説明

超音波法によってラミネート加工された多プライ布

熱可塑性繊維と吸収性ステープル繊維の両方を含有する二つの外側プライ(82,84)の間に配置された内側プライ(80)を有する多プライ布(90)が提供される。プライ(80,82,84)は超音波法で互いに接合される。内側プライの形成に用いられる材料は、強度、嵩、吸収容量、吸収速度、手触り、など、特定用途向けの布(90)のある種の性質を最適にするように制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
家庭用及び産業用拭取り材は、極性液体(例えば、水及びアルコール)及び無極性液体(例えば、油)の両方をすばやく吸収するために用いられることが多い。拭取り材は、該液体を、例えば、絞るなど、圧搾によって除去しようとするまで、該液体を拭取り材構造体内に保持するのに十分な吸収容量をもたなければならない。さらに、拭取り材は、使用中にしばしば加えられる引裂き力、引伸ばし力、及び摩擦力に耐えられるような良好な物理的強度と耐摩耗性をもたなければならない。さらに、拭取り材はまた、柔らかな感触でなければならない。
【0002】
従来、メルトブローン不織ウェブなどの不織布が拭取り材として広く用いられてきた。メルトブローン不織ウェブは、液体を吸収し保持するのに適した繊維間毛管構造を有する。しかし、メルトブローン不織ウェブは、時には、例えば、引裂き強度及び耐磨耗性など、高耐久性拭取り材として使用するのに必要な物理的性質に欠けることがある。それゆえ、メルトブローン不織ウェブは、典型的には、例えば、研磨面又は粗表面上での使用には望ましくない可能性のある不織ウェブなどの支持層にラミネートされる。スパンボンドウェブは、メルトブローン不織ウェブより太く強い繊維を含有し、例えば、引裂き強度及び耐磨耗性など、良好な物理的性質をもたらすことができる。しかし、スパンボンドウェブは、時には、拭取り材の吸水特性を増強する緻密な繊維間毛管構造に不足することがある。さらに、スパンボンドウェブは、不織ウェブ内での液体の流れ又は移送を妨げる接合点をもつことが多い。これらの及び他の問題に対応して、パルプ繊維と水圧交絡された実質的に連続な繊維の不織ウェブを含有する複合布も開発された。これらの布は良好なレベルの強度を有するが、時には、良好な吸油特性に欠けるものであった。
【発明の開示】
【0003】
このような事情により、広範囲の拭取り材の用途に用いるための、強く、柔らかで、良好な吸収性を示す布に対するニーズが残っている。
【0004】
本発明の一実施形態により、多プライ布の形成方法が開示される。本方法は、第1の外側プライと第2の外側プライの間に、少なくとも一つの内側プライを配置するステップを含む。第1外側プライ及び第2外側プライは、各々が、熱可塑性繊維及び吸収性ステープル繊維を含有する複合材料からなる。該内側プライは、熱可塑性繊維を含有する不織層からなる。これらのプライは、超音波法で互いにラミネートされる。
【0005】
本発明のもう一つの実施形態により、多プライ布を形成する方法が開示される。本方法は、第1の外側プライと第2の外側プライの間に、少なくとも一つの内側プライを配置するステップを含む。第1外側プライ及び第2外側プライは、それぞれ、実質的に連続なポリオレフィン繊維から形成されるスパンボンドウェブを含有する不織複合材料からなる。該スパンボンドウェブは、パルプ繊維と水圧交絡され、該パルプ繊維は、該不織複合材料の約50重量%より大きな部分を構成するものとする。該内側プライは、熱可塑性繊維を含む不織層を有する。これらプライは、超音波法で互いにラミネートされる。
【0006】
本発明のさらにもう一つの実施形態により、第1の外側プライと第2の外側プライの間に配置された少なくとも一つの内側プライを有する多プライ布が開示される。第1外側プライ及び第2外側プライは、それぞれ、パルプ繊維と水圧交絡された実質的に連続な熱可塑性繊維を含有する不織複合材料からなる。該パルプ繊維は、該不織複合材料の約50重量%より大きな部分を構成する。該内側プライは、熱可塑性繊維を含有する不織層からなる。これらプライは、超音波法で互いにラミネートされる。一実施形態においては、第1外側プライの第1の表面は、優位な量の吸収性ステープル繊維を含み、第2外側プライの第2の表面もまた、優位な量の吸収性ステープル繊維を含む。第1表面及び第2表面は、多プライ布の互いに反対側を向いた外表面を形成することができる。さらに、該多プライ布は、複数の連続した空隙をもった接合領域を含むことができる。
【0007】
本発明の他の特徴及び態様は、以下でより詳しく論じられる。
【0008】
当業者に向けられた、最良の形態を含む本発明の十分な及び本発明を可能にする開示が、添付の図面を参照しながら本明細書の残りの部分でさらに具体的に説明される。
【0009】
本明細書及び図面において参照番号の反復使用は、本発明の同じ又は類似した特徴又は要素を表すことを意図したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
これより本発明の種々の実施形態の詳細な説明が行われ、以下にそのうちの1つ又はそれ以上の実施例が示される。各実施例は、本発明を限定するのではなく、本発明を説明する目的で与えられる。事実、本発明の範囲又は精神を逸脱することなしに、本発明に種々の修正および変形を施せることが、当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部として図示され又は説明された特徴を、別の実施形態に用いて、更に別の実施形態を得ることができる。従って、そうした修正及び変形を、添付の請求項及びその均等物の範囲内に入るものとして網羅することを、本発明は意図されている。
【0011】
定義
ここで用いられる「不織ウェブ」という用語は、個々の繊維又は糸が相互に組み合わされているが、編成布におけるような識別可能な形態ではない構造を有するウェブを意味する。不織ウェブは、例えば、メルトブローンウェブ、スパンボンドウェブ、カーデッドウェブ、空気堆積ウェブなどを含む。
ここで用いられる「カーデッドウェブ」という用語は、不織ウェブを形成するために繊維を分離又は分解して整列させるコーミング装置又はカーディング装置を通されたステープル繊維から作られるウェブを意味する。
ここで用いられる「スパンボンドウェブ」という用語は、小さな直径の実質的に連続な繊維から形成される不織ウェブを意味する。繊維は、溶融した熱可塑性材料を、普通は環状の紡糸口金の複数の微細な毛細管からフィラメントとして押し出し、次いで、押し出された繊維の直径を、例えば、引き取り及び/又は他の周知のスパンボンディング機構によって、急速に減じることによって形成される。スパンボンドウェブの製造法は、例えば、Appel他による米国特許第4,340,563号、Dorschner他による米国特許第3,692,618号、Matsuki他による米国特許第3,802,817号、Kinneyによる米国特許第3,338,992号、Kinneyによる米国特許第3,341,394号、Hartmanによる米国特許第3,502,763号、Levyによる米国特許第3,502,538号、Dobo他による米国特許第3,542,615号、及び、Pike他による米国特許第5,382,400号に記述され説明されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。スパンボンド繊維は、一般に集積表面上に堆積されるときは粘着性をもたない。スパンボンド繊維は、時には約40ミクロンより小さな直径を有し、約5から約20ミクロンまでの間の直径を有することが多い。
【0012】
ここで用いられる「メルトブローンウェブ」という用語は、複数の微細な、普通は環状のダイの毛細管を通して、融解した繊維として、収束性高速気体(例えば、空気)流中に押し出された繊維から形成される不織ウェブを意味するが、その際、該気体流は融解した熱可塑性材料の繊維を細くして、それらの直径をミクロファイバーの直径にまで減じる。その後、メルトブローン繊維は高速気体流によって運ばれ、集積表面上に堆積されてランダムに分配されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。そのようなプロセスは、例えば、ブチン他による米国特許第3,849,241号において開示されており、この特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。幾つかの場合には、メルトブローン繊維は、連続又は不連続のミクロファイバーであって、一般に直径が10ミクロンより小さく、集積表面上に堆積したときには一般に粘着性をもつ。
【0013】
