説明

超音波治療器及び超音波治療システム

【課題】小型化を図ると共に良好な使用感を得る。
【解決手段】身体の傷病部位における患部に超音波を照射する振動子20と、振動子20を保持する保持部40と、保持部40に設けられ、保持部40からそれぞれ相互に離間する方向に延在する一対のバンド部50A,50Bと、一対のバンド部50A,50Bに設けられ、一対のバンド部50A,50Bを前記傷病部位に環状に巻き付けた状態で、これら一対のバンド部50A,50Bの相対変位を拘束可能な拘束部60とを備え、一対のバンド部50A,50Bは、弾性体からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波治療器及び超音波治療システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、骨折等の治療において、患部に超音波振動を与えることで新しい生体組織や骨組織の形成を促進するようにした超音波治療器が用いられている(例えば、下記特許文献1)。
【0003】
このような超音波治療器の一種としては、身体の傷病部位における患部に超音波を照射する振動子と、前記振動子を保持する保持部と、前記保持部に設けられ、前記保持部からそれぞれ相互に離間する方向に延在する一対のバンド部と、前記一対のバンド部に設けられ、前記一対のバンド部を前記傷病部位に環状に巻き付けた状態で、これら一対のバンド部の相対変位を拘束可能な拘束部と、前記保持部に設けられ、前記振動子を超音波照射方向に付勢するバネ機構とを備えたものがある。
【0004】
この種の超音波振動子は、振動子を傷病部位に当接させた状態で一対のバンド部を傷病部位に環状に巻き付け、これら一対のバンド部を相互に拘束することで、振動子と患部との相対的な位置関係を固定する。そして、バネ機構が超音波の照射方向に振動子を付勢することにより、振動子と傷病部位とを密着させ、振動子から照射される超音波を患部に伝導させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4224211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術においては、バネ機構が装置全体に占める割合が大きく、装置構成が比較的に大型になるために、患者に圧迫感を与え、使用感が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、小型化を図ると共に良好な使用感を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る超音波治療器は、身体の傷病部位における患部に超音波を照射する振動子と、前記振動子を保持する保持部と、前記保持部に設けられ、前記保持部からそれぞれ相互に離間する方向に延在する一対のバンド部と、前記一対のバンド部に設けられ、前記一対のバンド部を前記傷病部位に環状に巻き付けた状態で、これら一対のバンド部の相対変位を拘束可能な拘束部とを備え、前記一対のバンド部は、弾性体からなることを特徴とする。
この構成によれば、一対のバンド部が弾性体からなるので、一対のバンド部を弾性伸長変形させた状態で傷病部位に環状に巻き付けると、これら一対のバンド部の弾性復帰力により、振動子が径方向内方側(径方向中心側)に向けて付勢されて傷病部位に密着する。これにより、バネ機構を省略したとしても、傷病部位と振動子との密着を確保することができる一方で、バネ機構を設ける場合に比べて装置構成が簡素なものとなるため、小型化を図ることができると共に良好な使用感を得ることができる。
【0009】
また、前記一対のバンド部は、前記保持部と一体であることを特徴とする。
この構成によれば、一対のバンド部が保持部と一体であるので、装置構成がより簡素になり、さらに小型化を図ることができる。
【0010】
また、前記一対のバンド部は、シリコンゴムで形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、一対のバンド部がシリコンゴムで形成されているので、他の弾性材料と比べて耐熱・耐水・耐薬品性に優れたバンド部を構成することができる。
【0011】
また、前記拘束部は、前記一対のバンド部のうち一方のバンド部に設けられた第一の面ファスナーと、前記一対のバンド部のうち他方のバンド部に設けられ、前記一対のバンド部を前記傷病部位に環状に巻き付けた状態で前記第一の面ファスナーに対向する第二の面ファスナーとを備え、前記第一の面ファスナーと前記第二の面ファスナーとのうち少なくとも一方は、前記一対のバンド部の延在方向において、間隙を空けて複数連続して設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、第一の面ファスナーと第二の面ファスナーとのうち少なくとも一方が、一対のバンド部の延在方向において、間隙を空けて複数連続して設けられているので、一対のバンド部のうち間隙に対応する部分が面ファスナーの影響を受けずに弾性伸長変形する。これにより、一対のバンド部の良好な弾性を確保し、傷病部位と振動子とを良好に密着させることができる。
