説明

超音波診断システム

【課題】診断効率を向上させる。
【解決手段】超音波診断システム1は、第1の超音波画像を取得する第1の超音波診断装置2と、その第1の超音波診断装置2にネットワーク5を介して接続され第2の超音波画像を取得する第2の超音波診断装置3とを備える。第1の超音波診断装置2は、第1の超音波診断装置2内の情報を取得する情報取得部と、第1の超音波診断装置2に関する装置情報及び第2の超音波診断装置3に関する装置情報を用いて、第1の超音波診断装置2内の情報を第2の超音波診断装置用の情報に変換する情報変換部と、第2の超音波診断装置用の情報を第2の超音波診断装置2に送信する情報送信部とを具備する。第2の超音波診断装置3は、情報送信部により送信された第2の超音波診断装置用の情報を受信する情報受信部と、その情報受信部により受信された第2の超音波診断装置用の情報を設定する情報設定部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断システムに関し、例えば、複数台の超音波診断装置を備える超音波診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波を送受信する超音波プローブにより被検体内を超音波で走査して被検体内からの反射波を受信し、その反射波の強度分布を輝度情報に変換して受信信号を生成し、その後、生成した受信信号を基に被検体の内部状態を超音波画像として画像化する装置である。この超音波診断装置は検査や生検、治療などの各種用途で用いられている。
【0003】
このような超音波診断装置を用いる超音波診断システムにおいては、メイン装置及びサブ装置として二台の超音波診断装置を用いることがある。この二台の超音波診断装置としては、例えば、術者が扱うメイン装置として床置き型の超音波診断装置を用い、補助者が扱うサブ装置として携帯型の超音波診断装置を用いたりする。
【0004】
この超音波診断システムは、例えば、エコノミー症候群の検査で右足と左足で血流の流れを見比べる場合や造影剤検査で撮影タイミング合わせのために二箇所を見比べる場合、あるいは、母子を同時に見る場合などに用いられる。このような診断では、メイン装置とサブ装置は互いに独立の装置として使用され、超音波画像はメイン装置及びサブ装置のそれぞれの画面に表示されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−59781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のメイン装置とサブ装置の同時使用時、それらの装置間で情報(例えば、カラー/白黒モードや輝度、ダイナミックレンジ、コメントなど)を共有するためには、メイン装置及びサブ装置のそれぞれの装置に対し、その情報に関する入力操作(例えば、カラー/白黒モード変更や輝度変更、ダイナミックレンジ変更、コメント記入などの入力操作)を行う必要がある。情報の中には、メイン装置及びサブ装置の間で単純に共有することができるもの(例えば、カラー/白黒モードなど)や装置のパラメータスケール(例えば、輝度やダイナミックレンジなど)に依存して単純に共有することができないものがある。このため、前述のように装置ごとの入力操作に時間と手間がかかり、診断効率が低下してしまう。
【0007】
また、前述のメイン装置とサブ装置の同時使用時には、術者などのユーザはメイン装置及びサブ装置のそれぞれの超音波画像を確認する必要があり、これはユーザの負担となるため、診断効率が低下してしまう。加えて、超音波画像には重要な情報が含まれており、その超音波画像が隠れることは誤診を招く恐れに加え、診断をやり難くするため、診断効率が低下してしまう。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、診断効率を向上させることができる超音波診断システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る超音波診断システムは、第1の超音波画像を取得する第1の超音波診断装置と、第1の超音波診断装置にネットワークを介して接続され、第2の超音波画像を取得する第2の超音波診断装置とを備え、第1の超音波診断装置は、第1の超音波診断装置内の情報を取得する情報取得部と、第1の超音波診断装置に関する装置情報及び第2の超音波診断装置に関する装置情報を用いて、情報取得部により取得された第1の超音波診断装置内の情報を第2の超音波診断装置用の情報に変換する情報変換部と、第2の超音波診断装置用の情報を第2の超音波診断装置に送信する情報送信部とを具備し、第2の超音波診断装置は、情報送信部により送信された第2の超音波診断装置用の情報を受信する情報受信部と、情報受信部により受信された第2の超音波診断装置用の情報を設定する情報設定部とを具備する。
