超音波データ処理装置
【課題】トレースラインの形成においてユーザ操作を支援する装置を提供する。
【解決手段】マニュアルトレース用参照断面58内に設定されたトレースガイドTGが破線で示されている。トレースガイドTGは、既に完了した1枚目のマニュアルトレースに基づいた立体的な輪郭情報から得られる。そこで、ユーザは、2枚目のマニュアルトレース用参照断面58に対して、トレースガイドTGを参照しつつ、そのマニュアルトレース用参照断面58内の対象組織の断層画像を確認しながら、対象組織の輪郭に対応したトレースラインTLを描画する。ユーザは、トレースラインTLを全て描画してもよいし、トレースガイドTGの一部をそのままトレースラインTLとして残りの一部を修正してトレースラインTLとしてもよいし、トレースガイドTGをそのままトレースラインTLとしてもよい。
【解決手段】マニュアルトレース用参照断面58内に設定されたトレースガイドTGが破線で示されている。トレースガイドTGは、既に完了した1枚目のマニュアルトレースに基づいた立体的な輪郭情報から得られる。そこで、ユーザは、2枚目のマニュアルトレース用参照断面58に対して、トレースガイドTGを参照しつつ、そのマニュアルトレース用参照断面58内の対象組織の断層画像を確認しながら、対象組織の輪郭に対応したトレースラインTLを描画する。ユーザは、トレースラインTLを全て描画してもよいし、トレースガイドTGの一部をそのままトレースラインTLとして残りの一部を修正してトレースラインTLとしてもよいし、トレースガイドTGをそのままトレースラインTLとしてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を送受して得られた超音波データを処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波ビームを走査することにより収集される三次元データを利用した超音波技術が知られている。例えば、特許文献1には、対象組織を含む三次元空間内から収集されたボリュームデータに基づいて対象組織の輪郭を三次元的に特定する技術が記載されている。これにより、例えば、対象組織の体積などを算出することが可能になる。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、三次元データ空間内に、複数の自動トレース参照断面と、複数のマニュアルトレース参照断面が設定される。そして、各マニュアルトレース参照断面内において、ユーザ操作に応じて対象組織の輪郭を示すマニュアルトレースラインが形成される。さらに、複数のマニュアルトレース参照断面に形成されたマニュアルトレースラインに基づいて、各自動トレース参照断面内に補間処理などによりトレースラインが形成される。こうして、三次元データ空間内に形成された多数のトレースラインに基づいて対象組織の輪郭が三次元的に特定される。
【0004】
特許文献1に記載された技術では、例えば二値化処理などにより対象組織の輪郭を正確に抽出することが困難な場合においても、ユーザ操作に応じて、例えばユーザの目視による判断に応じて、対象組織の輪郭を比較的正確に特定することができる。また、特許文献1に記載された技術では、ユーザ操作に応じて形成されたマニュアルトレースラインをさらに自動修正することにより、極めて高い精度で対象組織の輪郭を抽出することが可能とされている。
【0005】
ユーザ操作を必要とする処理においては、例えば、ユーザの負担を小さくすることが望ましく、また、最終的に得られるトレースラインの精度も高いことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−142519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した背景技術に鑑み、本願の発明者は、ユーザ操作に応じたトレースラインの形成について研究開発を重ねてきた。
【0008】
本発明は、その研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、トレースラインの形成においてユーザ操作を支援する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的にかなう好適な超音波データ処理装置は、対象物を含む三次元空間に対して超音波を送受することにより得られた超音波データを処理する超音波データ処理装置において、三次元的に配列された超音波データで構成される三次元データ空間内に、複数の手動トレース断面を設定するトレース断面設定部と、各手動トレース断面内に、ユーザの操作に応じて、対象物の輪郭に対応したトレースラインを形成するトレースライン形成部と、既にトレースラインが形成された手動トレース断面に基づいて、前記三次元データ空間内における対象物の立体的な輪郭情報を生成する輪郭情報生成部と、後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に、前記輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドを形成するトレース補助部と、を有し、前記トレースライン形成部は、トレースガイドが形成された手動トレース断面内に当該トレースガイドを参照したユーザの操作に応じてトレースラインを形成することを特徴とする。
【0010】
上記の好適な態様によれば、後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドが形成され、ユーザがそのトレースガイドを参照しつつトレースラインを形成するため、トレースガイドが無い場合に比べて、ユーザ操作の負担が軽減される。また、トレースガイドが無い場合に比べて、トレースラインの精度の向上も期待される。
【0011】
なお、超音波データ処理装置の好適な具体例の一つは超音波診断装置であるが、コンピュータなどにより超音波データ処理装置が実現されてもよい。
【0012】
望ましい具体例において、前記トレースライン形成部は、ユーザの操作に応じてトレースガイドの形状を修正して修正後のトレースガイドをトレースラインとする、ことを特徴とする。
【0013】
望ましい具体例において、前記輪郭情報生成部は、トレースラインが形成される度に手動トレース断面の枚数を増やしつつ、既にトレースラインが形成された手動トレース断面に基づいて最新の輪郭情報を生成し、前記トレース補助部は、後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に、最新の輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドを形成する、ことを特徴とする。
【0014】
望ましい具体例において、前記最新の輪郭情報を示した表示画像を形成する画像形成部をさらに有し、当該表示画像を介して最新の輪郭情報の適否がユーザにより判断され、そのユーザの判断に応じて前記トレース断面設定部が手動トレース断面を追加する、ことを特徴とする。
【0015】
望ましい具体例において、前記三次元データ空間内に確認断面を設定する確認断面設定部をさらに有し、前記画像形成部は、当該確認断面内に前記最新の輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像を形成する、ことを特徴とする。
【0016】
望ましい具体例において、前記確認断面設定部は、三次元データ空間内で複数の手動トレース断面のいずれかに対して実質的に平行になるように確認断面を動かし、前記画像形成部は、動かされる確認断面の各位置において前記最新の輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像を形成する、ことを特徴とする。
【0017】
望ましい具体例において、前記確認断面内で指定された修正点に基づいて、その修正点を含む断面が特定され、その断面内においてトレースラインが修正される、ことを特徴とする。
【0018】
望ましい具体例において、前記確認断面内で輪郭情報が修正され、その修正の影響を受ける断面が特定され、輪郭情報の修正がその断面内のトレースラインに反映される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によりトレースラインの形成においてユーザ操作を支援する装置が提供される。例えば、本発明の好適な態様によれば、後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドが形成され、ユーザがそのトレースガイドを参照しつつトレースラインを形成するため、トレースガイドが無い場合に比べて、ユーザ操作の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。
【図2】ボリュームデータに対する基準断面の設定を説明するための図である。
【図3】参照断面列の設定を説明するための図である。
【図4】自動トレース処理を説明するための図である。
【図5】組織抽出部の内部構成を示す図である。
【図6】トレースガイドを参照したトレースライン形成を説明するための図である。
【図7】確認断面の具体例1を示す図である。
【図8】確認断面の具体例2を示す図である。
【図9】輪郭情報の修正例1を示す図である。
【図10】輪郭情報の修正例2を示す図である。
【図11】確認断面の他の具体例を示す図である。
【図12】立体的な輪郭情報を得る際の補間処理を説明するための図である。
【図13】互いに異なる補間処理の併用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る超音波データ処理装置の好適な具体例の一つは超音波診断装置である。図1は、本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。この超音波診断装置は医療の分野において用いられ、特に生体内における対象組織を抽出し、その体積を演算する機能を有している。対象組織としては、胎盤、悪性腫瘍、胆嚢、甲状腺等を挙げることができる。
【0022】
