説明

超音波探触子、その製造方法、及び超音波医用画像診断装置

【課題】アレイ形状の切削(ダイシング加工)の際、圧電体である単結晶等がチッピングを起こしても、電極の剥離による導通不良の恐れはなく、確実な導通が確保でき、かつ製造工程の歩留まりの高い超音波探触子とその製造方法を提供する。また、当該超音波探触子を具備した超音波医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】音響レンズ、音響整合層、超音波振動子、及びバッキング層が、この順に、接着し積層されて成る超音波探触子であって、当該超音波振動子を構成する圧電体が単結晶又は一軸配向結晶であり、かつ当該圧電体に隣接する層又は部材のみに電極が設けられていることを特徴とする超音波探触子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探触子、その製造方法、及びそれを具備した超音波医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体に超音波を照射し、その反射エコーを画像化する超音波診断装置においては、超音波の送受信を行なう超音波探触子が超音波診断装置本体と接続されている。一般に超音波探触子は、圧電体層と、この圧電体に対して超音波照射側に配置される音響整合層と、圧電体層に対して超音波照射側とは反対側に配置されるバッキング材層と、このバッキング材と圧電体の間に挟まれて、この圧電体の電極に接続されるフレキシブルプリント基板とを備えている。
【0003】
圧電体としては、電気機械結合係数が大きく、また送信回路とのマッチングの取りやすい誘電率の大きい材料として、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電セラミックが使用されてきた。これに対して近年、従来のPZTに比較して、高い電気機械結合係数を有するマグネシウムニオブ酸・チタン酸鉛固溶体(PMN−PT)圧電単結晶が開発されて、これを圧電体として利用することにより、超音波探触子の高感度化を期待する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
従来は、超音波探触子の圧電体として、単結晶又は一軸配向結晶の圧電体の両面に電極を形成させていることを特徴としていた。しかし、単結晶材は破壊靱性が低く脆いため、ダイシング加工などによってアレイ状に形成する際に、チッピングが発生するなどの切削加工不良が生じやすいことが問題となっている(特許文献2参照)。
【0005】
図1に示すように、従来の単結晶圧電体を用いた超音波探触子の断面構造は、単結晶圧電体1の両面に電極5及び6が形成されており、単結晶圧電体1の上面には音響整合層2が形成され、単結晶圧電体1と音響整合層がアレイ状に加工されている。アレイ加工の素子ピッチは0.1mmから0.3mm程度である。
【0006】
音響整合層2は、超音波の伝搬を効率よくするために複数層設けてもよい。音響整合層2上面には、被検体に効率良く超音波を入射させる音響レンズ3を設け、音響レンズ3を通して超音波の送受信を行う。また単結晶圧電体1の下面にはバッキング層4が設けられている。単結晶圧電体1の両面には、グランド(GND)取り出しのための電極5及び信号取り出しのための電極6が形成されており、フレキシブルプリント基板(FPC)7を介してケーブルに接続され、診断装置本体に繋がる(図省略)。
【0007】
図1の構造において、フレキシブルプリント基板(FPC)7は、当該FPCの導電層を圧電素子の面積分に拡張して前記圧電素子と全面に渡ってエポキシ系接着剤等で接着されている。また、前記導電層としては、一般に金属銅(Cu)が用いられている。
【0008】
アレイ構造は、以下の説明の通りに作製される。
【0009】
一体形状の単結晶圧電体1に電極5及び6を形成する。順に、バッキング層4にレキシブルプリント基板(FPC)7及び単結晶圧電体1を接着し、音響整合層2を接着した後に、ダイシングソーを用いて、整合層側から切断する。その後、音響整合層2上に音響レンズ3を形成して完成となる。
【0010】
ところで、前記製造方法で作製された超音波探触子において、機械強度の弱い単結晶圧電体はダイシングによりチッピングやクラックが発生しやすく、単結晶自体に電極を形成した場合には、チッピングにより電極がはがれ、導通がとれなく恐れがある。また、アレイ状に加工した圧電素子の電極面積をも減少させるため、特性劣化を引き起こす要因にもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−50898号公報
【特許文献2】特開2002−34098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題にかんがみてなされたものであり、その解決課題は、アレイ形状の切削(ダイシング加工)の際、圧電体である単結晶等がチッピングを起こしても、電極の剥離による導通不良の恐れはなく、確実な導通が確保でき、かつ製造工程の歩留まりの高い超音波探触子とその製造方法を提供することである。また、当該超音波探触子を具備した超音波医用画像診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0014】
