説明

超音波検出装置、及び超音波検出装置を備える紙葉類処理装置

【課題】 より高い精度で検査を行うことができる超音波検出装置、及び超音波検出装置を備える紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る超音波検出装置は、紙葉類が搬送される搬送面に対して超音波を射出する送信部と、前記搬送面上の検出範囲から超音波を検出する受信部と、前記搬送面上の前記紙葉類の搬送位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における先端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出した検出信号が増加するように制御し、前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における後端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出した検出信号が減少するように制御する制御部と、前記検出信号に基づいて、前記紙葉類の状態を判定する判定部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波検出装置、及び超音波検出装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば紙幣などの紙葉類の計数及び判別を行う紙葉類処理装置が実用化されている。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、紙葉類の検査装置に搬送する。検査装置は、紙葉類に対して種々の処理を行い紙葉類の状態を判別する。紙葉類処理装置は、検査装置の検査結果に基づいて、紙葉類を区分して集積する。
【0003】
紙葉類処理装置は、例えば、紙葉類に貼付されたテープなどの異物を検出する。紙葉類処理装置は、異物が付着している紙葉類を再流通に適さない紙葉類であると判定する。例えば、検査装置は、紙葉類に音波を照射し、透過波を検出することにより、紙葉類に貼付されているテープなどの異物の有無を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−351141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
音波を照射する送信センサ及び透過波を検出する受信センサは、紙葉類の寸法に対して充分な走査範囲を備える。しかし、紙葉類の先端及び後端が受信センサの走査範囲を通過する場合、送信センサから射出されて受信センサに直接入射する音波と、送信センサから射出されて紙葉類を透過して受信センサに入射する音波とが生じる。送信センサから射出されて受信センサに直接入射する音波は、送信センサから射出されて紙葉類を透過して受信センサに入射する音波に比べて強度が著しく大きい。この為、紙葉類の先端及び後端に貼付された異物の検出を正確に行うことができないという課題がある。
【0006】
そこで、より高い精度で検査を行うことができる超音波検出装置、及び超音波検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る超音波検出装置は、紙葉類が搬送される搬送面に対して超音波を射出する送信部と、前記搬送面上の検出範囲から超音波を検出する受信部と、前記搬送面上の前記紙葉類の搬送位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における先端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出した検出信号が増加するように制御し、前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における後端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出した検出信号が減少するように制御する制御部と、前記検出信号に基づいて、前記紙葉類の状態を判定する判定部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の外観について説明するための説明図である。
【図2】図2は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の制御系の例について説明するための説明図である。
【図4】図4は、一実施形態に係る超音波検出装置の例について説明するための説明図である。
【図5】図5は、一実施形態に係る超音波検出装置の例について説明するための説明図である。
【図6】図6は、一実施形態に係る紙葉類の例について説明するための説明図である。
【図7】図7は、一実施形態に係る超音波検出装置の例について説明するための説明図である。
【図8】図8は、一実施形態に係る超音波検出装置の例について説明するための説明図である。
【図9】図9は、一実施形態に係る超音波検出装置の例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る超音波検出装置、及び超音波検出装置を備える紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置100の外観を示す。
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作表示部137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0011】
投入部112は、例えば紙幣などの紙葉類1を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類1をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作表示部137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作表示部137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作表示部137に表示されるボタンと、操作表示部137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0012】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置100により再流通不可と判断された紙葉類1がスタックされる集積部から紙葉類1を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける入力部として機能する。
