説明

超音波検査装置、及び超音波検査装置を備える紙葉類処理装置

【課題】より高い精度で検査を行うことができる超音波検査装置、及び超音波検査装置を備える紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】超音波検出装置135は、送信部50と受信部60と仕切部材70とを備える。送信部50は、紙葉類7が搬送される搬送面Pに対して所定の角度θで設けられ、前記搬送面Pに対して超音波を射出する。受信部60は、超音波を検出するチャネルを複数備え、チャネルに入射する超音波を検出する。仕切部材70は、前記送信部50から射出されて、前記受信部60の走査方向における前記紙葉類の端部を回折する回折波を遮蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波検査装置、及び超音波検査装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば紙幣などの紙葉類の計数及び判別を行う紙葉類処理装置が実用化されている。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、紙葉類の検査装置に搬送する。検査装置は、紙葉類に対して種々の処理を行い紙葉類の状態を判別する。紙葉類処理装置は、検査装置の検査結果に基づいて、紙葉類を区分して集積する。
【0003】
紙葉類処理装置は、例えば、紙葉類に貼付されたテープなどの異物を検出する。紙葉類処理装置は、異物が付着している紙葉類を再流通に適さない紙葉類であると判定する。例えば、検査装置は、紙葉類に超音波を照射し、透過波を検出することにより、紙葉類に貼付されているテープなどの異物の有無を検出する。
【0004】
超音波を照射する送信センサ及び透過波を検出する受信センサは、紙葉類の寸法に対して充分な走査範囲を備える。送信センサから出力される超音波の中には、紙葉類の端部において回折する超音波が存在する。紙葉類の端部を回折する超音波(回折波)は、受信センサの紙葉類と重なる位置に入射する可能性がある。この結果、紙葉類の端部の検出が困難であるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−351141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、より高い精度で検査を行うことができる超音波検査装置、及び超音波検査装置を備える紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る超音波検査装置は、送信部と受信部と仕切部材とを備える。送信部は、紙葉類が搬送される搬送面に対して所定の角度で設けられ、前記搬送面に対して超音波を射出する。受信部は、超音波を検出するチャネルを複数備え、チャネルに入射する超音波を検出する。仕切部材は、前記送信部から射出されて、前記受信部の走査方向における前記紙葉類の端部を回折する回折波を遮蔽する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の外観について説明するための説明図である。
【図2】図2は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するための説明図である。
【図4】図4は、一実施形態に係る超音波検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図5】図5は、一実施形態に係る超音波検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図6】図6は、一実施形態に係る超音波検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図7】図7は、一実施形態に係る超音波検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図8】図8は、一実施形態に係る超音波検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図9】図9は、一実施形態に係る超音波検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図10】図10は、一実施形態に係る超音波検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図11】図11は、一実施形態に係る超音波検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図12】図12は、一実施形態に係る超音波検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図13】図13は、一実施形態に係る超音波検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図14】図14は、一実施形態に係る超音波検査装置の他の構成例について説明するための説明図である。
【図15】図15は、一実施形態に係る超音波検査装置の他の構成例について説明するための説明図である。
【図16】図16は、一実施形態に係る超音波検査装置の他の構成例について説明するための説明図である。
【図17】図17は、一実施形態に係る超音波検査装置の他の構成例について説明するための説明図である。
【図18】図18は、一実施形態に係る超音波検査装置のさらに他の構成例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る超音波検査装置、及び超音波検査装置を備える紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置100の外観について説明するための説明図である。
