Array ( [harmful] => 0 [next] => Array ( [id] => A,2008-197004 [meishou] => ナビゲーション装置及びナビゲーション方法 ) [prev] => Array ( [id] => A,2008-197002 [meishou] => 磁気センサ ) ) 超音波探傷検査方法

超音波探傷検査方法

【課題】超音波を利用し、被検体の検査を確実且つ迅速に行うことが可能な超音波探傷検査方法を提供する。
【解決手段】被検体に超音波を照射し、被検体の内部に伝搬して反射したエコーEを捉えて被検体の内部欠陥の有無を判別する超音波探傷検査方法において、被検体の内部に伝搬した超音波が伝搬径路を往復するように被検体の底面で反射して検出される底面エコーE2に対し、被検体の内部で複数回反射し、遅れて検出される遅れエコーE3を捉え、遅れエコーE3の強さの大小を基に被検体の内部欠陥の有無を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば切削工具の素材として用いられる超硬質合金やセラミックスなどの被検体に対し、巣やクラックなどの内部欠陥の有無を確認するための超音波探傷検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばドリルやエンドミル等の切削工具の素材として超硬質合金やセラミックスなどが用いられている。切削工具は、その使用時に折損などの発生を防止するため、加工前の工具素材の段階で例えば巣やクラックなどの欠陥を見付け出し、不良の工具素材を排除して品質を確保するようにしている。一般に、この種の工具素材(被検体)の検査は、検査者が目視で欠陥の有無を確認する外観検査によって行われ、この外観検査で不良品が検出された場合には、その工具素材と同工程で製造した工具素材の全数検査や、工具素材の物理的、機械的性質を曲げ試験や抗折試験などで確認して、不良品を排除するようにしている。しかしながら、このような外観検査では、工具素材の内部に生じた欠陥を検出することができず、不良品の検査漏れが生じたり、また、検査に多大な時間を要するという問題があった。このため、工具素材の内部欠陥を確実に且つ迅速に検出可能な検査方法が強く望まれていた。
【0003】
これに対し、従来、金属材料や溶接部などの欠陥を検出する非破壊検査方法として超音波探傷検査方法が多用されている。この超音波探傷検査方法は、例えば特許文献1や非特許文献1に示されるように、探触子から被検体に超音波(超音波ビーム)を例えばパルス波として照射する。そして、被検体の表面で反射した反射波を表面エコーとして検出し、また、被検体の内部に伝搬し被検体の底面(裏面)で反射した反射波を表面エコーよりも時間的に遅れる底面エコーとして検出する。このとき、被検体の内部に欠陥がある場合には、内部に伝搬した超音波が底面に達する前に欠陥で反射するため、表面エコーと底面エコーの間に、欠陥で反射した欠陥エコーが検出される。そして、この欠陥エコーの強さ(欠陥エコーの高さ)が予め設定した閾値を超える大きさで検出された場合には、被検体の内部に欠陥が存在すると判断される。
【特許文献1】特開2004−209516号公報
【非特許文献1】超音波探傷試験I、2.1 探傷のしくみ、p.3〜p.5、社団法人日本非破壊検査協会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の超音波探傷検査方法においては、内部欠陥の位置や形状、数などによって、検出される欠陥エコーの高さが大きく異なってしまう。すなわち、例えば被検体の内部に複数の欠陥が存在するような場合には、複数の欠陥や被検体の裏面で複数回反射して検出される欠陥エコーが発生し、高さの小さい欠陥エコーが複数の林状エコーとして検出されたり、底面エコーよりも時間的に遅れて検出される欠陥エコーが発生してしまう。このため、欠陥有無の判別指標となる閾値の設定が難しくなり、すなわち欠陥エコーとノイズが区別できなくなって、やはり不良品の検査漏れが生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑み、超音波を利用し、被検体の検査を確実且つ迅速に行うことが可能な超音波探傷検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0007】
