超音波流体活性化装置

【課題】液体ならびにジェル溶液などの流体を活性化することを可能にする。
【解決手段】すだれ状電極4の電極周期長(P)に対応するとともに、圧電基板1の厚さ(t)方向の共振周波数(f)にも対応する入力電気信号が、電極2および3から成るトランスデューサに印加されると、圧電基板1には、電極周期長(P)にほぼ対応する波長を有するラム波が励振されると同時に、共振周波数(f)にほぼ対応する周波数を有する厚さ(t)方向の弾性振動が励振される。弾性振動は振動媒体6を介して縦波として流体中に照射され、流体の局部的撹拌が生じる。ラム波は、遅延電気信号として、すだれ状電極4で検出された後、増幅器5によって増幅され、再びトランスデューサに印加される。増幅信号を増幅器5を介してトランスデューサに帰還させることにより、自励発振型の遅延線発振器が構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電基板および超音波トランスデューサから成る複合体を利用することにより、液体ならびにジェル溶液などの流体を活性化させる超音波流体活性化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体を放置したままの状態で、液体の質を保持したり、液中酸素量を一定の値に保つことは困難である。たとえば水耕栽培は、土を必要としない植物栽培法として期待されているが、液中での植物栽培は、液体の停滞を回避し腐朽を防止することが必要とされる。液体を交換することなく液体を新鮮な状態に保つためには、循環系の構築が必要とされる。そのために最も汎用されている手段としては、ポンプが挙げられる。
【0003】
近年、植物培養液中に菌が繁殖するのを抑制する水耕栽培循環システム(特許文献1)が公開されている。このシステムは、植物栽培槽と培養液タンクとの間で培養液を循環させるもので、培養液中の有害な菌を滅菌するための手段として紫外線滅菌装置を用いている。従って、このような構成では、装置の大規模化は避けられない。
【0004】
また、植物に振動と熱を与えることによって、成長を促進させる水耕栽培成長促進機(特許文献2)が公開されている。これは、植物を育てる容器の下に振動装置を設けたものであって、水耕液自体を50〜60Hzの周波数で振動させるとともに、駆動中の振動装置の発熱を利用して、植物の成長と発芽率を促進させることを目的としている。しかしながら、このような低周波可聴域の周波数を用いた構成では、不快な音を発生させることが避けられず、不定愁訴の要因となり、健康に悪影響を及ぼす可能性が報告されている。
【0005】
従来技術の抱える問題点は、前述したものの他、消費電力や、効率すなわち費用対効果などにおいてもみられる。また、従来型装置では、限られたスペースのもとでの使用は困難である。これらの問題点を解決するため、高周波、高効率および低消費電力駆動が可能な液体撹拌装置が期待され、とりわけ、超音波発生装置が水耕栽培、水産養殖などに対し有望視されている。たとえば、ランジュバン型圧電振動子を洗浄槽の下面の振動板に装着した超音波洗浄機(特許文献3)が公開されているが、これは、ランジュバン型圧電振動子の厚さ方向の振動モードを利用することにより、液体の局部的撹拌を可能としたものであることから、水耕栽培等への応用が期待される。しかしながら、ランジュバン型圧電振動子を利用したデバイスは、低電圧駆動が困難で、回路構成も複雑で、また、比較的小規模の容器に備えて駆動することも困難であり、さらに、圧電振動子の共振周波数近傍で駆動するためには、外部電源を必要とする。すなわち、環境の変化に伴う温度変化によって起こる共振周波数の偏移を克服するために、複雑で大規模な回路構成を必要とする。
【0006】
このようにして、ランジュバン型圧電振動子の問題点を克服するためには、2つの平行な板状電極を有する圧電振動子であって、その圧電振動子の厚さ方向に依存する共振周波数で動作するような小型の圧電振動子が有望である。このタイプの圧電振動子を利用したデバイスは、液中に比較的強力で一方向性の超音波を低電圧低消費電力で照射することを可能にする。しかしながら、環境の変化に伴う温度変化によって起こる共振周波数の偏移を克服するためには、複雑で大規模な回路構成の構築が避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−178691号公報
【特許文献2】特開2010−154838号広報
【特許文献3】特開2000−317416号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする課題は、装置自体が大規模であって限られたスペースのもとでの使用が困難であること、健康に悪影響を及ぼすこと、効率が悪いこと、低電圧および低消費電力駆動が困難であること、環境の変化に伴う温度変化に対応するためには複雑な回路構成が必要であることである。
