超音波プローブ及び超音波プローブ製造方法
【課題】熱圧着の際の基材の剛性を十分に確保することで、加圧力不足を解消し、接合を確実に行うこと。
【解決手段】振動子から得られる信号情報を処理する電子部品と表面及び裏面に形成された端子とを有する回路基板30と、一端が振動子に、他端が回路基板の表面側の端子にACF100を介して接続された複数の第1のフレキシブル配線基板40と、一端が振動子に、他端が回路基板30の裏面側の端子にACF100を介して接続された複数の第2のフレキシブル配線基板50と、回路基板30の表面側の端子に隣接するとともに、第2のフレキシブル配線基板の他端に対応する部位に、第1のフレキシブル配線基板と同等の剛性及び厚さを有するダミー部材33が配置されている。
【解決手段】振動子から得られる信号情報を処理する電子部品と表面及び裏面に形成された端子とを有する回路基板30と、一端が振動子に、他端が回路基板の表面側の端子にACF100を介して接続された複数の第1のフレキシブル配線基板40と、一端が振動子に、他端が回路基板30の裏面側の端子にACF100を介して接続された複数の第2のフレキシブル配線基板50と、回路基板30の表面側の端子に隣接するとともに、第2のフレキシブル配線基板の他端に対応する部位に、第1のフレキシブル配線基板と同等の剛性及び厚さを有するダミー部材33が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば圧電素子を二次元アレイ状に配列した振動子を使用して超音波を出力し、その反射した超音波を受信する超音波プローブ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エコー画像診断に用いるための超音波診断装置では、近年、三次元動画像によるリアルタイム診断が可能な二次元アレイ超音波プローブが用いられている。二次元アレイ超音波プローブは、ヘッドに二次元アレイ状に配列した振動子から超音波を出力し、その反射した超音波を受信する装置であり、検出された信号は、ケーブルを介して検査装置本体等に送られ、画像処理されて診断等に用いられる。
【0003】
コンベックス型二次元アレイ超音波プローブでは、数千チャンネルに及ぶ振動子が凸曲面二次元アレイ状に配列しており、この振動子と回路基板とを接続するために、フレキシブル配線基板が用いられる。フレキシブル配線基板は、振動子から回路基板の両面に対し最短、かつ、高密度で配線を引き出すため、電極部が回路基板の平面視で表面と裏面とで互い違いになるように配置される(図3A参照)。
【0004】
基板の端子にフレキシブル配線基板を接続する場合、ACF(異方性導電フィルム)を用いる。この際、基板の表面の端子の上にACFを配置し、その上にフレキシブル配線基板を並べ、さらにその上に例えば樹脂シート(耐熱・離型性が良いシート材)を配置し、その上から圧着ツールにより熱圧着する。これにより、ACFを介して、フレキシブル配線基板の端子と基板の端子とが導通する。同様にして、基板の裏面の端子の上にもフレキシブル配線基板を接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−103397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した超音波プローブでは、次のような問題があった。すなわち、表面側に接続されたフレキシブル配線基板は、隣接するフレキシブル配線基板との間に一定の隙間が生ずる。この隙間に対応する位置に裏面側のフレキシブル配線基板が配置されると、圧着ツールを用いて熱圧着する際、基板の剛性が足りず、フレキシブル配線基板が基板の変形に追従できずに熱圧着面の平坦性が悪くなる。このため、加圧力が不足し、接合不良が生じる虞がある。
【0007】
そこで、本発明では熱圧着面の平坦性を十分に確保することで、加圧力不足を解消し、接合を確実に行うことができる超音波プローブ及び超音波プローブ製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
