説明

超音波流水式熱交換器を用い、ナノ分散物を調製する連続プロセス

【課題】ナノ分散物を大量に製造することが可能なプロセスを提供する。
【解決手段】液体および溶質を含む組成物を加熱することにより溶質を溶解し、この加熱された溶液を、溶液を受け入れる第1端と、超音波熱交換器を通過する流路と、生成物流を放出する第2端とを備える、連続した管状流路に通し、前記加熱溶液に対して超音波を照射すると同時に冷却する処理を行うことにより、液体中にナノメートルサイズの粒子を含む生成物流を生成させる、ナノ分散物を製造するための、スケールアップが可能な連続プロセス。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体インクは、典型的には、ポリマー溶液を加熱して溶解させ、次いで、この溶液を超音波処理しつつ冷浴に浸し、室温まで冷却し、析出させ、分散物を得ることによって、10〜200gの実験室での小バッチで製造される。図1は、処理すべきポリマー溶液12を加熱した流れを、超音波プローブ16、18を備えた管14に流すことを含む、ポリマーナノ分散物を調製するための一般的な従来技術のシステムおよびプロセス10を示している。ポリマーの流れ12を、超音波処理しつつ室温まで冷却し、析出させ、生成物の分散物流20を得る。このプロセスは、計量可能ではなく、250gを超えた量では実施されていない。小スケールでは、半導体材料に必要な電流および期待される量を満たすのには不十分である。
【0002】
半導体ナノ粒子(例えば、ポリ(3,3”’ジアルキルクアテルチオフェン)(PQT−12)を調製する現行プロセスは、一般的に、3つの工程を含む。第1に、ポリマーを、完全に溶解させるのに十分な温度で適切な溶媒に溶解する。次いで、溶解容器を室温または冷却した超音波浴に、ポリマーナノ粒子を析出させるのに十分な時間浸すことによって、この溶液を超音波処理する。最後に、得られたポリマーナノ分散物を濾過する。
【0003】
実験室でのバッチ量よりも多い量のポリマーナノ分散物を調製することが望ましい。しかし、このプロセスをスケールアップすることには課題がある。バッチプロセスでスケールを大きくすると、バッチ反応器の表面積が制限され、望ましいインク品質および高収率を確保するのに必要な冷却速度を達成することが困難であるか、または不可能である。反応器の容積を上げることは可能である。しかし、反応器の容積を上げるにつれて、容積に対する表面積の比率が小さくなり、冷却能力が低下する。250ミリリットルの反応器だと、60〜約70℃で溶解させ、2〜3分で冷却/超音波処理が可能であり、冷却に浴を使うことができる場合には、これよりも短くなり、500gでも可能であろうが、2リットル以上の容積になると、200ミリリットルの容積よりも冷却がかなり遅くなるだろう。冷却速度が低下すると粒径が大きくなると思われるため、分散物の粒径は、望ましくないほど大きくなるだろう。粒径が大きすぎると、分散物の移動性が悪くなり、分散物の安定性が低くなり、0.7μmフィルター媒体で濾過することが困難になるか、または不可能になり、溶液中のポリマー最終濃度の一貫性に影響を及ぼす。超音波処理を用い、5℃/分の冷却速度を用いて調製した分散物(スケールアップによる標準は非常に速い)は、良好な分散物を与えない。粒径は、0.7μm加圧フィルターで濾過することができないほど大きい。
【0004】
超音波処理および熱交換の観点から、バッチプロセスのスケールには固有の制限がある。大きな反応器を保持するのに十分なエネルギーを入力する十分な大きさの超音波浴を配置するか、または構築することは困難であるか、または不可能である。超音波浴ではなく、浸漬型の超音波発生器を用いてもよい。しかし、浸漬型の超音波発生器は、望ましくないほど粒子の大きな分散物を生成してしまう。したがって、このプロセスのスケールアップは、望ましい小さな粒径を得るために、冷却した超音波浴(典型的な容積は2リットル未満)に適合するような反応器の大きさに限定される。
【0005】
既知の組成物およびプロセスは、これらの意図する目的に適しているが、望ましい容積までスケールアップが可能な、ポリマーナノ分散物を調製する改良法、移動性の高い小さな粒子を得るためにすばやく冷却し、インク分散物を安定にするプロセス、高収率で費用対効果が高い生成物を得るのに十分速い冷却速度を与えるプロセス、超音波エネルギー密度を保持しつつ、現在利用可能ではない大きなバッチサイズで使用することが可能なプロセスが依然として必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ポリマーナノ分散物を調製する従来のプロセスの図である。
【図2】本開示のポリマーナノ分散物を調製するプロセスの図である。
【図3】本開示のポリマーナノ分散物を調製する代替プロセスの図である。
【図4】比較インクの粒径分布を示すグラフである。
【図5】本開示にしたがって調製したインクの粒径分布を示すグラフである。
【図6】本開示にしたがって調製したポリマー分散物の粒径の単峰性と、これに対し、比較バッチプロセスにしたがって調製したポリマー分散物の粒径の二峰性とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ナノ分散物を調製する連続プロセスであって、液体と溶質とを含む組成物を与えることと;上述の組成物を加熱し、上述の溶質を溶解して、上述の液体に溶解した上述の溶質を含む溶液を作成することと;加熱した上述の溶液を、溶液を受け入れる第1端と、超音波熱交換器に配置されている連続的な流水式経路と、生成物流を放出する第2端とを備える連続した管に通すことと;加熱した上述の溶液を、この溶液が、上述の超音波熱交換器に配置されている上述の連続的な流水式経路を流れている間に処理し、上述の液体中にナノメートルサイズの粒子を含む生成物流を作成することと;場合により、生成物を受け入れる容器に上述の生成物流を集めることと;場合により、上述の生成物流を濾過することとを含む、連続プロセス。
【0008】
このプロセスは、粒径が小さな析出物(例えば、粒径が1〜1,000nm、または10〜500nm、または10〜300nmの粒子を含む生成物流)が望ましい場合に、溶質を溶解し、すばやく析出させる方法を与える。
【0009】
溶質は、分子量が1,000未満の低分子であり、場合により、無機塩または顔料である。
【0010】
溶質は、共役ポリマーを含む。超音波流水式熱交換器を用い、インクを吐出することが可能なポリマーナノ分散物を調製する連続プロセスは、液体とこの液体に溶解したポリマーとを含むポリマー溶液を与えることと;この組成物を加熱し、加熱したポリマー溶液を得ることと;加熱した上述のポリマー溶液を、ポリマー溶液を受け入れる第1端と、超音波熱交換器に配置されている連続的な流水式経路と、生成物流を放出する第2端とを備える連続した管に通すことと;加熱した上述のポリマー溶液を、この溶液が、上述の超音波熱交換器に配置されている上述の連続的な流水式経路を流れている間に処理し、分散物中にナノメートルサイズの粒子を含む生成物流を作成することと;場合により、生成物を受け入れる容器に上述の生成物流を集めることと;場合により、上述の生成物流を濾過することとを含む。
【0011】
ナノ分散物を調製するシステムは、液体と、この液体に溶解した溶質とを含む組成物を含有する溶解容器と;上述の組成物を溶解温度まで加熱し、上述の液体に溶解した溶質を含む溶液を作成するための加熱デバイスと;上述の溶解容器から加熱した溶液の流れを受け入れるための第1端、超音波熱交換器を介して溶液の流れを流すための、超音波熱交換器に配置されている連続的な流水式経路、生成物流を放出する第2端を備える連続した管と;場合により、上述の生成物流を受け入れるための、生成物を受け入れる容器と;場合により、上述の生成物流を濾過するための濾過デバイスとを備える。
【0012】
ポリマーナノ分散物を調製するシステムは、液体と、この液体に溶解したポリマーとを含むポリマー溶液を含有する溶解容器と;上述の組成物を加熱し、加熱したポリマー溶液を作成するための加熱デバイスと;上述の溶解容器からポリマー溶液の流れを受け入れるための第1端、ポリマー溶液の流れを超音波熱交換器に流すための、超音波熱交換器に配置されている連続的な流水式経路、生成物流を放出する第2端を備える連続した管と;場合により、上述の生成物流を受け入れるための、生成物を受け入れる容器と;場合により、上述の生成物流を濾過するための濾過デバイスとを備える。
【0013】
このプロセスは、ナノ分散物を必要とする任意の用途に応用することができ、半導体インクを調製するために使用することができ、ポリチオフェンナノ粒子、例えば、ポリ(3,3”’ジアルキルクアテルチオフェン)(PQT−12)を調製するために使用することができる。このプロセスは、ポリマーナノ分散物を調製する従来のプロセスよりも速く、費用も安い。
【0014】
任意の適切な半導体ポリマーナノ分散物材料は、チオフェン系ポリマー、トリアリールアミン系ポリマー、ポリインドロカルバゾールを含むプロセスを用いて調製することができる。チオフェン系ポリマーとしては、位置が規則的であるか、ランダムなポリ(3−アルキルチオフェン)、置換チエニレン基を含むチオフェン系ポリマー、置換されていないチエニレン基を含むチオフェン系ポリマー、場合により置換されたチエノ[3,2−b]チオフェン基および/または場合により置換されたチエノ[2,3−b]チオフェン基を含むチオフェン系ポリマー、ベンゾチオフェン、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン、ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン、ジナフト−[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェンを含むチオフェン系ポリマー、非チオフェン系の芳香族基(例えば、フェニレン、フルオレン、フラン)を含むチオフェン系ポリマーが挙げられる。
【0015】
半導体材料は、
【化1】