図1において、3Dプローブ10は、例えば体表面上に当接して用いられあるいは体腔内に挿入して用いられる超音波送受波器である。本実施形態において、3Dプローブ10は2Dアレイ振動子を有している。2Dアレイ振動子は第一方向及び第二方向に整列した複数の振動素子によって構成されるものである。2Dアレイ振動子により超音波ビームが形成され、その超音波ビームは二次元走査される。これにより三次元空間としての三次元エコーデータ取込空間が形成される。具体的には、その三次元空間は複数の走査面の集合体として構成され、各走査面は超音波ビームを一次元走査することによって構成される。2Dアレイ振動子に代えて、1Dアレイ振動子を機械的に走査することによって、上記同様の三次元空間を形成することも可能である。
【0023】
送信部12は送信ビームフォーマーとして機能する。送信部12は所定の遅延関係をもって複数の送信信号を上記2Dアレイ振動子に対して供給する。これによって送信ビームが形成される。生体内からの反射波は2Dアレイ振動子によって受波され、これによってその2Dアレイ振動子から複数の受信信号が受信部14に対して出力される。受信部14は複数の受信信号に対して整相加算処理を実行し、これによって整相加算後の受信信号(ビームデ−タ)を出力する。その受信信号に対しては所定の信号処理が施され、例えば検波、対数変換処理などが施され、信号処理後の受信信号であるビームデータが3Dデータメモリ16に格納される。
【0024】
3Dデータメモリ16は、生体内の送受波空間である三次元空間に相当する三次元記憶空間を有している。3Dデータメモリ16の書き込みあるいは読み出しに際して各データに対する座標変換が実行される。本実施形態においては、3Dデータメモリ16の書き込み時に、送受波座標系から記憶空間座標系への座標変換が実行される。これによって、後に説明するようにボリュームデータが構成される。ボリュームデータは、複数の走査面に相当する複数のフレームデータ(スライスデータ)の集合体であり、各フレームデータは複数のビームデータからなるものである。各ビームデータは深さ方向に整列した複数のエコーデータからなるものである。ちなみに、この3Dデータメモリ16以降の各構成については専用ハードウェアとして構成することも可能であるし、ソフトウェアの機能として実現することも可能である。例えば、3Dデータメモリ16以降の各構成をコンピュータ内で実現させてもよい。
【0025】
三次元画像形成部18は、3Dデータメモリ16に格納されたボリュームデータに基づいて、例えばボリュームレンダリング法に基づく画像処理を実行し、これによって三次元超音波画像を構成する。その画像データは表示処理部26に送られる。任意断層画像形成部20は、ユーザによって設定された三次元空間内の任意断面に対応する断層画像を形成するものである。その場合において3Dデータメモリ16内における任意断面に相当するデータアレイが読み出され、それらに基づいて任意断層画像としてのBモード画像が形成される。その画像データは表示処理部26に送られる。
【0026】
組織抽出部22は、特許文献1(特開2008−142519号公報)に詳述されるトレース処理により、三次元空間内あるいはボリュームデータ内に存在する対象組織(対象組織データ)を抽出するものである。この場合においては、マニュアルトレース処理と補間処理とが併用されており、また、それぞれの処理結果に対する自動修正処理が利用されている。さらに、本実施形態において、組織抽出部22は、ユーザに対する負担とトレースラインに関する精度の両面において好適な処理を実行する。組織抽出部22における処理については後に詳述する。抽出された対象組織データは表示処理部26に送られ、対象組織の画像表示に利用される他、体積演算部24にも送られている。
【0027】
この体積演算部24は、例えばDisk Summation法等の体積演算法により、対象組織の体積を求めるモジュールである。すなわち、組織抽出部22により、対象組織の全体にわたって複数の閉ループとしてのトレースライン列が構成されるため、それらのトレースラインに基づいて対象組織の体積値を近似的に算出するものである。その場合においては各閉ループ間すなわち各断面間の距離も利用される。演算された体積値のデータは表示処理部26へ送られる。体積演算法としてAverage Rotation法等を利用してもよい。
【0028】
上記の三次元画像形成部18、任意断層画像形成部20及び組織抽出部22等の各モジュールは、ユーザによって選択された動作モードに応じて機能し、表示処理部26にはそれぞれのモードに対応するデータが入力される。表示処理部26は、入力されるデータに対して画像合成処理や色付け処理などの処理を施し、その結果であるデータを表示部28に出力する。表示部28には、選択された動作モードに応じて、三次元超音波画像、任意断層画像、抽出された組織の三次元画像、体積値等が表示される。ちなみに、三次元空間全体の三次元画像と対象組織の三次元画像とを合成して表示することも可能である。
【0029】
制御部30は、図1に示される各構成の動作制御を行っており、特に入力部32によってユーザにより設定されたパラメータに基づいて、上述した組織抽出処理及び体積演算の動作を制御している。また、制御部30は、3Dデータメモリ16へのデータ書き込み制御等を担っている。入力部32は、キーボードやトラックボールなどを有する操作パネルによって構成されるものである。制御部30はCPU及び動作プログラムなどによって構成されるものである。単一のCPUが三次元画像処理、任意断層画像形成処理、組織抽出処理及び体積演算を実行するようにしてもよい。
【0030】
次に、本実施形態における対象組織の抽出処理を具体的に説明する。但し、既に図1に示した構成(部分)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。図1の超音波診断装置は、特許文献1に記載されたトレース処理を実行する。そのトレース処理については、特許文献1に詳述されているとおりであるが、以下にその概要を説明する。
【0031】
まず、3Dプローブ10を用いて三次元的にデータが収集され、3Dデータメモリ16内にボリュームデータが構築される。そして、表示部28に、ボリュームデータから得られる任意断層画像を表示させながら、例えばユーザ操作に応じてその断面の位置が適宜調整されて基準断面が設定される。
【0032】
図2は、ボリュームデータに対する基準断面の設定を説明するための図である。この設定においては、対象組織42の全体が断面として表れるように、例えばこの断面が最大となるように基準断面46の位置決めを行うのが望ましい。ただし、後に説明するように断面セットとしての参照断面列が設定されるため、基準断面46はそのような参照断面列が対象組織42の全体をカバーするように設定されれば充分である。
【0033】
基準断面46が設定されると、その基準断面46に対応した断層画像、つまり対象組織42の断層像を含んだ断層画像が表示され、その断層画像上において、対象組織42について両端の点がユーザにより設定される。さらにそれら両点を結ぶ直線として、基準線54が設定される。基準線54が設定されると、三次元空間に相当するボリュームデータ44に対して参照断面列が設定される。
【0034】
図3は、参照断面列の設定を説明するための図である。参照断面列56は、基準線(図2の符号54)に直交する複数の断面として構成される。すなわち、それは、基準線の設定に利用された一方の点から他方の点までにわたって等間隔あるいは非等間隔で複数の断面を並べたものに相当する。ここで、参照断面列56は、少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60とで構成される。マニュアルトレース用参照断面58は、予め定められた個数だけ形成されており、その個数はnである。例えば1〜10程度の範囲内にnの値が定められる。マニュアルトレース用参照断面58は代表断面に相当するものであり、その代表断面についてのみマニュアルトレースが行われるので、ユーザの負担を大幅に軽減できる。一方、個々の自動トレース用参照断面60については補間処理により自動トレースが実行される。
【0035】
マニュアルトレースの際には、少なくとも一枚の(n枚の)マニュアルトレース用参照断面58に対応したn枚の断層画像が表示部28に表示される。この場合において、一枚ずつ断層画像を表示させてもよいし、複数の断層画像を並べて同時に表示するようにしてもよい。そして、各断層画像に対してマニュアルトレース処理が実行される。すなわち、ユーザが画像を観察しながら入力部32を用いて各断層画像内に対象組織の輪郭に対応したトレースラインを形成する。
【0036】
マニュアルトレースラインが形成されると、各マニュアルトレース用参照断面58ごとに、特許文献1に詳述されるマニュアルトレースラインの自動的な修正処理が実行される。つまり、マニュアルトレースライン上の個々のポイントごとにその周辺に対してエッジ検出処理が実行され、エッジが検出されたポイントについてはエッジ上の位置に当該ポイントをシフトさせる処理が実行される。ただし、エッジが検出されないような場合にはマニュアルトレース結果がそのまま保存される。こうして、各マニュアルトレースラインに修正処理が実行されると、複数の自動トレース用参照断面60に対して自動トレース処理が実行される。
【0037】
図4は、自動トレース処理を説明するための図である。自動トレース処理では、複数のマニュアルトレース用参照断面58上に形成された、修正処理後の複数のマニュアルトレースラインである複数の複合トレースライン68が基準とされ、それらを基礎として補間処理を行うことにより、複数の閉ループを面状に繋ぎ合わせたものとしてトレース面70が構成される。この場合、完全なる三次元的な曲面を定義する必要はないが、少なくとも個々の自動トレース用参照断面60について、補間トレースライン(自動トレースライン)が定義できるように補間処理を実行する。ここで、マニュアルトレース用参照断面58が基準線上に一枚のみ設定された場合には、対象組織の両端点との間で上述した補間処理を実行する。マニュアルトレース用参照断面58が複数枚設定された場合にも、端点に最も近接する断面については、上記と同様に端点との間で上述した補間処理を実行する。
【0038】
また、各自動トレース用参照断面60ごとに、特許文献1に詳述される補間トレースライン(自動トレースライン)の自動的な修正処理が実行される。つまり、補間トレースライン上の個々のポイントごとにその周辺に対してエッジ検出処理が実行され、エッジが検出されたポイントについてはエッジ上の位置に当該ポイントをシフトさせる処理が実行される。ただし、エッジが検出されないような場合には自動トレース結果がそのまま保存される。
【0039】