1.音響レンズ、音響整合層、超音波振動子、及びバッキング層が、この順に、接着し積層されて成る超音波探触子であって、当該超音波振動子を構成する圧電体が単結晶又は一軸配向結晶であり、かつ当該圧電体に隣接する層又は部材のみに電極が設けられていることを特徴とする超音波探触子。
【0015】
2.前記圧電体に隣接する層又は部材に設けられた電極の厚さが、当該圧電体の厚さの0.01〜1%の範囲内であることを特徴とする前記第1項に記載の超音波探触子。
【0016】
3.前記圧電体と隣接する層又は部材とを接着する接着層の厚さが、当該圧電体の厚さの0.01〜5%の範囲内であることを特徴とする前記第1項又は第2項に記載の超音波探触子。
【0017】
4.音響レンズ、音響整合層、超音波振動子、及びバッキング層が、この順に、接着し積層されて成り、かつ当該超音波振動子を構成する圧電体が単結晶又は一軸配向結晶である超音波探触子の製造方法であって、当該圧電体に隣接する層又は部材のみに電極を設けることを特徴とする超音波探触子の製造方法。
【0018】
5.前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載の超音波探触子を具備していることを特徴とする超音波医用画像診断装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記手段により、アレイ形状の切削(ダイシング加工)の際、圧電体である単結晶等がチッピングを起こしても、電極の剥離による導通不良の恐れはなく、確実な導通が確保でき、かつ製造工程の歩留まりの高い超音波探触子とその製造方法を提供することができる。また、当該超音波探触子を具備した超音波医用画像診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】超音波探触子の構成例を示す概要図
【図2】超音波探触子の構成例を示す概要図
【図3】圧電体に隣接する層又は部材に電極が設けられている態様例
【図4】圧電体に隣接する層又は部材に電極が設けられている態様例
【図5】X線回折により得られるパターンを説明する図:(A)は<100>単結晶の場合のパターン、(B)は<100>一軸配向結晶の場合のパターン
【図6】超音波医用画像診断装置の外観構成を示す概要図
【図7】超音波医用画像診断装置の電気的な構成を示すブロック図
【図8】GND取り出し用フレキシブルプリント基板の構成(ケーブルと接続する部分は省略)を示す概念図
【図9】圧電体に隣接する層又は部材に電極が設けられている態様例
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の超音波探触子は、音響レンズ、音響整合層、超音波振動子、及びバッキング層が、この順に、接着し積層されて成る超音波探触子であって、当該超音波振動子を構成する圧電体が単結晶又は一軸配向結晶であり、かつ当該圧電体に隣接する層又は部材のみに電極が設けられていることを特徴とする。この特徴は請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
【0022】
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記圧電体に隣接する層又は部材に設けられた電極の厚さが、当該圧電体の厚さの0.01〜1%の範囲内であることが好ましい。また、当該圧電体と隣接する層又は部材とを接着する接着層の厚さが、当該圧電体の厚さの0.01〜5%の範囲内であることが好ましい。
【0023】
さらに、音響レンズ、音響整合層、超音波振動子、及びバッキング層が、この順に、接着し積層されて成り、かつ当該超音波振動子を構成する圧電体が単結晶又は一軸配向結晶である超音波探触子の製造方法としては、当該圧電体に隣接する層又は部材のみに電極を設ける態様の製造方法であることを要する。
【0024】
本発明の超音波探触子は、超音波医用画像診断装置に好適に用いることができる。
【0025】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0026】
(超音波探触子の概要)
本発明の超音波探触子は、超音波画像診断装置等の主要構成部品であって、超音波を発生するとともに、超音波ビームを送受信する機能を有するものである。当該超音波探触子の内部の構成は、種々の態様を採り得るが、基本的構成としては、音響レンズ、音響整合層、超音波振動子、及びバッキング層が、この順に、接着され積層されて成る超音波探触子であって、当該超音波振動子を構成する圧電体が単結晶又は一軸配向結晶であり、かつ当該圧電体に隣接する層又は部材に電極が設けられていることを特徴とする。
【0027】
なお、好ましい実施態様としては、先端(被検体である生体に接する面)部分から「音響レンズ」、「音響整合層」、「GND引き出しフレキシブルプリント基板」、「圧電体」、「電極を備えた信号引き出しフレキシブルプリント基板」、「バッキング層」という順に並置された態様の構成を採り得る(図1及び図2参照)。
【0028】
なお、本願において、「圧電体に隣接する層又は部材」とは、音響整合層、バッキング層、完全反射層(「デマッチング層」ともいう。)、フレキシブルプリント基板等をいう。
【0029】