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作表示部137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0011】
投入部112は、例えば紙幣などの紙葉類7を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類7をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作表示部137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作表示部137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作表示部137に表示されるボタンと、操作表示部137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0012】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置100により再流通不可と判断された紙葉類7がスタックされる集積部から紙葉類7を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける入力部として機能する。
【0013】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置100の構成例について説明するための説明図である。
紙葉類処理装置100は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至131、裁断部133、及びスタッカ134を備える。また、紙葉類処理装置100は、主制御部151を備える。主制御部151は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する。
【0014】
取出部113は、投入部の上部に設けられる。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類7を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類7一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7は、搬送路115に導入される。
【0015】
搬送路115は、紙葉類7を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する搬送手段である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータ及び駆動プーリにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0016】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、超音波検出装置135、及び厚み検査部119を備えている。検査部116は、紙葉類7の光学的特徴情報、機械的特徴、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の種類、汚損度、及び真偽などを検知する。
【0017】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、Charge Coupled Device(CCD)カメラを備える。紙葉類処理装置100は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類7の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0018】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置100は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作表示部137に表示する。
【0019】
超音波検出装置135は、搬送される紙葉類7に対して超音波を照射し、紙葉類7を透過する透過波を検出する。これにより、超音波検出装置135は、例えば、紙葉類7の形状を検知する。また、超音波検出装置135は、例えば、紙葉類7に貼付するテープなどの異物として検知する。
【0020】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の2枚取りを検出する。
【0021】
また、検査部116は、図示しない磁気センサなどを備えている。磁気センサは、紙葉類7の磁気的な特徴情報を検出する。
【0022】
主制御部151は、画像読取装置117、118、超音波検出装置135、厚み検査部119、及び磁気センサなどによる検出結果に基づいて、各種の判定を行う。例えば、主制御部151は、紙葉類7の種類(category)を判定する。
【0023】
また、主制御部151は、紙葉類7の真偽(authentication)を判定する。すなわち、主制御部151は、紙葉類7が真券(legal sheet)であるか、偽券(illegal sheet)であるかを判定する。
【0024】
また、主制御部151は、紙葉類7の正損(recirculatable/unrecirculatable)を検知する。即ち、主制御部151は、紙葉類7が再流通可能(recirculatable)な正券(fit sheet)であるか、再流通不可能(unrecirculatable)な損券(unfit sheet)であるかを判定する。
【0025】
さらに、主制御部151は、紙葉類7が排除券であるか否か判定する。すなわち、主制御部151は、偽券と判定された紙葉類7、または厚み検査部119により重なりが検知された紙葉類7を、排除券と判定する。すなわち、排除券は、正券及び損券に該当しない紙葉類7である。
