説明

超音波治療器及び超音波治療装置

【課題】超音波照射器において患部を治療し易くすることを課題とする。
【解決手段】患部Aに対して超音波を照射して治療を行う超音波治療器Tであって、超音波を照射可能な照射面が形成された超音波振動子11と超音波振動子11を支持する第一筐体とを有する第一ユニット1と、入力された超音波の設定値に応じて超音波振動子11の駆動信号を生成する制御器を収容する第二筐体とを有する第二ユニットと、を備え、第一筐体1には、第一筐体1の厚さ方向の一方側に超音波振動子11が設けられていると共に他方側に前記設定値を表示可能な表示器13が設けられ、さらに、第一筐体11の幅方向に対をなす一対の側部12c,12dには、片手の指F1〜F5を沿わせるようにガイドする凹状のガイド部12g,12hが形成され、ガイド部12g,12hに指F1〜F5を沿わせて第一筐体11を挟持した場合に、表示器13が外部に露出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波治療器及び超音波治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患部に対して超音波を照射して、患部の治療促進効果を図る超音波治療器が知られている。
【0003】
この超音波治療器としては、超音波を照射可能な照射面が形成された超音波振動子と超音波振動子の照射面を外部に露出させた状態で超音波振動子を支持する筐体とを有する超音波プローブと、外部から入力された超音波の設定値に基づいて超音波振動子の駆動信号を生成する制御器と制御器を収容する筐体とを有する超音波治療器本体と、を備えたものがある(関連する技術として下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−25468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の超音波治療器を用いて患部を治療する際には、通常、患部と超音波プローブとに位置ずれが生じないように双方の位置関係を確認しつつ超音波を照射する。
しかしながら、従来の超音波治療器は、超音波の設定値を表示する表示器が超音波治療器本体に設けられているので、患部の治療中において超音波の設定値を変更する場合に、超音波治療器本体の表示器へ視線を向けなければならず、超音波プローブと患部とに位置ずれが生じて治療し難いという不都合がある。この不都合を解消する手段としては、超音波プローブに表示器を設けて、患部と超音波プローブとから視線を変更させないようにする構成が考えられる。
【0006】
しかしながら、上記の構成においては、超音波プローブを不作為に把持した場合に、表示器を手で覆ってしまって表示器が視認し難くなることがあった。この場合には、表示器が視認できるように筐体を把持し直さなければならないので、治療し難くなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、超音波照射器において患部を治療し易くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る超音波治療器は、患部に対して超音波を照射して治療を行う超音波治療器であって、前記超音波を照射可能な照射面が形成された超音波振動子と前記超音波振動子の照射面を外部に露出させた状態で前記超音波振動子を支持する第一筐体とを有する第一ユニットと、外部から入力された前記超音波の設定値に応じて前記超音波振動子の駆動信号を生成する制御器と前記制御器を収容する第二筐体とを有する第二ユニットと、を備え、前記第一筐体には、前記第一筐体の厚さ方向の一方側に前記超音波振動子が設けられていると共に前記第一筐体の厚さ方向の他方側に前記超音波の設定値を表示可能な表示器が設けられ、さらに、前記第一筐体の幅方向に対をなす一対の側部には、前記施術者に対して片手の指を沿わせるようにガイドする凹状のガイド部が形成され、前記施術者が前記ガイド部に指を沿わせて前記第一筐体を挟持した場合に、前記表示器が外部に露出することを特徴とする。
この構成によれば、施術者に対して片手の指を沿わせるガイド部が一対の側部に形成されているので、施術者が不作為に第一筐体を片手で把持しようとした場合に、ガイド部に指を沿わせるようにガイドされる。
また、施術者がガイド部に指を沿わせて第一筐体を挟持した場合に、表示器が外部に露出するので、片手の指をガイド部に沿わせた状態で第一筐体を挟持すると、表示器が露出して視認可能となる。これにより、第一筐体を把持する場合に、表示器が手で覆われて視認不能となることを抑制することができる。従って、第一筐体を把持し直す必要がなくなるので、患部を治療し易くすることができる。
【0009】
また、前記一対の側部は、前記第一筐体の長手方向一端側から基端側に向けて延びており、前記ガイド部は、前記一対の側部に沿って延びていることを特徴とする。
この構成によれば、一対の側部が第一筐体の長手方向一端側から基端側に向けて延びており、ガイド部が一対の側部に沿って延びているので、第一筐体の長手方向においてガイド部を比較的に大きく確保することができる。これにより、第一筐体を安定して支持することが可能となる。
【0010】
