説明

超音波美容用機器

【課題】 従来における超音波美容用機器は、2つのヘッドを背中合わせに配置しハンマー状の形状とした場合、ヘッドの厚み寸法が大きくなって被施術者の顎付近等に首側からアプローチしようとしたときに、反対側のヘッドや本体部が首や胸に当たってしまい、施術に支障をきたすという問題があった。
【解決手段】 施術者の手の中に納まる大きさで、かつ、アーチ形状とした筐体1内に、異なる周波数の超音波出力を発生する超音波発生回路5を内蔵し、該超音波発生回路よりの異なる出力で振動する発振素子58,59を取付けたヘッド2,3を前記筐体の両端に取付けると共に前記筐体に操作スイッチ54,55を取付け、該操作スイッチを各別に操作することで前記発振素子を選択的に振動するようにしたことを特徴とする超音波美容用機器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施術者が手で持って被施術者の顔に当てて超音波によって施術を行なうエステサロン、理美容サロンや化粧品店等で使用する超音波美容用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における超音波美容用機器の先行技術文献としては、特開2006−120726号公報の発明がある。この発明は、施術者が手で握る本体部の上端に背中合わせに第1ヘッド部と第2ヘッド部をY字状のハンマー形状に配置し、前記本体部に設けたスイッチによって前記2つのヘッド部を同時あるいは単独で駆動して美顔施術を行なうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−120726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した先行技術文献にあっては、2つのヘッドを背中合わせに配置しハンマー状の形状とした場合、ヘッドの厚み寸法が大きくなって被施術者の顎付近等に首側からアプローチしようとしたときに、反対側のヘッドや本体部が首や胸に当たってしまい、施術に支障をきたすという問題があった。
【0005】
また、ヘッドの厚みが厚いと使用するヘッドの真上、あるいはその近辺を掴み難いため、掴んだ部位とヘッド部位が遠くなって顔への当て方の微調整がし難いといった問題があった。
【0006】
さらに、被施術者が座位姿勢で施術を受けるような場合、顔面が鉛直に近いため、施術を行なうに当たって顔に押し当てる力を加える必要がある。ハンマー形状の超音波美容用機器にあっては、このとき顔から反発される力が発生し、その発生力に対して支える部分がグリップ部であることから、施術者は反発力に抗して支えなければならず手首への負担が大きくなるといった問題もあった。
【0007】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、異なる周波数で振動し、かつ、または、前記異なる周波数の電力を変えて振動する発振素子が取付けられたヘッドを両端に有する筐体を、施術者の手の中に納まる大きさで、かつ、アーチ状に湾曲したので、被施術者の顎や首付近等へのアプローチ時にも首や胸に当たることがなく、かつ、顎のラインにも干渉しない施術が可能であると共に顔に押し当てる力を加えるときに顔から反発される力が発生しても、筐体がアーチ状に湾曲していることから施術者の手首への反発力が小さく作業時に苦痛を与えることがない超音波美容用機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の超音波美容用機器は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、施術者の手の中に納まる大きさで、かつ、アーチ形状とした筐体内に、異なる周波数の超音波出力を発生する超音波発生回路を内蔵し、該超音波発生回路よりの前記異なる周波数で振動する発振素子を取付けたヘッドを前記筐体の両端に取付けると共に前記筐体に操作スイッチを取付け、該操作スイッチを各別に操作することで前記発振素子を選択的に振動するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記筐体の上面に前記超音波発生回路に電力を供給する電源コードをコード旋回機構を介して回転可能に取付けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記2つの操作スイッチを施術者が筐体を握った指で操作可能なように前記筐体の裏面側に取付けたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の手段は、前記した請求項1において、前記超音波発生回路より出力される異なる周波数毎に電力を変化させて前記発振素子の振動力を変化させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は前記したように、アーチ形状の筐体の両端に発振素子が取付けられたヘッドを取付け、前記発振素子に異なる超音波周波数の出力や周波数は同じで電力が異なる出力を各別に印加して振動させるようにしたので、被施術者の顎や首付近等へのアプローチ時にも首や胸に当たることがなく、かつ、顎のラインにも干渉しない施術が可能であると共に顔に押し当てる力を加えるときに顔から反発される力が発生しても、筐体がアーチ状に湾曲していることから施術者の手首への反発力が小さく作業時に苦痛を与えることがない。
【0013】
また、前記異なる超音波周波数の出力や周波数は同じで電力が異なる出力を発生する超音波発生回路に電力を供給するための電源コードを筐体の上面側に回転可能に取付けたことで、施術を行なう際に施術作業で使用するヘッドとは逆側に電源コードを逃がせることで、施術において電源コードが邪魔になることがなく作業性の向上を図ることができる。
【0014】
さらに、発振素子の出力を選択するため操作スイッチを筐体の裏面側に取付けたことで、施術者が操作スイッチの操作を行なうに際して筐体を握った側の指で操作が可能となってスイッチ操作のオン・オフ操作および切り替え操作を容易に行なうことができる等の効果を有するものである。
【0015】
また、各周波数毎に電力を変更して発振素子の振動力を変更して被施術者の顔面に対して強弱を変えることで、より施術効果を得ることができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る超音波美容用機器を施術者が持っている状態の斜視図である。
【図2】内部構造を示す断面図である。