【0026】
紙葉類処理装置100は、正券と判定した紙葉類7を集積・結束部128乃至131に搬送する。また、紙葉類処理装置100は、損券と判定した紙葉類7を裁断部133に搬送する。裁断部133は、搬送される損券を裁断する。なお、紙葉類処理装置100は、損券をスタッカ134に搬送し集積してもよい。スタッカ134は、集積した損券が例えば100枚に到達するごとに施封を行う。
【0027】
紙葉類処理装置100は、排除券と判定した紙葉類7を排除集積部127に搬送する。排除券は、例えば、2枚取り券などの搬送異常券、折れまたは破れなどが存在する不良券、及び適用外券種または偽券などの判別不能券を含む。
【0028】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類7を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0029】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、ゲート120は、検査部116による検査の結果、真券ではないと判定された排除券、または、検査部116による検査を行うことができない検査不能券等を排除搬送路126に搬送するように切り替えられる。
【0030】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、上記したような排除券、及び検査不能券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類7は、取出口139から取り出すことができる。
【0031】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類7が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類7を所定枚数毎に結束して格納する。
【0032】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類7を裁断して収納する。ゲート125に搬送される紙葉類7は、正規の紙葉類7であり、且つ、再流通が不可能であると判定された紙葉類7(損券)である。
【0033】
また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、紙葉類7を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類7をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0034】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類7の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類7の枚数及び識別情報を逐次記憶する。
【0035】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置100の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【0036】
紙葉類処理装置100は、主制御部151、検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、裁断制御部156、操作表示部137、及びキーボード140などを備える。
【0037】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作表示部137により入力される操作、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0038】
例えば、操作員は、操作表示部137またはキーボード140により、処理する紙葉類7に対する各種の判定における閾値、紙葉類7の供給元の名称、及び処理方法などを入力する。
【0039】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、超音波検出装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0040】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、例えばCCDなどの受光素子と光学系とを備える。画像読取装置117、及び118は、搬送される紙葉類7に対して光を投光し、反射光または透過光を光学系により受光する。画像読取装置117、及び118は、光学系により受光した光をCCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。
【0041】
主制御部151は、紙葉類7の基準となる画像(基準画像)を記憶部151aに予め記憶する。主制御部151は、紙葉類7から取得した画像と、記憶部151aに記憶される基準画像とを比較することにより、紙葉類7に対する各種の判定を行う。
【0042】
超音波検出装置135は、上記したように、搬送される紙葉類7に対して超音波を照射する。超音波検出装置135は、紙葉類7を透過する音波を検出する。また、記憶部151aは、超音波検出装置135の検出結果と比較する閾値を予め記憶する。主制御部151は、超音波検出装置135の検出結果と記憶部151aに記憶されている閾値とに基づいて、紙葉類7に対する各種の判定を行う。
【0043】
紙葉類7に異物が付着している場合、紙葉類7を透過する超音波(透過波)の強度が減衰する。例えば、主制御部151は、超音波検出装置135の検出結果と記憶部151aに記憶されている閾値とに基づいて、紙葉類7に異物が付着しているか否かを判定する。
