説明

超音波処理装置用供給液の製造装置、超音波処理装置用供給液の製造方法及び超音波処理システム

【課題】超音波処理装置の伝播槽内の伝搬液中における超音波の減衰もしくはゆらぎ、処理槽内の処理液中における超音波の減衰もしくはゆらぎを抑制することができ、かつ処理槽の破損を防止することができる超音波処理装置用供給液の製造装置を提供する。
【解決手段】超音波処理装置の処理槽に処理液を供給する処理液供給手段と、超音波処理装置の伝播槽に伝播液を供給する伝播液供給手段と、処理液中の溶存ガス濃度を制御する処理液溶存ガス濃度制御手段と、伝播液中の溶存ガス濃度を制御する伝播液溶存ガス濃度制御手段と、を備え、伝播液溶存ガス濃度制御手段は、伝播液中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜10mg/Lの範囲に制御する超音波処理装置用供給液の製造装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を超音波で処理するための超音波処理装置用供給液の製造装置、超音波処理装置用供給液の製造方法及び超音波処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、フラットパネルディスプレイ、ハードディスク、ウェハ、ガラス基板、無機系および有機系の光学部材等の電子部品の製造工程等における部材(被処理物)について表面洗浄等の処理を施すための被処理物処理装置が知られている。例えば、処理槽に貯留された処理液中に被処理物を浸漬することにより、被処理物に所定の洗浄処理を行う洗浄装置が知られている。特に、近年では、処理液中において被処理物に超音波振動を付与し、超音波振動の物理的作用を利用して被処理物の表面等を洗浄する超音波洗浄装置が実用化されている。
【0003】
このような超音波洗浄装置は、超音波発振子を備え、超音波発振子から発生した超音波振動を所定の伝播液を介して処理槽内へ伝播させる。処理槽内に伝播した超音波振動は、処理槽内に貯留された処理液中を進行して被処理物の表面まで伝播し、被処理物の表面に物理的作用を与える。被処理物表面に付着した汚れ等は超音波振動による衝撃を受けて被処理物表面から遊離され、除去される。
【0004】
超音波洗浄槽を、内槽として、被処理物を処理するための処理液を貯留する処理槽と、外槽として、超音波発振子を備え、超音波発振子から発生する超音波振動を処理槽へ伝播させる伝播液を貯留する伝播槽との2重構造にした超音波洗浄装置が知られている。超音波洗浄槽を2重構造とすることにより、被処理物を洗浄するために清浄かつ高価な材料を用いることが必要な内槽に超音波発振子を取り付ける必要がなく、超音波発振子の交換等のメンテナンスを容易にしている。しかし、超音波洗浄槽を2重構造とすることで、超音波発振子から発せられた超音波が、外槽内の水中で減衰もしくはゆらぎが生じ、結果として、被処理物を洗浄する内槽内に達する超音波が減衰もしくはゆらぐことがある。
【0005】
特許文献1には、処理液供給部において処理液中に不活性ガスを溶解させる不活性ガス溶解部と、伝播水供給部において伝播水を脱気する脱気部とを備える基板処理装置が記載されている。この装置では、伝播水中に気泡が発生して超音波振動のエネルギーを減衰させるというおそれがなく、また、処理液中に溶解した不活性ガスがクッションの役割を果たすため、超音波振動により基板に与えられる衝撃が緩和されるとしている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−173677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のような基板処理装置では、伝搬水を脱気処理しているため、超音波発振子から発生する超音波振動が伝搬水を通じてほとんど減衰することなく処理槽へ伝播するので、処理槽の素材として、含まれる不純物が少なく破損しやすいガラス素材を用いている場合、処理槽の破損のおそれがあった。
【0008】
本発明は、超音波処理装置の伝播槽内の伝搬液中における超音波の減衰もしくはゆらぎ、処理槽内の処理液中における超音波の減衰もしくはゆらぎを抑制することができ、かつ処理槽の破損を防止することができる超音波処理装置用供給液の製造装置、超音波処理装置用供給液の製造方法及び超音波処理システムである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被処理物を処理するための処理液を貯留する処理槽と、超音波振動を発生させる超音波発振子と、前記処理槽の下方に配置され、前記超音波発振子から発生する超音波振動を前記処理槽へ伝播させる伝播液を貯留する伝播槽と、を備える超音波処理装置に前記処理液及び前記伝搬液を供給する超音波処理装置用供給液の製造装置であって、前記処理槽に処理液を供給する処理液供給手段と、前記伝播槽に伝播液を供給する伝播液供給手段と、前記処理液中の溶存ガス濃度を制御する処理液溶存ガス濃度制御手段と、前記伝播液中の溶存ガス濃度を制御する伝播液溶存ガス濃度制御手段と、を備え、前記伝播液溶存ガス濃度制御手段は、前記伝播液中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜10mg/Lの範囲に制御する超音波処理装置用供給液の製造装置である。