【0009】
本発明は、圧電振動子の厚さ方向の振動モードを利用することにより、液体ならびにジェル溶液などの流体を活性化する超音波流体活性化装置を提供することを目的とする。
【0010】
さらに本発明は、流体の撹拌装置として、水や飲料を新鮮な状態に保持する装置として、また、水耕栽培や水産養殖等の装置として幅広い応用が可能であって、健康に悪影響を及ぼすことのない超音波流体活性化装置を提供することを目的とする。
【0011】
また本発明は、構造が簡単小型軽量で、環境の変化に伴う温度変化に追尾可能で簡単な回路構成を有し、小規模の容器にも設置可能で、限られた設置スペースのもとでの使用が可能であるばかりでなく装置の大規模化にも対応可能で、低電圧および低消費電力駆動が可能で、耐久性に優れ、工業的にも容易に量産可能な超音波流体活性化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するためになされた本発明は、圧電基板と、振動媒体と、圧電基板の第1および第2ブロック部のそれぞれに設けられた第1および第2トランスデューサと、第1および第2トランスデューサの間に接続される増幅器から成り、振動媒体と接触する流体を活性化させる超音波流体活性化装置である。圧電基板、第1および第2トランスデューサは複合体を構成し、振動媒体の一方の端面は複合体に固着され、もう一方の端面は流体との接触面とされることを特徴とする。
【0013】
このように構成することで、第1トランスデューサは、入力電気信号を印加されることにより、圧電基板にラム波を励振するとともに、圧電基板の厚さ方向の振動モードを有する弾性振動を圧電基板に励振し、その弾性振動を縦波として振動媒体を介して流体中に照射する機能を有することとなる。第2トランスデューサは、ラム波を遅延電気信号として検出する機能を有し、増幅器は、遅延電気信号を増幅して第1トランスデューサに帰還させる機能を有する。
【0014】
もう1つの本発明の超音波流体活性化装置は、副圧電基板および副トランスデューサから成る副複合体を、さらに少なくとも1つ備えたものであって、振動媒体の一方の端面は複合体のみならず副複合体にも固着されていることを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、増幅器は、遅延電気信号を増幅し、増幅信号の一部を第1トランスデューサに帰還させるとともに、増幅信号の残部を副トランスデューサに印加する機能を有する。副トランスデューサは、増幅信号の残部を印加されることにより、副圧電基板に弾性振動を励振し、その弾性振動を縦波として振動媒体を介して流体中に照射する機能を有する。
【0016】
また、本発明の超音波流体活性化装置は、第1トランスデューサが2枚の平行な板状の電極から成り、それらは、圧電基板の第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されており、第2トランスデューサはすだれ状電極から成り、それは、圧電基板の第2ブロック部に固着されていることを特徴とする。
【0017】
このように構成することで、第1トランスデューサは流体中への縦波照射器およびラム波発生器として、第2トランスデューサはラム波受信器として、効率よく動作させることが可能となる。
【0018】
また、本発明の超音波流体活性化装置は、第1トランスデューサが2枚の平行な板状の電極から成り、それらは、圧電基板の第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されており、第2トランスデューサはすだれ状電極および板状電極から成り、それらは、圧電基板の第2ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されていることを特徴とする。
【0019】
このように構成することで、第1トランスデューサは流体中への縦波照射器およびラム波発生器として、第2トランスデューサはラム波受信器として、効率よく動作させることが可能となる。
【0020】
また、本発明の超音波流体活性化装置は、第1トランスデューサが2枚の平行な板状の電極から成り、それらは、圧電基板の第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されており、第2トランスデューサは2枚の平行な板状の電極から成り、それらは、圧電基板の第2ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されていることを特徴とする。
【0021】
このように構成することで、第1トランスデューサは流体中への縦波照射器およびラム波発生器として、第2トランスデューサはラム波受信器として、効率よく動作させることが可能となる。
【0022】
