説明

超音波美容器

【課題】使用者がトリートメントを行っていることを実感できるうえに、ジェル等の塗布を必要とせず簡便に使用することができる超音波美容器を提供することを目的とする。
【解決手段】本体ハウジング10の底面に沿って断面多角形の角ローラ20を回転自在に設置し、この角ローラ20の少なくともひとつの側面に超音波ヘッド220を取付け、そして角ローラ20内の超音波振動子200を前記超音波ヘッド220に接続すると共に、超音波振動子200を角ローラ20の回転軸240を経て本体ハウジング10内のバッテリ電源100に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波による振動を皮膚に伝達してトリートメントを行う超音波美容器に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波振動子を取付けたヘッドを皮膚にあててトリートメントを行うと同時に、ヘッド自体を機械的に振動して皮膚をマッサージする超音波美容器が知られている(特許文献1)。
【0003】
この種の超音波美容器ではヘッドや皮膚にクリームやジェルなどを塗布して、超音波振動の伝達効率を上げたりヘッドの滑りを良くしたりする。
【特許文献1】特開平2000−233005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしクリームやジェルを塗ったり拭き取ったりするのは煩雑で、クリーム代も嵩むという問題があった。また、クリームやジェルの代わりに水を用いた場合、ヘッドの滑りが悪くなるため皮膚が引きつれるなどして使い勝手を損ねるという問題があった。
【0005】
本発明は、クリームやジェルの代りに水を使うが、従来のような皮膚の引きつれもなく、軽快にトリートメントを行える超音波美容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1記載のごとく、本体ハウジングの底面に沿って断面多角形の角ローラを回転自在に設置し、この角ローラの少なくもひとつの側面に超音波ヘッドを取付け、そして角ローラ内の超音波振動子を前記超音波ヘッドに接続すると共に、超音波振動子を角ローラの回転軸を経て本体ハウジング内のバッテリ電源に接続した超音波美容器を提供する。
【0007】
請求項2記載のごとく、前記角ローラの側面に、ゲルマニウムの粉末を練り込んだ樹脂板、トルマリンの粉末を練り込んだ樹脂板又はこれらの両方を設置したことを特徴とする超音波美容器を提供する。
【0008】
請求項3記載のごとく、前記角ローラに係合溝を形成し、この係合溝に係合すべき係合部を有するローラ係止具を前記本体ハウジングに取り付けると共に、このローラ係止具を前記角ローラに対し接近離反可能に構成して、ローラ係止具を角ローラに接近させ又は離反させて前記係合部を前記係合溝に係合し又はその係合を解除して、前記超音波ヘッドが外側を向いた位置で前記角ローラを固定可能としたことを特徴とする超音波美容器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のごとく、電源を内蔵する本体ハウジングに角ローラを回転自在に保持して、角ローラの側面に超音波ヘッドを取り付けたことにより、皮膚に水やお湯などを塗布しておくだけで角ローラを転動して超音波ヘッドによる超音波振動を皮膚に伝達することができるため、クリームやジェルを拭き取ったり洗い流したりする手間が不要で簡便にトリートメントを行うことができる。また、角ローラを転動するとその角と側面が交互に皮膚に当たり、その角により皮膚を刺激すると共にその側面で断続的に皮膚を叩いて心地よいマッサージ効果を得ることができ、相乗的な美肌トリートメント効果を得ることができる。
【0010】
請求項2記載のごとく、ゲルマニウムやトルマリンを練り込んだ樹脂板を角ローラの側面に設置したことにより、角ローラを転動して皮膚を波立たせることによるマッサージ効果に加えて、ゲルマニウムによる疲労回復効果や、トルマリンから発生するマイナスイオンによるリラックス効果が得られ、角ローラの各側面にそれぞれ効果の異なる樹脂板などを取り付けて、それらの効果を相乗させたトリートメントを行うことができる。
【0011】