【0010】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記伝播液溶存ガス濃度制御手段は、前記伝播液中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜1mg/Lの範囲に制御することが好ましい。
【0011】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記伝播液溶存ガス濃度制御手段は、前記伝播液中の溶存ガス濃度の変動幅を10mg/L以下に制御することが好ましい。
【0012】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記伝播液溶存ガス濃度制御手段は、前記伝播液中の溶存ガス濃度の変動幅を1mg/L以下に制御することが好ましい。
【0013】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記処理液溶存ガス濃度制御手段は、前記処理液中の溶存ガス濃度の変動幅を10mg/L以下に制御することが好ましい。
【0014】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記処理液溶存ガス濃度制御手段は、前記処理液中の溶存ガス濃度の変動幅を1mg/L以下に制御することが好ましい。
【0015】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記伝播液中の溶存ガスが、窒素ガス及び酸素ガスのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0016】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記処理液中の溶存ガスが、酸素ガス、オゾンガス、塩素ガスのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0017】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記処理液中の溶存ガスが、窒素ガス、アルゴンガス、水素ガスのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0018】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記処理液中の溶存ガスが窒素ガスであり、前記処理液中に溶存する窒素ガスの濃度が5mg/L〜20mg/Lの範囲であることが好ましい。
【0019】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記処理液中の溶存ガスが水素ガスであり、前記処理液中に溶存する水素ガスの濃度が0.5mg/L〜2mg/Lの範囲であることが好ましい。
【0020】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記処理液供給手段及び前記伝播液供給手段は、処理液あるいは伝播液を脱ガス処理する脱ガス手段と、処理液あるいは伝播液にガスを溶解させるガス溶解手段とを備えることが好ましい。
【0021】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記処理液供給手段は、処理液のpHを調整するpH調整手段を備えることが好ましい。
【0022】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記pH調整手段は、処理液に炭酸ガス及びアンモニアガスのうち少なくとも1つを溶解してpHを調整することが好ましい。
【0023】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記処理槽から排出される処理液を前記伝播液供給手段に供給する供給手段を備えることが好ましい。
【0024】
また、前記超音波処理装置用供給液の製造装置において、前記処理液供給手段及び前記伝播液供給手段が1つの供給系として構成されていることが好ましい。
【0025】
また、本発明は、被処理物を処理するための処理液を貯留する処理槽と、超音波振動を発生させる超音波発振子と、前記処理槽の下方に配置され、前記超音波発振子から発生する超音波振動を前記処理槽へ伝播させる伝播液を貯留する伝播槽と、を備える超音波処理装置に前記処理液及び前記伝搬液を供給する超音波処理装置用供給液の製造方法であって、前記処理液中の溶存ガス濃度を制御して、前記処理槽に処理液を供給し、前記伝播液中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜10mg/Lの範囲に制御して、前記伝播槽に伝播液を供給する超音波処理装置用供給液の製造方法である。
【0026】
また、本発明は、被処理物を処理するための処理液を貯留する処理槽と、超音波振動を発生させる超音波発振子と、前記処理槽の下方に配置され、前記超音波発振子から発生する超音波振動を前記処理槽へ伝播させる伝播液を貯留する伝播槽と、を備える超音波処理装置と、前記処理槽に処理液を供給する処理液供給手段と、前記伝播槽に伝播液を供給する伝播液供給手段と、前記処理液中の溶存ガス濃度を制御する処理液溶存ガス濃度制御手段と、前記伝播液中の溶存ガス濃度を制御する伝播液溶存ガス濃度制御手段と、を備え、前記伝播液溶存ガス濃度制御手段は、前記伝播液中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜10mg/Lの範囲に制御する超音波処理装置用供給液の製造装置と、を有する超音波処理システムである。