ここに用いられる「多成分繊維」又は「コンジュゲート繊維」という用語は、少なくとも二つのポリマー成分から形成された繊維を意味する。そのような繊維は、通常別々の押出成形機から押し出されるが、一緒に紡糸されて一つの繊維を形成する。それぞれの成分のポリマーは通常は互いに異なるが、多成分繊維は類似の又は同じポリマー材料の別々の成分を含むことができる。個々の成分は、典型的には、該繊維の断面にわたって実質的に一定の位置にある区分された区域に配置され、実質的に該繊維の全長に沿って延びる。そのような繊維の配置は、例えば、並列配置、パイ型配置、又は他の任意の配置とすることができる。二成分繊維及びその製造方法は、Kaneko他による米国特許第5,108,820号、Kruege他による米国特許第4,795,668号、Pike他による米国特許第5,382,400号、Strack他による米国特許第5,336,552号、及び、Marmon他による米国特許第6,200,669号に教示されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。繊維及び該繊維を含む個別の成分もまた、Hogel他による米国特許第5,277,976号、Hillsによる米国特許第5,162,074号、Hillsによる米国特許第5,466,410号、Largman他による米国特許第5,069,970号、Largman他による米国特許第5,057,368号において記述されているような様々な不規則な形状をもつこともでき、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0014】
ここに用いられる「平均繊維長」という用語は、フィンランド、カヤーニ所在のKajaani Oy Electronicsから入手可能な繊維分析器モデルNo.FS−100を使用して測定されたパルプ繊維の加重平均長さを意味する。試験手順によれば、パルプ試料は繊維の束又は結束が存在しないことを確実にするために浸軟液で処理される。各々のパルプ試料は熱水中に崩壊させられ、希釈しておよそ0.001%の溶液とされる。標準カヤーニ繊維分析試験手順を用いて試験するときは、個々の試験試料には、希薄溶液からおよそ50から100mlまでの分量が分取される。加重平均繊維長は、次式で表すことができる。

ここで、
k=最大の繊維長
i=繊維長
i=xiの長さをもつ繊維の数、及び
n=測定した繊維の総数である。
【0015】
ここに用いられる「低平均繊維長のパルプ」という用語は、相当な量の短い繊維及び非繊維粒子を含むパルプを意味する。多くの2次木質繊維パルプは、低平均繊維長のパルプと考えることができる。しかし、2次木質繊維パルプの品質は、リサイクル繊維の品質、及び、前の処理のタイプ及び量に依存するであろう。低平均繊維長のパルプは、例えば、Kajaaniの繊維分析器モデルNo.FS−100(フィンランド、カヤーニ所在のKajaani Oy Electronics社製)などの光ファイバー分析器によって測定されるように、約1.2mmより短い平均繊維長をもち得る。例えば、低平均繊維長のパルプは、約0.7から1.2mmまでの範囲の平均繊維長をもち得る。例示的な低平均繊維長のパルプには、バージン堅木パルプ、及び、例えばオフィス排紙、新聞紙、及び厚紙スクラップなどの供給源からの2次繊維パルプがある。
【0016】
ここに用いられる「高平均繊維長のパルプ」という用語は、比較的少量の短い繊維及び非繊維粒子を含むパルプを意味する。高平均繊維長のパルプは、典型的にはある非2次の(即ち、バージンの)繊維から形成される。選別された2次繊維パルプもまた高平均繊維長をもち得る。高平均繊維長パルプは、典型的には、例えば、Kajaaniの繊維分析器モデルNo.FS−100(フィンランド、カヤーニ所在のKajaani Oy Electronics社製)などの光ファイバー分析器によって測定されるように、約1.5mmより大きな平均繊維長をもつ。例えば、高平均繊維長パルプは、約1.5mmから約6mmまでの平均繊維長をもち得る。木質繊維パルプである例示的な高平均繊維長パルプには、例えば、漂白された及び無漂白のバージン軟木繊維のパルプがある。
【0017】
詳細な説明
一般に、本発明は、それぞれが不織複合材料を含有する二つのプライの間に配置された内側プライを有する多プライ布に向けられる。本発明者らは、内側プライを形成するのに用いられる材料が、特定の用途に関する布のある性質(例えば、強さ、嵩、吸収容量、吸収速度、手触りなど)を最適化するように選択的に制御可能であることを見出した。例えば、強化された吸油性が望ましい場合には、内側プライは、実質的に連続なポリオレフィン繊維から形成されるスパンボンドウェブなど、高親油性をもつ疎水性材料を含有することができる。同様に、内側プライは、強化された吸水性を与えるためには、高親水性をもつパルプ繊維など、親水性材料を含有することができる。これらの性質は、超音波接合技術を用いてプライを互いに積層すると特に改善される。具体的には、理論に拘束されるものではないが、プライの超音波接合は、布の構造体のいたるところに孔及び連続した空隙の形成をもたらすものと考えられ、その構造がさらに吸油性又は吸水性を改善する。
【0018】
図1を参照すると、例えば、本発明によって形成される多プライ布90の一実施形態が図示されている。示されるように、少なくとも一つの内側プライ80が二つの外側のプライ82及び84の間に配置される。布が少なくとも一つの内側プライ及び少なくとも二つの外側プライを含む限り、任意の数の内側プライを用いてよいことが理解されるべきである。例えば、一つの実施形態においては、多プライ布90は内側プライ80を挟む二つの付加的な内側プライ(図示されず)を含むことができる。これらの付加的な内側プライは、同様に二つの外側プライ82及び84によって挟まれる。一つ又はそれ以上のこれらのプライの性質は、本発明によって選択的に制御できる。
【0019】
外側プライ82及び84の各々は、吸収性のステープル繊維及び熱可塑性繊維を含有する不織複合材料を含む。不織複合材料の使用は、様々な理由で有益である。例えば、不織複合材料の熱可塑性繊維は、布90の強さ、耐久性、及び吸油性を改善することができる。同様に、吸収性ステープル繊維は、布90の嵩、手触り、及び吸水性を改善することができる。不織複合材料中に用いられる熱可塑性繊維と吸収性繊維の相対量は、所望の性質によって変えることができる。例えば、熱可塑性繊維は、不織複合材料の重量で約50%より小さな部分を構成し、幾つかの実施形態においては、不織複合材料の重量で約10%から約40%までの部分を構成するようにすることができる。同様に、吸収性ステープル繊維は、不織複合材料の重量で約50%より大きな部分を構成し、幾つかの実施形態においては、不織複合材料の重量で約60%から約90%までの部分を構成するようにすることができる。
【0020】
吸収性ステープル繊維は、種々の異なる材料から形成することができる。例えば、一実施形態においては、吸収性ステープル繊維は、非熱可塑性であり、セルロース繊維(例えば、パルプ、サーモメカニカルパルプ、合成セルロース繊維、修飾セルロース繊維、など)並びに他のタイプの非熱可塑性繊維(例えば、合成ステープル繊維)を含む。適切なセルロース繊維の供給源の幾つかの例には、加熱機械処理された、漂白及び無漂白の軟木及び堅木のパルプなどのバージン木質繊維がある。オフィス回収紙、新聞紙、褐色用紙、厚紙スクラップなどから得られる2次的又はリサイクル繊維も用いることができる。さらに、マニラ麻、亜麻、トウワタ、綿、改質綿、リンター、などの植物繊維も使用できる。加えて、例えば、レーヨン及びビスコース・レーヨンなどの合成セルロース繊維を用いることもできる。修飾セルロース繊維も使用できる。例えば、吸収性ステープル繊維は、炭素鎖に沿ったヒドロキシル基を適切なラジカル(例えば、カルボキシル、アルキル、アセテート、ナイトレートなど)に置換することによって形成されるセルロース誘導体から構成されてもよい。述べられたように、非セルロース繊維も吸収性ステープル繊維として利用できる。そのような吸収性ステープル繊維の幾つかの例には、それらに限定されはしないが、アセテート・ステープル繊維、Nomex(登録商標)ステープル繊維、Kevlar(登録商標)ステープル繊維、ポリビニルアルコール・ステープル繊維、リヨセル・ステープル繊維などがある。
【0021】
吸収性ステープル繊維として利用される場合、パルプ繊維は、高平均繊維長、低平均繊維長、又はこれらを混合した長さをもつことができる。適切な高平均長のパルプ繊維は、北方針葉樹、南方広葉樹、アメリカスギ、赤杉、ツガ、マツ(例えば、南方マツ)、トウヒ(例えば、黒トウヒ)、及びそれらの組み合わせなどを含むが、それらに限定はされない。例示的な高平均繊維長の木質パルプは、Kimberly−Clark社から“Longlac 19”という商品名で入手できるものを含む。適切な低平均繊維長をもつパルプ繊維の幾つかの例には、ある種のバージン堅木パルプ、及び、例えば、新聞紙、回収された厚紙、及びオフィス排紙などの供給源からの2次(即ち、リサイクルされた)繊維パルプがあるが、それらに限定はされない。ユーカリ、カエデ、カバ、ポプラなどの堅木繊維も、低平均長パルプ繊維として用いることができる。高平均繊維長及び低平均繊維長のパルプの混合物も使用できる。例えば、混合物は重量で約50%より多い低平均繊維長のパルプ、及び、重量で約50%より少ない高平均繊維長のパルプを含むことができる。一つの例示的な混合物は、重量で75%の低平均繊維長のパルプと、重量で約25%の高平均繊維長のパルプを含む。
【0022】
