超音波治療装置
【課題】治療領域の位置に応じて治療超音波パワーを自動的に調整可能にして、術者の負担を軽減する。
【解決手段】モニタに描出された病変部を含む画像に設定される三次元の治療領域502を、中心から辺縁に向かう複数の三次元の分割領域503、504、505に分ける。そして、分割領域ごとに照射する治療超音波パワーを治療領域の中心からの距離に応じて低減設定する。つまり、治療領域を複数の分割領域に分け、複数の分割領域ごとに治療超音波パワーを自動的に設定することにより、術者の負担を軽減する。分割領域には治療領域の辺縁の外側に隣接する領域をマージン領域505として設定する。
【解決手段】モニタに描出された病変部を含む画像に設定される三次元の治療領域502を、中心から辺縁に向かう複数の三次元の分割領域503、504、505に分ける。そして、分割領域ごとに照射する治療超音波パワーを治療領域の中心からの距離に応じて低減設定する。つまり、治療領域を複数の分割領域に分け、複数の分割領域ごとに治療超音波パワーを自動的に設定することにより、術者の負担を軽減する。分割領域には治療領域の辺縁の外側に隣接する領域をマージン領域505として設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を治療対象の病変部に照射して温熱により変性させて治療する超音波治療装置に係り、特に、治療領域を複数に分割し、分割領域に応じて治療超音波パワーを可変する超音波治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍、血栓、脳梗塞等の病変部に超音波を照射して、それらの病変部を温熱により変性(例えば、焼灼又は破壊)させて治療する高密度焦点式超音波治療(HIFU:High Intensity Focused Ultrasound)法が知られている。HIFU法は、治療超音波プローブから病変部に照射する集束超音波パワーを高密度にして、侵襲性の低い治療を行うことが可能である。例えば、前立腺癌などの治療は、直腸内に治療超音波プローブを配置して侵襲性の低い治療を行うことが可能である。また、脳腫瘍など治療は、頭部の外皮に治療超音波プローブを配置して侵襲性の低い治療を行うことが可能である。
【0003】
このようなHIFU法を適用した超音波治療の一例として、特許文献1に開示されている超音波治療装置では、連続波の治療超音波及びパルス波の撮像超音波を発生する二つの役割を併せ持った超音波プローブと、この超音波プローブを駆動制御する超音波送信部を備えて構成されている。超音波送信部は、治療超音波プローブを駆動して集束超音波を発生させる電源を備えている。さらに、超音波治療装置は、超音波を反射する尿道用カテーテルを備えるとともに、HIFU法による治療領域をモニタリングする磁気共鳴撮像(MRI)装置を備えている。一方、非特許文献1には、HIFUの治療領域を対象にしたMRIの撮像パラメータを検討した報告がある。
【0004】
また、一般に、HIFU法においては、治療超音波プローブを駆動する超音波電気信号の振幅、振幅の変化パターン、治療超音波の照射時間、等々の治療パラメータを単独又は組み合わせて調整して、病変部である治療領域に照射する治療超音波パワーを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2000−507857号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Christakis Damianou, Kleanthis Ioannides,Venos Hadjisavvas, Nicos Mylonas, AndreasCouppis, and Demitris Iosif.In Vitro and In Vivo Brain Ablation Createdby High-Intensity Focused Ultrasound and Monitored by MRI.IEEE transactions on ultrasonics,ferroelectrics, and frequency control. Vol.56, No.6, JUNE 2009
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のHIFU法では、治療領域の中心あるいは辺縁にかかわらず、治療超音波パワーを一定に設定しているため、治療領域の辺縁部に照射した治療超音波により、辺縁部に隣接する正常組織がダメージ等の副作用を受けるなどの問題がある。逆に、治療領域の辺縁に隣接する正常な領域であっても、癌組織などの病変部が浸潤していることがあるから、治療領域の辺縁に隣接する領域の一定範囲にマージン領域を設定し、マージン領域を含めて治療超音波を照射するようにしている。マージン領域は、例えば、5mm幅程度、あるいはマージン率(例えば、10%)に設定する。
【0008】
ところで、辺縁部に隣接する正常組織の侵襲性の問題を回避するために、治療超音波パワーを一律に下げると、治療時間が長くなって患者に負担がかかるという問題がある。また、HIFU法を実施する際に、治療領域に照射する治療超音波パワーを照射位置ごとに調整することが考えられるが、治療超音波パワーを調整する術者の負担が大きいので実用的でない。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、治療領域の位置に応じて治療超音波パワーを自動的に調整可能にして、術者の負担を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する本発明の超音波治療装置は、基本的に、モニタに描出された病変部を含む画像に設定される三次元の治療領域を、治療領域の辺縁から中心に向かって複数の三次元の分割領域に分ける。そして、分割領域ごとに照射する治療超音波パワーを治療領域の辺縁からの距離に応じて調整する。つまり、治療領域を細分化(ブロック化)し、細分化したブロックごとに治療超音波パワーを辺縁からの距離に応じて自動的に調整する。ここで、治療超音波パワーとは、治療超音波プローブに供給する治療超音波の振幅、照射時間、照射パターンなどの治療パラメータにより決まる治療部位に照射される超音波エネルギーをいう。
【0011】
これにより、例えば、治療領域の辺縁を含む分割領域(以下、辺縁部領域という。)には、治療領域の中心を含む分割領域よりも低い治療超音波パワーを照射する。そして、治療領域の中心側の分割領域(以下、中心部領域という。)には、辺縁からの距離に応じて高い治療超音波パワーを照射するようにする。さらに、治療領域に辺縁よりも外側のマージン領域には、辺縁部領域よりも低い治療超音波パワーを照射するようにする。これにより、治療超音波パワーの調整に係る術者の負担を軽減して、実用的で使い勝手に優れた超音波治療装置を提供できる。また、マージン領域の正常組織が受けるダメージ等の副作用を軽減できる。
【0012】
なお、治療領域の分割は、腫瘍等の病変部の種類と大きさを考慮して行い、分割領域ごとに照射する治療超音波パワーの基準は、ユーザである術者が予め設定する。さらに、本発明によれば、治療領域の辺縁部を除く中心側の分割領域には十分に高い治療超音波パワーを照射することができるから、比較的短い時間で必要な治療を行うことができ、患者の負担を軽減することができる。
【0013】
具体的には、本発明の超音波治療装置は、医用画像装置により撮像された患者の治療部位を含む画像(二次元又は三次元の画像)が表示されるモニタと、前記患者の治療部位に治療超音波を照射する治療超音波プローブと、前記モニタに描出された前記治療部位を含む画像に設定される治療領域を辺縁から中心に向かって複数の分割領域に分ける治療領域分割部と、前記分割領域ごとに照射する治療超音波パワーを治療領域の辺縁からの距離に応じて調整する治療超音波パワー設定部と、前記分割領域ごとに前記治療超音波パワー設定部で調整された前記治療超音波パワーに基づいて前記治療超音波プローブから照射される前記治療超音波パワーを制御する治療超音波パワー制御部とを備えて構成することができる。
【0014】
また、本発明の超音波治療装置は、分割領域ごとに設定された治療超音波パワーの1回の照射で治療可能な三次元のボリュームに基づいて、三次元の分割領域ごとの1又は複数の照射位置を含む治療計画を策定する。そして、治療計画の照射位置に治療超音波を照射する治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置(照射位置)を示す誘導画像情報をモニタに表示する。この場合、誘導画像情報は、前記治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を示す矢印と数値の少なくとも一方の画像情報を用いることができる。さらに、位置検出器により検出される治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を示す模擬画像をモニタの治療部位を含む画像に重ねて表示する。
【0015】
これにより、例えば、術者はモニタに表示される模擬画像の治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を見ながら、誘導画像情報に合わせるように治療超音波プローブを移動操作することにより、治療計画に従った照射位置に容易に治療超音波プローブの超音波集束位置を合わせることができるので、極めて、使い勝手の良い超音波治療装置を提供することができる。なお、治療超音波プローブの移動操作は、術者による用手法に代えて、治療超音波プローブを直交3軸及び各軸周りに移動可能なマニピュレータを備えたロボットにより自動で移動操作させることができる。これによれば、治療超音波プローブの移動操作の習熟度を高めなくても、照射位置を精度よく制御することができる。
【0016】
さらに、本発明の治療領域の分割領域には、前記治療領域の辺縁の外側に隣接する領域に予め設定されたマージン領域を含ませることができ、この場合、前記治療超音波パワー設定部は、前記マージン領域に照射する前記治療超音波パワーを前記辺縁部領域に照射する前記治療超音波パワーよりも低く設定することが好ましい。
【0017】
さらに、誘導画像情報には、治療超音波プローブの位置及び向きを示す治療経路画像(矢印)を表示させ、あるいは数値情報を表示させることができる。また、治療済みの照射位置をメモリに記録することができる。数値情報には、治療超音波プローブの位置及び向き、照射位置までの距離、等を数値により表示する。
【0018】
また、本発明の超音波治療装置には、医用画像装置としての磁気共鳴撮像装置(MRI装置)、X線CT装置、超音波画像装置、その他の医用画像装置を備えて構成することができる。また、MRI装置又はX線CT装置の撮像空間に位置された患者の超音波断層画像を撮像する超音波画像装置を備えて構成することができる。例えば、MRI装置の場合は、三次元のボリューム画像データ(例えば、T1強調画像、T2強調画像)を取得して治療領域を含む二次元及び/又は三次元画像を再構成するMR画像再構成部と、該MR画像再構成部により再構成された前記二次元及び/又は三次元画像を前記モニタに表示させる表示制御部とを備えて構成する。X線CT装置又は超音波装置の場合も、MRI装置と同様に構成することができる。
【0019】
また、治療前後のボリューム画像データから残治療領域の情報を得て、残治療領域を治療するための治療超音波プローブの位置及び向き、照射位置を求めて、モニタ等に表示して術者に提示する再治療フィードバック機能を設けることができる。これにより、治療進展の制御と治療経過情報を三次元的に分析して残治療領域を特定し、追加治療の有無情報を提示することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、治療領域の位置に応じて治療超音波パワーを自動的に調整可能にできるから、術者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の超音波治療装置の一実施形態の全体構成図である。
【図2】図1の実施形態の超音波装置の全体構成図である。
【図3】図1の実施形態の特徴部であるHIFUコントローラの詳細構成図である。
【図4】HIFU法を説明する図である。
【図5】治療超音波プローブの誘導画像情報を説明する図である。
【図6】治療領域を複数の分割領域に分割する手順の一例を説明する図である。
【図7】血管の治療領域を複数の分割領域に分割する方法の一例を説明する図である。
【図8】図7の分割法を実施した後に各分割領域の境界をスムージング処理する方法の一例を説明する図である。
【図9】治療領域の中心からの距離に応じて分割領域の治療超音波パワーを設定する方法を説明する図である。
【図10】図1の超音波治療装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図1の実施形態の超音波治療装置における超音波断層画像及びMR断層画像の一例を示す図である。
【図12】図1の実施形態の超音波治療装置における手術前のグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)の表示例を示す図である。
【図13】図1の実施形態の超音波治療装置における手術中のグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)の表示例を示す図である。
【図14】図1の実施形態の超音波治療装置における手術後のグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態の超音波治療装置を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態の超音波治療装置は、超音波装置1と、MRI装置2と、術者用モニタ3と、位置検出システム4を備えて構成される。超音波装置1には、超音波断層画像を撮像する機能と超音波治療の機能とが組み込まれている。また、超音波装置1は、超音波装置本体11と、超音波モニタ12と、超音波プローブ13、及び超音波プローブ13の位置検出器を構成するポインタ14を備えて構成されている。超音波プローブ13は、超音波断層画像を撮像するための超音波を送受する超音波探触子13aと、治療超音波を照射する治療超音波プローブ13bとを一体に組み込んで形成されている。
【0023】
MRI装置2は、例えば、垂直磁場方式永久磁石MRI装置であり、垂直な静磁場を発生させる上部磁石21と下部磁石22、これら磁石を連結するとともに上部磁石21を支持する支柱23、ベッド24、コンピュータ25、MR制御部26、映像記録装置27を含んで構成されている。また、MRI装置2は、領斜磁場をパルス的に発生させる図示しない傾斜磁場発生部と、ベッド24に横臥された静磁場中の患者50に磁気共鳴を生じさせるための図示しないRF送信器と、患者50からの磁気共鳴信号を受信する図示しないRF受信器を備えている。