【0027】
また、前記超音波処理システムにおいて、前記超音波振動の周波数が、100kHz〜3MHzの範囲であることが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、処理槽と超音波発振子と伝播槽とを備える超音波処理装置に供給する、処理液中の溶存ガス濃度を制御し、伝播液中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜10mg/Lの範囲に制御することにより、伝播槽内の伝搬液中における超音波の減衰もしくはゆらぎ、処理槽内の処理液中における超音波の減衰もしくはゆらぎを抑制することができ、かつ処理槽の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0030】
本発明の実施形態に係る超音波処理システムの一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。超音波処理システム1は、超音波処理装置10と、超音波処理装置用の供給液製造装置12とを備える。
【0031】
超音波処理装置10は、被処理物を処理するための処理液を貯留する処理槽14と、超音波振動を発生させる超音波発振子16と、処理槽14の下方に配置され、超音波発振子16から発生する超音波振動を処理槽14へ伝播させる伝播液を貯留する伝播槽18と、を備える。
【0032】
超音波処理装置用の供給液製造装置12は、超音波処理装置10の処理槽14に処理液を供給する処理液供給手段である処理液供給装置20と、伝播槽18に伝播液を供給する伝播液供給手段である伝播液供給装置22と、処理液中の溶存ガス濃度を制御する処理液溶存ガス濃度制御手段及び伝播液中の溶存ガス濃度を制御する伝播液溶存ガス濃度制御手段である制御部24と、を備える。処理液供給装置20は、処理液を脱ガス処理する脱ガス手段である脱ガス装置26と、処理液にガスを溶解させるガス溶解手段であるガス溶解装置28と、必要に応じて処理液のpHを調整するpH調整手段であるpH調整装置30とを備え、伝播液供給装置22は、伝播液を脱ガス処理する脱ガス手段である脱ガス装置32と、伝播液にガスを溶解させるガス溶解手段であるガス溶解装置34とを備える。
【0033】
図1の超音波処理システム1において、脱ガス装置26の出口とガス溶解装置28の入口、ガス溶解装置28の出口とpH調整装置30の入口、pH調整装置30の出口と処理槽14の下部が配管等により接続されている。また、脱ガス装置32の出口とガス溶解装置34の入口、ガス溶解装置34の出口と伝播槽18の下部が配管等により接続されている。伝播槽18には超音波の伝搬媒体となる伝搬液38が貯留されており、伝播槽18の外底面には超音波発振子16が取り付けられている。超音波発振子16には超音波発振器46が電気的等に接続されている。処理槽14には被処理物44を処理するための処理液36が貯留されており、伝播槽18に貯留された伝搬液38に処理槽14の底部が浸漬されている。処理槽14の外側面の上端には外槽40が設けられており、外槽40は配管等を介して排液ラインに接続されている。また、伝播槽18の外側面の上端には外槽42が設けられており、外槽42は配管等を介して排液ラインに接続されている。脱ガス装置26、ガス溶解装置28、pH調整装置30、脱ガス装置32、ガス溶解装置34、超音波発振器46には、CPUやメモリ等を備えるコンピュータ等により構成された制御部24が電気的等に接続されている。
【0034】
本実施形態に係る超音波処理装置用供給液の製造方法及び供給液製造装置12、超音波処理システム1の動作について説明する。
【0035】
水等の処理液は、脱ガス装置26の入口から脱ガス装置26に供給され、ここで脱ガス処理される。脱ガス処理された処理液はガス溶解装置28の入口からガス溶解装置28に供給され、ここで所定の濃度となるようにガスが溶解される。ガス濃度が調整された処理液はpH調整装置30の入口からpH調整装置30に供給され、ここで所定のpHに調整される。pH調整された処理液は処理槽14に供給される。
【0036】
一方、水等の伝搬液は、脱ガス装置32の入口から脱ガス装置32に供給され、ここで脱ガス処理される。脱ガス処理された伝搬液はガス溶解装置34の入口からガス溶解装置34に供給され、ここで所定の濃度となるようにガスが溶解される。ガス濃度が調整された伝搬液は伝搬槽18に供給される。
【0037】
処理槽14は、被処理物44を浸漬するための処理液36を貯留する容器である。処理槽14の上面は開放されており、このため、処理液供給装置20のpH調整装置30から供給された処理液36は処理槽14内を上方へ向かって流れ、やがて上部の開口部から外槽40へオーバーフローする。そして、外槽40へオーバーフローした処理液36は配管等を介して排液ラインへ排出される。処理液36の供給は通常、処理槽14に被処理物44が浸漬される前から、処理槽14における被処理物44の処理が完了するまで、継続される。必要に応じて、処理槽14において処理液36を加熱または冷却してもよい。また、処理槽14の上面は密閉されていてもよい。
【0038】
