説明

超音波洗浄用インジケータ

【課題】超音波洗浄中に洗浄対象品に照射された超音波の強度を測定できない従来の超音波用インジケータの課題を解決する。
【解決手段】洗浄対象品が収容されるバスケットに取り付けられて超音波洗浄に供され、照射された超音波の強度を表示する超音波洗浄用インジケータであって、前記超音波洗浄用インジケータには、照射された超音波の強度に応じて侵食されるアルミニウム箔12と、照射された超音波をアルミニウム箔12に伝達するプロピレングリコール14とが、透明で且つ前記超音波を内部に伝達可能な樹脂フィルムから成り、一端部側に前記バスケットに取り付けることのできる取付部16が設けられている袋体10内に封入され、プロピレングリコール14には、袋体10の取付部が取り付けられたバスケットを超音波洗浄用の洗浄液に浸漬したとき、袋体10の他端部側が洗浄液の液面方向に浮くように気泡18が混入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波洗浄用インジケータに関し、更に詳細には照射された超音波の強度を表示する超音波洗浄用インジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等において、手術等に用いた鋏や装置の部材等に付着した血液等の付着物質を洗浄すべく、付着物質が付着した洗浄対象品に超音波洗浄を施すことが多い。
かかる超音波洗浄では、図8に示す様に、付着物質が付着した洗浄対象品W,W・・を収容したバスケット100を、深さHの洗浄液が貯留された洗浄槽102内に浸漬し、洗浄槽102の外周の底面側に装着された超音波発振器104から超音波を発振して洗浄を行う。
図8に示す超音波洗浄装置では、超音波発振器104から発振された超音波は、洗浄液の液面と洗浄槽102の底面との間で反射を繰り返し、位相が互いに一致する定在波を形成する。この定在波の節の部分では、大きな音圧変化により発生するキャビテーション作用が対応する洗浄対象品Wに衝撃を与えて表面に付着している付着物質を破壊又は剥離して洗浄対象品Wの洗浄に資する。
この様に、超音波洗浄では、バスケット100内に収容した洗浄対象品W,W・・が、超音波発振器104から発振された超音波の定在波の節及びその近傍に位置していることが必要である。
このため、予め洗浄対象品W,W・・が超音波の定在波の節又はその近傍に位置していることを確認すべく、下記特許文献1では、超音波洗浄前に、超音波発振器から発振された超音波の定在波の節部の位置を確認することが提案されている。
【0003】
下記特許文献1では、図6に示す様に、超音波発振器(図示せず)が外側底面側に装着されて洗浄液が貯留された洗浄槽200内に、インジケータとしてのテスト板202を洗浄液の液面に対して直角となるように立設して、超音波発振器から超音波洗浄に用いる周波数の超音波を発振し、テスト板202の侵食された位置から定在波の節の部分の位置を確認することが提案されている。
かかるテスト板202は、図7(a)に示す様に、OHPフィルム202の一面側に、対比可能な色彩の顔料を含む複数の付着層206,208,210が形成されている。このため、テスト板202には、定在波の節部によって、図7(b)に示す侵食212が形成される。かかる侵食212の底面には、付着層208,210と色彩が異なる付着層206の表面が露出している。
従って、侵食212の位置を容易に認識でき、且つ侵食212の底面に露出している付着層の色彩によって、侵食の程度も容易に推定できる。
【特許文献1】特開平6−63521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6及び図7に示す様に、超音波洗浄前に使用周波数の超音波を超音波発振器から発振して定在波の節位置を調査しておくことによって、図8に示すバスケット100を超音波洗浄に最適な位置に設定でき、洗浄対象品W,W・・の付着物質の破壊や剥離を効率的に行うことができる。
しかしながら、図6及び図7に示す超音波用インジケータとしてのテスト板202は、超音波洗浄中に洗浄槽200内に挿入することはできず、超音波洗浄中に洗浄対象品W,W・・に及ぼす超音波の強度は何等管理されていない。