また、前記ガイド部は、少なくとも前記表示器を挟む位置に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、ガイド部が表示器を挟む位置に設けられているので、指と指との隙間から表示器を露出させる構成が可能となる。これにより、装置構成をコンパクトにすることができる。
【0011】
また、前記表示器は、前記第一筐体の長手方向の一端側に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、表示器が第一筐体の長手方向の一端側に設けられているので、第一筐体の中央側に表示器を設ける場合に比べて、施術者の片手によって把持される部分を第一筐体の長手方向の基端側に大きく確保することが可能となる。
【0012】
また、前記超音波振動子と前記表示器とは、相互に背向する位置に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、超音波振動子と表示器とが相互に背向する位置に設けられているので、超音波振動子が当接する患部と表示器とが近接する。これにより、患部に超音波を照射する場合に表示器が確認し易くなり、さらに患部を治療し易くすることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る超音波治療装置は、上記のうちいずれかの超音波治療器と、前記第一ユニットの、前記第一筐体の厚さ方向の一方側に嵌合可能に形成された座面を有し、前記第一ユニットを前記座面に着座可能な台座と、を具備することを特徴とする。
この構成によれば、第一ユニットの、第一筐体の厚さ方向の一方側に嵌合可能に形成された座面を有し、第一ユニットを座面に着座可能な台座を有しているので、第一ユニットを座面に着座させることで治療開始前の第一ユニットの姿勢が定まる。これにより、治療開始時において第一ユニットのガイド部を容易に把持することが可能となる。
【0014】
また、前記台座は、前記第一ユニットを前記台座に着座させた状態において、前記ガイド部に対向して前記第一ユニットとの間にポケットを形成する窪み部が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ガイド部に対向して第一ユニットとの間にポケットを形成する窪み部が形成されているので、治療開始時にポケットに指を挿入することより、第一筐体のガイド部を容易に把持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る超音波治療器及び超音波治療装置によれば、超音波照射器において患部の治療を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波治療装置Uの概略構成斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る超音波治療装置Uのブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の概略構成斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の正面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の下面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る台座3の平面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る台座3の側面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の治療開始時の把持方法を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の超音波照射時の把持方法を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の超音波の設定値の変更方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る超音波治療装置Uの概略構成斜視図である。
図1に示すように、超音波治療装置Uは、第一ユニット1と第二ユニット2とを有する超音波治療器Tと、台座3とを具備している。
【0018】
図2は超音波治療器Tのブロック図であり、図3は第一ユニット1の概略構成斜視図であり、図4は第一ユニット1の平面図であり、図5は第一ユニット1の側面図であり、図6は第一ユニット1の正面図であり、図7は第一ユニット1の下面図である。
なお、図1は第一ユニット1を台座3に着座させた状態で示しているのに対して、図3は第一ユニット1を台座3から離間させた状態で示している。
【0019】
第一ユニット1は、図2に示すように、超音波を照射可能な照射面11a(図5〜図7参照)が形成された超音波振動子11と、超音波振動子の照射面11aを外部に露出させた状態で超音波振動子11を支持する第一筐体12と、第一筐体12に設けられ、超音波の設定値を表示可能な表示器13と、第一筐体12に設けられ、超音波の設定値を変更操作可能な操作キー14と、緊急時等に警告音を出力するブザー15と、表示器13、操作キー14及びブザー15と第二ユニット2の制御器21(後述する。)との間で各種信号のやり取りを行うインターフェース16とを備えている。