伝播槽18は、超音波振動の伝播媒体となる伝播液38を貯留するための容器である。伝播槽18の上面は開放されており、このため、伝播液供給装置22のガス溶解装置34から供給された伝播液38は伝播槽18内を上方へ向かって流れ、やがて上部の開口部から外槽42へオーバーフローする。そして、外槽42へオーバーフローした伝播液38は配管等を介して排液ラインへ排出される。必要に応じて、伝搬槽18において伝搬液38を加熱または冷却してもよい。また、伝搬槽18の上面は密閉されていてもよい。
【0039】
処理槽14内の処理液36に被処理物44が浸漬された後、超音波発振子16に接続された超音波発振器46を動作させると、超音波発振子16が発振して、超音波振動が発生する。超音波発振子16から発生した超音波振動は、伝播槽18の底部、伝播槽18内の伝播液38中、処理槽14の底部、処理槽14内の処理液36中を順に伝播して行き、処理液36中に浸漬された被処理物44へ到達する。これにより、被処理物44の超音波処理が所定の時間、所定の温度で行われる。なお、超音波発振器46は、制御部24から与えられる信号等に基づいて動作する。伝播液38の供給は通常、処理槽14に被処理物44が浸漬される前から、処理槽14における被処理物44の処理が完了するまで、継続される。
【0040】
この超音波処理システム1を用いて例えば被処理物44の表面洗浄処理を行う場合、被処理物44の表面に付着した汚れ等は、超音波振動の衝撃を受けて被処理物44の表面から遊離する。また、処理槽14内には、槽内の下方から上方へ向かう処理液36の流れが形成されている。このため、被処理物44の表面から遊離した汚れ等は、処理液36の流れに乗って処理槽14の上部へ運搬される。汚れ等は、処理槽14の上部において処理液36とともに外槽40へ運搬され、配管等を介して排液ラインへ排出される。
【0041】
超音波振動の付与を所定時間継続した後、超音波発振子16の動作を停止させ、処理液36の供給を継続する。処理液36中に残存する汚れ等は、処理液36の流れに乗って外槽40へ運搬され、配管等を介して排液ラインへ排出される。これにより、処理槽14内に残存する汚れ等が被処理物44へ再付着することが防止される。
【0042】
その後、処理液36の供給を停止し、処理槽14内から被処理物44を搬出する。以上をもって、超音波処理システム1における被処理物44の超音波処理が終了する。被処理物44を搬出した後、被処理物44に対して乾燥処理が行われてもよい。
【0043】
本実施形態において、伝播液38中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜10mg/Lの範囲に制御し、さらには0.2mg/L〜1mg/Lの範囲に制御することが好ましい。伝播液38中の溶存ガス濃度が0.2mg/L未満であると、処理槽14の素材として、含まれる不純物が少なく破損しやすいガラス素材を用いた場合に処理槽14が破損する場合がある。伝播液38中の溶存ガス濃度が10mg/Lを超えると、伝播槽18内において超音波が減衰してしまう。
【0044】
また、伝播液38中の溶存ガス濃度の変動幅を10mg/L以下に制御することが好ましく、1mg/L以下に制御することがより好ましい。伝播液38中の溶存ガス濃度の変動幅が10mg/Lを超えると、伝播槽18内において超音波がゆらぐ場合がある。
【0045】
また、本実施形態において、処理液36中の溶存ガス濃度の変動幅を10mg/L以下に制御することが好ましく、1mg/L以下に制御することがより好ましい。処理液36中の溶存ガス濃度の変動幅が10mg/Lを超えると、処理槽14内において超音波がゆらぐ場合がある。
【0046】
伝播液38中の溶存ガスとしては、特に制限はないが、窒素ガス及び酸素ガスのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0047】
処理液36中の溶存ガスとしては、特に制限はないが、酸素ガス、オゾンガス、塩素ガス等の酸化性ガスのうち少なくとも1つ、あるいは、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス、水素ガス等の還元性ガスのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。処理液36中の溶存ガスは被処理物の処理目的等に応じて選択すればよい。例えば、被処理物表面の有機物等を分解する場合は酸化性ガスを、被処理物表面の微粒子等を除去する場合には、不活性ガスを用いることができる。
【0048】
溶存ガスが窒素ガスの場合、処理液36中に溶存する窒素ガスの濃度は、5mg/L〜20mg/Lの範囲であることが好ましい。また、溶存ガスが水素ガスの場合、処理液36中に溶存する水素ガスの濃度は、0.5mg/L〜2mg/Lの範囲であることが好ましい。処理液36中に溶存する窒素ガスの濃度が5mg/L未満では洗浄処理等が不十分となる場合があり、20mg/Lを超えると、処理液中で超音波が減衰し、被洗浄物への超音波伝搬が減少し、洗浄処理が不十分となる場合がある。処理液36中に溶存する水素ガスの濃度が0.5mg/L未満では洗浄処理等が不十分となる場合があり、2mg/Lを超えると、処理液中で超音波が減衰し、被洗浄物への超音波伝搬が減少し、洗浄処理が不十分となる場合がある。
【0049】
例えば、処理液36中の溶存ガスを窒素ガスまたは水素ガスとし、伝播液38中の溶存ガスを窒素ガスとすればよいが、これ以外の組み合わせでもかまわない。
【0050】
処理液、伝搬液としては、水、有機溶媒等が用いられるが、通常は水である。処理液に用いられる水としては純水、超純水が好ましい。
【0051】