従って、当該圧電体に隣接する層又は部材に電極が設けられている態様としては、種々の態様を採り得るが、例えば、図2〜図4に示す態様を採用することが好ましい。なお、当該図において、各層間にある接着層は一部のみ図示し、他の接着層の図示を省略した。
【0030】
(音響レンズ)
本発明に係る音響レンズは、屈折を利用して超音波ビームを集束し分解能を向上するために配置されている。すなわち、音響レンズは、超音波探触子の被検体と接する側に設けられ、圧電体で発生された超音波を、被検体に効率良く入射させる。音響レンズは、被検体と接する部分で凸型のレンズ形状を有し、被検体に入射される超音波を、撮像断面と直交する厚さ方向で収束させる。
【0031】
音響レンズは、概ね被検体及び音響整合層の中間の音響インピーダンスを有する軟質の材料により形成される。
【0032】
音響レンズを構成する素材としては、従来公知のシリコーンゴム、フッ素シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のホモポリマー、エチレンとプロピレンとを共重合させてなるエチレン−プロピレン共重合体ゴム等の共重合体ゴム等を用いることができる。これらのうち、シリコーン系ゴムを用いることが好ましい。
【0033】
本発明に使用されるシリコーン系ゴムとしては、シリコーンゴム、フッ素シリコーンゴム等が挙げられる。就中、レンズ材の特性上、シリコーンゴムを使用することが好ましい。シリコーンゴムとは、Si−O結合からなる分子骨格を有し、そのSi原子に複数の有機基が主結合したオルガノポリシロキサンをいい、通常は、その主成分はメチルポリシロキサンで、全体の有機基のうち90%以上はメチル基である。メチル基に代えて水素原子、フェニル基、ビニル基、アリル基等を導入したものも使用することができる。当該シリコーンゴムは、例えば、高重合度のオルガノポリシロキサンに過酸化ベンゾイルなどの硬化剤(加硫剤)を混練し、加熱加硫し硬化させることにより得ることができる。必要に応じてシリカ、ナイロン粉末等の有機又は無機充填剤、硫黄、酸化亜鉛等の加硫助剤等を添加してもよい。
【0034】
本発明に使用されるブタジエン系ゴムとしては、ブタジエン単独又はブタジエンを主体としこれに少量のスチロール又はアクリロニトリルが共重合した共重合ゴム等が挙げられる。就中、レンズ材の特性上、ブタジエンゴムを使用することが好ましい。ブタジエンゴムとは、共役二重結合を有するブタジエンの重合により得られる合成ゴムをいう。ブタジエンゴムは、共役二重結合を有するブタジエン単独が1.4又は1.2重合することにより得ることができる。ブタジエンゴムは、硫黄等により加硫させたものが使用できる。
【0035】
本発明に係る音響レンズにおいては、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとを混合し加硫硬化させることにより得ることができる。例えば、シリコーンゴムとブタジエンゴムとを適宜割合で、混練ロールにより、混合し、過酸化ベンゾイルなどの加硫剤を添加し、加熱加硫し架橋(硬化)させることにより得ることができる。その際に、加硫助剤として、酸化亜鉛を添加することが好ましい。酸化亜鉛は、レンズ特性を落とさずに、加硫促進を促し、加硫時間を短縮できる。他に、着色剤や音響レンズの特性を損なわない範囲内で他の添加剤を添加してもよい。シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合割合は、その音響インピーダンスが人体に近似しているとともに、その音速が人体より小さく、減衰が少ないものを得るには、通常、1:1が好ましいが、当該混合割合は適宜変更可能である。
【0036】
シリコーンゴムは、市販品として入手することができ、例えば信越化学社製、KE742U、KE752U、KE931U、KE941U、KE951U、KE961U、KE850U、KE555U、KE575U等や、モメンティブパフォーマンスマテリアル社製のTSE221−3U、TE221−4U、TSE2233U、XE20−523−4U、TSE27−4U、TSE260−3U、TSE−260−4Uやダウコーニング東レ社製のSH35U、SH55UA、SH831U、SE6749U、SE1120USE4704Uなどを用いることができる。
【0037】
なお、本発明においては、上記シリコーン系ゴム等のゴム素材をベース(主成分)として、音速調整、密度調整等の目的に応じ、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機充填剤や、ナイロンなどの有機樹脂等を配合することもできる。
【0038】
(音響整合層)
本発明に係る音響整合層は、超音波振動子と被検体の間の音響インピーダンスを整合させるものである。すなわち、音響整合層は、圧電体の送受信が行われる送受信方向である被検体側の板面に装着される。音響整合層は、圧電体、音響レンズの概ね中間の音響インピーダンスを有する。音響整合層は、透過する超音波の概ね4分の1波長の厚さを被検体の送受信方向に有し、音響インピーダンスの異なる境界面での反射を抑制する。
【0039】