また、本発明の超音波流体活性化装置は、複合体が、さらなる構成要素として漏洩ラム波遮断材を含み、それは、圧電基板の第2ブロック部と振動媒体との間に設けられていることを特徴とする。
【0023】
このように構成することで、圧電基板に励振されたラム波の流体中への漏洩を抑制するとともに、強固な構造を提供することを可能とする。
【0024】
また、本発明の超音波流体活性化装置は、漏洩ラム波遮断材単体を伝搬するラム波の位相速度が、圧電基板単体を伝搬するラム波の位相速度よりも速いことを特徴とする。
【0025】
このように構成することで、圧電基板に励振されたラム波を第2トランスデューサで効率よく検出することを可能とする。
【0026】
また、本発明の超音波流体活性化装置は、第2トランスデューサが、たとえば、すだれ状電極から成る場合では、すだれ状電極が、圧電基板の第2ブロック部の2つの平行な端面の一方において、漏洩ラム波遮断材と互いに平行になるような位置に固着されていることを特徴とする。
【0027】
このように構成することで、圧電基板に励振されたラム波の流体中への漏洩を抑制し、ラム波を第2トランスデューサで効率よく検出することを可能とし、また、装置全体として強固な構造を提供することを可能とする。
【0028】
また、本発明の超音波流体活性化装置は、圧電基板が矩形角柱状の圧電セラミックで成り、その分極軸の方向は厚さ方向と平行であることを特徴とする。
【0029】
このように構成することで、圧電基板にラム波を励振するとともに、圧電基板の厚さ方向の振動モードを有する弾性振動を圧電基板に効率よく励振することができる。
【0030】
また、本発明の超音波流体活性化装置は、圧電基板が圧電性高分子フィルムで成ることを特徴とする。
【0031】
このように構成することで、圧電基板にラム波および弾性振動を効率よく励振することができる。
【0032】
また、本発明の超音波流体活性化装置は、振動媒体の音響インピーダンスが、圧電基板の音響インピーダンスとほぼ等しいかまたは低く、流体の音響インピーダンスよりも高いことを特徴とする。
【0033】
このように構成することで、弾性振動を振動媒体を介して縦波として流体中に効率よく照射することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、流体の局部的撹拌が可能であるばかりでなく、複数の副複合体を備えた構造を採用すれば、広範囲にわたる撹拌が可能となるので、装置の規模を任意に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の超音波流体活性化装置の第1の実施例を示す断面図である。(実施例1)
【図2】図1の圧電基板1の斜視図である。
【図3】図1の複合体の平面図である。
【図4】図1の超音波流体活性化装置により水中に照射された縦波の照射角度と、相対振幅との関係を示す特性図である。
【図5】圧電基板1単体に励振された各モードのラム波の位相速度の周波数依存性を示す特性図である。
【図6】複合体のもう1つの実施例を示す断面図である。
【図7】複合体のさらにもう1つの実施例を示す断面図である。
【図8】本発明の超音波流体活性化装置の第2の実施例を示す断面図である。(実施例2)
【図9】本発明の超音波流体活性化装置の第3の実施例を示す断面図である。(実施例3)
【図10】図9の超音波流体活性化装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
流体を撹拌して活性化するという目的を、圧電振動子の厚さ方向の振動モードを利用することにより実現した。
【実施例1】
【0037】
図1は、本発明の超音波流体活性化装置の第1の実施例を示す断面図である。本実施例は圧電基板1、2枚の平行な板状の電極2および3から成る第1トランスデューサ、すだれ状電極4から成る第2トランスデューサ、第1および第2トランスデューサの間に接続される増幅器5、そして振動媒体6から成る。圧電基板1は厚さ(t)が0.5 mm、長さ(L)が5.0 mm、幅(w)が5.0 mmの矩形板状の圧電セラミックで成り、厚さ(t)方向に垂直な2つの平行な端面を有し、その分極軸の方向は厚さ(t)の方向と平行である。このとき、圧電基板1として圧電性高分子フィルムを用いることも可能である。電極2,3およびすだれ状電極4は、アルミニウム薄膜で成り、圧電基板1に固着されている。このようにして、圧電基板1、電極2,3およびすだれ状電極4は、小型軽量で構造が簡単な1つの複合体を構成する。振動媒体6は2つの端面を有し、そのうち一方は電極3を介して圧電基板1に固着され、もう一方は液体やジェル溶液などの流体との接触面とされている。このようにして、本発明の超音波流体活性化装置は、簡単な回路構成を有し、装置自体の構造も簡単かつ小型軽量である。
【0038】