処理槽14を構成する材質としては、含有するナトリウム等の不純物が少ない石英ガラス等が用いられる。また、通常、厚みが1mm以下のものが用いられる。
【0052】
用いられる超音波振動の周波数は、被処理物、処理目的等に応じて選択すれば良く特に制限はないが、100kHz〜3MHzの範囲であることが好ましい。被処理物を洗浄処理する場合、除去対象の付着物の大きさ等に応じて超音波振動の周波数を選択することができる。
【0053】
以上のように、伝播槽18内の伝播液38中の溶存ガスの濃度及び変動幅を制御することにより、伝播槽18内においてキャビテーションの発生を安定化、抑制し、超音波が減衰またはゆらぐことを抑制することができる。また、伝搬液38中の溶存ガスの濃度を0.2mg/L〜1mg/Lの範囲に制御しているため、超音波発振子から発生する超音波振動が伝搬液38を通じてほとんど減衰することなく処理槽14へ伝播し、かつ処理槽14の素材として、含まれる不純物が少なく破損しやすいガラス素材を用いていても、処理槽14の破損を防止することができる。
【0054】
また、処理槽14内の処理液36の溶存ガスの変動幅を制御することにより、処理槽14内で超音波がゆらぐことなく、かつ、被処理物表面において効率良くキャビテーションを発生させ処理効果を高めることができる。
【0055】
処理液供給装置20における脱ガス装置26、伝播液供給装置22における脱ガス装置32としては、例えば図2に示すように、ガス透過膜47で区画された一方の液供給通路48(一次側)に処理液あるいは伝播液を流すとともに、他方の通路50(二次側)を真空ポンプ51等を用いて減圧することにより、処理液あるいは伝播液中に含まれるガスをガス透過膜47を通して他方の通路50に移行させて除去する膜式脱ガス装置が用いられる。また、この膜式脱ガス装置の二次側の通路50にスイープガスを減圧下で供給することが、脱気効果が高まり処理水等の溶存ガス除去効果が更に高くなる点で好ましい。
【0056】
スイープガスとしては、特に限定されず、不活性ガスである希ガスや窒素ガスなどが挙げられる。特に、窒素は容易に入手でき、かつ高純度レベルでも安価であるため、好適に用いることができる。
【0057】
本実施形態において、脱ガス装置は、上記膜式脱ガス装置に限定されず、処理液あるいは伝播液に溶存する溶存ガスを除去するように構成されたものであればよい。例えば、充填材を充填した充填層の上部より処理液等を供給し、充填層を真空にすることで処理液等に含まれるガスを吐出させ除去する真空脱気塔等も用いることができる。脱ガス装置として真空脱気塔を用いた場合、当該装置から処理液等の中に不純物が混入したり、装置の充填物から処理液等の中に不純物が溶出したりすることがある上、装置が大型化する傾向にある。これに比較して膜式脱ガス装置を用いた場合、このような問題は生じず、好適な運転が可能である。
【0058】
処理液供給装置20におけるガス溶解装置28、伝播液供給装置22におけるガス溶解装置34としては、例えば図3に示すようなガス溶解装置が用いられる。図3のガス溶解装置28(または34)において、ガス透過膜52で区画された一方の液供給通路54に処理液あるいは伝播液を流すとともに、他方のガス供給通路56に溶解させるガスを供給する。ガスはガス透過膜52を通過して液供給通路54内に入り込み、ここで処理液あるいは伝播液に溶解されてガスが溶解した処理液あるいは伝播液が得られる。ガス溶解装置28(34)のガス供給通路56側には圧力調節手段である圧力調節計58が取り付けられている。圧力調節計58は図1に示す制御部24に電気的等に接続されている。
【0059】
ここで、圧力調節計58は、ガス溶解装置28(34)内の(より詳しくは当該装置のガス供給通路56内の)ガス圧力が一定の圧力となるように予め設定調整されている。そのため、液供給通路54内において処理液あるいは伝播液とガスが接触した際、上記設定圧に基づいたガス溶解量が得られ、所定の溶存ガス濃度及び溶存ガス濃度変動幅を有する処理液あるいは伝播液が得られる。
【0060】
圧力調節計58によって設定されるガス圧力を変えることによって、処理液あるいは伝播液における溶存ガス濃度を所定のガス濃度に調整することができる。
【0061】
ガス溶解装置28(34)に送られる処理液あるいは伝播液の供給流量に変動が生じると、ガスの溶解量に変動が生じ、それによりガス供給通路56内のガス圧にも変動が生じるが、圧力調節計58の働きで速やかに所定の設定圧に復帰する。
【0062】
例えば、処理液あるいは伝播液の供給流量が増大した場合、ガスの溶解量も増え、そのためガス供給通路56内のガス圧は低下する。このガス圧が設定圧未満になると、その圧力低下を圧力調節計58のセンサ等が検知して電気信号を出力し、制御部24によりガス溶解装置28(34)のガス供給通路56に供給されるガスの供給量が増大するように調整され、ガス供給通路56内のガス圧が増大し、速やかに設定圧に復帰する。したがって、設定圧に基づいた所定のガス溶解量及び変動幅が得られる。
【0063】
このように、ガス供給通路56内のガス圧は一定圧力に制御されるので、処理液あるいは伝播液の供給流量が増大してもガス圧に相応した所定のガス溶解量が得られ、溶解ガス濃度が一定であるガス溶解液が得られる。
【0064】