こうして、図4に示されるように、対象組織の形態に沿って包み込んだトレース面70が形成され、対象組織を三次元的に抽出することができる。そして、抽出された対象組織の三次元画像が表示され、また、三次元的に抽出された対象組織の体積値が演算されてその体積値が表示される。
【0040】
さらに、本実施形態では、ユーザに対する負担とトレースラインに関する精度の両面において好適な処理も実行する。これにより、例えば、ユーザに対する負担を軽減しつつトレースラインに関する精度を向上させることができる。その処理について説明する。
【0041】
図5は、組織抽出部22の内部構成を示す図である。組織抽出部22は、上述した組織抽出処理と以下に詳述する処理を実現するために、トレース断面設定部221とトレースライン形成部222と輪郭情報生成部223とトレースガイド形成部224と確認断面設定部225とトレースライン修正部226を備えている。図5に示した構成(部分)については図5の符号を利用しつつ、組織抽出部22における処理について説明する。
【0042】
トレース断面設定部221は、三次元的に配列された超音波データ(ビームデータ)で構成されるボリュームデータ内において、図3に示したように、対象組織42に対して少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60を設定する。
【0043】
そして、トレースライン形成部222は、各マニュアルトレース用参照断面58内にユーザ操作に応じて、以下に詳述する手順に従って対象組織の輪郭に対応したマニュアルトレースライン(手動トレースライン)を形成する。
【0044】
まず、最初のマニュアルトレース用参照断面58に対して、ユーザはその断面内の画像を観察しながら入力部32を操作して対象組織の輪郭に対応したトレースラインを形成する。この最初の(1枚目の)マニュアルトレースが完了すると、輪郭情報生成部223は、その1枚目のマニュアルトレース用参照断面58と、対象組織の両端点、つまり図2の基準線54の両端点との間で補間処理を実行し、立体的な輪郭情報として、図4に示すトレース面70を生成する。
【0045】
続いて、トレース断面設定部221により、次の(2枚目の)マニュアルトレース用参照断面58が設定され、トレースガイド形成部224は、その2枚目のマニュアルトレース用参照断面58内に、トレース面70の断面に対応したトレースガイドを形成する。そして、トレースライン形成部222は、トレースガイドが形成されたマニュアルトレース用参照断面58内に、そのトレースガイドを参照したユーザの操作に応じてトレースラインを形成する。
【0046】
図6は、トレースガイドを参照したトレースライン形成を説明するための図であり、図6には、マニュアルトレース用参照断面58内に設定されたトレースガイドTGが破線で示されている。もちろん、トレースガイドTGは破線以外の態様で表示されてもよい。トレースガイドTGは、既に完了した1枚目のマニュアルトレースに基づいた立体的な輪郭情報(トレース面70)から得られるものであるため、完全に正確な輪郭とは限らないものの、対象組織の輪郭に近い形状となる。
【0047】
そこで、ユーザは、2枚目のマニュアルトレース用参照断面58に対して、トレースガイドTGを参照しつつ、そのマニュアルトレース用参照断面58内の対象組織の断層画像を確認しながら、対象組織の輪郭に対応したトレースラインTLを描画する。ユーザは、トレースラインTLを全て描画してもよいし、トレースガイドTGの一部をそのままトレースラインTLとして残りの一部を修正してトレースラインTLとしてよいし、トレースガイドTGをそのままトレースラインTLとしもよい。
【0048】
なお、トレースガイドTGの少なくとも一部を修正するのであれば、トレースガイドTG上に修正用の複数のハンドル点を設けて、ユーザがそのハンドル点をポインタ等により移動させて、修正のための操作を容易にする構成が望ましい。これにより、例えば図6に示すように、トレースガイドTGの一部が修正されたトレースラインTLが形成される。
【0049】
そして、2枚目のマニュアルトレースが完了すると、輪郭情報生成部223は、1枚目と2枚目のマニュアルトレース用参照断面58と、対象組織の両端点との間で補間処理を実行し、最新のトレース面70(図4)を生成する。さらに、トレースガイド形成部224は、3枚目のマニュアルトレース用参照断面58内に、最新のトレース面70の断面の境界に対応したトレースガイドを形成し、トレースライン形成部222は、そのトレースガイドを参照したユーザの操作に応じて、3枚目のマニュアルトレース用参照断面58内にトレースラインを形成する。
【0050】
輪郭情報生成部223は、トレースラインが形成される度にマニュアルトレース用参照断面58の枚数を増やしつつ、既にトレースラインが形成されたマニュアルトレース用参照断面58に基づいて最新のトレース面70を生成する。また、トレースガイド形成部224は、次にトレースラインが形成されるマニュアルトレース用参照断面58内に、最新のトレース面70を二次元的に反映させたトレースガイドを形成する。
【0051】
これにより、常に最新のトレース面70に基づいて、つまり、その時点で最も精度が高いことが予想される対象組織の輪郭に基づいて、トレースガイドが形成され、そのトレースガイドを参照しながら、ユーザはトレースラインを形成することができる。
【0052】
なお、マニュアルトレース用参照断面58は、予め装置に設定された枚数まで順にマニュアルトレースされてもよいし、予め枚数を設定せずに、ユーザが納得する枚数まで順にマニュアルトレースされてもよい。ユーザが納得するまでマニュアルトレースを行う場合には、各段階における暫定的な輪郭情報を表示するなどしてユーザに確認させることが望ましい。例えば、立体的な輪郭情報(図4のトレース面70)が最新のものに更新される度に、最新の輪郭情報に関する三次元画像や直交三断面などが表示される。そして、ユーザがその輪郭情報を適切であると判断するまで、トレース断面設定部221によりマニュアルトレース用参照断面58の枚数が追加され、トレースライン形成部222を介してマニュアルトレース用参照断面58内にマニュアルトレースが形成される。
【0053】
ちなみに、1枚目のマニュアルトレース用参照断面58は、対象組織の中心付近に設定され、2枚目以降のマニュアルトレース用参照断面58がその中心付近から左右に適度な間隔を伴ってバランスよく追加されることが望ましい。
【0054】
さらに、輪郭情報を確認するために、確認断面設定部225が設定する確認断面が利用されてもよい。確認断面設定部225は、三次元データ空間(ボリュームデータ)内に確認断面を設定する。そして、表示処理部26(図1)は、確認断面内に最新の輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像を形成し、その表示画像が表示部28(図1)に表示されてユーザにより確認される。
【0055】
図7は、確認断面CSの具体例1を示す図である。図7には、ボリュームデータ内に設定された参照断面列が示されている。トレース断面設定部221(図5)により、ボリュームデータ内において、対象組織42に対して、少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60が設定される。
【0056】
確認断面設定部225(図5)は、複数の参照断面列、つまり少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60に対して平行になるように、確認断面CSを設定し、複数の参照断面に対して平行になるように確認断面CSを移動させる。そして、移動される確認断面CSの各位置において、対象組織42の最新の輪郭情報(図4のトレース面70)を二次元的に反映させた表示画像が形成される。
【0057】
これにより、例えば、確認断面CSを対象組織42の一端から他端まで移動させつつ、各移動位置において、対象組織42の実際の輪郭と輪郭情報(図4のトレース面70)とに乖離が有るか否かをユーザが目視で確認することが可能になる。なお、その確認において乖離があると判断した場合には、その確認断面CSの位置において新たにマニュアルトレース用参照断面58を追加し、その断面に反映された輪郭情報をトレースガイドとしつつ、ユーザが正確なマニュアルトレースラインを形成し、さらに新しい輪郭情報(図4のトレース面70)が形成される。
【0058】
図8は、確認断面CSの具体例2を示す図である。図7と同様に、図8には、ボリュームデータ内に設定された参照断面列(少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60)が示されている。
【0059】
図8において、確認断面CSは、ユーザが望む任意の位置と方向に設定されている。例えば、対象組織42の三次元画像が表示され、ユーザがその画像を確認しながら、確認断面CSの位置と方向を設定する。そして、設定された確認断面CS内に最新の輪郭情報(図4のトレース面70)を二次元的に反映させた表示画像が表示され、対象組織42の実際の輪郭と輪郭情報とに乖離が有るか否かをユーザが目視で確認する。そして、その確認において乖離があると判断した場合には、参照断面列に含まれる断面内において輪郭情報が修正されてもよいし、確認断面CS内で輪郭情報が修正されてもよい。
【0060】
図9は、輪郭情報の修正例1を示す図である。図9(1)には、図8の確認断面CSが示されている。その確認断面CS内には、輪郭情報(図4のトレース面70)を二次元的に反映させた輪郭画像が実線で示されており、さらに、確認断面CSと交差する複数の参照断面、つまり少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60(図8参照)が破線で示されている。
【0061】
確認断面CS内において、輪郭情報から得られる輪郭画像が実線で示される形状であるものの、確認断面CSに映し出される対象組織の画像から判断される輪郭が一点鎖線である場合、ユーザにより確認断面CS内に修正すべき点Aが指定される。点Aが指定されると、その点Aを含んだ参照断面が特定される。
【0062】
図9(2)には、確認断面CSに設定された点Aを含む参照断面が示されている。その参照断面内には、輪郭情報(トレース面70)を二次元的に反映させた輪郭画像が実線で示されており、さらに、確認断面CSが破線で示されている。そして、図9(2)に示す参照断面内において輪郭画像が修正される。つまり、参照断面に映し出される対象組織の画像から判断される輪郭が一点鎖線である場合、ユーザにより点Aにおける輪郭箇所が一点鎖線の位置に移動される。