【0024】
コンピュータ25には、赤外線カメラ41が検出して算出したポインタ14の位置及び向きの検出情報が、超音波プローブ13の位置及び向きの位置データとして、ケーブル28を介して入力される。コンピュータ25は、入力されるポインタ14の位置及び向きの検出情報に基づいて、MRI装置2のMR画像の位置データに変換し、MR制御部26へ送信するようになっている。MR画像の位置データは、撮像シーケンスの撮像断面へ反映され、新たな撮像断面で取得されたMR画像は術者モニタ3に表示されるようになっている。また、MR画像は映像記録装置27に同時に記録される。ちなみに、ポインタ14は、断層面指示デバイスとして機能するから、穿刺針などにポインタ14を取り付け、穿刺針のある位置及び向きを常に撮像断面とするように構成することができる。この場合、モニタ3には針を常に含む断面が表示されることになる。MR制御部26は、ワークステーションで構成されてコンピュータ25に接続され、MRI装置2の図示しないRF送信器、RF受信器などを制御するようになっている。
【0025】
また、映像記録装置27には、手術前に取得された患者50の治療部位に係る病変部を含むボリューム画像データが格納されている。つまり、例えば、患者50の体軸に直交するスライス断像画像を体軸方向にずらして複数枚取得したボリューム画像データが格納されている。本実施形態の場合は、MRI装置2で取得したボリューム画像データが格納されているが、本発明はこれに限られず、X線CT又は超音波装置1により取得したボリューム画像データでよいことは言うまでもない。また、映像記録装置27に格納されたボリューム画像データには、位置検出システム4の基準ツール42の座標系に変換された座標データ又は変換可能な座標データが付されている。そして、コンピュータ25は、ボリューム画像データに基づいて、周知のボリュームレンダーリング法によりボリュームレンダリング画像(以下、三次元画像という。)を生成して、術者用モニタ3に表示するように構成されている。
【0026】
術者用モニタ3は、図示例では、2つの表示画面3a、3bを備えてなり、モニタ支持部31を介して回転自在にMRI装置2の上部磁石21に支持されており、表示画面の位置及び姿勢を自由に調整できるようになっている。位置検出システム4は、2台の赤外線カメラ41と、赤外線を発光する図示しない発光ダイオードと、基準ツール42を含んで構成されている。また、位置検出システム4は、支持アーム43を介して姿勢を自由に変えられるように回転自在にMRI装置2の上部磁石21に支持されている。基準ツール42は、3つの反射球44を備え、上部磁石21の側面に設けられている。これにより、位置検出システム4は断層面指示デバイスであるポインタ14の位置及び姿勢(向き)を検出し、赤外線カメラ41の座標系とMRI装置2の座標系をリンクさせるようになっている。
【0027】
超音波装置1の超音波装置本体11は、MRI装置2を制御するコンピュータ25と接続されている。ポインタ14が取り付けられた超音波プローブ13の超音波探触子13aで得られる超音波断層画像を専用の超音波モニタ12に映し出すだけでなく、コンピュータ25に転送し、画像処理が行われて術者用モニタ3に映し出すことが可能になっている。つまり、術者が把持する超音波探触子13aにより撮像される患者50の断層画像を超音波モニタ12に表示する。なお、断層画像の断層位置は、超音波探触子13aに取り付けられたポインタ14により指示することができ、ポインタ14により検出された位置及び傾きの断層画像が術者モニタ3表示される。また、超音波プローブ13はMRI装置2の磁場内でも作動可能なセラミックなどの非磁性体で形成されている。
【0028】
ここで、図2を参照して、超音波装置1の詳細構成を説明する。超音波装置本体11は、本実施形態の特徴部であるHIFUコントローラ110と、超音波送受信部111と、超音波画像構成部112と、超音波制御部113と、ユーザとのインターフェイスであるコントロールパネル114とを備えて構成されている。超音波送受信部111は、超音波プローブ13の超音波探触子13aに接続され、超音波探触子13aで受信された反射エコー信号は超音波画像構成部112に入力されるようになっている。超音波制御部113は、超音波送受信部111と超音波画像構成部112と、HIFUコントローラ110を制御するようになっている。コントロールパネル114は、超音波制御部113に指示を与えるようになっている。
【0029】
このように構成されることから、超音波装置本体11は、超音波探触子13aから患者50内に超音波を送受信し得られた反射エコー信号を用い、診断部位について二次元又は三次元の超音波画像を生成して超音波モニタ12あるいは術者用モニタ3に表示できるようになっている。また、HIFUコントローラ110から治療超音波プローブ13bを介して患者50に治療超音波を照射し、照射した部位の病変部を温熱により変性させて治療を行うことができるようになっている。
【0030】
なお、本実施形態では、超音波断層画像を撮像するための超音波探触子13aと、治療超音波を照射する治療超音波プローブ13bとを別々に設けた例を説明したが、本発明はこれに限らず、同一の振動子を超音波断層画像の撮像用と、治療超音波の照射用に使い分けることもできる。この場合、HIFUコントローラ110は、撮像用として動作させる場合は患者50に照射する超音波パワーを弱め、治療超音波用として動作させる場合は患者50に照射する超音波パワーを強めるように、超音波駆動信号をパルス波又は連続波に切替えるとともに、超音波駆動信号の振幅を制御する。また、本実施形態では、超音波画像装置と超音波治療装置とを1つの超音波装置として構成したが、これらを別々に分けて構成することができる。
【0031】
図3に、HIFUコントローラ110の詳細構成図を示す。HIFUコントローラ110は、コンピュータをプログラムで作動させて機能を発揮する治療領域設定部111と、治療領域分割部112と、治療超音波パワー設定部113と、治療計画策定部114と、治療超音波パワー制御部115と、治療超音波プローブ誘導部116とを備えて構成される。また、HIFUコントローラ110は、HIFU電源部117とHIFUメモリ118と、各部間の信号伝送を行うバス119を備えて構成されている。バス119には、超音波制御部17とMRI装置2のコンピュータ25とが通信可能に接続されている。HIFU電源部117は、図示していないが、患者50内に治療超音波を照射する治療超音波信号の発生部を備え、治療超音波プローブ13bに接続されている。このように構成されるHIFUコントローラ110は、超音波制御部17からの制御指令に応じて動作されるようになっている。
【0032】
ここで、図4を参照して、HIFUコントローラ110による治療手順の概要を説明する。図4(a)に示すように、治療超音波プローブ13bから照射される集束超音波131は、予め設定された1点の超音波集束位置であるターゲット132に集束するようになっている。図4(b)に示すように、集束超音波131の1回の照射により温熱変性される三次元領域は、照射深度方向に直交する直径Φが5〜10mmの領域である。なお、実際に温熱変性される三次元領域は、球形ではなく、断面が円形で照射深度方向に長さを有するラグビーボール状の領域である。したがって、集束超音波131による治療を行う際は、図4(c)に示すように、治療超音波の照射位置であるターゲット132の位置を二次元及び三次元に順次移動させて、三次元の治療領域133及び後述するマージン領域の全域に集束超音波131を照射する。ここで、周知のARFI(Acoustic Radiation Force Impulse)による焦点可視化を行うことができる(非特許文献2参照)。ARFIによれば、理想的な焼灼領域に対して、生体組織内の実際の影響領域を算出することができるから、三次元計測を行うことで立体的な治療予定領域を算出できる。
【0033】
【非特許文献2】Palmeri ML, Wang MH, Dahl JJ, Frinkley KD, et al. Quantifyinghepatic shear modulus in vivo using acoustic radiation force.Ultrasound inMedicine & Biology 2008;34:546-58.
【0034】
次に、図5を参照して、HIFUコントローラ110による超音波治療について、図3の各部の処理動作に分けて説明する。まず、術者が超音波プローブ13を患者の治療を行う例えば頭部の外皮に当てる。これにより、超音波探触子13aにより超音波断層像が撮像されると、コンピュータ25はその超音波断層像に対応するMR画像を、映像記憶装置27に記憶されているボリューム画像データから切り出して、図5に示すように、アキシャル(Axial)画像、サジタル(Sagittal)画像、コロナル(Coronal)画像の直交3断面画像を含むナビゲーション画像130が術者用モニタ3には表示される。また、術者用モニタ3には、ナビゲーション画像130の一つとしてボリュームレンダリングにより作成した三次元画像を表示させることができる。
【0035】
治療領域設定部111は、術者用モニタ3に表示される治療部位を含むナビゲーション画像130に基づいて、自動又は用手法により治療領域133の外縁に、輪郭線を描画させて設定する。また、同様にして、術者は、ナビゲーション画像130に警告領域134の輪郭線を描画させて設定する。なお、ナビゲーション画像130上には、後述する治療超音波プローブ誘導部116の機能により、治療超音波プローブ13bの位置及び向きを示す模擬画像135が重畳表示される。また、ナビゲーション画像130上の模擬画像135には、治療超音波プローブ13bの照射位置であるターゲット132が含まれている。
【0036】
治療領域分割部112は、術者モニタ3に描出される治療部位を含む画像に設定される治療領域を、辺縁から中心に向かう複数の分割領域に分けるとともに、治療領域の辺縁の外側に隣接するマージン領域を設定するようになっている。
【0037】
図6を参照して、治療領域を複数の分割領域に分割する一実施形態の方法を説明する。例えば、腹部501をMRI装置で撮像したMR画像に基づいて、治療領域設定部111により自動又は用手法で治療領域502が輪郭線で設定されているものとする。図6の例では、治療領域502を中心部領域503と辺縁部領域504の2つに分割し、さらに辺縁部領域504に隣接するマージン領域505に分割して設定する。この設定は、ユーザが設定した治療領域502に基づいて自動設定するか、コントロールパネル18から用手法によりにより設定する。図において中心部領域503、辺縁部領域504、マージン領域505の円形で示した1つの領域の大きさは、例えば30〜40mmに設定することができるが、1回の超音波照射で変性可能な直径5〜10mmを基準に分割することもできる。これによれば、分割領域を一層きめ細かく分けることになり、これに応じて精度の高い治療効果を得ることができる。
【0038】
すなわち、図6の実施形態では、治療領域分割部は、術者モニタに描出された直交3軸断面画像に設定された治療領域の輪郭線を治療領域の辺縁として、輪郭縁の内側領域を予め設定された径の基準円で埋め、輪郭縁に接する基準円で埋められる領域を辺縁部の分割領域とし、辺縁部の分割領域よりも内側の領域を中心部の分割領域として分割している。また、治療領域の輪郭線の外側に接する基準円で埋められる領域をマージン領域として分割するしている。そして、治療超音波パワー設定部は、基準円を1回の治療超音波の照射位置として各分割領域に応じた治療超音波パワーを調整するようにすることができる。
【0039】
ここで、図7と図8を参照して、治療領域の分割法の他の実施形態について説明する。本実施形態は、血管を利用して複数の分割領域に分ける例である。図6と同じように、治療領域設定部111は、腹部601をMRI装置で撮像して得られる画像に基づいて、治療領域602内の血管603を特定する。そして、治療領域分割部112は、例えば、治療領域602を血管領域605、辺縁部領域606、マージン領域607、608に分割して設定する。さらに、内部でスムージング処理を行い、血管領域706、辺縁部領域707、マージン領域708を再設定する。
【0040】
治療超音波パワー設定部113は、図8に示すように、分割領域のそれぞれに対して、治療領域の辺縁からの距離に応じて治療超音波パワーを設定する。図8の例では、辺縁部領域707を中強度領域とし、血管領域706を治療超音波パワーの高強度領域とし、マージン領域708を弱強度領域として設定する。そして、設定した治療超音波パワーの強度に応じて、各分割領域の表示形態(例えば、色相、点滅、表示マーク、など)を異ならせて、術者が容易に違いを視認できるようにすることができる。さらに、ターゲット132が分割領域のいずれかに入ったときに、その領域に設定された治療超音波パワーの強度に応じて表示形態を変えることができる。治療超音波パワー設定部113は、分割領域ごとに照射する治療超音波パワーを治療領域の辺縁からの距離に応じて増大し、マージン領域には辺縁からの距離に応じて低減して設定するようになっている。
【0041】
すなわち、図7、図8の実施の形態によれば、治療領域分割部は、術者モニタに描出された直交3軸断面画像の血管壁の内側の血管領域と、血管壁の外側に接する予め設定された径の基準円により埋められる辺縁部領域とからなる分割領域に分割する。また、治療領域分割部は、辺縁部領域の外側に接する基準円により埋められる領域をマージン領域として分割する。そして、治療超音波パワー設定部は、基準円を1回の治療超音波の照射位置として各分割領域に応じた治療超音波パワーを調整するようにすることができる。
【0042】
図9に、3つの分割領域に分けた弱強度領域1201、中強度領域1202、高強度領域1203の治療超音波パワーの設定例を示す。図9(a)は、マージン領域である弱強度領域1201の外縁から辺縁(中強度領域1202の外縁)までの距離に応じて治療超音波パワーを増加させて設定する例である。同図(b)は、辺縁(中強度領域1202の外縁)から中心部領域(高強度領域1203)の外縁までの距離に応じて治療超音波パワーを変化させて設定した例である。同図(c)は、中心部領域(高強度領域1203)の外縁から治療領域の中心までの距離に応じて治療超音波パワーを変化させて設定した例である。図からわかるように、各強度領域の境界では治療超音波パワーが同じ値に設定されている。各分割領域の治療超音波パワーの中心からの強度パターンは、ユーザが予め設定しておくものである。しかし、治療中においても治療超音波パワーの中心からの強度パターンは変更可能である。
【0043】