図2は、図1の圧電基板1の斜視図である。圧電基板1は第1および第2ブロック部から成る。電極2および3は、第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ設けられ、すだれ状電極4は、第2ブロック部の2つの平行な端面の一方に設けられている。但し、図2では電極2,3およびすだれ状電極4は描かれていない。
【0039】
図3は、図1の複合体の平面図である。すだれ状電極4は500 μmの電極周期長(P)を有する。但し、図2では電極3は描かれていない。
【0040】
図1の超音波流体活性化装置において、もしも、すだれ状電極4の電極周期長(P)に対応するとともに、圧電基板1の厚さ(t)方向の共振周波数(f)にも対応する入力電気信号が第1トランスデューサに印加されると、圧電基板1には、電極周期長(P)にほぼ対応する波長(λ)を有するラム波が励振され、それと同時に、共振周波数(f)にほぼ対応する周波数を有する厚さ(t)方向の弾性振動が励振される。このとき、振動媒体6の音響インピーダンス(Z)が、圧電基板1とほとんど同じかまたは小さい場合であって、流体よりも大きい場合には、弾性振動が振動媒体6を介して縦波として流体中に効率よく照射され、それにより流体の局部的撹拌が生じる。たとえば、シリコン樹脂を振動媒体6として用いることにより、効果的な流体の局部的撹拌が可能となる。このようにして、第1トランスデューサは、流体中への縦波照射器として動作するだけでなく、ラム波発生器としても動作する。第1トランスデューサによる縦波照射により、流体を新鮮な状態に維持できることや、超音波流体活性化装置を使用しない場合に比べて流体中の植物の根が促進されることが確認されている。すなわち、第1トランスデューサは、流体中に微小気泡を発生させ、それにより流体中の酸素濃度を一定量に維持し、同時に、超音波ビームにより細菌の増殖を抑制している可能性が高い。このようにして、本発明の超音波流体活性化装置は、殺菌装置ならびに酸素発生装置として動作し得る。
【0041】
一方、圧電基板1に励振されたラム波は、圧電基板1中を伝わって遅延電気信号として第2トランスデューサで検出される。このようにして、第2トランスデューサは、ラム波受信器として動作する。遅延電気信号は増幅器5によって増幅され、入力電気信号として再び第1トランスデューサに印加される。増幅信号を増幅器5を介して第1トランスデューサに帰還させることにより、自励発振型の遅延線発振器が構成される。従って、全体として回路構成が簡略化されることとなる。それとともに、環境の変化に伴う温度変化によって起こる共振周波数の偏移に追尾しうる連続的な駆動が可能となる。従って、本発明の超音波流体活性化装置によれば、流体中に比較的強力で一方向性の超音波を低電圧低消費電力で照射することが可能となる。このようにして、本発明の超音波流体活性化装置は、水や飲料を新鮮な状態に保持するための有用な手段となり得るばかりでなく、水耕栽培、水産養殖など幅広い分野での利用が期待される。
【0042】
図4は、図1の超音波流体活性化装置により水中に照射された縦波の照射角度と、相対振幅との関係を示す特性図である。実線および○印はそれぞれ理論値および測定値を示しているが、理論値は、第1トランスデューサが縦波振動のみで動作することを前提としている。図4より、圧電基板1の2つの平行な端面に対し垂直方向に効率よく縦波が照射されていることがわかる。また、測定値より、圧電基板1の2つの平行な端面に対し−30度,30度,−45度および45度の方向にも超音波が照射されていることが確認されている。これらの超音波は、いくつかの漏洩ラム波モードの超音波に対応するものと推測される。
【0043】
図5は、圧電基板1単体に励振された各モードのラム波の位相速度の周波数依存性を示す特性図である。直線の破線は圧電基板1の厚さ方向の振動モード特性を示すものである。たとえば、圧電基板1に共振状態を励起するためには、その厚さ(t)が0.5 mmの場合、4.1 MHzの周波数を有する入力電気信号が第1トランスデューサに印加される必要がある。一方、4.1 MHzの周波数を有する入力電気信号が第1トランスデューサに印加されると、圧電基板1には、2 km/s近傍の位相速度を有するA0およびS0モードのラム波、3.5 km/s近傍の位相速度を有するA1モードのラム波および4.5 km/s近傍の位相速度を有するS1モードのラム波が同時に励振される。しかしながら、すだれ状電極4の電極周期長(P)が500 μmの場合、2 km/s近傍の位相速度を有するA0およびS0モードのラム波のみが、第2トランスデューサで検出されることとなる。それは、第2トランスデューサで検出されるラム波の位相速度は、すだれ状電極4の電極周期長(P)に依存するためである。換言すれば、ただ1つのモードのラム波のみを第2トランスデューサで検出しようとする場合には、すだれ状電極4の電極周期長(P)と、入力電気信号の周波数の積がラム波の位相速度とほぼ等しくなるような構成とする必要がある。