【0044】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。その他のセンサ類154は、例えば、磁気センサなどである。磁気センサは、搬送路115を搬送される紙葉類7から磁気的な特徴情報を検出する。
【0045】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、超音波検出装置135、及びその他のセンサ類154などの動作の制御を行う。また、CPU155は、主制御部151とデータの伝送を行う。すなわち、CPU155は、検査部116の各部における検知結果を主制御部155に伝送することができる。
【0046】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類7の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類7の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0047】
例えば、搬送制御部152は、超音波検出装置135により紙葉類7に異物が付着していることを検出する場合、紙葉類7を排除集積部127、裁断部133、またはスタッカ134に搬送するようにゲート120乃至125を制御する。
【0048】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、排除集積部127及び集積・結束部128乃至131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類7の集積、及び結束の制御を行なう。
【0049】
裁断制御部156は、主制御部151の制御に基づき、裁断部133の動作を制御する。これにより、裁断部133は、搬送される紙葉類7の裁断を行う。
【0050】
図4は、図2及び図3に示す超音波検出装置135の構成例について説明するための説明図である。また、図5は、図4に示す超音波検出装置135の一部をある角度から見た図である。
超音波検出装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。
【0051】
図4に示すように、超音波検出装置135は、送信センサ50、受信センサ60、仕切部材70、及び制御部80を備える。なお、図4に示す矢印aは、紙葉類7の搬送方向を示す。また、図5に示す矢印bは、送信センサ50及び受信センサ60の走査方向を示す。なお、搬送方向aと走査方向bとは互いに直交する。また、矢印cは、搬送方向aと走査方向bとを含む面(搬送面P)に対して垂直方向を示す。
【0052】
送信センサ50は、搬送方向aに一定の速度で搬送される紙葉類7に対して超音波を照射する送信部である。送信センサ50は、搬送路115を挟んで受信センサ60と対向する位置に設置される。送信センサ50は、圧電素子を備える。圧電素子は、圧電体と、圧電体を挟持するように設けられる1対の電極とを有する。
【0053】
送信センサ50は、圧電素子の電極に電圧を印加することにより、圧電体の形状を変化させる。圧電素子の電極にパルス信号が印加される場合、送信センサ50は、圧電体を振動させる。この結果、送信センサ50は、超音波を発生させることができる。
【0054】
なお、紙葉類7を透過する超音波は、超音波の入射角により透過率が変動する。この為、送信センサ50は、紙葉類7に対する超音波の入射角が最適となるように設置される。なお、最適角度は、紙葉類7の材質及び構造により異なる。図4に示すように、送信センサ50は、照射される超音波の向きが、紙葉類7の搬送方向aに対して角度θを成すように設けられる。
【0055】
受信センサ60は、送信センサ50から送信されて紙葉類7を透過した透過波を検出する受信部である。受信センサ60は、搬送路115を挟んで送信センサ50と対向する位置に設置される。受信センサ60は、送信センサ50と同様に、圧電素子を備える。
【0056】
受信センサ60は、圧電体の形状の変化に応じて信号を生成する。受信センサ60に超音波が照射される場合、圧電体は、超音波の強度及び周期に応じて形状が変化する。即ち、受信センサ60は、超音波の強度及び周期に応じた信号を生成する。これにより、受信センサ60は、紙葉類7を透過した透過波を検出する。なお、受信センサ60は、搬送方向aに対して送信センサ50と同じ角度で設置される。
【0057】
即ち、送信センサ50及び受信センサ60は、搬送方向aに対してθの角度を成す軸S上に設けられる。送信センサ50は、軸Sと平行に伝播する超音波を出力する。即ち、送信センサ50は、超音波を出力する面(振動面)が軸Sと直交するように設置される。また、受信センサ60は、超音波が入射する面(振動面)が軸Sと直交するように設置される。
【0058】
なお、受信センサ60は、図5に示すように、圧電素子がダイシングされて形成される複数のチャネル60a乃至60hを備える。受信センサ60は、各チャネル毎に超音波を検出し、超音波の強度に応じた信号を生成する。即ち、受信センサ60の各チャネルは、それぞれ異なる範囲から超音波を検出することができる。なお、このチャネル数は一例であり、チャネル数及び各チャネルのサイズは、受信センサ60の分解能に応じて決定される。
【0059】
送信センサ50は、上記した搬送面P上の所定の範囲(照射範囲)に対して超音波を照射する。なお、送信センサ50は、走査方向bにおいて、少なくとも紙葉類7が搬送される範囲を含む大きさの照射範囲が形成されるように構成される。
【0060】
また、受信センサ60の各チャネルは、上記した搬送面P上の所定の範囲(検出範囲)からそれぞれ超音波を受信する。受信センサ60は、各チャネルの検出範囲を合わせた検出範囲が、走査方向bにおいて少なくとも紙葉類7が搬送される範囲を含む大きさで形成されるように構成される。
【0061】