【0010】
実施形態に係る超音波診断システムは、第1の超音波画像を取得する第1の超音波診断装置と、第1の超音波診断装置にネットワークを介して接続され、第2の超音波画像を取得する第2の超音波診断装置とを備え、第2の超音波診断装置は、第1の超音波診断装置に第2の超音波画像を送信する画像送信部を具備し、第1の超音波診断装置は、第1の超音波画像を表示する表示部と、画像送信部により送信された第2の超音波画像を受信する画像受信部と、画像受信部により受信された第2の超音波画像を第1の超音波画像に重ねずに表示部に表示させる画像管理部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の一形態に係る超音波診断システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断システムが備える第1の超音波診断装置(メイン装置)の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す超音波診断システムが備える第2の超音波診断装置(サブ装置)の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す超音波診断システムが備える変換情報算出装置、第1の超音波診断装置及び第2の超音波診断装置の個々の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示す変換情報算出装置が保管する装置情報テーブルを説明するための説明図である。
【図6】図4に示す第1の超音波診断装置が行う超音波画像表示を説明するための説明図である。
【図7】図4に示す超音波診断システムが行う情報共有処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図4に示す超音波診断システムが行う画像共有処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る超音波診断システム1は、メイン装置となる第1の超音波診断装置2と、サブ装置となる第2の超音波診断装置3と、情報変換用の変換情報を算出する変換情報算出装置4とを備えている。これらの各装置2、3、4は無線又は有線のネットワーク5により通信可能に接続されている。
【0014】
第1の超音波診断装置2は、図2に示すように、患者などの被検体に対して超音波の送受信(送受波)を行う超音波プローブ2aと、その超音波プローブ2aに対する駆動信号の送信及び超音波プローブ2aからの反射信号の受信を行う送受信部2bと、その反射信号を処理する信号処理部2cと、データ変換を行うDSC(Digital Scan Converter)2dと、超音波画像を生成する画像生成部2eと、各種画像を表示する表示部2fと、術者などの操作者により入力操作される入力部2gと、各種情報を記憶する記憶部2hと、外部装置との通信を可能とする通信部2iと、各部を制御する制御部2jとを備えている。
【0015】
超音波プローブ2aは、被検体の表面にその先端面を接触させた状態で、超音波の送受信を行う超音波探触子である。この超音波プローブ2aは、複数の圧電振動子を内蔵しており、それらは先端面に二次元的に配列されている。超音波プローブ2aは、各圧電振動子により被検体に対して超音波を送信し、被検体からの反射波をエコー信号として受信する。
【0016】
送受信部2bは、超音波プローブ2aに超音波を発生させるための駆動信号、すなわち各圧電振動子に印加する電気パルス信号(励起信号)を生成し、その電気パルス信号を超音波プローブ2aに送信する。さらに、送受信部2bは、超音波プローブ2aからの反射信号、すなわちエコー信号を受信し、その受信信号に対して整相加算を行い、その整相加算により得られた信号を信号処理部2cに出力する。
【0017】
信号処理部2cは、Bモード処理部、ドプラ処理部及びカラーモード処理部などを有している。Bモード処理部は、送受信部2bから供給された信号(エコー信号)の振幅情報の映像化を行い、Bモード超音波ラスタデータを生成してDSC2dに出力する。ドプラ処理部は、送受信部2bから供給された信号からドプラ偏移周波数成分を取り出し、さらにFFT(Fast Fourier Transform)処理などを施し、血流情報を生成してDSC2dに出力する。カラーモード処理部は、送受信部2bから供給された信号に基づいて血流情報の映像化を行い、カラー超音波ラスタデータを生成してDSC2dに出力する。