【0013】
図2は、図1の紙葉類処理装置100の構成例を示す。
紙葉類処理装置100は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至131、裁断部133、及びスタッカ134を備える。また、紙葉類処理装置100は、主制御部151を備える。主制御部151は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する。
【0014】
取出部113は、投入部の上部に設けられる。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類1を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類1を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類1を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類1を一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類1は、搬送路115に導入される。
【0015】
搬送路115は、紙葉類1を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータ及び駆動プーリにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類1を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0016】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、超音波検出装置135、及び厚み検査部119を備えている。検査部116は、紙葉類1の光学的特徴情報、機械的特徴、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置100は、紙葉類1の種類、汚損度、及び真偽などを検知する。
【0017】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類1の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、Charge Coupled Device(CCD)カメラを備える。紙葉類処理装置100は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類1の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0018】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置100は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作表示部137に表示する。
【0019】
超音波検出装置135は、搬送される紙葉類1に対して超音波を照射し、紙葉類1を透過する透過波を検出する。これにより、超音波検出装置135は、例えば、紙葉類1の形状を検知する。また、超音波検出装置135は、例えば、紙葉類1に貼付されているテープなどの異物として検知する。
【0020】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類1の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置100は、紙葉類1の2枚取りを検出する。
【0021】
また、検査部116は、図示しない磁気センサなどを備えている。磁気センサは、紙葉類1の磁気的な特徴情報を検出する。
【0022】
主制御部151は、画像読取装置117、118、超音波検出装置135、厚み検査部119、及び磁気センサなどによる検出結果に基づいて、各種の判定を行う。例えば、主制御部151は、紙葉類1の種類(category)または券種(denomination)を判定する。
【0023】
また、主制御部151は、紙葉類1の真偽(genuine/counterfeit)を判定する。すなわち、主制御部151は、紙葉類1が真券(genuine)であるか、偽券(counterfeit)であるかを判定する。
【0024】
また、主制御部151は、紙葉類1の正損(fitness)を検知する。即ち、主制御部151は、紙葉類1が再流通可能(recirculatable)な正券(fit sheet)であるか、再流通不可能(unrecirculatable)な損券(unfit sheet)であるかを判定する。
【0025】
さらに、主制御部151は、紙葉類1が排除券であるか否か判定する。すなわち、主制御部151は、偽券と判定された紙葉類1、または厚み検査部119により重なりが検知された紙葉類1を、排除券と判定する。すなわち、排除券は、正券及び損券に該当しない紙葉類1である。
【0026】
紙葉類処理装置100は、正券と判定した紙葉類1を集積・結束部128乃至131に搬送する。また、紙葉類処理装置100は、損券と判定した紙葉類1を裁断部133に搬送する。裁断部133は、搬送される損券を裁断する。なお、紙葉類処理装置100は、損券をスタッカ134に搬送し集積してもよい。例えば、スタッカ134は、集積した損券が例えば100枚に到達するごとに施封を行う。
【0027】
紙葉類処理装置100は、排除券と判定した紙葉類1を排除集積部127に搬送する。排除券は、例えば、2枚取り券などの搬送異常券、折れまたは破れなどが存在する不良券、及び適用外券種または偽券などの判別不能券を含む。