逆に、処理液あるいは伝播液の供給流量が減少した場合には、ガスの溶解量が低下し、そのためガス供給通路56内のガス圧が設定圧よりも高くなるが、この場合にはその圧力上昇を圧力調節計58のセンサ等が検知して電気信号を出力し、制御部24によりガス溶解装置28(34)のガス供給通路56に供給されるガスの供給量が減少するように調整され、ガス供給通路56内のガス圧が低下し、速やかに設定圧に復帰する。したがって、設定圧に基づいた所定のガス溶解量及び変動幅が得られる。
【0065】
圧力調節計58の取付位置はガス供給通路56の入口でも、ガス供給通路56の内部でもよく、その取付位置は任意である。また圧力調節計58はガス溶解装置28(34)に直接取り付けることに限定されず、例えばガスを供給する供給管等の任意の位置に取り付けてもよい。
【0066】
上記膜式脱ガス装置及びガス溶解装置28(34)におけるガス透過膜47,52としては、所定のガス透過性および液体不透過性を有する膜であれば良く特に制限はないが、例えば、シリコン等の親ガス性素材からなるものや、フッ素系樹脂等の撥水性素材からなる膜にガスが透過できる多数の微細孔を設け、ガスは透過するが水は透過しないように構成したもの等が用いられる。ガス透過膜47,52は例えば中空糸状構造として構成することができる。ガス透過膜52を中空糸状構造に形成した場合、ガス溶解の方法として中空糸の内空部側から外側にガスを透過させる方法、中空糸の外側から内空部側にガスを透過させる方法のいずれの方法も採用することができる。
【0067】
必要に応じて用いられるpH調整装置としては、処理液のpHを調整できるものであればよく特に制限はないが、処理液に炭酸ガス及びアンモニアのうち少なくとも1つを溶解してpHを調整するものであることが好ましい。炭酸ガスを用いることにより、処理液のpHを例えばpH2〜6、好ましくはpH5付近の酸性に調整することができる。また、アンモニアを用いることにより、処理液のpHを例えばpH8〜11、好ましくはpH9付近のアルカリ性に調整することができる。処理液のpHは被処理物、処理目的等に応じて設定すれば良く特に制限はない。
【0068】
図1に示す超音波処理装置10用の供給液製造装置12では、処理液供給装置20と伝播液供給装置22とを、別個独立の供給系として構成しているが、図4に示すように同じ供給系として構成してもよい。
【0069】
図4の超音波処理システム3は、超音波処理装置10と、超音波処理装置用の供給液製造装置60とを備える。
【0070】
超音波処理装置用の供給液製造装置60は、超音波処理装置10の処理槽14に処理液を供給する処理液供給手段及び伝播槽18に伝播液を供給する伝播液供給手段を同じ供給系として備える。供給液製造装置60は、脱ガス手段である脱ガス装置62と、ガス溶解手段であるガス溶解装置64と、必要に応じてpH調整手段であるpH調整装置30とを備える。
【0071】
図4の超音波処理システム3において、脱ガス装置62の出口とガス溶解装置64の入口、ガス溶解装置64の出口とpH調整装置30の入口、pH調整装置30の出口と処理槽14の下部が配管等により接続されている。また、脱ガス装置64の出口とpH調整装置30の入口とを接続する配管等の途中が分岐され、伝播槽18の下部に接続されている。脱ガス装置62、ガス溶解装置64、pH調整装置30、超音波発振器46には、制御部24が電気的等に接続されている。
【0072】
処理液及び伝搬液として供給される供給液は脱ガス装置62に供給され、ここで脱ガス処理される。脱ガス処理された供給液はガス溶解装置64に供給され、ここで所定の濃度となるようにガスが溶解される。ガス濃度が調整された処理液の少なくとも一部はpH調整装置30に供給され、ここで所定のpHに調整される。pH調整された供給液は、処理液として処理槽14に供給される。一方、ガス濃度が調整された処理液の少なくとも一部は伝搬液として伝搬槽18に供給される。処理液及び伝搬液の流量等の調整は配管等の分岐点に設置したバルブ等により行われる。
【0073】
本実施形態により、処理液供給装置20と伝播液供給装置22とを同じ供給系として、簡易な装置構成とすることができる。
【0074】
本実施形態に係る超音波処理システムにおいて、超音波処理装置の処理槽が備える外槽に排出される処理液を伝搬液として利用してもよい。
【0075】
図5にこのような超音波処理システムの一例の概略構成を示す。
【0076】
図5の超音波処理システム5において、処理槽14の外側面の上端には外槽40が設けられており、外槽40は、処理槽14から排出される処理液を伝播液供給装置22の脱ガス装置32に供給する供給手段である配管等を介して、脱ガス装置32への伝搬液の供給配管に接続されている。
【0077】
処理液供給装置20のpH調整装置30から供給された処理液36は処理槽14内を上方へ向かって流れ、やがて上部の開口部から外槽40へオーバーフローする。そして、外槽40へオーバーフローした処理液36は配管等を介して伝播液供給装置22の脱ガス装置32へ供給される。
【0078】
処理槽14から供給された処理液は、伝搬液として脱ガス装置32に供給され、以降同様にして、脱ガス処理が施され、ガス濃度が調整された後、伝搬槽18に供給される。伝播液38は伝播槽18内を上方へ向かって流れ、やがて上部の開口部から外槽42へオーバーフローする。そして、外槽42へオーバーフローした伝播液38は配管等を介して排液ラインへ排出される。
【0079】
本構成により、処理液及び伝搬液として用いる供給液の使用量を低減することができる。
【0080】