であってもよい。
【0016】
Aは、二価の結合であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ペルハロアルキル、アルコキシアルキル、シロキシ置換アルキル、ポリエーテル、アルコキシ、ハロゲンから選択され;nは、2〜5,000の整数であるか、またはRおよびRは、独立して、炭素原子を6〜30個含むアルキルである。
【0017】
二価の結合Aは、
【化2−1】


【化2−2】


【化2−3】


およびこれらの組み合わせであってもよく、R’およびR”は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素)、−CN、または−NOから選択される。アルキルおよびアリールの置換基は、任意の適切な置換基であってもよく(例えば、−F、−Cl、−OCH)、または、R’およびR”は、炭素原子を6〜30個含むアルキルまたはアリールである。
【0018】
半導体材料は、
【化3−1】


【化3−2】


であってもよく、R、R、R’、R”は、独立して、(i)水素、(ii)アルキルまたは置換アルキル、(iii)アリールまたは置換アリール、(iv)アルコキシまたは置換アルコキシ、(v)適切なヘテロ含有基、(vi)ハロゲン、またはこれらの混合物から選択され;nは、2〜5,000の整数である。
【0019】
、R、R’、R”は、独立して、水素、適切な炭化水素、適切なヘテロ含有基、ハロゲンのうち、少なくとも1つから選択され、炭化水素は、アルキル、アルコキシ、アリール、これらの置換された誘導体であってもよく(炭素原子を0〜35個含む側鎖を含み);nは、2〜5,000のような繰り返し単位の数をあらわす。
【0020】
とRとは、同じであるか、または異なっており、それぞれ独立して、炭素原子を6〜30個含む長い炭素側鎖から選択され、R’またはR”は、同じであるか、または異なっており、それぞれ独立して、炭素原子を0〜5個含む置換基から選択されるか;または、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素原子を0〜5個含む置換基から選択され、R’は、炭素原子を6〜30個含む長い炭素側鎖である。いくつかの実施形態では、RおよびR、R’およびR”は、独立して、炭素原子を1〜35個含むアルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシルまたはオクタデシルであるか;または、炭素原子を7〜42個含むアリールアルキルであり、例えば、メチルフェニル(トリル)、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、トリデシルフェニル、テトラデシルフェニル、ペンタデシルフェニル、ヘキサデシルフェニル、ヘプタデシルフェニル、オクタデシルフェニルである。別の実施形態では、R、R、R’およびR”は、独立して、炭素原子を1〜35個含むアルキル基または置換アルキル基をあらわす。
【0021】
、R、R’、R”は、同一のものであってもよく、またはR、R、R’、R”は、炭素原子を6〜18個含む同一のアルキル基である。
【0022】
半導体材料は、
【化4−1】