【図3】超音波美容用機器の斜視図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図3の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る超音波美容用の機器の一実施例を図面と共に説明する。
1は半透明合成樹脂によって成形した本体11とカバー12とから構成した筐体にして、図1に示すように施術者が持って手にフィットする長さで、かつ、アーチ状に形成されている。そして、筐体1におけるカバー12の両端には外側に向かって傾斜した開口部12a,12bにステンレスで形成したキャップ状のヘッド2,3が取付けられている。また、筐体1におけるカバー12の両側面には施術者が握った時に滑り難いようにアーチ状に沿って凹凸12cが形成されている。そして、本体11とカバー12とはネジ止めされている。
【0018】
4は電源コードにして、前記筐体1における本体11の中央部に回転(図4の状態で180度)可能となるようにコード旋回機構41を介して取付けられている。このような構成とすることで、施術者による施術作業時に邪魔にならないように施術作業で使用するヘッドとは逆側に電源コード4を逃がせるようになっている。なお、コード旋回機構41を180度の回転可能としたのは、コード旋回機能が何回転でも可能とすると電源コード4が捩れ過ぎて断線する恐れがあるからであり、ブラシを使用して摺接する方式を採用すれば回転数は問題がなくなる。
【0019】
次に、図2の筐体1の内部に装備された超音波発生回路5について説明するに、超音波発生回路5は筐体1の本体11にはプリント基板51が取付けられ、このプリント基板51には2つの超音波出力(例えば、1MHzと5MHz)を発生する電子回路52と、電源トランス53と、前記2つの超音波出力を選択的に出力させる2つの操作スイッチ54,55および該操作スイッチ54,55によって選択した側の表示を行なう発光ダイオード56,57が実装されている。
【0020】
また、前記ヘッド2の内面には前記5MHzの超音波出力で振動するセラミック製の発振素子58が、また、前記ヘッド3の内面には前記1MHzの超音波出力で振動するセラミック製の発振素子59が接着されている。なお、前記操作スイッチ54,55は筐体1におけるカバー12側に取付けられているので、施術者が操作スイッチ54,55の操作を行なうに際して筐体1を握った側の指で操作が可能となる。
【0021】
前記5MHzで振動するヘッド2が取付けられている筐体1の外径と、前記1MHzで振動するヘッド3が取付けられている筐体の外径とでは、ヘッド3側の外径が大きく形成されているので、施術者が施術する時に目で見たり手で握った状態で判断できるようになっている。
【0022】
また、前記ヘッド2が取付けられている筐体1における本体11の上面端部には6本線のマーク11a(刻み)が形成され、かつ、前記ヘッド3が取付けられている上面端部には2本線のマーク11b(刻み)とが形成されており、このマークを見ることで何れが何メガヘルツで振動する側かを判断できるようになっている。
【0023】
次に、前記した構成に基づいて動作を説明するに、先ず、施術者は前記筐体1の両端の外径の相違や、マーク11a,11bを見て1MHzの振動で行なうかあるいは5MHzの振動で行なうかを確認して、操作スイッチ54,55を選択してヘッド2,3の何れかを振動させる。
【0024】
そして、被施術者の施術部位にジェルを塗って振動している側のヘッド2またはヘッド3を被施術者の顔に当て振動させることで施術を行なう。この施術を行なうに際して、施術作業で使用するヘッドとは逆側に電源コード4を逃がせることで、施術において電源コード4が邪魔になることがないので作業が容易に行なえる。
【0025】
また、筐体1をアーチ状に湾曲し、かつ、ヘッド2,3を筐体内の両端に設けたので、被施術者の顎や首付近等へのアプローチ時にも首や胸に当たることがなく、さらに、顎のラインにも干渉しない施術が可能であると共に顔に押し当てる力を加えるときに顔から反発される力が発生しても、筐体がアーチ状に湾曲していることから施術者の手首への反発力が小さく作業時に苦痛を与えることがない。
【0026】
なお、反対側のヘッド2またはヘッド3を使用しての施術は、筐体1を反転した状態で手で持ち、操作スイッチ54,55を切り替えることで、例えば、最初の施術が1MHzの振動で行なっていたのに対し、続いての施術を5MHzの振動で行なうことができる。
【0027】
なお、前記した実施例では超音波の周波数を変更することのみで施術を行なう場合について説明したが、各周波数毎に電力を変更して発振素子58,59の振動力を変更して被施術者の顔面に対して強弱を変えることで、より施術効果を得ることができる。また、前記した実施例ではヘッド2,3の断面形状を円柱状のものとて示したが、断面形状としては円錐状、楕円筒状、矩形状等であってもよく、さらに、筐体1の断面形状としては円柱状のものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
1 筐体
11 本体
12 カバー
2,3 ヘッド
4 電源コード
41 コード旋回機構
5 超音波発生回路
54,55 操作スイッチ
58,59 発振素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施術者の手の中に納まる大きさで、かつ、アーチ形状とした筐体内に、異なる周波数の超音波出力を発生する超音波発生回路を内蔵し、該超音波発生回路よりの前記異なる周波数で振動する発振素子を取付けたヘッドを前記筐体の両端に取付けると共に前記筐体に操作スイッチを取付け、該操作スイッチを各別に操作することで前記発振素子を選択的に振動するようにしたことを特徴とする超音波美容用機器。
【請求項2】
前記筐体の上面に前記超音波発生回路に電力を供給する電源コードをコード旋回機構を介して回転可能に取付けたことを特徴とする請求項1記載の超音波美容用機器。
【請求項3】
前記2つの操作スイッチを施術者が筐体を握った指で操作可能なように前記筐体の裏面側に取付けたことを特徴とする請求項1記載の超音波美容用機器。
【請求項4】
前記超音波発生回路より出力される異なる周波数の電力を変化させて前記発振素子毎の振動力を変化させたことを特徴とする請求項1記載の超音波美容用機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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