【0044】
図6は、複合体のもう1つの実施例を示す断面図である。第1トランスデューサは、図1と同様にして、2枚の平行な板状の電極2および3から成り、それらは圧電基板1の第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されている。第2トランスデューサは、板状電極7とすだれ状電極4から成り、それらは、圧電基板1の第2ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されている。振動媒体6の一方の端面は、圧電基板1の同一端面上に配置された電極3および7を介して圧電基板1に固着される。図6の複合体は、図1の複合体と同様な効果を有する。
【0045】
図7は、複合体のさらにもう1つの実施例を示す断面図である。第1トランスデューサは、図1と同様にして、2枚の平行な板状の電極2および3から成り、それらは圧電基板1の第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されている。第2トランスデューサは、2枚の平行な板状電極7から成り、それらは、圧電基板1の第2ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されている。振動媒体6の一方の端面は、圧電基板1の同一端面上に配置された電極3および7を介して圧電基板1に固着される。図7の複合体は、図1の複合体と同様な効果を有する。
【実施例2】
【0046】
図8は、本発明の超音波流体活性化装置の第2の実施例を示す断面図である。本実施例は圧電基板1、電極2および3から成る第1トランスデューサ、すだれ状電極4から成る第2トランスデューサ、第1および第2トランスデューサの間に接続される増幅器5、振動媒体6、漏洩ラム波遮断材8および容器9から成る。第1の実施例と同様にして、電極2および3は圧電基板1の第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ設けられ、すだれ状電極4は第2ブロック部の2つの平行な端面の一方に設けられている。漏洩ラム波遮断材8は、第2ブロック部の2つの平行な端面のもう一方に設けられている。圧電基板1、電極2および3、すだれ状電極4、漏洩ラム波遮断材8は、小型軽量で構造が簡単な1つの複合体を構成する。振動媒体6は2つの端面を有し、そのうち一方は電極3および漏洩ラム波遮断材8を介して圧電基板1に固着され、もう一方は容器9を介して流体に接触するよう構成されている。このとき、容器9の音響インピーダンス(Z)が、振動媒体6とほとんど同じかまたは小さい場合であって、流体よりも大きい場合には、振動媒体6と容器9の結合体は、1つの振動媒体として動作する。このようにして、複合体は、振動媒体6を介して小規模の容器9にも設置可能であるが、振動媒体6を介することなく容器9に直接設置することも可能である。従って、本発明の超音波流体活性化装置は、限られた設置スペースのもとでの使用も可能である。
【0047】
図8の超音波流体活性化装置では、第1トランスデューサは、第1の実施例と同様にして、流体中への縦波照射器として動作するだけでなく、ラム波発生器としても動作する。もしも、漏洩ラム波遮断材8単体を伝搬するラム波の位相速度が、圧電基板1単体を伝搬するラム波の位相速度よりも速い場合には、ラム波は漏洩ラム波遮断材8には漏洩されず、従って、流体中にも漏洩されない。その結果、圧電基板1に励振されたラム波は、第2トランスデューサで効率よく検出されることとなる。すなわち、漏洩ラム波遮断材8は、ラム波の漏洩を抑制するとともに、強固な構造を提供することを可能とする。このようにして、第2トランスデューサは、第1の実施例と同様にして、ラム波受信器として有効に動作する。
【実施例3】
【0048】
図9は、本発明の超音波流体活性化装置の第3の実施例を示す断面図である。本実施例は、図3の複合体と、副複合体11, 12, 13, 14と、増幅器5と、振動媒体6から成る。増幅器5は、複合体の第1および第2トランスデューサの間に接続されている。
【0049】
図10は、図9の超音波流体活性化装置の部分断面図である。但し、図10では副複合体13, 14および増幅器5は描かれていない。副複合体11, 12, 13, 14のそれぞれは、圧電基板1と同様な厚さ(t)および特性を有する副圧電基板10と、副トランスデューサから成る。副トランスデューサは電極2および3から成り、それらは副圧電基板10の2つの平行な端面にそれぞれ固着されている。振動媒体6の一方の端面は、各電極3を介して複合体および副複合体11, 12, 13, 14に固着され、もう一方の端面は流体との接触面とされている。このようにして、本発明の超音波流体活性化装置は、装置の小型化が可能であることはもちろんのこと、大規模化にも対応可能で、耐久性にも優れ、工業的にも容易に量産可能である。