音響整合層に用いられる材料としては、アルミ、アルミ合金(例えばAL−Mg合金)、マグネシウム合金、マコールガラス、ガラス、溶融石英、コッパーグラファイト、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ABC樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、ナイロン(PA6、PA6−6)、PPO(ポリフェニレンオキシド)、PPS(ポリフェニレンスルフィド:ガラス繊維入りも可)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAI(ポリアミドイミド)、PETP(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。好ましくはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に、充填剤として、亜鉛華、酸化チタン、シリカやアルミナ、ベンガラ、フェライト、酸化タングステン、酸化イットリビウム、硫酸バリウム、タングステン、モリブデン等を入れて成形したものを用いることができる。
【0040】
音響整合層は、単層でもよいし複数層から構成されてもよいが、好ましくは2層以上、より好ましくは4層以上である。音響整合層の層厚は、超音波の波長をλとすると、λ/4となるように定めることがこのましい。これを満たさない場合、本来の共振周波数とは異なる周波数ポイントに複数の不要スプリアスが出現し、基本音響特性が大きく変動してしまうことがある。結果、残響時間の増加、反射エコーの波形歪みによる感度やS/Nの低下を引き起こしてしまい好ましくない。このような音響整合層の厚さとしては、概ね20〜500μmの範囲で用いられる。
【0041】
(超音波振動子:圧電素子)
一般に、「超音波振動子」とは、電極及び圧電体を有し、電気信号を機械的な振動に、また機械的な振動を電気信号に変換可能で超音波の送受信が可能な素子をいう。
【0042】
しかし、本発明超音波探触子においては、圧電体とそれに接する隣接層又は部材に設けた電極が一体となって超音波振動子として機能するように設計されていることを特徴とする。
【0043】
(圧電体)
圧電体は、超音波を発生し、被検体に超音波を入力すると同時に、被検体の内部で反射された超音波エコーを受信する機能を有する。すなわち、圧電体は、電気信号を機械的な振動に、また機械的な振動を電気信号に変換可能な結晶等の物質により構成される。
【0044】
本発明では、圧電体として、単結晶又は一軸配向結晶の圧電体を用いることを特徴とする。
【0045】
本願において、「単結晶」とは、膜厚方向及び膜面内方向に単一の結晶方位を持つ結晶のことを指す。例えば<100>単結晶とは、膜厚方向が<100>方位のみとなり、かつ、膜面内方向のある一方向が<110>方位のみの結晶により構成された膜である。圧電膜が一軸配向結晶であるかはX線回折を用いて確認することができる。例えば、PZTペロブスカイト型構造の<100>単結晶の場合、X線回折の2θ/θ測定での圧電膜に起因するピークは{100}、{200}等の(L00)面(L=1,2,3・・・n:nは整数)のピークのみが検出される。また、{110}非対称面の極点測定をした際に、図5(A)のように中心から約45°の傾きを表す同じ半径位置に90°毎に4回対称のスポット状のパターンが得られる。
【0046】
また、「一軸配向結晶」とは、膜厚方向に単一の結晶方位をもつ結晶のことを指し、結晶の膜面内方位は特には問わない。例えば<100>一軸配向結晶とは、膜厚方向が<100>方位のみの結晶により構成された膜である。圧電膜が一軸配向結晶であるかはX線回折を用いて確認することができる。例えば、PZTペロブスカイト型構造の<100>一軸配向結晶の場合、X線回折の2θ/θ測定での圧電膜に起因するピークは{100}、{200}等の(L00)面(L=1,2,3・・・n:nは整数)のピークのみが検出される。また、{110}非対称面の極点測定をした際に、図5(B)のように中心から約45°の傾きを表す同じ半径位置にリング状のパターンが得られる。
【0047】
なお、例えば<100>配向のPZTペロブスカイト型構造で、{110}非対称面の極点測定をした際に、中心から約45°の傾きを表す同じ半径位置に8回対称や12回対称のパターンが得られる結晶もある。もしくは、パターンがスポットではなく楕円である結晶もある。これらの結晶も、本発明の単結晶と一軸配向結晶の中間の対称性を有する結晶であるため、広義に単結晶及び一軸配向結晶とみなす。
【0048】
同様に、例えば単斜晶と正方晶、単斜晶と菱面体晶、正方晶と菱面体晶、そのすべてなどの複数結晶相が混在(混相)する場合や、双晶に起因する結晶が混在する場合や、転位や欠陥等がある場合も、広義に単結晶及び一軸配向結晶とみなす。ここでいう、数結晶相が混在(混相)とは、複数の結晶相が結晶軸方向をそれぞれ異にして多結晶の状態で粒界が存在して含まれるものではない。つまり、一つのペブロスカイト型酸化物の粒子中に複数の結晶相が存在するものであって、一体となって単結晶又は一軸配向を成しているものである。
【0049】
本発明において用いることができる圧電体結晶としては、例えば、Pb((Zn1/3Nb2/30.91Ti0.09)Oに代表される亜鉛ニオブ酸鉛とチタン酸鉛との固溶体からなる単結晶(PZN−PT)のように少なくともチタン酸鉛を含む複合ペロブスカイト型で、マグネシウム・ニオブ酸鉛とチタン酸鉛との固溶体からなる単結晶(PMN−PT)、スカンジウム・ニオブ酸鉛とチタン酸鉛との固溶体からなる単結晶、インジウム・ニオブ酸鉛とチタン酸鉛からなる固溶系単結晶などが挙げられる。また、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム等の単結晶を用いても良い。