本実施形態に係る供給液製造装置を含む超音波処理システムは、半導体、フラットパネルディスプレイ、ハードディスク、ウェハ、ガラス基板、無機系および有機系の光学部材等の電子部品の製造工程等における部材(被処理物)、それらの関連部材の表面洗浄等の超音波処理に用いることができる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
図1に示す超音波処理装置用の供給液製造装置を用いて、処理液供給装置における脱ガス装置、伝播液供給装置における脱ガス装置として図2に示す膜式脱ガス装置を、処理液供給装置におけるガス溶解装置、伝播液供給装置におけるガス溶解装置として図3に示すガス溶解装置を、pH調整装置として処理液に炭酸ガス(あるいはアンモニア)を溶解してpHを調整する装置を用いて、処理液中の溶存ガス(窒素ガス)濃度を10mg/L(変動幅2.0mg/L)、伝播液中の溶存ガス(窒素ガス)濃度を0.5mg/L(変動幅0.2mg/L)に制御して、被処理物(シリコンウェハ)の超音波洗浄処理を行った。その他の処理条件は以下の通りとした。なお、処理液中及び伝播液中の溶存ガス濃度、溶存ガス濃度の変動幅は、溶存水素濃度計((株)アプリクス製、HYA−110S)、溶存窒素濃度計(オービスフェアラボラトリー社製、Mode3621)を用いて測定した。
【0083】
伝播液中の溶存ガス:窒素ガス
処理液中の溶存ガス:窒素ガス
処理液pH:9.0±0.2
超音波振動の周波数:950kHz
処理時間:10分
処理温度:25℃
【0084】
(比較例1)
伝播液供給装置においてガス溶解装置を使用せず、膜式脱ガス装置による脱ガスのみを行った以外は実施例1と同様にして、被処理物の超音波洗浄処理を行った。伝播液中の溶存ガス濃度は0.1mg/L(変動幅0.05mg/L)であった。
【0085】
実施例1では、伝播槽内の伝搬液中における超音波の減衰もしくはゆらぎ、処理槽内の処理液中における超音波の減衰もしくはゆらぎを抑制することができ、かつ処理槽の破損を防止することができた。一方、比較例1では、処理槽の破損を防止することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波処理装置用の供給液製造装置を含む超音波処理システムの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る供給液製造装置における脱ガス装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る供給液製造装置におけるガス溶解装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る超音波処理装置用の供給液製造装置を含む超音波処理システムの他の例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る超音波処理装置用の供給液製造装置を含む超音波処理システムの他の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0087】
1,3,5 超音波処理システム、10 超音波処理装置、12,60 供給液製造装置、14 処理槽、16 超音波発振子、18 伝播槽、20 処理液供給装置、22 伝播液供給装置、24 制御部、26,32,62 脱ガス装置、28,34,64 ガス溶解装置、30 pH調整装置、36 処理液、38 伝搬液、40,42 外槽、44 被処理物、46 超音波発振器、47,52 ガス透過膜、48 液供給通路(一次側)、50 通路(二次側)、51 真空ポンプ、54 液供給通路、56 ガス供給通路、58 圧力調節計。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を処理するための処理液を貯留する処理槽と、超音波振動を発生させる超音波発振子と、前記処理槽の下方に配置され、前記超音波発振子から発生する超音波振動を前記処理槽へ伝播させる伝播液を貯留する伝播槽と、を備える超音波処理装置に前記処理液及び前記伝搬液を供給する超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理槽に処理液を供給する処理液供給手段と、
前記伝播槽に伝播液を供給する伝播液供給手段と、
前記処理液中の溶存ガス濃度を制御する処理液溶存ガス濃度制御手段と、
前記伝播液中の溶存ガス濃度を制御する伝播液溶存ガス濃度制御手段と、
を備え、
前記伝播液溶存ガス濃度制御手段は、前記伝播液中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜10mg/Lの範囲に制御することを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記伝播液溶存ガス濃度制御手段は、前記伝播液中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜1mg/Lの範囲に制御することを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記伝播液溶存ガス濃度制御手段は、前記伝播液中の溶存ガス濃度の変動幅を10mg/L以下に制御することを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記伝播液溶存ガス濃度制御手段は、前記伝播液中の溶存ガス濃度の変動幅を1mg/L以下に制御することを