【0028】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類1を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0029】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、ゲート120は、検査部116による検査の結果、真券ではないと判定された排除券、または、検査部116による検査を行うことができない検査不能券等を排除搬送路126に搬送するように切り替えられる。
【0030】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、上記したような排除券、及び検査不能券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類1は、取出口139から取り出すことができる。
【0031】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類1が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類1を所定枚数毎に結束して格納する。
【0032】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類1を裁断して収納する。ゲート125に搬送される紙葉類1は、正規の紙葉類1であり、且つ、再流通が不可能であると判定された紙葉類1(損券)である。
【0033】
また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、紙葉類1を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類1をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0034】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類1の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類1の枚数及び識別情報を逐次記憶する。
【0035】
図3は、図1及び図2の紙葉類処理装置100の制御系の構成例を示す。
紙葉類処理装置100は、主制御部151、検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、裁断制御部156、操作表示部137、及びキーボード140などを備える。
【0036】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作表示部137により入力される操作、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0037】
例えば、操作員は、操作表示部137またはキーボード140により、処理する紙葉類1に対する各種の判定における閾値、紙葉類1の供給元の名称、及び処理方法などを入力する。
【0038】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、超音波検出装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0039】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類1の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、例えばCCDなどの受光素子と光学系とを備える。画像読取装置117、及び118は、搬送される紙葉類1に対して光を投光し、反射光または透過光を光学系により受光する。画像読取装置117、及び118は、光学系により受光した光をCCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。
【0040】
主制御部151は、紙葉類1の基準となる画像(基準画像)を記憶部151aに予め記憶する。主制御部151は、紙葉類1から取得した画像と、記憶部151aに記憶される基準画像とを比較することにより、紙葉類1に対する各種の判定を行う。
【0041】
超音波検出装置135は、上記したように、搬送される紙葉類1に対して超音波を照射する。超音波検出装置135は、紙葉類1を透過する音波を検出する。また、記憶部151aは、超音波検出装置135の検出結果と比較する閾値を予め記憶する。主制御部151は、超音波検出装置135の検出結果と記憶部151aに記憶されている閾値とに基づいて、紙葉類1に対する各種の判定を行う。
【0042】
紙葉類1に異物が付着している場合、紙葉類1を透過する超音波(透過波)の強度が減衰する。例えば、主制御部151は、超音波検出装置135の検出結果と記憶部151aに記憶されている閾値とに基づいて、紙葉類1に異物が付着しているか否かを判定する。
【0043】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類1の厚みを検査する。その他のセンサ類154は、例えば、磁気センサなどである。磁気センサは、搬送路115を搬送される紙葉類1から磁気的な特徴情報を検出する。
【0044】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、超音波検出装置135、及びその他のセンサ類154などの動作の制御を行う。また、CPU155は、主制御部151とデータの伝送を行う。すなわち、CPU155は、検査部116の各部における検知結果を主制御部151に伝送することができる。
【0045】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類1の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類1の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0046】