本発明の超音波探傷検査方法は、被検体に超音波を照射し、該被検体の内部に伝搬して反射したエコーを捉えて前記被検体の内部欠陥の有無を判別する超音波探傷検査方法において、前記被検体の内部に伝搬した前記超音波が伝搬径路を往復するように前記被検体の底面で反射して検出される底面エコーに対し、前記被検体の内部で複数回反射し、遅れて検出される遅れエコーを捉え、該遅れエコーの強さの大小を基に前記被検体の内部欠陥の有無を判別することを特徴とする。
【0008】
この発明においては、例えば工具素材などの断面円形(円柱棒状)の被検体の検査を行った場合、内部欠陥が存在しない被検体では、被検体に内接する正三角形や二等辺三角形、星形などの多角形の辺を径路としたエコー(遅れエコー)が発生し、この遅れエコーが底面エコーに対して時間的に遅れて検出され、且つ強さが大きい(高さが大きい)エコーとして検出される。一方、内部欠陥が存在する場合には、内部欠陥で反射しその径路が複雑化したエコーが検出される。すなわち、内部欠陥が存在する場合には、遅れエコーが時間的に前後に分散して検出され、強さが小さい(高さが小さい)エコーとして検出される。このため、遅れエコーの強さの大小を確認することによって、被検体の内部欠陥の有無を確実に判別することができる。
【0009】
なお、本発明において、被検体の形状を断面円形に限定する必要はない。すなわち、例えば被検体が断面方形である場合においても、この被検体の形状や超音波の照射方向(超音波ビームの入射角度)から、内部欠陥が存在しない場合の遅れエコーの検出時間(路程)が予想可能である。このため、内部欠陥が存在しない場合の遅れエコーの強さとの比較によって、種々の形状の被検体に対し、その内部欠陥の有無を判別することが可能である。
【0010】
また、本発明の超音波探傷検査方法においては、前記被検体が超硬質合金あるいはセラミックスであることが望ましい。
【0011】
この発明においては、被検体が超硬質合金あるいはセラミックスであることによって、被検体内部における超音波の減衰が小さくなり、内部欠陥が存在しない場合の遅れエコーを確実に大きな強さ(大きな高さ)で検出することができる。これにより、内部欠陥の有無による遅れエコーの強さの差異が大きくなり、被検体の内部欠陥の有無を確実に判別することができる。
【0012】
さらに、本発明の超音波探傷検査方法においては、前記遅れエコーとともに前記底面エコーの強さの大小を基に前記被検体の内部欠陥の有無を判別することが望ましい。
【0013】
この発明においては、遅れエコーと合わせて底面エコーの強さの大小を確認することで、より正確に内部欠陥の有無を判別することができる。すなわち、前述のように被検体が例えば断面円形の場合、遅れエコーとして検出される超音波が多角形の径路で伝搬するため、被検体の中心部付近に小さな欠陥が存在する場合には、この欠陥が径路上から外れてしまうおそれがある。一方、底面エコーは、伝搬径路を往復するように被検体の底面で反射して検出されるエコーであるため、この底面エコーとなる超音波を、中心部付近を通るように伝搬させることによって、中央部付近の欠陥の有無による底面エコーの強さを大小変化させることができる。これにより、遅れエコーに加えて底面エコーの強さの大小を確認することで被検体の内部に生じた欠陥を漏れなく検出することが可能になり、より正確に検査を行うことが可能になる。
【0014】
また、本発明の超音波探傷検査方法においては、前記超音波を発信して前記被検体に照射するとともに前記エコーを受信する探触子と、前記被検体とを相対的に回転させることがより望ましい。
【0015】
この発明においては、回転とともに超音波を被検体の全外周に照射でき、このように照射した超音波を確実に被検体の内部を網羅して伝搬させることができる。これにより、欠陥の検出漏れをなくしてより正確に検査することが可能になる。また、時間を短縮して効率的に検査を行うことが可能になる。
【0016】
また、本発明の超音波探傷検査方法においては、前記超音波を発信して前記被検体に照射するとともに前記エコーを受信する探触子を、前記被検体の周方向に複数並設してもよい。
【0017】