【0063】
これにより、図9(3)に示すように、点Aにあった輪郭箇所が本来の輪郭箇所に移動され、さらに、その移動に追従するように点Aの近傍において輪郭が修正される。もちろん、本来の輪郭箇所に沿ってユーザが輪郭(トレースライン)を描画してもよい。そして修正された輪郭をトレースラインとして、新しい輪郭情報(トレース面70)が形成される。
【0064】
図10は、輪郭情報の修正例2を示す図である。図10(1)には、図9(1)と同じ確認断面CSが示されている。その確認断面CS内には、輪郭情報を二次元的に反映させた輪郭画像が実線で示されており、さらに、確認断面CSと交差する複数の参照断面、つまり少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60が破線で示されている。
【0065】
図10に示す修正例2では、確認断面CS内において輪郭画像が修正される。つまり、確認断面CS内において、輪郭情報から得られる輪郭画像が実線で示される形状であるものの、確認断面CSに映し出される対象組織の画像から判断される輪郭が一点鎖線である場合、ユーザにより確認断面CS内に修正すべき点Aが指定され、ユーザにより点Aにおける輪郭箇所が一点鎖線の位置に修正される。そして、その修正の影響を受ける参照断面が特定される。例えば点Aを含んだ参照断面が特定される。
【0066】
図10(2)には、確認断面CSに設定された点Aを含む参照断面が示されている。その参照断面内には、輪郭情報(トレース面70)を二次元的に反映させた輪郭画像が実線で示されており、さらに、確認断面CSが破線で示されている。そして、図10(2)に示す参照断面内に輪郭画像の修正が反映される。例えば、図10(1)の確認断面CSに対する修正により、点Bと点Cを通る一点鎖線の位置に輪郭が修正されると、図10(2)の参照断面にその修正が反映され、これにより、図10(3)に示すように、点Bと点Cを通る一点鎖線の位置に輪郭が修正される。そして修正された輪郭をトレースラインとして、新しい輪郭情報(図4のトレース面70)が形成される。
【0067】
なお、確認断面CSの具体例は、図7や図8の例に限定されない。参照断面の配列状態に応じて適切な確認断面CSを設定することが望ましい。
【0068】
図11は、確認断面CSの他の具体例を示す図である。図11(A)において、複数の参照断面(少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60)は、基準軸Axにおいて互いに交差するように設定されている。なお、基準軸Axは、例えば、対象組織の一端側から他端側に向かって対象組織を貫くように設定される。そして、図11(A)においては、確認断面CSが基準軸Axを回転軸として回転され、確認断面CSの各回転位置において、輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像が形成される。
【0069】
また、図11(B)においては、基準軸Axにおいて互いに交差するように設定された複数の参照断面(少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60)に対して、ユーザが望む任意の位置と方向に確認断面CSが設定されている。そして、設定された確認断面CS内に輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像が形成される。
【0070】
次に、輪郭情報生成部223(図5)による補間処理について説明する。輪郭情報生成部223は、図4に示したように、複数のマニュアルトレース用参照断面58上に形成された複数のマニュアルトレースライン(複数の複合トレースライン68)を基準として補間処理を行うことにより、複数の閉ループを面状に繋ぎ合わせたトレース面70(立体的な輪郭情報)を生成する。
【0071】
図12は、立体的な輪郭情報を得る際の補間処理を説明するための図である。補間処理においては、複数のマニュアルトレース用参照断面58から得られる複数のマニュアルトレースラインが基準とされる。例えば、図12に示すように、複数のマニュアルトレースラインから得られる指定点A,B,C,D,・・・を対象として補間処理が行われ、これらの指定点を結ぶ補間曲線が形成される。
【0072】
(a)には、一点鎖線で示す補間曲線が複数の指定点を必ず通過することを重視した補間処理が示されている。補間処理のアルゴリズムとして、例えばスプラインを利用することにより(a)に示す補間処理を実現することができる。指定点は、ユーザが作成した複数のマニュアルトレースラインから得られるため、(a)はユーザが作成したマニュアルトレースラインを重視した補間処理と言える。
【0073】
一方(b)には、一点鎖線で示す補間曲線の波打ち軽減を重視した補間処理が示されている。補間処理のアルゴリズムとして、例えばベジエを利用することにより(b)に示す補間処理を実現することができる。(b)に示す補間処理によれば、例えば複数の指定点の位置が互いに大きくずれている場合においても、補間曲線が波打つように変動することを軽減することができる。
【0074】
このように、各補間処理にはその補間処理に特有の利点があるため、例えば、指定点の通過を重視した(a)の補間処理と、波打ち軽減を重視した(b)の補間処理のいずれかをユーザが選択できるようにしてもよい。もちろん、これらの補間処理が併用されてもよい。
【0075】
図13は、互いに異なる補間処理の併用例を示す図である。図13には、複数のマニュアルトレース用参照断面58が示されており、各マニュアルトレース用参照断面58内にマニュアルトレースラインが示されている。各マニュアルトレース用参照断面58内に形成されたマニュアルトレースラインには、実線で示される区間aと破線で示される区間bが含まれいる。
【0076】
そして、複数のマニュアルトレース用参照断面58から得られる複数のマニュアルトレースラインを基準とした補間処理において、区間aの部分については、指定点の通過を重視した補間処理が利用され、区間bの部分については、波打ち軽減を重視した補間処理が利用される。
【0077】
例えば、断層画像の確認において境界であることを確信できるトレースライン部分にユーザが区間aを指定し、それ以外のトレースライン部分を区間bとする。また、トレースラインの近傍において装置が対象組織の境界を探索し、近傍において境界が探索できた場合にはそのトレースライン部分を区間aとし、近傍において境界が探索できない場合にそのトレースライン部分を区間bとしてもよい。
【0078】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【符号の説明】
【0079】
22 組織抽出部、221 トレース断面設定部、222 トレースライン形成部、223 輪郭情報生成部、224 トレースガイド形成部、225 確認断面設定部、226 トレースライン修正部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を送受して得られた超音波データを処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波ビームを走査することにより収集される三次元データを利用した超音波技術が知られている。例えば、特許文献1には、対象組織を含む三次元空間内から収集されたボリュームデータに基づいて対象組織の輪郭を三次元的に特定する技術が記載されている。これにより、例えば、対象組織の体積などを算出することが可能になる。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、三次元データ空間内に、複数の自動トレース参照断面と、複数のマニュアルトレース参照断面が設定される。そして、各マニュアルトレース参照断面内において、ユーザ操作に応じて対象組織の輪郭を示すマニュアルトレースラインが形成される。さらに、複数のマニュアルトレース参照断面に形成されたマニュアルトレースラインに基づいて、各自動トレース参照断面内に補間処理などによりトレースラインが形成される。こうして、三次元データ空間内に形成された多数のトレースラインに基づいて対象組織の輪郭が三次元的に特定される。
【0004】
特許文献1に記載された技術では、例えば二値化処理などにより対象組織の輪郭を正確に抽出することが困難な場合においても、ユーザ操作に応じて、例えばユーザの目視による判断に応じて、対象組織の輪郭を比較的正確に特定することができる。また、特許文献1に記載された技術では、ユーザ操作に応じて形成されたマニュアルトレースラインをさらに自動修正することにより、極めて高い精度で対象組織の輪郭を抽出することが可能とされている。
【0005】
ユーザ操作を必要とする処理においては、例えば、ユーザの負担を小さくすることが望ましく、また、最終的に得られるトレースラインの精度も高いことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−142519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した背景技術に鑑み、本願の発明者は、ユーザ操作に応じたトレースラインの形成について研究開発を重ねてきた。
【0008】
本発明は、その研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、トレースラインの形成においてユーザ操作を支援する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的にかなう好適な超音波データ処理装置は、対象物を含む三次元空間に対して超音波を送受することにより得られた超音波データを処理する超音波データ処理装置において、三次元的に配列された超音波データで構成される三次元データ空間内に、複数の手動トレース断面を設定するトレース断面設定部と、各手動トレース断面内に、ユーザの操作に応じて、対象物の輪郭に対応したトレースラインを形成するトレースライン形成部と、既にトレースラインが形成された手動トレース断面に基づいて、前記三次元データ空間内における対象物の立体的な輪郭情報を生成する輪郭情報生成部と、後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に、前記輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドを形成するトレース補助部と、を有し、前記トレースライン形成部は、トレースガイドが形成された手動トレース断面内に当該トレースガイドを参照したユーザの操作に応じてトレースラインを形成することを特徴とする。