【0020】
超音波振動子11は、電気信号を印加すると超音波振動する圧電素子が、円盤状に形成された金属筐体の内部に収容されたものである(図5〜図7参照)。この超音波振動子11は、制御器21から供給される駆動信号に応じた超音波を照射面11aから照射する。
【0021】
第一筐体12は、合成樹脂等からなり、扁平状に形成され、図4及び図7に示すように、平面視した場合に小判形状となっている。この第一筐体12は、図5及び図6に示すように、第一筐体12の厚さ方向の一方側に基板部12aが、第一筐体12の厚さ方向の他方側に主板部12bが形成されている。
【0022】
この第一筐体12は、図5及び図6に示すように、それぞれ容器状(皿状)に形成された主板側部材17と基板側部材18とで構成されている。
主板側部材17は、図5及び図6に示すように、平坦状に形成された天壁17aと、この天壁17aの周縁から天壁17aの周囲に向けて延出すると共に延出方向を次第に下方側に向ける側周壁17bとを備えている。図4に示すように、天壁17aには、表示器13を視認可能に被覆するための透明窓17cと、操作キー14を突出させるための貫通孔17dとが、主板側部材17の長手方向一方側から他方側に向けて上記の順に形成されている。
【0023】
基板側部材18は、図5及び図6に示すように、平坦状に形成された底壁18aと、この底壁18aの周縁から底壁18aの周囲に向けて延出すると共に延出方向を次第に上方側に向ける側周壁18bとを備えている。底壁18aの、基板側部材18の長手方向一方側においては、超音波振動子11を突出させるための円孔18cが穿孔されている。
【0024】
これら主板側部材17と基板側部材18は、側周壁17bの先端と側周壁18bの先端とが互いに突き合わされることにより、第一筐体12を構成していると共に第一筐体12の内部空間を画定している。つまり、主板側部材17の天壁17aが第一筐体12の主板部12bに、基板側部材18の底壁18aが第一筐体12の基板部12aにそれぞれ相当しており、側周壁17bと側周壁18bとが第一筐体12の周壁12xを構成している。
【0025】
このような構成の第一筐体12は、図5及び図6に示すように、基板部12aの円孔18cから超音波振動子11が、第一筐体12の厚さ寸法の略半分程度の寸法だけ突出している。また、図4及び図6に示すように、第一筐体12の円弧基端部12fにおいては、周壁12xから、第二ユニット2に接続された接続コード19が延出している。
【0026】
また、図4に示すように、第一筐体12の周壁12xにおいて、第一筐体12の幅方向に対をなすと共に第一筐体12の長手方向にそれぞれ延びる一側部(側部)12c及び他側部(側部)12dには、凹状に形成されたガイド部12g,12hが形成されている。
【0027】
ガイド部12g,12hは、図5に示すように、第一筐体12を構成する主板側部材17に形成されており、それぞれ一側部12c及び他側部12dに沿って延びている。
このガイド部12g,12hは、図4に示すように、第一筐体12の長手方向において、表示器13よりも第一筐体12の円弧先端部12e側から円弧基端部12f側に延びており、円弧基端部12fにおいて幅方向に折れ曲がった後に接続コード19に向けて延びている。
【0028】
ガイド部12g,12hは、図4に示すように、第一筐体12の幅方向の寸法を絞る(狭める)ようにして形成されている。このガイド部12g,12hは、円弧先端部12e側から円弧基端部12f側に進むに従って、漸次絞り量を大きくした後に略一定の絞り量となるように形成されている。
また、ガイド部12g,12hは、図5に示すように、主板側部材17の側周壁17bの外面において、側周壁18bの先端と突き合わされた側周壁17bの先端から底壁18a側に亘って形成されている
【0029】
表示器13は、具体的にはLCDであり、図3及び図4に示すように、第一筐体12の主板部12bの透明窓17cに重なるように配設されており、超音波振動子11に背向している。この表示器13は、出力値、デューティ比等の超音波の設定値のほか、予め記憶部(不図示)に記憶させた治療プログラムの番号やバッテリー残量、タイマー等を表示する。
【0030】
操作キー14は、図3及び図5に示すように、主板部12bの貫通孔17dから第一筐体12の厚さ方向に突出しており、超音波振動子11の超音波の設定値を変更可能である。より具体的には、操作キー14は、押下に応じてインターフェース16(図2参照)に対して操作信号を出力し、この操作信号がインターフェース16を介して制御器21に入力されるようになっている。
【0031】
ブザー15は、例えば過大な出力値が入力された場合や電源に異常が生じた場合に、この異常を検知したインターフェース16あるいは制御器21から供給される信号に基づいて、警告音を出力する。
【0032】