この発明においては、周方向の複数の位置から超音波を照射することによって、上記の被検体を相対的に回転させながら検査を行う場合と同様、確実に被検体の内部を網羅して超音波を伝搬させることができる。これにより、欠陥の検出漏れをなくして正確に検査を行うことが可能になるとともに、検査時間を短縮して効率的に検査を行うことが可能になる。
【0018】
さらに、本発明の超音波探傷検査方法においては、前記被検体が円柱棒状に形成されており、前記複数の探触子が、前記被検体の軸線方向一端側から他端側に向かうに従い漸次前記被検体の周方向に5度〜45度の角度毎に配置されて、らせん状に配設されていることがより望ましい。
【0019】
この発明においては、周方向に5度〜45度の角度でらせん状に探触子を配置することによって、確実に上記効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の超音波探傷検査方法によれば、従来の超音波探傷検査方法に対し、底面エコーが検出された後にエコー検出を継続して行なって、底面エコーよりも遅れて検出される遅れエコーを捉えることにより、被検体の内部欠陥の有無を確実に判別することが可能であるため、検査を確実に且つ迅速に行うことが可能になる。特に、従来、外観検査で品質管理を行なっていた工具素材の検査に適用した場合には、検査を確実に且つ迅速に行なうことができることで、生産性及び製品の信頼性の向上を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係る超音波探傷検査方法について説明する。本実施形態は、超硬質合金あるいはセラミックスを円柱棒状(断面円形)に形成し、ドリルやエンドミルなどの切削工具の素材として用いられる工具素材(被検体)に対して、巣やクラックなどの内部欠陥の有無を確認するための超音波探傷検査方法に関するものである。
【0022】
本実施形態の超音波探傷検査に用いる超音波探傷装置Aは、図1に示すように、振動子(超音波振動子)及び受信子を備えた探触子1と、探触子1の振動子に繋がりこの探触子1から被検体3の表面(探傷面、外面)3aに向けて超音波Sをビーム状(束状)に発信(照射)させるためのパルス発信部4と、被検体3に照射した超音波Sの反射波(エコー)を受信する探触子1の受信子に繋がり、受信子の電圧を増幅して出力する受信部5と、受信部5に繋がりこの受信部5からの出力信号を基にエコーの時間的変化を表示する表示部6とを備えて構成されている。また、超音波探傷装置Aには、円柱棒状の被検体3を軸線O1方向に横移動させる図示せぬ横送り機構が具備されている。
【0023】
本実施形態において、探触子1は、略円板状に形成されるとともに、超音波Sを発信するとともに反射波を受信する受発信面1aが中心軸O2方向内側に凹む断面円弧状に形成されている。また、探触子1は、例えば、その外径(直径)d1が9mm、超音波ビームSの焦点距離が25.4mmとなるように受発信面1aが形成されており、例えば4mmの直径d2で形成された被検体3よりも大きく形成されている。また、このような探触子1の中心軸O2が被検体3の軸線O1に直交するように探触子1が配置され、本実施形態では、この探触子1と被検体3の離間d3が例えば12mmとなるように配置されている。また、探触子1と被検体3の間には、照射した超音波ビームSの減衰を防止するために、例えば水、機械油、水ガラス、グリース、ワセリンなどの媒質が介装されている。そして、本実施形態では、例えば、媒質として水を用い、10MHzの広帯域の超音波Sが、1480m/sの音速で被検体3に照射される。また、このように被検体3に対し探触子1が構成されることによって、探触子1の受発信面1aから発信した超音波ビームSは、被検体3の軸線O1を中心とした周方向の約30度の角度範囲θの広い表面3a領域に照射される。
【0024】
ついで、上記の超音波探傷装置Aを用いて被検体3の検査を行なう方法を説明し、本実施形態の超音波探傷検査方法の作用及び効果について説明する。
【0025】
上記のように配置した探触子1から超音波ビームSを照射して検査を開始する。このとき、被検体3の内部に欠陥(内部欠陥)がない場合(すなわち被検体3が良品の場合)には、例えば図2に示すようなエコー(波形)Eが表示部6に表示される。一方、被検体3に内部欠陥がある場合(すなわち被検体3が不良品の場合)には、例えば図3に示すようなエコー(波形)Eが表示される。ここで、図2及び図3において、縦軸は、エコーEの高さ(エコーEの強さ)を百分率で示し、横軸は、超音波ビームSの路程を示している。なお、被検体3の内部で複数回反射した超音波ビームSはその路程が長くなり、この超音波ビームSのエコーEが検出されるまでの時間が長くなる。このため、横軸は、超音波ビームSの路程を示すとともに、時間軸を示している。