【0010】
上記の好適な態様によれば、後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドが形成され、ユーザがそのトレースガイドを参照しつつトレースラインを形成するため、トレースガイドが無い場合に比べて、ユーザ操作の負担が軽減される。また、トレースガイドが無い場合に比べて、トレースラインの精度の向上も期待される。
【0011】
なお、超音波データ処理装置の好適な具体例の一つは超音波診断装置であるが、コンピュータなどにより超音波データ処理装置が実現されてもよい。
【0012】
望ましい具体例において、前記トレースライン形成部は、ユーザの操作に応じてトレースガイドの形状を修正して修正後のトレースガイドをトレースラインとする、ことを特徴とする。
【0013】
望ましい具体例において、前記輪郭情報生成部は、トレースラインが形成される度に手動トレース断面の枚数を増やしつつ、既にトレースラインが形成された手動トレース断面に基づいて最新の輪郭情報を生成し、前記トレース補助部は、後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に、最新の輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドを形成する、ことを特徴とする。
【0014】
望ましい具体例において、前記最新の輪郭情報を示した表示画像を形成する画像形成部をさらに有し、当該表示画像を介して最新の輪郭情報の適否がユーザにより判断され、そのユーザの判断に応じて前記トレース断面設定部が手動トレース断面を追加する、ことを特徴とする。
【0015】
望ましい具体例において、前記三次元データ空間内に確認断面を設定する確認断面設定部をさらに有し、前記画像形成部は、当該確認断面内に前記最新の輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像を形成する、ことを特徴とする。
【0016】
望ましい具体例において、前記確認断面設定部は、三次元データ空間内で複数の手動トレース断面のいずれかに対して実質的に平行になるように確認断面を動かし、前記画像形成部は、動かされる確認断面の各位置において前記最新の輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像を形成する、ことを特徴とする。
【0017】
望ましい具体例において、前記確認断面内で指定された修正点に基づいて、その修正点を含む断面が特定され、その断面内においてトレースラインが修正される、ことを特徴とする。
【0018】
望ましい具体例において、前記確認断面内で輪郭情報が修正され、その修正の影響を受ける断面が特定され、輪郭情報の修正がその断面内のトレースラインに反映される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によりトレースラインの形成においてユーザ操作を支援する装置が提供される。例えば、本発明の好適な態様によれば、後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドが形成され、ユーザがそのトレースガイドを参照しつつトレースラインを形成するため、トレースガイドが無い場合に比べて、ユーザ操作の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。
【図2】ボリュームデータに対する基準断面の設定を説明するための図である。
【図3】参照断面列の設定を説明するための図である。
【図4】自動トレース処理を説明するための図である。
【図5】組織抽出部の内部構成を示す図である。
【図6】トレースガイドを参照したトレースライン形成を説明するための図である。
【図7】確認断面の具体例1を示す図である。
【図8】確認断面の具体例2を示す図である。
【図9】輪郭情報の修正例1を示す図である。
【図10】輪郭情報の修正例2を示す図である。
【図11】確認断面の他の具体例を示す図である。
【図12】立体的な輪郭情報を得る際の補間処理を説明するための図である。
【図13】互いに異なる補間処理の併用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る超音波データ処理装置の好適な具体例の一つは超音波診断装置である。図1は、本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。この超音波診断装置は医療の分野において用いられ、特に生体内における対象組織を抽出し、その体積を演算する機能を有している。対象組織としては、胎盤、悪性腫瘍、胆嚢、甲状腺等を挙げることができる。
【0022】
図1において、3Dプローブ10は、例えば体表面上に当接して用いられあるいは体腔内に挿入して用いられる超音波送受波器である。本実施形態において、3Dプローブ10は2Dアレイ振動子を有している。2Dアレイ振動子は第一方向及び第二方向に整列した複数の振動素子によって構成されるものである。2Dアレイ振動子により超音波ビームが形成され、その超音波ビームは二次元走査される。これにより三次元空間としての三次元エコーデータ取込空間が形成される。具体的には、その三次元空間は複数の走査面の集合体として構成され、各走査面は超音波ビームを一次元走査することによって構成される。2Dアレイ振動子に代えて、1Dアレイ振動子を機械的に走査することによって、上記同様の三次元空間を形成することも可能である。
【0023】
送信部12は送信ビームフォーマーとして機能する。送信部12は所定の遅延関係をもって複数の送信信号を上記2Dアレイ振動子に対して供給する。これによって送信ビームが形成される。生体内からの反射波は2Dアレイ振動子によって受波され、これによってその2Dアレイ振動子から複数の受信信号が受信部14に対して出力される。受信部14は複数の受信信号に対して整相加算処理を実行し、これによって整相加算後の受信信号(ビームデ−タ)を出力する。その受信信号に対しては所定の信号処理が施され、例えば検波、対数変換処理などが施され、信号処理後の受信信号であるビームデータが3Dデータメモリ16に格納される。
【0024】
3Dデータメモリ16は、生体内の送受波空間である三次元空間に相当する三次元記憶空間を有している。3Dデータメモリ16の書き込みあるいは読み出しに際して各データに対する座標変換が実行される。本実施形態においては、3Dデータメモリ16の書き込み時に、送受波座標系から記憶空間座標系への座標変換が実行される。これによって、後に説明するようにボリュームデータが構成される。ボリュームデータは、複数の走査面に相当する複数のフレームデータ(スライスデータ)の集合体であり、各フレームデータは複数のビームデータからなるものである。各ビームデータは深さ方向に整列した複数のエコーデータからなるものである。ちなみに、この3Dデータメモリ16以降の各構成については専用ハードウェアとして構成することも可能であるし、ソフトウェアの機能として実現することも可能である。例えば、3Dデータメモリ16以降の各構成をコンピュータ内で実現させてもよい。
【0025】
三次元画像形成部18は、3Dデータメモリ16に格納されたボリュームデータに基づいて、例えばボリュームレンダリング法に基づく画像処理を実行し、これによって三次元超音波画像を構成する。その画像データは表示処理部26に送られる。任意断層画像形成部20は、ユーザによって設定された三次元空間内の任意断面に対応する断層画像を形成するものである。その場合において3Dデータメモリ16内における任意断面に相当するデータアレイが読み出され、それらに基づいて任意断層画像としてのBモード画像が形成される。その画像データは表示処理部26に送られる。
【0026】
組織抽出部22は、特許文献1(特開2008−142519号公報)に詳述されるトレース処理により、三次元空間内あるいはボリュームデータ内に存在する対象組織(対象組織データ)を抽出するものである。この場合においては、マニュアルトレース処理と補間処理とが併用されており、また、それぞれの処理結果に対する自動修正処理が利用されている。さらに、本実施形態において、組織抽出部22は、ユーザに対する負担とトレースラインに関する精度の両面において好適な処理を実行する。組織抽出部22における処理については後に詳述する。抽出された対象組織データは表示処理部26に送られ、対象組織の画像表示に利用される他、体積演算部24にも送られている。
【0027】
この体積演算部24は、例えばDisk Summation法等の体積演算法により、対象組織の体積を求めるモジュールである。すなわち、組織抽出部22により、対象組織の全体にわたって複数の閉ループとしてのトレースライン列が構成されるため、それらのトレースラインに基づいて対象組織の体積値を近似的に算出するものである。その場合においては各閉ループ間すなわち各断面間の距離も利用される。演算された体積値のデータは表示処理部26へ送られる。体積演算法としてAverage Rotation法等を利用してもよい。
【0028】
上記の三次元画像形成部18、任意断層画像形成部20及び組織抽出部22等の各モジュールは、ユーザによって選択された動作モードに応じて機能し、表示処理部26にはそれぞれのモードに対応するデータが入力される。表示処理部26は、入力されるデータに対して画像合成処理や色付け処理などの処理を施し、その結果であるデータを表示部28に出力する。表示部28には、選択された動作モードに応じて、三次元超音波画像、任意断層画像、抽出された組織の三次元画像、体積値等が表示される。ちなみに、三次元空間全体の三次元画像と対象組織の三次元画像とを合成して表示することも可能である。
【0029】
制御部30は、図1に示される各構成の動作制御を行っており、特に入力部32によってユーザにより設定されたパラメータに基づいて、上述した組織抽出処理及び体積演算の動作を制御している。また、制御部30は、3Dデータメモリ16へのデータ書き込み制御等を担っている。入力部32は、キーボードやトラックボールなどを有する操作パネルによって構成されるものである。制御部30はCPU及び動作プログラムなどによって構成されるものである。単一のCPUが三次元画像処理、任意断層画像形成処理、組織抽出処理及び体積演算を実行するようにしてもよい。