このため、超音波洗浄後の洗浄対象品W,W・・の付着物質の除去が不十分であった場合、超音波発振器の故障によるものか、或いは洗浄対象品W,W・・が最適位置に載置されていなかったことによるかの判断が容易ではない。
そこで、本発明は、超音波洗浄中に洗浄対象品に照射された超音波の強度を測定できない従来の超音波用インジケータの課題を解決し、超音波洗浄中に洗浄対象品に照射された超音波の強度を測定できる超音波用インジケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討した結果、プロピレングリコールとアルミニウム箔とを封入した、樹脂フィルムで形成した袋体を、洗浄対象品と共にバスケット内に収容して超音波洗浄に供し、アルミニウム箔の侵食程度によって超音波洗浄中に洗浄対象品に照射された超音波の強度を知ることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、洗浄対象品が収容されるバスケットに取り付けられて超音波洗浄に供され、照射された超音波の強度を表示する超音波洗浄用インジケータであって、前記超音波洗浄用インジケータには、照射された超音波の強度に応じて侵食されるアルミニウム箔と、照射された超音波を前記アルミニウム箔に伝達する伝達液とが、前記アルミニウム箔の侵食程度が外部から観察できる程度に透明で且つ前記超音波を内部に伝達可能なフィルムから成り、一端部側に前記バスケットに取り付けることのできる取付部が設けられている袋体内に封入され、前記伝達液には、前記袋体の取付部が取り付けられたバスケットを超音波洗浄用の洗浄液に浸漬したとき、前記袋体の他端部側が上方に浮くように気泡が混入されていることを特徴とする超音波洗浄用インジケータにある。
【0006】
かかる本発明において、取付部をバスケットを形成する網体の網目内に押し込んで取り付けができるようにフィルムによって形成することによって、容易に袋体をバスケットに取り付けることができる。
更に、アルミニウム箔として、前記アルミニウム箔内に照射した超音波によって形成される定在波の節間距離以上の長さのアルミニウム箔を用いることによって、確実に定在波の節位置を確認できる。
また、超音波洗浄用インジケータを、洗浄対象品の超音波洗浄の前又は後に施される熱水洗浄にも晒される超音波洗浄用インジケータであって、伝達液として、前記熱水洗浄の熱水温度よりも高い沸点温度の耐熱性伝達液を用いることによって、熱水洗浄で伝達液が沸騰して袋体が破裂する事態を防止できる。
かかる伝達液としては、エチレングリコール又はプロピレングリコールを好適に用いることができる。
本発明で用いる袋体としては、樹脂フィルムによって形成されている袋体を好適に用いることができ、特にポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートから成る樹脂フィルムによって形成された袋体によれば、熱水洗浄の熱水温度に対して充分に耐久性を呈することができる。
尚、気泡としては、空気から成る気泡が好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る超音波洗浄用インジケータによれば、洗浄対象品が収容されたバスケットに取り付けて超音波洗浄に供することができる。
しかも、超音波洗浄用インジケータの袋体の一端部に設けられた取付部によって取り付けられたバスケットを超音波洗浄用の洗浄液に浸漬したとき、袋体内に封入された伝達液内に気泡が混入されているため、袋体の他端部側が上方に浮いて袋体が、袋体内に封入されたアルミニウム箔が超音波の定在波に沿うように自立できる。
このため、超音波洗浄後に、バスケットから超音波洗浄用インジケータを取り出して、袋体内のアルミニウム箔の侵食程度を観察することによって、超音波洗浄中に超音波発振器から正常に超音波が発振されていたことの確認は勿論のこと、超音波洗浄中に照射された超音波の定在波の節部又はその近傍に洗浄対象品が位置していることも確認できる。