【0026】
図2に示すように、被検体3に内部欠陥がない場合には、照射した超音波ビームSの一部が、はじめに被検体3の表面3aで反射し、探触子1と被検体3の離間d3に応じた路程で表面エコーE1として検出される。また、図4に示すように、被検体3の内部に伝搬した超音波ビームSのうち、探触子1の中心軸O2方向に照射された超音波ビームS1は、被検体3の中心部(すなわち被検体3の軸線O1)を通る伝搬径路で伝搬し、この伝搬径路を往復するように被検体3の底面3bで反射する。そして、このように超音波ビームS1が反射したエコーは、図2に示すように、被検体3の直径d2と、探触子1と被検体3の離間d3とを合わせた路程で底面エコーE2として検出される。なお、図2においては、表面エコーE1のビーム路程を0として目盛を付している。
【0027】
ここで、従来の超音波探傷検査方法においては、被検体3よりも小さな探触子1を用いて、超音波ビームSを被検体3の狭い表面3a領域に照射するようにし、表面エコーE1が検出され、さらに底面エコーE2が検出された時点で検査を終了するようにしていた。そして、底面エコーE2となる超音波ビームS1が底面3bに到達する前に内部欠陥で反射することを利用して、表面エコーE1と底面エコーE2の間に検出されたエコーが予め設定した閾値を超えた場合には、そのエコーを欠陥エコーとし、内部欠陥の有無を判別していた。しかしながら、このような検査方法では、例えば複数の内部欠陥が存在して超音波ビームS1が複雑な径路で反射する場合もあり、表面エコーE1と底面エコーE2の間に複数の高さの異なるエコーが林状のエコーとして検出され、予め設定した閾値を超えないこれらエコーがノイズによるものか、欠陥によるものか判別できなくなるという問題があった。
【0028】
これに対し、本実施形態の超音波探傷検査方法では、探触子1が被検体3に対して大きく形成されているため、底面エコーE2となる超音波ビームS1に対して異なる入射角度の超音波ビームS2、S3が被検体3に照射される。そして、超音波ビームS2、S3は、被検体3の内部に伝搬した際に、被検体3の裏面(円柱面)で複数回反射し、図4に示すように、被検体3に内接する正三角形や二等辺三角形、星形など(図4では星形)の多角形の辺を径路として伝搬する。このため、このように伝搬した超音波ビームS2、S3は、その路程が底面エコーE2となる超音波ビームS1の路程よりも長くなり、図2に示すように、底面エコーE2よりも時間的に遅れた遅れエコー(円柱面エコー)E3として検出される。このとき、遅れエコーE3は、超音波ビームS2、S3等の路程の数が多いことによって、底面エコーE2よりも大きな高さ(大きな強さ)で検出される。
【0029】
一方、本実施形態において、被検体3に内部欠陥が存在する場合には、遅れエコーE3となる超音波ビームS2、S3の少なくとも一部が内部欠陥で反射し、その径路が複雑化する。このため、被検体3に内部欠陥が存在する場合には、遅れエコーE3が時間的に前後に分散して検出され、図3に示すように、内部欠陥が存在しない図2の遅れエコーE3よりも小さな強さ(小さな高さ)で検出される。
【0030】
したがって、本実施形態の超音波探傷検査方法において、内部欠陥が存在しない被検体3では、底面エコーE2に対して時間的に遅れて検出され、且つ強さが大きい遅れエコーE3が検出され、内部欠陥が存在する場合には、強さが小さい遅れエコーE3が検出されるため、遅れエコーE3の強さの大小を確認することによって、被検体3の内部欠陥の有無を判別することができる。
【0031】
また、本実施形態のように、工具素材として用いられる超硬質合金あるいはセラミックスの被検体3の検査に適用することによって、被検体3の内部での路程が長い超音波ビームS2、S3の減衰が小さく抑えられ、内部欠陥が存在しない場合の遅れエコーE3を確実に大きな強さで検出することができる。これにより、内部欠陥の有無による遅れエコーE3の強さの差異を大きくすることができ、被検体3の内部欠陥の有無を確実に判別することができる。