述べられたように、不織複合材料は又、熱可塑性繊維を含む。熱可塑性繊維は、実質的に連続な繊維であるか、又は、ステープル繊維で約0.1ミリメートルから約25ミリメートルまでの、幾つかの実施形態においては約0.5ミリメートルから約10ミリメートルまでの、さらに幾つかの実施形態においては約0.7ミリメートルから約6ミリメートルまでの平均繊維長をもつステープル繊維とすることができる。繊維長に関らず、熱可塑性繊維は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、及びそれらの混合物又はコポリマーなどを含む、様々の異なったタイプのポリマーから形成することができるが、それらに限定はされるものではない。熱可塑性繊維はポリオレフィンを含むことが望ましく、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むことがより望ましい。適切なポリマーの組成は、色素、抗酸化剤、流動性促進剤、安定剤、芳香剤、研磨剤粒子、充填剤などに加えて、ポリマー中にブレンドされた熱可塑性エラストマーをも含むことができる。随意的に、多成分(例えば、バイオ成分)の熱可塑性繊維が利用される。例えば、多成分繊維に関する適切な配置は、並立配置及びシース・コア配置を含み、適切なシース・コア配置は偏心シース・コア及び同心シース・コア配置を含む。幾つかの実施形態においては、当技術分野では周知のことであるが、多成分繊維を形成するのに用いられるポリマーは、異なる結晶化及び/又は固化の性質を生ずるように、十分に異なった融点をもつ。多成分繊維は、約20%から約80%までの、幾つかの実施形態においては約40%から60%までの重量の低融点ポリマーを含むことができる。さらに、多成分繊維は、約80%から約20%までの、幾つかの実施形態においては約60%から40%までの重量の高融点ポリマーを含むことができる。
【0023】
熱可塑性繊維及び吸収性ステープル繊維の他に、不織複合材料は、種々の他の材料を含むこともできる。例えば、強度及び耐磨耗性を改善するために、少量の湿潤強度をもつ樹脂及び/又は樹脂接合材を利用することができる。水素結合の程度を減じるために結合除去剤を利用することもできる。例えば、複合層の重量で約1%から約4%までの量のある種の結合除去剤を添加すると、静的及び動的摩擦係数の測定値を低減して、耐磨耗性を改善することができる。例えば、活性炭、粘土、でんぷん、高吸収性材料など、種々の他の材料も利用できる。
【0024】
外側プライ82及び/又は84の不織複合材料を形成するために、種々の方法を利用することができる。幾つかの実施形態においては、例えば、熱可塑性繊維と吸収性ステープル繊維とを、当技術分野で既知の種々の交絡技術(例えば、水圧、空気、機械的など)のどれかを用いて、一体的に交絡させることによって、不織複合材料が形成される。例えば、一実施形態においては、熱可塑性繊維から形成された不織ウェブが、水圧交絡法を用いて吸収性ステープル繊維と一体的に交絡される。典型的な水圧交絡プロセスは、高圧ジェット水流を利用して、繊維及び/又はフィラメントを交絡させ、高度に交絡した強化された複合構造を形成する。水圧交絡された不織複合材料は、例えば、Evansによる米国特許第3,494,821号、Bouoltonによる米国特許第4,144,370号、Everhart他による米国特許第5,284,703号、及び、Anderson他による米国特許第6,315,864号において開示されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0025】
図2を参照すると、例えば、不織ウェブとパルプ繊維から不織複合材料を形成するのに適切な水圧交絡法の一実施形態が図示されている。図示されるように、パルプ繊維を含む繊維状スラリが、従来型の製紙ヘッドボックス12に運ばれ、そこでスルース14を通して通常の成形布又は表面16上に堆積される。パルプ繊維の懸濁液は、通常の製紙プロセスに典型的に用いられるいずれかの粘稠度を有するものとすることができる。例えば、懸濁液は、重量で約0.01から約1.5パーセントまでの水中に懸濁されたパルプ繊維を含有することができる。次いで、水がパルプ繊維の懸濁液から除去され、パルプ繊維の均一層18が形成される。
【0026】
不織ウェブ20はまた、回転供給ロール22から引出されて、スタック・ローラ28及び30によって形成されたS字ロール配列26のニップ24を通過する。不織ウェブ20を形成するために種々の方法のいずれを用いてもよい。例えば、一実施形態においては、例えばウール又は綿のカーディング・プロセスなどの通常のカーディング・プロセスを用いて、ステープル繊維を用いて不織ウェブ20を形成する。しかし、空気堆積又は湿式堆積プロセスなどの他のプロセスも、ステープル繊維ウエブを形成するために用いることができる。さらに、スパンボンド法、メルトブロー法など、メルト紡ぎプロセスによる形成物のような、実質的に連続な繊維を用いて不織ウェブ20を形成してもよい。
【0027】
不織ウェブ20は、耐久性、強度、手触り、美しさ及び/又は他の性質を改善するために、接合することができる。例えば、不織ウェブ20は、熱的方法、超音波法、接着剤、及び/又は機械的方法によって接合することができる。一例として、不織ウェブ20は、多くの小さな分離した接合点をもつように点接合することができる。例示的な点接合プロセスは熱的点接合プロセスであり、一般に一つ又はそれ以上の層を、彫り込みパターンが形成されたロールと第2の接合ロールなど、加熱されたロールの間を通過させるステップを含む。彫り込みロールは、ウェブが全表面で接合しないように何らかの方法でパターン化され、第2のロールは滑らかであるか又はパターン彫り込みされたものであってもよい。その結果、彫り込みロールの種々のパターンが、美的な理由ばかりでなく機能的な理由のために開発された。例示的な接合パターンには、それらに限定はされないが、Hansen他による米国特許第3,855,046号、Levy他による米国特許第5,620,779号、Haynes他による米国特許第5,962,112号、Sayovitz他による米国特許第6,093,665号、Romano他による米国意匠特許第428,267号、及び、Brownによる米国意匠特許第390,708号に記述されているものがあり、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。例えば、幾つかの実施形態においては、不織ウェブ20は、随意的に接合して、全接合面積が約30%より小さくなるように(通常の光学顕微鏡法で測定して)、及び/又は、一様な接合密度が1平方インチ当たり約100接合点より大きくなるようにすることができる。例えば、不織ウェブは、約2%から約30%までの全接合面積、及び/又は、1平方インチ当たり約250から約500までの個数のピン接合をもつことができる。そのような全接合面積及び/又は接合密度の組み合わせは、幾つかの実施形態においては、1平方インチ当たり約100より多くのピン接合を有するピン接合パターンであって、滑らかなアンビル・ロールに完全に接触した場合に約30%より小さな全接合表面積を与えるピン接合パターンを用いて、不織ウェブ20を接合することによって達成することができる。幾つかの実施形態においては、接合パターンは、1平方インチ当たり約250から約350のピン接合を有するピン接合密度、及び/又は、滑らかなアンビル・ロールに接触した場合に約10%から約25%までの全接合面積をもつことができる。
【0028】
さらに、不織ウェブ20は、連続的なシーム又はパターンによって接合することができる。付加的な実施例として、不織ウェブ20は、シートの縁に沿って、又は、単に縁に隣接するウェブの幅又は横方向(CD)にわたって接合することができる。熱的接合法とラテックス含浸法の組み合わせなどの他の接合技術を用いることもできる。代替として、及び/又は、付加的に、樹脂、ラテックス又は接着剤を、例えば、スプレー法又はプリント法によって不織ウェブ20に塗り、乾燥させて所望の接合を生ずることができる。さらに他の適切な接合技術が、Everhart他による米国特許第5,284,703号、Anderson他による米国特許第6,103,061号、Varonaによる米国特許第6,197,404号に記載されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0029】
再び図2に戻ると、不織ウェブ20は次に従来型の水圧交絡機の小孔をもつ交絡表面32の上に置かれ、そこでは次にパルプ繊維層18がウェブ20の上に置かれる。必須のことではないが、通常、パルプ繊維層18は不織ウェブ20と水圧交絡マニホルド34の間に配置されることが望ましい。パルプ繊維層18及び不織ウェブ20は、一つ又はそれ以上の水圧交絡マニホルド34の下を通過させ、流体ジェットで処理してパルプ繊維層18を不織ウェブ20の繊維に交絡させ、それらを不織ウェブ20中に又はその中を押しやって不織複合材料36を形成する。あるいは、水圧交絡は、パルプ繊維層18及び不織ウェブ20が、湿式堆積を行ったのと同じ有小孔スクリーン(例えば、メッシュ布)上にあるときに行うことができる。本発明はまた、乾燥されたパルプ繊維層18を不織ウェブ20上に重ね、乾燥シートを特定の粘稠度まで再水和し、次いで再水和シートを水圧交絡させることを企図する。水圧交絡は、パルプ繊維層18が高度に水で飽和されているときに行ってもよい。例えば、パルプ繊維層18は、水圧交絡の直前に、重量で約90%までの水を含んでもよい。或いは、パルプ繊維層18は、空気堆積又は乾燥堆積層であってもよい。