更に、アルミニウム箔が侵食されたことによるアルミニウムの微細片や粉は、袋内に閉じ込められており、洗浄液中に分散されることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る超音波洗浄用インジケータの一例を図1に示す。図1に示す超音波洗浄用インジケータは、照射された超音波を内部に伝達することができる厚み0.05〜0.2mmのポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートから成る樹脂フィルムよって形成された長方形の袋体10内に、図1に示す様に、短冊状のアルミニウム箔12が封入されている。このアルミニウム箔12は、超音波洗浄用インジケータに用いられる超音波の定在波の節間距離以上の長さである30mmに切断されている。
更に、袋体10内には、袋体10に照射された超音波をアルミニウム箔12に伝達できる伝達液として、プロピレングリコール14も封入されている。このプロピレングリコール14中には、空気から成る気泡18が混入されている。
プロピレングリコール14の沸点は187.3℃であるため、プロピレングリコール14が封入された袋体10に熱水洗浄を施しても、封入されたプロピレングリコール14の沸騰によって袋体10が破裂することはない。
かかる伝達液としては、プロピレングリコールに代えてエチレングリコール(沸点197.8℃)を用いることができる。
尚、エチレングリコール及びプロピレングリコールも、例え袋体10が破損して洗浄液中に混入しても、医療用洗浄剤の添加物として使用されており、何等問題はない。
【0009】
かかる袋体10の一端部側には、図1に示す様に、取付部16が設けられている。この取付部16は、図2に示す様に、細幅状の樹脂フィルムによって三角形の環状体に形成されている。
この取付部16は、容易に変形でき、図3に示す様に、網体20の網目に挿入して、袋体10を容易に網体20に取り付けることができる。
このため、図4に示す様に、鋏や鉗子等の洗浄対象品が収容されたバスケットの網体20に、袋体10の取付部16を容易に取り付けることができる。
この様に、バスケットの網体20に取付部16が取り付けられた超音波洗浄用インジケータは、バスケットに収容された鋏や鉗子等の洗浄対象品と共に、図8に示す様に、深さHの洗浄液が貯留された洗浄槽102内に浸漬したとき、超音波洗浄用インジケータの袋体10内のプロピレングリコール14中に混入された気泡18が浮きの役目をする。
従って、袋体10は、その他端部側が洗浄液の液面方向に浮き上がって、洗浄液の液面に対して垂直方向に自立する。
【0010】
この様に自立した袋体10内のアルミニウム箔12は、洗浄槽102の外側底面に設けられた超音波発振器104から発振される超音波の定在波に沿って位置する。このため、超音波洗浄後に、アルミニウム箔12の侵食位置を測定することによって、超音波の定在波の節位置を確認でき、且つ超音波洗浄中に所定周波数の超音波が正常に発振されていたことも判り、洗浄対象品が正常に超音波洗浄されたことを保証できる。
また、アルミニウム箔12は袋体10内に封入されており、侵食によるアルミニウムの微細片や粉も袋体10内に封入されている。このため、アルミニウム箔12の侵食によって生成したアルミニウムの微細片や粉が洗浄水に飛散して、洗浄対象品に付着する事態を防止できる。
【0011】
ところで、近年、手術等に用いた鋏や装置の部材等の洗浄対象品に対しては、超音波洗浄の前後に熱水洗浄を施した後、乾燥を施す洗浄装置も使用されている。この洗浄装置を使用した場合にも、一連の洗浄・乾燥が終了してバスケットから洗浄対象品を取り出したとき、超音波洗浄用インジケータの袋体10もバスケットから取り出し、封入されているアルミニウム箔12の侵食程度を観察することによって、超音波洗浄が正常に為されたことを確認できる。
かかる洗浄装置の一例を図5に示す。図5に示す洗浄装置では、種々の洗浄コースが制御部80内に記憶されており、例えば予備洗浄→ジェット洗浄→超音波洗浄→すすぎ洗浄→熱水処理→乾燥を施す洗浄コースを選択できる。
かかる洗浄コースでは、先ず、洗浄対象品が収容され且つ図1に示す超音波洗浄用インジケータの取付部16が網体の網目に取り付けられたバスケット32,32・・を洗浄槽30内に挿入して予備洗浄を施す。