【0050】
図9の超音波流体活性化装置では、複合体の第1トランスデューサは、第1の実施例と同様にして、流体中への縦波照射器として動作するだけでなく、ラム波発生器としても動作し、第2トランスデューサは、ラム波受信器として動作する。第2トランスデューサで検出された遅延電気信号は増幅器5によって増幅される。増幅信号の一部は入力電気信号として再び第1トランスデューサに印加され、残部は副複合体11, 12, 13, 14それぞれの副トランスデューサに印加される。このようにして、増幅信号の一部を増幅器5を介して第1トランスデューサに帰還させることにより、自励発振型の遅延線発振器が構成される。従って、全体として回路構成が簡略化されることとなる。それとともに、環境の変化に伴う温度変化によって起こる共振周波数の偏移に追尾しうる連続的な駆動が可能となる。一方、副トランスデューサに増幅信号の残部が印加される構成を採用することにより、各副圧電基板10には、圧電基板1の共振周波数(f)にほぼ対応する周波数を有する厚さ(t)方向の弾性振動が励振される。このとき、振動媒体6の音響インピーダンス(Z)が、副圧電基板10とほとんど同じかまたは小さい場合であって、流体よりも大きい場合には、弾性振動が振動媒体6を介して縦波として流体中に効率よく照射され、それにより流体の撹拌が生じる。すなわち、副複合体11, 12, 13, 14を用いることにより、流体を広範囲に撹拌することが可能となる。従って、本発明の超音波流体活性化装置によれば、流体中に比較的強力で一方向性の超音波を低電圧低消費電力で広範囲に照射することが可能となる。また、図9において複合体の代わりに図6,7および8の複合体を用いた場合にも、同様な効果を生じる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
液体やジェル溶液などの流体を効率よく撹拌することが可能なので、理化学実験用や調理用等の容器に適用できる。また、流体を撹拌することにより流体が新鮮な状態に保持されることから、水、飲料、薬品等の保存容器や、花瓶、金魚鉢、加湿器のタンク等に適用することができる。さらに、装置の大規模化にも対応可能であることから、水耕栽培、水産養殖など幅広い用途に適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 圧電基板
2,3 電極
4 すだれ状電極
5 増幅器
6 振動媒体
7 電極
8 漏洩ラム波遮断材
9 容器
10 副圧電基板
11, 12, 13, 14 副複合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板と、振動媒体と、前記圧電基板の第1および第2ブロック部のそれぞれに設けられた第1および第2トランスデューサと、前記第1および第2トランスデューサの間に接続される増幅器から成り、前記振動媒体と接触する流体を活性化させる超音波流体活性化装置であって、
前記圧電基板、前記第1および第2トランスデューサは複合体を構成し、
前記振動媒体の一方の端面は前記複合体に固着され、もう一方の端面は前記流体との接触面とされ、
前記第1トランスデューサは、入力電気信号を印加されることにより、前記圧電基板にラム波を励振するとともに、前記圧電基板の厚さ方向の振動モードを有する弾性振動を前記圧電基板に励振し、前記弾性振動を縦波として前記振動媒体を介して前記流体中に照射する機能を有し、
前記第2トランスデューサは、前記ラム波を遅延電気信号として検出する機能を有し、
前記増幅器は、前記遅延電気信号を増幅して前記第1トランスデューサに帰還させる機能を有することを特徴とする超音波流体活性化装置。
【請求項2】
圧電基板と、振動媒体と、前記圧電基板の第1および第2ブロック部のそれぞれに設けられた第1および第2トランスデューサと、前記第1および第2トランスデューサの間に接続される増幅器を備え、さらに、副圧電基板および副トランスデューサから成る副複合体を少なくとも1つ備え、前記振動媒体と接触する流体を活性化させる超音波流体活性化装置であって、
前記圧電基板、前記第1および第2トランスデューサは複合体を構成し、
前記振動媒体の一方の端面は前記複合体および前記副複合体に固着され、もう一方の端面は前記流体との接触面とされ、
前記第1トランスデューサは、入力電気信号を印加されることにより、前記圧電基板にラム波を励振するとともに、前記圧電基板の厚さ方向の振動モードを有する弾性振動を前記圧電基板に励振し、前記弾性振動を縦波として前記振動媒体を介して前記流体中に照射する機能を有し、
前記第2トランスデューサは、前記ラム波を遅延電気信号として検出する機能を有し、
前記増幅器は、前記遅延電気信号を増幅し、増幅信号の一部を前記第1トランスデューサに帰還させるとともに、前記増幅信号の残部を前記副トランスデューサに印加する機能を有し、