【化4−2】


であってもよく、nは、2〜5,000の整数である。
【0023】
ポリマーの数平均分子量(Mn)は、いくつかの実施形態では、500〜400,000であってもよく、このポリマーの重量平均分子量(Mw)は、600〜500,000であってもよく、両方とも、ポリスチレン標準を用いるゲル透過クロマトグラフィーで測定されたものである。
【0024】
液体ビヒクルは、任意の適切な液体ビヒクルであってもよく、室温で液体の化合物を指し、通常は、溶媒(例えば芳香族溶媒、特に、ハロゲン化芳香族溶媒)である。ハロゲン化芳香族溶媒としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン)、トリクロロベンゼン、クロロトルエンが挙げられる。液体ビヒクルは、1,2−ジクロロベンゼンを含む。または、液体ビヒクル、非ハロゲン化溶媒、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、テトラヒドロナフタレン、ビシクロヘキシルである。
【0025】
液体ビヒクルは、溶質を溶解させるのに十分に適した溶媒であり、溶質は、分子量が1,000未満の低分子を含み、場合により、溶質は、無機塩または顔料である。
【0026】
このプロセスは、計量可能であり、容積の限定なくスケールアップすることができ、グラム〜トンの範囲(1,000kgまたは2,205ポンド)の量またはそれ以上の量の生成物を調製するために使用することができる。連続的な計量可能なインクを製造するプロセスおよび配合物は、粒径の小さな移動性の大きいポリマー分散物を、量を限定せずに製造することができるような、超音波流水式熱交換器の使用から得られる材料の特性を高めることが記載されている。
【0027】
本発明の連続プロセスによって製造される生成物流は、分散物中にナノメートルサイズの粒子を含み、粒子は、Z−平均粒径が、Malvern Zeta Sizer(登録商標)HTを用い、室温(または約21℃)で測定した場合、1〜1,000nm、または10〜500nm、または10〜300nmである。
【0028】
ポリマー粒子は、平均粒径が1〜1000ナノメートル(nm)である。「平均」粒径は、典型的には、d50であらわされるか、または、粒径分布の50%でのメジアン粒径値として定義され、この分布中の粒子の50%は、d50粒径値よりも大きく、この分布中の粒子のそれ以外の50%は、d50値よりも小さい。平均粒径は、粒径を推定する光散乱技術(例えば、Dynamic Light Scattering)を用いる方法によって測定することができる。粒径は、透過型電子顕微鏡法によって作成される粒子画像から誘導される場合、顔料粒子の長さを指す。
【0029】
生成物流は、分散物中に、Z−平均粒径が1〜1,000nmのナノメートルサイズの粒子を含み、粒径分布は一峰性である。
【0030】
調製されたポリマー分散物は、移動性が10−3〜5cm/Vsec、または10−2〜5cm/Vsec、または0.2〜5cm/Vsecの移動性の高い粒子を与えることができる。このプロセスは、計量可能なプロセスによって、完全な移動性能を有する材料を与えることができる。他のプロセスは、0.5〜2Lでは実際には計量可能ではない。
【0031】
従来のプロセスは、濾過することが困難であり、フィルターを頻繁に変える必要があり、このことは、ポリマーがフィルター上に保持され、そのため、濾過された分散物に含まれるポリマーの量が少なくなり、移動性が悪いことを示している。この現象を防ぐための試みは、わずかに濃縮した溶液で開始することであるが、フィルターを変えることは面倒なプロセスであり、溶液が空気にさらされてしまう。本発明のプロセスは、フィルターをすばやく(遅れることなくほとんど瞬時に)通り抜け、このことは、ポリマーがほとんど保持されないか、まったく保持されないことを示しており、したがって、濾過前と濾過後の濃度は同じである。本発明のプロセスは、インクの品質および収率を向上させ、ポリマーの大きいフラクションは、ナノスケールで分散しており、濾液中にとどまっているため、分散物中に85〜95%、または90〜99%のナノメートルサイズの粒子が残っており、一方、従来のプロセスでは、約85%が残っている。
【0032】
このプロセスによって、粒径分布は従来のプロセスよりも狭くなり、例えば、粒径分布は、1〜1,000、または10〜500、または10〜300である。
【0033】
プロセスは、高品質の分散物、狭い粒径分布で、濾過が容易に行われる半導体材料インク(例えば、PQT−12インク)を多量に製造する唯一の知られている実現可能な経路を提供し、これにより、大部分のPQT−12ポリマーが、フィルターで除去されずに溶液中に残る。本発明のプロセスによって、75〜90%、または80〜95%、または90〜99%のPQT−12ポリマーが溶液中に残る。
【0034】
粒径分布は、分散物の品質が向上していることの良好な指標である。このプロセスは、Malvern Instruments Zeta Sizer(登録商標)HTによって測定される強度による粒径分布(PSD)が、コントロールでは、第1のピーク強度が約50%であり、第2のピーク強度が約45%および4%であるのに対し、90%以上であり、第2のピーク強度が、6%および5%であるようなプロセスを提供する。したがって、本発明のプロセスを用いて達成されるPSD強度は、コントロールでは二峰性であるのに対し、ほぼ一峰性である。このプロセスは、第1のピーク強度が約80%〜90%、または約85%〜95%、または約90%〜99%であるようなPQT−12粒径分布を与える。
【0035】
ポリマー溶液は、不活性雰囲気下、任意の適切な温度(例えば、50℃〜110℃、または50℃〜90℃、または50℃〜80℃)に加熱した撹拌容器中、所望な濃度で調製することができる。
【0036】
このプロセスは、不活性雰囲気下、容器中で、PQT−12ポリマーおよび溶媒を溶解温度まで加熱すること(例えば、45〜70℃、または50℃〜110℃、または50℃〜80℃の温度まで加熱すること)を含んでいてもよい。
【0037】
ポリマー溶液を、溶解容器中、例えば、窒素加圧下、窒素用管および出口用管を超音波熱交換器に挿入することが可能な、ネジ蓋付きの500ミリリットルのPyrex(登録商標)加圧瓶中、任意の適切な方法で加熱してもよい。溶媒、PQT−12ポリマー、Teflon(登録商標)撹拌棒を瓶に加え、この瓶を閉じ、次いで、ホットプレート上に置いた水浴中、磁気撹拌しつつ加熱して溶解させることによって、この溶液を作成する。
【0038】
本発明のプロセスは、圧力、滞留時間、浴温、管の長さまたは組成の種々の組み合わせを用いることによって冷却速度を制御することを含む。連続プロセスは計量可能であり、バッチプロセスは計量可能ではないが、この理由は、冷却すべき合計容積にかかわらず、冷却速度が25℃/分よりも大きな速度に維持されるように、熱交換器から熱を十分にすばやく除去することができる限り、本発明のプロセスによって高い冷却速度を得ることができるためである。
【0039】