【0012】
予備洗浄では、バスケット32,32・・が挿入された洗浄槽30内に、制御部80からの信号によって制御弁50aを開いて配管48aからポット部44(入口部にネット44aが取り付けられている)に水を供給しつつ、制御部80からの信号によってポンプ70を駆動する。この際に、制御部80からの信号によって、切替弁73を開き且つ切替弁71を閉じ、配管74,72を経由して、ポット部44内の水を噴射ノズル42a,42bからバスケット32,32・・に収容された洗浄対象品に水を噴射して、所定時間予備洗浄を施す。
予備洗浄を施した水は、制御部80からの信号によって切替弁75を開いて、配管68aを経由して排出管76から系外に排出する。
【0013】
予備洗浄を施したバスケット32,32・・に収容された洗浄対象品と超音波洗浄用インジケータとに対してジェット洗浄を施す。ジェット洗浄では、制御部80からの信号によって、配管48bの制御弁50bを開くと共に、配管48cの制御弁50cを開き、配管46からポット部44に温水及び洗剤を供給しつつ、ポンプ70を駆動する。この際に、制御部80からの信号によって、切替弁73を開くと共に、切替弁71を閉じ、配管74,72を経由して、ポット部44内の洗剤含有の温水を噴射ノズル42a,42bから噴射して、所定時間ジェット洗浄を施す。
ジェット洗浄が終了したとき、制御部80からの信号によって、ポンプ70を停止し、切替弁75を開き且つ切替弁73を閉じて、ジェット洗浄を施した洗剤含有の温水を、配管68aを経由して排出管76から系外に排出する。
【0014】
ジェット洗浄が終了したバスケット32,32・・に収容された洗浄対象品と超音波洗浄用インジケータには、超音波洗浄を施す。超音波洗浄を施す際には、先ず、制御部80からの信号によって、切替弁71,73を開いて、リザーブタンク34に貯留されている洗剤含有の洗浄水を、噴射ノズル42a,42bを経由して洗浄槽30内に供給する。洗浄槽30内のバスケット32,32・・に収容された洗浄対象品が洗浄水に充分に浸漬されたとき、制御部80からの信号によって、切替弁71,73を閉じて洗浄水の供給を停止する。この際に、袋体10に封入されたプロピレングリコール14中に混入された気泡18によって、袋体10の他端部側が洗浄液の液面方向に浮き上がって、袋体10は洗浄液の液面に対して垂直方向に自立する。
次いで、制御部80からの信号によって超音波発振器40を駆動し、洗浄槽30内の洗浄対象品に超音波を所定時間照射する。かかる超音波の照射によって、ジェット洗浄を施しても洗浄対象品に残存している汚れを除去できる。
同時に、超音波洗浄用インジケータの袋体10内に封入されたアルミニウム箔12が照射された超音波によって侵食される。
【0015】
超音波洗浄が終了したとき、洗浄槽30内の洗浄水をリザーブタンク34に移動する。超音波洗浄を施す洗浄対象品には、予備洗浄及びジェット洗浄が施されており、殆どの汚れが除去されている。このため、超音波洗浄によって洗浄対象品から洗浄される汚れは少なく、超音波洗浄が終了した洗浄水は再利用可能だからである。
洗浄槽30内の洗浄水は、制御部80からの信号によって、ポンプ70を起動すると共に、切替弁73を閉じ且つ切替弁71を開くことによって、リザーブタンク34に移動できる。この際に、ポンプ70から送液された洗浄水は、分岐管68cを経由して底部からリザーブタンク34内に送液されると共に、上部に設けられた噴射ノズル64からもリザーブタンク34内に噴射される。噴射ノズル64は、噴射する噴射流によって回転する回転噴射ノズルであり、噴射流はリザーブタンク34の内側面に向かって噴射され、内側面に付着物が付着することを防止している。
洗浄槽30内の洗浄水の送液が終了したとき、制御部80からの信号によって、ポンプ70を停止すると共に、切替弁71を閉じる。
【0016】