受信センサ60の各チャネルは、検出範囲に紙葉類7が存在する場合、送信センサ50から射出されて紙葉類7を透過した超音波(透過波)を検出する。また、受信センサ60の各チャネルは、検出範囲に紙葉類7が存在しない場合、送信センサ50から射出されたて受信センサ60に直接入射する超音波(ダイレクト波)を検出する。
【0062】
制御部80は、超音波検出装置135の全体の制御を司るものである。制御部80は、CPU、バッファメモリ、プログラムメモリ、及び不揮発性メモリなどを備えている。
【0063】
CPUは、種々の演算処理を行う。バッファメモリは、CPUにより演算結果を一時的に記憶する。プログラムメモリ及び不揮発性メモリは、CPUが実行する種々のプログラム及び制御データなどを記憶する。
【0064】
制御部80は、CPUによりプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の処理を行うことができる。例えば、制御部80は、送信センサ50及び受信センサ60の動作タイミングを制御する。
【0065】
また、制御部80は、図3に示す検査部116のCPU155及び主制御部151と接続されている。例えば、制御部80は、処理結果を主制御部151またはCPU155に伝送することができる。また、主制御部151またはCPU155から送信される制御信号に基づいて、超音波検出装置135の動作を制御することが出来る。
【0066】
例えば、制御部80は、パルス信号を生成する。制御部80は、生成したパルス信号を送信センサ50に入力する。送信センサ50は、入力されるパルス信号に基づいて圧電素子に電圧を印加する。これにより、送信センサ50は、超音波を射出する。
【0067】
受信センサ60は、圧電素子の動作に基づいて、超音波の検出信号を生成する。受信センサ60は、上記したように複数のチャネル60a乃至60hを備える。受信センサ60は、各チャネル毎に超音波を検出し、検出信号を生成する。受信センサ60は、検出信号を制御部80に伝送する。
【0068】
制御部80は、複数のチャネル60a乃至60hにより検出する検出信号を読み取る。制御部80は、所定間隔毎に受信センサ60から受信する検出信号を読み取る。これにより、制御部80は、搬送される紙葉類7の全体から検出信号を取得することができる。
【0069】
仕切部材70は、送信センサ50から出力されて紙葉類7の端部を回折する回折波を遮蔽する。仕切部材70は、支持部材71と、仕切り板72とを備える。
【0070】
支持部材71は、仕切り板72を支持するための部材であり、図5に示すような形状に限定されるものではない。支持部材71は、受信センサ60と仕切り板72との位置関係を保つことができるものであれば、如何なる形状であってもよい。
【0071】
図6、図7、及び図8は、図5に示す仕切部材70の構造について説明する為の説明図である。図6は、仕切部材70をある角度から見た透視図である。また、図7は、支持部材71を除いた仕切部材70をある角度から見た図である。また、図8は、仕切部材70を他の角度から見た図である。
【0072】
図9は、図4に示す超音波検出装置135の一部を走査方向bから見た図である。図10は、図9に示す超音波検出装置135の線分Xにおける断面を示す図である。また、図11は、図9に示す超音波検出装置135の軸Sと平行な線分Yにおける断面を示す図である。
【0073】
仕切り板72は、搬送方向aと搬送面Pに対する垂直方向cとを含む面と平行な平面を備える。仕切り板72は、例えばポリ塩化ビニールなどにより構成されるが、この構成に限定されない。仕切り板72は、少なくとも紙葉類7を回折する回折波を遮蔽することができるものであれば如何なるものであってもよい。物質の厚み及び密度によっても音波の伝播が変化する。このため、仕切り板72の材質及び厚みなどは、受信センサ60の分解能などに応じて適宜選択される。
【0074】
図6乃至図8に示すように、仕切部材70は、複数の仕切り板72を備える。図10に示すように、各仕切り板72は、走査方向bにおいて所定間隔を置いて設けられる。仕切部材70は、複数の仕切り板72により仕切られる複数の経路を備える。
【0075】
また、図8に示すように、仕切部材70は、搬送される紙葉類7、即ち、搬送面と対向する面(入射面)73に開口部を備える。さらに、図8及び図9に示すように、仕切部材70は、受信センサ60の振動面と対向する面(射出面)74に開口部を備えている。
【0076】
仕切部材70及び受信センサ60は、図7及び図11に示すように、受信センサ60の各チャネルの間に仕切り板72が接するように設置される。これにより、受信センサ60の各チャネルに入射する超音波は、走査方向bにおいて各仕切り板72により区分される。即ち、仕切部材70は、入射面に入射する超音波を各経路ごとにそれぞれ対応する射出面から射出されるように導く。
【0077】
また、紙葉類7の端部を回折する回折波は、走査方向bに回折して伝搬する。各仕切り板72は、搬送方向aと搬送面Pに対する垂直方向cとを含む面と平行な平面を備える。即ち、各仕切り板72は、走査方向bに対して直交する面を備える。この為、仕切部材70は、仕切り板72により形成される経路において、回折波が伝搬することを防ぎ、且つ紙葉類7を透過する透過波を受信センサ60の振動面に導くことができる。これにより、仕切部材70は、各経路を伝播する超音波を受信センサ60の各チャネルに導くことができる。
【0078】
また、図9に示すように、仕切部材70は、搬送される紙葉類7と対向する入射面73が、紙葉類7の搬送方向aと走査方向bとを含む搬送面Pと平行になるよう形成される。即ち、各仕切り板72における線分OQは、搬送方向aと平行である。
【0079】
さらに、仕切部材70は、受信センサ60の振動面と対向する射出面74が、平行になるように形成される。即ち、射出面74は、図4に示す軸Sと直交する面である。即ち、各仕切り板72における線分RQは、軸Sと直交する。
【0080】