【0012】
また、前記保持部は、筒状に形成されて筒孔に前記振動子を嵌合させ、かつ、前記筒孔の筒軸方向に前記超音波の照射方向を向けた状態で前記振動子を保持する構成とされ、前記保持部の筒壁のうち、前記筒軸方向における前記照射方向側の一端部には外周面から前記一対のバンド部が延出すると共に、前記筒軸方向の他端部側には、前記一対のバンドの延出方向において互いに対向する一対の周壁が形成され、前記一対の周壁には、前記振動子の前記筒軸方向への変位を規制する係止爪がそれぞれの内周面から突出していることを特徴とする。
この構成によれば、筒壁のうち一端部には外周面から一対のバンド部が延出すると共に、他端部側には互いに対向する一対の周壁が形成され、一対の周壁には振動子の筒軸方向への変位を規制する係止爪がそれぞれの内周面から突出しているので、一対のバンド部が弾性伸長変形することにより、筒壁の一端部側が相互に離間する方向に引っ張られると、係止爪が超音波の照射方向及び径方向中心側に向けて変位する。これにより、振動子を傷病部位に向けて付勢し、傷病部位と振動子とを良好に密着させることができる。
【0013】
また、本発明に係る超音波治療システムは、上記のうちいずれかの超音波治療器と、前記患部と前記振動子との間に設けられ、前記振動子から照射される超音波を前記患部へ伝導させるゲルパッドとを有することを特徴とする。
この構成によれば、振動子から照射される超音波を患部へ伝導させるゲルパッドを有するので、流動体状のゲルを用いる場合に比べて清掃の手間を低減させることができると共に、振動子を良好に保持することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る超音波治療器によれば、小型化を図ると共に良好な使用感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波治療システム1の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る振動子固定具30の平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る振動子固定具30の要部断面図であって、図2のI−I線断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るゲルパッドシート101の概略構成図であって、図4(a)が全体斜視図、図4(b)が図4(a)におけるII−II線断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る超音波治療システム1の第一の作用説明図であって、骨折した腕に超音波治療器10を配置させる状態を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る超音波治療システム1の第二の作用説明図であって、骨折した腕に超音波治療器10を巻き付けた状態を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る超音波治療システム1の第三の作用説明図であって、骨折した腕に振動子20が押し付けられる状態を示す概略斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る超音波治療システム1の第三の作用説明図であって、骨折した腕に振動子20が押し付けられる状態を示す概略構成断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る超音波治療器10の変形例を示す概略構成斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る超音波治療システム1の分解斜視図である。
図1に示すように、超音波治療システム1は、超音波治療器10と、ゲルパッド100とを備えている。
【0017】
超音波治療器10は、主に四肢(傷病部位)の骨折(患部)の治療に用いられるものであり、図1に示すように、振動子20と、振動子固定具30とを備えている。
【0018】
振動子20は、図1に示すように、円盤状に形成されており、表裏関係にある二つの盤面のうち一方の盤面20aから超音波を照射するように設定されており、他方の盤面20bからリード線21が延出している。この振動子20は、リード線21の一端に配設された接続端子を介して外部の超音波発生制御装置(不図示)に接続されており、その出力レベルが制御される。なお、骨折治療の場合には、他の超音波治療の場合に比べて出力レベルが比較的に低いものとなる。
【0019】
図2は、振動子固定具30の平面図であり、図3は、図2におけるI−I線断面図である。
図2及び図3に示すように、振動子固定具30は、保持部40と、一対のバンド部50A,50Bと、拘束部60とを備えている。
【0020】