次いで、ポリマー溶液を、加熱した溶解容器から、超音波熱交換器に配置されている連続的な流水式容器へと向かわせることができる。加熱した溶液を、任意の適切な方法または望ましい方法によって(例えば、加圧下)、連続的な流水式容器であり、超音波熱交換器に配置されている任意の適切な形状または望ましい形状(例えば、パイプ状、管、またはキャピラリー)を有していてもよい超音波熱交換器を通って、制御された速度で、いくつかの実施形態では、冷却速度が25℃/分よりも大きな速度に維持されるような速度で供給することができる。加熱した溶液を、冷却速度が2,000℃/分〜25℃/分、または1,000℃/分〜200℃/分、または600℃/分〜300℃/分になるような流速で供給することができる。
【0040】
連続的な流水式容器は、小さな直径の管であってもよい。ポリマー溶液がこの管を制御された速度および滞留時間で通るため、超音波処理しつつ、すばやく冷却され、ナノメートルサイズの粒子分散物を与える。
【0041】
超音波熱交換器中の加熱したポリマー溶液を、いくつかの実施形態では、溶液200gの場合、4分〜0.05分、または3分〜0.07分、または2.5分〜0.07分かけて、100℃から0℃まで、または80℃から10℃まで、または80℃から20℃まで冷却してもよい。加熱したポリマー溶液を、この溶液が超音波熱交換器を通るときに処理することは、20kHz〜10MHzの周波数で超音波処理を用いて処理し、超音波熱交換器中、加熱したポリマー溶液を、300℃/分〜600℃/分の速度で80℃から30℃まで冷却することを含む。
【0042】
超音波熱交換器によって、加熱した溶液を、約20kHz〜10MHzの周波数で処理し、冷却デバイスは、温度制御された浴を備えており、この浴によって、加熱した溶液を、−30℃〜45℃の温度まで冷却する。
【0043】
ポリマー容器を管に流し、冷却した超音波浴(超音波熱交換器)中で懸濁させると、ポリマー溶液はすばやく冷え、超音波エネルギー密度が高いために、ナノメートルサイズのポリマー粒子が析出する。溶液に超音波エネルギーを加えつつ、管の壁面を通って、溶液を冷却するのに高い表面積を利用することができる。溶液は、浴または超音波デバイスと直接接触することなく管を流れ、それにより、装置、供給ポリマー溶液、析出生成物の溶液流と直接接触して起こる有害な影響を避けることができる。
【0044】
析出した分散物の生成物流を、不活性雰囲気下、受け容器に集め、次いで、加圧フィルターへと放出することができる。製造されたインクが高品質なため、別個の濾過プロセスを用いずに、ライン中の濾過プロセスを用いて濾過することができる。超音波熱交換器の放出端から直接、生成物流のライン中の濾過によって、生成物流を濾過してもよく、1つ以上の濾過経路を含んでいてもよい。
【0045】
連続的な流水式容器は、望ましい容積、滞留時間、加熱したポリマー溶液の供給速度を達成するために選択された任意の望ましい形状、大きさ、または材料特性(例えば、所定の幾何形状、直径、長さ、またはこれらの組み合わせを有する連続した管)を有していてもよい。管は、円筒形の幾何形状、およびトンの容積の生成物を調製するための大スケールの連続スケールの場合、2インチ〜1/16インチ、または1インチ〜1/16インチ、または1/2インチ〜1/16インチの直径を有していてもよい。管内の流速は、冷却速度が最低でも25℃/分になるような直径および浴温の関数として設定される。
【0046】
連続的な流水式経路部分を含む管は、超音波処理および冷却処理を高めるように選択された任意の適切な幾何形状を含んでいてもよい。
【0047】
この管は、任意の適切な材料(例えば、ステンレス鋼、ガラス、ポリテトラフルオロエチレン、または使用する材料および溶媒に適合する任意の材料)を含んでいてもよい。
【0048】
加熱したポリマー溶液を、調製されるナノ分散物の特定の種類および容積にしたがって選択した任意の適切な強度および持続時間で超音波処理によって処理してもよい。加熱したポリマー溶液を超音波熱交換器に通し、20kHz〜10MHzの周波数で10秒〜20分間かけて超音波処理で処理する。このプロセスは、周波数が20kHz〜10MHzの超音波処理で処理することによって、加熱した溶液を、この溶液が超音波熱交換器を通るときに処理し、この加熱した溶液を超音波熱交換器中、−30℃〜45℃の温度まで冷却することを含む。
【0049】
加熱したポリマー溶液を、調製されるナノ分散物の特定の種類および容積にしたがって選択した任意の適切な温度まで冷却してもよい。加熱したポリマー分散物を、超音波熱交換中、0℃〜10℃の温度まで冷却する。
【0050】
超音波熱交換器を、氷水浴を含む任意の適切な方法によって冷却してもよい。
【0051】
上述の性質は、インクの性能を高める。例えば、本発明のプロセスを用いて調製したポリマーナノ分散物を含む半導体インクは、粒子の約95%が、1〜300nmの狭いPSDを有しており、本質的に一峰性である(第1のピークが、90%以上である)。これにより、インクは非常に濾過しやすく、したがって、最終的なインク溶液中のポリマー保持率が高い(水分バランス測定によって、固形分が90%より多い)。
【0052】
図2をみると、本開示にしたがってポリマーナノ分散物を調製するためのシステムおよびプロセス200は、処理すべき加熱したポリマー溶液212を含む加熱した溶解タンク210を備えている。加熱したポリマー溶液212を、連続した管216を介して溶解タンク210に供給し、加熱したポリマー溶液流214となる。管216は、超音波熱交換器218(冷却した超音波浴)に配置されており、加熱したポリマー流214を超音波熱交換器218に流すための連続的な流水式経路220を形成している。ポリマー流214は、超音波熱交換器218に配置されている連続的な流水式経路220を通って制御された速度および滞留時間で流れ、超音波熱交換器218中、超音波処理しつつ、すばやく冷やされ、分散物中にナノメートルサイズの粒子を含む生成物流222を生成する。生成物流222は、連続した管の出口部分224を通って流れ、受けタンク226に放出され、集められる。受けタンク226は、いくつかの実施形態では、生成物流222を保存し、次いで、その後のバッチ式加圧濾過のために受け器に放出することが可能な、加熱されていない(室温)保持タンクであってもよい。
【0053】
図3をみると、ポリマーナノ分散物を調製するためのシステムおよびプロセス300は、処理すべき加熱したポリマー溶液312を含む加熱した溶解タンク310を備えている。加熱したポリマー溶液312を、連続した管316を介して溶解タンク310に供給し、加熱したポリマー溶液流314となる。管316は、超音波熱交換器318に配置されており、加熱したポリマー流314を超音波熱交換器318に流し、そこで処理するための連続的な流水式経路320を形成している。ポリマー流314は、超音波熱交換器318に配置されている連続的な流水式経路320を通って制御された速度および滞留時間で流れ、超音波熱交換器318中、超音波処理しつつ、すばやく冷やされ、分散物中にナノメートルサイズの粒子を含む生成物流322を生成する。生成物流322は、連続した管の出口部分324を通って流れ、場合により、受けタンク326に放出され、集められる。受けタンク326は、生成物流322を保存するための、加熱されていない(室温)保持タンクであってもよい。生成物流322は、管328を介し、フィルター332を備える濾過デバイス330(いくつかの実施形態では、バッチ式加圧濾過デバイス332)へとさらに放出されてもよく、ここで、生成物流322を濾過し、濾過された生成物流334が得られ、濾過された受けタンク336に集められる。場合により、濾過された生成物流334を、1つ以上のさらなる濾過デバイス内で処理する。濾過された生成物流334は、管338を介し、フィルター342を備える濾過デバイス340へとさらに放出され、ここで、濾過された生成物334を濾過し、2回濾過された生成物流344を得て、これをフィルター受けタンク348に集める。