また、各仕切り板72は、少なくとも受信センサ60の検出範囲から受信センサ60の振動面までの区間において超音波を区切る必要がある。この為、各仕切り板72における線分ORは、線分OQと角度θを成すように形成される。
【0081】
なお、図10に示すように、仕切部材70は、仕切部材70の入射面73と搬送面Pとの間に所定の距離dを置いて設置される。この距離dは、紙葉類7の垂直方向におけるバタつきを許容するためのマージンである。
【0082】
紙葉類7を回折する超音波の影響は、紙葉類7と仕切部材70の入射面73との距離に応じて変化する。即ち、紙葉類7と仕切部材70の入射面73との距離が大きくなる場合、紙葉類7を回折する超音波の影響が大きくなる。
【0083】
そこで、仕切部材70の入射面73と搬送面Pとの間の距離dは、紙葉類7のバタつきを許容し、且つ可能な限り小さい値であることが望ましい。即ち、仕切部材70は、搬送面Pを搬送される紙葉類7と接触せず、且つ、可能な限り搬送面Pに近い位置に設置されることが望ましい。
【0084】
上記したように、本実施形態に係る超音波検出装置135は、送信センサ50と受信センサ60と仕切部材70とを備える。仕切部材70は、紙葉類7が搬送される搬送面Pに対して垂直方向cと紙葉類7の搬送方向aとを含む面と平行な面を有する複数の仕切り板72を備える。また、仕切部材70は、複数の仕切り板72により区切られる複数の経路を備える。また、仕切部材70は、複数の仕切り板72により形成される入射面73と射出面74を備える。入射面73は、紙葉類7の搬送面Pと平行に設けられる。また、射出面74は、受信センサの振動面と接する位置に設けられる。仕切部材70は、入射面73に入射する超音波を各経路毎に導き、射出面74から射出する。
【0085】
これにより、仕切部材70は、入射面73に入射する超音波を受信センサ60の各チャネルに導くことができる。さらに、仕切部材70は、紙葉類7の端部を回折する超音波が受信センサ60の紙葉類7と重なるチャネルに入射することを防ぐことができる。この結果、より高い精度で検査を行うことができる超音波検査装置、及び超音波検査装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0086】
なお、上記した実施形態では、仕切部材70及び受信センサ60は、それぞれ個別に設置される構成として説明したが、この構成に限定されない。受信センサ60と仕切部材70とが組み合わされて構成されていてもよい。
【0087】
図12は、図4に示す受信センサ60の構成例について説明する為の説明図である。
受信センサ60は、マッチング層61、圧電素子62、及びバッキング層63を備える。マッチング層61は、受信センサ60と空気中との間で効率的に超音波を伝播する為の構成である。通常、圧電素子62の音響インピーダンスと空気中の音響インピーダンスとの差が大きい。この為、境界面において反射する超音波が多くなる。
【0088】
マッチング層61は、圧電素子62の音響インピーダンスと空気中の音響インピーダンスとの中間的な音響インピーダンスを持つ構成である。マッチング層61を圧電素子62と空気との間に設けることにより、受信センサ60は、空気中を伝播する超音波を効率的に検出することができる。
【0089】
なお、マッチング層61は、圧電素子62と接着される。この為、マッチング層61は、圧電素子62と連動して振動する。
【0090】
圧電素子62は、水晶、またはセラミックなどの圧電体と、圧電体の両側に設けられる電極とを備える。圧電体は、パルス信号を印加すると、印加したパルス信号の周期、及び強度に応じて振動する圧電効果を有する。これにより、圧電体は、電気信号を超音波に変換する。また、圧電体は、超音波を電気信号に変換する。
【0091】
バッキング層63は、圧電素子62から、マッチング層61と逆側(背面)に放射される音響エネルギー(振動)を吸収する。また、バッキング層63は、圧電素子62の自由震動を抑制する。
【0092】
受信センサ60は、上記したように、圧電素子がダイシングブレード65によりダイシングされて形成される複数のチャネルを備える。
【0093】
受信センサ60を製造する場合、マッチング層61、圧電素子62、及びバッキング層63が積層される積層体に対して、紙葉類7の搬送方向aと平行な溝が形成されるようにマッチング層61側からダイシングブレード65により切り込みを入れる。この場合、少なくともマッチング層61及び圧電素子62の厚さ以上の深さで切り込みを入れる。即ち、ダイシング処理により形成される溝は、少なくともバッキング層まで達する。
【0094】
さらに、図13に示すように、ダイシング処理により形成された溝に、仕切り板72をはめ込む。この場合、受信センサ60のチャネルを分割する溝にはめ込まれる複数の仕切り板72により、仕切部材70が構成される。
【0095】
はめ込まれる仕切り板72の露出している部分(露出部)は、図9に示す例と同様の形状を備える。即ち、仕切り板72の露出部は、仕切り板72の露出部は、搬送方向aと搬送面Pに対する垂直方向cとを含む面と平行な平面を備える。また、仕切り板72の露出部は、受信センサ60が軸S上に設けられる場合に搬送面Pと平行な関係を有する1つの辺(第1の辺)を備える。さらに、仕切り板72の露出部は、第1の辺と角度θを成す1つの辺(第2の辺)を備える。
【0096】
この構成によっても、仕切部材70は、搬送面Pと対向する入射面73を形成することができる。また、仕切部材70は、受信センサ60のチャネルを分割する為の溝にはめ込まれている。この為、複数の仕切り板72により、入射面73に入射する超音波を受信センサ60の各チャネルに導く経路が形成される。
【0097】
この構成によっても、仕切部材70は、紙葉類7の端部を回折する超音波が受信センサ60の紙葉類7と重なるチャネルに入射することを防ぐことができる。この結果、より高い精度で検査を行うことができる超音波検査装置、及び超音波検査装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0098】