例えば、搬送制御部152は、超音波検出装置135により紙葉類1に異物が付着していることを検出する場合、紙葉類1を排除集積部127、裁断部133、またはスタッカ134に搬送するようにゲート120乃至125を制御する。
【0047】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、排除集積部127及び集積・結束部128乃至131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類1の集積、及び結束の制御を行なう。
【0048】
裁断制御部156は、主制御部151の制御に基づき、裁断部133の動作を制御する。これにより、裁断部133は、搬送される紙葉類1の裁断を行う。
【0049】
図4は、図2及び図3の超音波検出装置135の構成例を示す。また、図5は、図4に示される超音波検出装置135の一部の構成の配置の例を示す。また、図6は、紙葉類処理装置100により処理される紙葉類1の例を示す。
超音波検出装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。
【0050】
図4に示されるように、超音波検出装置135は、送信センサ50、受信センサ60、位置検出センサ70、制御部80、及び判定部82を備える。なお、図4に示す矢印aは、紙葉類1の搬送方向を示す。
【0051】
送信センサ50は、搬送方向aに一定の速度で搬送される紙葉類1に対して超音波を照射する送信部である。送信センサ50は、搬送路115を挟んで受信センサ60と対向する位置に設置される。送信センサ50は、圧電素子を備える。圧電素子は、圧電体と、圧電体を挟持するように設けられる1対の電極とを有する。
【0052】
送信センサ50は、圧電素子の電極に電圧を印加することにより、圧電体の形状を変化させる。圧電素子の電極にパルス信号が印加される場合、送信センサ50は、圧電体を振動させる。この結果、送信センサ50は、超音波を発生させることができる。
【0053】
なお、紙葉類1を透過する超音波は、超音波の入射角により透過率が変動する。この為、送信センサ50は、紙葉類1に対する超音波の入射角が最適となるように設置される。なお、最適角度は、紙葉類1の材質及び構造により異なる。図4に示すように、送信センサ50は、照射される超音波の向きが、紙葉類1の搬送方向aに対して角度θを成すように設けられる。
【0054】
受信センサ60は、送信センサ50から送信されて紙葉類1を透過した透過波を検出する受信部である。受信センサ60は、搬送路115を挟んで送信センサ50と対向する位置に設置される。受信センサ60は、送信センサ50と同様に、圧電素子を備える。
【0055】
受信センサ60は、圧電体の形状の変化に応じて信号を生成する。受信センサ60に超音波が照射される場合、圧電体は、超音波の強度及び周期に応じて形状が変化する。即ち、受信センサ60は、超音波の強度及び周期に応じた信号を生成する。これにより、受信センサ60は、紙葉類1を透過した透過波を検出する。なお、受信センサ60は、搬送方向aに対して送信センサ50と同じ角度で設置される。
【0056】
即ち、送信センサ50及び受信センサ60は、搬送方向aに対してθの角度を成す軸S上に設けられる。送信センサ50は、軸Sと平行に伝播する超音波を出力する。即ち、送信センサ50は、超音波を出力する面(振動面)が軸Sと直交するように設置される。また、受信センサ60は、超音波が入射する面(振動面)が軸Sと直交するように設置される。
【0057】
なお、受信センサ60の振動面の長さをXとする場合、紙葉類1が搬送される搬送面P上の紙葉類1の搬送方向aにおける受信センサ60の走査幅Yは、Y=X/cosθである。
【0058】
送信センサ50は、上記の搬送面P上の所定の範囲(照射範囲)に対して超音波を照射する。なお、送信センサ50は、搬送面P上の紙葉類1が搬送される範囲に照射範囲が形成されるように構成される。
【0059】
また、受信センサ60は、上記した搬送面P上の所定の範囲(検出範囲)から超音波を受信する。受信センサ60は、紙葉類1が搬送される範囲を含む大きさで検出範囲が形成されるように構成される。
【0060】
受信センサ60は、検出範囲に紙葉類1が存在する場合、送信センサ50から射出されて紙葉類1を透過した超音波(透過波)を検出する。また、受信センサ60は、検出範囲に紙葉類1が存在しない場合、送信センサ50から射出されて受信センサ60に直接入射する超音波(ダイレクト波)を検出する。
【0061】
なお、紙葉類1は、図6に示されるように、搬送方向aにおける先端と後端とを有する。また、紙葉類1の長さLは、紙葉類1の券種により異なる場合がある。紙葉類1の先端または後端が受信センサ60の検出範囲内に存在する場合、受信センサ60は、透過波とダイレクト波との両方を検出する。
【0062】
位置検出センサ70は、紙葉類1の搬送位置を検出する。即ち、位置検出センサ70は、搬送面P上の所定の位置を紙葉類1の先端、または後端が通過したか否かを検出する。例えば、位置検出センサ70は、搬送面P上の所定の位置から光を検出し、紙葉類1の有無を認識する。位置検出センサ70は、位置検出信号、即ち、所定位置における紙葉類1の有無を示す信号を制御部80に送信する。
【0063】
制御部80は、超音波検出装置135の全体の制御を司るものである。制御部80は、CPU、バッファメモリ、プログラムメモリ、及び不揮発性メモリなどを備えている。
【0064】
CPUは、種々の演算処理を行う。バッファメモリは、CPUにより演算結果を一時的に記憶する。プログラムメモリ及び不揮発性メモリは、CPUが実行する種々のプログラム及び制御データなどを記憶する。
【0065】
制御部80は、CPUによりプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の処理を行うことができる。例えば、制御部80は、送信センサ50及び受信センサ60の動作タイミングを制御する。
【0066】
また、制御部80は、図3に示す検査部116のCPU155及び主制御部151と接続されている。例えば、制御部80は、処理結果を主制御部151またはCPU155に伝送することができる。また、主制御部151またはCPU155から送信される制御信号に基づいて、超音波検出装置135の動作を制御することが出来る。