【0018】
DSC2dは、スキャンコンバージョン処理を行うことによって、信号処理部2cから供給されたデータを直交座標で表される超音波画像データに変換する。例えば、DSC2dは、Bモード処理部から出力されたBモード超音波ラスタデータに対してスキャンコンバージョン処理を施し、被検体の組織形状を二次元情報として表す超音波画像(超音波断層像)である断層像データを生成する。DSC2dは、その超音波画像データを画像生成部2eや制御部2jに出力する。
【0019】
画像生成部2eは、DSC2dから供給された超音波画像データからボクセルデータを生成し、さらに、ボリュームレンダリング処理を行って二次元の超音波画像や三次元の超音波画像などを生成し、その二次元の超音波画像や三次元の超音波画像を表示部2fに出力する。
【0020】
表示部2fは、例えば液晶ディスプレイあるいはCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイにより構成されており、画像生成部2eにより生成された超音波画像などの各種画像を表示する。
【0021】
入力部2gは、トラックボールやスイッチ、ボタン、キーボード、マウスなどの入力デバイスにより構成されている。この入力部2gが操作者により用いられ、患者情報や撮像種類、撮像開始、撮像終了、各種変更、コメント記入などの入力操作が行われる。入力部2gは、操作者の入力操作の内容を表わす信号を制御部2jに出力する。
【0022】
記憶部2hは、例えば大容量のHDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリなどにより構成されており、制御部2jから供給された診断情報などを記憶するデータベースとして機能する。また、記憶部2hは、制御部2jが実行するプログラムや画像生成に必要なデータなども記憶している。
【0023】
通信部2iは、無線や有線、例えば、イーサネット(登録商標)規格に基づくLAN(ローカルエリアネットワーク)などのネットワーク5を介して、例えばTCP/IPなどの通信プロトコルに基づいて外部装置との通信を行う。
【0024】
制御部2jは、例えば、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成されており、入力部2gからの入力信号に基づいて、ROMに記憶されているプログラムなどを読み出して実行し、各部の制御を行う。また、制御部2jは、所定の処理を行うことによって得られたデータと、DSC2dから供給された超音波画像データを含む診断情報を記憶部2hに出力する。
【0025】
第2の超音波診断装置3は、図3に示すように、患者などの被検体に対して超音波の送受信(送受波)を行う超音波プローブ3aと、その超音波プローブ3aに対する駆動信号の送信及び超音波プローブ3aからの反射信号の受信を行う送受信部3bと、その反射信号を処理する信号処理部3cと、データ変換を行うDSC3dと、超音波画像を生成する画像生成部3eと、各種画像を表示する表示部3fと、補助者などの操作者により入力操作される入力部3gと、各種情報を記憶する記憶部3hと、外部装置との通信を可能とする通信部3iと、各部を制御する制御部3jとを備えている。これらの各部は、前述の第1の超音波診断装置2と同様であるため、その説明を省略するが、異なる部分に関しては以降で説明を行う。
【0026】
ここで、例えば、第1の超音波診断装置2は術者が扱うメイン装置であり、第2の超音波診断装置3は補助者が扱うサブ装置である。その第1の超音波診断装置2としては、例えば、床置き型の超音波診断装置(車輪により移動可能な超音波診断装置)が用いられ、第2の超音波診断装置3としては、例えば、携帯型の超音波診断装置が用いられる。
【0027】
次に、前述の第1の超音波診断装置2、第2の超音波診断装置3及び変換情報算出装置4について詳しく説明する。なお、これ以降、説明の明確化のため、第1の超音波診断装置2により取得された超音波画像を第1の超音波画像とし、第2の超音波診断装置2により取得された超音波画像を第2の超音波画像として説明を行う。
【0028】
図4に示すように、第1の超音波診断装置2は、イベントを検出するイベント検出部21と、第1の超音波診断装置2内の情報を求める情報取得部22と、情報変換の要否を判定する変換判定部23と、変換情報を取得する変換情報取得部24と、前述の情報を変換する情報変換部25と、第2の超音波診断装置3に情報を送信する情報送信部26と、第2の超音波診断装置3から第2の超音波画像を受信する画像受信部27と、その第2の超音波画像を管理する画像管理部28とを備えている。