請求項3記載のごとく、簡便な方法により超音波ヘッドが外側を向いた位置で角ローラを固定可能としたことにより、角ローラを転動してトリートメントを行うことができると共に、従来のように超音波ヘッドを皮膚に当てて超音波振動によりトリートメントすることもでき、使用者が適宜選択して所望の方法により美肌トリートメントを行うことができる。そして、使用者の気分や健康状態にあった方法で美肌トリートメントを行うことができるため、興味を持続させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る超音波美容器の実施の形態について図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本発明にかかる超音波美容器の実施形態を示す部分断面正面図であり、図2はその側面図、図3は平面図、図4は底面図、図5は背面図である。
【0013】
本実施形態の超音波美容器1は、本体ハウジング10と、この本体ハウジング10に回転自在に保持される角ローラ20とにより構成する。
【0014】
本体ハウジング10は、超音波美容器1を把持するための把持部110を有する上部ケース11と、この上部ケース11と嵌合して中空構造をなす下部ケース12と、角ローラ20を回転自在に保持するための軸受部13とにより構成されている。
【0015】
上部ケース11と下部ケース12は、嵌合すると共にオーリングなどのシール部材S1によりシールして中空の防水構造に形成する。この中空部104にバッテリ電源100を設ける。このバッテリ電源100は、下部ケース12に形成した充電端子101を介して外部電源と接続して充電する。
【0016】
さらに、下部ケース12の底面側に電源スイッチ103を設ける。この電源スイッチ103によりバッテリ電源100をオン・オフすると共に、超音波出力の出力モードを切替可能に構成する。また、中空部104には、複数のLEDチップ(例えば赤と青)からなる電源ランプ102を設け、破線で示す付近に、上部ケース11を透かして電源ランプ102の明滅が見えるように構成し、バッテリ電源100のオン・オフ及び超音波出力のモードに応じて、電源ランプ102を赤色や青色で点灯、消灯又は点滅する。
【0017】
下部ケース12の下側には、左右に一対の軸受部13、13を嵌合固定して板状のシール部材S2によりシールする。軸受部13、13には角ローラ20を保持する軸受130、130を向かい合わせに形成する。また、シール部材S2に板状又は棒状の伝導体131を挿通して固定する。この伝導体131の一端は中空部104に臨ませて導線132を介してバッテリ電源100と接続し、他端には摺動部133を設けて軸受130に臨ませる。
【0018】
次に、角ローラ20について説明する。角ローラ20は、中空のローラ本体21の側面に平板22と超音波ヘッド220を設置して形成する。ローラ本体21は、ローラ本体21の側面部を構成する断面六角形状のローラ筒体23とローラ本体21の底面部を構成するローラ軸部24とからなり、このローラ筒体23とローラ軸部24とをネジ留めすると共にオーリングなどのシール部材S3によりシールして防水構造に形成する。本実施形態の角ローラ20は、長さが約15cm、側辺の幅が約3cmの六角柱状に形成している。
【0019】
ローラ筒体23の側面のうち少なくとも一つに、超音波振動を皮膚に伝達可能な超音波ヘッド220を取り付け、この超音波ヘッド220に超音波振動子200を取り付ける。
また、超音波ヘッド220を取り付けた側面には貫通穴230を形成する。この貫通穴230により防水性能が損なわれることがないように、超音波ヘッド220は、粘着剤等によりローラ筒体23の側面に確実に取り付ける。
【0020】
ローラ軸部24の回転軸240には電気伝導性を有する伝導軸241を貫通して固定すると共にシール部材S4によりシールする。この伝導軸241は、一端を回転軸240の軸端から覗かせ、他端には導線242を取り付けて、貫通穴230を介して超音波振動子200と電気的に接続する。
【0021】
上記のごとく形成した角ローラ20の回転軸240を軸受部13の軸受130に挿通すると共にシール部材S5、S6によりシールする。そして、軸受部13に設けた伝導体131の摺動部133を、回転軸240の軸端から覗く伝導軸241の側面に当接し、バッテリ電源100に、導線132、伝導体131、伝導軸241及び導線242を通じて超音波振動子200を接続する。