【0067】
例えば、制御部80は、パルス信号を生成する。制御部80は、生成したパルス信号を送信センサ50に入力する。送信センサ50は、入力されるパルス信号に基づいて圧電素子に電圧を印加する。これにより、送信センサ50は、超音波を射出する。即ち、制御部80は、送信制御部として機能する。なお、制御部80は、送信センサ50に入力するパルス信号の電圧値を制御することにより、送信センサ50から出力される超音波の強度を可変することができる。
【0068】
受信センサ60は、圧電素子の動作に基づいて、超音波の検出信号を生成する。受信センサ60は、超音波を検出し、検出信号を生成する。受信センサ60は、検出信号を制御部80に伝送する。
【0069】
制御部80は、受信センサ60から伝送された検出信号を読み取る。例えば、制御部80は、所定間隔毎に受信センサ60から受信する検出信号を読み取る。これにより、制御部80は、搬送される紙葉類1の全体から検出信号を取得することができる。なお、制御部80は、受信センサ60により検出された検出信号を自身が保持するアンプ係数に基づいて増幅させることができる。即ち、制御部80は、受信制御部として機能する。
【0070】
また、制御部80は、位置検出センサ70から送信された位置検出信号を受信する。制御部80は、位置検出センサ70から受信した位置検出信号に基づいて、紙葉類1の搬送位置を判断する。
【0071】
位置検出センサ70の検出位置と受信センサ60の検出範囲との距離をZとし、紙葉類1の搬送速度をVと仮定する。この場合、制御部80は、位置検出センサ70により紙葉類1の先端が検出されてから、Z/Vの時間が経過した後に紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲に進入すると判断する。
【0072】
また、制御部80は、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲に進入してから、Y/Vの時間が経過した後に紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲を通過したと判断する。
【0073】
またさらに、制御部80は、位置検出センサ70により紙葉類1の後端が検出されてから、Z/Vの時間が経過した後に紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲に進入すると判断する。
【0074】
またさらに、制御部80は、紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲に進入してから、Y/Vの時間が経過した後に紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲を通過したと判断する。
【0075】
制御部80は、紙葉類1の搬出位置に応じて、送信センサ50に印加するパルス信号の電圧値を制御する。
【0076】
制御部80は、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲に進入してからY/Vの間、徐々にパルス信号の電圧値が高くなるようにパルス信号を生成する。例えば、制御部80は、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲に進入してからY/Vの間、線形的にパルス信号の電圧値が高くなるようにパルス信号を生成する。即ち、制御部80は、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲を通過している間、線形的にパルス信号の電圧値が高くなるようにパルス信号を生成する。
【0077】
さらに、制御部80は、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲を通過した場合、パルス信号の電圧値が一定になるようにパルス信号を生成する。
【0078】
またさらに、制御部80は。紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲に進入してからY/Vの間、徐々にパルス信号の電圧値が低くなるようにパルス信号を生成する。例えば、制御部80は、紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲に進入してからY/Vの間、線形的に徐々にパルス信号の電圧値が低くなるようにパルス信号を生成する。即ち、制御部80は、紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲を通過している間、線形的に徐々にパルス信号の電圧値が低くなるようにパルス信号を生成する。
【0079】
制御部80は、上記したように制御したパルス信号を送信センサ50に印加することにより、送信センサ50から出力される超音波の強度を制御する。また、制御部80は、受信センサ60により検出された検出信号を判定部82に出力する。
【0080】
なお、超音波検出装置135は、受信センサ60により検出された検出信号を可変する構成であってもよい。この場合、制御部80は、紙葉類1の搬送位置に応じて、受信センサ60により検出された検出信号に対する増幅処理に用いるアンプ係数を制御する。
【0081】
制御部80は、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲に進入してからY/Vの間、徐々にアンプ係数が高くなるようにアンプ係数を制御する。例えば、制御部80は、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲に進入してからY/Vの間、線形的にアンプ係数が高くなるようにアンプ係数を制御する。即ち、制御部80は、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲を通過している間、線形的にアンプ係数が高くなるようにアンプ係数を制御する。
【0082】