【0030】
次に、本実施形態における対象組織の抽出処理を具体的に説明する。但し、既に図1に示した構成(部分)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。図1の超音波診断装置は、特許文献1に記載されたトレース処理を実行する。そのトレース処理については、特許文献1に詳述されているとおりであるが、以下にその概要を説明する。
【0031】
まず、3Dプローブ10を用いて三次元的にデータが収集され、3Dデータメモリ16内にボリュームデータが構築される。そして、表示部28に、ボリュームデータから得られる任意断層画像を表示させながら、例えばユーザ操作に応じてその断面の位置が適宜調整されて基準断面が設定される。
【0032】
図2は、ボリュームデータに対する基準断面の設定を説明するための図である。この設定においては、対象組織42の全体が断面として表れるように、例えばこの断面が最大となるように基準断面46の位置決めを行うのが望ましい。ただし、後に説明するように断面セットとしての参照断面列が設定されるため、基準断面46はそのような参照断面列が対象組織42の全体をカバーするように設定されれば充分である。
【0033】
基準断面46が設定されると、その基準断面46に対応した断層画像、つまり対象組織42の断層像を含んだ断層画像が表示され、その断層画像上において、対象組織42について両端の点がユーザにより設定される。さらにそれら両点を結ぶ直線として、基準線54が設定される。基準線54が設定されると、三次元空間に相当するボリュームデータ44に対して参照断面列が設定される。
【0034】
図3は、参照断面列の設定を説明するための図である。参照断面列56は、基準線(図2の符号54)に直交する複数の断面として構成される。すなわち、それは、基準線の設定に利用された一方の点から他方の点までにわたって等間隔あるいは非等間隔で複数の断面を並べたものに相当する。ここで、参照断面列56は、少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60とで構成される。マニュアルトレース用参照断面58は、予め定められた個数だけ形成されており、その個数はnである。例えば1〜10程度の範囲内にnの値が定められる。マニュアルトレース用参照断面58は代表断面に相当するものであり、その代表断面についてのみマニュアルトレースが行われるので、ユーザの負担を大幅に軽減できる。一方、個々の自動トレース用参照断面60については補間処理により自動トレースが実行される。
【0035】
マニュアルトレースの際には、少なくとも一枚の(n枚の)マニュアルトレース用参照断面58に対応したn枚の断層画像が表示部28に表示される。この場合において、一枚ずつ断層画像を表示させてもよいし、複数の断層画像を並べて同時に表示するようにしてもよい。そして、各断層画像に対してマニュアルトレース処理が実行される。すなわち、ユーザが画像を観察しながら入力部32を用いて各断層画像内に対象組織の輪郭に対応したトレースラインを形成する。
【0036】
マニュアルトレースラインが形成されると、各マニュアルトレース用参照断面58ごとに、特許文献1に詳述されるマニュアルトレースラインの自動的な修正処理が実行される。つまり、マニュアルトレースライン上の個々のポイントごとにその周辺に対してエッジ検出処理が実行され、エッジが検出されたポイントについてはエッジ上の位置に当該ポイントをシフトさせる処理が実行される。ただし、エッジが検出されないような場合にはマニュアルトレース結果がそのまま保存される。こうして、各マニュアルトレースラインに修正処理が実行されると、複数の自動トレース用参照断面60に対して自動トレース処理が実行される。
【0037】
図4は、自動トレース処理を説明するための図である。自動トレース処理では、複数のマニュアルトレース用参照断面58上に形成された、修正処理後の複数のマニュアルトレースラインである複数の複合トレースライン68が基準とされ、それらを基礎として補間処理を行うことにより、複数の閉ループを面状に繋ぎ合わせたものとしてトレース面70が構成される。この場合、完全なる三次元的な曲面を定義する必要はないが、少なくとも個々の自動トレース用参照断面60について、補間トレースライン(自動トレースライン)が定義できるように補間処理を実行する。ここで、マニュアルトレース用参照断面58が基準線上に一枚のみ設定された場合には、対象組織の両端点との間で上述した補間処理を実行する。マニュアルトレース用参照断面58が複数枚設定された場合にも、端点に最も近接する断面については、上記と同様に端点との間で上述した補間処理を実行する。
【0038】
また、各自動トレース用参照断面60ごとに、特許文献1に詳述される補間トレースライン(自動トレースライン)の自動的な修正処理が実行される。つまり、補間トレースライン上の個々のポイントごとにその周辺に対してエッジ検出処理が実行され、エッジが検出されたポイントについてはエッジ上の位置に当該ポイントをシフトさせる処理が実行される。ただし、エッジが検出されないような場合には自動トレース結果がそのまま保存される。
【0039】
こうして、図4に示されるように、対象組織の形態に沿って包み込んだトレース面70が形成され、対象組織を三次元的に抽出することができる。そして、抽出された対象組織の三次元画像が表示され、また、三次元的に抽出された対象組織の体積値が演算されてその体積値が表示される。
【0040】
さらに、本実施形態では、ユーザに対する負担とトレースラインに関する精度の両面において好適な処理も実行する。これにより、例えば、ユーザに対する負担を軽減しつつトレースラインに関する精度を向上させることができる。その処理について説明する。
【0041】
図5は、組織抽出部22の内部構成を示す図である。組織抽出部22は、上述した組織抽出処理と以下に詳述する処理を実現するために、トレース断面設定部221とトレースライン形成部222と輪郭情報生成部223とトレースガイド形成部224と確認断面設定部225とトレースライン修正部226を備えている。図5に示した構成(部分)については図5の符号を利用しつつ、組織抽出部22における処理について説明する。
【0042】
トレース断面設定部221は、三次元的に配列された超音波データ(ビームデータ)で構成されるボリュームデータ内において、図3に示したように、対象組織42に対して少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60を設定する。
【0043】
そして、トレースライン形成部222は、各マニュアルトレース用参照断面58内にユーザ操作に応じて、以下に詳述する手順に従って対象組織の輪郭に対応したマニュアルトレースライン(手動トレースライン)を形成する。
【0044】
まず、最初のマニュアルトレース用参照断面58に対して、ユーザはその断面内の画像を観察しながら入力部32を操作して対象組織の輪郭に対応したトレースラインを形成する。この最初の(1枚目の)マニュアルトレースが完了すると、輪郭情報生成部223は、その1枚目のマニュアルトレース用参照断面58と、対象組織の両端点、つまり図2の基準線54の両端点との間で補間処理を実行し、立体的な輪郭情報として、図4に示すトレース面70を生成する。
【0045】
続いて、トレース断面設定部221により、次の(2枚目の)マニュアルトレース用参照断面58が設定され、トレースガイド形成部224は、その2枚目のマニュアルトレース用参照断面58内に、トレース面70の断面に対応したトレースガイドを形成する。そして、トレースライン形成部222は、トレースガイドが形成されたマニュアルトレース用参照断面58内に、そのトレースガイドを参照したユーザの操作に応じてトレースラインを形成する。
【0046】
図6は、トレースガイドを参照したトレースライン形成を説明するための図であり、図6には、マニュアルトレース用参照断面58内に設定されたトレースガイドTGが破線で示されている。もちろん、トレースガイドTGは破線以外の態様で表示されてもよい。トレースガイドTGは、既に完了した1枚目のマニュアルトレースに基づいた立体的な輪郭情報(トレース面70)から得られるものであるため、完全に正確な輪郭とは限らないものの、対象組織の輪郭に近い形状となる。
【0047】
そこで、ユーザは、2枚目のマニュアルトレース用参照断面58に対して、トレースガイドTGを参照しつつ、そのマニュアルトレース用参照断面58内の対象組織の断層画像を確認しながら、対象組織の輪郭に対応したトレースラインTLを描画する。ユーザは、トレースラインTLを全て描画してもよいし、トレースガイドTGの一部をそのままトレースラインTLとして残りの一部を修正してトレースラインTLとしてよいし、トレースガイドTGをそのままトレースラインTLとしもよい。
【0048】
なお、トレースガイドTGの少なくとも一部を修正するのであれば、トレースガイドTG上に修正用の複数のハンドル点を設けて、ユーザがそのハンドル点をポインタ等により移動させて、修正のための操作を容易にする構成が望ましい。これにより、例えば図6に示すように、トレースガイドTGの一部が修正されたトレースラインTLが形成される。
【0049】
そして、2枚目のマニュアルトレースが完了すると、輪郭情報生成部223は、1枚目と2枚目のマニュアルトレース用参照断面58と、対象組織の両端点との間で補間処理を実行し、最新のトレース面70(図4)を生成する。さらに、トレースガイド形成部224は、3枚目のマニュアルトレース用参照断面58内に、最新のトレース面70の断面の境界に対応したトレースガイドを形成し、トレースライン形成部222は、そのトレースガイドを参照したユーザの操作に応じて、3枚目のマニュアルトレース用参照断面58内にトレースラインを形成する。
【0050】
輪郭情報生成部223は、トレースラインが形成される度にマニュアルトレース用参照断面58の枚数を増やしつつ、既にトレースラインが形成されたマニュアルトレース用参照断面58に基づいて最新のトレース面70を生成する。また、トレースガイド形成部224は、次にトレースラインが形成されるマニュアルトレース用参照断面58内に、最新のトレース面70を二次元的に反映させたトレースガイドを形成する。