また、超音波を検出するタイミングを制御することにより、紙葉類7の端部を回折する回折波の影響を抑えることができる。
【0099】
図14は、他の実施形態に係る超音波検出装置135の構成について説明する為の説明図である。なお、図4に示す構成と同様の構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0100】
図14に示すように、超音波検出装置135の制御部80は、タイミング制御部81を備える。
【0101】
タイミング制御部81は、受信センサ60により信号を検出するタイミングを制御するための構成である。タイミング制御部81の構成を図15に示す。
【0102】
タイミング制御部81は、スイッチ811、及びバッファアンプ815を備える。また、タイミング制御部81は、入力端子と出力端子とを備える。
【0103】
入力端子には、受信センサ60により検出される信号(入力信号)が入力される。スイッチ811は、タイミング制御部81により生成されるタイミング信号に基づいて、入力端子に入力される入力信号のスイッチングを行う。これにより、例えば、スイッチ811は、タイミング信号がONである時に入力信号を後段の回路に伝送する。
【0104】
なお、タイミング制御部81は、紙葉類7の搬送位置、搬送スピード、及び気温などに基づいて、検出を行う検出タイミングを判定する。これにより、タイミング制御部81は、タイミング信号を生成する。
【0105】
スイッチ811を通過する信号は、バッファアンプ815を通り、出力端子から検出信号として出力される。即ち、タイミング制御部81は、受信センサ60により検出される信号を受信するタイミングを制御する。これにより、タイミング制御部81は、信号を検出するタイミングを制御することができる。
【0106】
図16は、図14に示す超音波検出装置135の各部の設置位置について説明する為の説明図である。
図16に示すように、受信センサ60は、複数のチャネル60a乃至60hを備える。また、チャネル60aの端部を点i、チャネル60aとチャネル60bとの境界を点j、チャネル60bとチャネル60cとの境界を点kとする。またさらに、紙葉類7のある端部をmとする。また、受信センサ60と紙葉類7が搬送される搬送面Pとは、距離eを離間して配置される。
【0107】
図16に示すようにチャネル60aと送信センサ50との間には紙葉類7が存在しない。即ち、チャネル60aは、紙葉類7と重なっていない。この為、チャネル60aの点iから点jまでの範囲に送信センサ50から射出される超音波が直接入射する。この場合、チャネル60aは、ダイレクト波を検出する。
【0108】
また、図16に示すようにチャネル60bと送信センサ50との間には紙葉類7が存在する。即ち、チャネル60bは、紙葉類7と重なっている。この為、チャネル60bの点jから点kまでの範囲に送信センサ50から射出されて紙葉類7を透過する透過波が入射する。また、チャネル60bの点jから点kまでの範囲に送信センサ50から射出されて紙葉類7の端部mを回折する回折波がさらに入射する。この場合、チャネル60bは、透過波と回折波とを検出する。
【0109】
しかし、回折波は、回折する為に、透過波より長い距離を伝搬してチャネルに入射する。紙葉類7を透過する透過波は、距離eの空気中を伝搬し、受信センサ60に入射する。これに対し、紙葉類7の端部mを回折する回折波は、透過波に比べて長い距離を伝搬し、受信センサ60に入射する。
【0110】
例えば、紙葉類7の端部mを回折し、受信センサ60に入射する回折波の伝搬距離をxとする。また、回折波の伝搬する方向と透過波の伝搬する方向(図4に示す軸Sの方向)とが成す角度をDとする。この場合、x=e/cosDの関係が成り立つ。
【0111】
即ち、透過波の伝搬する距離がeであるのに対し、回折波の伝搬する距離は、x=e/cosDである。cosD≦1であるので、x>eの関係が成り立つ。
【0112】
音速をvとする。同じ条件下では音速vは一定である。さらに、紙葉類7を透過して受信センサ60に入射するまでの時間をT1とすると、T1=e/vの関係が成り立つ。また、紙葉類7の端部mを回折して受信センサ60に入射するまでの時間をT2とすると、T2=x/v=e/v・cosDの関係が成り立つ。
【0113】
即ち、回折波は、透過波に比べてT2−T1=(e−ecosD)/v・cosDだけ遅延して受信センサ60に到達する。
【0114】
図17は、受信センサ60により検出される信号について説明する為の説明図である。図17に示すグラフの横軸は、時間を示す。また、縦軸は、検出される信号の強度(レベル)を示す。
【0115】
グラフ171は、受信センサ60のあるチャネルにより検出される超音波の強度を示す。図17に示すように、時間T1において透過波またはダイレクト波が受信センサ60のチャネルにより検出される。さらに、時間T2において回折波が受信センサ60のチャネルにより検出される。
【0116】
そこで、タイミング制御部81は、透過波、またはダイレクト波が受信センサ60に到達する時間T1から回折波が受信センサ60に到達する時間T2までの間に信号の検出を行う。即ち、タイミング制御部81は、時間T1から時間T2までの間を検出タイミングと判定する。タイミング制御部81は、時間T1から時間T2までの間に、図15に示すスイッチ811に対してONのタイミング信号を出力する。
【0117】
タイミング制御部81は、紙葉類7の搬送位置、搬送スピード、及び気温などに基づいて、時間T1及び時間T2を算出する。なお、タイミング制御部81は、所定の値の超音波が検出されてから、予め設定される所定時間が経過するまでの時間を検出タイミングと判定する構成であってもよい。
【0118】
これにより、超音波検出装置135は、紙葉類7の端部を回折する回折波の影響を抑えることができる。この結果、より高い精度で検査を行うことができる超音波検査装置、及び超音波検査装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0119】