【0032】
そして、被検体3を横送り機構で軸線O1方向に横移動させながら順次エコーを捉えてゆくことによって、被検体3全体の内部欠陥の有無を判別することができる。
【0033】
一方、本実施形態のように被検体3が断面円形の場合、遅れエコーE3として検出される超音波ビームS2、S3が多角形の径路で伝搬するため、被検体3の中心部付近に小さな欠陥が存在する場合には、この欠陥が径路上から外れてしまうおそれがある。しかしながら、図2に示した内部欠陥が存在しない場合の底面エコーE2に対し、図3に示すように、中心部に内部欠陥が存在する場合には、底面エコーE2が小さく検出される。このため、本実施形態のように、底面エコーE2となる超音波ビームS1は、中心部付近を通るため、遅れエコーE3とともに底面エコーE2の強さの大小を確認することで被検体3の内部に生じた欠陥を漏れなく検出することが可能になり、正確に検査を行うことが可能になる。
【0034】
よって、本実施形態の超音波探傷検査方法によれば、従来の超音波探傷検査方法に対し、底面エコーE2が検出された後にエコー検出を継続して行なって、底面エコーE2よりも遅れて検出される遅れエコーE3を捉えることにより、被検体3の内部欠陥の有無を確実に判別することが可能であり、検査を確実に且つ迅速に行うことが可能になる。また、従来、外観検査で品質管理を行なっていた工具素材の検査に適用することで、検査を確実に且つ迅速に行なうことができるため、生産性及び製品の信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0035】
なお、本発明は、上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、被検体3が超硬質合金あるいはセラミックスを円柱棒状に形成した切削工具の工具素材であるものとして説明したが、被検体3の形状を断面円形に限定する必要はない。例えば被検体3が断面方形である場合においても、この被検体3の形状や超音波Sの照射方向(超音波ビームSの入射角度)から、内部欠陥が存在しない場合の遅れエコーE3の検出時間(路程)が予想可能である。このため、内部欠陥が存在しない場合の遅れエコーE3の強さとの比較によって、種々の形状の被検体3に対し、その内部欠陥の有無を判別することが可能である。また、遅れエコーE3を検出することができれば、超硬質合金やセラミックス以外の素材で形成した被検体3に適用してもよい。
【0036】
さらに、本実施形態では、被検体3を1つの探触子1を用いて検査するように説明したが、例えば図5に示すように被検体3の軸線方向の平面視で被検体3の周方向に複数の探触子1を周方向に5度〜45度の角度毎に配置し、それぞれの探触子1から被検体3に超音波Sを発信して、各探触子1で複数のエコーEを同時に検出するようにしてもよい。この場合には、確実に被検体3の内部を網羅して超音波Sを伝搬させることができ、欠陥の検出漏れをなくしてより正確に検査を行うことが可能になる。また、このように複数の探触子1を用いることによって、検査時間を短縮し効率的に検査を行うことが可能になる。さらに、このとき、図6に示すように、被検体3の軸線O1方向一端3c側から他端3d側に向かうに従い漸次周方向にずらして、複数の探触子1をらせん状に配置することで、本実施形態のように被検体3が断面円形(円柱棒状)である場合に上記効果を確実に得ることが可能である。
【0037】
また、本実施形態では、固定した探触子1に対し、被検体3を横送り機構によって軸線O1方向に横移動することで、被検体3全体の内部欠陥の有無を判別することができるとしたが、例えば図7(a)に示すように、固定した探触子1に対し、被検体3を軸線O1回りに回転させながら超音波Sを照射してもよい。また、逆に被検体3に対し、図7(b)に示すように、探触子1を回転させながら超音波Sを照射してもよい。この場合には、回転とともに超音波Sを被検体3の全外周に照射することができ、このように照射した超音波Sを確実に被検体3の内部を網羅して伝搬させることができる。これにより、欠陥の検出漏れをなくしてより正確に検査することが可能になる。また、さらなる時間の短縮を図り効率的に検査を行うことが可能になる。