超音波洗浄を終了した洗浄対象品及び超音波洗浄用インジケータに対し、すすぎ洗浄を行う。すすぎ洗浄では、制御部80からの信号によって、洗浄槽30内に制御弁50aを開いて配管46からポット部44に水を供給しつつ、ポンプ70を駆動する。この際に、制御部80からの信号によって、切替弁73を開き且つ切替弁71を閉じ、配管74,72を経由して、ポット部44内の水を噴射ノズル42a,42bから洗浄対象品に水を噴射して、所定時間すすぎ洗浄を施す。
すすぎ洗浄を施した水は、制御部80からの信号によって切替弁75を開き、配管68aを経由して排出管76から系外に排出する。
次いで、すすぎ洗浄を施した洗浄対象品と超音波洗浄用インジケータとに対し、熱水処理を施す。熱水処理は、洗浄器材からの感染を防止するためのものであって、93℃の熱水を約10分程度洗浄器材に散布することによって行う。
かかる熱水洗浄に超音波洗浄用インジケータの袋体10が晒されても、袋体10を形成するポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートから成る樹脂フィルムは充分な耐熱性を呈することができ、袋体10が損傷されることはない。
【0017】
かかる熱水処理では、制御部80からの信号によって、配管48bの制御弁50bを開くと共に、配管48cの制御弁50cを開き、配管46からポット部44に温水を供給しつつ、ポット部44に具備する加熱ヒータ45によってポット部44に供給された温水を93℃の熱水とする。ポット部44の熱水は、制御部80からの信号によって、ポンプ70を駆動すると共に、切替弁73を開き且つ切替弁71を閉じることによって、配管74,72を経由して噴射ノズル42a,42bから洗浄対象品に噴射できる。かかる洗浄対象品に対する熱水処理は、熱水を洗浄槽30に循環しつつ所定時間施す。
熱水処理が終了したとき、制御部80からの信号によって、加熱ヒータ45の加熱を停止すると共に、ポンプ70を停止し、切替弁75を開き且つ切替弁73を閉じて、熱水処理を施した熱水を配管68aを経由して排出管76から系外に排出する。
【0018】
熱水処理を施した濡れた洗浄対象品及び超音波洗浄用インジケータに対して乾燥を施す。この乾燥では、乾燥空気を循環使用する。この乾燥においても、超音波洗浄用インジケータの袋体10を形成するポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートから成る樹脂フィルムは充分な耐熱性を呈することができ、袋体10が損傷されることはない。
かかる乾燥では、制御部80からの信号によって、送風ファン52を起動し且つダンパー58を開くと共に、冷却器62に、配管63の制御弁66を開いて冷却水を導通する。
送風ファン52で送風された空気は、送風管56の途中に設けられているヒータ54によって所定温度に加熱されて、ダンパー58及び配管46を通過して、ポット部44から洗浄槽30内に供給される。洗浄槽30内に供給された加熱空気は、洗浄対象品を乾燥しつつ、吸湿空気は洗浄槽30の上部に一端が接続された排気管60から抜き出される。
洗浄槽30の上部から抜き出された吸湿空気は、排気管60の途中に設けられた冷却器62で冷却して除湿する。冷却器62内で発生した凝縮水は、配管62aを経由して、排出管76から系外に排出される。除湿した乾燥空気は、排気管60を経由して送風ファン52に吸引されて再使用される。
かかる乾燥を所定時間施した後、制御部80からの信号によって、送風ファン52を停止し且つダンパー58を閉じることによって乾燥を終了する。その後、洗浄槽30から洗浄器対象品が収容され且つ超音波洗浄用インジケータが取り付けられたバスケット32,32・・を取り出すことができる。
【0019】
一連の洗浄工程が終了して取り出された超音波洗浄用インジケータの袋体10は、何等の損傷も受けておらず、且つ内部が外部から観察できる程度に透明な樹脂フィルムによって形成されている。このため、袋体10内に封入されているアルミニウム箔12の侵食程度を袋体10の外部から観察でき、超音波洗浄の際に、バスケット32,32・・に収容された洗浄対象品が充分に超音波洗浄されたことを確認できる。
しかも、アルミニウム箔12の侵食によって生成したアルミニウムの微細片は、袋体10内に封入されており、洗浄水に飛散して洗浄対象品に付着する事態を防止できる。
