説明

超音波刃物装置

【課題】 従来の超音波カッターでは、カッター刃が被切断物に長く接触されていると、摩擦振動により加熱され、被切断物が食料の場合は、この加熱によって変性するという問題があった。
【解決手段】 鋸状刃物1は一方の側面1aに複数の三日月状の両刃1bが形成され、鋸状刃物1の基部1dにネジ孔1eが2個形成され、基部1dの幅より先端1fの幅は約1/2程度であるように構成されており、ケース2にランジュバン型振動子4のホーン部材6が突出するように装着され、ホーン部材6の固定部6aの二股部6bに鋸状刃物1の基部1dを挿入し、固定部6aのネジ孔と鋸状刃物1のネジ孔1eにネジを通して固定して、鋸状刃物1をランジュバン型振動子4を一体に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋸状刃に複数の三日月状両刃を形成して、超音波振動により切断するようにした超音波刃物装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カッター刃を装着した刃ホルダーをランジュバン型振動子の支持部にネジ止めするように構成した超音波カッターを本出願人が提案している。
【0003】
しかしながら、このように構成した従来の超音波カッターでは、紙や木などのようにある程度堅さがあるものは切断されやすいが、生マグロやパン又はケー句などの弾力性があって柔らかいものでは、普通のカッターのように押し切る状態となり、超音波振動が活かされず、又、超音波カッターのカッター刃が被切断物に長く接触されていると、摩擦振動により加熱され、被切断物が食料の場合は、この加熱によって変性するという問題があった。
【特許文献1】特開2003−71789
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、従来の超音波カッターでは、カッター刃が被切断物に長く接触されていると、摩擦振動により加熱され、被切断物が食料の場合は、この加熱によって変性するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、ランジュバン型振動子はケースに振動可能に装着され、ホーン部材はランジュバン型振動子に固着され、ホーン部材に長尺の鋸状刃の基部が固着され、長尺の鋸状刃の片側に複数の三日月状の両刃が形成され、長尺の鋸状刃の先端の幅が前記基部の幅のほぼ1/2程度に形成され、ランジュバン型振動子に発振器から発振出力を印可して、ランジュバン型振動子を縦振動で駆動することにより、鋸状刃で被切断物を切断するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の超音波刃物装置では、発振器からの発振出力でランジュバン型振動子に発振出力を印可すると、鋸状刃が縦振動により振動され、この振動によって複数の三日月状の両刃が被切断物を切断するので、この切断が抵抗無く行われ、マグロやサンドイッチ等が抵抗無く切断され、振動熱が発生しないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、マグロや肉やパン等の食料品を複数の三日月状の両刃の鋸状刃をランジュバン型振動子の縦振動により振動させることにより、切断抵抗が無く、
スムーズに弾力性のある食品又は冷凍食品等を切断することができる。
【実施例】
【0008】
図1は本発明の実施例の超音波刃物装置の鋸状刃物の側面図、図2は超音波刃物装置のランジュバン型振動子とケースの構成を示した断面図で、鋸状刃物1は一方の側面1aに複数の三日月状の両刃1bが形成され、他方の側面1cには刃がもうけられておらず、又、鋸状刃物1の基部1dにネジ孔1eが2個形成され、基部1dの幅より先端1fの幅は約1/2程度であるようにように構成されている。
【0009】
又、図2に示すように、ケース2の内部にランジュバン型振動子4が内蔵されるが、ランジュバン型振動子4は圧電振動子4a、4bの両側に金属ブロック4c、4dが一体に構成され、金属ブロック4cの中心にネジ5が固着され、このネジ5にホーン部材6が一体に装着され、ホーン部材6の固定部6aは上方から切り込まれた二股部6bが形成され、この切り込み6bの片側に挿入穴6cとねじ切り穴6dが上下に形成され、他の片側にねじ切り穴6eと挿入穴6fが上下にそれぞれ対向して形成されたネジ穴が設けられ、このホーン部材6の固定部が6aがケース2の開放された一方の端部2aから突出し、この開放された端部2aの段付き部2bにパッキン3が装着され、このパッキン3の上にホーン部材6に形成された支持部材6gが載置され、支持部材6gの上にボール部材7が載置され、このボール部材7の上に押さえ部材8が固着され、又、押さえ部材8の中央に挿通孔8aが形成され、ランジュバン型振動子4のホーン部6の固定部6aが突出するように形成され、図1の鋸状刃物1を図2のランジュバン型振動子4のホーン部4aに接続するために、固定部材6aの二股部6bに鋸状刃物1の基部1dが挿入され、二股部6aに挿入穴6a、6fにネジが挿入され、ねじ切り穴6d、6eでネジが締め付けられて鋸状刃物1とランジュバン型振動子4を図3に示すように一体に構成する。
【0010】
このように構成した本実施例の超音波刃物装置では、ケーブル線9を介して発振器(図示せず)から発振出力をランジュバン型振動子4の圧電体振動子4a、4bに発振出力を印可すると、鋸状刃物1の先端1fが基部1dの1/2程度に形成されているので、超音波の定在波による切断むらがなく、ランジュバン型振動子4によって鋸状刃物1が長さ方向に振動されるので、三日月状の両刃が細かく縦方向に振動し、被切断物を抵抗無く切断することができ、又、鋸状刃物1が三日月状に構成されているので、鋸状刃物1の両刃の切断部分が常に移動し、被切断物と鋸状刃物1の切断部の接触部分が変化するので、摩擦熱により加熱されることがない。
【0011】
本発明は、このように鋸状刃物1の切断部を三日月状の両刃に構成することにより、被切断部が非常に良く切断され、鋸状刃物1と被切断部との摩擦もなく、生マグロ等の魚類、肉類、冷凍類等が非常に良く切断できるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0012】
なお、本発明の超音波刃物装置では、鋸状刃物1の切断部を三日月状の両刃に形成したが、三角形に突出した両刃を形成しても、生マグロ等の魚類、肉類、冷凍類等が非常に良く切断できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例の超音波刃物装置の鋸状刃物の側面図である。
【図2】図2は超音波刃物装置のランジュバン型振動子とケースの構成を示した断面図である。
【図3】図3は超音波刃物装置の側面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 鋸状刃物
2 ケース
3 パッキン
4 ランジュバン型振動子
5 ネジ
6 ホーン部材
7 ボール部材
8 押さえ部材
9 ケーブル線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに振動可能に装着されたランジュバン型振動子と、該ランジュバン型振動子に固着されたホーン部材と、該該ホーン部材に基部が固着され、片側に複数の三日月状の両刃が形成され、先端の幅が前記基部の幅のほぼ1/2程度に形成された長尺の鋸状刃とからなり、前記ランジュバン型振動子に発振器から発振出力を印可して、前記ランジュバン型振動子を縦振動で駆動することにより、前記鋸状刃で被切断物を切断することを特徴とする超音波刃物装置。
【請求項2】
前記ホーン部材の二股部に前記鋸状刃の基部を挿入し、前記二股部側面に形成されたネジ孔及び前記鋸状刃の基部に形成されたネジ孔にネジを挿入して固定することを特徴とする請求項1記載の超音波刃物装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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