治療計画策定部114は、治療超音波パワー設定部113により設定された分割領域ごとに、治療超音波パワーの1回の照射で治療可能なボリュームに基づいて、分割領域ごとの1又は複数の照射位置を含む治療計画を策定するようになっている。治療計画は、治療超音波の照射方向(経路)、照射位置までの距離を含んで策定される。
【0044】
治療超音波パワー制御部115は、治療領域分割部112により分割された分割領域ごとに治療超音波プローブ13bから照射する治療超音波パワーを、治療超音波パワー設定部113の設定に従って制御するようになっている。
【0045】
治療超音波プローブ誘導部116は、治療計画策定部114により策定された治療計画に従って、照射位置に治療超音波を照射する治療超音波プローブ13bの位置、向き及び超音波集束位置を示した誘導画像情報を含むナビゲーション画像130を作成して、図5に示したように、術者モニタ3に表示するようになっている。また、ポインタ14により検出される治療超音波プローブ13bの位置、向き及び超音波集束位置を示す模擬画像を作成して、術者モニタ3の治療部位を含む画像に重ねて表示するようになっている。すなわち、治療超音波プローブ誘導部116は、例えば、ベッド24上に固定された患者50の病変部に治療超音波プローブ13bを用いて治療超音波を照射して治療を行う。治療超音波プローブ13bの位置及び向きは、コンピュータ25により、位置検出システム4に取り付けられた2つの赤外線カメラ41にて検出されたポインタ14の位置及び向きに基づいて検出されて、治療超音波プローブ誘導部116に伝送される。また、ポインタ14は超音波プローブ13に取り付けられているから、超音波断層画像の位置及び向きを検出することになる。コンピュータ25は、位置検出システム4から入力される超音波断層画像に対応したMR断層画像をボリューム画像データから切り出して術者用モニタ3に表示する。また、同位置の三次元画像を再構成して術者用モニタ3に表示する。また、治療超音波プローブ誘導部116は、ナビゲーション画像130上のターゲット132が警告領域134内に入った場合、治療超音波パワーを自動的に低減したり、警告を発する機能を有している。警告は、ターゲット132又は警告領域134の表示形態(色又は点滅)を変えたり、警告音等により行うことができる。
【0046】
次に、図10のフローチャートを参照して、本実施形態の超音波治療装置を用いた治療手順について説明する。
(S101)
MRI装置2を用いて治療対象である病変部を含む二次元のMR断層像を患者50の体軸方向にずらして複数枚撮像してボリューム画像データを取得して映像記録装置27に格納する。また、三次元画像を再構成して映像記録装置27に格納する。この処理は、MRI装置2のコンピュータ25により実行されるが、以下のS102〜S115の処理は、コンピュータ25とHIFUコントローラ110の協働により実施される。
(S102)
コンピュータ25は、HIFUコントローラ110から伝送されるポインタ14の位置及び向きの検出信号に基づいて、超音波探触子13aにより撮像される超音波断層画像の位置及び向きを求め、映像記録装置27に格納された三次元ボリューム画像データから超音波断層画像に対応するMR断層像を再構成して術者モニタ3に描出させる。つまり、超音波探触子13aを移動操作して治療領域を含む直交3断面画像と三次元画像を含むナビゲーション画像130を術者モニタ3に描出させる。そして、治療領域設定部111は、ナビゲーション画像130に基づいて、画像処理により自動的に、又は超音波装置1のコントロールパネル18から入力される指定に従って治療領域133を設定する。設定された治療領域は三次元の座標データとしてHIFUメモリ118に格納される。次いで、治療領域分割部112は、設定された治療領域133を中心からの距離に応じて複数の分割領域に分ける。分割領域は3次元の座標データとして分割領域ごとにHIFUメモリ118に格納される。
(S103)
さらに、治療領域分割部112は、治療領域133の辺縁部領域の外側に隣接するマージン領域を設定して、三次元の座標データとしてHIFUメモリ118に格納する。
(S104)
治療超音波パワー設定部113は、分割領域ごとの治療超音波パワー、及びマージン領域の治療超音波パワーを設定するとともに、必要に応じて治療超音波パワーに関する治療パラメータを設定する。治療超音波パワー設定部113は、照射位置ごとに設定された治療超音波パワーを分割領域及びマージン領域に対応付けてHIFUメモリ118に格納する。
(S105)
治療計画策定部114により、治療計画を策定する。すなわち、三次元の分割領域ごと及びマージン領域の1又は複数の照射位置を含む治療計画を策定する。さらに、治療計画の照射位置に治療超音波を照射する治療超音波プローブ13bの位置、向き及びターゲット132を各照射位置について求める。策定した治療計画は、照射位置ごとに治療超音波を照射する治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置をHIFUメモリ118に格納する。
(S106)
ここで、患者50の生体情報(例:血圧・心拍数・発汗・体温等の異常上昇や意識の喪失)をモニタリングする装置を必要に応じて装着する。
(S107)
治療超音波プローブ誘導部116は、ナビゲーション等の手術支援誘導機能を起動する。
(S108)
S107までが超音波治療前(手術前)の準備段階であり、S108で超音波治療の手術を開始する。
【0047】
(S109)
手術は、治療超音波プローブ誘導部116によって実施される。治療超音波プローブ誘導部116は、治療超音波プローブ13bの位置及び向きの変化に追従して、ナビゲーション画像130上に治療超音波プローブ13b及び照射位置であるターゲット132の模擬画像135を、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)である術者モニタ3に重畳表示する。
【0048】
(S110)
また、治療超音波プローブ誘導部116は、HIFUメモリ118から治療計画を読み出し、照射位置ごとに治療超音波を照射する治療超音波プローブ13bの位置、向き及び照射位置を示す誘導画像情報を術者モニタ3に重畳表示する。誘導画像情報は、治療超音波プローブ13bの位置、向き及び照射位置を示す矢印(図13の符号1038)と数値情報の少なくとも一方の画像情報を用いることができる。例えば、術者は術者モニタ3に表示される模擬画像135の治療超音波プローブ13bとターゲット132を見ながら、誘導画像情報である矢印(図13の符号1038)に合わせるように、治療超音波プローブ13bを移動操作する。これにより、治療計画に従った照射位置(図13の符号1015)に容易に治療超音波プローブ13bのターゲット132を位置合わせすることができるので、極めて、使い勝手を良くすることができる。
(S111)
治療超音波プローブ13bの誘導の結果は、ナビゲーション画像130にて模擬画像135のターゲット132の位置と治療計画の照射位置(図13の符号1015)との一致を確認して、治療超音波による治療の準備を行う。つまり、HIFUコントローラ110により、ターゲット132の位置を今回の照射位置として特定して、治療領域内のどの領域が治療されるのかを判別する。
(S112)
治療超音波パワー制御部115は、今回の照射位置に対応する治療超音波パワーを、治療超音波パワー設定部のHIFUメモリ118から読み出して制御する。
(S113)
治療超音波パワー制御部115は、治療超音波プローブ13bに供給する治療超音波の振幅、照射時間、照射パターンなどの治療パラメータを制御して、治療超音波パワー設定部113により設定された治療超音波パワーが治療超音波プローブ13bから照射位置に出力されるように制御する。照射パターンとは、治療超音波パワーの照射シーケンスの時間的変化パターンのことである。つまり、トリガードパルスと称される瞬間的に高パワーの超音波を照射し、照射位置の生体組織内に泡を発生させた後、弱い超音波パワーを照射することによりキャビテーション作用を起こさせて病変部を変性させる周知の方法を実施する際の照射パターンである。治療時の治療領域の変性は、術者モニタ3に表示されるMR画像によりモニタリングするようになっている。
(S114)
MRI装置2のコンピュータ25は、超音波治療による治療効果確認を行う。
(S115)
そして、残治療領域があるかどうか判断する。具体的には、治療前に造影剤を用いて撮像したMR画像と治療後のMR画像とを取得し、それらの画像の差分画像を求めて術者モニタ3に表示することにより、治療済領域と残治療領域の可視化が可能となるので、治療効果判定を行うことができる。そして、残治療領域が存在する場合には、S109に戻って、超音波治療の追加処理を繰り返す。
【0049】
ここで、図11に、超音波装置1とMRI装置2とで交互に撮像したときの断層画像の一例を示す。患者50に対して術者が超音波探触子13aを当てて治療部位を含む超音波断層画像136を撮像すると、超音波断層画像136が超音波モニタ12と術者モニタ3に表示される。つまり、コンピュータ25が超音波断層画像136に対応するMR断層画像をボリューム画像データから切り出し、前述したように術者用モニタ3にMR断層画像137を表示する。ここで、治療部位に応じて術者が超音波探触子13aを移動させると、これに追従して超音波断層画像136及びMR断層画像137が追従して超音波モニタ12及び術者用モニタ3の表示画像が変わる。
【0050】
このようにして、図11に示すように、超音波探触子13aによる超音波断層画像136と、と同一位置のMR断層画像137を得ることが可能になり、それぞれ交互に撮像を行って画像情報を取得することが可能となる。MRI装置2の高速撮像シーケンスの応用のひとつとして、フルオロスコピー(透視撮像)と呼ばれるリアルタイム動態画像化法が臨床応用されつつある。フルオロスコピーでは、1秒以下程度の周期で撮像と画像再構成を繰り返すことにより、あたかもX線透視撮像のように体内組織の動態抽出や体内に外部から挿入した器具の位置把握に用いることができる動態画像を生成・表示することができる。この応用は三次元高速撮像にも応用されている。
【0051】
以下に、図12〜図14を参照して、超音波治療による手術前、手術中及び手術後のグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)の実施形態の一例について説明する。図12は、手術前のシミュレーション時における術者モニタ3(3a、3b)に表示されるGUI画面900の一例である。GUI画面900は、ナビゲーション画像900aと、治療計画情報画面900bと、各種の操作ボタン画面を含んでいる。
【0052】
GUI画面900のMRI装置2の3D撮像ボタン901を押下すると、コンピュータ25が作動して、ポインタ14が指示する超音波断層画画像に対応するMR画像のAxial断面画像910、Sagittal断面画像911、Coronal断面画像912、三次元画像913が再構成されてナビゲーション画像900aに表示される。また、GUI画面900の治療領域描出ボタン902を押下すると、HIFUコントローラ110の治療領域設定部111と治療領域分割部112が動作する。治療領域設定部111は、コントロールパネル18のマウス等のツールから入力される指令に従って又は自動的に治療領域を設定する。これにより、治療計画情報画面900bに治療領域921が表示される。次いで、治療領域分割部112が作動し、設定された治療領域921を複数の分割領域に分割(セグメンテーション)し、治療計画情報画面900bに、治療領域921を2分割した分割領域922、923及びマージン領域924が表示される。ここで、分割領域922は中心部分割領域であり、分割領域923は辺縁部分割領域である。各分割領域922、923及びマージン領域の境界は、それぞれ輪郭線により表示される。また、この場合、図8で説明したように、各分割領域922、923及びマージン領域を色分け表示などにより、表示形態を異ならせて表示するようにすることができる。
【0053】
また、治療計画情報画面900bには、治療情報として、例えば、腫瘍領域と治療領域の差(全軸方向の距離)、治療経過時間及び残治療時間、病変・治療領域の直径/半径、治療インターバルタイム、アラーム他の治療情報が表示される。さらに、実際の手術時には手術の経過を表示することができ、治療計画情報画面900bに治療経過・生体情報の他に、ログ情報として腫瘍領域と治療領域の差も情報としてリアルタイム表示することができる。
【0054】
治療超音波パワー入力ボタン903を押下することで、治療領域921に係る各領域922、923、924に対する治療超音波パワーを入力設定することができる。
【0055】
また、HIFU治療計画(プローブ位置計算)ボタン904を押下すると、治療計画策定部114が動作して、前述したように治療計画が策定される。策定された治療計画は、治療計画情報画面900bに表示されるようになっている。また、治療計画情報画面900bの内容は、別視点/角度から種々の情報を閲覧することもできる。治療直前には、HIFU治療計画ボタン904を押下すると、治療超音波プローブ誘導部116が作動して、ターゲット132と治療超音波プローブ13bの模擬画像135と、照射経路136がGUI画面900のナビゲーション画像900aに描出される。なお、治療超音波パワーに応じて模擬画像135の治療超音波プローブ13bの位置及び向き、さらに照射経路136の補正が行われ、結果がナビゲーション画像900a上に表示されるとともに、その結果はHIFUメモリ118に記録される。すなわち、治療超音波パワーに応じて照射経路136が屈折等することから、これに合わせて補正するためである。
【0056】
さらに、GUI画面900の操作ボタン画面領域の禁忌情報ボタン905を押下して、例えば、不整脈、人工心臓等の患者固有情報を入力し後、手術開始ボタン906を押下することで、手術(治療)開始となる。これにより、治療に必要な治療超音波プローブ13b等の機器、治療超音波パワー制御部115、及び、治療超音波プローブ誘導部116等の手術支援機能が連動して動作するようになっている。
【0057】
図13は、手術中のGUI画面1000の一例であり、左側が超音波画像による治療状態画像1000aであり、右側がMR画像によるナビゲーション画像1000bである。手術中の操作ボタン画面には、ISCボタン1001、生体情報ボタン1002、ナビゲーションボタン1003、ARFI(治療予定領域)1004、領域(範囲)情報ボタン1005、警告情報ボタン1006、治療開始ボタン1007、画像情報ボタン1008、ログボタン1009、評価・解析ボタン1010が設けられている。治療は、生体情報ボタン1002とナビゲーションボタン1003を押下して、画像誘導により行われる。生体情報ボタン1002を押下すると、治療状態画像1000aの生体情報画像1025に、患者情報や手術情報の詳細情報が表示される。治療は、策定された治療計画に従って行われるが、必要に応じて策定された矢印で示される計画照射経路の誘導画像情報1038を補正しながら行う。