【0022】
次に、本発明に係る超音波美容器1の使用方法について説明する。
本実施形態に係る超音波美容器1を使用してトリートメントを行うときは、まず、皮膚のトリートメント部を水で濡らしておく。そして、電源スイッチ103を押して電源をオンにし、超音波振動子200を超音波振動させる。超音波振動を開始したら、トリートメント部に角ローラ20を押し当て、皮膚に密着させた状態で角ローラ20を転動する。
トリートメントを終了するときは、電源スイッチ103により電源をオフにした後、角ローラ20及びトリートメント部に付着した水滴を拭き取る。
【0023】
上記のごとく構成した超音波美容器1は以下に述べる効果を奏する。
本発明に係る超音波美容器1によれば、皮膚に水やお湯などを塗布しておくだけで角ローラを転動して超音波ヘッドによる超音波振動を皮膚に伝達することができるため、処理を行う毎に、処理前にはトリートメント部や超音波ヘッドにクリームやジェルを塗布し、処理後にはこれを拭き取ったり洗い流したりする手間が不要で、簡便にトリートメントを行うことができる。さらに、角ローラを転動することによりその角と側面が交互に皮膚に当たり、その角によって皮膚を刺激すると共にその側面によって断続的に皮膚を叩いてマッサージ効果を得ることができ、このマッサージ効果と併せて相乗的な美肌トリートメントを行うことで優れた効果を得ることができる。
【0024】
さらに、超音波美容器1には防水加工が施されており、水やお湯などの噴流中でトリートメントを行うこともできる。この場合には、超音波振動によるトリートメント効果に加えて、この噴流による皮膚のマッサージ効果と角ローラの転動によるマッサージ効果とを相乗させて、流水中において人体の皮膚が振動するいわゆるフラッター現象のような、さらに効果的なトリートメント効果を得ることができる。
【0025】
次に、超音波美容器の別の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。
図6は、軸受部を拡大して示す部分断面拡大正面図であり、図7は軸受部を拡大して示す側面図である。本実施形態に係る超音波美容器2は、軸受部13にローラ係止具14を取り付け、角ローラ20に係合溝210を形成してなる。
【0026】
ローラ係止具14は、軸受部13に取り付けられる枠状の本体140と、角ローラ20の係合溝210に係合される係合部141と、ローラ係止具14を軸受部13に対して上位置又は下位置に保持するための突部143を有する保持部142とからなる。
【0027】
軸受部13には上下に一対の凹部134、135を形成する。また、本実施形態に係る角ローラ20は六角筒状に形成されており、係合溝210は、超音波ヘッド220を取り付けた側面の対面にあたる側面の両端部に形成する。
【0028】
このローラ係止具14を、軸受部13に沿って上下方向に摺動可能に取り付ける。そして、保持部142に形成した突部143を軸受部13の凹部134又は凹部135の一方に係止して、ローラ係止具14を上位置又は下位置に保持する。ローラ係止具14を下位置に保持したときには、係合部141がローラ本体21の係合溝210に係合し、超音波ヘッド220が外側を向いた位置で角ローラ20が固定される。
【0029】
上記のごとく形成した別の実施形態に係る超音波美容器2は、ローラ係止具14によって角ローラ20を固定できるため、角ローラ20を転動してマッサージしながら超音波振動により美肌トリートメントを行ったり、角ローラを固定し超音波ヘッドを皮膚に当てて美肌トリートメントを行ったりすることができ、使用者が適宜選択した所望の方法により美肌トリートメントを行うことができるため、興味を持続させることが可能となる。
【0030】
本発明に係る超音波美容器1、2において、角ローラ20は断面六角形状に形成したが、角ローラを断面三角形状乃至五角形状、または七角以上の多角形状に形成してもよい。また、本実施形態の角ローラ20の側辺の幅は、約3cmに形成したが、これに限定するものではなく、マッサージ効果が得られる大きさであればよい。
身体部分をマッサージするには、例えば、1cm乃至4cm程度の範囲が適当であり、2cm乃至3cmとするのが好ましい。一方、顔部分をマッサージするには、0.5cm乃至2cm程度の範囲が適当であり、0.8cm乃至1.3cmとするのが好ましい。
【0031】