【0054】
このプロセスによって調製された組成物を印刷してもよく、半導体組成物は、インク組成物と呼ばれてもよい。半導体デバイスは、TFT、ダイオード、太陽電池、記憶デバイスなどであってもよい。半導体デバイスは、基板と;ゲート電極と;ゲート誘電層と;ソース電極と;ドレイン電極と;ソース電極およびドレイン電極およびゲート誘電層と接触した、本発明のプロセスによって調製されたポリマーナノ分散物を含む半導体層とを備える、TFTであってもよい。半導体デバイスは、任意の適切な形状または望ましい形状を含んでいてもよい。
【0055】
半導体デバイスは、第1のボトムゲートOTFT構造を有する有機薄膜トランジスタ(「OTFT」)を含んでいてもよい。OTFTは、ゲート電極および誘電層と接触した基板を備えていてもよい。ゲート電極は、基板内部または外部に配置されていてもよい。誘電層は、ゲート電極を、ソース電極、ドレイン電極、半導体層と隔離している。ソース電極およびドレイン電極は、半導体層と接触している。半導体層は、ソース電極とドレイン電極との上、およびソース電極とドレイン電極との間に配置されてもよい。任意の界面層は、誘電層と半導体層との間に位置していてもよい。
【0056】
また、ゲート電極および誘電層と接触した基板を含む第2のボトムゲートOTFT形状を用いてもよい。半導体層は、誘電層の上部に配置されており、誘電層をソース電極およびドレイン電極と隔離している。任意の界面層は、誘電層と半導体層との間に位置していてもよい。
【0057】
別の可能なOTFT形状は、ゲート電極としても作用し、誘電層と接触するような基板を含む第3のボトムゲート構造を備えている。半導体層は、誘電層の上部に配置されており、誘電層をソース電極およびドレイン電極と隔離している。任意の界面層は、誘電層と半導体層との間に位置していてもよい。
【0058】
ソース電極およびドレイン電極および半導体層と接触している基板を備えるトップゲートOTFT形状を用いてもよい。半導体層は、ソース電極およびドレイン電極の上にあり、ソース電極とドレイン電極との間にある。誘電層は、半導体層の上部にある。ゲート電極は、誘電層の上部にあり、半導体層とは接触していない。任意の界面層は、誘電層と半導体層との間に位置していてもよい。
【0059】
半導体層は、薄膜トランジスタ(トップゲート薄膜トランジスタを含む)を作成する際に使用するのに適した、開示されているような半導体組成物から作成されてもよい。半導体組成物は、半導体材料と、上述のように調製された液体ビヒクルとを含む。
【0060】
プロセスは、周囲の酸素とは容易に隔離されるプロセスであり、このプロセスによって製造された生成物を用いて調製されたデバイスは、高い移動性、高い電流オン/オフ比、低いオフ電流を有している。高い移動性とは、移動性が、0.01cm/V.s〜10cm/V.s、または0.05cm/V.s〜1.5cm/V.sであるか、または移動性が0.05cm/V.sより大きいことを意味する。高い電流オン/オフ比は、電流オン/オフ比が、10より大きいか、または10より大きいことを意味する。低いオフ電流は、オフ電流が10−9A未満、または10−10A未満であることを意味する。
【0061】
(比較例1)
200gスケールのインク分散物を以下の方法によって調製した。500ミリリットルの丸底フラスコに、199.4gの1,2−ジクロロベンゼンと、0.6gの精製したPQT−12ポリマー(ポリ[5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ビチオフェン)を入れた。PQT−12は、例えば、米国特許公開第2010/0093129号に記載されているような任意の適切な方法または任意の望ましい方法によって調製することができる。N下、磁気撹拌しつつ、このスラリーを1時間かけて75℃まで加熱した。1時間が経過したら、ポリマーは、赤みがかった橙褐色の外観を示す溶液であった。次いで、このフラスコを冷却した(2℃)超音波浴に浸し、回転させ、超音波処理しつつ冷却した。約2分後、ポリマーが析出するにつれて、溶液の色が暗紫色に変化した。このプロセスで得られた冷却速度は、約25℃/分であった。このフラスコに、この処理を合計10分間行い、この時点で、ガラス繊維フィルター(GF/F)紙(0.7μm)を取り付けた500ミリリットルステンレス鋼加圧フィルターを用いて濾過した。得られたインクの粒径分布を図4に示す。濾過した後、ポリマー分散物を試験のために送った。
【0062】
(実施例2)
200gスケールのインク分散物を以下の方法によって調製した。250ミリリットルの気密瓶に、0.6gの精製したPQT−12ポリマーと、199.4gの1,2−ジクロロベンゼンとを入れた。この供給瓶を、あらかじめ加熱しておいたサーモスタット付き油浴を用いて80℃まで加熱した。この溶液を、磁気撹拌棒を用いて毎分250回転で操作して撹拌した。アルゴン供給ラインおよび出口溶液ラインを供給タンクに接続し、供給タンクを加圧し、次いで、溶液を、溶液出口ラインを介して運んだ。すべてのラインは、1/8インチのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管で構成されていた。長さ24cmの溶液供給ラインを、管の熱交換部分(1/8インチのPTFE、長さ90cm)に接続し、氷を用いた0℃の超音波浴に浸した。この管部分の出口(超音波熱交換器)を、36cmの1/8インチのPTFE管を介し、三方弁に接続した。三方弁によって、操作中は、受け用フラスコに流れ、洗浄目的およびスタートアップ目的の場合には廃棄へと流れる。受け用バイアルは、ロードセルに配置されており、プロセス中の溶液の流速をモニタリングすることができる。このシステムおよびプロセスは、上述の図2および図3に示されている。このプロセスは、三方弁を開けることによって開始され、管理されたアルゴン加圧状態で、溶液流が供給フラスコから受け用フラスコへと流れる。橙色の供給溶液が6.25g/分の速度で熱交換部分に入ると、超音波処理器中、氷水で冷却され、PQT−12が析出し、均一な紫色溶液が得られた。この構造での冷却速度は、約410℃/分であった。浴中で管理されている超音波処理によって、非常に小さな(32nm)PQT−12粒子が狭い粒径分布で生成した。この製造操作は、32分で終了した。次いで、受け用フラスコ中の溶液を、GF/F紙(0.7μm)を取り付けた500ミリリットルステンレス鋼加圧フィルターを用いて濾過した。従来技術のバッチプロセスと比較すると、溶液は、簡単に濾過された。得られたインクの粒径分布を図5に示している。濾過した後、ポリマー分散物を試験のために送った。
【0063】
表1は、上述の実施例で製造したインクの測定値と、これらのインクから製造され、得られたデバイスの性能の分析結果をまとめたものである。
【0064】
【表1】