振動子と、上記振動子から得られる信号情報を処理する電子部品と表面及び裏面に形成された端子とを有する基板と、一端が上記振動子に、他端が上記基板の表面側の端子に接合部材を介して接続された複数の第1のフレキシブル配線基板と、一端が上記振動子に、他端が上記基板の裏面側の端子に接合部材を介して接続された複数の第2のフレキシブル配線基板と、上記基板の表面側の端子に隣接する部位であって、上記第2のフレキシブル配線基板の他端に対応する部位に、上記第1のフレキシブル配線基板と同等の剛性及び厚さを有するダミー部材が配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態に係る超音波プローブを示す斜視図。
【図2】同超音波プローブの要部を示す断面図。
【図3A】同超音波プローブに組み込まれた基板を示す平面図。
【図3B】同基板に接続された第1のフレキシブル配線基板の他端を示す平面図。
【図3C】同他端の変形例を示す平面図。
【図3D】同他端の変形例を示す平面図。
【図4A】同超音波プローブの基板とフレキシブル配線基板との接合部を模式的に示す断面図。
【図4B】図4Aにおける二点鎖線K部を拡大して示す断面図。
【図5】同超音波プローブの製造工程を示す要部断面図。
【図6】同超音波プローブの製造工程を示す平面図。
【図7】同超音波プローブの製造工程を示す要部断面図。
【図8】同超音波プローブの製造工程を示す要部断面図。
【図9A】同超音波プローブに組み込まれたダミー部材の変形例を示す平面図。
【図9B】同超音波プローブに組み込まれたダミー部材の変形例を示す平面図。
【図9C】同超音波プローブに組み込まれたダミー部材の変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は第1の実施の形態に係る超音波プローブ10を示す斜視図、図2は超音波プローブ10の要部を示す断面図、図3Aは超音波プローブ10に組み込まれた基板30を示す平面図、図3B〜図3Dは基板30に接続された第1のフレキシブル配線基板40の他端42を示す平面図、図4Aは超音波プローブ10の基板30とフレキシブル配線基板40との接合部を模式的に示す断面図、図4Bは図4Aにおける二点鎖線K部を拡大して示す断面図である。なお、図中Rは超音波照射方向を示している。
【0011】
超音波プローブ10は、超音波診断装置からケーブル11を介して取り付けられているコンベックス型二次元アレイ超音波プローブである。超音波プローブ10は、作業者が掴む持ち手部12と、検出部20を収容するヘッド13とを備えている。なお、ヘッド13は、超音波照射方向(図1中矢印R)が凸面を形成している。
【0012】
図2に示すように、検出部20は、少なくとも、送受信用の信号を処理する回路基板30と、この回路基板30の凸側の表面31側の端子31aにそれぞれ接合された第1のフレキシブル配線基板40と、裏面32側の端子32aにそれぞれ接合された第2のフレキシブル配線基板50と、回路基板30の外側に配置された4枚の回路基板60と、これら回路基板60にそれぞれ接合された第3のフレキシブル配線基板70と、第1のフレキシブル配線基板40、第2のフレキシブル配線基板50、第3のフキシブル配線基板70とに接続された凸曲面(コンベックス型)二次元アレイ状に配列する振動子80とを備えている。
【0013】
第1のフレキシブル配線基板40は、一端41が振動子80、他端42が回路基板30に接合されている。第2のフレキシブル配線基板50は、一端41が振動子80、他端42が回路基板30に接合されている。なお、他端42には電極42aが設けられている。
【0014】
回路基板30及び回路基板60には、スイッチIC等の電子部品90が実装され、第1のフレキシブル配線基板40、第2のフレキシブル配線基板50、第3のフレキシブル配線基板70と、ケーブル11とに接続されている。
【0015】
図3Aに示すように、回路基板30には、平面視で第1のフレキシブル配線基板40と第2のフレキシブル配線基板50とが交互に配置されている。これは、振動子80に対し最短、かつ、高密度で接続するためである。なお、図3Bに示すように他端42には端子31aに接続される電極42aが形成されている。また、電極42aについては、図3C,図3Dに示すように端子31aに合わせて適宜配置してもよい。
【0016】
また、回路基板30の表面31の端子31aと第1のフレキシブル配線基板40とは、図4A及び図4Bに示すように接続されている。なお、図4Bは図4Aにおける二点鎖線K部を拡大して示す断面図である。すなわち、端子31aに隣接するとともに、第2のフレキシブル配線基板50の他端52に対応する部位31bに、第1のフレキシブル配線基板40と同等の剛性を有するダミー部材33が配置されている。なお、端子31aと第1のフレキシブル配線基板40の他端42、端子32aと第2のフレキシブル配線基板50の他端52との接合にはACF(接合材)100が用いられている。