【0029】
イベント検出部21は、第1の超音波診断装置2におけるイベントの発生を検出する。このイベントとしては、例えば、通常表示/共有表示モード変更やカラー/白黒モード変更、輝度変更、ダイナミックレンジ変更、コメント記入などがある。これらのイベントは、操作者が入力部2gを操作することで発生するものである。なお、通常表示モードとは第1の超音波画像だけを表示するモードであり、共有表示モードとは第1の超音波画像に加え第2の超音波画像も同時に表示するモードである。
【0030】
情報取得部22は、イベント検出部21によるイベント発生の検出に応じて、第1の超音波診断装置2内の情報を取得する。この情報としては、例えば、通常表示/共有表示モードやカラー/白黒モード、輝度、ダイナミックレンジ、コメントなどがある。なお、ここでは、イベントの発生に応じて第1の超音波診断装置2内の情報を取得しているが、これに限るものではなく、イベントの発生に依らず定期的に、例えば所定間隔や所定時間で第1の超音波診断装置2内の情報を取得するようにしても良い。
【0031】
変換判定部23は、情報取得部22により求められた情報に対して、第1の超音波診断装置2と第2の超音波診断装置3との間で変換が必要であるか否かを判定する。このとき、変換判定部23は、通信先の第2の超音波診断装置3から、その装置情報(例えば、メーカー名や型、バージョンなど)を取得し、前述の判定に用いる。
【0032】
変換情報取得部24は、変換判定部23により変換が必要であると判定されると、変換情報算出装置4に第2の超音波診断装置3に対応する変換情報を問い合わせる。すなわち、変換情報取得部24は、変換情報算出装置4にネットワーク5を介して通信部2iにより、第1の超音波診断装置2に関する装置情報と共に第2の超音波診断装置3に関する装置情報を送信する。
【0033】
ここで、変換情報算出装置4は、変換情報取得部24から送信された第1の超音波診断装置2及び第2の超音波診断装置3の個々の装置情報に基づき、装置情報テーブル4aから該当する情報を検索して求め、求めた情報から、例えば、スケールの比率を変換情報として算出し、その変換情報を変換情報取得部24に送信する。
【0034】
装置情報テーブル4aは、図5に示すように、超音波診断装置ごとの装置情報(例えば、メーカー名や型、バージョン、イベント、輝度の最小値及び最大値など)を示すテーブルであり、この装置情報テーブル4aは変換情報算出装置4に保存されており、必要に応じて読み出されて用いられる。
【0035】
例えば、第1の超音波診断装置2の装置情報から、その第1の超音波診断装置2は、メーカー名が「×」であり、型が「C」、バージョンが「1.1」である装置と判断されると、輝度の最大値は「100」であるという情報が求められる。さらに、第2の超音波診断装置3の装置情報から、その第2の超音波診断装置3は、メーカー名が「×」であり、型が「A」、バージョンが「1.1」である装置と判断されると、輝度の最大値は「10」であるという情報が求められる。これらの情報から、第1の超音波診断装置2に対する第2の超音波診断装置3のスケールの比率として10%(10/100)が算出される。このような変換情報が変換情報取得部24にネットワーク5を介して送信される。これにより、変換情報取得部24は、変換情報算出装置4から送信された変換情報を受信し、その変換情報を取得することになる。
【0036】
図4に戻り、情報変換部25は、変換情報取得部24により取得された変換情報を用いて、第1の超音波診断装置2内の情報を第2の超音波診断装置3用の情報に変換する。例えば、変換情報に含まれるスケールの比率が10%であり、第1の超音波診断装置2内の情報に含まれる輝度が50である場合には、その輝度が5(=50×0.1)に変換される。
【0037】
情報送信部26は、情報変換部25により変換された変換済みの情報あるいは未変換の情報を第2の超音波診断装置3にネットワーク5を介して通信部2iにより送信する。なお、未変換の情報は、前述の変換判定部23により変換が必要でないと判定された場合に、情報取得部22から直接、情報送信部26に入力される。
【0038】
ここで、第2の超音波診断装置3は、第1の超音波診断装置2から変換済み又は未変換の情報を受信する情報受信部31と、受信した変換済み又は未変換の情報を設定する情報設定部32と、第2の超音波画像を取得する画像取得部33と、その第2の超音波画像を第1の超音波診断装置2に送信する画像送信部34とを備えている。
【0039】