また、角ローラ20の側面には、超音波ヘッド220の他に平板22を取り付けているが、平板22の転動面に凸部を形成するなどして角ローラの転動によるマッサージ効果を向上させることができる。
【0032】
さらに、平板22をゲルマニウム鉱石の粉末やトルマリン鉱石の粉末を練り込んだ樹脂板により形成してもよい。例えば図8に示すように、ゲルマニウム樹脂板221とトルマリン樹脂板222とを組み合わせて配置すると、ゲルマニウム樹脂板221によって、生体電流を整え、痛み、コリなどの身体不良を改善する効果を得ると共に、トルマリン樹脂板222によって、マイナスイオンによるリラックス効果や、遠赤外線による温熱効果を得ることができる。
【0033】
皮下脂肪や筋肉が厚い身体部分をトリートメントする場合には500kHz乃至1MHz程度の比較的低い周波数の超音波振動によりトリートメントを行うのが好ましく、顔部分などをトリートメントする場合には数MHz程度の比較的高い周波数の超音波振動によりトリートメントを行うのが好ましいことから、角ローラの大きさなどに応じて超音波振動の周波数を100kHz乃至10MHzとする。
【0034】
また、複数の超音波振動子を取付けて、スイッチ(図示せず)などにより使用する超音波振動子を切換えて周波数を変化させてもよい。
例えば、ローラ係止具14の操作により周波数を切換えるように構成し、角ローラ20を転動して身体部分をマッサージする場合には低い周波数の超音波振動によりトリートメントを行い、角ローラ20を固定した場合には高い周波数の超音波振動によりトリートメントを行う。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る超音波美容器の実施形態を示す部分断面正面図である。
【図2】超音波美容器の側面図である。
【図3】超音波美容器の平面図である。
【図4】超音波美容器の底面図である。
【図5】超音波美容器の背面図である。
【図6】超音波美容器の別の実施形態を示す部分断面拡大正面図である。
【図7】超音波美容器の別の実施形態を示す拡大側面図である。
【図8】角ローラの別の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1、2 超音波美容器
10 本体ハウジング
100 バッテリ電源
101 充電端子
102 電源ランプ
103 電源スイッチ
104 中空部
11 上部ケース
110 把持部
12 下部ケース
13 軸受部
130 軸受
131 伝導体
132 導線
133 摺動部
134、135 凹部
14 ローラ係止具
140 本体
141 係合部
142 保持部
143 突部
20 角ローラ
200 超音波振動子
21 ローラ本体
210 係合溝
22 平板
220 超音波ヘッド
221 ゲルマニウム樹脂板
222 トルマリン樹脂板
23 ローラ筒体
230 貫通穴
24 ローラ軸部
240 回転軸
241 伝導軸
242 導線
S1〜S6 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ハウジングの底面に沿って断面多角形の角ローラを回転自在に設置し、この角ローラの少なくもひとつの側面に超音波ヘッドを取付け、そして角ローラ内の超音波振動子を前記超音波ヘッドに接続すると共に、超音波振動子を角ローラの回転軸を経て本体ハウジング内のバッテリ電源に接続してなる超音波美容器。
【請求項2】
前記角ローラの側面に、ゲルマニウムの粉末を練り込んだ樹脂板又はトルマリンの粉末を練り込んだ樹脂板のいずれか一方若しくは両方を設置したことを特徴とする請求項1記載の超音波美容器。
【請求項3】
前記角ローラに係合溝を形成し、この係合溝に係合すべき係合部を有するローラ係止具を前記本体ハウジングに取り付けると共に、このローラ係止具を前記角ローラに対し接近離反可能に構成して、
ローラ係止具を角ローラに接近させ又は離反させて前記係合部を前記係合溝に係合し又はその係合を解除して、前記超音波ヘッドが外側を向いた位置で前記角ローラを固定可能としたことを特徴とする請求項1記載の超音波美容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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