【0065】
表1を参照すると、それぞれのプロセスの固形分%は非常に近いが、本発明のプロセスがわずかによいことがわかるだろう。例えば、本発明のプロセスでは、溶解時の濃度0.3が得られており、一方、従来のプロセスは、濾過後の固形分は0.26%であった。本発明のプロセスは、濾過後に固形分0.27%を与えることができる。ある程度の処理損失は避けられないが、本発明のプロセスは、溶解濃度と、最終的な濾過したインクの濃度との差が可能な限り少なくなっている。
【0066】
(実施例3)
上部が接触した薄膜トランジスタ構造を主な試験デバイス構造として選択した。この試験デバイスは、熱によって成長した厚み約200nmの酸化ケイ素層を表面に含む、nドープされたシリコンウェハで構成されていた。このウェハは、ゲート電極として機能しているが、酸化ケイ素層は、絶縁層として作用し、キャパシタンスが約15nF/cm(ナノファラッド/平方cm)であった。デバイスの製造は、材料およびデバイスが周囲の酸素、水分または光にさらされないようになんら防止策をとることなく、周囲条件下で行われた。まず、シリコンウェハをアルゴンプラズマ、イソプロパノールで洗浄し、風乾し、次いで、オクチルトリクロロシランの0.1Mトルエン溶液に室温で20分間浸した。次いで、ウェハをトルエン、イソプロパノールで洗浄し、風乾した。バッチプロセス(比較例1)および連続プロセス(実施例2)の両方から得た上述のPQT−12分散物を、改変されたシリコンウェハ上に1000rpmで120秒間スピンコーティングし、厚みが約30nmの非常に均一な半導体ポリチオフェン層を得た。減圧下、80〜140℃で乾燥させ、アニーリングした後、半導体層の上部で、シャドウマスクを介して金電極を減圧で蒸発させ、デバイスを完成させた。
【0067】
周囲条件下、ブラックボックス中で、Keithley 4200 SCS半導体特性決定システムを用い、電界効果トランジスタの性能評価を行った。キャリア移動性μは、式(1)にしたがって、飽和領域(ゲート電圧VG<ソース−ドレイン電圧VSD)でのデータから算出した。
SD=Cμ(W/2L)(V−V(1)
【0068】
式中、ISDは、飽和領域でのドレイン電流であり、WおよびLは、それぞれ、半導体チャネルの幅および長さであり、Cは、絶縁層の単位面積あたりのキャパシタンスであり、VおよびVは、それぞれ、ゲート電圧および閾値電圧である。デバイスのVは、ISD=0に対する測定データを外挿することによって、飽和領域でのISDの平方根と、デバイスのVとの関係から決定された。
【0069】
寸法がW(幅)=5,000μm、L(長さ)=90μmのトランジスタを測定した。電界効果移動性および電流オン/オフ比の両方を以下にまとめた。
【0070】
【表2】