さらに、このとき、探触子1と被検体3を相対的に回転させるとともに、本実施形態と同様、探触子1と被検体3を相対的に軸線O1方向に横移動することで、さらなる迅速な検査が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波探傷検査方法に用いる超音波探傷装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る超音波探傷検査方法で得られる被検体に内部欠陥が存在しない場合のエコーを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る超音波探傷検査方法で得られる被検体に内部欠陥が存在する場合のエコーを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る超音波探傷検査方法において、被検体に内部欠陥が存在しない場合の超音波の径路を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る超音波探傷検査方法の変形例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る超音波探傷検査方法の変形例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る超音波探傷検査方法の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 探触子
3 被検体
3a 表面
3b 底面(裏面、円柱面)
3c 一端
3d 他端
A 超音波探傷装置
d1 探触子の直径
d2 被検体の外径
d3 被検体と探触子の離間
O1 被検体の軸線
O2 探触子の中心軸
S 超音波(超音波ビーム)
E エコー
E1 表面エコー
E2 底面エコー
E3 遅れエコー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に超音波を照射し、該被検体の内部に伝搬して反射したエコーを捉えて前記被検体の内部欠陥の有無を判別する超音波探傷検査方法において、
前記被検体の内部に伝搬した前記超音波が伝搬径路を往復するように前記被検体の底面で反射して検出される底面エコーに対し、前記被検体の内部で複数回反射し、遅れて検出される遅れエコーを捉え、該遅れエコーの強さの大小を基に前記被検体の内部欠陥の有無を判別することを特徴とする超音波探傷検査方法。
【請求項2】
請求項1記載の超音波探傷検査方法において、
前記被検体が超硬質合金あるいはセラミックスであることを特徴とする超音波探傷検査方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の超音波探傷検査方法において、
前記遅れエコーとともに前記底面エコーの強さの大小を基に前記被検体の内部欠陥の有無を判別することを特徴とする超音波探傷検査方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の超音波探傷検査方法において、
前記超音波を発信して前記被検体に照射するとともに前記エコーを受信する探触子と、前記被検体とを相対的に回転させることを特徴とする超音波探傷検査方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の超音波探傷検査方法において、
前記超音波を発信して前記被検体に照射するとともに前記エコーを受信する探触子を、前記被検体の周方向に複数並設することを特徴とする超音波探傷検査方法。
【請求項6】
請求項5記載の超音波探傷検査方法において、
前記被検体が円柱棒状に形成されており、前記複数の探触子が、前記被検体の軸線方向一端側から他端側に向かうに従い漸次前記被検体の周方向に5度〜45度の角度毎に配置されて、らせん状に配設されていることを特徴とする超音波探傷検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−197003(P2008−197003A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33527(P2007−33527)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000152527)日進工具株式会社 (16)
【Fターム(参考)】