすることがある。
【0092】
本明細書で使用する場合、「コンピュータ」や「モジュール」という用語は、マイクロコントローラを用いたシステム、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、ASIC、論理回路、及び本明細書に記載した機能を実行可能な別の任意の回路やプロセッサを含めプロセッサベースまたはマイクロプロセッサベースの任意のシステムを含むことができる。上述の例は単に例示であり、またしたがっていかなる意味においても「コンピュータ」という用語の定義及び/または意味を限定することを意図していない。
【0093】
このコンピュータやプロセッサは、入力データを処理するために1つまたは複数の記憶素子内に保存された1組の命令を実行する。この記憶素子はさらに、所望によりまたは必要に応じて、データやその他の情報も保存することがある。この記憶素子は情報ソースの形態とすることや、処理装置内部にある物理的な記憶素子とすることがある。
【0094】
この命令の組は、本発明の様々な実施形態の方法や処理などの指定の演算を実行するように処理装置としてのコンピュータまたはプロセッサに指令するための様々なコマンドを含むことがある。この命令の組はソフトウェアプログラムの形態とすることがある。このソフトウェアは、システムソフトウェアやアプリケーションソフトウェアなど様々な形態とすることがあり、またこれを有形で非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体として具現化させることもある。さらにこのソフトウェアは、単独のプログラムやモジュールから成る集合体、より大きなプログラムの内部のプログラムモジュール、あるいはプログラムモジュールの一部分の形態とすることがある。このソフトウェアはさらに、オブジェクト指向プログラミングの形態をしたモジュール型プログラミングを含むことがある。処理装置による入力データの処理は、オペレータコマンドに応答すること、以前の処理結果に応答すること、あるいは別の処理装置が発した要求に応答することがある。
【0095】
本明細書で使用する場合、「ソフトウェア」と「ファームウェア」という用語は置き換え可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めコンピュータによって実行するためにメモリ内に保存された任意のコンピュータプログラムを含む。上述のメモリタイプは単に例示であり、またしたがってコンピュータプログラムの保存に使用可能なメモリのタイプを限定するものではない。
【0096】
上の記述は例示であって限定でないことを理解されたい。例えば上述の実施形態(及び/または、その態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、具体的な状況や材料を様々な実施形態の教示に適応させるようにその趣旨を逸脱することなく多くの修正を実施することができる。本明細書内に記載した材料の寸法及びタイプが様々な実施形態のパラメータを規定するように意図していても、これらの実施形態は決して限定ではなく実施形態の例示である。上の記述を検討することにより当業者には別の多くの実施形態が明らかとなろう。様々な実施形態の範囲はしたがって、添付の特許請求の範囲、並びに本請求範囲が規定する等価物の全範囲を参照しながら決定されるべきである。添付の特許請求の範囲では、「を含む(including)」や「ようになった(in which)」という表現を「を備える(comprising)」や「であるところの(wherein)」という対応する表現に対する平易な英語表現として使用している。さらに添付の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」及び「第3の」その他の表現を単にラベル付けのために使用しており、その対象に対して数値的な要件を課すことを意図したものではない。さらに、添付の特許請求の範囲の限定は手段プラス機能形式で記載しておらず、また35 U.S.C.§112、第6パラグラフに基づいて解釈されるように意図したものでもない(ただし、本特許請求の範囲の限定によって「のための手段(means for)」の表現に続いて追加的な構造に関する機能排除の記述を明示的に用いる場合を除く)。
【0097】
この記載では、様々な実施形態(最適の形態を含む)を開示するため、並びに当業者による任意のデバイスやシステムの製作と使用及び組み込んだ任意の方法の実行を含む様々な実施形態の実施を可能にするために例を使用している。この様々な実施形態の特許性のある範囲は本特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、その例が本特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、その例が本特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、本特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。
【符号の説明】
【0098】
100 超音波システム
102 探触子
104 トランスジューサ素子
106 フロントエンド
108 送信器/受信器
110 ケーブル
112 データバス
114 バックエンド
116 プロセッサ
200 ビーム形成器
202 導電経路
204 送信器
206 受信器
208 ADC
210 復調器
212 メモリ
214 表示デバイス
216 ユーザインタフェース
218 外部メモリ
220 信号発生器
300 方法
400 チャンネル
402 チャンネル
404 チャンネル
406 チャンネル
408 トランスジューサ素子
410 トランスジューサ素子
412 トランスジューサ素子
414 トランスジューサ素子
416 試験信号
418 クロストーク信号
420 クロストーク信号
422 タイムラグ
424 タイムラグ
426 チャンネル
428 チャンネル
430 チャンネル
432 チャンネル
500 方法
600 パルス源
602 試験パルス
604 角度
606 超音波データ
608 超音波データ
610 超音波データ
612 超音波データ
614 クロストーク信号
616 クロストーク信号
618 クロストーク信号
620 クロストーク信号
702 試験パルス
704 角度
706 超音波データ
708 超音波データ
710 超音波データ
712 超音波データ
714 クロストーク信号
716 クロストーク信号
718 クロストーク信号
720 クロストーク信号
800 超音波プロセッサモジュール
802 超音波制御器
804 超音波データ
806 サブモジュール
808 サブモジュール
810 サブモジュール
812 サブモジュール
814 サブモジュール
816 サブモジュール
818 サブモジュール
820 カラーフローデータ
822 パワードプラデータ
824 Bモードデータ
826 スペクトルドプラデータ
828 Mモードデータ
830 ARFIデータ
832 組織ドプラデータ
834 メモリ
836 変換器サブモジュール
838 超音波画像フレーム
840 バス
842 プロセッササブモジュール
844 画像フレーム
846 サブモジュール
900 超音波システム
902 探触子
904 トランスジューサ素子
906 ユーザインタフェース
908 一体型表示デバイス
910 外部デバイス
912 有線式またはワイヤレス式ネットワーク
1000 超音波撮像システム
1002 表示デバイス
1004 ユーザインタフェース
1006 超音波探触子