インターフェース16は、電子部品が実装されたプリント基板からなり、第二ユニット2から第一ユニット1へと入力される入力信号及び第一ユニット1から第二ユニット2へと出力される出力信号を総括する。すなわち、インターフェース16は、制御器21から入力された入力信号が、表示器13に表示する情報や文字に関連するものであった場合に、この情報や文字に対応する表示信号を表示器13に出力する。また、操作キー14から操作信号が入力されると、この操作信号に対応する出力信号を制御器21に対して出力する。同様に、インターフェース16が異常を検知したり、あるいは、制御器21からの入力信号が異常を指し示すものであったりした場合に、ブザー15に警告音を出力させるための信号を供給する。
【0033】
第二ユニット2は、図2に示すように、制御器21と、第二筐体22とを備えている。
制御器21は、具体的には単数又は複数のプリント基板に各種電子部品が実装されて構成されており、図2に示すように、外部電源から電力が供給されるようになっている。この制御器21は、メイン制御部21Aと駆動信号生成部21Bとを有している。
【0034】
メイン制御部21Aは、第一筐体12のインターフェース16と各種信号の授受を行う他、インターフェース16を介して操作キー14から操作信号が入力されると、操作信号に応じて設定値を変更し、変更された設定値に応じた駆動信号を駆動信号生成部21Bに生成させる。
駆動信号生成部21Bは、メイン制御部21Aに制御されて駆動信号を生成すると共に、生成した駆動信号を超音波振動子11に出力する。
【0035】
第二筐体22は、合成樹脂等からなり、図1に示すように、箱型に形成されて制御器21を収容している。この第二筐体22の一端には、制御器21と第一ユニット1とを接続する接続コード19が延出している。
【0036】
図8は台座3の平面図であり、図9は台座3の側面図である。
台座3は、図3、図8及び図9に示すように、第一ユニット1の基板部12a側に嵌合可能に形成された座面31を有している。
座面31は、図9に示すように、台座3の長手方向における先端3a側が基端3b側よりも高くなるように、底部32に対して傾斜して形成されている。この座面31の先端3a側には、超音波振動子11を挿入収容可能な収容孔33が形成されている。つまり、座面31は、第一ユニット1の長手方向を台座3の長手方向に向けた状態で、超音波振動子11を収容孔33に収容すると共に第一ユニット1の基板部12a側を嵌合させるようになっている。
このような構成により、台座3は、図1及び図3に示すように、第一ユニット1を着座・離間可能となっている。
【0037】
この台座3の幅方向における両側部には、図3に示すように、窪み部34,35が形成されている。この窪み部34,35は、座面31の角縁部を切り欠くようにして形成されており、図1に示すように、座面31に第一ユニット1を着座させた場合において、ガイド部12g,12fに対向する位置に形成されている。
このような窪み部34,35は、第一ユニット1が台座3の座面31に着座した状態において(図1参照)、台座3と第一ユニット1との間に、それぞれ成人男性の指F1〜F5が挿入可能な大きさのポケット36,37を形成する。
【0038】
次に、上記の構成からなる超音波治療装置Uを用いた超音波治療方法について、主に図10から図12を用いて説明する。以下の説明においては、施術者と治療者とが異なる者である場合について説明する。また、以下の説明においては、予め超音波の初期設定値が入力されているものとし、第一筐体12を右手で把持する場合について説明する。
【0039】
まず、図1及び図10に示すように、第一ユニット1が台座3の座面31に着座している状態において、施術者が第一ユニット1を把持する。この際、図10に示すように、施術者の指F1〜F5が、ポケット36,37に挿入するように促される。この場合には、図10に示すように、四本指F2〜F5をポケット37に挿入すると、右手の親指F1の挿入位置が定まり、主板部12bの円弧基端部12f側が掌F0によって覆われる。なお、この際、ポケット37に指F2〜F5のうち一部を挿入したとしても右手の親指F1の挿入位置が概ね定まることとなる。
このような状態で、施術者が第一ユニット1を台座3から離間させる。
【0040】
次に、施術者が超音波振動子11を患部Aに当接させ易いように、第一筐体12を以下のようにして把持する。具体的には、ガイド部12g,12hによって施術者の指F1〜F5(右手)がガイドされて、親指F1を第一ユニット1の一側部12cに沿わす一方、親指F1以外の四本指F2〜F5を他側部12dに沿わして、第一筐体12を挟持する。この場合においては、主板部12bの円弧基端部12f側が掌F0によって覆われると共に表示器13が親指F1と人差指F2との間から外部に露出する。
【0041】
そして、超音波振動子11の照射面11aを患部Aに当接させると、予め患部A又は超音波振動子11の照射面11aに塗布したジェルを介して患部Aに超音波が照射される。この超音波照射時においては、患部Aと第一ユニット1との位置関係を確認するために、施術者の視線E1が患部A付近に集中する。
【0042】
次に、超音波の設定値を変更する際には、施術者が第一筐体12の把持の仕方を変更する。具体的には、図12に示すように、他側部12dに沿わしていた四本指F2〜F5、及び、第一筐体12の主板部12bに位置させていた掌F0を、他側部12dを経由して基板部12a側に回り込ませる。