【0058】
治療状態画像1000aは、治療前画像1011、治療中(リアルタイム)画像1013、治療後(リアルタイム)画像1017がそれぞれ表示される。なお、図示していないが、治療超音波の照射位置の深度や周波数等の各種の治療パラメータが分かるようになっている。また、治療前画像1011は治療予定領域1012が、治療中画像1013は超音波照射経路1014と照射位置1015と治療の影響波及領域1016とが、治療後画像1017は治療済み領域1018、1019が分かるようになっている。治療予定領域1012は、予め算出したマージン領域を含めて表示されている。
【0059】
なお、治療直前にARFIボタン1004を押下することにより、治療計画に従って超音波照射幅1014、予定の照射位置1015が事前に描出される。また、予定の照射位置1015の周辺組織へ影響を与える可能性がある影響波及領域1016を表示させることができる。これは、生体に間接的に影響する範囲を描写するものであり、影響波及領域1016が正常組織に極力かからないように注意喚起するものである。また、領域情報ボタン1005を押下して、治療後画像1017に各種の警告情報を表示することもできる。例えば、過去に治療した治療済み領域1018を重畳表示し、治療予定領域1012を越えている場合、あるいは患者に異常が生じた場合には、警告を発する機能を有する領域情報ボタン1005を自動的にオン/オフする機能も有している。
【0060】
一方、ナビゲーション画像1000bには、MRI画像の直交3軸断面画像1031〜1033が表示されている。これらの直交3軸断面画像1031〜1033には、治療超音波プローブ13bの位置を示す模擬画像135を重畳表示することができるようになっている。さらに、治療超音波プローブ13bに応じたターゲット132を表示することができるようになっている。GUI画面1000は、治療状態画像1000aとナビゲーション画像1000bを変更することもできる。マージン領域を含む治療領域1012及びターゲット132とその影響波及領域1016も直交3軸断面画像1031〜1033に重畳表示することができ、実空間の模擬画像135と治療計画に従った照射位置及び照射経路を示す誘導画像情報1038を用いて手術を実施することなる。治療超音波パワーは治療超音波パワー入力ボタン903を押し下げて適宜変更することができる。また、誘導画像情報1038は、治療計画に従った各分割領域又は各照射位置を数値情報により一覧表示することも可能である。治療開始ボタン1007に連動して、画像情報ボタン1008、ログボタン1009、治療の評価・解析ボタン1010をオンさせることができる。勿論、これらの操作ボタンは必要に応じて手動でオン/オフすることもできる。
【0061】
画像情報ボタン1008と評価・解析ボタン1010をオン(押下)すると、治療前と治療中の治療済み情報及び治療前後の差分画像を表示させることができる。これにより、治療経過及び残治療の有無が画像情報として表示される。また、ログボタン1009をオンすると、過去に行った治療経過のログ情報を表示させることができ、これにより治療経過内容を見直すことができる。
【0062】
その他、直交3軸断面画像1031〜1033上には、治療経過画像が表示されており、ナビゲーション画像130上における治療領域1012等に対して、治療済み領域及び残治療領域が重畳表示されているほか、直前(最近)の治療領域が重畳表示される。治療計画情報画面920の付加機能として、残治療領域に対する治療の経路を算出する機能もあり、残治療領域への照射経路に係る誘導画像情報1038を自動的に算出することもできる。また、MRI装置の撮像空間内で治療を行う場合には、ISCボタン1001を押下することで超音波断層画像と同一断面におけるMR断層画像を撮像することができ、別画面に表示することもできる。MR画像上には治療領域、マージン領域、ARFIによる治療予定領域(照射領域)が同じように表示され、組織コントラストの異なる画像が表示される。また、MR断層画像の長所としては、患者の体の深部まで画像化できることが挙げられる。これより、術者は直前の治療状態画像1000aを目視して治療超音波プローブ13bの移動を行い、かつ追加治療を行うことができる。治療前後の情報は、超音波画像1011、1017、直交3軸断面画像1031〜1033及び三次元画像1034を表示できる。また、これらの画像の他に、手術情報1025を表示することもできる。
【0063】
図14は、手術後のGUI画面1100の一例であり、左側がMR画像によるナビゲーション画像1100aであり、右側がMR画像による治療評価・解析画像1100bである。手術中の操作ボタン画面のMRIの3D撮像ボタン1101を押下することで、MR画像によるAxial断面画像1111、Sagittal断面画像1112、Coronal断面画像1113、三次元画像1114が再構成されて表示される。また、造影剤ボタン1102を押下することで、ナビゲーション画像1100aと治療評価・解析画像1100bが造影MR画像により、予め算出した治療領域1012と実際に治療した治療済み領域1015がそれぞれ表示される。治療評価・解析画像1100bには、拡大されたMRI造影前画像1121、拡大されたMRI造影後画像1123、差分画像1127、患者情報・手術情報画像1129が表示される。三次元画像1114は、周知のように、任意に回転表示させることが可能なだけでなく、周辺組織の消去(又は透明化)をすることで見やすくすることができる。また、患者情報ボタン1103を押下することで、治療前後の患者情報を表示することができる。
【0064】
一方、手術情報ボタン1104を押下することで、過去の治療回数、時間、割合、残治療回数予定等のログ情報を表示させることができる。MRI造影前画像1121は照射領域1122が高信号で描出され、MRI造影後画像1123から治療領域1012とHIFUによる照射位置1015がそれぞれ描出される。
【0065】
また、差分(残治療領域描出)ボタン1105を押下することで、治療領域1012と照射位置1015の差分領域1128が算出され、差分画像1127が表示される。術者は差分画像1127と手術情報画像1129から再治療を行うかどうか判断し、必要と判断した場合には再治療計画ボタン1106を押下する。そのときには、Axial断面画像1111、Sagittal断面画像1112、Coronal断面画像1113、三次元画像1114上に、差分領域1128が治療領域1012の代わりに追加治療領域として表示され、追加治療のための治療超音波プローブ13bの位置と向き及び照射経路が自動的に計算されGUI画面1000のナビゲーション画像1000b上に描出される。この場合も、治療超音波パワーに応じて図13に示した照射経路を示す誘導画像情報1038の補正が行われ、結果がナビゲーション画像1000b上に表示される。そして、問題がなければ追加治療1107の開始となる。仮に、残治療領域が存在しても様々な条件を考慮して追加治療を実施しない場合には、終了ボタン1108を押下して治療終了とする。
【符号の説明】
【0066】
1…超音波装置、2…MRI装置、3、3a、3b…術者モニタ、4…位置検出システム、11…超音波装置本体、12…超音波モニタ、13…超音波プローブ、13a…超音波探触子、13b…治療超音波プローブ、14…ポインタ、15…超音波送受信部、16…超音波画像構成部、17…超音波制御部、18…コントロールパネル、110…HIFUコントローラ、25…コンピュータ、42…基準ツール、26…MR制御部、27…映像記録装置、50…患者
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を治療対象の病変部に照射して温熱により変性させて治療する超音波治療装置に係り、特に、治療領域を複数に分割し、分割領域に応じて治療超音波パワーを可変する超音波治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍、血栓、脳梗塞等の病変部に超音波を照射して、それらの病変部を温熱により変性(例えば、焼灼又は破壊)させて治療する高密度焦点式超音波治療(HIFU:High Intensity Focused Ultrasound)法が知られている。HIFU法は、治療超音波プローブから病変部に照射する集束超音波パワーを高密度にして、侵襲性の低い治療を行うことが可能である。例えば、前立腺癌などの治療は、直腸内に治療超音波プローブを配置して侵襲性の低い治療を行うことが可能である。また、脳腫瘍など治療は、頭部の外皮に治療超音波プローブを配置して侵襲性の低い治療を行うことが可能である。
【0003】
このようなHIFU法を適用した超音波治療の一例として、特許文献1に開示されている超音波治療装置では、連続波の治療超音波及びパルス波の撮像超音波を発生する二つの役割を併せ持った超音波プローブと、この超音波プローブを駆動制御する超音波送信部を備えて構成されている。超音波送信部は、治療超音波プローブを駆動して集束超音波を発生させる電源を備えている。さらに、超音波治療装置は、超音波を反射する尿道用カテーテルを備えるとともに、HIFU法による治療領域をモニタリングする磁気共鳴撮像(MRI)装置を備えている。一方、非特許文献1には、HIFUの治療領域を対象にしたMRIの撮像パラメータを検討した報告がある。
【0004】
また、一般に、HIFU法においては、治療超音波プローブを駆動する超音波電気信号の振幅、振幅の変化パターン、治療超音波の照射時間、等々の治療パラメータを単独又は組み合わせて調整して、病変部である治療領域に照射する治療超音波パワーを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2000−507857号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Christakis Damianou, Kleanthis Ioannides,Venos Hadjisavvas, Nicos Mylonas, AndreasCouppis, and Demitris Iosif.In Vitro and In Vivo Brain Ablation Createdby High-Intensity Focused Ultrasound and Monitored by MRI.IEEE transactions on ultrasonics,ferroelectrics, and frequency control. Vol.56, No.6, JUNE 2009
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のHIFU法では、治療領域の中心あるいは辺縁にかかわらず、治療超音波パワーを一定に設定しているため、治療領域の辺縁部に照射した治療超音波により、辺縁部に隣接する正常組織がダメージ等の副作用を受けるなどの問題がある。逆に、治療領域の辺縁に隣接する正常な領域であっても、癌組織などの病変部が浸潤していることがあるから、治療領域の辺縁に隣接する領域の一定範囲にマージン領域を設定し、マージン領域を含めて治療超音波を照射するようにしている。マージン領域は、例えば、5mm幅程度、あるいはマージン率(例えば、10%)に設定する。
【0008】
ところで、辺縁部に隣接する正常組織の侵襲性の問題を回避するために、治療超音波パワーを一律に下げると、治療時間が長くなって患者に負担がかかるという問題がある。また、HIFU法を実施する際に、治療領域に照射する治療超音波パワーを照射位置ごとに調整することが考えられるが、治療超音波パワーを調整する術者の負担が大きいので実用的でない。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、治療領域の位置に応じて治療超音波パワーを自動的に調整可能にして、術者の負担を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する本発明の超音波治療装置は、基本的に、モニタに描出された病変部を含む画像に設定される三次元の治療領域を、治療領域の辺縁から中心に向かって複数の三次元の分割領域に分ける。そして、分割領域ごとに照射する治療超音波パワーを治療領域の辺縁からの距離に応じて調整する。つまり、治療領域を細分化(ブロック化)し、細分化したブロックごとに治療超音波パワーを辺縁からの距離に応じて自動的に調整する。ここで、治療超音波パワーとは、治療超音波プローブに供給する治療超音波の振幅、照射時間、照射パターンなどの治療パラメータにより決まる治療部位に照射される超音波エネルギーをいう。
【0011】
これにより、例えば、治療領域の辺縁を含む分割領域(以下、辺縁部領域という。)には、治療領域の中心を含む分割領域よりも低い治療超音波パワーを照射する。そして、治療領域の中心側の分割領域(以下、中心部領域という。)には、辺縁からの距離に応じて高い治療超音波パワーを照射するようにする。さらに、治療領域に辺縁よりも外側のマージン領域には、辺縁部領域よりも低い治療超音波パワーを照射するようにする。これにより、治療超音波パワーの調整に係る術者の負担を軽減して、実用的で使い勝手に優れた超音波治療装置を提供できる。また、マージン領域の正常組織が受けるダメージ等の副作用を軽減できる。
【0012】
なお、治療領域の分割は、腫瘍等の病変部の種類と大きさを考慮して行い、分割領域ごとに照射する治療超音波パワーの基準は、ユーザである術者が予め設定する。さらに、本発明によれば、治療領域の辺縁部を除く中心側の分割領域には十分に高い治療超音波パワーを照射することができるから、比較的短い時間で必要な治療を行うことができ、患者の負担を軽減することができる。
【0013】
具体的には、本発明の超音波治療装置は、医用画像装置により撮像された患者の治療部位を含む画像(二次元又は三次元の画像)が表示されるモニタと、前記患者の治療部位に治療超音波を照射する治療超音波プローブと、前記モニタに描出された前記治療部位を含む画像に設定される治療領域を辺縁から中心に向かって複数の分割領域に分ける治療領域分割部と、前記分割領域ごとに照射する治療超音波パワーを治療領域の辺縁からの距離に応じて調整する治療超音波パワー設定部と、前記分割領域ごとに前記治療超音波パワー設定部で調整された前記治療超音波パワーに基づいて前記治療超音波プローブから照射される前記治療超音波パワーを制御する治療超音波パワー制御部とを備えて構成することができる。
【0014】