【0030】
水圧交絡は、例えば、Everhart他による米国特許第5,284,703号、及びEvansによる米国特許第3,485,706号に記載されているような通常の水圧交絡装置を用いて達成することができ、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。水圧交絡は、例えば、水のような任意の適切な作動流体を用いて行うことができる。作動流体は、流体を一連の個々の孔又はオリフィスに均等に分配するマニホルドを通して流れる。これらの孔又はオリフィスは、直径が約0.003インチから約0.015インチまでとすることができ、一つ又はそれ以上の列に整列させて、各列に、例えば1インチ当たり30から100までの任意の数のオリフィスが並ぶようにすることができる。例えば、直径0.007インチのオリフィス、1インチ当たり30個の孔、及び1列の孔列を有するストリップを備えた、ノースカロライナ州Charlotte所在のFleissner,Inc.製のマニホルドを利用することができる。しかし、多くの他のマニホルド構成及び組み合わせを用い得ることも理解すべきである。例えば、単一のマニホルドを用いてもよく、又は幾つかのマニホルドを連続して配置してもよい。さらに、必須ではないが、水圧交絡中に典型的に用いられる流体圧力は、約1000から約3000psigまでの範囲、幾つかの実施形態においては、約1200から約1800psigまでの範囲に及ぶ。例えば、上記圧力の高圧力域で加工処理する場合には、不織複合材料36は、1分当たり約1000フィート(fpm)にまで及ぶ速度で加工処理することができる。
【0031】
流体は、約40×40から約100×100までのメッシュサイズを有する単一平面メッシュのような有孔表面によって支持されるパルプ繊維層18及び不織ウェブ20に衝撃を与えることができる。有孔表面は、約50×50から約200×200までのメッシュサイズを有する多プライメッシュであってもよい。多くの水ジェット処理工程において典型的であるように、真空スロット38は、水圧ニードリング・マニホルドの直下に、又は交絡マニホルドの下流側にある有孔交絡面32の下に配置して、過剰な水が水圧交絡された不織複合材料36から抜き取られるようにすることができる。
【0032】
何れかの特定の動作理論に拘束されるものではないが、不織ウェブ20上にあるパルプ繊維層18に直接衝突する作動流体の円柱状ジェットは、該パルプ繊維を、該不織ウェブ20内の繊維のマトリックス又はネットワークの中に押し流し、また、その中を部分的に通過させるように働くものと考えられる。流体ジェット及びパルプ繊維層18が不織ウェブ20と相互作用する場合、層18のパルプ繊維は、該不織ウェブ20の繊維と交絡され、また相互に交絡される。幾つかの実施形態においては、そのような交絡は「側面性」を有する材料を生ずることができ、ここで、一つの表面は優位な量の熱可塑性繊維をもち、該材料をより滑らかで、よりプラスティック様の感触にし、一方、もう一つの表面は優位な量のパルプ繊維を含み、該材料をより柔らかく、より粘稠な感触にする。換言すれば、層18のパルプ繊維は不織ウェブ20のマトリックスを通して及びその中に押し流されるが、該パルプ繊維の多くは、依然として材料36の表面又はその近くに留まる。従って、この表面は該不織ウェブ20のパルプ繊維の大部分を有し、もう一方の表面は、該不織ウェブ20の熱可塑性繊維の大部分を有する。
【0033】
流体ジェット処理後、次に、得られた不織複合材料36は、乾燥工程(例えば、圧縮性、非圧縮性などの)に移送することができる。材料を水圧ニードリングベルトから乾燥工程に移送するために、差動速度ピックアップロールを用いることができる。或いは、従来型の真空タイプのピックアップ及び移送布を用いてもよい。所望であれば、不織複合材料36を、乾燥工程に移送する前に、湿式クレープ加工してもよい。材料36の非圧縮乾燥は、例えば、従来型の貫流式乾燥装置42を利用して達成することができる。貫流式乾燥機42は、通気孔46と、通気孔46を通して吹き出される高温空気を受けるための外側フード48とを組み合わせてもつ外側回転シリンダ44とすることができる。貫流式乾燥機のベルト50は、不織複合材料36を、該貫流式乾燥機の外側シリンダ44の上部部分の上に運ぶ。貫流式乾燥機42の外側シリンダ44中の通気孔46を通過させられる加熱空気は、不織複合材料36から水を除去する。貫流式乾燥機42によって不織複合材料36中を通過させられる空気の温度は、約200°Fから約500°Fまでに及ぶことができる。他の有用な貫流式乾燥方法及び装置は、例えば、Niksによる米国特許第2,666,369号、及びShawによる米国特許第3,821,068号に見出すことができ、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0034】
水圧交絡された不織複合材料に加えて、不織複合材料は、熱可塑性繊維と吸収性ステープル繊維のブレンドを含有することもできる。例えば、不織複合材料は、形成中の不織ウェブに吸収性ステープル繊維がそれを通して加えられるシュートの近傍に、少なくとも一つのメルトブロー用ダイヘッドが配置される処理工程によって形成することのできる「コフォーム」材料とすることができる。そのようなコフォーム材料の数例は、Anderson他による米国特許第4,100,342号、Everhart他による米国特許第5,284,703号、及び、Georger他による米国特許第5,350,624号に開示されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0035】
外側プライ82及び84を形成するのに用いる不織複合材料の坪量は、強度と性能を最適にし、コストを最小にするように選択することができる。例えば、以下でより詳しく説明されるように、一つ又はそれ以上の内側プライ80を使用すると布90の全体の強度が増して、強度に関する外側プライ82及び84の該不織複合材料への依存性を小さくすることができる。かくして、不織複合材料の坪量は、強度を犠牲にすることなしに、より低コストに選択することができる。幾つかの実施形態においては、例えば、坪量が1平方メートル当たり約10から約80グラム(gsm)まで、また幾つかの実施形態では、約40から約70gsmまでの、比較的軽量の不織複合材料が利用される。しかし、本発明においては、より高い坪量をもつ不織複合材料も利用できることが理解されるべきである。例えば、坪量が約80から250gsmまで、幾つかの実施形態では約100から約150gsmまでの、比較的重量の不織複合材料を用いることもできる。
【0036】
外側プライ82及び84は、比較的高い液体透過性を付与して、液体を内側プライ80に移送する吸上げ層として効果的に働くようにすることができ、該内側プライは、次いで、吸収性コアとして働く。例えば、外側プライ82及び84の不織複合材料は、比較的大きな直径の孔をもつことができる。そのような大きな孔が存在するために、該不織複合材料は、比較的迅速に流体を受け取ることができる。幾つかの場合、疎水性繊維(例えば、ポリオレフィン繊維)を含有する場合には、親水性流体(例えば、水)は該不織複合材料中を内側プライ80に向って迅速に流れる。一旦、内側プライ80中に入ると、親水性流体は直ちに吸収されることができる。
【0037】
再び図1を参照すると、外側プライ82及び/又は84に加えて、布90は少なくとも一つの内側プライ80を含む。本発明により、内側プライ80は熱可塑性繊維を含有する不織層を含む。本発明者らは、二つの外側プライの間にラミネートされる場合、不織層の特性は、布90の強化された性質を達成するように操作できることを見出した。例えば、熱可塑性繊維の比較的高い含有量は、布90の吸油性を改善するために選択することができる。具体的には、それら熱可塑性繊維の疎水的性質は、油ベースの化合物に対する高い親和性をもたらし、それゆえ、布90の吸油特性を改善することができる。従って、吸油性が第一の問題である場合には、不織層は約50重量%より多くの、幾つかの実施形態においては約75重量%より多くの、さらに幾つかの実施形態においては約90重量%より多くの熱可塑性繊維を含有することができる。例えば、一実施形態においては、不織層は近似的に100重量%のメルトブローン又はスパンボンド熱可塑性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)から形成されるウェブとなる。
【0038】
同様に、不織層には、比較的高含有量の吸収性ステープル繊維(例えば、パルプ繊維)を含ませて、布90の吸水特性を改善することもできる。具体的には、不織層は、約50重量%より多くの、幾つかの実施形態においては約60重量%から約90重量%までの吸収性ステープル繊維を含有することができる。これらのタイプの繊維は、得られる布の嵩、弾力性、及び手触りを改善するなど、他の利点を有することもある。吸収性ステープル繊維を含有する場合には、不織層は、外側プライ82及び84の材料への超音波接合を促進するために、少なくとも幾らかの熱可塑性繊維をも含む。大多数の実施形態においては、例えば、不織層は少なくとも約5重量%の熱可塑性繊維を含む。内側プライ80に用いられるそれら不織複合材料は、上記の外側プライ82及び84中に用いられる不織複合材料と同じであっても或いは異なってもよい。一実施形態においては、例えば内側プライ80の不織層は、スパンボンド・ポリオレフィン・ウェブとパルプ繊維との水圧交絡された複合物である。別の実施形態においては、内側プライ80の不織層は、ポリオレフィン・ステープル繊維とパルプ繊維とのブレンドを含む、接合されカーディングされたウェブである。