さらに、制御部80は、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲を通過した場合、アンプ係数が一定になるようにアンプ係数を制御する。
【0083】
またさらに、制御部80は。紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲に進入してからY/Vの間、徐々にアンプ係数が低くなるようにアンプ係数を制御する。例えば、制御部80は、紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲に進入してからY/Vの間、線形的にアンプ係数が低くなるようにアンプ係数を制御する。即ち、制御部80は、紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲を通過している間、線形的にアンプ係数が低くなるようにアンプ係数を制御する。
【0084】
制御部80は、上記したように制御したアンプ係数を用いて受信センサ60により検出された検出信号を増幅する。制御部80は、増幅された検出信号を判定部82に出力する。
【0085】
判定部82は、制御部80から出力された検出信号と、予め設定される閾値とに基づいて、紙葉類1の状態を判定する。閾値は、例えば、上限値と下限値とを含む。例えば、制御部80から出力された検出信号が予め設定される下限値未満である場合、判定部82は、紙葉類1に例えばテープなどの異物が貼付されていると判定する。また、例えば、制御部80から出力された検出信号が予め設定される上限値以上である場合、判定部82は、紙葉類1に切れ目などが存在すると判定する。
【0086】
なお、光検出装置135は、送信センサ50に印加するパルス信号の電圧値を制御する構成であっても、受信センサ60により検出された検出信号を増幅する構成であってもよい。また、光検出装置135は、送信センサ50に印加するパルス信号の電圧値を制御し、且つ、受信センサ60により検出された検出信号を増幅する構成であってもよい。この場合、光検出装置135は、パルス信号の電圧値及び増幅に用いるアンプ係数を総合的な増幅率(トータルゲイン)として制御する。
【0087】
図7は、送信センサ50に印加するパルス信号の電圧値、受信センサ60により検出された検出信号、及び位置検出センサ70により検出された位置検出信号の例を示す。
【0088】
グラフ701は、制御部80から送信センサ50に入力されるパルス信号の電圧値を示す。グラフ702は、位置検出センサ70により検出された紙葉類1の位置検出信号を示す。グラフ703は、受信センサ60により検出された検出信号を示す。なお、縦軸は、それぞれ電圧値と検出信号のレベルとを示す。また、横軸は、紙葉類1の搬送距離を示す。なお、紙葉類1は、搬送方向aに一定の搬送速度Vで搬送されている為、搬送距離と時間とが比例する。
【0089】
図7に示されるように、位置検出センサ70は、時刻t0において、紙葉類1の先端を検出する。即ち、紙葉類1の先端は、時刻t0において位置検出センサ70の検出位置を通過する。さらに、紙葉類1の先端は、時刻t1において受信センサ60の検出範囲に進入する。さらに、紙葉類1の先端は、時刻t2において受信センサ60の検出範囲を通過する。
【0090】
即ち、時刻t1は、時刻t0からZ/Vだけ時間が経過した時刻である。また、時刻t2は、時刻t1からY/Vだけ時間が経過した時刻である。
【0091】
制御部80は、時刻t1から時刻t2の間に、パルス信号の電圧値が線形的に増加するようにパルス信号を生成する。また、制御部80は、時刻t2以降、パルス信号の電圧値が一定になるようにパルス信号を生成する。
【0092】
また、図7に示されるように、位置検出センサ70は、時刻t3において、紙葉類1の後端を検出する。紙葉類1の後端は、時刻t3において位置検出センサ70の検出位置を通過する。さらに、紙葉類1の後端は、時刻t4において受信センサ60の検出範囲に進入する。さらに、紙葉類1の後端は、時刻t5において受信センサ60の検出範囲を通過する。
【0093】
即ち、時刻t4は、時刻t3からZ/Vだけ時間が経過した時刻である。また、時刻t5は、時刻t4からY/Vだけ時間が経過した時刻である。
【0094】
制御部80は、時刻t4から時刻t5の間に、パルス信号の電圧値が線形的に減少するようにパルス信号を生成する。
【0095】
即ち、制御部80は、受信センサ60の検出範囲に紙葉類1が進入していない場合、パルス信号の電圧値を低く保つ。また、制御部80は、受信センサ60の検出範囲内に紙葉類1の先端が存在する場合、パルス信号の電圧値が線形的に増加させる。また、制御部80は、受信センサ60の検出範囲内に紙葉類1が存在し、且つ、受信センサ60の検出範囲内に紙葉類1の先端及び後端が存在しない場合、パルス信号の電圧値を高いレベルで保つ。また、制御部80は、受信センサ60の検出範囲内に紙葉類1の後端が存在する場合、パルス信号の電圧値を線形的に減少させる。
【0096】
上記したパルス信号が送信センサ50に印加されることにより、受信センサ60は、グラフ703により示される検出信号を取得することができる。即ち、グラフ703は、紙葉類1に切れ目が存在する、または、紙葉類1に異物が貼付されている場合を除き、一定の値である。
【0097】
また、上記したように、制御部80において受信センサ60により検出された検出信号を増幅する構成であってもよい。
図8は、制御部80におけるアンプ係数、受信センサ60により検出された検出信号、位置検出センサ70により検出された位置検出信号、及び増幅された検出信号の例を示す。
【0098】
グラフ702は、位置検出センサ70により検出された紙葉類1の位置検出信号を示す。グラフ704は、制御部80におけるアンプ係数を示す。グラフ705は、受信センサ60により検出された検出信号を示す。グラフ706は、増幅された検出信号を示す。なお、縦軸は、それぞれアンプ係数と検出信号のレベルとを示す。また、横軸は、紙葉類1の搬送距離を示す。なお、紙葉類1は、搬送方向aに一定の搬送速度Vで搬送されている為、搬送距離と時間とが比例する。
【0099】