【0017】
ダミー部材33は、第1のフレキシブル配線基板40のベース材、すなわち樹脂フィルムで形成されており、第1のフレキシブル配線基板40とほぼ同じ剛性及び同じ厚さを有している。なお、ダミー部材33には金属製のダミー端子33aを設けることで、より第1のフレキシブル配線基板40と同等の剛性を実現できる。同様な理由で、基板30の表面31bにダミー端子等を設けても良い。
【0018】
このように構成された超音波プローブ10は、次のようにして製造される。すなわち、第1のフレキシブル配線基板40の一端41に設けられた電極を、振動子80の電極に接合する。
【0019】
次に、図5及び図6に示すように、ACF100を端子31a及び端子31aに隣接する部位31bに貼り付ける。次に、第1のフレキシブル配線基板40の他端42の電極42aを、回路基板30の表面31に形成された端子31a上に配置する。また、回路基板30の端子31aに隣接する部位31bに、第1のフレキシブル配線基板40と同等の剛性を有するダミー部材33を配置する。
【0020】
図5に示すように、樹脂シートSを介し、第1のフレキシブル配線基板40の他端42、ダミー部材33、ACF100を回路基板30側に向けて、圧着ツールTを用いて熱圧着する。
【0021】
ACF100は熱により一時的に軟化し、図7に示すように、第1のフレキシブル配線基板40の他端42、ダミー部材33、端子31a、部位31b間を行き渡った後に硬化し、ほぼ平滑な表面となる。
【0022】
次に、回路基板30を裏返し、図8に示すように、回路基板30の裏面32に形成された端子32aを含む圧着面にACF100を貼り付ける。次に、第2のフレキシブル配線基板50の他端52の電極を、回路基板30の裏面32に形成された端子32a上に配置し、圧着ツールTを用いて熱圧着する。
【0023】
このとき、回路基板30の表面31における第2のフレキシブル配線基板50の他端52に対応する位置には、ダミー部材33が設けられているため、十分な平坦が確保されている。したがって、第2のフレキシブル配線基板50の他端52が圧着ツールTに押圧されて逃げることがない。このため、十分な加圧力を付与することができ、第2のフレキシブル配線基板50の他端52がと端子32aとの接合を確実に行うことができる。
【0024】
このように構成された超音波プローブ10では、第1のフレキシブル配線基板40と同等の剛性及び厚さのダミー部材33を回路基板30の反対側の第2のフレキシブル配線基板50に対応する位置に配置することで、第2のフレキシブル配線基板50を熱圧着する際に、圧着ツールTによって加圧しても基板側に逃げず、確実な熱圧着を行うことができる。
【0025】
すなわち、第2のフレキシブル配線基板50をどの位置に配置した場合であっても、均等に圧力を加えることができ、確実な接合を行うことができる。このため、第2のフレキシブル配線基板50の配置の自由度が向上する。例えば、振動子80との距離を短くし、かつ、高密度の配線を行うことで、振動子80のチャンネル数を増やすことができ、画像の高精細化が可能となる。
【0026】
なお、ダミー部材33は、上述した第1のフレキシブル配線基板40、第2のフレキシブル配線基板50、第3のフレキシブル配線基板70をベースとなる樹脂材から切り抜いた後に生ずる廃棄物を利用してもよい。
【0027】
図9Aは、ダミー部材33の代わりにダミー部材34を用いた変形例を示す図である。ダミー部材34は、ダミー電極34a及び回路基板30の表面31に平行な方向に通流部34bを備えている。通流部34aが設けられていると、熱圧着時に軟化したACF100が流れやすくなり、均等に第1のフレキシブル配線基板40及びダミー部材34の隙間を埋めることが可能となり、平坦度が大きくなる。このため、第2のフレキシブル配線基板50の接合をより確実に行うことができる。
【0028】
図9B及び図9Cも同様に、変形例に係るダミー部材34を示す平面図である。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