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理液溶存ガス濃度制御手段は、前記処理液中の溶存ガス濃度の変動幅を10mg/L以下に制御することを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理液溶存ガス濃度制御手段は、前記処理液中の溶存ガス濃度の変動幅を1mg/L以下に制御することを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記伝播液中の溶存ガスが、窒素ガス及び酸素ガスのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理液中の溶存ガスが、酸素ガス、オゾンガス、塩素ガスのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理液中の溶存ガスが、窒素ガス、アルゴンガス、水素ガスのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項10】
請求項9に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理液中の溶存ガスが窒素ガスであり、前記処理液中に溶存する窒素ガスの濃度が5mg/L〜20mg/Lの範囲であることを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項11】
請求項9に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理液中の溶存ガスが水素ガスであり、前記処理液中に溶存する水素ガスの濃度が0.5mg/L〜2mg/Lの範囲であることを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理液供給手段及び前記伝播液供給手段は、処理液あるいは伝播液を脱ガス処理する脱ガス手段と、処理液あるいは伝播液にガスを溶解させるガス溶解手段とを備えることを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項13】
請求項12に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理液供給手段は、処理液のpHを調整するpH調整手段を備えることを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項14】
請求項13に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記pH調整手段は、処理液に炭酸ガス及びアンモニアガスのうち少なくとも1つを溶解してpHを調整することを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理槽から排出される処理液を前記伝播液供給手段に供給する供給手段を備えることを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の超音波処理装置用供給液の製造装置であって、
前記処理液供給手段及び前記伝播液供給手段が1つの供給系として構成されていることを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造装置。
【請求項17】
被処理物を処理するための処理液を貯留する処理槽と、超音波振動を発生させる超音波発振子と、前記処理槽の下方に配置され、前記超音波発振子から発生する超音波振動を前記処理槽へ伝播させる伝播液を貯留する伝播槽と、を備える超音波処理装置に前記処理液及び前記伝搬液を供給する超音波処理装置用供給液の製造方法であって、
前記処理液中の溶存ガス濃度を制御して、前記処理槽に処理液を供給し、
前記伝播液中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜10mg/Lの範囲に制御して、前記伝播槽に伝播液を供給することを特徴とする超音波処理装置用供給液の製造方法。
【請求項18】
被処理物を処理するための処理液を貯留する処理槽と、超音波振動を発生させる超音波発振子と、前記処理槽の下方に配置され、前記超音波発振子から発生する超音波振動を前記処理槽へ伝播させる伝播液を貯留する伝播槽と、を備える超音波処理装置と、
前記処理槽に処理液を供給する処理液供給手段と、
前記伝播槽に伝播液を供給する伝播液供給手段と、
前記処理液中の溶存ガス濃度を制御する処理液溶存ガス濃度制御手段と、
前記伝播液中の溶存ガス濃度を制御する伝播液溶存ガス濃度制御手段と、
を備え、
前記伝播液溶存ガス濃度制御手段は、前記伝播液中の溶存ガス濃度を0.2mg/L〜10mg/Lの範囲に制御する超音波処理装置用供給液の製造装置と、
を有することを特徴とする超音波処理システム。
【請求項19】
請求項18に記載の超音波処理システムであって、
前記超音波振動の周波数が、100kHz〜3MHzの範囲であることを特徴とする超音波処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−46570(P2010−46570A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210773(P2008−210773)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】