前記副トランスデューサは、前記増幅信号の残部を印加されることにより、前記副圧電基板に弾性振動を励振し、前記副圧電基板に励振された弾性振動を縦波として前記振動媒体を介して前記流体中に照射する機能を有することを特徴とする超音波流体活性化装置。
【請求項3】
前記第1トランスデューサは、2枚の平行な板状の電極から成り、前記2枚の平行な板状の電極は、前記圧電基板の前記第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されており、前記第2トランスデューサは、すだれ状電極から成り、前記すだれ状電極は、前記圧電基板の前記第2ブロック部に固着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流体活性化装置。
【請求項4】
前記第1トランスデューサは、2枚の平行な板状の電極から成り、前記2枚の平行な板状の電極は、前記圧電基板の前記第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されており、前記第2トランスデューサは、すだれ状電極および板状電極から成り、前記第2トランスデューサの前記すだれ状電極および前記板状電極は、前記圧電基板の前記第2ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流体活性化装置。
【請求項5】
前記第1トランスデューサは、2枚の平行な板状の電極から成り、前記2枚の平行な板状の電極は、前記圧電基板の前記第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されており、前記第2トランスデューサは、2枚の平行な板状の電極から成り、前記第2トランスデューサの前記2枚の平行な板状の電極は、前記圧電基板の前記第2ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流体活性化装置。
【請求項6】
前記複合体は、さらなる構成要素として漏洩ラム波遮断材を含み、前記漏洩ラム波遮断材は、前記圧電基板の前記第2ブロック部と前記振動媒体との間に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流体活性化装置。
【請求項7】
前記複合体は、さらなる構成要素として漏洩ラム波遮断材を含み、前記漏洩ラム波遮断材は、前記圧電基板の前記第2ブロック部と前記振動媒体との間に設けられており、
前記漏洩ラム波遮断材単体を伝搬するラム波の位相速度は、前記圧電基板単体を伝搬するラム波の位相速度よりも速いことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流体活性化装置。
【請求項8】
前記複合体は、さらなる構成要素として漏洩ラム波遮断材を含み、前記漏洩ラム波遮断材は、前記圧電基板の前記第2ブロック部と前記振動媒体との間に設けられており、
前記第1トランスデューサは、2枚の平行な板状の電極から成り、前記2枚の平行な板状の電極は、前記圧電基板の前記第1ブロック部の2つの平行な端面にそれぞれ固着されており、
前記第2トランスデューサは、すだれ状電極から成り、前記すだれ状電極は、前記圧電基板の前記第2ブロック部の2つの平行な端面の一方において、前記漏洩ラム波遮断材と互いに平行になるような位置に固着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流体活性化装置。
【請求項9】
前記圧電基板は、矩形角柱状の圧電セラミックで成り、その分極軸の方向は厚さ方向と平行であることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流体活性化装置。
【請求項10】
前記圧電基板は、圧電性高分子フィルムで成ることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流体活性化装置。
【請求項11】
前記振動媒体の音響インピーダンスは、前記圧電基板の音響インピーダンスとほぼ等しいかまたは低く、前記流体の音響インピーダンスよりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波流体活性化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−239928(P2012−239928A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109023(P2011−109023)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(390017994)
【Fターム(参考)】