【0051】
これにより、常に最新のトレース面70に基づいて、つまり、その時点で最も精度が高いことが予想される対象組織の輪郭に基づいて、トレースガイドが形成され、そのトレースガイドを参照しながら、ユーザはトレースラインを形成することができる。
【0052】
なお、マニュアルトレース用参照断面58は、予め装置に設定された枚数まで順にマニュアルトレースされてもよいし、予め枚数を設定せずに、ユーザが納得する枚数まで順にマニュアルトレースされてもよい。ユーザが納得するまでマニュアルトレースを行う場合には、各段階における暫定的な輪郭情報を表示するなどしてユーザに確認させることが望ましい。例えば、立体的な輪郭情報(図4のトレース面70)が最新のものに更新される度に、最新の輪郭情報に関する三次元画像や直交三断面などが表示される。そして、ユーザがその輪郭情報を適切であると判断するまで、トレース断面設定部221によりマニュアルトレース用参照断面58の枚数が追加され、トレースライン形成部222を介してマニュアルトレース用参照断面58内にマニュアルトレースが形成される。
【0053】
ちなみに、1枚目のマニュアルトレース用参照断面58は、対象組織の中心付近に設定され、2枚目以降のマニュアルトレース用参照断面58がその中心付近から左右に適度な間隔を伴ってバランスよく追加されることが望ましい。
【0054】
さらに、輪郭情報を確認するために、確認断面設定部225が設定する確認断面が利用されてもよい。確認断面設定部225は、三次元データ空間(ボリュームデータ)内に確認断面を設定する。そして、表示処理部26(図1)は、確認断面内に最新の輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像を形成し、その表示画像が表示部28(図1)に表示されてユーザにより確認される。
【0055】
図7は、確認断面CSの具体例1を示す図である。図7には、ボリュームデータ内に設定された参照断面列が示されている。トレース断面設定部221(図5)により、ボリュームデータ内において、対象組織42に対して、少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60が設定される。
【0056】
確認断面設定部225(図5)は、複数の参照断面列、つまり少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60に対して平行になるように、確認断面CSを設定し、複数の参照断面に対して平行になるように確認断面CSを移動させる。そして、移動される確認断面CSの各位置において、対象組織42の最新の輪郭情報(図4のトレース面70)を二次元的に反映させた表示画像が形成される。
【0057】
これにより、例えば、確認断面CSを対象組織42の一端から他端まで移動させつつ、各移動位置において、対象組織42の実際の輪郭と輪郭情報(図4のトレース面70)とに乖離が有るか否かをユーザが目視で確認することが可能になる。なお、その確認において乖離があると判断した場合には、その確認断面CSの位置において新たにマニュアルトレース用参照断面58を追加し、その断面に反映された輪郭情報をトレースガイドとしつつ、ユーザが正確なマニュアルトレースラインを形成し、さらに新しい輪郭情報(図4のトレース面70)が形成される。
【0058】
図8は、確認断面CSの具体例2を示す図である。図7と同様に、図8には、ボリュームデータ内に設定された参照断面列(少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60)が示されている。
【0059】
図8において、確認断面CSは、ユーザが望む任意の位置と方向に設定されている。例えば、対象組織42の三次元画像が表示され、ユーザがその画像を確認しながら、確認断面CSの位置と方向を設定する。そして、設定された確認断面CS内に最新の輪郭情報(図4のトレース面70)を二次元的に反映させた表示画像が表示され、対象組織42の実際の輪郭と輪郭情報とに乖離が有るか否かをユーザが目視で確認する。そして、その確認において乖離があると判断した場合には、参照断面列に含まれる断面内において輪郭情報が修正されてもよいし、確認断面CS内で輪郭情報が修正されてもよい。
【0060】
図9は、輪郭情報の修正例1を示す図である。図9(1)には、図8の確認断面CSが示されている。その確認断面CS内には、輪郭情報(図4のトレース面70)を二次元的に反映させた輪郭画像が実線で示されており、さらに、確認断面CSと交差する複数の参照断面、つまり少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60(図8参照)が破線で示されている。
【0061】
確認断面CS内において、輪郭情報から得られる輪郭画像が実線で示される形状であるものの、確認断面CSに映し出される対象組織の画像から判断される輪郭が一点鎖線である場合、ユーザにより確認断面CS内に修正すべき点Aが指定される。点Aが指定されると、その点Aを含んだ参照断面が特定される。
【0062】
図9(2)には、確認断面CSに設定された点Aを含む参照断面が示されている。その参照断面内には、輪郭情報(トレース面70)を二次元的に反映させた輪郭画像が実線で示されており、さらに、確認断面CSが破線で示されている。そして、図9(2)に示す参照断面内において輪郭画像が修正される。つまり、参照断面に映し出される対象組織の画像から判断される輪郭が一点鎖線である場合、ユーザにより点Aにおける輪郭箇所が一点鎖線の位置に移動される。
【0063】
これにより、図9(3)に示すように、点Aにあった輪郭箇所が本来の輪郭箇所に移動され、さらに、その移動に追従するように点Aの近傍において輪郭が修正される。もちろん、本来の輪郭箇所に沿ってユーザが輪郭(トレースライン)を描画してもよい。そして修正された輪郭をトレースラインとして、新しい輪郭情報(トレース面70)が形成される。
【0064】
図10は、輪郭情報の修正例2を示す図である。図10(1)には、図9(1)と同じ確認断面CSが示されている。その確認断面CS内には、輪郭情報を二次元的に反映させた輪郭画像が実線で示されており、さらに、確認断面CSと交差する複数の参照断面、つまり少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60が破線で示されている。
【0065】
図10に示す修正例2では、確認断面CS内において輪郭画像が修正される。つまり、確認断面CS内において、輪郭情報から得られる輪郭画像が実線で示される形状であるものの、確認断面CSに映し出される対象組織の画像から判断される輪郭が一点鎖線である場合、ユーザにより確認断面CS内に修正すべき点Aが指定され、ユーザにより点Aにおける輪郭箇所が一点鎖線の位置に修正される。そして、その修正の影響を受ける参照断面が特定される。例えば点Aを含んだ参照断面が特定される。
【0066】
図10(2)には、確認断面CSに設定された点Aを含む参照断面が示されている。その参照断面内には、輪郭情報(トレース面70)を二次元的に反映させた輪郭画像が実線で示されており、さらに、確認断面CSが破線で示されている。そして、図10(2)に示す参照断面内に輪郭画像の修正が反映される。例えば、図10(1)の確認断面CSに対する修正により、点Bと点Cを通る一点鎖線の位置に輪郭が修正されると、図10(2)の参照断面にその修正が反映され、これにより、図10(3)に示すように、点Bと点Cを通る一点鎖線の位置に輪郭が修正される。そして修正された輪郭をトレースラインとして、新しい輪郭情報(図4のトレース面70)が形成される。
【0067】
なお、確認断面CSの具体例は、図7や図8の例に限定されない。参照断面の配列状態に応じて適切な確認断面CSを設定することが望ましい。
【0068】
図11は、確認断面CSの他の具体例を示す図である。図11(A)において、複数の参照断面(少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60)は、基準軸Axにおいて互いに交差するように設定されている。なお、基準軸Axは、例えば、対象組織の一端側から他端側に向かって対象組織を貫くように設定される。そして、図11(A)においては、確認断面CSが基準軸Axを回転軸として回転され、確認断面CSの各回転位置において、輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像が形成される。
【0069】
また、図11(B)においては、基準軸Axにおいて互いに交差するように設定された複数の参照断面(少なくとも一枚のマニュアルトレース用参照断面58と複数の自動トレース用参照断面60)に対して、ユーザが望む任意の位置と方向に確認断面CSが設定されている。そして、設定された確認断面CS内に輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像が形成される。
【0070】
次に、輪郭情報生成部223(図5)による補間処理について説明する。輪郭情報生成部223は、図4に示したように、複数のマニュアルトレース用参照断面58上に形成された複数のマニュアルトレースライン(複数の複合トレースライン68)を基準として補間処理を行うことにより、複数の閉ループを面状に繋ぎ合わせたトレース面70(立体的な輪郭情報)を生成する。
【0071】
図12は、立体的な輪郭情報を得る際の補間処理を説明するための図である。補間処理においては、複数のマニュアルトレース用参照断面58から得られる複数のマニュアルトレースラインが基準とされる。例えば、図12に示すように、複数のマニュアルトレースラインから得られる指定点A,B,C,D,・・・を対象として補間処理が行われ、これらの指定点を結ぶ補間曲線が形成される。
【0072】
(a)には、一点鎖線で示す補間曲線が複数の指定点を必ず通過することを重視した補間処理が示されている。補間処理のアルゴリズムとして、例えばスプラインを利用することにより(a)に示す補間処理を実現することができる。指定点は、ユーザが作成した複数のマニュアルトレースラインから得られるため、(a)はユーザが作成したマニュアルトレースラインを重視した補間処理と言える。
【0073】