また、本発明の超音波治療装置は、分割領域ごとに設定された治療超音波パワーの1回の照射で治療可能な三次元のボリュームに基づいて、三次元の分割領域ごとの1又は複数の照射位置を含む治療計画を策定する。そして、治療計画の照射位置に治療超音波を照射する治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置(照射位置)を示す誘導画像情報をモニタに表示する。この場合、誘導画像情報は、前記治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を示す矢印と数値の少なくとも一方の画像情報を用いることができる。さらに、位置検出器により検出される治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を示す模擬画像をモニタの治療部位を含む画像に重ねて表示する。
【0015】
これにより、例えば、術者はモニタに表示される模擬画像の治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を見ながら、誘導画像情報に合わせるように治療超音波プローブを移動操作することにより、治療計画に従った照射位置に容易に治療超音波プローブの超音波集束位置を合わせることができるので、極めて、使い勝手の良い超音波治療装置を提供することができる。なお、治療超音波プローブの移動操作は、術者による用手法に代えて、治療超音波プローブを直交3軸及び各軸周りに移動可能なマニピュレータを備えたロボットにより自動で移動操作させることができる。これによれば、治療超音波プローブの移動操作の習熟度を高めなくても、照射位置を精度よく制御することができる。
【0016】
さらに、本発明の治療領域の分割領域には、前記治療領域の辺縁の外側に隣接する領域に予め設定されたマージン領域を含ませることができ、この場合、前記治療超音波パワー設定部は、前記マージン領域に照射する前記治療超音波パワーを前記辺縁部領域に照射する前記治療超音波パワーよりも低く設定することが好ましい。
【0017】
さらに、誘導画像情報には、治療超音波プローブの位置及び向きを示す治療経路画像(矢印)を表示させ、あるいは数値情報を表示させることができる。また、治療済みの照射位置をメモリに記録することができる。数値情報には、治療超音波プローブの位置及び向き、照射位置までの距離、等を数値により表示する。
【0018】
また、本発明の超音波治療装置には、医用画像装置としての磁気共鳴撮像装置(MRI装置)、X線CT装置、超音波画像装置、その他の医用画像装置を備えて構成することができる。また、MRI装置又はX線CT装置の撮像空間に位置された患者の超音波断層画像を撮像する超音波画像装置を備えて構成することができる。例えば、MRI装置の場合は、三次元のボリューム画像データ(例えば、T1強調画像、T2強調画像)を取得して治療領域を含む二次元及び/又は三次元画像を再構成するMR画像再構成部と、該MR画像再構成部により再構成された前記二次元及び/又は三次元画像を前記モニタに表示させる表示制御部とを備えて構成する。X線CT装置又は超音波装置の場合も、MRI装置と同様に構成することができる。
【0019】
また、治療前後のボリューム画像データから残治療領域の情報を得て、残治療領域を治療するための治療超音波プローブの位置及び向き、照射位置を求めて、モニタ等に表示して術者に提示する再治療フィードバック機能を設けることができる。これにより、治療進展の制御と治療経過情報を三次元的に分析して残治療領域を特定し、追加治療の有無情報を提示することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、治療領域の位置に応じて治療超音波パワーを自動的に調整可能にできるから、術者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の超音波治療装置の一実施形態の全体構成図である。
【図2】図1の実施形態の超音波装置の全体構成図である。
【図3】図1の実施形態の特徴部であるHIFUコントローラの詳細構成図である。
【図4】HIFU法を説明する図である。
【図5】治療超音波プローブの誘導画像情報を説明する図である。
【図6】治療領域を複数の分割領域に分割する手順の一例を説明する図である。
【図7】血管の治療領域を複数の分割領域に分割する方法の一例を説明する図である。
【図8】図7の分割法を実施した後に各分割領域の境界をスムージング処理する方法の一例を説明する図である。
【図9】治療領域の中心からの距離に応じて分割領域の治療超音波パワーを設定する方法を説明する図である。
【図10】図1の超音波治療装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図1の実施形態の超音波治療装置における超音波断層画像及びMR断層画像の一例を示す図である。
【図12】図1の実施形態の超音波治療装置における手術前のグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)の表示例を示す図である。
【図13】図1の実施形態の超音波治療装置における手術中のグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)の表示例を示す図である。
【図14】図1の実施形態の超音波治療装置における手術後のグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態の超音波治療装置を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態の超音波治療装置は、超音波装置1と、MRI装置2と、術者用モニタ3と、位置検出システム4を備えて構成される。超音波装置1には、超音波断層画像を撮像する機能と超音波治療の機能とが組み込まれている。また、超音波装置1は、超音波装置本体11と、超音波モニタ12と、超音波プローブ13、及び超音波プローブ13の位置検出器を構成するポインタ14を備えて構成されている。超音波プローブ13は、超音波断層画像を撮像するための超音波を送受する超音波探触子13aと、治療超音波を照射する治療超音波プローブ13bとを一体に組み込んで形成されている。
【0023】
MRI装置2は、例えば、垂直磁場方式永久磁石MRI装置であり、垂直な静磁場を発生させる上部磁石21と下部磁石22、これら磁石を連結するとともに上部磁石21を支持する支柱23、ベッド24、コンピュータ25、MR制御部26、映像記録装置27を含んで構成されている。また、MRI装置2は、領斜磁場をパルス的に発生させる図示しない傾斜磁場発生部と、ベッド24に横臥された静磁場中の患者50に磁気共鳴を生じさせるための図示しないRF送信器と、患者50からの磁気共鳴信号を受信する図示しないRF受信器を備えている。
【0024】
コンピュータ25には、赤外線カメラ41が検出して算出したポインタ14の位置及び向きの検出情報が、超音波プローブ13の位置及び向きの位置データとして、ケーブル28を介して入力される。コンピュータ25は、入力されるポインタ14の位置及び向きの検出情報に基づいて、MRI装置2のMR画像の位置データに変換し、MR制御部26へ送信するようになっている。MR画像の位置データは、撮像シーケンスの撮像断面へ反映され、新たな撮像断面で取得されたMR画像は術者モニタ3に表示されるようになっている。また、MR画像は映像記録装置27に同時に記録される。ちなみに、ポインタ14は、断層面指示デバイスとして機能するから、穿刺針などにポインタ14を取り付け、穿刺針のある位置及び向きを常に撮像断面とするように構成することができる。この場合、モニタ3には針を常に含む断面が表示されることになる。MR制御部26は、ワークステーションで構成されてコンピュータ25に接続され、MRI装置2の図示しないRF送信器、RF受信器などを制御するようになっている。
【0025】
また、映像記録装置27には、手術前に取得された患者50の治療部位に係る病変部を含むボリューム画像データが格納されている。つまり、例えば、患者50の体軸に直交するスライス断像画像を体軸方向にずらして複数枚取得したボリューム画像データが格納されている。本実施形態の場合は、MRI装置2で取得したボリューム画像データが格納されているが、本発明はこれに限られず、X線CT又は超音波装置1により取得したボリューム画像データでよいことは言うまでもない。また、映像記録装置27に格納されたボリューム画像データには、位置検出システム4の基準ツール42の座標系に変換された座標データ又は変換可能な座標データが付されている。そして、コンピュータ25は、ボリューム画像データに基づいて、周知のボリュームレンダーリング法によりボリュームレンダリング画像(以下、三次元画像という。)を生成して、術者用モニタ3に表示するように構成されている。
【0026】
術者用モニタ3は、図示例では、2つの表示画面3a、3bを備えてなり、モニタ支持部31を介して回転自在にMRI装置2の上部磁石21に支持されており、表示画面の位置及び姿勢を自由に調整できるようになっている。位置検出システム4は、2台の赤外線カメラ41と、赤外線を発光する図示しない発光ダイオードと、基準ツール42を含んで構成されている。また、位置検出システム4は、支持アーム43を介して姿勢を自由に変えられるように回転自在にMRI装置2の上部磁石21に支持されている。基準ツール42は、3つの反射球44を備え、上部磁石21の側面に設けられている。これにより、位置検出システム4は断層面指示デバイスであるポインタ14の位置及び姿勢(向き)を検出し、赤外線カメラ41の座標系とMRI装置2の座標系をリンクさせるようになっている。
【0027】
超音波装置1の超音波装置本体11は、MRI装置2を制御するコンピュータ25と接続されている。ポインタ14が取り付けられた超音波プローブ13の超音波探触子13aで得られる超音波断層画像を専用の超音波モニタ12に映し出すだけでなく、コンピュータ25に転送し、画像処理が行われて術者用モニタ3に映し出すことが可能になっている。つまり、術者が把持する超音波探触子13aにより撮像される患者50の断層画像を超音波モニタ12に表示する。なお、断層画像の断層位置は、超音波探触子13aに取り付けられたポインタ14により指示することができ、ポインタ14により検出された位置及び傾きの断層画像が術者モニタ3表示される。また、超音波プローブ13はMRI装置2の磁場内でも作動可能なセラミックなどの非磁性体で形成されている。
【0028】
ここで、図2を参照して、超音波装置1の詳細構成を説明する。超音波装置本体11は、本実施形態の特徴部であるHIFUコントローラ110と、超音波送受信部111と、超音波画像構成部112と、超音波制御部113と、ユーザとのインターフェイスであるコントロールパネル114とを備えて構成されている。超音波送受信部111は、超音波プローブ13の超音波探触子13aに接続され、超音波探触子13aで受信された反射エコー信号は超音波画像構成部112に入力されるようになっている。超音波制御部113は、超音波送受信部111と超音波画像構成部112と、HIFUコントローラ110を制御するようになっている。コントロールパネル114は、超音波制御部113に指示を与えるようになっている。
【0029】
このように構成されることから、超音波装置本体11は、超音波探触子13aから患者50内に超音波を送受信し得られた反射エコー信号を用い、診断部位について二次元又は三次元の超音波画像を生成して超音波モニタ12あるいは術者用モニタ3に表示できるようになっている。また、HIFUコントローラ110から治療超音波プローブ13bを介して患者50に治療超音波を照射し、照射した部位の病変部を温熱により変性させて治療を行うことができるようになっている。
【0030】
なお、本実施形態では、超音波断層画像を撮像するための超音波探触子13aと、治療超音波を照射する治療超音波プローブ13bとを別々に設けた例を説明したが、本発明はこれに限らず、同一の振動子を超音波断層画像の撮像用と、治療超音波の照射用に使い分けることもできる。この場合、HIFUコントローラ110は、撮像用として動作させる場合は患者50に照射する超音波パワーを弱め、治療超音波用として動作させる場合は患者50に照射する超音波パワーを強めるように、超音波駆動信号をパルス波又は連続波に切替えるとともに、超音波駆動信号の振幅を制御する。また、本実施形態では、超音波画像装置と超音波治療装置とを1つの超音波装置として構成したが、これらを別々に分けて構成することができる。
【0031】
図3に、HIFUコントローラ110の詳細構成図を示す。HIFUコントローラ110は、コンピュータをプログラムで作動させて機能を発揮する治療領域設定部111と、治療領域分割部112と、治療超音波パワー設定部113と、治療計画策定部114と、治療超音波パワー制御部115と、治療超音波プローブ誘導部116とを備えて構成される。また、HIFUコントローラ110は、HIFU電源部117とHIFUメモリ118と、各部間の信号伝送を行うバス119を備えて構成されている。バス119には、超音波制御部17とMRI装置2のコンピュータ25とが通信可能に接続されている。HIFU電源部117は、図示していないが、患者50内に治療超音波を照射する治療超音波信号の発生部を備え、治療超音波プローブ13bに接続されている。このように構成されるHIFUコントローラ110は、超音波制御部17からの制御指令に応じて動作されるようになっている。
【0032】
ここで、図4を参照して、HIFUコントローラ110による治療手順の概要を説明する。図4(a)に示すように、治療超音波プローブ13bから照射される集束超音波131は、予め設定された1点の超音波集束位置であるターゲット132に集束するようになっている。図4(b)に示すように、集束超音波131の1回の照射により温熱変性される三次元領域は、照射深度方向に直交する直径Φが5〜10mmの領域である。なお、実際に温熱変性される三次元領域は、球形ではなく、断面が円形で照射深度方向に長さを有するラグビーボール状の領域である。したがって、集束超音波131による治療を行う際は、図4(c)に示すように、治療超音波の照射位置であるターゲット132の位置を二次元及び三次元に順次移動させて、三次元の治療領域133及び後述するマージン領域の全域に集束超音波131を照射する。ここで、周知のARFI(Acoustic Radiation Force Impulse)による焦点可視化を行うことができる(非特許文献2参照)。ARFIによれば、理想的な焼灼領域に対して、生体組織内の実際の影響領域を算出することができるから、三次元計測を行うことで立体的な治療予定領域を算出できる。
【0033】
【非特許文献2】Palmeri ML, Wang MH, Dahl JJ, Frinkley KD, et al. Quantifyinghepatic shear modulus in vivo using acoustic radiation force.Ultrasound inMedicine & Biology 2008;34:546-58.