グラフ705に示されるように、紙葉類1の先端または後端が受信センサ60の検出範囲内に存在する場合、受信センサ60は、大きく変化する検出信号を検出する。
【0100】
図8に示されるように、位置検出センサ70は、時刻t0において、紙葉類1の先端を検出する。即ち、紙葉類1の先端は、時刻t0において位置検出センサ70の検出位置を通過する。さらに、紙葉類1の先端は、時刻t1において受信センサ60の検出範囲に進入する。さらに、紙葉類1の先端は、時刻t2において受信センサ60の検出範囲を通過する。
【0101】
即ち、時刻t1は、時刻t0からZ/Vだけ時間が経過した時刻である。また、時刻t2は、時刻t1からY/Vだけ時間が経過した時刻である。
【0102】
制御部80は、時刻t1から時刻t2の間に、アンプ係数が線形的に増加するようにアンプ係数を制御する。また、制御部80は、時刻t2以降、アンプ係数が一定になるように制御する。
【0103】
また、図8に示されるように、位置検出センサ70は、時刻t3において、紙葉類1の後端を検出する。紙葉類1の後端は、時刻t3において位置検出センサ70の検出位置を通過する。さらに、紙葉類1の後端は、時刻t4において受信センサ60の検出範囲に進入する。さらに、紙葉類1の後端は、時刻t5において受信センサ60の検出範囲を通過する。
【0104】
即ち、時刻t4は、時刻t3からZ/Vだけ時間が経過した時刻である。また、時刻t5は、時刻t4からY/Vだけ時間が経過した時刻である。制御部80は、時刻t4から時刻t5の間に、アンプ係数が線形的に減少するように制御する。
【0105】
即ち、制御部80は、受信センサ60の検出範囲に紙葉類1が進入していない場合、アンプ係数を低く保つ。また、制御部80は、受信センサ60の検出範囲内に紙葉類1の先端が存在する場合、アンプ係数を線形的に増加させる。また、制御部80は、受信センサ60の検出範囲内に紙葉類1存在し、且つ、受信センサ60の検出範囲内に紙葉類1の先端及び後端が存在しない場合、アンプ係数を高いレベルで保つ。また、制御部80は、受信センサ60の検出範囲内に紙葉類1の後端が存在する場合、アンプ係数を線形的に減少させる。
【0106】
超音波検出装置135は、上記したアンプ係数で受信センサ60の検出信号を増幅することにより、グラフ706により示される増幅された検出信号を取得することができる。即ち、グラフ706は、紙葉類1に切れ目が存在する、または、紙葉類1に異物が貼付されている場合を除き、一定の値である。
【0107】
図9は、異物及び切れ目が存在する紙葉類1から検出された信号の例を示す。
グラフ707は、制御部80から判定部82に送信される検出信号を示す。なお、図7及び図8に示す例と同様に、縦軸は、検出信号のレベルを示し、横軸は、紙葉類1の搬送距離を示す。
【0108】
ここで、時刻t6において、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲内に進入したとする。また、時刻t6から時刻t7までの間に受信センサ60の検出範囲を通過する紙葉類1の範囲に、異物2が付着しているとする。またさらに、時刻t8から時刻t9までの間に受信センサ60の検出範囲を通過する紙葉類1の範囲に、切れ目3が存在するとする。またさらに、時刻t9において、紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲を通過したとする。
【0109】
このような場合、グラフ707により示されるように、時刻t6から時刻t7の間に低いレベルの信号が検出される。また、時刻t8から時刻t9の間に高いレベルの信号が検出される。
【0110】
上記したように、超音波検出装置135は、紙葉類1の搬送位置に基づいて、送信センサ50に送信するパルス信号の電圧値、及び/または受信センサ60により検出される検出信号に対して施す増幅に用いられるアンプ係数を制御する。即ち超音波検出装置135は、紙葉類1の搬送位置に基づいて、トータルゲインを制御する。即ち、超音波検出装置135は、紙葉類1が受信センサ60の検出範囲内に存在しない場合、パルス信号の電圧値、及び/またはアンプ係数を低く保ち、紙葉類1の先端が受信センサ60の検出範囲内に存在する場合、パルス信号の電圧値、及び/またはアンプ係数を増加させる。
【0111】
さらに、超音波検出装置135は、紙葉類1が受信センサ60の検出範囲内に存在し、且つ、紙葉類1の先端及び後端が受信センサ60の検出範囲内に存在しない場合、パルス信号の電圧値、及び/またはアンプ係数を高く保ち、紙葉類1の後端が受信センサ60の検出範囲内に存在する場合、パルス信号の電圧値、及び/またはアンプ係数を減少させる。
【0112】
このようにトータルゲインを制御することにより、紙葉類1に切れ目が存在する、または、紙葉類1に異物が貼付されている場合を除き、判定に用いられる信号を一定の値にすることができる。これにより、超音波検出装置135は、紙葉類1の先端及び後端に存在する切れ目及び異物を検出することができる。即ち、超音波検出装置135は、紙葉類1の先端及び後端の状態を検出することができる。この結果、より高い精度で検査を行うことができる超音波検出装置、及び超音波検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0113】
なお、上記した実施形態では、紙葉類1の先端または後端が受信センサ60の検出範囲内に存在する場合、超音波検出装置135は、パルス信号の電圧値、及び/またはアンプ係数を線形的に変化させると説明したがこの構成に限定されない。超音波検出装置135は、例えば紙葉類1のスキュー(搬送傾き)角度に応じてパルス信号の電圧値、及び/またはアンプ係数の増加及び減少に用いる関数を決定する構成であってもよい。例えば、例えば紙葉類1が傾いた状態で搬送されている場合、超音波検出装置135は、パルス信号の電圧値、及び/またはアンプ係数を二次関数的に変化させることにより、信号のレベルが一定になるように制御することが出来る。
【0114】
なお、光検出装置135は、送信センサ50に印加するパルス信号の電圧値を制御する構成と、受信センサ60により検出された検出信号を増幅する構成とについて説明したが、この構成に限定されない。光検出装置135は、紙葉類1に切れ目が存在する、または、紙葉類1に異物が貼付されている場合を除いて受信センサ60により検出される検出信号が一定の値になる方法であれば、如何なる方法を用いてもよい。