【0050】
本発明に係る圧電体の作製方法としては、又は、単結晶材料の製法として用いられる溶融フラックス法、ブリッジマン法などの製法により作製することができる。
【0051】
また、本発明に係る圧電体の作製方法としては、ゾルゲル法、水熱合成法、スパッタ法、MBE法、PLD法、CVD法、MO−CVD法などの一般に言われる薄膜成膜方法も挙げられる。これらの薄膜成膜方法は、数nm〜10μmオーダーの膜厚を成膜することに好適な成膜方法である。これらの作製方法については、特開2007−88443号、特開2007−88444号、特開2007−88447号公報等が参考となる。
【0052】
本発明に係る圧電体の厚さとしては、概ね100nm〜500μmの範囲で用いられる。
【0053】
(電極)
電極は、単結晶圧電体に電圧を印加するためのものであり、この電極からグランド(GND)引き出しフレキシブルプリント基板を通じてアース接続される。
【0054】
なお、信号引き出しフレキシブルプリント基板は、単結晶圧電体の下側に位置し、電圧印加するための電極を備える。
【0055】
本発明の超音波探触子においては、電極が圧電体に接着剤等により直接的に付設されていず、圧電体に隣接する層又は部材のみに電極が設けられていることを特徴とする。
【0056】
圧電体に隣接する層又は部材のみに電極が設ける態様としては、音響整合層、バッキング層、又は完全反射層(「デマッチング層」ともいう。)等に電極を設けることが好ましい。例えば、図2〜図4に示すような構成において、音響整合層、完全反射層などに電極を設ける態様を採用することが好ましい。
【0057】
電極に用いられる材料としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などが挙げられる。電極の形成に際しては、まず、チタン(Ti)やクロム(Cr)などの下地金属をスパッタ法により0.002〜1.0μmの厚さに形成した後、上記金属元素を主体とする金属及びそれらの合金からなる金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材料をスパッタ法、蒸着法その他の適当な方法で1〜10μmの厚さに形成する。これらの電極形成はスパッタ法以外でも微粉末の金属粉末と低融点ガラスを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法で形成することもできる。
【0058】
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記圧電体に隣接する層又は部材に設けられた電極の厚さが、当該圧電体の厚さの0.01〜1%の範囲内であることが好ましい。
【0059】
なお、本発明においては採用しないが、圧電材料に電極を付す方法としても、同様な方法を用いて付すことができる。
【0060】
(完全反射層)
本発明においては、超音波振動子に1/4波長共振を行わせる際には、超音波振動子の被検体が位置する側の板面と対向する超音波振動子の板面に、高音響インピーダンス(impedance)の完全反射層(「デマッチング層」;「DE−MATCHING LAYER」、「DML」とも称される。)を設けてもよい。
【0061】
当該完全反射層は、超音波振動子で発生される弾性振動を、完全に反射する反射層であり、超音波振動子の照射方向とは反対方向の板面に接着される。完全反射層は、被検体の方向と反対方向に照射される超音波振動子の超音波を、被検体の照射方向へ完全反射し、被検体に入射される超音波パワーを増加させる。完全反射層の材質は、超音波を完全に反射するという目的から、音響インピーダンスの高いものが好ましく、タングステン(tungsten)等が用いられる。
【0062】
(バッキング層)
バッキング層は、超音波振動子(圧電素子)を支持し、不要な超音波を吸収し得る超音波吸収体である。すなわち、バッキング層は、圧電体の被検体に音波を送受信する方向と反対の板面に装着され、被検体の方向の反対側から発生する超音波を吸収する。
【0063】
バッキング層を構成するバッキング材としては、天然ゴム、フェライトゴム、エポキシ樹脂に酸化タングステンや酸化チタン、フェライト等の粉末を入れてプレス成形した材料、塩化ビニル、ポリビニルブチラール(PVB)、ABS樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、フッ素樹脂(PTFE)ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体などの熱可塑性樹脂などを用いることができる。
【0064】
好ましいバッキング材としては、ゴム系複合材料及び又はエポキシ樹脂複合材からなるものであり、その形状は圧電体や圧電体を含むプローブヘッドの形状に応じて、適宜選択することができる。
【0065】
(フレキシブルプリント基板)
フレキシブルプリント基板(「フレキシブル配線基板」ともいう)は、音響整合層やバッキング層の一端(一部)に設けられており、圧電体に電力を印加するための電極を備えた信号引き出しフレキシブルプリント基板と、アース接続のためのグランド(GND)引き出しフレキシブルプリント基板がある。