【0039】
吸収特性の改善とは別に、内側プライ80はまた、布90の強度、嵩、及び/又は手触りを改善するために選択することもできる。例えば、より高い割合の熱可塑性繊維を含有する不織層は、強度をより良好に改善し、一方、より高い割合の吸収性ステープル繊維を含有する不織層は、嵩及び手触りをより良好に改善することができる。さらに、内側プライ80中に用いられる不織層の坪量もまた、強度など、ある種の特性に影響を与え得る。本発明の大多数の実施形態においては、内側プライ80の不織層は、1平方メートル当たり約10から約200グラム(gsm)までの、幾つかの実施形態においては、約20から約140gsmまでの、さらに幾つかの実施形態においては、約60から約125gsmまでの坪量をもつ。
【0040】
選択された特定の材料に関らず、プライ80,82,及び84は、本発明により超音波法を用いて、互いに接合される。例えば、静止ホーンと回転するパターン刻印されたアンビルロールを用いる超音波接合法は、Grgach他による米国特許第3,939,033号、Rust Jr.による米国特許第3,844,869号、及び、Hillによる米国特許第4,259,399号に記載されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。さらに、回転ホーンと回転するパターン刻印されたアンビルロールを用いる超音波接合法は、Neuwirth他による米国特許第5,096,532号、Ehlertによる米国特許第5,110,403号、及び、Brennecke他による米国特許第5,817,199号に記載されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。勿論、任意の他の超音波接合技術も本発明において用いることができる。
【0041】
図3を参照すると、例えば、適切な超音波接合法の一実施形態が図示されている。示されるように、プライ80,82、及び84は、初めに第1、第2、及び第3のベースロール122からとき解かれ、次いで超音波ラミネータ140のニップ142中に送り込まれる。超音波ラミネータ140のニップ142は、静止超音波ホーン146と回転するパターン刻印されたアンビルロール148との間に形成される。一般的に言えば、アンビルロール148は、熱可塑性材料が融解し、流動化し、接合し、固化することを可能にする十分な数の点又は面積を与える任意の所望のパターンを有することができる。適切な超音波積層装置の一例は、例えば、Branson Ultrasonic Unit,型番2000BDCであり、これは、コネチカット州Danbury所在のBranson Ultrasonic Corporationから市販されており、6インチの静止ホーンをもつものである。
【0042】
パターンは、限定的ではない例として、布様の外観など、所望の外観を与えるように選ぶことができる。例示的なパターンは、それらに限定はされないが、Sayovitz他による米国特許第D369,907号、Romano III他による米国特許第D428,267号、及び、Romano III他による米国特許第D428,710号中で教示されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。一旦、ニップ142内で接合されると、得られる布90は最終ベースロール152に巻き込まれる。或いは、布90はその後の仕上げ加工、及び/又は、布90に選択された性質を付与するための後処理加工へと移送することができる。例えば、布90はカレンダ・ロールによって軽くプレスされ、クレープされ、エンボス加工され、嵩が低減され、巻き直され、又はブラシかけされて、一様な外見及び/又はある種の触感をもたらすことができる。代替として、及び/又は付加的に、接着剤又は染料などの化学的後処理剤を布90に適用してもよい。プライ80,82、及び84は、ラミネーションの前に、独立にそのような仕上げ及び/又は後処理加工をしてもよいことも理解されるべきである。
【0043】
超音波積層の間に、例えば、パターン形成されたアンビルロール148に接触する布90の側面に、パターン状の粗表面テクスチャが付与される。この表面テクスチャは、清浄化される表面からのごみの擦り落とし、除去、及び取り込みの助けとなり得る。粗表面テクスチャはまた、繰り返しのテクスチャ化形態をもつ大きな表面積を与え、その大きな表面積が、布90の表面上への高粘性液体の移動及び取り込みの助けとなり、布90表面内への吸上げを促進する。布90の表面から、液体は次に布90の芯に向って−z方向に吸収されることができる。ラミネート又はエンボス加工されていない布は、材料の両面に、この吸収特性を生じない比較的滑らかなテクスチャを示す。
【0044】
超音波積層はまた、布90の内部に接合領域の形成をもたらす。これらの接合領域は、外側プライ82及び84の熱可塑性繊維と内側プライ80の熱可塑性繊維との間に、またある程度は、外側プライ82と84の熱可塑性繊維の間に、形成される。本発明者らは特定の動作理論に拘束されることを望むものではないが、吸収性ステープル繊維は熱可塑性繊維の完全な融解を妨げ、それ故、他には熱可塑性繊維だけを含有するウェブの接合中に生ずるであろう、実質的にポリマーで充填された接合領域の形成を防ぐものと考えられる。即ち、個々の熱可塑性繊維の間には接合があっても、接合区域には実質的にポリマー充填の領域は形成されない。この完全融解が起こらないことによって、表面に孔と、−z方向、即ち、布の表面に垂直な方向の至る所に空隙とが造られる。これらの孔及び空隙は、液体が接合領域の表面で布90に入り込み、接合領域中を横方向に、接合領域間にある布90の高容量区域に向って移動することを可能にする。
【0045】
プライ80,82及び84の間の接合領域は、使用中の層間剥離の確率を減じるように十分な強度を与えることが望ましい。接合又はラミネートされた構成層間の接合強度を決定するために、剥離強度試験が用いられる。剥離強度は約25グラムから約500グラムまでの範囲に及ぶことが望ましい。より望ましくは、剥離強度は約50グラムから約300グラムまでの範囲に及び、さらにより望ましくは、剥離強度は約50グラムから約200グラムまでの範囲に及ぶ。理論に拘束されるつもりはないが、内側プライ80の存在は、超音波積層の間、より均一な接合エネルギー分布をもたらし、このことがさらに剥離強度を高めるものと考えられる。実質的にポリマー充填の接合領域を形成することなしに所望の剥離強度を達成できることは、増加したドレープ性及び/又は柔軟性に現れる布90の改善された触感をも与える。再び、理論に拘束されるつもりはないが、吸収性ステープル繊維が接合領域内で移動せざるをえないということは、ポリマー充填接合領域がないこと、及び増加した自由度によるものと考えられる。ポリマー充填接合領域がないために、吸収性ステープル繊維は接合領域内に実質的に閉じ込められることはない。このことは、改善されたドレープ性、柔軟性、及び/又は手触りをもたらす。
【0046】
このように、布90は、十分なプライ強度を与え、なお接合領域内に開放的構造を生ずる超音波接合プロセスを利用して製造される。該構造は全3次元において開放的である。該構造は、接合領域の外部から接合領域の内部へ、即ち、−z方向への流れを可能にするだけでなく、−x及び−y方向における横方向への流れをも可能にする。該接合プロセスはまた、柔軟性、手触り、及び/又は、他の熱接合材料中には見られないドレープを与える。これらの性質は、高超音波出力、高ライン速度、及び低ニップ圧力を選択的に使用することによって達成されることが望ましい。例えば、幾つかの実施形態においては、1分当たり約100から約3500フィートまでの、また幾つかの実施形態においては、1分当たり約300から約2500フィートまでの、さらに幾つかの実施形態においては、1分当たり約900から約1500フィートまでのライン速度を用いることができる。高超音波出力は、エネルギーがプライを貫通して、布90の中央領域にある熱可塑性繊維を融解させることを可能にする。高ライン速度は、休止時間を減らし、焼損及び/又は穴開けを生じ得る過度な接合処理の確率を低減する。低ニップ圧力は、接合点内部での繊維の圧縮を低減し、そのうえ空隙の完全な損失を防止する。
【0047】