【0034】
次に、図5を参照して、HIFUコントローラ110による超音波治療について、図3の各部の処理動作に分けて説明する。まず、術者が超音波プローブ13を患者の治療を行う例えば頭部の外皮に当てる。これにより、超音波探触子13aにより超音波断層像が撮像されると、コンピュータ25はその超音波断層像に対応するMR画像を、映像記憶装置27に記憶されているボリューム画像データから切り出して、図5に示すように、アキシャル(Axial)画像、サジタル(Sagittal)画像、コロナル(Coronal)画像の直交3断面画像を含むナビゲーション画像130が術者用モニタ3には表示される。また、術者用モニタ3には、ナビゲーション画像130の一つとしてボリュームレンダリングにより作成した三次元画像を表示させることができる。
【0035】
治療領域設定部111は、術者用モニタ3に表示される治療部位を含むナビゲーション画像130に基づいて、自動又は用手法により治療領域133の外縁に、輪郭線を描画させて設定する。また、同様にして、術者は、ナビゲーション画像130に警告領域134の輪郭線を描画させて設定する。なお、ナビゲーション画像130上には、後述する治療超音波プローブ誘導部116の機能により、治療超音波プローブ13bの位置及び向きを示す模擬画像135が重畳表示される。また、ナビゲーション画像130上の模擬画像135には、治療超音波プローブ13bの照射位置であるターゲット132が含まれている。
【0036】
治療領域分割部112は、術者モニタ3に描出される治療部位を含む画像に設定される治療領域を、辺縁から中心に向かう複数の分割領域に分けるとともに、治療領域の辺縁の外側に隣接するマージン領域を設定するようになっている。
【0037】
図6を参照して、治療領域を複数の分割領域に分割する一実施形態の方法を説明する。例えば、腹部501をMRI装置で撮像したMR画像に基づいて、治療領域設定部111により自動又は用手法で治療領域502が輪郭線で設定されているものとする。図6の例では、治療領域502を中心部領域503と辺縁部領域504の2つに分割し、さらに辺縁部領域504に隣接するマージン領域505に分割して設定する。この設定は、ユーザが設定した治療領域502に基づいて自動設定するか、コントロールパネル18から用手法によりにより設定する。図において中心部領域503、辺縁部領域504、マージン領域505の円形で示した1つの領域の大きさは、例えば30〜40mmに設定することができるが、1回の超音波照射で変性可能な直径5〜10mmを基準に分割することもできる。これによれば、分割領域を一層きめ細かく分けることになり、これに応じて精度の高い治療効果を得ることができる。
【0038】
すなわち、図6の実施形態では、治療領域分割部は、術者モニタに描出された直交3軸断面画像に設定された治療領域の輪郭線を治療領域の辺縁として、輪郭縁の内側領域を予め設定された径の基準円で埋め、輪郭縁に接する基準円で埋められる領域を辺縁部の分割領域とし、辺縁部の分割領域よりも内側の領域を中心部の分割領域として分割している。また、治療領域の輪郭線の外側に接する基準円で埋められる領域をマージン領域として分割するしている。そして、治療超音波パワー設定部は、基準円を1回の治療超音波の照射位置として各分割領域に応じた治療超音波パワーを調整するようにすることができる。
【0039】
ここで、図7と図8を参照して、治療領域の分割法の他の実施形態について説明する。本実施形態は、血管を利用して複数の分割領域に分ける例である。図6と同じように、治療領域設定部111は、腹部601をMRI装置で撮像して得られる画像に基づいて、治療領域602内の血管603を特定する。そして、治療領域分割部112は、例えば、治療領域602を血管領域605、辺縁部領域606、マージン領域607、608に分割して設定する。さらに、内部でスムージング処理を行い、血管領域706、辺縁部領域707、マージン領域708を再設定する。
【0040】
治療超音波パワー設定部113は、図8に示すように、分割領域のそれぞれに対して、治療領域の辺縁からの距離に応じて治療超音波パワーを設定する。図8の例では、辺縁部領域707を中強度領域とし、血管領域706を治療超音波パワーの高強度領域とし、マージン領域708を弱強度領域として設定する。そして、設定した治療超音波パワーの強度に応じて、各分割領域の表示形態(例えば、色相、点滅、表示マーク、など)を異ならせて、術者が容易に違いを視認できるようにすることができる。さらに、ターゲット132が分割領域のいずれかに入ったときに、その領域に設定された治療超音波パワーの強度に応じて表示形態を変えることができる。治療超音波パワー設定部113は、分割領域ごとに照射する治療超音波パワーを治療領域の辺縁からの距離に応じて増大し、マージン領域には辺縁からの距離に応じて低減して設定するようになっている。
【0041】
すなわち、図7、図8の実施の形態によれば、治療領域分割部は、術者モニタに描出された直交3軸断面画像の血管壁の内側の血管領域と、血管壁の外側に接する予め設定された径の基準円により埋められる辺縁部領域とからなる分割領域に分割する。また、治療領域分割部は、辺縁部領域の外側に接する基準円により埋められる領域をマージン領域として分割する。そして、治療超音波パワー設定部は、基準円を1回の治療超音波の照射位置として各分割領域に応じた治療超音波パワーを調整するようにすることができる。
【0042】
図9に、3つの分割領域に分けた弱強度領域1201、中強度領域1202、高強度領域1203の治療超音波パワーの設定例を示す。図9(a)は、マージン領域である弱強度領域1201の外縁から辺縁(中強度領域1202の外縁)までの距離に応じて治療超音波パワーを増加させて設定する例である。同図(b)は、辺縁(中強度領域1202の外縁)から中心部領域(高強度領域1203)の外縁までの距離に応じて治療超音波パワーを変化させて設定した例である。同図(c)は、中心部領域(高強度領域1203)の外縁から治療領域の中心までの距離に応じて治療超音波パワーを変化させて設定した例である。図からわかるように、各強度領域の境界では治療超音波パワーが同じ値に設定されている。各分割領域の治療超音波パワーの中心からの強度パターンは、ユーザが予め設定しておくものである。しかし、治療中においても治療超音波パワーの中心からの強度パターンは変更可能である。
【0043】
治療計画策定部114は、治療超音波パワー設定部113により設定された分割領域ごとに、治療超音波パワーの1回の照射で治療可能なボリュームに基づいて、分割領域ごとの1又は複数の照射位置を含む治療計画を策定するようになっている。治療計画は、治療超音波の照射方向(経路)、照射位置までの距離を含んで策定される。
【0044】
治療超音波パワー制御部115は、治療領域分割部112により分割された分割領域ごとに治療超音波プローブ13bから照射する治療超音波パワーを、治療超音波パワー設定部113の設定に従って制御するようになっている。
【0045】
治療超音波プローブ誘導部116は、治療計画策定部114により策定された治療計画に従って、照射位置に治療超音波を照射する治療超音波プローブ13bの位置、向き及び超音波集束位置を示した誘導画像情報を含むナビゲーション画像130を作成して、図5に示したように、術者モニタ3に表示するようになっている。また、ポインタ14により検出される治療超音波プローブ13bの位置、向き及び超音波集束位置を示す模擬画像を作成して、術者モニタ3の治療部位を含む画像に重ねて表示するようになっている。すなわち、治療超音波プローブ誘導部116は、例えば、ベッド24上に固定された患者50の病変部に治療超音波プローブ13bを用いて治療超音波を照射して治療を行う。治療超音波プローブ13bの位置及び向きは、コンピュータ25により、位置検出システム4に取り付けられた2つの赤外線カメラ41にて検出されたポインタ14の位置及び向きに基づいて検出されて、治療超音波プローブ誘導部116に伝送される。また、ポインタ14は超音波プローブ13に取り付けられているから、超音波断層画像の位置及び向きを検出することになる。コンピュータ25は、位置検出システム4から入力される超音波断層画像に対応したMR断層画像をボリューム画像データから切り出して術者用モニタ3に表示する。また、同位置の三次元画像を再構成して術者用モニタ3に表示する。また、治療超音波プローブ誘導部116は、ナビゲーション画像130上のターゲット132が警告領域134内に入った場合、治療超音波パワーを自動的に低減したり、警告を発する機能を有している。警告は、ターゲット132又は警告領域134の表示形態(色又は点滅)を変えたり、警告音等により行うことができる。
【0046】
次に、図10のフローチャートを参照して、本実施形態の超音波治療装置を用いた治療手順について説明する。
(S101)
MRI装置2を用いて治療対象である病変部を含む二次元のMR断層像を患者50の体軸方向にずらして複数枚撮像してボリューム画像データを取得して映像記録装置27に格納する。また、三次元画像を再構成して映像記録装置27に格納する。この処理は、MRI装置2のコンピュータ25により実行されるが、以下のS102〜S115の処理は、コンピュータ25とHIFUコントローラ110の協働により実施される。
(S102)
コンピュータ25は、HIFUコントローラ110から伝送されるポインタ14の位置及び向きの検出信号に基づいて、超音波探触子13aにより撮像される超音波断層画像の位置及び向きを求め、映像記録装置27に格納された三次元ボリューム画像データから超音波断層画像に対応するMR断層像を再構成して術者モニタ3に描出させる。つまり、超音波探触子13aを移動操作して治療領域を含む直交3断面画像と三次元画像を含むナビゲーション画像130を術者モニタ3に描出させる。そして、治療領域設定部111は、ナビゲーション画像130に基づいて、画像処理により自動的に、又は超音波装置1のコントロールパネル18から入力される指定に従って治療領域133を設定する。設定された治療領域は三次元の座標データとしてHIFUメモリ118に格納される。次いで、治療領域分割部112は、設定された治療領域133を中心からの距離に応じて複数の分割領域に分ける。分割領域は3次元の座標データとして分割領域ごとにHIFUメモリ118に格納される。
(S103)
さらに、治療領域分割部112は、治療領域133の辺縁部領域の外側に隣接するマージン領域を設定して、三次元の座標データとしてHIFUメモリ118に格納する。
(S104)
治療超音波パワー設定部113は、分割領域ごとの治療超音波パワー、及びマージン領域の治療超音波パワーを設定するとともに、必要に応じて治療超音波パワーに関する治療パラメータを設定する。治療超音波パワー設定部113は、照射位置ごとに設定された治療超音波パワーを分割領域及びマージン領域に対応付けてHIFUメモリ118に格納する。
(S105)
治療計画策定部114により、治療計画を策定する。すなわち、三次元の分割領域ごと及びマージン領域の1又は複数の照射位置を含む治療計画を策定する。さらに、治療計画の照射位置に治療超音波を照射する治療超音波プローブ13bの位置、向き及びターゲット132を各照射位置について求める。策定した治療計画は、照射位置ごとに治療超音波を照射する治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置をHIFUメモリ118に格納する。
(S106)
ここで、患者50の生体情報(例:血圧・心拍数・発汗・体温等の異常上昇や意識の喪失)をモニタリングする装置を必要に応じて装着する。
(S107)
治療超音波プローブ誘導部116は、ナビゲーション等の手術支援誘導機能を起動する。
(S108)
S107までが超音波治療前(手術前)の準備段階であり、S108で超音波治療の手術を開始する。
【0047】
(S109)
手術は、治療超音波プローブ誘導部116によって実施される。治療超音波プローブ誘導部116は、治療超音波プローブ13bの位置及び向きの変化に追従して、ナビゲーション画像130上に治療超音波プローブ13b及び照射位置であるターゲット132の模擬画像135を、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)である術者モニタ3に重畳表示する。
【0048】
(S110)
また、治療超音波プローブ誘導部116は、HIFUメモリ118から治療計画を読み出し、照射位置ごとに治療超音波を照射する治療超音波プローブ13bの位置、向き及び照射位置を示す誘導画像情報を術者モニタ3に重畳表示する。誘導画像情報は、治療超音波プローブ13bの位置、向き及び照射位置を示す矢印(図13の符号1038)と数値情報の少なくとも一方の画像情報を用いることができる。例えば、術者は術者モニタ3に表示される模擬画像135の治療超音波プローブ13bとターゲット132を見ながら、誘導画像情報である矢印(図13の符号1038)に合わせるように、治療超音波プローブ13bを移動操作する。これにより、治療計画に従った照射位置(図13の符号1015)に容易に治療超音波プローブ13bのターゲット132を位置合わせすることができるので、極めて、使い勝手を良くすることができる。
(S111)