【0066】
フレキシブルプリント基板の材料としては、ポリイミドなどの樹脂をベースとして、導電層に金属銅(Cu)を用いることができる。
【0067】
(接着層)
本発明においては、各種機能層及び部材は、接着層を介して積層されていることが好ましい。接着層を形成するための接着剤としては、エポキシ樹脂系やアクリル樹脂系の接着剤を用いることができる。市販のエポキシ接着剤の具体例としては、スリーエム カンパニー社製のDP−420、DP−460、DP−460EG、セメダイン社製のエクセルエポ、EP001、EP008、EP330、EP331、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製のアラルダイト スタンダード、アラルダイト ラピッド、システムスリー社製のシステムスリーエポキシ、ゲルマジック、スリーボンド社製の2087L(高強度二液性エポキシ配合樹脂)、2082C(常温硬化型二液性エポキシ樹脂高せん断接着力タイプ)、2081D(軟質塩ビ用接着剤エポキシ系)、コニシ社製のEセットL、コトロニクス社製デュラルコ4525IP、7050、NM25、4461IP等を挙げることができる。また、本発明においては、単結晶圧電体と電極を付与した隣接層とを接着する接着剤として、導電性接着剤を用いてもよい。エポキシ樹脂やアクリル、ウレタン、ポリイミド、そのほかの熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂をバインダーとして、導電フィラーに金粉、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、メッキ粉、カーボン粉、グラファイト粉などを用いた導電性接着剤を用いることができる。フィラー形状としては、フレーク状、球状、樹状等、さまざまな形状を取ることができる。導電性接着剤の導電性としては、体積抵抗率で10−1〜10−5Ω・cm範囲のものを用いることが好ましい。
【0068】
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、圧電体と隣接する層又は部材とを接着する接着層の厚さは、当該圧電体の厚さの0.01〜5%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、1μm以下が望ましい。
【0069】
(超音波医用画像診断装置)
本発明の上記超音波探触子は、種々の態様の超音波医用画像診断装置(「超音波診断装置」ともいう。)に用いることができる。
【0070】
図6は、実施形態にかかる超音波診断装置の外観構成を示す概要図である。図7は、実施形態にかかる超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【0071】
超音波診断装置Sは、図6及び図7に示すように、図略の生体等の被検体Hに対して超音波信号(以下「第1超音波信号」とも称す。)を送信すると共に、被検体Hで反射した超音波信号の反射波(以下「第2超音波信号」とも称す。)を受信する超音波探触子2aと、超音波探触子2aとケーブル3aを介して接続され、超音波探触子2aへケーブル3aを介して電気信号の送信信号を送信することによって超音波探触子2aに被検体Hに対して第1超音波信号を送信させると共に、超音波探触子2aで受信された被検体H内からの第2超音波信号に応じて超音波探触子2aで生成された電気信号の受信信号に基づいて被検体H内の内部状態を超音波画像として医用画像に画像化する超音波診断装置本体1aとを備えて構成される。超音波診断装置本体1aには、超音波探触子2aを使用しない時に、超音波探触子2aを保持させておく超音波探触子フォルダ4aが備えられている。
【0072】
超音波診断装置本体1aは、例えば、図7に示すように、操作入力部11aと、送信部12aと、受信部13aと、信号処理部14aと、画像処理部15aと、表示部16aと、制御部17aと、記憶部19aと、電圧制御手段18aと、を備えて構成されている。
【0073】
操作入力部11aは、例えば、診断開始を指示するコマンドや被検体Hの個人情報等のデータを入力するものであり、例えば、複数の入力スイッチを備えた操作パネルやキーボード等である。
【0074】
送信部12aは、制御部17aの制御に従って、後述する第1圧電部と前記第2圧電部とを駆動する電気信号の送信信号を生成する機能を有する回路である。送信部12aは、超音波探触子2a内の第1圧電部と第2圧電部とへ、電圧制御手段18aとケーブル3aを介して送信信号を供給し、超音波探触子2aに第1超音波信号を発生させる。送信部12aは、例えば、高電圧のパルスを生成する高圧パルス発生器等を備えて構成される。
【0075】
受信部13aは、制御部17aの制御に従って、超音波探触子2aからケーブル3aを介して電気信号の受信信号を受信する回路であり、この受信信号を信号処理部14aへ出力する。受信部13aは、例えば、受信信号を予め設定された所定の増幅率で増幅する増幅器、及び、この増幅器で増幅された受信信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換するアナログ−デジタル変換器等を備えて構成される。
【0076】