さらに、図14に示す超音波検出装置135は、図4に示す仕切部材70をさらに備える構成であってもよい。この場合、超音波検出装置135は、仕切部材70により回折波を遮蔽し、さらに検出タイミングを制御する。この構成によると、さらに回折波の影響を抑えることができる。
【0120】
また、上記したように、超音波検出装置135は、仕切部材70の入射面73と搬送面Pとを近づけることにより、回折波の影響を抑えるとして説明したが、単に受信センサ60の振動面と、搬送面Pとを近づける構成であってもよい。
【0121】
図18は、超音波検出装置135の他の構成例について説明する為の説明図である。なお、図4に示す構成と同じ構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0122】
超音波検出装置135は、送信センサ50、受信センサ60、及び制御部80を備える。
【0123】
受信センサ60は、送信センサ50から送信されて紙葉類7を透過した透過波を検出する受信部である。受信センサ60は、搬送路115を挟んで送信センサ50と対向する位置に設置される。受信センサ60は、振動面が搬送面Pと平行になる角度で設置される。このように受信センサ60を設置することにより、より搬送面Pと受信センサの振動面との距離を近づけることができる。
【0124】
この構成により、超音波検出装置135は、紙葉類7の端部を回折する回折波の影響を抑えることができる。この結果、より高い精度で検査を行うことができる超音波検査装置、及び超音波検査装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0125】
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0126】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0127】
7…紙葉類、50…送信センサ、60…受信センサ、61…マッチング層、62…圧電素子、63…バッキング層、70…仕切部材、71…支持部材、72…仕切り板、73…入射面、74…射出面、80…制御部、81…タイミング制御部、100…紙葉類処理装置、112…投入部、113…取出部、115…搬送路、116…検査部、117…画像読取装置、118…画像読取装置、119…厚み検査部、125…ゲート、127…排除集積部、132…集積・結束部、133…裁断部、134…スタッカ、135…超音波検出装置、151…主制御部、151a…記憶部、152…搬送制御部、153…集積・結束制御部、154…他のセンサ類、155…CPU、155…主制御部、156…裁断制御部、811…スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類が搬送される搬送面に対して所定の角度で設けられ、前記搬送面に対して超音波を射出する送信部と、
超音波を検出するチャネルを複数備え、チャネルに入射する超音波を検出する受信部と、
前記送信部から射出されて、前記受信部の走査方向における前記紙葉類の端部を回折する回折波を遮蔽する仕切部材と、
を具備する超音波検出装置。
【請求項2】
前記仕切部材は、前記紙葉類の搬送方向と、前記搬送面に対して垂直な方向とを含む面と平行な面を有する複数の仕切り板を備える、
請求項1に記載の超音波検出装置。
【請求項3】
前記仕切部材は、前記受信部の走査方向において所定間隔置きに設けられる複数の仕切り板により形成される複数の経路を備え、
前記複数の経路は、それぞれ前記搬送面と対向する入射面を備え、前記入射面に入射する超音波を前記受信部の各チャネルにそれぞれ導く、
請求項2に記載の超音波検出装置。
【請求項4】
前記受信部は、紙葉類が搬送される搬送面に対して前記送信部と同じ角度で設けられ、
前記入射面は、前記搬送面と平行に設けられる、
請求項3に記載の超音波検出装置。
【請求項5】
前記仕切部材の複数の経路は、入射面に入社する超音波を射出する射出面をそれぞれ備え、
前記射出面は、前記受信部の各チャネルと平行に設けられる、
請求項4に記載の超音波検出装置。
【請求項6】
前記射出面は、前記受信部の各チャネルの間に仕切り板が接するように設けられる、
請求項5に記載の超音波検出装置。
【請求項7】
前記仕切り板は、前記受信部の各チャネル間に形成される溝にはめ込まれて形成される、
請求項4に記載の超音波検出装置。
【請求項8】
前記送信部から射出されて前記紙葉類を透過する透過波が前記受信部の各チャネルに到達してから所定時間を検出タイミングとして、前記受信部の各チャネルにより超音波を検出するタイミングを制御するタイミング制御部をさらに具備する、
請求項1に記載の超音波検出装置。
【請求項9】
紙葉類を搬送する搬送部と、
前記搬送部により紙葉類が搬送される搬送面に対して所定の角度で設けられ、前記搬送面に対して超音波を射出する送信部と、
超音波を検出するチャネルを複数備え、チャネルに入射する超音波を検出する受信部と、
前記送信部から射出されて、前記受信部の走査方向における前記紙葉類の端部を回折する回折波を遮蔽する仕切部材と、
前記受信部の検出結果に基づいて、前記紙葉類に対して判定を行う判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備する紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−63276(P2012−63276A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208489(P2010−208489)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】