保持部40は、図1に示すように、筒状に形成されており、周方向に延びる筒壁41に画定された筒孔40aに振動子20を嵌合させている。より具体的には、保持部40は、筒孔40aの筒軸方向(筒軸Pが延在する方向)に超音波の照射方向を向けた状態で、振動子20の外周面と筒壁41の内周面との間に作用する摩擦により、振動子20を保持している。
【0021】
図3に示すように、筒壁41のうち筒軸方向における一端部(超音波照射方向)41aにおいては、外周面41bから一対のバンド部50A,50Bが延出している。
一方、筒壁41のうち、筒軸方向の他端部41c側には、一対のバンド部50A,50Bの延出方向において互いに対向する一対の周壁42A,42Bが形成されている。
【0022】
図2及び図3に示すように、一対の周壁42A,42Bには、それぞれの内周面42a,42aから筒軸Pに向けて平面視弧状に係止爪43A,43Bが突出している。これら係止爪43A,43Bは、振動子20が筒軸方向(超音波照射方向に対して逆方向)へ変位することを規制する。
【0023】
図2及び図3に示すように、一対のバンド部50A,50Bは、上述したように保持部40の外周面41bから延出しており、保持部40からそれぞれ相互に離間する方向に延在している。これら一対のバンド部50A,50Bは、それぞれ帯状に形成され、シリコンゴムで保持部40と一体成形されている。
なお、このシリコンゴムは青色かつ透明色である。
【0024】
図2に示すように、バンド部50Aは、幅方向の寸法が周壁42Aよりも短く形成されており、延在方向の寸法がバンド部50Bの三倍程度に形成されている。
バンド部50Bは、幅方向の寸法が周壁42Bよりも短く、かつ、バンド部50Aと略同じ長さに形成されている。
【0025】
拘束部60は、面ファスナー雌型(第一の面ファスナー)60Aと面ファスナー雄型(第二の面ファスナー)60Bとを備えている。
面ファスナー雌型60Aは、ループ状の起毛が多数突出する短冊状の部材であり、図2及び図3に示すように、バンド部50Aを直線状に延ばした状態において超音波照射方向側に位置する裏面60aに配設されている。この面ファスナー雌型60Aは、端部から間隙Cを空けて三つ配設されている。なお、二つの間隙Cは略同大になっており、バンド部50Aの延在方向における寸法が、面ファスナー雌型60Aよりも小さくなっている。
【0026】
面ファスナー雄型60Bは、フック状の起毛が多数突出する短冊状の部材であり、図2及び図3に示すように、バンド部50Bを直線状に延ばした状態において超音波照射方向に対して逆方向)に延びる上面60bに一つ配設されている。この面ファスナー雄型60Bは、三つの面ファスナー雌型60Aに係着可能になっている。
【0027】
このような構成により、拘束部60は、一対のバンド部50A,50Bを傷病部位(手や足等)に環状に巻き付けた状態で、これら一対のバンド部50A,50Bの相対変位を拘束可能である。より具体的には、傷病部位から見て、バンド部50Bを内側に、バンド部50Aを外側に位置させると共に、三つの面ファスナー雄型60Bのうちいずれかを面ファスナー雌型60Aに対向させると共にこの面ファスナー雌型60Aに係着させることで、一対のバンド部50A,50Bの相対変位を拘束するようになっている。
【0028】
上記構成からなる超音波治療器10は、振動子20のリード線21を保持部40の筒孔40aに挿通させた後に、筒孔40aに振動子20を嵌合させることで組み立てられている。
【0029】
図4は、複数のゲルパッド100が貼付されたゲルパッドシート101の概略構成図であって、図4(a)が全体斜視図、図4(b)が図4(a)におけるII−II線断面図である。
ゲルパッド100は、振動子20に比べてやや大径に形成された円形のものであり、例えばウレタン樹脂等の高分子材料に水分を含浸させたものである。このゲルパッド100は、傷病部位に貼付され、振動子20から照射される超音波を患部へと良好に伝導させる。
【0030】
このようなゲルパッド100は、図4(a)に示すように、合成樹脂からなる矩形フィルムシート102の一面に複数行列状に貼付されていると共に、図4(b)に示すように、矩形フィルムシート102に当接した裏面100aと表裏の関係にある表面100bに、ゲルパッド100と略同径に形成された円形フィルムシート103が貼付されている。
【0031】
続いて、上述した構成からなる超音波治療システム1の作用について図を用いて説明する。以下においては腕を骨折した患者に対して超音波治療を施す場合について説明する。
まず、円形フィルムシート103が貼付されたゲルパッド100を矩形フィルムシート102から剥がし(図4(a)(b)参照)、露出したゲルパッド100の裏面100aを振動子20の盤面20aに貼付する。そして、円形フィルムシート103をゲルパッド100の表面100bから剥がして表面100bを露出させる。
この状態において、図5に示すように、ゲルパッド100を貼付した振動子20を患部上に位置させて、露出させた表面100bを腕に対向させるようにして振動子20を腕に当接させる。
【0032】