情報受信部31は、情報送信部26により送信された変換済み又は未変換の情報を受信する。情報設定部32は、情報受信部31により受信された変換済み又は未変換の情報を第2の超音波診断装置3に設定して反映させる。
【0040】
このように、第1の超音波診断装置2内の情報は必要に応じて変換され、第2の超音波診断装置3内の情報として第2の超音波診断装置3に自動的に設定され、情報が共用される。なお、変換済みの情報は、第2の超音波診断装置3にとって変換を必要とするデータが既に変換されており、そのまま設定可能な情報である。
【0041】
画像取得部33は、画像生成部3eにより生成された第2の超音波画像を取得する。また、画像送信部34は、画像取得部33により取得された第2の超音波画像を第1の超音波診断装置2にネットワーク5を介して通信部3iにより送信する。
【0042】
前述の画像受信部27は、第2の超音波診断装置3の画像送信部34により送信された第2の超音波画像を受信し、その第2の超音波画像を画像管理部28に送る。
【0043】
画像管理部28は、表示部2fの表示画面における空き領域を検索する領域検索部28aと、空き領域の面積を算出する領域面積算出部28bと、最大面積の空き領域を表示領域に決定する表示領域決定部28cと、その表示領域の面積に合わせて第2の超音波画像の大きさを調整する画像面積調整部28dとを備えている。
【0044】
領域検索部28aは、図6に示すように、表示部2fの表示画面H1において第1の超音波画像G1や文字情報、波形情報などの重要な情報が表示されていない複数の空き領域R1〜R3を検索して求める。このとき、各空き領域R1〜R3としては、長方形状の領域を求めているが、これに限るものではなく、例えば、正方形状や円形状、楕円形状などの様々な形状の領域を求めることが可能である。なお、空き領域R1〜R3の条件は、表示画面領域内であって画像や文字などの情報を表示する情報表示領域以外の領域である。
【0045】
領域面積算出部28bは、領域検索部28aにより求められた各空き領域R1〜R3の個々の面積を算出し、その算出結果を保存する。
【0046】
表示領域決定部28cは、領域面積算出部28bにより算出された各空き領域R1〜R3の個々の面積に基づき、それらの領域R1〜R3の中から面積が最大である空き領域R2を選択し(図6参照)、その選択した空き領域R2を表示領域として決定する。
【0047】
画像面積調整部28dは、図6に示すように、表示領域決定部28cにより決定された表示領域(空き領域R2)に合わせて、画像受信部27により受信された第2の超音波画像G2の大きさを調整する。この調整では、元画像である第2の超音波画像G2の縦横比を維持しつつ、その第2の超音波画像G2の面積と表示領域(空き領域R2)の面積とを同じにするように調整を行う。
【0048】
この調整済みの第2の超音波画像G2は前述の表示領域に表示される。これにより、第1の超音波画像G1及び第2の超音波画像G2は互いに重ならずに表示され、さらに、第2の超音波画像G2は表示画面H1中で可能な最大サイズに表示される。
【0049】
なお、前述の各部は、電気回路などのハードウエアにより構成されても良く、あるいは、これらの機能を実行するプログラムなどのソフトウエアにより構成されても良く、また、それらの両方の組合せにより構成されても良い。
【0050】
次に、前述の超音波診断システム1が行う情報共有処理及び画像共有処理について説明する。最初に情報共有処理について図7を参照して説明し、次に画像共有処理について図8を参照して説明する。なお、ここでは、一例として、術者がメイン装置である第1の超音波診断装置2を操作し、補助者がサブ装置である第2の超音波診断装置3を操作することとする。
【0051】
図7に示すように、第1の超音波診断装置2では、まず、イベントが検出されたか否かがイベント検出部21により判断され(ステップS1)、この判断はイベントが検出されるまで繰り返される(ステップS1のNO)。例えば、術者は入力部2gを操作し、イベントとして、通常表示/共有表示モード変更やカラー/白黒モード変更、輝度変更、ダイナミックレンジ変更、コメント記入などを行ったりする。
【0052】
ステップS1において、イベントが検出されたと判断されると(ステップS1のYES)、第1の超音波診断装置2内の情報が情報取得部22により取得される(ステップS2)。情報取得部22は、情報として、例えば、通常表示/共有表示モードやカラー/白黒モード、輝度、ダイナミックレンジ、コメントなどの情報を取得する。このとき、情報取得部22は、各種情報の全ての情報を取得するのではなく、例えば、各種情報の中で変更があった情報だけを取得するようにしても良い。
【0053】