10…超音波プローブ、20…検出部、30…回路基板、31…表面、31a…端子、31b…部位、32…裏面、32a…端子、40…第1のフレキシブル配線基板、50…第2のフレキシブル配線基板、60…回路基板、70…第3のフレキシブル配線基板、80…振動子、90…電子部品、100…ACF(接合材)。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば圧電素子を二次元アレイ状に配列した振動子を使用して超音波を出力し、その反射した超音波を受信する超音波プローブ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エコー画像診断に用いるための超音波診断装置では、近年、三次元動画像によるリアルタイム診断が可能な二次元アレイ超音波プローブが用いられている。二次元アレイ超音波プローブは、ヘッドに二次元アレイ状に配列した振動子から超音波を出力し、その反射した超音波を受信する装置であり、検出された信号は、ケーブルを介して検査装置本体等に送られ、画像処理されて診断等に用いられる。
【0003】
コンベックス型二次元アレイ超音波プローブでは、数千チャンネルに及ぶ振動子が凸曲面二次元アレイ状に配列しており、この振動子と回路基板とを接続するために、フレキシブル配線基板が用いられる。フレキシブル配線基板は、振動子から回路基板の両面に対し最短、かつ、高密度で配線を引き出すため、電極部が回路基板の平面視で表面と裏面とで互い違いになるように配置される(図3A参照)。
【0004】
基板の端子にフレキシブル配線基板を接続する場合、ACF(異方性導電フィルム)を用いる。この際、基板の表面の端子の上にACFを配置し、その上にフレキシブル配線基板を並べ、さらにその上に例えば樹脂シート(耐熱・離型性が良いシート材)を配置し、その上から圧着ツールにより熱圧着する。これにより、ACFを介して、フレキシブル配線基板の端子と基板の端子とが導通する。同様にして、基板の裏面の端子の上にもフレキシブル配線基板を接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−103397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した超音波プローブでは、次のような問題があった。すなわち、表面側に接続されたフレキシブル配線基板は、隣接するフレキシブル配線基板との間に一定の隙間が生ずる。この隙間に対応する位置に裏面側のフレキシブル配線基板が配置されると、圧着ツールを用いて熱圧着する際、基板の剛性が足りず、フレキシブル配線基板が基板の変形に追従できずに熱圧着面の平坦性が悪くなる。このため、加圧力が不足し、接合不良が生じる虞がある。
【0007】
そこで、本発明では熱圧着面の平坦性を十分に確保することで、加圧力不足を解消し、接合を確実に行うことができる超音波プローブ及び超音波プローブ製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
振動子と、上記振動子から得られる信号情報を処理する電子部品と表面及び裏面に形成された端子とを有する基板と、一端が上記振動子に、他端が上記基板の表面側の端子に接合部材を介して接続された複数の第1のフレキシブル配線基板と、一端が上記振動子に、他端が上記基板の裏面側の端子に接合部材を介して接続された複数の第2のフレキシブル配線基板と、上記基板の表面側の端子に隣接する部位であって、上記第2のフレキシブル配線基板の他端に対応する部位に、上記第1のフレキシブル配線基板と同等の剛性及び厚さを有するダミー部材が配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態に係る超音波プローブを示す斜視図。
【図2】同超音波プローブの要部を示す断面図。
【図3A】同超音波プローブに組み込まれた基板を示す平面図。
【図3B】同基板に接続された第1のフレキシブル配線基板の他端を示す平面図。
【図3C】同他端の変形例を示す平面図。
【図3D】同他端の変形例を示す平面図。
【図4A】同超音波プローブの基板とフレキシブル配線基板との接合部を模式的に示す断面図。
【図4B】図4Aにおける二点鎖線K部を拡大して示す断面図。
【図5】同超音波プローブの製造工程を示す要部断面図。
【図6】同超音波プローブの製造工程を示す平面図。
【図7】同超音波プローブの製造工程を示す要部断面図。
【図8】同超音波プローブの製造工程を示す要部断面図。
【図9A】同超音波プローブに組み込まれたダミー部材の変形例を示す平面図。