次に、図6に示すように、一対のバンド部50A,50Bを環状に腕に巻き付ける。より具体的には、バンド部50Aに対してバンド部50Bが内側(腕側)になるように皮膚に沿わせ、図7に示すように、バンド部50Aを引張り、バンド部50Aと、バンド部50A及び保持部40とを介してバンド部50Bに張力を作用させる。
この張力によって、一対のバンド部50A,50Bが周状に弾性伸長変形する。この際、バンド部50Aのうち三つの面ファスナー雌型60Aの間隙Cにおいては面ファスナー雌型60Aの拘束を受けずに弾性伸長変形する。
【0033】
このように一対のバンド部50A,50Bを弾性伸長変形させた状態で、面ファスナー雌型60Aと面ファスナー雄型60Bとを係着させる。相互に相対位置が拘束された一対のバンド部50A,50Bには、図7に示すように、径方向内方側に縮径する方向に弾性復帰力が作用するために、振動子20が腕に押し付けられ、ゲルパッド100を介して振動子20と腕とが密着する。
【0034】
また、図8に示すように、一対のバンド部50A,50Bを相互に離間する方向に引っ張ることにより、筒壁41の一端部41a側が相互に離間する方向に引っ張られると、係止爪43A,43Bが下方及び筒孔中心(筒軸P)側に向けて変位する。これにより、振動子20を腕に向けて付勢し、振動子20が腕に対して押し付けられる。
【0035】
このように、ゲルパッド100を介して振動子20と腕とが密着した状態で振動子20の盤面20aから超音波を照射すると、ゲルパッド100を介して超音波が患部に伝導し、骨組織の形成を促進する。
【0036】
最後に、超音波を所定時間照射した後に、面ファスナー雌型60Aと面ファスナー雄型60Bとの係着を解除し、超音波治療器10を腕から取り外す。そして、ゲルパッド100を腕から除去して超音波治療を終了する。
【0037】
以上説明したように、超音波治療システム1によれば、一対のバンド部50A,50Bが弾性体からなるので、一対のバンド部50A,50Bを弾性伸長変形させた状態で腕に環状に巻き付けると、これら一対のバンド部50A,50Bの弾性復帰力により、振動子20が径方向内方側(径方向中心側)に向けて付勢されて腕に密着する。これにより、バネ機構を省略したとしても、腕と振動子20との密着を確保することができる一方で、バネ機構を設ける場合に比べて装置構成が簡素なものとなるため、小型化を図ることができると共に良好な使用感を得ることができる。
【0038】
また、一対のバンド部50A,50Bが保持部40と一体であるので、装置構成がより簡素になり、さらに小型化を図ることができる。
【0039】
また、一対のバンド部50A,50B及び保持部40がシリコンゴムで形成されているので、他の弾性材料と比べて耐熱・耐水・耐薬品性に優れた振動子固定具30を構成することができる。また、シリコンゴムを採用することにより、着色の選択肢が広がり、意匠性を向上させることができる。さらに、透明色を採用することで視認性を向上させることができ、振動子20と腕との位置関係を把握することが可能となる。
【0040】
また、面ファスナー雌型60Aが、一対のバンド部50A,50Bの延在方向において、間隙Cを空けて複数連続して設けられているので、一対のバンド部50Aのうち間隙Cに対応する部分が面ファスナー雌型60Aの影響を受けずに弾性伸長変形する。これにより、一対のバンド部50Aの良好な弾性を確保し、腕と振動子20とを良好に密着させることができる。
【0041】
また、筒壁41のうち、筒壁41の一端部41aには外周面41bから一対のバンド部50A,50Bが延出すると共に、他端部41c側には、互いに対向する一対の周壁42A,42Bが形成され、一対の周壁42A,42Bには振動子20の筒軸方向への変位を規制する係止爪43A,43Bがそれぞれの内周面42aから突出しているので、一対のバンド部50A,50Bが弾性伸長変形することにより、筒壁41の一端部41a側が相互に離間する方向に引っ張られると、係止爪43A,43Bが超音波の照射方向及び径方向中心側に向けて変位する。これにより、振動子20を腕に向けて付勢し、腕と振動子20とを良好に密着させることができる。
【0042】
また、振動子20から照射される超音波を患部へ伝導させるゲルパッド100を有するので、流動体状のゲルを用いる場合に比べて清掃の手間を低減させることができる。さらに、流動体状のゲルを用いる場合に比べて保持部40と振動子20との間にゲルが侵入して保持部40と振動子20との間の摩擦力を低減することがないので、振動子20の脱落を防止すると共に振動子20を良好に保持することが可能となる。
【0043】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述した実施の形態においては、ゲルパッド100を貼付することにより超音波治療器10の超音波を患部に伝導させたが、流動体状のゲルを塗布することにより超音波治療器10の超音波を腕に伝導させてもよい。この場合においても、超音波治療器10の装置構成が簡素なので、清掃の手間を軽減させることができる。