【0115】
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0116】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1…紙葉類、50…送信センサ、60…受信センサ、70…位置検出センサ、80…制御部、82…判定部、100…紙葉類処理装置、112…投入部、113…取出部、115…搬送路、116…検査部、117…画像読取装置、118…画像読取装置、119…厚み検査部、125…ゲート、127…排除集積部、132…集積・結束部、133…裁断部、134…スタッカ、135…超音波検出装置、151…主制御部、151a…記憶部、152…搬送制御部、153…集積・結束制御部、154…他のセンサ類、155…CPU、155…主制御部、156…裁断制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類が搬送される搬送面に対して超音波を射出する送信部と、
前記搬送面上の検出範囲から超音波を検出する受信部と、
前記搬送面上の前記紙葉類の搬送位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における先端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出した検出信号が増加するように制御し、前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における後端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出した検出信号が減少するように制御する制御部と、
前記検出信号に基づいて、前記紙葉類の状態を判定する判定部と、
を具備する超音波検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記紙葉類の先端または後端が前記受信部の検出範囲内に存在する場合と、前記紙葉類が前記受信部の検出範囲内に存在し且つ前記紙葉類の先端または後端が前記受信部の検出範囲内に存在しない場合とで前記検出信号が等しくなるように前記送信部及び前記受信部の増幅率を制御する、請求項1に記載の超音波検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における先端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出した検出信号が線形的に増加するように前記送信部及び前記受信部の増幅率を制御し、
前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における後端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出した検出信号が線形的に減少するように前記送信部及び前記受信部の増幅率を制御する、
請求項2に記載の超音波検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における先端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記送信部から出力される超音波の強度を増加させ、
前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における後端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記送信部から出力される超音波の強度を減少させる、
請求項2に記載の超音波検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における先端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出される前記検出信号の増幅に用いるアンプ係数を増加させ、
前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における後端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出される前記検出信号の増幅に用いるアンプ係数を減少させる、
請求項2に記載の超音波検出装置。
【請求項6】
前記判定部は、
第1の基準値と第2の基準値とを予め記憶し、
前記検出信号が前記第1の基準値以上である場合、前記紙葉類に切れ目が存在すると判定し、
前記検出信号が前記第2の基準値未満である場合、前記紙葉類に異物が貼付されていると判定する、
請求項1に記載の超音波検出装置。
【請求項7】
紙葉類を搬送する搬送部と、
前記搬送部により前記紙葉類が搬送される搬送面に対して超音波を射出する送信部と、
前記搬送面上の検出範囲から超音波を検出する受信部と、
前記搬送面上の前記紙葉類の搬送位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における先端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出した検出信号が増加するように制御し、前記位置検出部により前記紙葉類の搬送方向における後端が前記受信部の検出範囲内に存在することを検出した場合、前記受信部により検出した検出信号が減少するように制御する制御部と、
前記検出信号に基づいて、前記紙葉類の状態を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備する紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−189497(P2012−189497A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54341(P2011−54341)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】