このようにして第一ユニット1を四本指F2〜F5と掌F0とで支持しつつ、親指F1を自由な状態にする。
【0043】
この状態において、所望の設定値となるように、表示器13を視認しつつ操作キー14を親指F1で押下して設定値を変更する。この超音波の設定値の変更においては、表示器13が超音波振動子11に背向する位置に配設されていることから、患部A近傍に集中していた視線E1を殆どずらさずに、設定値が視認される(視線E2)。このようにして、表示器13を視認しつつ、操作キー14を押下して設定値を変更する。この際、施術者の視界に、超音波振動子11と患部Aとの位置関係が入っていることから、超音波振動子11と患部Aとの位置ずれや間隙が生じ難くなる。
【0044】
また、表示器13が視認し難い角度の場合には、第一筐体12から突出する超音波振動子11の照射面11aを患部Aに当接させると共に、照射面11aを回転中心にしつつ第一ユニット1の姿勢を変更する。このようにすることで、表示器13が視認し難いものであっても、患部Aから照射面11aを位置ずれさせることなく、表示器13を視認することが可能となる。
そして、超音波の設定値の変更が完了したら、図11に示すように、施術者が再び第一筐体12を挟持する。
【0045】
一方、メイン制御部21Aは、変更された設定値に応じた駆動信号を駆動信号生成部21Bに生成させて超音波振動子11に供給させる。
このようにして、超音波振動子11の照射面11aを患部Aに当接させると、超音波振動子11から設定値に対応する超音波が患部Aに照射される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る超音波治療器Tによれば、施術者に対して右手の指F1を沿わせるガイド部12gが一側部12cに、また、右手の指F2〜5を沿わせるガイド部12hが他側部12dにそれぞれ形成されているので、施術者が不作為に第一筐体12を右手で把持しようとした場合に、ガイド部12gに右手の指F1を、またガイド部12hに右手の指F2〜F5を沿わせるようにガイドされる。
また、施術者がガイド部12gに右手の指F1を、またガイド部12hに右手の指F2〜F5を沿わせて第一筐体12を挟持した場合に、表示器13が外部に露出するので、右手の指F1〜F5をガイド部12g,12hに沿わせた状態で第一筐体12を挟持すると、表示器13が露出して視認可能となる。これにより、第一筐体12を把持する場合に、表示器13が手で覆われて視認不能となることを抑制することができる。従って、第一筐体12を把持し直す必要がなくなるので、患部Aを治療し易くすることができる。
【0047】
また、一側部12c及び他側部12dが第一筐体12の円弧先端部12e側から円弧基端部12f側に向けて延びており、ガイド部12g,12hが一側部12c及び他側部12dに沿って延びているので、第一筐体12の長手方向においてガイド部12g,12hを比較的に大きく確保することができる。これにより、第一筐体12を安定して支持することが可能となる。
【0048】
また、ガイド部12g,12hが表示器13を挟む位置に設けられているので、親指F1と人差指F2との隙間から表示器13を露出させる構成が可能となる。これにより、第一筐体12の長手方向において、表示器13と重なる位置に操作者の指F1〜F5を位置させることができるので、装置構成をコンパクトにすることができる。
【0049】
また、表示器13が第一筐体12の円弧先端部12e側に設けられているので、第一筐体12の中央側に表示器13を設ける場合に比べて、施術者の右手によって把持される部分を第一筐体12の円弧先端部12e側に大きく確保することができる。
【0050】
また、超音波振動子11と表示器13とが相互に背向する位置に設けられているので、超音波振動子11が当接する患部Aと表示器13とが近接する。これにより、患部Aに超音波を照射する場合に表示器13が確認し易くなり、さらに患部Aを治療し易くすることができる。
【0051】
さらに、本実施形態に係る超音波治療装置Uによれば、第一ユニット1の、第一筐体12の基板部12a側に嵌合可能に形成された座面31を有し、第一ユニット1を座面31に着座可能な台座3を有しているので、治療開始前の第一ユニット1の姿勢が定まることから、治療開始時において第一ユニット1のガイド部12g,12hを容易に把持することが可能となる。
【0052】
また、ガイド部12g,12hに対向して第一ユニット1との間にポケット36,37を形成する窪み部34,35が形成されているので、治療開始時にポケット36に親指F1を、またポケット37に指F2〜F5を挿入することにより、親指F1をガイド部12gに、また指F2〜F5をガイド部12hにそれぞれ案内することができ、第一筐体12のガイド部12g,12hを容易に把持することができる。
【0053】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述した実施の形態においては、施術者と治療者とが異なる者である場合について説明したが、施術者と治療者とが同一の者であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、右手で第一ユニット1を把持したが、左手で第一ユニット1を把持してもよい(この場合、親指F1と四本指F2〜F5とを沿わせる位置(一側部12c、他側部12d)は、上記と逆になる。)。なお、両手を用いて把持及び操作しても構わない。