一方(b)には、一点鎖線で示す補間曲線の波打ち軽減を重視した補間処理が示されている。補間処理のアルゴリズムとして、例えばベジエを利用することにより(b)に示す補間処理を実現することができる。(b)に示す補間処理によれば、例えば複数の指定点の位置が互いに大きくずれている場合においても、補間曲線が波打つように変動することを軽減することができる。
【0074】
このように、各補間処理にはその補間処理に特有の利点があるため、例えば、指定点の通過を重視した(a)の補間処理と、波打ち軽減を重視した(b)の補間処理のいずれかをユーザが選択できるようにしてもよい。もちろん、これらの補間処理が併用されてもよい。
【0075】
図13は、互いに異なる補間処理の併用例を示す図である。図13には、複数のマニュアルトレース用参照断面58が示されており、各マニュアルトレース用参照断面58内にマニュアルトレースラインが示されている。各マニュアルトレース用参照断面58内に形成されたマニュアルトレースラインには、実線で示される区間aと破線で示される区間bが含まれいる。
【0076】
そして、複数のマニュアルトレース用参照断面58から得られる複数のマニュアルトレースラインを基準とした補間処理において、区間aの部分については、指定点の通過を重視した補間処理が利用され、区間bの部分については、波打ち軽減を重視した補間処理が利用される。
【0077】
例えば、断層画像の確認において境界であることを確信できるトレースライン部分にユーザが区間aを指定し、それ以外のトレースライン部分を区間bとする。また、トレースラインの近傍において装置が対象組織の境界を探索し、近傍において境界が探索できた場合にはそのトレースライン部分を区間aとし、近傍において境界が探索できない場合にそのトレースライン部分を区間bとしてもよい。
【0078】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【符号の説明】
【0079】
22 組織抽出部、221 トレース断面設定部、222 トレースライン形成部、223 輪郭情報生成部、224 トレースガイド形成部、225 確認断面設定部、226 トレースライン修正部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を含む三次元空間に対して超音波を送受することにより得られた超音波データを処理する超音波データ処理装置において、
三次元的に配列された超音波データで構成される三次元データ空間内に、複数の手動トレース断面を設定するトレース断面設定部と、
各手動トレース断面内に、ユーザの操作に応じて、対象物の輪郭に対応したトレースラインを形成するトレースライン形成部と、
既にトレースラインが形成された手動トレース断面に基づいて、前記三次元データ空間内における対象物の立体的な輪郭情報を生成する輪郭情報生成部と、
後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に、前記輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドを形成するトレース補助部と、
を有し、
前記トレースライン形成部は、トレースガイドが形成された手動トレース断面内に当該トレースガイドを参照したユーザの操作に応じてトレースラインを形成する、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波データ処理装置において、
前記トレースライン形成部は、ユーザの操作に応じてトレースガイドの形状を修正して修正後のトレースガイドをトレースラインとする、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超音波データ処理装置において、
前記輪郭情報生成部は、トレースラインが形成される度に手動トレース断面の枚数を増やしつつ、既にトレースラインが形成された手動トレース断面に基づいて最新の輪郭情報を生成し、
前記トレース補助部は、後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に、最新の輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドを形成する、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波データ処理装置において、
前記最新の輪郭情報を示した表示画像を形成する画像形成部をさらに有し、
当該表示画像を介して最新の輪郭情報の適否がユーザにより判断され、そのユーザの判断に応じて前記トレース断面設定部が手動トレース断面を追加する、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波データ処理装置において、
前記三次元データ空間内に確認断面を設定する確認断面設定部をさらに有し、
前記画像形成部は、当該確認断面内に前記最新の輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像を形成する、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波データ処理装置において、
前記確認断面設定部は、三次元データ空間内で複数の手動トレース断面のいずれかに対して実質的に平行になるように確認断面を動かし、
前記画像形成部は、動かされる確認断面の各位置において前記最新の輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像を形成する、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の超音波データ処理装置において、
前記確認断面内で指定された修正点に基づいて、その修正点を含む断面が特定され、その断面内においてトレースラインが修正される、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の超音波データ処理装置において、
前記確認断面内で輪郭情報が修正され、その修正の影響を受ける断面が特定され、輪郭情報の修正がその断面内のトレースラインに反映される、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項1】
対象物を含む三次元空間に対して超音波を送受することにより得られた超音波データを処理する超音波データ処理装置において、
三次元的に配列された超音波データで構成される三次元データ空間内に、複数の手動トレース断面を設定するトレース断面設定部と、
各手動トレース断面内に、ユーザの操作に応じて、対象物の輪郭に対応したトレースラインを形成するトレースライン形成部と、
既にトレースラインが形成された手動トレース断面に基づいて、前記三次元データ空間内における対象物の立体的な輪郭情報を生成する輪郭情報生成部と、
後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に、前記輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドを形成するトレース補助部と、
を有し、
前記トレースライン形成部は、トレースガイドが形成された手動トレース断面内に当該トレースガイドを参照したユーザの操作に応じてトレースラインを形成する、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波データ処理装置において、
前記トレースライン形成部は、ユーザの操作に応じてトレースガイドの形状を修正して修正後のトレースガイドをトレースラインとする、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超音波データ処理装置において、
前記輪郭情報生成部は、トレースラインが形成される度に手動トレース断面の枚数を増やしつつ、既にトレースラインが形成された手動トレース断面に基づいて最新の輪郭情報を生成し、
前記トレース補助部は、後にトレースラインが形成される手動トレース断面内に、最新の輪郭情報を二次元的に反映させたトレースガイドを形成する、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波データ処理装置において、
前記最新の輪郭情報を示した表示画像を形成する画像形成部をさらに有し、
当該表示画像を介して最新の輪郭情報の適否がユーザにより判断され、そのユーザの判断に応じて前記トレース断面設定部が手動トレース断面を追加する、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波データ処理装置において、
前記三次元データ空間内に確認断面を設定する確認断面設定部をさらに有し、
前記画像形成部は、当該確認断面内に前記最新の輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像を形成する、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波データ処理装置において、
前記確認断面設定部は、三次元データ空間内で複数の手動トレース断面のいずれかに対して実質的に平行になるように確認断面を動かし、
前記画像形成部は、動かされる確認断面の各位置において前記最新の輪郭情報を二次元的に反映させた表示画像を形成する、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の超音波データ処理装置において、
前記確認断面内で指定された修正点に基づいて、その修正点を含む断面が特定され、その断面内においてトレースラインが修正される、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の超音波データ処理装置において、
前記確認断面内で輪郭情報が修正され、その修正の影響を受ける断面が特定され、輪郭情報の修正がその断面内のトレースラインに反映される、
ことを特徴とする超音波データ処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−39245(P2013−39245A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178483(P2011−178483)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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