【図9B】同超音波プローブに組み込まれたダミー部材の変形例を示す平面図。
【図9C】同超音波プローブに組み込まれたダミー部材の変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は第1の実施の形態に係る超音波プローブ10を示す斜視図、図2は超音波プローブ10の要部を示す断面図、図3Aは超音波プローブ10に組み込まれた基板30を示す平面図、図3B〜図3Dは基板30に接続された第1のフレキシブル配線基板40の他端42を示す平面図、図4Aは超音波プローブ10の基板30とフレキシブル配線基板40との接合部を模式的に示す断面図、図4Bは図4Aにおける二点鎖線K部を拡大して示す断面図である。なお、図中Rは超音波照射方向を示している。
【0011】
超音波プローブ10は、超音波診断装置からケーブル11を介して取り付けられているコンベックス型二次元アレイ超音波プローブである。超音波プローブ10は、作業者が掴む持ち手部12と、検出部20を収容するヘッド13とを備えている。なお、ヘッド13は、超音波照射方向(図1中矢印R)が凸面を形成している。
【0012】
図2に示すように、検出部20は、少なくとも、送受信用の信号を処理する回路基板30と、この回路基板30の凸側の表面31側の端子31aにそれぞれ接合された第1のフレキシブル配線基板40と、裏面32側の端子32aにそれぞれ接合された第2のフレキシブル配線基板50と、回路基板30の外側に配置された4枚の回路基板60と、これら回路基板60にそれぞれ接合された第3のフレキシブル配線基板70と、第1のフレキシブル配線基板40、第2のフレキシブル配線基板50、第3のフキシブル配線基板70とに接続された凸曲面(コンベックス型)二次元アレイ状に配列する振動子80とを備えている。
【0013】
第1のフレキシブル配線基板40は、一端41が振動子80、他端42が回路基板30に接合されている。第2のフレキシブル配線基板50は、一端41が振動子80、他端42が回路基板30に接合されている。なお、他端42には電極42aが設けられている。
【0014】
回路基板30及び回路基板60には、スイッチIC等の電子部品90が実装され、第1のフレキシブル配線基板40、第2のフレキシブル配線基板50、第3のフレキシブル配線基板70と、ケーブル11とに接続されている。
【0015】
図3Aに示すように、回路基板30には、平面視で第1のフレキシブル配線基板40と第2のフレキシブル配線基板50とが交互に配置されている。これは、振動子80に対し最短、かつ、高密度で接続するためである。なお、図3Bに示すように他端42には端子31aに接続される電極42aが形成されている。また、電極42aについては、図3C,図3Dに示すように端子31aに合わせて適宜配置してもよい。
【0016】
また、回路基板30の表面31の端子31aと第1のフレキシブル配線基板40とは、図4A及び図4Bに示すように接続されている。なお、図4Bは図4Aにおける二点鎖線K部を拡大して示す断面図である。すなわち、端子31aに隣接するとともに、第2のフレキシブル配線基板50の他端52に対応する部位31bに、第1のフレキシブル配線基板40と同等の剛性を有するダミー部材33が配置されている。なお、端子31aと第1のフレキシブル配線基板40の他端42、端子32aと第2のフレキシブル配線基板50の他端52との接合にはACF(接合材)100が用いられている。
【0017】
ダミー部材33は、第1のフレキシブル配線基板40のベース材、すなわち樹脂フィルムで形成されており、第1のフレキシブル配線基板40とほぼ同じ剛性及び同じ厚さを有している。なお、ダミー部材33には金属製のダミー端子33aを設けることで、より第1のフレキシブル配線基板40と同等の剛性を実現できる。同様な理由で、基板30の表面31bにダミー端子等を設けても良い。
【0018】
このように構成された超音波プローブ10は、次のようにして製造される。すなわち、第1のフレキシブル配線基板40の一端41に設けられた電極を、振動子80の電極に接合する。
【0019】
次に、図5及び図6に示すように、ACF100を端子31a及び端子31aに隣接する部位31bに貼り付ける。次に、第1のフレキシブル配線基板40の他端42の電極42aを、回路基板30の表面31に形成された端子31a上に配置する。また、回路基板30の端子31aに隣接する部位31bに、第1のフレキシブル配線基板40と同等の剛性を有するダミー部材33を配置する。