ステップS2の完了後、取得した情報の変換が必要であるか否かが変換判定部23により判断され(ステップS3)、変換が必要であると判断されると(ステップS3のYES)、必要とする変換情報が変換情報取得部24により取得され(ステップS4)、その後、変換情報が用いられ、前述の情報が情報変換部25により変換される(ステップS5)。一方、変換が不必要であると判断されると(ステップS3のNO)、情報は変換されず、処理はステップS6に進む。その後、変換済みあるいは未変換の情報が第2の超音波診断装置3に情報送信部26により送信され(ステップS6)、処理が終了する。
【0054】
ステップS3では、第2の超音波診断装置3からその装置情報(例えば、メーカー名や型、バージョンなどの情報)が取得され、その装置情報が使用されて情報の変換の要否が判定される。例えば、第2の超音波診断装置3の装置情報が第1の超音波診断装置3の装置情報と異なる場合には、情報の変換が必要であると判定される。
【0055】
ステップS4では、変換情報算出装置4から第2の超音波診断装置3に対応する変換情報が取得される。まず、第1の超音波診断装置2の装置情報と共に第2の超音波診断装置3の装置情報が変換情報算出装置4にネットワーク5を介して送信される。変換情報算出装置4では、受信した第1の超音波診断装置2及び第2の超音波診断装置3の個々の装置情報に基づき、装置情報テーブル4a(図5参照)から該当する情報を検索し、該当する情報から、例えば、スケールの比率を変換情報として算出し、その後、その変換情報を変換情報取得部24にネットワーク5を介して送信する。この変換情報が変換情報取得部24により受信される。
【0056】
ステップS5では、変換情報取得部24により取得された変換情報が用いられ、ステップS2で取得した情報が変換される。例えば、変換情報に含まれるスケールの比率が10%であり、情報に含まれる輝度が50である場合には、その輝度が5(=50×0.1)に変換される。
【0057】
一方、第2の超音波診断装置3では、第1の超音波診断装置2から送信された変換済みあるいは未変換の情報が情報受信部31により受信され(ステップS11)、その情報が情報設定部32により第2の超音波診断装置3に設定され(ステップS12)、処理が終了する。
【0058】
このような情報共有処理により、第1の超音波診断装置2内の情報が必要に応じて第2の超音波診断装置用の情報として変換されて用いられ、第2の超音波診断装置3の情報として設定される。その後、補助者は術者の指示に応じて第2の超音波診断装置3の超音波プローブ3aを被検体の所望位置に当てて超音波画像を撮像する。その後、以下の画像共有処理が実行される。
【0059】
なお、前述の情報共有により、メイン装置及びサブ装置のそれぞれの装置に対し、情報に関する入力操作(例えば、通常表示/共有表示モード変更やカラー/白黒モード変更、輝度変更、ダイナミックレンジ変更、コメント記入などの入力操作)を行う必要が無くなるので、装置ごとの入力操作に時間と手間がかからなくなり、診断効率を向上させることができる。
【0060】
図8に示すように、第2の超音波診断装置3では、画像生成部3eにより生成された第2の超音波画像G2が画像取得部33により取得され(ステップS21)、その第2の超音波画像G2が第1の超音波診断装置2にネットワーク5を介して画像送信部34により送信される(ステップS22)。
【0061】
一方、第1の超音波診断装置2では、第2の超音波診断装置3から送信された第2の超音波画像G2が画像受信部27により受信され(ステップS31)、表示画面H1における空き領域R1〜R3が領域検索部28aにより検索される(ステップS32)。
【0062】
ステップS32では、表示部2fの表示画面H1において第1の超音波画像G1や文字情報、波形情報などの重要な情報を含まない複数の空き領域R1〜R3が検索されて求められる(図6参照)。これらの空き領域R1〜R3は、表示画面H1の表示領域内であって画像や文字などの情報を表示する情報表示領域以外の領域であり、例えば、長方形状や正方形状の領域である。
【0063】
ステップS32の完了後、求められた空き領域R1〜R3の面積が算出され(ステップS33)、その空き領域R1〜R3の面積に基づいて表示領域が決定され(ステップS34)、その表示領域の面積に合わせて、ステップS31で受信した第2の超音波画像G2の大きさが調整され(ステップS35)、その第2の超音波画像G2が表示部3fにより表示される(ステップS36)。
【0064】
ステップS34では、領域面積算出部28bにより算出された各空き領域R1〜R3の個々の面積に基づき、それらの領域R1〜R3の中から面積が最大である空き領域R2が選択され、その空き領域R2が表示領域として決定される(図6参照)。