治療超音波プローブ13bの誘導の結果は、ナビゲーション画像130にて模擬画像135のターゲット132の位置と治療計画の照射位置(図13の符号1015)との一致を確認して、治療超音波による治療の準備を行う。つまり、HIFUコントローラ110により、ターゲット132の位置を今回の照射位置として特定して、治療領域内のどの領域が治療されるのかを判別する。
(S112)
治療超音波パワー制御部115は、今回の照射位置に対応する治療超音波パワーを、治療超音波パワー設定部のHIFUメモリ118から読み出して制御する。
(S113)
治療超音波パワー制御部115は、治療超音波プローブ13bに供給する治療超音波の振幅、照射時間、照射パターンなどの治療パラメータを制御して、治療超音波パワー設定部113により設定された治療超音波パワーが治療超音波プローブ13bから照射位置に出力されるように制御する。照射パターンとは、治療超音波パワーの照射シーケンスの時間的変化パターンのことである。つまり、トリガードパルスと称される瞬間的に高パワーの超音波を照射し、照射位置の生体組織内に泡を発生させた後、弱い超音波パワーを照射することによりキャビテーション作用を起こさせて病変部を変性させる周知の方法を実施する際の照射パターンである。治療時の治療領域の変性は、術者モニタ3に表示されるMR画像によりモニタリングするようになっている。
(S114)
MRI装置2のコンピュータ25は、超音波治療による治療効果確認を行う。
(S115)
そして、残治療領域があるかどうか判断する。具体的には、治療前に造影剤を用いて撮像したMR画像と治療後のMR画像とを取得し、それらの画像の差分画像を求めて術者モニタ3に表示することにより、治療済領域と残治療領域の可視化が可能となるので、治療効果判定を行うことができる。そして、残治療領域が存在する場合には、S109に戻って、超音波治療の追加処理を繰り返す。
【0049】
ここで、図11に、超音波装置1とMRI装置2とで交互に撮像したときの断層画像の一例を示す。患者50に対して術者が超音波探触子13aを当てて治療部位を含む超音波断層画像136を撮像すると、超音波断層画像136が超音波モニタ12と術者モニタ3に表示される。つまり、コンピュータ25が超音波断層画像136に対応するMR断層画像をボリューム画像データから切り出し、前述したように術者用モニタ3にMR断層画像137を表示する。ここで、治療部位に応じて術者が超音波探触子13aを移動させると、これに追従して超音波断層画像136及びMR断層画像137が追従して超音波モニタ12及び術者用モニタ3の表示画像が変わる。
【0050】
このようにして、図11に示すように、超音波探触子13aによる超音波断層画像136と、と同一位置のMR断層画像137を得ることが可能になり、それぞれ交互に撮像を行って画像情報を取得することが可能となる。MRI装置2の高速撮像シーケンスの応用のひとつとして、フルオロスコピー(透視撮像)と呼ばれるリアルタイム動態画像化法が臨床応用されつつある。フルオロスコピーでは、1秒以下程度の周期で撮像と画像再構成を繰り返すことにより、あたかもX線透視撮像のように体内組織の動態抽出や体内に外部から挿入した器具の位置把握に用いることができる動態画像を生成・表示することができる。この応用は三次元高速撮像にも応用されている。
【0051】
以下に、図12〜図14を参照して、超音波治療による手術前、手術中及び手術後のグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)の実施形態の一例について説明する。図12は、手術前のシミュレーション時における術者モニタ3(3a、3b)に表示されるGUI画面900の一例である。GUI画面900は、ナビゲーション画像900aと、治療計画情報画面900bと、各種の操作ボタン画面を含んでいる。
【0052】
GUI画面900のMRI装置2の3D撮像ボタン901を押下すると、コンピュータ25が作動して、ポインタ14が指示する超音波断層画画像に対応するMR画像のAxial断面画像910、Sagittal断面画像911、Coronal断面画像912、三次元画像913が再構成されてナビゲーション画像900aに表示される。また、GUI画面900の治療領域描出ボタン902を押下すると、HIFUコントローラ110の治療領域設定部111と治療領域分割部112が動作する。治療領域設定部111は、コントロールパネル18のマウス等のツールから入力される指令に従って又は自動的に治療領域を設定する。これにより、治療計画情報画面900bに治療領域921が表示される。次いで、治療領域分割部112が作動し、設定された治療領域921を複数の分割領域に分割(セグメンテーション)し、治療計画情報画面900bに、治療領域921を2分割した分割領域922、923及びマージン領域924が表示される。ここで、分割領域922は中心部分割領域であり、分割領域923は辺縁部分割領域である。各分割領域922、923及びマージン領域の境界は、それぞれ輪郭線により表示される。また、この場合、図8で説明したように、各分割領域922、923及びマージン領域を色分け表示などにより、表示形態を異ならせて表示するようにすることができる。
【0053】
また、治療計画情報画面900bには、治療情報として、例えば、腫瘍領域と治療領域の差(全軸方向の距離)、治療経過時間及び残治療時間、病変・治療領域の直径/半径、治療インターバルタイム、アラーム他の治療情報が表示される。さらに、実際の手術時には手術の経過を表示することができ、治療計画情報画面900bに治療経過・生体情報の他に、ログ情報として腫瘍領域と治療領域の差も情報としてリアルタイム表示することができる。
【0054】
治療超音波パワー入力ボタン903を押下することで、治療領域921に係る各領域922、923、924に対する治療超音波パワーを入力設定することができる。
【0055】
また、HIFU治療計画(プローブ位置計算)ボタン904を押下すると、治療計画策定部114が動作して、前述したように治療計画が策定される。策定された治療計画は、治療計画情報画面900bに表示されるようになっている。また、治療計画情報画面900bの内容は、別視点/角度から種々の情報を閲覧することもできる。治療直前には、HIFU治療計画ボタン904を押下すると、治療超音波プローブ誘導部116が作動して、ターゲット132と治療超音波プローブ13bの模擬画像135と、照射経路136がGUI画面900のナビゲーション画像900aに描出される。なお、治療超音波パワーに応じて模擬画像135の治療超音波プローブ13bの位置及び向き、さらに照射経路136の補正が行われ、結果がナビゲーション画像900a上に表示されるとともに、その結果はHIFUメモリ118に記録される。すなわち、治療超音波パワーに応じて照射経路136が屈折等することから、これに合わせて補正するためである。
【0056】
さらに、GUI画面900の操作ボタン画面領域の禁忌情報ボタン905を押下して、例えば、不整脈、人工心臓等の患者固有情報を入力し後、手術開始ボタン906を押下することで、手術(治療)開始となる。これにより、治療に必要な治療超音波プローブ13b等の機器、治療超音波パワー制御部115、及び、治療超音波プローブ誘導部116等の手術支援機能が連動して動作するようになっている。
【0057】
図13は、手術中のGUI画面1000の一例であり、左側が超音波画像による治療状態画像1000aであり、右側がMR画像によるナビゲーション画像1000bである。手術中の操作ボタン画面には、ISCボタン1001、生体情報ボタン1002、ナビゲーションボタン1003、ARFI(治療予定領域)1004、領域(範囲)情報ボタン1005、警告情報ボタン1006、治療開始ボタン1007、画像情報ボタン1008、ログボタン1009、評価・解析ボタン1010が設けられている。治療は、生体情報ボタン1002とナビゲーションボタン1003を押下して、画像誘導により行われる。生体情報ボタン1002を押下すると、治療状態画像1000aの生体情報画像1025に、患者情報や手術情報の詳細情報が表示される。治療は、策定された治療計画に従って行われるが、必要に応じて策定された矢印で示される計画照射経路の誘導画像情報1038を補正しながら行う。
【0058】
治療状態画像1000aは、治療前画像1011、治療中(リアルタイム)画像1013、治療後(リアルタイム)画像1017がそれぞれ表示される。なお、図示していないが、治療超音波の照射位置の深度や周波数等の各種の治療パラメータが分かるようになっている。また、治療前画像1011は治療予定領域1012が、治療中画像1013は超音波照射経路1014と照射位置1015と治療の影響波及領域1016とが、治療後画像1017は治療済み領域1018、1019が分かるようになっている。治療予定領域1012は、予め算出したマージン領域を含めて表示されている。
【0059】
なお、治療直前にARFIボタン1004を押下することにより、治療計画に従って超音波照射幅1014、予定の照射位置1015が事前に描出される。また、予定の照射位置1015の周辺組織へ影響を与える可能性がある影響波及領域1016を表示させることができる。これは、生体に間接的に影響する範囲を描写するものであり、影響波及領域1016が正常組織に極力かからないように注意喚起するものである。また、領域情報ボタン1005を押下して、治療後画像1017に各種の警告情報を表示することもできる。例えば、過去に治療した治療済み領域1018を重畳表示し、治療予定領域1012を越えている場合、あるいは患者に異常が生じた場合には、警告を発する機能を有する領域情報ボタン1005を自動的にオン/オフする機能も有している。
【0060】
一方、ナビゲーション画像1000bには、MRI画像の直交3軸断面画像1031〜1033が表示されている。これらの直交3軸断面画像1031〜1033には、治療超音波プローブ13bの位置を示す模擬画像135を重畳表示することができるようになっている。さらに、治療超音波プローブ13bに応じたターゲット132を表示することができるようになっている。GUI画面1000は、治療状態画像1000aとナビゲーション画像1000bを変更することもできる。マージン領域を含む治療領域1012及びターゲット132とその影響波及領域1016も直交3軸断面画像1031〜1033に重畳表示することができ、実空間の模擬画像135と治療計画に従った照射位置及び照射経路を示す誘導画像情報1038を用いて手術を実施することなる。治療超音波パワーは治療超音波パワー入力ボタン903を押し下げて適宜変更することができる。また、誘導画像情報1038は、治療計画に従った各分割領域又は各照射位置を数値情報により一覧表示することも可能である。治療開始ボタン1007に連動して、画像情報ボタン1008、ログボタン1009、治療の評価・解析ボタン1010をオンさせることができる。勿論、これらの操作ボタンは必要に応じて手動でオン/オフすることもできる。
【0061】
画像情報ボタン1008と評価・解析ボタン1010をオン(押下)すると、治療前と治療中の治療済み情報及び治療前後の差分画像を表示させることができる。これにより、治療経過及び残治療の有無が画像情報として表示される。また、ログボタン1009をオンすると、過去に行った治療経過のログ情報を表示させることができ、これにより治療経過内容を見直すことができる。
【0062】
その他、直交3軸断面画像1031〜1033上には、治療経過画像が表示されており、ナビゲーション画像130上における治療領域1012等に対して、治療済み領域及び残治療領域が重畳表示されているほか、直前(最近)の治療領域が重畳表示される。治療計画情報画面920の付加機能として、残治療領域に対する治療の経路を算出する機能もあり、残治療領域への照射経路に係る誘導画像情報1038を自動的に算出することもできる。また、MRI装置の撮像空間内で治療を行う場合には、ISCボタン1001を押下することで超音波断層画像と同一断面におけるMR断層画像を撮像することができ、別画面に表示することもできる。MR画像上には治療領域、マージン領域、ARFIによる治療予定領域(照射領域)が同じように表示され、組織コントラストの異なる画像が表示される。また、MR断層画像の長所としては、患者の体の深部まで画像化できることが挙げられる。これより、術者は直前の治療状態画像1000aを目視して治療超音波プローブ13bの移動を行い、かつ追加治療を行うことができる。治療前後の情報は、超音波画像1011、1017、直交3軸断面画像1031〜1033及び三次元画像1034を表示できる。また、これらの画像の他に、手術情報1025を表示することもできる。
【0063】
図14は、手術後のGUI画面1100の一例であり、左側がMR画像によるナビゲーション画像1100aであり、右側がMR画像による治療評価・解析画像1100bである。手術中の操作ボタン画面のMRIの3D撮像ボタン1101を押下することで、MR画像によるAxial断面画像1111、Sagittal断面画像1112、Coronal断面画像1113、三次元画像1114が再構成されて表示される。また、造影剤ボタン1102を押下することで、ナビゲーション画像1100aと治療評価・解析画像1100bが造影MR画像により、予め算出した治療領域1012と実際に治療した治療済み領域1015がそれぞれ表示される。治療評価・解析画像1100bには、拡大されたMRI造影前画像1121、拡大されたMRI造影後画像1123、差分画像1127、患者情報・手術情報画像1129が表示される。三次元画像1114は、周知のように、任意に回転表示させることが可能なだけでなく、周辺組織の消去(又は透明化)をすることで見やすくすることができる。また、患者情報ボタン1103を押下することで、治療前後の患者情報を表示することができる。