尚、バスケット32,32・・内に、洗浄対象品の総合的な洗浄状態を評価すべく、例えば特開2007−75744号公報に提案されている洗浄評価器具を並存させておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る超音波洗浄用インジケータの一例を示す正面図である。
【図2】図1に示す超音波洗浄用インジケータの袋体10に設けられた取付部16を示す部分側面図である。
【図3】図1に示す超音波洗浄用インジケータの袋体10の取付部16を網体20に取り付けた状態を説明する説明図である。
【図4】洗浄対象品が収容されたバスケットの網体に取り付けられた超音波洗浄用インジケータの状態を説明する説明図である。
【図5】本発明に係る超音波洗浄用インジケータが洗浄対象品と共に洗浄が施される洗浄装置の一例を説明するための説明図である。
【図6】従来の超音波洗浄槽内の超音波の評価方法を説明するための説明図である。
【図7】図6に示す評価方向に用いる試料の部分断面図である。
【図8】超音波洗浄装置の一例を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0021】
10 袋体
12 アルミニウム箔
14 プロピレングリコール
16 取付部
18 気泡
20 網体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象品が収容されるバスケットに取り付けられて超音波洗浄に供され、照射された超音波の強度を表示する超音波洗浄用インジケータであって、
前記超音波洗浄用インジケータには、照射された超音波の強度に応じて侵食されるアルミニウム箔と、照射された超音波を前記アルミニウム箔に伝達する伝達液とが、前記アルミニウム箔の侵食程度が外部から観察できる程度に透明で且つ前記超音波を内部に伝達可能なフィルムから成り、一端部側に前記バスケットに取り付けることのできる取付部が設けられている袋体内に封入され、
前記伝達液には、前記袋体の取付部が取り付けられたバスケットを超音波洗浄用の洗浄液に浸漬したとき、前記袋体の他端部側が洗浄液の液面方向に浮くように気泡が混入されていることを特徴とする超音波洗浄用インジケータ。
【請求項2】
取付部が、バスケットを形成する網体の網目内に押し込んで取り付けができるようにフィルムによって形成されている請求項1記載の超音波洗浄用インジケータ。
【請求項3】
アルミニウム箔として、前記アルミニウム箔内に照射した超音波によって形成される定在波の節間距離以上の長さのアルミニウム箔が用いられている請求項1又は請求項2記載の超音波洗浄用インジケータ。
【請求項4】
超音波洗浄用インジケータが、洗浄対象品の超音波洗浄の前又は後に施される熱水洗浄にも晒される超音波洗浄用インジケータであって、伝達液として、前記熱水洗浄の熱水温度よりも高い沸点温度の耐熱性伝達液が用いられている請求項1〜3のいずれか一項記載の超音波洗浄用インジケータ。
【請求項5】
伝達液が、エチレングリコール又はプロピレングリコールである請求項1〜4のいずれか一項記載の超音波洗浄用インジケータ。
【請求項6】
袋体が、樹脂フィルムによって形成されている請求項1〜5のいずれか一項記載の超音波洗浄用インジケータ。
【請求項7】
袋体が、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートから成る樹脂フィルムによって形成されている請求項1〜6のいずれか一項記載の超音波洗浄用インジケータ。
【請求項8】
気泡が、空気から成る気泡である請求項1〜7のいずれか一項記載の超音波洗浄用インジケータ。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−285524(P2009−285524A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137470(P2008−137470)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000148025)サクラ精機株式会社 (28)
【Fターム(参考)】