1008 医用画像
1010 タイプライタ様キーボード
1012 ボタン
1014 マルチ機能制御子
1016 ラベル表示エリア
1018 制御子
1020 ラベル
1022 テキスト表示エリア
1100 超音波撮像システム
1102 台座
1104 表示デバイス
1106 ユーザインタフェース
1108 制御ボタン
1110 キーボード
1112 トラックボール
1114 マルチ機能制御子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波データを補正するための方法(300、500)であって、
導電経路(202)を含む複数のチャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)と関連付けさせた複数のトランスジューサ素子(104)を有する超音波探触子(102)を用いて超音波データを収集するステップと、
前記チャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)の導電経路(202)に沿って受信済み超音波信号として前記超音波データを伝送するステップと、
前記チャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)に沿った受信超音波信号の伝送とトランスジューサ素子(104)のうちの1つまたは幾つかの振動のうちの少なくとも一方によってチャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)のうちの1つまたは幾つかの中に発生するクロストーク信号を決定するステップと、
を含む方法(300、500)。
【請求項2】
超音波探触子(102)から超音波パルスを送信し、続いて収集される1つまたは複数の超音波信号を受信し、かつ該続いて収集される超音波信号のうちの1つまたは幾つかをクロストーク信号に基づいて修正するステップをさらに含む請求項1に記載の方法(300、500)。
【請求項3】
チャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)の誘導元チャンネル(430)は超音波信号の伝送に基づいてチャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)の異なる誘導先チャンネル(428、432)上にクロストーク信号を生成しており、該誘導元チャンネル(430)と該誘導先チャンネル(428、432)とは電気的に分離した導電経路(202)を有する別々のチャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)を含む、請求項1に記載の方法(300、500)。
【請求項4】
前記決定のステップは、チャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)の誘導元チャンネル(430)に沿って試験信号を送信すると共に該チャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)の誘導先チャンネル(428、432)内に生成されるクロストーク信号を特定することによってクロストーク信号を電気的に決定するステップであって、該誘導元と該誘導先チャンネル(428、430、432)は電気的に分離したチャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)である決定ステップを含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項5】
身体の撮像のために超音波探触子(102)から超音波パルスを送信するステップをさらに含んでおり、前記クロストーク信号の電気的な決定は超音波パルスの複数の送信の間に実施している、請求項4に記載の方法(300)
【請求項6】
超音波エコーを収集すること及び該超音波エコーに基づいて超音波信号を送信することを行うように構成された超音波探触子(102)と、
超音波信号を伝送するように構成された導電経路(202)を含んだ、前記超音波探触子(102)と関連付けさせた複数のチャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)と、
前記チャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)と通信可能に結合させたプロセッサ(116)であって、チャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)を監視し導電経路(202)に沿った超音波信号の伝送によってチャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)の導電経路のうちの1つまたは幾つかの上に誘導されるクロストーク信号を決定しているプロセッサ(116)と、
を備える超音波システム(100)。
【請求項7】
前記超音波探触子(102)は超音波パルスを送信し続いて収集される1つまたは複数の超音波信号を受信するように構成されており、前記プロセッサ(116)は該続いて収集される超音波信号のうちの1つまたは幾つかをクロストーク信号に基づいて修正するように構成されている、請求項6に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記複数のチャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)は誘導元チャンネル(430)と別の誘導先チャンネル(428、432)とを含んでおり、該誘導元チャンネル(430)に沿った超音波信号のうちの1つまたは幾つかの伝送によって誘導元チャンネル(430)は該誘導先チャンネル(428、432)上にクロストーク信号を生成している、請求項6に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記チャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)のうちの1つまたは幾つかの上に試験信号を注入するように構成された信号発生器(220)をさらに備えており、前記プロセッサ(116)は、チャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)を監視し試験信号によってチャンネルのうちの1つまたは幾つかの上に誘導されるクロストーク信号を決定することによってクロストーク信号を電気的に決定している、請求項6に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記プロセッサ(116)は、外部で生成された超音波パルスを超音波探触子が受信した後にチャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)を監視し該外部生成の超音波パルスによってチャンネル(402、404、406、408、426、428、430、432)のうちの1つまたは幾つかの上に誘導されるクロストーク信号を決定することによってクロストーク信号を音響学的に決定している、請求項6に記載のシステム(100)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−110699(P2012−110699A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250222(P2011−250222)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】