【0064】
一方、手術情報ボタン1104を押下することで、過去の治療回数、時間、割合、残治療回数予定等のログ情報を表示させることができる。MRI造影前画像1121は照射領域1122が高信号で描出され、MRI造影後画像1123から治療領域1012とHIFUによる照射位置1015がそれぞれ描出される。
【0065】
また、差分(残治療領域描出)ボタン1105を押下することで、治療領域1012と照射位置1015の差分領域1128が算出され、差分画像1127が表示される。術者は差分画像1127と手術情報画像1129から再治療を行うかどうか判断し、必要と判断した場合には再治療計画ボタン1106を押下する。そのときには、Axial断面画像1111、Sagittal断面画像1112、Coronal断面画像1113、三次元画像1114上に、差分領域1128が治療領域1012の代わりに追加治療領域として表示され、追加治療のための治療超音波プローブ13bの位置と向き及び照射経路が自動的に計算されGUI画面1000のナビゲーション画像1000b上に描出される。この場合も、治療超音波パワーに応じて図13に示した照射経路を示す誘導画像情報1038の補正が行われ、結果がナビゲーション画像1000b上に表示される。そして、問題がなければ追加治療1107の開始となる。仮に、残治療領域が存在しても様々な条件を考慮して追加治療を実施しない場合には、終了ボタン1108を押下して治療終了とする。
【符号の説明】
【0066】
1…超音波装置、2…MRI装置、3、3a、3b…術者モニタ、4…位置検出システム、11…超音波装置本体、12…超音波モニタ、13…超音波プローブ、13a…超音波探触子、13b…治療超音波プローブ、14…ポインタ、15…超音波送受信部、16…超音波画像構成部、17…超音波制御部、18…コントロールパネル、110…HIFUコントローラ、25…コンピュータ、42…基準ツール、26…MR制御部、27…映像記録装置、50…患者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像装置により撮像された患者の治療部位を含む画像が表示されるモニタと、
前記患者の治療部位に治療超音波を照射する治療超音波プローブと、
前記モニタに描出された前記治療部位を含む画像に設定される治療領域を辺縁から中心に向かって複数の分割領域に分ける治療領域分割部と、
前記分割領域ごとに照射する治療超音波パワーを治療領域の辺縁からの距離に応じて調整する治療超音波パワー設定部と、
前記分割領域ごとに前記治療超音波パワー設定部で調整された前記治療超音波パワーに基づいて前記治療超音波プローブから照射される前記治療超音波パワーを制御する治療超音波パワー制御部とを備えてなる超音波治療装置。
【請求項2】
前記治療超音波パワー設定部は、前記分割領域の超音波パワーを前記辺縁からの距離に応じて増大させて設定することを特徴とする請求項1に記載の超音波治療装置。
【請求項3】
さらに、前記治療超音波プローブに装着されて前記患者に対する前記治療超音波プローブの位置及び向きを検出する位置検出器と、
前記治療超音波パワー設定部により前記分割領域ごとに設定された前記治療超音波パワーの1回の照射で治療可能な領域に基づいて、前記分割領域ごとの1又は複数の照射位置を含む治療計画を策定する治療計画策定部と、
前記治療計画策定部により策定された前記治療計画の前記照射位置に前記治療超音波を照射する前記治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を示す誘導画像情報を前記モニタに表示する治療超音波プローブ誘導部とを備え、
前記治療超音波パワー制御部は、前記照射位置ごとに前記治療超音波プローブから照射される前記治療超音波パワーを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波治療装置。
【請求項4】
前記分割領域は、前記治療領域の辺縁の外側に隣接する領域に予め設定されたマージン領域を含んでなり、
前記治療超音波パワー設定部は、前記マージン領域に照射する前記治療超音波パワーを前記辺縁の分割領域に照射する前記治療超音波パワーよりも低く設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項5】
前記治療超音波プローブ誘導部は、前記位置検出器により検出される前記治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を示す模擬画像を前記モニタの治療部位を含む画像に重ねて表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項6】
前記治療超音波プローブ誘導部の前記誘導画像情報は、前記治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を示す矢印と数値の少なくとも一方の画像情報であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項7】
前記分割領域及び前記マージン領域の境界が輪郭線によって表示されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項8】
前記分割領域及び前記マージン領域が異なる表示形態で識別可能に表示されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項9】
前記治療領域分割部は、前記モニタに描出された直交3軸断面画像に設定された前記治療領域の輪郭線を前記治療領域の辺縁として、前記輪郭縁の内側領域を予め設定された径の基準円で埋め、前記輪郭縁に接する前記基準円で埋められる領域を辺縁部の分割領域とし、該辺縁部の分割領域よりも内側の領域を中心部の分割領域とすることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項10】
前記治療領域分割部は、前記治療領域の前記輪郭線の外側に接する前記基準円で埋められる領域を前記マージン領域として分割することを特徴とする請求項9に記載の超音波治療装置。
【請求項11】
前記治療領域分割部は、前記モニタに描出された直交3軸断面画像の血管壁の内側の血管領域と、該血管壁の外側に接する予め設定された径の基準円により埋められる辺縁部領域とからなる前記分割領域に分割することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項12】
前記治療領域分割部は、前記辺縁部領域の外側に接する前記基準円により埋められる領域を前記マージン領域として分割することを特徴とする請求項11に記載の超音波治療装置。
【請求項13】
前記治療超音波パワー設定部は、前記円を1回の治療超音波の照射位置として前記各分割領域に応じた治療超音波パワーを調整する請求項9乃至12にいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項1】
医用画像装置により撮像された患者の治療部位を含む画像が表示されるモニタと、
前記患者の治療部位に治療超音波を照射する治療超音波プローブと、
前記モニタに描出された前記治療部位を含む画像に設定される治療領域を辺縁から中心に向かって複数の分割領域に分ける治療領域分割部と、
前記分割領域ごとに照射する治療超音波パワーを治療領域の辺縁からの距離に応じて調整する治療超音波パワー設定部と、
前記分割領域ごとに前記治療超音波パワー設定部で調整された前記治療超音波パワーに基づいて前記治療超音波プローブから照射される前記治療超音波パワーを制御する治療超音波パワー制御部とを備えてなる超音波治療装置。
【請求項2】
前記治療超音波パワー設定部は、前記分割領域の超音波パワーを前記辺縁からの距離に応じて増大させて設定することを特徴とする請求項1に記載の超音波治療装置。
【請求項3】
さらに、前記治療超音波プローブに装着されて前記患者に対する前記治療超音波プローブの位置及び向きを検出する位置検出器と、
前記治療超音波パワー設定部により前記分割領域ごとに設定された前記治療超音波パワーの1回の照射で治療可能な領域に基づいて、前記分割領域ごとの1又は複数の照射位置を含む治療計画を策定する治療計画策定部と、
前記治療計画策定部により策定された前記治療計画の前記照射位置に前記治療超音波を照射する前記治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を示す誘導画像情報を前記モニタに表示する治療超音波プローブ誘導部とを備え、
前記治療超音波パワー制御部は、前記照射位置ごとに前記治療超音波プローブから照射される前記治療超音波パワーを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波治療装置。
【請求項4】
前記分割領域は、前記治療領域の辺縁の外側に隣接する領域に予め設定されたマージン領域を含んでなり、
前記治療超音波パワー設定部は、前記マージン領域に照射する前記治療超音波パワーを前記辺縁の分割領域に照射する前記治療超音波パワーよりも低く設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項5】
前記治療超音波プローブ誘導部は、前記位置検出器により検出される前記治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を示す模擬画像を前記モニタの治療部位を含む画像に重ねて表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項6】
前記治療超音波プローブ誘導部の前記誘導画像情報は、前記治療超音波プローブの位置、向き及び超音波集束位置を示す矢印と数値の少なくとも一方の画像情報であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項7】
前記分割領域及び前記マージン領域の境界が輪郭線によって表示されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項8】
前記分割領域及び前記マージン領域が異なる表示形態で識別可能に表示されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項9】
前記治療領域分割部は、前記モニタに描出された直交3軸断面画像に設定された前記治療領域の輪郭線を前記治療領域の辺縁として、前記輪郭縁の内側領域を予め設定された径の基準円で埋め、前記輪郭縁に接する前記基準円で埋められる領域を辺縁部の分割領域とし、該辺縁部の分割領域よりも内側の領域を中心部の分割領域とすることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項10】
前記治療領域分割部は、前記治療領域の前記輪郭線の外側に接する前記基準円で埋められる領域を前記マージン領域として分割することを特徴とする請求項9に記載の超音波治療装置。
【請求項11】
前記治療領域分割部は、前記モニタに描出された直交3軸断面画像の血管壁の内側の血管領域と、該血管壁の外側に接する予め設定された径の基準円により埋められる辺縁部領域とからなる前記分割領域に分割することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【請求項12】
前記治療領域分割部は、前記辺縁部領域の外側に接する前記基準円により埋められる領域を前記マージン領域として分割することを特徴とする請求項11に記載の超音波治療装置。
【請求項13】
前記治療超音波パワー設定部は、前記円を1回の治療超音波の照射位置として前記各分割領域に応じた治療超音波パワーを調整する請求項9乃至12にいずれか1項に記載の超音波治療装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−22391(P2013−22391A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162649(P2011−162649)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「戦略的国際標準化推進事業/標準化フォローアップ/集束超音波治療装置に関する国際標準化」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「戦略的国際標準化推進事業/標準化フォローアップ/集束超音波治療装置に関する国際標準化」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
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