超音波積層はまた、布90に対する特徴的な側面形状をもたらす。例えば、上記のように、各プライ82及び84の一つの表面は、優位な量(吸収性ステープル繊維より多い量)の熱可塑性繊維を有し、より滑らかな、よりプラスティック様の触感を与え、一方、反対側の表面は優位な量(熱可塑性繊維より多い量)の吸収性ステープル繊維を有し、より柔軟な、より粘稠な感触を与える。これらのプライ82及び84を一つ又はそれ以上の内側プライ80とともに積層する場合には、優位な量の熱可塑性繊維を有する表面がラミネート構造の内側に面し、優位な量の吸収性ステープル繊維を有する表面を外側に残すことが望ましい。このような仕方でプライ82と84を並置することにより、単一プライ構造体に比べて、増加した不透明さ、及び、改善された外観美及び手触りが生じる。優位な量の熱可塑性繊維を有する表面をラミネートの内部中に配置することはまた、熱可塑性繊維はプライが互いにラミネートされた後には見えにくくなるので、無着色の熱可塑性繊維の使用を可能にする。従って、着色された拭取り材は、例えば、吸収性ステープル繊維だけを着色することによって製造することができ、その結果、製造コストを下げることができる。
【0048】
本発明の多プライ布は、特に拭取り材として有用である。該拭取り材は、1平方メートル当たり約20グラム(gsm)から約300gsmまでの、幾つかの実施形態においては、約30gsmから200gsmまでの、さらに幾つかの実施形態においては、50gsmから150gsmまでの坪量をもつ。より低い坪量の製品は典型的には軽負荷拭取り材としての使用に適し、一方、より高い坪量の製品は工業用拭取り材として適している。拭取り材はまた、種々の拭取り作業に対して任意の大きさとすることができる。拭取り材はまた、約8センチメートルから約100センチメートルまでの、幾つかの実施形態においては約10から約50センチメートルまでの、さらに幾つかの実施形態においては約20センチメートルから約25センチメートルまでの幅をもつことができる。さらに、拭取り材は、約10センチメートルから約200センチメートルまでの、幾つかの実施形態においては約20センチメートルから約100センチメートルまでの、さらに幾つかの実施形態においては約35センチメートルから約45センチメートルまでの長さをもつことができる。
【0049】
必要なら、拭取り材は、水、無水ハンドクレンザーなどの液体、又は任意の他の適切な液体を用いてウエット・タイプとすることができる。該液体は、防腐剤、難燃剤、界面活性剤、皮膚軟化薬、湿潤剤、などを含有することができる。一実施形態においては、例えば、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる、Clark他による米国特許出願公報第2003/0194932号に記載されているような無菌化処理を施すことができる。該液体は、噴霧法、浸し法、浸潤法、含浸法、ブラシ塗り法など、当技術分野で既知の任意の適切な方法で加えることができる。拭取り材に加えられる液体の量は、複合布の性質、拭取り材を保管するのに用いられる容器の型、該液体の性質、及び所望の拭取り材の最終用途によって、変えることができる。一般に、各々の拭取り材は、拭取り材の乾燥質量ベースで、約150から約600重量%までの、幾つかの実施形態においては、約300から約500重量%までの液体を含有する。
【0050】
一実施形態においては、拭取り材は、連続したミシン目の入ったロールの形で提供される。ミシン目は、脆弱ラインを与え、それにより拭取り材がより容易に分離される。例えば、一実施形態においては、高さ6”のロールが、v字型に折りたたまれた12”幅の拭取り材を含む。該ロールは12インチ毎にミシン目が入れられて、12”×12”の拭取り材を形成する。もう一つの実施形態においては、拭取り材は個々の拭取り材の積重ねとして提供される。拭取り材は、ロール、箱、タブ、柔軟性梱包材料などを含むが、それらに限定はされない、様々な形態、材料、及び/又は容器内に梱包することができる。例えば、一実施形態においては、拭取り材は、選択的に再封可能な容器(例えば、円筒状の)中に縦に挿入することができる。適切な容器の幾つかの例には、剛性タブ、フィルムパウチなどがある。拭取り材を保持するのに適切な容器の一つの具体例は、容器の頂上部分に再封可能な気密性の蓋(例えばポリプロピレン製の)が取り付けられた剛性の円筒状のタブ(例えばポリエチレン製の)である。この蓋は、初めはキャップの真下に位置する開口部を覆うヒンジ付きのキャップをもつ。該開口部は、密閉容器の内部からの拭取り材の通過を可能にし、それにより個々の拭取り材は、拭取り材をつかんで各ロールのシームを引き離すことによって取り出すことができる。蓋の開口部は、拭取り材を容器から取り出す際に各拭取り材から余分な液体を除去するのに十分な圧力を与えるのに適切な大きさとする。
【0051】
拭取り材を供給するための他の適切な拭取り材ディスペンサ、容器、及びシステムは、Buczwinski他による米国特許第5,785,179号、Zanderによる米国特許第5,964,351号、Zanderによる米国特許第6,030,331号、Haynes他による米国特許第6,158,614号、Huang他による米国特許第6,269,969号、Huang他による米国特許第6,269,970号、及び、Newman他による米国特許第6,273,359号に記載されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
本発明は、以下の実施例を参照することによってよりよく理解することができる。
【0052】
試験方法
以下の試験方法が実施例において利用される。
カリパ:布のカリパは、その厚さに相当する。カリパは、実施例においてTAPPI試験法T402“紙、板、パルプハンドシート及び関連製品に関する標準調節及び試験環境”、又は、積層シートに関するNote 3を伴うT411 om−89“紙、厚紙、及び複合板の厚さ(カリパ)”に従って測定された。T411 om−89を実施するのに用いるマイクロメータは、57.2ミリメートルのアンビル直径と2キロパスカルのアンビル圧力を有するEmveco モデル200A 電子マイクロゲージ(オレゴン州、Newberry所在のEmveco,Inc製)とすることができる。
グラブ引張り強度:グラブ引張り試験は、一方向性応力を受けた際の布の破壊強度の計量法である。この試験は当技術分野で既知であり、連邦試験法標準191Aの方法5100の仕様に適合するものである。その結果は、破壊に要するポンド値で表される。高い数字ほど強い布を示す。グラブ引張り試験は、二つのクランプを使用し、その各々は、試料に接触する仕上げ面をそれぞれが有する二つのジョーをもつ。該クランプは、同じ平面内で、通常垂直に、3インチ(76mm)だけ離れて材料を掴み、所定の伸張速度で離れてゆく。グラブ引張り強度の値は、4インチ(102mm)かける6インチ(152mm)の試料サイズを用いて、1インチ(25mm)かける1インチのサイズのジョー仕上げ面、及び一定の伸張速度300mm/minによって得られる。試料はクランプのジョーより広く、布中の隣接する繊維によって与えられる付加的な強度と組み合わさった、クランプされた幅内の繊維の有効強度の典型値が得られる。例えば、ノースカロライナ州、Cary所在のSintec Corporationから入手可能なSintec 2 テスター、マサチューセッツ州、Canton所在のInstron Corporationから入手可能なInstronモデルTM,又は、ペンシルバニア州、Philadelphia所在のThwing−Albert Instrument Co.から入手可能なThwing−Albert モデルINTELLECT IIに、試験片がクランプされる。このことは、実際の使用における布の応力条件を綿密にシミュレートする。結果は、3つの試験片の平均値として報告され、該試験片を用いて、前後方向(CD)又は機械方向(MD)において行うことができる。
【0053】
水取り込み速度:水取り込み速度は、材料表面上の存在量に対して試料が液体を完全にウェブ内に吸収するのに要する秒単位の時間である。具体的には、水の取り込みは、ASTM No.2410に従って、0.5立方センチメートルの水を、ピペットを用いて材料表面上に放出することによって測定される。4つの0.5立方センチメートルの水滴を(1面当たり2滴)各材料表面に加える。4滴の水が材料中に(z方向)吸込まれる平均時間を記録する。秒単位で測定され、より短い吸収時間は、より早い取り込み速度を示す。試験は、73.4°±3.6°F及び50%±5%の相対湿度において行われる。
油取り込み速度:油の取り込み速度は、試料が所定量の油を吸込むのに要する秒単位の時間である。50Wの潤滑油の取り込みは、水に関して上述したのと同じ方法で測定されるが、但し、4滴(1面当たり2滴)の各々に対して0.1立方センチメートルの油が使用される。
吸収容量:吸収容量は、ある時間の間に液体(例えば、水又は潤滑油)を吸収する材料の容量を表し、飽和点において材料が保持する液体の総量に関係する。吸収容量は、工業及び施設用タオル、及び拭取り紙に関する連邦規格No.UU−T−595Cに従って測定される。具体的には、吸収容量は、液体の吸収によって生ずる試料の重量増加によって決められ、以下の式を用いて、吸収された液体の重量、又は、吸収された液体の重量%として表される。
吸収容量=(飽和した試料の重量−試料の重量)
又は、
%吸収容量=[(飽和した試料の重量−試料の重量)/試料の重量]]×100
【0054】