【0071】
連続プロセスから作成したPQT−12分散物は、コントロールであるバッチプロセスと同じ電界効果移動性を示したが、電流オン/オフ比は高かった。このことは、半導体ポリマーが周囲の酸素に最低限しかさらされておらず、それによって、低いオン/オフ比率を生じるような酸素ドーピングが防がれているという本発明の連続プロセスの利点を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ分散物を調製する連続プロセスであって、
液体と溶質とを含む組成物を与えることと;
前記組成物を加熱し、前記溶質を溶解して、前記液体に溶解した前記溶質を含む溶液を作成することと;
加熱した前記溶液を、溶液を受け入れる第1端と、超音波熱交換器に配置されている連続的な流水式経路と、生成物流を放出する第2端とを備える連続した管に通すことと;
加熱した前記溶液を、この溶液が、前記超音波熱交換器に配置されている前記連続的な流水式経路を流れている間に処理し、前記液体中にナノメートルサイズの粒子を含む生成物流を作成することと;
場合により、生成物を受け入れる容器に前記生成物流を集めることと;
場合により、前記生成物流を濾過することとを含み;
場合により前記生成物流を濾過することは、前記超音波熱交換器の放出端から直接ライン中で濾過することを含む、連続プロセス。
【請求項2】
前記溶質が、共役ポリマーを含む、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項3】
前記溶質が、
下式の化合物を含む半導体材料
【化1】