【0020】
図5に示すように、樹脂シートSを介し、第1のフレキシブル配線基板40の他端42、ダミー部材33、ACF100を回路基板30側に向けて、圧着ツールTを用いて熱圧着する。
【0021】
ACF100は熱により一時的に軟化し、図7に示すように、第1のフレキシブル配線基板40の他端42、ダミー部材33、端子31a、部位31b間を行き渡った後に硬化し、ほぼ平滑な表面となる。
【0022】
次に、回路基板30を裏返し、図8に示すように、回路基板30の裏面32に形成された端子32aを含む圧着面にACF100を貼り付ける。次に、第2のフレキシブル配線基板50の他端52の電極を、回路基板30の裏面32に形成された端子32a上に配置し、圧着ツールTを用いて熱圧着する。
【0023】
このとき、回路基板30の表面31における第2のフレキシブル配線基板50の他端52に対応する位置には、ダミー部材33が設けられているため、十分な平坦が確保されている。したがって、第2のフレキシブル配線基板50の他端52が圧着ツールTに押圧されて逃げることがない。このため、十分な加圧力を付与することができ、第2のフレキシブル配線基板50の他端52がと端子32aとの接合を確実に行うことができる。
【0024】
このように構成された超音波プローブ10では、第1のフレキシブル配線基板40と同等の剛性及び厚さのダミー部材33を回路基板30の反対側の第2のフレキシブル配線基板50に対応する位置に配置することで、第2のフレキシブル配線基板50を熱圧着する際に、圧着ツールTによって加圧しても基板側に逃げず、確実な熱圧着を行うことができる。
【0025】
すなわち、第2のフレキシブル配線基板50をどの位置に配置した場合であっても、均等に圧力を加えることができ、確実な接合を行うことができる。このため、第2のフレキシブル配線基板50の配置の自由度が向上する。例えば、振動子80との距離を短くし、かつ、高密度の配線を行うことで、振動子80のチャンネル数を増やすことができ、画像の高精細化が可能となる。
【0026】
なお、ダミー部材33は、上述した第1のフレキシブル配線基板40、第2のフレキシブル配線基板50、第3のフレキシブル配線基板70をベースとなる樹脂材から切り抜いた後に生ずる廃棄物を利用してもよい。
【0027】
図9Aは、ダミー部材33の代わりにダミー部材34を用いた変形例を示す図である。ダミー部材34は、ダミー電極34a及び回路基板30の表面31に平行な方向に通流部34bを備えている。通流部34aが設けられていると、熱圧着時に軟化したACF100が流れやすくなり、均等に第1のフレキシブル配線基板40及びダミー部材34の隙間を埋めることが可能となり、平坦度が大きくなる。このため、第2のフレキシブル配線基板50の接合をより確実に行うことができる。
【0028】
図9B及び図9Cも同様に、変形例に係るダミー部材34を示す平面図である。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
10…超音波プローブ、20…検出部、30…回路基板、31…表面、31a…端子、31b…部位、32…裏面、32a…端子、40…第1のフレキシブル配線基板、50…第2のフレキシブル配線基板、60…回路基板、70…第3のフレキシブル配線基板、80…振動子、90…電子部品、100…ACF(接合材)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子と、
上記振動子から得られる信号情報を処理する電子部品と表面及び裏面に形成された端子とを有する基板と、
一端が上記振動子に、他端が上記基板の表面側の端子に接合部材を介して接続された複数の第1のフレキシブル配線基板と、
一端が上記振動子に、他端が上記基板の裏面側の端子に接合部材を介して接続された複数の第2のフレキシブル配線基板と、
上記基板の表面側の端子に隣接する部位であって、上記第2のフレキシブル配線基板の他端に対応する部位に、上記第1のフレキシブル配線基板と同等の剛性及び厚さを有するダミー部材が配置されていることを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
上記接合部材は、異方性導電フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