テーバ耐磨耗性:テーバ耐磨耗性は、制御された回転摩擦作用によってもたらされた布の破壊に関する耐摩耗性を測定するものである。耐摩耗性は、ここで別記されていることを除いて、連邦試験法標準No.191Aである方法5306に従って測定される。試験片を摩擦するのに単一のホイールだけを用いる。摩擦ヘッド上にゴム製ホイール(No.H−18)、及び各アーム上に500グラムの釣合重りを有するテーバ標準摩擦機(モデルNo.E−140−15の試験片ホルダーを備えたモデルNo.504)の試験片プラットホームに、12.7×12.7cmの試験片がクランプされる。破壊強度の損失は、耐摩耗性を決定する基準としては用いない。結果は、破損時の摩擦サイクルで得られ、報告されるが、その際、布中に0.5cmの穴が生じた時点で損傷が起こったと判断した。
【0055】
ドレープ剛性:「ドレープ剛性」試験は、材料の曲げに対する抵抗力を測定するものである。曲げの長さは、材料の重量と剛性の間の相互作用の尺度であり、材料がそれ自体の重量で曲がる仕方によって、換言すれば、複合材料のそれ自体の重量下におけるカンチレバー曲げの原理を利用することによって示されるものである。一般に、試料を1分当たり4.75インチ(12cm/min)の速度でその長さ方向に平行の方向に滑らせて、その前縁が水平表面の端から突き出るようにする。試料の先端がそれ自体の重量によって下がり、その先端とプラットホームの端を結ぶ直線が水平方向に対して41.50°の角度を成す点まで下がったときの、張出し部分の長さを測定した。張出し部分が長いほど、試料の曲がるのが遅くなる。従って、より高い数値は、より堅い複合材を示す。この方法は、ASTM標準試験D1388の仕様に適合するものである。ドレープ剛性は、インチ単位で測定され、試験片の張出し部分が41.50°の勾配に達したときの試験片張出し部分の長さの半分である。試験試料は次のように準備した。試料は、1インチ(2.54cm)幅及び6インチ(15.24cm)の長さを有する長方形の片に切り分けた。各試料の試験片は、機械方向及び前後方向において試験した。ニューヨーク州Amityville所在のTesting Machines Inc.から入手可能なFRL−カンチレバー曲げ試験器、モデル79−10などの、適切なドレープ曲げ剛性試験器を用いて試験を行った。
【0056】
剥離強度:この試験は、ラミネートされた布のプライ間の接合強度を測定するものである。剥離又は層間剥離試験においては、ラミネート製品が、プライを他のプライから引き離すのに要する引張り力の量に関して試験される。剥離強度の値は、約6×4インチの試験片(MD方向に6インチ)において一定幅の布試料を用いて得られる。試験片のプライは、試験片の長さ方向に沿って約2インチの距離だけ手で引き離される。次に一つのプライを引張り試験装置の各ジョーの内にクランプし、一定速度で伸張させる。二つのクランプを用い、それぞれのクランプは、負荷適用方向に平行に1インチで負荷適用方向に垂直に4インチである大きさの等しい二つのジョーを有する。例えば、Instron Model(登録商標)1000、1122、又は1130(マサチューセッツ州、Canton所在のInstron Corporationから入手可能)、Sintech Tensile Tester、Sintech QAD又はSintech Testwork(ノースカロライナ州、Research Triangle Park所在のSintech,Incから入手可能)、又は、Thwing−Albert,Model INTELLECT II(ペンシルバニア州、Philadelphia所在のThwing−Albert Instrument Companyから入手可能)を使用して、試料をクランプする。次に、試料を分離の180度方向に2インチ引き離して、平均の剥離強度をグラム単位で記録する。12±0.4in/min(300±10mm/min)の一定速度の伸張が適用される。剥離強度は、接合された布を180度方向に2インチの距離にわたって引き離すのに要する、グラム単位の平均力である。
【実施例1】
【0057】
本発明による多プライ布を形成できることが論証された。二つの複合型外側プライの間に挟まれた内側プライを有する複合的な3プライ試料が形成された。各々の複合外側プライは、Everhart他による米国特許第5,284,703号によって作られた。具体的には、複合プライは、1平方メートル当たり11.3グラムの坪量をもつ点接合されたスパンボンドウェブから形成された。スパンボンドウェブは、一つのフィラメント当たりおよそ3.0のデニールをもつ100%ポリプロピレンの繊維を含むものであった。該スパンボンドウェブは、1平方インチ当たり1100ポンドの交絡圧力において3つのジェットストリップ法を用いて、粗ワイヤー上で、パルプ繊維成分と水圧交絡された。該パルプ繊維成分は、LL−19北方軟木クラフト繊維(Kimberly−Clark Corporationから入手可能)及び1重量%のArosurf(登録商標)PA801(Goldschmidtから入手可能なデボンダローラ)を含有するものであった。該パルプ繊維成分はまた、2重量%のPEG(ポリエチレングリコール)600を含むものであった。水圧交絡後、該複合材料は乾燥され、Air Products,Inc.から”Airflex A−105”(粘性率が95cpsで固体成分28%)という商品名で入手可能なエチレン/ビニルアセテート共重合ラテックス接着剤を用いてドライヤーにプリント接合され、次いで、30%のクレープ度を用いてクレープされる。得られる複合材料は、30重量%のスパンボンドウェブ及び70重量%のパルプ繊維成分を含み、1平方メートル当たり64グラムの坪量を有するものであった。
【0058】
内側プライは3プライ試料に関して種々に変えられた。具体的には、幾つかの3プライ試料の内側プライは、100重量%のポリプロピレン繊維を含有し、45gsmの坪量をもつ接合されたカーディングされた不織ウエブであった。他の3プライ試料の内側プライは、100重量%のポリプロピレン繊維から形成され、30gsmの坪量をもつ、点接合されたスパンボンドウェブであった。最後に、さらに他の3プライ試料の内側プライは、100重量%のポリプロピレン繊維から形成され、22.6gsmの坪量をもつ、点接合されたスパンボンドウエブであった。
【0059】
多プライ試料を形成するために、プライは、イリノイ州、Schaumburg所在のHerrmann Ultrasonicsから“非接触/非損耗超音波溶接システム”という商品名で取得された超音波ラミネータを通された。該超音波ラミネータは、それぞれが6インチの幅をもつ二つ(2)の静止ホーンと、パターン刻印されたアンビルロールと、4000ワットの発電機と、間隔検知素子システムとを利用したものである。該間隔検知素子システムは、所期の力を維持するために、超音波ホーンとアンビルの間の間隔設定値をモニターして次第に変化させた。3プライ試料を形成するために、種々の条件(即ち、ライン速度、ラミネーション力、及びアンビルロールの接合パターン)が用いられ、下の表1に示されている。
表1 3プライ試料を形成するための条件

1パターンAは4.7%の全接合面積をもつ縞模様。パターンBは10.7%の全接合面積をもつ縞模様。パターンCは5.9%の全接合面積をもつドット・パターン。
【0060】
3プライ試料との比較のために、2プライ試料も不織複合材料から形成された。該2プライ試料は、Kimberly−Clark Corp.から市販されている種々の拭取り材から形成された。“Primere(登録商標)”と呼ばれるプライは、1平方メートル当たり約64グラム(gsm)の坪量を有し、北方軟木クラフト繊維と水圧交絡されたポリプロピレン製スパンボンドウェブ(11.3gsm)から形成された。“Wypall(登録商標)X70Blue”と呼ばれるプライは、およそ82gsmの坪量を有し、北方軟木クラフト繊維と水圧交絡されたポリプロピレン製スパンボンドウェブ(22.7gsm)から形成された。最後に、“Wypall(登録商標)X60White”と呼ばれるプライは、およそ64gsmの坪量を有し、北方軟木クラフト繊維と水圧交絡されたポリプロピレン製スパンボンドウェブ(11.3gsm)から形成された。
【0061】
2プライ試料は、3プライ試料に関して上述されたのと同じ超音波ラミネータを用いてラミネートされた。2プライ試料の形成のための条件は下の表2に示されている。







表2 2プライ試料のための条件

1パターンAは4.7%の全接合面積をもつ縞模様。パターンBは10.7%の全接合面積をもつ縞模様。パターンCは5.9%の全接合面積をもつドット・パターン。
【0062】
次に、幾つかの2プライ及び3プライ試料の物理的性質が試験された。その結果は下の表3−表4に示されている。
表3 3プライ試料の吸油性および剥離強度
















表4 2プライ試料の吸油性及び剥離速度

【0063】
示されているように、3プライ試料は良好な吸油性及び剥離強度に達した。例えば、上に示された試料のうち、試料1は最高の吸収容量、即ち493.0%を示し、また良好な剥離強度値に達している。
さらに、比較のため種々の1プライ試料も準備した。具体的には、一つの試料はKimberly−Clark Corp.からWypall(登録商標)X80 Orangeという名で市販されている単プライ拭取り材であった。Wypall(登録商標)X80 Orange拭取り材は、125gsmの坪量をもち、北方軟木クラフト繊維と水圧交絡されたポリプロピレン製スパンボンドウェブ(22.7gsm)を含有するものであった。もう一つの試料は、ウィスコンシン州、Green Bay所在のTufco,Inc.から市販されていて、およそ207gsmの坪量をもつ単プライ拭取り材と思われる“TufPro Rental Shop Towel”であった。