【0054】
また、上述した実施の形態では、インターフェース16を備える構成としたが、表示器13、操作キー14及びブザー15と、制御器21とが直接信号を入出力する構成にしてもよい。
【0055】
また、上述した実施の形態では、ガイド12g,12hを一側部12c、他側部12dの双方に形成したが、必ずしも双方に形成する必要はなく、一方だけに形成してもよい。
また、上述した実施の形態では、外部電源から制御器21に電力を供給する構成にしたが、内蔵電源を設けて電力を供給してもよい。
【0056】
また、上述した実施の形態では、操作キー14を第一筐体12に設ける構成としたが、操作キー14を例えば第二ユニット2に設ける構成としてもよい。すなわち、操作キー14は、操作に慣れれば感覚的に押下することが可能であるために、表示器13が第一筐体12に設けられていれば、患部A及び第一ユニット1から視線を外すことなく、超音波の設定値を変更することが可能である。
【0057】
また、上述した実施の形態では、ガイド部12g,12hを、一側部12c、他側部12dから接続コード19が延在する円弧基端部12fまで延在させたが、一側部12c、他側部12dだけに形成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…第一ユニット
2…第二ユニット
3…台座
11…超音波振動子
11a…照射面
12…第一筐体
12a…基板部
12b…主板部
12c…一側部(側部)
12d…他側部(側部)
12h,12g…ガイド部
13…表示器
21…制御器
22…第二筐体
31…座面
34,35…窪み部
36,37…ポケット
A…患部
T…超音波治療器
U…超音波治療装置
E(E1,E2)…視線
F…指
F1…親指(指)
F2…人差指(指)
F2〜F5…四本指(指)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患部に対して超音波を照射して治療を行う超音波治療器であって、
前記超音波を照射可能な照射面が形成された超音波振動子と前記超音波振動子の照射面を外部に露出させた状態で前記超音波振動子を支持する第一筐体とを有する第一ユニットと、
外部から入力された前記超音波の設定値に応じて前記超音波振動子の駆動信号を生成する制御器と前記制御器を収容する第二筐体とを有する第二ユニットと、を備え、
前記第一筐体には、前記第一筐体の厚さ方向の一方側に前記超音波振動子が設けられていると共に前記第一筐体の厚さ方向の他方側に前記超音波の設定値を表示可能な表示器が設けられ、さらに、前記第一筐体の幅方向に対をなす一対の側部には、前記施術者に対して片手の指を沿わせるようにガイドする凹状のガイド部が形成され、
前記施術者が前記ガイド部に指を沿わせて前記第一筐体を挟持した場合に、前記表示器が外部に露出することを特徴とする超音波治療器。
【請求項2】
前記一対の側部は、前記第一筐体の長手方向一端側から基端側に向けて延びており、
前記ガイド部は、前記一対の側部に沿って延びていることを特徴とする請求項1に記載の超音波治療器。
【請求項3】
前記ガイド部は、少なくとも前記表示器を挟む位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波治療器。
【請求項4】
前記表示器は、前記第一筐体の長手方向の一端側に設けられていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の超音波治療器。
【請求項5】
前記超音波振動子と前記表示器とは、相互に背向する位置に設けられていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の超音波治療器。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の超音波治療器と、
前記第一ユニットの、前記第一筐体の厚さ方向の一方側に嵌合可能に形成された座面を有し、前記第一ユニットを前記座面に着座可能な台座と、
を具備することを特徴とする超音波治療装置。
【請求項7】
前記台座は、前記第一ユニットを前記台座に着座させた状態において、前記ガイド部に対向して前記第一ユニットとの間にポケットを形成する窪み部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の超音波治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−115442(P2012−115442A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267431(P2010−267431)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(591032518)伊藤超短波株式会社 (69)
【Fターム(参考)】