信号処理部14aは、制御部17aの制御に従って、受信部13aからの電気信号に、所定の信号処理を施す回路であり、その信号処理した反射受信信号を画像処理部15aへ出力する。
【0077】
画像処理部15aは、制御部17aの制御に従って、信号処理部14aで信号処理された反射受信信号に基づいて、例えばハーモニックイメージング技術等を用いて被検体H内の内部状態の超音波画像を生成する回路である。例えば、反射受信信号に対して包絡線検波処理を施すことにより、第2超音波信号の振幅強度に対応したBモード信号を生成する。
【0078】
記憶部19aは、RAMやROMで構成され、制御部17aに用いられるプログラムが記録され、また、表示部16aで表示する各種画像のテンプレートが記録されている。
【0079】
電圧制御手段18aは、制御部17aの制御に従って、送信部12aからの電気信号の送信信号を、第1圧電部と第2圧電部とに対して、どのように印加するか制御する機能を有する。
【0080】
表示部16aは、制御部17aの制御に従って、画像処理部15aで生成された超音波画像を表示する装置である。表示部16aは、例えば、CRTディスプレイ、LCD、ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0081】
制御部17aは、例えば、マイクロプロセッサ、記憶素子及びその周辺回路等を備えて構成され、これら操作入力部11a、送信部12a、受信部13a、信号処理部14a、画像処理部15a、電圧制御手段18a、及び記憶部19aを当該機能に応じてそれぞれ制御することによって超音波診断装置Sの全体制御を行う回路である。
【0082】
一方、超音波探触子2aは、振動部30aを備えており、当該振動部30aは、図略の生体等の被検体Hに対して第1超音波信号を送信すると共に、被検体Hからの第2超音波信号を受信する。振動部30aは、例えば、バッキング層(音響制動部材)と、圧電層と、音響整合層と、音響レンズとを備えて構成される。
【0083】
バッキング層(音響制動部材)は、超音波を吸収する材料から構成された平板状の部材であり、圧電層からバッキング層(音響制動部材)方向へ放射される超音波を吸収するものである。
【0084】
圧電層は、圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換するものである。圧電層の両面には電極が形成されている。なお、当該圧電層は、第1圧電層と第2圧電層の二層が積層配置された構成であってもよい。
【0085】
圧電層は、超音波診断装置本体1aの送信部12aからケーブル3aを介して入力された送信の電気信号を第1超音波信号へ変換して第1超音波信号を送信すると共に、受信した第2超音波信号を電気信号へ変換してこの電気信号(受信信号)を、ケーブル3aを介して超音波診断装置本体1aの受信部13aへ出力する。超音波探触子2aが被検体Hに当接されることによって圧電層5で生成された第1超音波信号が被検体H内へ送信され、被検体H内からの第2超音波信号が圧電層で受信される。
【実施例】
【0086】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0087】
実施例1
本実施形態に係る超音波探触子の製造方法について、図2を参照して、説明する。
【0088】
まず、単結晶圧電体側に接着される面に、スパッタ法によりNi/Au電極11を付与した、厚さが150μmである、アルミナ粉末を分散させたエポキシ樹脂の音響整合層10(音響インピーダンス:2.5×10kg/m・s)を形成する。
【0089】
その後、当該音響整合層10に、GND引き出しフレキシブルプリント基板12を、均一に加圧・加温させてエポキシ系接着剤DP−460(住友3M社製)を用いて接着する。なお、均一に加圧加温接着することで、単結晶圧電体と接着する面側は平面性を保つことができる。なお、フレキシブルプリント基板12は音響整合層と接着される部分は導電層20がむき出しになっており、図8に示すように音響整合層の凹み部分と1mm幅程度の部分で接着されるようになっていて、接着後に平面性が保てるようになっている。また外部に引き出している部分はポリイミド樹脂などからなるカバーレイヤー21で保護されている。
【0090】
次に、単結晶圧電体の超音波照射側と反対側の面側に、フレキシブルプリント基板(FPC)の導電層を圧電体の面積分に拡張した信号引き出しフレキシブルプリント基板14と、バッキング材15(エポキシ樹脂にシリコーンゴムTSE2233U(モーメンティブ社製)とフェライト微粒子を添加し、混練し、硬化させたもの)と、を厚さ方向に均一に加圧・加温させてエポキシ接着剤を用いて接着する。
【0091】
その後、形成した音響整合層と、マグネシウム・ニオブ酸鉛・チタン酸鉛固溶体からなる厚さ290μmの単結晶圧電体13と、形成した信号引き出し電極を付与したバッキングと、を前記エポキシ接着剤で均一に加圧・加温させて接着する。それぞれの部材を接着する前には、プライマー処理を施し、密着性の向上を図る。
【0092】
次に、ダイシングソーにより、厚さ30μmのブレードを用いて、アレイ方向にピッチ200μmで信号引き出しフレキシブル基板を完全に切断するように加工し、素子を形成する。
【0093】