1プライ試料の種々の性質を試験して、上記の仕方で形成された2プライ及び3プライ試料と比較した。その結果は下の表5に示されている。
X1N−778(PSD998)
表5 試料の性質

1上記のように、この3プライ試料は不織複合外側プライ(30%スパンボンド/70%パルプ、64gsm)から形成され、内側プライとして接合されたカーディングされたウェブ(100%ポリプロピレン、45gsm)を含有するものであった。
2上記のように、この3プライ試料は不織複合外側プライ(30%スパンボンド/70%パルプ、64gsm)から形成され、内側プライとしてスパンボンドウェブ(100%ポリプロピレン、30gsm)を含有するものであった。
3上記のように、この2プライ試料の各プライは、Kimberly−Clark Corp.からPrimere(登録商標)の名で入手できる拭取り材から形成された。
4上記のように、この2プライ試料の各プライは、Kimberly−Clark Corp.からWypall(登録商標)X60 Blueの名で入手できる拭取り材から形成された。
【0064】
示されているように、3プライ試料は、水及び油に関する吸収速度と吸収容量の両方によって評価されるように、非常に優れた吸収特性を与える。3プライ試料はまた、改善された良好な強度及び感触特性を与える。
【0065】
本発明は、その特定の実施形態に関して詳細に説明されているが、当業者は、前記の記述内容を達成し理解することにより、これらの実施形態の変更、改変、及び同等物を容易に考え出せることが理解されるであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその任意の同等物として判断されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態によって形成される3プライ布の略図である。
【図2】本発明の一実施形態において使用される水圧交絡された不織複合材料を形成するプロセスの略図である。
【図3】本発明の一実施形態による3プライ布を超音波法によってラミネート加工するプロセスの略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多プライ布を形成する方法であって、前記方法が、
熱可塑性繊維を含有する不織層からなる少なくとも一つの内側プライを、各々が熱可塑性繊維及び吸収性ステープル繊維を含有する不織複合材料からなる第1の外側プライと第2の外側プライとの間に配置し、
前記内側プライと、前記第1外側プライと、前記第2外側プライとを超音波法で互いにラミネートするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1外側プライ、前記第2外側プライ、又はそれらの組合せの前記不織複合材料が、約50重量%より少ない前記熱可塑性繊維と、約50重量%より多くの前記吸収性ステープル繊維を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1外側プライ、前記第2外側プライ、又はそれらの組合せの前記不織複合材料が、約10重量%から約40重量%までの前記熱可塑性繊維と、約60重量%から約90重量%までの前記吸収性ステープル繊維を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1外側プライ、前記第2外側プライ、又はそれらの組合せの前記吸収性ステープル繊維がパルプ繊維であることを特徴とする、請求項1,2、又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1外側プライ、前記第2外側プライ、又はそれらの組合せの前記熱可塑性繊維が実質的に連続であることを特徴とする、上記請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1外側プライ、前記第2外側プライ、又はそれらの組合せの前記不織複合材料中の前記吸収性ステープル繊維と前記熱可塑性繊維が水圧交絡又はブレンドされることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
多プライ布を形成する方法であって、前記方法が、
熱可塑性繊維を含有する不織層からなる少なくとも一つの内側プライを、各々が実質的に連続なポリオレフィン繊維から形成され、かつ、パルプ繊維と水圧交絡されたスパンボンドウェブを含有する不織複合材料からなり、前記パルプ繊維が前記不織複合材料の約50重量%より大きな部分を構成している第1の外側プライと第2の外側プライとの間に配置し、
前記内側プライと、前記第1外側プライと、前記第2外側プライとを超音波法で互いにラミネートする、
ステップを含む方法。
【請求項8】
第1の外側プライと第2の外側プライの間に配置された少なくとも一つの内側プライを有する多プライ布であって、前記第1外側プライ及び前記第2外側プライのそれぞれが、パルプ繊維と水圧交絡された実質的に連続な熱可塑性繊維を含有する不織複合材料からなり、前記パルプ繊維が前記不織複合材料の約50重量%より大きな部分を構成しており、前記内側プライが熱可塑性繊維を含有する不織層からなり、前記内側プライ、前記第1外側プライ、及び前記第2外側プライが超音波法で互いにラミネートされていることを特徴とする多プライ布。
【請求項9】
前記不織複合材料が、約60重量%から約90重量%までの前記パルプ繊維を含むことを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の方法又は多プライ布。
【請求項10】
前記第1の外側プライと前記第2の外側プライが、多プライ布の互いに反対側に向いた外側表面を形成することを特徴とする、請求項8に記載の多プライ布。
【請求項11】
複数の連続した空隙を有する接合領域をさらに含むことを特徴とする、請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の多プライ布。
【請求項12】
前記不織複合材料の実質的に連続な前記熱可塑性繊維が、ポリオレフィン繊維であることを特徴とする、請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の多プライ布。
【請求項13】
前記第1外側プライの第1の表面と前記第2外側プライの第2の表面のそれぞれが、熱可塑性繊維より多い量のパルプ繊維を含むことを特徴とする、請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載の多プライ布。
【請求項14】
前記不織層の前記熱可塑性繊維が実質的に連続であることを特徴とする、上記請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の方法又は多プライ布。
【請求項15】
前記内側プライの前記不織層が、約50重量%より多くの熱可塑性繊維を、好ましくは約90重量%より多くの熱可塑性繊維を含有することを特徴とする、上記請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の方法又は多プライ布。
【請求項16】
前記内側プライの前記不織層が、さらに吸収性ステープル繊維を含有することを特徴とする、上記請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の方法又は多プライ布。
【請求項17】
前記内側プライの前記不織層が、約50重量%より多くの吸収性ステープル繊維を、好ましくは約60重量%から約90重量%までの吸収性ステープル繊維を含有することを特徴とする、請求項16に記載の方法又は多プライ布。
【請求項18】
前記不織層の前記吸収性ステープル繊維がパルプ繊維であることを特徴とする、請求項16又は請求項17に記載の方法又は多プライ布。
【請求項19】
前記不織層の前記吸収性ステープル繊維と前記熱可塑性繊維とが水圧交絡又はブレンドされることを特徴とする請求項16から請求項18までのいずれか1項に記載の方法又は多プライ布。
【請求項20】
前記内側プライの前記不織層が1平方メートル当たり約10から約200グラムまでの坪量をもつ、上記請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の方法又は多プライ布。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−516875(P2007−516875A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546946(P2006−546946)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/018875
【国際公開番号】WO2005/068178
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】