【0065】
ステップS35では、表示領域決定部28cにより決定された表示領域(空き領域R2)に合わせて、ステップS31で受信した第2の超音波画像G2の大きさが調整される(図6参照)。この調整は、元画像である第2の超音波画像G2の縦横比を維持しつつ、その第2の超音波画像G2の面積を表示領域の面積と同じにするように行われる。
【0066】
ステップS36では、調整済みの第2の超音波画像G2が前述の表示領域(空き領域R2)に表示される。このとき、第1の超音波画像G1及び第2の超音波画像G2は互いに重ならずに第1の超音波診断装置2の表示部2fに表示され、さらに、第2の超音波画像G2は表示部2f上の表示画面H1中で表示可能な最大サイズで表示される。
【0067】
これにより、術者はメイン装置である第1の超音波診断装置2の画像を確認すれば良く、メイン装置及びサブ装置のそれぞれの画像を確認する必要がなくなり、術者の負担が軽減するので、診断効率を向上させることができる。加えて、第1の超音波画像G1及び第2の超音波画像G2には重要な情報が含まれており、それらの超音波画像G1、G2が隠れることが無くなり、誤診を招くことを抑えることに加え、診断がやり易くなるため、診断効率を向上させることができる。また、各超音波画像G1、G2が小さ過ぎるために所見で見落しが発生することも抑えることができる。
【0068】
なお、第2の超音波診断装置3では、前述の第2の超音波画像G2は所定間隔で第1の超音波診断装置2に送信され、第1の超音波診断装置2では、その第2の超音波画像G2が前述の表示領域に順次、すなわちリアルタイムに表示される。また、第2の超音波画像G2が切り替えられると、それに応じて、切替後の第2の超音波画像G2が第1の超音波診断装置2に送信される。第1の超音波診断装置2では、前述と同様に、ステップS31〜S36が実行され、第2の超音波画像G2が所定の表示領域に表示される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、変換情報算出装置4により算出された変換情報が用いられ、第1の超音波診断装置2内の情報が第2の超音波診断装置3用の情報に変換され、その情報が第2の超音波診断装置3に設定される。これにより、第1の超音波診断装置2及び第2の超音波診断装置3のそれぞれの装置に対し、情報に関する入力操作(例えば、通常表示/共有表示モード変更やカラー/白黒モード変更、輝度変更、ダイナミックレンジ変更、コメント記入などの入力操作)を行う必要が無くなるので、装置ごとの入力操作に時間と手間がかからなくなり、診断効率を向上させることができる。
【0070】
また、前述の変換の要否が判定され、変換が必要な場合だけに変換が行われるので、変換不要な情報がある場合には、その不要な変換が行われず、その変換処理にかかる時間発生を防止することが可能となる。その結果、画像表示までの時間が長くなることを抑え、診断効率を向上させることができる。
【0071】
また、第1の超音波診断装置2では、第2の超音波画像G2が第1の超音波画像G1に重ねられずに表示部2fにより表示される。これにより、術者は第1の超音波診断装置2の画像を確認すれば良く、第1の超音波診断装置2及び第2の超音波診断装置3のそれぞれの画像を確認する場合に比べ、術者の負担が軽減するので、診断効率を向上させることができる。加えて、第1の超音波画像G1及び第2の超音波画像G2には重要な情報が含まれており、それらの超音波画像G1、G2が隠れることが無くなる。このため、誤診を招くことを抑えることに加え、診断がやり易くなるので、診断効率を向上させることができる。
【0072】
また、第1の超音波診断装置2では、表示部2fの表示画面H1において第1の超音波画像G1が表示されていない複数の空き領域R1〜R3が求められ、その空き領域R1〜R3から最大の面積を有する空き領域R2が表示領域として決定され、その表示領域の面積に合わせて第2の超音波診断画像G2の大きさが調整される。これにより、第1の超音波画像G1と第2の超音波画像G2とが重なることを確実に防止することが可能となるので、診断がやり易くなり、診断効率を確実に向上させることができる。また、第2の超音波画像G2は表示部2f上の表示画面H1中で表示可能な最大サイズで表示されるので、各超音波画像G1、G2が小さ過ぎるために所見で見落しが発生することも抑えることができる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 超音波診断システム
2 第1の超音波診断装置
2f 表示部