を含み、式中、Aは、二価の結合であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、適切なヘテロ含有基、ハロゲン、ペルハロアルキル、アルコキシアルキル、シロキシル置換アルキル、ポリエーテルからなる群から選択され;nは、約2〜約5,000の整数であり;
二価の結合Aは、
【化2−1】


【化2−2】


【化2−3】


またはこれらの組み合わせからなる群から選択され;
R’およびR”は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、−NOからなる群から選択される、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項4】
加熱した前記溶液を、この溶液が、前記超音波熱交換器を流れている間に処理することは、約20kHz〜約10MHzの周波数での超音波処理を用いて処理することと;
この加熱した溶液を、前記超音波熱交換器中で約−30℃〜約45℃の温度まで冷却することとを含む、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項5】
ナノ分散物を調製するためのシステムであって、
液体と、この液体に溶解した溶質とを含む組成物を含有する溶解容器と;
前記組成物を溶解温度まで加熱し、前記液体に溶解した溶質を含む溶液を作成するための加熱デバイスと;
前記溶解容器から加熱した溶液の流れを受け入れるための第1端、超音波熱交換器を介して前記溶液の流れを流すための、超音波熱交換器に配置されている連続的な流水式経路、生成物流を放出する第2端を備える連続した管と;
場合により、加熱した前記溶液を前記連続した管に制御された速度で流すためのデバイスと;
場合により、前記生成物流を受け入れるための、生成物を受け入れる容器と;
場合により、前記生成物流を濾過するための濾過デバイスとを備え;
このシステムが、グラム〜トンの量の容積になるような生成物を製造するように調節することが可能な、計量可能なシステムを備える、システム。
【請求項6】
前記溶質が、
下式の化合物を含む半導体材料
【化3】


を含み、式中、Aは、二価の結合であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、適切なヘテロ含有基、ハロゲン、ペルハロアルキル、アルコキシアルキル、シロキシル置換アルキル、ポリエーテルからなる群から選択され;nは、約2〜約5,000の整数であり;
二価の結合Aは、
【化4−1】




またはこれらの組み合わせからなる群から選択され;
R’およびR”は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、−NOからなる群から選択される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記超音波熱交換器によって、加熱した前記溶液が、約20kHz〜約10MHzの周波数で処理され;
冷却デバイスが、温度制御された浴を備え、これによって、加熱した前記溶液を約−30℃〜約45℃の温度まで冷却する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記超音波熱交換器放出端から直接、前記生成物流を濾過するための少なくとも1つのライン中の濾過デバイスを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
半導体デバイスであって、
基板と;
ゲート電極と;
ゲート誘電層と;
ソース電極と;
ドレイン電極と;
前記ソース電極およびドレイン電極および前記ゲート誘電層と接触した、ポリマーナノ分散物を含む半導体層とを備え;
前記ポリマーナノ分散物が、液体と、この液体に溶解したポリマーとを含むポリマー溶液組成物を与えることと;この組成物を加熱して、加熱したポリマー溶液を得ることと;加熱したポリマー溶液を、ポリマー溶液を受け入れる第1端と、超音波熱交換器に配置されている連続的な流水式経路と、生成物流を放出する第2端とを備える連続した管に通すことと;加熱した前記ポリマー溶液を、この溶液が、前記超音波熱交換器に配置されている前記連続的な流水式経路を流れている間に処理し、分散物中にナノメートルサイズの粒子を含む生成物流を作成することと;場合により、生成物を受け入れる容器に前記生成物流を集めることと;場合により、前記生成物流を濾過することとを含むプロセスによって調製される、半導体デバイス。
【請求項10】
薄膜トランジスタの半導体層を作成する方法であって、
(a)液体と、この液体に溶解したポリマーとを含むポリマー溶液組成物を与えることと;この組成物を加熱して、加熱したポリマー溶液を得ることと;加熱したポリマー溶液を、ポリマー溶液を受け入れる第1端と、超音波熱交換器に配置されている連続的な流水式経路と、生成物流を放出する第2端とを備える連続した管に通すことと;加熱した前記ポリマー溶液を、この溶液が、前記超音波熱交換器に配置されている前記連続的な流水式経路を流れている間に処理し、分散物中にナノメートルサイズの粒子を含む生成物流を作成することと;場合により、生成物を受け入れる容器に前記生成物流を集めることと;場合により、前記生成物流を濾過することとを含むプロセスによって調製されるポリマーナノ分散物を含む半導体材料を含む液体組成物を与えることと;
(b)前記トランジスタ基板の上に、前記液体組成物を塗布することと;
(c)前記液体組成物を乾燥させ、半導体層を作成することとを含む、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−50981(P2012−50981A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177749(P2011−177749)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】