上記ダミー部材は、上記フレキシブル配線基板のベース材と同じ材質であることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
上記ダミー部材は、上記基板の面に平行な通流部を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
振動子から得られる信号情報を処理する電子部品が搭載された基板の表面・裏面にそれぞれ形成された端子に第1のフレキシブル配線基板・第2のフレキシブル配線基板を接続する超音波プローブ製造方法において、
上記第1のフレキシブル配線基板の一端を、振動子に接合し、
上記第2のフレキシブル配線基板の一端を、上記振動子に接合し、
上記基板の表面に形成された端子及びこの端子に隣接する部位に接合材を重ねて配置し、
上記第1のフレキシブル配線基板の他端を、上記基板の表面に形成された端子上に配置し、
上記基板の表面に形成された端子に隣接する部位に、上記第1のフレキシブル配線基板と同等の剛性を有するダミー部材を配置し、
上記第1のフレキシブル配線基板、上記ダミー部材、上記接合材を上記基板側に向けて熱圧着し、
上記基板の裏面に形成された端子上に接合材を重ねて配置し、
上記第2のフレキシブル配線基板の他端を、上記基板の裏面に形成された端子上に配置し、
上記第2のフレキシブル配線基板、上記接合材を基板側に向けて熱圧着することを特徴とする超音波プローブ製造方法。
【請求項1】
振動子と、
上記振動子から得られる信号情報を処理する電子部品と表面及び裏面に形成された端子とを有する基板と、
一端が上記振動子に、他端が上記基板の表面側の端子に接合部材を介して接続された複数の第1のフレキシブル配線基板と、
一端が上記振動子に、他端が上記基板の裏面側の端子に接合部材を介して接続された複数の第2のフレキシブル配線基板と、
上記基板の表面側の端子に隣接する部位であって、上記第2のフレキシブル配線基板の他端に対応する部位に、上記第1のフレキシブル配線基板と同等の剛性及び厚さを有するダミー部材が配置されていることを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
上記接合部材は、異方性導電フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
上記ダミー部材は、上記フレキシブル配線基板のベース材と同じ材質であることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
上記ダミー部材は、上記基板の面に平行な通流部を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
振動子から得られる信号情報を処理する電子部品が搭載された基板の表面・裏面にそれぞれ形成された端子に第1のフレキシブル配線基板・第2のフレキシブル配線基板を接続する超音波プローブ製造方法において、
上記第1のフレキシブル配線基板の一端を、振動子に接合し、
上記第2のフレキシブル配線基板の一端を、上記振動子に接合し、
上記基板の表面に形成された端子及びこの端子に隣接する部位に接合材を重ねて配置し、
上記第1のフレキシブル配線基板の他端を、上記基板の表面に形成された端子上に配置し、
上記基板の表面に形成された端子に隣接する部位に、上記第1のフレキシブル配線基板と同等の剛性を有するダミー部材を配置し、
上記第1のフレキシブル配線基板、上記ダミー部材、上記接合材を上記基板側に向けて熱圧着し、
上記基板の裏面に形成された端子上に接合材を重ねて配置し、
上記第2のフレキシブル配線基板の他端を、上記基板の裏面に形成された端子上に配置し、
上記第2のフレキシブル配線基板、上記接合材を基板側に向けて熱圧着することを特徴とする超音波プローブ製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【公開番号】特開2012−200364(P2012−200364A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66748(P2011−66748)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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