3 第2の超音波診断装置
4 変換情報算出装置
4a 装置情報テーブル
22 情報取得部
23 変換判定部
25 情報変換部
26 情報送信部
27 画像受信部
28 画像管理部
28a 領域検索部
28b 領域面積算出部
28c 表示領域決定部
28d 画像面積調整部
31 情報受信部
32 情報設定部
34 画像送信部
G1 第1の超音波画像
G2 第2の超音波画像
H1 表示画面
R1 空き領域
R2 空き領域
R3 空き領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の超音波画像を取得する第1の超音波診断装置と、
前記第1の超音波診断装置にネットワークを介して接続され、第2の超音波画像を取得する第2の超音波診断装置と、
を備え、
前記第1の超音波診断装置は、
前記第1の超音波診断装置内の情報を取得する情報取得部と、
前記第1の超音波診断装置に関する装置情報及び前記第2の超音波診断装置に関する装置情報を用いて、前記情報取得部により取得された前記第1の超音波診断装置内の情報を前記第2の超音波診断装置用の情報に変換する情報変換部と、
前記第2の超音波診断装置用の情報を前記第2の超音波診断装置に送信する情報送信部と、
を具備し、
前記第2の超音波診断装置は、
前記情報送信部により送信された前記第2の超音波診断装置用の情報を受信する情報受信部と、
前記情報受信部により受信された前記第2の超音波診断装置用の情報を設定する情報設定部と、
を具備することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項2】
前記第1の超音波診断装置に関する装置情報及び前記第2の超音波診断装置に関する装置情報を用いて、前記第1の超音波診断装置内の情報を前記第2の超音波診断装置用の情報に変換するための変換情報を算出する変換情報算出装置を備え、
前記情報変換部は、前記変換情報算出装置により算出された前記変換情報を用いて、前記情報取得部により取得された前記第1の超音波診断装置内の情報を前記第2の超音波診断装置用の情報に変換することを特徴とする請求項1記載の超音波診断システム。
【請求項3】
前記第1の超音波診断装置は、前記情報変換部による前記変換の要否を判定する変換判定部を具備し、
前記情報変換部は、前記変換判定部により前記変換が必要であると判定された場合、前記変換を実行し、前記変換判定部により前記変換が必要ないと判定された場合、前記変換を実行せず、
前記情報送信部は、前記変換判定部により前記変換が必要ないと判定された場合、未変換の前記第1の超音波診断装置内の情報を前記第2の超音波診断装置用の情報として送信することを特徴とする請求項1又は2記載の超音波診断システム。
【請求項4】
第1の超音波画像を取得する第1の超音波診断装置と、
前記第1の超音波診断装置にネットワークを介して接続され、第2の超音波画像を取得する第2の超音波診断装置と、
を備え、
前記第2の超音波診断装置は、
前記第1の超音波診断装置に前記第2の超音波画像を送信する画像送信部を具備し、
前記第1の超音波診断装置は、
前記第1の超音波画像を表示する表示部と、
前記画像送信部により送信された前記第2の超音波画像を受信する画像受信部と、
前記画像受信部により受信された前記第2の超音波画像を前記第1の超音波画像に重ねずに前記表示部に表示させる画像管理部と、
を具備することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項5】
前記画像管理部は、
前記表示部の表示画面において前記第1の超音波画像が表示されていない複数の空き領域を検索して求める領域検索部と、
前記領域検索部により求められた前記複数の空き領域の個々の面積を算出する領域面積算出部と、
前記領域面積算出部により算出された前記複数の空き領域の個々の面積を用いて、前記複数の空き領域の中から面積が最大である空き領域を表示領域と決定する表示領域決定部と、
前記表示領域決定部により決定された前記表示領域に合わせて、前記画像受信部により受信された前記第2の超音波画像の大きさを調整する画像面積調整部と、
を有することを特徴とする請求項4記載の超音波診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−70733(P2013−70733A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210322(P2011−210322)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】