次に、作製した超音波素子を真空処理室に設置し、ポリクロロパラキシリレン(パリレンC:米国ユニオンカーバイト社)を加熱室に充填して150℃に加熱気化させた後、さらに680℃で熱分解させて、真空処理室にて蒸着重合を行い、3μmの厚さで全体に絶縁膜を形成し、溝にシリコン系接着剤を充てんさせた後、音響レンズ16を加圧・加温させて接着することで、超音波探触子を作製する。
【0094】
上記方法によって作製した超音波探触子によれば、アレイ形状の切削を行って単結晶がチッピングを起こしても、電極剥離による導通不良の恐れはなく、確実な導通が確保できる、かつ製造工程の歩留まりを向上することができる。
【0095】
実施例2
実施例2では、単結晶圧電体下部に完全反射層(「DML」、「デマッチング層」ともいう。)を設ける場合について説明する。
【0096】
図2で既に説明した構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。また、第1の実施形態で述べた製造方法と重複する部分はその説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0097】
図3を参照して第2の実施例を説明する。音響整合層10に、GND引き出しフレキシブルプリント基板12に接着する方法は前述同様の方法をとる。
【0098】
次に、前述バッキング材15と、信号引き出しフレキシブルプリント基板14と、タングステンカーバイドからなる完全反射層(DML)17を、順に厚さ方向に均一に加圧・加温させてエポキシ接着剤を用いて接着する。DML17は単結晶圧電体と接着する面にあらかじめ鏡面研磨を施し、均一に接着できるようにしており、電極18を前述の方法を用いて形成している。DML17は、導電性を有しているため、電極を付与せずに用いてもよい。
【0099】
その後、形成した音響整合層と、マグネシウム・ニオブ酸鉛・チタン酸鉛固溶体からなる厚さ150μmの単結晶圧電体13と、DMLの面側とを、エポキシ接着剤で均一に加圧・加温させて接着する以外は、前述と同様の方法にて、超音波探触子を作製する。
【0100】
上記方法で作製された超音波探触子によれば、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0101】
また、図4に示すように、音響整合層の側面にも電極を設けてGND取り出しのフレキシブルプリント基板を音響整合層の上部にもってきても良く、また、図9に示すように、フレキシブルプリント基板の導電層を圧電体の面積分に拡張したフレキシブルプリント基板22を用いてもよく、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0102】
1 単結晶圧電体
2 音響整合層
3 音響レンズ
4 バッキング層
5 電極
6 電極
7 フレキシブルプリント基板(FPC)
10 音響整合層
11 Ni/Au電極
12 GND引き出しフレキシブルプリント基板
13 単結晶圧電体
14 信号引き出しフレキシブルプリント基板
15 バッキング材
16 音響レンズ
17 完全反射層(DML)
18 電極(Ni/Au電極)
19 接着層
20 導電層20
21 カバーレイヤー
22 GND引き出しフレキシブルプリント基板
1a 超音波医用画像診断装置本体
2a 超音波探触子
3a ケーブル
4a 超音波探触子フォルダ
11a 操作入力部
12a 送信部
13a 受信部
14a 信号処理部
15a 画像処理部
16a 表示部
17a 制御部
18a 電圧制御手段
19a 記憶部
30a 振動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響レンズ、音響整合層、超音波振動子、及びバッキング層が、この順に、接着し積層されて成る超音波探触子であって、当該超音波振動子を構成する圧電体が単結晶又は一軸配向結晶であり、かつ当該圧電体に隣接する層又は部材のみに電極が設けられていることを特徴とする超音波探触子。
【請求項2】
前記圧電体に隣接する層又は部材に設けられた電極の厚さが、当該圧電体の厚さの0.01〜1%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記圧電体と隣接する層又は部材とを接着する接着層の厚さが、当該圧電体の厚さの0.01〜5%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波探触子。
【請求項4】
音響レンズ、音響整合層、超音波振動子、及びバッキング層が、この順に、接着し積層されて成り、かつ当該超音波振動子を構成する圧電体が単結晶又は一軸配向結晶である超音波探触子の製造方法であって、当該圧電体に隣接する層又は部材のみに電極を設けることを特徴とする超音波探触子の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の超音波探触子を具備していることを特徴とする超音波医用画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−34159(P2012−34159A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171443(P2010−171443)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】