【0044】
なお、上述した実施の形態においては、腕に生じた骨折を超音波治療する場合について説明したが、腕以外に生じた身体の各傷病位置(例えば、足や首、肩等)を超音波治療する場合に本発明を用いることができる。特に、本発明によれば、超音波治療器の装置構成を簡素なものとすることができるので、図9に示すように、装置構成をさらに小型化して(一対のバンド部50A,50Bを短縮して)、指を超音波治療する場合に好適な指用超音波治療器70を容易に実現することが可能となる。
【0045】
また、上述した実施の形態では、一対のバンド部50A,50Bを保持部40と一体に形成したが、別体に構成して保持部に一対のバンド部を取り付ける構成にしてもよい。
【0046】
また、上述した実施の形態では、拘束部60を面ファスナー雌型60Aと面ファスナー雄型60Bとで構成したが、例えば、一対のバンド部50A,50Bのうち一方において、該バンド部の延在方向に嵌合穴を連接すると共に、他方に嵌合穴に挿入可能な凹部や棒部と設けて一対のバンド部50A,50Bの相対変位を拘束する構成にしてもよい。
【0047】
また、上述した実施の形態では、面ファスナー雌型60Aを間隙Cを空けて三つ設ける構成としたがその数は任意であり、間隙を空けて二つ設けてもよいし、四つ以上設けてもよい。また、単数設ける構成であってもよい。同様に、面ファスナー雄型60Bを間隙を空けて複数設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…超音波治療システム
10,70…超音波治療器
20…振動子
40…保持部
40a…筒孔
41…筒壁
41a…一端部
41b…外周面
41c…他端部
42A,42B…周壁
42a…内周面
43A,43B…係止爪
50A,50B…バンド部
60…拘束部
60A…面ファスナー雌型(第一の面ファスナー)
60B…面ファスナー雄型(第二の面ファスナー)
100…ゲルパッド
C…間隙
P…筒軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の傷病部位における患部に超音波を照射する振動子と、
前記振動子を保持する保持部と、
前記保持部に設けられ、前記保持部からそれぞれ相互に離間する方向に延在する一対のバンド部と、
前記一対のバンド部に設けられ、前記一対のバンド部を前記傷病部位に環状に巻き付けた状態で、これら一対のバンド部の相対変位を拘束可能な拘束部とを備え、
前記一対のバンド部は、弾性体からなることを特徴とする超音波治療器。
【請求項2】
前記一対のバンド部は、前記保持部と一体であることを特徴とする請求項1に記載の超音波治療器。
【請求項3】
前記一対のバンド部は、シリコンゴムで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波治療器。
【請求項4】
前記拘束部は、前記一対のバンド部のうち一方のバンド部に設けられた第一の面ファスナーと、
前記一対のバンド部のうち他方のバンド部に設けられ、前記一対のバンド部を前記傷病部位に環状に巻き付けた状態で前記第一の面ファスナーに対向する第二の面ファスナーとを備え、
前記第一の面ファスナーと前記第二の面ファスナーとのうち少なくとも一方は、前記一対のバンド部の延在方向において、間隙を空けて複数連続して設けられていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の超音波治療器。
【請求項5】
前記保持部は、筒状に形成されて筒孔に前記振動子を嵌合させ、かつ、前記筒孔の筒軸方向に前記超音波の照射方向を向けた状態で前記振動子を保持する構成とされ、
前記保持部の筒壁のうち、前記筒軸方向における前記照射方向側の一端部には外周面から前記一対のバンド部が延出すると共に、
前記筒軸方向の他端部側には、前記一対のバンドの延出方向において互いに対向する一対の周壁が形成され、
前記一対の周壁には、前記振動子の前記筒軸方向への変位を規制する係止爪がそれぞれの内周面から突出していることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の超音波治療器。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の超音波治療器と、
前記患部と前記振動子との間に設けられ、前記振動子から照射される超音波を前記患部へ伝導させるゲルパッドとを有することを特徴とする超音波治療システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−255097(P2011−255097A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134266(P2010−134266)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(591032518)伊藤超短波株式会社 (69)
【Fターム(参考)】